JP2009041107A - 粒状金属の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化鉄等の金属酸化物とコークス等の炭素質還元剤を含む原料を加熱・還元し、これを更に加熱して金属を溶融させると共に副生する溶融スラグを凝集・分離させて高純度の粒状金属を製造する際に、加熱・還元によって生成する粒状金属の純度を高めると共に、そのサイズを大きく且つ粒度の揃ったものとし、最終的に得られる粒状金属の歩留りを確実に高めることのできる粒状金属の製造方法を提供する。
【解決手段】金属酸化物含有物質と炭素質還元剤とを含む原料を加熱し、該原料中の金属酸化物を還元した後、生成する金属を更に加熱して溶融させると共に、副生するスラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属を製造する際に、前記原料中に蛍石などの副生スラグの凝集促進剤を配合して溶融金属と副生スラグの分離を促進する。
【選択図】図2

Description

本発明は粒状金属の製法に関し、より詳細には、金属酸化物含有物質と炭素質還元剤の混合物を加熱し、金属酸化物を還元して粒状の金属を製造する際に、副生する溶融スラグの流動性を高めると共に、その凝集を促進する作用を持った副原料を配合することにより、鉄などの金属純度が高く且つ粒径が大きくて搬送や取扱い性に優れた粒状金属を、高歩留りで生産性よく製造し得る様に改善された方法に関するものである。
なお本明細書では、本発明が最も有効に活用される粒状金属鉄の製法を主体にして説明するが、本発明はこれに制限されるわけではなく、例えばクロム含有鉱石やニッケル含有鉱石等を加熱・還元してフェロクロムやフェロニッケルなどを製造する際にも有効に活用できる。また本発明において「粒状」とは、必ずしも真球状であることを意味するものではなく、楕円状、卵形状、あるいはそれらが若干偏平化したもの等を包含する。
例えば酸化鉄源を加熱還元して金属鉄を製造する方法としては、鉄鉱石や酸化鉄ペレット等を炭材や還元性ガスにより直接還元して還元鉄を得る直接製鉄法、具体的には、例えばミドレックス法に代表されるシャフト炉法が知られている。この直接製鉄法は、天然ガス等から製造される還元ガスをシャフト炉下部の羽口から吹き込み、その還元力を利用し酸化鉄を還元して還元鉄を得る方法である。
また最近では、天然ガスに代わる還元剤として石炭等の炭材を使用する還元製鉄プロセスが注目されており、例えば、鉄鉱石等の焼成ペレットを石炭粉と共にロータリーキルンで加熱還元する所謂SL/RN法がすでに実用化されている。
また他の還元鉄製造法として、特許文献1(米国特許第3,443,931号公報)には、炭材と粉状酸化鉄を混合して塊状化し、これをロータリーハース上で加熱・還元して還元鉄を製造するプロセスが開示されている。このプロセスでは、粉状の鉄鉱石と炭材を混合して塊状化し、これを高温雰囲気下で加熱することにより還元が行われる。
これらの方法で得られる還元鉄は、そのまま或はブリケット状等に成形し、電気炉などへの鉄源として使用される。また最近では、鉄スクラップのリサイクルが活発化しているが、上記方法によって製造される還元鉄は他の金属含量が少ないので、スクラップ中に混入してくる不純金属元素の希釈材としても注目されている。
また、鉄鉱石を直接加熱・還元して還元鉄を得る方法として、DIOS法などの溶融還元法も知られている。この方法は、鉄鉱石を金属鉄として50%(質量%を意味する、以下同じ)程度以下にまで予備還元しておき、その後、鉄浴中で炭素と直接反応させて金属鉄にまで還元する方法であるが、この方法は、予備還元と鉄浴中での最終還元の2工程を必要とするため作業が煩雑であるばかりでなく、鉄浴中に存在する溶融状態の酸化鉄(FeO)と耐火物が直接接触するため、耐火物の損耗が激しいという問題も指摘される。ちなみに溶融状態の酸化鉄は、アルミナやマグネシアなどの耐火材に対し高い侵食作用を有しているからである。
他方、特許文献2(米国特許第6,036,744号公報)や特許文献3(特開平09−256017号公報)、特許文献4(特開2000−144224号公報)、特許文献5(特開平11−131119号公報)などには、粉状の炭素質還元剤と酸化鉄を混合し、必要により塊状に予備成形してからロータリーハース上で加熱・還元し、生成する還元鉄を更に加熱することにより、副生するスラグと比重差で溶融分離して凝集させることで、粒状あるいは塊状の高純度金属鉄を製造する方法が開示されている。
この方法によれば、主として固相還元により生成する還元鉄を加熱し、該還元鉄を更に浸炭により融点を降下させて溶融を促進することで、金属鉄の生産性を高めることができ、耐火材に対し侵食性の高い溶融酸化鉄(FeO)による問題も回避することが可能となる。
しかし、高純度の粒状金属鉄を製造する上記方法を実施する際に、鉄鉱石などの原料中に含まれる脈石成分が多い場合には、副生するスラグ量が増大してその凝集性が悪化し、得られる金属鉄の純度や歩留まりが低下する。また、原料中にSiO2が多量含まれる場合の塩基度調整、あるいは、硫黄含有量の多い炭素質還元剤を使用する場合の脱硫などを目的として、原料中にCaO含有物質(例えばCaCO3)を添加することがあるが、その結果、副生するスラグ量は更に増大し、副生スラグの凝集性は一段と悪化する。
即ち副生スラグの凝集性が低下すると、還元により生成する金属鉄が副生スラグと十分に分離され難くなって金属鉄の粒状化や塊状化がうまく進まず、金属鉄がスラグを抱き込んだものとなったり、或いは極めて微細な粒状金属鉄が多量に生成して副生スラグとの分離が困難となり、製品として適正粒度範囲のものが歩留り良く得られ難くなる。
また鉄酸化物源の種類によっては、その中に含まれる脈石成分が少ない場合でも、スラグ形成成分の種類や含有組成によっては、副生スラグの凝集性が劣悪になることがしばしば観察される。
米国特許第3,443,931号公報 米国特許第6,036,744号公報 特開平09−256017号公報 特開2000−144224号公報 特開平11−131119号公報
こうした問題に鑑み、本発明者らはかねてより研究を進めており、該研究成果の一環として、炭素質還元剤と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱炉内で還元溶融することにより原料中の酸化鉄を固体還元した後、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、該金属鉄を副生スラグと分離させながら凝集させて粒状金属鉄を製造する際に、固定炭素含有率の高い炭素質還元剤を使用すれば、比較的サイズの大きい粒状金属鉄が得られることを知り、こうした知見を基に先に特許出願を済ませた。
この際、炭素質還元剤として固定炭素含有率が73%以上で、且つ、前記原料中の揮発分含量を3.9%以下に抑え、更には該原料の酸化鉄含有物質中に含まれる酸化鉄分に対し、炭素質還元剤の配合量を45%以下に抑え、また、上記加熱炉内で固体還元により生成した金属鉄が溶融する際の温度を1400℃以上に制御すれば、比較的サイズの大きい粒状金属鉄が高歩留りで得られることを確認している。
上記方法は、粒径の比較的大きい粒状金属鉄をより高歩留りで得るための条件として、炭素質還元剤の凝集性に与える影響を追究している点で評価に値する。しかしこの方法では、実際に適用可能な炭素質還元剤の種類にかなりの制約が課せられる。
しかも原料中、特に、酸化鉄源中に含まれる脈石成分が多い場合、あるいは、原料中にSiO2が多量に含まれる場合の塩基度調整を目的として、もしくは、硫黄含有量の多い炭素質還元剤を用いる場合の脱硫を目的として、原料中にCaCO3を配合することがあるが、この場合、副生するスラグ量の増大とそれに伴うスラグ凝集性の悪化の問題が避けられない。
しかも酸化鉄源の種類によっては、前述の如くその中に含まれる脈石成分が少ない場合でも、スラグ形成成分の種類や含有組成によっては、副生スラグの凝集性が劣悪になることがあり、この点に関しては改善の余地が残されている。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、酸化鉄等の金属酸化物とコークス等の炭素質還元剤を含む原料を加熱・還元し、これを更に加熱して金属を溶融させると共に副生する溶融スラグを凝集・分離させることにより、高純度の粒状金属を製造する際に、金属酸化物源の種類により変わってくる脈石成分の種類や量の多少に関わりなく副生スラグの凝集性を高め、加熱・還元によって生成する粒状金属の純度を高めると共に、そのサイズを大きく且つ粒度の揃ったものとし、最終的に得られる粒状金属の歩留りを確実に高めることのできる製法を確立することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る粒状金属の製法とは、金属酸化物含有物質と炭素質還元剤とを含む原料を加熱し、該原料中の金属酸化物を還元した後、生成する金属を更に加熱して溶融させると共に、副生するスラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属を製造する方法において、前記原料中に副生スラグの凝集促進剤を配合しておくところに要旨を有している。
本発明の製法を実施するに当たり、上記凝集促進剤の配合量は、前記原料中に占める比率で0.2質量%以上、2.5質量%以下、より好ましくは0.4質量%以上、2.0質量%以下の範囲が好ましい。
また上記原料としては、粉末状の金属酸化物含有物質、炭素質還元剤および凝集促進剤を使用し、これらを好ましくは均一な混合物として使用するのがよく、更に好ましくは、該混合物をペレット、ブリケット等に塊成化し、もしくは押し固めた原料を使用することが推奨される。
また上記凝集促進剤として好ましいのは、フッ化カルシウム(CaF2)、酸化ボロン(B25)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)および酸化ナトリウム(Na2O)であり、これらは単独で使用し得る他、必要により2種以上を併用することも勿論有効である。これらの中でも特に好ましい凝集促進剤は、コストおよび凝集作用などを総合的に考慮すると螢石である。
そして本発明の方法を実施する際の原料の加熱・還元は、移動炉床炉や回転炉床炉を用いて連続的に実施することが好ましく、この際、炉床上に予め炭素質物質を層上に敷きつめておき、その後、前記原料を装入して加熱・還元する方法を採用すれば、炉内の原料装入位置近傍を常時高い還元ポテンシャルに保つことができ、炉の加熱に用いる燃焼バーナからの酸化性排ガス(炭酸ガスや水蒸気など)に起因して生じることのある還元鉄の再酸化を確実に防止できるので好ましい。
そしてこの方法は、特に金属酸化物として鉄酸化物を使用し、具体的には、金属酸化物含有物質として、鉄鉱石、製鋼ダスト、製鉄廃棄物および金属廃材等から選ばれる1種もしくは2種以上を使用することにより、粒状金属鉄の製造に有効に活用できる。この際、製鋼ダストとしてステンレス鋼溶製時に生成するダスト(以下、ステンレスダストという)を、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄源と共に使用すれば、該ダスト中に含まれるNi,Cr,Moなどの有価金属を、粒状鉄に取り込んだ状態で効率よく回収することができるので好ましい。
本発明は以上の様に構成されており、副生する溶融スラグに対し流動性向上効果を有する螢石(CaF2)等の凝集促進剤を副原料として原料に配合し、還元・溶融によって生成する溶融金属と副生スラグの分離を促進することにより、鉄等の金属純度が高く且つ粒径が大きくて搬送や取扱い性に優れた高品質の粒状金属を高歩留りで生産性よく製造することができる。
上記の如く本発明では、金属酸化物源の加熱・還元工程で副生する溶融スラグに対し凝集促進作用を有する成分を原料中に含有せしめ、加熱・還元後さらに加熱することによって生成する溶融金属と副生スラグの分離を促進し、それにより、高純度でしかも比較的サイズが大きく且つ粒径の揃った粒状金属を、より高い生産性の下で収率よく製造可能にしたものである。以下、再び金属酸化物の代表例である酸化鉄を原料として粒状金属鉄を製造する場合を主体にして説明を進める。
本発明は、先に述べた如く米国特許第6,036,744号、特開平09−256017号、特開2000−144224号、特開平11−131119号など各公報に開示されている方法、即ち粉状炭素質還元剤と粉状酸化鉄含有物質を混合し、必要により塊状化してからロータリーハース上等で加熱・還元し、その後さらに加熱することによって生成する溶融金属鉄と副生スラグを比重差で分離することにより、粒状あるいは塊状の高純度金属鉄を製造する方法を利用するもので、本発明はこれらの方法の改良発明として位置付けられる。
具体的には上記従来法では、粉状の酸化鉄含有物質と粒状の炭素質還元剤とを必須的に含む原料中に、必要により、塩基度調整または脱硫などを目的としてCaCO3等が添加され、あるいは更に、原料を成形体とするのに焼成を要する場合は必要量のバインダーが配合されるが、本発明では、上記原料中に溶融スラグの凝集促進剤として、好ましくはフッ化カルシウム(CaF2)、酸化ボロン(B25)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、酸化ナトリウム(Na2O)から選ばれる少なくとも1つの物質を含む凝集促進剤を配合するところに特徴を有している。
上記凝集促進剤を含む粉状の混合原料は、そのままで回転炉床炉等の加熱炉へ供給してもよいが、好ましくは、パン型あるいはドラム型のペレタイザー等を用いてペレット状とし、あるいは押圧成型等によってブリケット状とし、若しくは、粉状混合原料を簡易的に押し固めた状態で加熱炉へ供給すれば、混合原料内での熱伝達とその内部での還元反応をより効率よく進めることができるので好ましい。
凝集促進剤の配合された混合原料を加熱炉内へ装入し、加熱により原料を固体状態に維持しつつ、該原料中の酸化鉄分の部分的な溶融を引き起こすことなく固体還元を効率よく進めるには、炉内温度を1200〜1500℃、より好ましくは1200〜1400℃の範囲に保って固相還元主体の還元を進め、引き続いて炉内温度を1400〜1500℃に高めることにより、一部残存した酸化鉄を還元すると共に、生成する金属鉄(還元鉄)を溶融させて粒状に凝集させる2段加熱方式を採用することが望ましい。そしてこうした条件設定を行なうことで、粒状金属鉄を安定して歩留りよく製造することができる。この間の所要時間は通常は8分から13分程度であり、この様に短い時間で酸化鉄の固相還元と溶融および凝集を完了させることができる。
このとき、生成した溶融金属鉄は相互に凝集し粗大化していくが、この間、副生した溶融スラグを排斥しつつ凝集していくので、凝集した金属鉄はスラグを殆ど含まないFe純度の高いものとなる。よって、これを冷却凝固してから粒状金属鉄とスラグを篩や磁選などにより分別すると、Fe純度の高い粒状金属鉄を得ることができる。
この際、原料中に金属酸化物源や炭素質還元剤と共に凝集促進剤を配合しておけば、金属酸化物源として本質的に凝集性の劣る鉄酸化物を使用する場合、更には、鉄品位が低く脈石成分が多い原料を使用する場合、もしくは、原料中にSiO2が多量含まれるため多量の副原料を配合して塩基度調整を行なう必要がある場合、または、硫黄含量の多い炭素質還元剤(例えば低品位石炭粉など)を用いる際に脱硫を目的としてCaCO3等を添加する場合、等においても、上記凝集促進剤の作用によって副生スラグの凝集が促進され、還元後の溶融過程で生成する溶融金属鉄の凝集阻害を起こすことがない。従って、本質的に凝集性の劣る鉄酸化物を原料として使用する場合は勿論のこと、CaCO3添加などに伴う副生スラグ量の増大によって粒状金属鉄の品質や製造コストに悪影響を受けることもなくなる。そして、こうした溶融スラグに対する凝集促進効果は、延いては溶融金属鉄の凝集と分離促進にもつながり、粒状金属鉄を高い歩留りで収率よく得ることができ、粒状金属鉄の製造コストを低減することが可能となる。
本発明でその使用を特徴付けられる凝集促進剤の作用は、次の様に考えられる。
即ち凝集促進剤を原料に配合すると、溶融状態で副生するスラグの融点を下げると共に流動性が著しく高められる。その結果、金属鉄が粒状化する際の溶融金属鉄の凝集過程で、分散状態にある溶融金属鉄の凝集が溶融スラグにより阻害乃至抑制されることなく、溶融金属鉄は副生スラグを排斥しながら効率よく凝集し、比較的サイズの大きい粒状体に成長していく。こうした作用は、副生するスラグが少ない場合はもとより副生スラグが多い場合でも、凝集促進剤の配合に伴う副生スラグの融点降下と流動性および凝集性向上により、結果的に溶融金属鉄の凝集阻害要因を無くす方向に作用する。従って、凝集性に劣る鉄酸化物を使用する場合や、低品位の酸化鉄含有原料や低品位の炭素質還元剤を使用した場合でも、溶融金属鉄の凝集性が高められ、鉄分純度が高く且つ粒径が大きくて搬送や取扱い性に優れた粒状金属鉄を高歩留りで生産性よく製造することができる。
また凝集促進剤を併用する他の効果として、次の点が挙げられる。
上記の如く溶融金属鉄の凝集性が高められることにより、得られる粒状金属鉄は大粒径物の比率が著しく高まることに加えて、溶融金属鉄が副生スラグと十分に分離されずスラグを抱き込んだままで凝集した未分離混合物や、微細で分離の困難な粒状金属鉄の生成率が可及的に抑制される。その結果、回転炉床炉等の還元溶融炉から粒状金属鉄と副生スラグを排出する際に、極めて微細な粒状金属鉄やスラグまたはその未分離混合物が、スクリューやスクレーパー等の排出機と炉床表面間をすり抜けて加熱炉へ再度送り込まれたり、あるいは、炉床保護層または炉床耐火物または炉床上の床敷層に押し込まれることが可及的に抑えられる。このことは、上記微細な粒状金属鉄やスラグまたはその未分離混合物に起因する炉床耐火物の浸潤、侵食、過酷な熱サイクルによる変質、肥大化などの損傷を抑制し、炉床耐火物の寿命延長や製品排出部での閉塞の問題を解消し、連続操業を長期的に安定して実施可能にする。
更に、凝集促進剤の使用に伴う副生スラグの流動性向上は、加熱・還元工程での金属鉄の浸炭反応を促進すると共に、副生スラグの溶融をも促進し、還元乃至溶融に要する時間の短縮にもつながる。また、副生するスラグの流動性が高まることで、溶融金属鉄同士および溶融スラグ同士が凝集して成長する速度も加速されるため、固体還元により生成した金属鉄の溶融開始から溶融状態の粒状金属鉄の生成までに要する時間も短縮され、上記還元溶融所要時間の短縮とも相俟って、高純度でサイズの大きい粒状金属鉄の歩留りを高く維持しつつ、生産性を著しく高めることが可能となる。
従って本発明で使用する凝集促進剤は、上記作用効果を発揮するものであればその種類の如何を問わず有効に使用できるが、還元により生成する金属内に混入して例えば還元鉄の純度を低下させる様なものは避けるべきであり、好ましくはスラグ形成成分と合体して金属鉄から容易に分離するものを選択するのがよく、好ましいものとしては例えばフッ化カルシウム(CaF2)、酸化ボロン(B25)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、酸化ナトリウム(Na2O)等が挙げられる。これらは単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、コストや凝集促進作用などを考慮して特に好ましいのはCaF2、より具体的には、これを主成分として含む螢石である。
尚、上記成分のうち炭酸ナトリウム(Na2CO3)や酸化ナトリウム(Na2O)は、炭素質還元剤として石炭粉やコークス粉を使用する際に、これらに由来して混入してくる硫黄分を捕捉し、粒状金属の低硫化も進めることができるので好ましい。
これら凝集促進剤の配合量は特に制限されないが、配合量が不足すると満足のいく凝集促進作用が発揮され難く、逆に多すぎるとその作用が飽和し不経済となるばかりでなく、副生スラグ量の増大によりスラグ処理費用が嵩むだけであるので、凝集促進剤の配合量は、原料中に占める比率で0.2%以上、2.5%以下、より好ましくは0.4%以上、2.0%以下の範囲で、配合原料中のスラグ形成成分を基準にして1%以上、11%以下、より好ましくは3%以上、8%以下の範囲とするのがよい。
また、本発明の実施に用いられる装置、即ち還元・溶融用加熱炉の構成も特に制限されず、例えば前記米国特許第6,036,744号、特開平09−256017号、特開2000−144224号、特開平11−131119号など各公報に開示されている様な還元・溶融炉が全て適用可能である。しかし特に好ましい設備は、原料の加熱還元から還元金属の溶融と粒状物への凝集と副生スラグの分離を連続的に効率よく実施するうえで、移動炉床炉または回転炉床炉の使用が推奨される。
本発明で金属源として使用する金属酸化物の種類にも特に制限がなく、例えばニッケル含有鉱石やクロム含有鉱石、あるいはそれら金属を含むリサイクル廃材などを使用できる。粒状金属鉄を製造する際の酸化鉄源としては、鉄鉱石が最も一般的であるが、この他、製鉄工場で排出される製鉄・製鋼ダストの如き製鉄廃材や端材、分別回収されたスクラップなどを全て原料として使用することができ、これらは必要により複数の混合物として使用することも勿論可能である。例えば、電気炉等でステンレス鋼を溶製する際に発生するステンレスダスト中にはNi,Cr,Moなどの非鉄系の有価金属が多量含まれているが、該ステンレスダストを単独で、或いは鉄鉱石やミルスケールなどの鉄源と併用して金属酸化物源として使用すれば、上記Ni,Cr,Mo等を粒状金属鉄に取り込んだ状態で効率よく回収することができる。
また、金属源として上記製鋼スラグの如くスラグ形成成分含量の高いものを使用した場合、凝集促進剤を配合したとしても、生成する粒状金属に対して副生スラグ量が過度に多くなって粒状金属の凝集が阻害され、粗大な粒状金属の回収率が低下してくる。従って、副生スラグ量の過度の増大を抑えて粗大粒状金属の回収率を高めるには、配合原料中に含まれるスラグ形成成分の含有率を可能な範囲で少なく抑えるのがよく、具体的には、生成する粒状金属1トン当たりのスラグ生成量が500kg程度以下となる様に、配合原料中のスラグ形成成分の含有量を抑えることが望ましい。
また本発明を実施するに当たっては、金属酸化物の還元を固相状態で可及的に進め、炉床耐火物を著しく溶損させる溶融状態の酸化鉄などの生成を防止するため、金属酸化物含有原料や炭素質還元剤中に含まれるスラグ形成成分の組成に応じて、下記実施例にも示す如く副生スラグの塩基度調整などを期してCaOやCaCO3などを配合することも可能であり、それらを併用して操業を行なうことも全て本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および作用効果を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
酸化鉄源として、脈石成分、特にSiO2含量が5.0%以上と非常に高いマグネタイト系鉄鉱石原料を用いた場合の例を示す。用いた原料鉱石の化学組成を表1に示す。
原料ペレット中のSiO2高含有鉄鉱石、炭素質還元剤、バインダー(小麦粉)、CaCO3(塩基度調整剤)、CaF2(凝集促進剤)で構成される設計配合比率は表2に示す通りとした。
ケースAは塩基度調整をしていない例、ケースB、Cは、スラグ塩基度(CaO/SiO2)が各々約1.15となる様に、またケースDは、同塩基度が1.3以上となる様に、それぞれ適量のCaCO3を配合している。そして、ケースC、Dが本発明の実施例に相当し、副生するスラグの流動性を高めるため少量の螢石(CaF2)を添加している。また各設計スラグ量は、ケースA〜Dについて、夫々127.8kg/トン(粒状金属鉄)、215.7kg/トン(粒状金属鉄)、212.7kg/トン(粒状金属鉄)および233.8kg/トン(粒状金属鉄)とした。
ケースA,Bは、副生スラグ量が粒状金属鉄の凝集性に与える影響を、また、ケースB,CまたはケースDは、本発明で特徴付けられる凝集促進剤(CaF2)の少量添加による粒状金属鉄の凝集性向上効果をそれぞれ確認することを意図した原料配合としている。なお原料ペレットは、直径が概略16〜20mmの略球状に成形したものを使用した。
各ケースとも、炭素質床敷き材(コークス粉)を表面に敷き詰めた発泡アルミナボード上に、上記各原料ペレット250〜265gを並べて載置し、これを箱型炉内に装入して、雰囲気温度1430〜1450℃、100%窒素雰囲気の条件で12〜14分間加熱した。夫々のケースについて、粒状金属鉄の回収率を表3に示す。
ここで粒状金属鉄の回収率は、原料ペレット中のT.Feと得られた粒状金属鉄の分析値から求められる理論粒状金属鉄質量に対する、実際に得られた粒状金属鉄の質量割合である。以下では、粒状金属鉄の回収率を、原料ペレット中の含有鉄の質量に対し、1粒当たりの質量が(1)約0.2g以上、または、(2)1.0g以上の粒状金属鉄の質量割合として2通りの回収率で評価した。
ケースA,Bを比較すると、ケースBではCaCO3を8%添加したことによる副生スラグ量の増加によって、明らかに小粒径の粒状金属鉄の生成率が増加する傾向を示しており、(1)約0.2g以上、および、(2)1.0g以上の粒状金属鉄の回収率は明らかに低下している。特に、サイズの大きい(2)1.0g以上の粒状金属鉄の回収率は12%以上も低下している。なお、ケースBで副生したスラグの表面には微細な粒状金属鉄が多量付着しており、単独で存在する粒状金属鉄もスラグ粒を抱き込んで硬く結合しているため、その分離が困難であった。
一方、ケースB,Cを比較すると、ケースCでは、ケースBと同様に副生スラグ量は増加しているものの、CaF2の添加により溶融金属鉄の凝集が著しく改善されることを確認できる。具体的には、質量0.2g以上及び質量1.0g以上の粒状金属鉄の歩留りが共に著しく向上しており、ケースCでは、ケースBに比べて回収率は20〜26%程度向上し、100%を超える回収率が得られている。なお回収率が100%を超えているのは、回収歩留り算出法として、原料インプット総鉄量を分母とし、回収された炭素や珪素等を一部含む粗鉄の量を分子に取り込んで算出していることによる。
またケースDは、CaCO3の配合量を8.5%に高めた例であるが、スラグ量の更なる増加により歩留りは再び減少傾向を示しているが、質量0.2g以上の粒状金属鉄の回収率は概略100%の依然として高歩留りが達成されている。なお副生スラグ量の少ないケースAと比較しても、改善効果は明白である。これら粒状金属の回収率は、たとえ1.0%の差でも実操業におけるコストインパクトは非常に大きく、本発明の特徴が顕著に現われてくる。
ケースB,Cで得た各粒状金属鉄およびスラグの外観写真を図1に、また、粒状金属鉄の粒度分布写真を図2に示す。なお、粒状金属鉄およびスラグの外観写真は、還元溶融後におけるトレイ内の生成状況を示している。
図1からも明らかな様に、CaCO3を8%添加したケースBでは、小粒径の粒状金属鉄の生成率が明らかに増加する傾向を確認できる。特にこの図から分かる様に、生成したスラグの表面には微細粒状金属鉄の付着が多く、また、単独で存在する小粒の金属鉄もスラグ粒を抱き込んで硬く結合しているため、その分離が困難であった。
凝集促進剤としてCaF2を添加したケースCでは、ケースBで認められた小粒の粒状金属鉄の生成率増加が認められず、大粒の粒状金属鉄が殆どを占めている。また、スラグ表面に付着し、もしくはスラグ粒と硬く結合した小粒径の粒状金属鉄は殆ど存在しないことが分かる。ケースBでは、生成スラグが黒緑色のガラス状を呈し、スラグ原単位の増大と共に生成スラグの形状も大型化しているが、CaF2を添加したケースC以外は、小粒の粒状金属鉄の付着量も増大している。
下記表4,5に、得られた粒状金属鉄と生成スラグの化学分析値を示す。なお粒状金属鉄の分析値は、鉱石中のSiO2など主なガング(脈石)成分以外の重金属などは殆ど含まれていなかったので、主要5元素のみを示した。
表4,5からも明らかな様に、本発明実施例に相当するケースC,Dでは、7.0〜8.5%のCaCO3を添加し、更に凝集促進剤としてCaF2を1.0%添加することにより、粒状金属鉄として高い回収歩留りを確保しつつ、硫黄含量の低い粒状金属鉄が得られており、特にケースDでは、硫黄含量が0.033%と非常に低く高品質の粒状金属鉄が得られている。
実施例2
この実施例では、原料として凝集性の悪い鉄鉱石(ヘマタイト鉱石)を用いた場合について、凝集促進剤としてCaF2を約1.0%添加した場合の効果を確認するため、上記実施例1と同様にして還元溶融実験を行った。
表6はこの実験で用いたヘマタイト鉱石の主な化学組成を示し、図3と図4のケースFは、凝集促進剤としてCaF2を配合した本発明実施例で得た還元溶融直後のアルミナボードトレイ内における、還元溶融直後の生成物の性状(図3)と回収された粒状金属鉄(図4)の外観写真を示している。また図3と図4のケースEは、CaF2添加なしの比較例で得た還元溶融直後のアルミナボードトレイ内における、還元溶融直後の生成物の性状(図3)と回収された粒状金属鉄(図4)の外観写真を対比して示している。
上記実施例1と同様に、CaF2を配合した場合には、小粒の粒状金属鉄の生成率増加は認められず、大粒径の粒状金属鉄が殆どを占めており、凝集促進剤配合による改善効果が一目瞭然である。
実施例3
この実施例は、凝集促進剤としてCaF2に代えてNa2CO3を使用した場合の例を示している。なお実験条件は前記実施例1と実質的に同じとし、原料配合は下記表7に示す通りとした。表7には、比較例として用いた原料組成も併記した。
図5は、上記実施例3および比較例で得た粒状金属鉄の累積質量分布を示したものである。なお該累積質量分布は、回収された粒状金属鉄を篩によって分別し、サイズの大きいものから小さいものの順に加算して求めた。そして図中には、個々の粒状金属鉄が0.2g以上および1.0g以上のものの累積質量%も示した。
この図からも明らかな様に、比較的サイズの大きい1.0g以上の粒状金属鉄の累積質量比率を比較すると、比較例は54.34質量%であるのに対し実施例3は95.74質量%で極めて高い値が得られている。一方、0.2g以上の粒状金属鉄の累積質量比率を見ると、比較例は58.34質量%であって、1.0g以上の粒状金属鉄の54.34質量%に対し若干の上昇は認められるものの殆ど横這い状態となっており、微細な粒状金属鉄の生成率が如何に多いかを端的に表している。これに対し実施例3では、0.2g以上の粒状金属鉄は累積質量比率で96.9質量%の非常に高い値を示しており、サイズが大きくて取扱いの容易な大粒径の粒状金属鉄が高い回収率で得られることが分かる。
実施例4
下記成分組成のステンレスダストとミルスケールを酸化鉄源として使用し、これに、下記表8に示す比率で炭素質還元剤(石炭粉)とバインダー(小麦粉)を配合した混合粉、及びこれらに凝集促進剤としてCaF2を1.5質量%配合した混合粉を使用し、粒径が約16〜20mmのペレットを造粒する。
ステンレスダストの主要成分(質量%):
T.Fe;25.7%、M.Fe;1.54%、SiO2;6.0%、Al2O3;0.54%、CaO;3.66%、MgO;1.3%、M.Ni;0.27%、NiO;7.91%、M.Cr;0.15%、Cr2O3;16.07%、M.Mn;0.23%、MnO;6.44%、MoO;6.44%、ZnO;5.53%、C;0.56%
ミルスケールの主要成分(質量%):
T.Fe;72.2%、M.Fe;12.6%、SiO2;1.95%、Al2O3;0.42%、CaO;1.5%、MgO;0.1%、MnO;0.9%
得られた各原料ペレット350g(約40個)を使用し、前記実施例1と同様にして箱型実験炉による還元溶融実験を行い、1粒当たりの質量が0.6g以上の粒状鉄の回収率を比較した。
その結果、CaF2を配合しなかった比較例では0.6g未満の微細な粒状鉄が多数生成し、0.6g以上の粗大粒状鉄の回収率は約62%であった。これに対し、凝集促進剤としてCaF2を配合した実施例では、微小金属鉄の生成量は極めて少なく、0.6g以上の粗大粒状鉄の回収率は実に98.3%という高い値が得られた。
この原料配合の場合、スラグ生成量は粒状金属鉄1トン当たり300〜400kgとなり、該スラグが生成する還元鉄の溶解と凝集に少なからぬ影響を及ぼすが、上記比較例では生成するスラグの流動性が乏しいため、該スラグが、加熱還元により生成する微小還元鉄同士の凝集を阻害し、微小金属鉄が多量生成しているのに対し、凝集促進剤として1.5%のCaF2を配合した実施例では、副生スラグの流動性が高められるため微小還元鉄同士の凝集が促進され、生成した還元鉄の殆どが粗大な粒状鉄として凝集・合体したものと考えられる。
実施例5
電気炉を用いてステンレス鋼を溶製する際に生成する下記成分組成の電気炉ダスト(ステンレスダスト)とミルスケールを酸化鉄源として使用し、これらの配合比を下記表9に示す比率で併用すると共に、炭素質還元剤(石炭粉)とバインダー(小麦粉)及び凝集促進剤としてCaF2を1.5質量%配合した混合粉を使用し、粒径が約16〜20mmのペレットを造粒する。得られた各原料ペレット350g(約40個)を使用し、前記実施例4と同様にして箱型実験炉による還元溶融実験を行い、副生するスラグ量を調べると共に、粒状鉄および副生スラグの状態を調べた。尚この実験では、いずれの場合も凝集促進剤として1.5質量%のCaF2を使用している。
この実験は、鉄源として用いる電気炉ダストの配合量が副生スラグ量とその状態に及ぼす影響を調べるために行ったものである。即ち、電気炉ダスト(ステンレスダスト)を鉄源として用いた炭材含有ペレットを用いて還元溶融を行う場合、副生するスラグの量はプロセスの安定操業に大きな影響を及ぼす。具体的には、電気炉ダストの配合量を多くするにつれて副生スラグ量は増大し、該スラグが粒状鉄を覆い尽くして微細粒状鉄同士の凝集を阻害し、あるいは更に生成する溶融スラグによる炉床耐火物の溶損が加速される恐れも生じてくる。そこでこの実験では、ケース(1)〜(4)として電気炉ダストの使用比率を約25質量%、30質量%、40質量%および約50質量%に変更し、還元溶融によって生成する粒状鉄と副生スラグの状況を調べるために行ったもので、表9には夫々の場合の副生スラグ量も示した。
ステンレスダストの主要成分(質量%):
T.Fe;23.5%、M.Fe;15.7%、SiO2;8.2%、Al2O3;2.7%、CaO;14.2%、MgO;3.6%、M.Ni;0.8%、NiO;3.9%、M.Cr;0.3%、Cr2O3;10.8%、M.Mn;0.6%、MnO;3.2%、MoO;1.1%、ZnO;9.6%、C;0.9%、
ミルスケールの主要成分(質量%):
T.Fe;75.1%、M.Fe;0.07%、SiO2;0.01%、Al2O3;0.07%、CaO;0.02%、MgO;0.01%、MnO;0.29%。
表9からも明らかな様に、ステンレスダストの配合量を多くするにつれて副生スラグ量は明らかに増大してくる。そして、ケース(1),(2)の場合、副生スラグの量は粒状鉄に比べてそれほど多くはなく、アルミナトレー内において加熱還元後の粒状鉄と副生スラグを十分に識別でき、その分離も容易に行うことができる。しかしケース(4)の場合は、生成する粒状鉄に比較して副生スラグ量が非常に多く、粒状鉄の殆どが副生スラグで覆われた状態になっており、且つ該粒状鉄はアルミナトレーの低部側に集中していることが確認された。この様な状態になると、床材耐火物が溶融金属鉄と直接接触し、床材の損傷を加速することが懸念される。
ケース(3)は、酸化鉄源としてステンレスダストとミルスケールを50:50の比率で併用した場合であるが、この比率は、炉床耐火物の劣化を防止しつつ粒状鉄と副生スラグの分離を効率よく行う上でほぼ限界の配合比率と考えられる。そしてこの場合のスラグの副生量は、生成する粒状鉄1トンに対して約500kgである。この結果から、ステンレスダストの如くスラグ成分量の多い鉄源を使用する際には、副生スラグ量が生成粒状鉄1トン当たり約500kgを超えないように原料配合を調整することが望ましい。
また、上記ケース(1)〜(4)の実施例において、回収された粒状鉄の分析値からステンレスダスト中のCr,Ni,Moの回収率を調べたところ、下記表10に示す結果が得られた。この結果からも、原料調整段階で副生スラグ量を少なく抑えるほど、鉄以外の有価金属の回収率も高め得ることが確認できる。
実施例および比較例で得た還元溶融直後の生成物の性状を示す写真である。 実施例および比較例で得た粒状金属鉄の外観写真である。 他の実施例および比較例で得た還元溶融直後の生成物の性状を示す写真である。 他の実施例および比較例で得た粒状金属鉄の外観写真である。 実施例および比較例で得た粒状金属鉄のサイズ毎の累積質量分布を対比して示すグラフである。

Claims (11)

  1. 金属酸化物含有物質と炭素質還元剤とを含む原料を加熱し、該原料中の金属酸化物を還元した後、生成する金属を更に加熱して溶融させると共に、副生するスラグ成分と分離させながら凝集させて粒状金属を製造する方法において、
    前記原料中に、溶融状態で副生するスラグの融点を降下させると共に流動性を高めて副生スラグの凝集を促進する凝集促進剤を0.2〜2.5質量%の範囲で配合しておくことを特徴とする粒状金属の製法。
  2. 前記原料として、金属酸化物含有物質、炭素質還元剤および凝集促進剤の各粉末の混合物を使用する請求項1に記載の製法。
  3. 前記混合物をペレット、ブリケットに塊成化し、もしくは押し固めた原料を使用する請求項2に記載の製法。
  4. 前記凝集促進剤として、フッ化カルシウム、酸化ボロン、炭酸ナトリウムおよび酸化ナトリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものを使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. 前記凝集促進剤として螢石を使用する請求項4に記載の製法。
  6. 原料の加熱・還元に移動炉床炉を使用する請求項1〜5のいずれかに記載の製法。
  7. 原料の加熱・還元に回転炉床炉を使用する請求項1〜5のいずれかに記載の製法。
  8. 炉床上に、予め炭素質物質を層上に敷きつめておき、その後、前記原料を装入して加熱・還元を行なう請求項6または7に記載の製法。
  9. 前記金属酸化物として鉄酸化物を使用する請求項1〜8のいずれかに記載の製法。
  10. 前記金属酸化物含有物質として、鉄鉱石、製鋼ダスト、製鉄廃棄物および金属廃材から選ばれる少なくとも1種を使用する請求項1〜9のいずれかに記載の製法。
  11. 前記製鋼ダストとして、ステンレス鋼溶製時に生成するダストを使用し、該ダスト中の有価金属を回収する請求項10に記載の製法。
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