JP2015179021A - リング材の形状計測方法、及びその形状計測装置 - Google Patents
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Description
リング圧延機に備えられているキングロール又はマンドレルロールの少なくとも一方には、そのロール表面に突起部及び窪み部を有したプロファイルで構成されている場合がある。この突起形状を有したプロファイルを備えたキングロール及びマンドレルロールを用いて熱間リング圧延を行うことで、外周面に凸部や凹部を備える異形状の大型リング材を製造することができる。
このようなリング材の形状を計測する技術としては、接触式の直径計測機やポイント式のレーザ距離計が用いて、外周面などの形状を測定する方法がある。
そこで、光切断法を用いて2次元的な測定を行い、リング材の外周面などの形状を測定する方法が挙げられる。例えば、計測対象が熱間圧延されたリング材ではないが、形状が略リング状であるタイヤの形状を測定する方法が特許文献1に開示されている。
ところが、リング材を製造すべく、突起形状を有したプロファイルを備えたキングロールを有したリング圧延機を用いて熱間リング圧延を行った場合、目標の形状や外径寸法を得ることが困難なことがあった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、リング状の圧延材からリング材を製造する際に、酸化層などスケールの影響を受けずにリング材のプロファイル形状を、リアルタイムで精確に計測することができるリング材の形状計測方法、及びその計測装置を提供することを目的とする。
本発明に係るリング材の形状計測方法は、キングロールを有したリング圧延機を用いて、軸心方向に圧下された部位である「圧下部」と圧下されていない部位である「非圧下部」とが外周面に形成されたリング材を熱間で圧延する際に、当該リング材の外周面のプロファイル形状を光切断法を用いて計測するリング材の形状計測方法において、前記リング材の外周面に対してスリット光を照射し、前記スリット光が照射された前記リング材の外周面を撮像し、前記撮像した画像を走査することで、光切断線を求め、前記求めた光切断線を基に、前記リング材のプロファイル形状を計測するものであって、前記圧下部に対応する画像を走査する際には、最も輝度の高い位置を前記圧下部における光切断線と決定し、前記非圧下部に対応する画像を走査する際には、前記圧下部に対応する画像から求められた前記光切断線の位置と前記キングロールの外形形状とから、前記非圧下部における光切断線を探索する探索領域を設定し、前記設定した探索領域内で、最も輝度の高い位置を当該非圧下部における光切断線と決定することを特徴とする。
光切断線を探索する探索領域を設定し、前記設定した探索領域内で、最も輝度の高い位置を当該非圧下部における光切断線と決定することを特徴とする。
また、本実施形態では、航空機用ジェットエンジンのファンケースなどに用いられるような純チタン製及びチタン合金製の大型のリング材Zを例にとり説明する。
リング圧延機10は、リング状の圧延材Wを回転させるキングロール11と、このキングロール11と対面し、この圧延材Wを径外方向に圧下するマンドレルロール12と、圧延材Wの真円度を維持しつつ、この圧延材Wが水平方向に移動しないように保持するセンタリングロール13と、この圧延材Wが圧延されることによって軸心方向(垂直方向)に移動しないように保持するアキシャルロール14A,14Bと、アキシャルロール14A,14Bを回転自在に支持するアキシャルロールフレーム15A,15Bとで構成されている。
図2に示すように、本実施形態の場合、キングロール11の外形形状は、1つ以上の突起部11A及び窪み部11Bを有した凹凸形状(表面断面プロファイル)で構成されている。この外形形状は、例えば、キングロール11の軸心に対して中央部より上部側と、中央部より下部側とで異なった(上下方向に非対称)形状を有している。
リング材Zの外周面に形成された凹部ZAは、キングロール11の突起部11Aが押し込まれることで形成されるので、圧下度合いが高い部位すなわち「圧下部」である。一方、リング材Zの外周面に形成された凸部ZAは、キングロール11の窪み部11Bの圧下により形成される部位であって、圧下度合いが低い部位すなわち「非圧下部」ZBである。
マンドレルロール12は、キングロール11より小径の円筒形状であって、キングロール11と対面する位置(リング状の圧延材Wの内周面側)に回転自在で設置され、水平方向(半径方向)に移動することができるようになっている。マンドレルロール12をリング状の圧延材Wの内周面に接触させた後に、さらに径外方向に移動させることで、当該圧延材Wに対して回転しながらの圧下が行われる。
アキシャルロール14A,14Bは、円錐形状であって、キングロール11とは反対側の位置に上下一対、傾斜状態でアキシャルロールフレーム15A,15Bに回転自在に支持されている。これらアキシャルロール14A,14Bの側面(錐面)は、リング状の圧延材Wの上端面及び下端面を挟むように接触している。
次に、上記したリング圧延機10を用いてリング状の圧延材Wからリング材Zを製造する際に、そのリング材Zのプロファイル形状をリアルタイムで計測するリング材Zの形状計測装置1について、説明する。
光切断センサ2の撮像部2Bは、照射部2Aからのライン光が表面に照射されている被測定物をエリア画像として撮像するものであり、例えばCCDエリアカメラなどで構成されている。
この形状測定装置を用いて、リング材Zのプロファイル形状を計測する場合は、まず、
被リング材Zに対して照射部2Aからスリット光Sを照射し、スリット光Sが照射されたリング材Zの外周面を撮像部2Bで撮像し、撮像された画像Mを走査して、光切断線Lを光切断線抽出部3で求め、求めた光切断線Lに対して光切断法を用いてリング材Zのプロファイル形状を、形状計測部4で計測する。この形状測定装置を用いることで、リング材Zのプロファイル形状(x,y,z座標値)を遠隔から非接触にて計測することができる。
まず、光切断線抽出部3には、撮像部2Bで撮像された画像M(ライン光が写り込んだ画像M)が入力される。その上で、光切断線抽出部3は、入力された画像Mを走査して、最も輝度の高い位置を光切断線Lと決定する。
まず、リング材Zの圧下部ZAにおける光切断線LAの抽出の場合、リング材Zの圧下部ZAに対応する画像M(撮像範囲H)を走査して、最も輝度の高い位置をリング材Zの圧下部ZAにおける光切断線LAと決定する。なお、撮像された画像中における圧下部ZAの位置は、キングロール11のプロファイルなどから事前に判るものとなっている。
また、本発明の形状計測装置1は、以下に示す機能も有している。
撮像部2Bは、リング材Zの外周面に対してスリット光Sが照射された照射画像N(撮像範囲H)を撮像すると共に、リング材Zの外周面に対してスリット光Sが照射されていない非照射画像O(撮像範囲H)を撮像する機能を有している。なお、リング材Zは、加熱炉で過熱された後に熱間圧延で製造されているため、リング材Zが熱により自発光しているので、リング材Zの外周面の画像Mを撮像することができる。
次に、上記した計測装置を用いて、熱間で圧延されるリング材Zの形状計測方法について説明する。
そして、キングロール11を回転駆動させて、圧延材Wを回転させて、その回転している圧延材Wに対して、マンドレルロール12をキングロール11の方向に圧下させる。目標の形状及び寸法精度を有するリング材Z(キングロール11の外形形状が外周面に転写されたリング材Z)になるまで、圧延材Wを回転させて拡径しながら圧延を行う熱間リング圧延を繰り返す。
具体的には、まず撮像部2Bにて、リング材Zの外周面に対してスリット光Sを照射器から照射して、スリット光Sが照射されたリング材Zの外周面の画像M(撮像範囲H)を撮像する。
一方、図3Bに示すように、リング材Zの外周面に黒色の酸化層Xが生じている場合、黒色の酸化層Xからの反射光強度が低下するため光切断線Lの誤検出が多くなる。なお、リング材Zの表面に存在する黒色の酸化層Xは、非圧下部ZB(凸部)に多く存在し、圧下部ZA(凹部)に少ないことを、本願発明者らは過去の圧延の実績より見出している。
そこで、光切断線抽出部3にて、リング材Zの外周面、特に非圧下部ZBに黒色の酸化層Xが生じている場合でも、光切断線Lを精確に検出する。
図4に示すように、圧下部ZA(高圧下部)に対応する画像Mを走査して、最も輝度の高い位置(A)を圧下部ZAにおける光切断線LAと決定する。
探索領域を設定するにあたっては、キングロール11の外形形状から、突起部11Aの高さ、すなわち窪み部11Bの深さhを算出する。
非圧下部ZBに対応する画像Mを走査して、輝度値を測定し、探索領域内で最も輝度の高い位置(B)を探索する。探索した結果、輝度値の最大値(B)を当該非圧下部ZBにおける光切断線LBと決定する。
そして、形状計測部4にて、光切断線抽出部3で決定した光切断線LAと光切断線LBを基に、三角測量法の原理に基づいてリング材Zのプロファイル形状を計測する。
以上述べた本発明の形状計測技術によれば、リング状の圧延材Wからリング材Zを製造する際に、黒皮Xなどスケールの影響を受けずにリング材Zのプロファイル形状を、リアルタイムで精確に計測することが可能となる。
[別手順]
次に、本発明のリング材Zの形状計測方法(光切断線抽出部3での処理方法)の別の手順について、説明する。
図5Bに示すように、さらに、リング材Zの外周面に対してスリット光Sが照射されていない非照射画像O(撮像範囲H)も撮像する。
図5Cに示すように、光切断線抽出部3にて、撮像した照射画像Nと非照射画像Oとの差分をとった差分画像P(撮像範囲H)を求める。その差分画像Pを走査して、光切断線Lを決定する。
照射画像Nと非照射画像Oとの差分をとった差分画像Pを求めることにより、リング材Zからの自発光成分を除去することができ、リング材Zのプロファイル形状を精確に計測することができる。また、リング材Zの自発光成分を除去した結果、反射光強度が低い酸化層X付近の表面形状に関しても閾値を低く設定することができ、光切断線Lの検出精度が向上するようになる。
また、リング材Zのプロファイル形状の計測結果をフィードバックすることにより、安定した熱間リング圧延が可能になる。
「差分画像Pを用いて光切断線Lを抽出する」手法に加えて、前述した「非圧下部ZBにおいて探索領域を設定した上で光切断線Lを探索する」手法も同時に用いてもよい。
2 光切断センサ
2A 照射部
2B 撮像部
3 光切断線抽出部
4 形状計測部
10 リング圧延機
11 キングロール
11A 突起部
11B 窪み部
12 マンドレルロール
13 センタリングロール
14A アキシャルロール(上側)
14B アキシャルロール(下側)
15A アキシャルロールフレーム(上側)
15B アキシャルロールフレーム(下側)
S スリット光
L 光切断線
LA 光切断線(圧下部)
LB 光切断線(非圧下部)
M 画像
N 照射画像
O 非照射画像
P 差分画像
X 酸化層(黒皮、スケール)
W 圧延材
Z リング材
ZA 非圧下部(凸部)
ZB 圧下部(凹部)
Claims (4)
- キングロールを有したリング圧延機を用いて、軸心方向に圧下された部位である「圧下部」と圧下されていない部位である「非圧下部」とが外周面に形成されたリング材を熱間で圧延する際に、当該リング材の外周面のプロファイル形状を光切断法を用いて計測するリング材の形状計測方法において、
前記リング材の外周面に対してスリット光を照射し、
前記スリット光が照射された前記リング材の外周面を撮像し、
前記撮像した画像を走査することで、光切断線を求め、
前記求めた光切断線を基に、前記リング材のプロファイル形状を計測するものであって、
前記圧下部に対応する画像を走査する際には、最も輝度の高い位置を前記圧下部における光切断線と決定し、
前記非圧下部に対応する画像を走査する際には、前記圧下部に対応する画像から求められた前記光切断線の位置と前記キングロールの外形形状とから、前記非圧下部における光切断線を探索する探索領域を設定し、
前記設定した探索領域内で、最も輝度の高い位置を当該非圧下部における光切断線と決定する
ことを特徴とするリング材の形状計測方法。 - 前記リング材の形状を計測する際には、
前記リング材の外周面に対してスリット光が照射された照射画像を撮像すると共に、前記リング材の外周面に対してスリット光が照射されていない非照射画像を撮像し、
前記照射画像と前記非照射画像との差分をとった差分画像を求め、
前記差分画像を走査することで、光切断線を求め、
前記求めた光切断線を基に、前記リング材のプロファイル形状を計測する
ことを特徴とする請求項1に記載のリング材の形状計測方法。 - キングロールを有したリング圧延機を用いて、軸心方向に圧下された部位である「圧下部」と圧下されていない部位である「非圧下部」とが外周面に形成されたリング材を熱間で圧延する際に、当該リング材の外周面のプロファイル形状を光切断法を用いて計測するリング材の形状計測装置において、
前記リング材の外周面に対してスリット光を照射する照射部と、
前記スリット光が照射された前記リング材の外周面を撮像する撮像部と、
前記撮像した画像を走査することで、光切断線を求める光切断線抽出部と、
前記求めた光切断線を基に、前記リング材のプロファイル形状を計測する形状計測部を有するものであって、
前記光切断線抽出部は、
前記圧下部に対応する画像を走査する際に、最も輝度の高い位置を前記圧下部における光切断線と決定すると共に、前記非圧下部に対応する画像を走査する際に、前記圧下部に対応する画像から求められた前記光切断線の位置と前記キングロールの外形形状とから、前記非圧下部における光切断線を探索する探索領域を設定し、
前記設定した探索領域内で、最も輝度の高い位置を当該非圧下部における光切断線と決定する
ことを特徴とするリング材の形状計測装置。 - 前記撮像部は、前記リング材の外周面に対してスリット光が照射された照射画像を撮像すると共に、前記リング材の外周面に対してスリット光が照射されていない非照射画像を撮像し、
前記光切断線抽出部は、前記照射画像と前記非照射画像との差分をとった差分画像を求
めると共に、前記差分画像を走査することで光切断線を求め、
前記形状計測部は、前記求めた光切断線を基に、前記リング材のプロファイル形状を計測する
ことを特徴とする請求項3に記載のリング材の形状計測装置。
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