JP4218255B2 - 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素・酸素燃料電池は、その反応生成物が原理的に水のみであり地球環境への悪影響がほとんどない発電システムとして注目されている。固体高分子型燃料電池は、かつてジェミニ計画及びバイオサテライト計画で宇宙船に搭載されたが、当時の電池出力密度は低かった。その後、より高性能のアルカリ型燃料電池が開発され、現在のスペースシャトルに至るまで宇宙用にはアルカリ型燃料電池が採用されている。
【0003】
ところが、近年技術の進歩により固体高分子型燃料電池が再び注目されている。その理由として次の2点が挙げられる。(1)固体高分子電解質として高導電性の膜が開発された。(2)ガス拡散電極層に用いられる触媒をカーボンに担持し、これをイオン交換樹脂で被覆することにより、高い活性が得られるようになった。
【0004】
性能をさらに向上させるために、固体高分子電解質膜のスルホン酸基濃度の増加と厚さの低減により電気抵抗を低減させることが考えられる。しかし、スルホン酸基濃度の著しい増加は電解質膜の機械的強度や引裂強さを低下させたり、取扱の際に寸法変化を起こしたり、長期運転において電解質膜がクリープしやすくなり耐久性を低下させる等の問題が生じる。一方厚さの低減は電解質膜の機械的強度及び引裂強さを低下させたり、さらに膜をガス拡散電極と接合させる場合等の加工性・取扱い性を低下させる等の問題が生じる。
【0005】
また、性能を向上させるために白金担持率を高くして触媒層を薄くすることが試みられているが、触媒層中の触媒の部分は脆く、また触媒層に含まれるイオン交換樹脂は通常塗工液を用いて形成されるため、圧縮クリープや弾性率等の力学的特性が充分ではなく、耐久性に問題が生じやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題を解決する方法として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)多孔膜にスルホン酸基を有するフッ素系イオン交換体ポリマーを含浸する方法が提案されている(特公平5−75835)が、厚さは薄くできるものの多孔体状のPTFEでは膜の電気抵抗が充分に低下しない問題があった。また、この方法ではPTFE多孔膜と上記イオン交換体ポリマーの界面が完全に接着していないため、固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いた場合に、長期間使用すると接着性不良から水素ガスリークが増大し、電池性能が低下する問題があった。
【0007】
補強された膜の電気抵抗が高いことを解決する方法として、フィブリル状、織布状、又は不織布状のパーフルオロカーボン重合体で補強された陽イオン交換膜が提案された(特開平6−231779)。この膜は抵抗は低く、この膜を用いて作製した燃料電池の発電特性は比較的良好であったが、厚さはせいぜい100〜200μmであり、充分に薄くなく厚さムラがあるため、発電特性や量産性の点で不充分であった。また、パーフルオロカーボン重合体とスルホン酸基を有するフッ素系イオン交換体ポリマーとの接着性が充分でなく、水素ガス透過性が比較的高いため、燃料電池を構成したときの出力が充分でなかった。
【0008】
そこで本発明は、厚さが均一で薄く抵抗が低く、水素ガス透過性が低く、熱や加湿による寸法変化が小さく、かつ異方性がなくて引裂き強度が高くハンドリング性に優れ、量産が可能な固体高分子型燃料電池用電解質膜及び/又は触媒層を製造する方法を提供し、得られた電解質膜及び/又は触媒層を備えることにより発電特性及び耐久性に優れる固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
課題を解決するための手段
発明は、陽イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両面に、触媒を含む触媒層を有する電極からなるカソード及びアノードが配置され一体化された固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法において、前記カソードの触媒層及び/又は前記アノードの触媒層は、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなるイオン交換体ポリマーとフィブリル状のフルオロカーボン重合体とが分散媒に分散され前記イオン交換体ポリマーの濃度が0.3〜30質量%である分散液と触媒を混合した液を用いて形成することを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法を提供する。
【0015】
また、本分散液は、触媒粉末を混合することにより、触媒層の形成にも使用できる。すなわち、本分散液と触媒粉末とを混合した液を用いれば、フィブリル状のフルオロカーボン重合体からなる補強材(本補強材)を含む触媒層を備える膜・電極接合体を形成できる。触媒層樹脂に本補強材を含有させることにより、触媒層樹脂の引っ張り弾性率が向上し、触媒層樹脂の力学的特性が向上するので、膜・電極接合体の発電時の耐久性が向上する。
【0016】
本発明においてフィブリル状のフルオロカーボン重合体としては、PTFE及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を95モル%以上含む共重合体が挙げられる。共重合体の場合は、フィブリル化可能な共重合体であることが必要であり、テトラフルオロエチレンと含フッ素モノマーとの共重合体が好ましく、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を99%以上含むことが好ましい。具体的には、PTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等が挙げられるが、特にPTFEが好ましい。
【0017】
フィブリル状フルオロカーボン重合体は、本分散液の固形分全質量中に0.5〜15質量%含まれることが好ましい。0.5質量%未満であると補強効果が充分に発現されず、15質量%より多いと抵抗が高くなりやすい。フィブリル状フルオロカーボン重合体が全固形分中の2〜10質量%の場合には、抵抗が上昇せずかつ補強効果が充分に発現され、さらに本分散液の粘度が高すぎることもなく電解質膜又は触媒層の形成が容易に行えるので特に好ましい。なお、ここでいうフィブリル状フルオロカーボン重合体の含有量とは、フィブリル化している又はフィブリル化しうるフルオロカーボン重合体すべての含有量であって、フィブリル化せずに含まれている重合体及びフィブリル化しかけている重合体の量も含む。すなわち、例えば該重合体としてPTFEを用いるなら、固形分全質量中のPTFEの含有量を示すものとする。
【0018】
本発明におけるスルホン酸基を有する含フッ素重合体としては、公知の重合体が広く採用されるが、一般式CF2=CF(OCF2CFX)m−Op−(CF2nSO3H(ここでXはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは0〜12の整数であり、pは0又は1であり、n=0のときにはp=0である。)で表されるパーフルオロビニル化合物に基づく重合単位とパーフルオロオレフィン又はパーフルオロアルキルビニルエーテル等に基づく重合単位とを含む共重合体が好ましい。パーフルオロビニル化合物の具体例としては式1〜4のいずれかで表される化合物等が挙げられる。ただし、式1〜4において、qは1〜9の整数であり、rは1〜8の整数であり、sは0〜8の整数であり、zは2又は3である。
【0019】
【化1】
Figure 0004218255
【0020】
スルホン酸基を有するパーフルオロビニル化合物に基づく重合単位を含む重合体は、通常−SO2F基を有するパーフルオロビニル化合物を用いて重合される。−SO2F基を有するパーフルオロビニル化合物は、単独重合も可能であるが、ラジカル重合反応性が小さいため、通常はパーフルオロオレフィン又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のコモノマーと共重合して用いられる。コモノマーとなるパーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられるが、通常はテトラフルオロエチレンが好ましく採用される。
【0021】
コモノマーとなるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、CF2=CF−(OCF2CFY)t−O−Rfで表される化合物が好ましい。ただし、式中、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、tは0〜3の整数であり、Rfは直鎖又は分岐鎖のCu2u+1で表されるパーフルオロアルキル基(1≦u≦12)である。CF2=CF−(OCF2CFY)t−O−Rfで表される化合物の好ましい例としては、式5〜7のいずれかで表される化合物等が挙げられる。ただし、式5〜7中、vは1〜8の整数であり、wは1〜8の整数であり、xは1〜3の整数である。
【0022】
【化2】
Figure 0004218255
【0023】
また、パーフルオロオレフィンやパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)以外に、パーフルオロ(3−オキサヘプタ−1,6−ジエン)等の含フッ素モノマーもコモノマーとして−SO2F基を有するパーフルオロビニル化合物と共重合させてもよい。
【0024】
本発明において、電解質膜及び/又は触媒層樹脂を構成するスルホン酸基を有する含フッ素重合体中のスルホン酸基の濃度、すなわちイオン交換容量としては、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂、特に0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量がこの範囲より低い場合には得られる電解質膜及び/又は触媒層樹脂の抵抗が大きくなり、一方高い場合には電解質膜及び/又は触媒層樹脂の機械的強度が不充分となる。
【0025】
本分散液の分散媒としては、特に制限されないが、例えば下記のものが挙げられる。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類。
2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等の含フッ素アルコール。
【0026】
パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ−2−n−ブチルテトラヒドロフラン等のパーフルオロ含酸素又は含窒素化合物、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン等のクロロフルオロカーボン類、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のヒドロクロロフルオロカーボン類の他、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、水等の極性溶媒が使用できる。
これらの分散媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0027】
本分散液の濃度としては、イオン交換体ポリマーが溶液全質量の0.3〜30質量%であることが好ましい。0.3質量%未満であると、溶媒を揮発させるために時間がかかったり、時間短縮しようとすると高温加熱が必要となり、高温で加熱するとイオン交換樹脂中のイオンクラスターが不可逆的に小さくなり、プロトン伝導性が低下する。30質量%を超えると本分散液の粘度が高くなり、電解質膜や触媒層を形成する際の塗工性が悪くなる。また、本分散液に触媒を分散させて触媒層を作製する場合、触媒を被覆する触媒層樹脂の被覆膜の厚さが厚くなり電池性能が低下するおそれがある。上記濃度が5〜25質量%の場合、特に好ましい。
【0028】
本発明において触媒層に含まれる触媒としては、白金又は白金合金が、比表面積50〜2000m2/g程度のカーボンブラック、活性炭等の炭素材料に担持された担持触媒が好ましい。上記白金合金としては、白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、金、銀、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、すずからなる群から選ばれる1種以上の金属と白金との合金が好ましく使用できる。カソードに含まれる触媒とアノードに含まれる触媒は同じでも異なっていてもよい。
【0029】
本発明における触媒層と電解質膜の厚さは特に限定されないが、電解質膜の厚さは80μm以下、特に70μm以下、さらには50μm以下であることが好ましい。電解質膜の厚さが80μmを超えると、アノードとカソードに挟まれた電解質膜中では水蒸気量の濃度勾配が小さくなり、電解質膜が乾燥した状態になりやすく、電解質膜が乾燥するとプロトン導電性が低下し、また膜抵抗そのものも大きくなり、電池としての特性が低下するおそれがある。上記観点から電解質膜は薄いほど好ましいが、薄すぎると短絡したり、水素ガスの透過量が増大し開放電圧が低下するので、5〜70μmであることがより好ましく、10〜50μmであるとさらに好ましい。
【0030】
また、触媒層の厚さは、触媒層中のガス拡散を容易にし、電池特性を向上させる観点から、20μm以下であることが好ましく、さらに均一であること、平滑であることが好ましい。本発明の製造方法によれば、厚さ20μm以下の触媒層でも均一な厚さで形成することができる。触媒層の厚さを薄くすると単位面積あたりに存在する触媒量が少なくなって反応活性が低くなるおそれがあるが、この場合は触媒として白金又は白金合金が高担持率で担持された担持触媒を用いれば、薄くても触媒量が不足することなく電極の反応活性を高く保てる。上記観点から、触媒層の厚さはより好ましくは1〜15μmである。
【0031】
本分散液を作製する方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。−SO2F基を有する含フッ素重合体とフィブリル化可能なフルオロカーボン重合体の粉末との混合物を2軸押出し成形しペレットを得る。上記フルオロカーボン重合体をよりフィブリル化させたい場合は、このペレットを押出し成形してフィルム化してもよい。次いで得られたペレット又はフィルムを加水分解、酸型化処理し、−SO2F基をスルホン酸基(−SO3H基)に変換し、これを分散媒に分散させることにより本分散液が得られる。なお、ここでペレットやフィルムを分散媒に分散させる前に、凍結粉砕機等の粉砕機で1〜500μm程度の粒径の粉末に粉砕しておくと分散させやすく好ましい。
【0032】
ここで、2軸押出し機で混練の際(及び押出し成形してフィルム化する際)にフィブリル化可能なフルオロカーボン重合体は剪断力が付与されてフィブリル化する。本分散液中のフィブリル状のフルオロカーボン重合体については、例えば本分散液から分散媒を除去し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、その存在を確認できる。具体的には以下の方法により確認できる。
【0033】
本分散液を乾燥時の厚さがほぼ均一に約30μmとなるようにシャーレに滴下し、60℃のオーブンで3時間保持することによりキャスト膜を形成する。このキャスト膜をシャーレから剥離後、表面にプラズマエッチング処理を施し、5千〜1万倍の倍率でSEMで観察する。上述の方法で作製した本分散液の場合、フィブリル化したフルオロカーボン重合体が短繊維状の形状となっていることが確認できる。
【0034】
本発明の膜・電極接合体における電極は、カソード、アノードともに触媒層のみから構成されてもよいが、膜・電極接合体の外側にガス拡散層としてカーボンクロスやカーボンペーパーのような導電性多孔質体を配置し、触媒層にガスを均一に拡散させる役割と集電体としての役割を担わせてもよい。ガス拡散層は触媒層の外側に配置するだけでなく例えばホットプレスして触媒層と接合してもよい。
【0035】
本発明の固体高分子型燃料電池は、例えば、膜・電極接合体の外側にガスの流路となる溝が形成されたセパレータを配置し、当該セパレータにカソード側は空気など酸素を含むガスを流し、アノード側は水素を含むガスを供給することにより発電する。セパレータを介して複数の膜・電極接合体を積層してスタックを構成してもよい。
【0036】
本分散液を用いて膜・電極接合体を作製する方法は特に限定されないが、例えば別途用意した基材に触媒と触媒層樹脂を分散させた触媒層形成用塗工液を塗工し、その上に本分散液を塗工してイオン交換膜を形成したものを2つ作製し、イオン交換膜どうしを内側に向けて対向させ重ねてホットプレスすることにより、2枚のイオン交換膜が積層されてなる膜を電解質膜とする膜・電極接合体を得ることができる。また、基材を3枚用意し、アノードの触媒層形成用塗工液、カソードの触媒層形成用塗工液及び本分散液を塗工したものを1枚ずつ作製し、アノード触媒層、カソード触媒層及びイオン交換膜を形成し、イオン交換膜を基材から剥離した後、アノード触媒層とカソード触媒層を対向させ、間にイオン交換膜を挟んでホットプレスすることによっても得られる。
【0037】
イオン交換膜、触媒層ともにフィブリル状のフルオロカーボン重合体を含む場合は、上述の各方法において触媒層形成用塗工液として本分散液と触媒を混合して得られる分散液を用いればよい。また、本分散液を用いてイオン交換膜を作製しない場合は、(1)イオン交換膜の両面に本分散液を含む触媒層形成用塗工液を塗工する方法、(2)ガス拡散層に本分散液を含む触媒層形成用塗工液を塗工したものを2枚形成し、イオン交換膜を間に挟んでホットプレスする方法、(3)別途用意した基材に本分散液を含む触媒層形成用塗工液を塗工して触媒層を形成したものを2枚用意し、イオン交換膜を間に挟んでホットプレスすることにより触媒層をイオン交換膜に転写する方法等、公知の各種の方法が採用できる。
【0038】
【実施例】
[例1(実施例)]
テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)O(CF22SO2Fに基づく重合単位とからなる共重合体粉末(イオン交換容量1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂、以下、共重合体Aという。)9730gとPTFE粉末(商品名:フルオンCD−1、旭硝子社製)270gとを混合し、2軸押出し成形によりペレット化したもの(9500g)を得た。このペレットを、凍結粉砕機で粉砕した後、溶液全体の質量の30%のジメチルスルホキシドと溶液全体の質量の15%の水酸化カリウムを含む水溶液中で加水分解し、1モル/Lの塩酸に室温にて16時間浸漬して−SO2F基を酸型(スルホン酸基)に変換し、水洗乾燥した。
【0039】
これを、エタノールに分散し、分散質濃度が分散液全体の質量の10%であり、フィブリル状のフルオロカーボン重合体(溶質全体の2.7%)とスルホン酸基を含有するパーフルオロカーボン重合体とからなるフィブリル状フルオロカーボン重合体含有イオン交換体ポリマー分散液(以下、分散液aという。)を得た。
【0040】
テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)O(CF22SO3Hに基づく重合単位とからなる共重合体と白金ルテニウム合金(白金:ルテニウムがモル比で4:6)担持カーボン(カーボン:合金が質量比で1:1)とを5:9の質量比で含み、エタノールに溶解又は分散させた固形分濃度10質量%の液をアノード触媒層形成用分散液とした。
【0041】
さらに、上記共重合体と白金担持カーボン(白金:カーボンが質量比で1:1)を1:2の質量比で含み、エタノールを分散媒とする固形分濃度13.7質量%の分散液をカソード触媒層形成用分散液とした。
【0042】
アノード触媒層形成用分散液を、厚さ50μmのポリプロピレン(以下、PPという。)フィルムからなる基材の片面に、白金ルテニウム付着量が0.50mg/cm2となるようにダイコート法で塗工し、乾燥することによりアノード触媒層を形成した。同様にカソード触媒層形成用分散液を上述のPPフィルムとは別の厚さ50μmのPPフィルムからなる基材の片面に白金付着量が0.40mg/cm2となるようにダイコート法で塗工し、乾燥することによりカソード触媒層を形成した。
【0043】
次に上述のPPフィルムとは別のPPフィルム上に分散液aをダイコート法で塗工し、80℃のオーブンで10分間乾燥してフィブリル状フルオロカーボン重合体からなる補強材を含む厚さ30μmのイオン交換膜を形成した。
【0044】
上記で得られたカソード触媒層が片面に形成されたPPフィルムとアノード触媒層が形成されたPPフィルムとを、触媒層が形成された面を内側に向けて対向させ、あらかじめPPフィルムを剥離しておいた上記イオン交換膜を電解質膜としてそれらの間に挟んでホットプレスを行った。ホットプレスの条件は130℃、3MPaで4分間とし、ホットプレス後、カソード、アノードともにPPフィルムを触媒層から剥離することで触媒層を膜に転写し、触媒層とイオン交換膜とからなる膜・電極接合体を得た。
【0045】
上記で得られた膜・電極接合体を有効電極面積が25cm2となるように切り抜き、電池性能測定用セルに組み込み、アノードに水素ガス、カソードに空気をそれぞれ供給し、セル温度80℃にて発電試験を行った。このときの電流密度0.2A/cm2における初期の出力電圧と1000時間連続運転した後の出力電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
[例2(実施例)]
ペレット化するのに使用した共重合体A粉末の量を9600gに変更し、PTFE粉末の量を400gに変更した以外は例1と同様にして分散液(以下、分散液bという。)を得た。分散液aのかわりにこの分散液bを用いてイオン交換膜を作製した以外は例1と同様にして膜・電極接合体を得た。得られた膜・電極接合体を、例1と同様に電池性能測定用セルに組み込み、例1と同様に試験を行った。結果を表1に示す。
【0047】
[例3(実施例)]
ペレット化するのに使用した共重合体A粉末の量を9300gに変更し、PTFE粉末の量を700gに変更した以外は例1と同様にして分散液を得た。分散液aのかわりにこの分散液を用いてイオン交換膜を作製した以外は例1と同様にして膜・電極接合体を得た。得られた膜・電極接合体を、例1と同様に電池性能測定用セルに組み込み、例1と同様に試験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
[例4(実施例)]
フィブリル状フルオロカーボン重合体とイオン交換体ポリマーとの合量と白金担持カーボンとが質量比で1:2となるように、分散液aに例1で使用したものと同じ白金担持カーボンを分散させ、エタノールを溶媒とする固形分濃度13.7質量%の分散液を得た。これをカソード触媒層形成用分散液としてカソードの触媒層を形成した以外は例1と同様にして膜・電極接合体を得た。
上記で得られた膜・電極接合体を例1と同様に電池性能測定用セルに組み込み、例1と同様に試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】
[例5(比較例)]
例1で用いたアノード触媒層形成用分散液を厚さ50μmのPPフィルムからなる基材の片面に、白金ルテニウム付着量が0.50mg/cm2となるようにダイコート法で塗工し、乾燥することでアノード触媒層を形成した。同様にカソード触媒分散液を用いてカソード触媒層を上述のPPフィルムとは別の厚さ50μmのPPフィルムからなる基材の片面に白金付着量が0.40mg/cm2となるようにダイコート法で塗工し、乾燥することでカソード触媒層を形成した。
【0050】
上記で得られた2枚のシートを、触媒層が形成された面を内側に向けて対向させ、間に固体高分子電解質膜としてスルホン酸型パーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜(商品名:フレミオンHR、旭硝子社製、イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、乾燥膜厚30μm)を挟んで、ホットプレスを行った。ホットプレスの条件は130℃、3MPaで4分間とし、ホットプレス後、カソード、アノードともに基材シートを触媒層から剥離することで触媒層を膜に転写し、触媒層と膜からなる膜・電極接合体を得た。
【0051】
得られた膜・電極接合体を、例1と同様に電池性能測定用セルに組み込み、例1と同様に試験を行った。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004218255
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さが均一に薄くて抵抗が低くかつ引裂き強度が高い電解質膜及び/又は触媒層を備える膜・電極接合体が得られるので、当該膜・電極接合体を備える固体高分子型燃料電池は、発電特性及び耐久性に優れている。さらに、本発明の製造方法は、量産にも適している。

Claims (4)

  1. 陽イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両面に、触媒を含む触媒層を有する電極からなるカソード及びアノードを配置し一体化させる固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法において、前記カソードの触媒層及び/又は前記アノードの触媒層は、スルホン酸基を有する含フッ素重合体からなるイオン交換体ポリマーとフィブリル状のフルオロカーボン重合体とが分散媒に分散され前記イオン交換体ポリマーの濃度が0.3〜30質量%である分散液と触媒を混合した液を用いて層状に形成することを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  2. 前記フィブリル状のフルオロカーボン重合体は、前記分散液中に、前記分散液の固形分の全質量の0.5〜15質量%含まれる請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  3. 前記フィブリル状のフルオロカーボン重合体は、ポリテトラフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を95モル%以上含む共重合体からなる請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  4. 前記スルホン酸基を有する含フッ素重合体は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF2=CF(OCF2CFX)m−Op−(CF2nSO3Hに基づく重合単位(ここでXはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは0〜12の整数であり、pは0又は1であり、nが0のときにはpも0である。)とからなる共重合体である請求項1〜のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
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