JP2009002082A - 基礎杭用掘削装置 - Google Patents

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【課題】基礎杭の埋込み工法に用いる掘削装置として、掘削孔下部の根固め球根部とする拡径部を容易に設計通りに形成でき、形成状況を地上から簡単に確認できて施工の信頼性が高く、造成される根固め球根部による基礎杭の支持強度の確実な向上を図り得るものを提供する。
【解決手段】オーガー駆動装置1に上端を連結して回転駆動する掘削ロッド2の下端の掘削ヘッド3に、固定掘削刃4と、拡径用掘削刃5とが取り付けられ、オーガー駆動装置1には拡径用シリンダ6が取り付けられ、拡径用シリンダ6によって昇降動作する昇降ロッド7が掘削ロッド2に沿って配設され、昇降ロッド7の下端側が下部摺動枠9に連結されている。昇降ロッド7の昇降動作により、拡径用掘削刃5が、固定掘削刃4の回転径より大きい回転径となる拡径姿勢と、該固定掘削刃4の回転径以下の回転径となる縮径姿勢とに転換する。
【選択図】図4

Description

本発明は、基礎杭の埋込み工法において、地盤に既成杭を建て込むための孔、特に下部に根固め球根部用の拡径部を有する孔を形成するのに使用される基礎杭用掘削装置に関する。
基礎杭の埋込み工法は、掘削ロッドによって地盤に掘削孔を設ける共に、その掘削孔内にセメントミルク等の固化材を注入して土砂と攪拌混合し、この掘削孔に沈設した既成杭を地盤に定着するものであり、打撃工法や場所打ちコンクリート杭工法等に比較して低騒音・低振動で且つ狭いスペースでも施工できることから、特に市街地での基礎杭施工に多用されている。そして、この埋込み工法において、基礎杭の地盤による支持強度を高めるために、地中の支持層に達した孔下部を拡径して根固め球根部を形成することが一般的に行われている。
図10は上記の根固め球根部を形成する埋込み工法の一例を示す。この場合、下端に固定掘削刃52及び拡径用掘削刃(拡大翼とも称される)53を有する掘削ヘッド51を装着した掘削ロッド50を用い、地上に配置したクローラ型三点支持式杭打機等の杭打機のリーダに保持されて昇降するオーガー駆動装置(図示省略)に、該掘削ロッド50を上端部で垂直に取り付け、オーガーモータによって正回転駆動させると共に、該掘削ロッド50内を通して供給される掘削液(通常は水)をロッド下端から吐出しつつ、a)の如く固定掘削刃52によって地盤Gを掘削し、b)の如く支持層S内に達する掘削孔Hを形成する。次いで、c)の如く掘削ロッド50を逆回転させて、拡径用掘削刃53が径方向両側へ張出した拡径姿勢で支持層S内の所定長さ範囲を上下に往復させることにより、拡大掘削して拡径部Eを形成し、次いでd)の如くロッド下端から掘削液に代えてセメントミルクの如き固化材である根固め液Cを吐出させ、e)の如く該根固め液Cの注入が終わるまで拡径部Eの範囲で掘削ヘッド51を数回上下に往復させて攪拌する。そして、根固め液Cの注入終了後、f)の如く掘削ロッド50を正回転に戻し、拡径用掘削刃53を縮径姿勢とした該掘削ロッド50を引き上げ、g)の如く形成した掘削孔Hに杭打装置で吊り上げた既成杭Pを挿入し、h)の如く該既成杭Pを下部が拡径部E内に配置する深度まで沈設し、根固め液Cを含む泥土スラリーの硬化によって拡径部Eを根固め球根部として当該既成杭Pを定着させる(例えば、特許文献1)。
なお、図10に示す掘削ロッド50は長手方向一定間隔置きに外側へ張出した姿勢安定用のスタビライザー50a…を備えるが、掘削ロッドとしては周面に攪拌板、螺旋羽根、砂粒を孔壁に圧着させる押し付け板等を設けたものも使用されている。
また、同様の埋込み工法として、中空の既成杭の下端に袋体を装着し、先に形成した掘削孔の拡径部内に位置させた該袋体内に、既成杭の中空内部を通して供給される固結性流動物を注入し、もって拡径部内で膨らませた該袋体内部の硬化によって根固め球根部を形成する方式もある(例えば、特許文献2)。更に、上述の埋込み工法は掘削孔Hの形成後に既成杭Pを沈設する先堀り工法であるが、同じく埋込み工法として中堀り工法も多用されている。この中堀り工法では、中空の既成杭内に掘削ロッドを配置させ、該既成杭の下端より突出した掘削ヘッドにて掘削を行いながら途中深さまで既成杭を沈設し、次いで掘削ロッドのみを所定深さまで進行させたのちし、やはり当該掘削ヘッドの拡径用掘削刃による拡大掘削で該掘削孔の下部に拡径を設け、根固め液Lの注入後に掘削ヘッドを引き上げると共に既成杭を所定深さまで沈設する(例えば、特許文献3,4)。
一般的に、これら埋込み工法に使用される掘削ロッドは、例えば図11に示すように、掘削ヘッド51の螺旋羽根54の径方向両側に、拡径用掘削刃53,53が各々枢支ピン55を介して一定角度範囲で回動可能に枢着されている。そして、該掘削ロッド50を実線矢印A1の如く正回転している状態では、両拡径用掘削刃53,53の全体が各々凹所56に納まって固定掘削刃52(図10参照)による掘削径D1の内側に納まる縮径姿勢をなすが、該掘削ロッド50が仮想線矢印A2の如く逆回転する際には、両拡径用掘削刃53,53が土砂との接触抵抗によって縮径姿勢から回動して図示仮想線の如く外側へ突出した拡径姿勢に転換し、拡大掘削径D2で掘削を行うようになっている。なお、拡径用掘削刃を拡径姿勢に転換させる手段として、その根元に揺動蹴出部材を取り付け、掘削ロッドが正回転から逆回転に変わる際に揺動蹴出部材が揺動して拡径用掘削刃の側面を蹴り出す方式も提案されている(特許文献5)。
登録実用新案第3097046号公報 特開平7−11634号公報 登録実用新案第3007755号公報 特開平5−247936公報 特開平11−62452号公報
上述した従来の一般的な掘削ロッドでは、拡径用掘削刃の縮径姿勢から拡径姿勢への転換がロッド回転の逆転に伴う土砂との接触抵抗によってなされるが、地盤の性状と掘削ヘッドの稼働状況によっては、拡径用掘削刃の周辺に圧密された土砂が固まったり、石や岩片等が噛み込んだりすることにより、拡径用掘削刃が拡径姿勢へ転換不能になる懸念がある。これは、前記提案の揺動蹴出部材を設けた掘削ロッドでも同様である上、その揺動蹴出部材そのものも作動不良に陥る可能性がある。そして、これら従来構成では、拡径用掘削刃が拡径姿勢に転換したことを地上から確認できないため、設計通りの拡径部が確実に形成できたか否かは判らず、従って施工の信頼性に乏しく、造成される根固め球根部に基づく基礎杭の支持強度を充分に信用できないという問題があった。
本発明は、上述の情況に鑑み、基礎杭の埋込み工法に用いる掘削装置として、掘削孔下部の根固め球根部とする拡径部を容易に且つ設計通りに形成できると共に、その形成状況を地上から簡単に確認できて施工の信頼性が高く、造成される根固め球根部による基礎杭の支持強度の確実な向上を図り得るものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明手段について図面の参照符号を付して示せば、まず請求項1の発明に係る基礎杭用掘削装置は、オーガー駆動装置1に上端を連結して回転駆動する掘削ロッド2の下端の掘削ヘッド3に、固定掘削刃4と、拡径用掘削刃5とが取り付けられ、オーガー駆動装置1には拡径用シリンダ6が取り付けられると共に、該拡径用シリンダ6によって昇降動作する昇降ロッド7が掘削ロッド2に沿って配設され、該昇降ロッド7の下端側が拡径用掘削刃5の作動部(下部摺動枠9)に連結され、該昇降ロッド7の昇降動作により、拡径用掘削刃5が、固定掘削刃4の回転径(掘削径D1)より大きい回転径(拡大掘削径D2)となる拡径姿勢と、該固定掘削刃4の回転径以下の回転径となる縮径姿勢とに転換するように構成されてなる。
請求項2の発明は、上記請求項1の基礎杭用掘削装置において、掘削ロッド2に上部摺動枠8及び下部摺動枠9が昇降自在に嵌装し、両摺動枠8,9に昇降ロッド7が上下端部で連結すると共に、上部摺動枠8には拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aが連結され、下部摺動枠9にはリンク機構10を介して拡径用掘削刃5が連結されてなる構成としている。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2の基礎杭用掘削装置において、拡径用シリンダと6、昇降ロッド7と、拡径用掘削刃5とは、それぞれ一対が掘削ロッド2の径方向両側に配置してなる構成としている。
請求項4の発明は、上記請求項3の基礎杭用掘削装置において、固定掘削刃4が掘削ロッド2の径方向両側へ張出する翼状をなし、この固定掘削刃4の張出径方向と一対の拡径用掘削刃5,5の配置径方向とが平面視で略直交する構成としている。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4の何れかの基礎杭用掘削装置において、掘削ロッド2の長手方向複数箇所に、昇降ロッド7を昇降自在に挿通保持するガイドブラケット11…が設けられてなる構成としている。
本発明の効果について図面の参照符号を付して説明する。まず請求項1の発明に係る基礎杭用掘削装置では、拡径用掘削刃5を縮径姿勢とした掘削ロッド2をオーガー駆動装置1にて回転駆動させ、その固定掘削刃4によって所定深さまでの掘削孔Hを形成後、該掘削孔Hの下部に根固め球根部を造成するための拡径部Eを形成する際、地上にあるオーガー駆動装置1に取り付けられた拡径用シリンダ6によって拡径用掘削刃5を拡径姿勢に転換し、この拡径用掘削刃5によって拡大掘削を行うことになる。従って、拡径用掘削刃5の拡縮の姿勢転換を自動操作で容易に且つ強制駆動で確実に行えると共に、拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aの伸縮状態がそのまま拡径用掘削刃5の拡縮状態を表すため、拡径用掘削刃5が圧密土砂で固められたり石や岩片等が噛み込んだりして拡径障害を生じても、それを地上側で確実に掌握できるから、該拡径用掘削刃5が縮径姿勢や不完全な拡径姿勢のままで拡径部Eの形成工程を終えてしまう懸念がなく、もって設計通りの拡径部Eを確実に形成できる。
請求項2の発明によれば、掘削ロッド2に昇降自在に嵌装した上部及び下部摺動枠8,9に昇降ロッド7が上下端部で連結し、上部摺動枠8には拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aが連結し、下部摺動枠9にはリンク機構10を介して拡径用掘削刃5が連結しているから、拡径用シリンダ6の駆動による拡径用掘削刃5の姿勢転換が円滑になされる。
請求項3の発明によれば、拡径用シリンダ6と昇降ロッド7及び拡径用掘削刃5の各一対が掘削ロッド2の径方向両側に配置しているから、掘削ロッド2の回転バランスならびに拡大掘削時の負荷バランスがよく、それだけ安定した掘削状態が得られる。
請求項4の発明によれば、翼状の固定掘削刃4,4の張出径方向と一対の拡径用掘削刃5,5の配置径方向とが平面視で略直交する配置になっているから、掘削ヘッド3の回転バランズがよく、もって固定掘削刃4による掘削と拡径用掘削刃5,5による拡大掘削を共に安定した状態で行える。
請求項5の発明によれば、昇降ロッド7が掘削ロッド2の長手方向複数箇所に設けたガイドブラケット11…に挿通保持されて撓みを生じにくいため、拡径用シリンダ6の駆動力が該昇降ロッド7を介して拡径用掘削刃5の作動部に無理なく無駄なく伝達され、もって拡径用掘削刃5の姿勢転換がより円滑になされる。
以下、本発明に係る基礎杭用掘削装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は第1実施形態の基礎杭用掘削装置における掘削ロッド全体、図2は同基礎杭用掘削装置による掘削状況、図3〜図5は同掘削ロッドの掘削ヘッド、図6〜図9は第2実施形態の基礎杭用掘削装置における掘削ロッドの掘削ヘッド、をそれぞれ示す。
第1実施形態の基礎杭用掘削装置では、図1に示すように、掘削ロッド2は、複数本のパイプ材を連結したロッド本体2aの下端に切削ヘッド3の軸部3aが同軸状に連結されてなり、その上下部に上部摺動枠8と下部摺動枠9とが昇降自在に外嵌すると共に、両摺動枠8,9間に一対の昇降ロッド7,7が掘削ロッド2の径方向両側に対向配置して上下端部でねじ止め連結されている。そして、ロッド本体2aの長手方向複数箇所(図では8カ所)に、径方向両側へ張出するガイドブラケット11…が固設されており、両昇降ロッド7,7がこれらガイドブラケット11…に昇降自在に挿通保持されている。また、ロッド本体2aと切削ヘッド3の軸部3aの内部は両者2a,3a間を連通する液通路(図示省略)を構成しており、該液通路が切削ヘッド3の軸部3aの下端で吐出口30(図5参照)として開放している。
12は掘削ロッド2の頂部を取り囲むように配置するシリンダ取付枠であり、その下面側に一対の一対の拡径用シリンダ6,6が垂下状態に基端側で枢着されている。一方、掘削ロッド2の上部に外嵌する上部摺動枠8は、昇降ロッド7,7を連結した短筒状の枠本体8aの外側に、環状枠体8bが相対回転自在で且つ相対昇降不能に嵌装され、該環状枠体8bの径方向両側に一対のブラケット8c,8cが外向きに突設されており、これらブラケット8c,8cに各々拡径用シリンダ6の下方へ突出する伸縮ロッド6aの先端が枢着連結されている。
しかして、この基礎杭用掘削装置においては、掘削作業に際し、図2に示すように、クローラ型三点支持式杭打機MのリーダLに保持されたオーガー駆動装置1のカップリング部1aに連結すると共に、シリンダ取付枠12を該オーガー駆動装置1の下面側に連結一体化するようになっている。
切削ヘッド3は、図3〜図5に詳細に示すように、軸部3aの下端部に径方向両側へ張出する一対の翼状の固定掘削刃4,4が固設されると共に、該軸部3aの上部側に径方向両側へ張出する一対の支持ブラケット13,13が固設され、各支持ブラケット13に拡径用掘削刃5が基端側で枢支ピン13aを介して垂直面内回動自在に枢着されている。そして、軸部3aには前記の下部摺動枠9が外嵌し、この下部摺動枠9と両拡径用掘削刃5,5との間にリンク片10a,10aが両端で枢着連結し、これらリンク片10a,10aと両拡径用掘削刃5,5とでリンク機構10を形成している。なお、各固定掘削刃4の下縁には複数の爪片4a…が下向きに突設されると共に、各拡径用掘削刃5にも垂下状態での外縁側に複数の爪片5a…が外向きに突設されている。また、軸部3aの上端側は、ロッド本体2aの下端側に相対回転不能に挿嵌連結させるための六角柱部3bをなしている。
この切削ヘッド3の一対の拡径用掘削刃5,5は、リンク機構10により、下部摺動枠9の下限位置において図3に示すように垂下した縮径姿勢に保持される一方、該下部摺動枠9の上限位置において図4及び図5に示すように下端側が外側へ張出するハの字形の拡径姿勢になり、その軸部3aを中心とする回転径が縮径姿勢では固定掘削刃4,4の回転径(掘削径D1…図5参照)よりも小さく、拡径姿勢では固定掘削刃4,4の回転径よりも大きい回転径(拡大掘削径D2…図5参照)となるように設定されている。また、両固定掘削刃4,4の張出径方向と両拡径用掘削刃5,5の配置径方向とは、図5に示すように平面視で略直交する配置になっている。
しかして、上部摺動枠8及び下部摺動枠9は、拡径用シリンダ6,6の各伸縮ロッド6aが伸長状態にあるときに掘削ロッド2上で下限位置になり、同じく各伸縮ロッド6aが短縮状態にあるときに上限位置になるように設定されている。従って、拡径用掘削刃5,5は、拡径用シリンダ6,6の伸縮作動によって縮径姿勢と拡径姿勢とに転換する。
図6〜図9に示す第二実施形態の基礎杭用掘削装置は、上述した第1実施形態の基礎杭用掘削装置に対し、掘削ヘッド3の構成が異なるが、他の各部は同一構成である。すなわち、この第二実施形態における掘削ヘッド3は、軸部3aの下端部に、径方向両側へ張出する一対の翼状の固定掘削刃4,4と、これら固定掘削刃4,4の配置径方向と直交する径方向両側へ張出する一対の支持ブラケット13,13とが固設され、各支持ブラケット13に拡径用掘削刃5が基端側で枢支ピン13aを介して垂直面内回動自在に枢着されている。そして、軸部3aには下部摺動枠9が外嵌し、この下部摺動枠9と両拡径用掘削刃5,5との間にリンク片10a,10aが両端で枢着連結し、これらリンク片10a,10aと両拡径用掘削刃5,5とでリンク機構10を形成しているが、前記第1実施形態とは逆に、下部摺動枠9の上限位置において図7に示すように直立した縮径姿勢に保持される一方、該下部摺動枠9の下限位置において図6及び図8に示すように上端側が外側へ張出する逆ハの字形の拡径姿勢になる。従って、拡径用シリンダ6,6による両拡径用掘削刃5,5の姿勢転換も第1実施形態とは逆であり、各拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aが短縮状態にあるときに縮径姿勢、同伸長状態にあるときに拡径姿勢となる。
なお、図9に示すように、この第2実施形態における切削ヘッド3においても、両拡径用掘削刃5,5は、その軸部3aを中心とする回転径が縮径姿勢では固定掘削刃4,4の回転径(掘削径D1)よりも小さく、拡径姿勢では固定掘削刃4,4の回転径よりも大きい回転径(拡大掘削径D2)となるように設定されている。また、両固定掘削刃4,4の張出径方向と両拡径用掘削刃5,5の配置径方向とは、平面視で略直交する配置になっている。
上記第1及び第2実施形態の基礎杭用掘削装置においては、図2に示すように地上に配置した杭打機Mのオーガー駆動装置1に掘削ロッド2を装着し、該掘削ロッド2を拡径用掘削刃5,5の縮径姿勢で回転駆動させ、その固定掘削刃4,4によって所定深さまで掘削径D1で掘削孔Hを形成後、該掘削孔Hの下部に根固め球根部を造成するための拡径部E(図10参照)を形成する際、拡径用シリンダ6を第1実施形態では短縮作動、第2実施形態では伸長作動させて拡径用掘削刃5,5を拡径姿勢に転換し、この拡径用掘削刃5,5によって拡大掘削径D2の拡大掘削を行うことになる。また、拡径部Eを成形後に掘削ロッド2を引き上げる際には、拡径用シリンダ6を第1実施形態では伸長作動、第2実施形態では短縮作動させれば、拡径用掘削刃5,5が引き上げに支障のない縮径姿勢に転換する。
従って、これら基礎杭用掘削装置によれば、拡径用掘削刃5、5の拡縮の姿勢転換を自動操作で容易に且つ強制的に行えると共に、拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aの伸縮状態がそのまま拡径用掘削刃5の拡縮状態を表すため、拡径用掘削刃5が圧密土砂で固められたり石や岩片等が噛み込んだりして拡径障害を生じても、それを地上側で確実に掌握でき、該拡径用掘削刃5が縮径姿勢や不完全な拡径姿勢のままで拡径部Eの形成工程を終えてしまう懸念はない。しかして、このような拡径障害を生じた場合は、掘削ロッド2の昇降や反転、回転速度の変化等で該障害を排除したり、場合によっては一旦地上まで引き上げて障害を除いてから元に戻したりして、拡径用掘削刃5が拡径姿勢に転換したことを確認してから拡大掘削を行えばよく、もって設計通りの拡径部Eを確実に形成できる。
また、これら実施形態では、掘削ロッド2に昇降自在に嵌装した上部及び下部摺動枠8,9に昇降ロッド7が上下端部で連結し、上部摺動枠8には拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aが連結し、下部摺動枠9にはリンク機構10を介して拡径用掘削刃5が連結しているから、拡径用シリンダ6の駆動による拡径用掘削刃5の姿勢転換が円滑になされる。なお、上部摺動枠8の昇降ロッド7,7を連結した枠本体8aに対し、拡径用シリンダ6の伸縮ロッド6aに連結した環状枠体8bが相対回転自在であるから、掘削に際して枠本体8a側が掘削ロッド2と一体に回転しても、環状枠体8bは非回転に保持されて支障を生じない。
更に、これら実施形態では、拡径用シリンダ6と昇降ロッド7及び拡径用掘削刃5の各一対が掘削ロッド2の径方向両側に配置している上に、翼状の固定掘削刃4,4の張出径方向と一対の拡径用掘削刃5,5の配置径方向とが平面視で略直交する配置になっているから、掘削ロッド2の回転バランスならびに拡大掘削時の負荷バランスがよく、もって固定掘削刃4による掘削と拡径用掘削刃5,5による拡大掘削を共に安定した状態で行える。加えて、昇降ロッド7,7が掘削ロッド2の長手方向複数箇所に設けたガイドブラケット11…に挿通保持されて撓みを生じにくく、各拡径用シリンダ6の駆動力が該昇降ロッド7を介して拡径用掘削刃5の作動部に無理なく無駄なく伝達されるから、拡径用掘削刃5,5の姿勢転換がより円滑になされる。
なお、上記第1及び第2実施形態では図示及び説明を省略したが、掘削ロッド2には、その掘削ヘッド部3に排土用や攪拌用のスクリュー羽根を一体形成したり、更には掘削ヘッド部3からロッド本体2aにわたって同様のスクリュー羽根を一体形成してもよい。ただし、これらスクリュー羽根は、切欠部や不連続部の設定により、拡径用掘削刃5の姿勢転換や、下部摺動枠9及び昇降ロッド7の昇降作動を妨げない形で設ける必要がある。
その他、本発明の基礎杭用掘削装置においては、固定掘削刃4及び拡径用掘削刃5の形状、リンク機構10の構成、拡径用シリンダ6と上部摺動枠8との連結構造、拡径用シリンダ6のオーガー駆動装置への取付構造等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
本発明の第1実施形態に係る基礎杭用掘削装置の掘削ロッド全体の側面図。 同基礎杭用掘削装置による掘削状況を示す概略側面図。 同基礎杭用掘削装置における拡径用掘削刃を縮径姿勢とした掘削ヘッドの正面図。 同拡径用掘削刃を拡径姿勢とした掘削ヘッドの正面図。 同拡径用掘削刃を拡径姿勢とした掘削ヘッドの底面図。 本発明の第2実施形態に係る基礎杭用掘削装置における拡径用掘削刃を拡径姿勢とした掘削ヘッドの側面図。 同拡径用掘削刃を縮径姿勢とした掘削ヘッドの正面図。 同拡径用掘削刃を拡径姿勢とした掘削ヘッドの正面図。 同拡径用掘削刃を拡径姿勢とした掘削ヘッドの底面図。 根固め球根部を形成する基礎杭の埋込み工法をa〜hの工程順に示す模式縦断側面図。 従来の掘削ヘッドにおける拡径用掘削刃の作動を説明する横断面図。
符号の説明
1 オーガー駆動装置
2 掘削ロッド
3 掘削ヘッド
4 固定掘削刃
5 拡径用掘削刃
6 拡径用シリンダ
6a 伸縮ロッド
7 昇降ロッド
8 上部摺動枠
9 下部摺動枠(作動部)
10 リンク機構
11 ガイドブラケット
D1 掘削径(回転径)
D2 拡大掘削径(回転径)

Claims (5)

  1. オーガー駆動装置に上端を連結して回転駆動する掘削ロッドの下端の掘削ヘッドに、固定掘削刃と、拡径用掘削刃とが取り付けられ、
    オーガー駆動装置には拡径用シリンダが取り付けられると共に、該拡径用シリンダによって昇降動作する昇降ロッドが前記掘削ロッドに沿って配設され、該昇降ロッドの下端側が拡径用掘削刃の作動部に連結され、
    該昇降ロッドの昇降動作により、前記拡径用掘削刃が、固定掘削刃の回転径より大きい回転径となる拡径姿勢と、該固定掘削刃の回転径以下の回転径となる縮径姿勢とに転換するように構成されてなる基礎杭用掘削装置。
  2. 掘削ロッドに上部摺動枠及び下部摺動枠が昇降自在に嵌装し、両摺動枠に前記昇降ロッドが上下端部で連結すると共に、上部摺動枠には前記拡径用シリンダの伸縮ロッドが連結され、下部摺動枠にはリンク機構を介して前記拡径用掘削刃が連結されてなる請求項1に記載の基礎杭用掘削装置。
  3. 前記の拡径用シリンダと、昇降ロッドと、拡径用掘削刃とは、それぞれ一対が掘削ロッドの径方向両側に配置してなる請求項1又は2に記載の基礎杭用掘削装置。
  4. 前記の固定掘削刃が掘削ロッドの径方向両側へ張出する翼状をなし、この固定掘削刃の張出径方向と前記一対の拡径用掘削刃の配置径方向とが平面視で略直交する請求項3に記載の基礎杭用掘削装置。
  5. 前記掘削ロッドの長手方向複数箇所に、前記昇降ロッドを昇降自在に挿通保持するガイドブラケットが設けられてなる請求項1〜4の何れかに記載の基礎杭用掘削装置。
JP2007165280A 2007-06-22 2007-06-22 基礎杭用掘削装置 Expired - Fee Related JP4808677B2 (ja)

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