JP2005103856A - 液体供給システム、流体連通構造、インク供給システムおよび前記流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッド - Google Patents

液体供給システム、流体連通構造、インク供給システムおよび前記流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP2005103856A
JP2005103856A JP2003338723A JP2003338723A JP2005103856A JP 2005103856 A JP2005103856 A JP 2005103856A JP 2003338723 A JP2003338723 A JP 2003338723A JP 2003338723 A JP2003338723 A JP 2003338723A JP 2005103856 A JP2005103856 A JP 2005103856A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
liquid
communication
liquid chamber
ink tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003338723A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4047257B2 (ja
Inventor
Ryoji Inoue
良二 井上
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Hidemiki Ogura
英幹 小倉
Nobuyuki Kuwabara
伸行 桑原
Tetsuya Ohashi
哲也 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003338723A priority Critical patent/JP4047257B2/ja
Priority to US10/949,074 priority patent/US7185976B2/en
Publication of JP2005103856A publication Critical patent/JP2005103856A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4047257B2 publication Critical patent/JP4047257B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/1752Mounting within the printer

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】 インクジェット記録ヘッドに対して密閉構造を持つ液体インク供給システムにおいて、記録動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体供給経路から迅速かつ円滑に排除できるようにする。
【解決手段】 負圧発生手段を有するインクタンク10と、インクを記録ヘッド20に導くための液室50とをタンク側開口位置の高さが異なる2つの連通路53,54を介して流体連通させる。そして液室内に気体が存在している状態において、一方の連通路54を介して液室からは気体が、他方の連通路53を介してインクタンクからはインクが移動するようにする。タンク装着に際して、連通路54内で気液が断続し、多重にメニスカスを形成している状態となっていても、連通路54はタンク装着完了に先立って負圧が生じているインクタンクに先に連通するので、流路54を介したエア移動が生じて上記状態を解消できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、液体使用部としての記録ヘッドあるいはペンなどに、インクなどの液体を、液体収納部としてのインクタンクなどから無駄なくかつ安定して供給するとともに、液体使用部内に存在する気体を液体収納部へ排出するための流体連通構造、およびこれを用いた液体ないしインク供給システムおよび該システムを用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置に関するものである。
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へと液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置は、記録時の騒音が比較的小さくしかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に利用されている。このようなインクジェット記録装置の一形態として、一体不可分にまたは分離可能に取り付けられたインクタンクからインクの供給を受けるインクジェット記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載して記録媒体に対し記録ヘッドを所定方向に相対的に走査させるキャリッジと、記録媒体を記録ヘッドに対して上記所定方向に直交する方向に相対的に搬送(副走査)させる搬送手段と、を具え、記録ヘッドの主走査の過程でインク吐出を行わせることにより記録を行うものがある。さらに、キャリッジ上に、ブラックインクおよびイエロー、シアン、マゼンタ等の各カラーインクが吐出が可能な記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキスト画像のモノクローム印刷のみではなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としたものもある。
かかるインクジェット記録装置においては、インク供給経路内部に混入してくる、またはしている空気等の気体の排出を適切に行うことが問題となる。
ここで、供給系内部に進入してくる気体には大きく分類して4種類の発生要因がある。
1)プリントヘッドのインク吐出口から進入する、ないしは吐出動作に伴って発生するもの、
2)インク内部に溶存していた気体が分離したもの、
3)供給経路を構成する素材を通して外部から気体透過により進入してくるもの、および、
4)カートリッジ形態のインクタンクを交換する際に進入してくるもの、
である。
ところで、インクジェット記録ヘッド内に形成される液路は非常に微細に構成されており、従ってインクタンクから記録ヘッドに供給されるインクは、塵埃等の異物が混入していない清浄な状態であることが要求される。すなわち、塵埃等の異物が混入しているような場合、記録ヘッド内のインク流路の中でも特に狭い吐出口ないしこれに直接連通する液路部分に異物が詰まるという問題が発生し、これにより正常なインクの吐出動作が行えなくなり、記録ヘッドの機能の回復が不可能となることもある。
そこで、一般に記録ヘッドと、インクタンクに突入するインク供給針との間のインク流路に、異物を除去するフィルタ部材を配置し、このフィルタ部材によって記録ヘッド側への異物の侵入が防止できるように構成されることが多い。
一方、昨今においては記録の高速化を実現するために、インクを吐出するための吐出口数も増してきており、またインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子に加える駆動信号も益々高周波数のものが採用されつつある。このために、単位時間当たりのインクの消費量も急激に増加している。
これに伴い、フィルタ部材を通過するインク量も当然ながら増大するが、フィルタ部材による圧力損失を低減するためには、供給路を一部拡大して大面積のフィルタ部材を配置するのが有効である。このために、供給経路内に気泡が混入すると、拡大部におけるフィルタ部材の上流側の空間に滞留し易く、これを排出できない状態となって、インクの円滑な供給が阻害されるという問題が生じる。また、供給経路内部に溜まっていた気体が微細な気泡となって吐出口に導かれるインク内部に混入し、インクの不吐出を生じさせる等の問題を引き起こす恐れもある。
従って、インク供給経路内に滞留する空気は速やかに除去されることが強く望ましく、そのためにいくつかの方法が挙げられる。
その一つは、次に述べるようなクリーニング操作を行うことである。
インクジェット記録ヘッドは、記録媒体に対向して配置される吐出口から液体であるインクを例えば滴として吐出させて印刷を行う関係上、吐出口からのインク溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇やインクの固化、吐出口への塵埃の付着、さらには吐出口内方の液路への気泡の混入などにより吐出口に目詰まり等が生じ、印刷不良を起こすことがある。
このために、インクジェット記録装置には、非印刷動作時に記録ヘッドの吐出口を覆うためのキャッピング手段や、吐出口が形成された記録ヘッドの面(吐出口形成面)を必要に応じて清掃するワイピング部材が備えられる。キャッピング手段は、印刷の休止時に前述した吐出口のインクの乾燥を防止する蓋として機能するだけではない。吐出口に目詰まりが生じた場合には、キャップ部材により吐出口形成面を覆い、例えばキャップ部材の内部に連通する吸引ポンプにより負圧を作用させることにより、吐出口からインクを吸引排出させ、吐出口のインク固化による目詰まりや、液路内の増粘インクあるいは混入気泡によるインク吐出不良を解消する機能をも備えている。
これらインク吐出不良を解消させるために行うインクの強制的な排出処理はクリーニング操作と呼ばれ、これは装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、またユーザが記録画像の品質が悪化したのを認識して例えばクリーニングスイッチを操作した場合などに実行される。さらに、そのようにインクを強制排出させた後に、ゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により吐出口形成面のワイピング操作を伴う。
そして、インクを初めて記録ヘッドの流路ないし液路内へ充填するための初期充填時や、インクタンクを交換した場合に実行されるクリーニング操作時において、キャッピングされた吐出口形成面に対し吸引ポンプを高速度で駆動することで大きな負圧を作用せしめ、これによりインク供給路内で高い流速を得て滞留気泡を排出させようとする試みもなされている。
しかしながら、上述したフィルタ部材が持つ動圧を抑えるためにフィルタ部材の面積を増大すると流路断面積も増大する。このため、前述のクリーニング操作において流路内に大きな負圧を発生せしめても、気泡を効果的に移送できるような高い流速が発生せず 、残留気泡を吐出口側から吸引ポンプで除去するのは極めて困難となる。すなわち、吸引ポンプによるインクの流れにより気泡がフィルタを通過する条件として、フィルタを通過するインクに所定の流速が必要であるが、それを発生させるにはフィルタ両側に大きな圧力差を生じさせなくてはならない。それを実現するには、通常フィルタ面積を小さくして流路抵抗を高めるか、吸引ポンプを大流量化することが考えられるが、フィルタを小さくするとヘッドへの供給性能が損なわれ、また、大流量で気体を除去しようとする場合には、大量のインクが排出されてしまい、インクをいたずらに消費することにもなる。
そこで、気泡除去の他の方法として考えられるのは、気泡を外部へ直接排出させる方法と、インクタンク側に移動させ、インク供給を阻害しないタンク内の部位に留めてしまう方法との二つとなる。これらのうち、前者については、供給路中に外部への連通口を配置する構成を有するものとなるが、これは次の理由により好ましい方法とは言えない。
すなわち、通常のインクジェット記録装置においては、吐出口からのインクの好ましくない漏出を防止する目的で、インクタンク内に吸収体などの毛管力発生部材を配設したり、あるいは可撓性のインク収納袋に対しばね等の弾性部材を配置して内容積拡大方向への付勢力を作用させたりすることにより、インクタンクのインク収納空間に負圧を発生させているものが多い。このような場合においては、供給路に気泡除去のために単なる連通口が配置されると、却って連通口からエアが侵入することで負圧が解除されてしまうことになるので、連通口には圧力調整弁等の配設が必要となり、インク供給システムひいてはこれを用いる記録装置の構造が複雑化・大型化することになるからである。また、気泡排出用の連通口からのインクの漏洩を防止するために、気体は通過できるが液体は通過できない撥水膜等の配設を要したり、あるいは気泡が滞留した場合にのみ連通口を開放して排出させる装置(気泡量検知機構や連通口開閉機構等)が必要となるので、製造価格の増大や構造の複雑化・大型化が生じるからである。
一方、インクタンク側に気泡を移動させることを考える。このとき、インクタンクに移動する気泡の体積に相当する量のインクをヘッド側に移送することができれば、インクタンク内容積の変動はなく、発生する負圧を一定として、記録ヘッドに対し吐出口に形成されるメニスカスの保持力と平衡する負圧を作用することができるので、好ましいことである。また、インクタンクがカートリッジ形態のものであれば、収納するインク残量がなくなったときに新しいものと交換されるので、インク供給系から完全に気体を除去することができる構成であると言い得る。
しかし、民生用に広く普及しているインクジェット記録装置においては、ブラックインクおよびカラーインクをそれぞれ収納したカートリッジ形態のインクタンクを、記録ヘッドないしこれを搭載するキャリッジに対しその上部から着脱可能に装着できるように構成されることが多い。すなわち、例えばインクカートリッジにはキャリッジに上向きに搭載された中空のインク供給針が突入することで、記録ヘッドに対するインク供給が可能となるように構成されているものが多い。従って、インクカートリッジと記録ヘッドを連結するインク供給針の管内径が問題となる。つまり、大きな力を要さずにカートリッジ装着の操作が簡便に行われるようにするためにも、供給針として細いものを使用することが求められるが、管内径が小さくなればその分メニスカス力が大きくなるために気泡を円滑に移動することができないのである。
ところで、インクタンク側に気体を移動させる機構については、これまでにもいくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1においては、記録ヘッド側を、大気連通口を有する第1室と毛管力発生部材を有する第2室とに分離し、第1室とインクタンクとを第1室側の開口の高さが異なる2以上の連通路で連結させることで、連通路の1つからインクタンク側にエアが供給されるようにした構成が開示されている。かかる構成は、第1室と第2室との水頭差、あるいは、第2室に配置した毛管力発生部材によりヘッドに負圧を作用させているものであり、第1室に大気連通口を配置させることができている。
しかしながら、この特許文献1の構成は、変形しないインクタンク内のインクを使い切るためにインク供給に応じてインクタンク内に大気を導入することが目的であり、インク供給経路内に残留した気泡をインクタンクに排除することを目的とするものではない。すなわち、インク供給経路とりわけ第2室ないし記録ヘッド側からの気体をもインクタンクに移送するために同文献開示の技術を適用することはできない。
また、他の提案として、特許文献2には、負圧発生部材収納室と液体収納室とを分離可能とした場合に、両者を連結する連通部に気体優先導入路と液体導出路とを配置し、確実に気体を液体収納室に導入できるようにした構成が開示されている。しかしながら、同文献においても、インクタンクと記録ヘッドとの間に毛管力発生部材と大気連通口が配置されている構成が開示されており、特許文献1と同様、大気連通口としての開口から気体が自由に出入りする大気開放系のインク供給路であり、インク供給経路内に残留した気泡の排除を行う目的に対して、同文献開示の技術は適用できない。
さらに、特許文献3には、下側に液体導出管(drain conduit 66,72,74)と気体導入管(vent conduit 76,82,84)を突出させてなるインク収納容器(ink container 50)が開示され、液体導出管は収納容器の内壁底面に上部開口があり、気体導出管は収納容器の収納空間内部に開口が配置されている構成が示されている。同文献に開示の技術の目的は、リザーバ(reservoir 16,18,20)を有する部材(14)にインクをリフィルするためのシステムの構成であって、リザーバより下流のインク供給経路ないしインクを使用する部分内に残留している気泡除去を目的としたものではない。また、液体導出管と気体導入管の下部開口高さが等しいために管内でメニスカスを形成してしまうと、液体や気体の移動ができなくなるとも考えられる。さらに、同文献においては大気連通口の記載はないが、インク収納容器50および部材14で構成されている系が密閉されていると、インクの使用を続けて行くと内部の負圧が急激に高まり、インク使用部分に対するインク供給不能に陥るので、いずれかの部位に大気連通口が設けられているものと考えられる。リザーバ(reservoir 16,18,20)には吸収体(form 90)が収納されている点、及びFIG.2のインク収納容器、気体導出管等の構成および機能に鑑みれば、大気連通口はリザーバ(16,18,20)に設けられているものと考えられるが、いずれにせよ上記1)〜4)のような原因でインク供給経路内に残留した気泡の排除を積極的に行うという観点はない。
さらに、特許文献4には、負圧発生部材収納室とインク収納室とを有してなるリザーバタンクにインクを補充するための補充タンクが結合可能で、インク収納室の空間に対しその上部および下部において補充タンクが結合した場合に、下部の液体連通管を介して補充タンクからインクがインク収納室に導入される一方、上部の気体連通管を介してインク収納室から空気が補充タンク側に導入されるようにした構成が開示されている。しかしながら、同文献においても、インク収納室と記録ヘッドとの間に負圧発生部材と大気連通口とが配置されている構成において特許文献1および2と本質的に変わりはなく、従ってインク供給経路内に残留した気泡の排除を行う目的に対して、同文献開示の技術を適用できすることはできない。
また、特許文献5には、図23に示すように、記録ヘッド1018に連通したメインタンク1020にインクを補充するためのサブタンク1022をメインタンクの上部に装着し、キャリッジの加減速によりメインタンク内の気体をサブタンク内に導入する一方、サブタンク内のインクをメインタンク内へ供給する構成が開示されている。同文献においては、サブタンクと連通しているメインタンク部が自由状態でインクを収容するものの、メインタンク部に大気を導入する手段を有しており、本質的には特許文献1,2,4の構成と変わりはない。すなわち上記1)〜4)のような原因でインク供給経路内に残留した気泡の排除を積極的に行うという観点はない。
特許文献1、2、4および5に共通する構成は、分離可能な液体収納部(インクタンク)が複数の連通路で記録ヘッド側と連通し、さらに連通路より下流側(記録ヘッド側)に大気導入手段を有することであるが、この構成による問題点について特許文献5を代表して記述する。
図16は特許文献5に記載された同文献の発明を説明する概念図である。この状態において、エア移動(パイプ1056Aを介したサブタンク1022のサブインク室1081への気体の移動)が停止しているとして、パイプ1056Aで形成されているメニスカス部に作用する力のバランスを考える。まず、下向きに働く力は、サブインク室1081内のインク液面とパイプ1056Aの開口部に形成されているメニスカス位置との水頭差による圧力HAと、メニスカス力MAとがある。さらに上向きに作用する力はメインタンク1020内に配設されたインクバッグ1100に貯留されるエアによる圧力Pがある。これらの力がすべてつりあってエア移動が停止している。この場合、エアの圧力Pは、サブインク室1081内のインク液面とインクバッグ1100内のインク液面位置との水頭差による圧力およびメニスカスによる圧力の和とつりあっている(P=HA+MA)。さらに、サブインク室1081内のインクとインクバッグ1100内のインクはパイプ1056Bにより連通しているので、パイプ1056Aに形成されているメニスカスに作用している下向きのインク圧力とインクバッグ1100内の気体圧力との差は、パイプ1056Aのメニスカス位置とインクバッグ1100内の液面との水頭差による圧力HB−HAと等しくなる。よって、結果としてこの水頭差による圧力HB−HAとメニスカス圧力MAとがつりあうことで平衡状態となっている。
この状態からさらにインク消費が進み、気泡発生装置1104から気泡が導入されるなどして、インクバッグ1100内の液面が下がると、パイプ1056Aのメニスカス位置とインクバッグ1100内の液面との水頭差による圧力HB−HAが増大し、ついにはメニスカス圧力を超えるとエアがサブインク室1081へ導入され、それに伴いサブインク室1081内のインクがインクバッグ1100内に供給される。
しかしながら、記録ヘッド1018でインクを吐出する場合には、供給システム全体にインクの流れが生じるため、パイプ1056Bにおけるインク流量に応じた圧力損失がサブインク室1081とインクバッグ1100との間で発生する。従って、上述のメニスカス圧力MAと、メニスカス位置とインクバッグ1100内の液面との水頭差による圧力HB−HAとの関係にさらに、圧力損失を考慮する必要が生じ、結果として、上述のメニスカス圧力に圧力損失分を加えた圧力より、メニスカス位置とインクバッグ1100内の液面との水頭差による圧力が大きい場合にエア移動が発生することになる。つまり、エア移動停止状態に比較して、インク吐出状態すなわち動的な状態では、そのインク流量に応じたパイプ1056Bの圧力損失分だけさらに液面が低下しなければ気液交換は発生しない。そして、その気液交換が開始されるべき液面がパイプ1056Bの開口部より低くなった場合には、気液交換は発生せず、サブタンク1022内のインクを使用しないままメインタンク1020内のインクを使い切ってしまうことになる。
したがって、前述のようにタンク装着の操作を簡便にするためにパイプを細くした場合には、その分圧力損失が増大するので、これに応じてメインタンクの気液交換が開始される液面が低くなることを考慮しなければならない。すなわち、メインタンクのサイズを増大させざるを得ず、ひいては記録装置全体のサイズアップにつながることになる。
さらに、図16のような構成についての別の問題としては、気泡発生装置1104がメインタンクの下部に配設されている点にある。すなわち、インクの吐出口には気泡が極力移送されないようにすることが強く好ましいにもかかわらず、気泡発生装置1104から導入された気泡がインク吐出動作に伴って記録ヘッド1018に向かうインクの流れに乗って記録ヘッド1018に連通する流路1041に引き込まれてしまう恐れがあるのである。従って、そのような泡の引き込みを防止するためは、インク吐出動作に伴うインクの流れを制限したり、気泡発生装置1104をフィルタ部1039から離れた位置に配設するなどの手段を講じる必要が生じ、これによってさらにメインタンク1020のサイズが増大することになる。
これらの弊害については、連通路より記録ヘッド側に大気導入手段を備えた構成である特許文献1,2,4の構成についても同様である。
特開平5−96744号公報 特開平11−309876号公報 米国特許第6,347,863号明細書 特開平10−29318号公報 特開2001−187459号公報 特開2003−53989号公報
以上の通り、上記特許文献1〜5には、気体を最上流のインクタンクへと導入する点については開示があるが、使用状態において密閉構造であるインク供給経路内に滞留する気体、すなわち上記(1)〜(4)のような要因で進入し、滞留するような気体をインクタンク側に円滑に移送し、留めておく目的には、いずれも合致していない。さらには、高速記録を行うためインク流量が増大した場合には、インク供給が追従できずにインク切れを生じたり、記録ヘッド部へ気泡を混入させてしまったりする場合があり、それを防止するには記録ヘッド部のサイズを増大せざるを得ないものであった。
よって本発明は、液体使用部分に対して密閉構造を持つ液体供給システムにおいて、液体使用動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体使用部から迅速かつ円滑に排除できるようにすることを目的とする。
また、本発明の他の目的は、密閉構造のインク供給経路内に残留する気体を円滑かつ迅速にインクタンク側に移送させるとともに、記録装置の実使用時においても、滞留気泡に起因する問題点、すなわちインク供給の不良や混入気泡による吐出口の目詰まり等に起因した記録不良が生じないインクジェット記録装置を提供することにある。
そのために、本発明液体供給システムは、
液体を使用する液体使用部と、
前記液体使用部に連通した液室と、
前記液体を収納する液体収納部であって、大気圧に対する負圧を発生するための手段を有した当該液体収納部と、
前記液室と前記液体収納部とを連通する複数の連通路と、
を具え、
前記液室は、前記液体収納部と前記複数の連通路を介して接続が可能であり、前記複数の連通路と前記液体使用部とを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液体収納部側に位置づけられる液体収納部側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記液体収納部に近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記液体収納室側開口が前記他方の連通路の前記液体収納室側開口より前記液体収納部の内方に位置づけられるよう構成されてなることを特徴とする。
また、本発明は、液体を収納する液体収納部と、前記液体を使用する液体使用部とを流体連通する流体連通構造であって、
前記液体使用部に連通した液室と、
前記液室と前記液体収納部とを連通する複数の連通路であって、前記液体収納部を接続可能な複数の連通路と、
を具え、
前記液室は、前記複数の連通路と前記液体使用部とを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液体収納部側に位置づけられる液体収納部側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記液体収納部に近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記液体収納室側開口が前記他方の連通路の前記液体収納室側開口より前記液体収納部の内方に位置づけられるよう構成され、
前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を前記一方の連通路を介して前記液体収納部に移送可能であることを特徴とする。
さらに、本発明インク供給システムは、
インクを吐出するための記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに連通した液室と、
前記インクを収納するインクタンクであって、大気圧に対する負圧を発生するための手段を有した当該インクタンクと、
前記液室と前記インクタンクとを連通する複数の連通路と、
を具え、
前記液室は、前記インクタンクと前記複数の連通路を介して接続が可能であり、前記複数の連通路と前記インクタンクとを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液インクタンク側に位置づけられるインクタンク側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記インクタンクに近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記インクタンク側開口が前記他方の連通路の前記インクタンク側開口より前記インクタンクの内方に位置づけられるよう構成されてなることを特徴とする。
また、本発明は、インクを吐出することで記録を行うインクジェット記録ヘッドであって、上記流体連通構造を一体的に有することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記インク供給システムを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し前記記録ヘッドより前記液室が実質的に上位に位置し、さらに前記インクタンクが前記液室より実質的に上位に位置するよう前記インク供給システムを保持して記録を行うインクジェット記録装置に存する。
本発明によれば、液体を使用する液体使用部と、液体使用部に連通した液室と、液体を収納する液体収納部と、液室と液体収納部とを連通する複数の連通路と、液体収納部に設けられて大気圧に対する負圧を発生する手段と、を具えることにより、液体使用動作および液体供給動作の障害となる気体を、構造の複雑化を伴うことなく液体使用部側から液体収納部側に迅速かつ円滑に排除できる。
特に、タンク装着に際して、気体の排除に大きく関与する連通路内で気泡と液体とが断続し、多重にメニスカスを形成している状態となっていたとしても、前記一方の連通路が、液体収納部の装着過程で、負圧が生じている液体収納部と液室とを先に連通させるので、当該連通路を介した流体の移動が生じて多重メニスカス状態を解消し、さらに迅速かつ円滑に気体を排除できるようになる。
また、インクジェット記録装置に適用した場合、密閉構造のインク供給経路内に残留する気体を円滑かつ迅速にインクタンク側に移送させるとともに、記録装置の実使用時においても、滞留気泡に起因する問題点、すなわちインク供給の不良や混入気泡による吐出口の目詰まり等に起因した記録不良を防止できる。
以下に、本発明をインクジェット記録装置に適用したいくつかの実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「用紙」または単に「紙」ともいうものとする。
なお、本発明の液体供給システムに用いられる液体として、以下の各実施形態ではインクを例にとって説明を行っているが、適用可能な液体としては、インクに限ることなく、例えばインクジェット記録分野にあっては、記録媒体に対する処理液などを含むことは言うまでもない。
(第1の実施形態)
インク供給システムの全体構成
図1は本発明の第1の実施形態による液体(インク)供給システムの模式的断面図である。
図1に示す実施形態のインク供給システムは概して、液体収納容器としてのインクタンク10と、インクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」と称する)20と、それらの間を連絡するインク供給路を形成する液室50とから構成されている。液室50は、記録ヘッド20と分離可能または分離不能に一体化されたものでも良い。図示の例では、シリアルスキャンタイプの記録装置にあって記録ヘッド20を搭載するキャリッジ153に液室50が設けられ、その上部からインクタンク10が着脱可能であるとともに、当該装着時においてインクタンク10から記録ヘッド20に至るインク供給経路を形成するものである。この液室50は、インクタンク10と記録ヘッド20への接続部を除いて実質的に密閉空間を形成しており、大気導入手段は有していない。
インクタンク10は、概してインク収納空間が画成されるインク収納室12およびバルブ室30との2室からなり、その両室の内部は連通路13を介して互いに連通されている。そして、インク収納室12内には記録ヘッドから吐出させるためのインクIが収納され、吐出動作に伴って記録ヘッドに供給される。また、インク収納室12には、後述する液室50の接続部51の受容部分には、封止部材17が収容されている。封止部材17は、本例では、接続部51が突入する開口を形成し、少なくともその開口周囲がゴム等の弾性材料で構成されたシール部材17Aと、開口を閉塞可能なボール状の弁体17Bと、弁体17Bをその閉塞位置に向けて付勢するばね17Cとからなっている。なお、インクタンク10内は後述するばね40の作用により未装着状態においても負圧状態となるので、インクタンク未装着状態においても部材17の開口からのインク漏洩が生じないよう、ばね17Cの強さを適切に定め、弁体17Bがこの開口を確実に封止するようにすることが望ましい。
なお、封止部材17は、後述する接続部51の挿通を容易とするために当該挿通位置に予めスリット等を形成してなるゴム等の部材を用いて構成されていてもよい。そして、接続部51が挿通されないときは、ゴム等の部材自体の弾性力によってスリットが閉じられることにより、インクの漏出を防止するようにしてもよい。
インク収納室12には、一部に変形可能な可撓性膜(シート部材)11が配設されており、この部分と不撓性の外装15との間でインクを収納する空間を画成している。このシート部材11から見たインク収納空間に対する外側空間、すなわち図におけるシート部材11に対して上側の空間は、大気に開放され大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間内は、下方に位置する液室50の接続部51の受容部分およびバルブ室への連通路13を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
本例のシート部材11の中央部分は平板状の支持部材である圧力板14によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、このシート部材11は、予めその中央部分が凸状に形成されていて、側面形状がほぼ台形となっている。このシート部材11は、後述するように、インク収納空間内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、シート部材11の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、そのシート部材11の中央部分がほぼ水平姿勢を保ったまま、図の上下方向に平行移動する。このようにシート部材11がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
インク収納空間内には、圧力板14を介してシート部材11を図の上方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッド20のインク吐出部20Aに形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させるばね部材40が設けられている。それとともに、インク収納室内の空気が環境変化(周囲温度や気圧)によって体積変動した場合、ばねとシートの変位で受容し、室内の負圧が大きく変動しないようになっている。なお、図1の状態は、インク収納空間内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材40は上記押圧力を作用する状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。
ばね40は、図示の例では、本出願人の提案になる特許文献6に開示されたもののように、断面略U字形状を有する一対の板ばね部材40Aを、U字形状の開放端同士を対向させた状態で組合せてなるものである。この組み合わせの態様としては、各板ばね部材40Aの両端部に凹部および凸部を形成しておき、互いの凹部および凸部が嵌りあうようにしたものとすることができる。なお、ばね40の形態はこのような板ばねに限られるものではなく、その他の形態、例えばコイルばねや、円錐弦巻ばね等を用いることもできる。
バルブ室30には、インクタンク10内の負圧が所定値以上に高まったときに外部から気体(空気)を導入するとともに、インクタンク10からのインク漏出を阻止するための一方向弁が構成される。この一方向弁は、連通口36を有して弁閉鎖部材となる圧力板34と、バルブ室筐体内壁の連通口36との対向位置に固定されて連通口36を密閉可能なシール部材37と、圧力板と接合されるとともに連通口36が貫通したシート部材31とを有し、バルブ室30内においてもインクタンク10への連通口13および大気への連通口36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そしてシート部材31より図中右側の、バルブ室筐体内の空間は、大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。
シート部材31は、中央部分の圧力板34と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっており、中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖部材である圧力板34の、図の左右方向への移動が円滑に行われる。
バルブ室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、ばね部材35を設けてある。図示の例においては、ばね部材35はコイルばね形状を有し、これをやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって圧力板34を図の右方に押す構成としている。このばね部材35の伸縮によって、連通口36に対するシール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から連通口36を介してバルブ室30内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。なお、このばね35についても、図示のような円錐弦巻ばねに限られず、コイルばねその他の形態とすることができるのは勿論である。
ここでシール部材37としては、連通口36が確実に密閉されるものであればよい。すなわち、少なくとも連通口36と接触する部位が開口面に対して平坦性を保つ形状を有したもの、あるいは連通口36の周囲に密着可能なリブを有したもの、さらには連通口36内に先端が突入して連通口36を閉塞可能な形状を有するものなど、密着状態が確保できるものであればよく、またその材質も特に限定されない。しかし、この密着はばね部材35の伸長力で達成されるものであるので、この伸長力の作用によって動くシート部材31と圧力板34に追随し易いもの、すなわち収縮性をもつゴムのような弾性体でシール部材を形成することは、より好ましい。
かかるインクタンク10の構成では、インクが十分に満たされている初期状態からインク消費が進んで行き、インク収納室12内の負圧と、バルブ室30内における弁規制部材によって作用する力等とがつりあった状態からさらにインク消費が継続されて負圧がさらに強まった瞬間に、連通口36が開放されて大気の流入が生じ、インク収納空間内に取り込まれるように各部の設計が行われる。そして、この大気の取り込みによってインク収納室10内の容積はシート部材11ないし圧力板14が図の上方に変位可能であることで逆に増大することができ、同時に、負圧も弱まることによって連通口36が閉鎖される。
また、インクタンクの周囲環境の変化、例えば、温度上昇あるいは減圧等が生じても、シート部材11ないし圧力板14の下方への最大変位位置から初期位置までの間の容積分、収納空間内に取り込まれている空気の膨張が許容されるので、換言すれば当該容積分の空間がバッファ領域として機能するので、周囲環境の変化に伴う圧力の上昇を緩和し、吐出口からのインク漏出を効果的に防止することができる。
また、初期充填状態からの液体導出に伴いインク収納空間の内容積が減少し、バッファ領域が確保されるまでは、外気が導入されないので、それまでに周囲環境の急激な変化や振動や落下などが生じてもインク漏れが発生しにくい。さらに、インク未使用状態から予めバッファ領域を確保しているのではないので、インク収納容器の容積効率も高く、コンパクトな構成とすることができる。
記録ヘッド20とインクタンク10との結合は、図示の例では記録ヘッドに一体に設けられている液室50の接続部51がインクタンク10内に挿入されることによってなされる。すなわち本例の場合、接続部51を有する液室50が流体連通構造を構成する。これによって両者が流体的に結合され、記録ヘッド20へ向けてインクが供給可能となる。このとき、キャリッジ153に設けたラッチ部153Aにインクタンク10の外装15の一部が係合して装着状態が保持される。
液室50内におけるインク供給経路は、インクタンク10との接続部(上流)側から断面が徐々に拡大する部分と、そして記録ヘッド20(下流)に向かって徐々に断面が縮小する部分とを有する。液室50と記録ヘッド20との接続部にはフィルタ23が備えられ、供給されるインク中に混入した不純物が記録ヘッド20内へ流れ込んでいくことを防止している。気体の滞留によって形成される液室50内の気液界面は、流路53および54の横方向断面積より大きい。こうすることで、流路53を通してインクタンク10内のインクの水頭差が液室50内のインクにかかった場合に、液室50内に存在する気体の圧力がより高まり、エア流路54から容易にインクタンク10に向けて気体を排出することが可能となる。このことは、液室50内におけるインク供給経路がインクタンク10との接続部(上流)側から徐々に拡大していること、換言すれば上方に向かって窄まって行くよう構成されていることから、エア流路54のヘッド側開口位置付近に気泡が集まりやすくなるので、より効果的なものとなる。
記録ヘッド20には、所定方向(例えば上述のようにキャリッジ等の部材に搭載されて記録媒体に対し相対移動しつつ吐出動作を行うシリアル記録方式を採るものにあっては当該移動方向(図面に直交する方向)と異なる方向(図の左右方向))に配列された複数の吐出口20Aと、各吐出口に連通する液路と、液路に配置されてインクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子とが設けられる。ここで、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式すなわちエネルギ発生素子の形態は特に限定されるものではなく、例えば、通電に応じ発熱する電気熱変換体を当該素子として用い、その発生する熱エネルギをインク吐出に利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによってインク吐出口からインクを吐出させることができる。また、電圧の印加に応じて変形するピエゾ素子のような電気機械変換素子を用い、その機械的エネルギを利用してインク吐出を行うものでも良い。
なお、記録ヘッド20および液室50は、分離可能または分離不能に一体化されたものでもよく、また別体に構成されて連通路を介し接続されるものでも良い。一体化した場合には、記録装置内の搭載部材(例えばキャリッジ)に着脱可能なカートリッジの形態とすることもできる。
接続部の構成および基本動作
ここで本発明の基本をなす接続部51について説明する。接続部51は内部が軸方向に沿って2分割された中空針状の部材であり、それぞれの中空部(流路)の、上側すなわちインク収納室12内に位置づけられる各開口の位置(以下、タンク側開口位置という)、および、下側すなわちヘッドに連結された液室内での各開口の位置(以下、ヘッド側開口位置という)は、鉛直方向に関して高さが異なる構成となっている。すなわち、図中の左側にある流路54のタンク側開口は図中の右側にある流路53のタンク側開口より高い位置にあり、流路53のヘッド側開口は流路54のヘッド側開口より低い位置にある。これらの理由については後述する。
以下、インク収納室12内でのタンク側開口位置および液室50内でのヘッド側開口位置がともに鉛直方向において相対的に下にある方の流路54をインク流路、インク収納室12内でのタンク側開口位置および液室50内でのヘッド側開口位置がともに鉛直方向において相対的に上にある方の流路54をエア流路と便宜上称する。しかしこれは、気泡排除過程において、主としてインク流路53からインクが記録ヘッド側に導出され、エア流路54からはインクタンク側にエアが移送されるからであって、後述するように各流路においてインクおよびエアの両者の移動も行われるものである。すなわち、それら流路の呼称は、必ずしもそれぞれの流体専用であることを意味するものではない。
図1の構成では、インク流路53とエア流路54とについて、タンク側開口位置およびヘッド側開口位置がともに鉛直方向に相対的に高さの差をもたせているが、タンク側開口位置の相対差については、後述する多重メニスカス状態解消のためであり、本発明の目的の一つである液室50内に残留する気体をインクタンク側に移送させる基本動作を行う上では、ヘッド側開口位置にのみを鉛直方向に高さが異なるものとし、タンク側開口位置についてはほぼ同一の高さとしてもよい。すなわち、2つの流路のヘッド側開口の鉛直方向の高さの差に対応した、インクの水頭による圧力差と、それぞれの流路においてインクが形成するメニスカスによる圧力の差との関係などに応じて、エア流路54を介して液室50内の気体(エア)がインクタンク10に移動すると共に、インク流路53を介してインクタンク10から液室50にインクが移送される動作が行われるからである。
かかる基本的な動作について、図2〜図4を用いてより詳しく説明する。なお、これらの図においては、液室50内のエアをインクタンクに移送させる基本動作についての説明のため、タンク側開口位置についてはほぼ同一の高さとなっている。
図2〜図4は新しいインクタンク10が装着される装着過程であり、図2は装着前の状態、図3は液室内のエアを排出している状態、図4は当該排出後の状態をそれぞれ示している。
新しいインクタンク10が液室50ないし記録ヘッド20に未装着状態である図2の状態では、インクタンク10は完全にインクIが充填されている状態であり、ばね部材40による負圧が発生しているとともに、シート部材11がインクタンク外側へ突出した状態となっている。一方、記録ヘッド20側においては、それまで装着されていたインクタンク10が空になっても液室50に残ったインクを使用して記録が行われていたため、そのインクタンク側からエアが侵入し、液室50におけるフィルタ23の上流領域において上部に気体が溜まっている状態となっている。
この状態でインクタンク10を装着すると、記録ヘッド20ないし液室50側は、図2の状態においては大気に開放されていたために、フィルタ23の上流領域のエアの圧力は大気圧と等しい。それに対し、インクタンク10内は、ばね部材40により大気圧よりも低い圧力(負圧)となっている。これにより、インクタンク10を装着した瞬間にフィルタ23の上流領域のエアの一部がインク収納室12内に移動し、インク収納室12内と液室50内との圧力を平均化する。液室50内の残存エアにはエア流路54を通じインクタンク10側へ移動しようとする力が働き、一方インク収納室12のインクの自重によりインクにはインク流路53を通じ液室50側へ移動しようとする力が働いている。基本的にはこの移動する力により、液室内のエアがインク流路を通じてインクタンク内に移動し、インクタンク内のインクは液室内に移動する。しかし条件によってはインクタンクの装着だけではエアの移動が行われない場合もある。そのような場合は、インクタンク装着後における吐出口からのインク吸引動作や吐出動作に伴うインク消費が生じれば、インク収納室内の液面からエア流路54のヘッド側開口までの高さと液室内の液面までの高さとの差(水頭差)に起因した圧力と、流路内のメニスカスに起因した圧力との関係により、図3に示すように、液室50へのインク移動とインクタンク10側へのエア排出とが行われる。図4は、液室50内のエアが完全にインク収納室12内に移動した状態を示している。そしてこの状態で、インク移動およびエア排出が停止する。かかる本実施形態の基本的な気液交換動作はインクタンク装着後に速やかに行われ、かつそれで気泡の除去が完了する。
以上の構成では、インクタンクの交換時に接続部51のタンク側開口部が大気に開放する構成となっていたが、インクタンクの装着に応じて接続部51を摺動することにより、接続部のタンク側開口部をシールするシール部材を記録ヘッドに設けてもよい。それによりインクタンクが接続されていない状態での開口部からのインクの蒸発を防止でき、インクの増粘によるつまりを防止できる。この場合には、インクタンクの抜脱時にも液室50内が負圧状態に保たれる場合があり、新規インクタンクを装着した状態で、インクタンク内より液室50の方がより負圧であることも有り得る。
このときは、上述したように、装着時に液室からインクタンク側にエア流路を介したエア移動が生じないが、逆に、インクタンクから液室側へ、エア流路を介したインクの移動が生じ、エア流路内の多重メニスカス状態が解消される。いずれにしても、エア流路のタンク側開口位置をインク流路のタンク側開口位置より鉛直上方に配設することで、インクタンク装着時にエア流路の多重メニスカス状態を選択的に解消することが可能となる。
以上のように、新たなインクタンク10の装着に伴って、液室50内のエア排出が行われるので、記録ヘッド20までエアが案内されることが無く、また液室50内へはある程度のエア流入も許容できるため、インクタンク10のインクをほぼ全て使い切ることができるようになるという優れた効果を得ることが可能である。
多重メニスカス状態の問題点
しかし本発明者らは、かかる基本的な気液交換動作が阻害され、液室内の滞留エアの移送が停滞する現象が生じる場合があることを見出した。
図5を用いてかかる現象について説明する。
図5はインク収納室12と液室50とが接続部51を通じて連通している状態を示す。ここで、インク流路53においては完全な液体連通状態にあるが、エア流路54内においては部分的にエアが残留し、エア(気体)とインク(液体)とが断続してあたかも虎の尾の模様の如き状態となり、流路53内で多重にメニスカスが形成された状態となっている。以下、このような状態を気液断続状態または多重メニスカス状態と呼ぶ。
上述したように、液室50内の残存エアにはエア流路54を通じインクタンク10側へ移動しようとする力が働き、インク収納室12のインクの自重によりインクにはインク流路53を通じ液室50側へ移動しようとする力が働く。しかしながら、エア流路内が多重メニスカス状態であると、それらのメニスカスに起因した圧力がインク/エア移動を生じさせようとする圧力より大きい場合には、エア移送が停滞してしまうのである。
このように、エア流路54内が多重メニスカス状態となってしまう場合について説明する。
インクタンク10内のインクがほぼ空になっても記録動作が行われていた場合には、そのインク消費の過程でインクタンク10側から液室50内にエアを引き込み、インク流路53およびエア流路54ともに多重メニスカス状態となることがある。すなわち、装着状態における鉛直方向のインクタンク10の最低面がある程度水平面に近い状態であり、その最低面付近に両流路のタンク側開口が位置していると、インクタンク10内のインクを使い切る直前において、インクとエアとを同時に接続部50の両流路53および54に引き込み、ともに多重メニスカス状態になりやすい。ここで、流路内のメニスカスの数に比例して圧力抵抗が増加し、メニスカスの数が少ない流路の方が圧力抵抗は低く、エアはメニスカスの数が少ない方の流路を移動しやすい。
図6(a)および図6(b)に基づき、上述した圧力抵抗が低い方の流路がエア流路54である場合およびインク流路53である場合を考える。
図6(a)は、エア流路54の圧力抵抗が低い場合において、新しいインクタンクが装着された際の動作を示している。その装着直後、インク収納室12内の負圧によってフィルタ23の上流領域のエアの少なくとも一部はエア流路54を通り、インク収納室12内に案内されるため、エア流路54内の多重メニスカス状態は解消される。これに対し、インク流路54は多重メニスカス状態を維持したままである。つまり、この状態において記録ヘッド20によるインク消費が行われることになる。
しかし記録ヘッド20によるインク消費が行われると、インク流路53のヘッド側開口部が液室50内のインクと接しているため、インク消費に伴って液室50に負圧が発生することになる。インク流路53は圧力抵抗が高くなっているが、インク移動に関しては殆ど問題はなく、インクはインク収納室12より供給される。従って、やがてはインク流路53の多重メニスカス状態も解消されることになる。また、装着直後に移動した以外のエアが残っていたとしても、上述のように装着後初期のインク消費に伴って気液交換が生じ、すべてインクタンク側に移送される。
一方、図6(b)は、インク流路53の圧力抵抗が低い場合において、新しいインクタンク10が装着された際の状態を示している。その装着直後、インク収納室12内の負圧によって、インク流路53を介した流体(インクおよびエア)のインク収納室12内への引き込みが生じ、インク流路53内の多重メニスカス状態は解消される。しかしながら、エア流路54に関しては、多重メニスカス状態は解消されていない。
この状態で記録ヘッド20によるインク消費が行われると、液室50には負圧が発生することになるが、インク収納室12からインクが供給されることにより、液室50内の負圧は緩和される。この際、インク収納室12からのインクは圧力抵抗の低いインク流路53を通ることになる。これ以降、インク消費に伴う液室内の負圧上昇と、これに伴うインクタンク10からインク流路53を介したインク導入とを繰り返しながら記録ヘッド20へのインク供給が行われるため、インク収納室12のインクを使い切るまで、エア流路54にはエアおよびインクが通過しないことになる。つまり、インクタンク使用時において、圧力抵抗の高いエア流路54側の多重メニスカス状態は解消されず、フィルタ23のの上流域にはエアが滞留したままとなる。
第1実施形態の特徴構成および動作
よって本発明においては、特にこのようなエア流路内での多重メニスカス状態を解消し、上記基本的な気液交換動作が確実に行われるようになして、滞留エアの移送をより円滑かつ迅速に行うことを可能にするものである。そしてそのために、本実施形態では、両流路のタンク側開口位置においても鉛直方向に高さの差をもたせるものである。
図7〜図12を用い、図1の構成による本実施形態のインクタンクへの気泡除去の過程を詳細に説明する。
まず図7は、インクタンク10内のインクを完全に使いきった状態を示している。このときばね部材40の変形は最大となっているが、インクタンク10内のエアの圧力は、一方向弁であるバルブ室30の作用によって、その内部のばね部材35および圧力板34により決定される圧力だけ、大気圧に対し低い圧力に管理されている。また、インクタンク10内のインクがほぼ空になっても記録動作が行われていたため、そのインク消費の過程でインクタンク10側から液室50内にエアを引き込み、インク流路53およびエア流路54ともに多重メニスカス状態となっている。
図8は空となったインクタンクを取り外し、新しいインクタンク10を装着する直前の図である。ここで、インクタンク10は完全にインクIが充填されている状態であり、ばね部材40による負圧が発生しているとともに、シート部材11がインクタンク外側へ突出した状態となっている。
図9は、図8の状態から、新たなインクタンク10を装着して行き、装着が完了する直前の状態を示す。つまり、エア流路54は、そのタンク側開口位置の高さが相対的に高いために、当該タンク側開口がインク収納室12内に先に突入しており、インク収納室12と連通しているが、インク流路53は、そのタンク側開口がインク収納室12内に至っていないために、まだインク収納室12と連通状態にない状態である。記録ヘッド20ないし液室50側は、図8の状態においては大気に開放されていたために、フィルタ23の上流領域のエアの圧力は大気圧と等しい。それに対し、インクタンク10内は、ばね部材40により大気圧よりも低い圧力(負圧)となっている。
ここで、インク流路53およびエア流路53のタンク側開口位置が鉛直方向に関してほぼ同一高さにある構成では、図6(a)および図6(b)について説明したように、メニスカスの数が少ない、すなわち圧力抵抗の低い方の流路において流体の移動が生じてその流路の多重メニスカス状態が解消される。そして、エア流路54の圧力抵抗が高ければ多重メニスカス状態がインク流路53で解消される一方、エア流路54では解消されないままとなる。
これに対して、本実施形態では、エア流路54のタンク側開口がインク流路53のタンク側開口に先立ってインク収納室12内に突入しており、エア流路54のみがインク収納室12と連通している状態となる。従って、インクタンク10の装着が完了していない図9の状態では、フィルタ23の上流領域の気体の一部がインク収納室12内に移動してその上部に溜まり、インク収納室12内と供給部50内とで圧力が平均化される。すなわち、エア流路54のタンク側開口位置がインク流路53のタンク側開口位置より上部にあるために、インクタンク10の装着の過程でエア流路53を介してインク収納室12と液室50とが先に連通し、気体やインクの移動が生じ始めるので、エア流路54内の多重メニスカス状態も解消される。
その後、最後まで、ないしはインク流路53のタンク側開口もインク収納室12内に位置づけられまで、インクタンク10を装着すると、インク流路53もインク収納室12に連通するが、すでにエア流路53が連通して気体の移動が生じている状態のため、インク流路53を通しての気体またはインクの移動は生じない場合もある。すなわちここで重要なことは、インク流路53のタンク側開口もインク収納室12内に位置づけられたときには、インク流路53を通しての気体またはインクの移動はインクタンク10内の負圧や液室50の状態に左右されるが、エア流路54においては、インクインク流路53より先にインク収納室12と連通しているために、確実に気体またはインクの移動が生じ、エア流路内の多重メニスカス状態は解消されていることである。
しかしながら、接続部51のインク流路53では多重メニスカス状態となっており、その圧力がインクの自重によってインクを移動しようとする力とつりあった状態となると、エア流路を通した気体の移動が停止する。供給部側の気体の容積によってはこの状態で気体除去が完了する場合もあるが、図示の場合には気体の容積が大きく、除去すべき気体が残存している。
図10は、タンク外装15がキャリッジ153のラッチ部153Aに係合してインクタンク10の装着が完了した後に、記録ヘッド20からインクを例えば滴として吐出させている状態を模式的に示している。インクを吐出させると、記録ヘッド20ないし液室50内の負圧が高まり、接続部51に形成されるインクのメニスカスを破り、インクタンク10から液室50に向けてインクが移動する。これに伴い、インク収納室12の内容積が減少し、シート部材11が圧力板14に規制されつつ下方に向けて変形する。これによりばね部材40が圧縮され、インク収納室12内の負圧も高まる。
ここで、本実施形態では、インク流路53とエア流路54とは管径をほぼ等しくしてあり、そのため流路の圧力損失は記録ヘッド20ないし液室50内の負圧に対して大きな差がなく、流路それぞれからインクが供給される。インク流路53のヘッド側開口がインクに接している図示の状態では、インク流路53からそのままインクが流れ込む一方、液室50ないし記録ヘッド20内で生じた気泡はフィルタ上流領域に移動し、既に残存している気体とともに当該領域すなわち液室50の上部に滞留している。この状態で、エア流路54のヘッド側開口の位置において、インクはメニスカスを形成するが、記録ヘッド20ないし液室50内の負圧が高ければ滴下する。なお、本実施形態においては、記録動作に伴うインク吐出または記録動作以外の動作として行うインク吐出(予備吐出)により、接続部51内がインクで満たされた状態となるが、記録ヘッド20の吐出口形成面をキャップ部材で封止し、吸引ポンプにより、吐出口からインクを排出することによりこの状態を得ることもできる。
このとき、図9においてエア流路54内の多重メニスカス状態が解消されていたために図10に示す状態に移行することができたが、ここでエア流路54が多重メニスカス状態のままであった場合を考える。つまり、エア流路54およびインク流路53ともに多重メニスカス状態であった場合に、記録ヘッド20によるインク消費を行った場合である。このとき、インク流路53のヘッド側開口部は液室50内のインクと接しているため、インク消費に伴って液室50に負圧が発生しインク移動が生じた場合においてもメニスカスを破る必要がない。すなわち、多重メニスカス状態のために初期のインク移動には圧力抵抗が生じるものの、その後のインク移動に関しては問題なく、最終的にはインク流路の多重メニスカス状態は解消される。しかしながら、エア流路に関しては、ヘッド側開口位置で気体に接しているために、メニスカスを破る必要が生じ、流抵抗が大きくなる。このとき、インク流路のインク移動だけでインク消費に対するインク供給がまかなえると、エア流路からのインク供給が行われなくても供給部50内の負圧は緩和され、エア流路内の多重メニスカス状態は解消されないままとなる場合がある。すると、上述したような基本的な気液交換動作が阻害されてしまう。
よって本実施形態のように、図9の状態を得てエア流路54の多重メニスカス状態を先に解消することにより、確実に図10およびそれ以降の状態に移行させることが可能となるのである。
図11は、インク吐出あるいは吐出口形成面側からのインク吸引が停止した状態を示す。この状態で、水頭差により、インク流路53では液室50へのインク移動が生じるような力が発生し、エア流路54ではインクタンク10側へのエア排出が生じるような力が発生する。この状態の理論的な説明については後述するが、それらの力により、図11に示すように液室50へのインク移動とインクタンク10側へのエア排出とが同時に進行する。
図12は、液室50内の気体が完全にインク収納室12内に移動した状態を示している。そしてこの状態で、インク移動およびエア排出が停止する。
気液交換動作の原理
図13を用いて各部の圧力バランスについて説明する。この図は、図10について説明したような装着後初期のインク消費により液室内の負圧が高まって各流路内にインクが満ちており、図11のような基本的な気液交換動作が開始される際の状態であるが、説明のために仮にこの状態で静止しているものとする。
フィルタ23上流領域内に滞留するエアの圧力を考える。インク収納室12内の気泡の圧力をP、インク収納室12のインク界面とフィルタ23上流領域のインク界面との水頭差による圧力をHsとすると、フィルタ23上流領域内のエアの圧力はインク収納室12の気体の圧力よりHsだけ大きいP+Hsとなる。これは、液室50ないし記録ヘッド20側が密閉構造であるために生じる圧力増加であり、前述の従来技術(例えば特許文献1)のようにインクタンク10と記録ヘッド20との間に大気連通口があるような構成では生じることはない。
次に、エア流路54のヘッド側開口のメニスカス位置における圧力のバランスを考えると、下向きに作用する圧力はP+Ha、上向きに作用する圧力は上述のエア圧力P+Hsであるが、この状態でつりあっていると仮定しているので、上下方向の圧力差と、メニスカスに起因する次式で表される圧力Maとがつりあっていることになる。
Ma = 2γicosθa/Ra (1)
ここで、γiはインクの表面張力、θaはエア流路54に対するインクの接触角、Raはエア流路54の管径(内径)である。
従って、エア流路54のヘッド側開口の位置での圧力バランスは次式で表される。
P+Hs−(P+Ha) = Ma (2)
Hs−Ha = Ma (3)
つまり、エア流路54のメニスカス位置とフィルタ23上流領域のインク界面との水頭差による圧力と、エア流路54のメニスカスによる圧力とがつりあっている状態である。 この状態から、フィルタ上流領域に残留する気体の容積が大きなり、
Hs−Ha > Ma (4)
となった場合においては、フィルタ上流領域内の気体圧力が高いので、エア流路54内のメニスカスがインク収納室12側に移動し始め、エアがインク収納室12側に移動することになる。また、これに伴ってインク収納室12内のインクはインク流路53を介して液室50内に移動し、液室内のインク液面位置もあがる。
エア流路54の容積は液室に比較して非常に小さいので、エアが移動し始める初期の段階では、比較的容積の大きい液室50内のインク液面の上昇はさほど大きくない一方、エア流路54のメニスカス位置はインクタンク側開口の位置に向けて素早く移動する。よって、エア流路54タンク側開口位置からフィルタ23上流領域内のインク界面位置までの水頭差による圧力(Hs−Ha)が、エア流路54のメニスカスによる圧力に対してかなり大となり、エア排除が促進される。
インクタンク内へのエア導入が行われている状態においては、エア流路54内におけるメニスカス位置はエア流路のタンク側開口の位置となる。そのタンク側開口位置における水頭差による圧力をHa’とすると、
Hs−Ha’ > Ma’ (5)
という関係である限りエア移動が行われ(ただし、Ma’はエア流路タンク側開口位置に形成されるメニスカス圧力)、フィルタ上流領域のインク界面がエア流路ヘッド側開口の位置に達するまでに、以下の関係
Hs−Ha’ < Ma’ (6)
となった場合には、その時点でエア移動が停止する。
しかしながら、(5)式の関係のまま、フィルタ上流領域のインク界面がエア流路ヘッド側開口の位置に達した場合には、エア流路ヘッド側開口で形成されるメニスカス圧力も圧力バランスに関与するようになるので、
La < Ma+Ma’ (7)
となったときにエア移動は停止する(ただし、エア流路長さ分の水頭差による圧力La)。
しかし、
La > Ma+Ma’ (8)
である場合にはエア移動は停止せず、さらにインク界面がエア流路内を上昇する。
エア流路内をインク界面が移動している場合には、
Hs’−Ha’ > Ma’+Ms’ (9)
という関係式である限り、図12の状態までエア移動が行われる。ただし、Hs’はエア流路内のインク界面とタンク内のインク界面との水頭差圧力、Ms’は、エア流路内のインク界面に発生する動的なメニスカス圧力である。ここで、動的状態と静的状態とでは流路に対するインクの接触角が異なるため、エア移動開始時に考察したMaと、動的なMs’とは管径が同じであっても値は異なり、Ma>Ms’である。
実施形態に適用可能な好ましい構成
次に、上記実施形態の構成をさらに効果的に機能させるためのインクタンク交換状態について説明する。
図14はインクタンク10内のインクをほぼ使い切った直後の状態を示している。この状態においては、インク流路53はインクで満たされているが、エア流路54はタンク側開口位置が相対的に上方に位置しているために、流路54内にエアを取り込み、多重メニスカス状態となっている。
この状態で新規のインクタンク10に交換した場合には、図8および図9で説明したように、まずエア流路54を通じて液室50側からインク収納室12へインク/気体の移送が生じる。しかしながら、図示しているように液室50内のインク界面位置がエア流路54のヘッド側開口位置に近接しているために、上記装着動作完了前のインク/気体移送時に液室50内のインクをもエア流路53内に取り込んでしまい、エア流路54を通じたインク収納室12と液室50との圧力平均化が終了した後もエア流路54の多重メニスカス状態が解消しないことも考えられる。すなわち、図5のような状態のままエア移送が停止してしまうことが考えられる。
この状態を回避するためには、図14の状態で新規のインクタンクを交換するのではなく、さらにインク消費を行い、図7の状態に至ってからインクタンクを交換することが好ましい。このことは、インクタンク内のインクを完全に消費した後にインクタンクを交換することになり、インクを一層無駄なく使うことができると言い得る。
インクジェット記録装置ないしインクタンクにおいては、インク残量の有無を検出してインクタンク10の交換を促すために利用されるインク残量センサが設けられることが多い。図7の状態に至ってからインクタンク10の交換を行うようにするためには、そのようなインク残量センサを、例えば液室の適宜の部位に配設すればよい。
また、ユーザの装着動作が素早く、図9の状態が十分に得られないまま、すなわちエア流路54の多重メニスカス状態が十分に解消されないままインクタンク10の装着が完了してしまう恐れがある場合には、キャリッジのインクタンク装着部にダンパ機構を設けることでインクタンクの装着スピードを遅くしたり、あるいは装着のための押し込み動作を図9の状態で一旦係止し、さらなる押し込み動作で最終的な装着位置に係止されるような機構を設けたりすることで、エア流路54の多重メニスカス状態が十分に解消されるようにすることができる。
(インクジェット記録装置の構成例)
図15は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
本例の記録装置150はシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、ガイド軸151,152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ153は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、上記の実施形態を可とし、記録ヘッドないし液室と、これに装着されてインクを供給するインクタンクとからなる液体供給システム154が搭載される。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
なお、記録ヘッドは、上述のように、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式等であってもよい。
キャリッジ153の移動領域における図19中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッドのインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッドのインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持するための回復処理を行うことができる。また、画像形成とは別に、キャップ内に向かってインク吐出口からインクを吐出させることによって記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持する回復処理(予備吐出処理」ともいう)を行うこともできる。これら処理は、インクタンクが新たに装着された場合に上記(4)式の条件を満たすようにするためにも行うことができる。
(その他)
以上の通り、上記実施形態によれば、接続部51の内部を2分割して2つの流路を設け、各流路のヘッド側開口位置の高さに差をつけることで、複雑な構成を必要とすることなく、フィルタ上流領域の滞留気体をインクタンク側に速やかに移送することが可能となる。さらに、ヘッド側開口位置が鉛直下方に位置している流路はタンク側開口位置も鉛直下方に位置させ、ヘッド側開口位置が鉛直上方に位置している流路はタンク側開口位置も鉛直上方に位置させることで、流路内が多重メニスカス状態になっても新しいタンクを挿入することで、多重メニスカス状態を解消させ、より円滑に残留気体を移送することが可能となる。
また、インクタンクの交換操作後に若干のインク吐出あるいは吐出口形成面側からのインク吸引等を行えば供給部内に滞留していた気体を迅速かつ円滑にインクタンク側に移送して供給経路から排除できることになり、吐出口側から吸引動作を行うことによって気体を排除する場合のような大量のインク浪費が生じることもない。
なお、インクタンクからのインク供給の過程でインク収納室内の負圧が所定値以上に高まった場合には、バルブ室の作用により外部から気体がインク収納室内に取り込まれることは前述した通りである。
本発明は、そのエア流路がインク流路に先立って液室とインクタンクとを連通することで多重メニスカス状態を解消できる構成であれば、上記実施形態に限られず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、接続部51を液室50に一体に有したものとしたが、本発明はこれに限られず、インクタンク10側に接続部51を設けることもでき、これによっても同様の効果を得ることができる。この場合は、例えば、液室50側にインク流路53に受容部分に沿って筒状のシール部材を設け、エア流路54のインクタンク側開口が液室50に連通した後にインク流路53の液室側開口が筒を抜け出て液室と連通するような構成とすることができる。
また、上記実施形態では、1本の接続部51の中に2つの流路を設けたものとしたが、1つの接続部に1つの流路を設けたものを2本使用するものでもよい。さらにこの場合、インクタンク10側に1本(例えばインク流路用)、液室50側に1本(例えばエア流路用)と分配して設けたものでもよい。これらによっても、同様の動作および効果を得ることができ、よってこれらも本発明の範囲に属している。
また、流路の数は2つに限られず、3以上設けられるものでもよい。また、内部を複数に分割して複数の流路を形成する接続部とする場合にも、上例のように流路間の隔壁を直線状に形成するのみならず、同心円状に形成することで多重管構成の接続部とすることができる。
さらに、内部を複数に分割して複数の流路を形成する接続部とする場合、気体の移送とインクの移動とが相互に干渉して円滑かつ迅速な気液交換を阻害しない限り、各流路が完全に区画されていなくても良い。
また、以上ではインクタンク10内に外気を導入するためのバルブ室30をインクタンク10に一体とした。しかし、液室50を介さずに外気を直接インクタンク10内に導入可能であれば、バルブ室は必ずしもインクタンクと一体に構成されていなくてもよい。例えば、バルブ室をキャリッジ153側に配設し、インクタンクの装着動作に伴ってバルブ室とインクタンクとが直接内部連通する構成とすることもできる。
上述のインク供給システムの諸実施形態では、基本的にいずれも吸収体等にインクを保持させずにそのまま貯留ないし供給されるようにした構成を採用する一方、可動部材(シート部材、圧力板)とこれを付勢するばね部材とにより負圧発生手段を構成するとともに供給システム内を密閉構造とすることで、記録ヘッドに対して適切な負圧を作用するようにした。
かかる構成は、吸収体により負圧を発生させる従来技術の構成に対して、容積効率が高く、かつインク選定の自由度も向上できるものである。また、そればかりでなく、近年の記録の高速化に伴って求められるインク供給の高流量化や安定化の要望にも好ましく応え得るものである。
また、本発明が特に主眼とした供給経路に滞留する気体を排除する目的に対しては、記録ヘッドから最も離れた最上流位置であるインクタンクにこれを移送するものとし、そのために複数の流路を介してインクタンクとインク供給経路とを連結するとともに、両者の圧力のバランスを利用することでインクタンクからのインク導出とインクタンクへの気体導入とが並行して行われるようにした。
かかる構成によれば、供給経路内の滞留気体を、複雑な装置を必要とせず、部品点数の増加が少なく簡単な構造でありながら、円滑かつ迅速にインクタンク側に排除することができる。また、圧力のバランスに従って気体排除が行われるため、気体排除の信頼性が高いものである。
また、気体排除の過程において、常にインクタンクの負圧を維持しているのでインクジェット記録ヘッドのインク吐出口などからの液体漏洩を確実に防止することができる。さらには、気体をインクタンク側に排除することによって、記録ヘッドの吐出口側からインク吸引を行うことで気体を排除する方法に比較してインク消費量を格段に減少させることができ、インク浪費を抑えて、ランニングコストの低減にも貢献するものである。
加えて、供給経路に対して着脱可能に構成されたインクタンクを用いる場合において、従来は、交換操作時に供給経路側に気体が侵入することを防止するために、供給経路がインクで満たされている状態で、すなわちインクを完全に消費しきる前にインクタンクの交換を行っている場合が多かった。しかし上記構成によれば、交換操作前または交換操作時に液室内に気体が侵入しても、新たなインクタンクを装着したとき、これに伴ってそのインクタンクに対して容易かつ迅速に気体を排除できるので、インクが完全に消費された後に交換を行うことができる。またこれにより、ランニングコストのさらなる低減できるのみならず、環境問題に対しても資するところが大きい。さらに、上述の実施形態においてはいずれも、通常の使用時の姿勢においてインクタンクを最も高所に配置し、液室ないし記録ヘッドが低所に配置されている。これは、気液交換を迅速かつ円滑に、かつ簡単な構成で行う上で非常に好ましい配置である。
また、インクに色材として顔料を含むものを用いた場合は、エアーがタンクに輸送される際に、顔料粒子の沈降を拡散させ、インクの保存安定性や吐出の信頼性を確保できる。
加えて、ヘッドへの負圧を安定化した状態でインク供給できる構成によって、記録性能と信頼性およびコストダウンが同時に実現可能となる。
なお、インクタンクの構成にもよるが、インクタンクに導入された気体は、これがインク供給経路に戻らず、インク供給が阻害されない位置であれば、インクタンク内のどこに貯留されてもよい。しかし、インクを吸収体などに含浸させずにそのまま貯留するようにした上記実施形態の構成は、導入された気体がそのままインクタンク内の最上部に位置することになるので、好ましいものである。
そしてこのように、インクタンク内に吸収体が存在しない場合、タンクの容積そのものがインクの容量となりうるので、必要以上にインクタンクを大きくする必要がなく、またタンクの形状も比較的自由に設計できるのである。
本発明を構成するための基本的な条件は、液室がインクタンクとの接続部分および記録ヘッドとの接続部分を除き、インクをそのまま貯留する密閉構造を有すること、および、好ましい負圧を維持するための大気導入をインクタンクに対して直接行うようにして、記録ヘッドに直接連通する液室には気体が極力入らないようにしたことにある。この条件は、インク供給の高流量化や安定化を実現し、高速記録(吐出)を行っても吐出特性を常に良好に保持する上で極めて好ましく、特許文献1〜5のいずれにも開示ないし示唆されないものである。
この基本的な条件を満たす構成であれば、負圧発生手段は上記各実施形態のようなばねと可撓性部材との組み合わせによるもののほか、その他の構成を採ることもできる。すなわち、本発明の基本的な条件は負圧発生手段としての吸収体の採用を排除するものではない。
また、以上の説明では本実施形態の記録方式として、シリアル型のインクジェット記録装置を適用してきたが、本発明および本実施形態はこれに限定されるものではない。また、シリアル型でなくライン走査型の記録装置であっても本発明および本実施形態を適用することは可能である。さらに、液体供給システムは、インクの色調(色や濃度など)に対応して複数設けることができるのは言うまでもない。
さらに、以上では本発明を記録ヘッドにインクを供給するインクタンクに適用した場合について説明したが、記録部としてのペンにインクを供給する供給部に適用されるものでもよい。
また、本発明は、そのような種々の記録装置の他、飲料水や液体調味料などの種々の液体を供給するための装置、あるいは薬品を供給する医療の分野などに広範囲に適用することができる。
本発明の第1の実施形態による液体供給システムの模式的断面図である。 本発明の基本的な気液交換過程を説明するための図であり、新しいインクタンクが液室ないし記録ヘッドに未装着である状態を示す模式的断面図である。 本発明の基本的な気液交換気体除去過程を説明するための図であり、図2の状態から、新たなインクタンクを装着して気泡排除が行なわれている状態を示す模式的断面図である。 本発明の基本的な気液交換過程を説明するための図であり、気液交換動作が終了した状態を示す模式的断面図である。 本発明の基本的な気液交換動作を阻害するエア流路内の多重メニスカス状態を説明するための模式的断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、インク流路およびエア流路において多重メニスカス状態が解消されていない場合の動作を説明するための模式的断面図である。 第1の実施形態における気液交換過程を説明するための図であり、インクタンク内のインクを完全に使い切り、連通路内が多重メニスカス状態となっている状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態における気液交換過程を説明するための図であり、新しいインクタンクが液室ないし記録ヘッドに未装着である状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態における気液交換過程を説明するための図であり、図8の状態から、新しいインクタンクの装着が完了する前の状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態における気液交換過程を説明するための図であり、新しいインクタンクの装着が完了した後に記録ヘッドからインクを吐出あるいは排出させている状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、図10のインク吐出あるいは排出が停止してからインク移動と気体排出とが同時に進行している状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態における気体除去過程を説明するための図であり、インク移動および気体排出が停止した状態を示す模式的断面図である。 第1の実施形態におけるインク移動および気体排出の原理を説明するための説明図である。 第1の実施形態に適用される好ましい構成の前提を説明するための模式的断面図である。。 本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を示す斜視図である。 インク供給システムの従来例を説明するための断面図である。
符号の説明
10 インクタンク
11 シート部材
12 インク収納室
13 連通口
14 圧力板
17 封止部
20 記録ヘッド
22 フィルタ
30 バルブ室
31 バルブ室シート部材
34 バルブ室圧力板
35 バルブ室ばね部材
32,36 連通口
37 シール部材
40 ばね部材
50 液室
51 接続部
53 インク流路
54 エア流路
150 インクジェット記録装置
154 液体供給システム
153 キャリッジ
158 回復系ユニット

Claims (11)

  1. 液体を使用する液体使用部と、
    前記液体使用部に連通した液室と、
    前記液体を収納する液体収納部であって、大気圧に対する負圧を発生するための手段を有した当該液体収納部と、
    前記液室と前記液体収納部とを連通する複数の連通路と、
    を具え、
    前記液室は、前記液体収納部と前記複数の連通路を介して接続が可能であり、前記複数の連通路と前記液体使用部とを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
    前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液体収納部側に位置づけられる液体収納部側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記液体収納部に近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記液体収納室側開口が前記他方の連通路の前記液体収納室側開口より前記液体収納部の内方に位置づけられるよう構成されてなることを特徴とする液体供給システム。
  2. 前記複数の連通路が前記液室に設けられ、当該複数の連通路に対して前記液体収納部が着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
  3. 前記液体収納部は、前記液体使用部を大気圧に対して負圧状態とする手段と、該負圧状態を調整するために、前記液室を介さず前記液体収容部内に直接大気導入を行う手段とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給システム。
  4. 液体を収納する液体収納部と、前記液体を使用する液体使用部とを液体連通する流体連通構造であって、
    前記液体使用部に連通した液室と、
    前記液室と前記液体収納部とを連通する複数の連通路であって、前記液体収納部を接続可能な複数の連通路と、
    を具え、
    前記液室は、前記複数の連通路と前記液体使用部とを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
    前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液体収納部側に位置づけられる液体収納部側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記液体収納部に近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記液体収納室側開口が前記他方の連通路の前記液体収納室側開口より前記液体収納部の内方に位置づけられるよう構成され、
    前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を前記一方の連通路を介して前記液体収納部に移送可能であることを特徴とする流体連通構造。
  5. 液体使用時の姿勢において、鉛直方向に関し、前記流体連通構造は、前記液体収納部より実質的に下位に位置し、さらに前記液体使用部より実質的に上位に位置することを特徴とする請求項4に記載の流体連通構造。
  6. 前記2つの連通路の、前記液室側開口の鉛直方向の高さの差に対応した、前記液体の水頭による圧力差と、それぞれの前記連通路において前記液体が形成するメニスカスによる圧力の差との関係に応じて、前記一方の連通路を介して前記密閉空間内の気体が前記液体収納部に移動すると共に、前記他の連通路を介して前記液体収納部から前記液体使用部に前記液体が移送される動作が行われることを特徴とする請求項5に記載の流体連通構造。
  7. インクを吐出するための記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに連通した液室と、
    前記インクを収納するインクタンクであって、大気圧に対する負圧を発生するための手段を有した当該インクタンクと、
    前記液室と前記インクタンクとを連通する複数の連通路と、
    を具え、
    前記液室は、前記インクタンクと前記複数の連通路を介して接続が可能であり、前記複数の連通路と前記インクタンクとを除いて実質的密閉空間を形成するとともに、
    前記複数の連通路は、前記液室側に位置づけられる液室側開口および前記液インクタンク側に位置づけられるインクタンク側開口をそれぞれ有する少なくとも2つの連通路であり、該2つの連通路は、その一方の連通路の前記液室側開口が他方の連通路の前記液室側開口より前記インクタンクに近い位置に位置づけられ、前記一方の連通路の前記インクタンク側開口が前記他方の連通路の前記インクタンク側開口より前記インクタンクの内方に位置づけられるよう構成されてなることを特徴とするインク供給システム。
  8. 前記複数の連通路が前記液室に設けられ、当該複数の連通路に対して前記インクタンクが着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載のインク供給システム。
  9. 前記インクタンクは、前記記録ヘッドを大気圧に対して負圧状態とする手段と、該負圧状態を調整するために、前記液室を介さず前記インクタンク内に直接大気導入を行う手段とを有することを特徴とする請求項7または8に記載のインク供給システム。
  10. インクを吐出することで記録を行うインクジェット記録ヘッドであって、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の流体連通構造を一体的に有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  11. 請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のインク供給システムを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し前記記録ヘッドより前記液室が実質的に上位に位置し、さらに前記インクタンクが前記液室より実質的に上位に位置するよう前記インク供給システムを保持して記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2003338723A 2003-09-29 2003-09-29 液体供給システム Expired - Fee Related JP4047257B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003338723A JP4047257B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 液体供給システム
US10/949,074 US7185976B2 (en) 2003-09-29 2004-09-23 Liquid supply system and apparatus incorporating the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003338723A JP4047257B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 液体供給システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005103856A true JP2005103856A (ja) 2005-04-21
JP4047257B2 JP4047257B2 (ja) 2008-02-13

Family

ID=34373321

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003338723A Expired - Fee Related JP4047257B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 液体供給システム

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7185976B2 (ja)
JP (1) JP4047257B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009234031A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Brother Ind Ltd 液滴吐出装置及び液体カートリッジ
KR101038044B1 (ko) * 2008-04-16 2011-06-01 가부시키가이샤 미마키 엔지니어링 잉크젯 프린터의 잉크공급장치
JP2012051190A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Canon Inc インクジェット記録装置
JP2019048396A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録装置
KR20220012686A (ko) * 2020-07-23 2022-02-04 백영기 잉크공급장치

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI343323B (en) * 2004-12-17 2011-06-11 Fujifilm Dimatix Inc Printhead module
US8025376B2 (en) * 2005-09-29 2011-09-27 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Ink cartridges
JP4434225B2 (ja) * 2007-03-29 2010-03-17 ブラザー工業株式会社 液体吐出装置及び液体吐出装置本体
US8066360B2 (en) * 2007-04-18 2011-11-29 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fluid cartridge for a fluid supply system
JP5471461B2 (ja) * 2010-01-08 2014-04-16 セイコーエプソン株式会社 液体容器および液体噴射装置
US8256876B2 (en) * 2010-03-31 2012-09-04 Eastman Kodak Company Ink passageways connecting inlet ports and chambers
JP5340240B2 (ja) * 2010-04-02 2013-11-13 キヤノン株式会社 タンクおよびこれを備えたプリンタ
US9254672B2 (en) * 2012-03-19 2016-02-09 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Vent through a printhead support structure
US11027551B2 (en) * 2019-01-17 2021-06-08 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha System including a reservoir configured to store liquid and a tank to which the reservoir can be connected
JP7363200B2 (ja) * 2019-08-29 2023-10-18 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置
JP7374718B2 (ja) * 2019-10-31 2023-11-07 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置およびインクタンク

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2929804B2 (ja) 1991-10-05 1999-08-03 富士ゼロックス株式会社 インクジェットプリンタのインク供給機構
JP3684022B2 (ja) * 1996-04-25 2005-08-17 キヤノン株式会社 液体補充方法、液体吐出記録装置および該液体吐出記録装置のメインタンクとして用いられるインクタンク
JP3450643B2 (ja) * 1996-04-25 2003-09-29 キヤノン株式会社 液体収容容器への液体補充方法、該補充方法を用いる液体吐出記録装置、液体補充容器、液体収容容器およびヘッドカートリッジ
US6347863B1 (en) * 1996-08-23 2002-02-19 Kenneth Yuen Ink cap
DE69918368T2 (de) * 1998-04-28 2005-08-18 Canon K.K. Tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung
JP3745161B2 (ja) * 1999-04-15 2006-02-15 キヤノン株式会社 液体収納容器
JP2001187459A (ja) * 1999-12-28 2001-07-10 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット記録装置
US6959984B2 (en) * 2001-08-14 2005-11-01 Canon Kabushiki Kaisha Liquid container and inkjet cartridge

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009234031A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Brother Ind Ltd 液滴吐出装置及び液体カートリッジ
JP4561853B2 (ja) * 2008-03-27 2010-10-13 ブラザー工業株式会社 液滴吐出装置及び液体カートリッジ
US8113640B2 (en) 2008-03-27 2012-02-14 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Liquid droplet discharging apparatuses and liquid cartridges
KR101038044B1 (ko) * 2008-04-16 2011-06-01 가부시키가이샤 미마키 엔지니어링 잉크젯 프린터의 잉크공급장치
JP2012051190A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Canon Inc インクジェット記録装置
JP2019048396A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録装置
JP7031182B2 (ja) 2017-09-08 2022-03-08 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録装置
KR20220012686A (ko) * 2020-07-23 2022-02-04 백영기 잉크공급장치
KR102497612B1 (ko) * 2020-07-23 2023-02-07 백영기 잉크공급장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP4047257B2 (ja) 2008-02-13
US7185976B2 (en) 2007-03-06
US20050068391A1 (en) 2005-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4047259B2 (ja) インク供給システム
KR100723563B1 (ko) 액체 공급 시스템, 잉크 탱크, 잉크 공급 시스템, 및 잉크젯 기록 장치
JP4054742B2 (ja) インク供給システムおよび記録装置
JP4047257B2 (ja) 液体供給システム
JP4032953B2 (ja) 液体噴射装置
JP4155324B2 (ja) 液体噴射装置
JP3977355B2 (ja) インクタンクおよび記録ヘッド
JP4047258B2 (ja) 液体供給システム
JP2008030333A (ja) 液体吐出ヘッドユニット、画像形成装置
US8388119B2 (en) Liquid container and image forming apparatus including the liquid container
JP4047256B2 (ja) インク供給システムおよびインクタンク
JP2004122500A (ja) 液体収納部と液体使用部とを連通する液体連通構造、および前記液体連通構造を用いた液体供給システムおよびインクジェット記録装置
JP2004122499A (ja) 液体タンク、液体連通構造、液体供給システムおよびインクジェット記録装置
JP2005279962A (ja) 流体連通構造、該流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置
JP3901202B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2013173255A (ja) 液体吐出装置及び画像形成装置
JP2002144601A (ja) サブインクタンク及びインクジェット記録装置
JP2004306393A (ja) 液体収納部と液体使用部とを連通する液体連通構造
JP2005280072A (ja) インク供給システム、流体連通構造、インクタンク並びに前記流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置
JPH08300677A (ja) インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070403

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070604

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071121

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4047257

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees