JP2023171017A - 既存杭の引抜き工法、及び流体供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存杭の杭引抜き跡を高品質な固化体で埋戻し、地盤を復元することである。【解決手段】地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、を備える既存杭の引抜き工法であって、前記復元工程で、セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の深度方向における複数地点で実施することを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、地中に残置された既存杭を引抜いたのち、杭引抜き跡に固化体を構築して地盤を復元する既存杭の引抜き工法、及び既存杭の引抜き工法に用いる流体供給装置に関する。
地中に残置された既存杭を撤去する様々な工法のうちの一つに、縁切引抜工法がある。縁切引抜工法は、削孔ケーシングを利用して既存杭と周辺地盤との縁を切ったのちに既存杭を引抜き撤去する工法である。杭引抜き跡は、地山と同程度の強度を確保するよう埋戻し、地盤を復元する。例えば、特許文献1には、縁切引抜方法を採用した埋設杭の引抜き工法が開示されている。
特許文献1に記載された埋設杭の引抜き方法では、まず、先端から発泡水を噴射する削孔ケーシングを地中に向けて回転圧入させ、埋設杭の周囲地盤を削孔する。削孔ケーシングが埋設杭の下端近傍に到達したところで、この削孔ケーシングを引抜き撤去する。こののち、埋設杭の引抜きつつ、杭引抜き跡に流動化処理土を供給し、充填していく。
上記のとおり特許文献1では、削孔ケーシングを地中に回転圧入する際、削孔水に替えて発泡水を使用する。これにより、杭引抜き跡に充填された流動化処理土の希釈化を防止し、これら流動化処理度が固化することで復元された地盤の強度低下を防止している。ところが、既存杭が径大かつ長尺であると、既存杭の引抜き作業に時間を要する場合が多い。このような場合に、既存杭を引抜きつつ杭引抜き跡に流動化処理土を供給すると、引抜き作業中に流動化処理土が硬化する可能性があり、作業に不具合を生じる可能性がある。
このような中、地中孔を埋戻す方法の一つとして、泥水固化工法が知られており、例えば特許文献2に、泥水固化工法を採用した土留め壁打設箇所の地中障害物撤去方法が開示されている。具体的には、泥水を供給しながら地中のコンクリートガラや転石、木杭等の地中障害物を撤去しつつ掘削を進め、所定の深度を有する地中孔を構築する。次に、地中孔にパイプを建込み、パイプを利用したエアブロー撹拌を行って、地中孔内に貯留する泥水を深度方向に均一な状態とする。こののち、掘削孔の孔口より固化材を投下して再度エアブロー撹拌を行い、固化材と泥水とを混合攪拌する。
特許文献2で開示されているような方法を、既存杭の縁切引抜工法に採用すれば、既存杭の引抜き作業に多大な時間を要する場合にも、効率よく固化体を構築して杭引抜き跡を埋戻し、地盤を復元することができる。
しかし、既設杭が長大な場合、固化材を杭抜き跡の上部開口から投下すると、杭引抜き跡の下方まで十分到達しない恐れがある。すると、杭抜き跡で構築された固化体は、上部と下部で発現強度が異なる可能性があり、固化体により埋戻し復元した地盤の品質に課題が生じる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、既存杭の杭引抜き跡を高品質な固化体で埋戻し、地盤を復元することである。
かかる目的を達成するため本発明の既存杭の引抜き工法は、地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、を備える既存杭の引抜き工法であって、前記復元工程で、セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の深度方向における複数地点で実施することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、を備える既存杭の引抜き工法であって、前記復元工程で、セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の深度方向に向けて連続的に実施することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の平面視の複数地点で実施することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、エアブロー管を利用して実施することを特徴とする。
本発明の流体供給装置は、エアブロー管と、該エアブロー管の基端に取り付けられた分岐管とを備え、該分岐管に、圧縮空気供給管が接続されるエア流入部と、固化液供給管が接続される固化液流入口が設けられていることを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法及び流体供給装置によれば、泥水が貯留する杭引抜き跡の深度方向における複数地点で、もしくは、深度方向に向けて連続的に、セメント系固化液の注入及び混合攪拌を実施する。これにより、既存杭が長大である場合にも杭引抜き跡を、深度方向に一様な強度を発現させた高品質な固化体で埋め戻し復元することが可能となる。
また、前記セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、平面視の複数地点で実施すれば、既存杭が径大で杭引抜き跡の平面視面積が広大な場合に、杭引抜き跡を深度方向だけでなく平面視方向に一様な強度を発現させた、高品質な固化体で埋め戻し復元することが可能となる。
さらに、流体供給装置を採用すれば、セメント系固化液を注入する際の注入圧を容易に調整できる。これにより、既存杭が長大で杭引抜き跡が大深度となる場合にも効率よく、深度方向の複数地点でもしくは深度方向に連続的に、セメント系固化液を注入することが可能となる。
本発明によれば、泥水が貯留する杭引抜き跡の深度方向における複数地点でもしくは深度方向に向けて連続的に、セメント系固化液の注入及び混合攪拌を実施するから、既存杭の大きさや長さに影響を受けることなく、杭引抜き跡を、深度方向に一様な強度を発現させた高品質な固化体で埋戻し復元することが可能となる。
本発明は、建物の解体や建替えなどと併せて実施する既存杭撤去工法の中でも、削孔ケーシングを用いて既存杭と地盤との縁切りを行う、いわゆる縁切引抜き工法を採用し、杭長が30mを超えるような長大かつ径大な既存杭を、引抜き撤去する際に好適な工法である。以下に、図1~図6を参照しつつ、既存杭の引抜き工法について、その詳細を説明する。
≪≪既存杭の引抜き工法≫≫
本実施の形態では、図1(a)で示すような、コンクリート造の既存杭10を事例に挙げて詳細を説明するが、既存杭10の種類はなんら限定されるものではない。また、地盤との縁切りを行ったのちの既存杭10の引抜き工法も、リーダー式や吊下げ式などいずれを採用してもよい。
本実施の形態では、図1(a)で示すような、コンクリート造の既存杭10を事例に挙げて詳細を説明するが、既存杭10の種類はなんら限定されるものではない。また、地盤との縁切りを行ったのちの既存杭10の引抜き工法も、リーダー式や吊下げ式などいずれを採用してもよい。
既存杭の引抜き工法について大まかな手順を説明すると、まずは、縁切り工程として図1(b)~(d)で示すように、削孔ケーシング40を用いた縁切引抜き工法を採用し、地中に残置された既存杭10と地盤とを縁切りする。次に、図1(e)~(f)で示すように、既存杭10を地中から引抜き撤去する。こののち、復元工程として、杭引抜き跡Hにセメント系固化液Cを注入して攪拌する。
こうして、固化体20を構築し、この固化体20よりなる埋戻し地盤で杭引抜き跡Hを復元する。このとき、復元工程において、図2及び図4で示すように、セメント系固化液Cを深度方向の複数地点で注入する、もしくは図5で示すように、セメント系固化液Cを深度方向に向けて連続的に注入し、ベントナイト含有泥水M3と混合攪拌する点が、既存杭の引抜き工法において大きな特徴の1つである。
セメント系固化液Cは、少なくともセメント系固化材と水とを含んでいればよく、泥水固化工法や地盤改良工法などで、一般に使用されているいずれの材料をも採用することができる。なお、ベントナイト含有泥水M3については、後述する。
このように、深度方向の多点で、もしくは深度方向に向けて連続的にセメント系固化液Cを注入することにより、既存杭10が長大であるために杭引抜き跡Hが大深度となる場合にも、杭引抜き跡Hで構築した固化体20に対して、深度方向に一様な強度を発現させることができる。これにより、高品質な固化体20よりなる埋戻し地盤で、杭引抜き跡Hを復元できる。
上記の復元工程において、セメント系固化液Cの注入深度に応じてセメント系固化液Cの注入圧を調整する必要が生じる。そこで、本実施の形態では、図3で示すような流体供給装置30を採用し、セメント系固化液Cの注入圧調整と、エアブロー撹拌の両者を、同一装置で実施し作業の効率化を図っている。
≪≪流体供給装置≫≫
流体供給装置30は、図3で示すように、杭引抜き跡Hに挿入されるエアブロー管31と、屈曲自在な配管32と、この配管32の一端とエアブロー管31の基端とを連結するスイベルジョイント33を備える。また、流体供給装置30は、配管32の他端に接続される分岐管34を備え、この分岐管34に圧縮空気供給管35が接続されるエア流入部341と、固化液供給管36が接続される固化液流入口342が設けられている。
流体供給装置30は、図3で示すように、杭引抜き跡Hに挿入されるエアブロー管31と、屈曲自在な配管32と、この配管32の一端とエアブロー管31の基端とを連結するスイベルジョイント33を備える。また、流体供給装置30は、配管32の他端に接続される分岐管34を備え、この分岐管34に圧縮空気供給管35が接続されるエア流入部341と、固化液供給管36が接続される固化液流入口342が設けられている。
これにより流体供給装置30は、エアコンプレッサーAcから供給されたエアを、エアブロー管31を介してベントナイト含有泥水M3に供給できる。また、固化液製造装置CMでセメント系固化液Cを製造し、エアブロー管31を介してベントナイト含有泥水M3に注入できる。さらに、エアコンプレッサーAcから供給されるエアを利用して、ベントナイト含有泥水M3に注入するセメント系固化液Cの注入圧を調整することもできる。
加えて、この流体供給装置30を採用すれば、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌を同時に実施することができる。なお、エアブロー管31は、単管もしくは二重管などいずれの構成を採用してもよい。
上記の流体供給装置30を復元工程で使用し、既存杭10の引抜き工法実施する手順を、図2及び図4~図6を参照しつつ、第1~第4の実施の形態として以下に説明する。
≪≪第1の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
まず、図1(a)で示すように準備工程として、地中に残置された既存杭10を囲繞する口元保護管50を、地表面から所定の深度まで貫入する。
≪縁切り工程≫
まず、図1(a)で示すように準備工程として、地中に残置された既存杭10を囲繞する口元保護管50を、地表面から所定の深度まで貫入する。
次に、図1(b)で示すように、既存杭10の外周に沿って、削孔水Wを噴射しながら削孔ケーシング40を地中に貫入する。削孔ケーシング40は、縁切り引抜き工法で広く採用されているいずれのケーシングを採用してもよく、その下端には、切削刃と削孔水Wを噴射可能な噴射口41が設けられている。
図1(c)で示すように、削孔ケーシング40の下端が既存杭10の先端より下方位置まで到達したところで、削孔水Wの噴射を停止し、削孔ケーシング40を地中から引抜いて撤去する。これにより、図1(d)で示すように、既存杭10と周辺地盤とが縁切りされる。
削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、図1(e)で示すように、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。これにより、杭引抜き跡Hは、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。ベントナイト含有泥水M3は、土砂Gと削孔水Wが混じった泥水M1に、ベントナイト液M2が混合したものである。なお、土砂Gは、削孔ケーシング40の地中貫入時及び引抜き撤去時、もしくは既存杭10の引抜き作業時に地山から落下しした土砂を含む。
≪復元工程≫
既存杭10が撤去されたところで、図2(a)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31の先端を所定の深さまで挿入し、このエアブロー管31を介してセメント系固化液Cを注入する。こののち、エアブロー管31を挿入したままの状態にして、図2(b)で示すように、セメント系固化液Cとベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。
既存杭10が撤去されたところで、図2(a)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31の先端を所定の深さまで挿入し、このエアブロー管31を介してセメント系固化液Cを注入する。こののち、エアブロー管31を挿入したままの状態にして、図2(b)で示すように、セメント系固化液Cとベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。
こののち、図2(c)及び(d)で示すように、エアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの底部近傍に到達させ、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌を実施する。これにより、杭引抜き跡H内は深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図2(e)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
例えば、杭長が40m程度で杭径が2m程度の場合、セメント系固化液Cを底部から15mの地点、及び5~8mの地点で注入する。また、両地点で実施するエアブロー撹拌は、エアコンプレッサーを9気圧に設定し、合計180分程度実施する。これは、杭引抜き跡Hの体積に対して1分/m3程度の攪拌時間を目安にすることが好ましいとの知見に基づく。つまり、杭径が2m程度の場合に、径が2.4m程度の削孔ケーシング40を使用する。そして、杭長が40mであると、杭引抜き跡Hの体積は約180m3となるから、攪拌時間の合計を180分に設定している。
なお、攪拌時間は、攪拌位置が底部に近いほど、時間配分を大きく確保することが好ましい。また、セメント系固化液Cの注入量は、現場の地盤状況や固化体20に要求される強度などに応じて、適宜調整するとよい。
上記の第1の実施の形態では、セメント系固化液Cを注入しエアブロー撹拌する作業を、深度方向の上方から下方に向けて、杭引抜き跡Hの深度方向における2地点で実施した。しかし、これに限定するものではなく、例えば、セメント系固化液Cを深度方向の2地点で注入し、エアブロー撹拌を深度方向の4地点で実施するなどしてもよい。このように攪拌地点を増やすと合計攪拌時間を短縮できる。
上記の杭長が40m程度で杭径が2m程度の場合を事例に挙げると、10m地点で10分、20m地点で20分、30m地点で30分、及び底部で60分程度の設定で、杭引抜き跡H内を一様に攪拌混合できる。つまり、60分程度の時間短縮を図ることができる。また、セメント系固化液Cを注入しエアブロー撹拌する作業は、深度方向の下方から上方に向けて実施してもよい。
≪≪第2の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。これにより、杭引抜き跡Hは、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。
≪縁切り工程≫
第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。これにより、杭引抜き跡Hは、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。
≪復元工程≫
こののち、図4(a)で示すように、エアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの底部近傍まで到達させて、セメント系固化液Cを注入しつつ、ベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。このように、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌の両作業を同時に実施すると、作業時間の短縮化を図ることができ、作業効率の向上に寄与できる。
こののち、図4(a)で示すように、エアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの底部近傍まで到達させて、セメント系固化液Cを注入しつつ、ベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。このように、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌の両作業を同時に実施すると、作業時間の短縮化を図ることができ、作業効率の向上に寄与できる。
また、このような作業を、図4(b)及び(c)で示すように、深度方向の下方から上方に向けて順次実施する。これにより、杭引抜き跡H内は、図4(d)で示すように、深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図4(e)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
上記の第2の実施の形態では、セメント系固化液Cを注入しつつエアブロー撹拌する作業を、深度方向の下方から上方に向けて、杭引抜き跡Hの深度方向における3地点で実施した。しかし、これに限定されるものではなく、2地点もしくは3地点以上の複数地点で実施してもよいし、深度方向の上方から下方に向けて実施してもよい。
≪≪第3の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
第3の実施の形態も第1及び第2の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。杭引抜き跡Hは、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。
≪縁切り工程≫
第3の実施の形態も第1及び第2の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。杭引抜き跡Hは、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。
≪復元工程≫
既存杭10が撤去されたところで、図5(a)~(c)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31の先端を所定の深さまで挿入する。こののち、エアブロー管31を介してセメント系固化液Cを注入しつつ、ベントナイト含有泥水M3とエアブロー撹拌する作業を、エアブロー管31を一定速度で下方に移動させつつ実施する。
既存杭10が撤去されたところで、図5(a)~(c)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31の先端を所定の深さまで挿入する。こののち、エアブロー管31を介してセメント系固化液Cを注入しつつ、ベントナイト含有泥水M3とエアブロー撹拌する作業を、エアブロー管31を一定速度で下方に移動させつつ実施する。
つまり、第3の実施の形態では、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌の両作業を同時に実施しつつ、これを深度方向に連続して実施する。図5では、エアブロー管31の先端を一定速度で下方に移動させる場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、下方から上方に向けて移動させてもよい。
こうして、杭引抜き跡H内は、図5(c)で示すように、深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図5(d)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
≪≪第4の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
第4の実施の形態も第1~第3の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入し、杭引抜き跡Hを、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態とする。
≪縁切り工程≫
第4の実施の形態も第1~第3の実施の形態と同様に、図1を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りする。そして、削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入し、杭引抜き跡Hを、図1(f)で示すように、ベントナイト含有泥水M3が貯留した状態とする。
≪復元工程≫
こののち、図6(a)で示すように、流体供給装置30を構成する2本のエアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの所定深度まで挿入し、平面視の2地点で、セメント系固化液Cを注入する。次に、エアブロー管31を挿入したままの状態にして、図6(b)で示すように、セメント系固化液Cとベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。
こののち、図6(a)で示すように、流体供給装置30を構成する2本のエアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの所定深度まで挿入し、平面視の2地点で、セメント系固化液Cを注入する。次に、エアブロー管31を挿入したままの状態にして、図6(b)で示すように、セメント系固化液Cとベントナイト含有泥水M3とのエアブロー撹拌を実施する。
こののち、エアブロー管31の先端を杭引抜き跡Hの下方に移動させて、セメント系固化液Cの注入とエアブロー撹拌を実施する。これにより、杭引抜き跡H内は深度方向に全体が混合攪拌される。このように、セメント系固化液Cの注入及び混合攪拌を、平面視の2地点で実施すれば、既存杭10が径大で杭引抜き跡Hの平面視面積が広大な場合に、杭引抜き跡Hを深度方向だけでなく平面視方向に一様な強度を発現させた、高品質な固化体20で、埋め戻し復元することが可能となる。
第4の実施の形態では、エアブロー管31を2本用いたが、これに限定するものではなく、既存杭10の平面視形状に応じて適宜本数を増加させてもよい。なお、エアブロー管31を複数配置する場合、エアブロー管31各々から杭引抜き跡Hに注入されるセメント系固化液Cの影響を、相互に受けないよう十分な離間距離を設けて配置すると良い。
上記の既存杭の引抜き工法によれば、既存杭10が長大であったり径大であるといったような、大きさや長さもしくは形状に影響を受けることなく、杭引抜き跡Hを、深度方向及び平面視方向に一様な強度を発現させた、高品質な固化体20で埋戻し復元することが可能となる。
本発明の既存杭の引抜き工法、及び流体供給装置は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
10 既存杭
20 固化体(埋戻し地盤)
30 流体供給装置
31 エアブロー管
32 配管
33 スイベルジョイント
34 分岐管
341 エア流入部
342 固化液流入口
35 圧縮空気供給管
36 固化液供給管
40 削孔ケーシング
50 口元保護管
C セメント系固化液
Ac エアコンプレッサー
CM 固化液製造装置
M1 泥水
M2 ベントナイト液
M3 ベントナイト含有泥水
G 土砂
W 削孔水
H 杭引抜き跡
20 固化体(埋戻し地盤)
30 流体供給装置
31 エアブロー管
32 配管
33 スイベルジョイント
34 分岐管
341 エア流入部
342 固化液流入口
35 圧縮空気供給管
36 固化液供給管
40 削孔ケーシング
50 口元保護管
C セメント系固化液
Ac エアコンプレッサー
CM 固化液製造装置
M1 泥水
M2 ベントナイト液
M3 ベントナイト含有泥水
G 土砂
W 削孔水
H 杭引抜き跡
Claims (5)
- 地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、
前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、
を備える既存杭の引抜き工法であって、
前記復元工程で、
セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の深度方向における複数地点で実施することを特徴とする既存杭の引抜き工法。 - 地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、
前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、
を備える既存杭の引抜き工法であって、
前記復元工程で、
セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の深度方向に向けて連続的に実施することを特徴とする既存杭の引抜き工法。 - 請求項1または2に記載の既存杭の引抜き工法において、
前記セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、前記杭引抜き跡の平面視の複数地点で実施することを特徴とする既存杭の引抜き工法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の既存杭の引抜き工法において、
前記セメント系固化液の注入及び混合攪拌を、エアブロー管を利用して実施することを特徴とする既存杭の引抜き工法。 - エアブロー管と、
該エアブロー管の基端に取り付けられた分岐管とを備え、
該分岐管に、
圧縮空気供給管が接続されるエア流入部と、固化液供給管が接続される固化液流入口が設けられていることを特徴とする流体供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022083187A JP2023171017A (ja) | 2022-05-20 | 2022-05-20 | 既存杭の引抜き工法、及び流体供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022083187A JP2023171017A (ja) | 2022-05-20 | 2022-05-20 | 既存杭の引抜き工法、及び流体供給装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023171017A true JP2023171017A (ja) | 2023-12-01 |
Family
ID=88928477
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022083187A Pending JP2023171017A (ja) | 2022-05-20 | 2022-05-20 | 既存杭の引抜き工法、及び流体供給装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023171017A (ja) |
-
2022
- 2022-05-20 JP JP2022083187A patent/JP2023171017A/ja active Pending
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