JP2007118540A - 液体噴射装置及び液体供給装置 - Google Patents

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芳明 清水
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Abstract

【課題】液体供給路の構成を複雑化することなく、液体噴射ヘッドへ供給する液体を選択的に切換えることが可能な液体噴射装置及び液体供給装置を提供する。
【解決手段】液体供給装置は、MBk及びPBkをそれぞれ貯留したインクカートリッジ21a,21bと、MBk及びPBkを加圧ポンプ25で加圧して記録ヘッド17へ供給するインク供給管27a,27bとを備える。さらに、液体供給装置は、インク供給管27a,27bの各途中位置に設けられ、該各途中位置よりも下流側におけるMBk及びPBkの圧力変化に基づき開閉動作する弁装置18a,18bと、加圧ポンプ25による加圧力をMBk及びPBkに対して選択的に付与することを可能とする開閉弁28a,28bと、該開閉弁28a,28bの開閉動作を制御する制御部80とを備える。そして、インク供給管27a,27bは、弁装置18a,18bよりも下流側で互いに合流している。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等の液体噴射装置及びこれに搭載される液体供給装置に関する。
液体噴射ヘッドから液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式記録装置(以下、単に「プリンタ」と言う)が知られている。このプリンタは、インク(液体)を収容するインクカートリッジ(液体貯留手段)と、キャリッジに搭載され、前記インクカートリッジからインク(液体)が供給される記録ヘッド(液体噴射ヘッド)とを備えている。
そして、このようなプリンタの中には、加圧ポンプ(加圧手段)から圧送される加圧空気によりインクカートリッジ内のインクパックを加圧して、インクをインク供給路(液体供給路)を介して記録ヘッドに圧送し、該記録ヘッドのノズルから記録媒体(ターゲット)にインクを噴射することで印刷を行う、所謂オフキャリッジタイプのものがある。
近年、このようなプリンタにおいては、該プリンタに用いられるインクの種類も多様化されるようになってきた。すなわち、例えば、同じブラックインクであっても、マット系用紙や普通紙の印刷に適したマットブラックや光沢系用紙での写真の高画質を実現するフォトブラックがあり、それぞれ用途に応じて使い分けがなされるようになってきた。そして、このようなインクの使い分けを行う場合には、現に装着されているインクカートリッジを一旦取り外し、これに代えて、所望の種類のインクを有するインクカートリッジを装着し直す必要があった。
しかしながら、新たなインクカートリッジを装着した直後は、記録ヘッド及びインク供給路に、直前まで装着されていたインクカートリッジのインクが残存しているため、新旧のインク同士が混ざり合って、インクカートリッジの交換当初の印刷品質が低下するという問題があった。そこで、従来は、インク供給路に切換手段を設けて、複数のインクカートリッジから記録ヘッドにインクを選択的に切換えて供給するようにしたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のプリンタでは、切換手段が、切換弁筐体と該切換弁筐体内に回転可能に収容された弁パッキンホルダと、該弁パッキンホルダに保持された状態で出入口板に圧接される弁パッキンとを備えている。出入口板の中央部には、記録ヘッドに接続されたインク供給路と連通する第1開口が設けられており、出入口板における第1開口を隔てて対向する両位置には、一方のインクカートリッジに接続されたインク供給路と連通する第2開口及び他方のインクカートリッジに接続されたインク供給路と連通する第3開口がそれぞれ設けられている。
弁パッキンには、第1開口と、第2開口及び第3開口のうちのいずれか一方とを連通する流路が設けられており、弁パッキンホルダを切換弁筐体内で回転させることで、第1開口と、第2開口及び第3開口のうちのいずれか一方との連通状態を切換えて、記録ヘッドに供給するインクを切換えるようになっている。
特開2001−187458号公報
しかしながら、特許文献1のプリンタでは、既存のインク供給路の途中位置に切換手段を組み込む必要があるため、インクの流路構成が複雑となり、該プリンタの組み立てが煩雑化していた。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、液体供給路の構成を複雑化することなく、液体噴射ヘッドへ供給する液体を選択的に切換えることが可能な液体噴射装置及び液体供給装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、互いに異なる種類の液体をそれぞれ貯留した複数の液体貯留手段と、該各液体貯留手段に貯留された各液体を加圧して該各液体をそれぞれ各液体貯留手段外へ送出させる加圧手段と、該加圧手段の加圧により前記各液体貯留手段から送出された各液体を液体噴射装置の液体噴射ヘッドへ供給する複数の液体供給路とを備え、さらに、前記各液体供給路のうち少なくとも2つの特定液体供給路の各途中位置に設けられ、該各途中位置よりも下流側における各特定液体供給路内の液体の圧力変化に基づき開閉動作する弁装置と、前記加圧手段による加圧力を前記各液体貯留手段に貯留された各液体に対して選択的に付与することを可能とする切換機構と、前記各液体のうち使用する液体のみに前記加圧手段による加圧力が付与されるように前記切換機構の切換動作を制御する制御手段とを備え、前記各特定液体供給路を前記各弁装置よりも下流側で合流させた。
この発明によれば、制御手段により、各液体のうち使用する液体のみに加圧手段による加圧力が付与されるように切換機構の切換動作を制御することで、液体供給路の構成を複雑化することなく、液体噴射ヘッドへ供給する液体を選択的に切換えることが可能となる。
本発明の液体供給装置は、前記特定液体供給路における前記液体貯留手段と前記弁装置との間には、上流側の液体の圧力と下流側の液体の圧力との差圧により開閉される差圧弁が設けられている。
一般に、液体噴射ヘッドからの選択された液体の噴射時には、該選択された液体以外の液体と対応する特定液体供給路にも該液体噴射ヘッドへ向かう液体の流れが生じる。すなわち、液体噴射ヘッドからの選択された液体の噴射時には、選択された液体以外の液体と対応する特定液体供給路における差圧弁よりも下流側にも負圧が発生するため、液体噴射ヘッドから選択された液体に該選択された液体以外の液体が混ざった状態で噴射されるおそれがある。しかしながら、この発明によれば、差圧弁を、その下流側が負圧になったときに閉弁するように設定することで、選択された液体に該選択された液体以外の液体が混ざることなく、液体噴射ヘッドから選択された液体のみを噴射させることが可能となる。
本発明の液体噴射装置は、上記構成の液体供給装置と、該液体供給装置から供給された液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドとを備えた。
この発明によれば、制御手段により、各液体のうち使用する液体のみに加圧手段による加圧力が付与されるように切換機構の切換動作を制御することで、液体供給路の構成を複雑化することなく、液体噴射ヘッドへ供給する液体を選択的に切換えることが可能となる。
本発明の液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドのノズルから前記各液体をターゲットに対する液体噴射とは無関係に吐出させる吐出手段を備え、前記制御手段が、前記切換機構を切換動作させた後に、前記各液体のうち少なくとも使用する液体が前記液体噴射ヘッドのノズルから吐出されるように前記吐出手段を駆動する。
この発明によれば、液体噴射ヘッドへ供給する液体を他の液体に切換える際に、前回使用していた液体と対応する特定液体供給路における弁装置と液体噴射ヘッドとの間に残存する前回使用していた液体が、確実に液体噴射ヘッドのノズルから排出される。このため、液体噴射ヘッドへ供給する液体を、前回使用していた液体から今回使用する液体に切換えた後に、今回使用する液体に前回使用していた液体が混ざることなく今回使用する液体を液体噴射ヘッドのノズルから噴射させることが可能となる。
本発明の液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、該キャップ内を吸引可能な吸引手段とを備え、前記制御手段が、前記切換機構を切換動作させた後に、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を前記キャップにより封止した状態で、前記吸引手段を駆動する。
この発明によれば、液体噴射ヘッドへ供給する液体を他の液体に切換える際に、前回使用していた液体と対応する特定液体供給路における弁装置と液体噴射ヘッドとの間に残存する前回使用していた液体が、確実に液体噴射ヘッドのノズルから排出される。このため、液体噴射ヘッドへ供給する液体を、前回使用していた液体から今回使用する液体に切換えた後に、今回使用する液体に前回使用していた液体が混ざることなく今回使用する液体を液体噴射ヘッドのノズルから噴射させることが可能となる。
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ10は、フレーム11を備えており、該フレーム11内には、プラテン12が架設されている。プラテン12上には、図示しない紙送りモータを有する紙送り機構によりターゲットとしての記録用紙Pが給送されるようになっている。また、フレーム11内には、プラテン12の長手方向と平行に、棒状のガイド部材13が架設されている。
ガイド部材13には、キャリッジ14が、該ガイド部材13の軸線方向に往復移動可能に挿通支持されている。キャリッジ14は、一対のプーリ15a間に張設されたタイミングベルト15を介してキャリッジモータ16に連結されている。そして、キャリッジ14は、キャリッジモータ16の駆動により、ガイド部材13に沿って往復移動されるようになっている。
キャリッジ14のプラテン12に対向する面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド17が搭載されている。また、キャリッジ14上には、液体としてのインクの圧力を調整して記録ヘッド17に供給する弁装置18a〜18eが、インクジェット式プリンタ10に使用されるインクの色(種類)に対応して複数個(本実施形態では5個)備えられている。
なお、記録ヘッド17の下面(ノズル形成面17a)にはノズル19が設けられるとともに、記録ヘッド17の内部には吐出手段としての圧電素子17bが設けられている(図2参照)。そして、この圧電素子17bの駆動により、ノズル19からプラテン12上に給送された記録用紙Pにインク滴が噴射されて印刷が行われるようになっている。
図1におけるフレーム11の右端部には、カートリッジホルダ20が設けられている。このカートリッジホルダ20には、液体貯留手段としてのインクカートリッジ21a〜21eが着脱可能に複数個(本実施形態では5個)装着されている。インクカートリッジ21a〜21eは、断面形状が矩形状をなすケース22をそれぞれ備えており、各ケース22の内側にそれぞれ設けられた空気室23a〜23e内には、インクパック24a〜24eがそれぞれ収容されている。なお、インクパック24a〜24eは、袋状に形成された可撓性フィルムよりなっている。
そして、インクパック24aにはマットブラックインク(MBk)が充填され、インクパック24bにはフォトブラックインク(PBk)が充填されている。また、インクパック24cにはイエローインクが充填されるとともに、インクパック24dにはシアンインクが充填され、インクパック24eにはマゼンタインクが充填されている。
図1におけるフレーム11の右端部におけるカートリッジホルダ20の近傍には、加圧手段としての加圧ポンプ25が設けられている。加圧ポンプ25は、空気供給管26a〜26eを介してインクカートリッジ21a〜21eにそれぞれ接続されている。空気供給管26a〜26eの途中位置には、該空気供給管26a〜26e内を開閉する切換機構としての開閉弁28a〜28eがそれぞれ設けられている。そして、空気供給管26a〜26eの先端部は、インクカートリッジ21a〜21eの各ケース22を貫通して空気室23a〜23e内にそれぞれ達している(図2参照)。
したがって、加圧ポンプ25が駆動されると、該加圧ポンプ25から加圧空気が空気供給管26a〜26eを介してインクカートリッジ21a〜21eの空気室23a〜23e内にそれぞれ圧送されるようになっている。そして、空気室23a〜23e内に圧送された加圧空気の空気圧によってインクパック24a〜24eがそれぞれ押し潰されて、該インクパック24a〜24eのインクが液体供給路を構成するインク供給管27a〜27eを介して弁装置18a〜18eにそれぞれ供給されるようになっている。
インク供給管27a〜27eにおけるインクカートリッジ21a〜21eと弁装置18a〜18eとの間の途中位置には、インク供給管27a〜27e内を開閉する差圧弁29a〜29eがそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、インク供給管27a〜27eのうち、インク供給管27a及びインク供給管27bが特定液体供給路とされており、インク供給管27aとインク供給管27bとは、弁装置18a,18bよりも下流側かつ記録ヘッド17よりも上流側の合流点Aで合流している。
フレーム11内の右端部寄り位置であって、キャリッジ14のホームポジションには、メンテナンスユニット30が配設されている。図2に示すように、メンテナンスユニット30は、上面が開口した四角箱状をなすキャップ31を有し、該キャップ31は、昇降装置32に連結されている。この昇降装置32は、キャリッジ14がホームポジションまで移動した際に、キャップ31を記録ヘッド17のノズル形成面17aと当接する位置まで上昇させて、該記録ヘッド17のノズル19を気密状態に封止するようになっている。
キャップ31の底壁部には吐出口33が貫通形成されている。この吐出口33には排出チューブ34の一端が接続され、該排出チューブ34の他端は廃インクタンク36内に挿入されている。排出チューブ34の中間部には、吸引手段としての吸引ポンプ35が設けられている。そして、キャップ31により記録ヘッド17のノズル19を気密状態に封止した状態で吸引ポンプ35を駆動することで、ノズル19内及びキャップ31内の増粘したインク等が吸引されて廃インクタンク36内に排出される、いわゆるクリーニングが行われるようになっている。
次に、特定液体供給路に設けられた差圧弁29a,29bの構成について詳述する。
図3(a)、(b)に示すように、差圧弁29a,29bは、合成樹脂からなる基材40を有し、この基材40の一側面には凹部41が形成されている。この凹部41の底面には、基材40に貫通形成された導入路42が開口している。この導入路42は、インクカートリッジ21a,21bに接続されたインク供給管27a,27bと連通している。また、凹部41の底面には、突部43が形成され、該突部43の先端面には、吐出路44が開口している。この吐出路44は、基材40に貫通形成され、記録ヘッド17側に延びるインク供給管27a,27bと連通している。
基材40の一側面には、可撓性のフィルム45が、凹部41側に弛みを持たせた状態で固着され、このフィルム45により凹部41が封止されている。これにより、凹部41の内面とフィルム45とで密閉状態に囲まれた第1圧力室46が形成されている。そして、差圧弁29a,29bは、導入路42側のインクの正圧力が吐出路44側のインクの負圧力よりも高くなると、そのインクの圧力差によりフィルム45が、図3(a)に示すように、突部43の先端面から離間された、開弁状態となる。
逆に、差圧弁29a,29bは、導入路42側のインクの正圧力が吐出路44側のインクの負圧力よりも低くなると、そのインクの圧力差によりフィルム45が、図3(b)に示すように、突部43の先端面に当接した、閉弁状態となる。なお、導入路42、第1圧力室46、及び吐出路44は、特定液体供給路を構成している。
次に、特定液体供給路に設けられた弁装置18a,18bの構成について詳述する。
図4に示すように、弁装置18a,18bは、合成樹脂からなる基材50を備えている。基材50の一側面には凹部51が形成され、該基材50の他側面には凹部52が形成されている。凹部52の側面には、基材50に貫通形成された導入路53が開口している。この導入路53は、差圧弁29a,29bに接続されたインク供給管27a,27bと連通している。また、凹部51の底面には、基材50に貫通形成された吐出路54が開口している。この吐出路54は、記録ヘッド17側に延びるインク供給管27a,27bと連通している。
凹部52の開口には、該開口を塞ぐように、ばね受け座55が嵌着されている。そして、基材50の他側面には、ばね受け座55の上から凹部52を覆うようにフィルム56が固着されている。これにより、凹部52の内面とフィルム56とで密閉状態に囲まれたインク供給室57が形成されている。
基材50の一側面には、変位部材としての可撓性のフィルム58が、凹部51側に弛みを持たせた状態で固着され、このフィルム58により凹部51が封止されている。これにより、凹部51の内面とフィルム58とで密閉状態に囲まれた圧力室としての第2圧力室59が形成されている。フィルム58における凹部51側と反対の面の中央部には、該凹部51と対応するとともに該凹部51よりも幅狭の受圧板60が固着されている。
第2圧力室59とインク供給室57との間には、両室59,57を区画する隔壁61が設けられ、該隔壁61には、第2圧力室59とインク供給室57とを連通する連通孔62が貫通形成されている。インク供給室57には、付勢部材としてのコイルばね63を介してばね受け座55と連結される板状のベース部64aと、該ベース部64aから延設されて連通孔62に挿通される棒状のロッド部64bとを備えた弁体64が設けられている。ロッド部64bの先端は、第2圧力室59内におけるフィルム58の近接位置まで達している。
ベース部64aにおける隔壁61側の面には、ロッド部64bを囲むように環状のシール部材65が、該ベース部64aと一体に形成されている。シール部材65の径は、連通孔62の径よりも大きく設定されている。弁体64は、コイルばね63により常に付勢されて隔壁61に圧接している。すなわち、コイルばね63の付勢力によって弁体64のベース部64aがシール部材65を介して隔壁61に密着し、該弁体64によって連通孔62が閉塞(封止)された状態(閉弁状態)になっている。なお、導入路53、インク供給室57、連通孔62、第2圧力室59、及び吐出路54は、特定液体供給路を構成している。
そして、弁装置18a,18bは、第2圧力室59内のインクが吐出路54から記録ヘッド17側へ供給されて、該第2圧力室59内のインク量が減少すると、該第2圧力室59内に負圧を発生させるようになっている。この負圧の発生により、受圧板60が固着された部分のフィルム58が該受圧板60とともに凹部51側に変位動作して弁体64のロッド部64bの先端に当接することになる。
さらに、第2圧力室59内のインク量が減少すると、該第2圧力室59内の負圧力が大きくなり、この負圧力がコイルばね63の付勢力よりも大きくなった場合には、該付勢力に抗して受圧板60によりロッド部64b(弁体64)がフィルム58を介してばね受け座55側に押圧される。
この押圧により、弁体64がばね受け座55側に移動され、シール部材65と隔壁61とが離間した状態(開弁状態)になる。すると、インク供給室57内のインクが連通孔62を介して第2圧力室59内に流入し、これにより第2圧力室59内の負圧が解消される。この第2圧力室59内の負圧の解消により、弁体64がコイルばね63の付勢力によって第2圧力室59側に移動され、再び該弁体64によって連通孔62が閉塞された状態(閉弁状態)となる。
このように弁装置18a,18bは、弁体64の変位動作により、閉弁状態、第2圧力室59内のインク量の減少に伴う負圧の発生、開弁状態、第2圧力室59内のインク量の増加に伴う負圧の解消、閉弁状態、を繰り返すことにより、第2圧力室59内の圧力が一定に保たれるようになっている。なお、弁装置18a,18bは、いわゆる自己封止弁であり、圧力調整機能(自己封止機能)を有している。
次に、インクジェット式プリンタ10の電気的構成について説明する。
図2に示すように、インクジェット式プリンタ10は、制御手段としての制御部80を備えている。制御部80には、圧電素子17b、加圧ポンプ25、開閉弁28a、開閉弁28b、昇降装置32、及び吸引ポンプ35が電気的に接続されている。そして、制御部80は、圧電素子17b、加圧ポンプ25、昇降装置32、及び吸引ポンプ35の駆動を制御するとともに、開閉弁28a及び開閉弁28bの開閉動作を制御するようになっている。
また、インクジェット式プリンタ10には、マットブラックインク(MBk)とフォトブラックインク(PBk)とのインク切換レバー(図示略)が設けられ、該インク切換レバーは、制御部80と電気的に接続されている。そして、ユーザがインク切換レバーを操作することにより、マットブラックインク(MBk)とフォトブラックインク(PBk)とから今回使用するインクを選択できるようになっている。
なお、弁装置18a〜18e、インクカートリッジ21a〜21e、加圧ポンプ25、空気供給管26a〜26e、開閉弁28a〜28e、インク供給管27a〜27e、及び差圧弁29a〜29eによって液体供給装置が構成されている。
次に、インクジェット式プリンタ10におけるマットブラックインク(MBk)とフォトブラックインク(PBk)との間でのインク切換処理ルーチンについて図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
制御部80は、インク切換処理ルーチンを実行すると、該インク切換処理ルーチンにおいて、まず、ユーザによって選択されたインクが、MBkであるかPBkであるかを判定する(ステップS1)。ステップS1で選択されたインクがPBkであった場合、制御部80は、開閉弁28aを閉塞するとともに開閉弁28bを開放する(ステップS2)。続いて、制御部80は、加圧ポンプ25を駆動する(ステップS3)。これにより、インクパック24bは加圧されるが、インクパック24aは加圧されないことになる。そして、インクパック24bが加圧されることで、PBkがインク供給管27b内を流れて弁装置18bまで達するようになる。その後、制御部80は、その処理を後述するステップS6に移行する。
一方、ステップS1で選択されたインクがMBkであった場合、制御部80は、開閉弁28bを閉塞するとともに開閉弁28aを開放する(ステップS4)。続いて、制御部80は、加圧ポンプ25を駆動する(ステップS5)。これにより、インクパック24aは加圧されるが、インクパック24bは加圧されないことになる。そして、インクパック24aが加圧されることで、MBkがインク供給管27a内を流れて弁装置18aまで達するようになる。その後、制御部80は、その処理を後述するステップS6に移行する。
続いて、制御部80は、ステップS3またはステップS5を実行した後に、印刷とは無関係に圧電素子17bを駆動(いわゆる、フラッシング)する(ステップS6)。これにより、選択されたインクとともに、合流点Aからノズル19までの間の流路から該流路内に残存する選択されたインク以外のインクがノズル19から排出される。
続いて、制御部80は、ステップS6を実行してから一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS7)。ここで、「一定時間」とは、圧電素子17bの駆動により、合流点Aからノズル19までの間の流路から、MBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインク以外のインクが完全にノズル19から排出される時間であり、予め実験等により決定される時間である。ステップS7において一定時間が経過していない場合(ステップS7においてNOの場合)には、このステップS7の判定処理を繰り返す。
一方、ステップS7において一定時間が経過している場合(ステップS7においてYESの場合)には、制御部80は、圧電素子17bの駆動を停止する(ステップS8)。その後、制御部80は、インク切換処理ルーチンを終了する。
このように、インクジェット式プリンタ10は、ユーザの選択により、MBkとPBkとの間で使用するインクを容易に切換えることができる。
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)MBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインクと対応する開閉弁28a,28bのみを開放することで、該ユーザによって選択されたインクのみに加圧ポンプ25による加圧力を選択的に付与することができる。すなわち、ユーザによって選択されたインク以外のインクには、加圧ポンプ25による加圧力が付与されない状態にすることができる。
この状態で、フラッシングを行うことで、ユーザによって選択されたインクとともに、合流点Aからノズル19までの間の流路から該流路内に残存するユーザによって選択されたインク以外のインクをノズル19から排出することができる。したがって、液体供給路の構成を複雑化することなく、記録ヘッド17へ供給するインクをMBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインクに容易に切換えることができる。
(2)インクジェット式プリンタ10の印刷時には、記録ヘッド17のノズル19からMBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインクが噴射される。しかしながら、このとき、ユーザによって選択されたインクと対応する特定液体供給路だけでなく、ユーザによって選択されていない方のインクと対応する特定液体供給路にも記録ヘッド17へ向かうインクの流れが生じる。
すなわち、インクジェット式プリンタ10の印刷時には、ユーザによって選択されたインクと対応する特定液体供給路における弁装置18a,18bよりも下流側だけでなく、ユーザによって選択されていない方のインクと対応する特定液体供給路における弁装置18a,18bよりも下流側にも負圧が発生する。このため、弁装置18a,18bの自己封止能力が低い場合には、記録ヘッド17のノズル19から選択されたインクに該選択されていない方のインクが混ざった状態で噴射されるおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、特定液体供給路におけるインクカートリッジ21a,21bと弁装置18a,18bとの間に差圧弁29a,29bが設けられている。このため、選択されていない方のインクと対応する特定液体供給路における弁装置18a,18bが機能しなかった場合でも、差圧弁29a,29bは、その上流側から選択されていない方のインクが加圧されていない限り、その下流側の負圧により確実に閉弁される。
したがって、ユーザによって選択されたインクに該ユーザによって選択されていないインクが混ざることなく、記録ヘッド17のノズル19から選択されたインクのみを噴射させることができる。
(3)インク切換処理ルーチンにおけるステップS6〜ステップS8で、記録ヘッド17のフラッシングを行っているため、合流点Aからノズル19までの間の流路から、MBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインク以外のインクを完全にノズル19から排出させることができる。このため、記録ヘッド17へ供給するインクを、MBk及びPBkのうちで、前回使用していたインクから今回使用するインクに切換えた直後であっても、今回使用するインクに前回使用していたインクが混ざることなく今回使用するインクを記録ヘッド17のノズル19から噴射させることができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・差圧弁29a〜29eは、省略してもよい。
・インク切換処理ルーチンのステップS6〜ステップS8におけるフラッシング動作を、記録ヘッド17のノズル19からの吸引動作に変更してもよい。すなわち、この場合、ステップS6では、制御部80は、昇降装置32を駆動することで、キャップ31をノズル形成面17aに当接させて、該キャップ31によってノズル19が封止された状態にする。この状態で、制御部80は、吸引ポンプ35を駆動する。これにより、ユーザによって選択されたインクとともに、合流点Aからノズル19までの間の流路から該流路内に残存するユーザによって選択されたインク以外のインクがノズル19からキャップ31内を介して廃インクタンク36内に排出される。
続いて、制御部80は、ステップS6を実行してから一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS7)。ここでの「一定時間」とは、吸引ポンプ35の駆動により、合流点Aからノズル19までの間の流路から、MBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインク以外のインクが完全にノズル19から排出される時間であり、予め実験等により決定される時間である。ステップS7において一定時間が経過していない場合(ステップS7においてNOの場合)には、このステップS7の判定処理を繰り返す。
一方、ステップS7において一定時間が経過している場合(ステップS7においてYESの場合)には、制御部80は、吸引ポンプ35の駆動を停止する(ステップS8)。
このようにすれば、合流点Aからノズル19までの間の流路から、MBk及びPBkのうちからユーザによって選択されたインク以外のインクを、フラッシングを行うよりも短時間で完全にノズル19から排出させることができる。
さらにこの場合、ユーザによって選択されたインク以外のインクは、加圧されてないので、全てのノズル19を一緒に封止する一体型のキャップ31を用いても、ユーザによって選択されたインク以外のインクの排出量を低減でき、インクが節約できる。
・特定液体供給路を3つ以上に設定してもよい。すなわち、MBk及びPBkと対応する特定液体供給路に、イエローインク、シアンインク、あるいはマゼンタインクと対応するインク供給管27c,27d,27eを合流させて特定液体供給路としてもよい。そして、今回使用するインクを、これらのインクのうちからユーザが選択して切換えることができるように構成してもよい。
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ10として具体化したが、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造や、有機ELディスプレイ等の画素形成に利用される液体噴射装置であってもよい。
実施形態のインクジェット式プリンタの概略平面図。 同プリンタにおける特定液体供給路の概略構成を示す模式図。 (a)、(b)はともに同プリンタにおける差圧弁の断面図。 同プリンタにおける弁装置の断面図。 同プリンタのインク切換処理ルーチンを示すフローチャート。
符号の説明
10…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、17…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、17a…ノズル形成面、17b…吐出手段としての圧電素子、18a〜18e…液体供給装置を構成する弁装置、19…ノズル、21a〜21e…液体供給装置を構成する液体貯留手段としてのインクカートリッジ、25…液体供給装置を構成する加圧手段としての加圧ポンプ、26a〜26e…液体供給装置を構成する空気供給管、27a〜27e…液体供給装置を構成する液体供給路を構成するインク供給管、27a,27b…特定液体供給路を構成するインク供給管、28a〜28e…液体供給装置を構成する切換機構としての開閉弁、29a〜29e…液体供給装置を構成する差圧弁、31…キャップ、35…吸引手段としての吸引ポンプ、80…制御手段としての制御部、P…ターゲットとしての記録用紙。

Claims (5)

  1. 互いに異なる種類の液体をそれぞれ貯留した複数の液体貯留手段と、該各液体貯留手段に貯留された各液体を加圧して該各液体をそれぞれ各液体貯留手段外へ送出させる加圧手段と、該加圧手段の加圧により前記各液体貯留手段から送出された各液体を液体噴射装置の液体噴射ヘッドへ供給する複数の液体供給路とを備えた液体供給装置において、
    前記各液体供給路のうち少なくとも2つの特定液体供給路の各途中位置に設けられ、該各途中位置よりも下流側における各特定液体供給路内の液体の圧力変化に基づき開閉動作する弁装置と、
    前記加圧手段による加圧力を前記各液体貯留手段に貯留された各液体に対して選択的に付与することを可能とする切換機構と、
    前記各液体のうち使用する液体のみに前記加圧手段による加圧力が付与されるように前記切換機構の切換動作を制御する制御手段とを備え、
    前記各特定液体供給路を前記各弁装置よりも下流側で合流させたことを特徴とする液体供給装置。
  2. 前記特定液体供給路における前記液体貯留手段と前記弁装置との間には、上流側の液体の圧力と下流側の液体の圧力との差圧により開閉される差圧弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体供給装置と、該液体供給装置から供給された液体をターゲットに向けて噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置。
  4. 前記液体噴射ヘッドのノズルから前記各液体をターゲットに対する液体噴射とは無関係に吐出させる吐出手段を備え、
    前記制御手段は、前記切換機構を切換動作させた後に、前記各液体のうち少なくとも使用する液体が前記液体噴射ヘッドのノズルから吐出されるように前記吐出手段を駆動することを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
  5. 前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、該キャップ内を吸引可能な吸引手段とを備え、
    前記制御手段は、前記切換機構を切換動作させた後に、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を前記キャップにより封止した状態で、前記吸引手段を駆動することを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
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