JP2023171016A - 既存杭の引抜き工法 - Google Patents

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Yasuharu Wachi
榛名 廣瀬
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Abstract

【課題】既存杭の杭引抜き跡に高品質な固化体を構築し、地盤を復元することである。【解決手段】地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、を備える既存杭の引抜き工法であって、前記復元工程の前に、前記既存杭の周囲に前記底部用固化液を注入する。【選択図】図2

Description

本発明は、地中に残置された既存杭を引抜いたのち、杭引抜き跡に固化体を構築して地盤を復元する既存杭の引抜き工法に関する。
地中に残置された既存杭を撤去する様々な工法のうちの一つに、縁切引抜工法がある。縁切引抜工法は、削孔ケーシングを利用して既存杭と周辺地盤との縁を切ったのちに既存杭を引抜き撤去する工法である。杭引抜き跡は、地山と同程度の強度を確保するよう埋戻し、地盤を復元する。例えば、特許文献1には、縁切引抜方法を採用した埋設杭の引抜き工法が開示されている。
特許文献1に記載された埋設杭の引抜き方法では、まず、先端から発泡水を噴射する削孔ケーシングを地中に向けて回転圧入させ、埋設杭の周囲地盤を削孔する。削孔ケーシングが埋設杭の下端近傍に到達したところで、この削孔ケーシングを引抜き撤去する。こののち、埋設杭の引抜きつつ、杭引抜き跡に流動化処理土を供給し、充填していく。
上記のとおり特許文献1では、削孔ケーシングを地中に回転圧入する際、削孔水に替えて発泡水を使用する。これにより、杭引抜き跡に充填された流動化処理土の希釈化を防止し、これら流動化処理度が固化することで復元された地盤の強度低下を防止している。ところが、既存杭が径大かつ長尺であると、既存杭の引抜き作業に時間を要する場合が多い。このような場合に、既存杭を引抜きつつ杭引抜き跡に流動化処理土を供給すると、引抜き作業中に流動化処理土が硬化する可能性があり、作業に不具合を生じる可能性がある。
このような中、地中孔を埋戻す方法の一つとして、泥水固化工法が知られており、例えば特許文献2に、泥水固化工法を採用した土留め壁打設箇所の地中障害物撤去方法が開示されている。具体的には、泥水を供給しながら地中のコンクリートガラや転石、木杭等の地中障害物を撤去しつつ掘削を進め、所定の深度を有する地中孔を構築する。次に、地中孔にパイプを建込み、パイプを利用したエアブロー撹拌を行って、地中孔内に貯留する泥水を深度方向に均一な状態とする。こののち、掘削孔の孔口より固化材を投下して再度エアブロー撹拌を行い、固化材と泥水とを混合攪拌する。
特開2012-122197号公報 特開平09-13373号公報
特許文献2で開示されているような方法を、既存杭の縁切引抜工法に採用すれば、既存杭の引抜き作業に多大な時間を要する場合にも、効率よく固化体を構築して杭引抜き跡を埋戻し、地盤を復元することができる。
しかし、杭引抜き跡にはその底部に、既存杭の引抜き作業に伴って落下した土砂が堆積している場合が多い。このような底部に堆積した土砂は、エアブロー撹拌により巻き上げることが困難であり残置せざるを得ない。すると、泥水固化工法を採用して構築した固化体の下方には、落下土砂による低強度な不良部分が存在するため、固化体により復元した地盤の品質に課題が生じる。また、既設杭が長大な場合、固化材を杭抜き跡の上部開口から投下すると、杭引抜き跡の下方まで十分到達しない恐れがある。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、既存杭の杭引抜き跡に高品質な固化体を構築し、地盤を復元することである。
かかる目的を達成するため本発明の既存杭の引抜き工法は、地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、を備える既存杭の引抜き工法であって、前記復元工程の前に、前記既存杭の周囲に前記底部用固化液を注入することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記縁切り工程で、前記削孔ケーシングを地中に貫入する途中で、前記削孔水に替えて前記底部用固化液を吐出し、前記既存杭と周辺地盤とを縁切りすることを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記縁切り工程で、前記既存杭と地盤とを縁切りしたのち、前記削孔ケーシングを引抜きつつ前記底部用固化液を吐出することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記底部用固化液が、セメント系固化液と硬化遅延剤とを含むことを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記復元工程で、前記杭引抜き跡の上部及び中間部の少なくともいずれかの深度位置で、固化液を注入することを特徴とする。
杭の引抜き工法。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記復元工程で、前記杭引抜き跡の深度方向に向けて、連続的もしくは断続的に前記固化液を注入することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法は、前記復元工程で、前記泥水と、前記固化液もしくは前記底部用固化液のうち少なくともいずれか1つとを、エアブロー撹拌により混合攪拌することを特徴とする。
本発明の既存杭の引抜き工法によれば、引抜く前の既存杭の周囲に底部用固化液を注入しておき、既存杭を吊り上げた際に、杭引抜き跡の底部に底部用固化液を流入させる。これにより、既設杭が長大で杭抜き跡が大深度となる場合にも、固化材を杭抜き跡の底部まで到達させることができる。
また、既存杭の引き抜き作業に伴って周辺地盤から落下する土砂は、底部用固化液に落下するため杭引抜き跡の底部に堆積することを防止できる。これにより、既存杭の杭引抜き跡の底部に、落下土砂に起因する低強度な不良部分を生じさせることなく、高品質な固化体よりなる埋戻し地盤で杭引抜き跡を復元することが可能となる。
さらに、杭引抜き跡の底部に底部用固化液を流入させたうえで、復元工程で前記杭引抜き跡の上部や中間部などの深度位置で固化液を注入すれば、エアブロー撹拌を採用して、深度方向に一様な強度を発現させた高品質な固化体を構築できる。したがって、オーガー撹拌を採用する場合のように、現場にオーガーを搬入する作業や、オーガーを杭引抜き後の底部に到達させるべくロッドを継ぎ足す作業などを省略でき、既存杭が長大な場合にも、施工性を向上できるとともに工費削減に寄与できる。
また底部用固化液に遅延硬化剤を含むことで、底部用固化液の固化時間を制御できる。これにより、既存杭が長大な場合や径大な場合など引抜き作業に多大な時間を要する場合にも、その途中で底部用固化液が固化するといった現象を回避できる。また、底部用固化液を注入したのち工事を一時中断し、日を改めて既存杭の引抜き作業を実施するなど、作業工程に自由度を確保することもでき、生産性を向上することが可能となる。
本発明によれば、引抜く前に既存杭の周囲に底部用固化液を注入し、杭引抜き跡の底部に底部用固化液を流入させるから、既存杭が長大であっても杭抜き跡の底部まで固化材を到達させて、落下土砂に起因する低強度な不良部分を生じさせることなく、高品質な固化体よりなる埋戻し地盤で杭引抜き跡を復元することが可能となる。
本発明の実施の形態における既存杭の引抜き工法における縁切り工程の手順を示す図である。 本発明の実施の形態における既存杭の引抜き工法における復元工程の手順を示す図である(第1の実施の形態)。 本発明の実施の形態における流体供給装置を示す図である。 本発明の実施の形態における既存杭の引抜き工法における復元工程の手順を示す図である(第2の実施の形態)。 本発明の実施の形態における既存杭の引抜き工法における復元工程の手順を示す図である(第3の実施の形態)。 本発明の実施の形態における既存杭の引抜き工法における復元工程の手順を示す図である(第4の実施の形態)。 本発明の実施の形態における削孔ケーシングを利用して底部用固化液を注入する際の他の事例を示す図である。 本発明の実施の形態における固化液の注入とエアブロー撹拌の両作業を同時に実施しつつ、これを深度方向に連続して実施する事例を示す図である。
本発明は、建物の解体や建替えなどと併せて実施する既存杭撤去工法の中でも、ケーシングを用いて既存杭と地盤との縁切りを行ういわゆる縁切引抜き方法を採用し、杭長が30mを超えるような長大かつ径大な既存杭を引抜くき撤去する際に好適な工法である。以下に、図1~図8を参照しつつ、既存杭の引抜き工法について、その詳細を説明する。
本実施の形態では、コンクリート造の既存杭を事例に挙げて詳細を説明するが、既存杭の種類はなんら限定されるものではない。また、地盤との縁切りを行ったのちの既存杭の引抜き方法も、リーダー式や吊下げ式などいずれを採用してもよい。
≪≪既存杭の引抜き工法≫≫
既存杭の引抜き工法について大まかな手順を説明すると、まずは図1で示すように、削孔ケーシング40を用いた縁切引抜き方法を採用し、地中に残置された既存杭10と地盤とを縁切りする。次に、例えば図2(a)で示すように、既存杭10を地中から引抜き撤去する。そして、杭引抜き跡Hに、図2(d)で示すような固化体20を構築して埋戻し、この固化体20よりなる埋戻し地盤で杭引抜き跡Hを復元する。
このとき、図1(e)で示すように、地中から引抜き撤去する前の既存杭10の周囲に底部用固化液C1を注入する。底部用固化液C1は、少なくともセメント系固化材とベントナイトと水とを含んでいればよく、泥水固化工法や地中の埋戻し工法などで一般に使用されているいずれの材料をも採用することができる。この底部用固化液C1を注入する工程を含む点が、既存杭の引抜き工法において大きな特徴の1つである。
底部用固化液C1を注入しておくことで、図2(a)で示すように、既存杭10を引上げた際、杭引抜き跡Hの底部には底部用固化液C1が流入する。これにより、削孔ケーシング40の地中貫入時及び引抜き撤去時、もしくは既存杭10の引抜き作業時に地山から落下した土砂Gは、底部用固化液C1上に落下する。すると、底部用固化液C1と混ざり合う、もしくは底部用固化液C1上に堆積する。
これにより、土砂Gが底部に堆積して低強度の不良部を生じる、といった現象を防止できる。したがって、杭引抜き跡Hを、図2(d)で示すような、所望の強度を有する固化体20よりなる高品質な埋戻し地盤として復元することが可能となる。
また、底部用固化液C1には、硬化遅延剤を添加してもよい。硬化遅延剤を添加して底部用固化液C1の固化時間を制御すると、例えば、既存杭10の杭長が30mを超えるような長大な杭である場合に、既存杭10の引抜き作業に多大な作業時間を要しても、その途中で底部用固化液C1が硬化するといった現象を回避できる。また、底部用固化液C1を注入したのち工事を一時中断し、日を改めて既存杭10の引抜き作業を実施するなど工程の自由度を確保することもでき、生産性を向上できる。
さらに、引抜き撤去する前の既存杭10の周囲に底部用固化液C1を注入しておくと、杭引抜き跡Hの上部や中間部などの深度位置で、後述する上部用固化液C2や中間用固化液C3を注入すれば、エアブロー撹拌を採用して、深度方向に一様な強度を発現させた高品質な固化体20を構築できる。したがって、オーガー撹拌を採用する場合のように、現場にオーガーを搬入する作業や、オーガーを杭引抜き後の底部に到達させるべくロッドを継ぎ足す作業などを省略でき、既存杭Hが長大な場合にも、施工性を向上できるとともに工費削減に寄与できる。
なお、既存杭の引抜き工法は、固化体20を構築する際の混合攪拌手段をエアブロー撹拌に限定するものではなく、いずれの混合攪拌手段を採用することもできる。上記のとおり、作業は煩雑になるもののオーガー撹拌を採用してもよい。
上記の既存杭の引抜き工法の詳細について、エアブロー撹拌により実施する場合を事例に挙げ、第1~第4の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態では、底部用固化液C1に加えて、杭引抜き跡Hの上方から上部用固化液C2を投下する事例を示す。また、第2の実施の形態では、底部用固化液C1に加えて、杭引抜き跡Hの上方から上部用固化液C2を投下し、また、中間位置で中間用固化材W3を注入する事例を示す。第3及び第4の実施の形態では、底部用固化液C1に加えて、杭引抜き跡Hの深度方向中間位置で中間用固化材W3を注入する事例を示す。
≪≪第1の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
まず、図1(a)で示すように準備工程として、地中に残置された既存杭10を囲繞する口元保護管50を、地表面から所定の深度まで貫入する。
次に、図1(b)で示すように、既存杭10の外周に沿って、削孔水Wを噴射しながら削孔ケーシング40を地中に貫入する。削孔ケーシング40は、縁切り引抜き方法で広く採用されているいずれのケーシングを採用してもよく、その下端には、切削刃と削孔水Wを噴射可能な噴射口41が設けられている。
削孔ケーシング40を所定深度まで貫入させたのち、図1(c)で示すように、削孔水Wに替えて底部用固化液C1を噴射させ、削孔ケーシング40を引き続き地盤に貫入させる。図1(d)で示すように、削孔ケーシング40の下端が既存杭10の先端より下方位置まで到達したところで、図1(e)で示すように、底部用固化液W1の噴射を停止し、削孔ケーシング40を地中から引抜いて撤去する。
これにより、既存杭10と周辺地盤とが縁切りされるとともに、地中から引抜く前の既存杭10の周囲に、底部用固化液C1が注入された状態となる。このような既存杭10の周囲への底部用固化液C1の注入する方法は、上記の方法に限定されるものではない。
例えば、図7(a)で示すように、削孔水Wを噴射しながら削孔ケーシング40を、既存杭10の先端より下方位置まで到達させる。こののち、図7(b)で示すように、削孔ケーシング40を引抜く際に、底部用固化液C1を吐出させてもよい。なお、底部用固化液C1の吐出工程は、必ずしも削孔ケーシング40を採用しなくてもよく、削孔ケーシング40を撤去したのちに、既存杭10と地山との間に注入管を挿入して、既存杭10の周囲に底部用固化液C1を注入するなどしてもよい。
≪復元工程≫
削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、図2(a)で示すように、既存杭10を引抜きつつ上部用固化液C2を投下する。上部用固化液C2は、少なくともセメント系固化材とベントナイトと水とを含んでいればよい。こうして、杭引抜き後Hには図2(b)で示すように、下層に底部用固化液C1、中間層に泥水M1、上層に上部用固化液C2がそれぞれ貯留した状態となる。なお、泥水M1は、前述した土砂Gなどと削孔水Wが混じったものである。
このような状態の杭引抜き跡Hに、図2(c)で示すように、エアブロー管31を挿入し、先端を底部用固化液C1に到達させる。この状態で、エアブロー撹拌を実施して、杭引抜き跡H内を深度方向に混合攪拌する。混合攪拌が終了したところで、所定期間の養生を行う。これにより、図2(d)で示すように、深度方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
上記のエアブロー撹拌は、泥水固化法などで広く使用されているいずれの装置を採用してもよいが、本実施の形態では、図3で示すような流体供給装置30を採用している。
≪≪流体供給装置≫≫
流体供給装置30は、図3で示すように、杭引抜き跡Hに挿入されるエアブロー管31と、屈曲自在な配管32と、この配管32の一端とエアブロー管31の基端とを連結するスイベルジョイント33を備える。また、流体供給装置30は、配管32の他端に接続される分岐管34を備え、この分岐管34に圧縮空気供給管35が接続されるエア流入部341と、固化液供給管36が接続される固化液流入口342が設けられている。
これにより流体供給装置30は、エアコンプレッサーAcから供給されたエアを、エアブロー管31を介して杭引抜き跡Hに供給できる。また、固化液製造装置CMで固化液を製造し、エアブロー管31を介して杭引抜き跡Hに注入できる。さらに、エアコンプレッサーAcから供給されるエアを利用して、固化液の注入圧を調整することもできる。
加えて、この流体供給装置30を採用すれば、固化液の注入とエアブロー撹拌を同時に実施することができる。なお、エアブロー管31は、単管もしくは二重管などいずれの構成を採用してもよい。
そこで、第2の実施の形態~第4の形態では、杭引抜き跡Hの深度方向中間位置で実施する中間用固化材C3の注入とエアブロー撹拌の両作業を、流体供給装置30を採用して実施する場合を事例に挙げて説明する。
≪≪第2の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
第1の実施の形態と同様に、図1もしくは図7を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りするとともに、地中から引抜く前の既存杭10の周囲に、底部用固化液C1を注入する。
≪復元工程≫
削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、図4(a)で示すように、既存杭10を引抜きつつ上部用固化液C2を投下する。次に、図4(b)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31を杭引抜き跡Hに挿入し、先端を中間層を形成する泥水M1に到達させる。
こののち、エアブロー管31を介して中間用固化液C3を供給する。ここで採用する中間用固化液C3は、少なくともセメント系固化液と水とベントナイトを含む。次に、図4(c)で示すように、中間用固化液C3を注入した位置でエアブロー撹拌を実施し、上部用固化液C2、泥水M1、及び中間用固化液C3を混合攪拌する。
中間用固化液C3の注入及びエアブロー撹拌は、中間層を形成する泥水M1の範囲が大きい場合には、深さ方向の複数地点で繰り返し実施するとよい。最後に、図4(d)で示すように、エアブロー管31の先端を底部用固化液C1の位置する近傍に到達させてエアブロー撹拌を実施し、上部用固化液C2、泥水M1、中間用固化液C3、及び底部用固化液C1を混合攪拌する。
これにより、杭引抜き跡H内は深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図4(e)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
上記の第2の実施の形態では、図4(b)及び(c)で示すように、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌とを個別に実施した。しかし、これらの作業は同時に実施してもよい。次の第3の実施の形態では、これらの作業を同時に実施する手順を説明する。
≪≪第3の実施の形態≫≫
≪縁切り工程≫
第3の実施の形態も第1及び第2の実施の形態と同様に、図1もしくは図7を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りするとともに、地中から引抜く前の既存杭10の周囲に、底部用固化液C1を注入する。
≪既存杭の引抜き工程及び底部用固化液注入工程≫
削孔ケーシング40が引抜き撤去されたのち、図5(a)で示すように、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。これにより、杭引抜き跡Hは、底部用固化液C1とベントナイト含有泥水M3が貯留した状態となる。ベントナイト含有泥水M3は、第1の実施の形態で説明した泥水M1と、ベントナイト液M2が混合したものである。
次に、図5(b)で示すように、流体供給装置30のエアブロー管31を挿入し、先端をベントナイト含有泥水M3内の所定深さに到達させる。こののち、エアブロー管31を介して、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌の両作業を同時に実施する。ここで採用する中間用固化液C3は、第2の実施の形態とは異なり、少なくともセメント系固化液と水とを含んでいればよい。これは、中間用固化液C3の注入位置がベントナイト含有泥水M3で満たされていることによる。
図5(b)及び(c)では、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌を同時に実施する作業を、深度方向の上方から下方に向けて、複数地点で断続的に実施する場合を事例に挙げている。しかし、これに限定するものではない。
例えば、図8(a)及び(b)で示すように、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌の両作業を、エアブロー管31を深度方向に移動させながら連続して同時に実施し、ベントナイト含有泥水M3と中間用固化液C3を混合攪拌してもよい。こうすると、作業時間を短縮化を図ることができ、作業効率の向上に寄与できる。
最後に、図5(d)で示すように、エアブロー管31の先端を底部用固化液C1の位置する近傍に到達させてエアブロー撹拌を実施し、ベントナイト含有泥水M3及び中間用固化液C3と、底部用固化液C1を混合攪拌する。これにより、杭引抜き跡H内は深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図5(e)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
≪≪第4の実施の形態≫≫
第4の実施の形態は、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌を同時に実施する作業を、深度方向の下方から上方に向けて、複数地点で断続的に実施する点で、第3の実施の形態と異なる。
つまり、図1もしくは図7を参照して説明した手順で、既存杭10と周辺地盤とを縁切りするとともに、地中から引抜く前の既存杭10の周囲に、底部用固化液C1を注入する。こののち、削孔ケーシング40を引抜き撤去し、また、図6(a)で示すように、既存杭10を引抜きつつベントナイト液M2を注入する。
そして、杭抜き跡Hに流体供給装置30のエアブロー管31を挿入して、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌の両作業を実施する。その位置は、まず図6(b)で示すように、エアブロー管31先端を、底部用固化液C1の位置する近傍に設定する。こうして、杭抜き跡Hの下方で、ベントナイト含有泥水M3、中間用固化液C3、及び底部用固化液C1を混合攪拌する。
次に、図6(c)で示すように、エアブロー管31を上方に移動させたのち、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌を同時に実施する。このような、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌の両作業を、杭引抜き後Hの深度方向下方から上方に向けて実施する作業は、エアブロー管31を深度方向に移動させつつ連続して実施してもよい。
これにより、杭引抜き跡H内は深度方向に全体が混合攪拌される。攪拌が終了したのちに養生することで、図6(e)で示すように、高さ方向に一様な強度を発現させた均質な固化体20が構築される。
例えば、杭長が40m程度で杭径が2m程度の場合、底部用固化液C1に加え、中間用固化液C3を底部から15mの地点、及び5~8mの地点で注入する。また、両地点で実施するエアブロー撹拌は、エアコンプレッサーを9気圧に設定し、合計180分程度実施する。これは、杭引抜き跡Hの体積に対して1分/m程度の攪拌時間を目安にすることが好ましいとの知見に基づく。
つまり、杭径が2m程度の場合に、径が2.4m程度の削孔ケーシング40を使用する。そして、杭長が40mであると、杭引抜き跡Hの体積は約180mとなるから、攪拌時間の合計を180分に設定している。なお、攪拌時間は、攪拌位置が底部に近いほど、時間配分を大きく確保することが好ましい。また、底部用固化液C1や中間用固化液C3の注入量は、現場の地盤状況や固化体20に要求される圧縮強度などに応じて適宜調整する。
ところで、杭引抜き跡Hの底部まで十分にエアブロー撹拌がされず、固化体20が、ベントナイト含有泥水M3、中間用固化液C3、及び底部用固化液C1の一部が混合攪拌された固化体20aと、底部用固化液C1を多く含む固化体20bとにより、構築される可能性もある。
このような事態が想定される場合には、底部用固化液C1の比重を、杭引き抜き跡Hに貯留する泥水M1やベントナイト含有泥水M3より高くなるようあらかじめ設置しておくとよい。こうすると、杭引抜き跡Hの底部に底部用固化液C1を確実に滞留させて、固化体20bに低強度な不良部が残存することを防止できる。
上記のとおり、杭引抜き跡Hの底部に底部用固化液C1を流入させたうえで、杭引抜き跡Hの上部や中間部などの深度位置で、上部用固化液C2及び中間用固化液C3を注入すれば、エアブロー撹拌を採用して、深度方向に一様な強度を発現させた高品質な固化体20を構築できる。したがって、杭長が30mを超えるような長大な既存杭10であっても、杭引抜き跡を高品質な固化体20により埋戻して、地盤を復元することが可能となる。
また、流体供給装置30を採用することで、装置の入れ替え作業も省略でき、既存杭10の引抜き工法に係る作業の効率化を図り、工期短縮に寄与することが可能となる。さらに、中間用固化液C3の注入圧を適宜調整できるため、トレミー管などでは中間用固化液C3を注入できないような深度位置であっても、杭引抜き跡Hの所望の深度に注入することが可能となる。
本発明の既存杭の引き抜き工法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、図5を参照しつつ説明した第3の実施の形態では、中間用固化液C3の注入とエアブロー撹拌を同時に実施する作業を、深度方向の上方から下方に向けて実施する事例を示した。これに加えて、最後に上方から上部用固化液C2を投下する。こののち、エアブロー管31の先端を底部用固化液C1の位置する近傍に到達させてエアブロー撹拌を実施し、ベントナイト含有泥水M3、中間用固化液C3、底部用固化液C1、及び上部用固化液C2を混合攪拌する構成としてもよい。
10 既存杭
20 固化体(埋戻し地盤)
20a 固化体
20b 固化体
30 流体供給装置
31 エアブロー管
32 配管
33 スイベルジョイント
34 分岐管
341 エア流入部
342 固化液流入口
35 圧縮空気供給管
36 固化液供給管
40 削孔ケーシング
50 口元保護管
C1 底部用固化液
C2 上部用固化液
C3 中間用固化液
M1 泥水
M2 ベントナイト液
M3 ベントナイト含有泥水
G 土砂(落下土砂)
W 削孔水
H 杭引抜き跡

Claims (7)

  1. 地中に残置された既存杭の外周に沿って削孔水を噴射しながら削孔ケーシングを地中に貫入し、前記既存杭と地盤との縁を切る縁切り工程と、
    前記既存杭を引抜くとともに、杭引抜き跡に貯留する泥水を固化させて固化体を構築し、前記杭引抜き跡を復元する復元工程と、
    を備える既存杭の引抜き工法であって、
    前記復元工程の前に、前記既存杭の周囲に前記底部用固化液を注入することを特徴とする既存杭の引抜き方法。
  2. 請求項1に記載の既存杭の引抜き方法であって、
    前記縁切り工程で、
    前記削孔ケーシングを地中に貫入する途中で、前記削孔水に替えて前記底部用固化液を吐出し、前記既存杭と周辺地盤とを縁切りすることを特徴とする既存杭の引抜き方法。
  3. 請求項1に記載の既存杭の引抜き方法であって、
    前記縁切り工程で、
    前記既存杭と地盤とを縁切りしたのち、前記削孔ケーシングを引抜きつつ前記底部用固化液を吐出することを特徴とする既存杭の引抜き方法。
  4. 請求項1に記載の既存杭の引抜き工法において、
    前記底部用固化液が、セメント系固化液と硬化遅延剤とを含むことを特徴とする既存杭の引抜き工法。
  5. 請求項1に記載の既存杭の引抜き工法において、
    前記復元工程で、
    前記杭引抜き跡の上部及び中間部の少なくともいずれかの深度位置で、固化液を注入することを特徴とする既存杭の引抜き工法。
    杭の引抜き工法。
  6. 請求項5に記載の既存杭の引抜き工法において、
    前記復元工程で、
    前記杭引抜き跡の深度方向に向けて、連続的もしくは断続的に前記固化液を注入することを特徴とする既存杭の引抜き工法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の既存杭の引抜き工法において、
    前記復元工程で、
    前記泥水と、前記固化液もしくは前記底部用固化液のうち少なくともいずれか1つとを、エアブロー撹拌により混合攪拌することを特徴とする既存杭の引抜き工法。
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