JP5503364B2 - 炭材内装塊成化物およびその製造方法、ならびにそれを用いた還元鉄製造方法 - Google Patents

炭材内装塊成化物およびその製造方法、ならびにそれを用いた還元鉄製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、還元鉄を製造するための移動炉床式還元炉の原料として用いられる炭材内装塊成化物およびその製造方法、ならびにそれを用いた還元鉄製造方法に関する。
鉄鉱石や製銑・製鋼工程で発生する酸化鉄を多量に含有するダスト粉などの粉状の酸化鉄含有原料に、還元材として石炭やコークスを製造する際に発生する粉などの炭素を含有した炭材と水分やバインダー分を添加・混合し、ペレットまたはブリケットに成形し、その成形体(炭材内装酸化鉄塊成化物)を乾燥し、次いで、回転炉床炉で加熱して還元反応を起こさせて還元鉄を製造する技術が知られている。この成形体は、もともと微粉で構成されていることから未還元であればもとの粉が発生し、また還元が終了した段階でも還元に用いられなかった炭素分が含有されており、還元鉄が炉外へ排出される際に衝撃で割れて内部の炭素や還元鉄粒子および原料に含まれる酸化物成分が粉となって炉内に残留することがある。さらには排出された還元鉄もベルトコンベアなどの搬送機器で移送される際に還元鉄同士の摩擦やベルトコンベアなどの乗り継ぎの際の落下衝突により微粒分が発生する。
ところで、還元鉄を製造する際に回転床式還元炉内の加熱温度の変更や滞留時間の調整などの変更を行うだけでは還元された金属鉄の凝集に影響するスラグの形成を調整することが困難であり還元鉄の圧潰強度が弱くなる。このため還元鉄を回転床式還元炉から排出する時に紛化・破損し、回転床式炉からの排出が困難になるうえ、排出できなかった還元鉄粒子やスラグ分が炉内に残留し、炉床の耐火物と反応して損傷を引き起こしてしまう。 また排出時に紛化・破壊した還元鉄の一部は、炉内のガス気流中に浮遊して、回転床式還元炉内壁及び排ガス設備ダクト壁に付着することもある。さらに排出された還元鉄が、搬送中に紛化・破損するとダストとなって再度原料として使用する必要が生じる上、電気炉や高炉といった還元鉄を溶解して銑鉄とする工程においても歩留まりが低下する。
このため、炉内での還元過程や炉外への搬出および搬送の際において微粒分の発生を抑制ないし防止する技術が望まれている。
一方、製造された還元鉄は、高炉や転炉、電気炉などの鉄原料として使用されることから、炉のエネルギ効率を改善するためできるだけ高炭素含有量のものが望まれているものの、炭素含有量が高くなるほど、還元鉄の強度が低下することが知られている。
そこで、上記課題を解決するために、炭材内装酸化鉄塊成化物や還元鉄の強度を高める方策が種々検討されている。
例えば、これまでスラグ成分の溶融と固着によって還元鉄粒子を固めることに着眼し、スラグの塩基度調整用原料としてCaCOなどのCa含有化合物を用いて塩基度(CaO/SiO)比を0.3以上0.6以下とすることにより還元鉄の圧潰強度を向上させることで粉化を抑制する方法や塩基度を1.4〜1.6に調整し、塊成化物中の炭素を10〜20%として1250℃〜1350℃で加熱する方法が提案されている(特許文献1、2参照)。しかし鉄鉱石やダストといった鉄源にはCaOやSiO以外にもAlやMgOを含むものもあり、単に(CaO/SiO)比を制御するだけではスラグの溶融温度を精度良く制御することができず、確実に還元鉄の強度を高めることはできない。
また、炉内への装入過程において微粒分の発生を抑制するため、粉状鉄原料中のAlとSiOの合計量を塊成化物中に4〜10質量%の範囲に調整して成形体の強度を高める技術が提案されている(特許文献3参照)。しかし、原料中のAlとSiOの合計を規定するだけではスラグの融点を精度良く制御することはできず、やはり圧潰強度を上げて粉化を防止できるものではない。
またさらに、CaO、Al、MgOおよびSiOの存在量から(XCaO+Al+XMgO)/XSiOを求め、この値が1〜5となるよう調整する方法も提案されている(特許文献4参照)。しかし、これは炉床に付着した付着物を除去しようとする際に容易に切削しうる付着物成分に着目したものであって、還元鉄自体の強度を高め、粉化を防止できるものではない。
また、(CaO+Al)/SiOで計算される値が1.6以上とする方法やさらにCa含有物質としてカルシウムイオンを含む水和物を添加する方法が提案されている(特許文献5参照)。しかし、この方法では水和物を形成するのに3日かかるとされており、原料を3日以上保持するヤードが必要となる。
また、CaF成分を添加するとともに、(CaO/SiO)比を0.3〜1.0とする方法が提案されている(特許文献6参照)。しかし近年、CaFについては環境への影響が懸念されるためにCaFを含有するスラグは廃棄が規制されるようになっており、CaFの使用も制限されることが多い。
また、炉内でバースティングして粉が発生することを防ぐ目的で、(CaO/SiO)比を0.5〜1.5とし、結晶水と揮発分の合計量を10.5質量%以下とし、付着水分の含有量を1.0%以下とする方法も提案されている(特許文献7参照)。しかし、酸化物原料中に結晶水を10.5質量%を超えて含有する原料には適用できず、水分を1質量%以下に乾燥するには乾燥時間を多く必要とする。
(CaO−MgO)/T.Feを0.1以下とし、かつ(CaO−MgO)/SiOを2以下として酸化鉄原料の大きさを50μm以下として還元帯内の一酸化炭素に対する二酸化炭素の比を0.3から1として、還元鉄の金属化率を50〜85%とし該還元鉄中の残留炭素を2質量%以下とする方法も提案されている(特許文献8参照)。しかし、この方法では酸化鉄原料が50ミクロンを超えるものは粉砕工程が必要になり、大きな粒径のものほど粉砕に時間を要する上、炭素を多く含んだ還元鉄を得ることができない。
特開2004−169140号公報 特開平10−147806号公報 特開平11−12626号公報 特開2006−283136号公報 特開2007−197783号公報 特開2008−56986号公報 特開2009−35820号公報 特開2009−84688号公報
そこで、本発明は、炭材内装酸化鉄塊成化物を移動炉床式還元炉内で加熱して還元鉄を得るに際して炉内で粉化を起こして粉が蓄積されることがなく、また得られた還元鉄が搬送されるに際して粉化して歩留まりが下がることを確実に防止しうる炭材内装酸化鉄塊成化物、および、その製造方法、ならびに、それを用いた還元鉄の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、還元鉄を製造するための移動炉床式還元炉の原料として用いられる炭材内装酸化鉄塊成化物であって、当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下であり、かつ、当該塊成化物が前記移動炉床式還元炉内において前記固相線温度より高く、前記3元系スラグの液相線温度よりも低い温度で加熱処理されて製造された還元鉄中に残留する炭素が6質量%以下となるような炭材配合量であることを特徴とする炭材内装酸化鉄塊成化物である。
請求項2に記載の発明は、還元鉄を製造するための移動炉床式還元炉の原料として用いられる炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法であって、当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下になるようにするとともに、かつ、当該塊成化物を前記移動炉床式還元炉内において前記固相線温度より高く、前記3元系スラグの液相線温度よりも低い温度で加熱処理して製造した還元鉄中に残留する炭素が6%以下となるように、酸化鉄含有原料、炭材および副原料の配合割合を調整することを特徴とする炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記副原料として、酸化カルシウム含有物質および/または酸化珪素含有物質を用いる請求項2に記載の炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の炭材内装酸化鉄塊成化物、または、請求項2もしくは3に記載の製造方法で製造された炭材内装酸化鉄塊成化物を、前記移動炉床式還元炉内で加熱処理して還元鉄を製造する方法であって、下記式(1)で定義される炭素利用効率ηが0.08〜0.12の範囲内になるように、加熱処理温度を前記固相線温度より高く、前記液相線温度よりも低い温度範囲で調整することを特徴とする還元鉄製造方法である。
η=NCO2/(NCO+NCO2 …式(1)
ここに、NCOおよびNCO2は、それぞれ、上記加熱処理の際に上記炭材内装酸化鉄塊成化物中から発生する、COの総モル量およびCOの総モル量である。
本発明によれば、炭材内装酸化鉄塊成化物中のAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度を1300℃以下にするとともに、該固相線温度より高く、液相線温度よりも低い温度で加熱処理して製造した還元鉄中に残留する炭素が6質量%以下となるように原料配合した炭材内装酸化鉄塊成化物を用いることで、炭素を十分に含有しつつ、より高い圧潰強度を備えた還元鉄が製造できるようになった。
炭材内装酸化鉄塊成化物のスラグ組成と固相線温度との関係を説明するためのAl−CaO−SiO3元系状態図である。 還元試験に用いた小型高周波急速加熱炉の装置概要を示す縦断面図である。 還元試験における加熱パターンを模式的に示す図である。 還元試験に用いた炭材内装酸化鉄ペレットのスラグ組成と固相線温度との関係を説明するためのAl−CaO−SiO3元系状態図である。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
(実施形態)
本発明は、炭材内装酸化鉄塊成化物(以下、単に「塊成化物」ともいう。)中のスラグ成分組成および炭材配合量を所定の範囲とすることを特徴とし、これにより、高炉や電気炉、転炉などの鉄原料としてより適した、炭素を十分に含有しつつ、圧潰強度がさらに高められた製品還元鉄が得られる。
具体的には、当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下であり、かつ、当該塊成化物が移動炉床式還元炉(例えば回転炉床式還元炉)内において前記固相線温度より高く、液相線温度よりも低い温度で加熱処理されて製造された還元鉄中に残留する炭素が6%以下となるような炭材配合量とする。
以下に、上記各パラメータの数値限定根拠を説明する。
<当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下>
Al−CaO−SiO3元系スラグを対象としたのは、塊成化物中に存在するスラグ成分は、主としてAl、CaOおよびSiOで構成されることによる。
また、該3元系スラグの、液相線温度でなく、固相線温度を規定することとしたのは、以下の理由による。
すなわち、液相線温度はスラグが全量溶融状態となる温度であるのに対し、固相線温度は一部溶融状態のスラグが発生し始める温度である。つまり、スラグの液相線温度を規定し、この液相線温度より高い温度で加熱すると、スラグ成分が一挙に全量溶融してしまい、塊成化物内に空隙を多く作り、却って金属鉄の焼結の促進を妨げるため、高強度の還元鉄が得られない。これに対し、スラグの固相線温度を規定し、この固相線温度より高い温度で加熱すると、スラグ成分の全量ではなく一部が溶融した固液共存状態が得られることにより、スラグの溶融による空隙の形成を抑制しつつ、金属鉄の焼結を促進させることができることになる。要するに、還元鉄の強度発現は、スラグ相の形成によるものでなく、金属鉄の焼結構造によるものである。
また、固相線温度を1300℃以下としたのは、回転炉床式還元炉で還元鉄を製造する場合、加熱温度としては1300℃ないしそれ以下の温度を採用する例が多いことを考慮したものである。
ここで、Al−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度は、例えば以下のようにして決定することができる。
図1は、一般的に用いられるCaO−SiO−Al3元系複合酸化物の相平衡状態図(SLAG ATLAS 2nd Edition(1995),Verlag Stahleisen GmbH,p.105)であるが、この図には液相線温度(T)は記載されているものの、固相線温度(T)は記載されていない。そこで、熱力学平衡計算ソフトウェア「FactSage」(Thermfact and GTT−Technologies社製)を用いて、上記3元系複合酸化物における固相線温度(T)を算出し、同図上に固相線温度(T)が1300℃以下となる領域をハッチングで示した(点P、Q、R、Sで囲まれた領域;点P、Q、R、Sの各組成は下記表1に示すとおり。)。
Figure 0005503364
したがって、塊成化物中の上記3元系スラグの組成が上記領域内の組成となるように、酸化鉄含有原料、炭材および副原料の配合量を調整すればよい。なお、塊成化物中の炭材の配合量は、後述の還元鉄中の残留炭素量見合いで最終的に決定されるため、上記3元系スラグの組成は、主として酸化鉄含有原料と副原料の配合量で調整することになる。すなわち、上記3元系スラグの組成は、酸化鉄原料である、複数の異なるスラグ成分組成を有する製鉄ダストや鉄鉱石の配合割合の他、副原料である、石灰石、生石灰等の酸化カルシウム含有物質、および/または、珪石等の酸化珪素含有物質の添加量を調整することによって行うことができる。
<当該塊成化物を前記移動炉床式還元炉内において前記固相線温度より高く、液相線温度より低い温度で加熱処理して製造した還元鉄中に残留する炭素が6質量%以下>
加熱処理温度を固相線温度より高く、液相線温度より低い温度としたのは、スラグを一部液相化して金属鉄の焼結を促進させるためである。ここに、加熱処理温度とは、移動炉床式還元炉内における最高雰囲気温度を意味するものとする。
また、上記特許文献8に記載の方法では、還元鉄中の残留炭素を2質量%以下に制限しているが、本発明では、上記のようにスラグ成分の溶融制御を適正に行うことで、さらに高い炭素含有量でも還元鉄強度を確保できる。ただし6質量%を超えると、金属鉄の凝集を阻害するため、還元鉄の圧潰強度が低下してしまう(後記実施例の表4を参照)。還元鉄強度を確保する観点からは、還元鉄中に残留する炭素は少ないほど好ましいが、上述したように、高炉や転炉、電気炉などのエネルギ効率を改善する観点からは、できるだけ高C含有量が好ましく、還元鉄中に残留する炭素は2質量%超、さらには3質量%以上とするのが推奨される。
還元鉄中の残留炭素量の調整は、炭材内装酸化鉄塊成化物中の炭材配合量(炭素含有量)を調整することよって行うことができ、例えば、炭材内装酸化鉄塊成化物の製造時において、炭素含有量の高い高炉ダストの配合割合や、石炭、コークス粉等の炭材の添加量を調整することによって行うことができる。
炭材内装酸化鉄塊成化物中の炭材配合量は、以下のような考え方で設定することができる。
すなわち、炭材として石炭などの揮発分と固定炭素分を含有するものを用いた場合には、回転炉床式還元炉内で塊成化物が加熱された際、まずその昇温過程にて500〜600℃で揮発分が除去されるが、この揮発分は酸化鉄の還元にはほとんど寄与しない。そして、さらに塊成化物の温度が上昇し、約700℃に達したときに、固定炭素により酸化鉄の還元反応が実質的に開始されることが知られている。
したがって、塊成化物中の固定炭素質量Xcは、下記式(2)に示すように、酸化鉄および酸化亜鉛を完全に金属まで還元するのに必要な炭素質量Xcと、還元後の還元鉄中の残留炭素質量Xcとの合計質量とみなすことができる。
Xc=Xc+Xc…式(2)
ここで、酸化鉄および酸化亜鉛を完全に金属まで還元するのに必要な炭素質量Xcは、下記式(3)で推定することができる。
Xc=(12/16)・Xo/(1+η …式(3)
ただし、Xoは、炭材内装酸化鉄塊成化物中における、酸化鉄の酸素と酸化亜鉛の酸素の合計質量であり、ηは炭素利用効率(詳細は後述)である。
上記式(3)において、酸化鉄の他に酸化亜鉛の還元を考慮したのは、原料として製鉄ダストを用いる場合には、相当量の酸化亜鉛が含まれ、その還元に相当量の炭素質量を必要とするためである。ただし、鉛、アルカリ金属など他の非鉄金属の酸化物の含有量は酸化鉄や酸化亜鉛に比べて少ないので無視した。
また、上記式(3)中の1/(1+η)の項は、還元反応により発生するCO+COガス中のCOガス成分の割合が高くなるにつれて酸化鉄および酸化亜鉛を完全に金属まで還元するのに必要な炭素質量が少なくなることを意味するものである。
ここに、炭材内装酸化鉄塊成化物を回転炉床式還元炉内で加熱処理した際の炭素利用効率ηは、後述の実施例で用いた小型高周波急速加熱炉で炭材内装酸化鉄塊成化物を不活性ガス雰囲気中で加熱処理して還元鉄を作製する試験を行い、その際に塊成化物から発生するCO、COガス組成を分析することにより求めることができる。その結果、炭素利用効率ηは、加熱処理温度により変化するものの、0.08〜0.12の範囲にあることがわかった。
したがって、まず、炭素利用効率ηを実際に用いる炉の加熱処理温度に応じて0.08〜0.12の間で設定し、上記式(3)を用いて酸化鉄の還元に必要な炭素量Xcを算出し、次いで、式(2)を用いて塊成化物中の固定炭素量Xcを算出する。そして、この計算結果に基づいて塊成化物中の炭材配合量を設定することができる。
そして、上記のようにして製造された炭材内装酸化鉄塊成化物を、回転炉床式還元炉内で加熱処理するに際し、下記再掲式(1)で定義される炭素利用効率ηが0.08〜0.12の範囲内になるように、加熱処理温度を前記固相線温度より高く、前記液相線温度よりも低い温度範囲で調整すればよい。
η=NCO2/(NCO+NCO2 …再掲式(1)
ここに、NCOおよびNCO2は、それぞれ、上記加熱処理の際に上記炭材内装酸化鉄塊成化物中から発生する、COの総モル量およびCOの総モル量である。
炭素利用効率ηは、加熱処理温度を前記固相線温度と前記液相線温度の間で調整することで変化させることが可能であり、例えば、加熱処理温度を高くするほど塊成化物内でカーボンソリューション反応(C+CO→2CO)が促進されるので、炭素利用効率ηは低下する傾向を示す。
(変形例)
上記実施形態では、移動炉床式還元炉の炉形式として回転炉床炉を例示したが、直線炉を用いてもよい。
本発明の効果を確証するために、下記表2に示す原料を使用して、以下の試験を実施した。
Figure 0005503364
〔実験方法〕
本実施例では、炭材内装酸化鉄塊成化物の形態としてペレットを採用した。
表3に示すような種々の配合割合で配合した、酸化鉄含有原料(a)、炭材(b)、および副原料(c)に、結合剤として小麦粉を1.5質量%(一定)添加し、さらに適量の水分を添加してタイヤ型造粒機を用いて直径17mmの生ペレットに造粒した。この生ペレットを乾燥機中で105℃、20時間乾燥して付着水を完全に除去した。乾燥後のペレット(炭材内装酸化鉄ペレット)の見掛密度は、1800〜2000kg/mの範囲内であった。
この乾燥後のペレット(炭材内装酸化鉄ペレット)を、図2に装置概要を示す小型高周波急速加熱炉(セキスイメディカル電子製:発振器の型式MU−1700、炉の型式UD−250)で加熱処理を行った。なお、加熱スリーブとしては、ペレットを加熱した際に発生するCO含有ガスによる黒鉛の消耗を防止するため、アルミナで被覆した黒鉛チューブを使用した。
加熱パターンは、図3に示すように、室温〜1250℃は150℃/minの昇温速度、1250〜1320℃は15℃/minの昇温速度で加熱し、1320℃到達後、直ちに加熱を中止してHeガスにて急冷を行った。なお、加熱時の雰囲気としてはNガス3NL/min、冷却時の雰囲気としてはHeガス3NL/minをそれぞれ用いた。
Figure 0005503364
上記加熱パターンにて加熱処理して得られた還元鉄について炭素含有量および厚潰強度を測定し、その結果を表4に示す。同表には還元前のペレット(炭材内装酸化鉄ペレット)中のSiO、CaOおよびAlの各含有量、ならびに、これら3元系スラグの固相線温度T、液相線温度Tおよび液相率を併記した。
なお、液相率とは、平衡状態図上では固相線と液相線の間に位置し、固体+液体(すなわち、固相+液相)中に占める液体の質量比率として定義されるものである(特開2005−48197号公報の段落[0036]参照)。本実施例では、既述の熱力学平衡計算ソフトウェア「FactSage」を用いて、加熱処理温度(1300℃)における、固相+液相中に占める液相の質量比率(%)を算出した。
また、同表中の還元鉄の圧潰強度の単位kgfは9.80665Nに相当する。
また、図1の3元系状態図上に発明例1〜4および比較例1〜5の各炭材内装酸化鉄ペレットのスラグ組成をプロットしたものを図4に示す。
なお、すべての発明例および比較例において、炭素利用効率は0.08〜0.12の範囲にあった。
発明例1〜4の炭材内装酸化鉄ペレットはいずれも、当該ペレット中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度Tが1300℃以下であり、かつ、この固相線温度Tより高く、上記3元系スラグの液相線温度Tよりも低い加熱温度である1320℃で加熱処理されて得られた還元鉄中の残留炭素量が6質量%以下(2質量%超でもある)であるので、本発明の要件を満足し、還元鉄の圧潰強度は19kgf/個を超える高い値が得られている。
これに対し、比較例1〜4の炭材内装酸化鉄ペレットはいずれも、ペレット中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度Tが1300℃を超えていることから、本発明の要件を満たしておらず、得られた還元鉄の圧潰強度は6kgf/個未満に留まっている。
また、比較例5の炭材内装酸化鉄ペレットは、当該ペレット中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度Tが1300℃以下であるものの、この固相線温度Tより高く、上記3元系スラグの液相線温度Tよりも低い加熱温度である1320℃で加熱処理されて得られた還元鉄中の残留炭素量が6質量%を超えているので、本発明の要件を満たしておらず、得られた還元鉄の圧潰強度は約3kgf/個と低い値に留まっている。
Figure 0005503364

Claims (4)

  1. 還元鉄を製造するための移動炉床式還元炉の原料として用いられる炭材内装酸化鉄塊成化物であって、当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下であり、かつ、当該塊成化物が前記移動炉床式還元炉内において前記固相線温度より高く、前記3元系スラグの液相線温度よりも低い温度で加熱処理されて製造された還元鉄中に残留する炭素が6質量%以下となるような炭材配合量であることを特徴とする炭材内装酸化鉄塊成化物。
  2. 還元鉄を製造するための移動炉床式還元炉の原料として用いられる炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法であって、当該塊成化物中のAl、CaOおよびSiO含有量から定まるAl−CaO−SiO3元系スラグの固相線温度が1300℃以下になるようにするとともに、かつ、当該塊成化物を前記移動炉床式還元炉内において前記固相線温度より高く、前記3元系スラグの液相線温度よりも低い温度で加熱処理して製造した還元鉄中に残留する炭素が6%以下となるように、酸化鉄含有原料、炭材および副原料の配合割合を調整することを特徴とする炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法。
  3. 前記副原料として、酸化カルシウム含有物質および/または酸化珪素含有物質を用いる請求項2に記載の炭材内装酸化鉄塊成化物の製造方法。
  4. 請求項1に記載の炭材内装酸化鉄塊成化物、または、請求項2もしくは3に記載の製造方法で製造された炭材内装酸化鉄塊成化物を、前記移動炉床式還元炉内で加熱処理して還元鉄を製造する方法であって、下記式で定義される炭素利用効率ηが0.08〜0.12の範囲内になるように、加熱処理温度を前記固相線温度より高く、前記液相線温度よりも低い温度範囲で調整することを特徴とする還元鉄製造方法。
    式 η=NCO2/(NCO+NCO2
    ここに、NCOおよびNCO2は、それぞれ、上記加熱処理の際に上記炭材内装酸化鉄塊成化物中から発生する、COの総モル量およびCOの総モル量である。
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