JP2002075420A - 電気化学デバイス及びその駆動方法 - Google Patents

電気化学デバイス及びその駆動方法

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JP2002075420A
JP2002075420A JP2000264826A JP2000264826A JP2002075420A JP 2002075420 A JP2002075420 A JP 2002075420A JP 2000264826 A JP2000264826 A JP 2000264826A JP 2000264826 A JP2000264826 A JP 2000264826A JP 2002075420 A JP2002075420 A JP 2002075420A
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proton
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cluster
water
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Koichiro Hikuma
弘一郎 日隈
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Sony Corp
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロトン伝導率を向上させた電気化学デバイ
ス及びその駆動方法を提供すること。 【解決手段】 フラーレン分子や炭素クラスターを構成
する炭素原子に−OH基や−OSO3H基等のプロトン
解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体や炭素クラ
スター誘導体を主成分とするプロトン伝導体1に水分を
供給し、このプロトン伝導体を湿潤状態にして作動させ
ることにより、プロトン伝導体を非湿潤状態にした場合
に比べプロトン伝導性が向上するため、より高い出力が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学デバイス
及びその駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば自動車駆動用の高分子固体
電解質型の燃料電池として、パーフルオロスルホン酸樹
脂(Du Pont 社製の Nafion(R) など)のようなプロト
ン(水素イオン)伝導性の高分子材料を用いたものが知
られている。
【0003】また、比較的新しいプロトン伝導体とし
て、H3Mo12PO40・29H2OやSb25・5.4H
2Oなどの多くの水和水を持つポリモリブデン酸類や酸
化物も知られている。
【0004】これらの高分子材料や水和化合物は、湿潤
状態に置かれると、常温付近で高いプロトン伝導性を示
す。
【0005】即ち、パーフルオロスルホン酸樹脂を例に
とると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高
分子マトリックス中に大量に取込まれている水分と結合
(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニウ
ムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオ
ンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内をス
ムーズに移動することができるので、この種のマトリッ
クス材料は常温下でもかなり高いプロトン伝導効果を発
揮できる。
【0006】しかしながら、上述した各種のプロトン伝
導体は次のような問題点が指摘されていた。
【0007】前記パーフルオロスルホン酸樹脂などのマ
トリックス材料では、プロトンの伝導性を高く維持する
ために、使用中、継続的に充分な湿潤状態に置かれるこ
とが必要である。
【0008】したがって、燃料電池等のシステムの構成
には、加湿装置や各種の付随装置が要求され、装置の規
模が大型化したり、システム構築のコストアップが避け
られない。
【0009】さらに、作動温度も、マトリックスに含ま
れる水分の凍結や沸騰を防ぐため、温度範囲が広くない
という問題がある。
【0010】
【発明に至る経過】一方、本発明者は、先願(特願平1
1−204038号、特願2000−58116号等)
において、フラーレンやその他の炭素クラスターにプロ
トン解離性の基(プロトンを解離し得る基)を導入した
クラスター誘導体を主成分として含む材料が、これまで
は難しかった乾燥雰囲気中でのプロトン伝導性を示すと
いった特徴があるため、これを燃料電池等に応用すると
多くのメリットが得られることを報告した。この中のメ
リットとして、例えば乾燥状態で使用できるというメリ
ットが、燃料電池の小型化や簡素化、エネルギー変換効
率の向上などをもたらすことは既に報告済みである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】更に、この種の材料の
第2の特徴として、従来のNafion等のポリマー材
料と比較してより薄い薄膜化が可能であるという点が挙
げられる。それは炭素クラスターが元々は非常に小さい
分子状あるいは微粒子状の構造をもつため、クラスター
の製膜法、たとえば加圧成形やろ過など、ポリマー材料
では考えられなかった多種の製膜手法を用いて製膜でき
るためでもある。そのため、プロトン伝導膜としての抵
抗値を下げることが可能となり、実用化が可能となる
が、膜厚等で規格化した材料に固有の、いわゆる抵抗
率、あるいはその逆数である伝導率は、温度などの測定
条件にもよるし、材料の改良も行なっている途中ではあ
るが、現在までのところ水分を十分に吸収したNafi
on等のそれと比べて必ずしも良好というわけではな
い。そのため、自動車のエンジンとしての応用など、よ
り高出力を要求される用途に関しては、更なる伝導率の
向上が課題であった。
【0012】本発明は上記事情を改善するためになされ
たもので、その目的は、プロトン伝導率をさらに向上さ
せた燃料電池等の電気化学デバイス、及びその駆動方法
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、水素含
有ガスを供給する第1極と、酸素含有ガスを供給する第
2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体と
からなり、このプロトン伝導体が、炭素を主成分とする
クラスターの炭素原子にプロトン解離性の基を導入して
なるクラスター誘導体を含み、前記プロトン伝導体に水
分を送る水分供給手段を有する、電気化学デバイスに係
わるものである。ここで、上記の「プロトン解離性の
基」とは、電離によりプロトン(H+)を解離しうる官
能基を意味する(以下、同様)。
【0014】又、本発明は、水素含有ガスを供給する第
1極と、酸素含有ガスを供給する第2極と、これらの両
極間に挟持されたプロトン伝導体とからなり、このプロ
トン伝導体が、炭素を主成分とするクラスターの炭素原
子にプロトン解離性の基を導入してなるクラスター誘導
体を含む電気化学デバイスの駆動に際し、前記プロトン
伝導体に水分を供給する、電気化学デバイスの駆動方法
に係わるものである。
【0015】本発明者は、前記クラスター誘導体を主成
分とするプロトン伝導体と、これを挟持する両極とから
なる電気デバイス、とくに燃料電池の出力を高めるため
鋭意検討を加えた結果、前記プロトン伝導体に水分を供
給し、このプロトン伝導体を湿潤状態にして電池を作動
すると、前記プロトン伝導体を非湿潤状態にした場合に
比べ、プロトン伝導性が向上するため、より高い出力が
得られるという予想外の知見を得、これに基いて発明を
完成させることができた。
【0016】これまでは、前記クラスター誘導体は乾燥
雰囲気下での使用のメリットのみを生かすような用いら
れ方がなされてきたが、このことはこの種の材料の使用
方法を乾燥雰囲気に限定するものではない。つまり、こ
の材料は、これまではプロトン伝導の際に必ずしも加湿
を必要としなかったのであるが、本発明者の検討の結
果、この材料は水分が存在していてもダメージを受ける
などといった問題が全くないことが確認されたのであ
る。この原因はおそらく、この種の材料が本質的にもつ
「水を必要としない」プロトン伝導性に加えて、Naf
ionと同等の水分子を媒介としたタイプのプロトン伝
導が並立的に起こるため、高い伝導性が発現したものと
考えられる。或いは、この水分子はNafion系と同
等のプロトン伝導に寄与するのではなく、この材料独自
のプロトン伝導を向上させる働きをしているとも考えら
れる。
【0017】
【発明の実施の形態】こうした本発明の顕著な作用効果
を得る上で、前記水素含有ガス及び前記酸素含有ガスの
うち少なくとも前記水素含有ガスに水分を混合する、混
合部を有することが望ましい。なぜならば、前記水分の
混合によるプロトン伝導性の向上は、前記第1極の側に
おいて前記水素含有ガス中の水素が解離して生じたプロ
トンを効果的にプロトン伝導体、更には前記第2極側へ
と移動させることを意味するので、少なくとも前記第1
極への前記水素含有ガスに水分を混合することが有効で
あるためである。
【0018】但し、前記第2極側でプロトンと酸素イオ
ンとの反応で生じた水が高速に排出されることにより前
記第2極の側が乾燥しすぎ、却って反応が低下して発電
効率が劣化し易くなることがあるが、これは、前記第2
極へ供給する前記酸素含有ガスに水分を混合して前記第
2極の側が乾燥しすぎないようにすることによって、防
止することができる。
【0019】こうした水分の混合はデバイスへのガス導
入前に行うことができるが、この水分混合部により加湿
された前記ガス中における水蒸気分圧が1kPa以上、
200kPa以下(更には10kPa以上、100kP
a以下)であることが望ましい。
【0020】即ち、ガス中の水蒸気分圧が1kPa以上
あれば、伝導率の明らかな向上が見られ、3kPa以上
は一層向上し、より好ましくは10kPa以上であり、
更により好ましくは50kPa以上である。また、加湿
の上限については、高圧条件にて200kPaにまで水
蒸気分圧が上昇すると、膜の安定性を損ねる可能性があ
るので、200kPa以下とするのがよく、より好まし
くは高圧条件とならない100kPa以下である。
【0021】また、加湿部を介して水分含有水素ガス及
び/又は水分含有酸素ガスを前記第1極側へ供給するこ
ともでき、或いは、前記加湿部を介して水分を前記プロ
トン伝導体へ直接供給することもできる。
【0022】また、前記第2極で生じた水が前記水分と
して用いられる(リサイクルされる)のが効率的であ
り、この水を前記加湿部へ供給するのがよい。
【0023】そして、前記プロトン伝導体中に高分子材
料が含有(特に20重量%以下含有)されていれば、プ
ロトン伝導体の薄膜化が可能となり、かつ第1極から第
2極への不所望なガスの透過を防止することもできる。
【0024】即ち、高分子材料(ポリマー)は、湿潤な
ガス雰囲気下であっても膜がその形体を安定的に保持す
るのに有効に働くので好ましい。ただし、ポリマー等を
含まない場合であっても膜の安定性が確保できる材料の
場合であれば、その限りではない。その際、ポリマー材
料は、成膜性に加えて、酸解離性の材料とともに使用さ
れるため、高い耐酸性が要求される。
【0025】このような、高分子材料は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ弗化エチ
レン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチ
レンオキサイド及びポリフェニレンオキサイドから選ば
れるいずれか1種又は2種以上からなっていてよい。
【0026】そして、前記高分子材料が含水状態でプロ
トン解離性を示すものが、プロトン伝導性を高める上で
望ましく、例えばパーフルオロスルホン酸系樹脂である
のがよい。このパーフルオロスルホン酸系樹脂は前記プ
ロトン伝導体中に1〜50重量%含有されているのがよ
い。
【0027】このようなポリマーは膜を安定に構成する
支持体としての役割だけでなく、それ自身がプロトン伝
導体として働くため、全体の伝導率の向上に寄与してい
ると考えられる。このようなタイプのポリマーとして
は、例えばデュポン社の商品名:ナフィオン(Nafion)
などに代表されるパーフルオロスルホン酸系の樹脂を用
いることができる。
【0028】前記クラスター誘導体に含まれる前記プロ
トン解離性の基が、−XH(Xは2価の結合手を有する
任意の原子もしくは原子団、Hは水素原子である。)で
表わすことができる。
【0029】このようなプロトン解離性の基は、−O
H、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO
(OH)2のいずれかより選ばれる基であるのがよい。
【0030】前記クラスター誘導体が、炭素クラスター
を主成分とするのがよく、また球状炭素クラスター分子
Cm(m=36、60、70、76、78、80、8
2、84等)からなり、前記クラスター誘導体の長軸の
長さが100nm以下であり、このクラスターに2以上
の前記基が導入されているのがよい。
【0031】このようなクラスター誘導体は籠状構造、
又は少なくとも一部に開放端をもつ構造からなっていて
よい。
【0032】また、前記クラスター誘導体は、チューブ
状の形状を有する炭素質にプロトン解離性の基を導入し
てなるチューブ状炭素質誘導体を主成分として含有して
いてよい。このチューブ状炭素質誘導体は、乾燥状態で
もプロトンが解離し易く、しかもこのプロトンは常温を
含む広い温度域(少なくとも約120℃〜40℃)にわ
たって高伝導性を発揮することが可能である。このよう
な材料がこのように優れた特性を発揮できるのか、その
理由の第1は、母材とも言うべきチューブ状炭素質がそ
の表面にプロトン解離性の基、たとえば水酸基やOSO
3H等の基を多数導入できるからに他ならない。
【0033】ここに言うチューブ状炭素質とは、具体的
にはシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCN
T)やマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCN
T)などのカーボンナノチューブ(CNT)、それにカ
ーボンナノファイバー(CNF)等々を指す。
【0034】また、前記第1極及び第2極の少なくとも
一方がガス電極であり、燃料電池として構成されている
のがよい。
【0035】以下、本発明の実施の形態を図面について
更に詳細に説明する。
【0036】本発明に用いるプロトン伝導体は、炭素を
主成分とするクラスターの炭素原子にプロトン解離性の
基を導入してなるクラスター誘導体を主成分として含む
ことを特徴とする。ここで「プロトン解離性の基」と
は、電離によりプロトンが解離し得る基を意味する。
【0037】本発明者の検討によれば、炭素質に良好な
プロトン伝導性を付与するためには、炭素質にできるだ
け大量のプロトン伝導パス(移動サイト又はチャネル)
を形成する必要がある。そのため、好ましくはできるだ
け小さな炭素クラスターを用いて、その外側に2以上の
プロトン解離性の基を導入すれば、バルク全体として良
好なプロトン伝導性が発揮されることを見出すことがで
きた。
【0038】前記クラスターとは、通常は数個から数百
個の原子が結合又は凝集して形成されている集合体のこ
とであり、この凝集(集合)体によってプロトン伝導性
能が向上すると同時に、化学的性質を保持して膜強度が
十分となり、層を形成し易い。また、「炭素を主成分と
するクラスター」とは、炭素原子が、炭素−炭素間結合
の種類は問わず数個から数百個結合して形成されている
集合体のことである。ただし、必ずしも100%炭素ク
ラスターのみで構成されているとは限らず、他原子の混
在もあり得る。このような場合も含めて、炭素原子が多
数を占める集合体を炭素クラスターと呼ぶこととする。
【0039】本発明において、プロトン解離性の基の導
入対象となる母体としてのフラーレン分子は、球状クラ
スター分子であれば特に限定しないが、通常はC36、C
60(図3(A)参照)、C70(図3(B)参照)、
76、C78、C80、C82、C84などから選ばれるフラー
レン分子の単体、もしくはこれらの2種以上の混合物が
好ましく用いられる。
【0040】これらのフラーレン分子は、1985年に
炭素のレーザアブレーションによるクラスタービームの
質量分析スペクトル中に発見された(Kroto, H.W.; Hea
th,J.R.; O'Brien, S.C.; Curl, R. F.; Smalley, R.
E. Nature 1985.318,162.)。実際にその製造方法が確立
されるのは更に5 年後のことで、1990年に炭素電極
のアーク放電法による製造法が見出され、それ以来、フ
ラーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
【0041】本発明者はこのフラーレン分子の誘導体に
つき、そのプロトン伝導性を種々検討した結果、フラー
レンの構成炭素原子に水酸基を導入して得られるポリ水
酸化フラーレンは、乾燥状態でも、常温域を挟む広い温
度範囲、即ち、水の凝固点や、沸点を超えた温度範囲
(少なくとも160℃〜−40℃)で高いプロトン伝導
性を示すが、本発明に基づいて水分の存在下では一層プ
ロトン伝導性が向上することを見出すことができた。そ
して、このプロトン伝導性は水酸基に替えて硫酸水素エ
ステル基をフラーレンの構成炭素原子に導入したとき
に、より顕著になることが知見できた。
【0042】さらに詳述すると、ポリ水酸化フラーレン
は、図1に示す如く、フラーレンに複数の水酸基を付加
した構造を持ったものの総称であり、通称「フラレノー
ル(Fullerenol)」と呼ばれている。当然の事ながら、
水酸基の数やその分子内配置などには幾つかのバリエー
ションも可能である。フラレノールは1992年にChia
ngらによって最初に合成例が報告された(Chiang, L.
Y.;Swirczewski,J.W.;Hsu, C.S.; Chowdhury, S.K.; Ca
meron, S.; Creegan, K., J. Chem. Soc, Chem.Commun.
1992,1791) 。以来、一定量以上の水酸基を導入したフ
ラレノールは、特に水溶性である特徴が注目され、主に
バイオ関連の技術分野で研究されてきた。
【0043】本発明者は、そうしたフラレノールを図2
(A)に概略図示するように凝集体とし、近接し合った
フラレノール分子(図中、○はフラーレン分子を示
す。)の水酸基同士に相互作用が生じるようにしたとこ
ろ、この凝集体はマクロな集合体として、特に水分の存
在下で高いプロトン伝導特性(換言すれば、フラレノー
ル分子のフェノール性水酸基からのH+の解離性)を発
揮することを初めて知見することができた。
【0044】このような効果は、フラレノール以外にた
とえば複数の−OSO3H基をもつフラーレンの凝集体
をプロトン伝導体として用いることによっても発揮され
る。前記OH基がOSO3H基と置き換わった図2
(B)に示すようなポリ水酸化フラーレン、すなわち硫
酸水素エステル化フラレノールは、やはりChiangらによ
って1994年に報告されている(Chiang. L. Y.; Wan
g, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Soled, S.; Cameron,
S., J. Org. Chem. 1994,59,3960) 。硫酸水素エステル
化されたフラーレンには、一つの分子内にOSO3H基
のみを含むものもあるし、あるいはこの基と水酸基をそ
れぞれ複数、もたせることも可能である。
【0045】上述したフラーレン誘導体を多数凝集させ
た時、それがバルクとして示すプロトン伝導性は、分子
内に元々含まれる大量の水酸基やOSO3H基に由来す
るプロトンが移動に直接関わるため、雰囲気から水蒸気
分子などを起源とする水素、プロトンを取り込んだ場合
や、外部からの水分の補給、とりわけ外気より水分等を
吸収した場合には、プロトン伝導性が一層向上する。ま
た、これらの誘導体分子の基体となっているフラーレン
はとくに求電子性の性質を持ち、このことが酸性度の高
いOSO3H基のみならず、水酸基等においても水素イ
オンの電離の促進に大きく寄与していると考えられる。
これが、本発明のプロトン伝導体が優れたプロトン伝導
性を示す理由の一つである。
【0046】さらに、一つのフラーレン分子中にかなり
多くの水酸基およびOSO3H基等を導入することがで
きるため、伝導に関与するプロトンの、伝導体の単位体
積あたりの数密度が非常に多くなる。これが、本発明の
プロトン伝導体が実効的な伝導率を発現するもう一つの
理由である。
【0047】本発明に用いるプロトン伝導体は、その殆
どが、フラーレンの炭素原子で構成されているため、重
量が軽く、変質もし難く、また汚染物質も含まれていな
い。フラーレンの製造コストも急激に低下しつつある。
資源的、環境的、経済的にみて、フラーレンは他のどの
材料にもまして、理想に近い炭素系材料であると考えら
れる。
【0048】更に本発明者の検討によれば、プロトン解
離性の基は、前述した水酸基やOSO3H基に限定する
必要はない。
【0049】即ち、このプロトン解離性の基は式−XH
で表わされ、Xは2価の結合手を有する任意の原子もし
くは原子団であればよい。更には、この基は式−OH又
は−YOHで表わされ、Yは2価の結合手を有する任意
の原子もしくは原子団であればよい。
【0050】具体的には、前記プロトン解離性の基とし
ては、前記−OH、−OSO3H以外に−COOH、−
SO3H、−OPO(OH)2のいずれかが好ましい。
【0051】但し、本発明では、フラーレン分子に導入
する前記プロトン解離性の基の数は、フラーレン分子を
構成する炭素数の範囲内で任意でよいが、望ましくは5
個以上とするのがよい。なお、フラーレンのπ電子性を
残し、有効な電子吸引性を出すためには、上記基の数
は、フラーレンを構成する炭素数の半分以下が好まし
い。
【0052】本発明に用いる前記フラーレン誘導体を合
成するには、前記フラーレン分子の粉末に対し、たとえ
ば酸処理や加水分解等の公知の処理を適宜組み合わせて
施すことにより、フラーレン分子の構成炭素原子に所望
のプロトン解離性の基を導入すればよい。
【0053】本発明では、こうして得られたフラーレン
誘導体の粉末を所望の形状、たとえばペレットや薄膜に
加圧成形又は濾過による成形を行うことができる。この
際、バインダーは不必要であり、成形体は実質的にフラ
ーレン誘導体からなっており、このことは、プロトンの
伝導性を高める上でも、プロトン伝導体の軽量化を達成
する上でも有効である。
【0054】本発明のプロトン伝導体は、各種の電気化
学デバイスに好適に使用できる。すなわち、第1極と、
第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体
とからなる基本的構造体において、そのプロトン伝導体
に前記フラーレン誘導体を主成分として好ましく適用す
ることができる。
【0055】更に具体的に言うと、第1極及び第2極の
少なくとも一方がガス電極である電気化学デバイスに対
し、本発明を好ましく適用することが可能である。
【0056】その一例として燃料電池を説明する。
【0057】本発明の燃料電池のプロトン伝導のメカニ
ズムは図11の模式図に示すようになり、プロトン伝導
部1は第1極(たとえば水素極)2と第2極(たとえば
酸素極)3との間に挟持され、解離したプロトン
(H+)は図面矢印方向に沿って第1極2側から第2極
3側へと移動する。
【0058】図12は、本発明の燃料電池素子の一例を
示し、また図10は、ガスに水分を混合して供給するフ
ローを示す。この燃料電池は、触媒2a及び3aをそれ
ぞれ密着又は分散させた互に対向する、端子8及び9付
きの負極(燃料極又は水素極)2及び正極(酸素極)3
を有し、これらの両極間にプロトン伝導部1が挟着され
ている。使用時には、負極2側では導入口12から燃料
14として加湿された水素(即ち、H2+H2O)が供給
され、排出口13(これは設けないこともある。)から
排出される。燃料(H2)14が流路15を通過する間
にプロトンを発生し、このプロトンはプロトン伝導部1
で発生したプロトンとともに正極3側へ移動し、そこで
導入口16から流路17に供給されて排気口18へ向か
う(好ましくは加湿された)酸素(又は空気)19と反
応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0059】図13においては、水素ガス(又は水素含
有ガス)の供給源20から供給される水素ガスに、加湿
装置(又は混合部)21において水を混合して加湿し、
これを第1極である水素極(負極)2へ導入する。他
方、第2極(正極)3においても、酸素ガス(又は酸素
含有ガス)の供給源22から供給される酸素ガスに、加
湿装置(又は混合部)23において水を混合して加湿
し、これを第2極3へ導入する。上記の混合する水は、
第2極3で生じた水をドレイン溜め24を介して供給
(リサイクル)することが、生産効率面で望ましいが、
これに限られるものではない。また、水は、上記のよう
にガスに混合せず、破線で示すようにプロトン伝導体1
に直接供給してもよい。
【0060】かかる構成の燃料電池は、プロトン伝導部
1でプロトンが解離しつつ、負極2側から供給されるプ
ロトンが正極3側へ移動するので、プロトンの伝導率が
高い特徴がある。
【0061】本発明に使用可能な前記フラーレン誘導体
を高分子材料と併用することができる。この場合、デバ
イスの他の構成やプロトン伝導機構の基本的な作用は上
述したものと同じである。
【0062】即ち、本発明において、プロトン伝導体
は、一般に前記フラーレン誘導体(フラーレンを構成す
る炭素原子にプロトンを解離し得る基を導入したもの)
と高分子材料とを含有していてよい。
【0063】この高分子材料としては、公知の成膜性を
有するポリマーから1種又は2種以上が用いられ、その
配合量は、通常、20重量%以下に抑える。20重量%
を越えると、プロトンの伝導性を低下させるおそれがあ
るからである。
【0064】このような構成のプロトン伝導体も、フラ
ーレン誘導体を含有するので、前記したとほぼ同様のプ
ロトン伝導性を発揮することができる。
【0065】しかも、フラーレン誘導体単独の場合と違
って高分子材料に由来する成膜性が付与されており、既
述したフラーレン誘導体の粉末圧縮成形品に比べ、強度
の大きい、ガス透過防止能を有する柔軟なプロトン伝導
性薄膜(厚みは通常300μm以下)として用いること
ができる。
【0066】前記高分子材料としては、プロトンの伝導
性をできるだけ阻害(フラーレン誘導体との反応等によ
る)せず、成膜性を有するものなら、特に限定はしな
い。しかし、通常は電子伝導性をもたず、良好な安定性
を有するものが用いられる。その具体例は上述した通り
である。
【0067】この中で、ポリフルオロ(弗化)エチレン
が好ましく、これは、他の高分子材料に比べ、少量の配
合量で強度のより大きな薄膜を容易に成膜できるからで
ある。この場合の配合量は、3重量%以下、好ましくは
0.5〜1.5重量%と少量ですみ、薄膜の厚みは通
常、100μmから1μmまでと薄くできる。
【0068】また、ポリフッ化ビニリデンもよりすぐれ
たガス透過防止能を有するプロトン伝導性の薄膜が得ら
れるので、好ましい。この場合の配合量は5〜15重量
%の範囲とするのがよい。
【0069】ポリフルオロエチレンやポリフッ化ビニリ
デン等のポリマーの配合量が上述したそれぞれの範囲の
下限値を下回ると、成膜に悪影響を及ぼすことがある。
【0070】このような、ポリマー含有のプロトン伝導
体の薄膜を得るには、押出し成形を始め、加圧成形、濾
過、塗布等の公知の成膜手段を用いればよい。
【0071】このプロトン伝導体も、既述したと同様の
電気化学デバイスに好ましく適用することができる。
【0072】すなわち、第1極と第2極との間に、ポリ
マー含有のプロトン伝導体薄膜を挟持させることを除い
て、他の構成は上述した電気化学デバイスと共通させて
よい。
【0073】この電気化学デバイスも、上述した電気化
学デバイスと同様のメカニズムでプロトン伝導効果を発
揮することができる。しかもプロトン伝導体は、フラー
レン誘導体を成膜性のある高分子材料と併用しているの
で、強度の向上した、さらにはガス透過性の小さな薄膜
の形で使用することができ、良好なプロトン伝導性を発
揮することが可能である。
【0074】次に、本発明に使用可能な、プロトン伝導
性の炭素クラスター誘導体について説明する。
【0075】即ち、このプロトン伝導体は、炭素クラス
ターを母体とする炭素クラスター誘導体(炭素クラスタ
ーを構成する炭素原子にプロトン解離性の基を導入した
もの)を主成分として含有している。
【0076】この場合、母体に炭素クラスターを用いる
のは、良好なプロトン伝導性を付与するためには、大量
のプロトン解離性の基を導入することが必要であり、こ
れは炭素クラスターによって可能になるからである。し
かし、このようにすると、固体状のプロトン伝導体の酸
性度が著しく大きくなるが、炭素クラスターは外の通常
の炭素質と違って酸化劣化し難く、耐久性に優れてお
り、構成原子間が密に結合し合っているために、酸性度
が大であっても原子間の結合がくずれることはなく(即
ち、化学的に変化しにくいため)、膜構造を維持するこ
とができる。
【0077】このような構成のプロトン伝導体も、乾燥
状態でも、更には水分の存在下では上述したプロトン伝
導体と類似した高いプロトン伝導性を発揮することがで
きる。
【0078】炭素クラスターとは、炭素原子が、炭素−
炭素間結合の種類を問わず、数個から数百個結合して形
成されている集合体のことである(ただし、百%炭素か
ら構成されていなくてもよい)。この集合体を図面で説
明すると(但し、水酸基等のプロトン解離性の基は図示
省略)、図4〜図7に示すとおりであり、プロトン伝導
体の原料としての選択の幅が広いものである。
【0079】まず、図4に示すものは、炭素原子が多数
個集合してなる、球体又は長球、又はこれらに類似する
閉じた面構造を有する種々の炭素クラスターである(但
し、分子状のフラーレンも併せて示す)。それに対し
て、それらの球構造の一部が欠損した炭素クラスターを
図5に種々示す。この場合は、構造中に開放端を有する
点が特徴的であり、このような構造体は、アーク放電に
よるフラーレンの製造過程で副生成物として数多く見ら
れるものである。炭素クラスターの大部分の炭素原子が
SP3結合していると、図6に示すようなダイヤモンド
の構造を持つ種々のクラスターとなる。
【0080】大部分の炭素原子がSP2結合しているク
ラスターは、グラファイトの平面構造を持つか、あるい
はフレーレンやナノチューブの全体又は一部の構造を有
する。このうち、グラファイトの構造を有するものは、
クラスターに電子伝導性を持つものが多いため、プロト
ン伝導体の母体としては好ましくない。
【0081】それに対し、フラーレンやナノチューブの
SP2結合は、一部にSP3結合の要素を含んでいるた
め、電子伝導性をもたないものが多く、プロトン伝導体
の母体として好ましい。
【0082】図7は、クラスター同士が結合した場合を
種々示すものであり、このような構造体でも、本発明に
適用できる。
【0083】本発明においては、前記炭素クラスターを
構成する炭素原子に、上述したプロトン解離性の基を導
入することが必要である。このプロトン解離性の基の導
入手段としては、次の製造方法が好ましい。
【0084】すなわち、まず炭素系電極のアーク放電に
よってカーボン粉末からなる炭素クラスターを製造し、
続いてこの炭素クラスターを酸処理するか(硫酸などを
用いる)、更に加水分解等の処理を行うか、または更に
スルホン化又はリン酸エステル化等を適宜行うことによ
って、目的生成物である炭素クラスター誘導体を容易に
得ることができる。
【0085】この炭素クラスター誘導体はそのまま、バ
インダーなしで膜状やペレットなどの形状に加圧成形す
ることができる。本発明において、母体である炭素クラ
スターは長軸の長さが100nm以下のもの、とくに1
00Å以下のものが好ましく、それに導入する前記基の
数は2以上が望ましい。
【0086】さらに前記炭素クラスターとして、籠状構
造体(フラーレンなど)又は少なくとも一部に開放端を
もつ構造体が好ましい。このような欠陥構造のフラーレ
ンは、フラーレンの反応性をもつと同時に、加えて欠陥
部すなわち開放部は更に高い反応性を持つ。したがっ
て、酸処理等によって酸(プロトン)解離性の置換基導
入が促進され、より高い置換基導入率が得られ、高いプ
ロトン伝導性が得られる。また、フラーレンに比べて大
量に合成することが可能となり、非常に安価に生産でき
る。
【0087】なお、本発明においては、母体の炭素クラ
スターに導入する基の種類などは既述したものと共通し
ている。
【0088】また、上述したチューブ状炭素質は、その
チューブの径に比べ軸方向が非常に長く、しかもチュー
ブ状炭素質同士が複雑に絡んだ独自の形態もしくは構造
を取ることができる。このため、その表面にはたとえば
水酸基やOSO3Hなどプロトン解離能を有する基をプ
ロトンの伝導に利するように多数導入することができる
(図8〜図10参照)。すなわち、この材料によると、
その特異な形態の故に、水分子等のキャリア分子を移動
媒体とせずにプロトンの単独移動が可能になるまでプロ
トンの安定サイトの数を増やすことができ、しかもその
安定サイトを材料全体にわたって連続的に配置すること
が可能である。
【0089】このようにプロトン解離性の基を導入した
チューブ状炭素質誘導体は、プロトン解離性の基をフラ
ーレンの炭素原子に導入してなるフラーレン誘導体と混
合して用いてよい。
【0090】このチューブ状炭素質誘導体は、次のよう
にして容易に製造することができる。
【0091】すなわち、ハロゲン化チューブ状炭素質又
は非ハロゲン化チューブ状炭素質を原料とし、これを加
水分解、加水分解及び酸処理、プラズマ処理又は/及び
酸処理から選ばれる方法により処理する。いずれの場合
も、目的生成物であるチューブ状炭素質誘導体を効率的
に製造することが可能である。
【0092】更に、本発明者による知見によると、こう
して製造されたチューブ状炭素質誘導体は、例えば水な
どの液体中に分散させ、これをろ過プロセスに通すこと
によって、容易にフィルム状とすることができる。
【0093】このフィルムはチューブ状炭素質誘導体の
分子同士がからみ合った、強度の大きな安定性に富むプ
ロトン伝導性の良好なフィルムである。電気デバイスに
はプロトン伝導体として前記チューブ状炭素質誘導体の
凝集体が必要であるが、電気デバイス、特に燃料電池向
けには単なる凝集体でなく、安定性に富む緻密で強度の
大きなプロトン伝導性の良好な薄膜が要望されるので、
前記フィルムは、そうした用途に特にふさわしい材料で
ある。
【0094】このチューブ状炭素質としては、直径がお
およそ数ナノメートル以下、代表的には1から2ナノメ
ートルのカーボンナノチューブ(CNT)と呼ばれるも
のと、直径が数ナノメートル以上、巨大なものでは直径
が1ミクロンにも達するカーボンナノファイバー(CN
F)と呼ばれるものがある。また特にCNTには、単層
のチューブからなるシングルウォールカーボンナノチュ
ーブ(SWCNT)と、2つ以上の層が同心円的に重な
っているマルチウォールカーボンナノチューブ(MWC
NT)の2種類が知られている。前者の分子模型図を図
8に示す。いずれも本発明に言うチューブ状炭素質に該
当する代表例であり、本発明ではそれらに限定する必要
はない。
【0095】これらのチューブ状炭素質の構成炭素原子
にさらにプロトン解離性の基を導入して、チューブ状炭
素質誘導体とすることが必要である。図8及び図9は水
酸基を導入してなるチューブ状炭素質誘導体を示し、図
10はOSO3H基を導入してなるチューブ状炭素質誘
導体を示す。
【0096】このチューブ状炭素質誘導体を製造するに
は、ハロゲン化チューブ状炭素質(チューブ状炭素質を
ハロゲン化処理して得られるもの)を原料とし、これを
酸処理、たとえば硫酸や硝酸などで処理するか(OSO
3H基の導入の場合)、あるいは加水分解するとよい
(OH基の導入の場合)。更にこの加水分解の後に酸処
理を行なって、基を置換してもよい。また、ハロゲン化
しないチューブ状炭素質をそのまま原料に用いるとき
は、これを酸処理、たとえば硫酸や硝酸などを用いて処
理するとよい(OSO3H基の導入の場合)。なお、前
記ハロゲンの種類は限定しなくてもよいが、そのうちの
フッ素などは実用的観点から好ましい。
【0097】以上は湿式化学法に基づくチューブ状炭素
質誘導体の製造方法であるが、この他にもプラズマを用
いる乾式製造法と言うべき手法も有効である。これはハ
ロゲン化チューブ状炭素質をたとえば酸素ガス中にてプ
ラズマ処理し、次いで水素ガス中にてプラズマ処理する
もので(OH基の導入の場合)、この手法も、チューブ
状炭素質にプロトン解離性の基を効果的に導入すること
ができる。
【0098】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。
【0099】<例1のポリ水酸化フラーレンの合成>こ
の合成は、文献(Chiang,L.Y.;Wang,L.Y.;Swirczewski.
J.W.;Soled, S.;Cameron, S., J.Org.Chem.1994,59,396
0)を参考にしておこなった。C70を約15%含むC60
70フラーレン混合物の粉末2gを発煙硫酸30ml中
に投じ、窒素雰囲気中で60℃に保ちながら3日間攪拌
した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチ
ルエーテル中に少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離
で分別し、さらにジエチルエーテルで3回、およびジエ
チルエーテルとアセトニトリルの2:1混合液で2回洗
浄したあと、40℃にて減圧中で乾燥させた。さらに、
この乾燥物を60mlのイオン交換水中に入れ、85℃
で窒素によるバブリングを行いながら10時間攪拌し
た。反応生成物は遠心分離によって沈殿物を分離し、こ
の沈殿物をさらに純水で数回洗浄し、遠心分離を繰り返
した後に、40℃で減圧乾燥した。このようにして得ら
れた茶色の粉末のFT−IR測定を行ったところ、上記
文献に示されているC60(OH)12のIRスペクトルと
ほぼ一致し、この粉末が目的物質であるポリ水酸化フラ
ーレンと確認された。上記の反応は、例えばC60につい
て次のように表わすことができる。
【化1】
【0100】<ポリ水酸化フラーレン凝集ペレットの製
造>次に、このポリ水酸化フラーレンの粉末90mgを
とり、直径15mmの円形ペレット状になるように一方
方向へのプレスを行った。この時のプレス圧は約5トン
/cm2であった。その結果、このポリ水酸化フラーレ
ンの粉末は、バインダー樹脂等を一切含まないにも拘わ
らず、成形性に優れており、容易にペレット化すること
ができた。そのペレットは厚みが約300ミクロンで、
これを例1のペレットとする。
【0101】<例2のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステル(全エステル化)の合成>これも同様に、前記の
文献を参考にしておこなった。ポリ水酸化フラーレンの
粉末1gを60mlの発煙硫酸中に投下し、室温にて窒
素雰囲気下で3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴
内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下
し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエ
ーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリ
ルの2:1混合液で2回洗浄した後、40℃にて減圧下
で乾燥させた。このようにして得られた粉末のFT−I
R測定を行ったところ、前記文献中に示されている、す
べての水酸基が硫酸水素エステル化されたもののIRス
ペクトルとほぼ一致し、この粉末が目的物質であるポリ
水酸化フラーレン硫酸水素エステルと確認できた。
【0102】上記の反応は、例えばC60(OH)yにつ
いて次のように表わすことができる(以下、同様)。
【化2】
【0103】<ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル
凝集ペレットの製造>このポリ水酸化フラーレン硫酸水
素エステルの粉末70mgをとり、直径15mmの円形
ペレット状になるように一方方向へのプレスを行った。
この時のプレス圧は約5トン/cm2であった。その結
果、この粉末はバインダー樹脂等を一切含まないにも拘
わらず、成形性に優れており、容易にペレット化するこ
とができた。このペレットは厚みが約300ミクロン
で、これを例2のペレットとする。
【0104】<例3のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステル(部分エステル化)の合成>C70を約15%含むC
60/C70フラーレン混合物の粉末2gを発煙硫酸30m
l中に投じ、窒素の雰囲気中にて、60℃に保ちながら
3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした
ジエチルエーテル中に少しずつ投下した。ただし、この
場合のジエチルエーテルは脱水処理を行っていないもの
を用いた。得られた沈殿物を遠心分離で分別し、さらに
ジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルとア
セトニトリルの2:1混合液で2回洗浄した後、40℃
にて減圧下で乾燥させた。このようにして得られた粉末
のFT−IR測定を行ったところ、前記文献に示されて
いる、部分的に水酸基とOSO3H基を含むフラーレン
誘導体のIRスペクトルとほぼ一致し、この粉末が目的
物質であると、確認できた。この反応は、例えばC60
ついて次のように表わすことができる(以下、同様)。
【化3】
【0105】<例3のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステル凝集ペレットの製造>一部が硫酸水素エステル化
されたこのポリ水酸化フラーレンの粉末80mgをと
り、直径15mmの円形ペレット状になるように一方方
向へのプレスを行った。この時のプレス圧は約5トン/
cm2であった。その結果、この粉末はバインダー樹脂
等を一切含まないにも拘わらず、成形性に優れており、
容易にペレット化することができた。このペレットは厚
みが約300ミクロンで、これを例3のペレットとす
る。
【0106】<例4のフラーレン凝集ペレットの製造>
比較のため、前記実施例で合成原料に用いたフラーレン
の粉末90mgをとり、直径16mmの円形ペレット状
になるように一方方向へのプレスを行った。この時のプ
レス圧は約5トン/cm2であった。その結果、この粉
末はバインダー樹脂等を一切含まないにも拘わらず、成
形性に比較的すぐれており、割合容易にペレット化する
ことができた。このペレットは厚みが約300ミクロン
で、これを例4のペレットとする。
【0107】≪例1〜4のペレットのプロトン伝導率の
測定≫例1〜4のペレットの伝導率を測定するために、
まず、ペレットと等しい直径15mmのアルミニウム板
でそれぞれのペレットの両側を挟み、これに7MHzか
ら0.01Hzまでの交流電圧(振幅0.1V)を印加
し、各周波数における複素インピーダンスを測定した。
測定は、乾燥雰囲気下で行った。
【0108】インピーダンス測定に関し、上記の例1〜
3のペレットからなるプロトン伝導体のプロトン伝導部
1は、電気的には、図14(A)に示すような等価回路
を構成しており、抵抗4と容量5の並列回路で表される
プロトン伝導部1も含めて、第1極2と第2極3との間
にそれぞれ容量6と6’とを形成している。なお、容量
5はプロトンが移動するときの遅延効果(高周波のとき
の位相遅れ)を表し、抵抗4はプロトンの動き易さのパ
ラメータを表す。
【0109】ここで、測定インピーダンスZは、Z=R
e(Z)+i・Im(Z)で表され、上記等価回路で示
されるプロトン伝導部の周波数依存性を調べた。
【0110】なお、図14(B)は、プロトン解離性の
ない通常のフラーレン分子を用いた場合(上記の例4)
の等価回路であり、図中の1aはフラーレン部である。
【0111】図15に、例1および例4におけるペレッ
トについてのインピーダンス測定結果を示す。
【0112】これによれば、例4においては、複素イン
ピーダンスの周波数特性Bはおおよそキャパシター単独
の挙動と同様であり、フラーレン自体の凝集体について
は荷電粒子(電子、イオンなど)の伝導挙動は一切観測
されなかった。それに比べて例1の場合Aは、高周波数
部分に偏平ではあるが、非常にきれいな単一の半円状円
弧を見ることができる。これは、ペレット内部において
なんらかの荷電粒子の伝導挙動が存在していることを示
している。さらに、低周波数領域においては、インピー
ダンスの虚数部分の急激な上昇が観測される。これは、
徐々に直流電圧に近づくにつれてアルミニウム電極との
間で荷電粒子のブロッキングが生じていることを示して
おり、当然、アルミニウム電極側における荷電粒子は電
子であるから、ペレット内部の荷電粒子は電子やホール
ではなく、それ以外の荷電粒子、すなわちイオンである
ことがわかる。用いたフラレノールの構成から、この荷
電粒子はプロトン以外には考えられない。
【0113】高周波数側に見られる円弧のX軸切片か
ら、この荷電粒子の伝導率を求めることができ、例1の
ペレットにおいては、おおよそ5×10-6S/cmと計
算される。更に、例2および例3のペレットについても
同様の測定を行ったところ、例1の場合と全体の形状に
ついては同様なインピーダンスの周波数特性となった。
ただし、円弧部分のX切片から求められる伝導率は表1
に示すようにそれぞれ異なる値となった。
【0114】
【表1】表1 本発明に基づくプロトン伝導体ペレット
の伝導率(25℃)
【0115】このように、水酸基がOSO3H基に置き
換わると、ペレット中の伝導率は大きくなる傾向を示し
ている。これは、水酸基よりもOSO3H基の方が水素
の電離が起こり易いことによるものである。そして、水
酸基、OSO3H基のどちらの場合も、または双方が混
在する場合においても、この種のフラーレン誘導体の凝
集体は、室温でプロトン伝導が可能であることを見出す
ことができた。
【0116】次に、例1のペレットを用い、上記の複素
インピーダンス測定を160℃から−40℃までの温度
範囲で行い、その時の高周波側の円弧から求めた伝導率
の温度依存性を調べた。結果をアレニウス型のプロット
として示したのが図16である。このように、160℃
から−40℃において伝導率が直線的に変化しているこ
とがわかる。つまり、この図は、上記温度範囲において
単一のイオン伝導機構が進行可能であることを示してい
る。すなわち、本発明に基づくプロトン伝導体は、室温
を含む広い温度範囲、特に160℃といった高温や−4
0℃といった低温においても伝導が可能である。
【0117】<例5のポリ水酸化フラーレンペレットの
製造>前述した合成法により得られたポリ水酸化フラー
レンの粉末70mgをとり、これとポリフッ化ビニリデ
ンの粉末10mgとを混合し、ジメチルホルムアミド
0.5mlを加えてよく攪拌した。この混合物を直径1
5mmの円形の型に流し込み、減圧下において溶媒を蒸
発させた。その後、プレスを行い、直系15mmのペレ
ットを得た。このペレットは厚みが約300ミクロンで
あった。これを例5のペレットとする。
【0118】<例6のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステル(全エステル化)の合成>これも同様に、既述し
た文献を参考にしておこなった。ポリ水酸化フラーレン
の粉末1gを60mlの発煙硫酸中に投下し、室温にて
窒素雰囲気下で3日間攪拌した。得られた反応物を、氷
浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下
し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエ
ーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリ
ルの2:1混合液で2回洗浄した後、40℃にて減圧下
で乾燥させた。このようにして得られた粉末のFTIR
測定を行ったところ、前記文献中に示されている、すべ
ての水酸基が硫酸水素エステル化されたもののIRスペ
クトルとほぼ一致し、この粉末が目的物質であると、確
認できた。
【0119】<例6のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステルペレットの製造>このポリ水酸化フラーレン硫酸
水素エステルの粉末70mgをとり、これとポリフッ化
ビニリデンの粉末10mgとを混合し、ジメチルホルム
アミド0.5mlを加えてよく攪拌した。この混合物を
直径15mmの円形の型に流し込み、減圧下において溶
媒を蒸発させた。その後、プレスを行い、直径15mm
のペレットを得た。このペレットは厚みが約300ミク
ロンであった。これを例6のペレットとする。
【0120】<例7のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エ
ステルペレットの製造>一部が硫酸水素エステル化され
たこのポリ水酸化フラーレンの粉末70mgをとり、こ
れとポリフッ化ビニリデンの粉末10mgとを混合し、
ジメチルホルムアミド0.5mlを加えてよく攪拌し
た。この混合物を直径15mmの円形の型に流し込み、
減圧下において溶媒を蒸発させた。その後、プレスを行
い、直径15mmのペレットを得た。このペレットは厚
みが約300ミクロンであった。これを例7のペレット
とする。
【0121】<例8のフラーレンペレットの製造>比較
のため、前記例1で合成原料として用いたフラーレンの
粉末90mgをとり、これとポリフッ化ビニリデンの粉
末10mgとを混合し、ジメチルホルムアミド0.5m
lを加えてよく攪拌した。この混合物を直径15mmの
円形の型に流し込み、減圧下において溶媒を蒸発させ
た。その後、プレスを行い、直径15mmのペレットを
得た。このペレットは厚みが約300ミクロンであっ
た。これを例8のペレットとする。
【0122】≪例5〜8のペレットのプロトン伝導率の
測定≫例5〜8のペレットの伝導率の測定を上述したと
同様に行ったところ、図17に示すインピーダンス測定
結果が得られた。
【0123】これによれば、例8においては、複素イン
ピーダンスの周波数特性Dはおおよそキャパシター単独
の挙動と同様であり、フラーレン自体の凝集体について
は荷電粒子(電子、イオンなど)の伝導挙動は一切観測
されなかった。それに比べて例5の場合Cは、高周波数
部分に偏平ではあるが、非常にきれいな単一の半円状円
弧を見ることができる。これは、ペレット内部において
なんらかの荷電粒子の伝導挙動が存在していることを示
している。さらに、低周波数領域においては、インピー
ダンスの虚数部分の急激な上昇が観測される。これは、
徐々に直流電圧に近づくにつれてアルミニウム電極との
間で荷電粒子のブロッキングが生じていることを示して
おり、当然、アルミニウム電極側における荷電粒子は電
子であるから、ペレット内部の荷電粒子は電子やホール
ではなく、それ以外の荷電粒子、すなわちイオンである
ことがわかる。用いたフラレノールの構成から、この荷
電粒子はプロトン以外には考えられない。
【0124】高周波数側に見られる円弧のX軸切片か
ら、この荷電粒子の伝導率を求めることができ、例5の
ペレットにおいては、おおよそ1×10-6S/cmと計
算される。更に、例6および例7のペレットについても
同様の測定を行ったところ、例5の場合と全体の形状に
ついては同様なインピーダンスの周波数特性となった。
ただし、円弧部分のX切片から求められる伝導率は表2
に示すようにそれぞれ異なる値となった。
【0125】
【表2】表2 本発明に基づくプロトン伝導体ペレット
の伝導率(25℃) *例9〜11はそれぞれ例5〜7においてポリマーとし
てポリテトラフルオロエチレン(1重量%)を用いた例
である。
【0126】このように、バインダー種によらず、水酸
基がOSO3H基に置き換わると、ペレット中の伝導率
は大きくなる傾向を示している。これは、水酸基よりも
OSO3H基の方が水素の電離が起こり易いことによる
ものである。そして、水酸基、OSO3H基のどちらの
場合も、または双方が混在する場合においても、この種
のフラーレン誘導体の成形体は乾燥雰囲気中において、
室温でプロトン伝導が可能であることを見出すことがで
きた。
【0127】次に、例5のペレット4Aを用い、上記の
複素インピーダンス測定を160℃から−40℃までの
温度範囲で行い、その時の高周波側の円弧から求めた伝
導率の温度依存性を調べた。結果をアレニウス型のプロ
ットとして示したのが図18である。これによると、1
60℃から−40℃において直線的に変化していること
がわかる。つまり、この温度範囲において単一のイオン
伝導機構が進行可能であることがわかる。すなわち、本
発明の第2のプロトン伝導体は、室温を含む広い温度範
囲、特に160℃といった高温や−40℃といった低温
においても伝導が可能である。
【0128】<例12の炭素クラスター誘導体の製造>
両極に炭素棒を用い、0.05MPaアルゴン中で20
0アンペアの電流値においてアーク放電を行い、カーボ
ン粉末1gを得た。これを60%発煙硫酸100mlと
混合し、窒素気流中で60℃に3日間保持した。加熱に
はウォーターバスを用いた。反応後、反応溶液を500
mlの純水中へ少量づつ滴下し、この水溶液から遠心分
離法により固形分を分離した。この固形分は、無水ジエ
チルエーテルで数回洗浄し、減圧中40℃で5時間乾燥
させた。乾燥終了後、粉末を10mlのテトラヒドロフ
ランに溶かし、不溶成分をろ過により取り除いた後、溶
媒を減圧で蒸発させ、再び固形分を得た。この固形分5
0mgを取り、約5トン/cm2の圧力で直径15mm
の円形のペレットを作成した。このペレットを例12の
ペレットとする。
【0129】≪実施例12のペレットのプロトン伝導率
の測定≫このペレットの交流インピーダンスの測定を前
記と同様にして乾燥空気中にて行った結果、7MHz以
下の周波数領域において、イオン伝導に起因するインピ
ーダンス挙動を確認した。その円弧の直径より、この例
12のペレットの伝導率は、3.0×10-4S/cmと
計算された。
【0130】<例13の炭素クラスター誘導体の製造>
両極に炭素棒を用い、0.05MPaアルゴン中で20
0アンペアの電流値においてアーク放電を行い、カーボ
ン粉末1gを得た。この粉末をトルエンに溶解し、不溶
成分をろ過により取り除いた後、溶媒を減圧で蒸発さ
せ、再び粉末を得た。この粉末を60%発煙硫酸100
mlと混合し、窒素気流中で60℃に3日間保持した。
加熱にはウォーターバスを用いた。反応後、反応溶液を
500mlの純水中へ少量づつ滴下し、この水溶液から
遠心分離法により固形分を分離した。この固形分は、無
水ジエチルエーテルで数回洗浄し、減圧中40℃で5時
間乾燥させた。得られた固形分50mgを取り、約5ト
ン/cm2の圧力で直径15mmの円形のペレットを作
成した。このペレットを例13のペレットとする。
【0131】≪例13のペレットのプロトン伝導率の測
定≫このペレットの交流インピーダンスの測定を前記と
同様にして乾燥空気中にて行なった結果、7MHz以下
の周波数領域において、イオン伝導に起因するインピー
ダンス挙動を確認した。その円弧の直径より、この実施
例8のペレットの伝導率は、3.4×10-4S/cmと
計算された。
【0132】アーク放電法で得られた上記のカーボン粉
末の主成分は、籠状構造のごとき閉じた構造をもたず、
少なくとも一部に開放端をもつような炭素クラスター分
子である。ただし、若干含まれているグラファイト構造
に近い良好な電子伝導性を持つものについてはイオン伝
導体としての働きを阻害するので、例12においては酸
処理後に、例13においてはアーク放電直後にそれぞれ
除去し、交流インピーダンス法によってペレットが電子
伝導性をもたないことが確認できた。図19に、アーク
放電により得られたカーボン粉末のTOF−MSスペク
トルを示す。このように大部分が質量数5500以下の
ものであり、これは炭素数500以下に相当する。この
炭素−炭素結合距離は最大でも2Åを超えないので、こ
こに含まれる炭素クラスターは最大でも100nmを超
えることはない。
【0133】次に、上記のポリ水酸化フラーレンを用い
て燃料電池を作製した実施例を説明する。
【0134】実施例1 例1のポリ水酸化フラーレン(フラレノール)粉末0.
3gをテトラヒドロフラン1g中に混合し、超音波振動
器中に10分間投入し、完全に溶解させた。次に、Pt
触媒付き電極を作製し、さらに長方形の穴をもつプラス
チック製のマスクを触媒側を上にした上記電極の上にの
せ、先に作製しておいた上記のフラレノール溶液をたら
し、マスクの穴の中で均一に広げる。その後、室温で乾
燥させた後、マスクを外した。その上に、同一のPt触
媒付き電極を触媒面を下にして重ね、1平方センチメー
トル当り約5トンの圧力でプレスし、素子を完成させ
た。これを図12に示した如き燃料電池セル内に組み込
み、片面を加湿された水素ガスに、もう片面を加湿され
た大気に開放して、発電試験を行なった。
【0135】実施例2 実施例1と同様にフラレノールのテトラヒドロフラン溶
液を作製した後、これにポリ弗化ビニリデンの粉末0.
03gを溶解させ、この溶液を実施例1と同様に電極上
に塗布して燃料電池素子を作製した。
【0136】実施例3 混合するポリマーとして、ポリ弗化ビニリデンではなく
パーフルオロスルホン酸系の樹脂であるデュポン社製の
Nafionを用い、このアルコール+水の混合溶液
(5重量%濃度)をNafionの混合率が全体の5重
量%となるようにして混合したこと以外は実施例2と同
様にして、実施例3の燃料電池素子を作製した。
【0137】≪発電試験≫このようにして作製した実施
例1〜3の燃料電池素子を、ガスの加湿が可能な燃料電
池発電システムの中に組み込み、素子の発電試験を行な
った。この場合の加湿条件は、水素極側を30℃で10
0%加湿(水蒸気分圧4.2kPa)した。また、実施
例1〜3にそれぞれ対応した比較例1〜3として、同じ
素子をガス加湿なしに発電することを試みた。
【0138】図20に発電試験結果を示すが、加湿ガス
を使用した実施例1〜3はいずれも、加湿しない比較例
1〜3に比べて発電出力が向上していることが分る。こ
れは、水分の存在下でプロトン伝導性が向上しているこ
とによるものと考えられる。ナフィオンを用いた実施例
3は比較的良好な結果を示している。
【0139】
【発明の作用効果】以上の説明から明らかなように、本
発明によれば、プロトン解離性の基が導入された炭素ク
ラスター誘導体を含むプロトン伝導体に水分を供給し、
このプロトン伝導体を湿潤状態にして作動させているの
で、プロトン伝導体を非湿潤状態にした場合に比べ、プ
ロトン伝導性が向上するため、より高い出力が得られ
る。
【0140】また、本発明におけるプロトン伝導体は、
炭素クラスターを母体として、これにプロトンを解離性
の基を導入した炭素クラスター誘導体を主成分として含
有するので、プロトン伝導性、作動温度、システムの簡
略化、小型化、経済性等の点において優れたものとな
り、かつ、炭素クラスターには多数の炭素原子が結合し
て含まれているので、酸化劣化し難い構造となり、また
その原料の選択幅が広くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるフラーレン誘導体の一例である
ポリ水酸化フラーレンの構造図である。
【図2】同、フラーレン誘導体の例を示す模式図であ
る。
【図3】同、フラーレン分子のみの構造図である。
【図4】本発明のプロトン伝導体において母体となるカ
ーボンクラスターの種々の例を示す模式図である。
【図5】同、カーボンクラスターの他の例(部分フラー
レン構造)を示す模式図である。
【図6】同、カーボンクラスターの他の例(ダイヤモン
ド構造)を示す模式図である。
【図7】同、カーボンクラスターの更に他の例(クラス
ター同士が結合しているもの)を示す模式図である。
【図8】同、チューブ状炭素質誘導体の構造図である。
【図9】同、誘導体の模式図である。
【図10】同、別のチューブ状炭素質誘導体の模式図で
ある。
【図11】本発明のプロトン伝導体の一例を示す模式図
である。
【図12】本発明の一実施の形態による燃料電池素子の
概略構成図である。
【図13】同、燃料電池素子へのガスの加湿を行うフロ
ーを含めた概略図である。
【図14】例1に用いたペレットの電気的な等価回路を
比較して示す図である。
【図15】同、ペレットの複素インピーダンスの測定結
果を比較して示す図である。
【図16】同、ペレットのプロトン伝導率の温度依存性
を示す図である。
【図17】例5に用いたペレットの複素インピーダンス
の測定結果を比較して示す図である。
【図18】同、ペレットのプロトン伝導率の温度依存性
を示す図である。
【図19】例13において炭素電極のアーク放電法によ
って製造された炭素粉末のTOF−MSスペクトル図で
ある。
【図20】本発明の実施例1〜3による燃料電池素子の
発電試験結果を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1…プロトン伝導部、2…第1極(水素極:負極)、2
a…触媒、3…第2極(酸素極:正極)、3a…触媒、
14…加湿された水素、19…加湿された酸素(空
気)、20…水素ガス供給部、21、23…加湿装置、
22…酸素ガス供給部、24…ドレイン溜め

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素含有ガスを供給する第1極と、酸素
    含有ガスを供給する第2極と、これらの両極間に挟持さ
    れたプロトン伝導体とからなり、このプロトン伝導体
    が、炭素を主成分とするクラスターの炭素原子にプロト
    ン解離性の基を導入してなるクラスター誘導体を含み、
    前記プロトン伝導体に水分を送る水分供給手段を有す
    る、電気化学デバイス。
  2. 【請求項2】 前記水素含有ガス及び前記酸素含有ガス
    のうち少なくとも前記水素含有ガスに水分を混合する混
    合部を有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 【請求項3】 前記混合部により加湿された前記ガス中
    における水蒸気分圧が1kPa以上、200kPa以下
    である、請求項2に記載の電気化学デバイス。
  4. 【請求項4】 前記水蒸気分圧が10kPa以上、10
    0kPa以下である、請求項3に記載の電気化学デバイ
    ス。
  5. 【請求項5】 加湿部を介して水分含有水素ガスを前記
    第1極側へ供給する構成とした、請求項1に記載の電気
    化学デバイス。
  6. 【請求項6】 加湿部を介して水分含有酸素ガスを前記
    第2極側へ供給する構成とした、請求項1に記載の電気
    化学デバイス。
  7. 【請求項7】 前記加湿部を介して水分を前記プロトン
    伝導体へ供給する構成とした、請求項1に記載の電気化
    学デバイス。
  8. 【請求項8】 前記第2極で生じた水が前記水分として
    用いられる、請求項1に記載の電気化学デバイス。
  9. 【請求項9】 前記第2極で生じた水を前記加湿部へ供
    給する構成とした、請求項5〜7のいずれか1項に記載
    の電気化学デバイス。
  10. 【請求項10】 前記プロトン伝導体中に高分子材料が
    含有されている、請求項1に記載の電気化学デバイス。
  11. 【請求項11】 前記高分子材料が、ポリエチレン、ポ
    リプロピレン、ポリカーボネート、ポリ弗化エチレン、
    ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオ
    キサイド及びポリフェニレンオキサイドから選ばれるい
    ずれか1種又は2種以上からなる、請求項10に記載の
    電気化学デバイス。
  12. 【請求項12】 前記高分子材料が前記プロトン伝導体
    に20重量%以下含有されている、請求項10に記載の
    電気化学デバイス。
  13. 【請求項13】 前記高分子材料が含水状態でプロトン
    解離性を示すものである、請求項10に記載の電気化学
    デバイス。
  14. 【請求項14】 前記高分子材料がパーフルオロスルホ
    ン酸系樹脂である、請求項13に記載の電気化学デバイ
    ス。
  15. 【請求項15】 前記高分子材料がパーフルオロスルホ
    ン酸系樹脂であり、これが前記プロトン伝導体中に1〜
    50重量%含有されている、請求項14に記載の電気化
    学デバイス。
  16. 【請求項16】 前記プロトン解離性の基が、−XH
    (Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子
    団、Hは水素原子である。)である、請求項1に記載の
    電気化学デバイス。
  17. 【請求項17】 前記プロトン解離性の基が、−OH、
    −OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(O
    H)2のいずれかより選ばれる基である、請求項1に記
    載の電気化学デバイス。
  18. 【請求項18】 前記クラスター誘導体が、球状炭素ク
    ラスター分子Cm(m=36、60、70、76、7
    8、80、82、84等)からなる、請求項1に記載の
    電気化学デバイス。
  19. 【請求項19】 前記クラスター誘導体の長軸の長さが
    100nm以下であり、このクラスターに2以上の前記
    基が導入されている、請求項1に記載の電気化学デバイ
    ス。
  20. 【請求項20】 前記クラスター誘導体が籠状構造、又
    は少なくとも一部に開放端をもつ構造からなっている、
    請求項1に記載の電気化学デバイス。
  21. 【請求項21】 前記クラスター誘導体が炭素クラスタ
    ーを主成分とする、請求項1に記載の電気化学デバイ
    ス。
  22. 【請求項22】 前記クラスター誘導体が、チューブ状
    炭素質にプロトン解離性の基を導入してなるチューブ状
    炭素質誘導体を主成分として含む、請求項1に記載の電
    気化学デバイス。
  23. 【請求項23】 前記チューブ状炭素質が、シングルウ
    ォールカーボンナノチューブである、請求項22に記載
    の電気化学デバイス。
  24. 【請求項24】 前記チューブ状炭素質が、マルチウォ
    ールカーボンナノチューブである、請求項22に記載の
    電気化学デバイス。
  25. 【請求項25】 前記チューブ状炭素質が、カーボンナ
    ノファイバーである、請求項22に記載の電気化学デバ
    イス。
  26. 【請求項26】 前記プロトン伝導体が、前記チューブ
    状炭素質誘導体と、プロトン解離性の基をフラーレンの
    炭素原子に導入してなるフラーレン誘導体との混合物か
    らなる、請求項22に記載の電気化学デバイス。
  27. 【請求項27】 前記第1極及び第2極の少なくとも一
    方がガス電極である、請求項1に記載の電気化学デバイ
    ス。
  28. 【請求項28】 燃料電池として構成されている、請求
    項27に記載の電気化学デバイス。
  29. 【請求項29】 水素含有ガスを供給する第1極と、酸
    素含有ガスを供給する第2極と、これらの両極間に挟持
    されたプロトン伝導体とからなり、このプロトン伝導体
    が、炭素を主成分とするクラスターの炭素原子にプロト
    ン解離性の基を導入してなるクラスター誘導体を含む電
    気化学デバイスの駆動に際し、前記プロトン伝導体に水
    分を供給する、電気化学デバイスの駆動方法。
  30. 【請求項30】 前記水素含有ガス及び前記酸素含有ガ
    スのうち少なくとも前記水素含有ガスに水分を混合す
    る、請求項29に記載の電気化学デバイスの駆動方法。
  31. 【請求項31】 加湿された前記ガス中における水蒸気
    分圧を1kPa以上、200kPa以下とする、請求項
    30に記載の電気化学デバイスの駆動方法。
  32. 【請求項32】 前記水蒸気分圧を10kPa以上、1
    00kPa以下とする、請求項31に記載の電気化学デ
    バイスの駆動方法。
  33. 【請求項33】 加湿部を介して水分含有水素含有ガス
    を前記第1極側へ供給する、請求項29に記載の電気化
    学デバイスの駆動方法。
  34. 【請求項34】 加湿部を介して水分含有酸素含有ガス
    を前記第2極側へ供給する、請求項29に記載の電気化
    学デバイスの駆動方法。
  35. 【請求項35】 前記加湿部を介して水分を前記プロト
    ン伝導体へ供給する、構成とした、請求項29に記載の
    電気化学デバイスの駆動方法。
  36. 【請求項36】 前記第2極で生じた水を前記水分とし
    て用いる、請求項29に記載の電気化学デバイスの駆動
    方法。
  37. 【請求項37】 前記第2極で生じた水を前記加湿部へ
    供給する、請求項33〜35のいずれか1項に記載の電
    気化学デバイスの駆動方法。
  38. 【請求項38】 前記プロトン伝導体中に高分子材料が
    含有されている、請求項29に記載の電気化学デバイス
    の駆動方法。
  39. 【請求項39】 前記高分子材料が、ポリエチレン、ポ
    リプロピレン、ポリカーボネート、ポリ弗化エチレン、
    ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオ
    キサイド及びポリフェニレンオキサイドから選ばれるい
    ずれか1種又は2種以上からなる、請求項38に記載の
    電気化学デバイスの駆動方法。
  40. 【請求項40】 前記高分子材料が前記プロトン伝導体
    に20重量%以下含有されている、請求項38に記載の
    電気化学デバイスの駆動方法。
  41. 【請求項41】 前記高分子材料が含水状態でプロトン
    解離性を示すものである、請求項38に記載の電気化学
    デバイスの駆動方法。
  42. 【請求項42】 前記高分子材料がパーフルオロスルホ
    ン酸系樹脂である、請求項41に記載の電気化学デバイ
    スの駆動方法。
  43. 【請求項43】 前記高分子材料がパーフルオロスルホ
    ン酸系樹脂であり、これが前記プロトン伝導体中に1〜
    50重量%含有されている、請求項42に記載の電気化
    学デバイスの駆動方法。
  44. 【請求項44】 前記プロトン解離性の基が、−XH
    (Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子
    団、Hは水素原子である。)である、請求項29に記載
    の電気化学デバイスの駆動方法。
  45. 【請求項45】 前記プロトン解離性の基が、−OH、
    −OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(O
    H)2のいずれかより選ばれる基である、請求項29に
    記載の電気化学デバイスの駆動方法。
  46. 【請求項46】 前記クラスター誘導体が、球状炭素ク
    ラスター分子Cm(m=36、60、70、76、7
    8、80、82、84等)からなる、請求項29に記載
    の電気化学デバイスの駆動方法。
  47. 【請求項47】 前記クラスター誘導体の長軸の長さが
    100nm以下であり、このクラスターに2以上の前記
    基が導入されている、請求項29に記載の電気化学デバ
    イスの駆動方法。
  48. 【請求項48】 前記クラスター誘導体が籠状構造、又
    は少なくとも一部に開放端をもつ構造からなっている、
    請求項29に記載の電気化学デバイスの駆動方法。
  49. 【請求項49】 前記クラスター誘導体が炭素クラスタ
    ーを主成分とする、請求項29に記載のプロトン伝導体
    の駆動方法。
  50. 【請求項50】 前記クラスター誘導体が、チューブ状
    炭素質にプロトン解離性の基を導入してなるチューブ状
    炭素質誘導体を主成分として含む、請求項29に記載の
    電気化学デバイスの駆動方法。
  51. 【請求項51】 前記チューブ状炭素質が、シングルウ
    ォールカーボンナノチューブである、請求項50に記載
    の電気化学デバイスの駆動方法。
  52. 【請求項52】 前記チューブ状炭素質が、マルチウォ
    ールカーボンナノチューブである、請求項50に記載の
    電気化学デバイスの駆動方法。
  53. 【請求項53】 前記チューブ状炭素質が、カーボンナ
    ノファイバーである、請求項50に記載の電気化学デバ
    イスの駆動方法。
  54. 【請求項54】 前記プロトン伝導体が、前記チューブ
    状炭素質誘導体と、プロトン解離性の基をフラーレンの
    炭素原子に導入してなるフラーレン誘導体との混合物か
    らなる、請求項50に記載の電気化学デバイスの駆動方
    法。
  55. 【請求項55】 前記第1極及び第2極の少なくとも一
    方がガス電極である、請求項29に記載の電気化学デバ
    イスの駆動方法。
  56. 【請求項56】 燃料電池として構成されている、請求
    項55に記載の電気化学デバイスの駆動方法。
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