JP5035623B2 - 車両用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置 - Google Patents

車両用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両用伸縮軸およびこれを備える車両用操舵装置に関する。
通例、車両には、操舵部材等の回転を伝達するための軸部材が備えられている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開昭60−215123号公報 米国特許第3757601号明細書 米国特許第6557433号明細書 米国特許第6620050号明細書 米国特許第5709605号明細書
上記の軸部材には、特許文献2〜5に示されているような伸縮可能な構造を有しているものがある。また、金属製の内軸と筒状の外軸にそれぞれスプライン歯を形成するとともに、内軸のスプライン歯に樹脂コーティングを施し、両軸のスプライン歯を嵌め合わせることにより、伸縮構造を実現したものがある。このような車両用伸縮軸において、温度条件に拘わらず性能を維持でき、許容伝達トルクを更に向上でき、内軸と外軸との連結の剛性感を確保でき、内軸と外軸との間で音が生じることを防止でき、且つ製造コストを低減できるようにすることが要請されている。本発明はこれらの課題を解決することを目的とする。
本願発明者は、上記の樹脂コーティングを施した構造では、(i)大きなトルクが作用すると樹脂コーティングが剥離することによりスプライン歯が剛体同士の接触となって異音が生じることから、大トルクをかけられず、しかも(ii)製造コストが高いという課題に着目した。製造コストが高くなるのは、両軸間の相対摺動を滑らかにするためにスプラインの歯の周方向の隙間(ガタ)を確保し且つガタ音を防止するために隙間を最小限にする必要があることから、樹脂コーティングの膜厚を精度よく設定しなければならないからである。
そこで、本願発明者は、樹脂コーティングを廃止する代わりに、金属製の内軸と外軸との間に樹脂棒を介装し、両軸の相対位相(相対回転量)が少ないときには樹脂棒を介して両軸間でトルク伝達するようにし、両軸の相対位相が大きいときには両軸が直接接触してトルクを伝達する構成を想到した。
しかしながら、両軸と樹脂棒の線膨張率の違いから、温度条件によっては樹脂棒と両軸との隙間が意図しない値になり、隙間が小さくなって摺動荷重が増加したり、隙間が大きくなって両軸間の周方向のガタが大きくなったりするという課題がある。
かかる知見に基づいてなされた本発明は、軸方向(S)に相対摺動可能に且つ互いにトルク伝達可能に嵌め合わされた内軸(10)および筒状の外軸(11)と、内軸および外軸の相対位相が所定範囲を超えたときに、両軸を周方向(C)に剛的に連結する剛性連結要素(25)と、内軸の外周面(26)および外軸の内周面(28)のそれぞれに形成されて互いに対向する少なくとも三対の軸方向溝(31,32,33,34,35,36)と、上記対をなす軸方向溝間にそれぞれ跨り、内軸および外軸の相対位相が上記所定範囲内にあるときに、両軸を周方向に弾性的に連結する複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒(41,42,43)と、を含み、各上記樹脂棒は、−40℃〜85℃のときの弾性率が2000MPa〜3500MPaの範囲内に設定されており、且つ−40℃〜85℃のときの線膨張率が5×10−5/℃〜10×10−5/℃の範囲内に設定されていることを特徴とする車両用伸縮軸(3)を提供するものである(請求項1)。
本発明によれば、両軸間のトルクが大きくて相対位相が所定の範囲を超えたときには、剛性連結要素が互いに連結するので、各樹脂棒に作用する力が小さくて済む。これにより、各樹脂棒が塑性変形等を生じることなく両軸間で大トルクを伝達することができ、許容伝達トルクを向上できる。また、内軸と外軸との間に緩衝効果を有する樹脂棒が介装されていることにより、両軸間の周方向のガタつき音を防止できる。また、各樹脂棒の熱膨張率が小さいことから、温度変化に起因する各樹脂棒と両軸との間の寸法変化を抑制できる。その結果、樹脂棒が大きく膨張して摺動抵抗が過大になることを防止でき、また、樹脂棒が収縮して両軸間に周方向のガタが生じることを防止できるので、温度条件に拘わらず性能を維持できる。さらに、両軸に、コストのかかるコーティング層を形成する必要がないので、車両用伸縮軸をコスト安価に製造できる。
また、各樹脂棒の弾性率を2000MPa以上としていることにより、各樹脂棒が必要な剛性を確保できることから、両軸の相対位相が所定範囲内にあるときに両軸の連結の剛性を高くでき、トルクの伝達遅れを防止できる。また、各樹脂棒の弾性率を3500MPa未満としていることにより、各樹脂棒が硬くなりすぎることを防止でき、各樹脂棒が消音部材として十分な消音効果を発揮することができる。
さらに、各樹脂棒の線膨張率を10×10−5/℃以下に設定することにより、各樹脂棒の温度変化に伴う寸法変化を十分に小さくできる。これにより、温度条件に拘らず、両軸間の摺動抵抗が不用意に増してしまうことを防止する等の性能を維持できる。また、各樹脂棒の線膨張率を5×10−5/℃以上に設定することにより、線膨張率が極めて小さいコストの高い材料を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、本発明において、各上記樹脂棒は、半芳香族ポリアミドを用いて形成されている場合がある(請求項2)。この場合、各樹脂棒の温度変化に対する寸法変化を少なくすることができ、樹脂棒の直径に関する寸法公差を大きくできる。
また、本発明において、各上記樹脂棒は、ポリオキシメチレンを用いて形成されている場合がある(請求項3)。この場合、温度変化に起因して寸法変化が生じたときでも、内軸および外軸のそれぞれに対する摩擦抵抗の変化を小さくでき、内軸と外軸との摺動抵抗が不用意に変化することを抑制できる。
また、本発明において、各上記樹脂棒は靭性を改質する改質剤を用いて形成されている場合がある(請求項4)。この場合、各樹脂棒の靭性を増すことにより疲労強度を増して各樹脂棒を折れ難くでき、各樹脂棒の耐久性をより増すことができる。
また、本発明は、操舵部材(2)の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸として上記の車両用伸縮軸を含む車両用操舵装置(1)を提供するものである(請求項5)。この場合、大きな操舵トルクを伝達できるとともに温度条件に拘らず性能を維持でき、且つコスト安価な車両用操舵装置を実現できる。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両操舵用伸縮軸を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2の位置を、運転者に対して略上下に調節するためのチルト調節機能、および操舵部材2の位置を運転者に対して略前後に調整するためのテレスコ調節機能の双方を備えている。
車両用操舵装置1は、操舵部材2と、操舵部材2に連結されて操舵部材2の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸としての操舵軸3とを備えている。
操舵部材2は、操舵軸3の一端部に取り付けられている。操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている一端部が上側(アッパ側)となるように傾けて配置されている。操舵軸3の他端部は、自在継手4、中間軸5および自在継手6を介して舵取り機構7に連結されている。
舵取り機構7は、自在継手6に連なるピニオン軸8と、ピニオン軸8の一端のピニオン8aに噛み合うラック歯9aを有するラック軸9とを備えている。操舵部材2を回転操作して操舵軸3を回転したとき、舵取り機構7のピニオン8aが回転し、この回転運動がラック軸9の長手方向への直線運動に変換される。これにより、ラック軸9に連結された図示しないタイロッドを介してナックルアームを回動させ、転舵輪を操向する。
操舵軸3は、操舵部材2が取り付けられている筒状の外軸11と、外軸11の一端部とトルク伝達可能且つ軸方向に相対摺動可能に嵌合する一端部を有する棒状の内軸10とを有している。内軸10の他端部には、自在継手4が連結されている。
操舵軸3は、コラムチューブ12によって回転自在に支持されている。コラムチューブ12は、外軸11を取り囲む外筒13と、外筒13と軸方向に相対摺動可能に嵌合されて内軸10を取り囲む内筒14とを含んでいる。外筒13は、軸受15を介して外軸11を回転自在に且つ軸方向に同行移動可能に支持している。内筒14は、軸受16を介して、内軸10を回転自在に且つ軸方向に相対移動不能に支持している。
内筒14には第1のブラケット17が固定されており、車体18に固定された第2のブラケット19に、支軸20を介して支持されている。内筒14は、支軸20回りに揺動可能である。
外筒13には第3のブラケット21が固定されており、車体18に固定された第4のブラケット22と対向している。第3のブラケット21は、ロック機構23によって第4のブラケット22にロックされる。
ロック機構23の操作レバー24を操作することにより、上記ロックを解除することができる。ロックを解除することにより、外筒13および外軸11を、対応する内筒14および内軸10に対して軸方向に相対移動するテレスコ動作をすることができる。また、ロックを解除することにより、操舵軸3およびコラムチューブ12を支軸20回りに揺動させるチルト動作をすることができる。
図2は、操舵軸3の要部の分解斜視図である。図3は、操舵軸3の要部の断面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図2を参照して、操舵軸3の内軸10および外軸11は、それぞれ、金属製の高剛性部材である。これら内軸10および外軸11には、剛性連結要素としてのセレーション25が設けられている。セレーション25は、内軸10および外軸11の相対位相(内軸10の周方向Cに関する相対位置)が所定範囲を超えたときに、両軸10,11を内軸10の周方向Cに剛的に連結するものである。
セレーション25は、内軸10の一端部の外周面26に設けられた雄セレーション部27と、外軸11の一端部の内周面28に設けられた雌セレーション部29と、を含んでいる。これらのセレーション部27,29は、それぞれ、対応する内軸10および外軸11の軸方向と平行に延びている。外軸11に内軸10を挿入することにより、これら雄セレーション部27および雌セレーション部29が、互いに噛み合わされる。
図3および図4を参照して、内軸10の外周面26および外軸11の内周面28のそれぞれには、互いに対向する少なくとも三対(本実施の形態において、三対)の軸方向溝31,32;33,34;35,36が形成されている。各軸方向溝31〜36は、対応する内軸10および外軸11の軸方向と平行に延びている。
外軸11の一端部の内周面28には、外軸11の周方向に沿って等間隔に3つの軸方向溝32,34,36が形成されている。また、内軸10の一端部の外周面26には、内軸10の周方向Cに沿って等間隔に3つの軸方向溝31,33,35が形成されている。
外軸11の軸方向溝32,34,36は、それぞれ、内軸10の対応する軸方向溝31,33,35に対して、内軸10の径方向に互いに向き合っている。
外軸11の各軸方向溝32,34,36は、滑らかに湾曲した円弧面を含んでいる。内軸10の各軸方向溝31,33,35は、内軸10の周方向Cに対向する一対の壁面37,38を有している。これらの壁面37,38は、平坦とされている。これらの壁面37,38間の間隔(溝幅)は、内軸10の径方向内方に進むに従い狭くなっている。
図2および図3を参照して、内軸10と外軸11との間に、合成樹脂製の樹脂体39が介装されている。樹脂体39は、一体成形品であり、複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒41,42,43と、これらの樹脂棒41,42,43を連結する連結部44とを含んでいる。
連結部44は、円板状をなす主体部45を含んでいる。主体部45には、挿通孔46が形成されている。挿通孔46には、内軸10の一端面に突設された円柱状の突部47が挿通している。突部47には、プッシュナット48が取り付けられており、このプッシュナット48と内軸10の一端面とによって、連結部44の主体部45が挟まれて固定されている。
プッシュナット48は、円板状をなしており、径方向中央部に形成された挿通孔49の周縁部が隆起している。この挿通孔49に突部47が挿通されている。挿通孔49の周縁部が、突部47に係止されている。突部47の先端は内軸10の径方向に広がっており、先端の大きさは、挿通孔46よりも小さいことが望ましい。
図2および図4を参照して、各樹脂棒41,42,43は、連結部44の主体部45から内軸10の軸方向Sに平行に延びている。これらの樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間にそれぞれ跨っている。各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間でシメシロ嵌合(圧入)されており、圧縮されることにより弾性変形している。
各樹脂棒41,42,43には、溝50が形成されている。溝50は、当該溝50が形成されている樹脂棒41,42,43の長手方向Lに平行に延びている。また、溝50は、当該溝50が形成されている樹脂棒41,42,43を長手方向Lに貫通しているが、各樹脂棒41,42,43を貫通していなくてもよい。各樹脂棒41,42,43の溝50の断面は、内軸10の径方向外方に向けて開放するU字形形状を有している。
図5は、図4の一部拡大図である。図5を参照して、各溝50(図5において、樹脂棒41の溝50のみを図示)の周面は、滑らかに湾曲する円弧状の面を含む底部51と、底部51を挟んで互いに略平行に対向する一対の壁部52,53とを含んでいる。一対の壁部52,53は、内軸10の径方向と概ね平行に延びている。一対の壁部52,53間の間隔Mは、内軸10の径方向に関する何れの箇所においても、略一定とされている。
各樹脂棒41,42,43の外周面は、円弧面54を含んでいる(図5において、樹脂棒41のみを図示)。この円弧面54の周方向の両端は、溝50の対応する壁部52,53にそれぞれ連なっている。
円弧面54は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36にそれぞれ接触することにより、接触部55,56,57,58を形成している。接触部55は、対応する壁面37に線接触している。接触部56は、対応する壁面38に線接触している。接触部57,58は、対応する軸方向溝32,34,36に線接触している。
各樹脂棒41,42,43は、対応する軸方向溝31,32;33,34;35,36間に介装されているときの直径Gが、外力が作用していない自由状態のときと比べて小さい。自由状態のときの直径Gは、例えば、約4〜5.5mmである。
図6に示す断面において、接触部57,58は、外軸10の軸線Bを中心とし且つ所定の曲率半径Rを有する円D上に並んでいる。これらの接触部57,58は、それぞれ、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36(図6において、軸方向溝32のみ図示)に対して、所定の接触角αをなして接触している。
接触角αとは、接触部57(58)における、円Dの接線と、対応する軸方向溝32,4,36の接線Eとがなす角をいう。
換言すると、接触角αは、接触部57(58)において、対応する軸方向溝32,34,36から円弧面54に作用する力の作用線γ(垂直抗力γ)と、外軸11の軸線Bを含み且つ接触部57(58)を通る仮想の平面Fとのなす角に相当する。上記接触角αの値は、30°〜60°の範囲に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲に設定されることがより好ましい。
図4を参照して、トルクが作用したとき、接触部57,56または接触部55,58からの力の入力により、各樹脂棒41,42,43はU型のばねとなる。このとき、U型の樹脂棒41,42,43の中心は、セレーション25のインボリュートセレーションのピッチ円上の付近に存在することにより、上記接触部57,56または接触部55,58で大幅にすべることがない。トルクTが作用した際には、上記接触部57,56または接触部55,58の何れか2箇所で接触することとなる。
図2および図3を参照して、内軸10および外軸11のそれぞれの軸線A,Bは互いに一致している。樹脂棒41,42,43の長手方向Lの長さ(以下、単に「長さ」という。)は、互いに等しい。
図7を参照して、各樹脂棒41,42,43の基端部および先端部には、それぞれ、面取り部63,64,65,66が形成されている。面取り部63は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向外側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。面取り部64は、各樹脂棒41,42,43の先端部のうち、径方向内側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。
面取り部65は、各樹脂棒41,42,43の基端部のうち、径方向外側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。面取り部66は、各樹脂棒41,42,43の基端部のうち、径方向内側の端部に形成されており、滑らかな傾斜面を構成している。
図3および図7を参照して、上記の構成により、各樹脂棒41,42,43は、対応する一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36間に挿入されるときや、外軸11の対応する軸方向溝32,34,36に対して摺動するとき等において、対応する軸方向溝31,32;33,34;35,36に引っ掛かり難くされている。
各上記面取り部63〜66は、例えば、長手方向Lに対して所定の傾斜角Qを有している。なお、これらの面取り部63〜66に代えて、クラウニング部を形成してもよい。このとき、クラウニング部は、例えば、所定の曲率半径を有する湾曲面に形成される。
図3および図4を参照して、上記の構成により、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1(θ1は、所定の操舵角であり、例えば、数分程度)のとき、両軸10,11の相対位相は、所定の範囲内にある。なお、操舵角θがゼロのときは、操舵中立状態となっている。また、操舵角θは、周方向Cの一方に関して正であり、周方向Cの他方に関して負である。
このとき、各樹脂棒41,42,43によって、両軸10,11が互いに弾性支持されている。すなわち、各樹脂棒41,42,43によって、両軸10,11がフローティング支持されている。
このとき、内軸10の雄セレーション部27および外軸11の雌セレーション部29は、互いに噛み合っていない。各樹脂棒41,42,43が、両軸10,11を周方向Cに弾性的に連結している。また、各樹脂棒41,42,43が、内軸10と外軸11との間で圧縮されて弾性変形する。
これにより、各一対の軸方向溝31,32;33,34;35,36について、周方向Cに関する隙間が、対応する樹脂棒41,42,43によって詰められる。図6を参照して、両軸10,11間に作用するトルクTは、接触部57,58における円Dの接線方向に作用し、内軸10と外軸11の相対回転に抵抗が付与される。
図5を参照して、操舵部材の操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、各セレーション部27,29間には、内軸10の周方向Cに関して所定の隙間Jが設けられている。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のとき、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とは、互いに噛み合わない。
操舵部材の操舵に伴って操舵角θの絶対値が増すに従い、各樹脂棒41,42,43が内軸10の周方向Cに圧縮されて弾性変形する。これに従い、各セレーション部27,29間の隙間Jが狭まる。
θ<−θ1となるか、または、θ1<θとなることにより、両軸10,11の相対位相が所定の範囲を超えると、対応するセレーション部27,29間の隙間がなくなり、例えば、図8に示すように、雄セレーション部27と、雌セレーション部29とが互いに噛み合う。これにより、両軸10,11は、セレーション部27,29を介して互いにトルク伝達可能となる。
再び図2を参照して、本実施の形態の特徴の1つは、各樹脂棒41,42,43は、−40℃〜85℃のときの弾性率としての圧縮弾性率の平均値が2000MPa〜3500MPaの範囲内に設定されており、且つ−40℃〜85℃のときの線膨張率の平均値が5×10−5/℃〜10×10−5/℃の範囲内に設定されている点にある。
−40℃〜85℃のときの各樹脂棒41,42,43の圧縮弾性率の平均値が2000MPa未満であると、各樹脂棒41,42,43が柔らかくなり過ぎる結果、両軸10,11の相対位相が所定範囲内にあるときに両軸10,11の連結の剛性が低くなり、トルクの伝達遅れが生じて操舵フィーリングに欠けてしまう。また、各樹脂棒41,42,43の圧縮弾性率の平均値が3500MPaを超えると、各樹脂棒41,42,43が消音部材としての効果を十分に発揮し難い。
−40℃〜85℃のときの各樹脂棒41,42,43の線膨張率の平均値を5×10−5/℃未満にしようとすると、線膨張率の極めて低い樹脂材料を採用する必要があり、材料コストの高騰を通じて製造コストが高くなってしまう。また、各樹脂棒41,42,43の線膨張率の平均値が10×10−5/℃より大きいと、各樹脂棒41,42,43の温度変化に伴う当該樹脂棒の径方向の寸法変化が大きくなり、両軸10,11間の摺動抵抗が許容範囲を超えて増し易い。
各樹脂棒41,42,43は、例えば、半芳香族ポリアミド、またはポリオキシメチレン(POM)を用いて形成されている。
半芳香族ポリアミドは、芳香環と高級脂肪族鎖とを含む化学構造を有している。この半芳香族ポリアミドとしては、ポリアミド9T(PA9T)が挙げられる。
PA9Tは、ノナンジアミンを使用した半芳香族ポリアミド樹脂であり、融点が約306℃である。
上記半芳香族ポリアミドまたはポリオキシメチレンには、靭性を改質する靭性改質剤が添加されていることが好ましい。
靭性改質剤は、各樹脂棒41,42,43の靭性を向上させて繰り返し荷重に対する耐久性を高めるためのものである。靭性改質剤としては、ポリオレフィン、およびエラストマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が用いられることが好ましい。
このうちポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテンおよびエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)等が挙げられる。このうち、反応性が良好な反応性ポリオレフィンとしてEGMAを用いることが好ましい。
エラストマーとしては、天然ゴムの他、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、サントプレーン(登録商標、アドバンストエラストマーシステムズ社製)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴムや、スチレン系、ウレタン系、エステル系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。このうち、EPDMを用いることが好ましい。靭性改質剤は、それぞれ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
各樹脂棒41,42,43の総質量中に占める靭性改質剤の質量の割合は、10質量%以下(ゼロを含まず)に設定されるのが好ましく、5質量%〜10質量%の範囲に設定されるのがより好ましい。エラストマーの添加量が10質量%を超えると、各樹脂棒41,42,43の弾性率の低下が大きくなり、各樹脂棒41,42,43が柔らかくなり過ぎてしまい、各樹脂棒41,42,43を介した両軸10,11の連結の剛性が低くなるからである。各樹脂棒41,42,43を介した両軸10,11の連結の剛性が低いと、リニアな操舵フィーリングを得難い。
なお、無機系充填剤を用いると弾性率が上記の範囲を超えてしまうので、本実施の形態では採用していない。
また、上記の靭性改質剤を用いなくてもよい。この場合の各樹脂棒41,42,43の材料として、例えば、PA9Tを用いた、「(株)クラレ製、ジェネスタ(登録商標)、N1000A」を挙げることができる。
上記N1000Aは、弾性率が2400MPa、−40℃〜85℃における線膨張率の平均値は、約6.0×10−5/℃である。
なお、ポリアミド66(PA66)は、−40℃〜85℃における、弾性率の平均値が2800MPa、線膨張率の平均値が約9.0×10−5/℃であることから、ポリアミド66を用いて各樹脂棒41,42,43を形成してもよい。
また、靭性改質剤を用いた場合の各樹脂棒41,42,43の材料として、例えば、PA9Tを用いた、「(株)クラレ製、ジェネスタ(登録商標)、N1001A」を挙げることができる。上記N1001Aは、−40℃〜85℃の範囲において、弾性率の平均値が2200MPa、線膨張率の平均値が約6.7×10−5/℃である。
以下では、各樹脂棒41,42,43を、PA9Tで形成した場合と、POMで形成した場合のそれぞれについて説明する。
図9は、樹脂棒41の径方向に関する弾性変形量と、樹脂棒41と軸方向溝32との間の摺動荷重の関係を示すグラフ図である。
図9を参照して、グラフの横軸は、樹脂棒41の自由状態における直径Gと、軸方向溝31,32間に介装されたときの直径Gとの差としての直径差ΔGを示している。なお、上記軸方向溝31,32間に介装されたときの直径Gは、操舵中立状態のときの直径である。グラフの縦軸は、樹脂棒41と外軸11の軸方向溝32との間の摺動荷重Hである。
グラフの太実線は、PA9T製の樹脂棒41の、室温(20℃)時における直径差ΔGと摺動荷重Hとの関係を示しており、グラフの太破線は、PA9T製の樹脂棒41の、高温(80℃)時における直径差ΔGと摺動荷重Hとの関係を示している。
また、グラフの細実線は、POM製の樹脂棒41の、室温(20℃)時における直径差ΔGと摺動荷重Hとの関係を示しており、グラフの細破線は、POM製の樹脂棒41の、高温(80℃)時における直径差ΔGと摺動荷重Hとの関係を示している。
例えば、直径差ΔGの設計上の許容値の下限としての許容下限値は、約0.03mm、設計上の許容値の上限としての許容上限値は約0.13mmとされる。
PA9Tを用いて樹脂棒41を形成した場合、室温時と高温時のそれぞれにおいて、直径差ΔGが許容下限値付近であるときの摺動荷重Hは、30N未満と極めて低い。また、直径差ΔGが許容下限値付近であるときの摺動荷重Hが極めて低いことから、直径差ΔGが許容上限値付近であるときも、摺動荷重Hは、60N未満の十分に低い値となっている。
POMを用いて樹脂棒41を形成した場合、室温時と高温時のそれぞれにおいて、直径差ΔGが許容下限値付近であるときの摺動荷重Hは、40N未満と極めて低い。また、直径差ΔGの増加に対する摺動荷重Hの増加の割合が極めて小さいことから、直径差ΔGが許容上限値付近であるときも、摺動荷重Hは、60N未満の十分に低い値となっている。
樹脂棒42,43のそれぞれについても、図9を用いて説明した樹脂棒41の構成および作用と同様の構成および作用を有している。
図10は、樹脂棒41の温度と、樹脂棒41の直径Gの変化量の関係を示すグラフ図である。図10を参照して、グラフの縦軸は、室温(20℃)時における樹脂棒41の直径Gを基準とした、直径Gの変化量である。この変化量が正のときは、樹脂棒41が室温時に比べて膨張していることを示し、この変化量が負のときは、樹脂棒41が室温時に比べて収縮していることを示している。
PA9Tを用いて樹脂棒41を形成した場合、−40℃(低温時)のときの直径Gの変化量と、85℃(高温時)のときの直径Gの変化量との差が0.04mmと極めて小さく、温度変化に対する直径Gの変化量が極めて小さい。
POMを用いて樹脂棒41を形成した場合、−40℃のときの直径Gの変化量と、85℃のときの直径Gの変化量との差が、約0.06mmと十分に小さく、温度変化に対する直径Gの変化量が実用上、十分に小さい。
樹脂棒42,43のそれぞれについても、図10を用いて説明した樹脂棒41の構成および作用と同様の構成および作用を有している。
図9および図10を参照して、PA9Tを用いて各樹脂棒41,42,43を形成した場合には、POMを用いて各樹脂棒41,42,43を形成した場合と比べて、直径差ΔGの変化に対する摺動荷重Hの変化率が大きくなる傾向にある。
しかしながら、直径差ΔGが許容下限値にあるときの摺動荷重Hが十分に小さいことから、直径差ΔGの許容下限値と許容上限値との間において、摺動荷重Hを十分に小さい値にすることができる。また、温度変化に対する直径Gの変化量が十分に小さいことから、温度変化が生じても直径差ΔGの変動は小さくて済む。したがって、直径差ΔGの許容上限値と許容下限値との幅を大きく確保しつつ(公差レンジを大きくしつつ)、摺動荷重Hを十分に低い値にできる。
また、POMを用いて各樹脂棒41,42,43を形成した場合には、PA9Tを用いて各樹脂棒41,42,43を形成した場合と比べて、温度変化に対する直径Gの変化量が大きくなる傾向にある。
しかしながら、直径差ΔGの変化に対する摺動荷重Hの変化量が十分に小さいことにより、直径Gの変化量が大きくても、摺動荷重Hは大きく上昇しない。また、もともと摺動荷重Hが小さいので、摺動荷重Hを小さい値に維持できる。直径差ΔGの変化に対する摺動荷重Hの変化量が十分に小さいことにより、この摺動荷重Hのばらつきを小さくでき、量産性に優れている。
以上の次第で、本実施の形態によれば、両軸10,11間のトルクが大きくて相対位相が所定の範囲を超えたときには、セレーション25が互いに連結するので、各樹脂棒41,42,43に作用する力が小さくて済む。これにより、各樹脂棒41,42,43が塑性変形等を生じることなく両軸10,11間で大トルクを伝達することができ、許容伝達トルクを向上できる。また、内軸10と外軸11との間に緩衝効果を有する樹脂棒41,42,43が介装されていることにより、両軸10,11間の周方向Cガタつき音を防止できる。
また、各樹脂棒41,42,43の熱膨張率が小さいことから、温度変化に起因する各樹脂棒41,42,43と両軸10,11との間の寸法変化を抑制できる。その結果、各樹脂棒41,42,43が大きく膨張して摺動抵抗が過大になることを防止でき、また、各樹脂棒41,42,43が収縮して両軸10,11間に周方向Cのガタが生じることを防止できるので、温度条件に拘わらず性能を維持できる。さらに、両軸10,11に、コストのかかるコーティング層を形成する必要がないので、操舵軸3をコスト安価に製造できる。
また、各樹脂棒41,42,43の弾性率を2000MPa以上としていることにより、各樹脂棒41,42,43が必要な剛性を確保できることから、両軸10,11の相対位相が所定範囲内にあるときに両軸10,11の連結の剛性を高くでき、トルクの伝達遅れを防止できる。また、各樹脂棒41,42,43の弾性率を3500MPa未満としていることにより、各樹脂棒41,42,43が硬くなりすぎることを防止でき、各樹脂棒41,42,43が消音部材として十分な消音効果を発揮することができる。
さらに、各樹脂棒41,42,43の線膨張率を10×10−5/℃以下に設定することにより、各樹脂棒41,42,43の温度変化に伴う寸法変化を十分に小さくできる。これにより、温度条件に拘らず、両軸10,11間の摺動抵抗が不用意に増してしまうことを防止する等の性能を維持できる。また、各樹脂棒41,42,43の線膨張率を5×10−5/℃以上に設定することにより、線膨張率が極めて小さいコストの高い材料を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、半芳香族ポリアミドを用いて各樹脂棒41,42,43形成した場合には、各樹脂棒41,42,43の温度変化に対する寸法変化を少なくすることができ、樹脂棒41,42,43の直径Gに関する寸法公差を大きくできる。
さらに、POMを用いて各樹脂棒41,42,43を形成した場合には、温度変化に起因して寸法変化が生じたときでも、内軸10および外軸11のそれぞれに対する摩擦抵抗の変化を小さくでき、内軸10と外軸11との摺動抵抗が不用意に変化することを抑制できる。
また、各樹脂棒41,42,43の靭性を、靭性改質剤を用いて増すことにより疲労強度を増して各樹脂棒41,42,43を折れ難くでき、各樹脂棒41,42,43の耐久性をより増すことができる。
以上より、大きな操舵トルクを伝達できるとともに温度条件に拘らず操舵軸3の性能を維持でき、且つコスト安価な車両用操舵装置1を実現できる。
また、内軸10と外軸11との周方向Cの隙間を樹脂棒41,42,43で詰めることができる。これにより、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1であるとき(内軸10および外軸11の相対位相が所定の範囲内にあるとき)でも、樹脂棒41,42,43を介した両軸10,11の周方向Cの連結の剛性を高くできるので、両軸10,11間で回転の伝達遅れを生じることなく、両軸10,11を同行回転することができる。したがって、内軸10と外軸11との周方向Cの連結の剛性感を確保でき、良好な操舵フィーリングを達成できる。
また、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1のときでも、樹脂棒41,42,43によって内軸10と外軸11とを周方向Cに連結することにより、操舵部材2を操舵したときに操舵角θに応じた入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを生じさせることができる。その結果、操舵不足または操舵過剰を防止でき、運転者の操舵のふらつきを防止できる。
さらに、両軸10,11が各樹脂棒41,42,43を介した弾性連結からセレーション25を介した剛性連結となる際には、操舵反力がある程度生じているので、伝達トルクの急峻な変化を防止でき、入力トルクに等しい反作用としての反力トルクを滑らかに上昇できる。したがって、運転者に無用なトルク変動を与えず、路面状態・車両挙動等の運転者が必要とする情報のみを伝えることができる。その結果、操舵角θがゼロである操舵中立付近での操舵のふらつきがなくなり、操舵部材2から得られる操舵装置1の安定感を向上できる。
また、操舵部材2を操舵中立状態から急操舵したときには、内軸10外軸11の間の各樹脂棒41,42,43が圧縮されつつ、内軸10の雄セレーション部27と外軸11の雌セレーション部29とが互いに接触することとなる。このとき、各樹脂棒41,42,43が緩衝作用を発揮することとなり、各セレーション部27,29の剛的な接触の際に噛み合いによる音が出ることを防止できる。
また、各樹脂棒41,42,43は、溝50が設けられていることにより、両軸10,11との接触面積を少なくでき、その結果、両軸10,11の相対摺動時の摺動荷重をより少なくできる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、各樹脂棒41,42,43の断面を有端環状に形成し、各樹脂棒41,42,43の内周面を外周面と同心の環状にしてもよい。
また、各樹脂棒41,42,43において、内軸10との接触部の一部を廃止して、内軸10との接触面積をより少なくしてもよい。また、外軸11との接触部の一部を廃止して、外軸11との接触面積をより少なくしてもよい。例えば、各樹脂棒41,42,43の長手方向の中間部をくびれさせることにより実現できる。
また、セレーション25に代えて、スプラインを設けてもよい。この場合、スプラインの雄スプライン部は、内軸10の外周面26に形成され、雌スプライン部は、外軸11の内周面28に形成される。
さらに、内軸10と外軸11の相対向する軸方向溝は、4対以上設けられていてもよい。また、各樹脂棒41,42,43を単品の状態で対応する軸方向溝31,32;33,34;35,36に圧入してもよい。さらに、連結部44を外軸11に連結してもよい。
また、電動モータで操舵軸に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置や、油圧シリンダでラック軸に操舵補助力を付与する油圧パワーステアリング装置等のパワーステアリング装置に、本発明を適用することができる。
この場合、操舵補助力の付与が開始される操舵角θの絶対値は、上記所定の操舵角θ1に相当するように設定される。すなわち、操舵角θが−θ1≦θ≦θ1である領域は、操舵部材2の操舵にかかわらず操舵補助力が生じない、いわゆる不感帯領域とされる。操舵補助力が付与されない程度の微小な操舵角(不感帯領域)のとき、各樹脂棒のみを介して内軸10と外軸11との間でトルクが伝達される。
また、本発明を、操舵部材と舵取り機構との間に配置される中間軸に適用してもよい。さらに、本発明を、ドライブシャフト等の他の車両用伸縮軸に適用してもよい。
実施例1および比較例1
図2に示すのと同様の内軸と外軸とを備え、内軸および外軸の対応する軸方向溝間のそれぞれに、図11に示すPA9T製の樹脂棒を圧入して実施例1を作製した。図11における樹脂棒の直径は、5.5mmである。
また、実施例1の各樹脂棒を廃止し、代わりに内軸の表面に樹脂コーティングを施して両軸を弾性連結するようにした比較例1を作製した。
実施例1および比較例1のそれぞれについて、内軸と外軸との間に約5N・mのトルクを負荷したときの、外軸に対する内軸の回転角とトルクとの関係を測定した。結果を図12に示す。なお、内軸を回転方向の一方側に回転したときの回転角を正とし、内軸を回転方向の他方側に回転したときの回転角を負とした。
図12に示されているように、比較例1では、回転角がゼロ付近では相対回転角の変化に対するトルクの変化が少ないが、相対回転角がゼロから所定量遠ざかると、トルクが急峻に立ち上がっている。
一方、実施例1では、回転角の変化に対するトルクの変化が滑らかであり、急峻なトルクの立ち上がりが生じていない。以上より、実施例1は、操舵中立状態から操舵したときのトルクの変動が滑らかであり、自然な操舵フィーリングを実現できることが実証された。
なお、実施例1と比較例1のそれぞれについて、内軸と外軸との間に約1N・mのトルクを負荷したときの、外軸に対する内軸の回転角とトルクとの関係を測定したが、その結果は、図13に示すものであり、図12に示されているのと同様の結果となった。
本発明の一実施の形態にかかる車両操舵用伸縮軸を備える車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。 操舵軸の要部の分解斜視図である。 操舵軸の要部の断面図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 図4の一部拡大図である。 図5の要部の拡大図である。 樹脂棒の拡大断面図である。 内軸および外軸が周方向に剛的に連結した状態を示す要部の断面図である。 樹脂棒の径方向に関する弾性変形量と、樹脂棒と軸方向溝との間の摺動荷重の関係を示すグラフ図である。 樹脂棒の温度と、樹脂棒の直径の変化量の関係を示すグラフ図である。 実施例1の樹脂棒の側面図である。 実施例1および比較例1における、外軸に対する内軸の回転角とトルクとの関係を示すグラフ図である。 実施例1および比較例1における、外軸に対する内軸の回転角とトルクとの関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1…車両用操舵装置、2…操舵部材、3…操舵軸(車両用伸縮軸、車両操舵用伸縮軸)、10…内軸、11…外軸、25…セレーション(剛性連結要素)、26…(内軸の)外周面、28…(外軸の)内周面、31,32,33,34,35,36…軸方向溝、41,42,43…樹脂棒、C…周方向、S…軸方向。

Claims (5)

  1. 軸方向に相対摺動可能に且つ互いにトルク伝達可能に嵌め合わされた内軸および筒状の外軸と、
    内軸および外軸の相対位相が所定範囲を超えたときに、両軸を周方向に剛的に連結する剛性連結要素と、
    内軸の外周面および外軸の内周面のそれぞれに形成されて互いに対向する少なくとも三対の軸方向溝と、
    上記対をなす軸方向溝間にそれぞれ跨り、内軸および外軸の相対位相が上記所定範囲内にあるときに、両軸を周方向に弾性的に連結する複数の弾性連結要素としての長尺の樹脂棒と、を含み、
    各上記樹脂棒は、−40℃〜85℃のときの弾性率が2000MPa〜3500MPaの範囲内に設定されており、且つ−40℃〜85℃のときの線膨張率が5×10−5/℃〜10×10−5/℃の範囲内に設定されていることを特徴とする車両用伸縮軸。
  2. 請求項1において、各上記樹脂棒は、半芳香族ポリアミドを用いて形成されている車両用伸縮軸。
  3. 請求項1において、各上記樹脂棒は、ポリオキシメチレンを用いて形成されている車両用伸縮軸。
  4. 請求項1,2または3において、各上記樹脂棒は靭性を改質する改質剤を用いて形成されている車両用伸縮軸。
  5. 操舵部材の操舵に応じて回転する車両操舵用伸縮軸として請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用伸縮軸を含む車両用操舵装置。
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