JP2009041934A - 形状測定装置,形状測定方法 - Google Patents

形状測定装置,形状測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】移動する被測定物の表面に照射したライン光の像(光切断線の像)に基づいて光切断法による形状検出を行う表面形状測定において,ライン光の強度を増強することなく,高い撮像レートで光切断線の撮像を行っても,明瞭な光切断線の像を得ることができ,光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くできる。
【解決手段】タイヤ1等の被測定物の表面に複数の分離した光切断線が形成されるように,検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を照射する投光装置10と,そのライン光の像を複数のライン光それぞれの主光線が被測定物の表面に対して正反射する方向において撮像するカメラ20とを備え,被測定物表面の一定単位の移動に応じて得られる複数の撮像画像について,予め設定された複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,光切断線の像の座標を個別に検出し,検出座標に基づいて被測定物の表面形状(高さ分布)を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は,相対的に移動する被測定物の表面(回転するタイヤの表面等)に照射したライン光の像(光切断線の像)を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって被測定物の表面形状を検出する形状測定装置及びその方法に関するものである。
生産現場においては,生産物の品質管理等を目的として,物の表面形状(表面の高さ分布)を高速かつ非接触で測定することを要求されることが多い。
例えば,タイヤは,ゴムや化学繊維,スチールコード等の各種材料が積層された構造を有し,その積層構造に不均一な部分が存在すると,空気が充填された場合に相対的に耐圧性の弱い部分においてバルジと呼ばれる隆起部(凸部)や,デント又はデプレッションと呼ばれる窪み部(凹部)が生じる。そのようなバルジやデント等の形状欠陥が生じるタイヤは,安全上の問題或いは外観不良の問題から,検査して出荷対象から除外する必要がある。
従来,タイヤの形状欠陥の検査は,タイヤを回転機で回転させながら接触式もしくは非接触式のポイント測定式センサにより複数ポイントの表面高さを検出し,その表面高さの分布からタイヤの表面形状を測定することによって行われてきた。しかしながら,ポイント測定式センサを用いたタイヤの形状測定に基づく形状欠陥の検査では,配列するセンサの数の制約及び検査時間の制約から,タイヤにおける形状欠陥の検出対象面全体の形状を網羅的に測定することができず,形状欠陥の検出漏れが生じやすいという問題点があった。
一方,特許文献1には,回転するタイヤの表面にスリット光(ライン光)を照射してそのスリット光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによってタイヤの表面形状を測定する技術について示されている。その特許文献1に示される技術によれば,タイヤにおける形状欠陥の検出対象面(タイヤのサイドウォール面やトレッド面)全体の形状を網羅的に(連続的に)測定することができ,形状欠陥の検出漏れを防止できる。
特許文献1にも示されるように,一般に,光切断法による形状検出を行う場合,検出対象面(タイヤのサイドウォール面等)に一の光切断線(1本の線上に光が照射された部分)が形成されるように,その光切断線における検出高さ方向(検出する表面高さの方向)から1つのライン光を照射し,その散乱反射光を特定の方向に配置されたカメラで捉えて線状のライン光の像(光切断線の像)を撮像する。
また,金属製の板材の生産工程では,鉄鋼やアルミ,銅などの金属材料を圧延加工する圧延プロセスを経て厚板や薄板が生産される。そして,その圧延プロセスを通過する前後の帯状の金属材料(以下,圧延材という)の表面形状を,その圧延材が移動中に高速かつ非接触で測定することが,製品品質を管理する上で重要となる。同様に,熱間圧延ライン,冷間圧延ライン,線材圧延ライン等を流れる板材(厚板や薄板)や,圧延前のスラブ,ブルーム,ビレット等の部材についても,その表面形状を高速かつ非接触で測定することが品質管理上重要である。
特開平11−138654号公報
ところで,タイヤの表面(特に,サイドウォール面)は,黒色である上にその光沢度が高く,タイヤの表面に照射されたライン光が散乱反射する比率は比較的低い。また,タイヤの表面(特に,サイドウォール面)は,全体的に山状に形成されており,必要な被写界深度を得るためにカメラの絞りを絞る必要がある。
このため,特許文献1に示されるタイヤの表面形状測定において,タイヤの表面に照射したライン光の明瞭な像を得るためには,ライン光の強度(光量)を強くするか,或いはカメラの撮像レートを低く(シャッタースピードを遅く)して露光時間を長くする必要がある。
しかしながら,ライン光の強度を強くした場合,黒色で光を吸収しやいタイヤが熱的な損傷を受ける可能性があるという問題点があった。さらに,パワーの大きな光源(通常はレーザ光源)の採用は,冷却装置を必要として装置の大型化,高コスト化を招き,メンテナンス性も悪化するという問題点があった。
また,製品検査に許容される限られた時間内に,光切断線の像を回転するタイヤの周方向において十分な空間分解能で撮像しようとすると,ライン光の明瞭な像を得られるほどカメラの撮像レート(単位時間当たりの撮像回数)を低くできないという問題点があった。
例えば,タイヤの形状欠陥検査に許容される検査時間は1秒程度である。また,光切断法によるタイヤの形状測定では,光切断線の像とタイヤ表面に記された文字とを区別するため,回転するタイヤの周方向において,少なくともその文字の線幅(1mm程度)以下の空間分解能で撮像を行う必要がある。そして,その検査時間及び空間分解能の要件を満たすためには,乗用車用タイヤでは1秒当たり2000フレーム,それより大きなトラック用或いはバス用のタイヤでは1秒当たり4000フレームの撮像を行う必要がある。しかしながら,1秒当たり4000フレームという高い撮像レートで撮像を行うと,特許文献1に示される技術によっては,ライン光の明瞭な像を得ることができない。
また,前述した金属製品の生産工程等においても,限られた時間内に光切断線の像を移動する材料の表面において十分な空間分解能で撮像しようとすると,高い撮像レートで撮像する必要があり,ライン光の明瞭な像を得られなくなるという問題点があった。 さらに,限られた時間内に形状測定を完了させるためには,高い撮像レートに対応できるよう光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くしなければならないという問題点もある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,相対的に移動する被測定物の表面に照射したライン光の像(光切断線の像)を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって被測定物の表面形状を測定する場合に,ライン光の強度を増強することなく,十分に高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)で光切断線の撮像を行っても,明瞭な光切断線の像を得ることができ,さらに,そのような高い撮像レートに対応できるよう光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くできる形状測定装置及びその方法を提供することにある。
上記目的を達成するために,本発明に係る形状測定装置は,相対的に移動する被測定物の表面に照射したライン光の像(光切断線の像)を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって前記被測定物の表面形状を測定する形状測定装置であり,次の(1−1)〜(1−4)に示す各構成要素を備えるものである。
(1−1)前記被測定物の表面の検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を照射することにより,前記被測定物の表面に,前記被測定物の表面の移動方向である第1方向に直交する第2方向に伸びるとともにその第2方向において占める範囲が相互にずれている(即ち,第2方向における中心位置が異なる)複数の分離した光切断線を形成させるライン光照射手段。
(1−2)前記被測定物の表面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を,前記複数のライン光それぞれの主光線が前記被測定物の表面に対して正反射する方向において撮像する撮像手段。
(1−3)一定単位の前記移動に応じて前記撮像手段により得られる複数の撮像画像それぞれについて,前記撮像手段の撮像画像の座標系における前記複数の分離した光切断線それぞれに対応して予め設定された複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記光切断線の像の座標である光切断線座標を個別に検出する光切断線座標検出手段。
(1−4)前記光切断線座標検出手段により検出された複数の前記光切断線座標に基づいて前記被測定物の前記第1方向における表面高さ分布を算出する表面形状算出手段。
なお,「相対的に移動する被測定物の表面」とは,被測定物の表面自体が,その被測定物の直線移動や回転等によって移動する場合と,被測定物自体は固定された状態で,当該形状測定装置におけるライン光の照射及びその像の撮像を行う光学系が被測定物の表面に沿って移動する場合とを含むことを意味する。
例えばタイヤや金属のように光沢のある被測定物の表面にライン光を照射した場合,特定の方向(カメラの撮像範囲)に向かう散乱反射光よりも正反射光の方が光量が大きくなる。また,被測定物の表面が湾曲している場合,ライン長の長い1本のライン光の像(光切断線の像)を,そのライン光の主光線(中心線に沿う光)の正反射方向において前記撮像手段による撮像を行っても,そのライン光のうち主光線から両外側へ離れた光線の正反射光は撮像手段に到達せず,光切断線の像全体のうち中心から離れた部分については,やはり前記撮像手段に到達する反射光の光量が不足して明瞭な像が得られない。
これに対し,本発明に係る形状測定装置において,前記撮像手段は,被測定物の表面に照射されたライン光の正反射方向において光切断線の像(ライン光の像)を撮像するので,ライン光の強度を増強することなく,十分に高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)で撮像を行っても,明瞭な光切断線の像を得ることができる。しかも,前記ライン光照射手段が,ライン長の短い複数のライン光をその長手方向(前記第2方向)において占める範囲が相互にずれた状態で被測定物の表面に照射し,その複数のライン光それぞれの主光線の正反射方向に前記撮像手段が位置する。そのため,本発明によれば,前記第2方向において比較的広範囲に渡る複数の光切断線の像全体について明瞭な像を得ることができる。
また,本発明においては,複数の光切断線が被測定物の表面において分離して形成されるため,それら光切断線相互の間隔を,被測定物の表面形状に応じて変化する複数の光切断線の位置変動幅に対して十分な間隔に設定しておけば,撮像画像の座標系において,複数の光切断線それぞれに対応する独立した複数の前記画像処理対象領域を予め設定することができる。ここで示す「複数の光切断線それぞれに対応する画像処理対象領域」は,その画像処理対象領域それぞれの画像中には,その領域と1対1で対応する光切断線の像のみが存在し,それ以外の光切断線の像が存在することがない領域であることを意味する。
なお,前記複数の分離した光切断線それぞれに対応する前記複数の独立した画像処理対象領域は,例えば,当該形状測定装置により,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(前記撮像手段による撮像)を行い,得られた撮像画像における複数の光切断線の像の位置(座標)から算出することができる。
ところで,被測定物の表面に複数のライン光を照射する場合,その被測定物の表面に一本の光切断線が形成されるように,複数のライン光を連ねて照射することも考えられる。そうすれば,その一本の光切断線の画像について,従来一般的に行われている光切断法に基づく画像処理を行うだけで,被測定物の表面形状を測定することができる。
しかしながら,被測定物の表面に一本の光切断線が形成されるように複数のライン光それぞれの光学系の位置合わせを高精度に行う必要があり,その位置合わせの手間及び時間は検査効率の悪化を招く。
図10は,被測定物の表面に複数の光切断線を連ねて一本の光切断線を形成させる際にそれら光切断線の像v1〜v3に位置ずれが生じた様子を模式的に表した図である。なお,図10は,光切断線が3本(照射するライン光が3本)である例を示すが,その本数が2本又は4本以上の場合も考えられる。
図10に示すように,複数の光切断線の像v1〜v3に位置ずれ(図中,波線で囲まれた部分)が生じた場合,光切断線の長手方向に直交する方向(図10におけるX軸方向)の1ラインごとに最高輝度の画素の位置を検出するという単純な処理(通常行われる処理)では,光切断線の像の位置(座標)を正しく検出できない。
また,被測定物の表面における複数の光切断線の像v1〜v3相互の位置に若干の位置ずれが生じることを許容し,その位置ずれを考慮した光切断線の座標検出処理(画像処理)を行うと,その演算負荷が大きくなり,実用的な(比較的安価な)回路やプロセッサによっては,高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)に対応した高速な画像処理が困難となる。
一方,本発明においては,前記光切断線座標検出手段が,前記複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記複数の分離した光切断線の像それぞれの座標を検出するので,例えば,1ラインごとに最高輝度の画素の位置を検出するという単純な処理(高速な処理)によって光切断線の像の座標を検出できる。即ち,高い撮像レートで光切断線の像の撮像を行っても,被測定物の表面に照射したライン光の明瞭な像を得ることができ,さらに,そのような高い撮像レートに対応できるよう光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くできる。
また,本発明においては,前記第2方向の各位置(座標)ごとに,一定単位の前記移動に応じて(例えば,被測定物が回転するタイヤである場合にはその回転の一定の角度周期で)検出された複数の前記光切断線座標から算出される被測定物の表面高さを並べれば,それは前記第1方向における表面高さ分布を表す。そのため,前記表面形状算出手段により,少なくとも前記第1方向における表面高さ分布を算出することができる。
被測定物の表面の検査において,前記第2方向の各位置における,前記第1方向(被測定物の表面の移動方向)の一次元のプロファイルを得られれば十分な場合は,前記表面形状算出手段の算出結果を利用できる。
また,本発明に係る形状測定装置が,前記被測定物における複数の面それぞれについて並行して前記ライン光の照射及びそのライン光の像の撮像を行う複数組の前記第ライン光照射手段及び前記撮像手段のセットを具備することが考えられる。
これにより,被測定物の複数の面(例えば,タイヤのサイドウォール面及びトレッド面)の形状測定を同時に行うことができ,被測定物の検出対象面全体の形状測定に要する時間を短縮できる。
その場合,前記被測定物における複数の面それぞれに対応する複数の前記ライン光照射手段がそれぞれ異なる波長の前記ライン光を出力するものであれば好適である。
例えば,複数の前記撮像手段それぞれの撮像画像について,所定の画像処理手段により対応する波長(色)の像をライン光の像として抽出することが考えられる。或いは,当該形状測定装置が,複数の前記撮像手段それぞれへの入射光の光路に,対応する波長の光を選択的に透過させる光フィルタを備えることも考えられる。
これにより,被測定物の複数の面について,ある面の形状測定において他の面で用いられているライン光がノイズ光となることを防止できる。
また,本発明に係る形状測定装置が,さらに,次の(1−5)又は(1−6)のいずれかに示す構成要素を備えればなお好適である。
(1−5)前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向においてコリメートするコリメート手段。
(1−6)前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向において集光する集光手段。
これにより,湾曲した被測定物の表面に照射される複数のライン光それぞれの長さを多少長くしても,その主光線から両外側へ離れた光線の正反射方向を,前記撮像手段の方向に近づけることができる。その結果,ライン光の数を少なくして装置を簡素化できる。
また,本発明に係る形状測定装置において,前記ライン光照射手段が,前記被測定物の表面に,前記第2方向において隣り合うものどうしについてその第2方向(光切断線の長手方向)における端部の位置が重複する前記複数の分離した光切断線を形成させることが考えられる。
これにより,被測定物表面の形状(高さ分布)の測定データを,前記第2方向において欠落無く(連続的に)得ることができる。
また,本発明に係る形状測定装置において,前記光切断線座標検出手段が,前記複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれについて,前記第1方向の1ラインごとに最高輝度の画素の座標を検出することによって前記光切断線座標を検出することが考えられる。
これにより,演算負荷の低い簡易な処理によって光切断線の座標を検出できる。
また,被測定物の表面形状(表面の高さ)の変動(個体差)が,複数の光切断線相互の間隔に対して小さければ,複数の光切断線それぞれに対応する前記画像処理対象領域の座標は固定であっても特に問題は生じない。しかしながら,表面形状の変動が大きい場合,複数の前記画像処理対象領域の座標を固定していると,光切断線の位置がそれに対応する前記画像処理対象領域から外れた状態(以下,領域外れ状態という)となり,光切断線を正常検知できなくなる恐れがある。但し,タイヤのように表面形状が緩やかに変化する被測定物については,その表面形状の変動が大きい場合でも,複数の光切断線は,相互の相対的な位置関係については小さな変動範囲内で保たれ,それら全体の位置(特に,前記第1方向の位置)が大きく変動することになる。
そこで,本発明に係る形状測定装置が,さらに,次の(1−7)に示す構成要素を備えればなお好適である。
(1−7)前記撮像手段の撮像画像における1又は複数の予め定められた領域内の所定レベル以上の輝度の画素の位置を検出し,予め定められた複数の独立した基準領域の座標を前記所定レベル以上の輝度の画素の検出位置に応じてシフトすることによって前記複数の独立した画像処理対象領域の座標を自動設定する画像処理対象領域自動設定手段。
このように,被測定物の表面高さが所定の基準の高さである場合に対応した前記複数の独立した基準領域の座標を予め設定しておき,被測定物の表面形状の変動が大きくても特定の1つの光切断線のみが必ずその領域を通過することを見込める領域(前記予め定められた領域)の画像について,所定レベル以上の輝度の画素の位置(即ち,前記特定の1つの光切断線の一部の位置)を検出し,その検出位置に基づいて,前記基準領域の座標(特に,前記第1方向に対応する座標)から前記画像処理対象領域の座標へのシフトを行えば,前記領域外れ状態となることを回避できる。
ところで,本発明においては,被測定物の表面において複数の光切断線が分離して形成されるため,1つの撮像画像における複数の光切断線それぞれから算出される被測定物表面の形状(前記第2方向における高さ分布(一次元のプロファイル))は,前記第1方向における位置が異なるもの(第1方向における位置が所定の移動量だけシフトされたもの)が混在する。そこで,被測定物の表面の検査において,その被測定物の表面の二次元(前記第1方向及び第2方向)のプロファイルが必要な場合,本発明に係る形状測定装置が,次の(1−8)に示す構成を備えればよい。
(1−8)前記表面形状算出手段が,前記光切断線座標検出手段により検出された複数の前記光切断線座標と,前記複数の分離した光切断線相互の前記第1方向における位置ずれ量に対応する前記移動のシフト量について予め設定された設定シフト情報と,に基づいて,前記被測定物の前記第1方向及び前記第2方向における表面高さ分布を算出する。
なお,前記移動のシフト量は,例えば,当該形状測定装置により,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(前記撮像手段による撮像)を行い,得られた撮像画像に基づく画像処理等によって算出することができる。
また,被測定物がタイヤである場合,表面に文字が記されるタイヤのサイドウォール面の形状測定においては,前述したように,その文字とライン光の像とを識別するために,高い撮像レートで撮像を行うことによって高い空間分解能を確保する必要がある。本発明は,そのような検出対象への適用に好適である。
そこで,被測定物がタイヤである場合,本発明に係る形状測定装置が,以下の構成を備えれば好適である。
即ち,前記ライン光照射手段が,前記タイヤのサイドウォール面にそのタイヤの半径方向に略平行な前記第2方向に伸びる前記複数の分離した光切断線を形成させる第1のライン光照射手段を備える。さらに,前記撮像手段が,前記第1のライン光照射手段により前記タイヤのサイドウォール面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する第1の撮像手段を備える。
これにより,タイヤのサイドウォール面の形状を高速かつ高い空間分解能で検出できる。
また,被測定物がタイヤである場合,本発明に係る形状測定装置が,さらに以下の構成を備えることも考えられる。
即ち,前記ライン光照射手段が,前記タイヤのトレッド面における前記タイヤの周方向に直交する方向に略平行な前記第2方向に伸びる前記複数の分離した光切断線を形成させる第2のライン光照射手段を備える。さらに,前記撮像手段が,前記第2のライン光照射手段により前記タイヤのトレッド面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する第2の撮像手段を備える。
また,本発明は,以上に示した形状測定装置を用いて,相対的に移動する被測定物の表面に照射したライン光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって前記被測定物の表面形状を検出する形状測定方法として捉えることもできる。
即ち,本発明に係る形状測定方法は,次の(2−1)〜(2−4)に示す各工程を実行する測定方法である。
(2−1)前記被測定物の表面の検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を照射することにより,前記被測定物の表面に,前記被測定物の表面の移動方向である第1方向に直交する第2方向に伸びるとともにその第2方向において占める範囲が相互にずれている複数の分離した光切断線を形成させるライン光照射手段,及び前記被測定物の表面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する撮像手段を,前記複数のライン光それぞれの主光線に沿う光が前記被測定物の表面に対して正反射する方向に前記撮像手段の視野範囲が位置するように保持した状態で,前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に前記複数のライン光を照射しつつ,前記複数の分離した光切断線の像を一定単位の前記移動に応じて前記撮像手段により撮像するライン光照射・撮像工程。
(2−2)所定の演算手段により,前記ライン光照射・撮像工程により得られる複数の撮像画像それぞれについて,前記撮像手段の撮像画像の座標系における前記複数の分離した光切断線それぞれに対応して予め設定された複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記光切断線の像の座標である光切断線座標を個別に検出する光切断線座標検出工程。
(2−3)所定の演算手段により,前記光切断線座標検出工程により検出された複数の前記光切断線座標に基づいて前記被測定物の表面高さ分布を算出する表面形状算出工程。
これにより,本発明に係る形状測定方法は,本発明に係る形状測定装置と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば,タイヤや金属部材等の光沢のある被測定物の表面に照射したライン光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって被測定物の表面形状を検出する場合に,ライン光の強度を増強することなく,十分に高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)でライン光の像の撮像を行っても,被測定物の表面に照射したライン光の明瞭な像を得ることができる。その結果,被測定物に熱的損傷を生じさせることなく,その表面形状を高速かつ高い空間分解能で検出することができる。
さらに,本発明によれば,前記複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記複数の分離した光切断線の像それぞれの座標を検出するので,例えば,1ラインごとに最高輝度の画素の位置を検出するという単純な処理(高速な処理)によって光切断線の像の座標を検出できる。その結果,高い撮像レートに対応できるよう光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くできる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る形状測定装置Wの概略構成を表す図,図2は形状測定装置Wが備えるセンサユニットにおける光源及びカメラの三次元配置を模式的に表した図,図3は特定の方向(Y軸方向)から見たときのセンサユニットにおけるライン光源及びカメラの配置を模式的に表した図,図4はライン光の主光線が到達する位置のタイヤ表面に垂直な方向から見たときのセンサユニットにおけるライン光源及びカメラの配置を模式的に表した図,図5はセンサユニットにおいてライン光がコリメートされる様子を模式的に表した図,図6はセンサユニットにおいてライン光が集光される様子を模式的に表した図,図7は形状測定装置Wにおけるカメラによるタイヤの撮像画像の一例を模式的に表した図,図8は形状測定装置Wにより得られる測定データの分布及びデータシフトの様子を模式的に表した図,図9は形状測定装置Wにおけるカメラによる校正用の被測定物の撮像画像の一例を模式的に表した図,図10は被測定物の表面に複数の光切断線を連ねて一本の光切断線を形成させる際にそれら光切断線に位置ずれが生じた様子を模式的に表した図である。
まず,図1を参照しつつ,本発明の実施形態に係る形状測定装置Wの全体構成について説明する。
本発明の実施形態に係る形状測定装置Wは,回転するタイヤ1(被測定物の一例)の表面に照射したライン光の像v1〜v3(光切断線の像)をカメラによって撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによってタイヤ1の表面形状を検出する装置である。タイヤ1がその回転軸1gの周りに回転することにより,タイヤ1の表面はライン光やカメラに対して移動する。
図1に示すように,形状測定装置Wは,タイヤ回転機2,センサユニット3,ユニット駆動装置4,エンコーダ5及び画像処理装置6等を備えている。
前記タイヤ回転機2は,形状測定の対象であるタイヤ1をその回転軸1gを中心に回転させるモータ等の回転装置である。例えば,前記タイヤ回転機2は,タイヤ1を60rpmの回転速度で回転させる。これにより,形状測定装置Wは,タイヤ1を1回転させる1秒の間に,後述するセンサユニット3によって,タイヤ1のトレッド面及びサイドウォール面の全周範囲の表面形状を検出する。
前記センサユニット3は,回転するタイヤ1の表面にライン光を照射する光源及びタイヤ1の表面上の光切断線の像(ライン光の像)を撮像するカメラなどが組み込まれたユニットである。本実施形態では,タイヤ1の2つのサイドウォール面それぞれの形状測定に用いられる2つのセンサユニット3a,3cと,タイヤ1のトレッド面の形状測定に用いられる1つのセンサユニット3bとを併せて3つのセンサユニット3を備えている。これらセンサユニット3の詳細については後述する。
前記ユニット駆動装置4は,センサユニット3それぞれをサーボモータ等の駆動装置を駆動源として移動可能に支持し,タイヤ1に対する各センサユニット3の位置を位置決めする装置である。前記ユニット駆動装置4は,所定の操作部に対する操作に応じて,又は外部装置からの制御指令に応じて,タイヤ1が前記タイヤ回転機2に対して着脱される前に,各センサユニット3をタイヤ1から離間した所定の退避位置に位置決めし,新たなタイヤ1が前記タイヤ回転機2に装着された後,各センサユニット3をタイヤ1に近接した所定の検査位置に位置決めする。
前記エンコーダ5は,前記タイヤ回転機2の回転軸の回転角度,即ち,タイヤ1の回転角度を検出するセンサであり,その検出信号は,前記センサユニット3が備えるカメラの撮像タイミングの制御に用いられる。
前記画像処理装置6は,前記エンコーダ5の検出信号に基づいて,前記センサユニット3が備えるカメラのシャッター制御(撮像タイミングの制御)を行う。例えば,前記画像処理装置6は,60rpmの速度で回転するタイヤ1が0.09°(=360°/4000)回転したことが前記エンコーダ5によって検出されるごとに,前記カメラのシャッターが切られるよう制御する。これにより,1秒間に4000フレームの撮像レートでの撮像が行われる。
さらに,前記画像処理装置6は,前記センサユニット3が備えるカメラによって撮像された画像,即ち,タイヤ1の表面に照射したライン光の像(光切断線の像)の撮像画像のデータを入力し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出処理を実行し,その検出結果である形状データ(タイヤ1表面の高さ分布を表すデータ)を不図示のホストコンピュータへ出力する。その際,前記画像処理装置6は,タイヤ1のサイドウォール面については,所定の画像処理を実行することにより,そこに記されている文字の画像を除去してライン光の画像のみを抽出し,抽出したライン光の画像に基づいて,光切断法による形状検出処理を実行する。この画像処理装置6は,例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現される。
そして,前記ホストコンピュータが,タイヤ1の各面ごとに検出された表面形状が,タイヤ1の各面ごとに予め設定された許容条件を満たすか否かを判別し,その判別結果を所定の表示部に表示,或いは所定の制御信号として出力する。
なお,光切断法による形状検出処理は周知であるのでここでは説明を省略する。
次に,図2〜図4を参照しつつ,前記センサユニット3について説明する。
図2に示すように,前記センサユニット3は,複数のライン光を出力する投光装置10と,カメラ20とを備えている。
図2において,X軸はタイヤ1の形状測定位置におけるタイヤ回転の円周に接する方向,Z軸はタイヤ1の形状測定位置における検出高さ方向(検出する表面高さの方向),Y軸はX軸及びZ軸に直交する方向を表す。
即ち,タイヤ1のサイドウォール面の形状測定に用いられる前記センサユニット3a,3cにおいては,Z軸はタイヤ1の回転軸1gの方向であり,Y軸はタイヤ1の半径方向(タイヤ1の回転軸1gに対する法線の方向)である。
また,タイヤ1のトレッド面の形状測定に用いられる前記センサユニット3bにおいては,Z軸はタイヤ1の半径方向であり,Y軸はタイヤ1の回転軸1gの方向である。
前記投光装置10は,複数(図2では3つ)のライン光源11〜13を備え,それら複数のライン光源11〜13により,タイヤ1の表面に同数(複数)の分離した光切断線Ls1〜Ls3が形成されるように,その光切断線Ls1〜Ls3における検出高さ方向(Z軸方向)とは異なる方向から照射する装置である。
図7は,カメラ20によるタイヤ1の撮像画像の一例を模式的に表した図である。図7に示すように,
図7に示すように,投光装置10は,タイヤ1の表面に,その回転によるタイヤ1の表面の移動方向であるX軸方向(前記第1方向に相当)に直交するY軸方向(前記第2方向に相当)に伸びるとともに,そのY軸方向において占める範囲が相互にずれている(即ち,Y軸方向における中心位置がそれぞれ異なる)複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3を形成させる(前記ライン光照射手段の一例)。これら光切断線Ls1〜Ls3それぞれのX軸方向の座標は,タイヤ1の表面高さに応じて変化する。
また,図7に示すように,投光装置10は,タイヤ1の表面に,Y軸方向において隣り合うものどうしについてそのY軸方向(光切断線Ls1〜Ls3の長手方向)における端部の位置が重複する複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3を形成させる。これにより,タイヤ表面の形状(高さ分布)の測定データを,Y軸において欠落無く(連続的に)得ることができる。
なお,図7に示す例では,一部の光切断線Ls1,Ls3のX軸方向の座標がほぼ同じであるが,全ての光切断線Ls1〜Ls3それぞれのX軸方向の座標が異なることも考えられる。
また,前記カメラ20は,カメラレンズ22及び撮像素子21(受光部)を備え,タイヤ1の表面に照射された複数のライン光の像v1〜v3(光切断線の像)を,それら複数のライン光それぞれの主光線Li1〜Li3がタイヤ1の表面に対して正反射する方向において撮像するものである(前記撮像手段の一例)。
従って,サイドウォール面用の前記センサユニット3a,3cにおいては,前記投光装置10は,タイヤ1のサイドウォール面におけるタイヤ1の半径方向に平行なY軸方向に複数の光切断線Ls1〜Ls3が形成されるように,その光切断線Ls1〜Ls3による検出高さ方向(Z軸方向)とは異なる方向から複数のライン光を照射する(前記第1のライン光照射手段の一例)。
一方,トレッド面用の前記センサユニット3bにおいては,前記投光装置10は,タイヤ1のトレッド面におけるタイヤの周方向(タイヤ表面の移動方向)に直交する方向であるY軸方向に複数の光切断線Ls1〜Ls3が形成されるように,その光切断線Ls1〜Ls3による検出高さ方向(Z軸方向)とは異なる方向から複数のライン光を照射する(前記第2のライン光照射手段の一例)。
なお,本実施形態では,タイヤ1の各面ごとに(前記センサユニット3ごとに)3つのライン光を照射することを例示するが,前記ライン光源11〜13の数を増減することにより,タイヤ1の各面ごとに2つのライン光,或いは4つ以上のライン光を照射することも考えられる。
また,投光装置10及びカメラ20は,不図示の保持機構により,ライン光源11〜13から出力される複数のライン光それぞれの主光線(中心線に沿う光)が,タイヤ1の表面に対して正反射する方向にカメラ20の視野範囲が存在するように保持されている。これにより,カメラ20は,複数のライン光それぞれの主光線がタイヤ1の表面に対して正反射する方向において複数の光切断線の像v1〜v3を撮像する(前記撮像手段の一例)。例えば,投光装置10及びカメラ20の位置関係は,まず,カメラ20の位置及び向きを光切断線の検出高さ方向とは異なる方向において設定した上で,ライン光それぞれの主光線の正反射光がそのカメラ20の撮像範囲に向かうように投光装置10における各ライン光源11〜13の位置及び向きを設定するというプロセスによって設計することが考えられる。もちろんその逆の手順で投光装置10及びカメラ20の位置関係を定めてもよい。
即ち,サイドウォール面用の前記センサユニット3a,3cにおけるカメラ20は,ライン光源10によりタイヤ1のサイドウォール面に照射された複数のライン光の像v1〜v3(光切断線Ls1〜Ls3の像)を,その複数のライン光それぞれの主光線がサイドウォール面に対して正反射する方向において撮像する(前記第1の撮像手段の一例)。
また,トレッド面用の前記センサユニット3bにおけるカメラ20は,ライン光源10によりタイヤ1のサイドウォール面に照射された複数のライン光の像v1〜v3を,その複数のライン光それぞれの主光線がサイドウォール面に対して正反射する方向において撮像する(前記第1の撮像手段の一例)。
図3及び図4は,前記センサユニット3におけるライン光源10及びカメラ20の配置を模式的に表した図であり,図3はY軸方向からみたとき,図4はライン光の主光線それぞれが到達する位置P1,P2,P3(以下,主光線到達位置という)のタイヤ表面に垂直な方向から見たときの状態を表す。なお,図3(a),図4(a)及び図4(c)はサイドウォール面用の前記センサユニット3a,3bについての図,図3(b)及び図4(b)はトレッド面用の前記センサユニット3bについての図である。
図3(a),(b)に示すように,サイドウォール面及びトレッド面のいずれに対する前記センサユニット3においても,Y軸方向から見た場合,複数のライン光それぞれにおける主光線Li1,Li2,Li3がZ軸に対してなす角度(又はタイヤ1の表面に対してなす角度)と,それに対応する前記主光線到達位置P1,P2,P3と前記カメラ20の撮像素子21の中心とを結ぶ線(以下,撮像中心線Lo1,Lo2,Lo3という)がZ軸方向に対してなす角度(又は,タイヤ1の表面に対してなす角度)とが等しくなるように,各ライン光源11〜13とカメラ20とが保持される。
また,図4(a)〜(c)に示すように,サイドウォール面及びトレッド面のいずれに対する前記センサユニット3においても,前記主光線到達位置P1,P2,P3のタイヤ表面に垂直な方向から見た場合 複数のライン光それぞれにおける主光線Li1,Li2,Li3と,それに対応する前記撮像中心線Lo1,Lo2,Lo3とが一の直線をなすように,各ライン光源11〜13とカメラ20とが保持される。
なお,以上に示した前記投光装置10及び前記カメラ20の位置関係は,ライン光の主光線が到達するタイヤ1の表面(前記主光線到達位置P1〜P3の面)を基準として設定される位置関係として示した。その位置関係は,被検体であるタイヤ1ごとに前記投光装置10及び前記カメラ20の位置が設定されることを意味するものではなく,検査対象となるタイヤ1の平均的な表面形状を基準として設定されることを意味する。例えば,検査対象となるタイヤ1の平均的な表面形状を表す仮想の基準面を想定し,前記投光装置10及び前記カメラ20を,タイヤ1の表面に照射された複数のライン光それぞれの主光線が,前記基準面に対して正反射する方向に前記カメラ20の撮像範囲が位置するよう所定の保持機構により保持する。
一方,前記画像処理装置6は,タイヤ1が1回転する間に,エンコーダ5によってタイヤ1が一定の単位角度(例えば,0.09°)だけ回転したことが検出されるごとに(即ち,一定の角度周期で)カメラ20によって得られる複数の撮像画像(1回転分(360度分)の画像)それぞれについて,そのカメラ20の撮像画像の座標系における予め設定された複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3(図7参照)の画像それぞれから,光切断線Ls1〜Ls3の像v1〜v3の座標(以下,光切断線座標という)を個別に検出する光切断線座標検出処理を実行する(前記光切断線座標検出手段の一例)。ここで,複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3は,タイヤ1表面に形成される複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3それぞれに対応してその座標が予め設定される領域である。
図7に示すように,形状測定装置Wは,複数の光切断線Ls1〜Ls3を,タイヤ1の表面において分離して形成させる。このため,それら光切断線Ls1〜Ls3相互の間隔を,タイヤ1の表面形状に応じて変化する複数の光切断線Ls1〜Ls3の位置変動幅に対して十分な間隔に設定しておけば,カメラ20の撮像画像の座標系において,複数の光切断線Ls1〜Ls3それぞれに対応する独立した複数の画像処理対象領域A1〜A3を予め設定することができる。
図7に示す例では,X座標がx1以上かつY座標がy1未満の領域A1が,光切断線Ls1に対応する領域である。また,X座標がx1未満かつY座標がy1以上,y2未満の領域A2が,光切断線Ls2に対応する領域である。同様に,X座標がx1以上かつY座標がy2以上の領域A3が,光切断線Ls3に対応する領域である。これら画像処理対象領域A1〜A3は,各画像処理対象領域A1〜A3の画像中には,その領域と1対1で対応する光切断線Ls1〜Ls3の像v1〜v3のみが存在し,それ以外の光切断線の像が存在することがない領域である。
これら複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3は,例えば,当該形状測定装置Wにより,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(カメラ20による撮像)を行い,得られた撮像画像における複数の光切断線Ls1〜Ls3の像v1〜v3の位置(座標)と,タイヤ1の表面形状の変動範囲の推定幅とに基づいて算出され,画像処理装置6のメモリに記憶される。
また,画像処理装置6は,複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3の画像それぞれについて,X軸方向(タイヤ表面の移動方向,前記第1方向に相当)の1ラインごとに最高輝度の画素の座標を検出することによって前記光切断線座標を検出する。このように,画像処理装置6は,複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3の画像それぞれから,複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3の像v1〜v3それぞれの座標を検出するので,1ラインごとに最高輝度の画素の位置を検出するという単純な処理(高速な処理)によって光切断線Ls1〜Ls3の像v1〜v3の座標を検出できる。その結果,高い撮像レート(例えば,1秒間に4000フレーム)で光切断線Ls1〜Ls3の像の撮像を行っても,そのような高い撮像レートに対応できるよう光切断線検出に要する画像処理の演算負荷を低くできる。
以上のようにして得られた各光切断線Ls1〜Ls3のY座標は,光切断線Ls1〜Ls3の長手方向の位置,即ち,タイヤ1のサイドウォール面においてはタイヤ1の半径方向の位置,タイヤ1のトレッド面においてはタイヤ1の回転軸方向の位置をそれぞれ表す。また,各光切断線Ls1〜Ls3のX座標は,タイヤ1の表面高さを表す。
そして,画像処理装置6は,撮像画像から検出した光切断線Ls1〜Ls3の座標(回転角度に応じて検出された複数の光切断線座標)について,予め設定された換算係数によりX座標をタイヤ表面の高さに換算し,換算後のタイヤ表面の形状情報,即ち,タイヤ1の回転角度の情報(例えば,エンコーダ5のカウント数)と光切断線Ls1〜Ls3のY座標及びタイヤ表面高さとの対応情報を,ホストコンピュータへ出力する。
ここで,Y軸方向(前記第2方向に相当)の各位置(座標)ごとに,タイヤ1の回転角度に応じて(一定の角度周期で)検出された複数の前記光切断線座標から算出されるタイヤ1の表面高さを並べれば,それはタイヤ表面の移動方向における一次元の表面高さ分布を表す。従って,タイヤ1の回転角度の情報と光切断線Ls1〜Ls3のY座標及びタイヤ表面高さとの対応情報は,タイヤ1の表面の移動方向(前記第1方向に相当)における表面高さ分布を表す情報である。なお,X座標をタイヤ1の表面高さに換算する処理を実行する画像処理装置6が,前記第1の表面形状算出手段の一例である。
光切断線Ls1〜Ls3のX座標をタイヤ1の表面高さに換算する換算係数の設定に際し,例えば,当該形状測定装置Wにより,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(カメラ20による撮像)が行われ,得られた撮像画像における複数の光切断線Ls1〜Ls3の像の位置(座標)と校正用の被測定物の表面高さとの対応関係から前記換算係数が算出され,その算出結果が画像処理装置6のメモリに記憶される。
或いは,前記校正用の被測定物の測定により,タイヤ1の表面高さを光切断線Ls1〜Ls3のX座標に換算する換算係数を予め算出してホストコンピュータのメモリに記憶させておき,ホストコンピュータにおいて,タイヤの表面形状をX座標の大小によって評価することも考えられる。
ところで,タイヤ表面の検査において,Y軸方向の各位置において,X軸方向(タイヤ表面の移動方向)の一次元のプロファイルを得られれば十分な場合は,前述したX座標の表面高さへの換算を行えば十分である。
一方,タイヤ表面の検査において,タイヤ表面の二次元(X軸方向及びY軸方向)のプロファイルが必要な場合,X座標の表面高さへの換算のみでは不十分である。
図8は,形状測定装置Wにより得られる測定データの分布及びデータシフトの様子を模式的に表した図である。
図8(a)は,画像処理対象領域A1〜A3それぞれについて,タイヤ表面の高さ情報が,データ測定時のタイヤ1の回転角度の情報(回転角度或いはエンコーダ5の出力パルスのカウント数等)をグラフの横軸,光切断線Ls1〜Ls3のY座標(光切断線の長手方向)をグラフの縦軸として配列された様子を模式的に表した図である。
形状測定装置Wにおいては,図7に示したように,画像処理対象領域A1〜A3それぞれに対応する光切断線Ls1〜Ls3が分離して形成されるため,1つの撮像画像における複数の光切断線Ls1〜Ls3それぞれから算出されるタイヤ表面の形状(光切断線の長手方向における高さ分布)は,タイヤ表面の移動方向(X軸方向)における位置が異なるものが混在する。図8においては,領域A1及びA3それぞれについての一部の測定データd11,d31と,領域A2についての一部の測定データd21とが,タイヤ表面の移動方向における位置が一致するデータであることを表す。同様に,領域A1及びA3それぞれについての一部の測定データd12,d32と,領域A2についての一部の測定データd22とが,タイヤ表面の移動方向における位置が一致するデータであることを表す。なお,図8に示す例は,画像処理対象領域A1,A3それぞれに対応する測定データのX軸方向における位置ずれが無い場合の例である。
このようにタイヤ表面の移動方向(X軸方向)における位置のずれを回転角度に換算した量をタイヤ回転角度のシフト量θsとすると,図8(a)に示すように,画像処理対象領域A1,A2それぞれに対応する測定データ相互間で,タイヤ表面におけるX軸方向(タイヤ表面移動方向)の位置を一致させるためには,測定時の回転角度についてθs分だけシフトしなければならない。
図8(b)は,画像処理対象領域A1,A2それぞれに対応する測定データについて,測定時の回転角度がθs分だけシフトされた後の各画像処理対象領域A1〜A3に対応するタイヤ表面の高さ情報が,タイヤ表面におけるその移動方向の位置の情報をグラフの横軸,光切断線Ls1〜Ls3のY座標(光切断線の長手方向)をグラフの縦軸として配列された様子を模式的に表した図である。
そこで,形状測定装置Wにおいて,画像処理装置6或いは前記ホストコンピュータが,画像処理装置6によりタイヤ1の回転角度に応じて検出された複数の前記光切断線座標と,複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3相互のX軸方向(前記第1方向に相当)における位置ずれ量に対応するタイヤ回転角度のシフト量θsに関する設定情報(以下,角度シフト情報という)とに基づいて,タイヤ1のX軸方向(前記第1方向)及びY軸方向(前記第2方向)における表面高さ分布を算出することも考えられる(前記第2の表面形状算出手段の一例)。ここで,角度シフト情報は,タイヤ回転角度のシフト量θs又はそれに相当する情報であり,予め設定された情報(画像処理装置6又は前記ホストコンピュータのメモリに予め記憶された情報)である。なお,角度シフト情報は,複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3相互のX軸方向(前記第1方向に相当)における位置ずれ量に対応する回転移動のシフト量(ここでは,回転角度のシフト量)について予め設定された情報であり,前記設定シフト情報の一例である。
より具体的には,画像処理装置6或いは前記ホストコンピュータが,画像処理装置6は,前述したように,回転角度に応じて検出された複数の光切断線座標について,予め設定された換算係数によりX座標をタイヤ表面の高さに換算する処理と,予め設定された前記角度シフト情報に従って,画像処理対象領域A1〜A3それぞれについて検出した複数の光切断線座標をタイヤ回転角度のシフト量θsに相当する分だけ相互にシフトする処理とを実行することにより,タイヤ1表面の移動方向(前記第1方向)及びそれに直交する方向(前記第2方向)における表面高さ分布を算出する。
また,タイヤ回転角度のシフト量θsは,当該形状測定装置Wにより,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(カメラ20による撮像)を行い,得られた撮像画像に基づく画像処理等によって算出される情報である。
図9は,形状測定装置Wのカメラにより,形状が既知の校正用の被測定物を撮像して得られた撮像画像の一例を模式的に表した図である。
図9に示す撮像画像に対応する前記校正用の被測定物は,その測定面が平面であり,その測定面にタイヤの回転角度を表す目盛りmkが表記されている。
形状測定装置Wにより,このような校正用の被測定物の測定(カメラ20による撮像)を事前に行い,得られた撮像画像について,光切断線Ls1〜Ls3相互のX軸方向における位置ずれ幅に相当するタイヤの回転角度を,メモリmkにより読み取れば,その読み取り角度がタイヤ回転角度のシフト量θsとなる。
形状測定装置Wを用いた測定において,タイヤ表面形状(タイヤ表面の高さ)の変動(個体差)が,複数の光切断線Ls1〜Ls3相互の間隔に対して小さければ,複数の光切断線Ls1〜Ls3それぞれに対応する前記画像処理対象領域A1〜A3の座標は固定であっても特に問題は生じない。
しかしながら,タイヤ表面形状の変動が大きい場合,複数の前記画像処理対象領域A1〜A3の座標を固定していると,光切断線Ls1〜Ls3の位置がそれに対応する前記画像処理対象領域A1〜A3から外れた状態(以下,領域外れ状態という)となり,光切断線Ls1〜Ls3の座標を正常検知できなくなる恐れがある。
但し,タイヤ1の表面形状は緩やかに変化するという特質から,タイヤ表面形状の変動が大きい場合,複数の光切断線Ls1〜Ls3は,相互の相対的な位置関係については小さな変動範囲内で保たれ,それら全体の位置(特に,X軸方向の位置)が大きく変動することになる。
そこで,形状測定装置Wにおいて,画像処理装置6が,画像処理対象領域A1〜A3の座標を自動設定する処理を事前に(本測定の前に)実行することが考えられる(前記画像処理対象領域自動設定手段の一例)。
より具体的には,画像処理装置6が,カメラ20の撮像画像における1又は複数の予め定められた領域A0(以下,試行領域という)内において所定の設定レベル以上の輝度の画素の位置を検出し,予め設定された複数の独立した基準領域の座標(画像処理対象領域A1〜A3それぞれに対応する基準となる領域)を,前記試行領域における前記設定レベル以上の輝度の画素の検出位置に応じてシフトすることにより,複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3の座標を自動設定する。
ここで,前記基準領域の座標は,例えば,当該形状測定装置Wにより,予め形状が既知の校正用の被測定物の測定(カメラ20による撮像)を行い,得られた撮像画像における複数の光切断線Ls1〜Ls3の像の位置(座標)に基づいて算出され,画像処理装置6のメモリに記憶される。
また,前記設定レベルは,それ以上の輝度の画素であれば光切断線の像の一部であると認められる程度の輝度レベルである。
例えば,画像処理装置6は,図7に示すように,Y軸方向の座標が最も小さい位置から同座標が所定値y0となる位置までの前記試行領域A0について,Y軸方向の座標が最も小さい位置から順にX軸方向の1ラインずつ最高輝度の画素の座標及びその輝度を検出しつつ,その検出輝度が前記設定レベル以上であるか否かを判別する。さらに,画像処理装置6は,その最高輝度の画素の輝度が最初に前記設定レベル以上となったときのその画素のX座標や,或いはその最高輝度の画素の輝度が最初に連続して所定ライン分(例えば,2〜3ライン分)について前記設定レベル以上となったときのそれらの画素のX座標の平均値に応じて,複数の独立した前記基準領域全体のX座標をシフトし,シフト後の座標を前記画像処理対象領域A1〜A3として自動設定し,所定のメモリに記憶させる。
例えば,図7に示す例では,前記設定レベル以上の輝度の画素のX座標と,前記校正用の被測定物の測定により得られた光切断線Ls1のX座標との差を,前記基準領域の座標から前記画像処理対象領域A1〜A3の座標へのシフト量とする。
このように,タイヤ1の表面高さが所定の基準の高さ(既知の高さ)である場合に対応した複数の独立した前記基準領域の座標を予め設定しておき,タイヤ表面形状の変動が大きくても特定の1つの光切断線(図7に示す例では光切断線Ls1)のみが必ずその領域を通過することを見込める前記試行領域A0の画像について,前記設定レベル以上の輝度の画素の位置(即ち,前記特定の1つの光切断線の一部の位置)を検出し,その検出位置に基づいて,前記基準領域の座標から前記画像処理対象領域A1〜A3の座標へのシフト(特に,X軸座標のシフト)を行えば,前記領域外れ状態となることを回避できる。
以上に示したように,形状測定装置Wを用いたタイヤ形状の測定においては,前記投光装置10及び前記カメラ20は,不図示の保持機構により,複数のライン光それぞれの主光線(中心線に沿う光)が,タイヤ1の表面に対して正反射する方向に前記カメラ20の視野範囲が存在するように保持されている。そして,前記投光装置10及び前記カメラ20が上記のように保持された状態で,前記投光装置10によりタイヤ1の表面に複数のライン光を照射しつつ,その複数のライン光の像(光切断線Ls1〜Ls3の像)を,前記カメラ20によってタイヤ1の回転における一定の角度周期で撮像する(前記ライン光照射・撮像工程の一例)。
さらに,画像処理装置6(演算手段の一例)が,カメラ20により得られる複数の撮像画像それぞれについて,カメラ20の撮像画像の座標系における複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3それぞれに対応して予め設定された複数の独立した画像処理対象領域A1〜A3の画像それぞれから,光切断線Ls1〜Ls3の像の座標(前記光切断線座標)を個別に検出する(前記光切断線座標検出工程の一例)。
さらに,画像処理装置6又は前記ホストコンピュータ(演算手段の一例)が,タイヤの回転角度に応じて検出された複数の前記光切断線座標に基づいて,タイヤの表面高さ分布(1次元の分布又は2次元の分布)を算出する(前記表面形状算出工程の一例)。
黒色で光沢のあるタイヤ1の表面にライン光を照射した場合,特定の方向(カメラの撮像範囲)に向かう散乱反射光よりも正反射光の方が光量が大きくなる。また,タイヤ1の表面(特にサイドウォール面)は湾曲しているため,ライン長の長い1つのライン光の像を,そのライン光の主光線の正反射方向において前記カメラ20による撮像を行っても,そのライン光のうち主光線から両外側へ離れた光線の正反射光は前記カメラ20に到達しない。
例えば,図2において,中央の前記ライン光源12が出力するライン光の長さを長くした場合,そのライン光における両端付近の光の正反射光は,前記カメラ20の方向とは全く異なる方向へ向かうことになる。そのため,ライン光の像全体のうち中心から離れた部分については,やはり前記カメラ20に到達する反射光の光量が不足し,明瞭な像が得られない。
一方,前記形状測定装置Wは,タイヤ1の表面に照射したライン光の正反射方向に配置された前記カメラ20によりライン光の像を撮像するので,ライン光の強度を増強することなく(高パワーのライン光源を用いることなく),十分に高い撮像レート(例えば,1秒当たり4000フレーム以上)でライン光の像の撮像を行っても,タイヤ1の表面に照射したライン光の明瞭な像を得ることができる。しかも,複数の前記ライン光源11〜13により,ライン長が比較的短い複数のライン光をタイヤ表面に照射し,その複数のライン光それぞれの主光線の正反射方向に前記カメラ20が位置するため,複数のライン光の像全体について明瞭な像を得ることができる。その結果,タイヤ1に熱的損傷を生じさせることなく,タイヤ1の表面形状を高速かつ高い空間分解能で検出することができる。
また,前記形状測定装置Wは,それぞれ一組の前記投光装置10(ライン光照射手段)及びカメラ20のセットを備えたセンサユニット3を複数備え,それら複数のセンサユニット3により,タイヤ1における複数の面(表裏のサイドウォール面及びトレッド面)それぞれについて並行して,前記投光装置10によるライン光の照射及び前記カメラ20によるそのライン光の像の撮像を行う。これにより,タイヤの複数の面(サイドウォール面及びトレッド面)の形状測定を同時に行うことができ,タイヤ1の検出対象面全体の形状測定に要する時間を短縮できる。
ところで,図5に示すように,本発明の実施形態に係る形状測定装置Wが,前記投光装置10(前記ライン光照射手段の一例)によりタイヤ1の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向においてコリメートするコリメートレンズ30(前記コリメート手段に相当)を備えることが考えられる。
或いは,図6に示すように,前記形状測定装置Wが,前記投光装置10(前記ライン光照射手段の一例)によりタイヤ1の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向において集光する集光レンズ40(前記集光手段に相当)を備えることも考えられる。
これらコリメートレンズ30又は集光レンズ40が設けられることにより,湾曲したタイヤ1の表面に照射される複数のライン光それぞれのライン長を多少長くしても,そのライン光における主光線から両外側へ離れた光線の正反射方向を,前記カメラ20の撮像範囲の方向に近づけることができる。その結果,ライン光の数を少なくして装置を簡素化できる。
また,前述した実施形態では,複数の光源(前記ライン光源11〜13)を備えた前記投光装置10を示したが,タイヤ表面に複数の光切断線Ls1〜Ls3が形成されるように複数のライン光を照射するための投光装置としては,他の構成も考えられる。
例えば,前記投光装置10が,1つのライン光源と,そのライン光源から出射されるライン光を複数のライン光に分岐し,その分岐後の複数のライン光を,タイヤ表面において複数の分離した光切断線Ls1〜Ls3が形成されるように照射する光学機器とを備えた実施形態も考えられる。これにより,光源の数を少なくできる。
また,タイヤ1の検査対象面ごとに設けられた複数の前記投光装置10が,検査対象面ごとにそれぞれ異なる波長のライン光を出力する前記ライン光源11〜13を備えることが考えられる。
その場合,複数の前記センサユニット3それぞれにおいて,前記カメラ20への入射光の光路に,そのカメラ20に対応する前記投光装置10が出力する所定の波長の光を選択的に透過させる光フィルタが設けられる。
例えば,各センサユニット3a〜3cにおける前記投光装置10が,それぞれ650nm,670nm,690nmの波長のライン光を出力し,そのライン光の像を撮像するカメラ20の前面に,それぞれ波長が650±5nm,670±5nm,690±5nmの光を選択的に透過させるバンドパスフィルタを配置することが考えられる。
これにより,タイヤ1のある面の形状測定において,他の面で用いられているライン光がノイズ光となることを防止できる。
また,複数の前記投光装置10が,それぞれ異なる色(波長)のライン光を出力し,前記画像処理装置6が,カラー画像を撮像する前記カメラ20それぞれの撮像画像(カラー画像)について,対応する色(波長)の画像をライン光の画像として抽出することも考えられる。
また,前述した実施形態では,前記タイヤ回転機2によりタイヤ1をその回転軸1gを中心に回転させつつ形状測定を行う例を示した。
しかしながら,タイヤ1自体は固定された状態で,当該形状測定装置W全体又はその一部である前記センサユニット3(3a〜3c)が,所定の回転機構によってタイヤ1の回転軸1gを中心に回転させることも考えられる。
また,前記形状測定装置Wに,前記センサユニット3(3a〜3c)がタイヤ1に対して所定距離よりも近接したことを検出する近接センサを設け,前記ユニット駆動装置4が,その近接センサの検出結果に基づいて,前記センサユニット3(3a〜3c)がタイヤ1に接触しないよう制御する機能を備えることが望ましい。
また,前記センサユニット3(3a〜3c)の支持機構が,前記センサユニット3(3a〜3c)それぞれを支持するとともに,タイヤ1の回転方向に所定以上の力が加わった場合にタイヤ1の回転方向に折れる関節部を有するアーム,又はその衝撃を吸収するダンパーを備えれば好適である。
これにより,前記センサユニット3が万一タイヤ1に接触した場合でも,装置が破損することを防止できる。
また,前述した実施形態では,回転するタイヤ1を被測定物とし,その回転によって移動するタイヤ表面を測定する形状測定装置Wを示したが,同様の機器構成により,移動する被測定物の表面の形状を測定することも可能である。
例えば,前記センサユニット3を,直線方向に移動する帯状又は板状の圧延材の片面又は表裏各面に対向させて配置し,前記画像処理装置6及び前記ホストコンピュータ(不図示)が前述した実施形態における処理と同様の処理を行えば,圧延材の表面形状の測定を高速かつ非接触で行うことができる。
また,実施形態に示したように,センサユニット3が固定された状態で,タイヤ1や圧延材等の被測定物の表面を移動させる装置構成の他,被測定物が固定された状態で,センサユニット3を被測定物の表面に沿って移動(直線移動や回転移動)させる装置構成も考えられる。
本発明は,タイヤや金属部材等の表面形状を測定する形状測定装置への利用が可能である。
本発明の実施形態に係る形状測定装置Wの概略構成を表す図。 形状測定装置Wが備えるセンサユニットにおける光源及びカメラの三次元配置を模式的に表した図。 特定の方向(Y軸方向)から見たときのセンサユニットにおけるライン光源及びカメラの配置を模式的に表した図。 ライン光の主光線が到達する位置のタイヤ表面に垂直な方向から見たときのセンサユニットにおけるライン光源及びカメラの配置を模式的に表した図。 センサユニットにおいてライン光がコリメートされる様子を模式的に表した図。 センサユニットにおいてライン光が集光される様子を模式的に表した図。 形状測定装置Wにおけるカメラによるタイヤの撮像画像の一例を模式的に表した図。 形状測定装置Wにより得られる測定データの分布及びデータシフトの様子を模式的に表した図。 形状測定装置Wにおけるカメラによる校正用の被測定物の撮像画像の一例を模式的に表した図。 タイヤ表面に複数の光切断線を連ねて一本の光切断線を形成させる際にそれら光切断線に位置ずれが生じた様子を模式的に表した図。
符号の説明
W :形状測定装置
1 :タイヤ
2 :タイヤ回転機
3 :センサユニット
4 :ユニット駆動装置
5 :エンコーダ
6 :画像処理装置
10:投光装置
11,12,13:ライン光源
20:カメラ
21:撮像素子
22:カメラレンズ
Ls1,Ls2,Ls3:光切断線

Claims (13)

  1. 相対的に移動する被測定物の表面に照射したライン光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって前記被測定物の表面形状を測定する形状測定装置であって,
    前記被測定物の表面の検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を照射することにより,前記被測定物の表面に,前記被測定物の表面の移動方向である第1方向に直交する第2方向に伸びるとともに該第2方向において占める範囲が相互にずれている複数の分離した光切断線を形成させるライン光照射手段と,
    前記被測定物の表面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を,前記複数のライン光それぞれの主光線が前記被測定物の表面に対して正反射する方向において撮像する撮像手段と,
    一定単位の前記移動に応じて前記撮像手段により得られる複数の撮像画像それぞれについて,前記撮像手段の撮像画像の座標系における前記複数の分離した光切断線それぞれに対応して予め設定された複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記光切断線の像の座標である光切断線座標を個別に検出する光切断線座標検出手段と,
    前記光切断線座標検出手段により検出された複数の前記光切断線座標に基づいて前記被測定物の前記第1方向における表面高さ分布を算出する表面形状算出手段と,
    を具備してなることを特徴とする形状測定装置。
  2. 前記被測定物における複数の面それぞれについて並行して前記ライン光の照射及び該ライン光の像の撮像を行う複数組の前記ライン光照射手段及び前記撮像手段のセットを具備してなる請求項1に記載の形状測定装置。
  3. 前記被測定物における複数の面それぞれに対応する複数の前記ライン光照射手段がそれぞれ異なる波長の前記ライン光を出力してなる請求項2に記載の形状測定装置。
  4. 前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向においてコリメートするコリメート手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の形状測定装置。
  5. 前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に照射される複数のライン光それぞれをそのライン長方向において集光する集光手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の形状測定装置。
  6. 前記ライン光照射手段が,前記被測定物の表面に,前記第2方向において隣り合うものどうしの該第2方向における端部の位置が重複する前記複数の分離した光切断線を形成させてなる請求項1〜5のいずれかに記載の形状測定装置。
  7. 前記光切断線座標検出手段が,前記複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれについて,前記第1方向の1ラインごとに最高輝度の画素の座標を検出することによって前記光切断線座標を検出してなる請求項1〜6のいずれかに記載の形状測定装置。
  8. 前記撮像手段の撮像画像における1又は複数の予め定められた領域内の所定レベル以上の輝度の画素の位置を検出し,予め定められた複数の独立した基準領域の座標を前記所定レベル以上の輝度の画素の検出位置に応じてシフトすることによって前記複数の独立した画像処理対象領域の座標を自動設定する画像処理対象領域自動設定手段を具備してなる請求項1〜7のいずれかに記載の形状測定装置。
  9. 前記表面形状算出手段が,前記光切断線座標検出手段により検出された複数の前記光切断線座標と,前記複数の分離した光切断線相互の前記第1方向における位置ずれ量に対応する前記移動のシフト量について予め設定された設定シフト情報と,に基づいて,前記被測定物の前記第1方向及び前記第2方向における表面高さ分布を算出してなる請求項1〜8のいずれかに記載の形状測定装置。
  10. 前記被測定物が回転するタイヤである請求項1〜9のいずれかに記載の形状測定装置。
  11. 前記ライン光照射手段が,前記タイヤのサイドウォール面に該タイヤの半径方向に略平行な前記第2方向に伸びる前記複数の分離した光切断線を形成させる第1のライン光照射手段を具備し,
    前記撮像手段が,前記第1のライン光照射手段により前記タイヤのサイドウォール面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する第1の撮像手段を具備してなる請求項10に記載の形状測定装置。
  12. 前記ライン光照射手段が,前記タイヤのトレッド面における前記タイヤの周方向に直交する方向に略平行な前記第2方向に伸びる前記複数の分離した光切断線を形成させる第2のライン光照射手段を具備し,
    前記撮像手段が,前記第2のライン光照射手段により前記タイヤのトレッド面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する第2の撮像手段を具備してなる請求項10に記載の形状測定装置。
  13. 相対的に移動する被測定物の表面に照射したライン光の像を撮像し,その撮像画像に基づいて光切断法による形状検出を行うことによって前記被測定物の表面形状を検出する形状測定方法であって,
    前記被想定物の表面の検出高さ方向とは異なる方向から複数のライン光を照射することにより,前記被測定物の表面に,前記被測定物の表面の移動方向である第1方向に直交する第2方向に伸びるとともに該第2方向において占める範囲が相互にずれている複数の分離した光切断線を形成させるライン光照射手段,及び前記被測定物の表面に形成された前記複数の分離した光切断線の像を撮像する撮像手段を,前記複数のライン光それぞれの主光線に沿う光が前記被測定物の表面に対して正反射する方向に前記撮像手段の視野範囲が位置するように保持した状態で,前記ライン光照射手段により前記被測定物の表面に前記複数のライン光を照射しつつ,前記複数の分離した光切断線の像を一定単位の前記移動に応じて前記撮像手段により撮像するライン光照射・撮像工程と,
    所定の演算手段により,前記ライン光照射・撮像工程により得られる複数の撮像画像それぞれについて,前記撮像手段の撮像画像の座標系における前記複数の分離した光切断線それぞれに対応して予め設定された複数の独立した画像処理対象領域の画像それぞれから,前記光切断線の像の座標である光切断線座標を個別に検出する光切断線座標検出工程と,
    所定の演算手段により,前記光切断線座標検出工程により検出された複数の前記光切断線座標に基づいて前記被測定物の表面高さ分布を算出する表面形状算出工程と,
    を実行してなることを特徴とする形状測定方法。
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