JP2009041077A - ジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物および表面処理方法 - Google Patents

ジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物および表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クロムなど有害な重金属を含まず、防錆力、耐食性、塗装密着性に優れた、表面処理技術の提供。
【解決手段】(A)ジルコニウム化合物、ケイ素化合物、キレート剤が溶解している溶液、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物にカルシウム、亜鉛、チタン、セリウム、イットリウムから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性化合物を含有し、鉄系、亜鉛系、アルミ系の金属の表面上に塗装下地剤として優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する皮膜を形成できるクロムを含有しないことを特徴とするジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属表面処理に代表される皮膜の厚さがおよそ1〜10μmのリン酸亜鉛化成皮膜に比べて10〜100nm程度と薄い膜厚にもかかわらず金属表面に優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つ皮膜を作る技術である。溶液組成物にクロムなどの有害な金属やリンやハロゲン類を一切使用していない特徴を持っている。塗布型の表面処理のため、化成皮膜処理のような溶液の加温装置が不要なうえ、溶液組成物のコート後の洗浄工程が不要といった特徴を持つ。低公害な表面処理剤の溶液組成物に関するものである。
現在、自動車やスチール家具などに用いられている鉄や亜鉛鋼板は下地防錆剤にリン酸亜鉛皮膜化成処理やリン酸鉄化成処理やクロメート化成処理が広く使用されている。リン酸亜鉛化成処理は金属表面にホパイト(Zn(PO4HO)やフォスフォフィライト(ZnFe(PO4HO)の複合リン酸亜鉛皮膜を析出させ防錆処理を行っている。耐食性を向上させるために亜鉛に加えてニッケルなどの元素を添加する場合もある。耐アルカリ性が要求される電着塗装用にはマンガンを添加する場合もある。処理液と素材の接触により、素材の溶解反応と皮膜形成反応が同時に起こり、全ての面を防錆処理できる優れた方法である(非特許文献1)。すでに防錆処理の分野では幅広く使われており工業的にも完成された技術である。
またアルミ、亜鉛鋼板に塗装下地処理として、クロム酸塩または重クロム酸を主成分とした水溶液中に浸漬して化学的に皮膜を生成する。CrO 2−の中のCr6+が強い酸化剤として作用して金属表面に下地金属酸化物とCr3+の水酸化物や酸化物を含む緻密な不動態皮膜を作り腐食反応を抑制する。また表面が傷ついて下地金属が露出した時に、皮膜中に残ったCrO 2−が傷の部分に移動して自動的に補修する優れた特徴を持っている(非特許文献2)。また、6価クロムと比べて毒性の低い3価のクロムを使用した防錆剤(非特許文献3)も存在している。
これらの防錆技術は歴史的も長くこれまで改良、最適化を繰返しほぼ技術的に完了している。しかしながら、これらの技術は、金属元素の持つ毒性、資源的問題、スラッジ問題、排水問題などの本質的に不可避な問題を抱えている。
また、リン酸亜鉛処理やクロメート処理以外にも、耐食性の高いジルコニウムやチタンなどを用いた防錆技術もある。例えば、クロム系化成処理層上にジルコニウム化合物、チタン化合物、タンニン(酸)などの化成処理層を形成した防錆処理したプレコート金属板の製造方法(特許文献1)もある。
特開2005−153168号公報 「金属表面技術便覧」 日刊工業新聞社 昭和51発行版 P717−722 「金属表面技術便覧」 日刊工業新聞社 昭和51発行版 P755−760 「表面技術」 社団法人表面技術協会 VOL.51 No.8(2000)P104−108
上述のリン酸亜鉛皮膜化成処理の先行技術において、非特許文献1にある方法では、化成皮膜処理後に水洗工程が必要となる。また、処理工程で副生成物であるリン酸鉄のスラッジが発生して、スラッジを回収する技術、スラッジ処理の設備が必要になる。更に、数十℃の液温度管理、撹拌技術、pH調整が必要なため専用の設備が必要となる。洗浄工程などにより持ち出された処理液はそのまま環境に排出されると、リン酸塩成分による富栄養化や、亜鉛や添加剤からの重金属成分による環境汚染を引き起こすため排水設備が必要となる。このため、装置は表面処理工程以外にもスラッジ処理、排水設備が必要となり設備が大きくなるといった欠点がある。またリンは資源的な問題もあり、将来的には枯渇する可能性があり原材料が不足する可能性が出てくる問題がある。
非特許文献2のクロメート処理においては、6価クロムの持つ高い毒性により作業者への健康問題や洗浄工程により持ち出された排水はそのまま環境に排出されると、リン酸亜鉛化成処理と同様、重金属成分による環境汚染を引き起こすために排水設備が必要となる。
クロメート処理以外にも6価のクロムと比較して毒性の低い3価のクロムを用いた防錆処理液もある。しかしながら、6価と比較すると毒性が低いというだけで本質的に毒性を回避することはできない。また、3価のクロムは自然界に暴露されると6価に酸化が進む可能性もあるため前述の6価クロムと同様の問題がおこる可能性がある。特許文献1の耐食性の高いプレコート金属板は、下地にクロム酸系下層化成処理層が必要なため前述のクロメート処理と同様の問題を持っている。よって、クロムを用いた防錆処理は優れた性能を持っているが、環境低負荷、低い毒性の処理液が必要とされる環境対策の流れからすると、本質的な解決は不可能である。
本発明は、従来からの重金属であるクロムはもとより、リンは一切含まず前記課題を一挙に解決するものである。アニオンとしてジルコニウムの炭酸錯体または炭酸塩を、対カチオンとしてはアンモニウムカチオンまたはアルキルアンモニウムカチオンを用いてジルコニウム炭酸錯体またはジルコニウム炭酸塩を安定に存在させた溶液組成物にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物とキレート剤を含む溶液組成物、または前記溶液組成物にカルシウム、亜鉛、チタン、セリウムから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性化合物を含有している溶液組成物を塗布して乾燥するのみの簡便な方法で優れた防錆力と防食性と塗料密着性を持つ0.1nm〜10μmの厚さのジルコニアを主成分とした無機皮膜を作ることができる。また、その上に例えばシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を含有する溶液などを塗布して乾燥することにより、ケイ酸化合物層を形成すると更に優れた性能を向上させることができる。
本発明は、前記のジルコニウムを主成分とした優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する溶液組成物の製造と、表面処理方法および、表面処理金属材の製造方法を提供する。
発明者らは、優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する皮膜を形成する方法について鋭意検討した結果、以下の(1)〜(3)に一例を示す組成の溶液組成物を用いて金属表面に塗布した後、乾燥することにより目的を達成できる皮膜を形成できることを見いだした。
(1)ジルコニウム錯体またはジルコニウム塩がアニオンとして、アンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンがカチオンとして錯塩または複塩を構成して安定に溶解している溶液中にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物とキレート剤が含まれる溶液組成物。
(2)(1)の溶液組成物にチタンを含む化合物を添加した溶液組成物。
(3)(1)の溶液組成物に亜鉛を含む化合物を添加した溶液組成物。
(2)や(3)で添加した金属および、これ以外にジルコニアの安定化剤として用いられている、カルシウムやイットリウムやセリウムを含む化合物を(1)の溶液組成物に添加することにより防錆力、耐食性、塗装密着性が更に向上した皮膜を作成出来る。
必要に応じて例えばシランカップリング剤またはその加水分解縮合物などのケイ素を含有する溶液を作成した皮膜上に塗布・乾燥させてケイ酸化合物層を積層コートすることにより前記(1)〜(3)の溶液組成物単独の使用より更に性能を向上できる。
本発明のジルコニアを主成分とする皮膜を成膜できる溶液組成物は、従来の塗布方法がそのまま適用でき、ディップ法、フローコート法、スプレーコート法、流し塗り、カーテンコート法、スピンコート法、エアレススプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれの方法でも塗布が可能である。
本発明は、前述の(1)または(2)または(3)から選ばれる1種または2種以上の溶液組成物を洗浄した金属板表面にいずれかの方法で塗布した後に無水洗で10〜1000℃の温度の温度で1秒〜5時間乾燥する行程、または10〜1000℃の温度の金属板上に該溶液組成物をいずれかの方法で塗布することにより0.1nm〜10μmの優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つジルコニアを主成分とする皮膜を形成できる。また、例えばシランカップリング剤またはその加水分解縮合物などを含有する溶液を前述の皮膜の上に塗布して乾燥させてケイ酸化合物層を積層コートすることにより更に性能を向上できる。
従来技術に代表されるリン酸亜鉛化成皮膜処理では、十分な防錆力、耐食性、塗装密着性を持たせるには、およそ50℃程度に加熱した処理液中に数秒〜数分浸漬して1〜10μmの厚さのリン酸亜鉛の皮膜を形成する必要がある。しかし、本発明では溶液組成物を塗布し、乾燥のみの簡便な方法で作成出来る10〜100nmの薄い皮膜がリン酸亜鉛化成皮膜と同等以上の性能を持つ皮膜を作成することができる。
本発明の溶液組成物は製造工程において以下に記した優れた特徴を持っている。
・室温で塗布が可能な塗布型(液状の溶液組成物を基材表面に塗布・乾燥により皮膜を形成する型)の表面処理剤のため、化成皮膜処理のような溶液の加温装置が不要なうえ、処理速度を向上することが可能である。
・化成皮膜処理のように反応副生成物のスラッジの発生もなく、塗布・乾燥後の水洗工程も必要としないため水洗水の節約に大きく貢献できる。
・皮膜後の水洗工程が不要なため処理工程を短縮することも可能である。
これらの特徴により、本発明はリン酸亜鉛化成処理やクロメート処理に代表される防錆処理技術に代わる新しい低公害な防錆処理技術として適応できる。本技術は、自動車のフレームや外装部品、家電製品、スチール家具、スチール製品全般、鋳物、建材などの各種金属製品の塗装下地剤としての防錆処理剤として適用できる。適用例としていくつか金属製品の例を挙げたがこれらに限定されない。
本発明者らは、従来のリン酸亜鉛化成処理やクロメート処理に代表される防錆処理に代わる低公害な防錆処理剤の開発について研究を進めてきたところ、ジルコニウムイオンと炭酸イオンからなる錯体、またはジルコニウムの炭酸塩がアニオンとして、アンモニアまたはアルキルアミンがカチオンとして、これらが錯塩または複塩を構成して安定に存在する溶液にケイ素化合物としてシランカップリング剤またはその加水分解縮合物とキレート剤を添加した溶液組成物を用いることにより優れた性能を持つ皮膜を形成できることを発見した。この金属錯体または金属塩をアニオンとして、アンモニアまたはアルキルアミンを対カチオンとして溶液中に安定に溶解させる技術は「塗布液およびこれを用いた薄膜作製方法」(特開平09−278489号公報)にある金属錯体をアニオンとして、アンモニアまたはアルキルアミンを対カチオンとして溶液中に安定に溶解した溶液を基板上に塗布した後、熱処理により機能性薄膜を形成する技術を基にしている。
本発明では、
(1)炭酸が配位したジルコニウム錯体またはジルコニウムの炭酸塩がアニオンとして、対カチオンとしてアンモニアまたはアルキルアミンが錯塩もしくは複塩として存在する溶液にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物とキレート剤を含有する溶液組成物
(2)(1)の溶液にチタン化合物を含む溶液組成物
(3)(1)の溶液に亜鉛化合物を含む溶液組成物
から優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つジルコニアを主成分とする塗布型の溶液組成物が作成できる。
この溶液組成物の表面処理のメカニズムは、金属表面に塗布された後の乾燥過程で溶媒の蒸発に伴い、配位子である炭酸と対カチオンであるアンモニアまたはアルキルアミンが揮発してフリーになったジルコニウムが溶媒の蒸発と同時に金属表面と反応して結合することにより緻密な皮膜が形成される。これと同時にシランカップリング剤も縮合重合しながらジルコニウムと一緒に皮膜を形成していき、乾燥後は優れた耐食性と防錆力と塗装密着性を持つ皮膜が形成される。キレート剤はジルコニウム成分とシランカップリング剤成分が干渉しないために添加してある。
本発明における皮膜を形成する部材は、鉄系、亜鉛系、アルミ系などの金属材料が挙げられるが、これらに限定されない。また、形状については板状でも線状でも塊状でもよく、どのような形状に加工されていてもよい。
本発明の溶液組成物を作成するために用いられる、防錆力と耐食性の主成分であるジルコニウム源は、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、塩化酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
また、ジルコニウムの炭酸錯体の合成に用いられる炭酸源は、ドライアイス、二酸化炭素、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられるが炭酸を含有するものであればよく、特に限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の溶液組成物中のジルコニウム錯体またはジルコニウム塩を溶液中で安定に存在させる対カチオンとして用いられるアンモニア化合物またはアルキルアミン化合物としては、アンモニア、アンモニア水、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムや下記一般式で示される化合物、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、ジ−iso−プロピルアミン、エチル−n−プロピルアミン、エチル−iso−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−ter−ブチルアミン、エチル−n−ブチルアミン、イソプロピル−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、n−オクチルアミンなどのアルキル基の炭素数が10以下の脂肪族アミンが挙げられるがこれらに限定されるものではない。アルキル基の炭素数が10を越える場合は有機成分が多くなり乾燥時に基材の表面に残り緻密な皮膜を得ることが困難なため、性能が著しく低下する。以下に上記アルキルアンモニウム化合物の一般式を示す。
(R)(R)(R)(R)N
(式中、R、R、R、Rは水素または炭素数が1〜10のアルキル基であって、R〜R中少なくとも一つがアルキル基を示し、R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
本発明に用いられるアミン化合物は、反応によって生成する塩あるいは付加化合物が水、アルコールに溶解し易いこと、および経時的に結晶が析出することが無いなど、安定な液を形成することを目安に選定される。2種以上のアミンを併用して結晶の析出を抑えることも有効である。
濡れ性と塗装密着性に寄与するシランカップリング剤またはその加水分解縮合物は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランのアミノ系シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのエポキシ系シラン、他にテトラエトキシシラン、ビニル系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、ウレイド系シラン、クロロプロピル系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シラン等などがあげられるがこれらに限定されるものではない。これらは、そのまま使用しても良いし、加水分解した縮合重合物の状態でも使用しても良い。また、単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
ジルコニウムとシランカップリング剤またはその加水分解縮合物との干渉を防ぎ、防錆力能を向上させるキレート剤は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、トリブチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、フェニレンジアミン、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸2ナトリウム塩などがあげられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の溶液に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル、水、アンモニア水、炭酸水など挙げられるが、これらに限定されない。またこれらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせても良い。
本発明の溶液組成物(2)に添加する、チタン化合物は、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、炭酸チタンアンモニウム溶液、塩化チタン溶液、エチレンジアミン四酢酸チタンアンモニウム溶液、シュウ酸チタンアンモニウム溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。また、好ましくは(1)の溶液組成物に溶解する化合物が望ましい。
本発明の溶液組成物(3)に添加する、亜鉛化合物は、亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、シュウ酸亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。また、好ましくは(1)の溶液組成物に溶解する化合物が望ましい。
本発明における溶液組成物(1)は金属板一般に優れた防錆力と防食性と塗装密着性を示す。二酸化炭素を吹き込んでいるアンモニアまたはアミンを溶解している溶液中にジルコニウムのアルコキシドまたはジルコニウム炭酸塩を加えて撹拌してジルコニウム含有溶液を作成する。ジルコニウムの量は酸化ジルコニウム換算で0.01wt%から25wt%が適当である。より好適には、0.1%から10%が適当である。これを超える濃度場合、コート面に白い粉末が発生して外観が良くないだけでなく、防錆力、防食性、塗装密着性とも劣化する。もちろん経済的にも不効率である。また、これより少ない場合では十分な膜厚を金属表面に作成することができないため、期待する効果を得ることが難しい。
アンモニアまたはアミンの添加量はジルコニウムのモル数に対して等モルから14倍量が適当である。より好適には2倍量から6倍量加えるのが適当であるが、溶液組成物中のジルコニウム濃度が25wt%付近の高い時は上記の添加量で十分であるが、数%程度の濃度では、溶液中での化合物の安定性を得るために必要に応じて100倍量程度まで加えてもよい。pHではpH7〜12の範囲が適当である。これを超える量を添加した場合、不経済ばかりか対カチオン成分が過大になり強い臭いが発生することもあり、塗布時に濡れ性が下がる場合もある。また、これより少ない場合は反応が未完結となり、コート時の濡れ性が下がるだけでなく、沈殿が析出したり、不溶成分が残ったりして液の安定性が著しく低下する。
シランカップリング剤またはその加水分解縮合物は0.001wt%から30wt%添加する。より好ましくは、0.01wt%から10wt%が適当である。これを超える濃度では、コート面にガラス状の粉末や白い粉末が発生する場合があり、外観不良および塗装時に不具合になる。もちろん経済的にも不効率である。また、これより少ない場合は、シランカップリング剤としての効果が小さく、塗装密着性が低下する場合もある。キレート剤は1ppmから10000ppm添加する。より好ましくは、10ppmから1000ppmが適当である。これを超える濃度では塗装密着性が著しく低下する。また、これより少ない場合は添加したキレート剤としての効果が小さく防錆力、耐食性が若干低下する場合もある。好ましくは得られる溶液組成物は均一である。
本発明における溶液組成物(2)はレアメタルの一つであるジルコニウムと資源的に豊富なチタンと組み合わせて(1)より耐食性、防錆力を向上させた溶液組成物である。(1)に溶解する炭酸チタンアンモニウム溶液などを添加して作成する。鉄板、亜鉛鋼板などの金属板一般に優れた防錆力と防食性と塗装密着性を示す。
添加するチタンの量はジルコニウムのモル濃度に対して0.1倍量から10倍量が適当である。より好適には0.2倍量から5倍量が適当である。これを超える量を添加した場合、効果は変わらないためあまり意味を持たない。これより少ない場合はチタンを添加した効果を確認し難い。好ましくは、得られる溶液組成物は均一である。
本発明の(3)に用いる溶液組成物は、鉄板への処理において(1)の溶液組成物より耐食性、防錆力が優れた溶液組成物である。(1)の溶液組成物に炭酸亜鉛など添加して溶解することにより作成する。添加する亜鉛の量はジルコニウムの濃度に対して0.1倍量から10倍量が適当である。より好適には0.2倍量から5倍量が適当である。
これを超える量を添加した場合、亜鉛成分が多くなりジルコニウムの比率が低下し耐食性や防錆力が低下するだけでなくコート面に白い粉末や白いムラが発生して、外観不良および塗装時に不具合になる可能性もある。これより少ない場合は亜鉛を添加した効果を確認し難くい。好ましくは、得られる溶液組成物は均一である。
前記の溶液組成物より少ない金属濃度で、防錆力、耐食性、塗装密着性を向上させるためには前記で作成したジルコニアを主成分とする皮膜の上にケイ酸化合物層を積層コートすることが効果的である。この層を形成するには例えばシランカップリング剤またはその加水分解縮合物などを含有する溶液を用いていずれかの方法で塗布、乾燥して積層化する方法が好適であるが、形成する製法には特に制限はない。
ここで、シランカップリング剤または種類は、前述のテトラエトキシシラン、アミノ系シラン、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、ウレイド系シラン、クロロプロピル系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シラン等が挙げられるがこれらに限定されない。これらのシランカップリング剤を、酸またはアルカリで各々のカップリング剤の加水分解時に生じるシラノール基が安定に存在するのに最適なpHに調整した水または水−アルコール溶媒で希釈した加水分解縮合物を含有する溶液または原液を、ジルコニアを主成分とする皮膜の上に適当な方法で塗布した後、乾燥して積層コートするのが適当である。濃度は0.001%以上、原液の100%以下であるが、より好適には0.01%から50%の濃度のシランカップリング剤またはその加水分解縮合物が適当である。これを超える濃度で使用した場合、経済的に不効率である。これより少ない場合は、十分な膜厚のケイ酸化合物層を形成できないため性能向上の効果が期待できない。使用する溶液組成物は均一が望ましい。
コートする金属材料は、当業者が溶液組成物を塗布でき、乾燥工程温度以上の融点を持っている基材を任意に選択できる。より具体的には、鉄板、黒皮鋼板、酸洗鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、ブリキ、真鍮、ステンレス、アルミ、アルミ合金など例を挙げたが、一般に公知の金属材やメッキ板なら特に限定されない。基材の形状、形態、表面状態は問わず、表面が平滑でも粗でも良い。
金属表面上に優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つジルコニアを主成分とする皮膜を形成させるには、前記の溶液組成物液を、ディップ法、フローコート法、スプレーコート法、流し塗り、カーテンコート法、スピンコート法、エアレススプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれかの方法によって表面に塗布し、10〜1000℃の温度で乾燥を行う。より好ましくは30℃〜300℃の温度で乾燥を行う。乾燥行程は空気雰囲気中で行ってもよく、コート後自然乾燥も可能である。乾燥手段は乾燥器、エアドライヤー、赤外線加熱、IH加熱、減圧乾燥、自然乾燥などが挙げられるが特に限定されない。
乾燥時間は当業者が被コート材の種類やコート方法により適宜選択して設定することができる。例えば、1秒〜5時間、好ましくは5秒〜1時間で行うことができる。また、加熱した状態の基材に溶液組成物を塗布する場合、基材が前記の温度範囲を保ったまま溶液組成物を塗布できる場合は塗布工程と乾燥工程を同時に行うことができる。なお、前記乾燥時間は例示であり、これらに限定されない。
前記で作成したジルコニアを主成分とする皮膜の上にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を前記と同様の塗布方法で皮膜の上に塗布した後、前記と同様の乾燥方法でケイ酸化合物層を積層コーティングする。
これらの操作により優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つ約0.1nm〜10μmのジルコニアを主成分とする皮膜、および、ジルコニアを主成分とする皮膜の上にケイ酸化合物層を作成することができる。当業者が溶液組成物の濃度、塗布方法、塗布条件を選択することにより、優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つジルコニアを主成分とする皮膜および該膜を有する部材が得られる。前記の塗布、乾燥工程は例示であり、これらに限定されない。
本発明により得たジルコニアを主成分とする皮膜および該膜を有する部材とジルコニアを主成分とする皮膜の上にケイ酸化合物層を積層した皮膜および該膜を有する部材は、この場合の皮膜の種類、工法は問わない。また、前記使用方法については例示でありこれらに限定されない。
本発明の優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮するジルコニアを主成分とする皮膜を作成する溶液組成物の作成法および、ジルコニアを主成分とする皮膜とジルコニアを主成分とする皮膜の上にケイ酸化合物層を積層した皮膜の製造方法を次の実施例でより具体的に明らかにする。本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
以下に実施例を上げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。実施例1〜実施例4は溶液組成物の合成に関するものである。
[実施例1]
1000mLビーカー中に28%アンモニア水600gの中に二酸化炭素をバブリングしながら撹拌している中に85 %ジルコニウム(IV)ブトキシド1−ブタノール溶液を85gを滴下して約2時間バブリングしながら反応を行う。その後、分液ロートに白色懸濁液を移し、1時間放置してブタノール分と水溶液を分離させ、ジルコニウム炭酸錯体が溶解した水溶液を回収する(酸化ジルコニウム換算濃度3wt%)。
この溶液を、酸化ジルコニウム換算で2.5wt%になるよう水で希釈した水溶液に、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランを4 g/kg、エチレンジアミンを1.1g/kgの割合で加え撹拌して溶液組成物を調製した。
[実施例2]
ケイ酸化合物層の積層コートに用いる溶液組成物は実施例1よりジルコニウムの濃度が低い溶液を用いた。
実施例1の方法で合成した酸化ジルコニウム換算で1wt%のジルコニウム炭酸錯体含有溶液に、3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.5g/kgの割合で加え撹拌して溶液組成物を調製した。
ケイ酸化合物の積層コートには、3−アミノプロピルトリエトキシシランを1wt%になるように精製水を加えて撹拌して加水分解させた溶液を調製して使用した。
[実施例3]
300mLビーカーに実施例1の方法にならい合成した酸化ジルコニウム換算で5wt%のジルコニウム錯体含有溶液87.5g、アンモニア水の中で二酸化炭素をバブリングしながらチタンテトライソプロポキシドを反応させた酸化チタン換算濃度5wt%のチタン含有溶液24.1g、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン1g、エチレンジアミンを0.07g加えて全体が250gになるよう精製水で希釈して調製した。
[実施例4]
実施例1の方法にならい合成した酸化ジルコニウム換算で2.5wt%のジルコニウム錯体含有溶液250gに、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン1g、エチレンジアミンを0.07g、ジルコニウムと同じモル濃度になるよう塩基性炭酸亜鉛5.6gを添加して室温撹拌して溶解させ調製した。
以下の項目に従って試験板の作成に関する実施例を行った。
1.試験板
鉄板:日本テストパネル株式会社製 標準試験板 自動車用鋼板
亜鉛鋼板:日本テストパネル株式会社製 標準試験板 シルバーアロイ
試験板の寸法:0.8mm×70mm×75mm
2.前処理
試験板をアルカリ性脱脂剤No.104S(ケミコート社製)を用いて50℃、2分間の条件で脱脂処理を行った。
続いて水洗後、表面に水ハジキが見られない事を確認してからコート処理を行った。
3.コート処理
液温は室温(18〜22℃)で行った。
[実施例5、6]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例1の溶液組成物に2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
作成した皮膜の表面をX線光電子分光分析法(ESCA)にてアルゴンスパッタにより表面をエッチングしながらジルコニウムの3dピークを深さ方向で観測した。その結果、皮膜の厚さはおよそ70nmであることが分かり、焼き付け塗装や電着塗装に用いられる薄膜タイプのリン酸亜鉛化成処理皮膜の厚さの2μmと比べておよそ1/30の膜厚であると分かった。
[実施例7、8]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例2の溶液組成物に2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
作成した皮膜の表面を実施例5、6と同様の方法で皮膜の厚さを測定したところおよそ28nmであることが分かり、焼き付け塗装や電着塗装に用いられる薄膜タイプのリン酸亜鉛皮膜の厚さの2μmと比べておよそ1/70の膜厚と分かった。
この後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン1wt%水溶液に2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
[実施例9、10]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例3の溶液組成物に2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。作成した皮膜の表面を測定したところ実施例5、6とほぼ同程度の膜厚だった。
[実施例11、12]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例4の溶液組成物に2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。作成した皮膜の表面を測定したところ実施例5、6とほぼ同程度の膜厚だった。
[実施例13、14]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例1の溶液組成物に2分間浸漬した後に常温乾燥して作成した。
[比較例1、2]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を表面調整剤No.ケミクロンS−2(ケミコート製)で処理したのち、リン酸亜鉛皮膜化成処理液No.5700M(ケミコート社製)を用いて50℃、2分間の条件で浸漬処理した後、120℃の乾燥機の中で10分間乾燥した。
[比較例3、4]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板をリン酸鉄化成処理液FF−7(ケミコート社製)を用いて、50℃の液温中に2分間スプレー処理後、水洗して120℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
[比較例5、6]
シランカップリング剤やキレート剤を含まない酸化ジルコニウム換算で4wt%のジルコニウム錯体含有溶液に、前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
[比較例7、8]
実施例2で使用した、3−アミノプロピルトリエトキシシランの1wt%水溶液に、前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
表1に溶液組成物の種類と実施例と比較例をまとめたものを示す。
Figure 2009041077
4.上塗り塗装
下記の条件で実施例および比較例で作成した試験板に塗装を行った。
塗料:デリコン #300(大日本塗料(株)製)
塗装方法:溶剤スプレー塗装
焼き付け条件:120℃ 20分
5.評価方法
塗装した試験板は、塗装面にカッターナイフでXにカットを入れてJIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施した。その後、テープ剥離試験を行い、剥離幅を測定した。テープ剥離の方法についてはJIS−K−5400の塗料一般試験方法に規定された方法に準じて実施した。
評価基準は、剥離した部分の最大幅の広さで行った。
上記の結果を表2に示す。表中の符号と剥離した部分の最大幅との対応は以下の通りである。
◎:〜2mm未満、○:2〜5mm未満、△:5〜10mm未満、×:10〜18mm、××:全面剥離
Figure 2009041077
実施例5、6の結果は、比較例1、2の一般的なリン酸亜鉛化成皮膜に比べて同等以上の性能を示した。特に亜鉛鋼板では優れた結果を示した。実施例5、9、11、13の鉄板より実施例6、8、10、12、14の亜鉛鋼板の方が高い性能を示したのは溶液組成物中のジルコニウム成分が亜鉛鋼板表面の亜鉛と乾燥過程で反応して更に耐食性の高い(白化した)皮膜が形成するためと考えられる。
亜鉛鋼板と比較して若干性能が低かった鉄板でも実施例7のようにシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を積層コートすることにより、亜鉛鋼板の結果と同じ程度まで性能を向上できた。実施例5の皮膜の厚さの1/3にもかかわらず良好な結果だったのは防錆力と耐食性の高いジルコニウムの皮膜の上に塗料との親和性、密着性が高いケイ酸化合物層を積層コートすることにより、1回コートの皮膜より更に堅牢な皮膜を形成できたためと考えられる。比較例7、8の結果からも積層コートの有効性は証明された。
実施例5、9、11から、ジルコニウムにチタンや亜鉛を添加することにより性能試験の剥離幅が減少して耐食性、塗装密着性が向上したことが確認された。ジルコニウムと同様に耐食性の高いチタンを添加すると相乗効果により性能が向上したと考えられる。亜鉛添加は亜鉛の犠牲防食の効果とジルコニウムの耐食性の相乗効果により性能が向上したと考えられる。
実施例13、14から常温乾燥でも性能はほとんど変わらないことから、乾燥方法や乾燥時間は、塗布後乾燥できれば特に限定されないことを証明出来た。
以上の結果より、本発明における溶液組成物を用いて作成したジルコニウムを主成分とする皮膜は、従来技術のリン酸亜鉛化成皮膜の1〜10μmの膜厚と比較して、およそ70nmと薄い膜厚でも同等以上の性能が発揮でき、更にケイ酸化合物をジルコニウム皮膜の上に積層コートすることにより、更に薄いおよそ30nmの膜厚でも良好な耐食性、防錆製、塗装密着性を発揮する皮膜を作成できることが分かった。

Claims (5)

  1. (A)ジルコニウム化合物が酸化ジルコニウム換算で0.01wt%から25wt%、ケイ素化合物が0.001wt%から30wt%、キレート剤が1ppmから10000ppm溶解している溶液、および/または、
    (B)前記の(A)溶液組成物にカルシウム、亜鉛、チタン、セリウム、イットリウムから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性化合物をジルコニウムのモル濃度に対して0.1倍量から10倍量含有している溶液が鉄系、亜鉛系、アルミ系の金属の表面上に塗装下地剤として優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する皮膜を形成できるクロムを含有しないことを特徴とするジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物。
  2. 請求項1記載の溶液組成物において、前記ジルコニウム化合物は、ジルコニウムの炭酸錯体のアンモニウム塩溶液またはジルコニウムの炭酸塩のアンモニウム塩溶液であることを特徴とするジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物。
  3. 請求項1記載の溶液組成物において、前記ケイ素化合物はシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を含有する溶液であることを特徴とするジルコニウムを主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つの溶液組成物を金属表面上にディップ法、フローコート法、流し塗り、カーテンコート法、スピンコート法、スプレーコート法、エアレススプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれの方法で塗布後、無水洗で10〜1000℃の温度で1秒〜5時間乾燥することにより、0.1nm〜10μmのジルコニウムを主成分とする高い防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する皮膜を形成させる工程を含むことを特徴とする表面処理方法。
  5. 請求項4記載の表面処理方法において、形成した皮膜の上に更にケイ酸化合物層を積層コートすることにより更に優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮することを特徴とする表面処理方法。
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