JP2006249296A - ゴルフボール用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、硬度や高反発性を維持しつつロール加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、(1)平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であり、かつ、融点が170℃以上であるシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶樹脂(以下、SPB樹脂と略)1〜50wt%、および、(2)シス−ポリブタジエンゴム100wt%からなる
(a)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100重量部に対して、共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物 に関する。
【選択図】 なし
本発明は、硬度や高反発性を維持しつつロール加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、(1)平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であり、かつ、融点が170℃以上であるシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶樹脂(以下、SPB樹脂と略)1〜50wt%、および、(2)シス−ポリブタジエンゴム100wt%からなる
(a)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100重量部に対して、共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物 に関する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、適度な硬度で高反発性を維持しつつ加工性に優れたゴルフボール用ゴム組成物に関するもので、タイヤにおけるトレッド・サイドウォール等のタイヤ外部部材やカーカス・ベルト・ビード等のタイヤ内部部材および防振ゴム・ベルト・ホース・免震ゴム等の工業用品や紳士靴、婦人靴、スポーツシューズ等の履物などにも用いる事ができる。
ポリブタジエンは、いわゆるミクロ構造として、1,4−位での重合で生成した結合部分(1,4−構造)と1,2−位での重合で生成した結合部分(1,2−構造)とが分子鎖中に共存する。1,4−構造は、更にシス構造とトランス構造の二種に分けられる。一方、1,2−構造は、ビニル基を側鎖とする構造をとる。
重合触媒や重合条件によって、上記のミクロ構造が異なったポリブタジエンが製造されることが知られており、それらの特性によって種々の用途に使用されている。
ゴルフボールは糸巻きとソリッドに分類され、糸巻きボールのソリッドセンターやソリッドボールでは従来ポリブタジエン等の基材ゴムに不飽和カルボン酸金属塩などの不飽和結合を有するモノマーを共架橋剤として配合し、過酸化物および金属酸化物を配合したものが用いられている。
ゴルフボールの基材ゴムとして使用されるポリブタジエンゴムは、一般に高反発性と共に加工性の優れたものが要求されているが、ムーニー粘度を高くすると反発性は向上するが加工性が悪化し、分子量分布を広げると加工性は向上するが反発性が低下するという二律背反の関係にある。
ゴルフボールの基材ゴムとして使用されるポリブタジエンゴムは、一般に高反発性と共に加工性の優れたものが要求されているが、ムーニー粘度を高くすると反発性は向上するが加工性が悪化し、分子量分布を広げると加工性は向上するが反発性が低下するという二律背反の関係にある。
加工性と反発性とを両立させることを目的として、ポリブタジエンゴムの改良が試みられ種々の提案がなされている。例えば特開昭63−275356号公報(特許文献1)、特開平2−177973号公報(特許文献2)などには、高ムーニー粘度で分子量分布の広いNi系触媒等で合成されたポリブタジエンゴムが開示されている。特公平6−80123号公報(特許文献3)には、低ムーニー粘度のポリブタジエンゴムと高ムーニー粘度のポリブタジエンゴムをブレンド使用する方法等が開示されている。しかしながら更に高反発性を有し且つ加工性に優れたものが要望されている。
また、ゴルフボール用のゴム基材として、シス含量が97%以上のポリブタジエンゴムを錫化合物で変性したものを用いることが、特開平7−268132号公報(特許文献4)に開示されている。
しかしながら、従来のハイシスポリブタジエンに較べて、架橋密度において変わらない、さらに耐久性の改良が望まれるところがあった。
しかしながら、従来のハイシスポリブタジエンに較べて、架橋密度において変わらない、さらに耐久性の改良が望まれるところがあった。
また、本発明者らによる特開平2001−40040号公報(特許文献5)には、1,2−含量を適度に含有するポリブタジエンが飛行距離が大きいゴルフボールとして開示されている。
本発明は、硬度や高反発性を維持しつつロール加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(1)平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であり、かつ、融点が170℃以上であるシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶樹脂(以下、SPB樹脂と略)1〜50wt%、および、(2)シス−ポリブタジエンゴム100wt%からなる
(a)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100重量部に対して、共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物 に関する。
(a)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100重量部に対して、共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物 に関する。
本発明は、該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムが、ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当り少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を含有することを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物に関する。
本発明は、該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムが、1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法であって、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことを特徴とした製造方法で製造されていることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物に関する。
本発明は、該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムの製造方法において、前記不飽和高分子物質を1,2−ポリブタジエンの結晶繊維とシス−ポリブタジエンゴムの合計に対して0.01〜50質量%の範囲で含まれていることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物に関する。
本発明は、該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴム中の1,2−ポリブタジエンの短い繊維が、前記高分子物質の粒子に含有されずに前記マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中にも分散しており、該マトリックス中に分散している短い結晶繊維の長軸長が0.2〜1,000μmの範囲であり、かつ、該高分子物質の粒子中に分散している前記1,2−ポリブタジエンの短い結晶繊維の長軸長が0.01〜0.5μmの範囲であることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物に関する。
本発明におけるゴム組成物は、適度な硬度で高反発性を維持しつつ加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物が提供される。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)は、一般に次のような構成となっている。即ち、一般に、(1)融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエンが1〜50質量部、(2)シス−ポリブタジエンゴム100質量部、及び(3)上記(1)と(2)の総量に対して0.01〜50質量%の不飽和高分子物質からなっている。また、一般に、(1)成分の融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエンは、平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であるところの結晶繊維を形成している。
上記(1)成分の1,2−ポリブタジエンの結晶繊維としては、平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、好ましくは、0.1μm以下であり、また、アスペクト比が10以下、好ましくは、8以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上、好ましくは、15以上の短繊維状であり、かつ、融点が170℃以上、好ましくは、190〜220℃であることが望ましい。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)は、上記マトリックス成分である(2)成分のシス−ポリブタジエン中に、上記(1)成分の融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエンが短い結晶繊維状で、上記(3)成分の不飽和高分子物質が粒子状で存在していることが好ましい。上記マトリックス成分である(2)成分のシス−ポリブタジエン中に分散している不飽和高分子物質の粒子の長軸径が0.2〜1,000μmの範囲であり、該高分子物質の粒子中に分散している前記1,2−ポリブタジエンの短い結晶繊維の長軸長が0.01〜0.5μmの範囲である。
上記(2)成分のシス−ポリブタジエンゴムとしては、高シス−1,4−ポリブタジエンそのもの、及び/又は高シス−1,4構造を主要な構造とするポリブタジエンを主成分とするものである。
ここで、トルエン不溶解分は、試料ゴム10gと400mlのトルエンを三角フラスコに入れてRT(25℃)にて完全溶解させ、その後200メッシュの金網を設置した濾過器を用い上記溶液を濾過し、濾過後に金網に付着したゲル分を言い、上記割合はゲルが付着した金網を真空乾燥し付着量を測定し、試料ゴムに対する百分率で計測した値を指す。
また、[η](固有粘度)は試料ゴム0.1gと100mlのトルエンを三角フラスコに入れ、30℃で完全溶解させ、その後30℃にコントロールされた恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度計に10mlの上記溶液を入れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式により求めた値を[η]とする。
ηsp=T/T0−1 (T0:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c= [η]+k'[η]2c
(ηsp:比粘度、k':ハギンズ定数(0.37)、C:試料濃度(g/ml))
ηsp/c= [η]+k'[η]2c
(ηsp:比粘度、k':ハギンズ定数(0.37)、C:試料濃度(g/ml))
上記(1)成分の1,2−ポリブタジエン結晶繊維と(2)成分のシス−ポリブタジエンゴムの割合は、上記のとおり(2)成分のシス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して(1)成分の1,2−ポリブタジエン結晶繊維が1〜50質量部、好ましくは、1〜30質量部であることが望ましい。上記範囲内であると、50質量部を超えて多量の場合の、シス−ポリブタジエンゴム中の1,2−ポリブタジエン結晶繊維の短繊維結晶が大きくなりやすく、その分散性が悪くなることや、1質量部未満の少量の場合、短繊維結晶による補強性が低下することを回避でき、したがって、特長となる弾性率・押出加工性及び成形性等が発現し難く、また加工性が悪化するなどの問題が起こりにくいため好ましい。また、(3)成分の不飽和高分子物質の割合は、上記のとおりビニル・シス−ポリブタジエンゴムの0.01〜50質量%、好ましくは0.01〜30質量%であることが望ましい。上記範囲内であることは、上記(1)成分の1,2−ポリブタジエン結晶繊維の凝集による分散性向上、それに伴うビニル・シス−ポリブタジエンゴムが引出す諸物性の低下抑制などの点で好ましい。
上記のビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、例えば以下の製造方法で好適に得られる。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造においては、一般に炭化水素系溶媒を用いて1,3−ブタジエンの重合を行う。この炭化水素系溶媒としは、溶解度パラメーター(以下「SP値」と略す)が9.0以下である炭化水素系溶媒が好ましく、更に好ましくは8.4以下の炭化水素系溶媒である。溶解度パラメーターが9.0以下である炭化水素系溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素であるn−ヘキサン(SP値:7.2)、n−ペンタン(SP値:7.0)、n−オクタン(SP値:7.5)、シクロヘキサン(SP値:8.1)、n−ブタン(SP値:6.6)等が挙げられる。中でも、シクロヘキサンなどが好ましい。
これらの溶媒のSP値は、ゴム工業便覧(第四版、社団法人:日本ゴム協会、平成6年1月20日発行;721頁)などの文献で公知である。
SP値が9.0よりも小さい溶媒を使用することで、シス−ポリブタジエンゴム中への1,2−ポリブタジエン結晶繊維の短繊維結晶の分散状態が本発明で期待する如く形成され、優れたダイ・スウェル特性や高弾性、引張強さを発現するので好ましい。
まず、1,3−ブタジエンと前記溶媒とを混合し、次いで、得られた溶液中の水分の濃度を調節する。水分は、該溶液中の、後記シス−1,4重合触媒として用いられる有機アルミニウムクロライド1モル当たり、好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.2〜1.0モルの範囲である。この範囲では充分な触媒活性得られて好適なシス−1,4構造含有率や分子量が得られつつ、重合時のゲルの発生を抑制できることにより重合槽などへのゲルの付着を防ぐことができ、連続重合時間を延ばすことができるので好ましい。水分の濃度を調節する方法は公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。
水分の濃度を調節して得られた溶液には、シス−1,4重合触媒の一つとして、有機アルミニウムクロライドを添加する。有機アルミニウムクロライドとしては、一般式AlRnX3-nで表される化合物が好ましく用いられ、その具体例としては、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノブロマイド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノクロライド、ジフェニルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライドなどを好適に挙げることができる。有機アルミニウムクロライドの使用量のとしては、1,3−ブタジエンの全量1モル当たり0.1ミリモル以上が好ましく、0.5〜50ミリモルがより好ましい。
次いで、有機アルミニウムクロライドを添加した混合溶液に、シス−1,4重合触媒の他の一つとして、可溶性コバルト化合物を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合させる。可溶性コバルト化合物としては、用いる炭化水素系溶媒又は液体1,3−ブタジエンに可溶なものであるか、又は、均一に分散できる、例えばコバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナートなどコバルトのβ−ジケトン錯体、コバルトアセト酢酸エチルエステル錯体のようなコバルトのβ−ケト酸エステル錯体、コバルトオクトエート、コバルトナフテネート、コバルトベンゾエートなどの炭素数6以上の有機カルボン酸コバルト塩、塩化コバルトピリジン錯体、塩化コバルトエチルアルコール錯体などのハロゲン化コバルト錯体などを挙げることができる。可溶性コバルト化合物の使用量は、1,3−ブタジエンの1モル当たり0.001ミリモル以上が好ましく、0.005ミリモル以上であることがより好ましい。また可溶性コバルト化合物に対する有機アルミニウムクロライドのモル比(Al/Co)は10以上であり、特に50以上であることが好ましい。また、可溶性コバルト化合物以外にもニッケルの有機カルボン酸塩、ニッケルの有機錯塩、有機リチウム化合物、ネオジウムの有機カルボン酸塩、ネオジウムの有機錯塩を使用することも可能である。
シス−1,4重合の温度は、一般に0℃を超える温度〜100℃、好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜100℃までの温度範囲である。重合時間(平均滞留時間)は、10分〜2時間の範囲が好ましい。シス−1,4重合後のポリマー濃度が5〜26質量%となるようにシス−1,4重合を行うことが好ましい。重合槽は1槽、又は2槽以上の槽を連結して行われる。重合は重合槽(重合器)内にて溶液を攪拌混合して行う。重合に用いる重合槽としては高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号に記載された装置を用いることができる。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造では、シス−1,4重合時に、公知の分子量調節剤、例えばシクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)などの非共役ジエン類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。又重合時のゲルの生成を更に抑制するために、公知のゲル化防止剤を使用することができる。また、重合生成物のシス−1,4構造含有率が一般に80%以上、好ましくは90%以上で、ML10〜50、好ましくは10〜40であり、実質的にゲル分を含有しないようにする。
そして、前記の如くして得られたシス−1,4重合反応混合物に、1,2重合触媒として、一般式AlR3で表せる有機アルミニウム化合物と二硫化炭素、必要なら前記の可溶性コバルト化合物を添加して、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造する。この際、該重合反応混合物に1,3−ブタジエンを添加してもよいし、添加せずに未反応の1,3−ブタジエンを反応させてもよい。一般式AlR3で表せる有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウムなどを好適に挙げることができる。有機アルミニウム化合物は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5〜50ミリモル以上である。二硫化炭素は特に限定されないが水分を含まないものであることが好ましい。二硫化炭素の濃度は20ミリモル/L以下、特に好ましくは0.01〜10ミリモル/Lである。二硫化炭素の代替として公知のイソチオシアン酸フェニルやキサントゲン酸化合物を使用してもよい。
1,2重合の温度は、一般に0〜100℃、好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜100℃の温度範囲である。1,2重合を行う際の重合系には、前記のシス−1,4重合反応混合物100質量部当たり1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部の1,3−ブタジエンを添加することで、1,2重合時の1,2−ポリブタジエンの収量を増大させることができる。重合時間(平均滞留時間)は、10分〜2時間の範囲が好ましい。1,2重合後のポリマー濃度が9〜29質量%となるように1,2重合を行うことが好ましい。重合槽は1槽、又は2槽以上の槽を連結して行われる。重合は重合槽(重合器)内にて重合溶液を攪拌混合して行う。1,2重合に用いる重合槽としては、1,2重合中に更に高粘度となりポリマーが付着しやすいので、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造においては、前記のようにシス−1,4重合、次いで1,2重合を行ってビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造するにあたり、ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことが好ましい。ビニル・シス−ポリブタジエンゴム製造後、たとえば配合時に添加しても本願発明の効果は得られない。この不飽和高分子物質の製造系内への添加は、前記シス−1,4重合を行う際から、前記1,2重合を行う際までの間の任意の時点で重合反応混合物中に添加することが好ましく1,2重合を行うときがより好ましい。
上記不飽和高分子物質としては、ポリイソプレン、融点170℃未満の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
ポリイソプレンとしては、通常の合成ポリイソプレン(シス構造90%以上のシス−1,4−ポリイソプレン等)、液状ポリイソプレン、トランス−ポリイソプレン、その他変性ポリイソプレン等が挙げられる。
融点170℃未満の結晶性ポリブタジエンは、好ましくは融点0〜150℃の結晶性ポリブタジエンであり、たとえば、低融点1,2−ポリブタジエン、トランス−ポリブタジエン等が挙げられる。
液状ポリブタジエンとしては、固有粘度[η]=1以下の極低分子のポリブタジエン等があげられる。
また、これらの誘導体としては、たとえば、イソプレン・イソブチレン共重合体、イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、液状エポキシ化ポリブタジエン、液状カルボキシル変性ポリブタジエン等及びこれら誘導体の水添物等が挙げられる。
上記各不飽和高分子物質の中でも、イソプレン、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、融点70〜110℃の1,2−ポリブタジエンが好ましく用いられる。また、上記各不飽和高分子物質は、単独で用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記のよう不飽和高分子物質を添加すると、前記のとおり、得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、不飽和高分子物質の相溶効果により、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンの、マトリックス成分のシス−ポリブタジエンゴム中への分散性が著しく向上され、その結果得られるビニル・シス−ポリブタジエンゴムの特性が優れたものとなる。
不飽和高分子物質の添加量は、取得されるビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対して0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、いずれの時点での添加でも、添加後10分〜3時間攪拌することが好ましく、更に好ましくは10分〜30分間攪拌することである。
また、1個以上の酸素結合を含有する有機化合物及び/又は高分子化合物を添加するkとができる。エーテル基、エポキシ基、カルボキシル基、エステル基、水酸基、カルボニル基を含有する化合物であることが好ましい。具体的化合物として、例えば酸無水物、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族エーテル・芳香族エーテル、脂肪族カルボン酸・芳香族カルボン酸・不飽和カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル・芳香族カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸エステル、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、エポキシ化ポリブタジエン、ポリエステル、エポキシ化スチレンブタジエン共重合体、ポリアリールエーテル、などが挙げられる。
1個以上の酸素結合を含有する有機化合物及び/又は高分子化合物を重合系に添加することにより、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシスポリブタジエンとSPB樹脂の界面親和性が変化し、結果としてSPB樹脂の繊維結晶の単分散化及びビニル・シス−ポリブタジエンゴムの諸物性の向上に効果がある。
重合反応が所定の重合率に達した後、常法に従って公知の老化防止剤を添加することができる。老化防止剤の代表としては、フェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系の4.6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート(TPL)などが挙げられる。単独でも2種以上組み合わせて用いてもよく、老化防止剤の添加はビニル・シス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して0.001〜5質量部である。次に、重合停止剤を重合系に加えて重合反応を停止させる。その方法としては、例えば、重合反応終了後、重合反応混合物を重合停止槽に供給し、この重合反応混合物にメタノール、エタノールなどのアルコール、水などの極性溶媒を大量に投入する方法、塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸、安息香酸などの有機酸、塩化水素ガスを重合反応混合物に導入する方法などの、それ自体公知の方法が挙げられる。次いで、通常の方法に従い生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収し、洗浄、乾燥して目的のビニル・シス−ポリブタジエンゴムを取得する。
このようにして取得される本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、一般に、その各成分比率、即ち融点が170℃以上である1,2−ポリブタジエン、シス−ポリブタジエンゴム、及び不飽和高分子物質の比率が前記のとおりであり、また、シス−ポリブタジエンゴムのミクロ構造は、80%以上がシス−1,4−ポリブタジエンであり、その残余がトランス−1,4−ポリブタジエン及びビニル−1,2−ポリブタジエンである。そして、このシス−ポリブタジエンゴムと不飽和高分子物質は、沸騰n−ヘキサン可溶分であり、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンは、沸騰n−ヘキサン不溶分(以下「H.I」と略す)である。この融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンは、一般に融点が170〜220℃であり、前記のような短繊維状の結晶繊維である。また、シス−ポリブタジエンゴムのMLは、前記のように10〜50、好ましくは20〜40である。
上記本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法においては、生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離取得した残余の、未反応の1,3−ブタジエン、炭化水素系溶媒及び二硫化炭素などを含有する重合反応混合物母液から、通常、蒸留により1,3−ブタジエン、炭化水素系溶媒を分離し、また、二硫化炭素の吸着分離処理、あるいは二硫化炭素付加物の分離処理によって二硫化炭素を分離除去し、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3−ブタジエンと炭化水素系溶媒とを回収する。また、上記重合反応混合物母液から、蒸留によって3成分を回収して、この蒸留物から上記の吸着分離あるいは二硫化炭素付着物分離処理によって二硫化炭素を分離除去することによっても、二硫化炭素を実質的に含有しない1,3−ブタジエンと炭化水素系溶媒とを回収することもできる。前記のようにして回収された二硫化炭素と炭化水素系溶媒とは新たに補充した1,3−ブタジエンを混合して再使用することができる。
上記ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法によれば、触媒成分の操作性に優れ、高い触媒効率で工業的に有利に本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムを連続的に長時間製造することができる。特に、重合槽内の内壁や攪拌翼、その他攪拌が緩慢な部分に付着することもなく、高い転化率で工業的に有利に連続製造できる。
そして、上記のように製造したビニル・シス−ポリブタジエンゴムが優れた所望特性を発現するには、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中に分散した1,2−ポリブタジエン結晶繊維は、シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に微細な結晶として単分散化した形態で部分的に分散し、凝集構造を有する大きな1,2−ポリブタジエン結晶繊維と共存していることが好ましい。即ち、シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中の単分散化1,2−ポリブタジエン結晶繊維は、平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下であり、また、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であり、且つ、融点が170℃以上であることが好ましい。また、上記融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエン結晶繊維に加えて、上記不飽和高分子物質がシス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に分散していることが好ましい。この不飽和高分子物質は、シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に、1,2−ポリブタジエン結晶繊維と高い親和性を持し、該結晶繊維近傍に物理的、化学的に吸着した状態で分散されていることが好ましい。上記のように、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエン結晶繊維と不飽和高分子物質とが共存してシス−ポリブタジエンゴムのマトリックス中に分散されることによって、上記の諸物性が優れたものとなり、好ましい。
ゴム組成物に配合される共架橋剤は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸
の1価または2価の金属塩であることが好ましく、その具体例としては、たとえばジアクリル酸亜鉛、塩基性メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛などが挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままで基材ゴムなどと混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛などの金属酸化物を練り混んだゴム組成物中にアクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム組成物中でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。
の1価または2価の金属塩であることが好ましく、その具体例としては、たとえばジアクリル酸亜鉛、塩基性メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛などが挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままで基材ゴムなどと混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛などの金属酸化物を練り混んだゴム組成物中にアクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム組成物中でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。
上記共架橋剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜50重量部であることが好ましい。共架橋剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋が充分に進行せず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、共架橋剤の配合量が上記範囲より多くなると、コンプレッションが大きくなりすぎるため打球感が悪くなる。
本発明において、ゴム質部分を構成することになるゴム組成物には、上記の共架橋剤以外にも、パーオキサイド類が必須成分として配合されることが好ましい。
このパーオキサイド類は、ゴムおよび共架橋剤の架橋、グラフト、重合などの開始剤として作用する。このパーオキサイド類の好適な具体例としては、たとえばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
このパーオキサイド類の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましい。ハーオキサイド類の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋などを充分に進行させることができず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、パーオキサイド類の配合量が上記範囲より多くなると、オーバーキュアー(過架橋)となって脆くなるため、耐久性が悪くなる。
上記ゴム組成物には、共架橋剤がジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛の場合に架橋助剤としても作用する酸化亜鉛を配合してもよいし、さらに必要に応じて、硫酸バリウムなどの充填剤、酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛などの添加剤などを配合しても良い。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。実施例及び比較例において、ビニル・シスポリブタジエンゴムの素ゴムの物性、及び得られたゴム組成物の配合物の物性と加硫物の物性は以下のようにして測定した。
(1)1,2ポリブタジエン結晶繊維含有量;2gのビニル・シスポリブタジエンゴムを200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した抽出残部を重量部で示した。
(2)1,2ポリブタジエン結晶繊維の融点;沸騰n−ヘキサン抽出残部を示差走査熱量計(DSC)による吸熱曲線のピーク温度により決定した。
(3)結晶繊維形態;ビニル・シスポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素で加硫し、加硫物を超薄切片で切り出して四塩化オスミウム蒸気でビニル・シスポリブタジエンのゴム分の二重結合を染色して、透過型電子顕微鏡で観察して求めた。
(4)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分のミクロ構造;赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(5)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分のトルエン溶液粘度;25℃における5重量%トルエン溶液の粘度を測定してセンチポイズ(cp)で示した。
(6)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分の[η];沸騰n−ヘキサン可溶分を乾燥採取し、トルエン溶液にて30℃の温度で測定した。
(7)ムーニー粘度;JIS K6300に準じて100℃にて測定した値である。
(8)ダイ・スウェル;加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec−1のせん断速度で押出時の配合物の径とダイオリフィス径(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定して求めた。
(9)グリーンモジュラス;未加硫ゴムを3号ダンベルに打ち抜いて試験片とし、室温、200mm/minの引張速度で測定した。
(10)引張弾性率;JIS K6301に従い、引張弾性率M300を測定した。
(11)金属との接着強さ;ASTM D2229に準じて測定した。
(1)1,2ポリブタジエン結晶繊維含有量;2gのビニル・シスポリブタジエンゴムを200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した抽出残部を重量部で示した。
(2)1,2ポリブタジエン結晶繊維の融点;沸騰n−ヘキサン抽出残部を示差走査熱量計(DSC)による吸熱曲線のピーク温度により決定した。
(3)結晶繊維形態;ビニル・シスポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素で加硫し、加硫物を超薄切片で切り出して四塩化オスミウム蒸気でビニル・シスポリブタジエンのゴム分の二重結合を染色して、透過型電子顕微鏡で観察して求めた。
(4)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分のミクロ構造;赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(5)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分のトルエン溶液粘度;25℃における5重量%トルエン溶液の粘度を測定してセンチポイズ(cp)で示した。
(6)ビニル・シスポリブタジエンゴム中のゴム分の[η];沸騰n−ヘキサン可溶分を乾燥採取し、トルエン溶液にて30℃の温度で測定した。
(7)ムーニー粘度;JIS K6300に準じて100℃にて測定した値である。
(8)ダイ・スウェル;加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec−1のせん断速度で押出時の配合物の径とダイオリフィス径(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定して求めた。
(9)グリーンモジュラス;未加硫ゴムを3号ダンベルに打ち抜いて試験片とし、室温、200mm/minの引張速度で測定した。
(10)引張弾性率;JIS K6301に従い、引張弾性率M300を測定した。
(11)金属との接着強さ;ASTM D2229に準じて測定した。
分子量(Mw,Mn)は、GPC法:HLC−8220(東ソー社製)で測定し、標準ポリスチレン換算により算出した。
ロール加工性は、50℃の6インチロールに配合物を巻付け、その巻付き状態を目視で観察して判定した。
硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従って、デュロメーター式(タイプD)で測定した。
反発弾性は、JIS−K6251に規定されている測定法に従って、トリプソ式で測定した。
(ビニル・シスポリブタジエンサンプルの製造)
窒素ガスで置換した内容30Lの攪拌機付ステンレス製反応槽中に、脱水シクロヘキサン18kgに1.3−ブタジエン1.6kgを溶解した溶液を入れ、コバルトオクトエート4mmol、ジエチルアルミニウムクロライド84mmol及び1,5−シクロオクタジエン70mmolを混入、25℃で30分間攪拌し、シス重合を行った。得られたポリマーのMLは33、T-cpは59、ミクロ構造は1,2構造0.9%、トランス−1,4構造0.9%、シス1,4構造98.2%であった。シス重合後、得られた重合生成液に、ポリイソプレン(IR)(ML=87、シス−1,4構造98%)からなる不飽和高分子物質を5質量%(得られるビニル・シスポリブタジエンゴムに対する百分率)加え、25℃で1時間攪拌を行った。その後直ちに重合液にトリエチルアルミニウム90mmol及びニ硫化炭素50mmolを加え、25℃で更に60分間攪拌し、1,2重合を行った。重合終了後、重合生成液を4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール1質量%を含むメタノール18Lに加えて、ゴム状重合体を析出沈殿させ、このゴム状重合体を分離し、メタノールで洗浄した後、常温で真空乾燥した。この様にして得られたビニル・シスポリブタジエンゴムの収率は80%であった。
窒素ガスで置換した内容30Lの攪拌機付ステンレス製反応槽中に、脱水シクロヘキサン18kgに1.3−ブタジエン1.6kgを溶解した溶液を入れ、コバルトオクトエート4mmol、ジエチルアルミニウムクロライド84mmol及び1,5−シクロオクタジエン70mmolを混入、25℃で30分間攪拌し、シス重合を行った。得られたポリマーのMLは33、T-cpは59、ミクロ構造は1,2構造0.9%、トランス−1,4構造0.9%、シス1,4構造98.2%であった。シス重合後、得られた重合生成液に、ポリイソプレン(IR)(ML=87、シス−1,4構造98%)からなる不飽和高分子物質を5質量%(得られるビニル・シスポリブタジエンゴムに対する百分率)加え、25℃で1時間攪拌を行った。その後直ちに重合液にトリエチルアルミニウム90mmol及びニ硫化炭素50mmolを加え、25℃で更に60分間攪拌し、1,2重合を行った。重合終了後、重合生成液を4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール1質量%を含むメタノール18Lに加えて、ゴム状重合体を析出沈殿させ、このゴム状重合体を分離し、メタノールで洗浄した後、常温で真空乾燥した。この様にして得られたビニル・シスポリブタジエンゴムの収率は80%であった。
Claims (5)
- (1)平均の単分散繊維結晶の短軸長が0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ平均の単分散繊維結晶数が10以上の短繊維状であり、かつ、融点が170℃以上であるシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶樹脂(以下、SPB樹脂と略)1〜50wt%、および、(2)シス−ポリブタジエンゴム100wt%からなる
(a)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100重量部に対して、
共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物。 - 該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムが、ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当り少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を含有することを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
- 該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムが、1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法であって、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことを特徴とした製造方法で製造されていることを特徴とする請求項1〜2に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
- 該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴムの製造方法において、前記不飽和高分子物質を1,2−ポリブタジエンの結晶繊維とシス−ポリブタジエンゴムの合計に対して0.01〜50質量%の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜3に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
- 該(a)ビニル・シスポリブタジエンゴム中の1,2−ポリブタジエンの短い繊維が、前記高分子物質の粒子に含有されずに前記マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中にも分散しており、該マトリックス中に分散している短い結晶繊維の長軸長が0.2〜1,000μmの範囲であり、かつ、該高分子物質の粒子中に分散している前記1,2−ポリブタジエンの短い結晶繊維の長軸長が0.01〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
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