JP2009009060A - フィルム状光導波路及び光導波路用感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のフィルム状光導波路24は、コア部20及びクラッド部12,22を有し、コア部20及びクラッド部12,22のいずれか又は両方が、(A)ビスフェノール構造を有する(メタ)アクリレート、及び/又はフェノキシ構造を有する(メタ)アクリレート、(B)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(C)ラジカル性光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物の硬化物からなる。
【選択図】図1
Description
これらの問題を改善するため、光導波路の工程数の削減、製造時間の短縮化、歩留まりの増大等の生産性の向上を目的に、コア部分とクラッド層の材料として液状の硬化性組成物を用いるポリマー系光導波路が、近年提案されている(例えば、特許文献1)。
ポリマー系光導波路によると、従来の石英系光導波路に比べて、簡易な製造工程で、歩止まりを増大させることができる。しかし、ポリマー系光導波路は、光通信等で用いられる波長650〜1600nmの領域における伝送特性(導波路損失)、耐熱性等が不十分であり、また、硬化収縮率が大きいことによる基板からの剥離、及び形状精度の低さといった問題があり、光導波路に求められる諸特性を全て満足するものではなかった。
光導波路の諸特性を向上させるために、例えば、(A)ラジカル重合性官能基を有するポリマーであって、数平均分子量を上記ラジカル重合性官能基のモル数で除した値が3,000以上であるポリマー、(B)特定の式で表される構造を有する(メタ)アクリレート、及び(C)ラジカル性光重合開始剤を含有することを特徴とする光導波路用感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
そこで、本発明は、高い屈折率及び優れた伝送特性(低い導波路損失)を有し、硬化収縮率が低く、パターニング性に優れる等の光導波路に要求される諸特性を維持しながら、さらに、優れた屈曲耐久性をも有するフィルム状光導波路を提供することを目的とする。
[1] コア部及びクラッド部を有するフィルム状光導波路であって、上記コア部及び上記クラッド部のいずれか又は両方が、(A)下記式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレート及び/又は下記式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリレート、(B)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(C)ラジカル性光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするフィルム状光導波路。
[2] 成分(B)が、(a)ポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物、及び/又は、(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物、を含有する前記[1]に記載のフィルム状光導波路。
[3] 成分(B)の数平均分子量が100〜15,000である前記[1]または[2]に記載のフィルム状光導波路。
[4] 成分(B)の配合割合が成分(A)〜成分(C)の合計量を100質量部として、15〜70質量部である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフィルム状光導波路。
[5] (A)下記式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレート及び/又は下記式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリレート、(B)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(C)ラジカル性光重合開始剤、を含有することを特徴とする光導波路用感光性樹脂組成物。
本発明の感光性樹脂組成物は、成分(A)〜成分(C)、及び、必要に応じて配合される他の任意成分を含む。
以下、各成分ごとに詳細に説明する。
成分(A)は、下記式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレート、及び/又は、下記式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリレートである。下記式(1)、(2)で表される構造以外の構造を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、硬化物の物性、特に光導波路の用途で必要な所定の屈折率を得ることが困難となるほか、耐熱性に問題を生ずるおそれがある。
式(1)で表される構造を有するジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
成分(A)の配合割合の上限値は、特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。該配合割合が80質量%を超えると、フィルム状光導波路の形状が悪化したり、長期信頼性に問題が生じることがある等の欠点がある。
成分(B)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。成分(B)として用いられるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、(a)ポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、成分(B−1)ともいう。)や、(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、成分(B−2)ともいう。)が挙げられる。
まず、成分(B−1)の製造に用いられる(a)ポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート、の各々について説明する。
(a)ポリオール化合物としては、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂環族ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、オキセタン、置換オキセタン、テトラヒドロピラン及びオキセバンから選ばれる少なくとも1種の化合物を開環(共)重合することにより得られるもの等が挙げられる。これらの具体例としては、ポリエチレングリコール、1,2−ポリプロピレングリコール、1,3−ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、ポリイソブチレングリコール、プロピレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体ポリオール、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、エチレンオキサイドと1,2−ブチレンオキサイドの共重合体ポリオール等が挙げられる。
脂環族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。市販品としては、クラポールP−2010、P−2020、P−2030、P−2050、P−3050、P−4050、P−1010、P3010、P4010、N−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、クラレ社製)等が挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。市販品としては、PLACCCEL205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
本発明で使用しうる他のポリオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ひまし油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
上記のポリオール化合物のうち、ポリエーテルポリオールが好ましく、アルキレンオキシ構造を有する脂肪族ポリエーテルポリオールがより好ましい。具体的には、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合ジオール、エチレンオキサイド/1,2−ブチレンオキサイド共重合ジオール、プロピレンオキサイド/テトラヒドロフラン共重合ジオールがより好ましく、エチレンオキサイド/1,2−ブチレンオキサイド共重合ジオールが特に好ましい。
(a)ポリオール化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(b)ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましい。
(b)ポリイソシアネート化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらにアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等は、好ましく用いられる。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレートは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
製法1:ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法。
製法2:ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
製法3:ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法。
製法4:ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法。
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを構成する各原料の配合割合は、例えば、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート1モルに対して、(a)ポリオール化合物0.5〜2モル、(b)ポリイソシアネート化合物1〜2.5モルである。
成分(B−2)を構成する各原料の配合割合は、例えば、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート1モルに対して、(b)ポリイソシアネート化合物0.3〜0.5モルである。
成分(B)は、屈曲耐久性の観点から、成分(B−1)を含むことが好ましい。
成分(B)中の成分(B−1)の質量割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
成分(B)は、塗布性の観点から、成分(B−2)を含むことが好ましい。
成分(B)中の成分(B−2)の質量割合は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。
成分(B)の数平均分子量は、好ましくは100〜15,000、より好ましくは300〜12,000である。該値が100未満では、組成物の硬化物が脆くなり、十分な屈曲耐久性を有するフィルム状光導波路を形成することが困難となる。一方、該値が15,000を超えると、組成物の粘度が高くなり、取り扱いが難しくなる。
本発明の感光性樹脂組成物中の成分(B)の配合割合は、組成物の全量を100質量%として、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは6〜45質量%、特に好ましくは7〜40質量%である。該配合割合が5質量%未満では、組成物の硬化物のヤング率が上昇し、十分な屈曲耐久性を有するフィルム状光導波路を形成することが困難となる。一方、該配合割合が50質量%を超えると、組成物の粘度が大きくなり、均一な厚みを有する硬化膜を形成することが困難となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、成分(B)の配合割合は、成分(A)〜成分(C)の合計量を100質量部として、好ましくは15〜70質量部、より好ましくは15〜50質量部である。成分(B)の配合割合を上記の範囲内とすることにより、十分な屈曲耐久性を有するフィルム状光導波路を形成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる成分(C)は、ラジカル性光重合開始剤である。
成分(C)の具体例としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
なお、成分(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(D)中のラジカル重合性官能基としては、付加重合、環化重合、異性化重合、開環重合、重付加、縮合できる官能基のいずれであってもよい。好ましくは、付加重合または開環重合できる官能基であり、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテルなどの不飽和二重結合を有するものや、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、シクロヘキセンオキシド等の環状反応性基を有するもの等が挙げられる。より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。なお、ラジカル重合性官能基は、(D)成分のポリマーの化学構造中の末端にあることが好ましい。
成分(D)のポリマー構造としては、特に限定されないが、成分(D)のガラス転移温度(Tg)が50℃以上であることが、フィルム状光導波路の耐熱性の向上の点で好ましい。Tgが50℃以上であるポリマーの中でも、下記式(3)、(4)に示すようなポリスチレンやポリメチルメタクリレートを主構造とするポリマーが、耐熱性及び透明性(低損失)の向上の観点から特に好ましい。
成分(D)(ポリマー)の数平均分子量の上限値は、特に限定されないが、好ましくは、50,000以下である。数平均分子量が50,000を超えると、樹脂組成物への溶解性が低下し、均一な樹脂組成物を得ることが困難になることがある。
成分(D)(ポリマー)中のラジカル重合性官能基の含有量は、当該ポリマーの数平均分子量を当該ラジカル重合性官能基のモル数で除した値が、3,000以上、好ましくは5,000以上となる量である。該値が3,000未満であると、光硬化した硬化物の硬化収縮が大きくなり、光導波路の形状の精度が低下することがある。
成分(D)の市販品としては、AA−6、AS−6(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
なお、成分(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
光増感剤の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。
光増感剤の市販品の具体例としては、例えば、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、Tinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。市販品としては、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ
コーニング・シリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
離型剤の市販品としては、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の硬化物の硬化収縮率は、9.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましい。該硬化収縮率が9.0%よりも大きいと、基板からの剥離等が生じることがある。また、本樹脂組成物をコア部に用いた場合、設計どおりの形状を得られないことがある。
本発明の樹脂組成物の硬化物は、光導波路のコア部の材料として使用した場合、25℃および波長589nmでの屈折率が、1.53以上であることが好ましく、1.54以上であることがより好ましい。該屈折率が1.53未満であると、本発明の樹脂組成物をコア部の材料として用いて光導波路を形成した場合、良好な伝送損失が得られないことがある。
[1.光導波路の構造]
図1中、フィルム状光導波路24は、基板10と、コア部20と、クラッド部(下部クラッド層12、及び上部クラッド層22)とから構成されている。下部クラッド層12は、基板10の上面に積層して形成されており、この下部クラッド層12の上面には、特定の幅を有するコア部20が形成されている。コア部20および下部クラッド層12の上面には、上部クラッド層22が積層して形成されている。なお、コア部20は、光導波路24の外形を形成する下部クラッド層12および上部クラッド層22の中に存在する。
コア部20、下部クラッド層12、及び上部クラッド層22のうち少なくとも1つは、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなる。特に、コア部20が本発明の感光性樹脂組成物の硬化物からなることが、好ましい。
下部クラッド層、コア部、および上部クラッド層の厚さは、特に限定されないが、例えば、下部クラッド層の厚さが1〜200μm、コア部の厚さが3〜200μm、上部クラッド層の厚さが1〜200μmとなるように定められる。コア部の幅は、特に限定されないが、例えば、1〜200μmである。
コア部の屈折率は、下部クラッド層および上部クラッド層のいずれの屈折率よりも大きいものであることが必要である。例えば、波長400〜1,600nmの光に対して、コア部の屈折率が1.420〜1.650、下部クラッド層および上部クラッド層の屈折率が1.400〜1.648であり、かつ、コア部の屈折率が、2つのクラッド層のいずれの屈折率よりも少なくとも0.1%大きな値であることが好ましい。
フィルム状光導波路24の製造方法は、下部クラッド層12を形成する工程と、コア部20を形成する工程と、上部クラッド層22を形成する工程を含む。これらの3つの工程のうち、少なくとも1つの工程は、本発明の感光性樹脂組成物を光照射して硬化物を形成する工程である。
なお、フィルム状光導波路を構成する下部クラッド層12、コア部20および上部クラッド層22の各部を形成するための組成物は、各々、便宜上、下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物と称する。
下層用組成物、コア用組成物および上層用組成物の各々の成分組成は、下部クラッド層12、コア部20および上部クラッド層22の各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足するように定められる。具体的には、屈折率の差が適宜の大きさとなるような二種または三種の感光性組成物を調製し、このうち、最も高い屈折率の硬化膜を与える感光性組成物をコア用組成物とし、他の感光性組成物を下層用組成物および上層用組成物として用いる。なお、下層用組成物と上層用組成物は、同一の感光性組成物(本発明の組成物)であることが、経済上および製造管理上、好ましい。また、コア用組成物として、本発明の組成物(ただし、下層用組成物および上層用組成物よりも屈折率の高いもの)を用いることが好ましい。
図2中の(a)に示すように、フィルム状光導波路を形成するための基材として、平坦な表面を有する基板または10を用意する。この基板10の種類としては、特に限定されないが、例えば、シリコンウェハやガラス基板、PETフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
(3)下部クラッド層の形成工程
基板10の表面に、下部クラッド層12を形成する工程である。具体的には、図2中の(b)に示すように、基板10の表面に下層用組成物(本発明の組成物)を塗布し、乾燥またはプリベークして下層用薄膜を形成する。この下層用薄膜に光を照射して硬化させ、硬化体である下部クラッド層12を形成する。なお、下部クラッド層12の形成工程においては、薄膜の全面に光を照射し、その全体を硬化することが好ましい。
ここで、下層用組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等のいずれかの方法を用いることができる。このうち、均一な厚さの下層用薄膜が得られることから、スピンコート法を採用することが好ましい。
なお、下部クラッド層の形成工程における塗布方法は、後述のコア部の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においても同様である。
なお、下部クラッド層の形成工程における光の照射量、種類、および光(紫外線)の照射装置等は、後述するコア部の形成工程や、上部クラッド層の形成工程においても同様である。
次に、下部クラッド層12上に、図2中の(c)に示すように、コア用組成物を塗布し、乾燥(およびプリベーク)させてコア用薄膜14を形成する。その後、図2中の(d)に示すように、コア用薄膜14の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスク18を介して光16の照射(露光)を行う。これにより、コア用薄膜14のうち、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像処理して除去することにより、図2中の(e)に示すように、下部クラッド層12上に、パターニングされた硬化膜からなるコア部20を形成することができる。
本工程における現像処理の詳細は、次のとおりである。
現像処理は、所定のパターンに従ってパターン露光し、選択的に硬化させた薄膜に対して、硬化部分と未硬化部分との溶解性の差異を利用して、現像液を用いて未硬化部分のみの除去を行なうものである。つまり、パターン露光後、未硬化部分を除去し、かつ、硬化部分を残存させて、結果的にコア部を形成させるものである。
なお、現像液としてアルカリ水溶液を用いる場合、その濃度は、通常0.05〜25質量%、好ましくは0.1〜3.0質量%である。また、アルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤などを適当量加えて、現像液として使用することも好ましい。
現像時間は、通常30〜600秒間である。現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法などの公知の方法を採用することができる。
現像液として有機溶媒を用いた場合は、そのまま風乾することにより、また、現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合は、流水洗浄を例えば30〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾することによって、有機溶媒または水分が除去されて、パターン状の薄膜が形成される。
パターン状の薄膜(パターニング部)の形成後、このパターニング部をさらに硬化させるために、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置を用いて、例えば30〜200℃の温度で5〜600分間ポストベーク処理すれば、硬化体であるコア部20が形成される。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用して、所定のパターンに従って光透過領域と光不透過領域とからなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束性の光を、走査させながら感光性樹脂組成物に照射する方法。
コア部20および下部クラッド層12の表面に、上層用組成物を塗布し、乾燥またはプリベークさせて上層用薄膜を形成する。この上層用薄膜に対し、光を照射して硬化させると、図2中の(f)に示すように上部クラッド層22が形成される。上部クラッド層22は、必要に応じて、さらに上述の下部クラッド層の形成工程と同様なポストベークを行なうことが好ましい。ポストベークを行なえば、大きな硬度および優れた耐熱性を有する上部クラッド層22が得られる。必要に応じて、基板10を剥離して使用することもできる(図2中の(g))。
[材料の用意]
成分(A)〜(E)として、以下の材料を用意した。
[成分(A)]
Vis#700:大阪有機化学工業社製ビスコート700;ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート
BR−31:第一工業製薬社製ニューフロンティアBR−31;トリブロモフェノキシエチルアクリレート
[成分(B)]
攪拌機を備えた反応容器に、トリレンジイソシアネート25.2質量部、数平均分子量が800のポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル57.9質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.01質量部を仕込み、5〜10℃に冷却した。撹拌しながらジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.05質量部を加え、温度が30℃以下に保たれるように調整しながら2時間撹拌した後、50℃まで昇温しさらに2時間撹拌した。続いて、30℃まで降温した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート16.8質量部(以上の合計量100質量部)を滴下し、滴下終了後、室温で1時間反応させ、さらに65℃まで昇温し2時間反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とし、化合物B−1を得た。
同様の方法にて化合物B−2を得た。
化合物B−1、B−2の製造に用いた原料名及び配合量を、表1に示す。
Irg184:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「Irgacure184」(商品名);1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
[成分(D)]
AS−6:東亞合成社製の「マクロマーAS−6」(商品名);一般式(3)で表されるポリマー(数平均分子量6,000、ガラス転移温度100℃)
[成分(E)]
アクリロイルモルフォリン:興人社製
IBXMA:大阪有機化学工業社製の「IBXMA」(商品名);イソボルニルメタクリレート
表2に記載の配合割合で、各成分を仕込み、液温を50〜60℃に制御しながら1時間攪拌し、液状硬化性組成物を得た。得られた液状硬化性組成物の各種物性を、以下の方法によって評価した。
アプリケーターを用いて、PETフィルム上に樹脂組成物を70μm厚になるように塗布して樹脂組成物層を形成させた後、窒素雰囲気下、コンベア式UV照射装置を用いて、1.0J/cm2の紫外線を樹脂組成物層に照射した。硬化膜をPETフィルムから剥離し、アッベ屈折計を用いて、25℃におけるD線(589nm)での屈折率を測定した。
[ガラス転移温度]
アプリケーターを用いて、ガラス基板上に樹脂組成物を60μm厚になるように塗布して樹脂組成物層を形成させた後、窒素雰囲気下、コンベア式UV照射装置を用いて、1.0J/cm2の紫外線を樹脂組成物層に照射し、硬化膜を得た。次いで、共振型動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzの振動を与えながら、この硬化膜の損失正接の温度依存性を測定した。得られた損失正接の最大値を示す温度をガラス転移温度とした。
[硬化収縮率]
比重瓶を用いて23℃での樹脂組成物の液密度(D1)を測定した。続いて、上記作製条件にて厚さ120μmの硬化膜を作製し、23℃、50%の恒温恒湿器中で24時間放置した。その後、20mm角の大きさに切り、試験片の重量(W1)、及び25℃での蒸留水中での重量(W2)を測定し、下式:
フィルム密度=[W1/(W1−W2)]×0.9971
からフィルム密度(D2)を算出した。D1、D2を用いて、下式:
硬化収縮率=[1−(D1/D2)]×100
から硬化収縮率(%)を算出した。
スピンコーターを用いて、回転数および時間を調整しながら、4インチのシリコンウエファ基板上に樹脂組成物を50μm厚になるように塗布して樹脂組成物層を形成させた後、空気雰囲気下、1.0J/cm2の紫外線を、50μm幅の分岐のない直線形状を有するフォトマスクを介して、マスクアライナーから樹脂組成物層に照射した。次いで、アセトンを用いて、樹脂組成物層を3分間現像処理した後、70℃に設定したオーブン中で基板を10分間加温した。
得られたパターンを光学顕微鏡にて観察し、目的のコア形状(50μm±2μm)の範囲内の形状が得られた場合を「○」、形状が変形していたり、50±2μmの範囲を外れる形状が得られた場合を「×」とした。
[伝送特性]
スピンコーターを用いて、回転数および時間を調整しながら、4インチのシリコンウエファ基板上にElectro−Lite社製ELC2500clear(液屈折率nD 25=1.52)を50μm厚になるように塗布した後、当該塗布層に、空気雰囲気下、1.0J/cm2の紫外線をマスクアライナーから照射した。次いで、スピンコーターを用いて、基板上に樹脂組成物を50μm厚になるように塗布した後、空気雰囲気下、1.0J/cm2の紫外線を、50μm幅の分岐のない直線形状を有するフォトマスクを介して当該塗布層に照射した。アセトンを用いて、照射後の塗布層を3分間現像処理した後、70℃に設定したオーブン中で基板を10分間加温した。さらに、この基板上にElectro−Lite社製ELC2500clearを50μm厚になるように再び塗布した後、紫外線を基板に照射して、直線状のコアラインを有するチャネル導波路を得た。
本導波路の端面をへき開にてカットした後、マルチモードファイバ(50μm径)を介して850nmの光を挿入し、カットバック法により導波路損失を測定した。カットバックは、導波路長5cmから1cm刻みに4点測定して行なった。得られた光強度を導波路長に関してプロットし、その傾きから損失値を算出した。得られた損失値が0.5dB/cm以下であるときを「○」、それよりも高いときを「×」として評価した。
PETフィルム上に樹脂組成物をアプリケーターを用いて70μm厚になるように塗布した後、空気雰囲気下、1.0J/cm2の紫外線を照射した。硬化膜をPETフィルムから剥離し、幅1cm、長さ10cm、厚み70μmのフィルムとした。この導波路フィルムを温度23℃、湿度50%の条件下で半径2mmの金属棒に巻きつけた時に、クラックまたは破断が発生しない場合を「○」とし、発生する場合を「×」とした。
12 下部クラッド層
14 コア用薄膜
16 光
18 フォトマスク
20 コア部
22 上部クラッド層
24 フィルム状光導波路
Claims (5)
- コア部及びクラッド部を有するフィルム状光導波路であって、上記コア部及び上記クラッド部のいずれか又は両方が、(A)下記式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレート及び/又は下記式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリレート、(B)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(C)ラジカル性光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするフィルム状光導波路。
- 成分(B)が、(a)ポリオール化合物、(b)ポリイソシアネート化合物、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物、及び/又は、(b)ポリイソシアネート化合物と(c)水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物、を含有する請求項1に記載のフィルム状光導波路。
- 成分(B)の数平均分子量が100〜15,000である請求項1または2に記載のフィルム状光導波路。
- 成分(B)の配合割合が、成分(A)〜成分(C)の合計量を100質量部として、15〜70質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム状光導波路。
- (A)下記式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリレート及び/又は下記式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリレート、(B)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(C)ラジカル性光重合開始剤、を含有することを特徴とする光導波路用感光性樹脂組成物。
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