JP2012194108A - 被計測体の表面異常識別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の被計測体に発生する酸化スケール等の表面異常を精度良く識別することができる被計測体の表面異常識別装置を提供する。
【解決手段】高温の被計測体5から得られる輻射光を輻射光撮像部18により、被計測体5が一定角度回転される毎に撮像して得た複数の輻射光画像を合成して、合成輻射光画像を作成する画像合成部10と、前記合成輻射光画像から所定領域を抽出して、撮像中の被計測体5の温度低下に基づく前記所定領域の画像の輝度変化を補正する第1輝度補正部12と、前記補正した所定領域の画像から所定暗部を検出し、該所定領域の画像の暗部を前記被計測体の表面異常と判定する異常判定部14と、を備える被計測体の表面異常識別装置1を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温の被計測体に生じる酸化スケール等の表面異常を識別する技術に関する。
鉄鋼などの金属を用いたプロセスで製造される鋼材、鍛造品、鋳造品などの金属製造品は、これらが用いられる製品の高品質化に伴い、より高い形状精度が要求される。したがって、より早く正確に、製造物の形状を計測して把握することが望まれる。
製造物が高温である場合、製造物の冷却後に形状計測することは広く実施されているが、計測するまでの長い冷却期間と、広い冷却スペースが必要となり、非常にコストがかかる。そこで、従来より、製造直後の高温状態(約800℃〜1000℃)で形状計測を実行することが試みられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
ところで、これらの高温状態(熱間状態)にある計測対象物(多くの場合、金属製造物)の表面には、酸化スケール(酸化物被膜)が形成されてしまう。この酸化スケールは、計測対象物を構成する金属が酸化した物である。そして、酸化スケールのうち部分的に盛り上がり内部に空気層を持つ酸化スケール(或いは酸化量の多い酸化スケール)が、計測対象物に形成されると、表面形状は大きく変化し、形状計測に悪影響を与える。この時、カメラで撮像すると、形状計測に悪影響を与える酸化スケールは、放射率の違いにより暗く映る。
例えば、特許文献5は、高温の被計測体の輻射光を撮像して得た輻射光画像から所定暗部を抽出し、該輻射光画像の暗部を前記高温の被計測体に発生する酸化スケール等の表面異常と判定し、その表面異常の領域の本来の形状を推定して、被計測体の形状計測を行う方法が開示されている。
特開2001−99615号公報 特開平9−152322号公報 特開2005−300210号公報 特開2008−134148号公報 特開2010−237008号公報
通常、高温の円筒形状の被計測体の輻射光を撮像する場合、被計測体を回転させながら連続で撮像して、それらの画像を合成することにより被計測体全体の輻射光画像を作成する。このように連続で撮像すると、最初の撮像から最後の撮像までの間の時間経過によって、すなわち撮像中の時間経過によって被計測体の温度低下が起こる。したがって、最初に撮像した画像と最後に撮像した画像との輝度が異なるため、それらを合成した輻射光画像内の輝度は一定でない。このような輝度が一定でない合成画像を用いると、被計測体の酸化スケール等の表面異常の識別に誤りが生じ易くなる。
そこで、本発明の目的は、高温の被計測体に発生する酸化スケール等の表面異常を精度良く識別することができる被計測体の表面異常識別装置を提供することにある。
本発明に係る被計測体の表面異常識別装置は、高温の被計測体から得られる輻射光を輻射光撮像部により、前記被計測体が一定角度回転される毎に撮像して得た複数の輻射光画像を合成して、合成輻射光画像を作成する画像合成部と、前記合成輻射光画像から所定領域を抽出して、撮像中の前記被計測体の温度低下に基づく前記所定領域の画像の輝度変化を補正する第1輝度補正部と、前記補正した所定領域の画像から所定暗部を検出し、該所定領域の画像の暗部を前記被計測体の表面異常と判定する異常判定部と、を備える。
また、前記被計測体の表面異常識別装置において、前記被計測体の形状又は位置に基づく前記所定領域の画像の輝度変化を補正する第2輝度補正部を備え、前記異常判定部は、前記第1及び第2輝度補正部によって補正した所定領域の画像から所定暗部を検出し、前記所定領域の画像の暗部を前記被計測体の表面異常と判定することが好ましい。
また、前記被計測体の表面異常識別装置において、前記所定領域の抽出範囲は、前記合成輻射光画像から得られるエッジ画像のエッジ箇所に基づいて決定されることが好ましい。
また、前記被計測体の表面異常識別装置において、前記被計測体から得られる輻射光を撮像する輻射光撮像部と、前記被計測体から得られる輻射光のピーク波長と異なるレーザ光を前記被計測体に投光するレーザ光源と、前記被計測体に投光されたレーザ光の反射光を受光する反射光撮像部と、前記反射光撮像部により受光して得た反射光データに基づいて、前記被計測体の形状を算出する形状算出部と、を備え、前記レーザ光源の投光方向は、前記輻射光撮像部の撮像方向と一致することが好ましい。
本発明によれば、高温の被計測体に発生する酸化スケール等の表面異常を精度良く識別することができる。
本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置の構成を説明するための模式図である。 合成輻射光画像の作製方法を説明するためのフロー図である。 本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置の他の構成を説明するための模式図である。 合成輻射光画像から所定領域の画像を抽出する方法を説明するためのフロー図である。 合成輻射光画像から抽出した所定領域の画像である。 合成輻射光画像のX軸方向の輝度変化を補正する方法を説明するためのフロー図である。 第1輝度補正部により輝度補正された所定領域の輻射光画像である。 合成輻射光画像のY軸方向の輝度値を補正する方法を説明するためのフロー図である。 本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置の他の構成を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置の構成を説明するための模式図である。この被計測体の表面異常識別装置1は、被計測体5の表面異常を識別するために、少なくとも画像合成部10と、第1輝度補正部12と、異常判定部14と、を備える。また、本実施形態の被計測体の表面異常識別装置1では、さらに、第2輝度補正部16と、輻射光撮像部18と、撮像制御部20と、を備える。
輻射光撮像部18は、例えばCCDやCMOS等のイメージ素子を備える撮像部が用いられ、高温の被計測体5から得られる輻射光を撮像して輻射光画像を得るものである。撮像制御部20は輻射光撮像部18の撮像等を制御するものである。
画像合成部10は、輻射光撮像部18により得られた複数の輻射光画像を合成して、例えば被計測体5全体の合成輻射光画像を作成するものである。画像合成部10による輻射光画像の合成方法については、後述する。
第1輝度補正部12及び第2輝度補正部16は、後述するように、主に合成輻射光画像の輝度変化を補正するものである。
異常判定部14は、後述するように、輝度変化を補正した画像から、被計測体5に発生する酸化スケール等の表面異常を判定するものである。
次に、本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置1の動作について説明する。
被計測体5を載置するステージ21は、回転駆動する移動機構(不図示)を備えており、被計測体5を一定角度毎に回転させるようになっている。撮像制御部20は、輻射光撮像部18に撮像指令を与えると共に、ステージ21に設置した移動機構に駆動指令を与えて、高温の被計測体5が一定角度回転される毎に、被計測体5から得られる輻射光を撮像する。得られた複数の輻射光画像データは、画像合成部10に送られる。画像合成部10では、得られた複数の輻射光画像データを合成して、被計測体5に発生した酸化スケール等の表面異常を識別するための合成輻射光画像データを作成する。
図2は、合成輻射光画像の作製方法を説明するためのフロー図である。図2(B)に示すように、高温の被計測体が一定角度回転される毎に撮像した複数の輻射光画像それぞれの中心を所定幅で短冊状に切り出し(図2(B)に示される1コマ目、2コマ目、3コマ目等)、最初に撮像した画像から切り出した短冊状の画像(図2(B)に示される1コマ目)から順に並べることによって、図2(C)に示すような合成輻射光画像が形成される。このような合成方法は、輻射光撮像部18の撮像範囲Rが、図1に示すような広角の場合である。例えば、図3に示す被計測体の表面異常識別装置2では、輻射光撮像部としてラインセンサカメラ22が用いられている。ラインセンサカメラ22の撮像範囲Rは、図3に示すように線状であるため、撮像した画像をそのまま順に並べることによって、図2(C)に示すような合成輻射光画像が形成される。ラインセンサカメラ22を用いることによって、合成輻射光画像の作成を高速化することができる。
このように作成した合成輻射光画像を2値化して、被計測体に発生した酸化スケールを判別することは、合成輻射光画像に生じる輝度変化の影響によって困難である。そこで、本実施形態では、第1輝度補正部12によって、合成輻射光画像から所定領域を抽出し、その抽出した所定領域の画像の輝度変化を補正した画像を作成し、その画像を酸化スケールの判別に用いている。以下に、所定領域の抽出方法及び画像の輝度変化の補正方法について説明する。
図4は、合成輻射光画像から所定領域の画像を抽出する方法を説明するためのフロー図である。合成輻射光画像(図4の(A))のY軸方向(画像の縦方向)において輝度変化の大きい箇所の画素を強調したエッジ画像を作成する(図4の(B))。
作成したエッジ画像から、その画像のX軸方向の輝度を積算して、その積算値に対応するエッジ画像のY軸方向の位置(座標)との関係を示す輝度プロファイルを作成する(図4の(C))。そして、このプロファイルのうちで、輝度積算値が所定値以上の値を有するピーク位置をエッジ箇所として検出し、そのエッジ箇所を画像の切り出し箇所に決定する(図4の(D))。図4の(C)では、ピーク位置1及びピーク位置2をそれぞれエッジ箇所として画像の切り出し箇所とし、図4の(D)では、ピーク位置1(エッジ箇所)からピーク位置2(エッジ箇所)までを所定領域の抽出範囲として決定し、合成輻射光画像から画像を抽出する(図4の(E))。なお、所定領域として抽出する画像は、ピーク位置1から上方の画像を所定領域の抽出範囲として決定し、図4の(D)の合成輻射光画像から画像を抽出してもよいし、ピーク位置2から下方の画像を所定領域の抽出範囲として決定し、図4の(D)の合成輻射光画像から画像を抽出してもよい。合成輻射光画像から所定領域を抽出する方法は、必ずしも上記方法に制限されるものではないが、輝度変化の大きい箇所、すなわちエッジ箇所を画像の切り出し箇所にすることにより、その後の輝度補正の精度を向上させることができる点で好ましい。また、合成輻射光画像のY軸方向だけでなく、X軸方向(画像の横方向)においても輝度変化の大きい画素を強調したエッジ画像を作成し、そのエッジ画像を上記同様に処理してエッジ箇所を画像の切り出し箇所に決定し、所定領域の抽出を行ってもよい。
図5は、合成輻射光画像から抽出した所定領域の画像である。図5に示す合成輻射光画像から抽出した所定領域の画像は、前述したように、最初に撮像した画像から最後に撮像した画像までを図の左から順に並べたものである。なお、所定領域の画像上部は被計測体の端部側を表し、画像下部に向かうにつれて被計測体の中央部に向かう画像となっている。高温の被計測体は、最初の撮像から最後の撮像までの時間の間(すなわち、撮像中の間)に、温度低下が起こっている。その温度低下に起因して、図5に示す所定領域の画像は、最初に撮像した画像箇所から最後に撮像した画像箇所に向かって(図のX軸方向)輝度が低下した画像になる。このような画像の輝度が一定でない所定領域の合成輻射光画像を用いて、酸化スケールの判別を行うと、酸化スケールの誤認識が生じ易くなる。そのため、撮像した画像の箇所から最後に撮像した画像の箇所に向かって輝度変化がなくなるように補正する必要がある。そこで、第1輝度補正部12は、所定領域の合成輻射光画像において、撮像中の被計測体の温度低下に基づく画像の輝度変化を補正する(図5のX軸方向の輝度変化を補正する)。第1輝度補正部12による輝度変化の補正方法を以下に説明する。
図6は、合成輻射光画像のX軸方向の輝度変化を補正する方法を説明するためのフロー図である。図5で説明した所定領域の合成輻射光画像(図6の(A))から、その画像のY軸方向の輝度をX軸座標毎に積算して、その積算値とその積算値に対応するX軸座標との関係を示す輝度プロファイルを作成する(図6の(B))。図6のX軸座標は、連続撮像した各画像の配列方向(X軸方向)に基づく被計測体5の位置である。図6の(B)の輝度プロファイルに示されるように、最初の撮像画像から最後の撮像画像までの配列方向(X軸方向)において、すなわち、X軸座標に応じて、撮像中の被計測体の温度変化に基づく輝度変化が観察される。
次に、この輝度プロファイルから近似関数を算出する(図6の(C))。ここでは、簡易で高速な一次関数(Iv(x)=ax+b)で近似したが、これに制限されるものではなく、他の関数で近似してもよい。次に、所定領域の合成輻射光画像における撮像中の被計測体の温度変化に基づく輝度変化(所定領域の画像のX軸方向の輝度変化)を補正するための輝度補正値δIv(x)を下式により求める(図6の(D))。下式のIv(x)は上述した近似関数から求められる近似輝度積算値であり、Ixbは任意に決定される定数である。Y軸方向の画素数とは、すなわち画像の配列方向に対して垂直方向の画素数である。本実施形態では、輝度プロファイルで表された輝度積算値の最低値をIxbとした。但し、Ixbは輝度プロファイル中の輝度積算値の最高値から最低値の間で決定されることが好ましく、この範囲外であると算出される輝度補正値δIv(x)が高く又は低くなり過ぎ、酸化スケールを画像から消失させ、酸化スケールの判別が困難となる場合がある。
算出した輝度補正値δIv(x)を所定領域の画像(図6の(A))中の各画素の輝度値から差し引き、X軸方向の輝度変化を補正した(輝度変化を少なく又はなくした)画像を得る(図6の(E))。このような補正処理によって得られる所定領域の合成輻射光画像の輝度プロファイルには、輝度変化を表す傾きが消失している。
図7は、第1輝度補正部により輝度補正された所定領域の合成輻射光画像である。一般的に、被計測体の端部は放熱量が高いため温度が低くなり、また、被計測体の中央部は端部と比べて放熱量が低いため温度が高くなる。また、被計測体に突出部等が存在する場合には、その突出部は放熱量が高いため、温度は他の部分と比べて低くなり、その部分の画像の輝度も低くなる。このように、被計測体の形状、位置に基づく輝度変化が合成画像から抽出した所定領域の画像に見られる場合には、その輝度変化を少なく又はなくなるように補正を行うことが、酸化スケールの判別を高精度に行う点で好ましい。本実施形態の例では、画像の上部から下部に向かって(画像のY軸方向)被計測体の端部から中央部を表す画像になっているため、図7に示すように画像の下部から上部に向かって画像の輝度が低下している。
そこで、第2輝度補正部16は、所定領域の合成輻射光画像において、被計測体の形状又は位置に基づく画像の輝度変化を補正する(図7のY軸方向の輝度変化を補正する)。なお、被計測体の中央部のみを表す画像や端部のみを表す画像のように、被計測体の形状、位置に変化がない部分を所定領域の画像として抽出した場合等は、被計測体の形状、位置に基づく画像の輝度変化はほとんどないため、前述した撮像中の温度変化に基づく輝度変化を補正した画像を用いて、被計測体の表面異常の判定を行えばよい。第2輝度補正部16による輝度変化の補正方法を以下に説明する。
図8は、合成輻射光画像のY軸方向の輝度値を補正する方法を説明するためのフロー図である。まず、前述したX軸方向の輝度変化を補正した後の所定領域の画像(図8の(A))から、その画像のX軸方向の輝度をY軸座標毎に積算して、その積算値とその積算値に対応するY軸座標との関係を示す輝度プロファイルを作成する(図8の(B))。そして、この輝度プロファイルから近似関数を算出する(図8の(C))。ここでは、三次関数(Ih(y)=ay+by+cy+d)で近似した。近似関数は、多項式関数に制限されるものではなく、また、複数の近似関数の組み合わせでもよい。次に、合成輻射光画像の形状、位置に基づく輝度変化(図8のY軸方向の輝度変化)を補正するための輝度補正値δIh(y)を下式により求める(図8の(D))。下式のIh(y)は上述した近似関数から求められる近似輝度積算値であり、Iybは任意に決定した定数である。X軸方向の画素数とは、画像の配列方向の画素数である。本実施形態では、図8の輝度プロファイルで表された輝度積算値の最低値をIybとした。但し、Iybは輝度プロファイル中の輝度積算値の最高値から最低値の間で決定されることが好ましく、この範囲外であると算出される輝度補正値δIh(y)が高く又は低くなり過ぎ、酸化スケールを画像から消失させ、酸化スケールの判別が困難となる場合がある。
算出した輝度補正値δIh(y)を所定領域の画像(図8の(A))中の各画素の輝度値から差し引き、Y軸方向の輝度変化を補正した(輝度変化を少なく又はなくした)画像を得る(図8の(E))。このような補正処理によって得られる所定領域の合成輻射光画像の輝度プロファイルには、輝度変化を表す傾きが消失している。
以上のように輝度変化を補正した画像を用いて、被測定体に発生した酸化スケール等の表面異常を判定する。
異常判定部14は、輝度変化を補正した所定領域の画像から輝度が所定基準値以下である暗部領域(以下、所定暗部と呼ぶ場合がある)を検出し、その所定暗部を被計測体に発生する酸化スケール等の表面異常領域と判定する。本実施形態では、前述した補正処理によって、所定領域の画像内の輝度変化がほとんどなくなるため、所定暗部を精度よく検出することができる。このように、高温の被計測体に生じる酸化スケール等の表面異常を高精度に識別することによって、被計測体の良否判定が可能となる。例えば、被計測体の面積に対する所定暗部の面積の割合が所定値以上であれば、その被計測体を不良と判定して、被計測体をそれ以降の製造工程に回さずに回収することができる。また、高温の被計測体に生じる酸化スケール等の表面異常を高精度に識別することができれば、被計測体の製造条件を適切に修正することもでき、製造の無駄をなくして、製造コストの削減に寄与することができる。
図9は、本実施形態に係る被計測体の表面異常識別装置の他の構成を説明するための模式図である。図9に示すように、被計測体の表面異常識別装置3は、前述した画像合成部10、第1輝度補正部12、第2輝度補正部16、異常判定部14、輻射光撮像部18、撮像制御部20に加え、レーザ光源24、反射光撮像部26、形状算出部28、を備える。
レーザ光源24は、高温の被計測体5からの輻射光のピーク波長と異なるレーザ光(スリット光)を被計測体5に対して投光するものである。
また、反射光撮像部26は、例えばCCDやCMOS等のイメージ素子を備える撮像部が用いられ、被計測体5に投光されたスリット光の反射光を受光するものである。
反射光撮像部26と被計測体5の間には光学フィルタ30aが設置されている。光学フィルタ30aは、被測定体に投光されるスリット光の反射光を感度良く撮像するために、スリット光の波長を選択的に透過させる干渉フィルタである。また、輻射光撮像部18と被計測体5の間にも光学フィルタ30bが設置されている。光学フィルタ30bは、被計測体5から得られる輻射光を感度良く撮像し、スリット光を除去するために、輻射光の波長を選択的に透過させるフィルタである。
形状算出部28は、反射光撮像部26により得られた反射光データに基づいて、スリット光が投光された領域の被計測体5の形状を算出するものである。
本実施形態では、レーザ光源24の投光(ライン)方向は、輻射光撮像部18の撮像方向と一致している(輻射光撮像部18の撮像方向は、レーザ光源24からのスリット光の光軸方向と同じ方向となるように配置されている)。すなわち、輻射光撮像部18の撮像面とレーザ光源24のスリット光を照射する照射面とが直交するように輻射光撮像部18及びレーザ光源24が配置されていることが好ましい。このような配置にすることによって、レーザ光源24からのスリット光の反射光を受光する反射光撮像部26は、レーザ光源24からのスリット光の光軸方向と同じ方向に配置された輻射光撮像部18と、被計測体5に対してほぼ同じ撮像領域とすることで、異常領域と反射光データの該当部位を一致させることができる。また、被計測体5の形状算出装置(レーザ光源24、反射光撮像部26、形状算出部28)との組み合わせにより、被計測体5に形成された形状異常である凹み部分が酸化スケールで覆われた場合等でも、被計測体5の形状異常を判定することが可能となる。例えば、前述した方法で酸化スケールを判別した部分が、形状算出装置では異常なしと判定された場合、当該判定部分には凹みが存在し、該凹みが酸化スケールで覆われているとして、総合的に形状異常と判定され得る。なお、表面異常識別装置により異常と判定されるのは、酸化スケールに限定されるものではない。例えば、型潤滑剤、バリ等異物が被計測体5の表面に存在する場合においても、精度よく検出され得る。
図9の被計測体の表面異常識別装置3の動作について説明する。
撮像制御部20は、輻射光撮像部18に撮像指令を与え、輻射光撮像部18が高温の被計測体5から得られる輻射光を撮像する。輻射光の撮像と並行して、レーザ光源24から被計測体5にレーザ光(スリット光)を投光し、撮像制御部20は、反射光撮像部26に撮像指令を与え、反射光撮像部26は、被計測体5に投光されたスリット光の反射光を受光する。スリット光は、輻射光撮像部18の輻射光画像の縦方向に一直線になるように投光することによって、輻射光撮像部18の輻射光画像の短冊状に切り出す画像部位と一致させる。なお、輻射光撮像部18としては、前述したラインセンサカメラを用いてもよい。形状算出部28は、反射光撮像部26により得られた反射光データからスリット光投光位置における被計測体5の形状を算出する。被計測体5の形状算出方法については後述する。この処理を高温の被計測体5が一定角度回転される毎に行い、被計測体5の三次元形状を計測すると共に、前述した合成輻射光画像を作成する。なお、合成輻射光画像及び被計測体5の三次元形状は、被計測体5の一部であっても全体であってもよい。また、合成輻射光画像に見られる輝度変化の補正方法及び被計測体5に発生する酸化スケール等の表面異常の判定方法については前述した通りであるので、省略する。
被計測体5の形状算出法としては、現在知られている様々な方法を採用することができる。一例としては、光切断法を利用して形状を算出する方法が挙げられる。具体的には、レーザ光源24からのスリット光を被計測体5に所定角度を持つように投光すると、被計測体5の表面の形状に応じて、つまりレーザ光源24からの表面位置までの距離に応じて、観察される位置が決まる。反射光撮像部26は、その光軸が、レーザ光源24からのスリット光の光軸方向と異なる方向になるように配置されているため、被計測体5の表面に投光されたスリット光の反射光を撮像することにより得られた反射光データから、三角測量法によって、レーザ光投光位置における表面形状を求める。
また、光切断法の他、例えば、スポット光を走査し三角測量法で形状計測を行ってもよい。スポット光を振動変調して、反射光が戻ってくるまでの時間から距離を測る距離計を走査し、被計測体5を一定角度回転させる毎に計測し、これを合成して全体の三次元形状を計測することも可能である。また、パルス発光時のパワーを連続発光時より大きくできるレーザでは、レーザをパルス発光させて、輻射光とのS/Nを挙げる方法も、高精度な形状計測に有効である。
1〜3 被計測体の表面異常識別装置、5 被計測体、10 画像合成部、12 第1輝度補正部、14 異常判定部、16 第2輝度補正部、18 輻射光撮像部、20 撮像制御部、21 ステージ、22 ラインセンサカメラ、24 レーザ光源、26 反射光撮像部、28 形状算出部、30a 光学フィルタ、30b 光学フィルタ。

Claims (4)

  1. 高温の被計測体から得られる輻射光を輻射光撮像部により、前記被計測体が一定角度回転される毎に撮像して得た複数の輻射光画像を合成して、合成輻射光画像を作成する画像合成部と、
    前記合成輻射光画像から所定領域を抽出して、撮像中の前記被計測体の温度低下に基づく前記所定領域の画像の輝度変化を補正する第1輝度補正部と、
    前記補正した所定領域の画像から所定暗部を検出し、該所定領域の画像の暗部を前記被計測体の表面異常と判定する異常判定部と、
    を備えることを特徴とする被計測体の表面異常識別装置。
  2. 前記被計測体の形状又は位置に基づく前記所定領域の画像の輝度変化を補正する第2輝度補正部を備え、
    前記異常判定部は、前記第1及び第2輝度補正部によって補正した所定領域の画像から所定暗部を検出し、前記所定領域の画像の暗部を前記被計測体の表面異常と判定することを特徴とする請求項1記載の被計測体の表面異常識別装置。
  3. 前記所定領域の抽出範囲は、前記合成輻射光画像から得られるエッジ画像のエッジ箇所に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2記載の被計測体の表面異常識別装置。
  4. 前記被計測体から得られる輻射光を撮像する輻射光撮像部と、
    前記被計測体から得られる輻射光のピーク波長と異なるレーザ光を前記被計測体に投光するレーザ光源と、
    前記被計測体に投光されたレーザ光の反射光を受光する反射光撮像部と、
    前記反射光撮像部により受光して得た反射光データに基づいて、前記被計測体の形状を算出する形状算出部と、を備え、
    前記レーザ光源の投光方向は、前記輻射光撮像部の撮像方向と一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被計測体の表面異常識別装置。
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