JP2009017777A - 電気モータ／発電機の鋳造溝冷却機構 - Google Patents

Abstract

【課題】電気モータ／発電機の鋳造溝冷却機構を提供する。
【解決手段】電気モータ／発電機の冷却機構が提供される。この冷却機構は同軸の内面および外面を有する中空の冷却ジャケットを含み、この中空の冷却ジャケットにおいて、内面は、その内面と伝熱接触するステータを受け入れるための略円筒状のキャビティを画定し、外面は、曲折した冷却流路を備えた鋳造らせん溝部分を有する。本発明は外側ケースを含んでおり、この外側ケースは、１つ以上の流入ポートと、１つの流出ポートと、空気パージ用の１つの空気抜きと、冷却ジャケットをこの外側ケースにボルト結合するための外側ケースの一方の端部におけるフランジ付き端面とを有し、冷却ジャケットと外側ケースとの間に流れながら包み込まれた冷却流体が曲折した冷却流路を通って流れる。
【選択図】図２

Description

本発明は、全般的には電気機械用の冷却ジャケットに関し、具体的には、曲折した連続らせん溝を有する冷却ジャケットに関する。

冷却ジャケットは、高速運転されるブラシレス永久磁石モータのような電気モータ、および、燃料から動力供給されるエンジンによって駆動されて電気出力を発生する発電機に対するすぐれた冷却手段を提供する。電気モータおよび発電機は、相当量の熱を発生し、効率的な冷却システムを必要とする。モータおよび発電機は、モータ／発電機のハウジングの中に形成される溝または流路を備えた冷却ジャケットから構成される冷却手段を具備する場合が多い。溝または流路を通って循環するオイルまたは水、場合によっては空気が、モータおよび発電機を冷却する。

金属部品にらせん溝を機械加工するのが機械加工適用における一般的な実践方式である。ハウジングの中に機械加工されたらせん溝は、これらの構成要素から必要な熱を排除するのに良好に機能することを示してきたが、機械加工のらせん溝は、生産環境における切削に費用が掛かりすぎる。さらに、連続らせん溝の鋳造は、らせんのピッチに起因するネガティブ型の浮き出しのために、いくつかの平面に分割しない限り、その達成が容易でなく、また好ましくないが、これは大きな不利点である。平面をいくつかに分割することによって、多重の分割線の使用を余儀なくされるが、これは、より複雑な鋳造手順を必要とし、製造コストの増大を意味する。

バルジェス（Ｂｕｒｊｅｓ）らの特許文献１において、モータ／発電機冷却ジャケットの製作法が開示されている。中空の円筒状ハウジングは、外周表面および軸方向に面する環状の端面と、外周表面に形成される複数の溝と、一方の端部における半径方向の突起縁部とを備える形に鋳造される。特許文献１は、また、溝と連絡するために端面に穿孔された流入および流出ポートと、シール用の凹部およびシールとして組み込まれるＯリングとを教示している。しかし、この先行技術の方式は、簡単でしかも効果的かつ効率的な製造法を提供していない。

特に、特許文献１は、ハウジングにおける冷却ジャケット用の別個のコアを必要とする可能性がある。別個のコアは鋳造および他の製造コストを増大させるであろう。さらに、特許文献１の発明は非連続の流れの径路を教示しているが、これによって、冷却流体が１８０°方向転換して反対方向に流れる必要が生じることになる。この非連続の循環径路は、ステータを均等に冷却するには矛盾する非効率な手段となる可能性があると共に、流体の全径路にわたる所望より高い圧力低下を惹起する可能性がある低効率のシステムをもたらす恐れがある。

米国特許出願公開第２００５／０２６８４６４Ａ１号明細書

本発明は、上記の問題点の１つ以上を克服することを目的とする。

本発明は、１つの形態において、同軸の内面および外面を有する中空の冷却ジャケットを含む電気モータ／発電機の冷却機構を提供する。この中空の冷却ジャケットにおいて、内面は、その内面と伝熱接触するステータを受け入れるための略円筒状のキャビティを画定し、外面は、曲折した冷却流路を備えた鋳造らせん溝部分を有する。本発明は外側ケースを含んでおり、この外側ケースは、１つ以上の流入ポートと、１つの流出ポートと、空気パージ用の１つの空気抜きと、冷却ジャケットをこの外側ケースにボルト結合するための外側ケースの一方の端部におけるフランジ付き端面とを有し、冷却ジャケットと外側ケースとの間に流れながら包み込まれた冷却流体が曲折した冷却流路を通って流れる。

本発明の他の新規な特徴は、一部は明白であろうが、他の一部は以下に指摘する。

本発明は、先行技術の限界を克服する電気駆動モータまたは発電機の冷却装置を提供する。以下の詳細説明においては、同じ数字は、１つ以上の図において出現する類似の要素を指示するように用いられる。

図１は、本発明の実施形態の概略図である。電気モータ／発電機の冷却機構１０は、中空の冷却ジャケット２０と、外側ケース３０と、冷却流体と、シール用Ｏリングとから構成される。ケース３０は、１つ以上の流入ポート３２と、１つの流出ポート３４と、空気パージ用の空気抜き３６とを有する（最後の４つの付番号要素はこの図にはなく、図３に示されており、以下に詳述する）。

本発明の冷却ジャケット２０は、同軸の内面２２および外面２４を有する。内面２２は、例えばステータを受け入れるための略円筒状のキャビティを画定する。図１はジャケット２０を丸い円筒として表現しているが、多様な形体のジャケットハウジングが本発明の範囲内において考えられることに留意するべきである。

本発明の冷却ジャケット２０は鋳造法によって製造される。本発明の範囲内においては、鋳造を、金属またはプラスチックのような溶融材料を型の中に導入し、その型の内部で固形化させ、続いて押し出すかまたは取り出して製作部品とする任意の製造法を意味するものと理解する。鋳造法は、例えば固体材料からの削り出しのような他の方法による製作が困難または非経済的であるような複雑な形状の部品の製作に用いられる。当該技術分野で知られる鋳造法の種類としては、砂型鋳造法、ダイカスト法、永久型鋳造法、遠心鋳造法、連続鋳造法、その他同類のものが含まれる。

ここで図２を参照すると、本発明の冷却ジャケット２０が、外表面２４上の鋳造らせん溝部分５０から構成され、この鋳造らせん溝部分５０が、流体を、外側ケースによって作られる／封じ込められる流路溝（図示なし）を通して循環させる。冷却ジャケットのらせん溝部分５０は、さらに、（符号５４で指示される領域に示されるように）「曲折する」かまたは「段になっている」多数の冷却流路または流路溝５２から構成され、設計および部品寸法に適合する限り多くの曲折した冷却流路５２を可能にする。

鋳造らせん溝部分５０は、機械加工されるらせん溝部分よりは遥かにコスト面で効率的である。冷却溝部分５０全体は、冷却材の冷却性能を最適化するように設計される。換言すれば、個々の曲折した冷却流路５２の面積および長さは、冷却材が高温ステータから理想的な熱量を引き抜き得るように設計することができる。冷却溝の径路を長くすれば、冷却材がより長い時間冷却ジャケットと接触することが可能になるであろう。径路を短くすれば、冷却材が冷却ジャケットに対向する時間が少なくなるであろう。同様に、曲折した鋳造冷却流路５２の面積を調整することによって、冷却材の流体速度を調整できる。これらの特徴は、特定の冷却システムのための正しく設計される流体力学を可能にする。

さらに、本発明の冷却径路５０は、流体を連続する方向に循環し、流体に１８０°の方向転換を要求することは全くない（すなわち、流体は、流れの径路方向を逆転して反対方向に向かって戻ることを要求されない）。これによって、圧力低下を最小に維持することができる。冷却流体のこの連続循環は、さらに、ステータを均等に冷却する矛盾のない効率的な手段の提供を支援することができる（冷却径路５０に中間障害がないことは全周にわたって均等な冷却を意味するからである）。

曲折した鋳造冷却流路５２は、中間障害のない流体循環を可能にするだけでなく、コスト節減をも補助する。溝の部分を備えた冷却ジャケット２０を機械加工することは（らせん溝５０がなくても）非常にコストが掛かり、かつ機械加工時間も極端に長くなる。溝を部品の中に鋳造することによって、大量の機械加工および関連する所要時間がなくなり、しかも、有利な連続径路が提供される。前記のように、ネガティブ型の浮き出し問題のために、単一の分割線によって所望のらせん溝を鋳造することは不可能である。周知のように、各関連の溝角度の多重分割線なしには、型を部品から分離することができない。しかし、本発明の直線溝によって、ジャケット２０の鋳造が可能になり、ジャケットのらせん溝部分５０における曲折部５４によって、連続径路の形成と、単一の分割平面を維持することとが可能になる。

曲折した鋳造冷却流路５２によって、中間障害のない連続径路を同時に維持しながら、ジャケットの長さに沿って下る冷却径路の「移動」が可能になる。さらに、ざらざらした鋳造表面と共に、鋳造曲折部５４は乱流の生成を促進し、これは冷却性能を高めることができる。鋳造に続いて、冷却ジャケットの外面を機械加工して滑らかな一様な直径に仕上げることができる。

図３に示すように、ジャケット２０は、冷却流体の脱出を防ぐために、外側ケース３０でシールされる。外側ケースは、その対向両端部の一方にボルト締結用として設けられるフランジ３８と、流入ポート３２と、流出ポート３４と、空気抜きポート３６とを含む。冷却ジャケット２０は、外側ケース３０の中に、ジャケットの挿入移動量の最後の数ミリメートルまで滑り込ませ、次に、ケースの反対側の端部において僅かなプレス嵌めとなるように外側ケース３０の中に案内されることができる。冷却溝領域は、外側ケース３０に対してすきま嵌め（またはすべり嵌め公差）を維持し、前記の案内部分は、当該技術分野で理解されているように、冷却溝のＯリングに接する僅かなプレス体である。ボルトが、冷却ジャケット２０に結合される外側ケースを保持することができ、また、ボルトによって、円周方向の芯合わせがもたらされ、かつ、一方のみからの締結が可能になる。場合によっては、冷却ジャケット１０を、電気モータまたは発電機のステータが圧入される外側ケースの形に鋳造することができる。外側ケースは、金属のような比較的高い熱伝導率を有する材料から構成することができる。金属の外側ケースは効率的な伝熱が可能になる点が有利である。

使用においては、冷却材が、外側ケース３０の１つ以上の流入ポートから流入し、流出ポート３４を通ってジャケットから流出する前に前記の径路に沿って導かれる。１つの実施形態においては、オプションとして、外側ケース３０の反対側の端部に２つの流入口３２を配置することができる。この流入ポート３２の１つは外側ケースのフランジ３８端部に、もう１つは非フランジ側の端部に配置することができる。冷却流体は、第１の円周方向において１つの流入ポート３２から、第２の円周方向においてもう１つの流入ポート３２から、冷却溝領域５０の中心に向かって同時に流れ、流出ポート３４から流出する。流出ポートは２つの流入ポート３２の間に配置することができる。

空気パージ用の空気抜きは、流出ポート３４から１８０°離れた、冷却溝領域５０の中央部に配置することができる。冷却材がこれらの径路に沿って流れる時に、冷却材はステータハウジングまたは冷却ジャケット２０と外側ケース３０とに接触して、熱を取り除き、それによってステータを冷却する。熱の除去は、前記の曲折した冷却流路５２のために、特に効率的に行われる。

一部としての溝の鋳造法は、鋳造溝のない伝統的な従来技術のステータ冷却ジャケットの製作にすでに用いられているほとんどの鋳造法に適合するように構成される。従って、ここに開示された部品を鋳造するのに、異種の機械設備を設計または作り出す必要はなく、大きならせん溝を加工し得る特殊な機械を所有しないかもしれないより多くの供給業者が利用される可能性がある。

本明細書に記述した電気モータ／発電機の冷却機構は、閉じた冷却環境を必要とし、かつ空冷では不十分な任意の適用システムのモータおよび発電機用の冷却ジャケットとして用いることができる。本発明を、電気機械の特定の実施形態と関連付けて説明したが、多くの代替態様、修正態様および変形態様が、以上の説明を参照することによって当業者には明らかになるであろうことが理解される。

例えば、冷却ジャケットを、ジャケットを通る異なる流れ径路を設けるために、異なる個数または配置の溝、フィンおよび壁面を有するように変形することが可能であり、あるいは、図に示した部分の個数よりも多いまたは少ない平行部分を有することができる。さらに、流入および流出点を、流れの径路の数を変更するために変えることができる。１つの所与の適用事例に対して用いられる特定の構成は、寸法、伝熱要件および他の可能な因子によって変化するものである。このため、本発明は、添付の請求項の本質および範囲に含まれるそのような代替態様、修正態様および変形態様をすべて包含するように意図されている。

本発明の鋳造溝冷却ジャケットの例示的な実施形態の外観図である。 本発明の鋳造溝冷却ジャケットの例示的な実施形態の側面図である。 本発明の例示的な冷却機構の概略側面図である。

符号の説明

１０ 冷却機構
２０ 冷却ジャケット
２２ 内面
２４ 外面
３０ 外側ケース
３２ 流入ポート
３４ 流出ポート
３６ 空気抜き
３８ フランジ
５０ 冷却溝領域
５２ 冷却流路
５４ 曲折部

Claims (5)

1. 同軸の内面および外面を有する中空の冷却ジャケットと、
   １つ以上の流入ポート、１つの流出ポートおよび空気パージ用の１つの空気抜きを有する外側ケースと、
   前記冷却ジャケットを前記外側ケースにボルト結合するための、前記外側ケースの一方の端部におけるフランジ付き端面と、
   を含む電気モータ／発電機の冷却機構であって、
   前記内面は、前記内面と伝熱接触するステータを受け入れるための略円筒状のキャビティを画定し、
   前記外面は、曲折した冷却流路を備えた鋳造らせん溝部分を有し、
   前記冷却ジャケットと前記外側ケースとの間に包み込まれた冷却流体が前記曲折した冷却流路を通って流れる、冷却機構。
2. 前記流出ポートが、前記外側ケースの縦軸に沿って中心に配置される、請求項１に記載の冷却機構。
3. 前記１つ以上の流入ポートが、本質的に前記外側ケースの反対側の端部に配置される、請求項１に記載の冷却機構。
4. 前記冷却流体が、前記流入ポートの１つから流入して、第１円周方向において前記流出ポートに向かって流れ、一方、同時に、前記流入ポートの他方から流入して、第２円周方向において前記流出ポートに向かって流れる、請求項３に記載の冷却機構。
5. 前記冷却ジャケットの外面が機械加工されて滑らかな一様な直径に仕上げられる、請求項１に記載の冷却機構。

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