JP2009040878A - ゴルフボール用ゴム組成物及びゴルフボール - Google Patents

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尚美 岡本
Takashi Wada
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Abstract

【課題】本発明は、高硬度・高強度で高反発性を有し、且つ押出加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物、及びそれをゴム基材して用いているゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下であり、アスペクト比の平均が10以下、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)1〜30質量%、及びシス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)90〜5質量%と、(A)以外のジエン系ゴム(B)10〜95質量%とからなるゴム成分(A)+(B)100質量部に対し共架橋剤(C)10〜50質量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高硬度・高強度で高反発性を有し、且つ押出加工性に優れたゴルフボールに好適なゴルフボール用ゴム組成物及びゴルフボールに関する。
ポリブタジエンは、いわゆるミクロ構造として、1,4−位において重合により生成した結合部分(1,4−構造)と1,2−位において重合により生成した結合部分(1,2−構造)とが分子鎖中に共存する。1,4−構造は、さらにシス構造とトランス構造の2種に分けられる。一方、1,2−構造は、ビニル基を側鎖とする構造をとる。
重合触媒や重合条件によって、上記のミクロ構造が異なったポリブタジエンが製造されることが知られており、それらの特性によって種々の用途に使用されている。
ゴルフボールは糸巻きとソリッドに分類され、糸巻きボールのソリッドセンターやソリッドボールでは、従来ポリブタジエン等の基材ゴムに不飽和カルボン酸金属塩などの不飽和結合を有するモノマーを共架橋剤として配合し、過酸化物及び金属酸化物を配合したものが用いられている。
ゴルフボールの基材ゴムとして使用されるポリブタジエンゴムは、一般に高硬度、高反発性、及び耐衝撃性と共に加工性の優れたものが要求される。高反発性と加工性とを両立させることを目的として、ポリブタジエンの改良が試みられ種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、特定の構造を有するビニル・シス−ポリブタジエンゴム(以下、「VCR」とする)を用いることにより、硬度や高反発性を維持しつつ、ロール加工性に優れたゴルフボール用ゴム組成物が開示されている。
従来、VCRの製造は、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、n−ヘキサン及びn−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン及びシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、並びにこれらのハロゲン化族炭化水素、例えばクロルベンゼンや塩化メチレンなどの不活性有機溶媒を用いて行われてきた。
VCRの製造方法として、例えば、特許文献2及び特許文献3には、以下のような方法が開示されている。まず、不活性有機溶媒中において、水、可溶性コバルト化合物、及び一般式AlR3−n(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、nは1.5〜2である)により表される有機アルミニウムクロライドから得られる触媒を用いて、1,3−ブタジエンをシス1,4重合し、ブタジエンゴムを製造する。次いで、この重合系に、1,3−ブタジエン及び前記溶媒を添加し(但し、1,3−ブタジエン及び前記溶媒のいずれか一方のみを添加しても、いずれも添加しなくてもよい)、さらに、可溶性コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である)により表される有機アルミニウム化合物、及び二硫化炭素から得られるシンジオタクチック−1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する。
また、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8には、VCRの製造方法として、二硫化炭素を存在させて、あるいは存在させないで、1,3−ブタジエンをシス1,4重合してブタジエンゴムを製造したり、ブタジエンゴムの製造後に、1,3−ブタジエンと二硫化炭素を分離・回収して、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3−ブタジエンや前記の不活性有機溶媒を循環させる方法などが記載されている。さらに、特許文献9には、配合物のダイスウェル比が小さく、その加硫物がタイヤのサイドウォールとして好適な引張応力と耐屈曲亀裂成長性に優れたゴム組成物が記載されている。
また、特許文献10には、n−ブタン、シス2−ブテン、トランス−2−ブテン及びブテン−1などのC4留分を主成分とする不活性有機溶媒中において、VCRを製造する方法が開示されている。この方法により製造されたゴム組成物が含有する1,2−ポリブタジエンは短繊維結晶であり、その短繊維結晶の長軸長さの分布は繊維長さの98%以上が0.6μm未満であり、70%以上が0.2μm未満であることが記載され、得られたゴム組成物は、シス−1,4−ポリブタジエンゴム(以下、「BR」とする)の成形性や引張応力、引張強さ、耐屈曲亀裂成長性などを改良することが記載されている。
特開2006−249296号公報 特公昭49−17666号公報 特公昭49−17667号公報 特公昭62−171号公報 特公昭63−36324号公報 特公平2−37927号公報 特公平2−38081号公報 特公平3−63566号公報 特公平4−48815号公報 特開2000−44633号公報
しかしながら、特許文献2及び特許文献3記載のVCRの製造方法においては、ベンゼン、トルエンなどの不活性有機溶媒を用いるため、重合溶液の粘度が高く、撹拌、伝熱及び移送などに問題があり、溶媒の回収には過大なエネルギーが必要である。また、前記溶媒は毒性のため、発癌作用など環境にとって非常に危険性があるという問題がある。
さらに、上記の方法により製造されたVCRは、BR中への1,2−ポリブタジエンの短繊維結晶の極微細分散が十分でないため、優れたダイスウェル特性、高引張応力、引張強さ及び高屈曲亀裂成長性能などを発現しえないという問題がある。
特許文献10の方法により製造されたVCRは、成形性や引張応力、引張強さ、耐屈曲亀裂成長性などに優れるものの、用途によっては、種々の特性が改良されたゴム組成物が求められている。
そこで、本発明は、高硬度・高強度で高反発性を有し、且つ押出加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物、及びそれをゴム基材して用いているゴルフボールを提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下であり、アスペクト比の平均が10以下、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)1〜30質量%、及びシス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)90〜5質量%と、(A)以外のジエン系ゴム(B)10〜95質量%とからなるゴム成分(A)+(B)100質量部に対し共架橋剤(C)10〜50質量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物である。
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)が、
(1)1,3−ブタジエンと溶解度パラメーター(SP値)が9.0以下である炭化水素系溶媒を主成分としてなる混合物の水分の濃度を調節し、
(2)次いで、シス−1,4重合の触媒として、少なくとも一般式AlR3−n(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、nは1.5〜2である。)で表される有機アルミニウム化合物、及び可溶性コバルト化合物を前記混合物の存在下、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、
(3)次いで、得られた重合反応混合物中に、少なくとも可溶性コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である。)で表される有機アルミニウム化合物、及び二硫化炭素から得られる触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて製造されていることが好ましい。
また、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)が
(1)水分の濃度が調節された、1,3−ブタジエンと炭化水素系溶媒を主成分としてなる混合物に、少なくとも有機アルミニウム化合物、可溶性コバルト化合物から得られるシス−1,4重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、引き続き、得られた重合反応混合物中に、少なくとも可溶性コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である)で表される有機アルミニウム化合物、及び二硫化炭素から得られる触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合し、1,2−ポリブタジエン結晶繊維の含有量が10〜60質量%であるビニル・シス−ポリブタジエン(e)溶液を得る工程、
(2)炭化水素系溶媒とシス−1,4構造含有率が80mol%以上であるシス−ポリブタジエン(f)の混合溶液を得る工程、
(3)前記(1)工程で得られたビニル・シス−ポリブタジエン(e)と、前記(2)工程で得られたシス−ポリブタジエン(f)を溶液混合する工程
により製造されていることが好ましい。
さらに、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)が
1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において、
ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に前記シス−1,4重合の前及び/又は後に添加する工程を含む製造方法で製造されていることが好ましい。
また、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)が下記(イ)乃至(ニ)の特性を有することが好ましい。
(イ)1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の分子量指標ηsp/cが0.5〜4の範囲にあること。
(ロ)シス−ポリブタジエンゴム(a)のミクロ構造中のシス構造含有量が90mol%以上であること。
(ハ)シス−ポリブタジエンゴム(a)のトルエン溶液粘度とムーニー粘度の関係がT−cp/ML≧1であること。
(ニ)シス−ポリブタジエンゴム(a)の固有粘度[η]の値が1.0〜5.0の範囲にあること。
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、(A)以外のジエン系ゴム(B)が、天然ゴム及びポリイソプレンの少なくとも1種以上であることが好ましい。共架橋剤(C)が、ジアクリル酸亜鉛及び/又はジメタクリル酸亜鉛であることが好ましい。本発明に係るゴルフボールは、ゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いる。
本発明によれば、高硬度・高強度で高反発性を有し、且つ押出加工性に優れたゴルフボールに好適なゴルフボール用ゴム組成物、及びそれをゴム基材して用いているゴルフボールを提供することができる。
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物をなすビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)は、一般に次のような構成となっている。即ち、融点が170℃以上であるシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(以下、「1,2−ポリブタジエン」とする)結晶繊維(b)1〜30質量%、シス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%からなる。
上記1,2−ポリブタジエンの結晶繊維(b)としては、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下、好ましくは150nm以下であり、また、平均のアスペクト比が10以下、好ましくは4以下であり、繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上、好ましくは100以上であり、かつ融点が170℃以上、好ましくは190〜220℃である。
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物を構成するビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)は、マトリックス成分である上記シス−ポリブタジエンゴム(a)中に、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質(c)が1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)に吸着した状態で分散していることが好ましい。ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)の沸騰n−ヘキサン不溶分は、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)と不飽和高分子物質(c)の一部又は全部であり、赤外吸収スペクトル分析により1,2−ポリブタジエン結晶繊維への不飽和高分子物質(c)の吸着割合(グラフト率)が算出できる。1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)への不飽和高分子物質(c)の吸着割合(グラフト率)は5〜200質量%、好ましくは10〜120質量%、特に好ましくは20〜90質量%である。この範囲内であることは、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)分散性を向上させて、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに生じうる諸物性の低下を抑制する効果があるので好ましい。
なお、沸騰n−ヘキサン不溶分は、2gのビニル・シスポリブタジエンゴム(A)を200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー法によって沸騰抽出した抽出残部を質量%で示した値である。
上記シス−ポリブタジエンゴム(a)は、高シス−1,4−ポリブタジエンそのもの及び高シス−1,4構造を主要な構造とするポリブタジエンの少なくとも1以上を主成分とするものである。また、シス−ポリブタジエンゴムは、以下の特性を有することが望ましい。即ち、シス−1,4構造含有率が一般に90mol%以上、好ましくは95mol%以上であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃。以下、「ML」という。)が10〜130、好ましくは15〜80であり、トルエン溶液粘度(以下、「T−cp」という。)が10〜200cp、好ましくは10〜150cpであり、実質的にゲル分を含有しないことが望ましい。
前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、上記1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)と上記シス−ポリブタジエンゴム(a)の割合は、シス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%に対して1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)が1〜30質量%である。1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の割合が上記を超える場合、シス−ポリブタジエンゴム(a)中の1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の短繊維結晶が大きくなりやすく、その分散性が悪くなるので好ましくない。また、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の割合が上記未満の場合、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)による補強性が低下し、特長となる加工性、引張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成長性などの優れた特性が発現し難くなるので好ましくない。上記不飽和高分子物質(c)の割合は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)の0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。この範囲内であることは、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の分散性を向上させて、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに生じうる諸物性の低下を抑制する効果があるので好ましい。
前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、例えば以下の製造方法により好適に製造される。
前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)の製造においては、一般に炭化水素系溶媒を用いて1,3−ブタジエンの重合を行う。この炭化水素系溶媒としては、溶解度パラメーター(以下、「SP値」という。)が9.0以下である炭化水素系溶媒が好ましく、更に好ましくは8.5以下の炭化水素系溶媒である。SP値が9.0以下である炭化水素系溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素又は脂環族炭化水素であるn−ヘキサン(SP値:7.2)、n−ペンタン(SP値:7.0)、n−オクタン(SP値:7.5)、シクロヘキサン(SP値:8.1)、及びn−ブタン(SP値:6.6)などが挙げられる。中でも、シクロヘキサンなどが好ましく用いられる。
これらの溶媒のSP値は、ゴム工業便覧(第四版、社団法人日本ゴム協会、平成6年1月20日発行、721頁)などの文献で公知である。
SP値が9.0よりも小さい溶媒を使用することで、マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中への1,2−ポリブタジエン短繊維結晶の分散性が向上し、その結果得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、加工性、引張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成長性などの優れた特性を発現することができる。
前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)の製造においては、まず、1,3−ブタジエンと上記炭化水素系溶媒とを混合し、次いで、得られた溶液中の水分の濃度を調節する。水分は、前記溶液中の、シス−1,4重合触媒として用いられる後記有機アルミニウム化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.2〜1.0モルの範囲である。この範囲では、充分な触媒活性が得られ、好適なシス−1,4構造含有率及び分子量が得られる。さらに、重合時のゲルの発生が抑制されるため重合槽などへのゲルの付着を防ぐことができ、連続重合時間を延ばすことができるので好ましい。水分の濃度を調節する方法は、公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。
水分の濃度を調節して得られた上記溶液には、シス−1,4重合触媒の一つとして、有機アルミニウム化合物を添加する。有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRn3-nで表される化合物が好ましく用いられる。その具体例として、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノブロマイド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノクロライド、ジフェニルアルミニウムモノクロライド、及びジエチルアルミニウムセスキクロライドなどが好適である。有機アルミニウム化合物の使用量としては、1,3−ブタジエンの全量1モル当たり0.1ミリモル以上が好ましく、0.5〜50ミリモルであることがより好ましい。
次いで、有機アルミニウム化合物を添加した混合溶液に、シス−1,4重合触媒として、可溶性コバルト化合物を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。可溶性コバルト化合物としては、用いる炭化水素系溶媒又は液体1,3−ブタジエンに可溶なものであるか、又は、均一に分散できる、例えばコバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナートなどコバルトのβ−ジケトン錯体、コバルトアセト酢酸エチルエステル錯体などコバルトのβ−ケト酸エステル錯体、コバルトオクトエート、コバルトナフテネート、コバルトベンゾエートなど炭素数6以上の有機カルボン酸コバルト塩、塩化コバルトピリジン錯体、塩化コバルトエチルアルコール錯体などのハロゲン化コバルト錯体などが好適である。可溶性コバルト化合物の使用量は、1,3−ブタジエンの1モル当たり0.001ミリモル以上が好ましく、0.005ミリモル以上であることがより好ましい。また、可溶性コバルト化合物に対する有機アルミニウムクロライドのモル比(Al/Co)は10以上であり、特に50以上であることが好ましい。また、可溶性コバルト化合物以外にも、ニッケルの有機カルボン酸塩、ニッケルの有機錯塩、有機リチウム化合物、ネオジウムの有機カルボン酸塩、及びネオジウムの有機錯塩を使用することも可能である。
シス−1,4重合の温度は、0℃を超えて100℃以下、好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜100℃までの範囲である。重合時間(平均滞留時間)は、10分〜2時間の範囲が好ましい。シス−1,4重合後のポリマー濃度が5〜26質量%となるように、シス−1,4重合を行うことが好ましい。重合槽は、1槽又は2槽以上の槽を連結して行われる。重合は、重合槽(重合器)内にて溶液を攪拌混合して行う。重合に用いる重合槽としては、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造において、シス−1,4重合時に、公知の分子量調節剤、例えばシクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)などの非共役ジエン類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。また、重合時のゲルの生成を更に抑制するために、公知のゲル化防止剤を使用することができる。また、重合生成物のシス−1,4構造含有率は、80mol%以上、好ましくは90mol%以上で、ムーニー粘度は、10〜130、好ましくは15〜80であり、実質的にゲル分を含有しないようにする。
上記の如くして得られたシス−1,4重合反応混合物に、シンジオタクチック−1,2重合(以下、「1,2重合」という。)触媒として、少なくとも一般式AlRで表せる有機アルミニウム化合物及び、必要に応じて上記の可溶性コバルト化合物及び二硫化炭素を添加して、これらの存在下、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造する。この際、前記重合反応混合物に1,3−ブタジエンを添加してもよいし、添加せずに未反応の1,3−ブタジエンを反応させてもよい。一般式AlRで表せる有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、及びトリフェニルアルミニウムなどを好適に挙げることができる。有機アルミニウム化合物は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5〜50ミリモル以上が好ましい。二硫化炭素は、特に限定されないが、水分を含まないものであることが好ましい。二硫化炭素の濃度は、20ミリモル/L以下、特に好ましくは0.01〜10ミリモル/Lである。二硫化炭素の代替として、公知のイソチオシアン酸フェニルやキサントゲン酸化合物を使用してもよい。
1,2重合の温度は、−5〜100℃、好ましくは−5〜70℃、更に好ましくは0〜50℃の温度範囲である。1,2重合を行う際の重合系には、前記のシス−1,4重合反応混合物100質量部当たり1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部の1,3−ブタジエンを添加することにより、1,2重合時の1,2−ポリブタジエンの収量を増大させることができる。重合時間(平均滞留時間)は、10分〜2時間の範囲が好ましい。1,2重合後のポリマー濃度が9〜29質量%となるように、1,2重合を行うことが好ましい。重合槽は、1槽又は2槽以上の槽を連結して行われる。重合は、重合槽(重合器)内にて重合溶液を攪拌混合して行う。1,2重合に用いる重合槽としては、1,2重合中に更に高粘度となりポリマーが付着しやすいので、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
上記のようにシス−1,4重合、次いで1,2重合を行ってビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造するにあたり、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質(c)を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことが好ましい。ビニル・シス−ポリブタジエンゴム製造後、例えば配合時に、前記不飽和高分子物質を添加しても本願発明の効果は得られない。前記不飽和高分子物質の製造系内への添加は、前記シス−1,4重合を行う前から、前記1,2重合を行う際までの間の任意の時点で重合反応混合物中に添加することが好ましく、シス−1,4重合の前及び/又は後に添加するのがさらに好ましく、前記1,2重合を行うときに添加することがより好ましい。
前記不飽和高分子物質(c)としては、ポリイソプレン、融点170℃未満の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ポリイソプレンとしては、通常の合成ポリイソプレン(シス構造90mol%以上のシス−1,4−ポリイソプレン等)、液状ポリイソプレン、トランス−ポリイソプレン、及びその他の変性ポリイソプレン等が挙げられる。
融点170℃未満の結晶性ポリブタジエンは、好ましくは融点0〜150℃の結晶性ポリブタジエンであり、例えば、低融点1,2−ポリブタジエン、トランス−ポリブタジエン等が挙げられる。
液状ポリブタジエンとしては、固有粘度[η]=1以下の極低分子のポリブタジエン等があげられる。ここで、固有粘度[η]は、試料ゴム0.1gとトルエン100mlを三角フラスコに入れて30℃で完全溶解させ、その後、30℃に維持された恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度計に上記溶液10mlを入れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式により求めた値とする。
ηsp=T/T−1(T:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c=[η]+k’[η]2
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料濃度(g/ml))
また、これらの誘導体としては、たとえば、イソプレン・イソブチレン共重合体、イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、液状エポキシ化ポリブタジエン、及び液状カルボキシル変性ポリブタジエン等、並びにこれら誘導体の水添物等が挙げられる。
上記の各不飽和高分子物質のうち、イソプレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、及び融点70〜110℃の1,2−ポリブタジエンが好ましく用いられる。また、上記の各不飽和高分子物質は、単独で用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記のように不飽和高分子物質(c)を添加すると、得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)において、不飽和高分子物質(c)の相溶効果により、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンの、マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中への分散性が著しく向上する。その結果得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、加工性、引張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成長性などの物性に優れたものとなる。
上記不飽和高分子物質の添加量は、得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)に対して0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜20質量%の範囲であることが更に好ましい。また、いずれの時点で添加する場合でも、添加後10分〜3時間攪拌することが好ましく、10分〜30分間攪拌することが更に好ましい。
また、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造するにあたり、1個以上の酸素結合を含有する有機化合物及び高分子化合物の少なくとも1以上を添加することができる。これらの化合物は、エーテル基、エポキシ基、カルボキシル基、エステル基、水酸基、又はカルボニル基を含有する化合物であることが好ましい。具体的化合物として、例えば、酸無水物、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族エーテル・芳香族エーテル、脂肪族カルボン酸・芳香族カルボン酸・不飽和カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル・芳香族カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸エステル、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、エポキシ化ポリブタジエン、ポリエステル、エポキシ化スチレンブタジエン共重合体、及びポリアリールエーテルなどが挙げられる。
上記1個以上の酸素結合を含有する有機化合物及び高分子化合物の少なくとも1以上を重合系に添加することにより、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンと1,2−ポリブタジエン樹脂の界面親和性が変化し、結果として、1,2−ポリブタジエン樹脂の繊維結晶の単分散化及びビニル・シス−ポリブタジエンゴムの上記物性の向上に効果がある。
重合反応が所定の重合率に達した後、常法に従って公知の老化防止剤を添加することができる。老化防止剤としては、フェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系の4.6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)などが挙げられる。これらを単独でも2種以上組み合わせて用いてもよく、老化防止剤の添加は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して0.001〜5質量部である。次に、重合停止剤を重合系に加えて、重合反応を停止させる。その方法として、例えば、重合反応終了後、重合反応混合物を重合停止槽に供給し、この重合反応混合物にメタノール及びエタノールなどのアルコール、又は水などの極性溶媒を大量に投入する方法、並びに塩酸及び硫酸などの無機酸、酢酸及び安息香酸などの有機酸、又は塩化水素ガスを重合溶液に導入する方法などは、公知である。次いで、通常の方法に従い、生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収し、洗浄、乾燥して目的のビニル・シス−ポリブタジエンゴムを取得する。
上記のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法においては、生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離取得した残余の、未反応の1,3−ブタジエン、炭化水素系溶媒及び二硫化炭素などを含有する重合反応混合物母液から、通常、蒸留により1,3−ブタジエン及び炭化水素系溶媒を分離し、また、二硫化炭素の吸着分離処理、あるいは二硫化炭素付加物の分離処理によって二硫化炭素を分離除去して、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3−ブタジエン及び炭化水素系溶媒を回収する。また、前記重合反応混合物母液から、蒸留によって3成分を回収して、この蒸留物から上記の吸着分離あるいは二硫化炭素付着物分離処理によって二硫化炭素を分離除去することによっても、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3−ブタジエン及び炭化水素系溶媒を回収することもできる。上記のようにして回収された二硫化炭素と炭化水素系溶媒とは、新たに補充した1,3−ブタジエンを混合して再使用することができる。
上記のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)を製造する際、上記の方法により得られたシス−ポリブタジエン(a−3)マトリックス中に1.2ポリブタジエン結晶繊維(b)が10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%含有したビニル・シス−ポリブタジエン(e)溶液に、炭化水素系溶媒とシス−1,4構造含有率が80mol%以上であるシス−ポリブタジエン(f)溶液を溶液混合することによって、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)を製造することもできる。
なお、シス−ポリブタジエン(a−3)の5質量%トルエン溶液粘度は、30〜250cp、好ましくは50〜200cp、より好ましくは100〜200cpである
溶液混合するシス−ポリブタジエン(f)は、上記のシス−1,4重合触媒を添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する工程と同様にして得ることができる。
得られたシス−ポリブタジエン(f)は、シス−1,4構造含有率が80mol%以上、好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上であることが好ましい。また、ムーニー粘度は、10〜130、特に15〜80が好ましく、実質的にゲル分を含有せず、さらに、5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)が、10〜250cp、好ましくは30〜200cpである。
ビニル・シス−ポリブタジエン(e)とシス−ポリブタジエン(f)とを溶液混合して得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)における(e)と(f)の割合は(e):(f)=1:1〜9であることが好ましい。
上記のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)の製造方法によれば、触媒成分の操作性に優れ、高い触媒効率で工業的に有利に、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物をなすビニル・シス−ポリブタジエンゴムを連続的に長時間製造することができる。特に、重合槽内の内壁や攪拌翼、その他攪拌が緩慢な部分に重合溶液が付着することもなく、高い転化率で工業的に有利に連続製造できる。
上記の方法により得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)は、一般に、融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)1〜30質量%、シス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%からなる。また、前記シス−ポリブタジエンゴム(a)のミクロ構造は、80mol%以上がシス−1,4−ポリブタジエンであり、その残余がトランス−1,4−ポリブタジエン及びビニル−1,2−ポリブタジエンである。そして、前記融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)は、融点が170〜220℃、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下、平均アスペクト比が10以下、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上であるところの結晶繊維である。また、前記シス−ポリブタジエンゴム(a)のMLは、好ましくは10〜130、さらに好ましくは15〜80である。
さらに、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物を構成するビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)は、以下の特性を有することが望ましい。
(イ)1.2ポリブタジエン結晶繊維(b)の分子量指標ηsp/cが0.5〜4の範囲にあること。
(ロ)シスーポリブタジエン(a)のミクロ構造中のシス構造含有量が90mol%以上であること。
(ハ)シスーポリブタジエン(a)のトルエン溶液粘度とムーニー粘度の関係がT−cp/ML≧1であること。
(ニ)シスーポリブタジエン(a)の固有粘度[η]の値が1.0〜5.0の範囲にあること。
上記のようにして製造したビニル・シス−ポリブタジエンゴムが加工性、引張応力、引張強さ及び耐屈曲亀裂成長性など優れた物性を発現するためには、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中に分散した1,2−ポリブタジエン結晶繊維は、シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に微細な結晶として単分散化した形態で部分的に分散し、凝集構造を有する大きな1,2−ポリブタジエン結晶繊維と共存していることが好ましい。また、上記融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン結晶繊維に加えて、上記の不飽和高分子物質がシス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に分散していることが好ましい。この不飽和高分子物質は、シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中で、1,2−ポリブタジエン結晶繊維と高い親和性を有し、1,2−ポリブタジエン結晶に吸着した状態で分散していることが好ましい。上記のように、融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン結晶繊維と不飽和高分子物質とが共存してシス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に分散されることによって、上記の諸物性が優れたものとなり好ましい。
上記のようにして製造したビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)90〜5質量部に対して、(A)以外のジエン系ゴム(B)10〜95質量部を配合する。ジエン系ゴム(B)としては、天然ゴム及びポリイソプレンのうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物に配合される共架橋剤(C)は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の1価または2価の金属塩であることが好ましく、その具体例としては、例えばジアクリル酸亜鉛、塩基性メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛などが挙げられ、好ましくはジアクリル酸亜鉛及び/又はジメタクリル酸亜鉛である。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままでゴム成分と混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛などの金属酸化物を練り混んだゴム成分中にアクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム成分中でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。
上記共架橋剤の配合量は、ゴム成分(A)+(B)100質量部に対し、共架橋剤(C)10〜50質量部である。共架橋剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋が充分に進行せず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、共架橋剤の配合量が上記範囲より多くなると、コンプレッションが大きくなりすぎるため打球感が悪くなる。
本発明に係るゴム組成物には、上記の共架橋剤以外にも、パーオキサイド類が必須成分として配合されることが好ましい。
このパーオキサイド類は、ゴムおよび共架橋剤の架橋、グラフト、重合などの開始剤として作用する。このパーオキサイド類の好適な具体例としては、例えばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
このパーオキサイド類の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.2〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部である。パーオキサイド類の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋などを充分に進行させることができず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、パーオキサイド類の配合量が上記範囲より多くなると、オーバーキュアー(過架橋)となって脆くなるため、耐久性が悪くなる。
本発明に係るゴム組成物には、共架橋剤がジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛の場合に架橋助剤としても作用する酸化亜鉛を配合してもよいし、さらに必要に応じて、硫酸バリウムなどの充填剤、酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛などの添加剤などを配合しても良い。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いて製造されるゴルフボールである。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。実施例及び比較例において、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの素ゴムの物性、並びに得られたゴム組成物の配合物及び加硫物の物性は、以下のようにして測定した。なお、配合物及び加硫物の物性の評価は、比較例1を100とし、指数を算出して行なった。比較例1の実測値は表4に示す。
[素ゴム物性]
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて
予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。
固有粘度[η]は、試料ゴム0.1gとトルエン100mlを三角フラスコに入れて30℃で完全溶解させ、その後、30℃に維持された恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度計に上記溶液10mlを入れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式により求めた値とする。
ηsp=T/T−1(T:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c=[η]+k’[η]2
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料濃度(g/ml))
トルエン溶液粘度(T−cp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS−Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
ミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm−1、トランス967cm−1、ビニル910cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分子量の目安として、0.20g/dlのo−ジクロロベンゼン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点及び含有量は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)を使用し、昇温速度10℃/minで吸熱曲線を求め、そのピーク温度を融点とし、吸熱量から含有量を算出した。
結晶繊維の平均繊維長、繊維長200nm以下の結晶繊維の数、及び結晶繊維の平均アスペクト比は、次のように求めた。ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素の混合溶液中で加硫を行い、その加硫物からウルトラミクロトーム(ライカ社製)により超薄切片を切出した。その切片を透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−7100FA型)で観察し、5000倍の写真を撮影した。その写真を画像解析ソフト(Win ROOF(三谷商事社製))を使用して、25μm範囲で二値化を行い、結晶繊維の繊維長さ、アスペクト比、面積を求めた。次に、平均の繊維長さ、アスペクト比を、それぞれの結晶繊維の値に面積分率を乗じて平均し、結晶繊維の平均繊維長、及び結晶繊維の平均アスペクト比とした。結晶繊維の数は繊維長200nm以下の繊維数を1.2ポリブタジエン結晶繊維含有量1質量%当たりで計算して求めた。
[配合物物性]
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて
予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。数値が小さいほど粘度が低く、流動性が良好なことを示す。
ダイ・スウェルは、配合物の寸法安定性の目安として、加工性測定装置(モンサント社製、MPT)を用いて、80℃、100sec−1のせん断速度で、押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=36mm/3mm)の比を測定した。数値が小さいほど押出加工性が良好なことを示す。
[加硫物物性]
硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従ってタイプDデュロメーターを用いて室温で測定した。
引張強度は、JIS−K6301に準拠して、破断時の引張強さを測定した。数値が大きいほど引張強度が高いことを示す。
衝撃強度は、JIS−K7211に準拠して、デュポン式落錘試験機により50%破壊エネルギーを測定した。数値が大きいほど衝撃強度が高いことを示す。
損失係数(tanδ)は、EPLEXOR 100N(GABO社製)を使用して、圧縮モード、−30℃、10Hz、初期歪3%、動歪0.3%の条件で測定した。数値が小さいほどエネルギーロスが小さく、反発が大きいことを示す。
製造例1(ビニル・シス−ポリブタジエンゴム:サンプルA−1の製造)
窒素ガスで置換した内容量5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液3.5L(ブタジエン:30質量%、シクロヘキサン:70質量%)を入れ、水5.3mmol、ジエチルアルミニウムクロライド10.5mmol、二硫化炭素1.8mmol、シクロオクタジエン32mmol、及びコバルトオクトエート0.03mmolを加え、50℃で30分間撹拌し、シス−1,4重合を行った(a−1)。得られた重合生成液に、ポリイソプレン(IR)(ML=87、シス−1,4構造=98mol%)を10質量%(得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対する百分率)加え、50℃で1時間攪拌を行った。その後、ブタジエン560ml、水4.5mmol、トリエチルアルムニウムクロライド13.4mmol、及びコバルトオクトエート0.07mmolを加え、50℃で30分間撹拌し、1,2重合を行った(b−1)。これに老化防止剤として4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールのメタノール溶液を加え、重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去し、105℃で60分間真空乾燥して、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−1)を得た。ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−1)の沸騰n−ヘキサン不溶分は、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)と不飽和高分子の一部又は全部であり、赤外吸収スペクトル分析により1,2−ポリブタジエンへの不飽和高分子の吸着割合(グラフト率)が算出できる。沸騰n−ヘキサン不溶分は、2gのビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−1)を200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー法によって沸騰抽出した抽出残部を質量%で示した値である(不飽和高分子物質添加系以外では、1,2−ポリブタジエン結晶繊維の含有量である)。得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−1)の沸騰n−ヘキサン不溶分の赤外吸収スペクトル分析より算出した1,2−ポリブタジエンへのポリイソプレンの吸着割合(グラフト率)は、67質量%であった。
製造例2(ビニル・シス-ポリブタジエンゴム:サンプルA−2の製造)
重合溶液を(ブタジエン:31質量%、2−ブテン類:29質量%、シクロヘキサン:40質量%)に変更し、ポリイソプレン(不飽和高分子物質)を添加しなかったこと以外は、サンプル1の製造方法と同様にしてビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−2)を得た。
製造例3(ビニル・シス−ポリブタジエンゴム:サンプルA−3の製造)
ビニル・シス−ポリブタジエンの製造(e)
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に重合溶液1.0L(ブタジエン:31質量%、2−ブテン類:29質量%、シクロヘキサン:40質量%)を入れ、水1.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド2.9mmol、二硫化炭素0.3mmol、シクロオクタジエン6mmol、及びコバルトオクトエート0.008mmolを加え、40℃で20分間撹拌し、シス−1,4重合(a−3)を行った。この時少量のシス−ポリブタジエン重合液を反応槽より取り出し、乾燥した後に得られたシス−ポリブタジエンゴムのトルエン溶液粘度を測定したところ175であった。その後、ブタジエン150ml、水1.1mmol、トリエチルアルムニウムクロライド3.5mmol、及びコバルトオクトエート0.02mmolを加え、40℃で20分間撹拌し、1,2重合を行った。これに老化防止剤として4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールのメタノール溶液を加え、重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2‐ブテン類を蒸発除去し、1.2−ポリブタジエン結晶繊維量=40.5質量%のビニル・シス−ポリブタジエン(e)を得た。このうち60gのビニル・シス−ポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、ビニル・シス−ポリブタジエン溶液を作製した。
シス−ポリブタジエンの製造(f)
窒素ガスで置換した内容5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液3.5L(ブタジエン:31質量%、2−ブテン類:29質量%、シクロヘキサン:40質量%)を入れ、水5.3mmol、ジエチルアルミニウムクロライド10.5mmol、二硫化炭素1.8mmol、シクロオクタジエン32mmol、及びコバルトオクトエート0.03mmolを加え、50℃で30分間撹拌し、1,4重合を行った。これに老化防止剤として4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールのメタノール溶液を加え、重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去し、シス−ポリブタジエン(f)を得た。このうち140gのシス−ポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、シス−ポリブタジエン・シクロヘキサン溶液を調製した。
混合物ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−3)の製造
窒素ガスで置換した内容5.0Lの攪拌機つきステンレス製反応槽中にシス−ポリブタジエン(f)140gが溶解したシス−ポリブタジエン・シクロヘキサン溶液を入れ、そこにビニル・シス−ポリブタジエン(e)60gを含むビニル・シス−ポリブタジエン・シクロヘキサン溶液を撹拌しながら添加した。1時間撹拌した後、105℃で60分間真空乾燥して、(e)+(f)混合物であるビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−3)200gを得た。
製造例4(ビニル・シス−ポリブタジエンゴム:サンプルA−4の製造)
炭化水素系溶媒としてシクロヘキサンをベンゼンに変更し、ポリイソプレン(不飽和高分子物質)を添加しなかったこと以外は、サンプルA−1の製造方法と同様にしてビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A−4)を得た。
前記サンプルA−1〜A−4の物性を表1及び表2に示した。
Figure 2009040878
Figure 2009040878
表3及び表4に示す配合処方に基づいて、6インチロール(安田精機製作所社製)を使用し、温度40℃に設定してサンプルA−1乃至A−4に係るビニル・シスポリブタジエンゴム又はBR230を巻付け1分後に、共架橋剤のジメタクリル酸亜鉛(川口化学社製 アクターZMA)を表中に示す配合量と酸化亜鉛(ZnO)20質量部の混合物を少量ずつ投入してゴム中に混入した。次にジクミルペルオキシド(DCP)1質量部を加えて混練りし、実施例及び比較例に係るゴム組成物を得た。このゴム組成物(配合物)についてムーニー粘度及びダイスウェルを測定した。結果を表3及び表4示す。次にこのゴム組成物を所定の金型に入れ、165℃で15分間プレス加硫して実施例及び比較例に係るゴム組成物の架橋物物性を測定した。これらの結果を表3及び表4に示す。
Figure 2009040878
Figure 2009040878
表3及び4の結果から、実施例1〜7に係る配合物及び架橋物は、比較例1〜5と比較して、高硬度・高強度で高反発性を有し、且つ押出加工性に優れていることが分かる。実施例1〜7で使用したサンプルA−1〜A−3においては、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)を構成する融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)が、結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下であり、アスペクト比が10以下、及び長軸長さが200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上であるという条件を満たす。その結果、実施例1〜7に係る配合物及び架橋物においては、マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中への1,2−ポリブタジエン結晶繊維の分散性が良好であり、押出加工性、引張強度、衝撃強度、反発性等の優れた特性を発現するものと考えられる。一方、比較例1で使用したサンプルA−4においては、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを構成する1,2−ポリブタジエンが上記の条件を満たしておらず、その結果、シス−ポリブタジエンゴム中への1,2−ポリブタジエン結晶繊維の分散性が不十分であり、押出加工性、引張強度、衝撃強度、反発性等の優れた特性を発揮しえなかったものと考えられる。また、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)と(A)以外のジエン系ゴム(B)のいずれか一方しか含まない比較例2及び3においては、押出加工性、引張強度、衝撃強度、反発性等をバランス良く向上させられなかった。
また、実施例1及び実施例6〜7と、比較例4〜5とを対比すると、共架橋剤であるジメタクリル亜鉛の配合量を10〜50質量部にすることにより、各物性がバランス良く向上することが分かる。
サンプル1(a)およびサンプル4(b)の5000倍電子顕微鏡写真を画像解析ソフト(Win ROOF,三谷商事社製)により二値化処理したものである。

Claims (8)

  1. 結晶繊維の繊維長の平均が200nm以下であり、アスペクト比の平均が10以下、及び繊維長200nm以下の結晶繊維数が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)1〜30質量%、及びシス−ポリブタジエンゴム(a)99〜70質量%のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)90〜5質量%と、(A)以外のジエン系ゴム(B)10〜95質量%とからなるゴム成分(A)+(B)100質量部に対し共架橋剤(C)10〜50質量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物。
  2. 該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)が、
    (1)1,3−ブタジエンと溶解度パラメーター(SP値)が9.0以下である炭化水素系溶媒を主成分としてなる混合物の水分の濃度を調節し、
    (2)次いで、シス−1,4重合の触媒として、少なくとも一般式AlR3−n(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、nは1.5〜2である。)で表される有機アルミニウム化合物、及び可溶性コバルト化合物を前記混合物の存在下、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、
    (3)次いで、得られた重合反応混合物中に、少なくとも可溶性コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である。)で表される有機アルミニウム化合物、及び二硫化炭素から得られる触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて製造されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
  3. 該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)が
    (1)水分の濃度が調節された、1,3−ブタジエンと炭化水素系溶媒を主成分としてなる混合物に、少なくとも有機アルミニウム化合物、可溶性コバルト化合物から得られるシス−1,4重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、引き続き、得られた重合反応混合物中に、少なくとも可溶性コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である)で表される有機アルミニウム化合物、及び二硫化炭素から得られる触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合し、1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の含有量が10〜60質量%であるビニル・シス−ポリブタジエン(e)溶液を得る工程、
    (2)炭化水素系溶媒とシス−1,4構造含有率が80mol%以上であるシス−ポリブタジエン(f)の混合溶液を得る工程、
    (3)前記(1)工程で得られたビニル・シス−ポリブタジエン(e)と、前記(2)工程で得られたシス−ポリブタジエン(f)を溶液混合する工程
    により製造されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
  4. 該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(A)が
    1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において、
    ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に前記シス−1,4重合の前及び/又は後に添加する工程を含む製造方法で製造されていることを特徴とする請求項1及至3のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム組成物。
  5. 該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(A)が下記(イ)乃至(ニ)の特性を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のゴルフボール用ゴム組成物。
    (イ)1,2−ポリブタジエン結晶繊維(b)の分子量指標ηsp/cが0.5〜4の範囲にあること。
    (ロ)シス−ポリブタジエンゴム(a)のミクロ構造中のシス構造含有量が90mol%以上であること。
    (ハ)シス−ポリブタジエンゴム(a)のトルエン溶液粘度とムーニー粘度の関係がT−cp/ML≧1であること。
    (ニ)シス−ポリブタジエンゴム(a)の固有粘度[η]の値が1.0〜5.0の範囲にあること。
  6. (A)以外のジエン系ゴム(B)が、天然ゴム及びポリイソプレンの少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のゴルフボール用ゴム組成物。
  7. 共架橋剤(C)が、ジアクリル酸亜鉛及び/又はジメタクリル酸亜鉛であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のゴルフボール用ゴム組成物。
  8. 請求項1乃至7いずれか記載のゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴルフボール。
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