JP2004285563A - 拡大掘削法、杭の埋設法及びビット - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃を用いた簡単な構造の拡大掘削ビットを利用して該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが良く、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが容易に得られ、拡径部の掘削時間を短縮出来、小さなトルクで掘削出来る拡大掘削方法、及びその掘削孔内に杭を埋設する方法、更には掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットを提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】掘削ロッド1の逆転に伴って地盤3との接触により拡開し得る拡大掘削刃6が設けられ、該拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出する高圧水流噴出ノズル7を設けて構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】掘削ロッド1の逆転に伴って地盤3との接触により拡開し得る拡大掘削刃6が設けられ、該拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出する高圧水流噴出ノズル7を設けて構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭を埋設する掘削孔の先端部を拡大掘削する方法、及びその掘削孔内に杭を埋設する方法、更には杭を埋設する掘削孔を掘削するための掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、既製杭の施工法は種々開発されているが、都市部においては低公害工法が要求される。このような既製杭の低公害工法としてはプレボーリング工法がある。
【0003】
従来のプレボーリング工法としては、所定の径で掘削した掘削孔の先端に孔径を広くして掘削した拡径部を形成し、その掘削孔の中に外周先端部に筒状袋体を有する既製杭を沈設した後、その筒状袋体内にセメントミルク等のセメント硬化体用スラリーを注入して拡径部で膨張させて拡大根固め球根部を形成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2589672号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来例では、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃により拡径部を形成するものであるが、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクを地盤との接触抵抗に期待する構成であるため該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが悪いと拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが得られず、拡径部の掘削に時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、従来例のように、掘削孔を拡大掘削刃等の機械掘削のみの力で拡大する構成では、掘削に強力なトルクが必要となり、掘削ロッドを回転駆動するオーガーモータが大型化するという問題がある。しかしながら、住宅のように小さな敷地面積を有する現場では小さな機械でしか施工することが出来ず、施工機械が小型軽量であれば小さなトルクしか得られないという問題がある。
【0007】
また、拡大掘削刃を油圧機構により拡開する技術も提案されているが、掘削ロッドの先端部に油圧機構を装備するために構造が複雑となるばかりでなく、掘削ロッドの先端部が大型化してしまい、住宅用等の小径杭の施工には使用出来ない場合もある。
【0008】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃を用いた簡単な構造の拡大掘削ビットを利用して該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが良く、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが容易に得られ、拡径部の掘削時間を短縮出来、小さなトルクで掘削出来る拡大掘削方法、及びその掘削孔内に杭を埋設する方法、更には掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットを提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る拡大掘削方法は、杭を埋設する掘削孔の先端部を拡大掘削する方法であって、先端部に掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられた拡大掘削ビットを有する掘削ロッドを正転しつつ前記拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成した後、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に前記掘削ロッドを逆転させて、拡大掘削孔を形成することを特徴とする。
【0010】
上記拡大掘削方法によれば、掘削ロッドを正転しつつ拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成することが出来る。次に拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に掘削ロッドを逆転させて拡大掘削刃を拡開して拡大掘削孔を形成することが出来る。
【0011】
拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0012】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0013】
また、本発明に係る杭の埋設方法は、前述の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、外周先端部に球根造成用の筒状袋体を設けた杭をその掘削孔内に沈設し、その後、前記筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を前記掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させることを特徴とする。
【0014】
上記杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔に杭の外周先端部に設けた筒状袋体を沈設することが出来る。次に筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させ、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0015】
また、本発明に係る他の杭の埋設方法は、前述の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、前記拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することを特徴とする。
【0016】
上記杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することで該セメント硬化体用スラリーを硬化させて拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0017】
また、本発明に係る拡大掘削ビットは、杭を埋設する掘削孔を掘削するための掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットであって、前記掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられ、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出する高圧水流噴出ノズルを設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上述の如く構成したので、高圧水流噴出ノズルにより拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0019】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る拡大掘削ビット、拡大掘削方法及び杭の埋設方法の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る拡大掘削ビットの構成を示す平面説明図、図2は本発明に係る拡大掘削方法を説明する図、図3は本発明に係る杭の埋設方法を説明する図である。
【0021】
図1において、1は図示しないオーガーモータにより回転駆動され、杭5を埋設する掘削孔4を掘削するための掘削ロッドであり、該掘削ロッド1の周面には螺旋状羽根1aが取り付けられており、先端部に拡大掘削ビット2が設けられている。
【0022】
拡大掘削ビット2には、掘削ロッド1の逆転に伴って地盤3との接触により拡開し得る一対の拡大掘削刃6が設けられている。拡大掘削刃6は拡大掘削ビット2に設けられた回動軸2aを中心に回動自在に設けられている。
【0023】
そして、図1(a)に示すように、掘削ロッド1が正転する状態では拡大掘削刃6は螺旋状羽根1aの外径よりも内部に収納した状態で該拡大掘削刃6の一辺が拡大掘削ビット2に設けられた係止片2bに当接して係止される。また、掘削ロッド1が正転するとき、螺旋状羽根1aの正転により該掘削ロッド1は地盤3を掘り下げる方向に進行する。
【0024】
また、図1(b)に示すように、掘削ロッド1が逆転する状態では、拡大掘削刃6が地盤3の壁面に接触して食い込み、その抵抗力により該拡大掘削刃6が回動軸2aを中心に回動して拡開し、該拡大掘削刃6は螺旋状羽根1aの外径よりも外側に突出した状態で該拡大掘削刃6の一辺が拡大掘削ビット2に設けられた係止片2cに当接して係止される。また、掘削ロッド1が逆転するとき、螺旋状羽根1aの逆転により該掘削ロッド1は地盤3から引き上げる方向に進行する。
【0025】
拡大掘削ビット2の所定位置には、掘削ロッド1の内部に設けられた配管に接続された一対の高圧水流噴出ノズル7が設けられており、該高圧水流噴出ノズル7の水流噴出方向は、拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に向けて配置されている。
【0026】
そして、地上に設置された高圧ポンプを駆動して掘削ロッド1の内部に設けられた配管に高圧水を供給することで、高圧水流噴出ノズル7から拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出し、掘削孔4の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来る。
【0027】
図1中、8は拡大掘削ビット2の先端部で螺旋状羽根1aの外径よりも内部に設けられた掘削刃である。
【0028】
図2は上記拡大掘削ビット2を用いて杭5を埋設する掘削孔4の先端部を拡大掘削する様子を示す図であり、先ず、杭芯位置に掘削ロッド1の先端に設けられた拡大掘削ビット2の軸心を合わせ、図示しないオーガーモータを回転駆動して掘削ロッド1を正転しつつ図1(a)に示すように、拡大掘削刃6を収納した状態で、図2(a)に示すように地盤3を掘り下げて螺旋状羽根1aの外径に応じた小径掘削孔4aを形成する。
【0029】
このとき、地上に設置されたモルタルプラントから掘削ロッド1の内部に設けられた配管に掘削液を供給し、その配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から掘削液を注入しながら掘削を行い、小径掘削孔4a内を泥土化しつつ、図2(b)に示すように地盤3を所定深さまで掘り下げる。このような掘削液としては水や泥水の他にベントナイト泥水等の地盤改良液等を使用する。
【0030】
地盤3を所定の深さまで掘削した後は、図1(b)に示すように、高圧水流噴出ノズル7から拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出させて小径掘削孔4aの周壁面を予備掘削し、更に掘削ロッド1を逆転させて拡大掘削刃6を拡開させて掘削し、図2(c),(d)に示すように、掘削ロッド1を所定区間引き上げて拡大掘削孔4bを形成する。
【0031】
更に、図2(d)に示すように、掘削ロッド1を上下反復させて拡大掘削孔4b内を泥土化し、該拡大掘削孔4bの築造を確認する。このとき、地上に設置されたポンプにより掘削ロッド1の内部に設けられた配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吸入口から泥土水を吸引してフィルターにより泥土と水を分離し、その分離された水を再利用して高圧水流噴出ノズル7から噴出させる。これにより、産業廃棄物を少なく出来、現場をきれいに施工出来る。
【0032】
掘削ロッド1を上下反復しながら拡大掘削孔4bを掘削すると共に、地上に設置されたモルタルプラントから掘削ロッド1の内部に設けられた配管に根固め液を供給し、その配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から根固め液を注入した後、オーガーモータの回転を正回転に戻し、図1(a)に示すように、拡大掘削刃6を収納する。
【0033】
そして、根固め液を杭周固定液に切り替えて拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から杭周固定液を注入し、掘削孔4内を泥土化して、図2(e)に示すように、掘削ロッド1を引き上げる。
【0034】
図3は図2に示すように地盤3に掘削孔4及びその先端部に拡大掘削孔4bを形成した後、杭5を埋設する様子を示す図である。先ず、図3(a)に示すように、外周先端部に球根造成用の筒状袋体9を設けた杭5を図示しないオーガーモータに取り付けてある回転キャップに吊り込みセットして掘削孔4内に沈設する。
【0035】
そして、図3(b)に示すように、自重により沈設された杭5の筒状袋体9が拡大掘削孔4b内部に位置する状態で支持し、図3(c)に示すように、杭5の頭部に、該杭5の内部に配置され、筒状袋体9の内部に連通する注入配管11に接続される注入治具10を設置し、地上に設置されたプラントからセメント硬化体用スラリーを注入治具10から注入配管11を介して筒状袋体9内に注入し、図3(c)に示すように、該筒状袋体9を掘削孔4先端部の拡大掘削孔4b内で膨張させる。このとき、セメント硬化体用スラリーの注入圧力及び注入量を管理する。
【0036】
そして、図3(d)に示すように、注入治具10を撤去してセメント硬化体用スラリーを硬化させ、杭5を埋設する。
【0037】
筒状袋体9を膨張させて形成した拡大球根部は、径が杭5の外径よりも100mm〜200mm程度大きく、高さが杭5の外径の5倍〜10倍程度が好ましい。筒状袋体9は杭5の外径よりも大きな径を有する筒状袋体9の中に杭5を挿入し、該筒状袋体9の両端部を杭5の外周にバンドや接着剤等により取り付ける。
【0038】
杭5には、杭5の沈設後にセメント硬化体用スラリーを筒状袋体9の内側に注入出来る注入口があり、この注入口に注入配管11を継ぐことで筒状袋体9内に地上からセメント硬化体用スラリーを注入することが出来る。
【0039】
また、筒状袋体9の材質としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル等の布を用いることが好ましいが、フィルム、シート、或いはゴム製の筒状シート、金属箔シート等を適宜用いることも出来る。
【0040】
筒状袋体9の外径はセメント硬化体用スラリーが硬化して形成される拡大球根部の径に見合ったものであり、例えば、杭5の外径よりも100mm〜500mm程度大きい外径を有する。
【0041】
杭5の沈設後に筒状袋体9内に注入するセメント硬化体用スラリーとしては、セメントミルク、セメントモルタル、セメントコンクリート等が適用出来る。セメント硬化体用スラリーを注入することにより筒状袋体9が十分膨張したか否かの判断は、注入ポンプの圧力及び注入量により行う。注入圧力は地盤3の強さによって異なるが、0.3N/mm2〜0.5N/mm2程度が好ましい。
【0042】
また、前記実施形態では、杭5の外周先端部に筒状袋体9を設けた場合の一例について説明したが、他の杭5の埋設方法としては、拡大掘削孔4b内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔4内に筒状袋体9を有さない杭5を沈設し、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで杭5を埋設することも出来る。
【0043】
また、掘削孔4内に筒状袋体9を有さない杭5を沈設すると共に、該杭5の内部に配置した注入配管11を介して拡大掘削孔4b内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入して硬化させることで杭5を埋設することも出来る。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃を用いた簡単な構造の拡大掘削ビットを利用して該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが良く、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが容易に得られ、拡径部の掘削時間を短縮出来、小さなトルクで掘削出来る。
【0045】
即ち、本発明に係る拡大掘削方法によれば、掘削ロッドを正転しつつ拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成することが出来る。次に拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に掘削ロッドを逆転させて拡大掘削刃を拡開して拡大掘削孔を形成することが出来る。
【0046】
拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0047】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0048】
また、本発明に係る杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔に杭の外周先端部に設けた筒状袋体を沈設することが出来る。次に筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させ、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0049】
また、本発明に係る他の杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することで該セメント硬化体用スラリーを硬化させて拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0050】
また、本発明に係る拡大掘削ビットによれば、高圧水流噴出ノズルにより拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0051】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る拡大掘削ビットの構成を示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る拡大掘削方法を説明する図である。
【図3】本発明に係る杭の埋設方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…掘削ロッド
1a…螺旋状羽根
2…拡大掘削ビット
2a…回動軸
2b,2c…係止片
3…地盤
4…掘削孔
4a…小径掘削孔
4b…拡大掘削孔
5…杭
6…拡大掘削刃
7…高圧水流噴出ノズル
7a…高圧水流
8…掘削刃
9…筒状袋体
10…注入治具
11…注入配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭を埋設する掘削孔の先端部を拡大掘削する方法、及びその掘削孔内に杭を埋設する方法、更には杭を埋設する掘削孔を掘削するための掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、既製杭の施工法は種々開発されているが、都市部においては低公害工法が要求される。このような既製杭の低公害工法としてはプレボーリング工法がある。
【0003】
従来のプレボーリング工法としては、所定の径で掘削した掘削孔の先端に孔径を広くして掘削した拡径部を形成し、その掘削孔の中に外周先端部に筒状袋体を有する既製杭を沈設した後、その筒状袋体内にセメントミルク等のセメント硬化体用スラリーを注入して拡径部で膨張させて拡大根固め球根部を形成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2589672号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来例では、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃により拡径部を形成するものであるが、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクを地盤との接触抵抗に期待する構成であるため該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが悪いと拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが得られず、拡径部の掘削に時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、従来例のように、掘削孔を拡大掘削刃等の機械掘削のみの力で拡大する構成では、掘削に強力なトルクが必要となり、掘削ロッドを回転駆動するオーガーモータが大型化するという問題がある。しかしながら、住宅のように小さな敷地面積を有する現場では小さな機械でしか施工することが出来ず、施工機械が小型軽量であれば小さなトルクしか得られないという問題がある。
【0007】
また、拡大掘削刃を油圧機構により拡開する技術も提案されているが、掘削ロッドの先端部に油圧機構を装備するために構造が複雑となるばかりでなく、掘削ロッドの先端部が大型化してしまい、住宅用等の小径杭の施工には使用出来ない場合もある。
【0008】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃を用いた簡単な構造の拡大掘削ビットを利用して該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが良く、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが容易に得られ、拡径部の掘削時間を短縮出来、小さなトルクで掘削出来る拡大掘削方法、及びその掘削孔内に杭を埋設する方法、更には掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットを提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る拡大掘削方法は、杭を埋設する掘削孔の先端部を拡大掘削する方法であって、先端部に掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられた拡大掘削ビットを有する掘削ロッドを正転しつつ前記拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成した後、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に前記掘削ロッドを逆転させて、拡大掘削孔を形成することを特徴とする。
【0010】
上記拡大掘削方法によれば、掘削ロッドを正転しつつ拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成することが出来る。次に拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に掘削ロッドを逆転させて拡大掘削刃を拡開して拡大掘削孔を形成することが出来る。
【0011】
拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0012】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0013】
また、本発明に係る杭の埋設方法は、前述の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、外周先端部に球根造成用の筒状袋体を設けた杭をその掘削孔内に沈設し、その後、前記筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を前記掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させることを特徴とする。
【0014】
上記杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔に杭の外周先端部に設けた筒状袋体を沈設することが出来る。次に筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させ、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0015】
また、本発明に係る他の杭の埋設方法は、前述の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、前記拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することを特徴とする。
【0016】
上記杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することで該セメント硬化体用スラリーを硬化させて拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0017】
また、本発明に係る拡大掘削ビットは、杭を埋設する掘削孔を掘削するための掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットであって、前記掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられ、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出する高圧水流噴出ノズルを設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上述の如く構成したので、高圧水流噴出ノズルにより拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0019】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る拡大掘削ビット、拡大掘削方法及び杭の埋設方法の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る拡大掘削ビットの構成を示す平面説明図、図2は本発明に係る拡大掘削方法を説明する図、図3は本発明に係る杭の埋設方法を説明する図である。
【0021】
図1において、1は図示しないオーガーモータにより回転駆動され、杭5を埋設する掘削孔4を掘削するための掘削ロッドであり、該掘削ロッド1の周面には螺旋状羽根1aが取り付けられており、先端部に拡大掘削ビット2が設けられている。
【0022】
拡大掘削ビット2には、掘削ロッド1の逆転に伴って地盤3との接触により拡開し得る一対の拡大掘削刃6が設けられている。拡大掘削刃6は拡大掘削ビット2に設けられた回動軸2aを中心に回動自在に設けられている。
【0023】
そして、図1(a)に示すように、掘削ロッド1が正転する状態では拡大掘削刃6は螺旋状羽根1aの外径よりも内部に収納した状態で該拡大掘削刃6の一辺が拡大掘削ビット2に設けられた係止片2bに当接して係止される。また、掘削ロッド1が正転するとき、螺旋状羽根1aの正転により該掘削ロッド1は地盤3を掘り下げる方向に進行する。
【0024】
また、図1(b)に示すように、掘削ロッド1が逆転する状態では、拡大掘削刃6が地盤3の壁面に接触して食い込み、その抵抗力により該拡大掘削刃6が回動軸2aを中心に回動して拡開し、該拡大掘削刃6は螺旋状羽根1aの外径よりも外側に突出した状態で該拡大掘削刃6の一辺が拡大掘削ビット2に設けられた係止片2cに当接して係止される。また、掘削ロッド1が逆転するとき、螺旋状羽根1aの逆転により該掘削ロッド1は地盤3から引き上げる方向に進行する。
【0025】
拡大掘削ビット2の所定位置には、掘削ロッド1の内部に設けられた配管に接続された一対の高圧水流噴出ノズル7が設けられており、該高圧水流噴出ノズル7の水流噴出方向は、拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に向けて配置されている。
【0026】
そして、地上に設置された高圧ポンプを駆動して掘削ロッド1の内部に設けられた配管に高圧水を供給することで、高圧水流噴出ノズル7から拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出し、掘削孔4の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来る。
【0027】
図1中、8は拡大掘削ビット2の先端部で螺旋状羽根1aの外径よりも内部に設けられた掘削刃である。
【0028】
図2は上記拡大掘削ビット2を用いて杭5を埋設する掘削孔4の先端部を拡大掘削する様子を示す図であり、先ず、杭芯位置に掘削ロッド1の先端に設けられた拡大掘削ビット2の軸心を合わせ、図示しないオーガーモータを回転駆動して掘削ロッド1を正転しつつ図1(a)に示すように、拡大掘削刃6を収納した状態で、図2(a)に示すように地盤3を掘り下げて螺旋状羽根1aの外径に応じた小径掘削孔4aを形成する。
【0029】
このとき、地上に設置されたモルタルプラントから掘削ロッド1の内部に設けられた配管に掘削液を供給し、その配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から掘削液を注入しながら掘削を行い、小径掘削孔4a内を泥土化しつつ、図2(b)に示すように地盤3を所定深さまで掘り下げる。このような掘削液としては水や泥水の他にベントナイト泥水等の地盤改良液等を使用する。
【0030】
地盤3を所定の深さまで掘削した後は、図1(b)に示すように、高圧水流噴出ノズル7から拡大掘削刃6の地盤3と接触する進行方向近傍部位に高圧水流7aを噴出させて小径掘削孔4aの周壁面を予備掘削し、更に掘削ロッド1を逆転させて拡大掘削刃6を拡開させて掘削し、図2(c),(d)に示すように、掘削ロッド1を所定区間引き上げて拡大掘削孔4bを形成する。
【0031】
更に、図2(d)に示すように、掘削ロッド1を上下反復させて拡大掘削孔4b内を泥土化し、該拡大掘削孔4bの築造を確認する。このとき、地上に設置されたポンプにより掘削ロッド1の内部に設けられた配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吸入口から泥土水を吸引してフィルターにより泥土と水を分離し、その分離された水を再利用して高圧水流噴出ノズル7から噴出させる。これにより、産業廃棄物を少なく出来、現場をきれいに施工出来る。
【0032】
掘削ロッド1を上下反復しながら拡大掘削孔4bを掘削すると共に、地上に設置されたモルタルプラントから掘削ロッド1の内部に設けられた配管に根固め液を供給し、その配管に接続される拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から根固め液を注入した後、オーガーモータの回転を正回転に戻し、図1(a)に示すように、拡大掘削刃6を収納する。
【0033】
そして、根固め液を杭周固定液に切り替えて拡大掘削ビット2に設けられた図示しない吐出口から杭周固定液を注入し、掘削孔4内を泥土化して、図2(e)に示すように、掘削ロッド1を引き上げる。
【0034】
図3は図2に示すように地盤3に掘削孔4及びその先端部に拡大掘削孔4bを形成した後、杭5を埋設する様子を示す図である。先ず、図3(a)に示すように、外周先端部に球根造成用の筒状袋体9を設けた杭5を図示しないオーガーモータに取り付けてある回転キャップに吊り込みセットして掘削孔4内に沈設する。
【0035】
そして、図3(b)に示すように、自重により沈設された杭5の筒状袋体9が拡大掘削孔4b内部に位置する状態で支持し、図3(c)に示すように、杭5の頭部に、該杭5の内部に配置され、筒状袋体9の内部に連通する注入配管11に接続される注入治具10を設置し、地上に設置されたプラントからセメント硬化体用スラリーを注入治具10から注入配管11を介して筒状袋体9内に注入し、図3(c)に示すように、該筒状袋体9を掘削孔4先端部の拡大掘削孔4b内で膨張させる。このとき、セメント硬化体用スラリーの注入圧力及び注入量を管理する。
【0036】
そして、図3(d)に示すように、注入治具10を撤去してセメント硬化体用スラリーを硬化させ、杭5を埋設する。
【0037】
筒状袋体9を膨張させて形成した拡大球根部は、径が杭5の外径よりも100mm〜200mm程度大きく、高さが杭5の外径の5倍〜10倍程度が好ましい。筒状袋体9は杭5の外径よりも大きな径を有する筒状袋体9の中に杭5を挿入し、該筒状袋体9の両端部を杭5の外周にバンドや接着剤等により取り付ける。
【0038】
杭5には、杭5の沈設後にセメント硬化体用スラリーを筒状袋体9の内側に注入出来る注入口があり、この注入口に注入配管11を継ぐことで筒状袋体9内に地上からセメント硬化体用スラリーを注入することが出来る。
【0039】
また、筒状袋体9の材質としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル等の布を用いることが好ましいが、フィルム、シート、或いはゴム製の筒状シート、金属箔シート等を適宜用いることも出来る。
【0040】
筒状袋体9の外径はセメント硬化体用スラリーが硬化して形成される拡大球根部の径に見合ったものであり、例えば、杭5の外径よりも100mm〜500mm程度大きい外径を有する。
【0041】
杭5の沈設後に筒状袋体9内に注入するセメント硬化体用スラリーとしては、セメントミルク、セメントモルタル、セメントコンクリート等が適用出来る。セメント硬化体用スラリーを注入することにより筒状袋体9が十分膨張したか否かの判断は、注入ポンプの圧力及び注入量により行う。注入圧力は地盤3の強さによって異なるが、0.3N/mm2〜0.5N/mm2程度が好ましい。
【0042】
また、前記実施形態では、杭5の外周先端部に筒状袋体9を設けた場合の一例について説明したが、他の杭5の埋設方法としては、拡大掘削孔4b内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔4内に筒状袋体9を有さない杭5を沈設し、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで杭5を埋設することも出来る。
【0043】
また、掘削孔4内に筒状袋体9を有さない杭5を沈設すると共に、該杭5の内部に配置した注入配管11を介して拡大掘削孔4b内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入して硬化させることで杭5を埋設することも出来る。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開する拡大掘削刃を用いた簡単な構造の拡大掘削ビットを利用して該拡大掘削刃が掘削孔の内壁面に対して食い込みが良く、拡大掘削刃が拡開するために必要なトルクが容易に得られ、拡径部の掘削時間を短縮出来、小さなトルクで掘削出来る。
【0045】
即ち、本発明に係る拡大掘削方法によれば、掘削ロッドを正転しつつ拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成することが出来る。次に拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に掘削ロッドを逆転させて拡大掘削刃を拡開して拡大掘削孔を形成することが出来る。
【0046】
拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0047】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【0048】
また、本発明に係る杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔に杭の外周先端部に設けた筒状袋体を沈設することが出来る。次に筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させ、該セメント硬化体用スラリーを硬化させることで拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0049】
また、本発明に係る他の杭の埋設方法によれば、掘削孔の先端部に形成した拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することで該セメント硬化体用スラリーを硬化させて拡大根固め球根部を形成した杭を地盤に埋設することが出来る。
【0050】
また、本発明に係る拡大掘削ビットによれば、高圧水流噴出ノズルにより拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出することで、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することが出来、その予備掘削した部位に拡大掘削刃が食い込んで容易に拡開することが出来る。
【0051】
また、掘削孔の壁面を高圧水流により予備掘削することで、拡大掘削刃により掘削する際の掘削ロッドのトルクが小さくて済み、住宅等の小さな敷地面積を有する現場で小型軽量の施工機械でも容易に掘削出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る拡大掘削ビットの構成を示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る拡大掘削方法を説明する図である。
【図3】本発明に係る杭の埋設方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…掘削ロッド
1a…螺旋状羽根
2…拡大掘削ビット
2a…回動軸
2b,2c…係止片
3…地盤
4…掘削孔
4a…小径掘削孔
4b…拡大掘削孔
5…杭
6…拡大掘削刃
7…高圧水流噴出ノズル
7a…高圧水流
8…掘削刃
9…筒状袋体
10…注入治具
11…注入配管
Claims (4)
- 杭を埋設する掘削孔の先端部を拡大掘削する方法であって、
先端部に掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられた拡大掘削ビットを有する掘削ロッドを正転しつつ前記拡大掘削刃を収納した状態で地盤を掘削して掘削孔を形成した後、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出させると共に前記掘削ロッドを逆転させて、拡大掘削孔を形成することを特徴とする拡大掘削方法。 - 請求項1に記載の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、外周先端部に球根造成用の筒状袋体を設けた杭をその掘削孔内に沈設し、その後、前記筒状袋体内にセメント硬化体用スラリーを注入することにより該筒状袋体を前記掘削孔先端部の拡大掘削孔内で膨張させることを特徴とする杭の埋設方法。
- 請求項1に記載の拡大掘削方法により地盤に掘削孔及びその先端部に拡大掘削孔を形成した後、前記拡大掘削孔内に球根造成用のセメント硬化体用スラリーを注入し、その掘削孔内に杭を沈設することを特徴とする杭の埋設方法。
- 杭を埋設する掘削孔を掘削するための掘削ロッドの先端部に設けられる拡大掘削ビットであって、
前記掘削ロッドの逆転に伴って、地盤との接触により拡開し得る拡大掘削刃が設けられ、該拡大掘削刃の地盤と接触する進行方向近傍部位に高圧水流を噴出する高圧水流噴出ノズルを設けたことを特徴とする拡大掘削ビット。
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2003
- 2003-03-19 JP JP2003075177A patent/JP2004285563A/ja active Pending
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