JP2009013513A - 新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプの配合割合が高い場合であっても、嵩高であり、かつ、低坪量であっても、印刷不透明度が高く、しかも印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙を提供すること。
【解決手段】古紙パルプを含むパルプと填料とを少なくとも構成成分とした基紙の表面に塗工液が塗工され、古紙パルプに更紙古紙由来の古紙パルプが用いられ、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合が50質量%以上であり、塗工液中に水溶性高分子化合物が含まれ、該水溶性高分子化合物が用紙表面に固形分で0.2〜5.0g/m2含有され、ISO 8791−4に記載の方法に準拠して測定した用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さが4.0〜5.5μmであり、正反射型平滑度計を用いて測定した用紙表面の正反射型平滑度が9〜14%であることを特徴とする、新聞用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、新聞用紙に関する。さらに詳しくは、例えば古紙パルプの配合割合が高い場合であっても、嵩高であり、かつ、低坪量であっても、印刷不透明度、印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙に関する。
従来より、木材資源の保護の観点から、古紙を一般印刷用紙のパルプ原料として用いることが指向されている。新聞用紙はリサイクルの優等生として、古紙パルプの配合率が比較的高い用紙でありながらも、更に古紙パルプの配合率を高める努力がなされている。
近年、新聞用紙は、このような環境保護に対応した古紙パルプ配合量の増加とともに、増頁に対応した用紙の軽量化が進む中、1時間あたり17〜20万部の速度で、コールドセット型インキを使用したオフセット輪転印刷にて印刷されており、このような高速輪転印刷に耐え得る印刷適性を満足し得ることが要求されている。
増頁に対応した用紙の軽量化、高速輪転印刷に耐え得る印刷適性を満足させる新聞用紙としては、例えば、メカニカルパルプ及び/又は脱墨古紙パルプを50%以上含有し、水溶性多価金属塩を含有した、少なくとも色材顔料と水を含んだ顔料インクを用いて記録する新聞印刷用インクジェット記録用紙(特許文献1参照)や、脱墨古紙パルプと機械パルプとを主成分とするパルプスラリーに炭酸カルシウムが所定量含まれ、該パルプスラリー中の炭酸カルシウム粒子表面に有機皮膜が形成された中性新聞用紙(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、新聞用紙は、元来リサイクルが繰り返された新聞古紙を主原料としているため、新聞用紙からなる古紙パルプは、幾度となく繰り返される再生処理により、得られる古紙パルプが脆くなるとともに、パルプ繊維同士の絡み合いに必要なフィブリルが少なくなっており、充分な嵩が得られないという問題や、混在するチラシ等の塗工紙類の量が増加傾向にあり、塗工紙に由来する原料パルプへの持込灰分の増加や合成樹脂類(例えばラテックス)による断紙の原因となる粘着異物が生じやすくなるという問題がある。また前記のごとき用紙の軽量化に伴う不透明度の低下を抑制するために填料の配合量を増加させたり、古紙由来の紙灰分が増加すると、嵩も低下するという問題も生じてしまう。
他方、近年の環境問題に対する取り組みで、古紙パルプの原料となる古紙回収の体系が整理され、各種古紙に対して、その原料構成に合わせた分別が進んでいる。このことから、従来は品質が一定した古紙の入手が困難であり、古紙の離解段階で一定品質の古紙パルプが得られるように古紙の配合を行っていたものが、品質が一定した古紙そのものを安定して使用可能になり、新聞用紙用の原料として活用することが可能となってきている。
特に更紙古紙は、従来多用されている新聞古紙と異なり、機械パルプの混入率が高く、例えば残本古紙として略同一品質の古紙を多量に一括使用することができるだけでなく、新聞古紙中に多く混入されているチラシ等の塗工紙類の量が極めて少なく、持ち込み灰分の問題、塗工紙所以の合成樹脂による問題の発現がない。さらに、新聞古紙利用における問題である古紙を縛る紐に起因するヒゲ状物等の軽量異物が混入する恐れがないことから、断紙が起こり難く、新聞用紙において極めて優良な古紙原料として注目されてきている。
しかしながら、前記のごとき利点を有する更紙古紙を原料とした更紙古紙パルプから、嵩高で不透明度が高い新聞用紙を得ることが可能であるものの、更紙古紙には、ホットメルト等からなる背糊が含まれていたり、剛直な機械パルプを多く含有するため、軽量でありながら高速輪転印刷に耐え得る印刷適性を併有するといった、新聞用紙としての近年の要求を満足し得る紙質を得ようとすると、従来の古紙処理方法の踏襲では、やはり嵩が出ない、印刷適性が劣るという問題が生じる。
特開2003−326844号公報 特開2006−124885号公報
本発明は、前記背景技術に鑑みてなされたものであり、例えば古紙パルプの配合割合が高い場合であっても、嵩高であり、かつ、低坪量であっても、印刷不透明度及び印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙を提供することを目的とする。
本発明は、
古紙パルプを含むパルプと填料とを少なくとも構成成分とした基紙の表面に、塗工液が塗工された新聞用紙であって、
前記古紙パルプに更紙古紙由来の古紙パルプが用いられ、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合が50質量%以上であり、
前記塗工液中に水溶性高分子化合物が含まれ、該水溶性高分子化合物が、用紙表面に固形分で0.2〜5.0g/m2含有され、
ISO 8791−4に記載の方法に準拠し、ソフトラバー製パッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaの条件で測定した用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さが4.0〜5.5μmであり、
正反射型平滑度計を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で測定した用紙表面の正反射型平滑度が9〜14%である
ことを特徴とする、新聞用紙
に関する。
本発明によれば、例えば古紙パルプの配合割合が高い場合であっても、近年の要求を満足し得る嵩高であり、かつ、35〜50g/m2といった低坪量であっても、印刷不透明度、インキ濃度、インキセット性、インキ着肉性等が高く、またインキ吸収ムラがない等、印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙が提供される。
(実施の形態)
本発明の新聞用紙は、古紙パルプを含むパルプと填料とを少なくとも構成成分とした基紙の表面に、塗工液が塗工されたものであり、古紙パルプには更紙古紙由来の古紙パルプ(以下、更紙古紙パルプという)が含まれ、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合が50質量%以上であり、また塗工液中には水溶性高分子化合物が含まれ、該水溶性高分子化合物が、用紙表面に特定量含有されている。
まず、本発明に用いられるパルプについて説明する。本発明の新聞用紙の基紙を構成するパルプには、古紙パルプが含まれ、該古紙パルプには更紙古紙パルプが含まれている。
このように古紙パルプを配合することは、環境保全の面から好ましく、新聞用紙においても、資源の有効利用という観点から、近年特に古紙パルプの利用、高配合化が求められている。ところが一方、古紙パルプの配合割合が高くなると、特に、新聞用紙の原料として、新聞古紙由来の古紙パルプを多用した場合、前記したように、幾度となく再利用された新聞用紙由来の古紙パルプは脆く劣化しており、パルプ繊維同士の絡み合いに必要なフィブリルが少なく、充分な品質が得られ難い。
特に古紙パルプの中でも、新聞用紙由来の古紙パルプを使用すると、ヒゲ状物等の軽量異物が混入する恐れ多く断紙が起こり易いため、近年の高速オフセット輪転印刷を用いる場合は、操業性の低下を招くため、早急な改善が必要になっている。
ところが本発明では、後述するように、基紙表面に塗工する塗工液に水溶性高分子化合物が含まれ、該水溶性高分子化合物が用紙表面に所定量含有され、かつ、ISO 8791−4に記載の方法に準拠し、ソフトラバー製パッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaの条件で測定した用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さが4.0〜5.5μmであり、かつ、正反射型平滑度計を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で測定した用紙表面の正反射型平滑度が9〜14%であるので、基紙に更紙古紙パルプが含まれているにもかかわらず、特にパルプ全量の20質量%以上、好適には25〜100質量%、さらに好適には30〜100質量%と多量に更紙古紙パルプが含まれている場合であっても、本発明の新聞用紙は、印刷適性を確保しながら、嵩高であり、かつ、印刷不透明度も高い。
本発明に用いられる更紙古紙パルプは、更紙古紙を主原料とする。なお、本明細書において、更紙古紙とは、従来の古紙分類では、JIS P 0001「紙・板紙及びパルプ用語」に記載の番号6012「印刷用紙D」(定義:化学パルプ40%未満配合の非塗工印刷用紙)、又は財団法人古紙再生促進センターによる「古紙標準品質規格表」に記載の「中白」「別上切り」等の分類に含まれる古紙のことをいい、その多くは残本古紙として、出版社等から他の古紙との混在を生じずに、安定した古紙原料として集荷され、再生される物であり、新聞古紙と異なり、機械パルプの混入率が高く、灰分が少なく、新聞古紙中に多く混入されているチラシ等の塗工紙類の量が極めて少ない他、断紙の原因となるヒゲ状異物の混入も少ないといった特徴を有する。
更紙古紙パルプを原料として使用する本発明の新聞用紙は、ISO 8791−4「紙及び板紙−粗さ平滑度試験方法(空気漏洩法)−第4部:プリントサーフ法」に記載の方法に準拠し、ソフトラバー製パッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaの条件で測定した用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さ(以下、PPSという)が4.0μm以上、好ましくは4.1μm以上で、5.5μm以下、好ましくは5.4μm以下となるように、かつ、正反射型平滑度計を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で測定した用紙表面の正反射型平滑度が9%以上、好ましくは9.5%以上で、14%以下、好ましくは13.5%以下となるように、製造することが好ましい。
PPS及び正反射型平滑度は、共に新聞用紙の表面性を数値評価する指標であるが、本件発明のように、機械パルプが高配合され、嵩高な新聞用紙の平坦性を評価するには、新聞用紙表面への印刷適性評価において、網点と同等な微視的領域における平坦性を評価することができるPPSと、紙表面を比較的広範囲に嵩高さによるクッション性を考慮した正反射型平滑度との両者の評価値を満足することが必要である。
PPS及び正反射型平滑度の調整手法としては、従来より、例えばソフトカレンダーやスーパーカレンダー、マシンカレンダーを用いて新聞用紙表面を物理的に平坦化処理する方法や、紙中に含有させる填料の割合を調整する方法等が考えられるが、何れの方法も結果として用紙表面に物理的な処理を施す方法のため、これらを単独で又は組み合わせたとしても、嵩高性を維持したまま、充分な平坦性を得るのは困難であり、近年の低坪量化においてはその悪影響は顕著なものになってきている。
しかしながら、本発明者らは、従来の用紙表面への物理的な処理ではなく、後述する条件にて、原料パルプに離解処理、叩解処理を施すことが、近年の低坪量化における、新聞用紙表面の平坦性と嵩高性とを同時に確保するうえで好ましいことを見出している。
PPSとは、約50μmの狭い間隔を隔てた領域における紙表面の凹凸(平坦性)を測定するものであり、一方、正反射型平滑度とは、一定の圧力下、測定時間で、比較的広い範囲の用紙表面を光学的な反射量で用紙表面の平坦性を測定するものである。したがって、比較的剛直な、機械パルプが多用されている更紙古紙由来の古紙パルプを使用した新聞用紙の表面性を評価・調整するに置いての指標として有用であり、用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さ(以下、PPSという)が4.0μm以上、好ましくは4.1μm以上で、5.5μm以下、好ましくは5.4μm以下となるように、かつ、正反射型平滑度計を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で測定した用紙表面の正反射型平滑度が9%以上、好ましくは9.5%以上で、14%以下、好ましくは13.5%以下となるように新聞用紙を製造することで、更紙古紙由来の古紙パルプを使用しても活字の精細な印刷が可能であり、写真やデザイン部位における見栄えを確保しながら、1時間あたり17〜20万部の速度で、コールドセット型インキを使用した高速オフセット輪転印刷に耐え得る印刷適性を満足し得る品質を特定するうえで、両者を満足させることができる。
PPS及び正反射型平滑度は、古紙の古紙パルプ化処理工程における離解処理、例えば粘状叩解等の叩解処理や、基紙の表面に塗工する塗工液の組成(例えば水溶性高分子化合物の種類)、塗工量、内添する填料の種類、添加量等を単独、又は組合せることで随時調整することができる。
PPSが4.0μm未満では、嵩が出難く、不透明度に劣るという問題が生じる。逆にPPSが5.5μmを超えると、インキセット性が悪化するという問題が生じる。
また正反射型平滑度が9%未満では、インキ着肉性の低下、インキ吸収ムラの発生等、印刷適性が劣るという問題が生じる。逆に正反射型平滑度が14%を超えると、前記PPSと同様に、インキセット性が悪化するという問題が生じる。
更紙古紙パルプを得る際の原料は、更紙古紙由来の古紙成分が主成分として含まれ、さらには通常機械パルプが含まれた古紙原料である。なお本発明において、該機械パルプは、基紙の全原料(古紙パルプ、機械パルプや他のパルプ等のパルプ、後述する填料といった、基紙を得る際に用いる全原料)中の含有割合が50質量%以上であり、該含有割合は、勿論、更紙古紙パルプ等の古紙パルプを得る際の古紙原料中の機械パルプの量も含めて算出したものである。
本発明において、更紙古紙パルプを得るには、前記古紙原料を、離解濃度15%以上、さらには16%以上の高濃度で、離解温度50℃以下、さらには40〜48℃の低温で離解することが好ましい。離解濃度が15%未満では、離解に伴う高い剪断力により更紙古紙の劣化が進行し、また50℃を超える離解温度では、背糊等の異物の微細化を招く恐れがある。該離解濃度は22%以下、さらには21%以下が好ましい。離解濃度22%を超える高濃度では、原料粘度が高くなるため離解が進行し難く、離解処理に長時間、多大なエネルギーを消費する恐れがある。
離解した古紙パルプは粘状叩解することが好ましく、このときの条件は、例えば100℃以下、さらには80〜90℃の温度で、消費電力が50kwh/tを超えることが好ましく、さらには60kwh/t以上、特に75kwh/t以上であることが、生産効率や省エネルギーの面で好適である。逆に120kwh/tを超えると、負荷を上げることで繊維をカッティングする結果となり、エネルギー面でマイナスとなるばかりか、パルプ品質でもマイナス面が大きくなる傾向がある。また100℃以下の温度で粘状叩解処理することによって、繊維のカッティングが生じるリスクを低減させながら、パルプ繊維の内部フィブリルを得ることができる。
更紙古紙を古紙パルプ化するにあたり、本発明者らが見出した特徴の1つとして、離解温度50℃以下、さらには40〜48℃の低温で離解することにより、本発明における前記離解工程後の選別工程で、微細化されていない背糊等の異物を系外に排出することが可能になり、粘状叩解にて古紙パルプを粘状叩解することで、外部フィブリル、内部フィブリルを得ることが可能になり、このような更紙古紙パルプを原料とすると、さらに嵩高で、不透明度が向上した新聞用紙を得ることができる。
本発明においては、粘状叩解に先立ち、あらかじめパルパーで離解した前記古紙パルプを脱水濃縮後、公知のPFIミル等の叩解機や、ディスパーザー、ニーダー等の混練装置を用いて混練処理を行うことが好ましい。混練時のパルプ濃度は、濃縮装置あるいは混練装置の性能が許す範囲でできる限り高い方が好ましく、かかる混練処理によって、内添する填料や塗工液中の顔料といった凝集灰分の細片化を充分に進行させるためには、該パルプ濃度が20質量%以上、さらには25〜35質量%程度であることが好ましい。
また混練時には、古紙パルプのカナディアンスタンダードフリーネス(以下、CSFという)をできる限り低下させないようにすることが望ましい。古紙パルプのCSFが低下し過ぎると、次の分級工程における操業性が低下するばかりでなく、さらにその後に行われる粘状叩解処理での叩解しろが減少する恐れがある。
本発明において、粘状叩解は、例えば前記混練処理後の古紙パルプを、2〜5%の叩解濃度で叩解処理することが好ましい。該古紙パルプの叩解濃度が2%未満では、叩解効果で求める内部フィブリル化、外部フィブリル化が充分に進行せず、パルプ繊維のカッティングが生じるため、品質が一定し難くなるとともに、充分な嵩高さが得られ難くなる場合がある。逆に古紙パルプの叩解濃度が5%を超えると、叩解時の消費電力量が多くなり、費用対効果が低下するため好ましくない。古紙パルプの最適な叩解濃度は2〜4%であり、叩解時の消費電力は70〜100kwh/tの範囲が好適で、約80kwh/t近傍で、最も嵩が高くなる。
粘状叩解処理には、例えば通常のディスクリファイナーを利用することができるが、該ディスクリファイナーがリファイナーの高速回転における遠心力により、一過性の粘状叩解処理に留まるのに対し、コニカル型ディスクリファイナーは、リファイナーの高速回転による遠心力で、叩解刃と叩解刃との間の溝で生じる原料の流動渦により、古紙パルプ繊維が繰り返し叩解刃で粘状叩解される頻度が増加し、粘状叩解が進行し易い。よって、この点からコニカル型ディスクリファイナーの採用が好適である。原料の流動渦を多く発生させるには、刃幅と溝幅とが「刃幅<溝幅」の関係にあり、従来の刃幅が2.0mm以上のリファイナーとは異なり、刃幅が1.5mm以下、さらには1.0mm以下で、溝幅が1.5mm以上であり、さらに刃幅の3倍以上の溝深さを有する回転刃及び/又は固定刃にて叩解処理を施すことが、更紙古紙の古紙パルプ化に好ましい。なお、最適な刃幅及び溝幅は、それぞれ1.3mm及び2.4mmである。このような条件のコニカル型ディスクリファイナーを用いた場合には、繊維が平坦で膨潤し難い新聞用紙古紙からなる古紙パルプであっても、内部フィブリル化が可能となり、このように処理した更紙古紙パルプを原料とすると、さらに嵩高で、不透明度が向上した新聞用紙を得ることができる。
例えば2%を下回る低い叩解濃度で古紙パルプを叩解すると、連続的かつ短時間で叩解処理が行われるため、繊維が叩解刃に接触する頻度が低下し、均一な叩解が行われ難いだけでなく、微細繊維が多く発生する原因となる。特に新聞用紙由来の古紙パルプは、少なくとも1度抄紙されてパルプ繊維中の水分が除去されているため、繊維が平坦で、パルパーで離解処理しても繊維が膨潤し難く、叩解時の繊維表面の剥離やカッティング(切断)により、嵩が出難く、微細繊維が多い古紙パルプとなる恐れがある。
前記したような粘状叩解効果は、パルプ繊維全体に対して均一に発現され、パルプ繊維の内部フィブリル及び外部フィブリルをともに促進させることができる。
さらに、粘状叩解工程の消費電力とパルプの叩解処理量とを適宜調整することで、繊維の劣化やさらなる扁平化を抑制しながら、異物の除去及び分散を図り、嵩高な新聞用紙原料の更紙古紙パルプを得ることができる。
例えば前記のごとく得られる更紙古紙パルプの他にも、古紙パルプとして、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等の中から、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明において、得られる新聞用紙の白紙不透明度を維持しながら、嵩高性を充分に付与するという点から、更紙古紙パルプの量は、パルプ全量の20質量%以上、さらには25〜100質量%、特に30〜100質量%であることが好ましい。
新聞用紙の基紙の構成成分であるパルプとして、本発明の目的を阻害しない限り、前記古紙パルプの他にも、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ;広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ等の、公知の種々のパルプがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択し、その割合を調整して使用することができる。
本発明においては、原料パルプとして、更紙古紙由来の古紙パルプを用いるが、嵩高性、印刷不透明度の確保や品質の安定化のために、機械パルプの量を、基紙の全原料(前記古紙パルプ、機械パルプや他のパルプ等のパルプ、後述する填料といった、基紙を得る際に用いる全原料)中の含有割合が50質量%以上、好ましくは52〜85質量%、より好ましくは54〜80質量%となるように調整する。
本発明の新聞用紙の基紙は、前記パルプとともに填料を少なくとも構成成分とする。
本発明に用いられる填料には特に限定がないが、剛直な機械パルプを多く含有する更紙古紙由来の古紙パルプや、繊維が平坦で、パルパーで離解処理しても繊維が膨潤し難く、叩解時の繊維表面の剥離やカッティング(切断)により、嵩が出難く、微細繊維が多い新聞古紙由来の古紙パルプに用いる場合は、カルサイト系炭酸カルシウムやアラゴナイト系炭酸カルシウムが毬栗状に凝集又結晶化した毬栗炭酸カルシウムや、後述する再生粒子凝集体が、このような古紙パルプとの化学的、物理的なパルプ繊維間での保持に有効であり、好適である。
前記毬栗炭酸カルシウムは、水酸化カルシウムに二酸化炭素含有気体を反応させ、例えば紡錘型や柱状の安定なカルサイト型結晶構造の炭酸カルシウムや、準安定なアラゴナイト型結晶構造の炭酸カルシウムを得る過程において、二酸化炭素含有気体の供給方法を調整したり、脱水、乾燥、熱処理を施す際に、例えば縮合リン酸あるいはその金属塩等の添加剤を添加することで紡錘型や柱状の結晶構造が凝集・結晶化して得られる。
カルサイト系炭酸カルシウムの場合には、カルサイトが他の結晶構造よりも安定であるので、天然にも石灰石として産出されている。また人工的には、例えば天然の石灰石を高温で酸化カルシウムと二酸化炭素とに分解し(不純物の除去作用あり)、酸化カルシウムを水に入れて水酸化カルシウムとした後(消和)、これに、下記反応式のごとく条件(温度、濃度、撹拌の程度)を制御しながら二酸化炭素を吹き込むことで、カルサイト系炭酸カルシウムを得ることができる。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2
またアラゴナイト系炭酸カルシウムの場合も、カルサイト系炭酸カルシウムの製法とほぼ同じであり、その生成時の反応条件を調整することにより、アラゴナイト系炭酸カルシウムを得ることができる。例えば下記反応式のごとく、苛性化反応槽で、消石灰と水とを用い、攪拌翼を取り付けた攪拌機で攪拌混合して石灰乳を調製し、炭酸ソーダの添加速度、添加時間、温度条件を適宜調整して苛性化反応をさせて得られる。
Na2CO3+CaO+H2O→CaCO3+2NaOH
本発明に用いられる毬栗炭酸カルシウムは、JIS K 5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠した吸油量が100〜150ml/100g、BET比表面積が5〜50m2/g、及び体積平均粒子径が1.0〜10.0μmであることが好ましい。
毬栗炭酸カルシウムの吸油量が100ml/100g未満であると、例えばコールドセット型オフセット印刷での白紙不透明度の低下や、滲みが大きくなる恐れがあり、一方150ml/100gを超えると、印刷インキ中のビヒクル成分が用紙内部に浸透し、優れた印刷濃度が得られ難くなる恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムの吸油量は、100ml/100g以上、さらには110ml/100g以上であることが好ましく、150ml/100g以下、さらには140ml/100g以下であることが好ましい。
また、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積が5m2/g未満であると、凝集構造における空隙が減少するため、インキ吸収性が低下する恐れがあり、一方50m2/gを超えると、填料分散液の希釈粘度が高くなって操業性が低下したり、印刷濃度が低下する恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積は、5m2/g以上、さらには10m2/g以上であることが好ましく、また50m2/g以下、さらには20m2/g以下であることが好ましい。
なお本明細書において、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積は、高速比表面積/細孔分布測定装置(型番:アサップ 2420、(株)島津製作所製)にて測定した値をいう。
また、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径が1.0μm未満であると、填料として添加した際に、用紙を構成するパルプ繊維間の空隙内部に入り込み易くなり、かかる毬栗炭酸カルシウムが有する、用紙構成を嵩高にする効果が発揮され難くなり、結果として印刷適性が低下する恐れがあり、一方10.0μmを超えると、パルプ繊維との接触面積が少なくなり、その結果、抄紙段階や印刷段階で紙粉が発生したり、印刷適性の低下が生じる恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径は、1.0μm以上、さらには1.8μm以上であることが好ましく、また10.0μm以下、さらには9.6μm以下であることが好ましい。
なお本明細書において、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径は、サンプル10mgをメタノール溶液8mlに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた分散溶液について、粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計、日機装(株)製)にて測定した値をいう。
さらに、毬栗炭酸カルシウムのアスペクト比(粒子の長径と短径との比(長径/短径))は、新聞用紙の不透明度及び印刷適性のさらなる向上の点から、3.5以下、さらには3.4以下であることが好ましく、また新聞用紙の品質低下を充分に抑制する点から、2.0〜3.3であることが好ましい。
本発明において、目的とする新聞用紙の印刷適性、印刷不透明度、白色度等を充分に向上させるためには、前記毬栗炭酸カルシウムは、填料中に、該填料全量の5質量%以上、さらには20質量%以上、特に40質量%以上含有されていることが好ましい。
本発明において、前記毬栗炭酸カルシウムとともに、再生粒子凝集体を填料として含有した場合には、用紙構造がさらに嵩高になり、新聞用紙にクッション性が付与され、例えばコールドセット型インキの着肉性がより向上するほか、白紙不透明度、印刷不透明度、印刷適性等がさらに向上する。
前記再生粒子凝集体としては、例えば、多孔質の凝集体構造を有し、構成成分にカチオン性を呈するアルミニウム成分を有するものが、更紙古紙パルプに対する付着性が高く、毬栗炭酸カルシウムとの併用によって、紙層中への歩留りや繊維間の間隙を生じさせ易く、嵩高でありながら紙質強度の低下を招き難い性状を示すという点から好ましい。
また、再生粒子凝集体単体の白色度は、通常新聞用紙の基紙中でその寄与が低いが、前記毬栗炭酸カルシウムと併用することで、結果として新聞用紙の白色度を適宜向上させることができる。
前記再生粒子凝集体としては、例えば、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経て得られ、焼成工程において、その粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分が含有されるように凝集させたものがあげられる。
例えばこのような再生粒子凝集体は、脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、主原料が古紙処理工程で生じる脱墨フロスであるので、安価であり、新たな天然無機鉱物の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。さらにこのような再生粒子凝集体を用いることで、抄紙時の灰分歩留りが高く、例えば一般的な炭酸カルシウムとは異なり、ワイヤー摩耗等の抄紙設備の摩耗劣化を来たすことがなく、さらに樹脂成分が微細な状態下で再生粒子凝集体に吸着することで、樹脂分の凝集によるピッチトラブルを防ぎ、抄紙設備汚れを殆ど起こさず、低コストかつ高い操業性で新聞用紙を製造することができる。しかも、前記毬栗炭酸カルシウムと併用することにより、従来と同等以上の優れた不透明度が新聞用紙に付与され、裏抜けや断紙も格段に少なくなる。
なお、前記再生粒子凝集体を製造する際には、後述するように、脱墨フロスの造粒工程、各工程間に設けられる分級工程等を経てもよい。また再生粒子凝集体の製造設備には、各種センサーを設け、被処理物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行うことが望ましい。以下の具体的説明で示す移送流路、給送流路、排送流路、循環流路、返送流路等の各種流路は、例えば管、ダクト等で構成することができる。
前記再生粒子凝集体の主原料は、例えば古紙から脱墨古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスである。特に古紙のリサイクル工程で排出される脱墨フロスが、製紙原料由来の材料からなり、鉄分やその他重金属等の不純物の混入が少ないので、好適である。そして、古紙再生工程では、あらかじめ古紙自体の選別を行うので、脱墨フロスは、その無機物の組成が経時的に安定したものであり、得られる再生粒子凝集体の組成も安定したものとなる。これら脱墨フロスには、無機物として例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が含有される。なお、本発明においては、かかる脱墨フロスを再生粒子凝集体の主原料とすることが望ましく、全原料における脱墨フロスの割合は、固形分として50質量%以上、さらには60質量%以上とすることが好ましい。
通常脱墨フロスは、例えばスクリーン等の脱水手段によって水分率が90〜97質量%程度となるように脱水し、さらにスクリュープレス等の脱水手段にて、水分率が50質量%以下、さらには25〜45質量%、特に30〜40質量%となるまで脱水することが好ましい。水分率が50質量%を超えると、次の乾燥工程での乾燥エネルギーコストが大きくなったり、乾燥後の粒度にバラツキが生じる原因となり、結果として均一な焼成が困難になる恐れがあるほか、一次焼成炉における処理温度の低下を招き、加熱時のエネルギーロスが多大になるとともに、原料の焼成ムラが生じ易くなり、均一な焼成を進め難くなる恐れがある。さらに、排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる場合がある。逆に水分率が25質量%未満となるまで脱水すると、脱水設備が大型化するとともに、脱水エネルギーコストが大きくなる恐れがある。
得られた脱水脱墨フロス(脱水物)は、あらかじめ乾燥される。乾燥手段としては、熱風乾燥等の公知の手段が使用可能であるが、脱墨フロスを乾燥させながらほぐすことが可能であり、さらに比重分級も可能な熱風乾燥手段を最も好適に使用することができる。
好適に使用することが可能な熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水物を、インペラ等のほぐし設備にて、4000μm以下、さらには300〜3000μm、特に500〜2000μmの体積平均粒子径となるようにほぐしながら、インペラ設備下方に設けた熱風吹出し手段にて熱風を吹き込み、熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された脱墨フロスのうち、比重の軽い脱墨フロスを、熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。なお、乾燥脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級手段を採用することもできる。
また乾燥・文級された脱墨フロス(乾燥物)の粒揃えは、粒子径の体積分布において5000μm以下の粒子が70質量%以上、さらには72質量%以上、特に80質量%以上となるように調整することが特に好ましい。このように、乾燥物を、粒子径が5000μm以下の粒子が70質量%以上となるように製造すると、得られる再生粒子凝集体の品質がより均一になり、実用化の可能性をさらに高めることができる。
前記熱風乾燥手段を採用する際の熱風の温度は、乾燥工程に供する脱水物の水分率や、目的とする乾燥物の水分率を考慮して適宜調整することが好ましいが、例えば100〜200℃程度とすることが好ましい。
かくして乾燥工程を経た乾燥物の水分率は、2〜20質量%程度、さらには5〜15質量%程度に調整されていることが好ましい。乾燥物の水分率が2質量%よりも低いと、次の焼成工程で過焼する恐れがあり、逆に20質量%よりも高いと、乾燥不足により、焼成を確実に行うことが困難となる恐れがある。
次に、乾燥・分級された脱墨フロスは、焼成工程に送られる。焼成は、例えばロータリーキルン、流動床炉、浮遊炉、ストーカ炉等、通常用いられている焼却炉を用いて行うことができ、中でも、熱風炉や電気炉による間接加熱による方法が、焼成温度コントロール、焼成度合いの微調整が容易であるという点から特に好適である。例えばロータリーキルンを用いた焼成においては、直接加熱による焼成や間接加熱による燃焼を、単独で、又は組み合わせて行うことができる。例えば、一次焼成炉による一次焼成を直接加熱キルン炉、特に内熱キルン炉で、二次焼成炉による二次焼成を間接加熱キルン炉、特に焼成温度の調整が容易に可能な外熱キルン炉で、各々行う方法を採用することができる。
焼成工程は、一段階焼成とすることもできるが、少なくとも二段階焼成とすることが好ましく、連続する設備により少なくとも二段階焼成とすることがより好ましい。焼成工程が少なくとも二段階であると、有機物の燃焼による焼成において焼成ムラが生じにくく、満遍なく焼成を進めることが可能になる。特に焼成工程における物理的手段を相違させることで、偏った焼成を避け、焼成速度の向上を図ることが可能である。
焼成温度は、脱墨フロス中のカーボンブラック等のインキ顔料や、繊維、ポリマー等の有機系化合物を燃焼し、その粒子中に、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分が含有されるように、かかる焼成工程において凝集された再生粒子凝集体が形成されるのに充分かつ安定した温度であればよく、特に限定されるものではない。
脱墨フロス中にシリカが含まれる場合には、シリカがカルシウム及びアルミニウムと反応し、硬度の高いケイ酸アルミニウムカルシウム等が生成する恐れがある。このような硬度の高い物質の生成を防止するために、例えば、500℃以下の温度で焼成することが検討されるが、このような条件では、有機化合物を完全燃焼させることが難しく、填料として有用なレベルの白色度を有する再生粒子凝集体を得ることが困難となる恐れがある。
一方、焼成温度が1000℃を超えると、脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等の無機物の分解及び焼結が進み、高硬度化するため、得られた再生粒子凝集体を所望の粒子径にまで粉砕するのに多大のエネルギーや時間を要する恐れがある。
このように、焼成温度は、製造される再生粒子凝集体の白色度、硬度に大きな影響力を有するので、焼成条件としては、一次焼成が500〜650℃で、二次焼成が550〜750℃で行われることが好ましく、一次焼成が530〜630℃で、二次焼成が600〜730℃で行われることがより好ましい。一次焼成温度が500℃未満である場合には、未燃物の残量が多く、再生粒子の凝集体形成が不充分であり、例えば得られる再生粒子凝集体の白色度が充分に向上しない恐れがある。逆に一次焼成温度が650℃を超える場合には、脱墨フロスに含まれる炭酸カルシウムの多くが熱分解し、再資源としての使用が難しい、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム等の高pH化要因物質が多く生じる恐れがあり、また得られる再生粒子凝集体に熱溶融が生じ、極めて硬くワイヤー摩耗性が低下する恐れがある。一方、二次焼成温度が550℃未満である場合には、有機物の燃焼が不充分になったり、焼成ムラが生じ、得られる再生粒子凝集体の白色度が向上しない恐れがある。逆に二次焼成温度が750℃を超える場合には、焼成されて凝集した再生粒子凝集体の表面が高温に晒され、溶融が生じて極めて硬い溶融物を形成する恐れや、再生粒子の表面の高温化による燃焼のため、酸素が再生粒子芯部にまで行き届き難く、焼成ムラや未焼成部位の発生が懸念されることがある。また、二次焼成温度を一次焼成温度よりも50〜120℃高くすることで、再生粒子凝集体の表面の過焼を防止しながら、未燃物を燃焼させることができる。
なお、勿論、二次焼成温度を一次焼成温度と同温度とすることもできる。二次焼成温度を一次焼成温度と同温度とする場合は、例えば530〜730℃とすると、緩慢に焼成が進行し、未燃物を減少させることができ、充分な白色度を有する再生粒子凝集体を得ることができる。なお、本実施形態において、一次焼成温度と二次焼成温度との温度差は、焼成炉内上端部の温度を基準とする。
焼成工程は、この工程内に空気を送風する手段及びこの工程内から空気を排気する手段の少なくともいずれか一方によって、焼成工程内酸素濃度が0.05%以上に、さらには0.1%以上に調節されることが好ましく、また20%以下に調節されることが好ましい。特に、この焼成工程内酸素濃度は、一次焼成炉内上端部で0.2〜20%に、さらに好ましくは1〜15%に、特に好ましくは5〜12%に調節されることが望ましく、二次焼成炉のバーナー近傍で5〜20%に、さらに好ましくは10〜20%に、特に好ましくは15〜18%に調節されることが望ましい。一次焼成炉内上端部での酸素濃度が0.2%未満であると、焼成が進まず、ムラのある焼成が進むだけでなく、焼成に膨大な時間とエネルギーコストとが必要になる恐れがある。他方、二次焼成炉のバーナー近傍での酸素濃度が20%を超えると、過焼しやすく、過焼ムラにより再生粒子凝集体が黄変化するととともに、再生粒子凝集体の溶融が多発して分解や酸化が進み、填料としての活用が困難になる場合がある。また、本実施形態においては、焼成工程に供給される、乾燥・分級された脱墨フロス(乾燥物)の水分率が、好ましくは2〜20質量%程度、より好ましくは5〜15質量%程度に調整されているため、焼成工程内酸素濃度を0.05〜20%とすると、極めて効率よく焼成を進行させることができ、焼成を90分間以内で行うことが可能になり、極めて高い生産性を得ることができる。例えば、乾燥物の水分率を10質量%とすることで、焼成を約60分間で行うことができる。
なお、焼成工程内の酸素は、焼成させるためのバーナー等によって消費され、焼成工程内酸素濃度が低下するが、空気等の酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度を維持、調節することが可能であり、さらに酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、焼成工程内の温度を細かく調節することが可能になり、再生粒子凝集体をムラなく万遍に焼成することができる。
焼成工程における滞留時間には特に限定がなく、前記焼成温度や焼成工程内酸素濃度等の条件に応じて、充分に焼成が行われるように調整すればよいが、例えば一次焼成炉内での滞留時間が30〜90分間、さらには40〜80分間、特に50〜70分間となるように、また二次焼成炉内での滞留時間が10〜60分間、さらには15〜45分間、特に20〜40分間となるように調整することが好ましい。
なお、一次焼成炉での焼成は、未燃率が5〜30質量%、さらには8〜25質量%、特に10〜20質量%となるように行うことが好ましい。一次焼成後の未燃率が5質量%未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じ、表面が硬くなるとともに、内部の酸素不足が生じ、再生粒子凝集体の白色度が低下する恐れがある。他方、一次焼成後の未燃率が30質量%を超えると、後の燃焼焼成後においても未燃分が残ったり、未燃分の自燃による過焼成により粒子が硬化したり、未燃分が残るのを防止するために粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子凝集体表面が硬くなる恐れがある。
前記焼成後の粒子は、粉砕工程にて適宜必要な粒径に微細粒化し、該粉砕工程後に微細粒子を凝集させることなく、填料として使用可能な再生粒子凝集体とすることができる。
例えば、焼成して得られた粒子を、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて粉砕し、目的とする再生粒子凝集体とすることができる。填料としては、粒径が均一化、微細化されていることが好ましく、粒子径の体積分布において20μm以下である凝集体の割合が70質量%以上であることが好ましい。
再生粒子凝集体について、さらなる品質の安定化を求める場合には、再生粒子凝集体の粒度を各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることが望ましい。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大造粒粒子や微小造粒粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。なお造粒には、通常の造粒設備を使用することができ、例えば回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
さらに、再生粒子凝集体以外の異物を除去することが好ましく、例えば脱墨古紙パルプの製造工程において、脱墨工程の前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で、砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分は、酸化することによって再生粒子凝集体の白色度を低下させる恐れがあるので、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが好ましい。各工程における設備を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入することを防止するとともに、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が80質量%以上、さらには90質量%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。またこれにより、レーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上とすることができる。さらには主原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60ml/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、再生粒子凝集体の分散性や新聞用紙の白紙不透明度を向上させることができる。
さらに本発明においては、填料である再生粒子凝集体として、前記のごとき工程を経て得られた再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体も好適に用いることができる。
表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体は、その表面が高い多孔性を有し、比表面積が飛躍的に高くなっているので、例えば前記のごとき古紙処理による叩解処理を施して得られる、外部フィブリル及び内部フィブリルを多く有する更紙古紙由来の古紙パルプ繊維、繊維間において化学的、物理的な付着性に優れ、印刷不透明度がさらに高く、しかも印刷適性により優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙を得ることができる。
前記再生粒子凝集体の表面にさらにシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、無機粒子の循環使用にも寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子凝集体を填料として用いた場合には、シリカが保有する不透明性とインキ吸収能の向上に寄与する多孔性の付与が可能になるとともに、新聞用紙を構成するパルプ繊維の間隙にシリカ被覆再生粒子凝集体が含有されると、パルプ繊維同士のズレが抑えられ、例えば平坦化処理において密度が上昇し過ぎるのを抑制することができる。さらにこのようなシリカ被覆再生粒子凝集体を填料として用いた場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりも、毬栗炭酸カルシウムとの併用において、得られる新聞用紙の白色度、白紙不透明度、表面強度、インキ乾燥性等の向上、インキ吸収ムラの抑制、嵩高の付与といった効果をより向上させることができる。
なお、本実施形態に用いられる古紙処理工程にて生じる脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子凝集体中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子凝集体を填料として用いると、得られる新聞用紙の白紙不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体は、製紙用途の再生粒子としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子凝集体を填料として用いた新聞用紙は、その白紙不透明度及び吸油性が充分に向上する。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカ等があげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性等の優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体を得る方法には特に限定がないが、例えば以下の方法を好適に採用することができる。
まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度、より好ましくは密閉容器内で所定の圧力に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜13の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、該シリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜11の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。かかるケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度や印刷適性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、かかるケイ酸分が10質量%以下であることが好ましい。
このように、本発明に好適に用いられる再生粒子凝集体は、その粒子中に、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有している。X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)による元素分析において、該再生粒子凝集体の粒子構成成分には、酸化物換算で、カルシウムとケイ素とアルミニウムとが、30〜82:9〜35:9〜35、さらには40〜82:9〜30:9〜30、特に60〜82:9〜20:9〜20の質量割合で含有されていることが好ましい。
また、特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、前記X線マイクロアナライザーによる元素分析において、該シリカ被覆再生粒子凝集体の粒子構成成分には、酸化物換算で、カルシウムとケイ素とアルミニウムとが、10〜80:10〜80:5〜29、さらには15〜80:15〜80:5〜25の質量割合で含有されていることが好ましい。
なお、前記再生粒子凝集体(以下、シリカ被覆再生粒子凝集体を含む概念として記載する)において、酸化物換算のカルシウムとケイ素とアルミニウムとの合計含有割合は、再生粒子凝集体の粒子構成成分中の85質量%以上、さらには90質量%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる再生粒子凝集体は、ケイ素を含むところ、ケイ素からなるシリカの粒子は微細なので、光学的屈折率が高い。したがって、例えばケイ素が酸化物換算で前記質量割合以上含有されている再生粒子凝集体を填料とした新聞用紙は、白紙不透明度が特に高い。
また、例えばカルシウムが酸化物換算で前記質量割合以上含有された再生粒子凝集体を填料とした場合には、特に得られる新聞用紙の白色度を向上させることができる。
再生粒子凝集体の粒子構成成分中のカルシウムとケイ素とアルミニウムとの質量割合を、酸化物換算で前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの調整には中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の調整には不透明度向上剤として多量添加されている塗工紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを適宜用いることができる。
また再生粒子凝集体において、カルシウムとケイ素とアルミニウムとの合計含有割合を酸化物換算で85質量%以上に調整するには、例えば排水スラッジの凝集処理に鉄分を含有しない凝集剤を使用する手段、製造設備工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入するのを防止したり、さらには乾燥・分級設備内に磁石等の高い磁性体を設置して鉄分を除去する手段等を採用することが可能である。特に鉄分は、酸化により白色度を低下させる起因物質になるため、選択的に除去することが好ましい。
また再生粒子凝集体にはケイ素が含まれるが、該ケイ素からなるシリカの1次粒子は微細であるので、光学的屈折率が高い。したがって、例えばケイ素が酸化物換算で前記質量割合以上含有された再生粒子凝集体を填料とした場合には、特に得られる新聞用紙の白紙不透明度を向上させることができる。
本発明に好適に用いられる再生粒子凝集体の粒子径は、パルプ中への歩留りや再生粒子凝集体の白水中への流失防止という点から、体積平均粒子径が5μm以上、さらには8μm以上であることが好ましく、また印刷適性の維持と剣先詰まりの防止という点から、体積平均粒子径が20μm以下、さらには18μm以下、特に15μm以下であることが好ましい。
また本発明に好適に用いられる再生粒子凝集体は、粒子径の体積分布において20μm以下である凝集体の割合が70質量%以上に、かつ該粒子径の体積分布において18μmを越える凝集体の割合が0.5質量%以下に調整されていることがより好ましい。
なお本明細書において、再生粒子凝集体の体積平均粒子径及び体積分布は、レーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)にて測定した値をいう。
さらに前記再生粒子凝集体は、JIS K 5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠した吸油量が、30ml/100g以上、さらには40ml/100g以上であることが好ましく、また100ml/100g以下、さらには90ml/100g以下であることが好ましい。該再生粒子凝集体の吸油量が30ml/100g未満では、白紙不透明度と印刷不透明度との差が少なく、印刷の裏抜けが生じたり、ネッパリが生じる恐れがあり、100ml/100gを超えると、紙面pHが高めに推移する傾向があり、インキ濃度が低下する恐れがある。
本発明において、前記再生粒子凝集体の使用量があまりにも少ない場合には、例えば抄紙機でのカレンダー処理において、平滑化の効果が発現されにくくなり、新聞用紙の白紙不透明度が充分に向上せず、印刷不透明度が不充分となったり、新聞用紙の剛度が高くなり、輪転機上での走行性が低下する恐れがあるので、再生粒子凝集体は、填料中に、該填料全量の2質量%以上、さらには5質量%以上含有されていることが好ましい。逆に再生粒子凝集体の使用量があまりにも多い場合には、表面性や剛度の点では望ましいものの、印刷機内での搬送に伴って灰分が脱落し易くなり、表面強度の低下や、剥け・ケバ立ち、印刷白抜け、紙粉等が発生する恐れがあるので、填料中に、該填料全量の15質量%以下、さらには10質量%以下含有されていることが好ましい。また、白紙不透明度及び印刷不透明度の維持、インキ吸収乾燥性の確保、裏抜け抑制のためには、該再生粒子凝集体の量が、填料中に、該填料全量の7質量%以上、好適には7.5質量%以上となるように調整することが特に好ましい。
填料として毬栗炭酸カルシウムと再生粒子凝集体とを併用した場合、毬栗炭酸カルシウムのみを用いた場合の、用紙表面性や平滑性、不透明度の低下を抑制し、また再生粒子凝集体のみを用いた場合の、白色度の低下やインキ着肉性、インキ吸収ムラの発生を抑制することができ、相乗的な品質向上が図られる。また、目的とする新聞用紙に印刷適性、嵩高等をよりバランスよく付与するには、毬栗炭酸カルシウムと再生粒子凝集体との割合(毬栗炭酸カルシウム:再生粒子凝集体(質量比))が5:95以上、さらには20:80以上であることが好ましく、また80:20以下、さらには60:40以下であることが好ましい。
本発明において、填料には前記毬栗炭酸カルシウムや再生粒子凝集体が含有されることが好ましいが、これら以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えばホワイトカーボン、カオリン、エンジニアードカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サチンホワイト等の無機填料や有機填料を、単独で又は2種類以上を同時に使用することができる。
前記パルプに対する填料の割合は、填料を用いたことによる、高い印刷不透明度を維持しながら、印刷操業性、印刷適性等を向上させる効果を充分に発現させるには、パルプ固形分100質量部に対して3質量部以上、さらには5質量部以上とすることが好ましく、また新聞用紙の紙粉発生の恐れがないようにするには、パルプ固形分100質量部に対して20質量部以下、さらには15質量部以下とすることが好ましい。
本発明の新聞用紙を構成する基紙を得るには、前記パルプからなるパルプスラリーに填料を添加し、例えば好適にはpH6.0〜10.0、さらに好適にはpH6.5〜9.5の中性〜アルカリ性となるようにpH等の条件を調整して、長網型抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機等の通常の抄紙機にて抄紙する方法を採用することが、光学的性質を向上するという点から好ましい。すなわち、填料として例えば毬栗炭酸カルシウムを用いた場合、そのバッファー効果により抄紙pHが7〜9程度となる。抄紙pHが中性〜アルカリ性であると、酸性の場合と比べて、繊維1本1本が膨潤し易く、外部フィブリル化、内部フィブリル化された繊維相互の水素結合を形成する領域が増加する。したがって、灰分が酸性新聞用紙と同程度の場合には、中性新聞用紙の紙力の方が高くなる。この結果、例えば35〜50g/m2といった低坪量の新聞用紙であっても、高速オフセット印刷に耐え得る充分な品質を確保することができる。
また本発明においては、基紙を得る際、パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが、パルプ懸濁液中に混在する微細な無機粒子の凝集を推進し、さらに原料パルプに無機粒子を付着させて填料歩留りを向上させたり、濾水性が向上してウェットエンドの安定性が得られるといった利点があるので好ましい。
本発明に用いられる更紙古紙パルプは、機械パルプの割合が高く、パルプ表面が比較的高いアニオン性を呈するので、パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが、パルプ繊維間に、物理的、化学的に填料を付着させて填料歩留りを向上させたり、濾水性の向上によりウェットエンドの安定性を得ることができる点から好適である。
前記のごとくパルプの調製段階で添加することが好ましい凝結剤としては、例えばポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリダドマック、PDADMAC)、ポリアミン(PAm)、ポリエチレンイミン(PEI)等の有機高分子系凝結剤や、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝結剤があげられる。これらの中でも、PAM、PAm及びPEIの少なくとも1種を用いることが好ましい。
前記有機高分子系凝結剤は、例えば毬栗炭酸カルシウムと再生粒子凝集体とを併用した場合、該再生粒子凝集体をパルプ中に留め、濾水性を向上させることができるという点から、その電荷密度が3meq/g以上、さらには10meq/g以上であることが好ましい。かかる電荷密度が3meq/g未満の場合、パルプのカチオン要求量を所定値まで上昇させるには有機高分子系凝結剤の添加量を多くしなければならず、コストが高くなり、新聞用紙の地合(シートフォーメーション)が低下する恐れがある。また有機高分子系凝結剤の平均分子量は70万〜130万、さらには80万〜120万であることが好ましい。かかる平均分子量が70万未満では、凝集力が弱く、毬栗炭酸カルシウムや再生粒子凝集体の湿紙への定着が不充分となり、その結果、目的とする効果の向上が望めない恐れがあり、一方130万を超えると、凝集力が強過ぎるため、新聞用紙の紙合が低下し、紙合を良好に維持するためには添加量を少なくしなければならず、やはり目的とする効果の向上が望めない恐れがある。
有機高分子系凝結剤の添加量は、カチオン要求量低減率と、有機高分子系凝結剤添加後の紙料濾液のカチオン要求量とが満足されるように調整することが好ましい。したがって、有機高分子系凝結剤の添加量は、後述する無機系凝結剤の添加量にも左右されるが、パルプに対して固形分で1000〜4000ppm、さらには1200〜3800ppmであることが好ましい。かかる有機高分子系凝結剤の添加量が1000ppm未満では、その効果が不充分となる恐れがあり、一方4000ppmを超えると、紙の地合が低下し、コストも上昇する恐れがある。
また、無機系凝結剤の添加量は、パルプに対して0.1〜5.0質量%、さらには0.1〜3.0質量%、特に0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
本発明においては、前記したように、パルプの調製段階で凝結剤を添加することが好ましいが、例えば、前記パルプ及び填料、並びに必要に応じて内添サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤、消泡剤等の各種製紙助剤等は、配合チェストで混合されて完成原料となる。したがって、配合チェストからマシンチェストの間で凝結剤が添加されることが好ましく、該凝結剤を完成原料に充分に混合するには、配合チェストへ添加することがより好ましい。
さらに本発明においては、前記パルプの調製段階で凝結剤を添加した後、該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが好ましい。
前記凝集剤としては、アニオン性を呈するパルプや填料に対してカチオン性凝集剤が特に好適である。かかるカチオン性凝集剤としては、例えば平均分子量が800万〜1200万、さらには850万〜1100万であり、かつカチオン性単量体の割合が5〜100モル%、さらには10〜100モル%のカチオン性水溶性重合体又は共重合体を使用することができる。かかるカチオン性凝集剤の代表例としては、例えばPAM等があげられる。カチオン性凝集剤の平均分子量が800万未満であると、該カチオン性凝集剤を用いた効果が充分に発現されない恐れがあり、一方1200万よりも大きくても、所望の効果の向上があまり望めず、コスト高となる恐れがある。
凝集剤の添加は、前記したように、抄紙工程前段、すなわち抄紙網前のヘッドボックスにおいて行われることが特に好ましい。これにより、抄紙網において欠損する毬栗炭酸カルシウムや再生粒子凝集体の量を格段に低減させることができる。
また凝集剤の添加量は、パルプに対して純分で100〜150ppm、さらには120〜140ppmであることが好ましい。凝集剤の添加量が100ppm未満であると、毬栗炭酸カルシウムや再生粒子凝集体の歩留り向上効果が充分に得られない恐れがあり、一方150ppmを超えると、新聞用紙の地合が低下する恐れがある。
本発明では、例えば前記凝結剤や凝集剤を使用することにより、最終的な新聞用紙の地合指数を5.0〜10.0%、さらには6.0〜9.5%、特に8.0〜8.5%に調整することが好ましい。本発明の新聞用紙は、主に輪転機で印刷される関係で、所定の引張り強度が必要となる。したがって、所定の縦方向の引張り強度を得るためには、地合指数が5.0%以上であることが好ましい。一方地合指数が10.0%を超えても、充分な縦方向の引張り強度が得難いとともに、例えばオフセット印刷において、特にカラー印刷でのインキの吸収ムラが生じ、印刷適性、特に印刷不透明度の低下に繋がる恐れがある。
なお、本明細書において、新聞用紙の地合指数とは、シートフォーメーションテスター((株)東洋精機製作所製)にて測定した値をいう。
さらに本発明の新聞用紙を構成する基紙を製造する際には、複数の紙料を調製して種箱に供給する前に、各紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置に供して測定したカチオンデマンド測定値に基づき、調製段階にて添加する凝結剤の添加量を制御することもできる。
このように、オンラインで凝結剤の添加量を制御することで、最適なカチオンデマンドによる電位制御が可能である。特に、迅速なカチオンデマンド測定値をフィードバックし、これを制御することが可能であり、抄紙機のワイヤーパートでの濾水性の安定化を図ることができるとともに、ウェットパートでの断紙の低減のみならず、得られる新聞用紙の地合を良好に維持することができる。
なお、前記カチオンデマンドとは、アニオン物質が有する総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(好適に使用される毬栗炭酸カルシウムや再生粒子凝集体等)、各種ウェットエンド製紙助剤(その他の填料、内添サイズ剤、消泡剤等)、樹脂ピッチ、溶出リグニン等のことである。
また、前記のごときオンラインのカチオンデマンドを測定する装置の代表例としては、カチオンデマンド測定装置(型番:PCT15又はPCT20、mutek社製)があげられる。該カチオンデマンド測定装置では、紙料を試験機のセル中に導入すると、上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンとの間にサンプル液の流れが生じ、コロイド粒子の表面電荷の歪みによって電気が生じる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子は、イオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定する。
次に、前記基紙の表面に、水溶性高分子化合物を含む塗工液を基紙表面に設けて、本発明の新聞用紙を得ることができる。
前記塗工液に含まれる水溶性高分子化合物としては、例えば澱粉、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)等があげられ、これらは単独で又は同時に用いることができ、特に澱粉を主成分として用いることが好ましい。
本発明においては、更紙古紙パルプを主成分とした古紙パルプが原料パルプとして用いられるが、更紙古紙パルプは機械パルプを多く含有し、そのパルプ繊維は剛直で、繊維表面には微細な叩解によるフィブリル繊維が存在する。この剛直な古紙パルプと微細なフィブリル繊維を有する用紙表面に、水溶性高分子化合物を固形分で0.2〜5.0g/m2含有させることで、好ましくは、さらに公知のマシンカレンダーやソフトカレンダー等の平坦化処理設備で平坦化処理を施すことで、用紙表面に突出した繊維・フィブリル繊維を平坦にしながら、水溶性高分子化合物にて用紙表面を確保し、用紙内部の嵩高性を維持しながら高速輪転印刷に耐え得る印刷適性を満足させることができる。
前記澱粉の種類には特に限定がないが、本発明においては、例えばエステル化澱粉や酸化澱粉を好適に用いることができ、特にエステル化澱粉が好ましい。
例えば変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、被膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。また、エステル化澱粉や酸化澱粉を用いた場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、被膜性に優れ、また新聞用紙表面の品質も向上する。
エステル化澱粉を用いた場合には、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。かかるエステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉の他、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉;小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化等を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類よりも優れる点で好ましい。さらにチキソトロピック性を有するエステル化澱粉が、基紙の表面への塗工時は流動性を示しながら、塗工後は基紙中に浸透し難く、基紙表面に高い被膜性を呈する点から好ましい。
酸化澱粉としては、従来より使用されている化工澱粉が好適に例示され、例えば次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって、低分子量化と、分子中へのカルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基等の導入とを行ったものがあげられる。
なお、本発明に用いられる澱粉としては、平均分子量が60万〜300万、さらには80万〜280万のものが、用紙表面の被覆性とインキ成分を用紙表面に留めながら、溶媒成分を紙中に取り込み吸収乾燥性を向上させるという点から好ましい。
また前記澱粉としては、粘度(10%)が30×10-3Pa・s以下、さらには15×10-3〜25×10-3Pa・sのものが、用紙表面に突出した繊維・フィブリル繊維の平坦化において、粘度が高いことから紙中に浸透せず、紙表面に留まることができるという点から好ましい。
前記したように、水溶性高分子化合物としては、澱粉の他にも例えばPVAがあげられる。一般にPVAを単独で新聞用紙の表面に塗工した場合には、澱粉を単独で塗工した場合と比べて、略3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、かかる被膜性が高いために、コールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキを用いると、印刷インキの溶媒の吸収性が低く、充分なインキセット性が得られない恐れがある。またPVAを単独で一定量塗工しようとすると、該PVAを含む塗工液の粘性が高く、例えばフィルムトランスファー方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れ等が生じる場合がある。ところが、このようなPVAは澱粉と併用することで、印刷インキの溶媒の用紙中への浸透を適度に促しながら、インキ填料成分を用紙表面に留める被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も充分に抑制されるという利点が生じる。
PVAの種類には特に限定がなく、本発明で用いることができるPVAには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAの他に、末端をカチオン変性したPVAやアニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAとしては、平均重合度が300〜3000、さらには1000〜2400、特に1700〜2000のものが、澱粉との相溶性に優れ、均質な被膜が得られ易いという点から好ましい。
また通常のPVAとしては、ケン化度が80〜100のものが好ましく、ケン化度が90〜100の完全ケン化PVAがより好ましい。完全ケン化PVAを用いた場合には、部分ケン化PVAを用いた場合よりも、新聞用紙表面に、耐水性や耐熱性を有する被膜がより得られ易い。
澱粉とPVAとを併用する場合、両者の割合(澱粉:PVA(固形分質量比))は、10:0.8〜10:2.0、さらには10:0.9〜10:1.2であることが好ましい。澱粉に対するPVAの割合が10:2.0を上回ると、両者を含んだ塗工液の粘性が急激に上昇するため、塗工ムラやミストが発生し、塗工品質の低下や設備周辺の汚損が生じる恐れがあり、一方10:0.8を下回ると、澱粉とPVAとの相溶性には問題がないものの、基紙の表面に塗工した際に、澱粉とPVAとの相乗効果が得られず、基紙中への浸透や塗工ムラが生じる恐れがある。特に前記填料として毬栗炭酸カルシウム等の炭酸カルシウムが用いられ、X線マイクロアナライザーによる基紙の表面についての100倍の面分析で、該炭酸カルシウムが10%以上存在する場合には、例えば填料としてクレーを用いた場合よりも、繊維間の結合が阻害され易いため、澱粉及びPVAによる被覆性が低下し、用紙表面でのインキ吸収乾燥性が阻害される恐れもある。したがって、両者の割合をこの範囲に設定することで、澱粉とPVAとの相乗効果、さらには基紙を構成する填料との相乗効果を確保することができ、インキ中の填料成分を新聞用紙の表面に留めることによって高いインキ濃度を発現させると同時に、インキ中の溶媒を素早く新聞用紙内部に吸収させ、早いインキセット性を発現させることができる。
基紙の表面に塗工する塗工液は、例えば前記澱粉、PVA等の水溶性高分子化合物と、必要に応じて、例えばポリアクリルアミド等の表面紙力剤や、例えばスチレン系ポリマー等の表面サイズ剤とを適宜混合して水を加え、固形分濃度を適宜調整することによって得ることができる。
例えば澱粉、PVAといった水溶性高分子化合物を含む塗工液を、基紙の表面に公知の塗工方式にて塗工することができるが、中でもフィルムトランスファー方式で塗工することが好ましい。フィルムトランスファー方式による塗工、特にゲートロールによる塗工は、他の塗工方法とは異なり、例えば0.5〜1.0g/m2といった低塗工量にて、基紙の表面に被覆性の高い輪郭塗工を施す際に最適であり、塗工液に急激なせん断力がかからないので、循環使用する塗工液の安定性に優れ、高速で均質な被膜を得ることができる。
例えば、澱粉及びPVAを主成分とする塗工液は、フィルムトランスファー方式でなくとも、サイズプレスやロッドメタリングサイズプレス等の塗工手段にて塗工することも可能ではあるが、基紙表面の凹凸に沿った輪郭塗工を施さなければ、澱粉及びPVAによる被覆性が充分に発現されず、例えばコールドセット型インキを使用して多色オフセット輪転印刷をする場合、インキ濃度、インキセット性、インキ着肉性等の印刷適性に優れる新聞用紙が得られ難い。したがって、低濃度、低塗工量で、特に澱粉及びPVAを主成分とする塗工液を塗工するには、フィルムトランスファー方式が好適である。
新聞用紙の表面への塗工液の塗工量は、前記水溶性高分子化合物が、用紙表面に固形分で、0.2g/m2以上、好ましくは0.5g/m2以上、また5.0g/m2以下、好ましくは4.0g/m2以下含有されるように調整される。用紙表面に含有される水溶性高分子化合物の量が0.2g/m2を下回ると、該水溶性高分子化合物による充分な被膜性が得られず、インキ中の填料成分が新聞用紙の表面で留まり難く、充分に高いインキ濃度が得られない。一方、用紙表面に含有される水溶性高分子化合物の量が5.0g/m2を上回ると、塗布設備周辺に水溶性高分子化合物を含んだ塗工液のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じる。
前記したように、本発明において、水溶性高分子化合物として澱粉を主成分に用い、さらにPVAを併用して両者の割合(澱粉:PVA(固形分質量比))を10:0.8〜10:2.0とした塗工液により、用紙表面に形成された塗工層に、これら澱粉及びPVAが固形分で0.2〜5.0g/m2含まれるようにすることが最適である。これにより、例えばコールドセット型オフセットインキの顔料成分を新聞用紙の表面に充分に留め、新聞用紙Z軸方向への溶媒(ビヒクル)浸透性をより向上させることが可能となり、用紙表面でさらに高いインキ濃度を発現させ、さらに適度な溶媒浸透性が得られることで、コールドセット型オフセットインキのインキセット性もより向上する。
なお、オフセットインキのインキセット性を改良するには、澱粉を塗工することでも効果が認められるが、単なる澱粉の塗工だけでは、コールドセット型オフセットインキを新聞用紙の表面で充分に留めることが困難であり、本発明のように、用紙表面に形成された塗工層に含有される水溶性高分子化合物の固形分量を、特定範囲となるように調整することにより、コールドセット型オフセットインキの顔料成分を新聞用紙の表面に留め、新聞用紙Z軸方向へ適度に溶媒を浸透させることが可能になり、インキセット性が良好で、インキ濃度が高く、しかも高精細な印刷画像や印刷不透明度を得ることができる。
さらに、本発明の新聞用紙には、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー設備で平坦化処理を施すことも可能である。
かくして得られる本発明の新聞用紙は、輸送における労力の軽減、軽量化の点から、JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠した坪量が、好ましくは35g/m2以上、さらに好ましくは38g/m2以上、また好ましくは50g/m2以下、さらに好ましくは48g/m2以下の軽量なものである。かかる坪量が35g/m2未満では、不透明度の確保が不充分となり、例えば17〜18万部/時間にも及ぶ近年の高速印刷においては特に、断紙やシワが生じ易く、操業性、品質に問題が発生する恐れがある。一方、坪量が50g/m2を超えると、充分な不透明度を確保し易くなるものの、軽量な新聞用紙として扱い難くなる。
新聞用紙中の灰分は、JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定して、4.0%以上、さらには6.0%以上、特に7.0%以上であることが好ましく、また15.0%以下、さらには12.0%以下、特に10.0%以下であることが好ましい。
例えば従来の新聞古紙からなる古紙パルプは、チラシ等の塗工紙が混在するため、古紙由来の灰分が古紙パルプ中に多く存在し、望ましい灰分にするには、古紙パルプ中からの持込灰分を考慮しながら全体的な灰分調整を行うことが必要であり、不用意な灰分の存在によって紙中灰分が上昇し、紙質強度が低下して断紙が生じ、操業性が悪くなるといった問題を有していた。また、古紙由来の灰分は、抄紙後に脱落し易く、印刷機内の摩擦部位や切断時に紙粉が発生する原因にもなる。したがって、古紙原料中の持込灰分はできる限り低く保持することが好ましい。
本発明の新聞用紙では、基紙を構成するパルプに更紙古紙パルプを含む古紙パルプが用いられているので、従来の新聞古紙からなる古紙パルプとは異なり、チラシ等の塗工紙が混在することによる古紙由来の灰分が少なく、古紙原料中の持込灰分を低く保持することができる。
新聞用紙中の灰分が4.0%未満では、充分な不透明度が得られ難く、裏抜けの原因となる恐れがある。特に高白色度の場合、灰分が少なすぎると裏抜けが目立つ傾向がある。一方、灰分が15.0%を超えると、前記したように紙質強度が低下し易く、抄紙工程における断紙トラブルが生じ、生産性が低下するとともに、系内の汚れが生じる恐れがあるほか、高速輪転印刷における断紙トラブルも生じ易く、印刷操業性が低下する原因となる恐れがある。
新聞用紙の紙面pHは、6.0以上、さらには6.5以上であることが好ましく、また10.0以下、さらには9.5以下であることが好ましい。特に新聞用紙への高速輪転オフセット印刷において、印刷前に紙面に塗布される湿し水が、新聞社によって変動するものの、ほぼ中性であることから、湿し水との相性を考慮し、印刷不良発現のリスクを低減させるために、かかる紙面pH範囲に調整することが好ましい。
なお本明細書において、紙面pHは、紙面用pH測定キット(共立理化学研究所製)にて、試薬(MPC−BCP、pH4.8〜6.8)を使用し、変色標準計で目視にて測定した値をいう。
また新聞用紙の密度は、JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に記載の方法に準拠して測定して、0.5〜1.0g/cm3、さらには0.6〜0.9g/cm3であることが好ましい。かかる密度が0.5g/cm3未満であると、紙質強度が低下して高速輪転印刷における断紙の原因になるとともに、紙粉が発生するという問題が生じる恐れがある。一方、密度が1.0g/cm3を超えると、印刷後の裏抜けが生じやすくなり、剛度が低下して印刷作業性も低下する恐れがある。
また新聞用紙の白色度は、JIS P 8212に記載の「パルプ−拡散青色光反射率(ISO白色度)の測定方法」に準拠して測定して、55%以上、さらには55.5〜58%であることが好ましい。かかる白色度が55%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後、特にカラー印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。
新聞用紙の白紙不透明度は、JIS P 8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)」に準拠して測定して、88%以上、さらには85〜94%であることが好ましい。かかる白紙不透明度が88%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。
なお、本発明の新聞用紙に印刷を施した後の印刷不透明度は、前記白紙不透明度よりも0.5%以上、さらには0.8〜2.0%高いことが好ましい。
次に、本発明の新聞用紙を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
参考例1〜13(再生粒子凝集体の製造)
原料として脱墨フロス(脱墨古紙パルプを製造する古紙処理工程から排出された脱墨フロス、固形分で100質量%)を用い、表1に示す条件にて脱水工程、乾燥工程及び焼成工程を順次行い、焼成工程にて粒子を凝集させた後、湿式粉砕処理を施し、再生粒子凝集体を得た。
なお、製造例8及び9においては、再生粒子凝集体をケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス)に添加、分散させてスラリーを調製した後、加熱攪拌しながら、以下に示す液温に保持して希硫酸を添加し、シリカゾルを生成させた。次いで最終反応液を以下に示すpHに調整し、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させてシリカ被覆再生粒子凝集体を得た。
液温(℃) :90℃
最終反応液(pH):9
得られた再生粒子凝集体(及びシリカ被覆再生粒子凝集体)について、その粒子構成成分中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量(酸化物換算)、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合(酸化物換算)、体積平均粒子径、粒子径の体積分布において20μm以下である凝集体の割合、吸油量、外観、ワイヤー摩耗度、生産性及び品質安定性について調べた。これらの結果を表2及び表3に示す。
なお、表1〜表3に示す各種測定値は、以下の方法にて測定した。
(ア)脱水物及び乾燥物の水分率
試料を採取し、JIS P 8127に記載の「紙及び板紙−水分試験方法−乾燥器による方法」に準拠して測定した。
(イ)一次焼成工程入口での乾燥物の体積平均粒子径及び粒子径の体積分布
X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を加速電圧15kVで用い、白黒ポラロイドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を20枚撮影して実測した。
(ウ)一次焼成後の未燃率
電気マッフル炉をあらかじめ600℃に昇温後、ルツボに試料を入れて約3時間で完全燃焼させ、燃焼前後の重量変化から未燃分を算出した。
(エ)一次焼成炉内上端部及び二次焼成炉のバーナー近傍での酸素濃度
ガス分析装置(型番:PG250型、(株)堀場製作所製)にて測定した。
(オ)再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量(酸化物換算)
X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて粒子構成成分の元素分析を行った。また、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウム各々の含有量から、再生粒子凝集体の粒子構成成分中の、カルシウムとケイ素とアルミニウムとの合計含有割合(酸化物換算)を算出した。
(カ)再生粒子凝集体の体積平均粒子径及び体積分布
再生粒子凝集体のサンプル10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。これを用い、レーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)にて、平均粒子径及び20μm以下である凝集体の割合を測定した。
(キ)吸油量
試料を採取し、JIS K 5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠して測定した。
(ク)外観
目視にて再生粒子凝集体の色を観察し、白色と灰色とに区分した。
(ケ)ワイヤー摩耗度
摩耗度試験装置(日本フィルコン(株)製)を用い、スラリー濃度2質量%にて3時間、プラスチックワイヤー摩耗度を測定した。
(コ)生産性
原料の脱水効率、生産性及び粉砕に必要な電力を各々5段階評価し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:いずれも高い評価でバランスが最もよかった。
○:平均してよい評価であった。
△:脱水効率、生産性及び粉砕に必要な電力のいずれかに問題があった。
×:実操業が困難であった。
(サ)品質安定性
白色度、粒子径、一定時間間隔における生産量の各項目について、変動程度を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:いずれの項目も全く変動がなかった。
○:いずれの項目も殆ど変動がなかった。
△:いずれかの項目に変動が認められた。
×:いずれの項目にも変動が認められた。
Figure 2009013513
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表3に示された結果から、参考例1〜13の再生粒子凝集体は、いずれも白色度が高く、ワイヤー摩耗度が低く、生産性及び品質安定性にも優れたものであることがわかる。
製造例1〜14及び比較製造例1〜7(基紙の製造)
更紙古紙及び/又は新聞古紙を表4に示す条件で、パルパーで離解し、ニーダーで混練した後、コニカル型ディスクリファイナーで粘状叩解して(比較製造例4は粘状叩解処理なし)、更紙古紙パルプ及び/又は新聞古紙パルプを製造した。得られた古紙パルプと機械パルプ(TMP)とを表5に示す割合で配合し、CSFを約100〜200mLに調整した。
このパルプに、パルプ固形分1tに対してアルキルケテンダイマーサイズ剤(品名:AD−1624、日本PMC(株)製)0.4kg(固形分)と、パルプ固形分100質量部に対して表6に示す品種A及び品種Bからなる填料を表6に示す割合で添加し、さらに表7に示す凝結剤を添加してパルプスラリーを得た。
なお、表6に示す填料は、以下のとおりである。
毬栗:毬栗炭酸カルシウム
紡錘型:紡錘型炭酸カルシウム
球状:球状炭酸カルシウム
針状:針状炭酸カルシウム
柱状:柱状炭酸カルシウム
重質:重質炭酸カルシウム
ホワイト:ホワイトカーボン(湿式シリカ)
表6に示す填料の割合(品種A:品種B(質量比))は、JIS P 8251に準拠して得られた灰分を試料として、電子線ブローブマイクロアナリシス法により、500倍画像で無作為に選択した10箇所について、酸化物換算におけるカルシウムとシリカとの割合を測定し、これら10箇所の測定結果を平均して求めた。測定は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX、(株)日立製作所製)及び電子顕微鏡((株)島津製作所製)を用い、加速電圧15kVの条件にて行った。
また、表6に示す比較例1及び4の填料(品種B)として用いたホワイトカーボンの物性は、以下のとおりである。
2次粒子径 吸油量
比較例1:15μm 221ml/100g
比較例4:15μm 222ml/100g
次いで、得られたパルプスラリーに表7に示す凝集剤を添加し、表7に示す抄紙pHにて長網型抄紙機で抄紙して基紙を製造した。また、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合を、前記表5に併せて示す。なお、該全原料とは、パルプ、填料、サイズ剤、凝結剤、凝集剤等の、基紙を得る際に用いた全ての原料であり、該機械パルプの含有割合とは、古紙パルプを製造する際に用いた古紙原料中の機械パルプの量も含めて算出したものである。
なお、表7に示す凝結剤及び凝集剤は、以下のとおりである。
PAm:ポリアミン
PEI:ポリエチレンイミン
PAM:ポリアクリルアミド
実施例1〜14及び比較例1〜7(新聞用紙の製造)
前記のようにして得られた基紙の表裏面に、表8に示す水溶性高分子化合物と水とを撹拌混合し、固形分濃度を約3〜6%に調整した塗工液を、表8に示す塗工方式で、水溶性高分子化合物が、表8に示す塗工量で含有されるように塗工し(比較例4は塗工液の塗工なし)、新聞用紙を得た。
なお、表8に示す水溶性高分子化合物は、以下のとおりである。
エステル化澱粉:1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉
Figure 2009013513
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得られた新聞用紙について、以下の方法にて各物性を測定した。これらの結果を表9に示す。
(a)PPS
ISO 8791−4に記載の「紙及び板紙−粗さ平滑度試験方法(空気漏洩法)−第4部:プリントサーフ法」に準拠し、PPS TESUTER(SE−115型、ローレンツェンアンドベットレー社製)にて、ソフトラバー製パッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaの条件で用紙表面のPPSを測定した。
(b)正反射型平滑度
正反射型平滑度計(マイクロトポグラフ、(株)東洋精機製作所製)を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で同一試料について10回測定し、大きい方から3番目までのデータを除いた残り7つのデータの平均値を算出して用紙表面の正反射型平滑度とした。
(c)坪量
JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した。
(d)灰分
JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
(e)紙面pH
紙面用pH測定キット(共立理化学研究所製)にて、試薬(MPC−BCP、pH4.8〜6.8)を使用し、変色標準計で目視にて測定した。
(f)密度
JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(g)地合指数
シートフォーメーションテスター((株)東洋精機製作所製)にて測定した。
(h)白色度
JIS P 8212に記載の「パルプ−拡散青色光反射率(ISO白色度)の測定方法」に準拠して測定した。
(i)白紙不透明度
JIS P 8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)」に準拠して測定した。
(j)印刷不透明度
オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:
(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)
を求めた。なお、これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験機(株)製)を用いた。
(k)不透明度差
白紙不透明度と印刷不透明度との差(絶対値)を求めた。
(l)インキ濃度
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)を使用し、金属ロールとゴムロールとの間隙に、オフセット印刷インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製、インキ使用量:0.85ml)を塗布した後、30rpmの速度で印刷し(試験片:CD方向50mm、MD方向100mm)、恒室状態(JIS P 8111に記載の「紙、板紙及びパルプ−調湿及び試験のための標準状態」に準拠)で24時間乾燥した。この印刷サンプルについて、無作為に選択した印刷部位25箇所のインキ濃度をマクベス濃度計にて測定し、これらの平均値を求めた。なお、このインキ濃度が0.8未満では、例えば新聞社におけるオフセット輪転印刷において、所望のインキ濃度が出ない問題が生じる可能性があり、逆に1.2を越えると、インキ濃度は充分なものの、印刷不透明度の低下と、裏移りの問題が生じる可能性がある。
次に、実施例1〜14及び比較例1〜7の新聞用紙について、以下の試験例1〜5に基づいて各特性を調べた。その結果を表10に示す。
試験例1(インキセット性)
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)を使用し、新聞用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にてベタ印刷した後、コート紙を印刷面に重ねて一定圧力で圧着した。コート紙へのインキの転移状況を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:コート紙表面全体に全く汚れが生じていない。
○:コート紙表面の一部に僅かに汚れが生じているが、実用上問題がない。
△:コート紙表面全体に汚れが認められる。
×:コート紙表面全体の汚れが著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例2(インキ着肉性)
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にて連続10000部の印刷を行った。得られた印刷物について、画像の鮮明さ及び濃淡ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:画像が鮮明で濃淡ムラが全くなく、インキ着肉性に優れる。
○:画像が鮮明で濃淡ムラが殆どなく、インキ着肉性が良好である。
△:一部に、画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがあり、インキ着肉性が良好でない。
×:全体的に、画像が不鮮明で濃淡ムラが著しく、インキ着肉性に劣る。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例3(表面強度)
JIS K 5701−1に記載の「平版インキ−第1部:試験方法」に準拠し、転色試験機(型番:RI−1型、石川島産業機械(株)製)を使用し、インキタック18の1回刷りの条件で印刷した。新聞用紙表面の取られを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:新聞用紙表面全体に全く取られがない。
○:新聞用紙表面の一部に僅かに取られが生じているが、実用上問題がない。
△:新聞用紙表面全体に取られが認められる。
×:新聞用紙表面全体に取られが著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例4(インキ吸収ムラ)
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にて印刷を行った。得られた印刷物について、インキ濃度ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:インキ濃度ムラが全くなく、均一で鮮明な画像である。
○:インキ濃度ムラが殆どなく、均一な画像である。
△:一部に、インキ濃度ムラが認められ、画像が不鮮明な箇所がある。
×:全体的に、インキ濃度ムラが著しく、不鮮明な画像である。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例5(印刷操業性)
(1)剣先詰まり
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−N4、三菱重工業(株)製)を使用し、50連巻きの新聞用紙にて印刷を行った。剣先詰まり発生の有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:剣先詰まりが全く発生しなかった。
○:巻き取り1本で剣先詰まりが1回しか発生しなかった。
△:巻き取り1本で剣先詰まりが2〜3回発生した。
×:巻き取り1本で剣先詰まりが4回以上発生した。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
(2)ブランケット紙粉パイリング
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、連続5000部のカラー4色印刷を行った。ブランケット非画像部における紙粉発生・堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生が僅かに認められるが、ブランケット上での堆積は全く認められない。
△:紙粉の発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
×:ブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
(3)ネッパリ性(ブランケット粘着性))
新聞用紙を幅約4cm×長さ約6cmの大きさに切断したサンプル2枚を用意し、水に10秒間浸漬した後、これらサンプル2枚を素早く密着させた。これをカレンダーに線圧100kg/cmで通紙し、24時間室温乾燥した後、手作業にてサンプル2枚の剥離(Tピール剥離試験模倣官能試験)を行い、剥離の度合いを以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:剥離するまでもなく、全く接着していなかった。
○:一部僅かに接着していたが、容易に剥離することができた。
△:接着しており、剥離し難い箇所があった。
×:全体的に接着しており、剥離時に接着面からの繊維の毛羽立ちが認められた。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
Figure 2009013513
Figure 2009013513
実施例1〜14の新聞用紙はいずれも、基紙を構成するパルプとして更紙古紙パルプが含まれ、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合が50質量%以上であり、かつ塗工液中の水溶性高分子化合物が、用紙表面に0.2〜5.0g/m2といった特定量含有されたものである。したがって、実施例1〜14の新聞用紙はいずれも、表9及び表10に示されるように、PPSが4.0〜5.5μmで、かつ正反射型平滑度が9〜14%であるだけでなく、坪量が35〜50g/m2と軽量で、灰分が7〜15%で、かつ紙面pHが6〜10の中性〜アルカリ性であり、嵩高で、白色度及び白紙不透明度が高く、高い印刷不透明度が維持されていることがわかる。しかも実施例1〜14の新聞用紙はいずれも、0.8〜1.2の範囲の適度に高いインキ濃度を有しながら、インキセット性及びインキ着肉性も良好で印刷適性に優れるだけでなく、表面強度も高く、さらに印刷操業性にも優れ、特に高速でのオフセット輪転印刷に好適な優れた特性を具備したものであることがわかる。
これに対して比較例1〜4の新聞用紙はいずれも、基紙を構成するパルプとして更紙古紙パルプが含まれずに新聞古紙パルプのみが含まれており、かつ塗工液中の水溶性高分子化合物が、用紙表面に0.2〜5.0g/m2の範囲で含有されていなかったり(比較例1〜3)、水溶性高分子化合物を含む塗工液が塗工されていなかったり(比較例4)するため、PPS及び/又は正反射型平滑度が上記範囲から外れているうえ、白色度及び白紙不透明度が不充分であり、印刷不透明度も低いものであることがわかる。また比較例1〜4の新聞用紙はいずれも、インキ濃度が低く、インキセット性やインキ着肉性に劣ったり、インキ着色ムラが生じたり、表面強度が低かったり、印刷操業性に劣る等、高速でのオフセット輪転印刷に必要な特性を具備していないことがわかる。
また比較例5〜7の新聞用紙も、基紙を構成するパルプとして更紙古紙パルプではなく新聞古紙パルプのみが含まれており、やはりインキセット性やインキ着肉性に劣ったり、インキ着色ムラが生じたり、表面強度が低かったり、印刷操業性に劣る等、高速でのオフセット輪転印刷に必要な特性を具備していないことがわかる。
本発明の新聞用紙は、例えば17〜20万部/時間といった高速でのオフセット輪転印刷等に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 古紙パルプを含むパルプと填料とを少なくとも構成成分とした基紙の表面に、塗工液が塗工された新聞用紙であって、
    前記古紙パルプに更紙古紙由来の古紙パルプが用いられ、基紙の全原料中の機械パルプの含有割合が50質量%以上であり、
    前記塗工液中に水溶性高分子化合物が含まれ、該水溶性高分子化合物が、用紙表面に固形分で0.2〜5.0g/m2含有され、
    ISO 8791−4に記載の方法に準拠し、ソフトラバー製パッキングディスクを用い、クランプ圧力1MPaの条件で測定した用紙表面のパーカープリントサーフ表面粗さが4.0〜5.5μmであり、
    正反射型平滑度計を用い、20kg/cm2加圧下、光の波長0.5μm、測定時間100MSの条件で測定した用紙表面の正反射型平滑度が9〜14%である
    ことを特徴とする、新聞用紙。
  2. 更紙古紙由来の古紙パルプの量が、パルプ全量の20質量%以上である、請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 更紙古紙由来の古紙パルプが、更紙古紙由来の古紙成分を主成分として含む古紙原料を、離解濃度15%以上、離解温度50℃以下にて離解し、叩解濃度2〜5%にて粘状叩解して得られるものである、請求項1又は2に記載の新聞用紙。
  4. 水溶性高分子化合物が、澱粉を主成分としたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の新聞用紙。
  5. 填料が、毬栗炭酸カルシウムと再生粒子凝集体とを含有したものである、請求項1〜4のいずれかに記載の新聞用紙。
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