JP4603626B2 - 還元鉄の製造方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄系粉原料と石炭等の還元材とを混合した成型体を用いて、還元鉄を溶解することなく高い操業性及び生産性をもって効率よく製造する還元鉄の製造方法に関する。
本出願は、特願2008−093344号と、特願2008−306789号とを基礎出願とし、これらの内容をここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
製銑・製鋼工程で発生する酸化鉄を多量に含有するダスト粉(粉状鉄原料)に、炭素質の還元材及び水分を配合・混合し、ペレット又はブリケット状の成形体に成型し、さらに前記成型体を乾燥させてから還元炉内に装入して加熱することで、還元鉄を製造する技術が知られている。
【0003】
また、近年、資源の枯渇に対する懸念から、焼結工程や高炉での使用が困難な粉鉱石を有効に活用する手段が必要とされており、主原料として粉鉱石の酸化鉄を用いる還元鉄製造方法も知られている。
【0004】
これら従来技術に関連するものとして、下記特許文献1には、還元炉で成型体を高温に加熱し、生成する金属鉄をスラグと分離しつつ粒状に凝集させる方法が開示されている。また、同特許文献1には、スラグ成分の塩基度を所定の範囲に制御することで、金属鉄中の硫黄含有濃度を低減させる技術も開示されている。
【0005】
さらに、下記特許文献2には、還元炉において成型体を還元する際に、炉床上面への堆積・付着物量を低減するために、SiOを含有する改質材を成型体に添加する方法が開示されている。
【0006】
加えて、下記特許文献3には、キルン内での使用を可能にするために、水熱硬化の際にシリケートまたはヒドロシリケート結合を形成させて強度の高い硬化ペレットを製造する方法と、キルンを用いて生成した硬化ペレットから金属化ペレットを製造する方法とが開示されている。
【特許文献1】
特開2004−285399号公報
【特許文献2】
特開2006−283136号公報
【特許文献3】
特開昭55−122832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金属鉄を浸炭溶解させることによって金属鉄とスラグ成分とに分離させる上記特許文献1に記載の方法では、浸炭量に応じて変化する金属鉄の融点以上の温度に還元炉を加熱する必要がある。そのような高温下では、炉内耐火物の損耗が著しいことや、加熱に要するエネルギー原単位が高いことや、さらには生産性が低くなる等の課題が残る。
また、金属鉄を溶融状態とするため、この金属鉄中に炭材由来の硫黄が含有される課題も発生する。この金属鉄中の硫黄含有濃度を低減させるためには、還元炉内の還元ポテンシャルCO/(CO+CO)を高く保たなければならず、還元炉内に装入すべき炭材を還元・浸炭溶解に必要とされる量以上に加える必要が生じる。このような炭材の過剰な装入は、金属鉄の融点を著しく低下させるため、粒状金属鉄の相互溶解の可能性を高め、金属鉄が炉床を流動する虞がある。その場合、粒状金属鉄の歩留りが低下するとともに、操業性が著しく低下する。
金属鉄を溶解することなく製造することができれば、金属鉄中に炭材由来の硫黄が溶解することを防ぐことができる。そのため、還元炉の還元ポテンシャルを高く保つ必要がなく、原料である炭材のコストを節約することができる。同時に、粒状金属鉄の相互溶解に伴う金属鉄の炉床における流動を防ぐことができ、操業性を損なう虞がない。しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、これを達成し得ないのが現状である。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の方法では、酸化鉄とSiOとにより安定した溶融化合物を容易に生成してしまう。そのため、還元材による酸化鉄の還元に時間を要するので、生産性が低下するという課題が残る。
【0009】
さらに、キルンを用いて金属化ペレットを製造する特許文献3に記載の方法では、移動床式還元炉を用いた還元鉄の製造方法と異なり、その粉化を防ぐために高い強度の成形体が必須となる。しかしながら、そのような理想的な強度を全ての成形体に対して求めることは容易いことではなく、強度のばらつきを完全に回避することは現実的ではない。よって、還元される前にある程度粉化してしまうものが生じるのは不可避であり、そのような粉化の結果、スラグ成分が炉内に堆積しやすくなる。そのような堆積物は、所謂キルンリングと呼ばれる付着物として炉の内壁に沿って成長し、金属化ペレットの排出を妨げる虞がある。その場合、金属化ペレットの生産性が著しく低下する。
[0010]
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、酸化鉄系の主原料と炭素質の還元材とを混合した成型体を還元炉内で加熱して、金属鉄とスラグ成分とから成る還元鉄を製造するに際し、主原料である酸化鉄の被還元性を損なうことなく、より高濃度の金属鉄を含有する還元鉄を高い操業性及び生産性をもって効率よく製造する方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0011]
本発明は、上述の問題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。
[0012]
(1)還元に要する炭素質還元材が添加された酸化鉄を主成分とする原料を成型した成型体を乾燥した後、この成形体を移動床式還元炉に装入して還元することにより金属鉄分及びスラグ成分の混合物を含む還元鉄を製造する方法であって、前記成型体の成型に際して、前記原料に、CaOを主成分とする酸化物系改質材、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の少なくとも何れか一方を添加し;前記成型体中のCaO、SiO、MgO及びAlの含有量の合計を、前記炭素質還元材を除いた前記成型体の全質量に対して、8〜20質量%の範囲とし;前記成型体中の前記スラグ成分の質量%を用いて算出されるスラグ塩基度:(CaO%+MgO%)/Sin%を、0.9〜3.0の範囲とする。
[0013]
(2)上記(1)に記載の還元鉄の製造方法では、前記成型体の成型に際し、前記成型体中における、CaOの含有量とSiOの含有量とMgOの含有量とAlの含有量との合計に対し、Alの含有量を5〜19質量%の範囲としてもよい。
[0014]
(3)上記(1)または上記(2)に記載の還元鉄の製造方法では、前記成型体の成型に際し、前記原料に添加する、CaOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径を、篩下80%粒子径で2mm以下としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)に記載の還元鉄の製造方法によれば、成型体の還元時に酸化鉄とスラグ成分との反応によって被還元性を低下させる酸化鉄系化合物を形成することなく、所定時間の加熱で到達する成型体中の金属鉄含有率を高位に安定化させると共に、還元炉の原燃料コストを低減し、高い操業性及び生産性をもって高効率に還元鉄を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、スラグ成分中の(CaO+MgO)/SiOと金属化率との関係を示す図である。
【図2】図2は、本発明の還元鉄の製造方法の条件を満たすようにスラグ塩基度を制御した場合に得られた還元鉄断面の光学顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の還元鉄の製造方法の条件を満たさないようにスラグ塩基度を制御した場合に得られた還元鉄断面の光学顕微鏡写真である。
【図4】図4は、図3に示した還元鉄断面の一部の詳細な電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、MgOの篩下80%粒子径と還元鉄の金属化率との関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
本発明は、上述の問題に鑑み、主原料となる酸化鉄の被還元性に対する含有スラグ成分の影響に着目して、種々の検討を加えた結果をもとに構築した技術である。この技術により、酸化鉄系の主原料と炭素質の還元材とを混合した成型体を還元炉内で加熱して、金属鉄とスラグ成分とから成る還元鉄を製造するに際し、主原料である酸化鉄の被還元性を損なうことなく、より高濃度の金属鉄を含有する還元鉄を高い操業性及び生産性をもって効率よく製造する方法を提供する。
【0019】
まず、本発明の還元鉄の製造方法を説明するに先立ち、本願発明者らが行った検討内容及び検討結果について、以下に詳細に説明する。
【0020】
本発明の還元鉄を製造するために還元炉に装入する成型体の主原料となる酸化鉄は、ダスト類(例えば、転炉ダスト、電炉ダスト、溶解炉ダスト、高炉ダスト等)、あるいは、焼結工程や高炉で通気性を低下させて生産性を阻害する粉鉱石類である。前者のダスト類は、溶解・還元・精錬工程での発生物であり、精錬スラグの主成分であるCaO、SiO、Al、MgO等の酸化物を含有している。また、後者の粉鉱石類は、脈石成分として、主にSiO、Al等の酸化物を含有している。
【0021】
これらの酸化鉄は、資源リサイクルの観点から、鉄原料として活用することが望まれている。その方法として、石炭のような炭素系還元材を所定量混合し、ペレットやブリケットなどの成型体とし、加熱炉の中で一定時間保持することにより還元鉄を製造する方法が広く知られている。
【0022】
成型体とする際に、強度を保つためのバインダーを所定量添加する。この種のバインダーの代表としては、コーンスターチのような澱粉質の粉末である。
【0023】
造粒、成型の過程では、これらの原料に水分を所定量加え、乾燥させることで、得られる成型体中の原料の組成が均一になり、微粒子間の結合力を増大させて、成型体の強度を保つことができる。その結果、各工程間での輸送運搬や炉内への装入時の成型体の機械的な破壊を防止できる。さらに、成型体を炉内へ装入した際に成型体中の水分の急激な蒸発に伴う爆裂粉化も防止できる。
【0024】
成型体を還元炉内で加熱して還元鉄を製造する過程において、加熱温度とスラグ成分とによっては、酸化鉄とスラグ成分とが反応して低融点相を形成し、成型体の一部が溶融する現象が起こる。この現象によって、酸化鉄の還元機構が固体の酸化物と炭素系還元材から発生する還元ガスとの間接反応から、溶融酸化物相と固体炭素系還元材との直接反応に移行し、還元速度が増大するという現象を見いだした。さらに、その際のスラグ成分が酸化鉄の還元に影響を及ぼすことも見いだした。
【0025】
本発明は、以上の知見を参考にして、炭素質還元材を内装する成型体における酸化鉄の還元に適用した。プロセスの一例を挙げると、ドーナツ状に配置した加熱炉の回転する床上に成型体を装入し、一定時間加熱の後に排出する回転炉床を用いた還元鉄の製造方法である。このようなプロセスでは、生成する溶融スラグ量が多い場合、床上に堆積物が著しく成長し、加熱炉と干渉し、回転の障害となって設備上の問題が発生することがある。そのため、生成する炉床上の堆積物の被削性を向上させる必要がある。前述の特許文献2には、SiOを含有する酸化物系改質材を添加してスラグの液相量を制御することにより、生産の障害となる炉床上の堆積物の被削性を向上する方法が開示されている。しかしながら、酸化鉄とSiOとの反応によりFayalite(=2FeO・SiO)と呼ばれる低融点の化合物が生成し、FeOの被還元性が低下するため、高金属化率を有する還元鉄が製造し難い。
【0026】
本発明者らは、ダスト等の酸化鉄原料と炭素質還元材とから成る成型体における酸化鉄の還元を熱力学的観点から考察し、鋭意実験を重ねた結果、成型体中の酸化鉄の被還元性が、成型体を加熱することで生成する溶融スラグ中のFeOの活量と相関があることを見出した。換言すると、溶融スラグ中のFeOの活量は、存在するFeOの濃度と他成分の相互作用とによって決まり、例えばSiO等が存在する場合、FeOがより安定な状態になり、被還元性が低下する。一方、CaOやMgOといった塩基性成分が存在すると、FeOがより活性な状態になり、被還元性が向上する。
【0027】
すなわち、溶融スラグ中のFeO濃度が同一の場合でも、FeOの活量が高い溶融スラグほど、FeOの被還元性が向上する。成型体中の酸化鉄の還元を効率よく進めるために、本発明者らはスラグ量とスラグ組成とに着目し、鋭意研究を重ねた結果、成型体中の酸化鉄の被還元性を高める方法を見出した。なお、この考え方は、プロセスに関わらず、鉄鉱石やダスト等の酸化鉄およびスラグ成分からなる物質の還元を目的とする場合に、共通して適用可能である。
【0028】
以下、本発明の条件について詳細に説明する。
先述した通り、FeOの還元を効率的に起こす条件として還元実験を行い、その結果に基づき、スラグ塩基度(CaO+MgO)/SiOがFeOの還元に影響することを見出した。転炉ダストと石炭および粒子径が2mm以下のCaO粉末とMgO粉末とを所定量配合及び混練した後、30mmφ×17mmのサイズのタブレットに成型し、1250℃のN雰囲気に制御した炉内で15分間保持した後、これを取り出して化学分析に供した。なお、この場合のCaO、SiO、MgO、Alの質量合計は、炭素質還元材を除いた成型体全質量に対する質量%で、8〜20%の範囲内であった。
【0029】
得られた還元鉄の金属化率(=M.Fe%/T.Fe%)と(CaO%+MgO%)/SiO%との関係を図1に示す。図1に示されるように、還元鉄の金属化率とスラグ塩基度との間には強い相関があり、還元鉄の金属化率は、スラグ塩基度が1.4〜1.7程度で極大となった。この塩基度条件(スラグ塩基度が1.4〜1.7程度)のとき、還元鉄の金属化率(極大値)は95%程度であった。
【0030】
得られた還元鉄の代表的な断面の光学顕微鏡写真を、図2及び図3に示す。これら図2及び図3の白い部分が金属鉄であり、灰色の部分がスラグである。図2に示すように、スラグ塩基度を1.28に制御した場合、還元鉄の金属化率は95%であった。この還元鉄の組織は、ネットワーク状に生成した金属鉄とその間隙に存在するスラグとにより構成される。一方、図3に示すように、スラグ塩基度を0.7に制御した場合、還元鉄の金属化率は78%であった。この還元鉄の組織は、粒状に点在する金属鉄とその周囲に多く残留したスラグ相とにより構成される。この断面を詳細に電子顕微鏡で観察した結果を図4に示す。加えて、EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)で組織を分析した結果を同図4に示す。溶融スラグ中にFayalite(2FeO・SiO)が生成し、FeOと共に残留していることがわかった。
【0031】
これらの結果を整理し、(CaO+MgO)/SiOの比を0.9〜3.0の範囲に制御することで、還元後の金属化率が85%以上となることを見いだした。得られる還元鉄の金属化率は、高いほど望ましい。これは、その後の還元鉄を溶解して溶鉄を製造する工程において、一部の残留酸化鉄は、還元に伴う吸熱反応により溶解効率を低下させ、残りの残留酸化鉄は、スラグとして溶鉄歩留まりを低下させるためである。従って、溶解効率を損なうことなく溶鉄が製造可能な条件は、還元鉄の金属化率が85%以上、すなわち、(CaO+MgO)/SiOが0.9〜3.0の範囲である。
【0032】
この条件は、以下のようにして決定した。(CaO+MgO)/SiOが0.9以下であると、前述したようにSiOの影響によってFeOがより安定な状態となり、被還元性が低下する。一方、(CaO+MgO)/SiOが3.0を超える場合は、CaOやMgOは単体でスラグ成分の融点を上昇させるため、溶融スラグ量が低下する。そのため、溶融酸化鉄と固体還元材との反応、すなわち溶融還元の効果が損なわれると考えられる。特に、(CaO+MgO)/SiOを1.4〜2.2の範囲内に制御すれば、金属化率が90%を超える還元鉄を得ることができ、極めて高い溶解効率が期待できる。
【0033】
以上説明の酸化鉄とスラグとの相互作用を発現及び制御するためには、成型体中に所定量のスラグが必要である。このため、スラグ主成分であるCaO、SiO、MgO、Alの質量合計を、炭素質還元材を除いた成型体全質量に対する質量%で8〜20%の範囲に制御する。スラグ量が7%未満では、FeOとの反応で溶融するスラグ量が少ないため、その効果が低くなる。また、スラグ量が20%を超えると還元鉄中の鉄分量が低くなり、その後の還元鉄を溶解して溶鉄を製造する工程において、スラグ溶解に消費される余剰なエネルギーが必要になる。
【0034】
また、スラグ成分の一つであるAlは、MgO含有酸化物と高融点で硬質な鉱物相であるスピネル(MgO・Al)を形成しやすいことが知られている。スピネルの形成によりスラグ中のMgOが減少してスラグの融点を高くするため、溶融スラグ量が減少し、FeOの還元効率を下げる。そのため、Alは、含有量として、CaO、SiO、MgO、Alのそれぞれの含有量の合計に対し、5〜19質量%の範囲内に制御することが望ましい。
【0035】
スラグ組成の制御は、例えば、原料をブリケットやペレットのような成型体に成型する際に、CaO源となる生石灰やMgO源となる軽焼マグネサイトやドロマイトを酸化鉄系原料と炭素質還元材、必要に応じてバインダーと共に所定量配合、混合して、成型体中に均一に分散させる方法で行うと、より高い効果が得られ望ましい。CaO、MgOの添加量は、成型体の主原料となる鉄鉱石、ダスト等の酸化鉄系主原料および炭素質の還元材について、成型前に予め化学分析を行い、その結果をもとに決定する。
【0036】
更に、それらの添加物は、加熱時の反応の効率性、均一性の点からは、粒子径がより微細である方が望ましく、塊状よりも粉末状で添加する方がより高い効果が得られる。具体的には、篩下80%粒子径は2mm以下であることが望ましい。より望ましくは、1.5mm以下である。篩下80%粒子径とは、篩分けを行った場合に、篩を通過した粉体が全体の質量の80%となる際の粒径を意味する。ここで、転炉ダストと石炭および粒子径の異なるMgOを所定量配合・混練し、30mmφ×17mmのサイズのタブレットに成型した。そのタブレットを1250℃のN雰囲気に制御した炉内で15分間保持した後、取り出して化学分析に供した。図5は、(CaO+MgO)/SiOを1.56〜1.58の範囲内に制御した場合のMgOの篩下80%粒子径と還元鉄の金属化率との関係を示す。図5に示すように、MgOの篩下80%粒子径が2mm以下のときに、還元鉄の金属化率が大きくなることが解る。
【0037】
また、篩下80%粒子径を2mm以下とする方法として、例えば、一般的に2mm以上の粗大な粒子径を持つ軽焼マグネサイトはロッドミルやボールミルで粉砕される。しかし、本発明におけるこれらの添加物の粉砕方法はその方法に限定されるものではない。
【0038】
加えて、還元炉の操業温度は、還元により生成した金属鉄と溶融スラグとに分離するために必要とされる浸炭した金属鉄の溶融温度、例えば1400℃以下に制御することが好ましい。さらに言うと、還元温度は、より好ましくは1385℃以下、最も好ましくは1350℃以下とするのがよい。金属鉄が溶融すると炉床堆積物中への金属鉄の混入量が増加して岩盤化するため、堆積物の切削性が著しく低下する。その結果、還元炉の操業性および生産性が著しく低下する。
【0039】
なお、上述の説明では、CaOとMgOとの両方を添加してスラグ塩基度を制御する場合について説明した。しかし、本発明は上述の例のみに限定されるわけではなく、CaOのみ、または、MgOのみを添加してスラグ塩基度を制御してもよい。
【実施例】
【0040】
次に、本発明の実施例について説明するが、本実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例のみに限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得る。
【0041】
(実施例)
各種スラグ成分を含む各種ダストを配合した原料に対し、各ダスト中の酸化鉄に含有される酸素と石炭に含有される炭素とがモル濃度で等量となるように石炭を配合し(mol%O/mol%C=1)、篩下80%粒子径を120μmとした。さらに、生石灰(CaO)あるいは軽焼マグネサイト(MgO)の添加量および粒子径を変えて混合し、異なるスラグ量および組成のブリケットに成型した。これらのブリケットを乾燥した後、直径20mの回転炉床に装入して操業を行った。炉内の温度はLNGバーナーで1000〜1350℃に制御され、これらのブリケットの炉内滞在時間は15分であった。装入したブリケット中のスラグ組成の化学分析値と得られた還元鉄の金属化率とを表1に示す。表1に示すように、本実施例の条件では、85%以上の高い金属化率を有する還元鉄が得られていることが解る。
一方、本発明の条件を満たさない比較例では、酸化鉄の被還元性が低下するため、得られた還元鉄の金属化率は、85%未満と満足できない結果であった。
【0042】
【表1】
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例のみに限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
酸化鉄系の主原料と炭素質の還元材とを混合した成型体を還元炉内で加熱して、金属鉄及びスラグ成分から成る還元鉄を製造するに際し、主原料である酸化鉄の被還元性を損なうことなく、より高濃度の金属鉄を含有する還元鉄を高い操業性・生産性をもって効率よく製造することが可能な、還元鉄の製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 還元に要する炭素質還元材が添加された酸化鉄を主成分とする原料を成型した成型体を乾燥した後、この成形体を移動床式還元炉に装入して還元することにより金属鉄分及びスラグ成分の混合物を含む還元鉄を製造する方法であって、
    前記成型体の成型に際して、前記原料に、CaOを主成分とする酸化物系改質材、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の少なくとも何れか一方を添加し;
    前記成型体中のCaO、SiO、MgO及びAlの含有量の合計を、前記炭素質還元材を除いた前記成型体の全質量に対して、8〜20質量%の範囲とし;
    前記成型体中の前記スラグ成分の質量%を用いて算出されるスラグ塩基度:(CaO%+MgO%)/SiO%を、0.9〜3.0の範囲とする;
    ことを特徴とする還元鉄の製造方法。
  2. 前記成型体の成型に際し、前記成型体中における、CaOの含有量とSiOの含有量とMgOの含有量とAlの含有量との合計に対し、Alの含有量を5〜19質量%の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の還元鉄の製造方法。
  3. 前記成型体の成型に際し、前記原料に添加する、CaOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径を、篩下80%粒子径で2mm以下とすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の還元鉄の製造方法。
JP2010505900A 2008-03-31 2009-03-30 還元鉄の製造方法 Active JP4603626B2 (ja)

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