JP5157211B2 - フッ素系不織布の製造方法、フッ素系不織布、固体高分子形燃料電池用固体高分子電解質膜および膜電極接合体 - Google Patents
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Description
(1)メルトブローン法によって製造されたフッ素系不織布で補強された固体高分子電解質膜(特許文献1)。
該フッ素系不織布には、固体高分子電解質膜の電気抵抗を低減させるために、できるだけ薄いことが求められる。そのためには、フッ素系不織布を構成する連続繊維のさらなる細径化が必要である。
(2)非晶質含フッ素ポリマーと、水溶性樹脂または電解質と、パーフルオロ溶媒とを含む紡糸原液を用いた電界紡糸法にてフッ素系不織布を製造する方法(特許文献2)。
そのため、(2)の方法で製造されたフッ素系不織布は、固体高分子形燃料電池用固体高分子電解質膜を補強するためのフッ素系不織布に適していない。
本発明のフッ素系不織布は、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーからなり、水溶性樹脂または電解質を含まない連続繊維からなり、目付量が7.5cm3/m2以下であり、厚さが23μm以下であることを特徴とする。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、本発明の固体高分子形燃料電池用固体高分子電解質膜が、アノードとカソードとの間に配置されたものである。
本発明のフッ素系不織布によれば、電気抵抗が低く、機械的強度が高く、含水時の寸法安定性に優れる固体高分子電解質膜を得ることができる。また、本発明のフッ素系不織布は、化学的な耐久性に優れる。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、出力が高く、かつ耐久性に優れる。
本発明のフッ素系不織布は、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの連続繊維からなり、目付量が7.5cm3/m2以下であり、厚さが23μm以下である。
主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーは、該構造に起因するねじれにより結晶化しにくく、溶媒に可溶である。主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーとしては、繰り返し単位(α)〜(ζ)を有するポリマーが挙げられる。
主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーとしては、繰り返し単位(β1)または(ε1)を有するポリマーが好ましい。
連続繊維の繊維径(直径)は、0.01〜5μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。繊維径が0.01μm以上であれば、繊維1本あたりの引張強度が充分となり、ハンドリング性が良好となる。繊維径が5μm以下であれば、プロトン移動が円滑に行われるため、フッ素系不織布による電気抵抗の上昇を抑制できる。また、厚さあたりの繊維間の交点が増えるため、固体高分子電解質膜の機械的強度および寸法安定性が向上する。
連続繊維の繊維径は、断面の顕微鏡写真から測定する。
フッ素系不織布の厚さは、固体高分子電解質膜の機械的強度の点から、構成される繊維の径の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。繊維径に対して充分な厚さがないということは、得られる不織布において、その構成する繊維同士が充分な交点を有していないことを意味しており、その結果、良好な機械的強度を発現し得ない。
フッ素系不織布の厚さは、断面の顕微鏡写真から測定し、その最大値とする。
フッ素系不織布の開口率は、下記式から算出する。
開口率(%)=100−A×100/(B×C)。
ただし、Aは、フッ素系不織布の材料である含フッ素ポリマーの目付量(g/m2)であり、Bは、不織布の材料である含フッ素ポリマーの密度(g/m3)であり、Cは、不織布の厚さ(m)である。
フッ素系不織布の目付量は、25℃において、フッ素系不織布に粘着剤付きのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルムを押し付け、該フィルムにフッ素系不織布を移しとり、移しとられたフッ素系不織布の面積と、PETフィルムの質量増加とからフッ素系不織布の目付量(g/m2)を求め、さらに、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの25℃における密度(g/cm3)から、目付量(cm3/m2)を求める。
本発明においては、電界紡糸法にてフッ素系不織布を製造する。
電界紡糸法とは、紡糸原液に高電圧を印加することによって電気的に繊維を紡糸する方法である。
(i)他の方法に比べ、簡便な装置で製造できる。
不織布を製造する方法としては、メルトブローン法、スパンボンド法、抄紙法等が知られているが、いずれも大掛かりな不織布製造装置が必要となる、原料繊維を準備するために別に繊維製造装置が必要である等、装置コストがかかる。
(ii)極細の連続繊維の集積体が得られる。
通常の不織布設備を用いて極細の繊維で構成される不織布を製造することは、条件的にも厳しく、原料の粘度、延伸性等、多くの制約がある。一方、電界紡糸法は、溶液を用いた紡糸法であるため、その乾燥過程において体積収縮が起こること、および原料自体が低粘度あるため、極細ノズルでの成形が可能であることにより、極細の連続繊維を得やすい。
(iii)繊維集積体は、通常、繊維同志が結合した不織布として得られる。
電界紡糸法においては、溶液からの固化と延伸による紡糸とが同時に、または、逐次的に起こるため、繊維集積体は、繊維同士が結合した不織布として得られる。
沸点が110℃以上の溶媒の市販品としては、CT−solv.180(旭硝子社製、パーフルオロ溶媒、沸点:180℃)等が挙げられる。また、下記の溶媒も入手可能である。
含フッ素脂環式炭化水素類:ペルフルオロデカリン(bp142℃)、ペルフルオロ(1,3,5−トリメチルシクロヘキサン)(bp125℃)、パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレン(bp215℃)等。
含フッ素アルキルアミン類:ペルフルオロトリプロピルアミン(bp130℃)、ペルフルオロトリブチルアミン(bp178℃)、ペルフルオロトリペンチルアミン(減圧蒸留沸点の常圧換算bp200℃程度、計算からの予想bp230−240℃くらい)等。
含フッ素脂肪族炭化水素類:ペルフルオロノナン(bp123℃)、ペルフルオロデカン(bp144℃)、ペルフルオロドデカン(bp178℃)、1H−ペルフルオロデカン(bp160−170℃くらい)、1H−ペルフルオロオクタン(bp120−130℃)、1H,1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタン(bp150−160℃)等。
含フッ素エーテル類:メチルパーフルオロオクチルエーテル(常圧換算bp150−160℃)、メチルパーフルオロノニルエーテル(常圧換算bp175℃)等。
他の溶媒としては、パーフルオロベンゼン、トリフルオロエタン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等が挙げられる。
他の溶媒の市販品としては、フロリナートFC−77(3M社製、パーフルオロ溶媒、沸点:100℃)、CT−solv.100(旭硝子社製、パーフルオロ溶媒、沸点:100℃、AK−225等の代替フロン等が挙げられる。
紡糸原液の吐出量は、0.1〜50mL/時が好ましい。
針14の先端の内径は、0.1〜2mmが好ましい。
針14の先端からドラム16までの距離は、5〜40cmが好ましい。
針14とドラム16との間に印加する電圧は、1〜40kVが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用固体高分子電解質膜(以下、固体高分子電解質と記す。)は、プロトン伝導性ポリマーとフッ素系不織布とを含む膜である。
非補強層は、電気抵抗を上昇させない範囲で、フッ素系不織布を除く他の成分を含んでいてもよい。
非補強層の厚さは、固体高分子電解質膜表面からフッ素系不織布までの最短距離であり、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM等による断面観察より測定できる。
プロトン伝導性ポリマーとしては、フッ素系プロトン伝導性ポリマー、炭化水素系プロトン伝導性ポリマー等が挙げられ、耐久性の点から、フッ素系プロトン伝導性ポリマーが好ましい。
スルホン酸型パーフルオロカーボンポリマーとしては、パーフルオロオレフィン(テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)、ヘキサフルオロプロピレン等。)、クロロトリフルオロエチレン、およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群から選ばれる1種以上に基づく繰り返し単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とを有する共重合体が好ましく、TFEに基づく繰り返し単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とを有する共重合体Hが特に好ましい。スルホン酸基を有する繰り返し単位としては、下式(A)で表される繰り返し単位がより好ましい。
CF2=CF−(OCF2CFX)m−Op−(CF2)n−SO2F ・・・(1)。
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
CF2=CFO(CF2)qSO2F ・・・(11)、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)rSO2F ・・・(12)、
CF2=CF(CF2)sSO2F ・・・(13)、
CF2=CF(OCF2CF(CF3))tO(CF2)2SO2F ・・・(14)。
ただし、qは、1〜8の整数であり、rは、1〜8の整数であり、sは、1〜8の整数であり、tは、1〜5の整数である。
固体高分子電解質膜の製造方法としては、たとえば、下記方法が挙げられる。
(a−1)フッ素系不織布に、プロトン伝導性ポリマーを含む溶液または分散液を塗布または含浸させた後、乾燥し、造膜するキャスト法。
(a−2)フッ素系不織布に、あらかじめ成形したプロトン伝導性ポリマーを含む膜状物を積層して一体化する方法。
必要に応じて、延伸処理等によって固体高分子電解質膜を強化してもよい。
(b−1)前記(a−1)または(a−2)の方法によって固体高分子電解質膜を形成した時点で、非補強層を同時に形成させる方法。
(b−2)前記(a−1)または(a−2)の方法によって得られた固体高分子電解質膜(補強層)の表面に、プロトン伝導性ポリマーを含む溶液または分散液を塗布する方法。
(b−3)前記(a−1)または(a−2)の方法によって得られた固体高分子電解質膜(補強層)の表面に、あらかじめ成形したプロトン伝導性ポリマーを含む膜状物(非補強層)を積層して一体化する方法。
図2は、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す断面図である。膜電極接合体20は、触媒層21およびガス拡散層22を有するアノード23と、触媒層21およびガス拡散層22を有するカソード24と、アノード23とカソード24との間に、触媒層21に接した状態で配置される固体高分子電解質膜25とを具備する。
固体高分子電解質膜25は、上述した、プロトン伝導性ポリマーとフッ素系不織布とを含む膜である。
触媒層21は、触媒とプロトン伝導性ポリマーとを含む層である。
触媒としては、カーボン担体に白金または白金合金を担持した担持触媒が挙げられる。カソード24の触媒としては、耐久性の点から、カーボン担体に白金−コバルト系合金を担持した担持触媒が好ましい。
カーボン担体としては、カーボンブラック粉末が挙げられ、耐久性の点から、熱処理等でグラファイト化したカーボンブラック粉末が好ましい。
プロトン伝導性ポリマーとしては、フッ素系プロトン伝導性ポリマー、炭化水素系重合体等が挙げられ、耐久性の点から、フッ素系プロトン伝導性ポリマーが好ましい。
ガス拡散層22としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
ガス拡散層22は、PTFE等によって撥水化処理されていることが好ましい。
膜電極接合体20は、図3に示すように、触媒層21とガス拡散層22との間にカーボン層26を有していてもよい。カーボン層26を配置することにより、触媒層21の表面のガス拡散性が向上し、固体高分子形燃料電池の発電性能が大きく向上する。
カーボンとしては、繊維径1〜1000nm、繊維長1000μm以下のカーボンナノファイバーが好ましい。
非イオン性含フッ素ポリマーとしては、PTFE等が挙げられる。
膜電極接合体20は、たとえば、下記方法にて製造される。
(x−1)固体高分子電解質膜25上に触媒層21を形成して膜触媒層接合体とし、該膜触媒層接合体をガス拡散層22で挟み込む方法。
(x−2)ガス拡散層22上に触媒層21を形成して電極(アノード23、カソード24)とし、固体高分子電解質膜25を該電極で挟み込む方法。
(y−1)基材フィルム上に、カーボンおよび非イオン性含フッ素ポリマーを含む分散液を塗布し、乾燥させてカーボン層26を形成し、カーボン層26上に触媒層21を形成し、触媒層21と固体高分子電解質膜25とを貼り合わせ、基材フィルムを剥離して、カーボン層26を有する膜触媒層接合体とし、該膜触媒層接合体をガス拡散層22で挟み込む方法。
(y−2)ガス拡散層22上に、カーボンおよび非イオン性含フッ素ポリマーを含む分散液を塗布し、乾燥させてカーボン層26を形成し、前記(x−1)の方法における膜触媒層接合体を、カーボン層26を有するガス拡散層22で挟み込む方法。
(z−1)触媒層形成用液を、固体高分子電解質膜25、ガス拡散層22、またはカーボン層26上に塗布し、乾燥させる方法。
(z−2)触媒層形成用液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させ触媒層21を形成し、該触媒層21を固体高分子電解質膜25上に転写する方法。
触媒層形成用液は、触媒層21の形成方法によって粘度が異なるため、数十cP程度の分散液であってもよく、20000cP程度のペーストであってもよい。
触媒層形成用液は、粘度を調節するために、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、エチルセルロース、メチルセルロース、セロソルブ系増粘剤、フッ素系溶媒(5フッ化プロパノール、フロン等。)が挙げられる。
水酸基を有する有機溶媒としては、主鎖の炭素数が1〜4の有機溶媒が好ましく、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノール等が挙げられる。水酸基を有する有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水酸基を有する有機溶媒の割合は、分散媒(100質量%)のうち、1〜90質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
分散媒は、含フッ素溶媒を含んでいてもよい。含フッ素溶媒としては、たとえば、ヒドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロエーテル、含フッ素アルコール等が挙げられる。
プロトン伝導性ポリマーの割合は、液状組成物(100質量%)のうち、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
本発明の膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池に用いられる。固体高分子形燃料電池は、たとえば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟んでセルを形成し、複数のセルをスタックすることにより製造される。
セパレータとしては、燃料ガスまたは酸素を含む酸化剤ガス(空気、酸素等。)の通路となる溝が形成された導電性カーボン板等が挙げられる。
固体高分子形燃料電池の種類としては、水素/酸素型燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)等が挙げられる。
また、以上説明した本発明の膜電極接合体にあっては、固体高分子電解質膜として、電気抵抗を低くするために、厚さを薄くしても、機械的強度が高く、含水時の寸法安定性に優れる本発明の固体高分子電解質膜を備えているため、出力が高く、かつ耐久性に優れる。
例1は、実施例であり、例2〜4は、比較例である。
レーザー顕微鏡によって、フッ素系不織布の断面を観察し、フッ素系不織布の断面に現れた連続繊維の繊維径を測定した。
レーザー顕微鏡によって、フッ素系不織布の断面を観察し、最も厚い部分の厚さを測定した。
フッ素系不織布の目付量は、25℃において、フッ素系不織布に粘着剤付きのPETフィルムを押し付け、該フィルムにフッ素系不織布を移しとり、移しとられたフッ素系不織布の面積と、PETフィルムの質量増加とからフッ素系不織布の目付量(g/m2)を求め、さらに、フッ素系不織布の材料である含フッ素ポリマーの25℃における密度(g/cm3)から、目付量(cm3/m2)を求めた。
フッ素系不織布の開口率を下記式から算出した。
開口率(%)=100−A×100/(B×C)。
ただし、Aは、フッ素系不織布の材料である含フッ素ポリマーの目付量(g/m2)であり、Bは、不織布の材料である含フッ素ポリマーの密度(g/m3)であり、Cは、不織布の厚さ(cm)である。
レーザー顕微鏡によって、固体高分子電解質膜の断面を観察し、固体高分子電解質膜表面からフッ素系不織布までの最短距離を測定した。
固体高分子電解質膜から、200mm角のサンプルを切り出した。サンプルを温度25℃、相対湿度50%の雰囲気に16時間さらし、サンプルの縦と横の長さを測定した。ついで、25℃のイオン交換水にサンプルを1時間浸漬した後、同様にして長さを測定した。サンプルの縦方向の伸びおよび横方向の伸びの平均値を求め、寸法変化率とした。
セパレータとして、ガス通路用の細溝がジグザグ状に切削加工されたカーボン板(溝幅1mm、ランド部1mm)を用意した。
膜電極接合体の両外側にセパレータを配置し、さらにセパレータの外側にヒータを配置して、有効膜面積25cm2の固体高分子形燃料電池を組み立てた。
電圧差=補強された固体高分子電解質膜を用いた場合の固体高分子型燃料電池のセル電圧−無補強の固体高分子電解質膜を用いた場合の固体高分子型燃料電池のセル電圧。
2種類の固体高分子型燃料電池において、固体高分子電解質膜のみが異なり、電極(触媒層およびガス拡散層)およびセパレータが同一であれば、セル電圧の差は、固体高分子電解質膜の厚さ方向のプロトン伝導性の差に由来する電圧ロスを示していると考えてよい。該電圧差は、補強体が挿入されることによって生じる余分なプロトン伝導抵抗と考えられ、0に近いことが望ましい。
フッ素系不織布の製造:
繰り返し単位(ε1)を有する含フッ素ポリマーの溶液(旭硝子社製、サイトップCTL−107S、溶媒:フロリナートFC−77(3M社製、沸点:100℃、固形分:7質量%)に、CT−solv.180(旭硝子社製、沸点:180℃)を加え、紡糸原液を調製した。
主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの割合は、紡糸原液(100質量%)のうち、7質量%であり、沸点が110℃以上の溶媒の割合は、溶媒(100質量%)のうち、15質量%であった。
前記不織布製造装置および紡糸原液を用い、針の先端からドラムまでの距離:7.5cm、印加電圧:20kV、吐出量:0.20mL/時の条件で電界紡糸を行った。ドラム上に繊維径0.4〜5.0μmの連続繊維で構成されるフッ素系不織布Aを得た。連続繊維のアスペクト比は、すべて10000以上であった。フッ素系不織布Aの2.6cm×2.6cmの面積を顕微鏡にて観察したところ、繊維長13mm以下の繊維は観察されなかった。
フッ素系不織布Aの厚さ、目付量、開口率を測定した。結果を表1に示す。なお、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーの25℃における密度は2.0g/cm3であった。
TFEに基づく繰り返し単位と下式(A−1)で表される繰り返し単位とからなる共重合体H1(イオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)の溶液A(溶媒:エタノール、固形分:5質量%)を用意した。
補強層用フィルムの両側に非補強層用フィルムを配し、熱プレス法(180℃、5Pa、15分)により厚さ21μmの固体高分子電解質膜Aを得た。非補強層の厚さは、片側につき3μmであった。
固体高分子電解質膜Aの寸法変化率を測定した。結果を表2に示す。
共重合体Aを、エタノールおよび水の混合溶媒(エタノール/水=1/1質量比)に入れ、還流機能を備えたフラスコ内にて、60℃で16時間撹拌して溶解し、液状組成物(固形分:9質量%)を得た。
これとは別に、白金担持カーボンに、水およびエタノールをこの順で加え、エタノールおよび水の混合分散媒(エタノール/水=1/1質量比)に分散した触媒分散液(固形分:9質量%)を得た。
触媒層形成用液を固体高分子電解質膜Aの両面にダイコート法で塗布し、乾燥して、厚さ10μm、白金担持量0.5mg/cm2の触媒層を形成した。該触媒層の両外側にカーボンクロスをガス拡散層として配置することにより、膜電極接合体Aを得た。
膜電極接合体Aを用いて、固体高分子形燃料電池を作製し、初期セル電圧の測定を行った。結果を表3に示す。
フッ素系不織布の製造:
メルトブローン不織布製造装置(日本ノズル社製)を用い、PFA(旭硝子社製、フルオンPFA P−61XP、メルトフローレート:40g/10分)を用い、紡糸ノズル温度:380℃、延伸用ホットエアー温度:400℃の条件で、吸引能力を有するコンベアー上にフッ素系不織布Bを形成した。
フッ素系不織布Bの厚さ、目付量、開口率を測定した。結果を表1に示す。なお、PFAの25℃における密度は2.0g/cm3であった。
フッ素系不織布Aの代わりにフッ素系不織布Bを用いた以外は、例1と同様にして固体高分子電解質膜Bを得た。
固体高分子電解質膜Bの寸法変化率を測定した。結果を表2に示す。
固体高分子電解質膜Aの代わりに固体高分子電解質膜Bを用いた以外は、例1と同様にして膜電極接合体Bを得た。
膜電極接合体Bを用いて、固体高分子形燃料電池を作製し、初期セル電圧の測定を行った。結果を表3に示す。表2、表3から、例2の寸法変化率は例1よりも高く、初期セル特性も低いことがわかる。
無補強の固体高分子電解質膜の製造:
市販のフッ素系プロトン伝導性ポリマー(Dupont社製、Nafion R)の溶液(固形分:20質量%)を用い、キャスト法によってフィルムを得た。該フィルムを無補強の固体高分子電解質膜Cとした。
Nafion Rを構成するフッ素系プロトン伝導性ポリマーは、式(A−1)で表される繰り返し単位を有する。
該固体高分子電解質膜Cの寸法変化率を測定した。結果を表2に示す。表2から、寸法変化率が例1に比較して極めて大きいことがわかった。
固体高分子電解質膜Aの代わりに固体高分子電解質膜Cを用いた以外は、例1と同様にして膜電極接合体Cを得た。
膜電極接合体Cを用いて、固体高分子形燃料電池を作製し、初期セル電圧の測定を行った。結果を表3に示す。
フッ素系不織布の製造:
繰り返し単位(ε1)を有する含フッ素ポリマーの溶液(旭硝子社製、サイトップCTL−107S、溶媒:フロリナートFC−77(3M社製、沸点:100℃)、固形分:7質量%)をそのまま紡糸原液として用い、例1と同様にして電界紡糸を試みた。開始1分後に針の先が目詰まりを起こし、紡糸原液を吐出できなくなり、不織布は得られなかった。
21 触媒層
23 アノード
24 カソード
25 固体高分子電解質膜
Claims (4)
- 主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーと溶媒とを含み、水溶性樹脂または電解質を含まない紡糸原液を用いた電界紡糸法にてフッ素系不織布を製造する方法において、
前記溶媒として、沸点が110℃以上のパーフルオロ溶媒を含むものを用いることを特徴とする、フッ素系不織布の製造方法。 - 主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーからなり、水溶性樹脂または電解質を含まない連続繊維からなり、
目付量が7.5cm3/m2以下であり、厚さが23μm以下である、フッ素系不織布。 - 請求項2に記載のフッ素系不織布を含む、固体高分子形燃料電池用固体高分子電解質膜。
- 請求項2に記載のフッ素系不織布を含む固体高分子電解質膜が、アノードとカソードとの間に配置された、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
Priority Applications (1)
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