JP2002260686A - 固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法

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JP2002260686A
JP2002260686A JP2001062101A JP2001062101A JP2002260686A JP 2002260686 A JP2002260686 A JP 2002260686A JP 2001062101 A JP2001062101 A JP 2001062101A JP 2001062101 A JP2001062101 A JP 2001062101A JP 2002260686 A JP2002260686 A JP 2002260686A
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catalyst layer
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Yasuhiro Kokukyo
康弘 国狭
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Asahi Glass Co Ltd
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程がシンプルであり、しかも優れた電
池出力を得ることのできる固体高分子型燃料電池用膜・
電極接合体の製造方法の提供。 【解決手段】 イオン交換膜の少なくとも一方の面上に
触媒層を形成し、該触媒層上に、イオン交換基を実質的
に有しない溶媒可溶性含フッ素重合体の溶液にカーボン
ブラックを分散させた液を用いて撥水性カーボン層を形
成する。そして、撥水性カーボン層にガス拡散層基材を
隣接して配置することにより、固体高分子型燃料電池用
膜・電極接合体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池用膜・電極接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、その反応生成物
が原理的に水のみであり、地球環境への悪影響のほとん
どない発電システムとして注目されている。その中で
も、イオン交換膜からなる高分子電解質膜を有する固体
高分子型燃料電池は、小型軽量化が容易であることか
ら、電気自動車等の移動車両や、小型コジェネレーショ
ンシステムの電源等としての実用化が期待されている。
【0003】この固体高分子型燃料電池は、作動温度が
80℃程度と比較的低いため電池反応によりカソードで
生成する水が凝縮し易い。このように電極内部が生成水
で濡れ易くなると電極の触媒層や当該触媒層にガスを供
給するためのガス拡散層の細孔が生成水により閉塞され
る現象(フラッディング)が発生し、燃料ガスが触媒層
中の反応サイトに到達できずに電池電圧が大きく落ち込
む。そのため、作動中の電池内の水、特にカソードで生
成する水を電池外部に長期間にわたり安定して排出する
ことが可能な電極の撥水性を確保することが実用化のた
めの重要な課題の一つとなっている。
【0004】また、固体高分子型燃料電池おいては、一
般的に、作動中におけるイオン交換膜の導電性を十分に
保つため、イオン交換膜が乾燥しないように燃料ガスは
水蒸気を含んだ加湿された状態でアノードに供給されて
いる。この加湿されたガスの水分の凝縮によってもフラ
ッディングが起こる場合もあり、この点においてもアノ
ード、カソードの両極ともに、十分な撥水性を付与する
ことが必要である。
【0005】すなわち、燃料電池を長期間にわたり安定
して作動させるには、フラッディングが起こらないよう
に、触媒層及びガス拡散層に撥水性を付与することが必
要である。特に、ガス拡散層に撥水性を付与し、触媒層
に対する十分なガス供給と電池内の水を外部へ十分な排
出を可能にすることが重要である。
【0006】ガス拡散層としては、撥水性を付与したカ
ーボンペーパー、カーボンクロス等の基材(以下、ガス
拡散層基材という)と、当該ガス拡散層基材の触媒層に
隣接する側の表面に形成される撥水性カーボン層とから
構成されるもの、又は、撥水性カーボン層をガス拡散層
基材の触媒層に隣接する側の表面のみならずその細孔内
部まで充填して形成した構成を有するものが報告されて
いる。一般に、ガス拡散層は、撥水性カーボン層とガス
拡散層基材とからなる。
【0007】従来、撥水性カーボン層は、主としてカー
ボンブラックと溶媒に不溶の含フッ素樹脂(バインダ兼
撥水化剤)とから構成されている。撥水性カーボン層は
粉末から構成されるため、ガス拡散層基材よりも緻密な
表面を有しているので、触媒層と十分な接触を保つこと
ができる。そのため、カーボン粉末層を配置することに
より集電も有利になる。
【0008】また、撥水性カーボン層は、小さな細孔を
有する多孔体であるため、当該撥水性カーボン層を通過
させることにより電池内の水を微少な水の粒子にして基
材の側にスムーズに排出することができる。そのため、
高電流密度領域においてもフラッディングが起こりにく
くなり、燃料電池の性能は長期にわたり安定する。更
に、基材を触媒層に直接接触させるようにしてガス拡散
電極を構成すると、ガス拡散層基材の表面には通常カー
ボン繊維等による毛羽立ちがあるため、イオン交換膜や
触媒層を損傷するおそれがあるが、ガス拡散層基材と触
媒層との間に撥水性カーボン層を配置することにより、
上記の損傷を防止する効果もある。
【0009】上記従来の撥水性カーボン層の構成材料と
しては、溶媒に不溶の含フッ素樹脂であるポリテトラフ
ルオロエチレン(以下、PTFEという)、テトラフル
オロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テ
トラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)共重合体等の含フッ素重合体が使用されてい
る。なお、本明細書において、「A/B共重合体」と
は、Aに基づく繰り返し単位とBに基づく繰り返し単位
とからなる共重合体を示す。
【0010】従来より、アノードとカソードとの間にイ
オン交換膜を配置させたいわゆる膜・電極接合体を製造
するに際し、撥水性カーボン層は、上記の溶媒に不溶な
含フッ素重合体を界面活性剤等を用いて分散させたディ
スパージョンとカーボンブラック粉末とを混合した分散
液を調製し、これを塗布又はスプレーすることにより先
に述べたような状態でガス拡散層基材上に形成される。
そして、膜・電極接合体は、例えば、別途作製した膜・
触媒層接合体の両側に上記のようにして得られるガス拡
散層を配置し、必要に応じてホットプレスすることによ
り作製されている。また、膜・電極接合体は、上記のよ
うにして得られるガス拡散層上に触媒層を形成してガス
拡散電極とし、これをイオン交換膜の両側に配置して必
要に応じてホットプレスすることによって作製される場
合もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の撥水性カーボン層を備えた膜・電極接合体は、製造
工程において以下のような高温の焼成処理を必要とし、
これによって電極設計上及び電極の製造上の制限が多く
なり、しかも製造工程が複雑になっていた。
【0012】すなわち、撥水性カーボン層形成用の分散
液には不溶性含フッ素重合体を分散させるために界面活
性剤が含まれているが、界面活性剤は親水性のためこれ
が得られるガス拡散層中に残存していると十分な撥水効
果が得られない。そのため、界面活性剤を十分に除去す
るために、300〜370℃程度の温度範囲の焼成処理
が必要である。ところが、触媒層に含有されるイオン交
換樹脂及びイオン交換膜の耐熱温度は200℃程度であ
るため、上記の焼成処理は、ガス拡散層の撥水性カーボ
ン層上に触媒層を連続的に形成し、撥水性カーボン層と
触媒層とを一体化させた後に行うことはできなかった。
【0013】すなわち、触媒層上に撥水性カーボン層形
成用の分散液を直接塗布又はスプレーすることにより撥
水性カーボン層を形成することは不可能であった。その
ため、撥水性カーボン層はガス拡散層基材上に形成しな
ければならなかった。
【0014】しかし、ガス拡散層基材上に上記の分散液
を用いて撥水性カーボン層を形成する場合には以下の問
題が発生する。すなわち、ガス拡散層基材としてカーボ
ンクロスを用いた場合、カーボンクロスの表面には凹凸
があるため、撥水性カーボン層の表面もその影響で凹凸
が発生する問題点があった。撥水性カーボン層の表面に
凹凸があると、膜・電極接合体を形成した際に撥水性カ
ーボン層と触媒層との密着性が十分に保てなくなり、撥
水性カーボン層と触媒層との接触面での接触抵抗が大き
くなる。
【0015】また、撥水性カーボン層と触媒層との接触
面に凹凸があると、反応生成水などの滞留が生じ、水の
給排水がスムーズに行うことが困難となり、フラッディ
ングが起こり易くなる。そのため、特に高電流密度領で
作動させる場合の出力電圧が低くなる。また、撥水性カ
ーボン層の表面の凹凸により、触媒層及びイオン交換膜
が損傷するおそれがある。
【0016】また、ガス拡散層基材としてカーボンペー
パーを用いた場合、カーボンペーパーの表面はマクロ的
にみれば平坦であるものの、構成材料のカーボン繊維間
の隙間が大きく、撥水性カーボン層の形成用の分散液の
粘度等を厳密に調整する必要があった。
【0017】更に、上記の撥水性カーボン層に含有され
る溶媒に不溶な含フッ素重合体の多くは、高温で焼成し
ても透明なゲル状になるだけで明確な溶融流動性を示さ
ない。そのため、カーボンブラックに対して多量に含有
させないとカーボンブラックの表面を効果的に被覆でき
ないし、十分なバインダ効果も得られず撥水性カーボン
層の形状が維持できなくなる。しかし、上記の含フッ素
重合体は電気絶縁体であるため、カーボンブラックに対
して多量に含有させると、撥水性カーボン層の電気抵抗
が増大する。また、この場合、層内の細孔が含フッ素重
合体により閉塞されるおそれがある。
【0018】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、製造工程がシンプルであり、
しかも優れた電池出力を得ることのできる固体高分子型
燃料電池用膜・電極接合体の製造方法を提供することを
目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、撥水性カーボン
層の撥水化剤としてイオン交換基を実質的に有しない溶
媒可溶性含フッ素重合体を用いることにより、先に述べ
た製造工程における高温の焼成処理が不要となり、電極
設計上及び電極の製造上の自由度を高めることが可能と
なることを見出し、本発明に到達した。
【0020】すなわち、本発明は、アノードと、カソー
ドと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交
換膜からなる高分子電解質膜とを有しており、かつ、ア
ノード及び/又はカソードが触媒とイオン交換樹脂とを
含有する触媒層とガス拡散層基材とを有するガス拡散電
極からなる固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製
造方法であって、イオン交換膜の少なくとも一方の面上
に、触媒層を形成する触媒層形成工程と、触媒層上に、
イオン交換基を実質的に有しない溶媒可溶性含フッ素重
合体の溶液にカーボンブラックを分散させた液を用いて
撥水性カーボン層を形成する撥水性カーボン層形成工程
と、撥水性カーボン層に、ガス拡散層基材を隣接して配
置するガス拡散層基材配置工程と、を含むことを特徴と
する固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法
を提供する。
【0021】ここで、本発明における「イオン交換基を
実質的に有しない溶媒可溶性含フッ素重合体」(以下、
溶媒可溶性含フッ素重合体という)とは、分子中のイオ
ン交換容量(以下、ARという)が0.10ミリ当量/
g乾燥樹脂(以下、meq./gとする)以下、より好
ましくは0.05meq./g以下であり、かつ、溶解
可能な溶媒が存在する含フッ素重合体を示す。また、こ
こでいうイオン交換基とはスルホン酸基、カルボン酸基
などである。
【0022】上記の撥水性カーボン層の撥水化剤として
使用される溶媒可溶性含フッ素重合体は溶媒に均一に溶
解するので、本発明の製造方法においては、先に述べた
界面活性剤を用いる必要がない。そのため、撥水性カー
ボン層の形成後、従来のような界面活性剤を除去するた
めの高温の焼成処理が不要となる。その結果、撥水性カ
ーボン層を触媒層上に作製することができる。従って、
本発明の製造方法は、従来の製造方法と比較して電極設
計上及び電極の製造上の自由度を高めることができ、製
造工程をシンプルにすることが容易にできる。
【0023】また、高温の焼成処理が不要となることか
ら、溶媒可溶性含フッ素重合体を含む撥水性カーボン層
形成用の液を使用して、イオン交換膜上に形成した触媒
層の平坦な表面に直接かつ連続的に撥水性カーボン層を
一体化した状態で形成することができる。そのため、従
来に比べて撥水性カーボン層と触媒層との密着性が極め
て向上する。その結果、撥水性カーボン層と触媒層との
接触面での接触抵抗が小さくなるだけでなく、撥水性カ
ーボン層と触媒層との接触面に凹凸がないため反応生成
水などの滞留がなく水の給排水がスムーズになり水の阻
害を受けにくく高電流密度での出力電圧も向上する。ま
た、撥水性カーボン層と触媒層との接触面の凹凸による
膜への損傷も少なくなり耐久性も確保しやすい。
【0024】更に、溶媒可溶性含フッ素重合体は、少量
でもカーボンブラックの表面を効果的に被覆できるし、
十分なバインダ効果も得ることができるので、優れた撥
水性を有するとともに電気抵抗の低い撥水性カーボン層
を形成することができる。そのため、優れた電池出力を
有する膜・電極接合体を製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の固体高分子型燃料
電池用膜・電極接合体の製造方法の好適な実施形態につ
いて詳細に説明する。本発明における膜・電極接合体
は、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの
間に配置されたイオン交換膜から構成されているもので
ある。更に、アノード及び/又はカソードは、触媒とイ
オン交換樹脂とを含有する触媒層と、ガス拡散層基材及
び該基材と触媒層との間に配置される撥水性カーボン層
とからなるガス拡散層とを有する構成のガス拡散電極で
ある。そして、本発明では膜・電極接合体は、触媒層形
成工程と、撥水性カーボン層形成工程と、ガス拡散層基
材配置工程とを経て製造する。
【0026】触媒層形成工程は、イオン交換膜の少なく
とも一方の面上に、触媒とイオン交換樹脂とを含有する
触媒層を形成する工程である。具体的には、例えば、触
媒と、当該触媒被覆用のイオン交換樹脂と、分散媒とを
含む混合液(以下、触媒層形成用インクという)を調製
し、これをイオン交換膜上に塗布又はスプレーし、公知
の方法により乾燥させて凹凸のない平滑な表面を有する
触媒層を形成する。なお、触媒層形成用インクを塗布又
はスプレーするとき、イオン交換膜を例えば離型性のポ
リエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィ
ルム等の基材の平滑な表面上に固定しておいてもよい。
【0027】ここで、本発明の製造方法において使用す
るイオン交換膜は特に限定されるものではなく公知のも
のを使用できる。例えば、ナフィオン(デュポン社
製)、フレミオン(旭硝子社製)等のようなスルホン酸
基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン
交換膜が挙げられる。また、多孔体、織布、フィブリル
等の補教材を含む複合型の補強膜を使用してもよい。更
に、用途によっては部分炭化水素系のイオン交換膜も使
用してもよい。
【0028】また、本発明の製造方法において触媒層形
成に用いる触媒は白金又は白金合金をカーボンに担持し
た触媒が好ましいが、その他各種合金系貴金属触媒やそ
れをカーボン等に担持した触媒を用いても構わず限定さ
れない。また、触媒層に含有されるイオン交換樹脂も特
に限定されず、先に述べたイオン交換膜を構成する樹脂
と同じものを使用してもよく異なるものを使用してもよ
い。更に、触媒層中には、撥水化剤が含まれていてもよ
く、この撥水化剤も特に限定されず、公知のものを使用
してよい。
【0029】撥水性カーボン層形成工程は、上記の触媒
層形成工程において形成した触媒層上に、イオン交換基
を実質的に有しない溶媒可溶性含フッ素重合体の溶液に
カーボンブラックを分散させた液(以下、撥水性カーボ
ン層形成用塗工液という)を用いて撥水性カーボン層を
形成する工程である。具体的には、例えば、溶媒可溶性
含フッ素重合体、カーボンブラック、溶媒等を含む撥水
性カーボン層形成用塗工液を調製し、これを触媒層上に
塗布又はスプレーし、乾燥させて凹凸のない平滑な表面
を有する撥水性カーボン層を形成する。なお、触媒層上
に塗布又はスプレーした撥水性カーボン層形成用塗工液
の乾燥方法は、特に限定されず、例えば、自然乾燥でも
よい。また、膜と各層間の密着性を高め、耐久性を高め
る観点から、例えば、所定の温度条件及び所定のガス雰
囲気条件のもとでアニール処理してもよい。更に、大気
中で焼成してもよく、また、大気中の焼成の代りに同様
の処理効果を狙った処理として所定の圧力と温度のもと
で両外側にガス拡散層基材を配置してホットプレスを施
してもよい。
【0030】この工程により形成される撥水性カーボン
層は、撥水化剤として、イオン交換基を実質上有しない
溶媒可溶性含フッ素重合体を含有する。以下、本発明の
製造方法に使用する溶媒可溶性含フッ素重合体について
説明する。
【0031】本発明における溶媒可溶性含フッ素重合体
は部分的にフッ素化されたものでも全部の水素原子がフ
ッ素置換されたものでもよいが、水素原子が全部フッ素
化されているものの方が耐薬品性に優れ、酸化・還元雰
囲気中でも安定なのでより好ましい。また、溶媒可溶性
含フッ素重合体は、固体高分子型燃料電池の作動温度範
囲及び保管温度範囲では固体状態であることが好まし
く、具体的には−40℃〜150℃の温度範囲で固体状
態であることが好ましい。更に、溶解可能な溶媒は特に
限定されないが、溶媒可溶性含フッ素重合体は、燃料電
池の電極反応における反応物や生成物となりうるアルコ
ールや水等の溶媒にはほとんど溶解しない重合体である
ことが好ましい。
【0032】また、本発明における溶媒可溶性含フッ素
重合体は、分子内に含フッ素脂肪族環構造を有する重合
体が好ましい。分子内に含フッ素脂肪族環構造を有する
重合体は、その分子構造に起因する分子のねじれにより
結晶化しにくく、フッ素系溶剤に可溶である。具体的に
は、下記化学式(1)〜(4)のいずれかで表される繰
り返し単位を含むことが好ましい。更に具体的に例示す
ると、溶媒可溶性含フッ素重合体は、下記化学式(5)
〜(11)のいずれかで表される繰り返し単位を含むこ
とが好ましい。また、溶媒可溶性含フッ素重合体は、下
記化学式(12)又は(13)で表される繰り返し単位
を含むものも好ましい。
【0033】ただし、下記化学式(1)〜(4)中、R
1、R2、及びR3はそれぞれフッ素原子又はトリフルオ
ロメチル基を示し、pは0〜5の整数を示し、qは0〜
4の整数を示し、rは0又は1を示し、p+q+rは1
〜6であり、s、t、uはそれぞれ0〜5の整数でか
つ、s+t+uは1〜6であり、vは1又は2を示す。
【化3】
【化4】
【0034】ここで、本発明における溶媒可溶性含フッ
素重合体は、化学式(5)〜(13)のいずれかで表さ
れる繰り返し単位の単独重合体であってもよいが、これ
らの繰り返し単位の2種以上を含む共重合体であっても
よい。また、テトラフルオロエチレンやヘキサフルオロ
プロピレン等の含フッ素環構造を有しない単量体に基づ
く繰り返し単位が含まれる共重合体であってもよい。
【0035】また、本発明における溶媒可溶性含フッ素
重合体の分子量は1万〜20万であることが好ましく、
2万〜13万であることがより好ましい。一般に、含フ
ッ素重合体の溶液は、溶質濃度が等しい場合には分子量
が大きいものを溶解した溶液ほど粘度が高くなる。上記
範囲の分子量の溶媒可溶性含フッ素重合体を使用する場
合、溶媒に溶解した溶液は濃度を調整すればその粘度を
容易に設定できる。また上記範囲の分子量を有する溶媒
可溶性含フッ素重合体の溶液は該重合体が均一に溶解し
ているだけでなく造膜性を有しており、該溶液を乾燥す
るのみで容易に耐久性の高い被膜を得ることができる。
【0036】しかし、長期間安定した撥水性を確保する
ためには、溶媒を除去するための乾燥だけでは溶媒可溶
性含フッ素重合体とカーボンブラックとの付着力は十分
でない場合もある。従って、撥水性カーボン層形成工程
においては、撥水性カーボン層形成用塗工液をガス拡散
層基材に塗工した後、真空中又は不活性ガス雰囲気中
で、加熱することが好ましい。このときの加熱温度は、
上記付着力を高めるためには溶媒可溶性含フッ素重合体
のガラス転移温度より高い温度であることが好ましい。
しかし、あまり高温としても付着力は高まらずガス拡散
層の製造上の自由度が狭まるだけである。上記のような
観点から、加熱温度は、具体的には、80〜200℃程
度であることが好ましく、130〜180℃であること
がより好ましい。
【0037】また、溶媒可溶性含フッ素重合体が溶解可
能な溶媒とは、当該溶媒可溶性含フッ素重合体を溶質濃
度として1質量%以上溶解させることの可能な溶媒を示
す。このような溶媒は特に限定されないが、含フッ素溶
媒が好ましく使用される。このような含フッ素溶媒は、
97℃以下の比較的低沸点を有するものが多い。これら
の溶媒を使用すれば、溶媒可溶性含フッ素重合体用の界
面活性剤等を使用する必要がなく、従って、界面活性剤
の除去のための加熱を行なう必要もない。そのため、撥
水性カーボン層形成後の溶媒除去が当該カーボン層を室
温にて放置するだけで速やかに行なうことができる。従
って、極めて容易に撥水化を行なうことができる。しか
し、当該撥水性カーボン層内のカーボンと撥水剤との密
着性をより向上させる観点から、撥水性カーボン層形成
工程においては、ガス拡散層基材上に撥水性カーボン層
形成用塗工液を塗布或いはスプレーした後に熱処理を加
えることが好ましい。このとき、含フッ素重合体を溶解
した溶液の固形分濃度は、粘度等のハンドリング性を考
慮して溶液全質量の0.01〜25%が好ましい。
【0038】溶媒可溶性含フッ素重合体が溶解可能な溶
媒の具体例としては、例えば、パーフルオロベンゼン、
ジクロロペンタフルオロプロパン、アフルード(商品
名、旭硝子社製の含フッ素溶剤)、パーフルオロ(2−
ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロオクタン
(CF3(CF26CF3)等が挙げられる。例えば、化
学式(11)の重合体はパーフルオロオクタンに溶解し
て、溶質濃度が10質量%程度の溶液を調製することが
できる。
【0039】また、撥水性カーボン層形成用塗工液中に
は、溶媒可溶性含フッ素重合体とカーボンブラックとが
10:90〜50:50の質量比で含まれることが好ま
しい。上記塗工液中の溶媒可溶性含フッ素重合体がカー
ボンブラックとの含量の10質量%より少ないと、十分
な撥水性及びバインダ効果を得にくく、50質量%より
多いと、撥水性カーボン層の抵抗が大きくなりすぎるお
それがあり、また、溶媒可溶性含フッ素重合体により撥
水性カーボン層の細孔部分が閉塞されてガス拡散性が低
下するおそれがある。上記と同様の観点から、撥水性カ
ーボン層中には、溶媒可溶性含フッ素重合体とカーボン
ブラックとが15:85〜35:65の質量比で含まれ
ることがより好ましい。
【0040】また、溶媒可溶性含フッ素重合体の溶液
(或いはこれにカーボンブラックを分散させた撥水性カ
ーボン層形成用塗工液)の濃度及び粘度を調整するため
必要に応じて、希釈溶媒等を添加してもよい。該希釈溶
媒としてはフルオロアルカン類、フルオロトリアルキル
アミン類、フルオロアルキルテトラヒドロフラン類、ケ
トン類、エステル類、クロロエタン類、ベンゼン誘導
体、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール類、フルオロカーボン類、ヒドロフルオ
ロカーボン類、ヒドロクロロフルオロカーボン類等が挙
げられる。
【0041】ガス拡散層基材と触媒層との間に形成され
る撥水性カーボン層の厚さは5〜300μmであること
が好ましく、20〜100μmであることがより好まし
い。撥水性カーボン層の厚さが5μm未満であると、ガ
ス拡散層基材としてカーボンペーパーやカーボンクロス
(カーボン繊維を製織して布状としたもの)を使用する
場合はこれらを構成するカーボン繊維の毛羽立ち等から
触媒層を十分に保護することが困難となるおそれがあ
る。また、このような場合には、ガス拡散層基材の側か
ら供給されるガスを細かく分配して触媒層に供給するこ
とや、触媒層の側から排出される水を外部に排出するこ
とが困難となるおそれがある。一方、撥水性カーボン層
の厚さが300μmを超えると、厚すぎて燃料ガス等の
反応ガスの拡散性が低下し、電極反応に対してガスの供
給量が不足し、反応生成水等の排水性が低下するおそれ
がある。
【0042】撥水性カーボン層の構成材料となるカーボ
ンブラックとしては、導電性を有していれば特に限定さ
れない。カーボンブラックの粒子径は小さい方が導電性
が高く好ましいが特に限定されない。具体的な商品とし
ては、例えば、キャボット社製のVULCAN P、V
ULCAN 9A32、VULCAN XC−72等が
挙げられる。特に、上記の中でも高導電性のVULCA
N XC−72が好ましい。
【0043】ガス拡散層基材配置工程は、撥水性カーボ
ン層に、ガス拡散層基材を隣接して配置する工程であ
る。なお、この工程において、ガス拡散層基材は、例え
ば、単純に力学的な押圧により撥水性カーボン層に接触
させてもよく、ホットプレスやロールプレスにより接合
させてもよい。
【0044】ここで、ガス拡散層基材としては、耐腐食
性や高い導電性及び良好なガス拡散性を有する多孔質体
からなることが好ましく、加工性等を考慮すると該多孔
質体は炭素質材料からなるものが好ましい。具体的に
は、例えば、カーボンクロスやカーボンペーパー等が使
用される。また、ガス拡散層基材においては溶媒に不溶
な含フッ素重合体を含む撥水層が形成されていてもよ
く、当該撥水層と本発明における撥水層とが併用される
と長期的に高い撥水性を有し好ましい。
【0045】なお、本発明の製造方法は、以上説明した
各工程を含んでいればよく、イオン交換膜上に形成した
触媒層の平坦な表面上に、撥水性カーボン層形成用塗工
液を用いて撥水性カーボン層を直接形成すること以外の
膜・電極接合体を製造する際の手順は特に限定されず、
任意の手順で膜・電極接合体を製造することができる。
【0046】例えば、予めイオン交換膜の一方の面にの
み触媒層、撥水性カーボン層を連続的に形成し、その
後、もう一方の面に触媒層、撥水性カーボン層を連続的
に形成してもよい。この場合、イオン交換膜の一方の面
にのみ触媒層、撥水性カーボン層に加えてガス拡散層基
材も更に予め配置してもよい。更に、この場合、本発明
における撥水性カーボン層は一方のみの触媒層に形成
し、他方の触媒層上には撥水性カーボン層を形成してい
なくてもよく、また、溶媒可溶性含フッ素重合体のかわ
りに溶媒に不要な含フッ素重合体を含む撥水性カーボン
層を従来の方法により作製してもよい。
【0047】また、例えば、イオン交換膜の両面に予め
触媒層を形成し、その後、撥水性カーボン層を各触媒層
上に形成してもよい。この場合にも、本発明における撥
水性カーボン層は一方のみの触媒層に形成し、他方の触
媒層上には溶媒可溶性含フッ素重合体のかわりに溶媒に
不要な含フッ素重合体を含む撥水性カーボン層を従来の
方法により作製してもよい。
【0048】更に、以上説明した一連の工程により作製
された本発明における撥水性カーボン層を有するガス拡
散層は、カソード、アノードのいずれにも使用できる。
アノード及びカソードともに本発明における撥水性カー
ボン層を有するガス拡散層を備えていることが好まし
い。また、上記のように本発明における撥水性カーボン
層を一方のみの触媒層に形成する場合には、カソードは
電池反応により水が生成してフラッディングが起こり易
く電極過電圧も大きいことから、カソード用の触媒層上
に形成することが好ましい。そしてこの場合、アノード
側のガス拡散層基材には、従来の溶媒に不溶な含フッ素
重合体により撥水化処理された撥水性カーボン層を形成
してもよい。この場合にも、従来よりも製造工程をシン
プルにでき、しかも優れた出力特性を有する膜・電極接
合体を得ることができる。
【0049】以下、本発明の電極・膜接合体の製造方法
に基づく具体的な製造手順の一例を挙げる。例えば、先
ず、離型性のPETフィルム等の基材の平滑な表面上に
固定されたイオン交換膜の表面に、カソード用に成分を
調整した触媒層形成用インクを塗布・乾燥させてカソー
ドの触媒層を形成する。その後、撥水性カーボン層形成
用塗工液をこの触媒層上に塗布・乾燥させて撥水性カー
ボン層を形成した接合体を作製する。その後、この接合
体から前述のPETフィルムを剥がし、カソードの触媒
層の側の面に向けてこの接合体をガラス板等の平滑な表
面を有する基材に固定する。その後、接合体のイオン交
換膜の面にアノードの触媒層と撥水性カーボン層をカソ
ード側と同じ手順で形成し、膜・触媒層接合体を作製す
る。その後、得られた膜・触媒層接合体をガラス板上に
固定したまま適当な温度・雰囲気条件でアニール処理す
る。その後、撥水処理したカーボンクロス等のガス拡散
層基材を膜・触媒層接合体の両外側に押し当てて電極・
膜接合体を完成させる。
【0050】また、本発明の電極・膜接合体の製造方法
に基づく具体的な製造手順の更に他の一例としては、例
えば、イオン交換膜のカソードを形成すると想定した面
上のみ上記と同様にしてイオン交換膜上に触媒層、撥水
性カーボン層を連続的に形成する。一方、アノード用の
ガス拡散層を従来通りガス拡散層基材上に撥水性カーボ
ン層を形成することにより別途作製する。その後、アノ
ード用のガス拡散層上にアノード触媒層を形成しアノー
ドを作製する。そして、先のカソードを形成したイオン
交換膜とアノードとをホットプレス等の方法で接合させ
て電極・膜接合体を完成させる。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の固
体高分子型燃料電池の製造方法の内容を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0052】(実施例1)溶媒可溶性含フッ素重合体と
して、化学式(11)で表される化合物(数平均分子
量:5〜6万程度)を、パーフルオロ(2−ブチルテト
ラヒドロフラン)に1.3質量%濃度で溶解し溶液(以
下、溶液1という)を得た。カーボンブラック(キャボ
ット社製、商品名;VULCAN XC−72)と上記
含フッ素重合体とが質量比で7:3となるように、上記
溶液153.8g(重合体質量2g)とカーボンブラッ
ク4.67gとを混合した。その後、充分な撹拌を行
い、スラリー状の撥水性カーボン層形成用塗工液(以
下、塗工液1という)を得た。
【0053】次に、ガス拡散層基材となるカーボンクロ
ス(日本カーボン社製、厚さ;約300μm)の撥水化
処理を実施した。まず、上記溶液1を、パーフルオロ
(2−ブチルテトラヒドロフラン)を用いて濃度1質量
%に希釈した。この溶液にカーボンクロスを含浸させ、
上記含フッ素重合体がカーボンクロスの単位面積あたり
に0.5mg/cm2存在するように付着させた。その
後、室温(25℃)にて溶媒を除去し、真空中150℃
で1時間焼成した。この操作は、撥水化剤とカーボンク
ロス繊維との接着力を強化するためのものである。
【0054】次に、触媒層形成用インクを調製した。カ
ーボンブラック粉末(キャボット社製、商品名;VUL
CAN XC−72R)に白金を40質量%担持した触
媒と、CF2=CF2/CF2=CF−OCF2CF(CF
3)−OCF2CF2SO3H共重合体(AR;1.1me
q./g)からなるイオン交換樹脂を質量比で7:3と
なるようにエタノール/水系溶媒(質量比;1:1)に
固形分濃度が10%となるように分散させ、これをアノ
ード、カソードの共通の触媒層形成用インクとした。
【0055】次に、矩形状のイオン交換膜(旭硝子社
製、商品名;フレミオンEf2、AR;1.0meq.
/g、PTFE含有量;2.7質量%、膜厚;30μ
m、9cm×11cm)をPETフィルム(9cm×1
1cm)上に固着した。そして、このイオン交換膜のP
ETフィルムとは反対側の面の外縁部分に2枚重ね合わ
せたポリイミドフィルムを貼ることにより、当該面の外
縁部分を保護(マスキング)するとともに当該面の中央
部に触媒層形成用インクを塗布するための塗工領域(5
cm×5cm)を形成した。
【0056】次に、上記の塗工領域に触媒層形成用イン
クを白金付着量が0.5mg/cm 2となるようにバー
コーターにて塗布した。そして、これを80℃の温度条
件のもとで乾燥させた後、その上に塗工液1をバーコー
ターにて塗布し、これを80℃の温度条件のもとで乾燥
させた。その後、ポリイミドフィルムを1枚剥がし、イ
オン交換膜とアノード触媒層との接合体(有効電極面
積;25cm2)を得た。なお、得られた撥水性カーボ
ン層の厚みは40μmであった。
【0057】次に、上記の接合体のイオン交換膜からP
ETフィルムを剥がした後、接合体をガラス板上にアノ
ードの側の面を向けて配置し、更にその外縁部分をテー
プにて固定した。その後、アノード触媒層形成時と同様
の手順により、接合体のイオン交換膜のアノードの形成
されていない側の面に、2枚重ね合わせたポリイミドフ
ィルムを用いて塗工領域(5cm×5cm)を形成し、
触媒層形成用インクを白金付着量が0.5mg/cm2
となるようにバーコーターにて塗布し、80℃の温度条
件の下で乾燥させた。その後、塗工液1を乾燥後に得ら
れる撥水性カーボン層の厚みが40μmとなるように塗
布し、80℃の温度条件の下で乾燥させた。その後、ポ
リイミドフィルムを1枚剥がし、得られたアノード触媒
層とカソード触媒層との間にイオン交換膜が接合された
膜・触媒層接合体を真空中で150℃、30分アニール
処理した。この膜・触媒層接合体の両外側に前述の撥水
処理を施したカーボンクロスをそれぞれ押し当てて膜・
電極接合体を得た。
【0058】(比較例1)以下のようにアノード及びカ
ソード用のガス拡散層を形成した以外は、実施例1と同
様にして膜・電極接合体を作製した。
【0059】すなわち、先ず、溶媒には溶解しないPT
FEの分散液(旭硝子フロロポリマーズ社製、商品名;
AD−1、ノニオン系安定剤使用、固形分濃度;60質
量%)を蒸留水で希釈して固形分濃度を1.3質量%と
し、PTFEが2g含まれるように分散液を153.8
g秤量した。この分散液に対し、実施例1で用いたもの
と同様のカーボンブラックを4.67g添加した。その
後、実施例1と同様に撹拌し、撥水性カーボン層形成用
塗工液(以下、塗工液2という)を得た。
【0060】この塗工液2を、実施例1と同様に撥水化
処理したカーボンクロス上にバーコーターにより塗布
し、窒素中350℃で焼成させ、カーボンクロス上に撥
水性カーボン層を形成し、アノード及びカソード用のガ
ス拡散層を得た。この撥水性カーボン層の厚さは40μ
mであった。
【0061】[電池特性試験]上記の実施例1及び比較例
1の各電極・膜接合体にガスの流路が形成されたセパレ
ータを装着して測定セルとし、電子負荷と直流電源(高
砂製作所社製,FK400L及びEX750L)を用い
て測定セルの電流電圧特性試験を行った。
【0062】測定条件は、水素導入口圧力;0.05M
Pa、空気導入口圧力;0.05MPa、測定セルの作
動温度;80℃、アノード側の水素ガス加湿器の温度;
80℃、カソード側の空気加湿器の温度;80℃、水素
利用率;70%、空気利用率;40%とした。電流密
度;1A/cm2にて16時間定電流駆動の通電を行っ
た後、開回路電圧を測定し、その後、電流密度をそれぞ
れ0.5A/cm2、1.0A/cm2、1.5A/cm
2、に保持した場合における各測定セルの端子間電圧を
測定した。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明では、溶媒可溶性含フッ素重合体
の溶液を含む液により撥水性カーボン層を形成し、該液
には界面活性剤等の分散剤が含まれていないため、高温
の焼成処理が不要である。この撥水性カーボン層をイオ
ン交換膜上に形成した触媒層の平坦な表面に直接形成し
ているため、従来に比べて撥水性カーボン層と触媒層と
の密着性が向上させられる。そのため、接触抵抗が小さ
くなるだけでなく、撥水性カーボン層と触媒層との接触
面に凹凸がないため反応生成水などの滞留がなく水の給
排水がスムーズになり水の阻害を受けにくいので、本発
明により得られる膜・電極接合体を備える固体高分子型
燃料電池は高電流密度での出力電圧が高い。また、撥水
性カーボン層と触媒層との接触面の凹凸による膜への損
傷も少なくなり耐久性も確保しやすい。すなわち、本発
明によれば、製造工程がシンプルであり、しかも優れた
電池出力を得ることのできる固体高分子型燃料電池用膜
・電極接合体の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27/12 C08L 27/12 29/10 29/10 45/00 45/00 47/00 47/00 C09K 3/18 102 C09K 3/18 102 H01M 4/86 H01M 4/86 B 4/88 4/88 H 4/96 4/96 H 8/10 8/10 Fターム(参考) 4H020 BA12 4J002 BE041 BK001 BL021 DA036 FD116 GQ00 GQ02 4J100 AC26Q AC27Q AE65P AR32P AS13P CA01 CA04 DA56 JA43 JA45 5H018 AA06 AS01 BB01 BB03 BB08 BB12 DD08 EE03 EE08 EE10 EE18 HH03 HH05 5H026 AA06 CX05 EE05 EE19 HH03 HH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードと、カソードと、前記アノード
    と前記カソードとの間に配置されたイオン交換膜からな
    る高分子電解質膜とを有しており、かつ、前記アノード
    及び/又は前記カソードが触媒とイオン交換樹脂とを含
    有する触媒層とガス拡散層基材とを有するガス拡散電極
    からなる固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造
    方法であって、 前記イオン交換膜の少なくとも一方の面上に、触媒層を
    形成する触媒層形成工程と、 前記触媒層上に、イオン交換基を実質的に有しない溶媒
    可溶性含フッ素重合体の溶液にカーボンブラックを分散
    させた液を用いて撥水性カーボン層を形成する撥水性カ
    ーボン層形成工程と、 前記撥水性カーボン層に、ガス拡散層基材を隣接して配
    置するガス拡散層基材配置工程と、を含むことを特徴と
    する固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記撥水性カーボン層の厚さが5〜30
    0μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体高
    分子型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記撥水性カーボン層形成用塗工液中に
    は、前記溶媒可溶性含フッ素重合体と前記カーボンブラ
    ックとが10:90〜50:50の質量比で含まれるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子型燃
    料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記溶媒可溶性含フッ素重合体が含フッ
    素脂肪族環構造を有する重合体であることを特徴とする
    請求項1〜3の何れかに記載の固体高分子型燃料電池用
    膜・電極接合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記溶媒可溶性含フッ素重合体が下記化
    学式(1)〜(4)のいずれかで表される繰り返し単位
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の固体高分子型
    燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。 【化1】 [化学式(1)〜(4)中、R1、R2、及びR3はそれ
    ぞれフッ素原子又はトリフルオロメチル基を示し、pは
    0〜5の整数を示し、qは0〜4の整数を示し、rは0
    又は1を示し、p+q+rは1〜6であり、s、t、u
    はそれぞれ0〜5の整数でかつ、s+t+uは1〜6で
    あり、vは1又は2を示す。]
  6. 【請求項6】 前記溶媒可溶性含フッ素重合体が下記化
    学式(5)〜(13)のいずれかで表される繰り返し単
    位を含むことを特徴とする請求項4に記載の固体高分子
    型燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。 【化2】
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