JP2009013377A - プロトン伝導性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水との共存下において、良好なプロトン伝導性に加えて、柔軟且つ一体性の良好な膜形成性を有することにより、高分子電解質型燃料電池の電極間プロトン伝導体膜を形成するに適したプロトン伝導性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、フッ化ビニリデン系樹脂との混合物からなり、該フッ化ビニリデン系樹脂が、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部と、該フッ化ビニリデン共重合体よりもフッ化ビニリデン含量(重量%)が大であるフッ化ビニリデン重合体(b)とからなるコア/シェル型樹脂であるプロトン伝導性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池の電極間プロトン伝導体膜を形成するに適したプロトン伝導性樹脂組成物に関する。
高効率でクリーンな電力エネルギー源として、近年、高分子電解質型燃料電池が注目され、開発が進められている。周知のごとく、この高分子電解質型燃料電池は、アノード(燃料電極)とカソード(酸素電極)間にプロトン伝導体膜(高分子電界質膜)を挟持した概略構造を有し、アノードにおいて水素あるいはメタノール等の燃料を酸化してプロトン(H)と電子(e)を生成させ、このプロトンをプロトン伝導体膜を通してカソードに移送して、ここで酸素(およびe)と反応させて水を生成させるとともに、アノードとカソードを結ぶ外部回路において、これを流れる電子(e)に基づく電気エネルギーを取り出して利用する機構により動作する。ここで使用されるプロトン伝導体膜においては、水との共存下において良好なプロトン伝導性を示すという基本性能に加えて、良好な膜形成性および、例えばメタノールを直接燃料として用いる直接メタノール燃料電池においては、良好な耐メタノール性が要求される。
このようなプロトン伝導体膜として、従来、「ナフィオン」(登録商標)の商品名でデュポン社から供給されるものを代表例とするパーフルオロスルホン酸系樹脂膜が主として用いられている。
他方、よりメタノール耐久性の良好なプロトン伝導体膜材料として、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、各種樹脂材料(特許文献1)あるいはフッ化ビニリデンの単独又は共重合体からなるフッ化ビニリデン系樹脂(特許文献2)、とからなるプロトン伝導性樹脂組成物が開発され、注目されている。このプロトン伝導性樹脂組成物においてプロトン伝導性を主として荷うのはプロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターであるが、炭素の占める割合が多いカーボンクラスター単独では膜形成性を有さず、膜形成性を担保する各種樹脂材料には、水との共存下においてカーボンクラスターを保持しつつ良好な膜形成性を維持すること、良好なプロトン伝導性を維持すること、更にはアノード−カソード間に加圧挟持されて電極複合体を形成する際も良好な膜特性を維持するに充分な柔軟性を有すること、などの諸特性が要求されるが、従来提案された各種樹脂材料において、上記のような特性を満すものはない。
特開2002−63918号公報 特開2005−93417号公報 WO2006/080259A1公報
従って、本発明の主要な目的は、水との共存下において、良好なプロトン伝導性に加えて、柔軟且つ一体性の良好な膜形成性を有することにより、高分子電解質型燃料電池の電極間プロトン伝導体膜を形成するに適したプロトン伝導性樹脂組成物を提供することにある。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、上述の目的を達成するために、開発されたものであり、より詳しくは、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、フッ化ビニリデン系樹脂との混合物からなり、該フッ化ビニリデン系樹脂が、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部と、該フッ化ビニリデン共重合体よりもフッ化ビニリデン含量が大であるフッ化ビニリデン重合体(b)とからなるコア/シェル型樹脂であることを特徴とするものである。
本出願人は、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとの組合せにおいて本発明のプロトン伝導性樹脂組成物を形成するコア/シェル型樹脂と重複する組成を有するコア/シェル型フッ化ビニリデン系樹脂が、非水電解液との共存下に用いられる非水系電気化学素子の電極用バインダーとして好ましい適性を有することを見出して一つの提案をしている(特許文献3)。本発明者らは、重複する組成を有するコア/シェル型フッ化ビニリデン系樹脂が、非水電解液でなく、水との共存下において、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとの組合せにおいて、良好なプロトン伝導性を有し、更に柔軟且つ一体性の良好な(すなわち、コア/シェル型樹脂によるカーボンクラスターの保持性の良好な)プロトン伝導体膜を形成する樹脂組成物を与えることを見出して、本発明に到達したものである。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物で用いるコア/シェル型樹脂においては、フッ化ビニリデン共重合体(a)が主として形成されるプロトン伝導体膜の柔軟性を担保するとともに、よりフッ化ビニリデン含量の大なるフッ化ビニリデン重合体(b)がプロトン伝導体膜の成膜性、腰および水共存下でのカーボンクラスターの保持性を担保する点で、特許文献1および2に開示されているようなフッ化ビニリデン系樹脂を含む各種樹脂材料には見られない特性を示すとともに、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとの組合せにおいて、水共存下での良好なプロトン伝導性(イオン伝導性)を示すことが確認されている。本発明のプロトン伝導性樹脂組成物における良好なプロトン伝導性(イオン伝導性)は、柔軟性の高いコア部と、より硬質なシェル部とからなるコア/シェル型樹脂が、カーボンクラスターを効率良く分散、保持して、イオン伝導チャネルを形成させているために得られていると考えられる。
以下、本発明をその好ましい実施形態について遂次説明する。
(プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスター)
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物を形成する第1の成分である、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとしては、代表的に特許文献2で開示されるものが含まれる。
すなわち、母体となるカーボンクラスターの基本構造は、数個〜数百個の結合した炭素を主成分とするクラスター(集合体)であり、かご状構造、一部に開放端を持つ構造、チューブ形状のカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等でもあり得るが、好ましくはフラーレンと総称される球状炭素クラスター分子C(n=36、60、70、76、78、80、82等)が用いられる。水溶性を抑制するために、脂肪族炭化水素基、脂式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらの誘導体からなる連結基を介して上記基本構造が結合された重合体構造を採ることが好ましい。
上記の構造において、基本構造をなすクラスター分子の炭素に結合して、および/または上記連結基中に、プロトン解離性の官能基を導入することにより、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の第1の成分としてのプロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターが得られる。また、カーボンクラスターとして、プロトン解離性の官能基を有するピッチを用いることも可能である。
プロトン解離性の官能基は、一般に−XH(ここでXは、2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団を表わす)で表わされるプロトン解離性(即ちH放出性)の官能基であり、具体的には、ヒドロキシル基−OH、スルホン酸基−SOOH、カルボキシル基−COOH、ホスホノ基−PO(OH)、リン酸二水素エステル基−O−PO(OH)、ホスホノメタノ基>CH(PO(OH))、ジホスホノメタノ基>C(PO(OH)、ホスホノメチル基−CH(PO(OH))、ジホスホノメチル基−CH(PO(OH)、ホスフィン基−PHO(OH)、−PO(OH)−、及び−O−PO(OH)−からなる群の中から選ばれた1種以上の官能基が含まれる。これら官能基は、直接又は上述したような連結基、好ましくはエーテル性酸素を含み得るパーフルオロアルキレン基、を介して、クラスター分子中の炭素にクラスター分子1個当り1〜数個結合され、またクラスター分子同士を結合する連結基中にも含まれ得る。
プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとしては、一般に、0.05〜100μmの平均粒径(レーザー回折法によって測定した個数基準の粒径分布におけるメディアン径)の粉粒体状のものが用いられる。
(コア/シェル型樹脂)
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物の第2の成分であるフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部と、該フッ化ビニリデン共重合体よりもフッ化ビニリデン含量が大であるフッ化ビニリデン重合体(b)とからなるコア/シェル型樹脂(重合体)である。
前述したように、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部は、コア/シェル型樹脂ならびに得られるプロトン伝導性樹脂組成物、従って更にこれにより形成されるプロトン伝導体膜、の柔軟性を担保するものであり、これにより得られるプロトン伝導体膜をアノード−カソード間に圧接挟持して導電性の良い電極接合体を得る際にも、プロトン伝導体膜の一体性が確保されることになる。他方、よりフッ化ビニリデン含量の高いフッ化ビニリデン重合体(b)は、コア/シェル型樹脂、従ってプロトン伝導性樹脂組成物の成膜性、靭性および水共存下でのカーボンクラスターの保持性を担保するものである。両者間のフッ化ビニリデン含量の差は10重量%以上、更に15重量%以上であることが好ましく、一般には70重量%以下であることが好ましい。
より具体的には、コア部を形成するフッ化ビニリデン共重合体(a)は、好ましくはフッ化ビニリデン単位が30重量%以上、より好ましくは、40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。この組成範囲以外では、コア部の貯蔵弾性率が高くなり、フッ化ビニリデン系共重合体(a)の柔軟性が劣る傾向にある。
フッ化ビニリデンとともにフッ化ビニリデン共重合体(a)を構成する、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体の例としては、エチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、またはフッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体が挙げられる。
フッ化ビニリデン共重合体(a)は、フッ化ビニリデン含量が充分に低く、またフッ化ビニリデン重合体(b)とのフッ化ビニリデン含量差が充分に大であるときには、架橋されなくとも必要な柔軟性を有するコア/シェル型樹脂を形成可能である。然し、フッ化ビニリデン含量を増大して、プロトン伝導性および耐メタノール性を向上した際にも適度のゴム弾性を通じ、柔軟性を向上するために、二重結合を二個以上有する架橋性単量体(架橋剤)により架橋されていることも好ましい。架橋剤は、全フッ化ビニリデン共重合体(a)の0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
架橋剤としては、例えばジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコールおよびジメタクリル酸ジエチレングリコール等のジメタクリル酸(ポリ)アルキレングリコールエステル類;ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジアクリル酸プロピレングリコールおよびジアクリル酸ジエチレングリコール等のジアクリル酸(ポリ)アルキレングリコールエステル類;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン類;ならびにトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の公知の化合物も用いられるが、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体との反応性に優れる、例えば式
CF=CFO−Rf−OCF=CF または
CF=CFO−Rf−CF=CF
(ここでRfは、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示し、Rfは単結合又はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)で表わされる含フッ素系架橋性単量体が好ましく用いられる。中でも、パーフルオロジビニルエーテルが好ましく、その具体例としては、
CF=CFOCF=CF
CF=CFOCFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF=CF
CF=CFOCFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF
CF=CFOCFCF=CF
CF=CFO(CFCF=CF
CF=CFO(CFCF=CF
などが挙げられる。
上記のようにして、得られたフッ化ビニリデン共重合体(a)は、貯蔵弾性率が500MPa以下、特に300MPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率が500MPaを超えると、所望の柔軟性を有するプロトン伝導体膜の形成が困難となるからである。
上記フッ化ビニリデン系共重合体(a)からなるコア部を層状に被覆するシェル部を構成するフッ化ビニリデン重合体(b)は、フッ化ビニリデンの単独重合体またはフッ化ビニリデン含量が好ましくは50重量%以上でフッ化ビニリデン共重合体(a)中よりも大なるフッ化ビニリデン共重合体である。フッ化ビニリデン重合体(b)中のフッ化ビニリデン含量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。フッ化ビニリデン含量が50重量%未満では成膜性およびカーボンクラスターとの一体性の良好なコア/シェル型樹脂が得難くなる。フッ化ビニリデンと共重合する単量体としては、エチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、またはフッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体が挙げられる。
シェル成分を形成するフッ化ビニリデン重合体(b)は、重合時に単量体(組成物)成分が、コア成分のフッ化ビニリデン共重合体(a)の粒子表面に侵入し、相互侵入網目構造を形成すると考えられ、架橋しないでもある程度成膜性およびカーボンクラスター保持性の向上効果を有する。しかしシェル成分のフッ化ビニリデン系重合体(b)の重合時に架橋剤を使用して、架橋構造を導入すれば、アルコール等の燃料および水に対する耐膨潤性ならびに燃料の遮断性が向上するため、フッ化ビニリデン共重合体(a)と同様に架橋されていることも好ましい。架橋剤およびその使用量は、フッ化ビニリデン共重合体(a)の場合と同様のものが用いられる。
コア/シェル型樹脂を形成する、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部とフッ化ビニリデン系重合体(b)からなるシェル部の重量比(a)/(b)は、30/70〜90/10であることが好ましく、より好ましくは35/65〜80/20、さらに好ましくは40/60〜70/30である。(a)/(b)が30/70未満では、コア/シェル型樹脂の貯蔵弾性率が高くなり、柔軟性が乏しくなる傾向にあり、(a)/(b)が90/10を超えると、コア/シェル型樹脂の成膜性およびカーボンクラスター保持性が低下する傾向にある。
コア/シェル型樹脂を製造するための逐次重合反応は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の任意の重合法によって行うことができるが、構造制御の面から乳化重合法が好ましい。乳化重合反応には、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物、またはこれらと還元剤とのレドックス系を触媒として使用することができる。乳化剤としては、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロヘプタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウム等またはそれらの混合物が使用できるが、好ましくはパーフルオロオクタン酸アンモニウムが使用できる。一般に重合系内の圧力(ゲージ圧)は約0〜10MPa、好ましくは約1〜8MPa、さらに好ましくは1〜5MPaである。重合温度は0〜100℃、好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは40〜80℃の条件下で行われる。重合系内のpHを調節するために、NaHPO、NaHPO、KHPO等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加してもよい。
乳化重合により得られるコア/シェル型樹脂の粒子径は、0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜1μm、より好ましくは0.05μm〜0.5μmである。
この範囲より小さいと乳化剤使用量が増え製造コストが増加し、この範囲より大きいとラテックスが不安定になりやすく、製造性に劣る。また、プロトン伝導性樹脂組成物中での分散サイズが大きくなり、カーボンクラスターの分散保持性が低下しがちである。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、上記プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、コア/シェル型樹脂とを基本成分とする。両者の比は、主としてプロトン伝導性(イオン伝導性)と成膜性との調和の観点で主として定められるが、カーボンクラスターが30〜95重量%、特に50〜80重量%であり、コア/シェル型樹脂が5〜70重量%、特に20〜50重量%(カーボンクラスターとの合計が100重量%)の範囲が好ましい。前者が多過ぎると成膜性が損われ、後者が多過ぎるとプロトン伝導性が低下する傾向になる。
代表特性としてのプロトン伝導性と成膜性の調和を損わない範囲で上記したコア/シェル型樹脂の一部(好ましくは、その40重量%以下)を置き換える形態で、他の樹脂を用いることもできる。その例としては、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン共重合体、パーフルオロスルホン酸系樹脂等の含フッ素樹脂、更にはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられ、中でも含フッ素樹脂が好ましい。特に好ましい例としては、本発明で用いるコア/シェル型樹脂のコア部を形成するフッ化ビニリデン共重合体(a)の組成を有するフッ化ビニリデン共重合体、シェル部を形成するフッ化ビニリデン重合体(b)の組成を有するフッ化ビニリデン重合体等が挙げられる。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、上述の成分以外にも、SiO、ZrOなどの酸化物などの、高分子電解質に慣用的な添加剤を含むこともできる。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、上述した各成分を粉体混合した後、溶融成形あるいは粉末成形により成膜する態様でプロトン伝導体膜の形成に用いることもできる。しかし、カーボンクラスターが良好に分散して、プロトン伝導性の良好なプロトン伝導体膜を形成するためには、コア/シェル型樹脂の(部分)溶解性ないし膨潤性を利用して、有機溶媒および粉末状のカーボンクラスターと混合して適度の粘性のスラリーを形成して、これをガラス板その他の離型性の良い仮支持体上に塗工ないしキャストした後、有機溶媒を蒸発させ、仮支持体から剥離して、プロトン伝導体膜を単離する方法が好ましく用いられる。
スラリーを形成するために用いられる有機溶媒は、好ましくは極性のものであり、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルフォスフェイト、トリメチルフォスフェイト、アセトン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン、イソホロン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテル、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート、などが挙げられる。上記の極性有機溶媒の中でも、溶解力の大きいN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの含窒素系有機溶媒がより好ましく用いられる。また、これら有機溶媒は単独での使用のみならず二種以上を混合した混合溶媒として用いることも出来る。
スラリーを形成するに当り、これら有機溶媒100重量部当り、前記コア/シェル型樹脂および必要に応じて用いる他の樹脂成分を、合計量で、0.1〜20重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部、特に1〜10重量部、の割合で部分溶解ないし分散することが好ましい。0.1重量部未満では、スラリー中での重合体の占める割合が小さすぎ、カーボンクラスターを分散させるマトリクスないしバインダーとしての効果が得難い。また、20重量部を超えると、スラリーの粘度が高くなり、塗工ないしキャスティングが困難になることがある。
上記のようなスラリー形成態様を考慮した場合、コア/シェル型樹脂単独あるいはこれを含む樹脂分の分子量は、その目安としてインヘレント粘度ηinh(樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度をいう)において、0.8〜10dl/g、好ましくは1.0〜7dl/g、さらに好ましくは1.1〜5dl/gであるものが好適に用いられる。コア/シェル型樹脂のインヘレント粘度が、上記範囲未満では、スラリーの粘度が低くなり塗工が困難になり、上記範囲を超えると有機溶媒への溶解ないし膨潤が困難になり適当ではない。
上述のようにして本発明のプロトン伝導性樹脂組成物から得られるプロトン伝導体膜は、含まれるカーボンクラスターとコア/シェル型樹脂の割合によりかなり異なる性状を示すが、代表的に、柔軟性の指標としての破断伸びが20%以上、好ましくは25%以上、更に好ましくは、40%以上;水接触下でのイオン伝導度(交流インピーダンス法)が1.0×10−3S/cm以上、好ましくは3.0×10−3S/cm以上;水浸漬下にカーボンクラスターの溶出性が実質的になし(目視確認)の性状を示す。破断伸びが20%未満の場合には非常に脆く、カソード−アノード間での加圧接合に際し、破壊する現象が認められている。
本発明のプロトン伝導性樹脂組成物を直接メタノール燃料電池用プロトン伝導体膜の形成に用いる場合、形成されるプロトン伝導体膜は、従来多く用いられているパーフルオロスルホン酸系樹膜(従来200μm前後の膜厚で用いられている)に比べて顕著に良好な耐メタノール性を示す。従って、より小さい膜厚、たとえば1〜150μm、好ましくは5〜100μmの膜厚で用いることができる。例えば1/2の膜厚で用いる場合には、イオン伝導性が1/2であっても、同等なプロトン伝導体膜特性が得られることになり、この耐メタノール性の向上による膜厚低減効果は、直接メタノール燃料電池用プロトン伝導体膜の特性として極めて重要である。
このように本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、直接メタノール燃料電池用プロトン伝導体膜形成に極めて適した特性を示すものであるが、水素燃料電池等の他の型の燃料電池に対しても、勿論使用可能である。
また、上記においては、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物による燃料電池用プロトン伝導体膜の形成用途について主として説明したが、本発明のプロトン伝導性樹脂組成物は、これに白金あるいは白金系合金等の触媒を必要に応じて炭素等に担持させて、配合することにより、アノードまたはカソードの電極触媒層を形成するためにも用いられる。これにより含まれる電解質の共通性により、良好なアノード−カソード間プロトン伝導性が確保されることになる。

[実施例]
以下、実施例、比較例により、本発明を更に具体的に説明する。
<フッ化ビニリデン系樹脂の製造>
本発明のコア/シェル型樹脂に相当するフッ化ビニリデン系樹脂A〜Dを以下のようにして製造した。
(樹脂A)
コア部の重合: 内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1000g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム4g、ピロリン酸ナトリウム0.8gを仕込み、5MPaまで加圧して窒素置換を3回行なった後、80℃に昇温した。モノマーチャージ用ポットにフッ化ビニリデン(VDF)120g、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)80g、下式で示されるパーフルオロジビニルエーテル(CL)2g、
CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF
酢酸エチル1gを計量して混合して203gのモノマー混合物を形成し、このモノマー混合物の一部82gを、上記オートクレーブ中に一括添加し缶内圧2.6MPaとなったところで、過硫酸アンモニウム塩の1重量%水溶液を20g添加し、乳化重合を行なった。1時間で1.0MPaまで降圧したところで1段目の重合を終了した。次いで、残りのモノマー混合物121gを缶内圧を2.6MPaに維持するように2時間かけて連続添加し、添加終了後、1.3MPaまで降圧したところで2段目の重合を完了とし、缶内の未反応モノマーをパージして、コア部の乳化重合を終了した。
シェル部の重合: 予め、モノマーチャージ用ポットに、フッ化ビニリデン200g、パーフルオロジビニルエーテル2g、酢酸エチル1gを計量してモノマー混合物を用意した。上記したコア部の乳化重合に続けて、80℃において過硫酸アンモニウム塩の1重量%水溶液を20g添加し、次いで上記モノマー混合物を缶内圧力が3.2MPaに維持されるように連続供給し、6時間重合を行なった。モノマー添加終了後、缶内圧力が2.7MPaに降圧したところでシェル部の重合を完了とし、40℃まで冷却後、残存モノマーをパージした。
得られたラテックス1000gを、攪拌した状態の0.3重量%塩化カルシウム水溶液1000gに滴下し、塩析後、吸引ろ過で固液分離し、30℃で12時間乾燥し、コア/シェル型フッ化ビニリデン樹脂Aを製造した。
組成の概要およびインヘレント粘度ηinhの測定結果を、下記例の結果とともに後記表1に示す。
(樹脂B、CおよびD)
コア部およびシェル部のモノマー組成ならびにコア/シェル重量比を、それぞれ後記表1に示す通りに変更する以外は、実質的に上記樹脂Aの製造例と同様にして、表1に示すηinhのコア/シェル型樹脂B〜Dを得た。
本発明のコア/シェル型樹脂のシェル部のみ、あるいはコア部のみに相当する組成の樹脂E〜Gを以下のように製造した。
(樹脂E)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1000g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム4g、ピロリン酸ナトリウム0.8gを仕込み、5MPaで窒素置換を3回行なった後、80℃に昇温した。モノマーチャージ用ポットにフッ化ビニリデン400g、酢酸エチル2gを計量して混合して402gのモノマー混合物を形成し、その一部82gを、上記オートクレーブ中に一括添加し缶内圧3.2MPaとなったところで、過硫酸アンモニウム塩の1重量%水溶液を20g添加し、乳化重合を行なった。1時間で1.6MPaまで降圧したところで1段目の重合を終了した。残りのモノマー混合物を缶内圧が3.2MPaに維持するように3時間で連続添加し、添加終了後1.6MPaまで降圧したところで2段目の重合を完了とし、40℃で冷却し缶内の未反応モノマーをパージした。
得られたラテックス1000gを、攪拌した状態の5重量%塩化ナトリウム水溶液4000gに滴下し、塩析後、80℃まで約40分で昇温し、放冷後吸引ろ過で固液分離し、80℃で20時間乾燥し、フッ化ビニリデン(VDF)の単独重合体である樹脂Eを製造した。
(樹脂F)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1000g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム4g、リン酸水素二ナトリウム1.6gを仕込み、5MPaで窒素置換を3回行なった後、80℃に昇温した。モノマーチャージ用ポットにフッ化ビニリデン90g、クロロトリフルオロエチレン60g、パーフルオロジビニルエーテル1.5g、酢酸エチル0.75gを計量して混合して152gのモノマー混合物を形成し、その一部82gを、上記オートクレーブ中に一括添加し缶内圧2.6MPaとなったところで、過硫酸アンモニウム塩の1重量%水溶液を20g添加し、乳化重合を行なった。約30分間で1.3MPaまで降圧したところで1段目の重合を終了した。残りのモノマー混合物を缶内圧が2.6に維持するように約15分間で連続添加し、添加終了後1.3MPaまで降圧したところで2段目の重合を完了とし、40℃で冷却し缶内の未反応モノマーをパージした。
得られたラテックス1000gを、攪拌した状態の0.3重量%塩化カルシウム水溶液1000gに滴下し、塩析後、吸引ろ過で固液分離し、30℃で12時間乾燥し、架橋フッ化ビニリデン共重合体である樹脂Fを製造した。
(樹脂G)
モノマー組成を、それぞれ次表1に示すとおりに変更する以外は、実質的に上記樹脂Fの製造例と同様にして、架橋フッ化ビニリデン共重合体である樹脂Gを製造した。
得られた樹脂A〜Gの組成の概要およびインヘレント粘度ηinhをまとめて下表1に記す。
Figure 2009013377
<プロトン伝導体膜の製造>
(実施例1)
特許文献2の実施例1の方法に従って製造されたフラーレン誘導体(プロトン解離性の官能基として−CH(SOH)を有するC60フラーレン単位を連結基−CH(SOH)−で連結したフラーレン誘導体)0.15gを0.85gのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に分散した分散液を用意した。上記フッ化ビニリデン系樹脂の製造例で得られた樹脂A(コア/シェル型樹脂)の0.15gを1.73gのNMPに溶解ないし分散して得られた液に、上記フラーレン誘導体分散液を加え、60℃で加熱しながら攪拌した。得られた分散液をガラス板上にドクターブレードにより塗工し、60℃で6時間乾燥して、形成された塗工膜をガラス板より剥離して、本発明に従う厚さ25μmのプロトン伝導体膜を得た。
(実施例2および3)
樹脂Aの代りに樹脂B(実施例2)または樹脂C(実施例3)を用いる以外は、実施例1と同様にして、それぞれ本発明に従うプロトン伝導体膜を得た。
(実施例4)
フラーレン誘導体を0.21gに増量し、樹脂Bを0.09gに減量する以外は、実施例2と同様にして本発明に従うプロトン伝導体膜を得た。
(実施例5)
樹脂Bの代りに、樹脂F(コア部相当フッ化ビニリデン共重合体)と樹脂Bとの70:30(重量比)の混合物を用いる以外は実施例4と同様にして本発明に従うプロトン伝導体膜を得た。
(実施例6)
樹脂Aの代りに樹脂Dを用いる以外は実施例1と同様にして本発明に従うプロトン伝導体膜を得た。
(比較例1)
樹脂A(コア/シェル型樹脂)の代りに樹脂E(フッ化ビニリデン単独重合体)を用いる以外は実施例1と同様にしてプロトン伝導体膜を得た。
(比較例2および3)
樹脂A(コア/シェル型樹脂)の代りに、いずれもコア/シェル型樹脂のコア部のみに相当する架橋フッ化ビニリデン共重合体である樹脂F(比較例2)または樹脂G(比較例3)を用いる以外は、実施例1と同様にプロトン伝導体膜の作成を試みたが、ガラス板上の乾燥膜を剥離する際に、破断伸びの測定に用いる膜として単離することはできなかった。
(比較例4)
樹脂GとBとの70/30(重量比)混合物の代りに、樹脂F(コア相当フッ化ビニリデン共重合体)とE(フッ化ビニリデン単独重合体)の70/30(重量比)混合物を用いる以外は実施例5と同様にしてプロトン伝導体膜を得た。
上記各実施例および比較例で得られたプロトン伝導体膜またはその剥離前のガラス板との接合体について、以下の特性測定を行った。
[破断伸びの測定]
得られた厚さ25μmの膜を、50mm×5mmの形に切り出し、試験片とした。この試験片をチャック間距離50mmで引張り試験機(島津製作所製「オートグラフAGS−J」)を用いて、クロスヘッド速度100mm/分で試験し、引張り破断伸びを測定した。測定は23℃、湿度約50%で行った。
[イオン伝導度]
イオン伝導度の測定は、25℃にて交流インピーダンス法で行った。直径4mmの円形のプロトン伝導体膜サンプルを二枚の金属(Au)電極により密着状態を維持できる圧力で挟んだのち純水中に1夜浸漬後、その浸漬状態で周波数1MHz〜1Hz、印加電圧10mVの条件で測定を行った。得られた膜抵抗からイオン伝導度を算出した。
[溶出試験]
ガラス板上に付着した状態でのプロトン伝導体膜サンプル(約100mm×100mm)を500gの純水へ浸漬し、25℃で1時間放置した後に、純水が溶出したフラーレン誘導体により茶褐色に着色するか否かにより、溶出の有無を判定した。
上記各測定の結果を、上記実施例、比較例のプロトン伝導体膜の組成概要とともにまとめて次表2に示す。
Figure 2009013377
上表2の結果を見れば、プロトン解離性の官能基を有するフラーレン誘導体とともに、所定の組成のコア/シェル型フッ化ビニリデン系樹脂を少なくとも主要成分として含む実施例により得られたプロトン伝導体膜は、高い破断伸びで示される柔軟性、水接触下での高いイオン伝導度(プロトン伝導性)および水中での良好なフラーレン誘導体保持性(非溶出性)を兼ね備えていることが分る。これに対しシェル部のみに相当するフッ化ビニリデン単独重合体を使用した比較例1のプロトン伝導体膜は破断伸びが5%と低く脆弱性を示す。他方、コア部のみに相当するフッ化ビニリデン共重合体を使用した比較例2および3のプロトン伝導性樹脂組成物は過度に柔軟で成膜性を有さない。またコア部のみに相当するフッ化ビニリデン共重合体とフッ化ビニリデン単独重合体の混合物を使用する比較例4のプロトン伝導体膜は、脆いばかりでなく、フラーレン誘導体の保持性も乏しい。
上述したように、本発明によれば、プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、ゴム質コア部と硬質シェル部とを有するフッ化ビニリデン系コア/シェル型樹脂との組合せからなることにより、水との共存下において、良好なプロトン伝導性に加えて、柔軟且つ一体性の良好な膜形成性を有することにより、高分子電解質型燃料電池の電極間プロトン伝導体膜を形成するに適したプロトン伝導性樹脂組成物が提供される。

Claims (9)

  1. プロトン解離性の官能基を有するカーボンクラスターと、フッ化ビニリデン系樹脂との混合物からなり、該フッ化ビニリデン系樹脂が、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部と、該フッ化ビニリデン共重合体よりもフッ化ビニリデン含量(重量%)が大であるフッ化ビニリデン重合体(b)とからなるコア/シェル型樹脂であるプロトン伝導性樹脂組成物。
  2. フッ化ビニリデン共重合体(a)のフッ化ビニリデン含量が30〜90重量%、フッ化ビニリデン重合体(b)のフッ化ビニリデン含量が50〜100重量%である請求項1に記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  3. フッ化ビニリデン共重合体(a)が架橋されている請求項1または2に記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  4. フッ化ビニリデン重合体(b)が架橋されている請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  5. フッ化ビニリデン共重合体(a)および/またはフッ化ビニリデン重合体(b)が二重結合を二個以上有する含フッ素単量体で架橋されている請求項3または4に記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  6. 前記コア/シェル型樹脂が、フッ化ビニリデン共重合体(a)からなるコア部とフッ化ビニリデン重合体(b)からなるシェル部と、を30/70〜90/10の重量比で有する請求項1〜5のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  7. カーボンクラスターを30〜95重量%、フッ化ビニリデン系樹脂を5〜70重量%(カーボンクラスターとの合計量として100重量%)の割合で含む請求項1〜6のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  8. カーボンクラスターがプロトン解離性の官能基を有するフラーレン誘導体である請求項1〜7のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のプロトン伝導性樹脂組成物の成膜体からなる高分子電解質型燃料電池用プロトン伝導体膜。
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