JP4635306B2 - プロトン伝導体及び電気化学デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプロトン(H+)伝導体及び電気化学デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば自動車駆動用の高分子固体電解質型の燃料電池として、パーフルオロスルホン酸樹脂(Du Pont 社製の Nafion(R) など)のようなプロトン(水素イオン)伝導性の高分子材料を用いたものが知られている。
【0003】
また、比較的新しいプロトン伝導体として、H3Mo12PO40・29H2OやSb2O5・5.4H2Oなど、多くの水和水を持つポリモリブデン酸類や酸化物も知られている。
【0004】
これらの高分子材料や水和化合物は、湿潤状態に置かれると、常温付近で高いプロトン伝導性を示す。
【0005】
即ち、パーフルオロスルホン酸樹脂を例にとると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高分子マトリックス中に大量に取込まれている水分と結合(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニウムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内をスムーズに移動することができるので、この種のマトリックス材料は常温下でもかなり高いプロトン伝導効果を発揮できる。
【0006】
一方、最近になって、これらとは伝導機構の全く異なるプロトン伝導体も開発されている。
【0007】
即ち、YbをドープしたSrCeO3などのペロブスカイト構造を有する複合金属酸化物は、水分を移動媒体としなくても、プロトン伝導性を有することが見出された。この複合金属酸化物においては、プロトンはペロブスカイト構造の骨格を形成している酸素イオン間を単独でチャネリングして伝導されると考えられている。
【0008】
しかし、この伝導性のプロトンは、初めから複合金属酸化物中に存在しているわけではなく、ペロブスカイト構造が周囲の雰囲気ガス中に含まれている水蒸気と接触した際、その高温の水分子が、ドープによりペロブスカイト構造中に形成されていた酸素欠陥部と反応し、この反応により初めてプロトンが発生するのだと考えられる。
【0009】
しかしながら、上述した各種のプロトン伝導体は次のような問題点が指摘されている。
【0010】
まず、前記パーフルオロスルホン酸樹脂などのマトリックス材料では、プロトンの伝導性を高く維持するために、使用中、継続的に充分な湿潤状態に置かれることが必要である。
【0011】
従って、燃料電池等のシステムの構成には、加湿装置や各種の付随装置が要求され、装置の規模が大型化したり、システム構築のコスト上昇が避けられない。
【0012】
さらに、作動温度も、マトリックスに含まれる水分の凍結や沸騰を防ぐため、温度範囲が広くないという問題がある。
【0013】
また、ペロブスカイト構造をもつ前記複合金属酸化物の場合、意味のあるプロトンの伝導が行われるためには、作動温度を500℃以上という高温に維持することが必要である。
【0014】
このように、従来のプロトン伝導体は、湿分を補給したり、水蒸気を必要とするなど、雰囲気に対する依存性が高く、しかも作動温度が高過ぎるか又はその範囲が狭いという問題点があった。
【0015】
【発明に至る経過】
本発明者は、上記問題を解決するために、常温を含む広い温度域で用いることができ、雰囲気依存性が小さく、乾燥空気中においても好適に使用できるプロトン伝導体及びその製造方法、ならびに電気化学デバイスを特願平11−204038号において提案した。以下、これを先願発明と称する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、上記先願発明において、そのプロトン伝導体の薄膜の強度、ガス透過防止能はもちろん、薄膜化、耐酸性及び耐熱性において、不十分な点があることを見出した。
【0017】
本発明の目的は、上記先願発明のなお改善すべき問題点を解決するためになされたものであって、膜強度及びガス透過防止能に優れ、かつ薄膜化、耐酸性及び耐熱性等の良好なプロトン伝導体及び電気化学デバイスを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体とを含有している、プロトン伝導体に係わるものである。ここで、本発明における前記「プロトン解離性の基」とは、プロトンが電離により離脱し得る官能基を意味し、また「プロトン(H+)の解離」とは、電離によりプロトンが官能基から離れることを意味する。
【0019】
本発明のプロトン伝導体は、上記樹脂と、上記フラーレン誘導体とを含有しているので、膜強度及びガス透過防止能に優れ、かつ耐酸性及び耐熱性等の良好な薄膜として用いることができる。
【0020】
従って、上記プロトン伝導体の酸性度が、プロトン(H+)の解離によって著しく大きくなった場合においても、酸化劣化し難く、耐久性に優れており、プロトン伝導性薄膜として好適に用いることができ、更には常温を含む広い温度域にわたって高伝導性を発揮すること等が可能である。
【0021】
また、本発明のプロトン伝導体は上記フラーレン誘導体を含有しているので、雰囲気依存性が小さく、乾燥空気中においても、十分なプロトン伝導性を示し、継続的に使用することができる。但し、水分が存在していても差支えない。
【0022】
また、本発明は、第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体とからなり、このプロトン伝導体が、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体とを含有する、電気化学デバイスに係わるものである。
【0023】
本発明の電気化学デバイスは、第1極と第2極との間に挟持されたプロトン伝導体が、上記樹脂と上記フラーレン誘導体とを含有するので、本発明のプロトン伝導体と同様の効果が奏せられ、また加湿装置等は不要となり、システムの小型化、簡素化を実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
【0025】
本発明において、プロトン解離性の基の導入対象となる母体としてのフラーレン分子は、球状クラスター分子であれば特に限定しないが、通常はC36、C60(図3(A)参照)、C70(図3(B)参照)、C76、C78、C80、C82、C84などから選ばれるフラーレン分子の単体、もしくはこれらの2種以上の混合物が好ましく用いられる。
【0026】
これらのフラーレン分子は、1985年に炭素のレーザアブレーションによるクラスタービームの質量分析スペクトル中に発見された(Kroto, H.W.; Heath,J.R.; O'Brien, S.C.; Curl, R. F.; Smalley, R. E. Nature 1985.318,162.)。実際にその製造方法が確立されるのは更に5 年後のことで、1990年に炭素電極のアーク放電法による製造法が見出され、それ以来、フラーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
【0027】
本発明者はこのフラーレン分子の誘導体につき、そのプロトン伝導性を種々検討した結果、フラーレンの構成炭素原子に水酸基を導入して得られるポリ水酸化フラーレンは、乾燥状態でも、常温域を挟む広い温度範囲、即ち、水の凝固点や、沸点を超えた温度範囲(少なくとも160℃〜−40℃)で高いプロトン伝導性を示すことを見出すことができた。そして、このプロトン伝導性は水酸基に替えて硫酸水素エステル基をフラーレンの構成炭素原子に導入したときに、より顕著になることが知見できた。
【0028】
さらに詳述すると、ポリ水酸化フラーレンは、図1に示す如く、フラーレンに複数の水酸基を付加した構造を持ったものの総称であり、通称「フラレノール(Fullerenol)」と呼ばれている。当然の事ながら、水酸基の数やその分子内配置などには幾つかのバリエーションも可能である。フラレノールは1992年にChiangらによって最初に合成例が報告された(Chiang, L.Y.;Swirczewski,J.W.;Hsu, C.S.; Chowdhury, S.K.; Cameron, S.; Creegan, K., J. Chem. Soc, Chem. Commun.1992,1791) 。以来、一定量以上の水酸基を導入したフラレノールは、特に水溶性である特徴が注目され、主にバイオ関連の技術分野で研究されてきた。
【0029】
本発明者は、そうしたフラレノールを図2(A)に概略図示するように上述した樹脂で結着し、これを加圧によってフラレノール密度を高めた膜を形成し、近接し合ったフラレノール分子(図中、○はフラーレン分子を示す。)の水酸基同士に相互作用が生じるようにしたところ、この凝集体はマクロな集合体として高いプロトン伝導特性(換言すれば、フラレノール分子のフェノール性水酸基からのH+の解離性)を発揮し、かつ水素などのガスの透過防止能が向上することを初めて知見することができた。
【0030】
本発明のプロトン伝導体には、フラレノール以外にたとえば複数の−OSO3H基をもつフラーレンを上述した樹脂で固めた膜を好適に用いることができる。OH基がOSO3H基と置き換わった図2(B)に示すようなポリ水酸化フラーレン、すなわち硫酸水素エステル化フラレノールは、やはりChiangらによって1994年に報告されている(Chiang. L. Y.; Wang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Soled, S.; Cameron, S., J. Org. Chem. 1994,59,3960) 。硫酸水素エステル化されたフラーレンには、一つの分子内にOSO3H基のみを含むものもあるし、あるいはこの基と水酸基をそれぞれ複数個、持たせることも可能である。
【0031】
上述したフラーレン誘導体を多数凝集させた時、それがバルクとして示すプロトン伝導性は、分子内に元々含まれる大量の水酸基やOSO3H基に由来するプロトンが移動に直接関わるため、雰囲気から水蒸気分子などを起源とする水素、プロトンを取り込む必要はなく、また、外部からの水分の補給、とりわけ外気より水分等を吸収する必要もなく、雰囲気に対する制約はない。また、これらの誘導体分子の基体となっているフラーレンはとくに求電子性の性質を持ち、このことが酸性度の高いOSO3H基のみならず、水酸基等においても水素イオンの電離の促進に大きく寄与していると考えられる。これが、本発明のプロトン伝導体が優れたプロトン伝導性を示す理由の一つである。
【0032】
さらに、一つのフラーレン分子中にかなり多くの水酸基およびOSO3H基等を導入することができるため、伝導に関与するプロトンの、伝導体の単位体積あたりの数密度が非常に多くなる。これが、本発明のプロトン伝導体が実効的な伝導率を発現するもう一つの理由である。
【0033】
本発明のプロトン伝導体は、その殆どが、フラーレンの炭素原子で構成されているため、重量が軽く、変質もし難く、また汚染物質も含まれていない。フラーレンの製造コストも急激に低下しつつある。資源的、環境的、経済的にみて、フラーレンは他のどの材料にもまして、理想に近い炭素系材料であると考えられる。
【0034】
更に本発明者の検討によれば、プロトン解離性の基は、前述した水酸基やOSO3H基に限定する必要はない。
【0035】
即ち、この解離性の基は式−XHで表わされ、Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団であればよい。更には、この基は式−OH又は−YOHで表わされ、Yは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団であればよい。
【0036】
具体的には、前記プロトン解離性の基としては、前記−OH、−OSO3H以外に−COOH、−SO3H、−OPO(OH)3のいずれかが好ましい。
【0037】
本発明のプロトン伝導体に用いる前記フラーレン誘導体を合成するには、後述の実施例に明らかなように、前記フラーレン分子の粉末に対し、たとえば酸処理や加水分解等の公知の処理を適宜組み合わせて施すことにより、フラーレン分子の構成炭素原子に所望のプロトン解離性の基を導入すればよい。
【0038】
本発明のプロトン伝導体は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、前記フラーレン誘導体とを含有している。
【0039】
前記樹脂の含有量は、50重量%以下が好ましく、この含有量が50重量%を超えると、プロトンの伝導性を低下させる恐れがあるからである。
【0040】
本発明のプロトン伝導体は、前記樹脂を含有しているので、成形性を有しており、より強度の高い薄膜化を実現することができる。従って、膜強度及びガス透過防止能に優れ、かつ耐酸性及び耐熱性等の良好な薄膜として用いることができる。
【0041】
前記ポリ塩化ビニル及び前記塩化ビニル系共重合体は、耐酸性に優れており、また耐熱性も良好であり、本発明の目的を実現する上で望ましい樹脂である。ここで、塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など、塩化ビニルと共重合性モノマーとの共重合体である。
【0042】
前記ポリエチレン、前記ポリプロピレン、前記ポリエチレンオキサイド及び前記ポリフェニレンオキサイドは、耐酸性の良好な樹脂である。
【0043】
前記ポリカーボネートは透明性の非晶性樹脂であり、耐熱性及び低温特性に優れており、広い温度範囲における使用に耐えられる。また、耐衝撃性にも優れている。
【0044】
前記パーフルオロスルホン酸系樹脂は、耐酸性及び耐熱性に優れ、また耐候性の良好な樹脂なので、過酷な温度や長期にわたる光線曝露下でも、その特性に大きな変化はもたらさない。
【0045】
即ち、本発明のプロトン伝導体は前記樹脂を含有しているので、プロトン(H+)の解離によって、プロトン伝導体の酸性度が著しく大きくなった場合においても、酸化劣化し難く、耐久性に優れており、プロトン伝導性薄膜として好適に用いることができ、更には常温を含む広い温度域にわたって高伝導度を発揮することが可能である。
【0046】
さらに、本発明のプロトン伝導体は、前記フラーレン誘導体を含有しているので、雰囲気依存性が小さく、乾燥空気中においても、十分なプロトン伝導性を示し、継続的に使用することができるが、水分が存在していても差支えない。例えば、本発明のプロトン伝導体が、前記パーフルオロスルホン酸系樹脂と前記フラーレン誘導体とを含有する場合、水分の存在下では前記パーフルオロスルホン酸系樹脂もまたプロトン解離能を示すので、よりプロトン伝導度を向上させることができる。
【0047】
本発明のプロトン伝導体は、各種の電気化学デバイスに好適に使用できる。すなわち、第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体とからなる基本的構造体において、そのプロトン伝導体に本発明のプロトン伝導体を好ましく適用することができる。
【0048】
更に具体的に言うと、第1極及び/又は第2極が、ガス電極である電気化学デバイスとか、第1極及び/又は第2極に活物質性電極を用いる電気化学デバイスなどに対し、本発明のプロトン伝導体を好ましく適用することが可能である。
【0049】
以下、本発明のプロトン伝導体を燃料電池に適用した例について説明する。
【0050】
その燃料電池のプロトン伝導のメカニズムは図4の模式図に示すようになり、プロトン伝導部1は第1極(たとえば水素極)2と第2極(たとえば酸素極)3との間に挟持され、解離したプロトン(H+)は図面矢印方向に沿って第1極2側から第2極3側へと移動する。
【0051】
図5には、本発明のプロトン伝導体を用いた燃料電池の一具体例を示す。この燃料電池は、触媒2a及び3aをそれぞれ密着又は分散させた互いに対向する、端子8及び9付きの負極(燃料極又は水素極)2及び正極(酸素極)3を有し、これらの両極間にプロトン伝導部1が挟着されている。使用時には、負極2側では導入口12から水素が供給され、排出口13(これは設けないこともある。)から排出される。燃料(H2)14が流路15を通過する間にプロトンを発生し、このプロトンはプロトン伝導部1で発生したプロトンとともに正極3側へ移動し、そこで導入口16から流路17に供給されて排気口18へ向かう酸素(空気)19と反応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0052】
かかる構成の燃料電池は、プロトン伝導部1でプロトンが解離しつつ、負極2側から供給されるプロトンが正極3側へ移動するので、プロトンの伝導率が高い特徴がある。従って、加湿装置等は不必要となるので、システムの簡略化、軽量化を図ることができる。
【0053】
図9に示す水素−空気電池は、薄膜状のプロトン伝導体(本発明のプロトン伝導体)20を中にして水素極21と空気極22とが対向配置され、これらの外側を、テフロン板24aと、多数の孔25を設けたテフロン板24bとで挟み込み、全体をボルト26a、26b及びナット27a、27bにより固定したもので、各極から外部に水素極リード28a、空気極リード28bが取り出されている。
【0054】
また、図10に示す電気化学デバイスは、内面に負極活物質層30を設けた負極31と、外面にガス透過支持体32を設けた正極33(ガス電極)との間に、プロトン伝導体34が挟持された構造を有しており、このプロトン伝導体34に本発明のプロトン伝導体が用いられる。なお、負極活物質30には、水素吸蔵合金、又はフラーレンなどのカーボン材料に水素吸蔵合金を担持させたものが好ましく、ガス透過支持体32には、たとえば多孔性のカーボンペーパなどが用いられ、正極33は、たとえば白金をカーボン粉末に担持させた材料をペースト状に塗布、形成するのが好ましい。なお、負極31の外端と正極33の外端との隙間は、ガスケット35により塞がれている。この電気化学デバイスでは、正極33側に水分を存在させて、充電を行うことができる。
【0055】
また、図11に示す電気化学デバイスは、内面に負極活物質層37を設けた負極38と、内面に正極活物質層39を設けた正極40との間に、薄膜状の本発明のプロトン伝導体41を挟持させた構造を有し、正極活物質39としては、たとえば水酸化ニッケルを主成分とするものが用いられる。なお、この電気化学デバイスも負極38の外端と正極40の外端との隙間は、ガスケット42によって塞がれている。
【0056】
上述したいずれの電気化学デバイスも、上記図4の模式図に基づいて説明した内容と同様のメカニズムでプロトン伝導効果を発揮することができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0058】
<ポリ水酸化フラーレンの合成>
この合成は、文献(Chiang,L.Y.;Wang,L.Y.;Swirczewski.J.W.;Soled, S.;Cameron, S., J.Org.Chem.1994,59,3960)を参考にしておこなった。C70を約15%含むC60/C70フラーレン混合物の粉末2gを発煙硫酸30ml中に投じ、窒素雰囲気中で60℃に保ちながら3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリルの2:1混合液で2回洗浄したあと、40℃にて減圧中で乾燥させた。さらに、この乾燥物を60mlのイオン交換水中に入れ、85℃で窒素によるバブリングを行いながら10時間攪拌した。反応生成物は遠心分離によって沈殿物を分離し、この沈殿物をさらに純水で数回洗浄し、遠心分離を繰り返した後に、40℃で減圧乾燥した。このようにして得られた茶色の粉末のFT−IR測定を行ったところ、上記文献に示されているC60(OH)12のIRスペクトルとほぼ一致し、この粉末が目的物質であるポリ水酸化フラーレンと確認された。上記の反応は、例えばC60について次のように表わすことができる。
【化1】
【0059】
<実施例1のポリ水酸化フラーレンペレットの製造>
次に、このポリ水酸化フラーレンの粉末70mgをとり、これとポリ塩化ビニルの粉末10mgとを混合し、ジメチルホルムアミド0.5mlを加えてよく攪拌した。そして、この混合物を直径15mmの円形の型に流し込み、減圧下において溶媒を蒸発させた。その後、プレスを行い、直径15mmのペレットを得た。このペレットは厚みが約300ミクロンであった。これを実施例1のペレットとする。
【0060】
<ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(全エステル化)の合成>
これも同様に、前記の文献を参考にしておこなった。上記得られたポリ水酸化フラーレンの粉末1gを60mlの発煙硫酸中に投下し、室温にて窒素雰囲気下で3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリルの2:1混合液で2回洗浄した後、40℃にて減圧下で乾燥させた。このようにして得られた粉末のFT−IR測定を行ったところ、前記文献中に示されている、すべての水酸基が硫酸水素エステル化されたもののIRスペクトルとほぼ一致し、この粉末が目的物質であるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルと確認できた。
【0061】
上記の反応は、例えばC60(OH)yについて次のように表わすことができる(以下、同様)。
【化2】
【0062】
<実施例2のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルペレットの製造>
このポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの粉末70mgをとり、これとポリ塩化ビニルの粉末10mgとを混合し、ジメチルホルムアミド0.5mlを加えてよく攪拌した。この混合物を直径15mmの円形の型に流し込み、減圧下において溶媒を蒸発させた。その後、プレスを行い、直径15mmのペレットを得た。このペレットは厚みが約300ミクロンであった。これを実施例2のペレットとする。
【0063】
<比較例1のフラーレン凝集ペレットの製造>
比較のため、前記実施例で合成原料に用いたフラーレンの粉末90mgを用いる以外は実施例1と同様にして、直径15mmの円形ペレット状になるように一方方向へのプレスを行った。このペレットは厚みが約300ミクロンで、これを比較例1のペレットとする。
【0064】
各ペレットのプロトン伝導率の測定
ポリ水酸化フラーレンのペレット(実施例1)、ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのペレット(実施例2)及び比較例1のペレットの伝導率を測定するために、まず、ペレットと等しい直径15mmのアルミニウム板でそれぞれのペレットの両側を挟み、これに7MHzから0.01Hzまでの交流電圧(振幅0.1V)を印加し、各周波数における複素インピーダンスを測定した。測定は、乾燥雰囲気下で行った。
【0065】
インピーダンス測定に関し、実施例1及び2のペレットからなるプロトン伝導体のプロトン伝導部1は、電気的には、図6(A)に示すような等価回路を構成しており、抵抗4と容量5の並列回路で表されるプロトン伝導部1も含めて、第1極2と第2極3との間にそれぞれ容量6と6’とを形成している。なお、容量5はプロトンが移動するときの遅延効果(高周波のときの位相遅れ)を表し、抵抗4はプロトンの動き易さのパラメータを表す。
【0066】
ここで、測定インピーダンスZは、Z=Re(Z)+i・Im(Z)で表され、上記等価回路で示されるプロトン伝導部の周波数依存性を調べた。
【0067】
なお、図6(B)は、プロトン解離性のない比較例1のフラーレン分子を用いた場合(上記の比較例1)の等価回路であり、図中の1aはフラーレン部である。
【0068】
図7に、実施例1のポリ水酸化フラーレンのペレット及び比較例1のペレットについてのインピーダンス測定結果を示す。
【0069】
これによれば、比較例1においては、複素インピーダンスの周波数特性Bはおおよそキャパシター単独の挙動と同様であり、フラーレン自体の凝集体については荷電粒子(電子、イオンなど)の伝導挙動は一切観測されなかった。それに比べてポリ水酸化フラーレンの場合Aは、高周波数部分に偏平ではあるが、非常にきれいな単一の半円状円弧を見ることができる。これは、ペレット内部においてなんらかの荷電粒子の伝導挙動が存在していることを示している。さらに、低周波数領域においては、インピーダンスの虚数部分の急激な上昇が観測される。これは、徐々に直流電圧に近づくにつれてアルミニウム電極との間で荷電粒子のブロッキングが生じていることを示しており、当然、アルミニウム電極側における荷電粒子は電子であるから、ペレット内部の荷電粒子は電子やホールではなく、それ以外の荷電粒子、すなわちイオンであることがわかる。用いたフラレノールの構成から、この荷電粒子はプロトン以外には考えられない。
【0070】
高周波数側に見られる円弧のX軸切片から、この荷電粒子の伝導率を求めることができ、実施例1のポリ水酸化フラーレンのペレットにおいては、おおよそ1×10-6S/cmと計算される。更に、実施例2のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルのペレットについても同様の測定を行ったところ、ポリ水酸化フラーレンの場合と全体の形状については同様なインピーダンスの周波数特性となった。ただし、円弧部分のX切片から求められる伝導率は表1に示すようにそれぞれ異なる値となった。
【0071】
【表1】
表1 本発明に基づくプロトン伝導体ペレットの伝導率(25℃)
【0072】
このように、水酸基がOSO3H基に置き換わると、ペレット中の伝導率は大きくなる傾向を示している。これは、水酸基よりもOSO3H基の方が水素の電離が起こり易いことによるものである。そして、水酸基、OSO3H基のどちらの場合も、または双方が混在する場合においても、この種のフラーレン誘導体の凝集体は、乾燥雰囲気中において、室温でプロトン伝導が可能であることを見出すことができた。
【0073】
次に、実施例1のポリ水酸化フラーレンのペレットを用い、上記の複素インピーダンス測定を160℃から−40℃までの温度範囲で行い、その時の高周波側の円弧から求めた伝導率の温度依存性を調べた。結果をアレニウス型のプロットとして示したのが図8である。このように、160℃から−40℃において伝導率が直線的に変化していることがわかる。つまり、この図は、上記温度範囲において単一のイオン伝導機構が進行可能であることを示している。すなわち、本発明に基づくプロトン伝導体は、室温を含む広い温度範囲、特に160℃といった高温や−40℃といった低温においても伝導が可能である。
【0074】
<フラーレン誘導体溶液の作製>
上記得られたポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルとTHF(テトラヒドロキシフラン)とを、以下に示す割合で混合し、フラーレン誘導体溶液を作製した。
【0075】
ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル 33重量%
THF 66.6重量%
【0076】
<ポリ塩化ビニル溶液の作製>
ポリ塩化ビニル材料(丸棒)を旋盤加工してポリ塩化ビニル切粉を採取した。この時、他の物質は混合させないことに注意し、上記得られたポリ塩化ビニル切粉とTHF(テトラヒドロフラン)を混合させ溶液を作製した。ポリ塩化ビニル切粉とTHFの混合比を以下に示す。
【0077】
ポリ塩化ビニル 10重量%
THF 90重量%
【0078】
<実施例3の薄膜の作製>
上述した方法で得られたフラーレン誘導体溶液内のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルと、ポリ塩化ビニル溶液を混合し、超音波洗浄機で3分混合した。得られた混合液の組成を以下に示す。
【0079】
ポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル 25重量%
THF 72.5重量%
ポリ塩化ビニル 2.5重量%
【0080】
ガラス板に厚さ125μmのマスクをセットして、上記得られたポリ塩化ビニル溶液とフラーレン誘導体溶液との混合液を往復塗布した。次にマスクを交換して、上記往復塗布と同様の塗布方法で2層塗布を行った後、10分程度乾燥させたら、ガラス板に塗布された膜(プロトン伝導膜)は簡単にガラス板から剥離することができた。これを実施例3のプロトン伝導膜とする。
【0081】
上記ガラス板から剥離したこの膜の両面にポリテトラフルオロエチレンシート(通称テフロンシート:厚み20μm)を張り、プレスで1ton/cm2の圧力を2分間かけた。
【0082】
膜厚測定
ここで、加圧後の膜厚みについて測定を行った。測定は上記得られた加圧後のプロトン伝導膜1枚につき、8箇所について行い、合計膜4枚を測定し、その結果を下記表2に示す。
【0083】
【表2】
表2
【0084】
上記表2によれば、本発明に基づく実施例3のプロトン伝導体は、例えばポリ塩化ビニル樹脂を含有しているので、1ton/cm2で2分間のプレスによって、各膜とも厚み平均値が45μm以下と好ましい成形性を示した。
【0085】
発電試験
まず、Pt触媒付き水素極(外径30mm)及び酸素極(外径34mm)をそれぞれ作製し、さらに外径34mmの円形穴をもつプラスチック製のマスクを酸素極上にのせ、先に作製しておいた上記のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルとポリ塩化ビニルの混合液をたらし、マスクの穴の中で均一に広げた。その後、室温で乾燥させた後、マスクを外した。その上に、水素極を重ね、1平方センチメートル当り約5トンの圧力でプレスし、実施例3のプロトン伝導膜を有するセルを完成させた。このセル4枚分を接続し、4連モジュールとして組み立て、下記の条件下で発電試験を行った。
【0086】
即ち、水素極への水素供給量10cc/minとし、酸素極を大気に開放したところ、1セル当り1.2Vの起電力を得ることができた。
【0087】
<比較例2のナイロン系樹脂含有膜の作製>
上記ポリ塩化ビニルの代わりに、ナイロン系樹脂を用いた以外は、実施例3と同様の方法で比較例2のプロトン伝導膜を作製した。
【0088】
耐酸性試験
上記得られた実施例3の膜と比較例2のナイロン系樹脂含有膜の耐酸性度の測定をしたところ、比較例2は、酸性に弱いとされるナイロン系樹脂を用いて製膜を試みたが、時間の経過と共に膜が崩壊した。一方、上記得られた実施例3の膜は、上述したような膜の劣化は見られなかった。
【0089】
以上より明らかなように、本発明に基づく実施例1〜3のプロトン伝導体は、耐酸性の優れた樹脂を含有するので、プロトン伝導体の酸性度が、プロトン(H+)の解離によって著しく大きくなった場合においても、酸化劣化し難く、耐久性に優れており、プロトン伝導性薄膜として好適に用いることができる。
【0090】
ここで、上述の実施例では、ポリ塩化ビニル樹脂とフラーレン誘導体(ポリ水酸化フラレノール又はその硫酸水素エステル)とを含有するプロトン伝導体薄膜の作製を行ったが、本発明に基づくプロトン伝導体は以下に示す如くに変更することも可能である。
【0091】
上述の実施例では、ポリ塩化ビニル樹脂を用いたが、本発明に基づくプロトン伝導体は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体(即ち、各種置換基を有するもの等)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。
【0092】
また、フラーレン誘導体としてポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(全エステル化)を用いたが、本発明に基づくプロトン伝導体は、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体、例えばフラレノールやポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステル(部分エステル化)などを用いることができる。
【0093】
また、乾燥雰囲気下で各試験を行ったが、本発明に基づくプロトン伝導体は、水分存在下で用いることも可能である。
【0094】
更に、混合溶液を塗布することでプロトン伝導膜の製膜を行ったが、本発明に基づくプロトン伝導体は、溶融成形による製膜も可能で、更に、塗布に代わって印刷による製膜も可能である。
【0095】
【発明の作用効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のプロトン伝導体は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体とを含有しているので、膜強度及びガス透過防止能に優れ、かつ耐酸性及び耐熱性等の良好な薄膜として用いることができる。
【0096】
従って、上記プロトン伝導体の酸性度が、プロトン(H+)の解離によって著しく大きくなった場合においても、酸化劣化し難く、耐久性に優れており、プロトン伝導性薄膜として好適に用いることができ、更には常温を含む広い温度域にわたって高伝導性を発揮することができる。
【0097】
また、本発明のプロトン伝導体は、雰囲気依存性が小さく、乾燥空気中においても、十分なプロトン伝導性を示し、継続的に使用することができる。
【0098】
また、本発明の電気化学デバイスは、前記本発明のプロトン伝導体を用いているので、本発明のプロトン伝導体と同様の効果が奏せられ、また加湿装置等は不要となり、システムの小型化、簡素化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用可能なフラーレン誘導体の一例であるポリ水酸化フラーレンの構造図である。
【図2】同、フラーレン誘導体の例を示す模式図である。
【図3】同、フラーレン分子のみの構造図である。
【図4】本発明のプロトン伝導体の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施の形態による燃料電池の概略構成図である。
【図6】本発明の実施例に用いたペレットの電気的な等価回路を比較して示す図である。
【図7】同、ペレットの複素インピーダンスの測定結果を比較して示す図である。
【図8】同、ペレットのプロトン伝導率の温度依存性を示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態による水素−空気電池の概略構成図である。
【図10】本発明の他の実施の形態による電気化学デバイスの概略構成図である。
【図11】本発明の更に他の実施の形態による電気化学デバイスの概略構成図である。
【符号の説明】
1…プロトン伝導部、2…第1極(水素極)、2a…触媒、
3…第2極(酸素極)、3a…触媒、14…水素、19…酸素(空気)、
20…プロトン伝導体、21…水素極、22…空気極、24a…テフロン板、
24b…孔を設けたテフロン板、30…負極活物質、31…負極、
32…ガス透過支持体、33…正極(ガス電極)、34…プロトン伝導体、
35…ガスケット、37…負極活物質、38…負極、39…正極活物質、
40…正極、41…プロトン伝導体、42…ガスケット
Claims (12)
- ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体とを含有している、プロトン伝導体。
- 前記樹脂の含有量が50重量%以下である、請求項1に記載のプロトン伝導体。
- 前記プロトン解離性の基が、−XH(Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団、Hは水素原子である。)である、請求項1に記載のプロトン伝導体。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH又は−YOH(Yは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項1に記載のプロトン伝導体。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)3のいずれかより選ばれる基である、請求項4に記載のプロトン伝導体。
- 前記フラーレン分子が、球状炭素クラスター分子Cm(m=36、60、70、76、78、80、82、84)である、請求項1に記載のプロトン伝導体。
- 第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体とからなり、このプロトン伝導体が、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド、パーフルオロスルホン酸系樹脂及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、フラーレン分子を構成する炭素原子にプロトン(H+)解離性の基を導入してなるフラーレン誘導体とを含有する、電気化学デバイス。
- 前記樹脂の含有量が50重量%以下である、請求項7に記載の電気化学デバイス。
- 前記プロトン解離性の基が、−XH(Xは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団、Hは水素原子である。)である、請求項7に記載の電気化学デバイス。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH又は−YOH(Yは2価の結合手を有する任意の原子もしくは原子団である。)である、請求項7に記載の電気化学デバイス。
- 前記プロトン解離性の基が、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)3のいずれかより選ばれる基である、請求項10に記載の電気化学デバイス。
- 前記フラーレン分子が、球状炭素クラスター分子Cm(m=36、60、70、76、78、80、82、84)である、請求項7に記載の電気化学デバイス。
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