JP2013173255A - 液体吐出装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクを消費しても安定的に吐出可能な範囲内に吐出ヘッドの負圧を保つことができるとともに、廃インクタンクを装置内に設けずに廃インクを廃棄することのできる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】カートリッジ201に収納されたインクを水頭差供給方式により記録ヘッド7に供給し、該ヘッド7からインク滴を吐出させる液体吐出装置において、インクカートリッジ201は装置本体に着脱可能に設けられる。このカートリッジ201は、インクを収納する貯留室205と、廃インクを収納する廃液室220とを有している。吸引ポンプ300で記録ヘッド7部から廃インクを吸引して廃液室220に送ることで、廃液室220が加圧されて貯留室205が上方に移動する。これにより、貯留室内の液面と記録ヘッド7のインク吐出面との水頭差が所定の範囲内に収まる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置および液体吐出装置を備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、コピー機、複写機複合機等の画像形成装置として、インクを滴状にして吐出し、所定の画像を得るインクジェット記録方式のものが知られている。このような液体吐出記録方式の画像形成装置では、微細な吐出口からインク滴を吐出させるため、乾燥によるインクの増粘や固着あるいはインク中に生じる気泡などに起因して吐出口に目詰まりが発生し、吐出不良になることがある。そこで、このような吐出不良を防止するために、インク吐出機能を正常な状態に維持・回復するための維持回復装置が設けられている。この維持回復装置は、以下のような手段から構成される。
・記録ヘッドのノズル近傍や液滴吐出面でのインクの増粘固着,乾燥を防止するために、液滴吐出面を高い密閉性を保って覆うキャップ
・液滴吐出面に付着したインクを払拭し除去するためのワイパーブレード
・ノズルの乾燥を防ぐために画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出を行うための空吐出受け
・維持回復動作により使用したインクを吸引する吸引ポンプ
・吸引ポンプで吸引されたインク、すなわち廃インクを貯留する廃インクタンク
このような維持回復装置により、ノズル近傍に付着した異物、増粘・固着した液滴を取り除かれ、液滴吐出面を保湿し、正常に所望の吐出特性を得ることができる。このような維持回復装置において、ワイパーブレードによるワイピングによって集められた廃インクや、液滴吐出面をキャップした状態において、吸引ポンプを駆動してキャップから吸引された廃インクは、専用の廃インクタンクに集められる。そして、廃インクタンク内に蓄えられた廃インクを所定の量回収すると、廃インクタンクを交換する方法がある。それとは別に、廃インクを無くすために、維持回復装置による維持回復動作で使用した廃インクを、フィルタで濾過し、インクタンクに戻して再利用する技術が既に知られている。
また、記録ヘッドにインクを供給する方式として、記録ヘッドとインクを貯留するインクカートリッジを流路(例えば供給チューブ)で連通し、インクカートリッジ内のインクを液滴吐出面よりも重力方向に下げ、インクの吐出に応じて、圧力差によりインクカートリッジ内のインクが記録ヘッドへ供給される、いわゆる水頭差による供給方式が既に知られている。
上述した維持回復動作によって生じた廃インクをフィルタで濾過し、再びインクタンクに戻すことで、インクを再利用する技術の場合、インクを有効活用できる反面、回復動作で生じた廃インクとインクタンクに貯留されたインクが同じ色である必要がある。インクジェットプリンタでは、記録ヘッドから複数の色のインクを吐出することで、装置の小型化、高画質化を実現している。複数の色のインクを吐出する記録ヘッドで回復動作を実行すると、複数のインクの色が混ざり合って廃インクとなる。そのため、廃インクとインクタンクの色が異なってしまい、これを防ごうとして1つの記録ヘッドで1つのインクを吐出する構成とすれば、カラー印刷を行うためには、多数の記録ヘッドが必要になるという問題がある。記録ヘッドを多数用意すると、コストの増加ばかりか装置の大型化にもつながる。更に、廃インクをフィルタで濾過する構成では、廃インクに気泡が含まれていた場合、フィルタが気泡をトラップしてしまい、排出効率を著しく低下させてしまうという問題がある。
また、水頭差による供給方式では、記録ヘッドの液滴吐出面から重力方向に下げられた位置にインクカートリッジを設けることで、記録ヘッドに負圧を形成することができるが、この方式の場合、インクの消費に伴って、インクカートリッジ内のインクの液面が低下すると、記録ヘッドに形成される負圧が、初期負圧値よりも大きくなってしまう。つまり、インクジェットプリンタの使用に伴って、記録ヘッド内の負圧値が変動する。記録ヘッドで形成される負圧値が大きくなると、インク滴の吐出性に影響が生じ、画像に影響してしまうという問題がある。
特開2007−203649号公報(特許文献1)には、水頭差供給方式において印字ヘッドの位置にかかわらず一定の負圧を印字ヘッドに作用できるインクジェット方式画像形成装置を提供することを目的として、以下のような構成が開示されている。それはすなわち、インクタンクと記録ヘッドの間に一時的にインクを貯留するサブタンクを設け、サブタンク内の液面は、記録ヘッドの液滴吐出面よりも低い位置に設定される。さらに、インクタンクとサブタンクの間には、インクタンクからインクをサブタンクに供給する機能と、サブタンクからインクタンクへインクを排出する機能を持つ吸排ポンプが備わっている。さらに、サブタンク内のインクの液面を検出する計面感知センサが取り付けられている。この吸排ポンプを作動させることにより、サブタンク内の液面が低下した場合、インクタンクからインクが供給され、サブタンクの液面が高まるとサブタンクからインクを排出させる。このような動作により、サブタンク内のインク液面を上下に動かすことで水頭差を一定範囲内に保ち、印字ヘッド内の負圧を一定範囲内に保つことができる、というものである。
しかしながら、上記特許文献1に記載された負圧保持方法の場合、印字中に吸排ポンプを駆動するため、圧力変動がヘッドに伝わり、インクの吐出に影響する。この圧力変動を防ぐために板状部材をサブタンク内に設けているが、コンプライアンスを設けずに圧力をすべて緩和することは難しい。したがって、水頭差供給方式における記録ヘッド内の負圧値が変動するという、上述の問題は解決できていない。
本発明は、従来の液体吐出装置における上述の問題を解決し、インクを消費しても安定的に吐出可能な範囲内に吐出ヘッドの負圧を保つことができるとともに、廃インクタンクを装置内に設けずに廃インクを廃棄することのできる液体吐出装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するため、本発明は、液体収納部材に収納された液体を水頭差供給方式により吐出ヘッドに供給し、該吐出ヘッドから液滴を吐出させる液体吐出装置において、前記液体収納部材が当該液体吐出装置に着脱可能に設けられるとともに、前記液体収納部材は、当該収納部材内で移動可能に設けられ前記吐出ヘッドに供給される液体を収納する貯留室と、該貯留室に隣接して設けられ廃液を収納する廃液室とを有し、前記吐出ヘッド部から流体を吸引して前記廃液室に送る吸引手段を具備し、該吸引手段が吸引した流体を前記廃液室に送ることで、前記貯留室が移動して、該貯留室内の液面と前記吐出ヘッドの液滴吐出面との水頭差が所定の範囲内に収まることを特徴とする。
本発明の液体吐出装置によれば、液体(例えばインク)の使用によって低下した貯留室内のインク液面を上昇させて水頭差を縮めることができ、吐出ヘッドの負圧を、吐出ヘッドが安定的に吐出可能な負圧範囲に収めることができる。更に、液体収納部材(例えばインクカートリッジ)の交換を利用して、廃液も処分することができるため、廃液タンクを装置内に別途設ける必要がない。
また、本発明の液体吐出装置を用いる画像形成装置においては、記録ヘッド(吐出ヘッド)の負圧を、ヘッドが安定的に吐出可能な負圧範囲に収めることができるため、インク滴の吐出性に影響が生じることがなく、安定したインク吐出により安定した画像形成を行なうことができる。また、廃インクタンクを装置内に設ける必要がないために、装置の小型化を図ることができる。
本発明の作用を説明するためのインク供給系の図である。 本発明に係る液滴吐出装置を備えるインクジェットプリンタの3面図である。 そのインクジェットプリンタのインク供給系を示す図である。 インクカートリッジ内での貯留室の動作を説明する図である。 水頭差Hが一定になる様子を説明する図である。 使用後のインクカートリッジを示す図である。 インクカートリッジの第2実施例を示す図である。 インク吐出面を上向きにした構成におけるインク供給系を示す図である。 インク供給系の別形態を示す図である。 記録ヘッドに設けた貯留部から廃インクを吸引する構成を示す図である。 インク供給系のさらに別の形態を示す図である。 インクカートリッジの第3実施例を示す図である。
本発明は、インク等の液滴を打ち出す液体吐出装置において、液体収納部材(例えばインクカートリッジ)を吐出ヘッドよりも下部に設置した水頭差方式でインクを供給するものであって、液体収納部材内に液体を貯留する貯留室と廃液を貯留する廃液室とを隣接して設け、空気や廃インクなどの流体が吸引手段(例えば吸引ポンプ)によって廃液室に送られる。その際、吸引手段にて加圧された流体の作用により廃液室は加圧され、その加圧力を利用して貯留室を重力方向上向きに移動させることを特徴としている。これにより、例えばインクの使用によって低下した貯留室内のインク液面を上昇させ、水頭差を縮めることができ、記録ヘッド(吐出ヘッド)が安定的に吐出可能な負圧範囲に収めることができる。更に、インクカートリッジの交換を利用して、廃インクも処分することができるため、廃インクタンクを装置内に別途設ける必要がない。
図1は、本発明の作用を説明するためのインク供給系の図である。
この図1において、記録ヘッド7には、隣接する位置にサブタンク180が取り付けられ、サブタンク180とインクカートリッジ201(液体収納部材)には供給チューブ230が接続されている。また、記録ヘッド7もしくはキャップと、インクカートリッジ201の間には、吸引ポンプ300を介して廃インクを流すための廃インクチューブ240が接続されている。そして、インクカートリッジ201は、記録ヘッド7の液滴吐出面から重力方向に下げられた位置に設置され(図では水頭差H)、インクの吐出に応じて圧力差によりインクをカートリッジからヘッドに供給する(水頭差供給方式)。なお、本例では、記録ヘッド7のインク吐出方向は重力方向上向きである。
インクカートリッジ201は、インクを貯留する貯留室205と、廃インクを貯留する廃液室220とを備えており、貯留室205には大気開放口211を通じて大気開放されている。そして上述の供給チューブ230は貯留室205と連通し、廃インクチューブ240は廃液室220と連通する。廃液室220と貯留室205は隣接しており、廃液室220には廃インクチューブ240と連通している連通口を開閉する開閉弁207が備わっている。この開閉弁207は、ばねなどの付勢力により常閉しているが、インクカートリッジ201をインクジェットプリンタ本体(のインクカートリッジセット部)に取り付けると、廃インクチューブ240によって開弁する。また、貯留室205と廃液室220は、両方とも外装部で覆われており、貯留室205は重力方向に移動しやすいようにガイド210が設けられている。また、貯留室205と外装部の間はインクを通さないようにシール部材202によってシールされている。
以上のような構成において、インクジェットプリンタが吐出を続けると、貯留室205内のインクが使用され、やがて液面が低下する。液面が低下すれば、水頭差Hが広がり、記録ヘッドで形成される負圧値が次第に大きくなる。そこで、インクジェットプリンタが備える維持回復装置による維持回復動作によって吸引した廃インクを、吸引ポンプ300を利用して貯留室下部に位置している廃液室220に送り込む。このとき、吸引ポンプによって加圧された廃インクにより、廃液室220の圧力が上昇し、上部に位置する貯留室205に力が加わる。その結果、貯留室205はガイド210に沿って上昇し、インクの使用によって広がった水頭差Hを縮め、記録ヘッド7が安定的に吐出可能な負圧範囲に収めることができる。インクを使い切ったとき、廃液室220は廃インクで満たされており、この状態でインクジェットプリンタからインクカートリッジ201を取り外すと、常閉の開閉弁207が閉弁し、廃液室内の廃インクが漏れることは無い。つまり、インクカートリッジ201の交換を利用して、廃インクも処分することができる。その結果、廃インクタンクを設ける必要がない。なお、水頭差Hを適正範囲に保つためには、貯留室205に液面検知センサがあった方が望ましい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいてより詳しく説明する。
図2は、本発明に係る液滴吐出装置を備える画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置(以下、インクジェットプリンタ、又は単にプリンタと記すこともある)の3面図であり、図2(a)はインクジェットプリンタの正面図、図2(b)は右側側面図、図2(c)は平面図である。
このインクジェットプリンタは、左右の側板123L,123Rに横架したガイド部材であるガイドロッド122とガイドレール128とでキャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持している。このキャリッジ120は、図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に移動走査する。また、キャリッジ120上には、複数の色(例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなど)のインク滴を吐出する記録ヘッド7が主走査方向と交叉する方向に配列され、インク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。本例の記録ヘッド7は、インクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものである。記録ヘッドには、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させたりして吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に適用することができる。記録ヘッド7の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク180が一体的に接続される。ここで言う一体的とは、記録ヘッド7とサブタンク180がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジに搭載されるという意味である。サブタンク180には供給チューブ230が接続され、供給チューブ230の他端はインクカートリッジ201の底面(貯留室)と接続されている。インクカートリッジ201と記録ヘッド7までは、供給チューブ230により連通している。また図2(b)に示すように、維持回復ユニット31の内部には,吸引ポンプ300が取り付けられている。この吸引ポンプ300は廃インクチューブ240と連通しており、廃インクチューブ240の一端は、記録ヘッド7の液滴吐出面を密閉するキャップ160と連通しており、他端はインクカートリッジ201の底面(廃液室)と接続されている。このような構成にて、キャリッジ120が主走査方向に往復する際に、記録ヘッド7からインクを吐出することで、用紙Pに所望の画像を形成する。
図3は、上記インクジェットプリンタのインク供給系を示す図である。なお、図1で説明したインク供給系と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。
図3において、記録ヘッド7は、重力方向下向きである矢印a方向にインクを吐出する。記録ヘッド7のインク吐出面105はキャップ160により密閉され、記録ヘッド7のノズル内にあるインクを保湿し、乾燥を防いでいる。また、キャップ160は、キャップホルダ310によって保持されており、その間には、キャップ160のインク吐出面105に対する密着性を高めるために、付勢ばね302が備えられている。更に、キャップホルダ310はガイド312に嵌め込まれており、カム311が回転するとキャップホルダ310がガイド312にガイドされてスライドする。その結果、キャップ160がインク吐出面105に移動し、キャッピングする。記録ヘッド7には、隣接する位置にサブタンク180が取り付けられ、サブタンク180とインクカートリッジ201の間は、供給チューブ230で連通されている。サブタンク180はキャリッジ120(図2)の中に保持されている。供給チューブ230はインクカートリッジ201内において、インクを貯留している貯留室205と連通する。貯留室205は大気開放口211を通じて大気と連通している。貯留室205の液面は、記録ヘッド7のインク吐出面105よりも、重力方向の下に位置するように設けられており、図3では距離Hだけ下げられている。このため、距離H(水頭差H)に応じた負圧がインク吐出面105に生じ、インクを安定的に吐出することができる。記録ヘッド7からの吐出量が増えると、大気圧が貯留室205の液面に作用することで、貯留室205内のインクが矢印c方向に流れ、サブタンク180に供給される。また、インクカートリッジ201の天面(カートリッジ外装部270の天面)には電極ピン600が取り付けられている。この電極ピン600により、貯留室205内部にあるインクの液面を検知している。
廃インクの処理について説明する。キャリッジ120が用紙の外側に位置するホームポジションに移動した際、キャップ160がインク吐出面105を覆って密閉空間を形成する。そして、吸引ポンプ300を駆動して、インク吐出面105から廃インクを吸引する。吸引された廃インクは、廃インクチューブ240を通じて矢印b方向に流れ、インクカートリッジ201の廃液室220に送られる。
ここで、インクカートリッジ201の構成について詳細に説明する。インクカートリッジ201には、これまで説明したように、インクを貯留する貯留室205と、廃インクを貯留する廃液室220から構成されている。廃液室220と貯留室205は隣接しており、廃液室220には廃インクチューブ240と連通している廃液口400を開閉する開閉弁207が備わっている。この開閉弁207は、ばねの付勢力により常閉しているが、インクカートリッジ201をインクジェットプリンタに取り付けると、廃インクチューブ240の端部によって押し上げられて開弁する。また、貯留室205と廃液室220は、両方とも外装部270で覆われており、貯留室205は鉛直方向に移動しやすいように、外装部270との間にガイド210が設けられている。貯留室205と外装部270の間はインクを通さないようにシール部材202によりシールされている。
図3に示す供給系において、インクジェットプリンタが吐出を続けると、貯留室205内のインクが使用され、やがて液面が低下する。液面が低下すれば、記録ヘッド7とインク吐出面105との距離Hが広がり、記録ヘッド7で形成される負圧値が大きくなる。これを防ぐために、維持回復動作によって吸引した廃インク、およびキャップ160から吸引した空気を、吸引ポンプ300を利用して廃液室220に送り込み、吸引ポンプ300の加圧力により、貯留室205を上昇させる。その結果、距離Hを記録ヘッド7からインクが安定して吐出可能な負圧範囲内に収めることができる。貯留室205に初期に貯留されていたインクは、画像形成に使用され、その一部が維持回復動作でキャップ160から、廃インクとなり吸引される。したがって、貯留室にあったインクの消費量は、廃インクの発生量よりも大きく、廃インクのみでは、距離Hが広がってしまう。そこで、キャップ160がインク吐出面105から離間しているときに、空気を廃液室に送り込むことで、距離Hを制御する。なお、吸引ポンプ300は、インクを廃棄室220に移動させ、貯留室205を上昇させるのに必要な加圧力があれば、どのようなポンプでも使用可能であるが、廃インクチューブ240を閉塞するチュービングポンプであることが望ましい。もし廃インクチューブ240を閉塞しないポンプを使用するのであれば、廃液室220から流体が逆流しないように、廃インクチューブ240に逆止弁を取り付けることが望ましい。貯留室205の液面は電極ピン600で検知し、必要な高さになるまで、吸引ポンプ300を駆動させる制御をすれば、より高精度に水頭圧、すなわち距離Hを制御することができる。また、一般的にインクジェットプリンタには、複数色のインクカートリッジ201が取り付けられている(図2では、4色のインクカートリッジ201を、塗りつぶしのパターンの違いであらわしている)。どのインクカートリッジ201の廃液室220に廃インクや空気を送ればよいかも、電極ピン600の情報から判断することができる。なお、複数色あるインクカートリッジ201に廃インクや空気を送る方法として、各色ごとに専用の吸引ポンプ300を用意し、各カートリッジの電極ピン600の情報に基づいて、所定の吸引ポンプを駆動させる方法でも良い。この場合、吸引ポンプ300とインクカートリッジ201を連通する廃インクチューブ240を、インクカートリッジ201の数だけ取り付ける必要がある。あるいは、吸引ポンプ300を1つだけ用意し、ポンプの下流にある複数のインクカートリッジ201それぞれと廃インクチューブ240が連通するように、廃インクチューブ240を分岐させ、分岐した廃インクチューブ240それぞれに開閉弁が備わっている構成でも良い。この場合、各カートリッジの電極ピン600の情報に基づいて、対応するインクカートリッジ201と吸引ポンプ300とを連通するように、該当する開閉弁のみを開弁させ、この状態で吸引ポンプ300を駆動させれば良い。
次に、インクカートリッジ201内で貯留室205が上昇する動作について図4を参照して説明する。
図4(a)は、未使用のインクカートリッジ201を本体に取り付けた状態を示している。この図から順に説明する。インクカートリッジ201には、インクを貯留する貯留室205と廃インクを貯留する廃液室220が形成され、それらを外装部270で覆っている。貯留室205は大気開放口211を通じて大気と連通している。加えて、貯留室205と外装部270の間には、ガイド210が設けられており、このガイド210により、重力方向上向きに移動可能な構成となっている。また、ガイド210の上部にはシール部材202が取り付けられており、このシール部材202により、廃液室220と貯留室205の間の流路を遮断している。貯留室205の下部には、供給チューブ230が挿入されている。供給チューブ230と貯留室205の間には、シール部材298が備わっており、貯留室内のインクが廃液室220にリークすることを防止する。更に、貯留室205の上部からは電気ピン600が挿入されている。電極ピン600は、貯留室205内の液面を検知する手段である。
一方廃液室220には廃インクチューブ240が挿入されている。廃インクチューブ240が挿入される前は、開閉弁207が付勢ばね246によって力を受け、廃液口400を塞いでいるが、インクカートリッジ201が取り付けられると、廃インクチューブ240の先端部によって開閉弁207が押されて、開弁する。廃インクチューブ240が、廃液室220に挿入すると、連通口232を通じて、廃インクチューブ240と廃液室220が連通する。廃液室220内を、貯留室205と連通する供給チューブ230が通過している。この供給チューブ230と外装部270の間から、廃インクがリークすることを防ぐために、図のようにシール部材299が備わっている。同様に、廃インクチューブ240と外装部270の間から、廃インクがリークすることを防ぐために、シール部材294が取り付けられている。なお、上述の大気連通口211はインクの水分蒸発を遅らせるために、流体抵抗を高めた構成であることが望ましく、例えば、流路径を小さくし、流路長さを伸ばした構成であることが望ましい。また、シール部材202,294,298,299は例えばOリングのように弾性変形可能な材質であることが望ましい。
図4(b)は、図4(a)で示したインクカートリッジ201を用いて印字動作が行われ、貯留室205にあったインクが使用された状態を示している。貯留室205のインクが使用されると、貯留室205内のインク液面が初期値(満タン位置)から低下する。液面が低下した状態で、印字動作を続けると、記録ヘッド7にある負圧が大きくなっていく。この状態で、プリンタ内で維持回復動作が行われると、そこで生じた廃インクは、図3で説明したように、吸引ポンプ300によって吸引され、廃インクチューブ240を通じて廃液室220に運ばれる。廃液室220に運ばれた廃インクは、連通口232を通じて矢印α方向に流れようとする。このとき、廃液室220は密閉空間が形成されているため、このままでは廃インクが廃液室220に流れないが、吸引ポンプ300の駆動力によって加圧された廃インクが貯留室205を矢印方向に移動させる(上昇させる)ことで、廃インクが廃液室220に流れる。貯留室205はガイド210に沿って上昇する。なお、このとき廃インクだけでなく、空気も廃液室220に流して、貯留室205を上昇させる。
図4(c)は、貯留室205内のインクが更に使用された状態を示している。インクが使用され続けても、図4(b)で説明したように、吸引ポンプ300によって吸引された廃インクおよび空気で、貯留室205の下部を加圧することで、貯留室205を上昇させている。その結果、記録ヘッド7の液滴吐出面105(図3)と貯留室205の距離(水頭差H)を一定の範囲内に収めている。なお、供給チューブ230の端部は、貯留室205の液面に近い場所に位置していることが望ましく、貯留室205が上昇し続けても、インクが供給できるようにインクの液面よりも下に位置するように設計されている必要がある。また、貯留室205の重力方向下部に廃液室220が位置したほうが、本発明を有効に活用できる。また、インクカートリッジ201を本体に取り付ける際に、供給チューブ230が貯留室205に挿入されるには、供給チューブ230の先端をシール部材298に通す必要がある。インクカートリッジ201内部は不可視であるため、インクカートリッジ201を本体に取り付ける際に、位置決め可能な構成、もしくは供給チューブ230をカートリッジ外装部270までの長さにし、本体にカートリッジ201を装着する際に、既にカートリッジ内部の貯留室205と連通している別のチューブと結合するような構成にすることが望ましい。
次に、水頭差Hが一定になる様子を図5を参照して説明する。
図5において、図5(a)に示すインクカートリッジ201は未使用のカートリッジであり、貯留室205内にインクが充填されている。図5(b)で示すカートリッジは、印字動作によりインクを消費したカートリッジを示している。未使用のカートリッジでは、その液面と記録ヘッド7の液滴吐出面105までの距離H(水頭差)が、安定的に液滴を吐出可能な距離に設定されている。インクが消費され、貯留室205内にあるインクの液面が低下してきても、上述のように、廃液室220に廃インクおよび空気を加圧して運ぶことにより、貯留室205が上昇する。その結果、インクの使用によって広がった水頭差Hを縮め、記録ヘッド7が安定的に吐出可能な負圧範囲に収めることができる。
図6は、使用後のインクカートリッジについて説明するための図である。
カートリッジ内のインクを使い切ったとき、廃液室220は廃インクと空気で満たされている。この状態で本体からインクカートリッジ201を取り外すと、開閉弁207が付勢ばね246のばね力を受け、廃液口400を塞ぐ。そのため、廃液室内の廃インクが漏れることは無く、インクカートリッジ201の交換時に周囲を汚すことを防止できる。更に、インクカートリッジ201の交換を利用して、廃インクも処分することができる。その結果、廃インクタンクを装置内に設ける必要がない。なお、開閉弁207は弾性体であることが望ましい。
図7は、インクカートリッジの別の実施例(第2実施例)について説明するための図である。第1実施例のインクカートリッジ201と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。
図7に示すインクカートリッジ201Bでは、廃液室220はベローズ255で覆われており、貯留室205がある方向のみに伸縮可能になっている。ベローズ255の先端には、押し板250が取り付けられている。この押し板250はベローズ255よりも剛性が高いため、ベローズ255の延伸力を効率よく貯留室205に伝えることができる。図7(a)は、インクカートリッジ201が未使用で、本体にカートリッジ201を取り付けた状態を示している。このとき、ベローズ255は縮んだ状態である。また、ベローズ255の内部には、第1実施例と同様に開閉弁207が付勢ばね246により、廃液口400を塞ぐ方向に力を受けている。付勢ばね246は、弁ホルダー260に取り付けられている。弁ホルダー260の側面には、穴256が設けられている。そして、貯留室205には供給チューブ230が挿入されており、供給チューブ230と貯留室205の間には、シール部材298が取り付けられている。同様に外装部270と供給チューブ230の間にも、シール部材299が取り付けられている。また、廃インクチューブ240と外装部270の間にはシール部材294が取り付けられている。この状態において、維持回復動作を実行し、吸引ポンプ300(図3)が駆動すると、廃インクが廃液室220に送られる。更に、キャップ160をインク吐出面105(図3)から離間させて、吸引ポンプ300を駆動させると、空気が廃液室220に送られる。このときポンプの加圧力が連通口232と穴256の流路を通じてベローズ255を延伸させる方向に作用する。そして、ベローズ255が延伸する。
図7(b)は、図7(a)からインクが消費され、貯留室205内の液面が低下した状態を示している。ベローズ255が吸引ポンプ300の加圧力により延伸し、先端の押し板250が貯留室205を押し上げている。そのため、インクを消費してもインク液面の位置が一定の範囲に収まり、記録ヘッド7の負圧を安定的に吐出できる負圧範囲に収めることができる。ところで、第1実施例のインクカートリッジ201では、シール部材202は、貯留室205を上昇させる際に擦動抵抗となる。そのため、貯留室205を上昇させるために廃液室220内の加圧力を高める必要がある。廃液室220の加圧力を高めると、例えば、チューブのジョイント箇所など、予期しない場所からのリークの可能性が高まる。それに対して、本第2実施例では、廃液室220がベローズ255に覆われているため、廃インクが廃液室220から漏れ出すことが無く、インクカートリッジの外装部270と貯留室205の間に、図4〜6に示すようなシール部材202を必要としない。つまり、擦動抵抗をゼロにでき、貯留室205を上昇させるために必要となる廃液室220内の加圧力を小さくすることができ、不必要に廃液室220内を加圧し続けることがない。そのため、吸引ポンプ300を無駄に駆動させることなく、省エネルギー化を図ることができる。更には貯留室205を上昇させる時間を短縮でき、ユーザーを待たせてしまうことを抑えることができる。そのため、本発明の効果を更に高めることができる。
図8は、記録ヘッド7のインク吐出面105を重力方向に対して、略上向き(矢印a方向)に設置した構成におけるインク供給系を示す図である。なお、図3で説明したインク供給系と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。
図8において、インクは矢印a方向に吐出される。供給チューブ230はインクカートリッジ201内において、インクを貯留している貯留室205と連通する。廃インクチューブ240はキャップ160と廃液室220とを連通しており、その間に吸引ポンプ300が取り付けられている。貯留室205の液面は、記録ヘッド7のインク吐出面105よりも、重力方向にHだけ下げられており、Hの分だけの負圧がインク吐出面105に作用する。図8のようにインク吐出面105を上向きに設置しても、本発明では距離Hを制御することで、インク吐出面105の圧力を安定して吐出可能な範囲内に収めることができる。そのため、本発明は略上向き方向にインクを吐出するインクジェットプリンタに対しても効果的である。
図示はしないが、インク吐出面105を略水平方向に設置した構成の場合も、本発明を用いることでインク吐出面105の負圧を安定範囲に制御することができる。インク吐出面105を略水平方向に向けると、ノズルの上端と下端でインクによる圧力差が生じる。そのため全ノズルからインクを安定的に吐出させるには、インク吐出面105の圧力をより細かく管理する必要がある。本発明は、インク吐出面105の圧力を細かく制御できるため、水平方向へインクを吐出するように記録ヘッドを設置したインクジェットプリンタに対しても効果を有する。なお、インク吐出面105の角度はどのような角度であっても本発明を適用することができる。
図9は、インク供給系の別形態を示す図である。なお、図8で説明したインク供給系と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。
この図に示すインク供給系では、記録ヘッド7の側面(液滴吐出面の近傍)に貯留部100を設けるとともに、インク排出系に開閉弁を設けた構成である。記録ヘッド7のインク吐出面105は略上向きに取り付けられている。貯留部100は、廃インクを一時的に溜める穴(凹部)を有しており、更に貯留部100の側面に設けられた吸引口に第2の廃インクチューブ610(第2の廃液流路)が嵌合するようになっている。第2の廃インクチューブ610は、一端が貯留部100に嵌合し、他端が第1の廃インクチューブ240に接続される。また、第1の廃インクチューブ240と第2の廃インクチューブ610には、それぞれ開閉弁620,630が設けられている。上記貯留部100は、ワイパーブレード150(図10)によりインク吐出面105をワイピングした際に生じる廃インクを一時的に溜める機能を持つ。そして、貯留部100に溜められた廃インクは、第2の廃インクチューブ610が貯留部100の側面に嵌合し、吸引することで取り除かれる。その詳細を図10を用いて説明する。
キャリッジ120(図2)は、維持回復動作を行うために印字範囲から退避する。その後、図10(a)に示すように、ワイピング動作によって、ワイパーブレード150が矢印e方向に液滴吐出面105をワイピングすると、インク吐出面105上に残留した廃インク700が、図10(b)に示すように貯留部100に移される。インク吐出面105が上向きに向いている場合、ワイピングにより集められた廃インク700は、重力を利用して貯留部100の穴へ落とすだけであるため、廃インク700を効率良く貯留部100へ集めることができる。貯留部100の側面には、吸引口410が開けられ、貯留穴(凹部)と連通している。更に貯留部100の側面には、吸引ユニット401の嵌合部420が、吸引口410に確実に嵌合するように、ガイド部材111が備わっている。嵌合部420は、第2の廃インクチューブ610と連通するように中空部材となっている。本例の貯留部100の穴(凹部)の形状は、ヘッド側が斜面で吸引ユニット401側が略垂直面のテーパ形状になっており、貯留部100に集められた廃インク700が、吸引口410の前で溜まるようにしている。そのため、廃インク700を効率よく吸引することができる。
図10(a)の吸引ユニット401が矢印d方向に移動し、吸引口410に嵌合した状態を図10(b)に示す。この状態で、第2の廃インクチューブ610の先に接続されている吸引ポンプ300を駆動すると、廃インク700が、吸引ユニット401を通じて矢印b方向に吸引される。その後、吸引ユニット401が吸引口410から離間する。以上の動作により、貯留部100内の廃インク700が取り除かれる。なお、吸引ユニット401は、キャリッジ120が印字領域から外れた位置に設けられていることが望ましい。また、貯留部100は、記録ヘッド7のフレームに備わっていても良いし、キャリッジ120に備わっていても良い。
図9の説明に戻る。本形態では、廃インクチューブ240及び610に開閉弁620,630が取り付けられている。これらの廃インクチューブ240,610が共に連通された状態で、吸引ポンプ300を駆動させると、貯留部100が大気と連通しているため、第2の廃インクチューブ610から空気が流入し、キャップ160から廃インクを吸引するだけの負圧を作ることができない。そこで、開閉弁620,630を適時開閉することで、キャップ160からの廃インク吸引と、貯留部100からの廃インク吸引を切り替えている。キャップ吸引動作では、開閉弁630を閉弁し、開閉弁620を開弁させる。そして、吸引ポンプ300を駆動し、キャップ160を通じて廃インクを吸引する。吸引された廃インクは、第1の廃インクチューブ240を通じてインクカートリッジ201に運ばれる。貯留部100からの廃インク吸引動作では、キャップ吸引動作と逆に、開閉弁620を閉弁し、開閉弁630を開弁させ、吸引ポンプ300を駆動させる。このような、開閉弁の動作により、維持回復動作におけるキャップ吸引を実行することができ、廃インクを確実にインクカートリッジ201に送液することができる。なお、開閉弁は、流路を遮断できる弁であれば良い。また、記録ヘッド7のインク吐出面105は略水平方向でも良く、ヘッドの液滴吐出面の近傍に貯留部100を配置すればよい。
図11は、リザーブタンクを設けたインク供給系のさらに別の形態を示す図である。なお、図8で説明したインク供給系と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。
図11に示すインク供給系では、インク排出経路の吸引ポンプ300とインクカートリッジ201の間に、リザーブタンク500が取り付けられている。さらに、リザーブタンク500と廃液室220の間に開閉弁600が取り付けられている。前述の各形態と同じように、インク吐出面105の負圧を一定範囲に収めるために、廃液室220に廃インクと空気を送り込み、貯留室205の高さを制御している。
しかしながら、貯留室202が所望の距離H(水頭差)であるのに、その状態で維持回復動作を実施することがある。このとき、吸引ポンプ300を駆動すると、貯留室202が上昇し、所望の高さから外れてしまう可能性がある。所望の高さから外れれば、安定的に吐出できなくなる。また、廃インクと空気を廃液室220に送り込む途中で、所望の距離Hに達した場合、廃インクチューブ240内に廃インクが残っている状態で、吸引ポンプ300が停止し、チューブ内に廃インクが滞留する可能性がある。チューブは、微量の空気を透過してしまうため、チューブ内に廃インクが滞留した状態でマシンを放置すると増粘ないし固化する恐れがあり、その場合維持回復動作ができなくなる。
それらの発生を防ぐために、吸引ポンプ300と廃液室220の間に、リザーブタンク500を取り付けている。リザーブタンク500は、少なくとも一部に大気とリザーブタンク500のケース内とを連通する大気開閉弁505が取り付けられている。吸引ポンプ300を駆動して、廃インクを廃液室220に運ぶ際、大気開放弁505は閉弁しており、リザーブタンク500内は密閉されている。そして、開閉弁600が開弁されている。そのため、吸引ポンプ300の加圧力は直接廃インクに伝わり、貯留室205を押し上げることができる。貯留室202が所望の距離Hであるときに、維持回復動作を行う際は、大気開放弁505を開弁し、開閉弁600を閉弁させる。この状態で吸引ポンプ300を駆動すると、大気開放弁505が開弁しているため、開放系となり、維持回復動作で吸引された廃インクと空気は、リザーブタンク500に運ばれる。運ばれた廃インクと空気のうち、空気507は浮力があるため、底面から矢印に示すように天井面に移動する。その結果、リザーブタンク500内で気液分離され、空気507のみが大気開放される。このように大気開放弁505と開閉弁600の開閉動作を制御することで、廃液室220に流体を送ることなく、維持回復動作を行うことができる。廃インクチューブ内に廃インクが残ってしまったときも、同様の制御を実施することで、廃インクをリザーブタンク500に移動させ、廃インクチューブ240内の空気を大気開放弁505から抜くことができる。
また、リザーブタンク500の底面に廃インクが溜まった状態で、大気開放弁505を閉弁し、開閉弁600を開弁し、吸引ポンプ300を駆動させると、廃インクが空気よりも優先的に廃液室220に送られる。廃液室220内に空気(気泡)が多く溜まると、周囲の温度変化によって気泡が膨張・収縮するため、その体積変化により、貯留室205の高さが変化してしまう可能性がある。リザーブタンクを用いた本形態のインク供給系により、液体である廃インクを優先的に廃液室220に送ることができ、空気(気泡)を廃液室220に送る量を少なくすることができる。そのため、周囲の温度変化によって、気泡が膨張・収縮しても、その割合を最小限にできる。なお、廃液室220に廃インクを送る必要があるか、送らずにリザーブタンク500に廃インクを貯留するかはインクカートリッジ201に取り付けられている電極ピン600によって液面を検知することで判断可能である。また、リザーブタンク500内にどれくらの空気が溜まっているかを検知するための検知手段をリザーブタンク500に取り付けても良い。また、吸引ポンプ側の廃インクチューブ240と、廃液室220側の廃インクチューブ245は、リザーブタンク500の底面から連通させ、廃インクを優先的に廃液室220に送るような構成にしておくことが望ましい。
図12は、インクカートリッジのさらに別の実施例(第3実施例)について説明するための図である。第1実施例のインクカートリッジ201と同一もしくは同等の部分には同じ符号を付している。本例のインクカートリッジ201Cは、廃液室220の容積を、前述した第1及び第2実施例のインクカートリッジ201,201Bに比べて小さく設けたものである。その他の基本的構成は第1及び第2実施例のインクカートリッジと同様である。
上述したように、貯留室205に初期に貯留されていたインクは画像形成に使用され、その一部が廃インクとなり吸引ポンプ300により吸引される。そのため、使用前のカートリッジ201の貯留室205にあったインクの消費量は、廃インクの生成量よりも大きい。つまり、廃インクだけを廃液室220に送ろうとすると、距離H(水頭差)が広がり、記録ヘッド7の負圧を安定範囲に保つことができなくなるので、空気を混入させる必要がある。しかし、空気は周囲の温度の影響で、体積が変動するため、なるべく空気が廃液室220に混入する量を低減することが望ましい。そこで、図12に示すインクカートリッジ201Cのように、廃液室220の容積を小さくすれば、廃インクと少量の空気だけで、貯留室202を上昇させることができる。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。「液体」とは、記録液、インクに限るものではなく、吐出されるときに流体となるものであれば特に限定されるものではない。また、「液体吐出装置」とは液体吐出ヘッドから液体を吐出する装置を意味し、画像形成・画像記録を行うものに限定されない。また、吐出ヘッドの構成は任意である。吐出方式も任意の方式を採用可能である。また、液体吐出方向は適宜な方向に設定可能である。液体収納部材(例えばインクカートリッジ)の構成も本発明の範囲内で適宜変更可能である。
本発明の液体吐出装置を備える画像形成装置においては、インクの色数は4色に限らず、任意の色数で構成できるものである。また、シリアル型に限らず、ラインインクジェット型の記録装置にも本発明を適用可能である。
7 記録ヘッド(吐出ヘッド)
105 インク吐出面
180 サブタンク
201 インクカートリッジ(液体収納部材)
202 シール部材
205 貯留室
207 開閉弁
210 ガイド
211 大気開放口
220 廃液室
230 供給チューブ
240 廃インクチューブ
255 ベローズ(伸縮部材)
270 外装部
300 吸引ポンプ(吸引手段)
400 廃液口(流体の流入口)
600 電極ピン(液面検出手段)
H 水頭差
特開2007−203649号公報

Claims (13)

  1. 液体収納部材に収納された液体を水頭差供給方式により吐出ヘッドに供給し、該吐出ヘッドから液滴を吐出させる液体吐出装置において、
    前記液体収納部材が当該液体吐出装置に着脱可能に設けられるとともに、
    前記液体収納部材は、当該収納部材内で移動可能に設けられ前記吐出ヘッドに供給される液体を収納する貯留室と、該貯留室に隣接して設けられ廃液を収納する廃液室とを有し、
    前記吐出ヘッド部から流体を吸引して前記廃液室に送る吸引手段を具備し、
    該吸引手段が吸引した流体を前記廃液室に送ることで、前記貯留室が移動して、該貯留室内の液面と前記吐出ヘッドの液滴吐出面との水頭差が所定の範囲内に収まることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記廃液室内部が変形可能な伸縮部材により覆われており、前記吸引手段が吸引した流体を前記伸縮部材内部に送ることで、前記伸縮部材が進展して前記貯留室を移動させることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記吐出ヘッドの液滴吐出面が略上方ないし略水平方向に向けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記廃液室への前記流体の流入口を閉塞可能な開閉弁を有し、該開閉弁が常閉方向に付勢されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体収納部材を当該液体吐出装置から取り外したときに、前記開閉弁が閉弁することを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記吸引手段から前記廃液室に至る流路に、大気開放弁が取り付けられたリザーブタンクが配設されており、該リザーブタンクと前記廃液室との間に開閉弁が備えられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記貯留室内の液面位置を検出する液面検出手段を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記廃液室の容積が前記貯留室の容積よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 廃液を貯留する凹部を有する貯留部が前記吐出ヘッドの液滴吐出面の近傍に設けられ、前記貯留部の前記凹部と前記吸引手段とを連通する第2の廃液流路が備えられ、
    前記吐出ヘッドと前記吸引手段とを連通する第1の廃液流路および前記第2の廃液流路のそれぞれに開閉弁が備えられ、該各開閉弁は、一方が開弁状態のとき他方が閉弁されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  10. 前記貯留室と前記液体収納部材の外装との間をシールするシール部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
  11. 前記貯留室の移動をガイドするガイド部材を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  12. 前記吸引手段がチュービングポンプであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の液体吐出装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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