JP2008545716A - アモルファ−4,11−ジエンのアルテミシニンおよびアルテミシニン前駆体への変換 - Google Patents

アモルファ−4,11−ジエンのアルテミシニンおよびアルテミシニン前駆体への変換 Download PDF

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Abstract

本発明は、アモルファ-4,11-ジエンをアルテミシニンおよび種々のアルテミシニン前駆体に変換する方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アモルファ-4,11-ジエンをアルテミシニンおよび種々のアルテミシニン前駆体に変換する方法に関する。
約2億7千万の人々がマラリアに感染しているので、マラリアは、世界の主要な感染症の1つである。従って、新規抗マラリア薬の開発および抗マラリア薬の代替的な製造方法の開発は、重要な世界的な衛生上の目標である。
そのような抗マラリア薬のうちの1つは、アルテミシニン(表1中の化合物(4))である。アルテミシニンは、発熱の症状を抑制するために中国において1000年以上にわたって用いられたきた中国の伝統的な薬草であるクソニンジン(Artemisia annua)の成分である。科学文献では、アルテミシニンは、時には、その中国名である「チンハオス(青蒿素」(Qinghaosu)とも称される。この分子の特性および構造の理解において、最近進歩が見られた。この化合物は、1972年に最初に単離された。その抗マラリア活性は、1979年に見いだされた(Chinese Med. J., 92:811(1979))。この分子の全合成は、1983年に成された(Schmid, G., Hofheinz, W., J. Am. Chem. Soc., 105:624(1983))。
アルテミシニン(4)は、幾つかの経路で製造することができる。1つの方法は、アルテミシニンをクソニンジン(Artemisia annua)から抽出することを含んでいる。この方法の欠点は、植物からのアルテミシニンの収率(0.01〜0.8%)が低く、一定していないということである(Wallart, et al., Planta Med 66:57-62(2000);Abdin, et al., Planta Med 69:289-299(2003))。代替的な製造手順は、アルテミシニン前駆体であるアルテミシニック酸(artemisinic acid)(表1中の化合物(2))をクソニンジン(Artemisia annua)から抽出した後、その分子を合成的にアルテミシニンに変換することを含んでいる。(2)はクソニンジン(Artemisia annua)中に(4)よりも約10倍高いレベルで存在し得るので、(2)から(4)への変換は、大きな注目を受けてきた。しかしながら、クソニンジン(Artemisia annua)からのアルテミシニック酸の収率は変動し、また、クソニンジン(Artemisia annua)は成長が早いにもかかわらず、世界の該植物の供給はアルテミシニック酸とアルテミシニンに対する世界の需要の10%未満しか満たさないと現在は見積もられている。従って、アルテミシニック酸は一般に入手困難なものであると考えられており(Haynes et al., Chem. Bio. Chem., 6:659-667(2005))、経済的で拡張性のあるアルテミシニンの製造方法が引き続き求められている。
アルテミシニック酸をジヒドロアルテミシニック酸(DHAA、表1中の化合物(3))を介してアルテミシニンに変換するための合成経路は、ロスら(Roth et al.)に対する米国特許第4,992,561号に記載されている。従って、信頼性が高く、費用効果の高いDHAA(3)源があれば、それは、抗マラリア化合物であるアルテミシン(4)の継続可能な製造方法に対して重要なステップをもたらすであろう。本発明は、この要求その他の要求を解決しようとするものである。
DHAA(3)を合成するための1つの考えられる経路は、セスキテルペン炭化水素アモルファ-4,11-ジエン(表1中の化合物(1))から出発する。これは、入手し易い出発物質である。キースリングら(Keasling et al.)に対する米国特許出願第20040005678号には、組換え技術によってアモルファ-4,11-ジエンを調製する方法が記載されている。米国特許出願第20040005678号には、さらに、アモルファ-4,11-ジエンの大規模な製造方法も記載されている。
アモルファ-4,11-ジエン(1)をDHAA(3)に変換するのには、環内アルケン(C4-C5)の存在下で環外アルケン(C11-C12)を選択的に官能化することが必要である。
官能化アルケンを選択的にエポキシ化するための信頼性がありかつ骨の折れる方法は利用可能であるが(例えば、よく知られているアリル型アルコールのシャープレスエポキシ化など)、官能化されていない系の選択的な修飾は、一般に達成困難である。例えば、トーマス(Thomas)およびベシエレ(Bessiere)(Nat. Prod. Rep., 291(1989)およびその中で引用されている参考文献)は、(+)-リモネンの場合(ここで、(+)-リモネンは、環内二重結合と環外二重結合の両方を含んでいる)、可能性を有するエポキシ化試薬に対して環外結合が立体的により接近しやすいとしても、環内二重結合が優先的にエポキシ化されるということを教示している。この事実は、環内二重結合の求核性がより大きいということによる(図I)。
Figure 2008545716
環内二重結合の存在下での環外二重結合のエポキシ化を通常のエポキシ化試薬を用いて行った場合、一般に、環内モノエポキシドが優位を占めるモノエポキシドとジエポキシドの混合物が得られる。例えば、(+)-リモネン(図I中の化合物(23))を過酸でエポキシ化すると、エポキシドの混合物が得られ、これは、環外モノエポキシドを10%しか含んでいない。さまざまな他の方法でも、この比率はあまり大きくは変わらない。
酸素供与体の存在下で、金属サレン、金属ポルフィリンまたは別の大きな金属錯体などの立体的要求性(sterically demanding)酸化剤を使用することによって、リモネンのエポキシ化をより妨害の少ない環外アルケンに向かわせることが試みられた。しかしながら、報告された最も立体障害性が高いポルフィリンを用いた場合でさえ、その選択性は不充分(50〜60%)であることが分かった(Suslick et al., J. Am Chem. Soc., 118:5708-5711(1996))。最近、キサントバクター属(Xanthobacter)のユニークな株を用いる生体内変換よって(van der Werf et al., J. Biotechnol. 84:133(2000))、および、ポリオキソバナドメタレート(polyoxovanadometalate)触媒と過酸化水素を使用する化学的酸化によって(Mizuno et al, Angew. Chem. Int. Ed., 44:5136(2005))、環外モノエポキシドに対してこれまでより高い選択性が達成された。しかしながら、記載されている触媒の合成は厄介である。従って、化学的合成により選択的に(+)-リモネンの環外エポキシドを得るための現在の選択方法では、環外アルケンをエポキシ化する前に環内アルケンを保護し、その後、当該環内アルケンを再生させることが必要である(Almeida et al., Synth. Commun., 35:1285(2005))。
従来技術の教示によると、バルキーな触媒と環内二重結合の周囲のさらに大きな立体障害性を同時に用いても、該アルケンの比較的高い反応性に打ち勝つためには不充分であり得る。マラバルら(Maraval et al.)(J. Catalysis, 206:349(2002))は、モノテルペンから誘導された基質である5-ビニル-2-ノルボルネン(化合物(24))をさまざまな異なった金属ポルフィリン触媒を用いてエポキシ化した場合、橋頭炭素によって環内アルケンの位置に立体障害が付与されているのに対して環外アルケンには立体障害がないという事実にもかかわらず、環内モノ-エキソ-エポキシド(化合物(25))が生じるということを教示している。
Figure 2008545716
セスキテルペン基質の選択的なエポキシ化も、同様に、困難である。例えば、(+)-バレンセン(下記化合物(26))の場合、過酸を用いてエポキシ化すると、環内モノエポキシドとジエポキシドの(3.5:1)混合物が得られる(Shaffer et al., J. Org. Chem., 47:2181(1975))。
Figure 2008545716
(+)-バレンセンの環内モノエポキシドの位置選択的な合成については既に報告されているが(Ali et al., Tetrahedron Lett, 47:8769(2002))、環外モノエポキシドは、まだ、選択的に合成されていない。該分子は、(+)-バレンセンのm-クロロ過安息香酸による酸化または同じ基質の子嚢菌ケトミニウム・グロボーサム(Chaetomium globosum)による生物変換により生じた酸化生成物の複合混合物の少量成分であることが見出された(Berger et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 67:477(2005))。該分子は、さらにまた、アラスカヒノキ(Alaskan yellow cedar)からも極少量で単離され、強力な殺虫特性を有しているということが分かった(Dolan et al., 米国特許出願第2005/0187289号).
かくして、1つ以上の環内二重結合を含んでいる基質分子内の環外二重結合を選択的に酸化するための合成方法は、当技術分野における重要な進歩となるであろう。本発明は、そのような要求その他の要求を解決しようとするものである。
一態様において、本発明は、環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にエポキシ化する方法を提供し、ここで、該方法は、基質とエポキシ化酸化剤と金属ポルフィリンおよび金属サレンから選択されるメンバーを接触させることを含む。
別の態様において、本発明は、環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にジヒドロキシル化する方法を提供し、ここで、該方法は、遷移金属をベースとした酸化剤または触媒を含んでいるジヒドロキシル化試薬と基質を接触させることを含む。
本発明は、さらに、アモルファ-4,11-ジエンからジヒドロアルテミシニック酸を調製する方法も提供する。
別の態様において、本発明は、アルテミシニンおよびアルテミシニン類似体を調製する方法を提供する。本発明の方法は、当該化合物を大規模な量で合成するのにも利用可能である。
I. 略語および定義
DHAA = ジヒドロアルテミシニック酸(dihydroartemisinic acid)。
用語「アルキル」は、単独でまたは他の置換基の一部分として、特に別途示されていない限り、示されている数の炭素原子(即ち、「C1-C10」は、1〜10個の炭素原子を意味する)を有する直鎖もしくは分枝鎖または環状の炭化水素ラジカルまたはそれらの組合せを意味し、ここで、これらは、完全飽和、一不飽和または多不飽和であることができ、また、二価ラジカルおよび多価ラジカルを包含し得る。飽和炭化水素ラジカルの例としては、以下の基を挙げることができる:例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチルおよびシクロプロピルメチル、ならびに、例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルおよびn-オクチルなどの、同族体および異性体。不飽和アルキル基は、1以上の二重結合または三重結合を有しているアルキルである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニルおよび3-ブチニル、ならびに、より高級な同族体および異性体などを挙げることができる。用語「アルキル」は、特に別途示されていない限り、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」および「アルキレン」として下記でさらに詳細に定義されているアルキルの誘導体を包含することも意図されている。用語「アルキレン」は、単独でまたは他の置換基の一部として、-CH2CH2CH2CH2-などのような、アルカンから誘導される二価ラジカルを意味する。典型的には、アルキル基は、1〜24個の炭素原子を有し、本発明では、10個以下の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有している比較的短鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」は、当該分子の残りの部分にそれぞれ酸素原子、窒素原子または硫黄原子を介して結合しているアルキル基を有する基を意味する。同様に、用語「ジアルキルアミノ」は、-NR'R''(ここで、R基は、同一であるかまたは異なったアルキル基であり得る)を意味するために慣習的な意味で用いられる。
用語「アシル」または「アルカノイル」は、単独でまたは別の用語と組み合わされて、特に別途示されていない限り、示されている数の炭素原子および当該アルカンラジカルの少なくとも1つの末端上のアシルラジカルからなる安定な直鎖もしくは分枝鎖または環状の炭化水素ラジカルまたはそれらの組合せを意味する。
用語「ヘテロアルキル」は、単独でまたは別の用語と組み合わされて、特に別途示されていない限り、示されている数の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子(ここで、該ヘテロ原子は、O、N、SiおよびSからなる群から選択され、窒素原子および硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、また、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい)からなる安定な直鎖もしくは分枝鎖または環状の炭化水素ラジカルまたはそれらの組合せを意味する。ヘテロ原子O、NおよびSは、当該ヘテロアルキル基の内部の任意の位置に配置することができる。ヘテロ原子Siは、当該ヘテロアルキル基の任意の位置(これは、当該アルキル基がその分子の残りの部分に結合している位置を包含する)に配置することができる。その例としては、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3および-CH=CH-N(CH3)-CH3などを挙げることができる。例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH3)3のように、最大で2個までヘテロ原子を連続させることができる。用語「ヘテロアルキル」には、さらにまた、「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」として下記でより詳細に記述されるラジカルも包含される。用語「ヘテロアルキレン」は、単独でまたは他の置換基の一部として、-CH2-CH2-S-CH2CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-などのような、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基に関し、ヘテロ原子は、当該鎖の一方または両方の末端を占めることもできる。さらにまた、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基に関し、当該連結基の方向は含まれていない。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら単独でまたは別の用語と組み合わされて、特に別途示されていない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」を環状に変形したものを表す。さらに、ヘテロシクロアルキルに関し、ヘテロ原子は、当該ヘテロ環がその分子の残りの部分に結合している位置を占めることもできる。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニルおよびシクロヘプチルなどを挙げることができる。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニルおよび2-ピペラジニルなどを挙げることができる。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それら単独でまたは別の置換基と組み合わされて、特に別途示されていない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。さらに、「フルオロアルキル」などの用語は、モノフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキルを包含することが意図される。
用語「アリール」は、単独で用いられるかまたは別の用語と組み合わせて用いられて(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルなど)、特に別途示されていない限り、芳香族置換基を意味し、ここで、該芳香族置換基は、単環であるか、または、互いに縮合しているかもしくは共有結合で結合している複合環(最大で3つの環)であり得る。「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ原子環員を有するアリール基である。典型的には、該環は、それぞれ、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含んでおり、ここで、窒素原子および硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、また、窒素原子は場合により四級化されていてもよい。「ヘテロアリール」基は、その分子の残りの部分にヘテロ原子を介して結合させることができる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリルおよび6-キノリルなどを挙げることができる。上記アリール環系のそれぞれに対する置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合しているラジカル(例えば、ベンジル、フェネチルおよびピリジルメチルなど)またはアリール基がヘテロアルキル基に結合しているラジカル(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチルおよび3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を包含することが意図されている。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」および「アリール」)は、それぞれ、示されているラジカルの置換されている形態および置換されていない形態の両方を包含することが意図される。それぞれの種類のラジカルについての好ましい置換基について、以下に記載する。
アルキルラジカルおよびヘテロアルキルラジカル(ここで、これらは、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルとしばしば称される基を包含する)に対する置換基は、ゼロから(2N+1)までの範囲の数の、例えば、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-CNおよび-NO2から選択されるさまざまな基であり得る(ここで、「N」は、当該ラジカル内の炭素原子の総数である)。R'、R''およびR'''は、それぞれ独立して、水素、(C1-C8)非置換アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、置換アリール(ここで、該置換アリールは、1〜3のハロゲン、非置換アルキル基、非置換アルコキシ基または非置換アルコキシ基で置換されている)またはアリール-(C1-C4)アルキル基である。R'とR''が同じ窒素原子に結合している場合、それらはその窒素原子と一体になって5員、6員または7員の環を形成することができる。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルなどを包含することが意図される。置換基についての上記考察から、当業者は、用語「アルキル」がハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3など)およびアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3および-C(O)CH2OCH3など)のような基を包含することが意図されることを理解するであろう。
同様に、アリール基に対する置換基もさまざまであって、ゼロからその芳香環系のオープン原子価の総数までの範囲の数の、-ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R''、-C(O)R'、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''C(O)2R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NH-C(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-N3、-CH(Ph)2、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシおよびペルフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、その際、R'、R''およびR'''は、独立して、水素、(C1-C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)-(C1-C4)アルキル、(非置換アリール)オキシ-(C1-C4)アルキルおよびペルフルオロ(C1-C4)アルキルから選択される。
該アリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-T-C(O)-(CH2)q-U-(式中、TおよびUは、独立して、-NH-、-O-、-CH2-または単結合であり、下付文字qは0〜2の整数である)で表される置換基で場合により置き換えられていてもよい。あるいは、該アリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-A-(CH2)r-B-(式中、AおよびBは、独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-または単結合であり、rは1〜3の整数である)で表される置換基で場合により置き換えられていてもよい。そのようにして形成された新しい環の単結合のうちの1つは、二重結合で場合により置き換えられていてもよい。あるいは、該アリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-(CH2)s-X-(CH2)t-(式中、sおよびtは、独立して、0〜3の整数であり、Xは、-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-または-S(O)2NR'-である)で表される置換基で場合により置き換えられていてもよい。-NR'-および-S(O)2NR'-の置換基R'は、水素または非置換(C1-C6)アルキルから選択される。
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ原子」は、例えば、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を包含することが意図される。
本発明の一部の化合物は、不斉炭素原子(光学中心(optical center))または二重結合を有している。ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体は、全て、本発明の範囲内に包含される。
本発明の化合物には、さらにまた、その化合物を構成する原子のうちの1つ以上において、人為的な比率の原子同位体を含ませることも可能である。例えば、該化合物は、放射性同位体(例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)など)を用いて放射能標識することも可能である。本発明の化合物の全ての同位体変種は、放射性であっても、またはそうでなくても、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
本明細書で使用される場合、用語「脱離基」は、反応において基質から切断される該基質の中の一部分を意味する。そのような脱離基は、結合性電子を有する安定な分子種として置き換えられる原子(または、原子の群)である。典型的には、脱離基は、アニオン(例えば、Cl-)または中性分子(例えば、H2O)である。代表的な脱離基としては、ハロゲン、OC(O)R9、OP(O)R9R10、OS(O)R9およびOSO2R9などを挙げることができる。R9およびR10は、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリールおよび置換または非置換のヘテロシクロアルキルから独立して選択されるメンバーである。有用な脱離基としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:別のハロゲン化物、スルホン酸エステル、オキソニウムイオン、アルキルペルクロレート、スルホネート(例えば、アリールスルホネート、アンモニオアルカンスルホネートエステルおよびアルキルフルオロスルホネートなど)、ホスフェート、カルボン酸エステル、カルボネート、エーテルおよびフッ素化化合物(例えば、トリフレート、ノナフレート、トレシレートなど)、SR9、(R9)3P+、(R9)2S+、P(O)N(R9)2(R9)2、P(O)XR9X'R9(ここで、各R9は本段落で示されているメンバーから独立して選択され、XおよびX'は、SまたはOである)。一連の特定の反応条件にとって適切なこれらの脱離基および別の脱離基の選択は、当業者の能力の範囲内である(例えば、以下のものを参照されたい:March J, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY, 2nd Edition, John Wiley and Sons, 1992;Sandler SR, Karo W, ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS, 2nd Edition, Academic Press, Inc., 1983;および, Wade LG, COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS, John Wiley and Sons, 1980)。
「保護基」は、本明細書で使用される場合、特定の反応条件下では実質的に安定であるが、異なった反応条件下では基質から切断される、その基質の一部分を意味する。保護基は、本発明の化合物の芳香環成分の直接的な酸化に関与するように選択することも可能である。有用な保護基の例については、例えば、以下のものを参照されたい:Greene et al., PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, 3rd ed., John Wiley & Sons, New York, 1999。
用語「キラル遷移金属触媒」は、遷移金属(ここで、遷移金属としては、限定するものではないが、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Reまたはこれら元素の混合物などを挙げることができる)を含んでいる触媒を意味する。キラル遷移金属触媒は、さらにまた、それらが使用される反応にエナンチオ選択性を付与するための当技術分野で既知の1種類以上のキラルリガンドも含んでいる。これらのキラル遷移金属触媒は、均質(即ち、反応媒体中に溶解する)であるか、または、不均質(即ち、反応媒体中に溶解しない)であり得る。キラル遷移金属触媒は、さらにまた、不溶性を付与する固体支持体(例えば、限定するものではないが、炭素、シリカ、アルミナ、無機塩または高分子物質など)も含み得る。
用語「金属サレン」(metallosalen)は、金属(多くの場合Mnであるが、Ti、V、Ru、Co、Crなどでもよい)および光学的に活性なN,N'-エチレンビス(サリチリデンアミン化)リガンド(ここで、これは、サリチルアルデヒド誘導体とジアミンと金属イオンの反応に由来する)を含んでいる触媒を意味する。
用語「金属ポルフィリン」は、メチレン橋によって連結された4つのピロール環で形成されて金属イオンを囲んでいる置換または非置換のフレーム構造で構成された天然物質または合成物質を意味し、通常、該金属イオンの酸化状態に応じて、さらなるリガンドおよび対イオンを含んでいる。重要な天然の金属ポルフィリンには、クロロフィルおよび血中のヘムなどがあり、これらは、自然酸化プロセスに関与している。適切な酸素供与体の存在下で酸化触媒として作用することにより前記天然金属ポルフィリンを模倣する多くの合成金属ポルフィリンが知られている。
用語「位置選択的な」は、基質内の1つの部位での反応に由来する生成物が該基質内の他の部位での反応に由来する生成物よりも多く形成されるように化学反応が進行する傾向を意味する。例えば、エポキシ化反応は、1つのアルケン結合で、同じ基質内の他のアルケン結合におけるよりも優勢に多くエポキシ化が起こる場合、位置選択的であると称される。
II. 序論
一態様において、本発明は、1つ以上の環内アルケンを含んでいる基質分子の環外アルケンを位置選択的にエポキシ化する方法および位置選択的にジヒドロキシル化する方法を提供する。本発明は、さらに、アモルファ-4,11-ジエン(表1中の化合物(1))をジヒドロアルテミシニック酸(表1中の化合物(3))に変換する方法も提供する。別の態様において、本発明は、アモルファ-4,11-ジエン(1)をアルテミシニン(表1中の化合物(4))に変換する方法を提供する。本発明の方法は、上記化合物を大規模な量で合成するのにも利用可能である。下記表1に、本発明における関連化合物の名称と構造を記載する。
Figure 2008545716
Figure 2008545716
III. 環内アルケンに優先した環外アルケンの位置選択的酸化
III. a.) エポキシ化
一態様において、本発明は、環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にエポキシ化する方法を提供し、ここで、該方法は、基質とエポキシ化酸化剤と金属ポルフィリンおよび金属サレンから選択されるメンバーを接触させることを含む。
基質が1つの環外二重結合と1つの環内二重結合を含んでいる代表的な実施形態では、最終的な反応混合物中の環外エポキシド(Ex)と環内エポキシド(En)およびジエポキシド(Di)の比率(r)[r=Ex/(En+Di)]は、約50%〜約100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約55%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約60%〜約100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約65%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約70%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約75%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約80%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約85%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約90%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約95%〜100%である。
代表的な実施形態では、金属ポルフィリン中または該金属サレン中の金属は、遷移金属である。別の代表的な実施形態では、該遷移金属は、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウムおよびパラジウムから選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、該金属ポルフィリン中のポルフィリン部分は、TPP、TTMPPおよびTTPから選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、エポキシ化酸化剤は、酸素、過酸化物、過酸、次亜塩素酸アニオン、ペルオキシジスルフェート(S2O8 2-)、ジオキシラン(dioxyrane)、ヨードシルベンゼン(PhIO)およびそれらの組合せから選択されるメンバーである。代表的な実施形態では、過酸化物は、過酸化水素およびt-BuOOHから選択されるメンバーである。さらに別の代表的な実施形態では、過酸は、メタ-クロロ過安息香酸(mCPBA)である。別の代表的な実施形態では、ペルオキシジスルフェートは、ペルオキシ二硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、ペルオキシ二硫酸カリウム(K2S2O8)およびペルオキシ二硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)から選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、酸化剤は、化学量論的な過剰量で使用する。代表的な実施形態では、酸化剤は、約1.1〜約10当量の化学量論的な過剰量で使用する。好ましい実施形態では、酸化剤は、約4〜6当量の化学量論的な過剰量で使用する。
代表的な実施形態では、エポキシ化反応の基質は、天然化合物および合成基質から選択されるメンバーである。好ましい実施形態では、基質は、環状不飽和炭化水素である。代表的な実施形態では、基質は、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンおよびトリテルペンから選択されるメンバーである。
さらなる代表的な実施形態では、セスキテルペン基質は、アモルファン(amorphane)、バレンカン(valencane)、カジナン(cadinane)、エレモフィラン(eremophilane)、グアイアン(guaiane)、ゲルマクラン(germacrane)およびオイデスマン(audesmane)から選択されるメンバーである。別の炭素骨格を有するセスキテルペンも本発明の方法において使用可能であることは、当業者には自明である。
代表的な実施形態では、セスキテルペンは、アモルファ-4,11-ジエン(1)である。
代表的な実施形態では、アモルファ-4,11-ジエン(1)を触媒量の金属ポルフィリンであるMn(2,6-Cl2TPP)Clおよび酸素源としての化学量論的な過剰量(5当量)の過酸化水素で処理することにより、対応する環外モノエポキシド(10)が優先的に形成される。代表的な実施形態では、化合物(10)は、エポキシ化反応の唯一の検出可能な生成物である(実施例3.2.)。
別の代表的な実施形態では、セスキテルペン(+)-バレンセン(化合物(26))を触媒量の金属ポルフィリンであるMn(2,6-Cl2TPP)Clおよび酸素源としての化学量論的な過剰量(5当量)の過酸化水素で処理することにより、対応する環外モノエポキシド(31)が優先的に形成される。代表的な実施形態では、化合物(31)は、エポキシ化反応の唯一の検出可能な生成物である(実施例8)。
III. b.) ジヒドロキシル化
第二の態様において、本発明は、環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にジヒドロキシル化する方法を提供し、ここで、該方法は、遷移金属をベースとした酸化剤または触媒を含んでいるジヒドロキシル化試薬に基質を接触させることを含む。
基質が1つの環外二重結合と1つの環内二重結合を含んでいる代表的な実施形態では、最終的な反応混合物中の環外ジオール(Ex1)と環内ジオール(En1)および二重結合が両方とも酸化されていてジオールとなっている生成物(Di1)の比率(r1)[r1=Ex1/(En1+Di1)]は、約50%〜約100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約55%〜約100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約60%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約65%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約70%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約75%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約80%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約85%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約90%〜100%である。別の代表的な実施形態では、該比率は、約95%〜100%である。
代表的な実施形態では、ジヒドロキシル化試薬中の酸化剤は、四酸化オスミウム(OsO4)および四酸化ルテニウム(RuO4)から選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、ジヒドロキシル化試薬は、主酸化剤を再生させるための副酸化剤をさらに含んでいる。代表的な実施形態では、副酸化剤は、過酸化物、過酸、第3級アミンN-オキシド、K3Fe(CN)6、亜塩素酸アニオン、I2、セレノキシドおよびペルオキシスルフェート(S2O8 2-)から選択されるメンバーである。好ましい実施形態では、第3級アミンN-オキシドは、N-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)である。
代表的な実施形態では、ジヒドロキシル化反応の基質は、天然化合物および合成化合物から選択されるメンバーである。好ましい実施形態では、基質は、環状不飽和炭化水素である。代表的な実施形態では、ジヒドロキシル化反応のための基質は、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンおよびトリテルペンから選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、セスキテルペンは、アモルファン、バレンカン、カジナン、エレモフィラン、グアイアン、ゲルマクランおよびオイデスマンから選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、セスキテルペンは、アモルファ-4,11-ジエン(1)である。
高級置換オレフィンが、典型的には、低級置換オレフィンよりも速く酸化されるということは、当業者には知られている(Sharpless, K.B. and Anderson, P.G. J.Am. Chem. Soc. 1993, 115, 7047-7048)。置換が少ないオレフィンを末端オレフィンと競合して配置した場合、酸化反応の選択性が低下するということも明らかである。これらの例においては、生成物の混合物が観察される(Sharpless, K.B. and Gerard, D.X. J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 7570-7571)。ジヒドロキシル化試薬の例は、March, 上掲, pp. 822-825またはLarock, 上掲, pp.996-1001およびそれらの中の参考文献の中で見いだされる。
代表的な実施形態では、本発明は、生じた1,2-ジオールの過酸化を防止し、かつ酸化された結合の酸化的切断を防止しながら、環内アルケンの存在下で環外アルケンを位置選択的にジヒドロキシル化する方法を提供する。代表的な実施形態では、本発明は、セスキテルペンのジヒドロキシ誘導体を位置選択的に調製する方法を提供する。別の代表的な実施形態では、(+)-バレンセン(26)を触媒量の四酸化オスミウムおよびN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)で酸化することにより、環外ジオール(32)が優先的に形成される。代表的な実施形態では、バレンセン(32)の環外ジオールは、唯一の検出可能な酸化生成物である(実施例9)。
別の代表的な実施形態では、アモルファ-4,11-ジエン(1)を触媒量の四酸化オスミウムおよびN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)で酸化することにより、環外ジオール(11)が優先的に形成される。代表的な実施形態では、環外ジオール(11)は、唯一の検出可能な酸化生成物である。
IV. アモルファ-4,11-ジエン(1)からのDHAA(3)の合成
一態様において、本発明は、アモルファ-4,11-ジエン(1)からDHAA(3)を調製する方法を提供する。(1)のC11-C12二重結合を還元し、C12にカルボン酸官能基を導入することにより、(1)を(3)に変換することができる。本発明の化合物についての原子の番号付けは、表1中の(4)についての番号付けスキームと一致している。C7-C11結合の周囲が自由に回転するので、本発明の代替的な実施形態では、(1)のC11-C12二重結合を還元し、C13にカルボン酸官能基を導入することによっても、上記と同じ変換が達成され得るということは、当業者には理解される。さらに、これらの変換が必ずしもいずれかの特定の順番で実施されなくてもよいということ、即ち、最初に酸素含有官能基を導入し、次いで、二重結合を還元することも、または、その逆の順番でも望ましく実施し得るということ、また、実際には、試薬を適切に選択することにより単一のステップで二重結合を還元しかつ酸素を導入することが可能であり得るということも理解される。
本発明の別の実施形態では、アモルファ-4,11-ジエン(1)の環外二重結合は、位置選択的なエポキシ化および位置選択的なジヒドロキシル化から選択される方法によって官能化される。
IV. a.) アモルファ-4,11-ジエン(1)からDHAA(3)への化合物(5)を経由した変換
本発明の一実施形態では、アモルファジエン(表1中の化合物(1))を、スキーム1に従い、化合物(5)を経由して(3)に変換する。化合物(5)のアルコール部分を次に酸化してカルボン酸部分とし、それにより、DHAA(3)を調製する。
Figure 2008545716
(1)から(5)への変換を実施するためには、さまざまな方法がある。代表的な実施形態では、反応体を、環内アルケン部分に優先して環外アルケン部分と選択的に反応するように選択することができる。反応体は、さらにまた、ヒドロキシ基が反マルコフニコフ配向(anti-Markovnikov orientation)で導入されるように選択することもできる。
別の代表的な実施形態では、環外アルケン部分からの反マルコフニコフ配向にあるアルコール部分への変換は、ヒドロホウ素化試薬によって達成される。本発明において有用なさまざまなヒドロホウ素化試薬が存在する。それらの化合物は、以下のものなどのさまざまな刊行物に記載されている:BORANES IN ORGANIC CHEMISTRY, H.C. Brown, Cornell University Press, 1972;ORGANIC SYNTHESES VIA BORANES, H.C. Brown, John Wiley & Sons Inc, 1975;ORGANOBORANES FOR SYNTHESES(ACS Symposium Series), P.V. Ramachandran and H.C. Brown, American Chemical Society, 2001;および、Yadav, J.S. et al., ARKIVOC, 3:125-139(2003)。代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、ボランである。別の代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、協調的安定化分子種(coordinated stabilizing species)を伴ったボランである。協調的安定化分子種の例としては、限定するものではないが、エーテル、スルフィドおよびアミンなどがある。
別の代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、モノアルキルボラン(例えば、エチルボランなど)である。さらに別の代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、ジアルキルボラン(例えば、ジエチルボランなど)である。さらに別の代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、モノシクロアルキルボラン(たとえば、シクロヘキシルボランなど)である。幾つかの代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化試薬は、ジシクロアルキルボラン(例えば、ジシクロヘキシルボラン)であるか、または、さらに複雑な分子種、例えば、カテコールボランまたは9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(BBN)などである。別の代表的な実施形態では、ヒドロホウ素化反応は、有機金属触媒の存在下で実施し、それによって、位置選択性および立体選択性が高められる。そのような有機金属分子種の例としては、Rh化合物およびIr化合物などがある(Evans, D.A. et al., J. Am Chem Soc, 114:6671-6679(1992) または Burgess, K. et al., J. Org. Chem., 53:5179-5181(1988)を参照のこと)。
第1級アルコールを酸化してカルボン酸とするように選択された反応体を使用することにより、(5)からDHAA(3)への変換は1ステップで実施し得る。代表的な酸化試薬は、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY, March, J., John Wiley & Sons, 1992, 4th Edに記載されている。それらの酸化剤としては、クロム酸(ORGANIC CHEMISTRY, Wade, L.G., Prentice Hall, 2003, 5th Ed., Chapter 10, Chapter 11, およびChapter 20)、ジョーンズ試薬(アセトン中の希釈クロム酸溶液)(Wade, L.G., 上掲;Yadav, J.S. et al., ARKIVOC, 3:125-139(2003))、過マンガン酸塩(Rankin, K.N. et al., Tetrahedron Lett. 39:1095(1998))、硝酸(OXIDATIONS IN ORGANIC CHEMISTRY, Hudlicky, M., American Chemical Society, 1990;COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS, Larock, R.C., VCH, 1989, p. 93)、H5IO6/CrO3(Zhao, M. et al., Tetrahedron Lett. 39:5323(1998))、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)/NaClO/NaClO2(Zhao et al., J. Org. Chem., 64:2564(1999))、二クロム酸ピリジニウム(PDC)/ジメチルホルムアミド(Corey, E.J. et al., Tetrahedron Lett., 399(1979))、Na2WO4/水性H2O2/相転移触媒(Noyori et al., J. Am. Chem. Soc., 119:12386(1997))、トリクロロイソシアヌル酸/RuCl3(Ikanuka et al., Org. Proc. Res. Dev., 8:931(2004))などがある。代表的な実施形態では、酸化試薬は、ジョーンズ試薬である。
IV. b.) アモルファ-4,11-ジエン(1)からDHAA(3)への(5)および(7)を経由した変換
あるいは、(5)から(3)への酸化は、(5)からの対応するアルデヒド(7)への酸化およびそれに続く(7)から(3)への酸化を含む2段階で実施することもできる。
Figure 2008545716
アルコールをアルデヒドに変換するための酸化試薬の例は、COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS:A GUIDE TO FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS, 2nd ED, R.C. Larock, Wiley, 1999, pp. 1234-55に記載されており、アルデヒドをカルボン酸に酸化するための試薬は、METHODS FOR THE OXIDATION OF ORGANIC COMPOUNDS, A.H. Haines, Academic Press, 1988, pp. 241-43 and 423-428;Larock, 上掲, pp. 838-840;Hudlicky, 上掲, pp. 174-180;Dalancale et al, J. Org. Chem., 51:567(1986);および Uskokovic et al, J. Org. Chem. 58:832, (1993)に記載されている。
IV. c.) アモルファ-4,11-ジエン(1)からDHAA(3)への化合物(6)を経由した変換
本発明の代替的な実施形態では、アモルファ-4,10-ジエン(1)を、スキーム3で略述されている方法のうちの1つによりDHAA(3)に変換する。
Figure 2008545716
スキーム3に従い、C11-C12二重結合に影響を与えることなく、アルコール官能基を(1)のC13に導入して、アモルファ-4,11-ジエン-13-オール(6)などの化合物を生成させる。次いで、化合物(6)は、(2)への1ステップの酸化とそれに続くC11-C12二重結合の還元によって(3)を生成させることにより、DHAA(3)に変換することができる。代替的な実施形態では、最初に(6)をアルデヒド(8)に変換し、次いで、さらに酸化して(2)を生成させる2ステップ変換によって、(6)を(2)に変換することができる。二重結合の還元は、全体的な合成の種々のステップで実施することができる。合成経路の選択において考慮すべきことには、コスト、出発物質の商業的入手可能性、試薬の取扱いの容易性、プロセス全体の環境適合性、収率、立体選択性ならびに中間体および生成物の精製の容易性などがある。これらの考慮すべきことに留意すれば、(6)→(5)→(3)、(6)→(2)→(3)、(6)→(5)→(7)→(3)、(6)→(8)→(7)→(3)、および、(6)→(8)→(2)→(3)から選択される順序によりDHAA(3)を合成するのが有益であり得る。
(1)の(6)への変換は、さまざまな方法で実施し得る。ブローダスら[Broaddus et al(米国特許第3,658,925号;J. Am. Chem. Soc., 94:4298-4306(1972))]は、n-ブチルリチウム-テトラメチルエチレン-ジアミン(TMEDA)錯体で処理し、次いで、生成されたC11-C13アニオンを空気酸化することにより、(3)に相当する化合物を調製した。カステンら(Chastain et al.)に対する米国特許第5,574,195号では、上記と同じ変換を実施するための効率的な方法は、中間体であるアリルアニオンをホウ酸エステルでクエンチした後、生成されたボレートを過酸化水素で酸化することであるということが教示されている。
上記変換を間接的に実施する方法は、「エン(ene)」ハロゲン化に付して化合物(9)(X=ハロゲン)を生成させ、次いで、そのような化合物の加水分解に対する知られている不安定性を利用して当該ハロゲンをOH基と交換することにより(6)のような化合物を生成させることを含む。「エン(ene)」ハロゲン化を達成する試薬としては、限定するものではないが、March, 上掲, pp. 694-697などに記載されている試薬、例えば、フィルスマイヤー試薬/H2O2(Li et al, Tetrahedron Asymmetry, 9:2607(1996))、次亜塩素酸カルシウム/CO2(Wolinski et al, J. Org. Chem., 47:3148(1982))またはCeCl3/NaClO(Massanet et al, Tetrahedron Lett. 44:6691-6693(2003))などがある。
本発明のさらに別の実施形態では、上記アルコール段階を迂回して、March, 上掲, p. 1193に挙げられているこの目的のための多くの試薬のうちのいずれかを用いて、化合物(9)から化合物(8)へと直接進めることができる。
IV. c.) i.) アモルファジエン(1)から化合物(10)、化合物(11)および化合物(6)を経由したDHAA(3)の合成
本発明の一実施形態では、中間体(10)および中間体(11)を経由して、化合物(1)を化合物(6)に変換する(スキーム4、実施例3.2.1および実施例3.2.2)。
Figure 2008545716
スキーム4において、適切な試薬と反応させることにより、化合物(1)の環外(C11-C12)アルケン部分をエポキシド官能基に変換し、それによって、中間体(10)を生成させる。第2ステップでは、中間体(10)のエポキシド官能基を加水分解的に開環して、ジオール中間体(11)を生成させる。最後に、中間体(11)中のC11に位置している第3級ヒドロキシル基を含んでいる水を選択的に除去することにより二重結合を復活させて、中間体(6)を生成させる。次いで、中間体(6)を本明細書に記載してあるようにしてDHAA(3)に変換する。この一連の合成は、(6)への他の合成経路よりも多くの合成ステップを含んでいるが、用いられる反応が典型的には非常に高い収率をもたらすということは当業者には知られている。あるいは、化合物(10)は、異性化して直接化合物(6)とすることも可能である。化合物(10)および化合物(11)は、新規分子である。
(1)を(10)に変換するための試薬としては、限定するものではないが、March, 上掲, pp. 826-829およびその中で引用されている参考文献に記載されているものなどがある。エポキシ化試薬の例は、上記に記載してある。代表的な実施形態では、アモルファ-4,11-ジエン(1)を触媒量の金属ポルフィリンであるMn(2,6-Cl2TPP)Clおよび酸素源としての化学量論的な過剰量(5当量)の過酸化水素で処理することにより、対応する環外モノエポキシド(10)が優先的に形成される(実施例3.2.1)。
アモルファ-4,11-ジエンの所望されるモノエポキシドを選択的に形成させた後、化合物(10)を開環させて、ジオール(11)を生成させる。エポキシドを加水分解的に開環させることにより1,2-ジオールとすることは充分に確立された反応であり、種々の溶媒系の中で、酸性触媒または塩基性触媒のどちらの存在下でも実施可能である。その例は、March、上掲, pp. 376-377に記載されている。代表的な実施形態では、ジオール(11)は、エポキシド(10)を濃硫酸で処理することにより調製する(実施例3.2.2.)。
α-分枝では脱水が容易に起こるようになり、その結果、第3級アルコールは多くの場合微量の酸の存在下で自発的に脱水して反応を開始するということは、当技術分野では知られている。従って、当業者であれば、中間体(11)内に存在している2つのアルコール官能基のうちで、第3級ヒドロキシ基(C11位)が第1級ヒドロキシ基(C12位)よりも極めて容易に除去され、それにより、中間体(6)を合成するための経路が得られるということを期待するであろう。
化合物(11)は、アモルファ-4,11-ジエン-13-オール(6)にさらに変換することができる。特定の反応条件下では、化合物(11)中の第3級ヒドロキシ基は自発的に除去され、ジオール(11)は最終目的物(6)と混合した状態で見いだされる。アルコールを脱水してアルケンとすることは、March, 上掲, pp. 1011-1012に記載されているような種々の反応条件下でさまざまな試薬により実施可能である。これらの方法を用いて、化合物(6)にとって有利となるように、上記除去反応を完結させることができる。
IV. c.) ii.) アモルファジエン(1)から化合物(11)および化合物(6)を経由したDHAA(3)の調製
本発明の別の実施形態では、中間体(11)を経由して、化合物(1)を化合物(6)に変換し得る(スキーム5)。
Figure 2008545716
第1ステップにおいて、適切な試薬と反応させることにより化合物(1)の環外(C11-C12)アルケン部分をジヒドロキシル化し、それにより、中間体(11)を生成させる。第2ステップにおいて、上記で記載したように中間体(11)中のC11の第3級ヒドロキシ基を除去して化合物(6)を形成させることにより、化合物(11)を中間体(6)に変換する。次いで、化合物(6)を、本明細書に記載されているようにして、DHAA(3)に変換する。
基質(1)がジヒドロキシル化されやすい2つのアルケン官能基を含んでいるということ、および、(1)から中間体(11)を介して(6)へといたる提案された一連の反応が達成されるのが環内(C4-C5)結合の存在下で環外(C11-C12)アルケン結合を部位選択的にジヒドロキシル化できるかにかかっているということは、当業者には明らかである。代表的な実施形態では、上記変換は、四酸化オスミウム(OsO4)および四酸化ルテニウム(RuO4)から選択されるメンバーである酸化剤を用いて行う。別の代表的な実施形態では、スキーム6に略述されているように、アモルファジエン(1)を触媒量の四酸化オスミウムおよび副酸化剤であるN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)で処理して、1,2-ジオール(11)を生成させる。
Figure 2008545716
IV. d.) 化合物(6)からDHAA(3)への変換
化合物(6)は、種々の合成経路を介してDHAA(3)に変換することができる。代表的な実施形態では、化合物(6)のヒドロキシル基を最初に酸化してアルテミシニック酸(2)とし、次いで、化合物(2)の環外二重結合を還元して、DHAA(3)を形成させる。別の代表的な実施形態では、化合物(6)の環外二重結合を最初に還元して化合物(5)を形成させる。次いで、化合物(5)のヒドロキシル基を酸化して、DHAA(3)とする。
IV. d.) i.) 環外アルケンの還元
(2)および(6)のような化合物のC11-C12アルケン結合は、さまざまな方法により還元することができ、それにより、C4-C5二重結合および当該基質内に存在し得る別の官能基(例えば、アルコール(化合物(6)を参照されたい)、アルデヒド(化合物(8)を参照されたい)またはカルボン酸部分(化合物(2)を参照されたい)など)に影響を及ぼすことなく、この二重結合の両側に2個の水素原子が加えられる(スキーム7)。
Figure 2008545716
スキーム7における変換を実施するための試薬は、例えば、March, 上掲, p. 771に記載されている。(2)から(3)への還元は、以前は、ニッケル(II)塩と水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムを反応させることによりその場で生成させる「ホウ化ニッケル」を用いて実施していた(例えば、Xu et al, Tetrahedron, 42:819(1986)を参照されたい)。このプロセスは、幾つかの欠点を有しており、特に、(a)当該還元には、化学量論的に非常に過剰な量の水素化ホウ素ナトリウムが必要である(これは、大規模に操作する場合、取扱いおよび後処理およびコストについての明らかな問題を伴う);(b)カルボン酸部分の存在下(即ち、化合物(2))では、一置換アシルオキシボロヒドリドまたは三置換アシルオキシボロヒドリドが形成されることにより還元剤の一部が消費されるので、還元を効率よく直接に実施することができない(従って、該方法では、例えば化合物(13)[ここで、Rはメチル基または別のアルキル部分である]のようなエステルとして、カルボン酸部分を保護することが必要である);および、(c)この変換について完全な立体選択性が主張されたが(例えば、Jung et al., Synlett:74(1990))、他の報告(Haines et al., Synlett 491, (1992)およびその中の参考文献を参照されたい)は、それらの結果は再現することができず、該反応の生成物は、常に、所望の(R)エピマー(表1中の化合物(13)、R=H)と望ましくない(S)エピマー(示されていない)の約85:15の混合物であるというものであった。このプロセスの変形態様が記述されたが(例えば、ロスら(Roth et al.)に対する米国特許第4,992,561号において)、上記欠点について検討されていない。
代替的なアプローチは、クノウルズ(Knowles)および野依(Noyori)(Knowles et al., J. Am. Chem. Soc., 99:5946(1977);Noyori et al. J. Am. Chem. Soc., 102:7935(1980))によって開発された技術である位置選択的およびエナンチオ選択的な接触水素化である。この技術では、キラル遷移金属触媒を使用して、化合物(6)、化合物(8)または化合物(2)において見られるような別の官能基を共有結合的に改変することなくアルケンをエナンチオ選択的に水素化する。この場合、選択される触媒は、アルケン部分と別の官能基を区別しなければならないのみではなく、環内アルケン部分と環外アルケン部分も区別しなければならない。代表的な実施形態では、BINAP-Ru触媒を使用して、化合物(6)を化合物(5)に変換する。別の代表的な実施形態では、該接触水素化をウィルキンソン触媒の存在下で実施する。これらのアプローチを用いれば、顕著な量の望ましくない(S)-エナンチオマーが生成されることなく、所望の(R)-エナンチオマーが形成される。
代表的な実施形態では、化合物(2)は、生物学的な供給源から供給される。
V. DHAA(3)の大規模調製
別の代表的な実施形態では、本発明の方法は、DHAA(3)を少なくとも1キログラムの量で提供する。DHAAは、当技術分野で現在知られている方法を用いて、大規模に生成させることができる。例えば、大規模なヒドロホウ素化は、Ripin et al., Org. Proc. Res. Dev., 7:115-120(2003)に記載されている方法に適切な変更を加えることにより、実施することができる。報告されている手順に対する修正には、報告されているアルケン基質をアモルファ-4,11-ジエン(1)で置き換えることなどが含まれる。
さらに、第1級アルコールからカルボン酸への大規模な酸化も実施可能である。一般に、第1級アルコールからカルボン酸への小規模な酸化のための条件は、第1級アルコールからカルボン酸への大規模な酸化のための条件に比例している。小規模な反応条件を大規模な反応条件に変換するのに必要な比率を決定することなどの小さな修正は必要である。これらの修正は、充分に当業者の知識の範囲内である。
大規模なエナンチオ選択的接触水素化も、工業上はよく知られており、多くの例が、例えばASYMMETRIC CATALYSIS ON INDUSTRIAL SCALE, H.U. Blaser and E. Schmidt, Wiley-VCH, 2004に記述されている。
VI. DHAA(3)からのアルテミシニン(4)の合成
別の態様において、本発明は、アルテミシニン(4):
Figure 2008545716
を調製する方法を提供し、ここで、該方法は、(a)酸化手順を用いてDHAA(3)またはそのエステル化された誘導体を酸化された分子種に変換するステップ(ここで、該酸化手順は、光化学酸化および非光化学酸化から選択される手順である);(b)ステップ(a)の生成物を酸触媒または金属触媒による転位反応に付すステップ;(c)ステップ(b)の生成物を酸化するステップ;および、(d)アルテミシニン(4)を生成させるために、ステップ(c)の生成物を酸触媒による2つの環化に付すステップを含む。
代表的な実施形態では、アルテミシン(4)を調製するのに使用されるDHAA(3)は、本明細書に記載されている方法のうちの1つによってアモルファ-4,11-ジエン(1)から調製する。
別の代表的な実施形態では、アルテミシン(4)を調製するのに使用されるDHAA(3)は、生物学的な供給源に由来する。別の代表的な実施形態では、DHAA(3)をアルテミシニック酸(2)から調製する。さらなる代表的な実施形態では、(2)を生物学的な供給源から単離する。別の代表的な実施形態では、DHAA(3)またはアルテミシニック酸(2)を産生する生物を組換え技術により得る。
VI. a.) 光化学酸化を用いるDHAA(3)の酸化
代表的な実施形態では、ジヒドロアルテミシニック酸(3)のアルテミシニン(4)への変換は、ジヒドロアルテミシニック酸(3)を光化学酸化に付すステップを含んでいる。
代表的な実施形態では、該光化学酸化は、ジヒドロアルテミシニック酸(3)と酸素と一重項酸素光増感剤を含んでいる混合物を光と接触させるステップを含んでいる。代表的な実施形態では、該光増感剤は、メチレンブルーおよびローズベンガルから選択されるメンバーである。
この反応で、DHAA(3)またはそのエステル(13)(R=H)は、ジヒドロアルテミシニック酸ヒドロペルオキシドに変換され、これは、下記式:
Figure 2008545716
で表される構造を有する。
化合物(14)において、Rは、H、置換または非置換のアルキルおよび置換または非置換のヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
化合物(14)は、有機溶媒中における光酸化剤および光の存在下での光酸化によって一重項酸素を加えることにより形成される。この光酸化反応の例は、ロスら(Roth et al.)に対する米国特許第4,992,561号およびActon et al., J. Org. Chem. 57:3610-3614(1992)に記載されている。これらの参考文献は、両方とも、参照により本明細書に組み入れられる。アルテミシン(4)を調製するために、化合物(14)は、さらに、酸触媒による酸化-閉環反応に付すことができる。
代表的な実施形態では、光化学酸化の前に、ジヒドロアルテミシニック酸(3)のカルボン酸部分をカルボン酸誘導体部分に変換する。このカルボン酸誘導体部分は、エステル、酸塩化物、酸臭化物、酸無水物、アミド、チオ酸およびチオエステルから選択されるメンバーである。代表的な実施形態では、カルボン酸誘導体部分は、エステルである。
VI. b.) 非光化学酸化を用いるアルテミシニン(4)の調製
上記光化学酸化ステップは、アルテミシニン(4)の少なくとも1キログラムの量での製造において、障害となる。大規模な光化学反応は、通常、反応容器内に浸漬した1つ以上の大型ランプを用いて実施する。ほとんどの場合、成功裏に行うことができる実験室規模の反応をその工業的な等価物へとスケールアップするためには、相当の努力を必要とする。これに関連した問題としては、光源の拡張可能性、プロセス中の熱および物質の移動、ランプからの距離が大きなところでの効率の低下ならびに安全上の懸念(例えば、過剰な熱による爆発)などがある。多くの光化学反応は、フリーラジカルの作用を介して進行する。該ラジカルは光源の近くで形成されるが、そのラジカルが速やかに拡散せずに、他の分子種とさらに反応できない場合、それらラジカルは、再結合して、所望の生成物の代わりに熱を発生させると思われる。ラジカルが再結合することにより、プロセス全体の量子効率も低減される。
励起状態にある酸素種の非光化学的な生成については、オーブリー(Aubry, J. Am Chem. Soc. 107:5844-5849(1985))(これは、電子過剰なジエンを用いた化学トラッピングによって間接的に測定した場合、過酸化水素が分解して「一重項酸素」を形成しているということについて記述している)の詳細な研究などを含む幾つかの研究が成されている。過酸化水素を一重項酸素に変換する非光化学的方法において最近なされた改善は、文献に記載されており、カルシウム金属塩を用いて(Aubry, et al, Chem. Commun. 599-600(1998); Aubry, et al, J. Org. Chem. 67:2418-2423(2002))、モリブデン金属塩を用いて(Tetrahedron Lett. 43:8731-8734(2002); J. Am. Chem. Soc. 126:10692-10700(2004))、および、ランタニド金属塩を用いて(Aubry, et al, Chem. Eur. J. 9:435-441(2003); Aubry, et al, Chem. Commun., 927-929(2005))、該反応を触媒している。電子過剰ジエンを用いた環状付加物の形成に加えて、これらの試薬系は、ジケトンおよびアリルヒドロペルオキシドを生成させることが知られている。
代表的な実施形態では、ジヒドロアルテミシニック酸(3)またはそのエステル(13)のアルテミシニン(4)への変換は、非光化学酸化手順を用いてジヒドロアルテミシニック酸(3)またはそのエステル化された誘導体を酸化された分子種に変換することを含んでいる。
代表的な実施形態では、酸化された分子種は、ヒドロペルオキシド(14)であり、ここで、Rは、H、置換または非置換のアルキルおよび置換または非置換のヘテロアルキルから選択されるメンバーである。
代表的な実施形態では、ヒドロペルオキシドは、過酸化物、エンドペルオキシドおよびオゾニドから選択されるメンバーの存在下で生成させる。
代表的な実施形態では、該非光化学酸化は、過酸化水素および金属触媒の存在下で実施し、過酸化水素を一重項酸素に変換する。代表的な実施形態では、該金属触媒中の金属は、ランタン、セリウム、モリブデン、カルシウム、タングステン、スカンジウム、チタン、ジルコニウムおよびバナジウムから選択されるメンバーである。これらの金属は、塩または酸化物の形態で使用し得る。好ましい実施形態では、金属触媒は、モリブデン酸ナトリウムである。触媒についての別の例として、硝酸ランタン、水酸化カルシウムおよびタングステン酸ナトリウムなどがある。
さらに別の代表的な実施形態では、金属触媒は、アルミナ、シリカ、ゼオライトおよび有機ポリマーから選択されるメンバーである固体の無機または有機媒体に担持されている。
VI. c.) ヒドロペルオキシド(14)からのアルテミシン(4)の調製
代表的な実施形態では、光化学反応または非光化学反応の生成物(例えば、化合物(14))を酸化-閉環反応に付すが、ここで、該反応は、(i)光化学酸化または非光化学酸化の生成物を酸触媒または金属触媒による転位反応に付すステップ、(ii)該転位反応の生成物を酸化するステップ、および、(iii)アルテミシニン(4)を生成させるために、酸化された生成物を酸触媒による2つの環化に付すステップを含む。
酸触媒による酸化-閉環反応の例には、空気中での三重項酸素による酸化(ロスら(Roth et al.)に対する米国特許第4,992,561号)または金属触媒による酸化(ハイネス(Haynes)に対する米国特許第5,310,946号)またはさまざまな他の方法による酸化などがあり、エノールケトン(表1中の化合物(18)、X=H)が形成される。次いで、化合物(18)は急速に自発的に酸化してケトアルデヒドヒドロペルオキシド中間体(表1中の化合物(16))となる。この中間体を、環内ヒドロペルオキシド橋の形成に始まりカルボニル炭素の求核攻撃とカルボン酸中のヒドロキシルの置換で終わる酸触媒によるプロセスで直ぐに閉環させて、アルテミシニン(4)を形成させる。
代表的な実施形態では、ステップ(i)(金属触媒による転位)における金属触媒は、銅塩である。別の代表的な実施形態では、銅塩は、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトネートおよび塩化銅(II)から選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、ステップ(iii)(酸触媒による環化)における酸のpKaは、5〜-20である。別の代表的な実施形態では、酸のうちの少なくとも1種類は、プロトン酸である。さらなる代表的な実施形態では、プロトン酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸およびシュウ酸から選択されるメンバーである。
別の代表的な実施形態では、ステップ(iii)における酸は、酸性官能基を含んでいるポリマーバックボーンまたはマトリックスを含んでいる物質である。代表的な実施形態では、ポリマーバックボーンまたはマトリックスは、スチレン-ジビニルベンゼンコポリマー、アクリレート、メタクリレート、フェノール-ホルムアルデヒド縮合物、エピクロルヒドリンアミン縮合物および過フッ素化イオノマーから選択されるメンバーである。別の代表的な実施形態では、ポリマーバックボーンまたはマトリックス上の酸性官能基は、スルホネート、ホスホネートおよびカルボン酸から選択されるメンバーである。さらに別の代表的な実施形態では、ステップ(i)における酸は、酸性樹脂である。さらなる代表的な実施形態では、該酸性樹脂は、スルホン化ポリスチレン、例えば、DOWEX 50WX8-200などである。
VI. d.) カルボン酸誘導体を用いるアルテミシン(4)の調製
別の代表的な実施形態では、ジヒドロアルテミシニック酸(3)からアルテミシニン(4)への変換は、(i)ジヒドロアルテミシニック酸(3)のカルボン酸部分をカルボン酸誘導体部分に変換するステップ(ここで、該カルボン酸誘導体部分は、エステル、酸塩化物、酸臭化物、酸無水物、アミド、チオ酸およびチオエステルから選択されるメンバーである);(ii)ステップ(i)の生成物を酸化に付すステップ(ここで、酸化は、光化学酸化および非光化学酸化から選択される酸化である);(iii)ステップ(ii)の生成物を酸触媒または金属触媒による転位反応に付すステップ;(iv)ステップ(iii)の生成物を酸化するステップ;および、(v)アルテミシニン(4)を生成させるために、ステップ(iv)の生成物を酸触媒による2つの環化に付すステップを含む。
酸化の前にDHAA(3)をカルボン酸誘導体に変換することにより、収率が著しく増大されるか、または、最終生成物の純度が改善され得る。好ましい実施形態では、DHAA(3)を光化学酸化または非光化学酸化に付す前に、その対応するエステル(13)に変換する。アルテミシニン(4)の合成中に、該エステルは、最終の閉環において脱離基がヒドロキシル基の代わりにアルコキシ基であることを除いて、DHAA(3)と同じ一連の反応を受ける。適切なエステルを生成させるための多くの方法を利用し得るということは当業者には明らかである。
あるいは、DHAA(3)のエステルは、アルテミシニック酸(2)のカルボン酸部分をエステル官能基に変換し、得られたアルテミシニック酸エステル(12)の環外二重結合を還元して、DHAAエステル(13)を生成させることにより調製することができる。
アルテミシニン(4)を調製するための合成経路における他の中間体は、対応するエステルに変換し得る。例えば、ヒドロペルオキシド(14)(R=H)は、ジアゾメタンでメチル化して、ヒドロペルオキシドメチルエステル(化合物(14)、R=CH3)を形成させることができる(米国特許第5,310,946号)。この反応によって、当該化合物の有機溶媒中での溶解度が変化し、ヒドロキシル基にとって少し好ましい脱離基が得られる。この変化は脱離基に対してのみ影響するので、その後の三重項酸素による酸化により同様にアルテミシニン(4)が形成される。反応性が高いヒドロペルオキシド部分に影響を及ぼさないほど反応条件が充分に穏やかである限り、そのようなエステルを生成させるための別の方法も使用可能であることは、当業者には明らかである。
あるいは、対応するカルボン酸から酸塩化物を形成させることによって、閉環化学にとってより好ましい脱離基が得られるであろうと思われる。例えば、化合物(13)(R=H)を0〜50℃の温度で塩化チオニルと反応させれば、対応する酸塩化物を形成させることができるであろう。あるいは、(13)を0〜150℃でPCl3と反応させれば、その酸塩化物を形成させることができるであろう。あるいは、(13)を0〜50℃でPCl5と反応させれば、その酸塩化物を形成させることができるであろう。
化合物(13)(R=H)またはその対応する酸塩化物は、代替的に、適切な脱離基をもたらしかつ閉環化学を促進して収率を増大させ得る別の官能基を有する化合物(例えば、エステル、アミド、酸無水物、チオエステルおよびチオ酸など)に変換することも可能であろう。あるいは、化合物(19)などのようなヒドロペルオキシド類似体は、アルテミシニンを合成するための出発物質を生成させるために、適切なカルボン酸誘導体(表1中の化合物(20))に変換することも可能であろう。(20)において、Yは、カルボン酸部分誘導体を表し、そして、アミド、酸無水物、チオエステルおよびチオ酸から選択されるメンバーである。カルボン酸部分をカルボン酸部分誘導体に変換する方法、および、酸塩化物部分をカルボン酸部分誘導体に変換する方法は、当技術分野では知られている(ORGANIC CHEMISTRY, L.G. Wade, Prentice Hall, 2003, 5th Ed., Chapter 20およびChapter 21)。
別の代表的な実施形態では、アルテミシニン(4)は、スキーム8で略述されている合成経路によって合成する。
Figure 2008545716
上記合成は、アルテミシニック酸(2)から出発し、それを、光化学的酸化または過酸化水素と適切な金属触媒を使用する非光化学的手段のいずれかによって、ヒドロペルオキシド(27)(R=H)に変換する。ヒドロペルオキシド(27)をプロトン酸触媒またはルイス酸(例えば、金属塩)触媒による転位に付してエノール(28)(X=H)とし、それを、分子酸素によって急速に酸化して、ケト-アルデヒドヒドロペルオキシド中間体(29)を得る。この中間体を、環内ヒドロペルオキシド橋の形成に始まりカルボニル炭素の求核攻撃とカルボン酸内のヒドロキシルの置換で終わる酸触媒によるプロセスで直ぐに閉環させて、デスヒドロアルテミシニン(30)を形成させる。これは、ジアステレオ選択的水素化によってアルテミシニン(4)に変換される。
アルテミシニック酸のエステル(12)(R=アルキル)に対しても類似したプロセスが存在し、最終の閉環において脱離基がヒドロキシル基の代わりにアルコキシ基であることを除いて、該エステルを同じ一連の反応に付す。
代表的な実施形態では、アルテミシニン(4)は、アモルファジエン(1)を
Figure 2008545716
で示される式および立体化学を有するアルコール部分含有化合物に変換することによって、合成される。
上記方法は、該アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、C11において所望の(R)-立体化学を有しているジヒドロアルテミシニック酸(3)(化合物(13)、R=H)を生成させることをさらに含んでいる。
同じ一連の反応において、アモルファ-4,11-ジエン(1)は化合物(6)に変換され、これを、同様に、エナンチオ選択的に還元して、上記で示されている構造を有する化合物とする。この化合物を上記のようにさらに処理して、ジヒドロアルテミシニック酸(3)を形成させる。
さらなる実施形態では、式(6)で表される化合物を、最初に酸化してアルテミシニック酸(2)を形成させ、これをエナンチオ選択的に水素化して、C11において所望の(R)-立体化学を有しているジヒドロアルテミシニック酸(化合物(13)、R=H)を生成させる。
最後に、上記方法は、ジヒドロアルテミシニック酸(3)またはそのエステル(それぞれ、上記で記載した方法のうちの1つで調製される)をアルテミシニン(4)に変換し、それにより、アルテミシニンを調製することをさらに含んでいる。
あるいは、アルテミシニック酸(2)またはそのエステル(12)は、以下のようにアルテミシニン(4)に変換される。すなわち、それらを光化学酸化または非光化学酸化のいずれかに付し、その生成物を酸化-閉環反応に付してデスヒドロアルテミシニンを生成させ、それを、ジアステレオ選択的に水素化することによりアルテミシニン(4)に変換する。
代表的な実施形態では、上記変換のいずれかで使用されるアルテミシニック酸(2)は、生物学的な供給源に由来する。
VII. アモルファ-4,11-ジエン(1)からのアルテミシニン類似体の合成
別の態様において、本発明は、アルテミシニン類似体を調製する方法を提供する。この方法は、(a)アモルファ-4,11-ジエン(1)を、式:
Figure 2008545716
で表されるアルコール部分含有化合物に変換するステップを含む。ステップ(a)の生成物のアルコール部分を、次いで、(b)酸化してアルデヒド部分とし、それにより、
Figure 2008545716
で表される構造を有するジヒドロアルテミシニックアルデヒド(表1中の化合物(7))を生成させる。
第1級アルコールを酸化してアルデヒドとする方法には、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、三酸化クロムとピリジンの錯体およびHClなどの酸化剤が必要である(ORGANIC CHEMISTRY, L.G. Wade, Prentice Hall, 2003, 5th Ed., Chapter 11)。ステップ(b)の生成物のアルデヒド部分を、次いで、(c)求核試薬を添加することによりアルコール部分に変換し、それにより、
Figure 2008545716
[ここで、R1は、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、および、置換または非置換のヘテロアリールから選択されるメンバーである]
で表される構造を有する化合物を生成させる。
この還元は、さまざまな還元剤によって実施することができる。代表的な実施形態では、該還元剤は、R1部分を含んでいるグリニャール試薬である(ORGANIC CHEMISTRY, L.G. Wade, Prentice Hall, 2003, 5th Ed., Chapter 10)。ステップ(c)の生成物は、閉環に適した脱離基であり得る。従って、ステップ(c)の生成物を、次いで、(d)光化学酸化または非光化学酸化に付す。ステップ(d)の生成物を、次いで、(e)酸化-閉環反応に付し、それにより、該アルテミシニン類似体(表1中の化合物(22))を生成させる。ここで、該アルテミシニン類似体は、
Figure 2008545716
で表される構造を有する。
上記変換のうちの幾つかは、Haynes, et al., Synlett:481(1992)においてより充分に論じられている。この文書の内容は、参照により本明細書に組み入れる。
代替的な実施形態では、アモルファジエン(1)を(6)に変換し、次に、(6)を酸化して対応するアルデヒド(8)とし、(8)をエナンチオ選択的に水素化して(7)を生成させ、(7)を前節で記載したように処理して、アルテミシニン類似体を生成させる。
以下の実施例は、限定するためではなく、例証することのみを目的として提供されている。本質的に同じような結果を得るために変更または修正が可能な、決定的ではないさまざまなパラメータについて、当業者は容易に認識するであろう。
下記実施例において、特に別途示されていない限り、温度は摂氏温度(℃)で与えられている;操作は、室温または周囲温度「rt」または「RT」(典型的には、約18〜25℃の範囲)で行なわれた;溶媒の蒸発は、減圧下(典型的には、4.5〜30mmHg)、浴温度60℃以下で、ロータリーエバポレータを用いて行われた;反応の経過は、典型的には、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって追跡され、反応時間は、例証のためにのみ与えられている;融点は、訂正されていない;生成物は、満足すべき1H-NMRおよび/または微量分析データを示した;収率は、例証のためにのみ与えられている;および、以下の慣習的な略語も使用されている:mp(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、mmol(ミリモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、min(分)、h(時間)、RBF(丸底フラスコ)。
実施例1
1.1. (1)から(5)への変換
注入口セプタム(septum inlet)および磁気撹拌棒を備えた250mL容フラスコに、50mmolのBH3SMe2および新たに蒸留した18mLのTHFを入れた。それを0℃に冷却し、115mmolのシクロヘキサンを滴下して加えた。その混合物を0℃で1時間撹拌した後、(C6H11)2BHが白色の固体として分離する。
その(C6H11)2BH(固体、50mmol)に、75mmolのアモルファジエン(1)を添加した。その反応混合物を-25℃で1時間撹拌し、次いで、1日間冷蔵庫内に置いた。そのトリアルキルボランを50mLの3N水酸化ナトリウムおよび7.5mLの30%過酸化水素で処理し、得られた反応混合物を25℃で5時間撹拌した。次いで、生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水した。その後、該エーテルを蒸発させた。残渣を、シリカゲル(溶離液として、石油エーテル:酢酸エチル(9:1)を使用)で濾過することによりオレフィンおよびシクロヘキシルアルコールを除去し、次いで、石油エーテル:酢酸エチル(1:1)で溶離させて、純粋なアルコール(5)を得た。
実施例2
2.1. (5)から(3)への変換
CrO3(200mmol)を水(30mL)に溶解させた冷溶液に硫酸(17mL)を滴下して加えることによりジョーンズ試薬を調製した。得られた溶液を、その溶液の総容積が60mLになるまで、水で希釈した。
アルコール(5)(65mmol)をアセトン(150mL)に溶解させ、0℃まで冷却した。ジョーンズ試薬を、その試薬の橙褐色が持続するようになるまで、滴下漏斗を通して2時間かけて滴下して加えた。その反応混合物をさらに2時間撹拌した。次いで、エーテルを添加して、クロム塩(chromeous salt)を沈殿させた。その反応混合物を濾過し、残渣をエーテルで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮し、5%水性水酸化ナトリウムを添加して精製した。生成物をエーテルで洗浄して、不純物を除去した。水層を酸性化し、酢酸エチルで抽出した。その抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮して、純粋なDHAA(3)を生成させた。
実施例3
3.1. (1)から(9)、(6)および(5)を介した(3)への変換
温度計、凝縮器および磁気撹拌棒を備えた250mL容の三つ口フラスコに、50mmolの次亜塩素酸カルシウムおよび50mLの水を入れ、激しく撹拌しながら、それに、200mLの塩化メチレンに溶解させたアモルファジエン(1)を30分間かけて添加した。撹拌を3時間継続し、その間に、50gのドライアイスを少量ずつ一定の時間間隔で添加した。その濃厚な白色のスラリーを濾過して、無機塩を除去した。その無機塩を25mLの塩化メチレンで2回洗浄した。濾液および洗液を合し、水層をデカントし、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した。その有機層を濾過して乾燥剤を除去し、減圧下に濃縮して、((9)、X=Cl)を得た。その濃縮物をジオキサンと水の(50:50)混合物と一緒に沸騰させることにより(9)の塩素を加水分解して、濃縮後に不飽和アルコール(6)を得た。その不飽和アルコール(6)を50mLのメタノールに溶解させた。0.05mmolのBINAP-Ru触媒を添加し、得られた懸濁液を、クロマトグラフィーによって反応が完結したことが示されるまで、50psiの水素ガス下、室温で撹拌した。次いで、その反応混合物を濾過して触媒を除去し、減圧下に濃縮して、粗アルコール(5)を得た。(5)を実施例2.1で記載したのと同様にさらに処理して、DHAA(3)を得ることができる。
3.2. (1)から(10)、(6)および(2)を介した(3)への変換
3.2.1. (1)から(10)への変換
Figure 2008545716
アモルファ-4,11-ジエン(1)(55.2mg;0.27mmol)を2mLのアセトニトリルに溶解させた溶液に、2.5mg(1mol%)の[Mn(2,6-Cl2TPP)Cl]および32.6mg(0.42mmol)のNH4AcOを添加した。その反応物に、NH4CO3H(61.5mg;0.82mmol)および30%H2O2(約5当量)からなる溶液を滴下して加えた。激しい泡立ちが観察された。その反応物を室温で撹拌し、TLC(4:1 ヘキサン/酢酸エチル)でモニターした。1時間経過した後、飽和Na2S2O3および酢酸エチルを添加した。その水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を合して無水K2CO3で脱水し、減圧下に濃縮して、褐色の油状物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、2種類のジアステレオマーの(2:1)混合物状態にあるアモルファジエン-モノエポキシド(10)を得た。(10)の1H-NMRスペクトルにおいて、(C11-C12)環外二重結合についてのシグナル(約4.6〜4.9ppm)は存在しておらず、アリルC6-Hについてのシグナルは維持されている。
1H-NMR(CDCl3)(括弧内は、マイナーなジアステレオマー)δ:5.17[5.50](br s, 1H), 2.60[2.40](d, J=4.5, 1H), 2.83[2.75](d, J=4.5, 2H), 2.60[2.50](s br, 1H)。
3.2.2. (10)から(11)および(6)への変換
Figure 2008545716
30mgの(10)をTHF/H2O(4:1)に溶解させた溶液に、4滴の濃硫酸を添加した。その反応物を、全ての出発物質が消費されるまで、室温で撹拌した。所望の化合物を酢酸エチルの中に抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSO4で脱水した。回転蒸発により溶媒を除去して、淡黄色の油状物を得た。この油状物は、主要成分として化合物(6)および化合物(11)を含んでいた。これらは、カラムクロマトグラフィーで分離させた。
TLC(4:1 ヘキサン/酢酸エチル)Rf(アリル型アルコール)=0.34およびRf(ジオール)=0.14。
3.2.3. (6)から(2)への変換
Figure 2008545716
0.2mmolの(6)を1mLのアセトンに溶解させた溶液に、0℃で、数滴のジョーンズ試薬(1.4M CrO3:2.2M H2SO4:水)を添加した。その反応混合物を室温まで昇温させ、出発物質(6)が消費されるまで撹拌した。その反応物に、水およびCH2Cl2を添加した。有機層を水で洗浄し、MgSO4で脱水した。減圧下に溶媒を除去して、(2)を定量的な収率(LC/MS)で得た。化合物(2)は、ロスおよびアクトン(Roth and Acton, J. Chem. Ed., 68:7, 612-613)により記載されているのと同様にして、または、接触水素化(実施例4)により、容易にDHAA(3)に変換することができる。
実施例4
4.1. (2)から(3)への変換
Parr振とうビンに15mLのメタノールを添加し、次いで、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(4.2mg、ウィルキンソン触媒)を添加し、次いで、71.2mgのアルテミシニック酸(2)を添加した。その懸濁液を、Parr装置上で37psiで1時間振とうした。NMRは、この時点で、反応物がほとんどまたは全く存在していないことを示す。その懸濁液を、Parr装置上に戻し、30〜35psiで振とうすることなく12日間置いた。乾燥したアリコートをNMRで分析した。そのNMRにより、62%の変換率で(3)の所望の異性体が望ましくない異性体に優先して5.8:1の比率で形成されたことが示された。
実施例5
5.1. (3)から(4)への変換
ジヒドロアルテミシニック酸(3)(40.2mg, 0.17mmol)を1mLの変性エタノールに溶解させた。その溶液に、0.1mL(0.19mmol)の水性水酸化ナトリウムを添加した。白色の懸濁液が形成された。モリブデン酸ナトリウム二水和物(8.1mg)を添加した後、50%過酸化水素を少量ずつ添加した(6つの30マイクロリットル分割量を約20分間隔てて添加した)。過酸化水素の最後の添加から10分間経過した後、その混合物を回転蒸発により濃縮した。残渣を10mLの酢酸エチルと5mLの水に溶解させ、次いで、5%HClで酸性化してpH4とした。相を分離させ、水相を5mLの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を合して硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮して、54.3mgの無色の油状物を得た。その油状物に3mLのアセトニトリルを添加して、懸濁液が形成された。その懸濁液に酸素ガスを通気し、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(8.0mg)を添加した。銅塩を添加してから30分間経過した後、その懸濁液に3mLの塩化メチレンを添加した。80分間経過した後、その反応物を減圧下に濃縮した。その粗反応混合物のNMR分析によって、その物質の大部分が少量のアルテミシニンに加えて未反応の(3)であることが示された。その未精製アルテミシニンを10mLの酢酸エチルに溶解させ、10mLの炭酸カリウム溶液で2回洗浄した。酢酸エチル相を減圧下に濃縮して、11.7mgの無色の油状物を得た。これは、約40%のアルテミシニン(4)を含んでいた(NMR、収率8%)。その炭酸カリウム抽出物を酸性化してpH4とした後、酢酸エチルで抽出し、回転蒸発に付すことにより、25.2mgの未反応ジヒドロアルテミシニック酸(3)が回収された。回収された(3)に基づいて計算した収率は、約26%である。
実施例6
6.1. (3)から(13)(R=CH 3 )への変換
ジヒドロアルテミシニック酸(3)(0.17mmol)を1.4mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、炭酸カリウム(0.25mmol)を添加した後、ヨードメタンを添加した。得られた淡黄色の懸濁液を室温で20時間撹拌し、次いで、10mLの水および10mLのエーテルで希釈した。相を分離させ、水相を5%HClで酸性化して、pH4とした。その水相を10mLのエーテルで抽出し、さらに、別の5mLのエーテルで抽出した。エーテル抽出物を合して炭酸カリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、95.4mgの淡黄色の液体を得た。そのエステルを、溶離液としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、(13)(R=CH3)(36.0mg 84%)を淡黄色の油状物として得た。
実施例7
7.1. (13)(R=CH 3 )から(4)への変換
重水素化エタノール(エタノール-d6)(92.4mg)と重水(85.6mg)とドデシル硫酸ナトリウム(53.3mg)を0.50mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を未精製(13)(93.6mg、純度78%、0.292mmol)に添加した後、モリブデン酸ナトリウム二水和物(10.6mg)を添加した。過酸化水素(50%)を3つの部分(30μL、30μLおよび35μL)に分けて、それぞれ、t=0分、45分および80分に添加した。さらに80分間経過した後、その溶液を、ヘキサン中の50%(v/v)酢酸エチル(8mL)に添加した。その溶液を回転蒸発により濃縮して約4ミリリットルとし、次いで、70〜100ミクロンガラスフリットを通して濾過し、濃縮して、119mgの油状物および白色の膜状物を得た。2ミリリットルの塩化メチレンを添加し、得られた混合物を氷浴中で冷却した。その溶液に酸素ガスを通気し、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(7.8mg)を添加し、酸素の通気を継続した。40分間経過した後、DOWEX 50WX8-200樹脂(スルホン化ポリスチレン、50.2mg)の懸濁液を添加し、酸素の通気をさらに30分間継続した。その懸濁液を室温でさらに18時間撹拌し、次いで、濾過し、濃縮して、114.3mgの褐色の油状物を得た。この油状物は、冷蔵庫内で部分的に固体化した。溶離剤として10%酢酸エチル/ヘキサンと次に20%酢酸エチル/ヘキサンを使用してシリカゲルで精製して、36.1mgのアルテミシニンを白色の固体として得た(収率34%、または、出発物質のエステル中の不純物に対して補正した場合、収率43%)。
実施例8
8.1. バレンセン(26)からバレンセン-11,12-エポキシドへの変換
Figure 2008545716
バレンセン(26)(53mg;0.26mmol)を1mLのアセトニトリルに溶解させた。その溶液に、2.2mg(1mol%)の[Mn(2,6-Cl2TPP)Cl]および32.4mg(0.42mmol)のNH4OAcを添加した。その反応物に、NH4HCO3(70mg;0.89mmol)と30%H2O2(約5当量)からなる溶液を少量ずつ滴下して加えた。激しい泡立ちが観察された。その反応物を室温で撹拌し、TLC(4:1 ヘキサン/酢酸エチル)でモニターした。1時間経過した後、飽和Na2S2O3および酢酸エチルを添加した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を合して無水K2CO3で脱水し、減圧下に濃縮して、褐色の油状物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、バレンセン-11,12-エポキシドを得た。
実施例9
9.1. バレンセン(26)からバレンセン-11,12-ジオール(32)への変換
Figure 2008545716
バレンセン(26)(225.5mg;1.1mmol)を、5mLのアセトンと1mLの水に溶解させた。その溶液に、155mg(1.32mmol)のNMOを添加した。その溶液を0℃まで冷却した。その反応物に、約0.01当量のOsO4(4%溶液)を添加した。その反応物を室温まで昇温させ、反応が完結するまで室温で撹拌した。その反応は、GC/MSでモニターした。反応の完結後、直ぐに、その反応混合物に固体の重亜硫酸ナトリウムを添加した。そのスラリーを室温で約1時間撹拌した。クエンチされた溶液に、CH2Cl2および水を添加した。層を分離させ、水層を別のCH2Cl2で抽出した。有機抽出物を合して脱水し、セライトで濾過し、回転蒸発で濃縮して、未精製バレンセン-11,12-ジオールを得た。
特定の実施形態を参照して本発明について開示してきたが、当業者は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく本発明の別の実施形態および変形態様について考案し得るということは、明らかである。
本明細書の中で引用されている全ての特許、特許出願および他の刊行物は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。

Claims (58)

  1. 環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にエポキシ化する方法であって、
    (a) 基質とエポキシ化酸化剤と金属ポルフィリンおよび金属サレンから選択されるメンバーを接触させるステップ;
    を含む、上記方法。
  2. 前記金属ポルフィリンまたは金属サレン中の金属が遷移金属である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遷移金属が、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウムおよびパラジウムから選択されるメンバーである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記金属ポルフィリン中のポルフィリン部分が、TPP、TTMPPおよびTTPから選択されるメンバーである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記エポキシ化酸化剤が、酸素、過酸化物、過酸、次亜塩素酸アニオン、ペルオキシジスルフェート(S2O8 2-)、ジオキシランおよびヨードシルベンゼン(PhIO)から選択されるメンバーまたはそれらを組み合わせたものである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記過酸化物が過酸化水素である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記基質が、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンおよびトリテルペンから選択されるメンバーである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記セスキテルペンが、アモルファン(amorphane)、バレンカン(valencane)、カジナン(cadinane)、エレモフィラン(eremophilane)、グアイアン(guaiane)、ゲルマクラン(germacrane)およびオイデスマン(eudesmane)から選択されるメンバーである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記セスキテルペンがアモルファ-4,11-ジエンである、請求項7に記載の方法。
  10. 環内アルケンに優先して環外アルケンを位置選択的にジヒドロキシル化する方法であって、
    (a) 遷移金属をベースとした酸化剤(または、触媒)を含んでいるジヒドロキシル化試薬に基質を接触させるステップ;
    を含む、上記方法。
  11. 前記酸化剤が、四酸化オスミウム(OsO4)および四酸化ルテニウム(RuO4)から選択されるメンバーである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ジヒドロキシル化試薬が、主酸化剤を再生させるための副酸化剤をさらに含んでいる、請求項10に記載の方法。
  13. 前記副酸化剤が、過酸化物、過酸、第3級アミンN-オキシド、K3Fe(CN)6、亜塩素酸アニオン、I2、セレノキシドおよびペルオキシスルフェート(S2O8 2-)から選択されるメンバーである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第3級アミンN-オキシドがN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記基質が、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンおよびトリテルペンから選択されるメンバーである、請求項10に記載の方法。
  16. 前記セスキテルペンが、アモルファン、バレンカン、カジナン、エレモフィラン、グアイアン、ゲルマクランおよびオイデスマンから選択されるメンバーである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記セスキテルペンがアモルファ-4,11-ジエンである、請求項15に記載の方法。
  18. ジヒドロアルテミシニック酸:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) アモルファ-4,11-ジエン中の環外アルケンを、請求項9の方法で位置選択的にエポキシ化して、式:
    Figure 2008545716
    で表されるエポキシド部分含有化合物を形成させるステップ;および
    (b) エポキシド環を加水分解的に開環してジオールを形成させ、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を生成させるステップ;および
    (c) 第3級ヒドロキシ基を除去して環外アルケンを形成させ、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を生成させるステップ;および
    (d) 二重結合を還元し、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を調製するステップ;および
    (e) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  19. ジヒドロアルテミシニック酸を調製する方法であって、
    (a) アモルファ-4,11-ジエン中の環外アルケンを、請求項17の方法で位置選択的にジヒドロキシル化してジオールを形成させ、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を生成させるステップ;
    (b) 第3級ヒドロキシ基を除去して環外アルケンを形成させ、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を生成させるステップ;および
    (c) 二重結合を還元し、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を調製するステップ;および
    (d) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  20. ジヒドロアルテミシニック酸:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) アモルファ-4,11-ジエン:
    Figure 2008545716
    を、1ステップで、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルコール部分含有化合物に変換するステップ;および
    (b) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  21. 前記アルコールが、
    (c) 環内アルケン部分に優先して環外アルケン部分と選択的に反応し得るヒドロホウ素化試薬を用いて前記アモルファジエンを位置選択的にヒドロホウ素化するステップ;
    により形成される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ヒドロホウ素化試薬がジシクロアルキルボランである、請求項21に記載の方法。
  23. ステップ(a)の前に、前記アモルファジエンを当該アモルファジエンを合成した遺伝子組換え生物を含んでいる混合物から分離するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  24. 前記混合物から分離されたアモルファジエンを少なくとも1キログラムの量で単離する、請求項23に記載の方法。
  25. ジヒドロアルテミシニック酸:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) アモルファ-4,11-ジエン:
    Figure 2008545716
    を、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルコール部分含有化合物に変換するステップ;および
    (b) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、アルテミシニック酸の式を有する化合物を形成させるステップ;および
    (c) 二重結合を還元し、それにより、ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  26. 前記アルコール部分含有化合物を、
    (i) アモルファジエンをアルキルリチウム試薬と反応させることにより位置選択的に環外アリルアニオンを形成させるステップ;および
    (ii) 酸素を用いて前記環外アリルアニオンをクエンチングして、それにより、アルコール部分含有化合物を合成するステップ;
    により合成する、請求項25に記載の方法。
  27. 前記アルコール部分含有化合物を、
    (i) アモルファジエンをアルキルリチウム試薬と反応させることにより位置選択的に環外アリルアニオンを形成させるステップ;および
    (ii) 前記環外アリルアニオンをホウ酸アルキルと反応させ、それにより、ホウ酸エステルを形成させるステップ;および
    (iii) 前記ホウ酸エステルを過酸化水素で酸化するステップ;
    により合成する、請求項25に記載の方法。
  28. アルテミシニック酸を遷移金属触媒の存在下における接触水素化に付すことにより二重結合を還元して、ジヒドロアルテミシニック酸をエナンチオ選択的に生成させる、請求項25に記載の方法。
  29. ステップ(b)を、
    (i) アリル型アルコールを酸化して、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルデヒド部分含有化合物とするステップ:および
    (ii) 前記アルデヒド部分含有化合物を酸化して、アルテミシニック酸の式を有する化合物を生成させるステップ;
    により実施する、請求項25に記載の方法。
  30. ステップ(a)の前に、前記アモルファジエンを当該アモルファジエンを合成した遺伝子組換え生物を含んでいる混合物から分離するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  31. 前記混合物から分離されたアモルファジエンを少なくとも1キログラムの量で単離する、請求項30に記載の方法。
  32. ジヒドロアルテミシニック酸:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) アモルファジエン:
    Figure 2008545716
    を、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルコール部分含有化合物に変換するステップ;および
    (b) 二重結合を還元し、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を調製するステップ;および
    (c) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、該ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  33. 前記アルコール部分含有化合物を金属触媒の存在下における接触水素化に付して、還元されたアルコールを立体選択的に生成させることによりステップ(b)を実施し、ここで、該金属触媒は、キラルおよびアキラルから選択されるメンバーである、請求項32に記載の方法。
  34. ステップ(c)を、
    (i) 飽和アルコールを酸化して、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルデヒド部分含有化合物を生成させるステップ;
    (ii) 前記アルデヒド部分含有化合物をさらに酸化して、ジヒドロアルテミシニック酸を生成させるステップ;
    を含む2段階で実施する、請求項32に記載の方法。
  35. ステップ(a)の前に、前記アモルファジエンを当該アモルファジエンを合成した遺伝子組換え生物を含んでいる混合物から分離するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  36. 前記混合物から分離されたアモルファジエンを少なくとも1キログラムの量で単離する、請求項32に記載の方法。
  37. ジヒドロアルテミシニック酸:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) アモルファジエン:
    Figure 2008545716
    を「エン(ene)」ハロゲン化に付し、それにより、式:
    Figure 2008545716
    [式中、Xはハロゲンである]
    で表される化合物を生成させるステップ;および
    (b) ステップ(a)の生成物を、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物に変換するステップ;および
    (c) 環外二重結合を還元し、それにより、式:
    Figure 2008545716
    で表される化合物を調製するステップ;および
    (d) アルコール部分を酸化してカルボン酸部分とし、それにより、ジヒドロアルテミシニック酸を調製するステップ;
    を含む、上記方法。
  38. アルテミシニン:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) 酸化手順を用いてジヒドロアルテミシニック酸またはそのエステル化された誘導体を酸化された分子種に変換するステップであって、ここで、該酸化手順は、光化学酸化および非光化学酸化から選択される手順であること;
    (b) ステップ(a)の生成物を酸触媒または金属触媒による転位反応に付すステップ;
    (c) ステップ(b)の生成物を酸化するステップ;
    (d) アルテミシニンを生成させるために、ステップ(c)の生成物を酸触媒による2つの環化に付すステップ;
    を含む、上記方法。
  39. 前記ジヒドロアルテミシニック酸を、請求項18、請求項19、請求項20、請求項25、請求項32および請求項37に記載の方法のうちの1つによって調製する、請求項38に記載の方法。
  40. 前記光化学酸化が、ジヒドロアルテミシニック酸と酸素と一重項酸素光増感剤を含んでいる混合物を光と接触させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  41. 前記光増感剤が、メチレンブルーおよびローズベンガルから選択されるメンバーである、請求項40に記載の方法。
  42. 前記酸化された分子種がヒドロペルオキシドであり、該ヒドロペルオキシドは、過酸化物、エンドペルオキシドおよびオゾニドから選択されるメンバーの存在下で生成される、請求項38に記載の方法。
  43. 前記非光化学酸化が、過酸化水素および金属触媒の存在下で実施される、請求項38に記載の方法。
  44. 前記金属触媒中の金属が、ランタン、セリウム、モリブデン、カルシウム、タングステン、スカンジウム、チタン、ジルコニウムおよびバナジウムから選択されるメンバーである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記金属触媒が、アルミナ、シリカ、ゼオライトおよび有機ポリマーから選択されるメンバーである無機または有機の固体媒体に担持されている、請求項43に記載の方法。
  46. 前記金属触媒がモリブデン酸ナトリウムである、請求項43に記載の方法。
  47. ステップ(b)の前記金属触媒が銅塩である、請求項38に記載の方法。
  48. 前記銅塩が、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、銅(II)アセチルアセトネートおよび塩化銅(II)から選択されるメンバーである、請求項47に記載の方法。
  49. ステップ(d)(酸触媒環化)における前記酸のpKaが5〜-20である、請求項38に記載の方法。
  50. ステップ(d)における前記酸のうちの少なくとも1種類がプロトン酸である、請求項38に記載の方法。
  51. 前記プロトン酸が、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸およびシュウ酸から選択されるメンバーである、請求項50に記載の方法。
  52. ステップ(d)における前記酸が、酸性官能基を含んでいるポリマーバックボーンまたはマトリックスを含んでいる物質である、請求項38に記載の方法。
  53. 前記ポリマーバックボーンまたはマトリックスが、スチレン-ジビニルベンゼンコポリマー、アクリレート、メタクリレート、フェノール-ホルムアルデヒド縮合物、エピクロルヒドリンアミン縮合物および過フッ素化イオノマーから選択されるメンバーである、請求項52に記載の方法。
  54. 前記ポリマーバックボーンまたはマトリックスの酸性官能基が、スルホネート、ホスホネートおよびカルボン酸から選択されるメンバーである、請求項52に記載の方法。
  55. ステップ(d)の前記酸が酸性樹脂である、請求項38に記載の方法。
  56. 前記酸性樹脂がスルホン化ポリスチレンである、請求項55に記載の方法。
  57. アルテミシニン:
    Figure 2008545716
    を調製する方法であって、
    (a) ジヒドロアルテミシニック酸のカルボン酸部分をカルボン酸誘導体部分に変換するステップであって、ここで、該カルボン酸誘導体部分は、エステル、酸塩化物、酸臭化物、酸無水物、アミド、チオ酸およびチオエステルから選択されるメンバーであること;および
    (b) ステップ(d)の生成物を酸化手順に付すステップであって、ここで、該酸化手順は、光化学酸化および非光化学酸化から選択される手順であること;および
    (c) ステップ(e)の生成物を酸触媒または金属触媒による転位反応に付すステップ;および
    (d) ステップ(f)の生成物を酸化するステップ;および
    (e) アルテミシニンを生成させるために、ステップ(g)の生成物を酸触媒による2つの環化に付すステップ;
    を含む、上記方法。
  58. アルテミシニン類似体を調製する方法であって、
    (a) アモルファジエン:
    Figure 2008545716
    を、式:
    Figure 2008545716
    で表されるアルコール部分含有化合物に変換するステップ;および
    (b) アルコール部分を酸化してアルデヒド部分とし、それにより、
    Figure 2008545716
    で表される構造を有するジヒドロアルテミシニックアルデヒドを生成させるステップ;および
    (c) ジヒドロアルテミシニックアルデヒドのアルデヒド部分を還元してアルコール部分とし、それにより、
    Figure 2008545716
    [ここで、R1は、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、および、置換または非置換のヘテロアリールから選択されるメンバーである]
    で表される構造を有する化合物を生成させるステップ;および
    (d) ステップ(c)の生成物を光酸化反応に付すステップ;および
    (e) ステップ(d)の生成物を酸化-閉環反応に付し、それにより、アルテミシニン類似体を生成させるステップであって、ここで、該アルテミシニン類似体は、
    Figure 2008545716
    で表される構造を有すること;
    を含む、上記方法。
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