以下、本発明に係る各実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る第1実施形態について図1〜図9を参照しつつ説明する。本実施形態においては、内部に絶縁層が部分的に設けられた半導体基板の表面を覆って優れた結晶性を有する半導体層を設けることにより、SOI( Silicon on Insulator )構造を部分的に有する部分SOI基板を形成する。そして、この部分SOI基板の絶縁層の上方の半導体層にメモリーセルを設けることにより、メモリーセルの微細化および誤動作の回避が併せて図られた不揮発性半導体記憶装置を製造する。
先ず、図1(a),(b),(c)に示すように、半導体基板としてのp型のシリコン結晶基板1の表面を覆ってシリコン酸化膜(SiO2 膜)2を設ける。続けて、図示は省略するが、シリコン酸化膜2の表面を覆ってレジスト膜を設けるとともに、このレジスト膜を後述するSOI領域4を露出して非SOI領域5を覆うパターンにパターニングする。続けて、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてシリコン酸化膜2を部分的に除去して、SOI領域4内のシリコン結晶基板1の表面を露出させる。続けて、シリコン結晶基板1の表面上からレジスト膜を除去した後、RIE( Reactive Ion Etching )法などを用いてシリコン結晶基板1の露出領域をシリコン結晶基板1の表面から約50nm程度エッチングして後退させる。これにより、シリコン結晶の露出領域からなる深さが約50nmの凹部3が、SOI領域4内においてシリコン結晶基板1の表層部の一箇所に形成される。
なお、図1(a)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリーセルの形成領域付近をその上方から臨んで示す平面図である。また、図1(b)は、図1(a)中破断線A−A’に沿って示す断面図である。具体的には、図1(b)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のチャネル長方向(ビット線方向)に沿って示す断面図である。また、図1(c)は、図1(a)中破断線B−B’に沿って示す断面図である。具体的には、図1(c)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のチャネル幅方向(ワード線方向)に沿って示す断面図である。このような図1(a),(b),(c)の間の関係は、後に参照する図2(a),(b),(c)〜図8(a),(b),(c)、および図12(a),(b),(c)においても同様とする。
また、図1(a),(b)に示すように、シリコン結晶基板1の表面上の領域のうち図1(a)中二点鎖線X−X’および図1(b)中二点鎖線Y−Y’の右側の凹部3が形成された領域が後述するSOI領域4となる。また、図1(a)中二点鎖線X−X’および図1(b)中二点鎖線Y−Y’の左側の領域が後述する非SOI領域5となる。そして、SOI領域4は、メモリーセルの形成領域の主要部となる。これら図1(a),(b)におけるSOI領域4および非SOI領域5の定義は、後に参照する図2(a),(b)〜図32(a),(b)においても同様とする。
次に、図2(b),(c)に示すように、シリコン結晶基板1の表層部に形成された凹部3の内部に、後にシリコン結晶基板1の内部に空洞を形成するための犠牲層6を設ける。ここでは、犠牲層6を形成するために、ジクロルシランおよびゲルマンを含む原料ガスを用いて、シリコン結晶を下地(シード層)とするエピタキシャル成長法を実行する。これにより、シリコン酸化膜2の表面およびシリコン結晶基板1の露出表面のうち凹部3を構成するシリコン結晶基板1の露出表面上に、犠牲層6となるシリコン−ゲルマニウム混晶層をその厚さが約50nmに達するまで選択的にエピタキシャル成長させる。この結果、凹部3は、その内部をシリコン−ゲルマニウム混晶層6で充填される。この後、シリコン結晶基板1の上に残されているシリコン酸化膜2を希フッ酸等を用いて除去して、シリコン結晶基板1の表面を露出させる。
本発明者等が行った実験によれば、原料ガス中のジクロルシランとゲルマンとの流量比を制御してシリコン−ゲルマニウム混晶層6中のゲルマニウム元素の濃度を概ね40%以下に設定することにより、内部に結晶欠陥が殆ど観測されず、かつ表面平坦性に優れたシリコン−ゲルマニウム混晶層6を形成できることが分かった。なお、シリコン−ゲルマニウム混晶層6は、後に空洞となる領域をシリコン結晶基板1の内部に確保するために一時的に凹部3内に埋め込まれるので、埋め込みスペーサー層とも称される。
続けて、シリコン酸化膜2が除去されたシリコン結晶基板1の上に、後にSOI層となる半導体層7を設ける。ここでは、互いに材質の異なるシリコン結晶基板1およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の上に単一の材質からなる半導体層7を一括して形成する。このため、シリコン結晶基板1およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の両者に共通する元素を含む原料ガスを用いるとともに、シリコン結晶基板1およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の両者に共通する材料を下地とするエピタキシャル成長法を実行する。具体的には、シリコン元素を含むシランやジクロルシランなどを原料ガスとして用いて、シリコン結晶を下地とするエピタキシャル成長法を実行する。
このような方法によれば、図2(a),(b),(c)に示すように、シリコン結晶基板1の上とシリコン−ゲルマニウム混晶層6の上とで厚さが略同じである単一のシリコン結晶層7を、シリコン結晶基板1の露出表面およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の表面の両表面上に一括して形成することができる。シリコン結晶層7は、その厚さが約50nmに達するまで、シリコン結晶基板1の露出表面およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の表面の両表面を覆って全面的にエピタキシャル成長される。この際、シリコン結晶層7は、シリコン結晶基板1に一体化しつつエピタキシャル成長する。また、シリコン結晶層7は、主に縦方向(厚さ方向、高さ方向)に沿って成長するエピタキシャル成長法で形成される。この結果、内部に結晶粒界や双晶等が殆ど観測されず、メモリーセルの基板として非常に優れた結晶性を有するシリコン結晶層7を得ることができる。
次に、図3(b),(c)に示すように、シリコン結晶層7の表面を覆ってゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)となる第1の絶縁膜8を設ける。ここでは、熱酸化法などにより、第1の絶縁膜8としてのシリコン酸化膜(SiO2 膜)を、その膜厚が約7nm程度に達するまでシリコン結晶層7の表面上に全面的に成膜する。続けて、シリコン酸化膜8の表面を全面的に覆って浮遊ゲート電極となる電荷蓄積層9を設ける。ここでは、CVD( Chemical Vapor Deposition )法などにより、電荷蓄積層9として、不純物であるリンを添加した多結晶シリコン層(Poly−Si層)を、その厚さが約50nm程度に達するまでシリコン酸化膜8の表面上に堆積させる。
続けて、図示は省略するが、リンドープ多結晶シリコン層9の表面を覆ってレジスト膜を設けるとともに、このレジスト膜を後述する素子分離領域13のパターンに合わせてストライプ形状にパターニングする。続けて、図3(a),(c)に示すように、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてリンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1をRIE法などにより部分的に削って除去する。これにより、素子分離領域13を形成するための素子分離溝10を複数個形成する。この際、各素子分離溝10の底面がシリコン−ゲルマニウム混晶層6の下面よりも深い位置まで達するように各素子分離溝10の深さを調節する。
この結果、図3(c)に示すように、SOI領域4内においては、各素子分離溝10は、リンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6を貫通して、シリコン−ゲルマニウム混晶層6の下面よりも下側のシリコン結晶基板1の内部に達する。そして、シリコン−ゲルマニウム混晶層6は、実質的にその側面を各素子分離溝10溝の内部に略完全に露出された状態となる。これに対して、非SOI領域5内においては、各素子分離溝10は、リンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、およびシリコン結晶層7を貫通してシリコン−ゲルマニウム混晶層6よりも下側のシリコン結晶基板1の内部に達する。各素子分離溝10を形成した後、リンドープ多結晶シリコン層9の上からレジスト膜を除去して、リンドープ多結晶シリコン層9の表面を露出させる。
次に、図4(b),(c)に示すように、各素子分離溝10が形成されたシリコン結晶基板1の内部に空洞11を形成する。ここでは、シリコン−ゲルマニウム混晶層6の側面が露出された各素子分離溝10の内部に硝酸にフッ酸を添加した薬液などを供給してシリコン−ゲルマニウム混晶層6にウェットエッチング処理を施す。これにより、埋め込みスペーサー層(犠牲層)としてのシリコン−ゲルマニウム混晶層6をシリコン結晶基板1の内部から選択的に除去して、各素子分離溝10に連通する空洞11をシリコン結晶基板1の内部に形成する。
ただし、シリコンを共通して含むリンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1のうち、シリコン酸化膜8のエッチングレートだけが他の部材9,7,6,1のエッチングレートに比べて小さい。また、リンドープ多結晶シリコン層9とシリコン−ゲルマニウム混晶層6とではエッチングレートに大差がなく、リンドープ多結晶シリコン層9とシリコン−ゲルマニウム混晶層6との間のエッチングによる加工選択比が小さい。このため、これまでの工程により形成された状態でシリコン−ゲルマニウム混晶層6を除去するウェットエッチング処理を行うと、シリコン−ゲルマニウム混晶層6のみならずリンドープ多結晶シリコン層9、シリコン結晶層7、およびシリコン結晶基板1までもが削られてしまう。
このような事態を回避するために、本実施形態では、図示は省略するが、シリコン−ゲルマニウム混晶層6にウェットエッチング処理を施すのに先立って、イオン注入法などによりリンドープ多結晶シリコン層9中にさらにリンをドープしてリンドープ多結晶シリコン層9中のリンの濃度をさらに高めておく。これにより、リンが添加されたリンドープシリコン層である多結晶シリコン層9と、リンが添加されていないリンアンドープシリコン層であるシリコン−ゲルマニウム混晶層6との間のエッチング選択性を予め十分に高めて、シリコン−ゲルマニウム混晶層6に比べてリンドープ多結晶シリコン層9がよりエッチングされ難い状態に予め設定しておく。それとともに、シリコン−ゲルマニウム混晶層6を形成する際に、その中のゲルマニウム元素の濃度を概ね10%以上に設定しておく。これにより、略全体がシリコン結晶からなるシリコン結晶層7およびシリコン結晶基板1と、シリコン結晶とゲルマニウム結晶とが混在するシリコン−ゲルマニウム混晶層6との間のエッチング選択性を予め十分に高めて、シリコン結晶層7およびシリコン結晶基板1に比べてシリコン−ゲルマニウム混晶層6がよりエッチングされ易い状態に予め設定しておく。
このような設定の下、前述した薬液によるウェットエッチング処理を実行する。すると、高濃度リンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1のうち、シリコン−ゲルマニウム混晶層6のみを選択的にエッチングして除去することができる。これにより、図4(b),(c)に示すように、先にシリコン結晶基板1の内部に形成された凹部3に対応する位置に空洞11を形成することができる。また、前述したように、各素子分離溝10は、その内部にシリコン−ゲルマニウム混晶層6の側面が略完全に露出された状態となるように、それらの深さを調節されて形成されている。これにより、シリコン−ゲルマニウム混晶層6をシリコン結晶基板1の内部から効率良く除去することができる。
本発明者等が検証した結果によれば、前述した工程により形成された空洞11の内部には、シリコン−ゲルマニウム混晶層6の残留物(残渣)は殆ど観測されなかった。ひいては、後述する各メモリーセル21ごとの特性のばらつきを抑制できることが分かった。また、図4(a),(b),(c)に示すように、シリコン−ゲルマニウム混晶層6に対するウェットエッチング処理が終了した時点において、高濃度リンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、およびシリコン結晶基板1は殆ど削られていないことが分かった。
次に、図5(a),(b),(c)に示すように、各素子分離溝10および空洞11の内部に埋め込み絶縁膜となる絶縁材12を設ける。ここでは、塗布法などを用いて、各素子分離溝10を介して空洞11の内部に絶縁材12を埋め込む。また、これと併行して、絶縁材12の上面が高濃度リンドープ多結晶シリコン層9の中間部に達するまで各素子分離溝10の内部に絶縁材12を埋め込む。この際、絶縁材12として、例えばポリシラザンなどの流動性の高い絶縁性の塗布膜を各素子分離溝10および空洞11の内部に塗布することで、各素子分離溝10および空洞11の内部にボイドと呼ばれる埋め込み不完全領域が形成されるのを回避することができる。
図5(c)に示すように、各素子分離溝10の内部に絶縁膜12が埋め込まれることにより、互いに隣接し合う各メモリーセル21同士を電気的に切り離す素子分離領域13が、その下端部を空洞11内に埋め込まれた絶縁膜12よりも深い位置まで達してシリコン結晶基板1の表層部に形成される。また、図5(b)に示すように、空洞11の内部に絶縁膜12が埋め込まれることにより、シリコン結晶基板1の表層部の少なくとも1箇所に絶縁膜12が部分的に設けられているとともに、この絶縁膜12の上にシリコン結晶層7が設けられたシリコン基板14が形成される。すなわち、絶縁膜12の上にシリコン結晶層7が設けられたSOI領域4と絶縁膜12が設けられていない非SOI領域5とが1枚のシリコン基板中に並存する、いわゆる部分SOI基板14が形成される。そして、シリコン結晶層7のうちSOI領域4内に設けられている部分、すなわち埋め込み絶縁膜12上に設けられている部分はSOI層7aとも称される。
なお、各素子分離溝10の内部に埋め込まれる絶縁膜12の比誘電率が低くなるに連れて、互いに隣接し合う各メモリーセル21間の絶縁耐圧が向上する。したがって、例えばポリシラザンを用いて各素子分離溝10および空洞11の内部を埋め込む場合には、塗布された後のポリシラザン膜に水蒸気酸化処理を施して、膜中の窒素、炭素、および水素などの不純物を脱離もしくは低減させることが望ましい。これにより、最終的に各素子分離溝10および空洞11の内部を埋め込まれる絶縁膜12を、ポリシラザン膜からより比誘電率が低いシリコン酸化膜に変換させることができる。
また、各素子分離溝10を形成する際には、各素子分離溝10の内面を形成するリンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1の表層部に結晶欠陥が生成し易い。この結晶欠陥を修復するためには、各素子分離溝10および空洞11の内部に塗布絶縁膜12を埋め込む前または埋め込んだ後に、リンドープ多結晶シリコン層(高濃度リンドープ多結晶シリコン層)9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1の表層部に熱酸化処理やラジカル酸化処理などを施すとよい。さらに、埋め込み絶縁膜12は、前述した単一の塗布絶縁膜で構成するのではなく、塗布絶縁膜にCVD絶縁膜を組み合わせて構成しても構わない。これにより、埋め込み絶縁膜12の絶縁性をより向上させることができる。
次に、図6(a),(b),(c)に示すように、各素子分離溝10の内部に埋め込まれた絶縁膜12の表面および高濃度リンドープ多結晶シリコン層9の表面を覆って、電極間絶縁膜となる第2の絶縁膜15を設ける。ここでは、ALD( Atomic Layer Deposition )法などを用いて、第2の絶縁膜15としての酸化アルミニウム膜(アルミナ膜、Al2O3 膜)をその膜厚が約15nm程度に達するまで埋め込み絶縁膜12および高濃度リンドープ多結晶シリコン層9の表面上に全面的に堆積させる。続けて、図示は省略するが、アルミナ膜15の表面を覆ってレジスト膜を設けるとともに、このレジスト膜を後述する選択ゲートトランジスタ22のパターンに合わせてスリット状にパターニングする。続けて、図6(a),(b)に示すように、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてアルミナ膜15をRIE法などで削ることにより、選択ゲートトランジスタの形成予定領域にアルミナ膜15を貫通させて幅が約50nm程度のスリット部16を形成する。これにより、埋め込み絶縁膜12および高濃度リンドープ多結晶シリコン層9の表面を部分的に露出させる。スリット部16を形成した後、アルミナ膜15の上からレジスト膜を除去してアルミナ膜15の表面を露出させる。
次に、図7(a),(b),(c)に示すように、スリット部16が形成されたアルミナ膜15の表面を覆って、制御ゲート電極となる導電層17を設ける。ここでは、アルミナ膜15の表面上ならびにスリット部16から露出した高濃度リンドープ多結晶シリコン層9および埋め込み絶縁膜12の表面上に、導電層17としてのタングステンシリサイド層をスパッタリング法などを用いて堆積させる。この際、図7(b)に示すように、スリット部16では、タングステンシリサイド層17と高濃度リンドープ多結晶シリコン層9とが電気的に接続される。続けて、図示は省略するが、タングステンシリサイド層17の表面を覆ってレジスト膜を設けるとともに、このレジスト膜を後述するメモリーセル21および選択ゲートトランジスタ22のそれぞれのゲート構造18,19のパターンに合わせてストライプ形状にパターニングする。続けて、図7(a),(b)に示すように、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてタングステンシリサイド層17、アルミナ膜15、および高濃度リンドープ多結晶シリコン層9をシリコン酸化膜8および埋め込み絶縁膜12の表面が露出するまでRIE法などにより部分的に削って除去する。
この結果、図7(b)に示すように、制御ゲート電極となるタングステンシリサイド層17と浮遊ゲート電極となる高濃度リンドープ多結晶シリコン層9との間に電極間絶縁膜となるアルミナ膜15を挟んでなる積層構造18が、埋め込み絶縁膜12の上方においてゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)となるシリコン酸化膜8の表面上に複数個残される。すなわち、制御ゲート電極17および浮遊ゲート電極9が2層に積層された構造からなるメモリーセル21の2層ゲート電極構造18が部分SOI基板14のSOI領域4内に複数個形成される。
また、タングステンシリサイド層17と高濃度リンドープ多結晶シリコン層9との間にアルミナ膜15を挟んでなるとともに、アルミナ膜15のスリット部16を介してタングステンシリサイド層17と高濃度リンドープ多結晶シリコン層9とが接続された積層構造19が、埋め込み絶縁膜12の上方から外れた位置においてシリコン酸化膜8の表面上に残される。すなわち、高濃度リンドープ多結晶シリコン層9上にタングステンシリサイド層17が積層された構造からなるゲート電極を有する選択ゲートトランジスタ22の積層ゲート電極構造19が部分SOI基板14の非SOI領域5内に形成される。これら各電極構造18,19を形成した後、タングステンシリサイド層17の表面上からレジスト膜を除去する。なお、タングステンシリサイド層17はワード線として機能する。
次に、図8(b)に示すように、シリコン結晶層7およびシリコン結晶基板1の内部に不純物拡散層20を形成する。ここでは、2層ゲート電極構造18および積層ゲート電極構造19をマスクとしてイオン注入法および熱拡散法などを組み合わせて実行して、シリコン結晶層7およびシリコン結晶基板1の内部にn型の不純物を部分的に注入して活性化させる。これにより、埋め込み絶縁膜12の上方のシリコン結晶層7の内部および埋め込み絶縁膜12の側方のシリコン結晶基板1の表層部の複数箇所に、ソース拡散層20aおよびドレイン拡散層20bとなる所望の不純物濃度分布を有するn型不純物拡散層20が形成される。図8(b)に示すように、これら各n型不純物拡散層20a,20bのうち、SOI領域4内に形成された各ソース・ドレイン拡散層20a,20bは、それらの底面や下端部の一部を埋め込み絶縁膜12の上面により規定されている。すなわち、SOI領域4内の各ソース・ドレイン拡散層20a,20bは、全て埋め込み絶縁膜12より上側のシリコン結晶層7内に形成されている。
これまでの工程により、トンネル絶縁膜8、2層ゲート電極構造18、およびソース・ドレイン拡散層20a,20bからなるメモリーセルとしてのフローティングゲート型トランジスタ21が、SOI領域4内に複数個形成される。それとともに、トンネル絶縁膜8、積層ゲート電極構造19、およびソース・ドレイン拡散層20a,20bからなる選択ゲートトランジスタ22が、非SOI領域4内に形成される。このように、本実施形態では、SOI領域4がメモリーセル形成領域(メモリーセル部)となる。また、各メモリーセル21は、SOI構造メモリーセルとも称される。
次に、図8(a),(b),(c)に示すように、例えばCVD法により、トンネル絶縁膜8、2層ゲート電極構造18、および積層ゲート電極構造19を覆って層間絶縁膜23を設ける。続けて、図示は省略するが、選択ゲートトランジスタ22が有する不純物拡散層20a,20bのうち非SOI領域5内に形成されている不純物拡散層20bの表面が露出するまで、その上方の層間絶縁膜23およびトンネル絶縁膜8を通常のエッチング技術等により掘り下げて開口させる。続けて、その開口部の内部にタングステンなどの導電体を周知の方法により埋め込んでビット線コンタクトプラグ24を形成する。また、図示は省略するが、同様の工程により、ソース線コンタクトプラグをSOI基板14上に形成する。この後、図示しないビット線等の配線形成工程を経ることにより、図8(a),(b),(c)に示す構造を有する本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリー25が完成される。なお、通常のNAND型フラッシュメモリーでは、複数個のメモリーセルの両側に選択ゲートトランジスタがそれぞれ設けられているのが普通であるが、簡便のために、本願の図面においては各メモリーセルの片側にのみ選択ゲートトランジスタ部分を表示した。
なお、前述したフラッシュメモリー25では、互いに隣接し合う各メモリーセル21の各ソース・ドレイン拡散層20a,20bがそれぞれ分離されているが、これには限定されない。例えば、各メモリーセル21の各ソース・ドレイン拡散層20a,20b同士が一体化されてつながっていても構わない。以下、各メモリーセルのソース・ドレイン拡散層が一体化されて接続された構造の形成方法について簡潔に説明する。
先ず、図9(a)に示すように、先に図1(a),(b),(c)〜図8(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程により、複数個のメモリーセル21および選択ゲートトランジスタ22を形成する。続けて、部分SOI基板14上に層間絶縁膜23を設けるのに先立って、部分SOI基板14の表層部に対してさらに熱拡散処理を施す。これにより、図9(a)中実線矢印で示すように、各ソース・ドレイン拡散層20a,20bから主にシリコン結晶層7の不純物が注入されていない領域に向けて不純物を拡散させて、互いに隣接し合う各ソース・ドレイン拡散層20a,20b同士を実質的に一体化させる。この結果、図9(b)に示すように、埋め込み絶縁膜12の上方のシリコン結晶層7の内部に全面的にn型不純物拡散層26が形成される。この際、n型不純物拡散層26のうち各ソース・ドレイン拡散層20a,20bに相当する領域は不純物濃度がより濃い領域(高濃度不純物拡散領域)26aとなり、各ソース・ドレイン拡散層20a,20bに相当しない領域は不純物濃度がより薄い領域(低濃度不純物拡散領域)26bとなる。この場合、メモリーセルは、いわゆるデプレッション型トランジスタ(D型トランジスタ)として機能する。
これまでの工程により、トンネル絶縁膜8および2層ゲート電極構造18を有するとともにn型不純物拡散層26を共有する、メモリーセルとしてのフローティングゲート型トランジスタ27がSOI領域4内に複数個形成される。それとともに、トンネル絶縁膜8、積層ゲート電極構造19、およびn型不純物拡散層26からなる選択ゲートトランジスタ28が非SOI領域4内に形成される。この後、先に図8(a),(b),(c)を参照しつつ説明したように、層間絶縁膜23やビット線コンタクトプラグ24等を部分SOI基板14上に形成する。これにより、図9(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー25の変形例であるNAND型フラッシュメモリー29が完成される。
以上説明したように、この第1実施形態においては、各メモリーセル21,27や各選択ゲートトランジスタ22,28が形成されるシリコン結晶層7が縦方向(膜厚方向)のエピタキシャル成長によって形成される。このため、シリコン結晶層7は結晶欠陥等が殆ど観測されない優れた結晶性を有している。特に、前述した工程を適用することにより、シリコン結晶基板1の表面上のみならずシリコン−ゲルマニウム混晶層6の表面上であっても、結晶粒界等を殆ど含まないSOI層7aの形成が可能になる。このような構造によれば、たとえ各メモリーセル21,27を微細化して高集積化を図った場合でも、各メモリーセル21,27にチャネル電流が流れないようにバイアス設定した「オフ状態」において、SOI層7a内をその表面に沿った方向(横方向)に流れようとするオフ電流を十分に低減することができる。すなわち、チャネル電流のオン・オフ比を向上させることができる。この結果、ゲート電圧による各メモリーセル21,27の制御性を向上させて、微細化された各メモリーセル21,27の誤動作を起こり難くすることができる。ひいては、各NAND型フラッシュメモリー25,29全体の誤動作を回避することができる。
また、前述したように、この第1実施形態においては、各選択ゲートトランジスタ22,28はSOI領域4ではなく、非SOI領域5内に設けられる。この非SOI領域5においては、シリコン結晶層7がシリコン結晶基板1を下地としてその表面上に直接縦方向にエピタキシャル成長されて形成される。このため、非SOI領域5内のシリコン結晶層7は、SOI領域4内のシリコン結晶層7であるSOI層7aに比べて結晶性がさらに良好である。このような構造によれば、たとえ各選択ゲートトランジスタ22,28を微細化して高集積化を図った場合でも、各選択ゲートトランジスタ22,28に接合リーク電流が発生するおそれを十分に低減することができる。この結果、データ読み込み時をはじめとする各種の動作時における各NAND型フラッシュメモリー25,29全体の誤動作を回避することができる。
さらに、この第1実施形態においては、シリコン−ゲルマニウム混晶層6にエッチング処理を施すのに先立って、高濃度リンドープ多結晶シリコン層9、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、およびシリコン結晶基板1に比べてシリコン−ゲルマニウム混晶層6を予め相対的にエッチングされ易くしておく。それとともに、シリコン−ゲルマニウム混晶層6の側面を実質的に各素子分離溝10の内部に略完全に露出させておく。このような方法によれば、空洞11の内部にシリコン−ゲルマニウム混晶層6の残留物(残渣)を殆ど残すことなく、シリコン−ゲルマニウム混晶層6をシリコン結晶基板1の内部から効率良く選択的に除去することができる。また、その結果、空洞11の内部に埋め込まれる絶縁膜12の上方に形成される各メモリーセル21,27の特性のばらつきを低減させることができる。
したがって、この第1実施形態によれば、各メモリーセル21,27や各選択ゲートトランジスタ22,28を微細化して高集積化を図ることにより、各NAND型フラッシュメモリー25,29の高集積化およびコンパクト化を図ることができる。それとともに、微細化および高集積化が図られた各メモリーセル21,27や各選択ゲートトランジスタ22,28の信頼性や性能、あるいは品質等を向上させることができる。ひいては、高集積化およびコンパクト化が図られた各NAND型フラッシュメモリー25,29の信頼性や性能、あるいは品質等を向上させることができる。また、各NAND型フラッシュメモリー25,29の不良品発生率を低減して、歩留まりおよび生産効率を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図10および図11を参照しつつ説明する。なお、前述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。本実施形態は、主に不揮発性半導体記憶装置の非SOI領域の構造が第1実施形態の不揮発性半導体記憶装置の非SOI領域の構造と異なっているだけであり、その他は第1実施形態と略同様である。
先ず、図10(a)に示すように、シリコン結晶基板1の上にシリコン−ゲルマニウム混晶層31およびシリコン結晶層32を形成する。ただし、本実施形態においては、シリコン−ゲルマニウム混晶層31のエピタキシャル成長に掛ける時間を、第1実施形態のシリコン−ゲルマニウム混晶層6のエピタキシャル成長に掛ける時間よりも長くする。すなわち、本実施形態においては、第1実施形態と異なり、シリコン−ゲルマニウム混晶層31を、その厚さがシリコン結晶基板1に形成された凹部(エッチング後退部)3の深さよりも厚くなるまでエピタキシャル成長させる。これにより、表面の高さがシリコン結晶基板1の表面よりも高く、凹部3から突出した形状のシリコン−ゲルマニウム混晶層31が形成される。
続けて、シリコン結晶層32を、その厚さがシリコン結晶基板1の表面上とシリコン−ゲルマニウム混晶層31の表面上とで略均一になるように、シリコン結晶基板1およびシリコン−ゲルマニウム混晶層31の表面を覆って縦方向にエピタキシャル成長させる。これにより、SOI領域4内の表面が非SOI領域5内の表面よりも高く、かつ、SOI領域4と非SOI領域5との境界部に段差部を有するシリコン結晶層32が形成される。
次に、図10(b)に示すように、ゲート絶縁膜(シリコン酸化膜)33、埋め込み絶縁膜34、複数個のメモリーセル35、選択ゲートトランジスタ36、層間絶縁膜23、およびビット線コンタクトプラグ24等を形成する。ゲート絶縁膜33は、その下地であるシリコン結晶層32と同様に、その厚さがSOI領域4内と非SOI領域5内とで略均一であるとともにSOI領域4内の表面が非SOI領域5内の表面よりも高く、かつ、SOI領域4と非SOI領域5との境界部に段差部を有している。また、シリコン結晶基板1とシリコン結晶層32との間に第1実施形態の埋め込み絶縁膜12よりも厚肉形状の埋め込み絶縁膜34が形成されることにより、SOI領域4内の表面が非SOI領域5内の表面よりも高く、かつ、SOI領域4と非SOI領域5との境界部に段差部を有する本実施形態の部分SOI基板37が形成される。
また、図10(b)に示すように、本実施形態においては、第1実施形態と異なり、部分SOI基板37のSOI領域4と非SOI領域5との境界部に形成された段差部38を跨いで選択ゲートトランジスタ36を形成する。このため、選択ゲートトランジスタ36の積層ゲート電極構造39は、そのSOI領域4側が非SOI領域5側よりも高い段違い構造に形成される。それとともに、各メモリーセル35のソース拡散層40aまたはドレイン拡散層40bとなる複数の不純物拡散層40は、選択ゲートトランジスタ36とこれに隣接する最も非SOI領域5寄りのメモリーセル35との間に形成される不純物拡散層40も含めて、全て埋め込み絶縁膜34上のSOI層32a内に形成される。すなわち、各メモリーセル35の全てのソース・ドレイン拡散層40a,40bは、それらの底面を埋め込み絶縁膜34の上面により規定されている。なお、選択ゲートトランジスタ36が有する2つの不純物拡散層40のうちビット線コンタクトプラグ24が接続される側の不純物拡散層40bは、第1実施形態の選択ゲートトランジスタ22が有するビット線コンタクトプラグ24が接続される側の不純物拡散層20bと同様に、非SOI領域5内に形成される。
この後、第1実施形態と同様に、図示しないビット線等の配線形成工程を経ることにより、図10(b)に示す構造を有する、本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリー41が完成される。このNAND型フラッシュメモリー41においては、前述したように、選択ゲートトランジスタ36の積層ゲート電極構造39が、SOI領域4と非SOI領域5との境界部の段差部38を跨いで段違い構造に形成されている。すなわち、底面が平面形状に形成されている第1実施形態の選択ゲートトランジスタ22,28の積層ゲート電極構造19と異なり、本実施形態の積層ゲート電極構造39はその底面が斜め形状または階段形状に形成されている。このような構造によれば、選択ゲートトランジスタ36のチャネル長方向に沿った積層ゲート電極構造39の幅を選択ゲートトランジスタ22,28のチャネル長方向に沿った積層ゲート電極構造19の幅と同じ大きさに設定した場合でも、積層ゲート電極構造39の底面のチャネル長方向に沿った長さが積層ゲート電極構造19の底面のチャネル長方向に沿った長さに比べて実質的に延ばされている。
したがって、NAND型フラッシュメモリー41においては、選択ゲートトランジスタ36のチャネル長方向に沿った積層ゲート電極構造39の幅を拡大したり、あるいは選択ゲートトランジスタ36のソース拡散層40aとドレイン拡散層40bとの間隔を広げたりすることなく、選択ゲートトランジスタ36のチャネル長を実質的に延ばすことができる。これにより、選択ゲートトランジスタ36を微細化した場合でも、短チャネル効果を十分に抑制して選択ゲートトランジスタ36の誤動作を回避することが可能となる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。先ず、図11(a)に示すように、シリコン結晶基板1の上に埋め込みスペーサー層6およびシリコン結晶層7を形成する。続けて、シリコン結晶層7の上にゲート絶縁膜(シリコン酸化膜)51を形成する。ただし、本実施形態においては、第1実施形態と異なり、非SOI領域5における膜厚がSOI領域4における膜厚に比べて薄いゲート絶縁膜51を形成する。このような部分的に膜厚が異なるゲート絶縁膜51を形成する方法は、例えば次に述べる2通りの方法がある。
先ず、第1の方法は、シリコン結晶基板1中の埋め込みスペーサー層6の格子定数をシリコン結晶の格子定数よりも大きくする方法である。埋め込みスペーサー層6の格子定数をシリコン結晶の格子定数よりも大きくすることにより、シリコン結晶基板1および埋め込みスペーサー層6の上に形成されたシリコン結晶層7のうち、SOI層となる埋め込みスペーサー層6上のシリコン結晶層7aの表層部に引っ張り応力を与える。これにより、埋め込みスペーサー層6上のシリコン結晶層7aの表面上における酸化速度を、埋め込みスペーサー層6が設けられていない領域上のシリコン結晶層7の表面上における酸化速度よりも速くする。すなわち、埋め込みスペーサー層6上のシリコン結晶層7aの表面上におけるシリコン酸化膜51の成膜速度を、埋め込みスペーサー層6が設けられていない領域上のシリコン結晶層7の表面上における成膜速度よりも速くする。この結果、非SOI領域5における膜厚がSOI領域4における膜厚に比べて薄く、かつ、SOI領域4と非SOI領域5との境界部には段差部を有するシリコン酸化膜51を、SOI領域4と非SOI領域5とで個別に作り分けることなく、一つの工程で容易に形成することができる。
また、前述したシリコン−ゲルマニウム混晶層は、その格子定数がシリコン結晶の格子定数よりも大きい。したがって、埋め込みスペーサー層6としてシリコン−ゲルマニウム混晶層を用いることにより、前述した第1の方法を容易に実行することができる。特に、シリコン−ゲルマニウム混晶層中のゲルマニウム濃度を高くすることにより、シリコン結晶層7aの表層部により大きな引っ張り応力を与えてシリコン結晶層7aの表面上におけるシリコン酸化膜51の成膜速度をより速くすることができる。
次に、第2の方法は、シリコン酸化膜51を光照射加熱による熱酸化法を用いて形成する方法である。この第2の方法においては、光照射加熱による熱酸化法を行う際に、照射光の波長を、シリコン−ゲルマニウム混晶層6およびSOI層7aの厚さと同等程度か、または数倍程度の大きさに設定する。あるいは、埋め込みスペーサー層としてシリコン結晶よりも熱吸収率の高い材料を用いる。これにより、SOI領域4の光吸収率を上げて、SOI領域4におけるシリコン酸化膜51の成膜速度を、非SOI領域5における成膜速度よりも速くする。この結果、前述した第1の方法と同様に、非SOI領域5における膜厚がSOI領域4における膜厚に比べて薄く、かつ、SOI領域4と非SOI領域5との境界部には段差部を有するシリコン酸化膜51を、SOI領域4と非SOI領域5とで個別に作り分けることなく、一つの工程で容易に形成することができる。
続けて、図11(a)に示すように、厚肉部51aおよび薄肉部51bからなるゲート絶縁膜51の表面上に電荷蓄積層52となるリンドープ多結晶シリコン層を形成する。この際、下地となるシリコン酸化膜51の厚肉部51aと薄肉部51bとの膜厚差を補完して、SOI領域4と非SOI領域5とで表面の高さが変わらないリンドープ多結晶シリコン層52を形成する。
次に、図11(b)に示すように、埋め込み絶縁膜12、複数個のメモリーセル21、選択ゲートトランジスタ53、層間絶縁膜23、およびビット線コンタクトプラグ24等を形成する。この後、第1実施形態と同様に、図示しないビット線等の配線形成工程を経ることにより、図11(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー41の変形例であるNAND型フラッシュメモリー54が完成される。このNAND型フラッシュメモリー54においては、前述したように、選択ゲートトランジスタ53ゲート絶縁膜51aが各メモリーセル21のゲート絶縁膜51bよりもより薄く形成されている。このような構造によれば、各メモリーセル21の信頼性を確保しつつ、選択ゲートトランジスタ53の駆動力を上げて高速動作が可能となる。また、前述したNAND型フラッシュメモリー54の製造方法によれば、信頼性の向上が図られた各メモリーセル21と高速化が図られた選択ゲートトランジスタ53とを、それぞれ個別に作り分けることなく略同一の工程で形成することができる。
以上説明したように、この第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、各メモリーセル21,35の信頼性を確保しつつ、選択ゲートトランジスタ36,53の動作精度をより向上させたり、あるいは選択ゲートトランジスタ36,53の動作速度をより向上させたりすることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図12〜図18を参照しつつ説明する。なお、前述した第1および第2の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。本実施形態においては、多数のメモリーセルをビット線方向に沿って並べてSOI層上に設ける場合など、SOI層が横方向に沿って長く延ばされる場合でも、十分な機械的強度が確保されているとともに優れた結晶性を有するSOI層およびその形成方法について説明する。また、そのようなSOI層の上に複数個のSOI構造メモリーセルが設けられる不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法について説明する。さらに、本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、フローティングゲート型トランジスタに代えて、いわゆるMONOS型と呼ばれるトランジスタを用いてメモリーセルを構成する。
先ず、図12(a),(b),(c)に示すように、p型シリコン結晶基板1の表面を覆ってシリコン酸化膜61を設ける。続けて、図示は省略するが、シリコン酸化膜61の表面を覆ってレジスト膜を設けた後、このレジスト膜をパターニングする。本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、例えば幅が約20nm程度のストライプ形状のパターンが約200nm程度の間隔でSOI領域4内に残るとともに非SOI領域5を覆うパターンにレジスト膜をパターニングする。続けて、パターニングされたレジスト膜をマスクとしてシリコン酸化膜61を部分的に除去して、シリコン結晶基板1の表面のうちSOI領域4の一部を露出させる。これにより、図12(a),(b)に示すように、SOI領域4内では幅が約20nm程度のストライプ形状のシリコン酸化膜61が約200nm程度の間隔でシリコン結晶基板1の表面上に残されるとともに、非SOI領域5内ではシリコン酸化膜61がシリコン結晶基板1の表面を覆って残される。この後、レジスト膜はシリコン結晶基板1の表面上から除去される。
続けて、シリコン酸化膜61から露出されたシリコン結晶基板1の露出領域を、シリコン結晶基板1の表面から約50nm程度RIE法によりエッチングして後退させる。これにより、幅が約200nmであるとともに深さが約50nmのシリコン結晶の露出領域からなる凹部62が、シリコン結晶基板1の表面から部分的に掘り下げられてSOI領域4の表層部の複数箇所に形成される。それとともに、互いに隣接し合う各凹部62の間には、シリコン結晶からなる高さが約50nm程度のストライプ形状の凸部63が1個ずつ形成される。これら各凸部63同士の間隔は約200nmであるとともに、各凸部63の幅は約20nmである。
次に、図13(a)に示すように、各凹部62の内部に埋め込みスペーサー層となる厚さが約50nmのシリコン−ゲルマニウム混晶層64をエピタキシャル成長法により選択的に形成する。この際、ジクロルシランおよびゲルマンを含む原料ガスを用いるとともに、原料ガスに含まれるシリコン元素とゲルマニウム元素との組成比が約10:1〜3:1程度になるように原料ガスの流量比を制御する。各凹部62内をシリコン−ゲルマニウム混晶層64で埋め込んだ後、シリコン結晶基板1の上に残されているシリコン酸化膜2を除去してシリコン結晶基板1の表面を露出させる。続けて、図13(a),(b)に示すように、シリコン結晶基板1およびシリコン−ゲルマニウム混晶層6の両表面上に厚さが約50nmのシリコン結晶層7をエピタキシャル成長法により形成する。
なお、図13(a)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のチャネル長方向(ビット線方向)に沿って示す断面図である。また、図13(b)は、図13(a)中破断線C−C’に沿って示す断面図である。具体的には、図13(b)は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のチャネル幅方向(ワード線方向)に沿って示す断面図である。このような図13(a),(b)の間の関係は、後に参照する図14(a),(b)〜図21(a),(b)、図23(a),(b)〜図27(a),(b)、および図30(a),(b)〜図32(a),(b)においても同様とする。
次に、図14(a),(b)に示すように、シリコン結晶層7の表面上に膜厚が約4nm程度のシリコン酸化膜8を熱酸化法により全面的に形成する。続けて、シリコン酸化膜8の表面上に電荷蓄積層65を設ける。本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、リンドープ多結晶シリコン層9ではなく、シリコン窒化膜(SiN膜)を用いて電荷蓄積層65を形成する。ここでは、膜厚が約5nm程度のシリコン窒化膜65をシリコン酸化膜8の表面上にCVD法により全面的に堆積させる。
続けて、素子分離領域13のパターンに合わせてストライプ形状にパターニングした図示しないレジスト膜をマスクとして、シリコン窒化膜65、シリコン酸化膜8、シリコン結晶層7、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、およびシリコン結晶基板1をRIE法により部分的に削って除去する。これにより、底面がシリコン−ゲルマニウム混晶層6の下側のシリコン結晶基板1の内部に達する素子分離溝10がSOI領域4内に複数個形成されるとともに、これら各素子分離溝10の内部にシリコン−ゲルマニウム混晶層6の側面が実質的に略完全に露出される。レジスト膜は各素子分離溝10を形成した後に除去される。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、各素子分離溝10溝はシリコン−ゲルマニウム混晶層6を貫通して形成されるが、その構造は図14(b)に示す断面図には現れない。
次に、図15(a)に示すように、各素子分離溝10を介してシリコン−ゲルマニウム混晶層6にウェットエッチング処理を施して、シリコン−ゲルマニウム混晶層6をシリコン結晶基板1の内部から選択的に除去する。これにより、シリコン結晶基板1の内部の各凹部62に対応する位置に空洞66を形成する。なお、第1実施形態と同様に、シリコン−ゲルマニウム混晶層6にウェットエッチング処理を施すのに先立って、シリコン窒化膜65、シリコン結晶層7、およびシリコン結晶基板1にはシリコン−ゲルマニウム混晶層6に比べてエッチングされ難くなる処理を予め施しておく。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、各空洞66は各素子分離溝10に連通して形成されるが、その構造は図15(b)に示す断面図には現れない。
前述したように、各空洞66同士の間には、シリコン結晶からなるストライプ形状の凸部63が形成されている。このため、シリコン−ゲルマニウム混晶層6をシリコン結晶基板1の内部から除去しても、各空洞66の上方に形成されているシリコン結晶層7、シリコン酸化膜8、およびシリコン窒化膜65からなる積層構造は大きな機械的応力を受けるおそれは殆どない。したがって、SOI領域4の表面に沿った方向(横方向)の長さを延ばして空洞66の数を増やした場合でも、各空洞66の上方の積層構造が撓んだり、折れたりするおそれは殆どない。
次に、図16(a),(b)に示すように、各素子分離溝10および各空洞66の内部にポリシラザンなどの絶縁材67を塗布法により設ける。この塗布絶縁膜67は、その上面がシリコン窒化膜65の中間部に達するまで各素子分離溝10および各空洞66の内部に埋め込まれる。このように、本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、埋め込み絶縁膜67をシリコン結晶基板1の表面に沿って互いに離間させてシリコン結晶基板1の表層部の複数箇所に設ける。図16(a)に示すように、各空洞66の内部に絶縁膜67が埋め込まれることにより、各絶縁膜67の上にシリコン結晶層7が設けられたSOI領域4と絶縁膜67が設けられていない非SOI領域5とが1枚のシリコン基板中に並存する部分SOI基板68が形成される。
次に、図17(a),(b)に示すように、埋め込み絶縁膜67の表面およびシリコン窒化膜65の表面を全面的に覆って第2の絶縁膜69を設ける。本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、アルミナ膜15ではなく、シリコン酸化膜(SiO2 膜)を用いて第2の絶縁膜69を形成する。具体的には、膜厚が約10nm程度のシリコン酸化膜69を埋め込み絶縁膜67およびシリコン窒化膜65の表面上にCVD法により全面的に堆積させる。続けて、シリコン酸化膜69の表面を覆って、制御ゲート電極となる導電層70を設ける。本実施形態においては、第1および第2の各実施形態と異なり、シリコン化合物であるタングステンシリサイド層17ではなく、単体の金属であるタングステンを用いて導電層70を形成する。具体的には、シリコン酸化膜69の表面上に、厚さが約50nm程度のタングステン層70をスパッタリング法により堆積させる。
続けて、後述するメモリーセル74および選択ゲートトランジスタ75のそれぞれのゲート構造71,72のパターンに合わせてストライプ形状にパターニングした図示しないレジスト膜をマスクとして、タングステン層70、シリコン酸化膜69、およびシリコン窒化膜65をシリコン酸化膜8および埋め込み絶縁膜12の表面が露出するまでRIE法により部分的に削って除去する。この結果、図17(a)に示すように、シリコン結晶層7(SOI層7a)の上にシリコン酸化膜8、シリコン窒化膜65、シリコン酸化膜69、およびタングステン層(金属層)70が積層された、いわゆるMONOS構造からなるメモリーセル74のゲート電極構造71が部分SOI基板68のSOI領域4内に複数個形成される。また、同じくMONOS構造からなる選択ゲートトランジスタ75のゲート電極構造72が部分SOI基板68の非SOI領域5内に複数個形成される。この後、レジスト膜はタングステン層70の表面上から除去される。本実施形態においては、タングステン層70がワード線として機能する。
続けて、第1実施形態の変形例と同様の工程により、高濃度不純物拡散領域73aと低濃度不純物拡散領域73bとが実質的に一体化されたn型不純物拡散層73を、SOI層7aおよび埋め込み絶縁膜67の側方のシリコン結晶基板1の表層部に形成する。第1実施形態においてはSOI層7aの下側に全面的に埋め込み絶縁膜12が形成されていたが、本実施形態においてはSOI層7aの下側の複数箇所に埋め込み絶縁膜67が互いに離間されて形成されている。このため、n型不純物拡散層73(低濃度不純物拡散領域73b)は各埋め込み絶縁膜67の間のシリコン結晶基板1の内部まで達する。
これまでの工程により、ゲート電極構造71を有するとともにn型不純物拡散層73を共有する、メモリーセルとしてのMONOS型トランジスタ74がSOI領域4内に複数個形成される。それとともに、積層ゲート電極構造72およびn型不純物拡散層73からなるMONOS型の選択ゲートトランジスタ75が非SOI領域4内に形成される。この後、層間絶縁膜23やビット線コンタクトプラグ24等を部分SOI基板68上に形成する。これにより、図17(a),(b)に示す構造を有する本実施形態に係るNAND型の不揮発性メモリー76が完成される。
なお、前述した不揮発性メモリー76では、互いに隣接し合う各メモリーセル74のn型不純物拡散層73が一体化されているが、これには限定されない。例えば、第1実施形態のNAND型フラッシュメモリー25と同様に、n型不純物拡散層73が各メモリーセル74ごとに分離されていても構わない。この場合、第1実施形態において図9(a),(b)を参照しつつ説明した各ソース・ドレイン拡散層からその周りの不純物非注入領域に向けて不純物を拡散させる熱拡散処理工程を省略すればよい。これにより、図18(a),(b)に示すように、SOI層7aおよび埋め込み絶縁膜67の側方のシリコン結晶基板1の表層部には、ソース拡散層77aとドレイン拡散層77bとが互いに分離されたn型不純物拡散層77が残される。
この結果、ゲート電極構造71およびソース・ドレイン拡散層77a,77bからなるメモリーセルとしてのMONOS型トランジスタ78がSOI領域4内に複数個形成される。それとともに、ゲート電極構造72およびソース・ドレイン拡散層77a,77bからなるMONOS型の選択ゲートトランジスタ79が非SOI領域5内に形成される。この後、層間絶縁膜23やビット線コンタクトプラグ24等を部分SOI基板68上に形成する。これにより、図18(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー76の変形例であるNAND型の不揮発性メモリー80が完成される。
以上説明したように、この第3実施形態によれば、前述した第1および第2の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、前述したように、シリコン結晶からなるストライプ形状の凸部63が各空洞66同士の間に形成される。このような構造によれば、SOI領域4内に形成するメモリーセル74,78の数を増やすためにSOI領域4の横方向の長さを延ばしても、各空洞66の上方のSOI層7aを含むSOI領域4内の積層構造が撓んだり、折れたりしない程度に積層構造の機械的強度を十分に確保することができる。これにより、優れた機械強度と優れた結晶性とが両立されたSOI構造を備えるとともに、メモリーセル74,78のさらなる微細化および高集積化が図られたメモリーセル部を実現することができる。
また、本実施形態においては、フローティングゲート型トランジスタ21,27で構成された第1および第2の各実施形態のメモリーセルと異なり、メモリーセルをMONOS型トランジスタ74,78で構成する。一般的に、MONOS型トランジスタはフローティングゲート型トランジスタに比べて構造が簡単でコンパクトである。このため、MONOS型トランジスタはフローティングゲート型トランジスタに比べて作り易い。それとともに、MONOS型トランジスタはフローティングゲート型トランジスタに比べて微細化や高集積化を図り易く、また他の半導体素子や受動部品等との混載化を図り易い。また、MONOS型トランジスタはフローティングゲート型トランジスタに比べて電荷蓄積層からの電荷漏れ等の不具合が生じ難く、信頼性および耐久性が高い。さらに、MONOS型トランジスタはフローティングゲート型トランジスタに比べて動作電圧の低電圧化を図り易く、省電力化し易い。
また、本実施形態の選択ゲートトランジスタ75,79は、メモリーセルと同じ積層膜構造を用いたMONOS型トランジスタで構成されるため、製造工程を簡略化できて低コスト化を実現できる。なお、選択ゲートトランジスタの高速化、高信頼化等が必要な場合には、選択ゲートトランジスタのゲート絶縁膜を別途作り分けてもよい。例えば、先に図16を参照しつつ説明した工程の後に、図示しないレジストマスクなどを用いて選択ゲートトランジスタ形成領域のシリコン窒化膜65、シリコン酸化膜8を選択的に除去することにより、シリコン酸化膜69からなるゲート絶縁膜を有する選択ゲートトランジスタを形成することができる。
このように、本実施形態によれば、各メモリーセル74,78の特性のばらつき、誤動作、スペース占有率、消費電力、不良品発生率、および製造コスト等をより低減させることができる。この結果、NAND型不揮発性メモリー76,80の性能、品質、信頼性、寿命、集積度、歩留まり、生産効率、コストパフォーマンス、および省エネルギー度等をより向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図19〜図32を参照しつつ説明する。なお、前述した第1〜第3の各実施形態と同一部分には同一符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。本実施形態においては、メモリーセルの書き込み動作や消去動作に伴うSOI層の電位変動を軽減して不揮発性半導体記憶装置の誤動作を回避することができる、SOI構造メモリーセルおよびその形成方法について説明する。
先ず、図19(a),(b)に示すように、第1実施形態において図1(a),(b),(c)〜図4(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、シリコン結晶基板1、シリコン結晶層7、シリコン酸化膜8、およびリンドープ多結晶シリコン層9の内部に複数個の素子分離溝10および空洞11を形成する。続けて、各素子分離溝10や空洞11の内部に露出されたシリコン結晶基板1、シリコン結晶層7、およびリンドープ多結晶シリコン層9のそれぞれの表層部に熱窒化処理あるいはラジカル窒化処理を施す。これにより、各素子分離溝10や空洞11の内面を構成するシリコン結晶基板1、シリコン結晶層7、およびリンドープ多結晶シリコン層9のそれぞれの表層部にシリコン窒化膜からなる界面層91を形成する。
次に、図20(a),(b)に示すように、第1実施形態において図5(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、界面層91が形成された各素子分離溝10や空洞11の内部に埋め込み絶縁膜となるシリコン酸化膜12を埋め込む。これにより、シリコン結晶基板1の表層部の少なくとも1箇所にシリコン酸化膜12が部分的に設けられているとともに、このシリコン酸化膜12とシリコン結晶基板1およびシリコン結晶層7との界面にシリコン窒化膜91が設けられた部分SOI基板92が形成される。続けて、第1実施形態において図6(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、表面部に第2の絶縁膜15を設ける。この際、第2の絶縁膜15の形成に先立ってウェットエッチングを行うことにより、図20(b)に示すようにシリコン窒化膜91の露出部を除去することができる。続けて、図7(a),(b),(c)〜図9(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、部分SOI基板92上のSOI領域4内に複数個のメモリーセル27を形成するとともに非SOI領域5内に選択ゲートトランジスタ28を形成する。この後、層間絶縁膜23やビット線コンタクトプラグ24等を部分SOI基板92上に形成する。これにより、図20(a),(b)に示す構造を有する本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリー93が完成される。
また、先に図18(a),(b)を参照しつつ説明した第3実施形態のNAND型の不揮発性メモリー80と同様に、NAND型フラッシュメモリー93のn型不純物拡散層26は各メモリーセル27ごとに分離されていても構わない。この場合、前述したように、各ソース・ドレイン拡散層からその周りの不純物非注入領域に向けて不純物を拡散させる熱拡散処理工程を省略すればよい。これにより、図21(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー93の第1の変形例であるNAND型フラッシュメモリー94が完成される。
また、界面層は、必ずしも埋め込み絶縁膜とシリコン結晶基板およびシリコン結晶層との界面全体に形成されている必要はない。界面層は、少なくとも埋め込み絶縁膜の上面とシリコン結晶層の下面との界面に形成されていれば十分である。以下、このような構造からなる部分SOI基板の形成方法、およびそのような部分SOI基板を備えるNAND型フラッシュメモリーの製造方法について説明する。
先ず、図22(a)に示すように、シリコン結晶基板1の表面上に、例えば熱酸化法により埋め込み絶縁膜となる膜厚が約50nm程度のシリコン酸化膜101を形成する。続けて、シリコン酸化膜101の表面上に、例えばCVD法により界面層となる膜厚が約2nm程度のシリコン窒化膜102を形成する。
次に、図22(b)に示すように、図示しないレジスト膜をマスクとして、非SOI領域5内のシリコン窒化膜102およびシリコン酸化膜101をシリコン結晶基板1の表面が露出するまでエッチングして除去する。これにより、非SOI領域5内に開口部103を形成する。
次に、図22(c)に示すように、例えばシリコン結晶基板1の表面に沿った横方向のエピタキシャル成長法を用いてシリコン結晶層104を形成する。具体的には、開口部103に露出されたシリコン結晶基板1の表面を下地(シード層)として、その上方における厚さが約50nm程度に達するとともにシリコン窒化膜102の表面を全面的に覆うまでシリコン結晶層104をエピタキシャル成長させる。シリコン結晶層104のうちシリコン酸化膜101およびシリコン窒化膜102の上方の部分がSOI層104aとなる。これまでの工程により、埋め込み絶縁膜101の上面とシリコン結晶層104の下面との界面に、界面層としてのシリコン窒化膜102形成された部分SOI基板105が形成される。
次に、図22(d)に示すように、シリコン結晶層104の表面上に、例えば熱酸化法によりトンネル絶縁膜となる膜厚が約7nm程度のシリコン酸化膜8を形成する。続けて、シリコン酸化膜8の表面上に、例えばCVD法により浮遊ゲート電極となる厚さが約50nm程度のリンドープシリコン多結晶層9を形成する。この後、前述したNAND型フラッシュメモリー93の製造工程と同様の製造工程を経ることにより、図23(a),(b)に示す構造を有する、NAND型フラッシュメモリー93の第2の変形例であるNAND型フラッシュメモリー106が完成される。
また、先に図21(a),(b)を参照しつつ説明したNAND型フラッシュメモリー94と同様に、NAND型フラッシュメモリー106のn型不純物拡散層26は各メモリーセル27ごとに分離されていても構わない。この場合、NAND型フラッシュメモリー106の製造工程から前述した熱拡散処理工程を省略すればよい。これにより、図24(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー93の第3の変形例であるNAND型フラッシュメモリー107が完成される。
また、埋め込み絶縁膜をシリコン結晶基板の表面に沿って互いに離間させてシリコン結晶基板の表層部の複数箇所に設ける第3実施形態の部分SOI構造に本実施形態を適用して、各埋め込み絶縁膜の表面を全面的に覆って界面層を形成しても構わない。
例えば、先ず、図25(a),(b)に示すように、第3実施形態において図12(a),(b),(c)〜図15(a),(b)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、シリコン結晶基板1、シリコン結晶層7、シリコン酸化膜8、および電荷蓄積層9の内部に複数個の素子分離溝10および空洞66を形成する。ただし、第3実施形態においては電荷蓄積層としてシリコン窒化膜65を形成したが、ここでは電荷蓄積層としてリンドープ多結晶シリコン層9を形成する。続けて、前述したNAND型フラッシュメモリー93,94を形成する工程と同様に、各素子分離溝10や各空洞66の内部に露出されたシリコン結晶基板1、シリコン結晶層7、およびリンドープ多結晶シリコン層9のそれぞれの表層部に熱窒化処理あるいはラジカル窒化処理を施してシリコン窒化膜からなる界面層111を形成する。
次に、図26(a),(b)に示すように、第3実施形態において図16(a),(b)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、界面層91が形成された各素子分離溝10や各空洞66の内部に埋め込み絶縁膜となるシリコン酸化膜67を埋め込む。これにより、シリコン結晶基板1の表層部の複数箇所にシリコン酸化膜67が互いに離間されて部分的に設けられているとともに、これら各シリコン酸化膜67とシリコン結晶基板1およびシリコン結晶層7との界面にシリコン窒化膜111が全面的に設けられた部分SOI基板112が形成される。続けて、第3実施形態において図17(a),(b)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、部分SOI基板112上のSOI領域4内に複数個のメモリーセルを形成するとともに非SOI領域5内に選択ゲートトランジスタを形成する。この際、第2の絶縁膜15の形成に先立ってウェットエッチングを行うことにより、図26(b)に示すように、シリコン窒化膜111の露出部を除去することができる。
前述したように、ここでは電荷蓄積層としてリンドープ多結晶シリコン層9を形成する。また、第2の絶縁膜としてシリコン酸化膜69ではなくアルミナ膜15を形成するとともに制御ゲート電極となる導電層としてタグステン層70ではなくタグステンシリサイド層17を形成する。このため、第3実施形態において形成したMONOS型のメモリーセル74,78および選択ゲートトランジスタ75,79に代えて、フローティングゲート型のメモリーセル27および選択ゲートトランジスタ28が形成される。この後、前述したNAND型フラッシュメモリー93,106の製造工程と同様の製造工程を経ることにより、図26(a),(b)に示す構造を有する、NAND型フラッシュメモリー93の第4の変形例であるNAND型フラッシュメモリー113が完成される。
また、先に図21(a),(b)および図24(a),(b)を参照しつつ説明した各NAND型フラッシュメモリー94,107と同様に、NAND型フラッシュメモリー113のn型不純物拡散層26は各メモリーセル27ごとに分離されていても構わない。この場合、NAND型フラッシュメモリー113の製造工程から前述した熱拡散処理工程を省略すればよい。これにより、図27(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー93の第5の変形例であるNAND型フラッシュメモリー114が完成される。
さらに、同じく埋め込み絶縁膜をシリコン結晶基板の表面に沿って互いに離間させてシリコン結晶基板の表層部の複数箇所に設ける第3実施形態の部分SOI構造に本実施形態を適用して、各埋め込み絶縁膜の上面のみを覆って界面層を形成しても構わない。
例えば、先ず、図28(a)に示すように、第3実施形態において図12(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、シリコン結晶基板1の表面から部分的に掘り下げてSOI領域4の表層部の複数箇所に凹部62を形成するとともに、互いに隣接し合う各凹部62の間にストライプ形状の凸部63を1個ずつ形成する。続けて、図28(b)に示すように、各凹部62および各凸部63が形成されたシリコン結晶基板1の表面上に、例えばCVD法により埋め込み絶縁膜となるシリコン酸化膜121を設ける。続けて、図28(c)に示すように、例えばCMP法によりシリコン結晶基板1の表面上のシリコン酸化膜121を研磨して除去することにより、シリコン酸化膜121を各凹部62内に埋め込む。
次に、図29(a)に示すように、各凹部62内に埋め込まれたシリコン酸化膜121を、例えばRIE法により選択的にエッチングして後退させる。続けて、図29(b)に示すように、シリコン結晶基板1の表面および上面をシリコン結晶基板1の表面よりも下側に下げられたシリコン酸化膜121の表面を覆って、例えばCVD法により界面層となるシリコン窒化膜122を設ける。続けて、図29(c)に示すように、例えばCMP法によりシリコン結晶基板1の表面上のシリコン窒化膜122を研磨して除去することにより、シリコン酸化膜122を各凹部62内に埋め込む。これにより、埋め込み絶縁膜となるシリコン酸化膜121と界面層となるシリコン窒化膜122との積層構造が各凹部62内に形成される。
次に、図30(a),(b)に示すように、第3実施形態において図13(a),(b)を参照しつつ説明した工程と同様に、シリコン結晶基板1の表面を下地とするエピタキシャル成長法により、シリコン結晶基板1およびシリコン窒化膜122の両表面上にシリコン結晶層123を形成する。ただし、ここでは、第3実施形態と異なり、縦方向のエピタキシャル成長法ではなく横方向のエピタキシャル成長法によりシリコン結晶層123を形成する。これにより、シリコン結晶基板1の表層部の複数箇所に絶縁膜121が互いに離間されて部分的に設けられているとともに、これら各埋め込み絶縁膜121の上面とシリコン結晶基板1およびシリコン結晶層123との界面にシリコン窒化膜111が選択的に設けられた部分SOI基板124が形成される。シリコン結晶層123のうち各埋め込み絶縁膜121の上方の部分がSOI層123aとなる。この後、第3実施形態において図14(a),(b),(c)、図16(a),(b),(c)、および図17(a),(b),(c)を参照しつつ説明した工程と同様の工程を経ることにより、図31(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー93の第6の変形例であるNAND型フラッシュメモリー125が完成される。
なお、このNAND型フラッシュメモリー125においては、前述したNAND型フラッシュメモリー113と同様に、電荷蓄積層、第2の絶縁膜、および制御ゲート電極となる導電層を、それぞれリンドープ多結晶シリコン層9、アルミナ膜15、およびタグステンシリサイド層17を用いて形成する。したがって、第3実施形態のNAND型不揮発性メモリー76,80と異なり、このNAND型フラッシュメモリー125のSOI領域4内にはフローティングゲート型のメモリーセル27が形成されるとともに、非SOI領域5内にはメモリーセル27と略同じ構造からなる選択ゲートトランジスタ28が形成される。
また、先に図21(a),(b)、図24(a),(b)、および図27(a),(b)を参照しつつ説明した各NAND型フラッシュメモリー94,107,114と同様に、NAND型フラッシュメモリー125のn型不純物拡散層26は各メモリーセル27ごとに分離されていても構わない。この場合、NAND型フラッシュメモリー125の製造工程から前述した熱拡散処理工程を省略すればよい。これにより、図32(a),(b)に示す構造を有する、前述したNAND型フラッシュメモリー93の第7の変形例であるNAND型フラッシュメモリー126が完成される。
以上説明したように、この第4実施形態によれば、前述した第1〜第3の各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、NAND型フラッシュメモリー93,106,113,125では、各メモリーセル27のn型不純物拡散層26(26a,26b)が接続されて一体化されている。それとともに、NAND型フラッシュメモリー93,106,113,125では、少なくともシリコン酸化膜からなる埋め込み絶縁膜12,67,101,121の上面とシリコン結晶層7,104,123(SOI層7a,104a,123a)の下面との界面にシリコン窒化膜からなる界面層91,102,111,122が設けられている。
このような構造によれば、n型不純物拡散層26(26a,26b)中の多数キャリアである電子の密度が熱平衡状態における密度よりも増えたり減ったりした場合に、その過剰状態または不足状態の電子密度を速やかに熱平衡状態密度に戻すことができる。すなわち、界面層91,102,111,122はキャリアの生成および再結合中心( generation-recombination center )としての機能を有している。したがって、例えば各メモリーセル27の消去動作を行う際に、浮遊ゲート電極9からSOI層7a,104a,123a内への電子の移送によるn型不純物拡散層26(26a,26b)中の電子密度の増加に伴う電位変動を実質的に殆ど無視できる。このように、少なくとも埋め込み絶縁膜12,67,101,121の上面とSOI層7a,104a,123aの下面との界面に界面層91,102,111,122を設けることにより、SOI層7a,104a,123aのキャリア蓄積による各メモリーセル27の特性変動を回避することができる。この結果、NAND型フラッシュメモリー93,106,113,125の誤動作をより効果的に回避することができる。
また、NAND型フラッシュメモリー94,107,114,126においては、各メモリーセル21のn型不純物拡散層20(20a,20b)が互いに分離されている。しかし、このような構造でも、前述したNAND型フラッシュメモリー93,106,113,125と同様の効果を得ることができる。例えば、各メモリーセル21の書き込み動作を行う際には、SOI層7a,104a,123aから浮遊ゲート電極9内へ電子が移送される。そして、これと略同時に、ホールが浮遊ゲート電極9からSOI層7a,104a,123a内へ移送されてSOI層7a,104a,123a内の電位が変動する。この際、NAND型フラッシュメモリー94,107,114,126のメモリーセル21では、前述したメモリーセル27と同様に、界面層91,102,111,122がホールの再結合中心として働く。これにより、各メモリーセル21の書き込み動作の際のSOI層7a,104a,123a内の電位変動を実質的に殆ど無視できる。この結果、NAND型フラッシュメモリー93,106,113,125と同様に、NAND型フラッシュメモリー94,107,114,126の誤動作をより効果的に回避することができる。
さらに、界面層91,102,111,122は、NAND型フラッシュメモリー93,94,113,114のように、必ずしも埋め込み絶縁膜12,67,101,121の表面を全面的に覆って設けられる必要はない。界面層91,102,111,122は、NAND型フラッシュメモリー106,107,125,126のように、埋め込み絶縁膜12,67,101,121の上面とシリコン結晶層7,104,123(SOI層7a,104a,123a)の下面との界面に設けられればよい。このような構造でも、界面層91,102,111,122は前述したキャリアの生成および再結合中心としての機能を得ることができる。すなわち、NAND型フラッシュメモリー106,107,125,126は、NAND型フラッシュメモリー93,94,113,114と同様に誤動作が起き難くなっている。
また、図23(b)、図24(b)、図31(b)、および図32(b)に示すように、NAND型フラッシュメモリー106,107,125,126においては、NAND型フラッシュメモリー93,94,113,114と異なり、埋め込み絶縁膜12,101,121とSOI層104a,123aとの界面に界面層が形成されていない。すなわち、トンネル絶縁膜8直下の図示しないチャネル領域に界面層102,122が接していない。このような構造によれば、各メモリーセル21,27の閾値の制御性を高めることができるので、例えば各メモリーセル21,27に読み込み動作を行わせる際のチャネル電流の低下を招き難くすることができる。したがって、NAND型フラッシュメモリー106,107,125,126およびそれらのメモリーセル構造21,27は、NAND型フラッシュメモリー93,94,113,114それらのメモリーセル構造21,27に比べてより高速動作が要求される環境への適用に向いている。
なお、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法は、前述した第1〜第4の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの構成、あるいは製造工程などの一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
例えば、第1および第3の各実施形態においては、シリコン結晶基板1の内部に埋め込みスペーサー層となるシリコン−ゲルマニウム混晶層6,64を一旦形成する。続けて、このシリコン−ゲルマニウム混晶層6,64およびシリコン結晶基板1を下地としてシリコン結晶層7をエピタキシャル成長させる。続けて、シリコン結晶基板1の内部からシリコン−ゲルマニウム混晶層6,64を選択的に除去して空洞11,66を形成する。この後、空洞11,66の内部にシリコン酸化膜12,67を埋め込むことにより部分SOI構造14,68を形成する。しかし、このような工程を経て部分SOI構造14,68を形成する場合であっても、埋め込みスペーサー層6,64の材料はシリコン−ゲルマニウム混晶層には限定されない。埋め込みスペーサー層6,64は、これをエピタキシャル成長の材料(シード層)としてシリコン結晶層7がエピタキシャル成長できるとともに、シリコン結晶基板1やシリコン結晶層7(SOI層7a)のようにシリコン結晶を含む他の層とのエッチング選択性を確保できる材料であれば、他の材料を用いて形成しても構わない。
このような特徴を発揮できる埋め込みスペーサー層6の材料とこれをシード層とするシリコン結晶層7の材料との組み合わせとしては、次に述べるような組み合わせが挙げられる。例えば、埋め込みスペーサー層6をリンドープシリコンにより形成した場合、シリコン結晶層7は不純物が添加されていないシリコン(アンドープシリコン)を用いて形成すればよい。ここでは、このような材料の組み合わせを(アンドープ)シリコン/リンドープシリコンと表記する。そして、これと同様の特徴を発揮できる材料の組み合わせとしては、他に(アンドープ)シリコン/ボロンドープシリコン、(アンドープ)シリコン−ゲルマニウム/リンドープシリコン−ゲルマニウム、あるいは(アンドープ)シリコン−ゲルマニウム/ボロンドープシリコン−ゲルマニウムなどが挙げられる。
また、第1実施形態においては、シリコン結晶基板1、シリコン−ゲルマニウム混晶層6、シリコン結晶層7、シリコン酸化膜8、およびリンドープ多結晶シリコン層9からなる積層構造のうちシリコン−ゲルマニウム混晶層6のみを選択的にエッチングして除去するのに先立って、リンドープ多結晶シリコン層9にさらにリンをドープする。これにより、電荷蓄積層となるリンドープ多結晶シリコン層9に対するシリコン−ゲルマニウム混晶層6のエッチング選択性を予め十分に高めておく。この結果、リンドープ多結晶シリコン層9をエッチングすることなく、シリコン−ゲルマニウム混晶層6のみを選択的にエッチングすることができる。しかし、電荷蓄積層9をエッチングすることなくシリコン−ゲルマニウム混晶層6のみを選択的にエッチングする方法は、これには限定されない。
例えば、シリコン−ゲルマニウム混晶層6に比べてエッチングされ難い、不純物がドープされていないアンドープシリコン層を用いて電荷蓄積層を形成すればよい。この方法によれば、アンドープシリコン層をエッチングすることなくシリコン−ゲルマニウム混晶層6のみを選択的に、かつ、容易にエッチングすることができる。そして、シリコン−ゲルマニウム混晶層6を除去して形成される空洞11内に埋め込み絶縁膜12を設けた後、アンドープシリコン層が浮遊ゲート電極9として機能するように、イオン注入法によりアンドープシリコン層にリンをドーピングすればよい。このような方法によっても、第1実施形態のNAND型フラッシュメモリー25,29を製造することができる。
また、第1〜第4の各実施形態においては、シリコン結晶層7,32,104,123(SOI層7a,32a,104a,123a)上に複数個のメモリーセル21,27,35,74,78を形成した後にシリコン結晶基板1の表層部およびシリコン結晶層7,32,104,123内に不純物を注入して不純物拡散層20,26,40,73,77を形成したが、不純物拡散層を形成する方法はこれには限定されない。例えば、シリコン結晶基板1およびシリコン結晶層7,32,123の内部からシリコン−ゲルマニウム混晶層6を除去するのに先立って、いわゆるスルーインプラ法を用いてシリコン結晶基板1の表層部およびシリコン結晶層7,32,123の内部に予め全面的に不純物を注入しても構わない。これにより、シリコン結晶基板1の表層部およびシリコン結晶層7,32,123の内部に全面的に不純物拡散層が形成される。
この後、第1〜第4の各実施形態と同様に、各メモリーセル21,27,35,74,78のゲート電極構造18,71をマスクとして再びシリコン結晶基板1の表層部およびシリコン結晶層7,32,123の内部に不純物を注入する。これにより、NAND型フラッシュメモリー29,76,93,106,113,125の各メモリーセル27,74と同様に、高濃度不純物拡散領域26a,73aと低濃度不純物拡散領域26b,73bとが接続された不純物拡散層26,73を共有するメモリーセル27,74を形成することができる。
また、第4実施形態においては、シリコン酸化膜からなる埋め込み絶縁膜12,67,101,121にシリコン窒化膜からなる界面層91,102,111,122を組み合わせて用いる場合を示したが、埋め込み絶縁膜と界面層との材料の組み合わせはこれには限定されない。例えば、シリコン酸窒化膜からなる埋め込み絶縁膜に、埋め込み絶縁膜のシリコン酸窒化膜よりも窒素濃度が高い高濃度シリコン酸窒化膜からなる界面層を組み合わせても良い。この場合でも、窒素濃度が高ければ高い程、キャリアの生成/再結合中心としての効果がより大きくなるので、SOI層の電位変動をより低減させて、不揮発性半導体記憶装置の誤動作を回避する効果をより高めることができる。
また、界面層の材料は、シリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜のみならず、シリコン炭化層や炭素を含むシリコン酸化層でも良い。この場合でも、シリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜を用いて界面層を形成する場合と同様の効果が得られる。例えば、絶縁膜が埋め込まれる素子分離溝や空洞を形成した後に、素子分離溝や空洞の内部に露出したシリコン結晶基板やSOI層の表面に、高濃度シリコン酸窒化膜、シリコン炭化層、あるいは炭素を含むシリコン酸化膜などからなる界面層を形成しても構わない。あるいは、窒素および炭素の少なくとも一方を含有する絶縁材を埋め込み絶縁膜として素子分離溝や空洞の内部に埋め込んだ後に膜内の窒素や炭素を加熱処理などで拡散させて、高濃度シリコン酸窒化膜、シリコン炭化層、または炭素を含むシリコン酸化膜からなる界面層を形成しても構わない。このように、界面層は、窒素および炭素の少なくとも一方を含む半導体化合物の層であればよい。
さらに、第1、第2、および第4の各実施形態においては、リンドープ多結晶シリコン層により電荷蓄積層9を形成するとともに、このリンドープ多結晶シリコン層9を浮遊ゲート電極とするフローティングゲート型トランジスタ21,27,35を用いてメモリーセルを構成した。しかし、メモリーセルはフローティングゲート型トランジスタ21,27,35には限定されない。例えば、第3実施形態で説明した工程を第1、第2、および第4の各実施形態に適用することにより、各フローティングゲート型トランジスタ21,27,35の代わりに、シリコン窒化膜などの絶縁膜を電荷蓄積層とするMONOS型トランジスタ74,78を用いてメモリーセルを構成しても構わない。あるいは反対に、第1で説明した工程を第3実施形態に適用することにより、各MONOS型トランジスタ74,78の代わりに、リンドープ多結晶シリコン層9を浮遊ゲート電極とするフローティングゲート型トランジスタ21,27,35を用いてメモリーセルを構成しても構わない。さらには、各MONOS型トランジスタ74,78の代わりに、MONOS構造の金属層(M)をシリコン層(S)に代えた、いわゆるSONOS型トランジスタを用いてメモリーセルを構成しても構わない。
1…p型シリコン結晶基板(半導体基板)、3,62…凹部、6,64…シリコン−ゲルマニウム混晶層(埋め込みスペーサー層、犠牲層)、7,32,104,123…シリコン結晶層(半導体層)、7a,32a,104a,123a…SOI層(半導体層)、8,33,51…シリコン酸化膜(ゲート絶縁膜、トンネル絶縁膜、第1の絶縁膜)、9…高濃度リンドープ多結晶シリコン層(浮遊ゲート電極、電荷蓄積層)、10…素子分離溝(溝)、11,66…空洞、12,67,101,121…シリコン酸化膜(ポリシラザン、埋め込み絶縁膜、絶縁材)、13…素子分離領域、15…アルミナ膜(電極間絶縁膜、第2の絶縁膜)、17…タングステンシリサイド層(制御ゲート電極、導電層)、18…2層ゲート電極構造(積層構造)、20,26,40,73,77…n型不純物拡散層(不純物拡散層)、20a,40a,77a…ソース拡散層(不純物拡散層)、20b,40b,77b…ドレイン拡散層(不純物拡散層)、21,27,35…フローティングゲート型トランジスタ(メモリーセル)、25,29,41,54,93,94,106,107,113,114,125,126…NAND型フラッシュメモリー(不揮発性半導体記憶装置)、26a,73a…高濃度不純物拡散領域(不純物拡散層)、26b,73b…低濃度不純物拡散領域(不純物拡散層)、65…シリコン窒化膜(電荷蓄積層)、69…シリコン酸化膜(第2の絶縁膜)、70…タングステン層(制御ゲート電極、金属層、導電層)、71…ゲート電極構造(積層構造)、74,78…MONOS型トランジスタ(メモリーセル)、76,80…NAND型不揮発性メモリー(不揮発性半導体記憶装置)、91,102,111,121…シリコン窒化膜(界面層、半導体化合物の層)