JP5751047B2 - スルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents

スルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは、スルホン酸ナトリウム基がシェル部に多量に導入されたコア・シェル型構造を有するナノメートルレベルのポリマー微粒子の製造方法であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法に関するものである。
スルホン酸ナトリウム基を有するポリマー粒子は古くからカチオン交換樹脂として知られ、種々の分野で幅広く用いられている。このカチオン交換樹脂の場合、ポリマー粒子の粒子径は、通常数百μm程度であり、またスルホン酸ナトリウム基の導入量はせいぜい3モル%程度であった。このカチオン交換樹脂は、一般に耐水性を高めるために、架橋性単量体であるジビニルベンゼンとスチレンスルホン酸ナトリウムを懸濁重合や乳化重合させることにより製造されている。
一方、近年地球環境にやさしく、クリーンな発電システムとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらのうち固体高分子型燃料電池は、低温作動性、小型軽量化などの観点から、電気自動車用電源やポータブル機器電源、さらに電気と熱を同時利用する家庭用コージェネレーションシステムなどへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に、白金属の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるプロトン伝導性バインダーとを含む触媒層がそれぞれ形成される。各触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。
すなわち、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
このような固体燃料電池に用いられる膜−電極接合体において、白金属の金属触媒を担持したカーボン粉末とプロトン伝導性バインダーを含む触媒層に、プロトン伝導性に優れるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子をスプレーなどの方法で、該触媒層に噴霧乾燥などしてスルホン酸ナトリウム基を有するプロトン伝導性に優れるナノレベルのポリマー微粒子の層を形成することにより、プロトン伝導性の優れる膜−電極接合体とすることができる。
前記のスルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子を、前記の固体燃料電池における膜−電極接合体に用いる場合、できるだけプロトン伝導性が高く(スルホン酸ナトリウム基の導入量が多く)、かつカーボン担持白金触媒における白金粒子の粒子径は、通常1〜30nmであるので、当該スルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子としては、できるだけ前記白金粒子の粒子径に近い粒子径を有するものが要求される。
しかしながら、スルホン酸ナトリウム基の量を高めるため、スルホン酸ナトリウム基含有モノマーの量を高めて共重合すると、スチレンスルホン酸ナトリウム基が水に対して溶解性が高いため、ポリマー自体の水への溶解性が上がり、スチレンスルホン酸ナトリウム基を含む乳化共重合は、極めて不安定となり、スルホン酸ナトリウム基を高い濃度で含むポリマー微粒子を得ることはできなかった。
すなわち、スルホン酸ナトリウム基含有ポリマー粒子においては、いかにしてスチレンスルホン酸ナトリウム基の量を増加するかが重要となる。
一方、特許文献1には、コアシェル構造の粒子を含む水性樹脂エマルションであって、当該粒子のコア層はエチレン性不飽和単量体の乳化重合によって得られる重合体(B)で、シェル層は、酸価が60〜500mgKOH/g、数平均分子量が1000〜30000、重量平均分子量/数平均分子量の比が1.0〜1.5である重合体(A)でそれぞれ構成され、重合体(A)/重合体(B)の重量比が5/95〜50/50であることを特徴とする水性樹脂エマルションが開示されている。
この技術におけるコア・シェル構造の粒子の平均粒子径は、通常100nm以下であり、またサブクレームの4には重合体(A)が中和されたカルボキシル基又はスルホン酸基を有するものであると記載されている。当該水性樹脂エマルションは、成膜した場合、光沢に優れる被膜となるため、塗料、インキ、各種コーティング剤の用途に有用であるとされている。
特開2003−3037号公報
前記特許文献1に記載の技術によると、エチレン性不飽和単量体をリビングラジカル重合により、まずカルボン酸塩又はスルホン酸塩を有する重合体(A)を形成し、このものを高分子界面活性剤として、該重合体(A)の存在下に、エチレン性不飽和単量体を乳化重合して重合体(B)を形成することにより、コア・シェル構造の粒子を含む水性樹脂エマルションが得られる。
この技術によると、形成されたコア・シェル構造の粒子においては、シェル部にカルボン酸塩又はスルホン酸塩を有することになっているが、当該発明においてはスルホン酸塩についてはなんら言及されておらず、また、実施例においても、カルボン酸塩を有するシェル部は形成されているが、スルホン酸塩を有するシェル部の例は全くない。
本発明は、このような状況下になされたもので、スルホン酸ナトリウム基がシェル部に多量に導入されたコア・シェル型構造を有するナノメールレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子を効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
すなわち、コア部となるシードラテックス微粒子を特定の方法で調製する工程と、この工程で得られたコア部となるシードラテックス粒子と、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物とを、特定の方法でシード乳化重合させる工程とを含む製造方法により、前記目的に適合し得るスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子が効率よく得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
スルホン酸ナトリウム基を含有する、コア・シェル型構造の重合体からなるポリマー微粒子の製造方法であって、
(a)界面活性剤の存在下又は不在下で、芳香族ビニル系化合物を含む単量体を水中に分散し、重合開始剤により乳化重合して、コア部となるシードラテックス微粒子を調製する工程、及び(b)前記(a)工程で得られたコア部となるシードラテックス微粒子と、水溶性架橋剤を含有する芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体を、界面活性剤の存在下又は不在下で、重合開始剤を用いてシード乳化重合を行い、コア・シェル型構造を有する重合体を形成させる工程、
を含むことを特徴とする、スルホン酸ナトリウム基含油コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法、を提供するものである。
本発明によれば、スルホン酸ナトリウム基がシェル部に多量に導入されたコア・シェル型構造を有するナノメートルレベルの粒子径をもつポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を効率よく製造する方法を提供することができる。
キャピラリーを用いて、ポリマー微粒子の膨潤度を測定する方法の説明図である。 シードラテックスSSFと、シードラテックスx−SSFのTEM写真である。 シードラテックスSSFと、シードラテックスx−SSFのSEM写真である。 シードラテックスSSFと、シードラテックスx−SSFの粒度分布曲線である。 ポリマー微粒子SF2のTEM写真である。 ポリマー微粒子SOP-S0、SOP-S4、SOP-S8及びSOP-S12のTEM写真である。
本発明のスルホン酸ナトリウム基含有(以下、「SO3Na基含有」と称することがある。)コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法は、SO3Na基を含有するコア・シェル型構造の重合体からなるポリマー微粒子の製造方法であって、(a)界面活性剤の存在下又は不在下で、芳香族ビニル系化合物を含む単量体を水中に分散し、重合開始剤により乳化重合して、コア部となるシードラテックス微粒子を調製する工程、及び(b)前記(a)工程で得られたコア部となるシードラテックス微粒子と、水溶性架橋剤を含有する芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体を、界面活性剤の存在下又は不在下で、重合開始剤を用いてシード乳化重合を行い、コア・シェル型構造を有する重合体を形成させる工程、を含むことを特徴とする。
((a)工程)
本発明のSO3Na基含有ポリマー微粒子の製造方法(以下、単に「ポリマー微粒子の製造方法」と称することがある。)における(a)工程は、界面活性剤の存在下又は不在下で、芳香族ビニル系化合物を含む単量体を水中に分散し、重合開始剤により乳化重合して、コア部となるシードラテックス微粒子を調製する工程である。
<芳香族ビニル系化合物を含む単量体>
当該(a)工程で用いる芳香族ビニル系化合物を含む単量体としては特に制限はないが、スチレン及び/又はα−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。また、前記単量体としては、前記スチレン類と共に、(メタ)アクリル酸を含むことができる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を指す。
この中で、得られるポリマー微粒子の性能などの観点から、メタクリル酸(MAA)が好適である。
この(メタ)アクリル酸の使用量は、前記の芳香族ビニル系化合物との合計量に対して、得られるポリマー微粒子の性能の観点から、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
また、前記の芳香族ビニル系化合物を含む単量体は、分子内に2個以上のビニル基を有する架橋性単量体を含むことができる。
前記2個以上のビニル基を有する架橋性単量体としては、特に制限はなく、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらの中で、得られるポリマー微粒子の性能及び入手性の観点から、ジビニルベンゼン(DVB)が好ましい。
この架橋性単量体の使用量は、架橋性単量体がジビニルベンゼンである場合、架橋性単量体以外の単量体の合計量に対して、5質量%以下であることが好ましい。
<界面活性剤>
当該(a)工程の乳化重合に際して、乳化剤として界面活性剤を用いる場合、界面活性剤としてアニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの高級アルキル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらの中で高級アルキル硫酸ナトリウムが好ましい。
一方、ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類などが挙げられるが、これらの中のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類が好ましい。なお、界面活性剤として、前記のアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を併用してもよい。
当該(a)工程における乳化重合においては、重合開始剤として水溶性重合開始剤が用いられ、水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩を挙げることができる。
この水溶性重合開始剤の使用量は、単量体全量に対して1〜5質量%程度である。
<コア部となるシードラテックスの調製>
コアとなるシードラテックスは、例えば次のようにして調製することができる。
還流冷却器、機械的攪拌機および温度計を備えた反応装置により重合を行い、所定の配合でシードラテックスを調製する。すなわち、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤の存在下あるいは存在させずに、全てのモノマーと100質量部の水を攪拌しながらフラスコに仕込み、系を70℃に加熱する。次いで、25質量部の水に溶解した水溶性重合開始剤である過硫酸アンモニウム(APS)などの過硫酸塩を系内に3段階で、すなわち、重合の最初と2時間後と4時間後とに、12/8/5の質量比で加え、7時間程度重合する。その後、系を室温に冷却することにより、シードラテックスを得ることができる。
(1)ソープフリー乳化重合
界面活性剤を存在させない乳化重合において、架橋剤であるジビニルベンゼン(DVB)を用いて架橋を導入したシードラテックスと、架橋剤を用いることなく架橋がないシードラテックスの粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真、走査型電子顕微鏡(SEM)写真及び粒度分布図から、DVBの導入により、すなわち架橋によりラテックス粒子の表面がより粗くなっていることがわかり、シードラテックスの粒子は狭い粒度分布をもつものであることがわかる。またソープフリー乳化重合によるモノマーの転化率は90%以上である。
(2)通常の乳化重合
次に乳化剤(界面活性剤)を用いてシードラテックスを乳化重合する方法では、乳化剤を用いる点以外は、前記ソープフリー重合と同じ配合により乳化重合させることができる。上記ソープフリー重合との比較においては、以下に示すことが分かる。
上記(1)のソープフリーの乳化重合では、シードラテックス粒子のサイズを調整することは容易ではないので、このシードラテックス粒子の調製に従来の乳化重合を用いることにより、比較的小さなサイズのシードラテックスを調製することができる。
また、シードラテックス粒子の表面は、ソープフリー乳化重合により得られたものよりも粗い。
((b)工程)
本発明のSO3Na基含有ポリマー微粒子の製造方法における(b)工程は、前記(a)工程で得られたコア部となるシードラテックス微粒子と、水溶性架橋剤を含有する芳香環上にSO3Na基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体を、界面活性剤の存在下又は不在下で、重合開始剤を用いてシード乳化重合を行い、コア・シェル型構造を有する重合体を形成させる工程である。
<芳香環上にSO3Na基が導入された芳香族ビニル系化合物>
当該(b)工程で用いる芳香環上にSO3Na基が導入された芳香族ビニル系化合物としては、特に制限はなく、例えばスチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルスチレンスルホン酸ナトリウム、α−アルキルスチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルナフタレンスルホン酸ナトリウム、α−アルキルビニルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、芳香環上に導入されるスルホン酸ナトリウム基のビニル基に対する結合位置については特に制限はない。これらの中で、得られるポリマー微粒子の性能及び入手性の観点から、スチレンスルホン酸ナトリウム及び/又はα−メチルスチレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、特にスチレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
本発明においては、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体は、さらに共重合モノマーとして、芳香族ビニル系化合物を含むことができる。この芳香族ビニル系化合物としては、得られるポリマー粒子の性能及び入手性の観点から、スチレン及び/又はα−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
この芳香族ビニル系化合物の使用量は、前記のSO3Na基が導入された芳香族ビニル系化合物との合計量に対して、得られるポリマー微粒子の性能の観点から、10〜70質量%程度が好ましく、15〜55質量%がより好ましい。
当該(b)工程においては、水溶性架橋剤が必須成分として用いられる。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(BAA)が好適である。このBAAを、スルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物、又はこの化合物と芳香族ビニル系化合物との混合物と共重合させることにより、シェル部に架橋構造を形成することができる。このように、シェル部に架橋構造を導入することにより、得られるポリマー微粒子を水に溶解することがないようにすると共に、後述のコアとなるシード粒子との乳化重合により得られるポリマー微粒子の歩留りを向上させることができる効果を奏する。
前記水溶性架橋剤の使用量が多すぎると、乳化重合プロセスが不安定となり、ゲル化が生じると共に、凝集物が生じる。一方少なすぎると前述した効果が充分に発揮されない。該架橋剤の使用量は、架橋剤を除く単量体50モル%に対して1〜5モル%、好ましくは1.5〜3.5モル%の範囲である。
<界面活性剤>
当該(b)工程において、乳化重合に際して、乳化剤として界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤としてはアニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤の種類については、前述の(a)工程の説明で示したとおりである。
<重合開始剤>
当該(b)工程においては、重合開始剤として油溶性重合開始剤が用いられる。この油溶性重合開始剤としては特に制限はなく、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物や、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカーボネート類、ペルオキシエステル類などの有機過酸化物等を挙げることができるが、これらの中ではアゾ化合物、特に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好適である。これらの重合開始剤は、単量体全量に対して0.5〜3.0質量%程度である。
<シードラテックスへのシード乳化重合によるコア・シェル型の重合体の製造>
次に、例えば前記(a)工程で得られたシードラテックスを20質量部用い、所定の配合により、コア・シェル型のラテックスを調製する。
還流冷却器、機械的攪拌機と温度計とを備えた反応装置を用いて重合を行った。(a)工程で得られたシードラテックス、AIBN、水およびStを反応装置に仕込み、シード粒子を室温で3時間、穏やかに攪拌して膨潤させた。次いで、NaSS、BAAおよびSDSの水溶液を仕込み、70℃程度に加熱する。トータルで10時間重合を行い、得られたポリマー微粒子を含む分散体を室温まで冷却する。
次いで、得られたポリマー微粒子を、80℃程度で5時間乾燥し、次いで、120℃程度で2時間乾燥し、得られた固形物を、ソックスレー抽出器により48時間水で抽出し、水溶性のポリマーを除去することにより、精製し、コア・シェル型の重合体のポリマー微粒子を得る。
なお、AIBNはアゾビスイソブチロニトリル、Stはスチレン、BAAはN,N’−メチレンビスアクリルアミドを示す。
このようにして、本発明のコア・シェル型構造を有する重合体からなるSO3Na基含有ポリマー微粒子を製造することができる。
次に、前述した本発明のポリマー微粒子の製造方法で得られたSO3Na基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の性状について説明する。
[SO3Na基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の性状]
<SO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量>
この化合物単位の含有量が、従来のカチオン交換樹脂などに比べてはるかに高く、該含有量とポリマー微粒子全体に対して10質量%以上、シェル部に対して35質量%以上とすることができる。
なお、前記化合物単位の含有量は、ICP発光分光分析装置により、当該ポリマー微粒子の元素分析を行い、ポリマー微粒子中の硫黄量を測定し、この硫黄量に基づき、ポリマー微粒子中のスルホン酸ナトリウム基の含有量を算出することにより求める。
<ポリマー微粒子表面のSO3Na基密度>
粒子表面のSO3Na基の密度は、電気伝導度計(Shanghai Precision & Scientific Instrument CO.LTD モデルDDS−307、CN)を用いて電気伝導度滴定により次のように行った。
まず、シード乳化重合で得られたポリマー微粒子を、上澄みの電気伝導度が10μS/cm以下になるまで、遠心分離と穏やかな超音波を用いて水に再分散することを数回行った。次いで、10gのイオン交換樹脂(H型)を40mlの精製されたポリマー微粒子分散体(ラテックス固形分は約0.5質量%)に加え、室温で攪拌した。24時間後、ラテックスとイオン交換樹脂との混合物を濾過し、処理したポリマー微粒子分散体を得た。最後に、処理したポリマー微粒子分散体の電気伝導度滴定を室温で行った。9.4mmol/LのNaOH溶液と、7.2mmol/LのHCl溶液とを用いて、順方向と逆方向との双方で、それぞれ窒素雰囲気下で滴定を行った。以下の式により、シード乳化重合で得られたポリマー微粒子のSO3Na基の表面密度を算出した。
σ:SO3Na基の表面密度(mol/cm2
N:滴定に使用したNaOHの量(mol)
s:精製した、シード乳化重合により得られたポリマー微粒子分散体の固形分量(%)
M:精製した、シード乳化重合により得られたポリマー微粒子分散体の総質量(g)
S:シード乳化重合により得られたポリマー微粒子の平均表面積(nm2
ρ:シード乳化重合により得られたポリマー微粒子の平均密度(g/cm3
V:1個当たりのシード乳化重合により得られたポリマー微粒子の平均体積(nm3
r:シード乳化重合により得られたポリマー微粒子の平均半径(nm)
SO3Na基の表面密度σ(mol/cm2)は、後述の実施例4では5.90×10-11mol/cm2、実施例10では6.88×10-11mol/cm2である。
<ポリマー微粒子の粒子径、粒度分布PI>
透過型電子顕微鏡(TEM)で測定される当該ポリマー微粒子の平均粒子径は、通常50〜1000nm程度である。該平均粒子径が50nm未満であると、球形の粒子形状を保つことが困難であり、不定形となりやすい。一方、1000nmを超えると、十分なプロトン伝導性が発揮されない場合がある。以上の観点から、当該ポリマー微粒子の平均粒子径は、好ましくは70〜500nmであり、特に好ましくは100〜300nmである。
また、当該ポリマー微粒子の動的光散乱法で測定される粒子径は100〜1000nm程度である。さらに、前記動的光散乱法で測定される粒度分布PI(poly index)は、通常0.002〜1.0の範囲にあり、単分散に近い値を示す。
<膨潤度>
図1は、キャピラリーを用いてポリマー微粒子の膨潤度を測定する方法の説明図である。
図1に示すように、目盛りを有するキャピラリー1を用いて、ポリマー試料の膨潤度を測定した。精製した粉体をキャピラリーに詰め(図1の2)、目盛りの値(L1)を読む。次いで、異なる極性を有する適当な量の溶媒(脱イオン水、メタノール、ブタノン、トルエン)をキャピラリーに加え、ポリマー試料を膨潤させる(図1の3)。24時間後、膨潤した試料の目盛り値(L2)を読取り(図1の4)、膨潤度(ε)を以下の式を用いて算出した。
ε(%)=[(L2−L1)/L1]×100
<コア部とシェル部の質量比>
SO3Na基含有ポリマー微粒子のコア部とシェル部の質量比は、通常9:1〜5:5である。
なお、コア部とシェル部の質量比は、シード乳化重合時の、仕込みコアラテックス量とモノマーの量、及び生成ポリマーを水抽出して得られる水不溶部量とより、計算にて算出することができる。
本発明の製造方法で得られたスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子は、塩酸や硫酸などの酸水溶液中に浸漬することで、容易にスルホン酸基に変化させることができ、スルホン酸基を有するポリマー微粒子として、アプリケーションに供することができる。また、スルホン酸基を有するポリマー微粒子は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中に浸漬することで、容易にスルホン酸ナトリウム基に変化させることができる。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたコア部となるシード粒子及びSO3Na基含有ポリマー微粒子の性状は、下記に示す方法に従って求めた。
(1)各粒子の流体力学的粒子径及びその粒度分布
ダイナミック光散乱(DLS)光度計[Malvern(UK)社製「Zetasizer 3000HS」]を用い、25℃における動的光散乱法による粒子径(DP DLS)及びその粒度分布(Poly Index,PI)を求めた。
(2)平均粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM)「(株)日立製作所製Hitach800」写真の画像処理により、平均粒子径(DP TEM)を求めた。
(3)SO3Na基含有ポリマー微粒子のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量
ICP発光分光分析装置[セイコーインスツルメント(株)製「VISTA−MPX ACPOES」]により、ソックスレー抽出器にて水可溶部を除いたポリマー微粒子の元素分析を行い、ポリマー微粒子中の硫黄量を測定し、この硫黄量に基づき、ポリマー微粒子全体中とシェルポリマー中のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量を求めた。
(4)ポリマー微粒子表面のSO3Na基密度
明細書本文に記載の方法に従って測定した。
(5)ポリマー微粒子の膨潤度
明細書本文に記載の方法に従って測定した。
製造例1 シードラテックスSSFの製造
還流冷却器、機械的撹拌機及び温度計を備えた4つ口フラスコに、100mLの水と、スチレン(St)18.66g及びメタクリル酸(MAA)1.34g(St/MAAモル比:92/8)のモノマー混合物を撹拌しながら仕込み、系を70℃に加熱した。
次いで25mLの水に過硫酸アンモニウム(APS)0.336gを溶解した水溶液を、系内に3段階で、すなわち、重合の最初と2時間後と4時間後とに、12/8/5の質量比で加え、7時間重合した。その後、系を室温に冷却し、シードラテックスSSFを得た。
なお、St及びMAAは減圧下で蒸留したものを用い、APSは使用前に水で再結晶して用いた。以下、同様である。
表1に材料の仕込み量、モノマー転化率、シードラテックスの動的光散乱法による粒子径DP DLSとその粒度分布PI及び平均粒子径DP TEMを示す。
製造例2 シードラテックスx−SSFの製造
製造例1において、モノマー混合物として、さらに架橋性モノマーであるジビニルベンゼン(DVB)0.72gを含むモノマー混合物(St/MAA/DVBモル比:89.46/7.77/2.77)を用いた以外は、製造例1と同様な操作を行い、架橋されたシードラテックスx−SSFを得た。
なお、DVBは市販のものをそのまま用いた。以下、同様である。
表1に、材料の仕込み量、モノマー転化率、シードラテックスの動的光散乱法による粒子径DP DLSとその粒度分布PI及び平均粒子径DP TEMを示す。
また、図2に、シードラテックスSSFのTEM写真(a)及びシードラテックスx−SSFのTEM写真(b)を示すと共に、図3に、シードラテックスSSFのSEM写真(a)及びシードラテックスx−SSFのSEM写真(b)を示す。
さらに図4に、シードラテックスSSFの粒度分布曲線(a)及びシードラテックスx−SSFの粒度分布曲線(b)を示す。
シードラテックスSSF及びx−SSFは、いずれも粒子径が小さく、かつ単分散粒子である。
なお、透過型電子顕微鏡(TEM)は、「(株)日立製作所製Hitach800」を、走査型電子顕微鏡(SEM)は、「日本電子(株)製JSM−7401」を使用した。
製造例3 シードラテックスx−SOP-Sの製造
モノマー混合物として、スチレン18.660gと、メタクリル酸1.340gと、ジビニルベンゼン0.723gを含むもの(St/MAA/DVB質量比:89.46/7.77/2.77)を用い、かつ界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.190g及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルであるOP−1[日光ケミカルズ(株)製、商品名]0.088gを用いた以外は、製造例1と同様な操作を行い、シードラテックスx−SOP-Sを得た。
表2に、材料の仕込み量、モノマー転化率、シードラテックスの動的光散乱法による粒子径DP DLSとその粒度分布PI及び平均粒子径DP TEMを示す。
製造例4 シードラテックスx−SOP-S*の製造
製造例3において、メタクリル酸を用いず、かつスチレンを20g用いた以外は、製造例3と同様な操作を行い、シードラテックスx−SOP-S*を得た。
表2に、材料の仕込み量、モノマー転化率、シードラテックスの動的光散乱法による粒子径DP DLSとその粒度分布PI及び平均粒子径DP TEMを示す。
製造例5 シードラテックスx−SS1の製造
製造例3において、SDS0.572gを用い、かつOP−10を用いなかったこと以外は、製造例3と同様な操作を行い、シードラテックスx−SS1を得た。
表2に、材料の仕込み量、モノマー転化率、シードラテックスの動的光散乱法による粒子径DP DLSとその粒度分布PI及び平均粒子径DP TEMを示す。
乳化剤として、SDSとOP−10との混合物を用いた場合、SDS単独の場合に比べて、モノマー転化率は低下し、かつ粒子サイズは大きくなる。
実施例1
還流冷却器、機械的撹拌機及び温度計を備えた4つ口フラスコに、製造例1で得られたシードラテックスSSF20g、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.034g、水10g及びスチレン0.923gを仕込み、室温で3時間穏やかに撹拌してシード粒子を膨潤させた。次いでスチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)1.829g、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド(BAA)0.109g及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.068g及び水25gを含む水溶液を仕込み70℃に加熱した。トータルで10時間重合を行い、生成したポリマー微粒子を含む分散体を室温まで冷却した。
次に、得られたポリマー微粒子を80℃で5時間乾燥し、次いで120℃で2時間乾燥したのち、ソックスレー抽出器により48時間水で抽出し、水溶性のポリマーを除去することにより、精製し、コア・シェル型の重合体のポリマー微粒子SF2を得た。
表3に、反応に用いた各成分の種類と量を示し、表5に、得られたポリマー微粒子SF2を構成する各成分のモル比と、水抽出操作における質量ロスを示し、表6に得られたポリマー微粒子SF2の特性値を示す。また、図5に、ポリマー微粒子SF2のTEM写真を示す。
実施例2
実施例1において、NaSS 1.829g及びBAA 0.164gを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、コア・シェル型重合体のポリマー微粒子SF3を得た。表3に、反応に用いた各成分の種類を示し、表5に、得られたポリマー微粒子SF3を構成する各成分のモル比と質量ロスを示し、表6に得られたポリマー微粒子SF3の特性値を示す。
実施例3
実施例1において、シードラテックスSSFの代わりに、製造例2で得られたシードラテックスx−SSF20gを用いたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、コア・シェル型重合体のポリマー微粒子XSF6を得た。
表4に、反応に用いた各成分の種類と量を示し、表5に得られたポリマー微粒子XSF6を構成する各成分のモル比と質量ロスを示し、表6に得られたポリマー微粒子XSF6の特性値を示す。
実施例4
実施例1において、シードラテックスSSFの代わりに、製造例3で得られたシードラテックスx−SOP-S20gを用い、BAAを0.164g、SDSを0.034g、OP−10を0.034g用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、コア・シェル型重合体のポリマー微粒子SOP-S*12を得た。
表4に、反応に用いた各成分の種類と量を示す。
また、表5に、得られたポリマー微粒子SOP-S*12を構成する各成分のモル比とソックスレー抽出による質量ロスを示し、表6に得られたポリマ−微粒子SOP-S*12の特性値を示す。
また、ポリマー微粒子SOP-S*12における、スルホン酸ナトリウム基の表面密度を調べた結果、該表面密度σは5.90×10-11mol/cm2であった。
実施例5〜7及び比較例1
製造例5で得られたシードラテックスx−SS1を用い、BAA/NaSS/(St+MAA+DVB)モル比を、表7で示すように、1/25/75(実施例5)、2/25/75(実施例6)、3/25/75(実施例7)及び0/25/75(比較例1)とし、かつ固形分含量を10.5質量%として、実施例1と同様な操作を行い、コア・シェル型重合体のポリマー微粒子S1N4C、S1N8C、S1N12C及びS1N0Cをそれぞれ得た。
表7に、得られた各ポリマー微粒子を構成する各成分のモル比、固形分含量と共に、各ポリマー微粒子の特性値を示す。
表7から分かるように、架橋剤BAAのモル比が0である比較例1のS1N0Cの質量ロスは42.51質量%と最も大きく、BAAのモル比が高くなるに伴い、質量ロスが減少し、BAAのモル比が3である実施例7のS1N12Cの質量ロスは26.93質量%と最も小さい。
また、DP DLSはいずれも240〜260nmの範囲にあり、PIは、いずれも0.14〜0.20の範囲にあり、粒径の小さな単分散粒子である。
実施例8〜10及び比較例2
製造例3で得られたシードラテックスを用い、BAA/NaSS/(St+MAA+DVB)モル比を、表8で示すように、1/25/75(実施例8)、2/25/75(実施例9)、3/25/75(実施例10)及び0/25/75(比較例2)とし、かつSDSを0.034g、OP−10を0.034gとして、実施例1と同様な操作を行い、コア・シェル型重合体のポリマー微粒子SOP-S4、SOP-S8、SOP-S12及びSOP-S0をそれぞれ得た。
表8に、得られた各ポリマー微粒子を構成する各成分のモル比と共に、水抽出操作時の質量ロス及びDP DLSとPIを示す。
表8から分かるように、架橋剤BAAのモル比が0である比較例2のSOP-S0の質量ロスは57.65質量%と最も大きく、BAAのモル比が高くなるに伴い、質量ロスが減少し、BAAのモル比が3である実施例10のSOP-S12の質量ロスは35.51質量%と最も小さい。
実施例10のSOP-S12について、微粒子全体におけるNaSS単位の含有量及びシェル部におけるNaSS単位の含有量を調べた結果、それぞれ27.29質量%及び62.45質量%であった。
また、SOP-S12について、異なる溶媒に対する膨潤度εを調べた結果を下記に示す。
溶媒 膨潤度ε(%)
水 10
メタノール 15
ブタノン 13.3
トルエン 17.6
さらに、SOP-S12のSO3Na基の表面密度σは6.88×10-11mol/cm2であった。
図6に、SOP-S0、SOP-S4、SOP-S8及びSOP-S12のTEM写真を、それぞれ(a)、(b)、(c)及び(d)として示す。
表8から、各ポリマー微粒子は、いずれもDP DLSが280〜340nmの範囲に、かつPIが0.2〜0.3の範囲にあり、粒径の小さな単分散粒子である。
本発明の方法で得られたスルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子は、スルホン酸ナトリウム基がシェル部に多量に導入されたコア・シェル型構造を有するナノメートルレベルの粒子径をもつポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いることができる。
1:目盛りを有するキャピラリー
2:精製した粉体をキャピラリーに詰めた状態
3:溶媒をキャピラリーに加えポリマー試料を膨潤させた状態
4:膨潤後24時間経過した状態
PO:ポリマー微粒子
SO:溶媒
ST:栓

Claims (13)

  1. スルホン酸ナトリウム基を含有スルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族化合物単位の含有量がシェル部に対して35質量%以上であるコア・シェル型構造の重合体からなるポリマー微粒子の製造方法であって、
    (a)界面活性剤の存在下又は不在下で、芳香族ビニル系化合物を含む単量体を水中に分散し、重合開始剤により乳化重合して、コア部となるシードラテックス微粒子を調製する工程、及び(b)前記(a)工程で得られたコア部となるシードラテックス微粒子と、水溶性架橋剤を含有する芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体を、界面活性剤の存在下又は不在下で、重合開始剤を用いてシード乳化重合を行い、コア・シェル型構造を有する重合体を形成させる工程、
    を含むことを特徴とする、スルホン酸ナトリウム基含コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  2. (a)工程における、芳香族ビニル系化合物を含む単量体が、スチレン及び/又はα−メチルスチレンを含む単量体である請求項1に記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  3. (a)工程における芳香族ビニル系化合物を含む単量体が、(メタ)アクリル酸を含む請求項1又は2に記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  4. (a)工程における芳香族ビニル系化合物を含む単量体が、分子内に2個以上のビニル基を有する架橋性単量体を含む請求項1〜3のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  5. 架橋性単量体がジビニルベンゼンである請求項4に記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  6. (a)工程で用いる重合開始剤が、水溶性の過硫酸塩である請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  7. (b)工程において、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体が、スチレンスルホン酸ナトリウム及び/又はα−メチルスチレンスルホン酸ナトリウムを含む単量体である請求項1〜6のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  8. (b)工程における水溶性架橋剤が、N,N’−メチレンビスアクリルアミドである請求項1〜7のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  9. (b)工程において、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物を含む単量体に、共重合モノマーとして、スチレン及び/又はα‐メチルスチレンを含む請求項1〜8のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  10. (b)工程で用いる重合開始剤が油溶性重合開始剤である請求項1〜9のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  11. 油溶性重合開始剤が、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルである請求項10に記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  12. (a)工程及び(b)工程における乳化重合に際し、乳化剤として界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤が、アニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤である請求項1〜11のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
  13. アニオン系界面活性剤が、高級アルキル硫酸ナトリウムであり、ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類である請求項12に記載のスルホン酸ナトリウム基含有コア・シェル型ポリマー微粒子の製造方法。
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