JP2009023933A - 含窒素有機珪素化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、非特許文献1に記載の1級アミノ基を有する化合物は、アミノエチルアリルエーテルを、トリエトキシシランを用いてシリル化させて得ているが、該反応では、得られる化合物の収率が非常に低いという問題もあった。特に、前述の親水性を示すオキシエチレン鎖の繰り返し単位を持つ化合物を得るために、出発物質としてアミノエタノールアリルエーテルを用いた場合には、目的とする化合物が全く得られないことが判明した。
J.L.Speierら、J.Org.Chem.1959年、24巻、119−120ページ J.L.Speierら、J.Org.Chem.1971年、36巻、3121−3126ページ
(1)一般式(1):
(2)エチレングリコールモノアリルエーテル又はポリエチレングリコールモノアリルエーテルを出発原料とし、アルコキシシランを用いてシリル化した後、アミノ基を導入することを特徴とする(1)記載の含窒素有機珪素化合物の製造方法。
(3)一般式(2)
(4)エチレングリコールモノアリルエーテル又はポリエチレングリコールモノアリルエーテルを出発原料とし、アルコキシシランを用いてシリル化した後、アミノ基を導入し、さらに該アミノ基に、後周期遷移金属と2座での錯形成可能なリン原子を2個有するビフェニル基、ビナフチル基、又はフェロセニル基を導入することを特徴とする(3)に記載の含窒素有機珪素化合物の製造法。
そして、本発明の製造方法によれば、これらの含窒素有機珪素化合物を収率よく製造することができる。
上記式中、R1及びR2は、それぞれが同一であっても、或いは異なっていてもよく、炭素原子数1〜15のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルオキシ基、又はアリールオキシ基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が挙げられる。
また、上記式中、R3は、後周期遷移金属と2座での錯形成可能なリン原子を2個有する、ビフェニル基、ビナフチル基、又はフェロセニル基であり、R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基である。ここで、後周期遷移金属とは、周期表第8族ないし第10族から選ばれる遷移金属を意味し、具体的には、Fe、Co、Pdなどの遷移金属が挙げられる。
さらに、nは1〜30、xは0〜2の整数であるが、原料入手の容易さからnは1〜5であることが好ましく、xはシランカップリング剤等の表面修飾剤として利用する場合には、その反応性から0〜2が好ましい。
H2NCH2CH2OCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
H2NCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)(OC2H5)2
H2NCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)2(OC2H5)
H2NCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
H2N CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)(OC2H5)2
H2N CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)2(OC2H5)
H2NCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
H2N CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)(OC2H5)2
H2N CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2Si(C2H5)2(OC2H5)
該合成反応の一例を、下記に示す。
本発明の含窒素有機珪素化合物により処理される基材としては、例えば、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、焼成シリカ、ヒュームド二酸化チタン、粉砕石英、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミの珪酸塩、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、マイカ等の無機質微粒子;ガラス繊維、ナイロン繊維、炭素繊維等の繊維基材;ガラス版、鋼板、鉄板、ステンレススチール板、アルミニウム板等の金属板が挙げられる。
1.実験装置
市販のガラス製フラスコ、還流コンデンサー、テフロンで被覆された撹拌子、オイルバス、マグネチックスターラーを使用した。
2.実施例、比較例で使用した原料、触媒等
(1)実施例、比較例で使用した原料、溶媒
エチレングリコールモノアリルエーテル(和光純薬工業(株)製、純度98%(GC))
ピリジン(和光純薬工業(株)製、純度99.5%(GC))
水素化カルシウム(和光純薬(株)製)
トシルクロリド(和光純薬(株)、純度97%(cGC))
トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン(信越化学工業(株)製)
アジ化ナトリウム(和光純薬(株)製、純度98%)
(2)実施例、比較例で使用した触媒
Karstedt触媒(Gelest製、ジビニルテトラメチルジシロキサンキシレン溶液、2.1〜2.4%白金濃度)
Pd/C触媒(和光純薬(株)製、パラジウム含量5wt%、商品名:パラジウム炭素)
〈トルエンスルホニルオキシエチルアリルエーテルの合成〉
滴下ロート、磁気撹拌子を備えた200ml二口丸底フラスコに窒素雰囲気下、2.5mlエチレングリコールモノアリルエーテル(23.4mmol)の25ml乾燥ピリジン(水素化カルシウム上で乾燥蒸留したもの)溶液を加え、アイスバス上で0℃にした。この溶液に5.4gのトシルクロリド(28.3mmol)の25mlの乾燥ピリジン溶液を滴下ロートから約10分間かけて滴下した。この反応混合物は滴下終了後0℃で16時間撹拌した後、100mlの氷水を加えて反応を終結させた。反応混合物に60mlのクロロホルムを加えて有機成分を抽出後、クロロホルム溶液分離、硫酸マグネシウム乾燥処理後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。得られた濃縮液はシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付され、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)による遊離液を濃縮乾燥し5.35g(89%)のトルエンスルホニルオキシエチルアリルエーテルを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.80 (m, 2H, C6H4), 7.34 (m, 2H, C6H4), 5.81 (ddt, 1H, J = 17.4, 10.3, 5.6 Hz, -CH=CH2), 5.22 (m, 1H, -CH=CHaHb), 5.16 (m, 1H, -CH=CHaHb), 4.17 (m, 2H, CH2OTs), 3.94 (m, 2H, OCH2CH=), 3.62 (m, 2H, OCH2CH2), 2.44 (s, 3H, CH3).
還流冷却器、ラバーセプタム、磁気撹拌子を備えた二口丸底フラスコに窒素雰囲気下2.56gのトルエンスルホニルオキシエチルアリルエーテル(9.99mmol)の16ml乾燥トルエン(ナトリウム−ベンゾフェノンケチルから蒸留)溶液を加えた。この溶液にKarstedt触媒のキシレン溶液を10滴加えた後、2.7mlのトリエトキシシランをシリンジを用いて約7分かけて滴下した。反応溶液は、36℃で約4時間加熱撹拌された後濃縮され薄茶色のオイルを得た。このオイルに25mlの乾燥DMFを加え、フラスコ内部を窒素置換し、1.3gのアジ化ナトリウム(20mmol)加え60℃で3時間加熱撹拌後バキュームトラップによりDMFを除去し25mlの塩化メチレンを加えセライト濾過した。濾液はシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付され2.27g(78%)の2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアジドを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 3.81 (q, 6H, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 3.60 (m, 2H, CH2N3), 3.45 (t, 2H, J = 6.7 Hz, OCH2CH2N3), 3.36 (t, 2H, J = 5.1 Hz, CH2CH2CH2O), 1.70 (m, 2H, CH2CH2CH2), 1.22 (t, 9H, J =7.0 Hz, OCH2CH3), 0.67 (m, 2H, CH2Si).
100mLのステンレススチール製オートクレーブに0.72gの2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアジドの20ml乾燥アセトニトリル(水素化カルシウム上で乾燥後蒸留精製)溶液と0.15gの5%Pd/Cを入れ、320kPaの水素圧力下、室温で5時間撹拌させた後、水素圧を解放し反応を終結させた。反応混合物からセライト濾過により触媒であるPd/Cを濾別後、濾液を濃縮し0.61g(92%)の2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミンを得た。
得られた生成物のプロトンNMRの以下の結果を図1に示す。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 3.81 (q, 6H, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 3.42 (m, 4H, CH2OCH2), 2.83 (t, 2H, J = 5.2 Hz, CH2NH2), 1.69 (m, 2H, CH2CH2CH2), 1.49 (br s, 2H, NH2), 1.21 (t, 9H, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 0.64 (m, 2H, CH2Si).
トリエトキシシランの代わりにメチルジエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い2−(3−メチルジエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミンを得た。
トリエトキシシランの代わりにジメチルエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い2−(3−ジメチルエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミンを得た。
得られた生成物のプロトンNMRの結果を図2に示す。
〈2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミノエチル−1´,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンの合成〉
還流コンデンサー、テフロン撹拌子を備えた50mlの二口丸底フラスコに0.32g(500mmol)の[1´,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアセテートと、1.49mg(5.61mmol)の実施例1で得られた2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミンと、9mlのメタノールを加え、窒素雰囲気下72℃で4時間加熱した。反応終了後、低沸成分を真空下除去し残査をシリカガルカラムクロマトグラフィーに付した。ヘキサン:酢酸エチル=1:1溜分から得られたフラクションを濃縮しワックス状の2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミノエチル−1´,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを得た。
得られた生成物のプロトンNMRの以下の結果を図3に示す。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz):7.50-7.44 (m, 2H, Ph), 7.34-7.17 (m, 18 H, Ph), 4.41 (br quintet, 2H), 4.13-4.10 (m, 1H, Cp), 4.09 (t, J = 2.6 Hz, 1H, Cp), 4.05-4.03 (m, 1H, Cp), 4.01-3.94 (m, 1H, CHCH3), 3.80 (q, 6H, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 3.63-3.60 (m, 2H, Cp), 3.10 (t, 2H, J = 7.1 Hz, OCH2 ), 2.86 (t, 2H, J = 6.2 Hz, OCH2), 2.47-2.37 (m, 2H, NCH2), 1.55-1.45 (m, 2H, CH2CH2Si), 1.36 (d, 3H, J = 6.6 Hz, CHCH3), 1.22 (t, 9H, J = 7.0 Hz, OCH2CH3), 0.54-0.49 (m, 2H, CH2Si). 31P{1H} NMR (CDCl3, 400 MHz): -16.5 (s), -24.4 (s).
還流冷却器、ラバーセプタム、磁気撹拌子を備えた二口丸底フラスコに窒素雰囲気下3.0gの2−アミノエチルアリルエーテル(29.2mmol)の30ml乾燥トルエン(ナトリウム−ベンゾフェノンケチルから蒸留)溶液を加えた。この溶液にKarstedt触媒のキシレン溶液を10滴加えた後、5.5mlのトリエトキシシラン(30mmol)を、シリンジを用いて約10分かけて滴下した。反応溶液は36℃で約4時間加熱撹拌された後、濃縮し得られた残査をNMRにより解析したところ、生成物は目的の2−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)エチルアミンではなく、還元生成物の2−アミノエチルプロピルエーテルであった。
アミノエタノールアリルエーテルの代わりにN−Bocアミノエタノールアリルエーテルを用いた以外は比較例1と同様の操作を行ったところ、比較例1と同様に、生成物はN−Bocアミノエチルプロピルエーテルであった。
Claims (4)
- エチレングリコールモノアリルエーテル又はポリエチレングリコールモノアリルエーテルを出発原料とし、アルコキシシランを用いてシリル化した後、アミノ基を導入することを特徴とする請求項1に記載の含窒素有機珪素化合物の製造方法。
- エチレングリコールモノアリルエーテル又はポリエチレングリコールモノアリルエーテルを出発原料とし、アルコキシシランを用いてシリル化した後、アミノ基を導入し、さらに該アミノ基に、後周期遷移金属と2座での錯形成可能なリン原子を2個有するビフェニル基、ビナフチル基、又はフェロセニル基を導入することを特徴とする請求項3に記載の含窒素有機珪素化合物の製造法。
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