JP2011029020A - プロトン伝導性重合体微粒子、その製造方法および該重合体微粒子の用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のプロトン伝導性重合体微粒子は、コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与することにより得られ、前記コアシェル構造を有する重合体微粒子が、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することにより得られることが好ましい。
【選択図】図1
Description
このため、リチウムイオン二次電池以外の、よりエネルギー密度が高い電池の開発が望まれており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
従来から、プロトン伝導度に優れる電解質膜として、Nafion(登録商標) (DuPont社製、パーフルオロスルホン酸樹脂)が汎用されている。
前記特許文献1に開示された固体電解質は、Nafion(登録商標)と比べると、メタノールのクロスオーバーの抑制が可能であるが、電解質膜としては、優れたプロトン伝導度と、充分なメタノールのクロスオーバーの抑制効果とを、両立しておらず、更なる改良が望まれていた。
前記コアシェル構造を有する重合体微粒子が、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することにより得られることが好ましい。
前記単官能性モノマー(A−1)および単官能性モノマー(A−2)がそれぞれ独立に、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物、ビニルケトン、ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ビニルスルホン酸ハロゲン化物、ビニルスルホン酸エステル、ビニルホスホン酸エステル、アミド含有モノマー、ニトリル含有モノマー、およびフッ素含有モノマーから選ばれる少なくとも一種の単官能性モノマーであることが好ましい。
特に本発明の電解質膜は、メタノールのクロスオーバーの抑制が可能であり、かつ優れたプロトン伝導度を有するため、DMFCを構成する電解質膜として好適に用いることができる。
本発明のプロトン伝導性重合体微粒子は、コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与することにより得られる。
本発明において、プロトン解離性基とは、中性条件下でプロトンが解離する基を示す。
まず、コアシェル構造を有する重合体微粒子について説明する。
コアシェル構造を有する重合体微粒子としては、特に限定はないが、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することにより得られる粒子が挙げられる。なお、該粒子においては、重合体微粒子(Ip)がコア部を形成し、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とから形成される重合体がシェル部を形成する。
具体的には、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、該重合体微粒子(Ip)を所定量、別の重合容器に添加し、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することによりコアシェル構造を有する重合体微粒子を得る方法が挙げられる。別の方法としては、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、同一の重合容器内に単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを添加し、重合(II)することによりコアシェル構造を有する重合体微粒子を得る方法が挙げられる。
単官能性モノマー(A−1)および単官能性モノマー(A−2)は、それぞれ独立に、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物、ビニルケトン、ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ビニルスルホン酸ハロゲン化物、ビニルスルホン酸エステル、ビニルホスホン酸エステル、アミド含有モノマー、ニトリル含有モノマー、およびフッ素含有モノマーから選ばれる少なくとも一種の単官能性モノマーであることが好ましい。
前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、クロロアルキルスチレン(例えばクロロブチルスチレン、クロロメチルスチレン)、t-ブトキシスチレン等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−i−ブチル等が挙げられる。
前記ビニルスルホン酸ハロゲン化物としては、ビニルスルホン酸フルオリド等が挙げられる。
ニトリル含有モノマーとしては、メタクリロニトリル、アクリロニトリル等が挙げられる。
前記架橋性モノマー(B−1)および架橋性モノマー(B−2)は、それぞれ独立に、共役ジエン、非共役ジエン、3官能以上の共役ポリエン、および3官能以上の非共役ポリエンから選ばれる少なくとも一種の架橋性モノマーであることが好ましく、それぞれ独立に、共役ジエンおよび非共役ジエンから選ばれる少なくとも一種の架橋性モノマーであることがより好ましい。
また、前記架橋性モノマー(B−1)および架橋性モノマー(B−2)がそれぞれ独立に、ジビニルベンゼン、1,3−ブタジエン、およびエチレングリコールジメタクリレートから選ばれる少なくとも1種の架橋性モノマーであることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または、これらの化合物と酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2.2’−アゾビスブチロニトリル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。レドックス系開始剤の例としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄(III)−エチレンジアミン四酢酸、酒石酸および必要に応じてジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドを組み合わせたものが挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタンなどが挙げられる。連鎖移動剤の具体例としては、ノルマルオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン等が挙げられる。
本発明に用いるコアシェル構造を有する重合体微粒子は、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することにより得られ、該重合が、乳化重合であることが好ましい。
なお、重合(I)で得られる重合体微粒子(Ip)のラテックスは、前記重合体微粒子(Ip)、重合(I)に用いた重合用乳化剤、水等を含んでいる。このため、重合体微粒子(Ip)のラテックスと、単官能性モノマー(A−2)および架橋性モノマー(B−2)とを混合して、重合(II)を行う際には、あらたに重合用乳化剤、水、添加剤を混合することは必須の要件ではなく、任意に行うことができる。なお、反応時間を短縮する観点から、ラジカル重合開始剤については、重合(II)を行う際に、新たに用いることが好ましい。
TEM観察により得られるTEM写真はモノマー種によって染色の度合いが異なるため、濃淡の違いによってコアとシェルが観察できる。なお、後述の実施例2で得られたコアシェル構造を有する重合体微粒子(2)のTEM観察により得られるTEM写真では、重合体微粒子の色の薄い部分がコア部、濃い部分がシェル部である。
本発明のプロトン伝導性重合体微粒子は、前述のコアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与することにより得られる。
また、プロトン解離性基として、カルボン酸基を有するプロトン伝導性重合体微粒子は、例えば以下の方法で得ることができる。コアシェル構造を有する重合体微粒子がカルボン酸エステル基を有する場合には、該コアシェル構造を有する重合体微粒子を、水および水酸化ナトリウムと反応させ加水分解し、カルボン酸エステル基を、−COONa基に変換する。次いで、−COONa基を、HCl、H2SO4、HClO4、HNO3等の強酸と反応させることにより−COONa基を、カルボン酸基(−COOH)に変換することにより、カルボン酸基を有するプロトン伝導性重合体微粒子が得られる。
本発明のプロトン伝導性重合体微粒子の製造方法は、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)し、コアシェル構造を有する重合体微粒子を得て、前記コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与し、プロトン伝導性重合体微粒子を得ることを特徴とする。
また、コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与する方法は、前記 (プロトン伝導性重合体微粒子) の項で記載した方法により行うことができ、好ましくはプロトン解離性基として、スルホン酸基、カルボン酸基、およびホスホン酸基から選択される少なくとも1種の基を有するプロトン伝導性重合体微粒子を得ることができる。
前記プロトン伝導性重合体微粒子は、様々な用途に用いることができる。
前記プロトン伝導性重合体微粒子の用途としては、電解質膜、触媒電極が挙げられる。また、これらの部材を含む膜電極接合体を得ることもできる。さらに前記膜電極接合体を含む燃料電池、好ましくは直接メタノール型燃料電池を得ることもできる。
前記バインダーとしては、フッ素系樹脂であることが好ましく、フッ化ビニリデン系重合体であることがより好ましい。
前記フッ素系樹脂としては、フッ化ビニリデン系重合体、フッ化ビニル系共重合体等が挙げられる。
本発明の電解質膜としては、電解質膜を形成する前記プロトン伝導性重合体微粒子と、バインダーとの合計を100wt%とした際に、プロトン伝導性重合体微粒子が20〜90wt%であることが好ましく、30〜80wt%であることがより好ましい。また、バインダーが10〜80wt%であることが好ましく、20wt%〜70wt%であることがより好ましい。前記範囲内では、電解質膜の強度、メタノールのクロスオーバーの抑制効果およびプロトン伝導度に優れるため好ましい。
プロトン伝導性重合体微粒子の酸密度は、以下の測定法に従って測定した。
まず、ホールピペットを用いて、約0.02規定の水酸化ナトリウム水溶液4.0mLを取り、該水溶液に精製水5mLおよび1%フェノールフタレイン溶液1滴を加えて得られた液を、メスピペットを用いて、0.02規定の塩酸で滴定した。
80℃で一晩真空乾燥したプロトン伝導性重合体微粒子を、約15mg(Ymg)秤量し、精製水5mLを加えた。ホールピペットを用いて、0.02規定の水酸化ナトリウム水溶液4.0mLを加え、固まりがなくなるまで、超音波をかけた後、室温で5時間置いた後に、1%フェノールフタレイン溶液を1滴加え試料を得た。該試料をメスピペットを使って、0.02規定の塩酸で滴定した。
酸密度[mmol/g]=0.02×(X−Z)/(Y/1000)=20×(X−Z)/Y
上記酸密度の測定は、前記試料を二つ用意し、各試料から求めた酸密度の平均値をプロトン伝導性重合体微粒子の酸密度とした。
重合体微粒子の分散液中の重合体微粒子および破砕後のプロトン伝導性重合体微粒子の粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置(コールターN4 Plus)(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
コアシェル構造を有する重合体微粒子のコアシェル構造の観察。
なお、コアシェル構造を有する重合体微粒子の、コアシェル構造の観察は、以下の方法で行った。
(コアシェル構造を有する重合体微粒子(1)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた3L四つ口セパラブルフラスコに、精製水563g、鉄(III)−エチレンジアミン四酢酸(以下、Fe−EDTA)の1重量%水溶液1.5g、酒石酸の1重量%水溶液15g、ペレックスSS−L(ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウム;花王製)の5重量%水溶液150gを入れて70℃に昇温し、スチレン52.5gおよびジビニルベンゼン22.5gを添加した。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液105g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(以下、SFS)の5重量%水溶液105gを添加しながら、70℃にて8時間攪拌した。途中、反応2時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液50gを追加した。
前記重合体微粒子の分散液に、精製水1050g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液233gを加え、精製水およびペレックスSS−Lが加えられた重合体微粒子の分散液281gを抜き取り、コアシェル構造を有する重合体微粒子(1)の重合に用いた。まず、抜き取った281gの分散液を、還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに入れて70℃に昇温し、スチレン8.73g、ジビニルベンゼン0.27gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液7.74g、SFSの5重量%水溶液7.74g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.09gを添加しながら70℃にて4時間攪拌した。引き続き、スチレン11.64g、ジビニルベンゼン0.36gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液12.12g、SFSの5重量%水溶液12.12g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.12gを添加しながら70℃にて6時間攪拌し、コアシェル構造を有する重合体微粒子(1)の分散液を得た。コアシェル構造を有する重合体微粒子(1)の粒子径は41nmであった。
続いてコアシェル構造を有する重合体微粒子(1)のスルホン化を以下の方法で行った。
(コアシェル構造を有する重合体微粒子(2)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに、精製水81g、Fe−EDTAの1重量%水溶液0.07g、酒石酸の1重量%水溶液0.72g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液9.6gを入れて70℃に昇温し、スチレン2.88g、ジビニルベンゼン0.72gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液5.05g、SFSの5重量%水溶液5.05gを添加しながら、70℃にて5時間攪拌した。途中、反応2時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液2.4gを添加した。
引き続きシェル部の重合を行った。前記重合体微粒子の分散液にスチレン3.49g、ジビニルベンゼン0.11gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液4.18g、SFSの5重量%水溶液4.18g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.04gを添加しながら70℃にて2.5時間攪拌した。続いて、スチレン4.66g、ジビニルベンゼン0.14gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液5.35g、SFSの5重量%水溶液5.35g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.05gを添加しながら70℃にて3時間攪拌し、コアシェル構造を有する重合体微粒子(2)の分散液を得た。コアシェル構造を有する重合体微粒子(2)の粒子径は42nmであった。
続いてコアシェル構造を有する重合体微粒子(2)のスルホン化を実施例1と同様の方法で行った。得られたプロトン伝導性重合体微粒子(2)の酸密度は4.9mmol/gであった。
(コアシェル構造を有する重合体微粒子(3)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに、精製水81g、Fe−EDTAの1重量%水溶液0.07g、酒石酸の1重量%水溶液0.72g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液9.6gを入れて70℃に昇温し、スチレン2.53g、ジビニルベンゼン1.08gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液5.05g、SFSの5重量%水溶液5.05gを添加しながら、70℃にて4時間攪拌した。途中、反応1時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液2.4gを添加した。
引き続きシェル部の重合を行った。前記重合体微粒子の分散液にスチレン3.42g、ジビニルベンゼン0.18gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液3.10g、SFSの5重量%水溶液3.10g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.04gを添加しながら70℃にて2時間攪拌した。続いて、スチレン4.56g、ジビニルベンゼン0.24gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液4.85g、SFSの5重量%水溶液4.85g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.05gを添加しながら70℃にて3時間攪拌し、コアシェル構造を有する重合体微粒子(3)の分散液を得た。コアシェル構造を有する重合体微粒子(3)の粒子径は41nmであった。
続いてコアシェル構造を有する重合体微粒子(3)のスルホン化を実施例1と同様の方法で行った。得られたプロトン伝導性重合体微粒子(3)の酸密度は4.7mmol/gであった。
(コアシェル構造を有する重合体微粒子(4)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに、精製水225g、Fe−EDTAの1重量%水溶液0.60g、酒石酸の1重量%水溶液6.0g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液60gを入れて70℃に昇温し、スチレン21g、ジビニルベンゼン9.0gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液33.6g、SFSの5重量%水溶液33.6gを添加しながら、70℃にて5時間攪拌した。途中、反応4時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液20gを添加した。
該重合体微粒子の分散液32gを抜き取り、コアシェル構造を有する重合体微粒子(4)の重合に用いた。まず、抜き取った32gの分散液を、還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに入れ、精製水44.2g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液9.71gを加えて70℃に昇温し、クロロブチルスチレン2.85g、ジビニルベンゼン0.15gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液2.58g、SFSの5重量%水溶液2.58g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.03gを添加しながら70℃にて2時間攪拌した。続いて、クロロブチルスチレン3.80g、ジビニルベンゼン0.20gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液4.04g、SFSの5重量%水溶液4.04g、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドの50重量%水溶液0.04gを添加しながら70℃にて5.5時間攪拌し、コアシェル構造を有する重合体微粒子(4)の分散液を得た。コアシェル構造を有する重合体微粒子(4)の粒子径は50nmであった。
続いてコアシェル構造を有する重合体微粒子(4)のスルホン化を以下の方法で行った。コアシェル構造を有する重合体微粒子(4)2.0gを粉砕してジクロロエタン50mL中に分散し、クロロスルホン酸1.82mLをジクロロエタン10mLに希釈したものを0℃で滴下した。室温で一晩攪拌した後、遠心分離により固液分離し、上澄みを除去した。固相をジクロロエタンで洗浄し、乾燥した。引き続き精製水にて洗浄後、乾燥した。さらにこれを20% 亜硫酸ナトリウム水溶液 60g中に分散し、110℃にて60時間還流することによりプロトン伝導性重合体微粒子(4)を得た。酸密度は4.3mmol/gであった。
(重合体微粒子(c1)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた3L四つ口セパラブルフラスコに、精製水540g、Fe−EDTAの1重量%水溶液1.8g、塩化ナトリウム0.18g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液4.26g、エマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル;花王製)の5重量%水溶液25.56gを入れた。70℃に昇温してスチレン87.3g、ジビニルベンゼン2.7gを加え、tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液12.6g、SFSの5重量%水溶液12.6gを添加しながら70℃にて12時間攪拌し、重合反応を行った。途中、反応2時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液60gを添加した。
続いて重合体微粒子(c1)のスルホン化を実施例1と同様の方法で行った。得られたプロトン伝導性重合体微粒子(c1)の酸密度は4.9mmol/gであった。
(重合体微粒子(c2)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた500mL四つ口セパラブルフラスコに、精製水90g、Fe−EDTAの1重量%水溶液0.3g、酒石酸の1重量%水溶液3.0g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液30gを加えて70℃に昇温し、スチレン13.5g、ジビニルベンゼン1.5gを添加した。tert-ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液16.8g、SFSの5重量%水溶液16.8gを添加しながら70℃にて4.5時間攪拌し、重合体微粒子(c2)の分散液を得た。重合体微粒子(c2)の粒子径は37nmであった。
続いて重合体微粒子(c2)のスルホン化を実施例1と同様の方法で行った。得られたプロトン伝導性重合体微粒子(c2)の酸密度は4.8mmol/gであった。
(重合体微粒子(c3)の合成)
還流冷却管、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた3L四つ口セパラブルフラスコに、精製水900g、Fe−EDTAの1重量%水溶液3.11g、酒石酸の1重量%水溶液30g、ペレックスSS−Lの5重量%水溶液150gを入れて70℃に昇温し、スチレン105g、ジビニルベンゼン45gを加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシドの5重量%水溶液168g、SFSの5重量%水溶液168gを添加しながら70℃にて6時間攪拌し、重合体微粒子(c3)の分散液を得た。途中、反応2時間後にペレックスSS−Lの5重量%水溶液100gを添加した。重合体微粒子(c3)の粒子径は55nmであった。
続いて重合体微粒子(c3)のスルホン化を実施例1と同様の方法で行った。得られたプロトン伝導性重合体微粒子(c3)の酸密度は3.5mmol/gであった。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(1)0.35g、γ−ブチロラクトン(以下、GBL)4g、4mmジルコニアボール29gを45ccジルコニアポットに入れ、ボールミルを用いて、500rpmにて40時間粉砕し、粉砕後の粒子径が242nmのプロトン伝導性重合体微粒子(1)の分散液を作製した。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(1)を、プロトン伝導性重合体微粒子(2)に変えた以外は、実施例5と同様に行い、粉砕後の粒子径が184nmのプロトン伝導性重合体微粒子(2)の分散液を作製した。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(1)を、プロトン伝導性重合体微粒子(3)に変え、粉砕時間を6時間に変えた以外は、実施例5と同様に行い、粉砕後の粒子径が245nmのプロトン伝導性重合体微粒子(3)の分散液を作製した。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(1)を、プロトン伝導性重合体微粒子(4)に変え、粉砕時間を1.5時間に変えた以外は、実施例5と同様に行い、粉砕後の粒子径が228nmのプロトン伝導性重合体微粒子(4)の分散液を作製した。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(1)を、プロトン伝導性重合体微粒子(c1)(比較例4)、(c2)(比較例5)、(c3)(比較例6)に変え、粉砕時間を表2に示すように変えた以外は、実施例5と同様に行い、粉砕後の粒子径が247nmのプロトン伝導性重合体微粒子(c1)の分散液(比較例4)、粉砕後の粒子径が224nmのプロトン伝導性重合体微粒子(c2)の分散液(比較例5)、粉砕後の粒子径が249nmのプロトン伝導性重合体微粒子(c3)の分散液(比較例6)を作製した。
(電解質膜の作製)
プロトン伝導性重合体微粒子(c1)0.27g、GBL4.1g、4mmジルコニアボール29gを45ccジルコニアポットに入れ、ボールミルを用いて500rpmにて34時間粉砕し、粉砕後の粒子径が257nmのプロトン伝導性重合体微粒子(c1)の分散液を得た。
Nafion(登録商標) 112 (DuPont社製、パーフルオロスルホン酸樹脂、酸密度0.89mmol/g、膜厚51μm)を電解質膜として用いた。
電解質膜を直径13mmの円形に切り出し、超純水に一晩以上浸漬した。電解質膜の面積を計測した後、厚さ0.3mm、直径16mmの金電極に2cN・mの圧力で挟み、膜厚を測定した。22℃の超純水に浸漬し、周波数1MHz〜10000Hz、印加電圧5mVの条件で交流インピーダンス法にて測定を行った。得られた抵抗値、膜面積、膜厚から下式よりプロトン伝導度を算出した。
プロトン伝導度[S/cm]=膜厚/(抵抗値×面積)
電解質膜を1辺20mmの正方形に切り出し、超純水に一晩以上浸漬した。膜厚を測定した後、メタノール透過率測定用H型セル間に挟み、一方のセル(b槽)には精製水30mLを入れ、他方のセル(a槽)には0.95Mメタノール水溶液30mLを入れた。セル間の開口部は直径1.4cmの円形であり、有効膜面積は1.54cm2であった。23℃にて両方のセルを攪拌し、一定時間ごとに精製水側に透過してくるメタノール量をガスクロマトグラフ G−5000(日立製作所製)にて定量した。時間(s)、メタノール量(容量%)をプロットし、得られたグラフの傾きおよび下式よりメタノール(MeOH)透過率Pを算出した。
Vb;b槽の体積 [cm3]
Cb;b槽のメタノール濃度 [容量%]
L;膜の厚み [cm]
P;メタノール透過率 [cm2/s]
t;時間 [s]
A;膜の面積 [cm2]
電解質膜を50mm×5mmに切り出し、試験片とした。この試験片を引張り試験機(オートグラフAGS−J;島津製作所製)にてクロスヘッド速度50mm/分で試験し、引張応力〔MPa〕および伸び〔%〕を求めた。チャック間距離は20mmであった。測定は23℃、RH約50%にて行った。
電解質膜を1辺20mmの正方形に切り出して超純水に一晩以上浸漬し、重量と体積を計測した。これを80℃にて一晩真空乾燥し、重量を計測した。下式より含水量を算出した。
含水量[mg/mm3]=(浸漬時重量−乾燥時重量)/浸漬時体積
電解質膜の構成および物性を表3に示す。
Claims (13)
- コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与することにより得られるプロトン伝導性重合体微粒子。
- 前記コアシェル構造を有する重合体微粒子が、単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)することにより得られることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性重合体微粒子。
- 前記単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)との合計100質量%あたりの、架橋性モノマー(B−1)の量をX〔質量%〕とし、
前記単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)との合計100質量%あたりの、架橋性モノマー(B−2)の量をY〔質量%〕とすると、X>Yであることを特徴とする請求項2に記載のプロトン伝導性重合体微粒子。 - 前記単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)との合計100質量%あたり、架橋性モノマー(B−1)の量が、5〜80質量%であり、
前記単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)との合計100質量%あたり、架橋性モノマー(B−2)の量が、0.5〜20質量%であることを特徴とする請求項2または3に記載のプロトン伝導性重合体粒子。 - 前記重合(I)に用いるモノマーと、重合(II)に用いるモノマーとの合計100質量部あたり、重合(I)に用いるモノマーが10〜90質量部であり、重合(II)に用いるモノマーが90〜10質量部であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体粒子。
- 前記プロトン解離性基が、スルホン酸基、カルボン酸基、およびホスホン酸基から選択される少なくとも1種の基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体微粒子。
- 前記単官能性モノマー(A−1)および単官能性モノマー(A−2)がそれぞれ独立に、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物、ビニルケトン、ビニルエステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ビニルスルホン酸ハロゲン化物、ビニルスルホン酸エステル、ビニルホスホン酸エステル、アミド含有モノマー、ニトリル含有モノマー、およびフッ素含有モノマーから選ばれる少なくとも一種の単官能性モノマーであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体微粒子。
- 前記架橋性モノマー(B−1)および架橋性モノマー(B−2)がそれぞれ独立に、共役ジエンおよび非共役ジエンから選ばれる少なくとも1種の架橋性モノマーであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体微粒子。
- 単官能性モノマー(A−1)と、架橋性モノマー(B−1)とを重合(I)し、重合体微粒子(Ip)を得た後に、前記重合体微粒子(Ip)の存在下で、単官能性モノマー(A−2)と、架橋性モノマー(B−2)とを重合(II)し、コアシェル構造を有する重合体微粒子を得て、
前記コアシェル構造を有する重合体微粒子に、プロトン解離性基を付与し、プロトン伝導性重合体微粒子を得ることを特徴とするプロトン伝導性重合体微粒子の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体粒子と、バインダーとから形成されることを特徴とする電解質膜。
- 前記バインダーが、フッ素系樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の電解質膜。
- 前記バインダーが、フッ化ビニリデン系重合体であることを特徴とする請求項10に記載の電解質膜。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロトン伝導性重合体粒子と、触媒金属を担持した炭素粒子とから形成される触媒電極。
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