JP2009001251A - 車両操舵用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに嵌め合わされた軸の相対摺動を滑らかにでき、且つこれらの軸の周方向の連結の剛性感を確保することのできる車両操舵用伸縮軸を提供すること。
【解決手段】操舵軸3の内軸10および外軸11に形成された三対の軸方向溝31,32;33,34;35,36のそれぞれに、樹脂棒41,42,43が跨っている。内軸10および外軸11の相対位相が所定範囲内にあるとき、両軸10,11は、樹脂棒41,42,43によって周方向Cに弾性的に連結される。各樹脂棒41,42,43は、その長手方向に延びる溝50を形成しており、その溝50の断面は、内軸10の径方向外方に向けて開放するU字形形状をなしている。
【選択図】図4
【解決手段】操舵軸3の内軸10および外軸11に形成された三対の軸方向溝31,32;33,34;35,36のそれぞれに、樹脂棒41,42,43が跨っている。内軸10および外軸11の相対位相が所定範囲内にあるとき、両軸10,11は、樹脂棒41,42,43によって周方向Cに弾性的に連結される。各樹脂棒41,42,43は、その長手方向に延びる溝50を形成しており、その溝50の断面は、内軸10の径方向外方に向けて開放するU字形形状をなしている。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両操舵用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置に関する。
車両用操舵装置は、ステアリングホイール等の操舵部材の回転を伝達する操舵軸や中間軸等の軸部材を備えている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特表2002−539033号公報
米国特許第6620050号明細書
特開2006−273128号公報
特許第3797304号明細書
特許文献2では、中間軸の雄軸と雌軸とが、軸方向に相対摺動可能、且つトルク伝達可能に嵌合している。雄軸と雌軸との間には、断面C字状をなす金属製のピンが複数介装されている。
例えば、このピンを樹脂で成形することにより、雄軸と雌軸の摺動抵抗を低減し、両軸の滑らかな相対摺動を実現することが考えられる。この場合、金型に溶融樹脂を射出することによりピンを成形し、樹脂ピンを成形した後に、金型のうち樹脂ピンの内側に位置している内側部分をピンから抜くこととなる。このとき、この内側部分をピンの径方向に沿って抜く。しかしながら、樹脂ピンの断面がC字状をなしているため、型を抜くときに、無理抜きをする必要がある。
例えば、このピンを樹脂で成形することにより、雄軸と雌軸の摺動抵抗を低減し、両軸の滑らかな相対摺動を実現することが考えられる。この場合、金型に溶融樹脂を射出することによりピンを成形し、樹脂ピンを成形した後に、金型のうち樹脂ピンの内側に位置している内側部分をピンから抜くこととなる。このとき、この内側部分をピンの径方向に沿って抜く。しかしながら、樹脂ピンの断面がC字状をなしているため、型を抜くときに、無理抜きをする必要がある。
すなわち、樹脂ピンのC字の開口を大きく開くようにして、型を無理やり抜く必要があり、樹脂ピンを塑性変形させるおそれがある。樹脂ピンが塑性変形して径が大きくなると、雄軸と雌軸との間に挿入されたときの樹脂ピンと両軸との摩擦抵抗が大きくなり、雄軸と雌軸との滑らかな相対摺動が妨げられるおそれがある。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、互いに嵌め合わされた軸の相対摺動を滑らかにでき、且つこれらの軸の周方向の連結の剛性感を確保することのできる車両操舵用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置を提供することを目的とする。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、互いに嵌め合わされた軸の相対摺動を滑らかにでき、且つこれらの軸の周方向の連結の剛性感を確保することのできる車両操舵用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、操舵部材(2)の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸(3)において、軸方向(S)に相対摺動可能に且つ互いにトルク伝達可能に嵌め合わされた内軸(10)および筒状の外軸(11)と、内軸および外軸の相対位相が所定範囲を超えたときに、両軸を周方向(C)に剛的に連結する剛性連結要素(25)と、内軸の外周面(26)および外軸の内周面(28)のそれぞれに形成されて互いに対向する少なくとも三対の軸方向溝(31,32,33,34,35,36)と、上記対をなす軸方向溝間にそれぞれ跨り、内軸および外軸の相対位相が上記所定範囲内にあるときに、両軸を周方向に弾性的に連結する複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒(41,42,43;41J,42J,43J)と、を含み、各上記樹脂棒が、その長手方向(L)に延びる溝(50)を形成しており、その溝の断面は、内軸の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有していることを特徴とするものである(請求項1)。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施の形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
本発明によれば、各樹脂棒の溝の断面が、内軸の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有している。その結果、溶融樹脂を金型に射出して各樹脂棒を成形した後に、当該金型のうち各溝の内側に位置している部分のそれぞれを、対応する樹脂棒の径方向に沿ってスムーズに引き抜くことができ、無理抜きをする必要がない。これにより、樹脂棒が型抜きのときに径方向に拡がるように塑性変形することを防止でき、その結果、樹脂棒を介した内軸および外軸の摩擦抵抗が大きくなることを防止できる。金属と比べて摩擦抵抗の低い樹脂棒を介した内軸および外軸の滑らかな相対摺動を実現できる。さらに、内軸と外軸との周方向の隙間を樹脂棒で詰めることができる。これにより、内軸および外軸の相対位相が所定の範囲内にあるときでも、樹脂棒を介した両軸の周方向の連結の剛性を高くできるので、両軸間で回転の伝達遅れを生じることなく、両軸を同行回転することができる。したがって、内軸と外軸との周方向の連結の剛性感を確保でき、良好な操舵フィーリングを達成できる。
本発明によれば、各樹脂棒の溝の断面が、内軸の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有している。その結果、溶融樹脂を金型に射出して各樹脂棒を成形した後に、当該金型のうち各溝の内側に位置している部分のそれぞれを、対応する樹脂棒の径方向に沿ってスムーズに引き抜くことができ、無理抜きをする必要がない。これにより、樹脂棒が型抜きのときに径方向に拡がるように塑性変形することを防止でき、その結果、樹脂棒を介した内軸および外軸の摩擦抵抗が大きくなることを防止できる。金属と比べて摩擦抵抗の低い樹脂棒を介した内軸および外軸の滑らかな相対摺動を実現できる。さらに、内軸と外軸との周方向の隙間を樹脂棒で詰めることができる。これにより、内軸および外軸の相対位相が所定の範囲内にあるときでも、樹脂棒を介した両軸の周方向の連結の剛性を高くできるので、両軸間で回転の伝達遅れを生じることなく、両軸を同行回転することができる。したがって、内軸と外軸との周方向の連結の剛性感を確保でき、良好な操舵フィーリングを達成できる。
また、本発明において、上記樹脂棒は、肉抜き部(59J)が形成された樹脂棒を含む場合がある(請求項2)。この場合、肉抜き部が設けられた樹脂棒は、両軸との接触面積を少なくでき、その結果、両軸の相対摺動時の摺動荷重をより少なくできる。
また、本発明において、上記内軸および外軸の何れか一方の一端に固定され、上記複数の樹脂棒を連結した連結部(44;44K)を含む場合がある(請求項3)。この場合、例えば、内軸と外軸との間に樹脂棒をシメシロ嵌合(圧入)する際に、各樹脂棒を一括して内軸および外軸に接触させることができる。したがって、各樹脂棒を組み付けるための工程を少なくできる。また、各樹脂棒を内軸または外軸に対して位置決めすることができる。さらに、各樹脂棒が対応する一対の軸方向溝内で回転(自転)することを防止できる。これにより、両軸の相対位相が所定範囲内にあるときに、内軸と外軸との間のねじり剛性に不要な変動が生じることを防止でき、その結果、操舵にがたつき感が生じることを防止できる。
また、本発明において、上記内軸および外軸の何れか一方の一端に固定され、上記複数の樹脂棒を連結した連結部(44;44K)を含む場合がある(請求項3)。この場合、例えば、内軸と外軸との間に樹脂棒をシメシロ嵌合(圧入)する際に、各樹脂棒を一括して内軸および外軸に接触させることができる。したがって、各樹脂棒を組み付けるための工程を少なくできる。また、各樹脂棒を内軸または外軸に対して位置決めすることができる。さらに、各樹脂棒が対応する一対の軸方向溝内で回転(自転)することを防止できる。これにより、両軸の相対位相が所定範囲内にあるときに、内軸と外軸との間のねじり剛性に不要な変動が生じることを防止でき、その結果、操舵にがたつき感が生じることを防止できる。
また、本発明は、操舵部材の操舵に応じて回転する上記の車両操舵用伸縮軸を含む車両用操舵装置(1)を提供するものである(請求項4)。本発明によれば、操舵中立状態においても内軸および外軸の連結の剛性が確保されていることにより、良好な操舵フィーリングを達成でき、また、内軸および外軸を少ない力でスムーズに相対摺動できる車両用操舵装置を実現できる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両操舵用伸縮軸を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2の位置を、運転者に対して略上下に調節するためのチルト調節機能、および操舵部材2の位置を運転者に対して略前後に調整するためのテレスコ調節機能の双方を備えている。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両操舵用伸縮軸を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2の位置を、運転者に対して略上下に調節するためのチルト調節機能、および操舵部材2の位置を運転者に対して略前後に調整するためのテレスコ調節機能の双方を備えている。
車両用操舵装置1は、操舵部材2と、操舵部材2に連結されて操舵部材2の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸としての操舵軸3とを備えている。
操舵部材2は、操舵軸3の一端部に取り付けられている。操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている一端部が上側(アッパ側)となるように傾けて配置されている。操舵軸3の他端部は、自在継手4、中間軸5および自在継手6を介して舵取り機構7に連結されている。
操舵部材2は、操舵軸3の一端部に取り付けられている。操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている一端部が上側(アッパ側)となるように傾けて配置されている。操舵軸3の他端部は、自在継手4、中間軸5および自在継手6を介して舵取り機構7に連結されている。
舵取り機構7は、自在継手6に連なるピニオン軸8と、ピニオン軸8の一端のピニオン8aに噛み合うラック歯9aを有するラック軸9とを備えている。操舵部材2を回転操作して操舵軸3を回転したとき、舵取り機構7のピニオン8aが回転し、この回転運動がラック軸9の長手方向への直線運動に変換される。これにより、ラック軸9に連結された図示しないタイロッドを介してナックルアームを回動させ、転舵輪を操向する。
操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている筒状の外軸11と、外軸11の一端部とトルク伝達可能且つ軸方向に相対摺動可能に嵌合する一端部を有する棒状の内軸10とを有している。内軸10の他端部には、自在継手4が連結されている。
操舵軸3は、コラムチューブ12によって回転自在に支持されている。コラムチューブ12は、外軸11を取り囲む外筒13と、外筒13と軸方向に相対摺動可能に嵌合されて内軸10を取り囲む内筒14とを含んでいる。外筒13は、軸受15を介して外軸11を回転自在に且つ軸方向に同行移動可能に支持している。内筒14は、軸受16を介して、内軸10を回転自在に且つ軸方向に相対移動不能に支持している。
操舵軸3は、コラムチューブ12によって回転自在に支持されている。コラムチューブ12は、外軸11を取り囲む外筒13と、外筒13と軸方向に相対摺動可能に嵌合されて内軸10を取り囲む内筒14とを含んでいる。外筒13は、軸受15を介して外軸11を回転自在に且つ軸方向に同行移動可能に支持している。内筒14は、軸受16を介して、内軸10を回転自在に且つ軸方向に相対移動不能に支持している。
内筒14には第1のブラケット17が固定されており、車体18に固定された第2のブラケット19に、支軸20を介して支持されている。内筒14は、支軸20回りに揺動可能である。
外筒13には第3のブラケット21が固定されており、車体18に固定された第4のブラケット22と対向している。第3のブラケット21は、ロック機構23によって第4のブラケット22にロックされる。
外筒13には第3のブラケット21が固定されており、車体18に固定された第4のブラケット22と対向している。第3のブラケット21は、ロック機構23によって第4のブラケット22にロックされる。
ロック機構23の操作レバー24を操作することにより、上記ロックを解除することができる。ロックを解除することにより、外筒13および外軸11を、対応する内筒14および内軸10に対して軸方向に相対移動するテレスコ動作をすることができる。また、ロックを解除することにより、操舵軸3およびコラムチューブ12を支軸20回りに揺動させるチルト動作をすることができる。
図2は、操舵軸3の要部の分解斜視図である。図3は、操舵軸3の要部の断面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図2を参照して、操舵軸3の内軸10および外軸11は、それぞれ、金属製の高剛性部材である。これら内軸10および外軸11には、剛性連結要素としてのセレーション25が設けられている。セレーション25は、内軸10および外軸11の相対位相(内軸10の周方向Cに関する相対位置)が所定範囲を超えたときに、両軸10,11を内軸10の周方向Cに剛的に連結するものである。
図2を参照して、操舵軸3の内軸10および外軸11は、それぞれ、金属製の高剛性部材である。これら内軸10および外軸11には、剛性連結要素としてのセレーション25が設けられている。セレーション25は、内軸10および外軸11の相対位相(内軸10の周方向Cに関する相対位置)が所定範囲を超えたときに、両軸10,11を内軸10の周方向Cに剛的に連結するものである。
セレーション25は、内軸10の一端部の外周面26に設けられた雄セレーション部27と、外軸11の一端部の内周面28に設けられた雌セレーション部29と、を含んでいる。これらのセレーション部27,29は、それぞれ、対応する内軸10および外軸11の軸方向と平行に延びている。外軸11に内軸10を挿入することにより、これら雄セレーション部27および雌セレーション部29が、互いに噛み合わされる。
図3および図4を参照して、内軸10の外周面26および外軸11の内周面28のそれぞれには、互いに対向する少なくとも三対(本実施の形態において、三対)の軸方向溝31,32;33,34;35,36が形成されている。各軸方向溝31〜36は、対応する内軸10および外軸11の軸方向と平行に延びている。
外軸11の一端部の内周面28には、外軸11の周方向に沿って等間隔に3つの軸方向溝32,34,36が形成されている。また、内軸10の一端部の外周面26には、内軸10の周方向Cに沿って等間隔に3つの軸方向溝31,33,35が形成されている。
外軸11の一端部の内周面28には、外軸11の周方向に沿って等間隔に3つの軸方向溝32,34,36が形成されている。また、内軸10の一端部の外周面26には、内軸10の周方向Cに沿って等間隔に3つの軸方向溝31,33,35が形成されている。
外軸11の軸方向溝32,34,36は、それぞれ、内軸10の対応する軸方向溝31,33,35に対して、内軸10の径方向に互いに向き合っている。
外軸11の各軸方向溝32,34,36は、滑らかに湾曲した円弧面を含んでいる。内軸10の各軸方向溝31,33,35は、内軸10の周方向Cに対向する一対の壁面37,38を有している。これらの壁面37,38は、平坦とされている。これらの壁面37,38間の間隔(溝幅)は、内軸10の径方向内方に進むに従い狭くなっている。
外軸11の各軸方向溝32,34,36は、滑らかに湾曲した円弧面を含んでいる。内軸10の各軸方向溝31,33,35は、内軸10の周方向Cに対向する一対の壁面37,38を有している。これらの壁面37,38は、平坦とされている。これらの壁面37,38間の間隔(溝幅)は、内軸10の径方向内方に進むに従い狭くなっている。
図2および図3を参照して、内軸10と外軸11との間に、合成樹脂製の樹脂体39が介装されている。樹脂体39は、一体成形品であり、複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒41,42,43と、これらの樹脂棒41,42,43を連結する連結部44とを含んでいる。
連結部44は、円板状をなす主体部45を含んでいる。主体部45には、挿通孔46が形成されている。挿通孔46には、内軸10の一端面に突設された円柱状の突部47が挿通している。突部47には、プッシュナット48が取り付けられており、このプッシュナット48と内軸10の一端面とによって、連結部44の主体部45が挟まれて固定されている。
連結部44は、円板状をなす主体部45を含んでいる。主体部45には、挿通孔46が形成されている。挿通孔46には、内軸10の一端面に突設された円柱状の突部47が挿通している。突部47には、プッシュナット48が取り付けられており、このプッシュナット48と内軸10の一端面とによって、連結部44の主体部45が挟まれて固定されている。
プッシュナット48は、円板状をなしており、径方向中央部に形成された挿通孔49の周縁部が隆起している。この挿通孔49に突部47が挿通されている。挿通孔49の周縁部が、突部47に係止されている。突部47の先端は内軸10の径方向に広がっており、先端の大きさは、挿通孔46よりも小さいことが望ましい。
図2および図4を参照して、各樹脂棒41,42,43は、連結部44の主体部45から内軸10の軸方向Sに平行に延びている。これらの樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれ跨っている。各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間でシメシロ嵌合(圧入)されており、圧縮されることにより弾性変形している。
図2および図4を参照して、各樹脂棒41,42,43は、連結部44の主体部45から内軸10の軸方向Sに平行に延びている。これらの樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれ跨っている。各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間でシメシロ嵌合(圧入)されており、圧縮されることにより弾性変形している。
各樹脂棒41,42,43には、溝50が形成されている。溝50は、当該溝50が形成されている樹脂棒41,42,43の長手方向Lに平行に延びている。また、溝50は、当該溝50が形成されている樹脂棒41,42,43を長手方向Lに貫通しているが、各樹脂棒41,42,43を貫通していなくてもよい。各樹脂棒41,42,43の溝50の断面は、内軸10の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有している。
図5は、図4の一部拡大図である。図5を参照して、各溝50(図5において、樹脂棒41の溝50のみを図示)の周面は、滑らかに湾曲する円弧状の面を含む底部51と、底部51を挟んで互いに略平行に対向する一対の壁部52,53とを含んでいる。一対の壁部52,53は、内軸10の径方向と概ね平行に延びている。一対の壁部52,53間の間隔Mは、内軸10の径方向に関する何れの箇所においても、略一定とされている。
各樹脂棒41,42,43の外周面は、円弧面54を含んでいる(図5において、樹脂棒41のみを図示)。この円弧面54の周方向の両端は、溝50の対応する壁部52,53にそれぞれ連なっている。
円弧面54は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36にそれぞれ接触することにより、接触部55,56,57,58を形成している。接触部55は、対応する壁面37に線接触している。接触部56は、対応する壁面38に線接触している。接触部57,58は、対応する軸方向溝32,34,36に線接触している。
円弧面54は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36にそれぞれ接触することにより、接触部55,56,57,58を形成している。接触部55は、対応する壁面37に線接触している。接触部56は、対応する壁面38に線接触している。接触部57,58は、対応する軸方向溝32,34,36に線接触している。
図6に示す断面において、接触部57,58は、外軸10の軸線Bを中心とし且つ所定の曲率半径Rを有する円D上に並んでいる。これらの接触部57,58は、それぞれ、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36(図6において、軸方向溝32のみ図示)に対して、所定の接触角αをなして接触している。
接触角αとは、接触部57(58)における、円Dの接線と、対応する軸方向溝32,4,36の接線Eとがなす角をいう。
接触角αとは、接触部57(58)における、円Dの接線と、対応する軸方向溝32,4,36の接線Eとがなす角をいう。
換言すると、接触角αは、接触部57(58)において、対応する軸方向溝32,34,36から円弧面54に作用する力の作用線γ(垂直抗力γ)と、外軸11の軸線Bを含み且つ接触部57(58)を通る仮想の平面Fとのなす角に相当する。上記接触角αの値は、30°〜60°の範囲に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲に設定されることがより好ましい。
トルクが作用したとき、接触部57,56または接触部55,58からの力の入力により、各樹脂棒41,42,43はU型のばねとなる。このとき、U型の樹脂棒41,42,43の中心は、セレーション25のインボリュートセレーションのピッチ円上の付近に存在することにより、上記接触部57,56または接触部55,58で大幅にすべることがない。トルクTが作用した際には、上記接触部57,56または接触部55,58の何れか2箇所で接触することとなる。
図2および図3を参照して、内軸10および外軸11のそれぞれの軸線A,Bは互いに一致している。樹脂棒41,42,43の長手方向Lの長さ(以下、単に「長さ」という。)は、互いに等しい。
図7を参照して、各樹脂棒41,42,43の基端部および先端部には、それぞれ、面取り部63,64,65,66が形成されている。面取り部63は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向外側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。面取り部64は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向内側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。
図7を参照して、各樹脂棒41,42,43の基端部および先端部には、それぞれ、面取り部63,64,65,66が形成されている。面取り部63は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向外側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。面取り部64は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向内側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。
面取り部65は、各樹脂棒41,42,43の基端部のうち、径方向外側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。面取り部66は、各樹脂棒41,42,43の基端部のうち、径方向内側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。
図3および図7を参照して、上記の構成により、各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間に挿入されるときや、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36に対して摺動するとき等において、対応する軸方向溝31,32;33,34;35,36に引っ掛かり難くされている。
図3および図7を参照して、上記の構成により、各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間に挿入されるときや、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36に対して摺動するとき等において、対応する軸方向溝31,32;33,34;35,36に引っ掛かり難くされている。
各上記面取り部63〜66は、例えば、長手方向Lに対して所定の傾斜角Qを有している。なお、これらの面取り部63〜66に代えて、クラウニング部を形成してもよい。このとき、クラウニング部は、例えば、所定の曲率半径を有する湾曲面に形成される。
図3および図4を参照して、上記の構成により、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1(θ1は、所定の操舵角であり、例えば、数分程度)のとき、両軸10,11の相対位相は、所定の範囲内にある。なお、操舵角θがゼロのときは、操舵中立状態となっている。また、操舵角θは、周方向Cの一方に関して正であり、周方向Cの他方に関して負である。
図3および図4を参照して、上記の構成により、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1(θ1は、所定の操舵角であり、例えば、数分程度)のとき、両軸10,11の相対位相は、所定の範囲内にある。なお、操舵角θがゼロのときは、操舵中立状態となっている。また、操舵角θは、周方向Cの一方に関して正であり、周方向Cの他方に関して負である。
このとき、各樹脂棒41,42,43によって、両軸10,11が互いに弾性支持されている。すなわち、各樹脂棒41,42,43によって、両軸10,11がフローティング支持されている。
このとき、内軸10の雄セレーション部27および外軸11の雌セレーション部29は、互いに噛み合っていない。各樹脂棒41,42,43が、両軸10,11を周方向Cに弾性的に連結している。また、各樹脂棒41,42,43が、内軸10と外軸11との間で圧縮されて弾性変形する。
このとき、内軸10の雄セレーション部27および外軸11の雌セレーション部29は、互いに噛み合っていない。各樹脂棒41,42,43が、両軸10,11を周方向Cに弾性的に連結している。また、各樹脂棒41,42,43が、内軸10と外軸11との間で圧縮されて弾性変形する。
これにより、各一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36について、周方向Cに関する隙間が、対応する樹脂棒41,42,43によって詰められる。図6を参照して、両軸10,11間に作用するトルクTは、接触部57,58における円Dの接線方向に作用し、内軸10と外軸11の相対回転に抵抗が付与される。
図5を参照して、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、各セレーション部27,29間には、内軸10の周方向Cに関して所定の隙間Jが設けられている。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とは、互いに噛み合わない。
図5を参照して、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、各セレーション部27,29間には、内軸10の周方向Cに関して所定の隙間Jが設けられている。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とは、互いに噛み合わない。
操舵部材の操舵に伴って操舵角θの絶対値が増すに従い、各樹脂棒41,42,43が内軸10の周方向Cに圧縮されて弾性変形する。これに従い、各セレーション部27,29間の隙間Jが狭まる。
θ<−θ1となるか、または、θ1<θとなることにより、両軸10,11の相対位相が所定の範囲を超えると、対応するセレーション部27,29間の隙間がなくなり、例えば、図8に示すように、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とが互いに噛み合う。これにより、両軸10,11は、セレーション部27,29を介して互いにトルク伝達可能となる。
θ<−θ1となるか、または、θ1<θとなることにより、両軸10,11の相対位相が所定の範囲を超えると、対応するセレーション部27,29間の隙間がなくなり、例えば、図8に示すように、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とが互いに噛み合う。これにより、両軸10,11は、セレーション部27,29を介して互いにトルク伝達可能となる。
操舵角θと操舵部材に生じるトルクとの関係は、図9に示すものとなる。図9に示すように、本実施の形態における操舵角θと操舵軸3に作用するトルクとの関係を、略線形的なものにでき、その結果、1点鎖線で示す理想のグラフに近いものにできる。
したがって、操舵角θの絶対値がゼロから増すにしたがい、トルクが略線形的に増すこととなり、自然な操舵フィーリングを実現できる。操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときにはトルクが略ゼロであり、θ<−θ1、またはθ1<θとなったときに急にトルクが大きくなるといった特性とならない。その結果、操舵中立付近での操舵のふらつきを生じないようにすることができる。
したがって、操舵角θの絶対値がゼロから増すにしたがい、トルクが略線形的に増すこととなり、自然な操舵フィーリングを実現できる。操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときにはトルクが略ゼロであり、θ<−θ1、またはθ1<θとなったときに急にトルクが大きくなるといった特性とならない。その結果、操舵中立付近での操舵のふらつきを生じないようにすることができる。
本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、各樹脂棒41,42,43の溝50の断面が、内軸10の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有している。その結果、溶融樹脂を金型に射出して樹脂体39を成形した後に、当該金型のうち各溝50の内側に位置している部分のそれぞれを、対応する樹脂棒41,42,43の径方向に沿ってスムーズに引き抜くことができ、無理抜きをする必要がない。
これにより、各樹脂棒41,42,43が型抜きのときに径方向に拡がるように塑性変形することを防止でき、その結果、樹脂棒41,42,43を介した内軸10および外軸11の摩擦抵抗が大きくなることを防止できる。金属と比べて摩擦抵抗の低い樹脂棒41,42,43を介した内軸10および外軸11の滑らかな相対摺動を実現できる。両軸10,11が軸方向に相対摺動するときの摺動抵抗を格段に少なくできるので、テレスコピック調整時等に両軸10,11を少ない力でスムーズに相対摺動できる。
さらに、内軸10と外軸11との周方向Cの隙間を樹脂棒41,42,43で詰めることができる。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1であるとき(内軸10および外軸11の相対位相が所定の範囲内にあるとき)でも、樹脂棒41,42,43を介した両軸10,11の周方向Cの連結の剛性を高くできるので、両軸10,11間で回転の伝達遅れを生じることなく、両軸10,11を同行回転することができる。したがって、内軸10と外軸11との周方向Cの連結の剛性感を確保でき、良好な操舵フィーリングを達成できる。
また、少なくとも1つの樹脂棒41,42,43を両軸10,11間で十分に圧縮して弾性変形することができる。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1であるとき(内軸10および外軸11の相対位相が所定の範囲内にあるとき)でも、樹脂棒41,42,43を介した両軸10,11の周方向の連結の剛性をより高くできる。
さらに、比較的形成し易い樹脂棒41,42,43を用いることができることにより、樹脂棒41,42,43(樹脂体39)の歩留まりをよくでき、製造コストを少なくできる。また、各樹脂棒41,42,43を一部品にでき、部品点数の低減を通じて製造コストを低減することができる。
さらに、比較的形成し易い樹脂棒41,42,43を用いることができることにより、樹脂棒41,42,43(樹脂体39)の歩留まりをよくでき、製造コストを少なくできる。また、各樹脂棒41,42,43を一部品にでき、部品点数の低減を通じて製造コストを低減することができる。
また、各樹脂棒41,42,43は、溝50が設けられていることにより、両軸10,11との接触面積を少なくでき、その結果、両軸10,11の相対摺動時の摺動荷重をより少なくできる。
また、内軸10の一端に連結部44が固定されている。内軸10と外軸11との間に各樹脂棒41,42,43をシメシロ嵌合(圧入)する際に、各樹脂棒41,42,43を一括して内軸10および外軸11に接触させることができる。したがって、各樹脂棒41,42,43を組み付けるための工程を少なくできる。さらに、各樹脂棒41,42,43を内軸10に対して位置決めすることができる。また、各樹脂棒41,42,43が対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36内で回転(自転)することを防止できる。その結果、両軸10,11の相対位相が所定の範囲内にあるときに、内軸10と外軸11との間のねじり剛性に不要な変動が生じることを防止でき、操舵角θが小さいときでも、操舵にがたつき感が生じることを防止できる。
また、内軸10の一端に連結部44が固定されている。内軸10と外軸11との間に各樹脂棒41,42,43をシメシロ嵌合(圧入)する際に、各樹脂棒41,42,43を一括して内軸10および外軸11に接触させることができる。したがって、各樹脂棒41,42,43を組み付けるための工程を少なくできる。さらに、各樹脂棒41,42,43を内軸10に対して位置決めすることができる。また、各樹脂棒41,42,43が対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36内で回転(自転)することを防止できる。その結果、両軸10,11の相対位相が所定の範囲内にあるときに、内軸10と外軸11との間のねじり剛性に不要な変動が生じることを防止でき、操舵角θが小さいときでも、操舵にがたつき感が生じることを防止できる。
さらに、各樹脂棒41,42,43の円弧面54を、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36に所定の接触角αをもった状態で線接触させている。これにより、各樹脂棒41,42,43と上記対向する軸方向溝32,34,36との摺動摩擦(面圧)を可及的に少なくでき、各樹脂棒41,42,43の摩耗を確実に抑制できる。
また、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときに、各樹脂棒41,42,43によって両軸10,11を周方向Cに弾性的に連結している。操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときでも、樹脂棒41,42,43によって内軸10と外軸11とを周方向Cに連結することにより、操舵部材2を操舵したときに操舵角θに応じた入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを生じさせることができる。その結果、操舵不足または操舵過剰を防止でき、運転者の操舵のふらつきを防止できる。
また、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときに、各樹脂棒41,42,43によって両軸10,11を周方向Cに弾性的に連結している。操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときでも、樹脂棒41,42,43によって内軸10と外軸11とを周方向Cに連結することにより、操舵部材2を操舵したときに操舵角θに応じた入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを生じさせることができる。その結果、操舵不足または操舵過剰を防止でき、運転者の操舵のふらつきを防止できる。
さらに、操舵角θがθ<−θ1、またはθ1<θとなる前には、操舵反力がある程度生じているので、操舵角θがθ<−θ1、またはθ1<θとなる前後における伝達トルクの急峻な変化を防止でき、滑らかに入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを上昇できる。したがって、運転者に無用なトルク変動を与えず、路面状態・車両挙動等の運転者が必要とする情報のみを伝えることができる。その結果、操舵角θがゼロである操舵中立付近での操舵のふらつきがなくなり、操舵部材2から得られる操舵装置1の安定感を向上できる。
また、操舵部材2を操舵中立状態から急操舵したときには、内軸10外軸11の間の各樹脂棒41,42,43が圧縮されつつ、内軸10の雄セレーション部27と外軸11の雌セレーション部29とが互いに接触することとなる。このとき、各樹脂棒41,42,43が緩衝作用を発揮することとなり、各セレーション部27,29の剛的な接触の際に噛み合いによる音が出ることを防止できる。
以上のように、無理抜きをすることなく樹脂棒41〜43を形成でき、また、操舵中立状態においても内軸10および外軸11の連結の剛性が確保されていることにより、良好な操舵フィーリングを達成でき、さらに、内軸10および外軸11を少ない力でスムーズに相対摺動でき、しかも製造コストの少ない車両用操舵装置1を実現できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
なお、以下では、図1〜図9に示す上記実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については図に同様の符号を付してその説明を省略する。
例えば、図10に示す樹脂体39Jを用いてもよい。樹脂体39Jは、3つの樹脂棒41J,42J,43Jと、これらの樹脂棒41J,42J,43Jを互いに連結する連結部44とを含んでいる。
例えば、図10に示す樹脂体39Jを用いてもよい。樹脂体39Jは、3つの樹脂棒41J,42J,43Jと、これらの樹脂棒41J,42J,43Jを互いに連結する連結部44とを含んでいる。
各樹脂棒41J,42J,43Jの長手方向Lの長さは互いに等しくされている。各樹脂棒41J,42J,43Jの長手方向Lの中間部に、肉抜き部59Jが形成されている。肉抜き部59Jは、長手方向Lに関する各樹脂棒41J,42J,43Jの中間部に形成されており、各樹脂棒41J,42J,43Jの一端部および他端部の何れにも開放されていない。
図11および図12を参照して、肉抜き部59は、内軸10の径方向に関する樹脂棒41J,42J,43Jの外径側の一部に逃がし部71を形成してなる。肉抜き部59には、接触部55,56,57,58のうちの接触部55,56のみが形成されている。肉抜き部59は、内軸10および外軸11の片方である内軸10にのみ当接する片当たり部とされている。各肉抜き部59Jは、外軸11と接触しないようにされている。
各樹脂棒41J,42J,43Jの長手方向Lの一対の端部のそれぞれに、両当たり部60Jが形成されている。各両当たり部60Jは、内軸10と外軸11の双方に接触している。各両当たり部60Jには、前記接触部55,56,57,58が形成されている。
各樹脂棒41J,42J,43Jは、内軸10と外軸11の対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれシメシロ嵌合(圧入)されており、これらの内軸10および外軸11に圧縮されることにより、弾性変形している。
各樹脂棒41J,42J,43Jは、内軸10と外軸11の対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれシメシロ嵌合(圧入)されており、これらの内軸10および外軸11に圧縮されることにより、弾性変形している。
上記の構成により、各樹脂棒41J,42J,43Jは、長手方向Lに離隔した2箇所で、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36に接触している。これにより、各樹脂棒41J,42J,43Jの一対の両当たり部60Jは、長手方向Lに関して、内軸10と外軸11とを2箇所で弾性的に支持している。また、3つの樹脂棒41J,42J,43Jが、内軸10の周方向に等間隔に配置されている。その結果、内軸10および外軸11の相対位相が所定の範囲内にあるとき、これら3つの樹脂棒41J,42J,43Jによって、内軸10と外軸11とが互いに直接接触することなく支持(フローティング支持)されている。
図13は、樹脂体39Jを用いたときの作用を説明するための要部の模式図である。図13を参照して、操舵部材2からトルクが入力されたとき、内軸10のうち、操舵部材2に近い側の各両当たり部60Jに接触している箇所P1が先に捩れる。その後、内軸10のうち、操舵部材2に遠い側の各両当たり部60Jに接触している箇所P2が遅れて捩れる。
このとき、内軸10と外軸11は、図11および図12に示すように、各樹脂棒41J,42J,43Jのそれぞれの両当たり部60Jによって、長手方向Lの2箇所で支持されているので、この捩れによるこじりが生じないようにされる。また、各樹脂棒41J,42J,43Jを連結部44で連結していることにより、上記箇所P2(図13参照)に接する各両当たり部60Jは、トルク伝達時に自転による位置ずれを生じないようにされている。その結果、内軸10および外軸11の相対位相が所定の範囲内にある微操舵の領域において、良好な剛性感を運転者に与えることができる。
この場合、操舵部材2の操舵角と操舵部材2に作用するトルクとの関係は、図14に示すものとなり、理想に近い略線形の関係にできる。
また、肉抜き部59Jを設けていることにより、各樹脂棒41J,42J,43Jと両軸10,11との接触面積を少なくできる。その結果、内軸10および外軸11が相対摺動するときの摺動抵抗をより低減でき、テレスコピック調整をより少ない力でスムーズに行うことができる。また、肉抜き部59Jの長さ等を適宜設定することにより、摺動抵抗を所望の値にできる。
また、肉抜き部59Jを設けていることにより、各樹脂棒41J,42J,43Jと両軸10,11との接触面積を少なくできる。その結果、内軸10および外軸11が相対摺動するときの摺動抵抗をより低減でき、テレスコピック調整をより少ない力でスムーズに行うことができる。また、肉抜き部59Jの長さ等を適宜設定することにより、摺動抵抗を所望の値にできる。
さらに、各樹脂棒41J,42J,43Jが長手方向Lに離隔した2箇所で内軸10および外軸11を支持していることにより、内軸10および外軸11の相対摺動時のがたつきを防止できる。
さらに、長手方向Lに関して、各樹脂棒41J,42J,43Jが対応する外軸11を支持する長さ(支持スパン)を、肉抜き部59Jが形成されていない樹脂棒と同じにできることにより、外軸11を確実に弾性支持できる。
さらに、長手方向Lに関して、各樹脂棒41J,42J,43Jが対応する外軸11を支持する長さ(支持スパン)を、肉抜き部59Jが形成されていない樹脂棒と同じにできることにより、外軸11を確実に弾性支持できる。
また、図15に示すように、外軸11に固定される連結部44Kを含む樹脂体39Kを用いてもよい。連結部44Kは、円環状をなしており、外軸11の一端面に固定されている。各樹脂棒(図15において、1つの樹脂棒41のみを図示)は、連結部44Kから、内軸10の一端部に向けて延びている。
さらに、各上記実施の形態において、連結部に連結されていない単品の樹脂棒を用いてもよい。
さらに、各上記実施の形態において、連結部に連結されていない単品の樹脂棒を用いてもよい。
さらに、セレーション25に代えて、スプラインを設けてもよい。この場合、スプラインの雄スプライン部は、内軸10の外周面26に形成され、雌スプライン部は、外軸11の内周面28に形成される。
また、内軸10と外軸11の相対向する軸方向溝は、4対以上設けられていてもよい。
さらに、電動モータで操舵軸に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置や、油圧シリンダでラック軸に操舵補助力を付与する油圧パワーステアリング装置等のパワーステアリング装置に、本発明を適用することができる。
また、内軸10と外軸11の相対向する軸方向溝は、4対以上設けられていてもよい。
さらに、電動モータで操舵軸に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置や、油圧シリンダでラック軸に操舵補助力を付与する油圧パワーステアリング装置等のパワーステアリング装置に、本発明を適用することができる。
この場合、操舵補助力の付与が開始される操舵角θの絶対値は、上記所定の操舵角θ1に相当するように設定される。すなわち、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1である領域は、操舵部材2の操舵にかかわらず操舵補助力が生じない、いわゆる不感帯領域とされる。操舵補助力が付与されない程度の微小な操舵角(不感帯領域)のとき、各樹脂棒のみを介して内軸10と外軸11との間でトルクが伝達される。
また、本発明を、操舵部材と舵取り機構との間に配置される中間軸に適用してもよい。
1…車両用操舵装置、2…操舵部材、3…操舵軸(車両操舵用伸縮軸)、10…内軸、11…外軸、25…セレーション(剛性連結要素)、26…(内軸の)外周面、28…(外軸の)内周面、31,32,33,34,35,36…軸方向溝、41,41J…樹脂棒、42,42J…樹脂棒、43,43J…樹脂棒、44,44K…連結部(連結部材)、50…溝、59J…肉抜き部、C…周方向、L…長手方向、S…軸方向。
Claims (4)
- 操舵部材の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸において、
軸方向に相対摺動可能に且つ互いにトルク伝達可能に嵌め合わされた内軸および筒状の外軸と、
内軸および外軸の相対位相が所定範囲を超えたときに、両軸を周方向に剛的に連結する剛性連結要素と、
内軸の外周面および外軸の内周面のそれぞれに形成されて互いに対向する少なくとも三対の軸方向溝と、
上記対をなす軸方向溝間にそれぞれ跨り、内軸および外軸の相対位相が上記所定範囲内にあるときに、両軸を周方向に弾性的に連結する複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒と、を含み、
各上記樹脂棒が、その長手方向に延びる溝を形成しており、その溝の断面は、内軸の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有していることを特徴とする車両操舵用伸縮軸。 - 請求項1において、上記樹脂棒は、肉抜き部が形成された樹脂棒を含む車両操舵用伸縮軸。
- 請求項1または2において、上記内軸および外軸の何れか一方の一端に固定され、上記複数の樹脂棒を連結した連結部を含む車両操舵用伸縮軸。
- 操舵部材の操舵に応じて回転する請求項1〜3の何れか1項に記載の車両操舵用伸縮軸を含む車両用操舵装置。
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