JP2009030654A - 自動変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向にコンパクトに構成され、かつ簡単な油路でもって構成される自動変速機のクラッチユニットを提供する。
【解決手段】それぞれ油圧サーボ20、40及びキャンセル油室28、48を有する一方のクラッチC3と他方のクラッチC4とを、軸方向にオーバラップして径方向の異なる位置に配置する。他方のクラッチC4のクラッチドラム42と、一方のクラッチC3のクラッチドラム22との間に設けられた隙間Aは、一方のクラッチC3のキャンセル油室28への油路として設けられる。一方のクラッチの油圧サーボ20に、クラッチドラム22に形成された油孔b及び第2の隙間Bを介して油圧が供給される。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば車輌等に搭載される自動変速機に係り、詳しくは軸方向にオーバラップして半径方向の異なる位置に配置した2つのクラッチを備えた自動変速機に関する。
近時、車輌に搭載される自動変速機は、例えば前進8速段等の多段化が図られていると共に、車輌搭載性の観点から、多くの構成部品、例えばクラッチをコンパクトに配置することが求められている。
従来、入出力部材の一方を共通にして他方を異にする2つのクラッチを、軸方向にオーバラップして径方向の異なる位置に配置して、コンパクト化、特に軸方向のコンパクト化を図った自動変速機が提案されている(特許文献1参照)。上記2つのクラッチは、多板からなる摩擦板、これら摩擦板を操作する油圧サーボ、並びに油圧サーボの油圧室の遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室がそれぞれ軸方向にオーバラップして配置されている。
上記2個の油圧サーボ及びキャンセル油室は、タービンシャフトと一体のクラッチドラムに配置されており、上記2個の油圧サーボには、上記クラッチドラムのボス部に形成された油路を介してそれぞれ油圧が供給されている。また、上記2個のキャンセル油室の内の内径側のキャンセル油室には、クラッチドラムのボス部に形成された油孔を介して直接オイルが供給され、外径側のキャンセル油室には、上記内径側のキャンセル油室のオイルが、内径側のクラッチのピストンに設けた油路及び上記固定部材である内径側のクラッチドラムに形成された油路を介して供給されている。
特開平7−269665号公報
上記2つのクラッチは、油圧サーボ及びキャンセル油室への油圧(又はオイル)を供給する油路構造が複雑となり、特に外径側のキャンセル油室へのオイルの供給は、複雑な油路経路となって、外径側クラッチの切り時に油圧サーボの油圧を排出する際、外径側のキャンセル油室にオイルを素早く供給して、適時のクラッチタイミングを取ることに支障を生ずる虞がある。
また、上記外径側キャンセル油室への油路を形成するため、内径側のピストンに油圧サーボ用のOリングの外に、上記油路用Oリングを介在する必要があり、更なる軸方向の短縮化の障害となってしまう。
そこで、本発明は、コンパクト、特に軸方向にコンパクトな構成でもって、外径側のキャンセル油室に素早く必要量のオイルを供給し得、もって上述した課題を解決した自動変速機を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は、軸方向にオーバラップしかつ径方向の異なる位置に配置される2つのクラッチ(C3、C4)を備え、前記2つのクラッチ(C3、C4)は、それぞれクラッチドラム(22、42)と、該クラッチドラム(22,42)の一部をシリンダとして油圧サーボ(20,40)を構成するピストン(24、44)と、前記クラッチドラムに係合する多数の摩擦板(21,41)と、前記ピストン(24,44)の背面側に配置されて前記油圧サーボ(20,40)に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室(28,48)と、を有してなる、自動変速機(1)において、
前記2つのクラッチ(C3、C4)のうちの外径側に位置する一方のクラッチ(C3)の前記油圧サーボ(20)及び前記キャンセル油室(28)は、内径側に位置する他方のクラッチ(C4)の前記油圧サーボ(40)及びキャンセル油室(48)に対してそれぞれ外径側に配置され、
前記一方のクラッチ(C3)のキャンセル油室(28)に、前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラム(42)と、前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)との間の隙間(A)を介してオイルが供給されてなる、
ことを特徴とする自動変速機にある。
請求項2に係る本発明は、
前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)に、前記隙間(A)に向けて突出する複数の突起(72)を配置すると共に、これら突起内に、前記一方のクラッチの油圧サーボ(20)に油圧を給排する油路(b)を形成し、
前記突起を有さない前記隙間部分が、前記他方のクラッチのクラッチドラム(42)と前記一方のクラッチのクラッチドラム(22)との間に空間部分(A’)を形成してなる、
請求項1記載の自動変速機にある。
請求項3に係る本発明は、
前記空間部分(A’)に、前記一方のクラッチのキャンセル油室にオイルを供給又は排出する油孔(a)(e)を整列して配置してなる、
請求項2記載の自動変速機にある。
以下、好ましい発明の態様を示す。前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)は、その内径側に油路(b)を有すると共に、その外径側に面状に拡がる第2の隙間(B)を有し、該一方のクラッチ(C3)の油圧サーボ(20)に、前記油路(b)及び第2の隙間(B)を介して油圧が給排されてなる。
前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)は、内径側にて軸方向に延びるボス部(22c)と、外径側にて軸方向に延びるドラム部(22a)と、前記ボス部(22c)と前記ドラム部(22a)との間を連結する底部(22b)と、該底部(22b)の中間において前記ボス部(22c)及び前記ドラム部(22a)と同方向に短く延びる鍔部(22d)と、を有し、
前記鍔部(22d)の外周面と前記ドラム部(22a)とに油密状に嵌合して前記ピストン(24)が配置され、
前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラム(42)が、前記鍔部(22d)の内周面とスプライン係合(54)すると共に前記ボス部(22c)にスナップリング(50)にて抜止め係合されて、前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)に回転方向及び軸方向一体に連結されてなる。
前記一方のクラッチ(C3)のキャンセル油室(28)を構成するキャンセルプレート(25)は、前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラム(42)に段差部(53)にて係合して、該キャンセル油室(28)の油圧作用方向に対して抜止め配置され、
前記他方のクラッチ(C4)のキャンセル油室(48)を構成するキャンセルプレート(45)は、前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22)のボス部(22c)にスナップリング(30)にて該キャンセル油室(48)の油圧作用方向に対して抜止め配置され、
前記一方のクラッチ(C3)のキャンセル油室(28)に配置されるリターンスプリング(26)の取付荷重(ピストン(24)が作動してなくリターンスプリング(26)が縮んでいないときの荷重)が、前記他方のクラッチ(C4)のキャンセル油室(48)に配置されるリターンスプリング(46)の作動荷重(ピストン(44)が作動してリターンスプリング(46)が縮んだ状態の荷重)に比して強い付勢力を有してなる。
駆動源からの入力回転が入力される入力軸(7)と、
ケースと一体の固定部材(6a)に対して回転固定された第1のサンギヤ(S1)と、前記入力軸に連結される第1のキャリヤ(CR1)と、それら回転固定された第1のサンギヤ(S1)及び入力回転が入力される前記第1のキャリヤ(CR1)によって減速回転を出力する第1のリングギヤ(R1)と、からなる減速プラネタリギヤ(DP)と、
第1のクラッチ(C1)の係合により前記第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力する第2のサンギヤ(S2)と、第3のクラッチ(C3)の係合により前記第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力し、かつ第4のクラッチ(C4)の係合により前記第1のキャリヤ(CR1)を介した前記入力軸の回転を入力し、かつ第1のブレーキ(B1)の係止により回転が固定される第3のサンギヤ(S3)と、前記第3のサンギヤ(S3)に噛合するロングピニオン(P3)及び前記第2のサンギヤ(S2)に噛合するショートピニオン(P4)を有し、第2のブレーキ(B2)の係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチ(C2)の係合により前記入力軸(7)の回転を入力する第2のキャリヤ(CR2)と、前記ロングピニオン(P3)に噛合すると共に、出力部材(8)に回転連結される第2のリングギヤ(R2)と、からなるプラネタリギヤセット(PU)と、を備え、
前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチ(C3)であり、
前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチ(C4)であり、
前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B2)を係止することにより前進1速段を、
前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、前記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前進2速段を、
前記第1のクラッチ(C1)と前記第3のクラッチ(C3)とを係合することにより前進3速段を、
前記第1のクラッチ(C1)と前記第4のクラッチ(C4)とを係合することにより前進4速段を、
前記第1のクラッチ(C1)と前記第2のクラッチ(C2)とを係合することにより前進5速段を、
前記第2のクラッチ(C2)と前記第4のクラッチ(C4)とを係合することにより前進6速段を、
前記第2のクラッチ(C2)と前記第3のクラッチ(C3)とを係合することにより前進7速段を、
前記第2のクラッチ(C2)を係合すると共に、前記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前進8速段を、
前記第3のクラッチ(C3)又は前記第4のクラッチ(C4)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B2)を係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる。
請求項1に係る本発明によると、軸方向にオーバラップし、かつ径方向の異なる位置に2つのクラッチを配置することによって、クラッチユニットひいては自動変速機を、軸方向にコンパクトに形成することができる。
また、外径側に位置するクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室を、内径側に位置するクラッチの油圧サーボ及びキャンセル油室に対してそれぞれ外径側に配置し、一方のクラッチのキャンセル油室に、一方のクラッチのクラッチドラムと他方のクラッチのクラッチドラムとの間の隙間を介してオイルを供給することにより、簡単な構成の油路で上記キャンセル油室に油を供給することが可能となり、外径側クラッチのキャンセル油室への油の供給が円滑になり、適時のクラッチタイミングを取ることが可能となる。
更に、上記キャンセル油室に、平面的に拡がる上記隙間によりオイルを供給するので、該オイルの供給用としてスペースが軸方向に短くて足り、クラッチの軸方向の更なる短縮化が可能となる。
請求項2に係る本発明によると、上記隙間に、軸方向に広がる空間部分を形成したので、外径側に位置するキャンセル油室に対して充分な遠心油圧を確実に作用して、一方のクラッチの油圧サーボの排出を素早く行うことができる。
請求項3に係る本発明によると、突起を有さない空間部分には、一方のクラッチのキャンセル油室へオイルを供給又は排出する油孔を整列させるように配置することにより、該一方のクラッチのキャンセル油室への通油断面積を増大させ、円滑に一方のクラッチのキャンセル油室にオイルを供給又は排出することができる。
更に、発明の態様について述べると、一方のクラッチのクラッチドラムの内径側に油路を設け、その外径側に面状に拡がる第2の隙間を有することによって、一方のクラッチの油圧サーボへの油圧の給排を、上記面上に拡がる第2の隙間を介して素早く行うことができると共に、他方のクラッチの油圧サーボと径方向にオーバラップするクラッチドラム部分を、上記第2の隙間により薄肉に構成して、軸方向の短縮化を図ることができる。
一方のクラッチのクラッチドラムと他方のクラッチのクラッチドラムとを別部材により構成して、その間の隙間にて一方のクラッチのキャンセル油室へのオイル供給路を構成したものでありながら、両クラッチドラムを、簡単でコンパクトな構造でもって回転方向及び軸方向に一体に連結することができる。
一方のクラッチのキャンセル油室を構成するキャンセルプレートを、他方のクラッチのクラッチドラムに段差部にて係合して、該キャンセル油室の油圧作用方向に対して抜止め配置し、他方のクラッチのキャンセル油室を構成するキャンセルプレートを、前記一方のクラッチのクラッチドラムのボス部にスナップリングにて該キャンセル油室の油圧作用方向に対して抜止め配置し、一方のクラッチのキャンセル油室に配置されるリターンスプリングが、前記他方のクラッチのキャンセル油室に配置されるリターンスプリングに比して強い付勢力を有することによって、キャンセル油室に遠心油圧が発生しない状態や他方のクラッチのピストンのストローク中に、他方のクラッチのクラッチドラムが油圧の反力を受ける場合などにおいても、一方のクラッチ側のリターンスプリングが両クラッチドラムをスナップリングにて位置決めされる所定位置に付勢保持して、両クラッチの隙間による上記油路を常に所定間隙に保持することができる。
前進8速段及び少なくとも後進1速段を達成する自動変速機にあって、コンパクト化、特に軸方向のコンパクト化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5に沿って説明する。
本発明に係る自動変速機は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ等の車輌に搭載されて好適な自動変速機であり、図1、図3及び図4中における左右方向が実際の車輌搭載状態における前後方向に対応するが、説明の便宜上、エンジン等の駆動源側である図中右側を「前方側」、図中左方側を「後方側」というものとする。
まず、本発明を適応し得る自動変速機1の概略構成について図1に沿って説明する。図1に示すように、FFタイプの自動変速機1は、ハウジングケースとミッションケースからなるケース6を備えており、該ケース6の前方側に、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機1としての入力部材(フロントカバー及びセンターピース)10を有している。また、該自動変速機1は、ロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2が配置されており、ケース6内に、変速機構3、カウンタシャフト部4、及びディファレンシャル部5が配置されている。
該トルクコンバータ2は、エンジン(不図示)の出力軸と同軸上である変速機構3の入力軸7を中心とした軸上に配置されている。また、カウンタシャフト部4が、入力軸7と平行な軸上であるカウンタシャフト12上に配置されており、ディファレンシャル部5は、該カウンタシャフト12と平行な軸上に左右車軸15,15を有する形で配置されている。
変速機構3には、上記入力軸7上において、プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPが備えられ、その後方側において、プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤセット)PUが備えられている。
上記プラネタリギヤDPは、第1のサンギヤS1、第1のキャリヤCR1、及び第1のリングギヤR1を備えており、該第1のキャリヤCR1に、第1のサンギヤS1に噛合するピニオンP2及び第1のリングギヤR1に噛合するピニオンP1を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
一方、プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素として、第2のサンギヤS2、第3のサンギヤS3、第2のキャリヤCR2及び第2のリングギヤR2を有し、該第2のキャリヤCR2に、第3のサンギヤS3及び第2のリングギヤR2に噛合するロングピニオンP3と、第2のサンギヤS2に噛合するショートピニオンP4とを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1は、ケース6に対して回転が固定されている。また、上記キャリヤCR1は、上記入力軸7に接続されて、該入力軸7の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4のクラッチC4に接続されている。更に、第1のリングギヤR1は、該固定された第1のサンギヤS1と該入力回転する第1のキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUの第3のサンギヤS3は、第1のブレーキB1に接続されてケース6に対して固定自在になっていると共に、上記第4のクラッチC4及び上記第3のクラッチC3に接続されて、第4のクラッチC4を介して上記第1のキャリヤCR1の入力回転が、第3のクラッチC3を介して上記第1にリングギヤR1の減速回転が、それぞれに入力自在となっている。また、上記第2のサンギヤS2は、第1のクラッチC1に接続されており、上記第1のリングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記第2のキャリヤCR2は、入力軸7の回転が入力される第2のクラッチC2に接続されて、該第2のクラッチC2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF1及び第2のブレーキB2に接続されて、該ワンウェイクラッチF1を介してケース6に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2のブレーキB2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記第2のリングギヤR2は、ケース6に固定されたセンターサポート部材に対して回転自在に支持されたカウンタギヤ8に接続されている。
また、上記カウンタギヤ8には、上記カウンタシャフト部4のカウンタシャフト12上に固定されている大径ギヤ11が噛合しており、該カウンタシャフト12には、外周面上に形成されている小径ギヤ12aを介してディファレンシャル部5のギヤ14が噛合している。そして、該ギヤ14は、ディファレンシャルギヤ13に固定されており、ディファレンシャルギヤ13を介して左右車軸15,15に接続されている。
つづいて、上記構成に基づき、変速機構3の作用について図1および図2に沿って説明する。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図2に示すように、第1のクラッチC1及びワンウェイクラッチF1が係合される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって、減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第2のキャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまり第2のキャリヤCR2の逆回転が防止されて固定された状態になる。すると、第2のサンギヤS2に入力された減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正回転がカウンタギヤ8から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2のブレーキB2を係止して第2のキャリヤCR2を固定し、該第2のキャリヤCR2の正回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF1により第2のキャリヤCR2の逆回転を防止し、かつ正回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2nd)では、第1のクラッチC1が係合され、第1のブレーキB1が係止される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第1のブレーキB1の係止により第3のサンギヤS3の回転が固定される。すると、第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも低回転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進2速段として正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進3速段(3rd)では、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3が係合される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が第1のクラッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第3のクラッチC3の係合により第1のリングギヤR1の減速回転が第3のサンギヤS3に入力される。つまり、第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2に第1のリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPU減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転が第2のリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進4速段(4th)では、第1のクラッチC1及び第4のクラッチC4が係合される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第4のクラッチC4の係合により第1のキャリヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力される。すると、第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも高回転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進4段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進5速段(5th)では、第1のクラッチC1及び第2クラッチC2が係合される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第2のクラッチC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進4段より高い減速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進5段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進6速段(6th)では、第2のクラッチC2及び第4のクラッチC4が係合される。すると、第4のクラッチC4の係合により第3のサンギヤS3に第1のキャリヤCR1の入力回転が入力される。また、第2のクラッチC2の係合により第2キャリヤCR2に入力回転が入力される。つまり、第3のサンギヤS3及び第2のキャリヤCR2に入力回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが入力回転の直結状態となり、そのまま入力回転が第2のリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進7速段(7th)では、第2のクラッチC2及び第3クラッチC3が係合される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC3を介して第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のクラッチC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該第3のサンギヤS3に入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い減速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進7段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進8速段(8th)では、第2のクラッチC2が係合され、第1のブレーキB1が係止される。すると、第2のクラッチC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、第1のブレーキB1の係止により第3のサンギヤS3の回転が固定される。すると、固定された第3のサンギヤS3により第2のキャリヤCR2の入力回転が上記前進7段高い増速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進8速段として正回転がカウンタギヤ8から出力される。
後進1速段(Rev1)では、第3のクラッチC3が係合され、第2のブレーキB2が係止される。すると、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC3を介して第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のブレーキB2の係止により第2のキャリヤCR2の回転が固定される。すると、第3のサンギヤS3に入力された減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、後進1速段として逆転回転がカウンタギヤ8から出力される。
後進2速段(Rev2)では、第4のクラッチC4が係合され、第2のブレーキB2が係止される。すると、第4のクラッチC4の係合により第1のキャリヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のブレーキB2の係止により第2のキャリヤCR2の回転が固定される。すると、第3のサンギヤS3に入力された入力回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、後進2速段として逆転回転がカウンタギヤ8から出力される。
なお、例えば、P(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第3のクラッチC3及び第4のクラッチC4が、開放される。すると、第1のキャリヤCR1と第3のサンギヤS3との間、第1のリングギヤR1と、第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2との間、即ちプラネタリギヤDPと、プラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸7と第2のキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸7とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸7とカウンタギヤ8との動力伝達が切断状態となる。
つづいて、自動変速機1において、本発明の第1の実施例に係る第3の(一方の)クラッチC3、第4の(他方の)クラッチC4の構成を図3に沿って説明する。内径側に位置する第4のクラッチC4は、第3のクラッチC3に内包される形で二階建てに配設されている。即ち、第3のクラッチC3は、第4のクラッチC4の外径側にあって、軸方向にオーバラップし、かつ径方向の異なる位置に配置されている。
該第3のクラッチC3は、多数の外摩擦板21a、内摩擦板21bからなる多板摩擦板21と、これらの摩擦板21を断接させる油圧サーボ20と、該油圧サーボ20に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室28と、を備える。また、内径側に位置する第4のクラッチC4も同様に、多数の外摩擦板41a、内摩擦板41bからなる多板摩擦板41と、これらの摩擦板41を断接させる油圧サーボ40と、該油圧サーボ40に作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室48と、を備える。
上記第3のクラッチC3の油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材24、キャンセルプレート25、リターンスプリング26を有しており、これらにより、作動油室27を構成していると共に、その背面にキャンセル油室28を構成している。クラッチドラム22は、ボス部22c及びピストン支持部22eを構成するインナドラム(内周側部材)22と、ドラム部22a及び底部22bを構成するアウタドラム(外周側部材)22とが、溶接等により一体に形成されており、ドラム部22aは、外周側を第1のクラッチC1(不図示)後方まで延び、ボス部22cは、ブッシュ55を介してステータシャフト(固定部材)6aに回転自在に支持されている。また、該ボス22cとドラム部22aとは、底部22bにより連結されている。
クラッチドラム22の底部22bの中間部分には、ボス部22cから外径側に伸びたピストン支持部22eの外周に鍔部22dが形成され、該鍔部22dは、ドラム部22a及びボス部22cと同方向に短く延びている。また、鍔部22dは、外周面においてピストン部材24とOリング31を介して油密状に連結されており、かつその内周面において、後述する第4のクラッチC4のクラッチドラム42とスプライン係合54している。
ピストン部材24は、該鍔部22dと軸方向移動自在に係合されると共に、その外周面を、クラッチドラム22の内周面と、シール部材56を介して油密状に連結し、該ピストン部材24と、シリンダを形成するクラッチドラム22の内周面と、で前記作動油室27が構成される。また、ピストン部材24は、後方に向けて延設された延長部24aを備えており、該延長部24aが摩擦板21を押圧することにより第3のクラッチC3の断接が行われる。
一方、第4のクラッチC4のクラッチドラム42は、第3のクラッチC3のボス部22cにスナップリング50によって軸方向位置を規制されかつ、Oリング57を介して油密状に設けられている。また該クラッチドラム42は、第3のクラッチC3の鍔部22dとのスプライン係合部54後方において断面階段形状の段差部53を備えている。
第3のクラッチC3のキャンセルプレート25は、第4のクラッチC4のクラッチドラム44に設けられた該段差部53と係合し、その外周においてシール部材58を介してピストン24と油密状に設けられていると共に、内周部において第4のクラッチのクラッチドラム42にシール部材85を介して油密状に嵌合している。このキャンセルプレート25の外周面と、ピストン24の内周面とによって第3のクラッチの作動油室27に発生した遠心油圧と平衡する油圧を発生させる前記キャンセル油室28が構成される。また、キャンセルプレート25と、ピストン24との間にはリターンスプリング26が配設され、該ピストン24を常に前方へと付勢している。なお、該リターンスプリング26は、後述する第4のクラッチC4のキャンセル油室48に設けられたリターンスプリング46よりも付勢力の強いスプリングが使用されている。
上記第3のクラッチC3の作動油室27には、インナドラム22のピストン支持部22eと、アウタドラム22の底部22bと、の間に設けられた所定の隙間Bを介して、油孔bからの油が供給される。該隙間Bは、全周に亘り面状に拡がって設けられているため、軸方向に短い(狭い)スペースで通油孔に比して大きな通油断面積を有している。
また、第3のクラッチC3のキャンセル油室28には、第4のクラッチC4のクラッチドラム42と、第3のクラッチC3のインナドラム22におけるピストン支持部22e背面との間に設けられた隙間Aを介して、油孔aからの潤滑油が供給される構成となっている。隙間Aは、全周に亘り面状に拡がって設けられているため、両クラッチドラム22,42の軸方向間隔を狭く保持するもの(従って軸方向寸法の短縮化を図る)でありながら、通油孔を用いるものに比して大きな通油断面積を有している。なお、第4のクラッチC4のクラッチドラム42と、第3のクラッチC3の鍔部22eとの間に設けられたスプライン54には、欠歯が設けられており、上記油路の油の流れを妨げないように構成されている。
一方、上記第4のクラッチC4の油圧サーボ40は、上述したクラッチドラム42と、ピストン部材44、キャンセルプレート45及びリターンスプリング46を有しており、これらにより、作動油室47を構成していると共に、その背面にキャンセル油室48を構成している。
該ピストン44は、第3のクラッチC3のクラッチドラム22のボス部22cとシール部材59を介して油密状かつ軸方向移動可能に設けられていると共に、摩擦板41を押圧する延長部44aを備えており、該延長部44aの外周面と、クラッチドラム42の内周面と、がOリング51を介して油密状に係合している。
第4のクラッチC4の作動油室47は、ピストン44の外周面と、シリンダを形成するクラッチドラム42の内周面とによって構成され、該作動油室47には、油孔cによって油が供給される構成となっている。
また、第4のクラッチC4のキャンセルプレート45は、第3のクラッチドラム22のボス部22cの段付き部22fと、スナップリング30によって軸方向位置を規制されて設けられており、該キャンセルプレート45は、ピストン44の内周面とシール部材60を介して油密状に係合している。
第4のクラッチC4の作動油室47に発生する遠心油圧と平衡する油圧が発生するキャンセル油室48は、キャンセルプレート45の内側面と、ピストン44の背面とにより構成される。ピストン44とキャンセルプレート45との間にはリターンスプリング46が設けられており、ピストン44は、常に前方に向かって付勢される。また、このキャンセル油室48には油孔dによって潤滑油が供給される。
ついで、第3のクラッチC3の作動油室27及びキャンセル油室28への通油断面積を更に大きくした第2の実施の形態について、第1の実施の形態と相違する構成を中心に図4(a),(b),(c)及び図5に基づいて説明する。
上述したように、第3のクラッチC3の作動油室27には、油孔bから隙間Bを介して油が供給され、キャンセル油室28には、油孔aから隙間Aを介して潤滑油が供給されるよう構成されている。該隙間Bは、インナドラム22のアウタドラム22との対向面である外面71と、アウタドラム22の内面である内壁73との間に面状に広がった隙間であり、隙間Aは、インナドラム22の外面71の背面に位置する背面70と、第4のクラッチC4のクラッチドラム42の外側面との間に面状に広がった隙間である。該クラッチドラム42は、内径側部分が内径に向って後方に斜めに形成され、クラッチドラムのインナドラム22が後述する突起部72を除いて略々垂直に立上っていることが相俟って、前記隙間Aは、中心部(入力軸7方向)が軸方向に広い空間部分A’を有し、外径側が狭い隙間になっている。
上記インナドラム22の背面70には、その円周上の4箇所において、第4のクラッチC4に向けてリブ状の突起部72(突起)が突設されていると共に、その内部には上記作動油室27へと油を供給する油孔bが形成されている。該油孔bは、インナドラム22内を貫通し、外面71にて開口部bを形成している。なお、上記第1の実施の形態にあっては、図3の下半分に示すように、インナドラム22が肉厚に構成されているが、本実施例にあっては、図4(b)に示すように、全体として(突起部72以外)上記インナドラム22が薄肉となって、第4のクラッチのクラッチドラム42との間に空間部分A’が形成されている。また、上記突起部72は、4個に限らず、3個又は5個、更にはその他の数でもよい。
図4(a)に示すように、インナドラム22は、その内径側に形成されている円筒型のボス部22cにおいて、上記油孔bと、キャンセル油室28に潤滑油を供給する油孔a及びその排出孔eと、が周方向に位相を違えて位置している(なお、図4(b)において、両孔a,eが共に表記されているが、これは、作図上の便宜によるものであり、この部分は一部異なる断面を示す)。油孔bは、突起部72と同様にボス部22cの円周上の4箇所に配設されていると共に、該油孔bの間にて油孔aが排出孔eに左右を挟まれて配設されている。また、供給用の油孔a,bには、その内径側において油溜りa,bが周方向に大きく形成されている。
インナドラム22の外面71と対向するアウタドラム22の内壁73には、外面71に形成された油孔bの開口部bと対面して溝74が設けられており、該溝74は内壁73の面上を外径方向に向かって放射状に伸びている。また、溝74は、作動油室27まで隙間Bの全長に亘って細長い長方形状の凹部として形成されており、隙間Bの通油断面積を軸方向に拡がることなく大きくしていると共に、油孔bの開口部bから供給される油を素早くその円周方向に充満させている。
一方、インナドラム22の背面70のうち、突起部72が形成されていない面、即ち油孔a及び排出孔eと同位相に位置している面は、アウタドラム22側(Fr方向)に向かって凹んで形成されている。該背面70は、キャンセル油室28に潤滑油を供給する隙間Aを第4のクラッチC4のクラッチドラム42と共に構成しており、背面70を油孔a及び排出孔eにあわせて凹ませて形成することによって、該隙間Aの通油断面積を軸方向に拡げることなく大きく構成している。
また、第3のクラッチC3のクラッチドラム22は、そのインナドラム22の突起部72と、アウタドラム22の溝74とを円周上の同位相の位置に対応して配置し、インナドラム22の背面70の凹部と、内壁73の該溝74以外の部分とを円周上の同位相の位置に対応して配置しており、これにより全体として薄肉かつ高い剛性を有した構成となっている。
なお、第4のクラッチC4において作動油室47に油を供給する油孔c及びキャンセル油室48に潤滑油を供給する油孔dを円周方向に同位相又は位相を違えて配置して、上記作動油室47を構成するクラッチドラム42の内周面において第3のクラッチC3と同様に溝を外径方向に向かって放射状に形成してもよい。
ついで、第3のクラッチC3及び第4のクラッチC4の作用について以下に説明する。
第3のクラッチC3は、作動油室27に生じる油圧によってピストン24を軸方向に移動させ、摩擦板21を押圧することによって第3のクラッチC3の断接をする。該作動油室27には、不図示のオイルポンプによって発生した油圧に基づいた作動油が、クラッチドラム22に形成された油孔bから全周に亘り面状に設けられた隙間B及び溝74を通り供給される。
また、該作動油室27には遠心油圧が働くため、ピストン24を挟んで対向するキャンセル油室28に、油孔aから全周に亘り面状に設けられた隙間Aを介して潤滑油を供給し、該キャンセル油室28に遠心油圧を発生させ、作動油室27に発生した遠心油圧と平衡させている。
第4のクラッチC4も同様に、作動油室47に、油孔cよりオイルポンプ(不図示)に基づいた作動油を供給し、ピストン44を軸方向に移動させ、摩擦板41を押圧することによって第4のクラッチC4の断接をすると共に、キャンセル油室48に、油孔dより潤滑油を供給し、該キャンセル油室48に遠心油圧を発生させ、作動油室47に発生した遠心油圧と平衡させる。
従って、第3のクラッチC3が切断する際、作動油室27の圧油は上記隙間B、溝74及び油孔bを介してドレーンされるが、クラッチドラム22が回転しているため、作動油室27に遠心油圧が発生している。この際、ピストン部材24のその背面には、リターンスプリング26の付勢力及びキャンセル油室48のオイルに作用する遠心油圧が作用しており、ピストン部材24を上記作動油室27の遠心油圧に抗して急速に退入方向に移動し、これに伴いキャンセル油室28の容量が増大するが、上記両クラッチドラム22,42の隙間Aを通って素早くオイルが補給され、第3のクラッチC3の作動遅れを生じることはない。
以上説明したように、本発明に係る自動変速機1によると、第3のクラッチC3を第4のクラッチC4の外径側にあって、軸方向にオーバラップし、かつ径方向の異なる位置に配置することによって、クラッチユニット及び自動変速機を軸方向にコンパクトに構成することができると共に、第3のクラッチC3のクラッチドラム22の内径側に油路bを設け、その外径側において、該クラッチドラム22と、ピストン支持部22eとの間に面状に拡がる隙間Bを有することによって、第3のクラッチC3の油圧サーボ20への油圧の給排を素早く行うことが可能となる。また、隙間Bにおいて溝74を形成することにより、更に素早い第3のクラッチC3の油圧サーボ20への油圧の給排を行うこともできる。
更に、第3のクラッチC3のクラッチドラム22と、第4のクラッチC4のクラッチドラム42間に設けられた隙間Aを、第3のクラッチC3のキャンセル油室28へのオイル供給路として構成すると共に、上記隙間Bを作動油室27への油路として使用することによりクラッチドラム22を薄肉に構成したため、軸方向の短縮化が可能となる。この際、第3のクラッチC3に溝74や、インナドラム22の背面70を凹ましてを形成しても、該溝74及び外面70の凹部を円周方向の位相をずらして形成するため、第3のクラッチC3のクラッチドラム22は全体として高い剛性を保つことができる。
本自動変速機を模式的に示すスケルトン図。 本自動変速機の係合表。 第1の実施の形態に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図。 (a)Rr方向から見た第2の実施の形態に係るインナドラムの平面図。(b)第2の実施の形態に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図。(c)Fr方向から見た第2の実施の形態に係るインナドラムの平面図。 Rr方向から見た第2の実施の形態に係るアウタドラムの平面図。
符号の説明
1 自動変速機
6a 固定部材
7 入力軸
20 油圧サーボ
21 摩擦板
22 クラッチドラム
22 内周側部材(アウタドラム)
22 外周側部材(インナドラム)
22a ドラム部
22b 底部
22c ボス部
22d 鍔部
24 ピストン
25 キャンセルプレート
26 リターンスプリング
28 キャンセル油室
30 スナップリング
40 油圧サーボ
41 摩擦板
42 クラッチドラム
44 ピストン
46 リターンスプリング
48 キャンセル油室
54 スプライン係合(スプライン係合部)
72 突起(突起部)
74 溝(油路)
A 隙間
A’ 空間部分
B 隙間(油路)
a 油孔
b 油孔
開口部
c 油孔
C1 第1のクラッチ
C2 第2のクラッチ
C3 一方のクラッチ(第3のクラッチ)
C4 他方のクラッチ(第4のクラッチ)
PU プラネタリギヤセット
DP 減速プラネタリギヤ
S1 第1のサンギヤ
S2 第2のサンギヤ
S3 回転要素(第3のサンギヤ)
CR1 第1のキャリヤ
R1 第1のリングギヤ
R2 第2のリングギヤ
B1 第1のブレーキ
B2 第2のブレーキ
P3 ロングピニオン
P4 ショートピニオン

Claims (4)

  1. 軸方向にオーバラップしかつ径方向の異なる位置に配置される2つのクラッチを備え、前記2つのクラッチは、それぞれクラッチドラムと、該クラッチドラムの一部をシリンダとして油圧サーボを構成するピストンと、前記クラッチドラムに係合する多数の摩擦板と、前記ピストンの背面側に配置されて前記油圧サーボに作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室と、を有してなる、自動変速機において、
    前記2つのクラッチのうちの外径側に位置する一方のクラッチの前記油圧サーボ及び前記キャンセル油室は、内径側に位置する他方のクラッチの前記油圧サーボ及びキャンセル油室に対してそれぞれ外径側に配置され、
    前記一方のクラッチのキャンセル油室に、前記他方のクラッチのクラッチドラムと、前記一方のクラッチのクラッチドラムとの間の隙間を介してオイルが供給されてなる、
    ことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記一方のクラッチのクラッチドラムに、前記隙間に向けて突出する複数の突起を配置すると共に、これら突起内に、前記一方のクラッチの油圧サーボに油圧を給排する油路を形成し、
    前記突起を有さない前記隙間部分が、前記他方のクラッチのクラッチドラムと前記一方のクラッチのクラッチドラムとの間に空間部分を形成してなる、
    請求項1記載の自動変速機。
  3. 前記空間部分に、前記一方のクラッチのキャンセル油室にオイルを供給又は排出する油孔を整列して配置してなる、
    請求項2記載の自動変速機。
  4. 駆動源からの入力回転が入力される入力軸と、
    ケースと一体の固定部材に対して回転固定された第1のサンギヤと、前記入力軸に連結される第1のキャリヤと、それら回転固定された第1のサンギヤ及び入力回転が入力される前記第1のキャリヤによって減速回転を出力する第1のリングギヤと、からなる減速プラネタリギヤと、
    第1のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力する第2のサンギヤと、第3のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力し、かつ第4のクラッチの係合により前記第1のキャリヤを介した前記入力軸の回転を入力し、かつ第1のブレーキの係止により回転が固定される第3のサンギヤと、前記第3のサンギヤに噛合するロングピニオン及び前記第2のサンギヤに噛合するショートピニオンを有し、第2のブレーキの係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチの係合により前記入力軸の回転を入力する第2のキャリヤと、前記ロングピニオンに噛合すると共に、出力部材に回転連結される第2のリングギヤと、からなるプラネタリギヤセットと、を備え、
    前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチであり、
    前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチであり、
    前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより前進1速段を、
    前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進2速段を、
    前記第1のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進3速段を、
    前記第1のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進4速段を、
    前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとを係合することにより前進5速段を、
    前記第2のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進6速段を、
    前記第2のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進7速段を、
    前記第2のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進8速段を、
    前記第3のクラッチ又は前記第4のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機。
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