JP2008518023A - 同族抗原に対する親和性を改変することによる抗体特異性の調節 - Google Patents

同族抗原に対する親和性を改変することによる抗体特異性の調節 Download PDF

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Abstract

この発明は、1以上のEph受容体チロシンキナーゼファミリーメンバーおよび/または1以上のEph受容体リガンド、特にEphrinの異常な発現および/または活性に関連する様々な疾患の治療、管理、予防および/または改善のためにデザインされた方法および組成物に関する。特にこの発明は、1以上のEph受容体および/または1以上のEphrinの異常な発現および/または活性に関連する疾患の治療、管理、予防および/または改善のための方法であって、それを必要とする被験体に有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを投与することを含む方法を提供する。この発明はさらに、同族抗原に対する親和性を改変することにより抗体特異性を調節する方法に関する。
【選択図】図1A

Description

本願は、2004年10月27日出願の米国仮特許出願第60/622,711号、および2005年9月16日出願の米国仮特許出願60/717,209号の優先権を主張する。なお、これらの出願は、参照により本明細書にそのまま組み入れられる
1. 発明の分野
本発明は、同族(cognate)抗原に対する抗体の親和性を改変(tailoring)することにより抗体特異性を調節(modulating)する方法に関する。本発明はさらに、1以上のEph受容体チロシンキナーゼファミリーメンバーおよび/または1以上のEph受容体リガンド、特に、Ephrinの異常な発現および/または活性に関連する様々な疾患の治療、管理、予防および/または改善のためにデザインされた方法および組成物に関する。特に、本発明は、1以上のEph受容体および/または1以上のEphrinの異常な発現および/または活性に関連する疾患の治療、管理、予防および/または改善のための方法を提供し、その方法は、それを必要とする被験体に有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを投与することを含む。本発明はさらに、同族抗原に対する親和性が改変された抗体を提供する。
2. 発明の背景
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞外リガンド結合ドメインと、チロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインからなる膜貫通タンパク質である(Surawskaら, 2004, Cytokine Growth Factor Rev. 15:419-433)。このタンパク質ファミリーは50を超える異なるメンバーを含み、それらのメンバーは構造組成に基づいて少なくとも19の異なるクラスに編成され、増殖因子(例えば、EGF、PDGF、FGF)およびインスリン(Grassotら, 2003, Nucl Acids Res., 31(1):353-358; Surawskaら, 2004, Cytokine Growth Factor Rev. 15:419-433)の受容体を含む。クラスI RTKは、例えば、EGFR、ERBB2、ERBB3およびERBB4を含み;クラスII RTKは、例えば、INSR、IRRおよびIG1Rを含み;クラスIII RTKは、例えば、PDGFα、PDGFβ、Fms、KitおよびFlt3を含み;クラスIV RTKは、例えば、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4およびBFR2を含み;クラスV RTKは、Flt1、Flt2およびFlt4を含み;クラスVI RTKは、EphA1〜EphA8およびEphB1〜EphB6を含み;クラスVII RTKは、TrkA、TrkBおよびTrkCを含む(Grassotら, 2003, Nucl Acids Res., 31(1):353-358; Grassotら, Grassotら, www.irisa.fr/jobim/papiers/O-p199_012.pdf)。細胞内(サイトゾル)ドメインにおけるチロシン残基の自己リン酸化は、細胞外結合ドメインに対するリガンドの結合によって誘導され、次に、シグナル伝達複合体の形成と下流のシグナル伝達カスケードの活性化が起こる(Surawskaら, 2004, Cytokine Growth Factor Rev. 15:419-433)。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)の最大のサブファミリーであるEph受容体と、それらのリガンドであるEphrinは、発生中の、ならびに成体動物における様々な一連の生体プロセスに重要な役割を果たす(総説としては、Zhouら,1998, Pharmacol. Ther. 77:151-181; Himanen and Nikolov, 2003, Trends in Neurosci. 26:46-51; Murai and Pasquale, 2003, J Cell Sci. 116: 2823-2832;およびKullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486参照)。Eph/Ephrinにより媒介されるシグナル伝達は、形態形成、血管の発生、細胞の移動、軸索誘導およびシナプスの可塑性をはじめとする多くの重要な生体機能において役割を果たす(Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486)。これまでに15のEph受容体(EphA1〜A8とEphA10、およびEphB1〜B6)と8つのEphrinリガンド(EphrinA1〜A5およびEphrinB1〜B3)が哺乳類において同定されている(例えば、“Unified Nomenclature For Eph Family Receptors And Their Ligands, The Ephrins,” the Eph Nomenclature Committee, Cell 90:403-404, 1997として再版; Surawskaら, 2004, Cytokine Growth Factor Rev. 15:419-433); Siddiqui and Cramer, 2005, J Comp Neurol. 482(4):309-319; Aasheimら, 2005, Biochim Biophys Acta 1723(1-3):1-7;およびZhouら,1998, Pharmacol. Ther. 77:151-181参照)。Eph受容体とEphrinは双方とも、配列の保存性とそれらの結合親和性に基づき、AとBの2つのサブクラスに分けられる(Eph Nomenclature Committee, 1997, Cell 90:403-404)。同定されているA型Eph受容体(EphA1〜A8)の8つうち、A型とB型の双方のリガンドと結合可能なEphA4以外は、一般に、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって細胞膜に結合されている5つのA型Ephrin(EFNA1〜A5)と無差別に(しかし、様々な親和性で)相互作用する(Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486)。B型Eph受容体(EphB1〜B6)は、疎水性の膜貫通領域と短い細胞質ドメインによって細胞膜に結合されている3つのB型Ephrin(EFNB1〜B3)と相互作用することが示されている(Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486)。
Eph/Ephrinにより媒介されるシグナル伝達は、双方向性であるために動的なものである(例えば、Gauthier and Robbins, 2003, Life Sciences 74:207-216; Murai and Pasquale, 2003, J. Cell Sci. 116:2823-2832; Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486;およびHolder and Klein, 1999, Development 126:2033-2044参照)。Eph受容体とそのリガンドとの結合は、受容体にコンフォメーション変化をもたらし、同時に、その受容体を発現する細胞内で、保存性の高いEphチロシンキナーゼドメインの活性化と典型的な受容体フォワードシグナルの伝達が起こる。同時に、Ephrin発現細胞へのリバースシグナルの伝達もある。Eph/Ephrin媒介性のるシグナル伝達は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路シグナル伝達に関与するSrcファミリーキナーゼ;血小板由来増殖因子(PDGF)および上皮細胞増殖因子(EGF)シグナル伝達に関与するGrb2;ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K);Rho媒介シグナル伝達に関与するCrk(例えば、Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486参照);ならびに動員が内皮毛細管様構築および細胞接着などの機能的応答と相関することが示されている低分子量ホスホチロシンホスファターゼ(LMW-PTP)をはじめとする、細胞膜近傍の他のシグナル伝達アダプター分子と、Ephおよび/またはEphrinとの相互作用を介したいくつかの細胞シグナル伝達経路に収束する(Steinら, 1998, Genes Dev. 12:667-678)。
しかしながら、証拠が増えるに従ってますます詳細に調べられている疾病、特に癌における役割は、脈管形成、腫瘍形成および転移などの疾病プロセスにおけるEph/Ephrin媒介性シグナル伝達に対する役割を補助することである(例えば、Sullivan and Bicknell, 2003, British J. Cancer 89:228-231; Chengら, 2002, Cytokine & Growth Factor Rev. 13:75-85; Nakamoto and Bergemann, 2002, Microscopy Res. & Technique 59:58-67参照)。Eph受容体の発現は、限定されるものではないが、乳癌(Wuら, 2004, Pathol. Oncol. Res. 10:26-33)、結腸癌(Stephensonら, 2001, BMC Mol. Biol. 2:15-23)、骨肉腫(Vareliasら, 2002, Cancer 95:862-869)および食道癌(Nemotoら, 1997, Pathobiology 65:195-203)をはじめとする様々なタイプの癌で研究されている。実際に、同定された初めてのEph受容体EphA1は、ヒトエリスロポエチン産生肝細胞(eph)癌細胞系統から単離された(Hiraiら, 1987, Science 238:1717-1720)。
3. 発明の概要
本発明は、1つには、特定のEph受容体チロシンキナーゼおよび/またはそれらのリガンドであるEphrinが、限定されるものではないが、癌および炎症をはじめとする様々な疾患に関連するある種の組織および細胞種では異常な発現(すなわち、不適切な発現、過剰発現または不十分な発現)をするという発見に基づく。本発明は、Eph受容体とEphrinの間の複数の相互作用ならびにそれらと下流の複数のシグナル伝達分子との相互作用を利用する。Eph受容体とEphrinのドメインにおける高い保存性と高度の機能重複を利用して、本発明は、1以上のEph受容体チロシンキナーゼファミリーメンバーおよび/または1以上のEphキナーゼリガンド、特にEphrinの異常な発現および/または活性に関連する様々な疾患の治療、管理、予防および/または改善のためにデザインされた治療方法および組成物を提供する。本発明の予防方法および治療方法は、複数のEphキナーゼおよび/またはEphrinを優先的に標的とする、有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを、単独で、または他の予防薬または治療薬と組み合わせて投与することを含む。ある特定の実施形態では、治療される疾病にもよるが、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、1以上のEphキナーゼおよび/またはEphrinの発現および/または活性を調節して、Eph受容体および/またはEphrinの活性および/または安定性を促進作働作用および/または拮抗作用を及ぼす。
本発明の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、特定のEph受容体および/またはEphrinのユニークな領域と結合および/または相互作用して、該Eph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を調節するようデザインすることができる。別の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、本発明の方法によって複数のEph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を同時に調節するために、特定のEph受容体および/またはEphrinの間で共通または相同である領域と結合および/または相互作用するようにデザインすることができる。
本発明は、Eph受容体および/またはEphrinのモジュレーター(「Eph/Ephrinモジュレーター」)を提供する。Eph/Ephrinモジュレーターの限定されない例として、(i)Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEph受容体の内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)の、例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの発現;および/または(ii)Eph受容体および/またはEphrinの活性を(直接的または間接的に)調節することにより生物学的作用を付与する薬剤がある。
Eph/Ephrinモジュレーターの例としては、限定されるものではないが、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤(以下、「Eph/Ephrin相互作用阻害剤」)を含む。Eph/Ephrin相互作用阻害剤の限定されない例としては、(i)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEphrin(例えば、単量体または多量体))、ならびにEph受容体と結合し、シグナル伝達とEph受容体のリン酸化を誘導する抗体(すなわち、Eph受容体アゴニスト抗体);(ii)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、Eph受容体アンタゴニスト性抗体およびドミナントネガティブ型のEphrin);(iii)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体、およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する抗体);ならびに(iv)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、ドミナントネガティブ型のEph受容体および抗Ephrin抗体)が挙げられる。
さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体の発現を調節する薬剤を含む。このような薬剤はEph受容体の発現を低減/ダウンレギュレートすることができる(例えば、Eph受容体アンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)か、またはEph受容体の発現を増大/アップレギュレートすることができ、その結果、細胞表面のEph受容体の量が、結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、Ephrin)の量を上回り、従って、未結合のEph受容体(例えば、Eph受容体をコードする核酸)の量が増える。
他の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinの発現を調節する薬剤である。このような薬剤はEphrinの発現を低減/ダウンレギュレートすること(例えば、Ephrinアンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)、またはEphrinの発現を増大/アップレギュレートすることができる(例えば、Ephrinをコードする核酸)。
さらに他の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤を含む。
さらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤である。
なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、Eph受容体イントラボディー);およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、B型Ephrinイントラボディー)を含む。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現、および/またはEphrinの発現を調節する(増大または低減する)薬剤ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤ではない。本発明のなおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は妨害しない薬剤;またはEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は妨害しない薬剤ではない。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、EphA2アゴニスト抗体またはEphA2アンタゴニスト性抗体ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体アンチセンス分子またはEphrinアンチセンス分子ではない。なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、可溶型のEph受容体(例えば、Eph-Fc)ではなく、あるいは可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)でない。
本発明はさらに、1つには、受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリー(例えば、受容体のEphファミリー)のメンバーまたはクラスに対する所与のpan特異的抗体、その抗体の特異性が、同じRTKファミリーまたはクラス内の同族抗原に対する特異性が変更されるように改変(tailoring)することができるという発見に基づく。一実施形態では、本発明は、チロシンキナーゼファミリー内の少なくとも2つのメンバーと特異的に結合するpan特異的抗体の特異性を改変する方法を提供し、その方法は、前記pan特異的抗体のCDRの各アミノ酸を無作為抽出(randomizing)すること;無作為抽出されたCDRを含むライブラリーを作製すること;前記ライブラリーを所望の受容体に対する親和性が増大または低減されたクローンに関してスクリーニングすることを含む。
別の実施形態において、本発明はさらに、受容体のEphファミリーの少なくとも1つのメンバーと特異的に結合するモノクローナル抗体であって、Ephファミリーの少なくとも1つのメンバーに対して所望の親和性を有するように改変されている抗体を提供する。
3.1 定義
本明細書において「異常な」とは、標準、例えば、平均的な健常被験体もしくは細胞および/または平均的な健常被験体集団もしくは細胞集団からの逸脱を表す。本明細書において「異常な発現」とは、正常な健常細胞もしくは被験体および/または正常な健常細胞もしくは被験体の集団に対しての、細胞もしくは被験体による遺伝子産物(例えば、RNA、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド)の異常な発現を表す。このような異常な発現は、遺伝子の増幅または遺伝子の発現の阻害の結果であり得る。特定の実施形態では、Eph受容体またはEphrinに関して「異常な発現」とは、1以上のEph受容体および/またはEphrinの発現の増大、低減、または不適切な発現を表す。特定の実施形態では、「異常な活性」とは、健常細胞もしくは被験体および/または正常な健常細胞もしくは被験体の集団において通常見られるものから逸脱したEph受容体またはEphrin活性を表す。
本明細書において、「薬剤」とは、所望の生物学的作用を有する分子を表す。薬剤は予防的または治療的なものであり得る。薬剤は、限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質(翻訳後修飾タンパク質、融合タンパク質、抗体などを含む)を含むタンパク質性分子;無機もしくは有機化合物を含む小分子(1000ダルトン未満);限定されるものではないが、二本鎖もしくは一本鎖DNA、または二本鎖もしくは一本鎖RNA(例えば、アンチセンス、RNAiなど)、イントロン配列、三重らせん核酸分子およびアプタマーを含む核酸分子;またはワクチン(例えば、リステリア系ワクチンおよび非リステリア系ワクチン)が挙げられる。薬剤は既知の生物体(限定されるものではないが、動物、植物、細菌、真菌、および原生生物、もしくはウイルス)、または合成分子のライブラリーのいずれに由来するものであってもよい。Eph/Ephrinモジュレーターである薬剤は、(i) Eph受容体、例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6、および/もしくはEph受容体の内因性リガンド、例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3の発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルもしくは翻訳後レベルにおける):ならびに/または(ii)Eph受容体および/もしくはEph受容体の内因性リガンド、例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3の活性を(直接的または間接的に)調節する。
本明細書において、タンパク性薬剤(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または抗体)に関して「類似体」とは、第2のタンパク性薬剤(例えば、Eph受容体ポリペプチドまたはEphrinポリペプチド)と類似または同一の機能を有するが、その第2のタンパク性薬剤と類似または同一のアミノ酸配列または構造を必ずしも含まないタンパク性薬剤を表す。類似のアミノ酸配列を有するタンパク性薬剤とは、次の条件:(a)第2のタンパク性薬剤のアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク性薬剤;(b)少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも30個のアミノ酸残基、少なくとも40個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも60個のアミノ酸残基、少なくとも70個のアミノ酸残基、少なくとも80個のアミノ酸残基、少なくとも90個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも125個のアミノ酸残基、または少なくとも150個のアミノ酸残基の第2のタンパク性薬剤をコードするヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるタンパク性薬剤:および(c)第2のタンパク性薬剤をコードするヌクレオチド配列と少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク性薬剤、のうち少なくとも1つを満たすタンパク性薬剤を表す。第2のタンパク性薬剤と類似の構造を有するタンパク性薬剤とは、第2のタンパク性薬剤の類似の、二次元、三次元または四次元構造を有するタンパク性薬剤を表す。タンパク性薬剤の構造は、限定されるものではないが、X線結晶学、核磁気共鳴、および結晶学的電子顕微鏡検査をはじめとする、当業者に公知の方法によって決定することができる。好ましくは、タンパク性薬剤はEph受容体またはEphrin活性を有する。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性%を決定するためには、それらの配列を最適比較のためにアラインし(例えば、第1のアミノ酸または核酸配列の配列に、 第2のアミノ酸または核酸配列と最適なアライメントのためにギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置においてアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合には、それらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性%は、それらの配列が共有している同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の重複する位置の数/位置の総数×100%)。一実施形態では、これら2つの配列は同じ長さである。
2つの配列間の同一性%の決定は数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。2つの配列の比較のために用いられる数学的アルゴリズムの限定されない例として、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 2264-2268を、Karlin and Altschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 5873-5877のように改変したアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215: 403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るためには、NBLASTヌクレオチドプログラムパラメーターセット、例えば、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るためには、XBLASTプログラムパラメーターセット、例えば、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。比較のためにギャップアライメントを得るには、Altschulら, 1997, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されているようにGapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI-BLASTを用いて、分子間の距離関係を検出する反復検索を行うこともできる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-BLASTプログラムを用いる場合、個々のプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる(例えば、NCBIのウェブサイト参照)。配列比較に用いられる数学的アルゴリズムのもう1つの好ましい、限定されない例として、Myers and Miller, 1988, CABIOS 4: 11-17のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを用いる場合には、PAM120 ウエイト・レシジュ・テーブル(weight residue table)、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を使用することができる。
2つの配列間の同一性%は、ギャップを許容してまたは許容せずに、上記のものと同様の技術を用いて決定することができる。同一性%の算出の際には、一般に、正確な一致のみをカウントする。
本明細書において、非タンパク質性類似体に関して「類似体」とは、第1の有機または無機分子と類似する、または同一の機能を有し、かつ、第1の有機または無機分子と構造的に類似している第2の有機または無機分子を表す。
本明細書において、「Eph受容体と特異的に結合する抗体」および類義語は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5およびEphB6)ポリペプチドまたはEph受容体ポリペプチドのフラグメントと特異的に結合するが、非Eph受容体ポリペプチドとは特異的に結合しない(またはある特定の実施形態では、他のEph受容体とは特異的に結合しない)抗体を表す。Eph受容体ポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体は、Eph受容体ファミリー外の他の抗原とは交差反応しない。Eph受容体ポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体は、例えば、イムノアッセイまたは当業者に公知のその他の技術によって同定することができる。一実施形態では、Eph受容体ポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する本発明の抗体はEph受容体の活性だけを調節し、他の活性を有意に変化させない。特定の実施形態では、本発明の抗体は、受容体チロシンキナーゼファミリーまたはクラス内の1以上のメンバーと特異的に結合する。さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体は、受容体のEphファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、受容体のEphAファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、少なくとも8つの、少なくとも9つの、少なくとも10の、少なくとも11の、少なくとも12の、少なくとも13の、少なくとも14の、または少なくとも15のメンバーと特異的に結合する。
本発明の抗体と、受容体の受容体チロシンキナーゼファミリーまたはクラス(例えば、Eph受容体ファミリー)の1以上のメンバーとの特異的結合は、結合特異性に関して「交差反応」という用語と混同すべきでない。「交差反応」とは、望ましくない非特異的結合を意味するものと理解することができる。ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、受容体のEphファミリー内のいくつかの異なる明瞭なメンバーと結合する。ある特定の実施形態では、この特性は本発明の抗体の望ましい特徴であり、(Ephファミリー内の1以上のメンバーとの)それらの結合は、本発明に関して特異なものであると考えられる。さらなる特定の実施形態では、Eph受容体抗体は、抗EphA2抗体ではなく、抗EphA4抗体でもない。なおさらなる特定の実施形態では、Eph受容体抗体はD7、EA2、EA5、B233、B207またはB208ではない。
本明細書において、「Ephrinと特異的に結合する抗体」および類義語は、Ephrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2およびEphrinB3)ポリペプチド、またはEphrinポリペプチドのフラグメントと特異的に結合するが、非Ephrinポリペプチドとは特異的に結合しない(または好ましくは、他のEphrinとは結合しない)抗体を表す。一実施形態では、Ephrinポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体は、他の抗原とは交差反応しない。Ephrinポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体は、例えば、イムノアッセイまたは当業者に公知のその他の技術によって同定することができる。一実施形態では、Ephrinポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体は、Ephrin活性だけを調節し、他の活性を有意に変化させない。
本発明の抗体としては、限定されるものではないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え生産抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディー、単鎖Fv (scFv)(例えば、単一特異性および二重特異性などを含む)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる。特に、本発明の抗体としては、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち、Eph受容体抗原またはEphrin抗原と特異的に結合する抗原結合部位(例えば、抗Eph受容体抗体(例えば、抗EphA1抗体、抗EphA2抗体、抗EphA3抗体、抗EphA4抗体、抗EphA5抗体、抗EphA6抗体、抗EphA7抗体、抗EphA8抗体、抗EphA10抗体、抗EphB1抗体、抗EphB2抗体、抗EphB3抗体、抗EphB4抗体、抗EphB5抗体もしくは抗EphB6抗体)の、または抗Ephrin抗体(例えば、抗EphrinA1、抗EphrinA2抗体、抗EphrinA3抗体、抗EphrinA4抗体、抗EphrinA5抗体、抗EphrinB1抗体、抗EphrinB2抗体もしくは抗EphrinB3抗体)の1以上の相補性決定領域(CDR))含む分子が挙げられる。本発明の抗体は、免疫グロブリン分子のいずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってもよい。
本明細書において、「癌」とは、離れた部位に転移する能力を有し、非癌細胞とは異なる表現型形質、例えば、軟質寒天などの三次元培養基中でのコロニー形成、または三次元基底膜もしくは細胞外マトリックス調製物(MATRIGEL(商標)など)中での管状ネットワークまたは網状マトリックスの形成を示す細胞を含む疾病を表す。非癌細胞は、軟質寒天中ではコロニーを形成せず、三次元基底膜または細胞外マトリックス調製物中で明瞭な球状構造を形成しない。癌細胞は、様々なメカニズムを介して、それらの発生の過程で一連の特徴的な機能的能力を獲得する。このような能力としては、アポトーシスの回避、増殖シグナルの自給、抗増殖シグナルに対する非感受性、組織浸潤/転移、無限の複製能、および持続的脈管形成が挙げられる。「癌細胞」とは、前悪性および悪性の癌細胞を含むものとする。
本明細書において、「細胞増殖刺激性」とは、タンパク質性分子(限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾タンパク質、抗体などを含む)、小分子(1000ダルトン未満)、無機または有機化合物、および核酸分子(限定されるものではないが、二本鎖もしくは一本鎖DNA、または二本鎖もしくは一本鎖RNA(例えば、アンチセンス、RNAiなど)、および三重らせん核酸分子を含む)の、in vivoまたはin vitroにおいて細胞の増殖、成長および/または生存を維持、増幅、加速化、または延長する能力を表す。細胞の増殖、成長および/または生存を検出する方法、例えば、細胞増殖アッセイまたは上皮障壁完全性アッセイを用い、ある薬剤が細胞増殖刺激性薬剤であるかどうかを判定することができる。また、細胞増殖刺激性薬剤は、過増殖細胞または損傷細胞の確立されたコロニーに加えた場合、上皮の維持、再生、または再構成を招き得る。
本明細書において、タンパク性薬剤(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および抗体)に関して「誘導体」とは、アミノ酸残基の置換、欠失、欠損および/または付加の導入によって変更されたアミノ酸配列を含むタンパク性薬剤を表す。本明細書において「誘導体」とはまた、修飾された、すなわち、ある分子種とタンパク性薬剤との共有結合により修飾されたタンパク性薬剤を表す。例えば、限定されるものではないが、タンパク性薬剤の誘導体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との結合などにより作出することができる。タンパク性薬剤の誘導体はまた、限定されるものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする、当技術分野で公知の技術を用いた化学修飾により作出することもできる。さらに、タンパク性薬剤の誘導体は、1以上の非必須アミノ酸を含んでもよい。タンパク性薬剤の誘導体は、それが由来するタンパク性薬剤と同一の機能を有する。特定の実施形態では、タンパク性薬剤の誘導体は、Eph受容体ポリペプチド(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6ポリペプチド)、Ephrinポリペプチド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3ポリペプチド)、Eph受容体ポリペプチドもしくはEphrinポリペプチドのフラグメント、Eph受容体ポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体の誘導体である。一実施形態では、Eph受容体ポリペプチドもしくはEphrinポリペプチド、Eph受容体ポリペプチドもしくはEphrinポリペプチドのフラグメント、Eph受容体ポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、の誘導体は、Eph受容体ポリペプ
チド、Ephrinポリペプチド、Eph受容体ポリペプチドもしくはEphrinポリペプチドのフラグメント、Eph受容体ポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体と類似した、または同一の機能を有する。別の実施形態では、Eph受容体ポリペプチド、an Ephrinポリペプチド、Eph受容体ポリペプチドもしくはEphrinポリペプチドのフラグメント、Eph受容体ポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体、の誘導体は、非変更ポリペプチドと比較して変更された活性を有する。例えば、抗体またはそのフラグメントの誘導体は、そのエピトープとより強固に結合することができるか、またはタンパク質分解により高い耐性を示し得る。
本明細書において、「有効量」とは、疾患またはその症状の重篤度および/または持続期間を軽減および/または改善する、疾患の進行を防ぐ、疾患の緩解をもたらす、疾病に付随する1以上の症状の再発、進展または発症を防ぐ、あるいは別の療法(例えば、予防薬または治療薬)の予防作用または治療作用を増大または改良するのに十分な療法(例えば、予防薬または治療薬)の量を表す。Eph/Ephrinモジュレーターの有効量の限定されない例は、下記の第X節に示されている。
本明細書において、「内因性リガンド」または「天然リガンド」とは、in vivoで特定の受容体と通常結合する分子を表す。例えば、限定されるものではないが、A型Ephrinリガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4およびEphrinA5)はいずれも、A型Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、およびEphA10)のいずれとも結合可能であり、また、B型Ephrinリガンド(例えば、EphrinB1、EphrinB2およびEphrinB3)はいずれも、B型Eph受容体(例えば、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5およびEphB6)のいずれとも結合可能である。また、例としては、限定されるものではないが、EphA4は、本明細書で開示されたA型およびB型双方のEphrinリガンドと結合可能である。
本明細書において「Eph受容体」または「Eph受容体チロシンキナーゼ」とは、Eph Nomenclature Committee(Eph Nomenclature Committee, 1997, Cell 90:403-404)によって同定された、または同定され、認識されるEph受容体を表す。本発明のEph受容体としては、限定されるものではないが、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5およびEphB6が挙げられる。特定の実施形態では、Eph受容体ポリペプチドはいずれの種に由来するものでもよい。別の特定の実施形態では、Eph受容体ポリペプチドはヒトである。Eph受容体ポリペプチドのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列は文献もしくは公開データベース(例えば、GenBank)で見出すこともできるし、あるいはそれらのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列は、当業者に公知のクローニングおよびシーケンシング技術を用いて決定することもできる。ヒトEph受容体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列のGenBank受託番号を下表1にまとめる。また、これまでに同定されている哺乳類におけるEph受容体のアミノ酸配列については図1参照。
Figure 2008518023
本明細書において「Ephrin」または「Ephrinリガンド」とは、Eph Nomenclature Committee (Eph Nomenclature Committee, 1997, Cell 90:403-404)によって同定された、または同定され、認識されるEphrinリガンドを表す本発明のEphrinは、限定されるものではないが、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2およびEphrinB3が挙げられる。特定の実施形態では、Ephrinポリペプチドはいずれの種に由来するものでもよい。別の特定の実施形態では、Ephrinポリペプチドはヒト由来のものである。Ephrinポリペプチドのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列は文献もしくは公開データベース(例えば、GenBank)で見出すこともできるし、あるいはそれらのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列は、当業者に公知のクローニングおよびシーケンシング技術を用いて決定することもできる。ヒトEphrinのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列のGenBank受託番号を下表2にまとめる。また、これまでに同定されている哺乳類におけるEphrinのアミノ酸配列については図2参照。
Figure 2008518023
本明細書において「Eph/Ephrinモジュレーター」とは、(i)Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEph受容体の内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)の、例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの発現;および/または(ii)Eph受容体および/またはEphrinの活性を(直接的または間接的に)調節することにより生物学的作用を付与する薬剤を表す。
Eph/Ephrinモジュレーターの例としては、限定されるものではないが、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤(以下、「Eph/Ephrin相互作用阻害剤」)が挙げられる。Eph/Ephrin相互作用阻害剤の限定されない例としては、(i)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEphrin(例えば、単量体または多量体))、ならびにEph受容体と結合し、シグナル伝達とEph受容体のリン酸化を誘導する抗体(すなわち、Eph受容体アゴニスト抗体);(ii)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、Eph受容体アンタゴニスト性抗体およびドミナントネガティブ型のEphrin);(iii)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する抗体);ならびに(iv)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、ドミナントネガティブ型のEph受容体および抗Ephrin抗体)が挙げられる。
さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体の発現を調節する薬剤を含む。このような薬剤はEph受容体の発現を低減/ダウンレギュレートすることができる(例えば、Eph受容体アンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)か、またはEph受容体の発現を増大/アップレギュレートすることができ、その結果、細胞表面のEph受容体の量は、結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、Ephrin)の量を上回り、従って、未結合のEph受容体(例えば、Eph受容体をコードする核酸)の量が増える。
他の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinの発現を調節する薬剤である。このような薬剤はEphrinの発現を低減/ダウンレギュレートすること(例えば、Ephrinアンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)、またはEphrinの発現を増大/アップレギュレートすることができる(例えば、Ephrinをコードする核酸)。
さらに他の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤を含む。
さらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤である。
なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、Eph受容体イントラボディー(intrabody;細胞内発現抗体));およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、B型Ephrinイントラボディー)を含む。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現、および/またはEphrinの発現を調節する(増大または低減する)薬剤ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤ではない。本発明のなおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は妨害しない薬剤;またはEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は妨害しない薬剤ではない。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、EphA2アゴニスト抗体またはEphA2アンタゴニスト性抗体ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは抗EphA4抗体ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体アンチセンス分子またはEphrinアンチセンス分子ではない。なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、可溶型のEph受容体(例えば、Eph-Fc)ではなく、あるいは可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)でない。
本明細書において「エピトープ」とは、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトにおいて抗原活性または免疫原活性を有するEph受容体またはEphrinポリペプチドの部分を表す。免疫原活性を有するエピトープは、動物において抗体反応を惹起するEph受容体またはEphrinポリペプチドの部分である。抗原活性を有するエピトープは、当技術分野で周知の方法、例えば、イムノアッセイによって決定されるような、抗体が特異的に結合するEph受容体またはEphrinポリペプチドの部分である。抗原性エピトープは必ずしも免疫原性である必要はない。特定の実施形態では、エピトープはEphA258 (IMNDMPIYM; 配列番号55)ではなく、あるいはEphA2550 (VLAGVGFFI; 配列番号56)ではない。別の特定の実施形態では、エピトープは(TLADFDPRV; 配列番号57)、(VLLLVLAGV; 配列番号58)、(VLAGVGFFI; 配列番号59)、(IMNDMPIYM; 配列番号60)、(SLLGLKDQV; 配列番号61)、(WLVPIGQCL; 配列番号62)、(LLWGCALAA; 配列番号63)、(GLTRTSVTV; 配列番号64)、(NLYYAESDL; 配列番号65)、または(KLNVEERSV; 配列番号66)ではない。さらに別の特定の実施形態では、エピトープは(IMGQFSHHN; 配列番号67)、(YSVCNVMSG; 配列番号68)、(MQNIMNDMP; 配列番号69)、(EAGIMGQFSHHNIIR; 配列番号70)、(PIYMYSVCNVMSG; 配列番号71)または(DLMQNIMNDMPIYMYS; 配列番号72)ではない。
本明細書において、タンパク性薬剤に関して「フラグメント」とは、Eph受容体もしくはEphrinポリペプチド、Eph受容体もしくはEphrinポリペプチドのフラグメント、Eph受容体もしくはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体、またはアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加の導入により変更されたEph受容体もしくはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体フラグメントのアミノ酸配列の、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも30個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも250個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドを表す。例えば、抗体フラグメントは、エピトープ結合フラグメントである。
本明細書において「融合タンパク質」とは、第1のポリペプチドまたはタンパク質またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体のアミノ酸配列と、異種ポリペプチドまたはタンパク質(すなわち、第1のポリペプチドまたはタンパク質またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体とは異なるか、または通常には、第1のポリペプチドまたはタンパク質またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体の一部ではない第2のポリペプチドまたはタンパク質またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体)のアミノ酸配列とを含むポリペプチドまたはタンパク質を表す。一実施形態では、融合タンパク質は、異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドと融合された予防薬または治療薬を含む。この実施形態によれば、この異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、異なるタイプの予防薬または治療薬であってもなくてもよい。例えば、免疫調節活性を有する、2つの異なるタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを融合させて融合タンパク質を形成してもよい。一実施形態では、融合タンパク質は、異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドと融合させる前に、元のポリペプチドまたはタンパク質の活性を維持するか、向上した活性を有する。
本明細書において「ヒト化抗体」とは、最小限の非ヒト免疫グロブリン由来配列を含む、キメラ抗体などの非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の形態を表す。ヒト化抗体は、大部分については、レシピエントの超可変領域または相補性決定(CDR)残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種の抗体(ドナー抗体)に由来する超可変領域残基またはCDR残基で置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンの1以上のフレームワーク領域(FR)残基が、例えば、ヒト化抗体の親和性を向上させるために、対応する非ヒト残基または構造モデリングに基づく他の残基で置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに精密化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、一般には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここでは、超可変領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に相当し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は場合により所望により、免疫グロブリン定常領域(Fc)、一般には、ヒト免疫グロブリンのFcの、少なくとも一部も含んでよい。さらに詳しくは、Jonesら, 1986, Nature 321:522-525; Reichmannら, 1988, Nature 332:323-329; Presta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596;およびQueenら, 米国特許第5,585,089号参照。
本明細書において「超可変領域」とは、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を表す。可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインの残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)と、重鎖可変ドメインの31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3); Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))および/または「超可変ループ」の残基(すなわち、軽鎖可変ドメインの残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)と重鎖可変ドメインの26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3); Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901-917)を含む。「フレームワーク領域」または「FR」残基は、本明細書で定義したような超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書において「ストリンジェント条件下でハイブリダイズする」とは、互いに少なくとも30%(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%)同一であるヌクレオチド配列が典型的に互いにハイブリダイゼーションを維持するハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を表す。 このようなストリンジェント条件は当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に示されている。
一般に、ストリンジェント条件は、定義されたイオン強度、pHにおいて特定の配列の融点(Tm)よりも約5〜10℃低いように選択される。Tmは、平衡状態において、標的に相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリダイズする(標的配列が過剰に存在し、Tmにおいて、平衡状態でプローブの50%が占められている場合の)温度である。ストリンジェント条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3において、ナトリウムイオン(または他の塩)の濃度約1.0M未満、一般に、約0.01〜1.0Mであり、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)では少なくとも約60℃というものである。ストリンジェント条件は、脱安定剤、例えば、ホルムアミドの添加によって達成してもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションでは、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンド ハイブリダイゼーションの10倍である。
限定されない一例では、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、約45℃にて6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションの後、約68℃にて0.1XSSC、0.2%SDS中で1回以上洗浄する。限定されない一例では、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、約45℃にて6XSSC中でのハイブリダイゼーションの後、50〜65℃にて0.2XSSC、0.1%SDS中で1回以上洗浄する(すなわち、50℃、55℃、60℃または65℃にて1回以上の洗浄)。本発明の核酸は、これらの条件下で、ヌクレオチドA またはTのみからなるヌクレオチド配列のみとハイブリダイズする核酸分子を含まないと理解される。
本明細書において「過増殖細胞疾患」または「過剰細胞蓄積疾患」とは、新生物性ではない、すなわち、細胞の過剰増殖または何らかの形態の過剰な細胞集積が疾患の病態または症状を引き起こす、または寄与する疾患を表す。いくつかの実施形態では、過増殖細胞疾患または過剰細胞蓄積疾患は、上皮細胞の過増殖を特徴とする。過増殖性上皮細胞疾患としては、限定されるものではないが、喘息、COPD、肺繊維症、気管支過敏症、乾癬、脂漏性皮膚炎、および嚢胞性繊維症が挙げられる。他の実施形態では、過増殖細胞疾患または過剰細胞蓄積疾患は、内皮細胞の過剰増殖を特徴とする。過増殖性内皮細胞疾患としては、限定されるものではないが、再狭窄、過増殖性血管疾患、ベーチェット症候群、アテローム性動脈硬化症、および黄斑変性が挙げられる。他の実施形態では、過増殖細胞疾患または過剰細胞蓄積疾患は、繊維芽細胞の過増殖を特徴とする。
本明細書において「免疫調節薬」とは、被験体の免疫系を調節する薬剤を表す。特に、免疫調節薬は、被験体の免疫系の、1以上の外来抗原に応答する能力を変化させる薬剤である。特定の実施形態では、免疫調節薬は、被験体の免疫応答の1つの態様をシフトさせる薬剤である。本発明の別の特定の実施形態では、免疫調節薬は、被験体の免疫応答を阻害または低減する薬剤(すなわち、免疫抑制薬)である。一実施形態では、被験体の免疫応答を阻害または低減する免疫調節薬は、被験体の免疫系の、1以上の外来抗原に応答する能力を阻害または低減する。
本明細書において「組み合わせて」とは、2種類以上の予防薬および/または治療薬の使用を表す。「組み合わせて」という用語の使用は、予防薬および/または治療薬が治療を必要とする被験体に投与される順序を限定するものではない。第1の予防薬または治療薬は、治療を必要とする被験体に第2の予防薬または治療薬を投与する前に(例えば、1分、5 分、15 分、30 分、45 分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、投与と同時に、または投与した後(例えば、1分、5 分、15 分、30 分、45 分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与することができる。いずれの付加的予防薬または治療薬でも、他の付加的予防薬または治療薬とともにいずれの順序で投与してもよい。ある特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、1以上の予防薬または治療薬(例えば、現在、疾患または疾患を治療するために投与されている非Eph/Ephrinモジュレーター、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、免疫調節薬)と組み合わせて投与することができる。
本明細書において、タンパク性薬剤または核酸以外の有機または無機分子(小分子であれ大分子であれ)に関して「単離された」とは、異なる有機または無機分子を実質的に含まない有機または無機分子を表す。一実施形態では、有機または無機分子は、別の異なる有機または無機分子を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%含まない。別の実施形態では、有機および/または無機分子は単離される。
本明細書において、タンパク性薬剤(例えば、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、または抗体)に関して「単離された」とは、それが由来する細胞または組織源に由来する細胞材料または夾雑タンパク質を実質的に含まないか、または化学合成される場合には、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないタンパク性薬剤を表す。「細胞材料を実質的に含まない」とは、タンパク性薬剤が、それが単離または組換え生産される細胞の細胞成分から分離される場合のタンパク性薬剤調製物を含む。よって、細胞材料を実質的に含まないタンパク性薬剤は、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量)未満の異種タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、または抗体(「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を含むタンパク性薬剤調製物を含む。タンパク性薬剤が組換え生産される場合はまた、培養培地を実質的に含まないこと、すなわち、培養培地がタンパク性薬剤調製物の容量の約20%、10%、または5%未満であることが好ましい。タンパク性薬剤が化学合成により生産される場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないこと、すなわち、タンパク性薬剤の合成に含まれる化学前駆体または他の化学物質から分離されていることが好ましい。従って、このようなタンパク性薬剤調製物は、対象とするタンパク性薬剤以外の化学前駆体または化合物を約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満しか含まない。特定の実施形態では、本明細書で開示されているタンパク性薬剤は単離される。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は単離される。
本明細書において、核酸分子に関して「単離された」とは、その核酸分子の天然源中に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を表す。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術によって生産される場合には他の細胞材料または培養培地を実質的に含まないこと、あるいは化学合成される場合には化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないことが好ましい。特定の実施形態では、核酸分子は単離される。別の特定の実施形態では、本発明の抗体をコードする核酸分子は単離される。
本明細書において「許容性(tolerance)が低い」とは、患者が治療から副作用を受け、そのため、治療の利益よりも重い副作用かたの悪影響および/または害のために、患者が治療の継続から利益を得られない、かつ/または治療継続できない状態を表す。
本明細書において「管理」とは、被験体が予防薬または治療薬から得る有益な作用を指し、これは疾患の治癒をもたらすものではない。ある特定の実施形態では、被験体は、疾患の進行または悪化(すなわち、疾病の進行の持続)を防ぐよう疾患を「管理する」ために1以上の予防薬または治療薬の投与を受ける。
本明細書において「新生物性」とは、離れた部位に転移する能力を有し、非新生物性細胞とは異なる表現型形質、例えば、軟質寒天などの三次元培養基中でのコロニー形成、または三次元基底膜もしくは細胞外マトリックス調製物(MATRIGEL(商標)など)中での管状ネットワークまたは網状マトリックスの形成を示す細胞を含む疾病を表す。非新生物性細胞は、軟質寒天中ではコロニーを形成せず、三次元基底膜または細胞外マトリックス調製物中で明瞭な球状構造を形成しない。新生物性細胞は、様々なメカニズムを介して、それらの発生の過程で一連の特徴的な機能的能力を獲得する。このような能力としては、アポトーシスの回避、増殖シグナルの自給、抗増殖シグナルに対する非感受性、組織浸潤/転移、無限の複製能、および持続的脈管形成が挙げられる。「非新生物性」とは、その症状、疾病または疾患が癌細胞を含まないことを意味する。
本明細書において「不応性/難治性」とは、患者が化学療法、放射線療法、外科術、ホルモン療法および/または生物学的療法/免疫療法、特に特定の癌に対する標準的な治療計画などの、現在利用可能な2種類以上の治療法(例えば、癌治療)で治療され、その治療法が患者を治療するに臨床上十分でなく、そのためこれらの患者がさらなる有効な治療法を必要とする、例えば、治療法に依然として不感受であることを表すのに用いられる。また、この句は、治療に応答した患者がさらに、副作用を受けたり、再発したり、耐性を発達させたりすることも表し得る。様々な実施形態では、「不応性/難治性」とは、癌細胞の少なくとも有意な部分が死滅させられない、またはそれらの細胞分裂が中止されないことを意味する。ある細胞が「不応性/難治性」であるかどうかの決定は、本明細書における「難治性」の、当技術分野で受け入れられている意味を用い、in vivoまたはin vitroのいずれかで、このような細胞の治療の有効性をアッセイするための当技術分野で公知のいずれかの方法によって行うことができる。様々な実施形態では、治療の過程で細胞数が有意に減少または増加しなかった場合に、その細胞は「不応性/難治性」である。
本明細書において「pan特異的」とは、所望のタンパク質ファミリーまたはクラス(例えば、受容体チロシンキナーゼ)内の複数のメンバーと特異的に結合する抗体を表す。例えば、「pan特異的抗体」とは、受容体のEphファミリー内の2つ以上のメンバー(例えば、EphA1-A8、EphA10、EphB1-B6)と結合する抗体を表す。
本明細書において「製薬上許容される」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって認可されている、または米国薬局方、欧州薬局方、または動物、より詳しくはヒトに用いるための他の一般に認知されている薬局方に挙げられていることを意味する。
本明細書において「増大する」とは、一般的用量または認可用量において、予防薬または治療薬の有効性を向上させることを意味する。
本明細書において「予防」とは、本発明の方法によって予防、治療、管理もしくは改善される疾患の進展もしくは発症の阻害、または療法(例えば、予防薬もしくは治療薬)の投与、もしくは療法の組合せ(例えば、予防薬もしくは治療の組合せ)の投与の結果得られるこのような疾患の1以上の症状の再発、発症もしくは進展の防止を表す。
本明細書において「予防薬」とは、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)発現に関連する疾病または疾患の発症、再発または蔓延の防止に使用することができる薬剤を表す。ある特定の実施形態では、「予防薬」とは、本発明のEph/Ephrinモジュレーターを表す。特定の他の実施形態では、「予防薬」とは、癌化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法(例えば、免疫療法)を表す。他の実施形態では、2種類以上の予防薬を、他の予防薬および/または治療薬と組み合わせて投与することができる。
本明細書において「予防上有効な量」とは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の再発、蔓延または発症の防止をもたらすに十分な予防薬の量を表す。予防上有効な量は、限定されるものではないが、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する患者の疾患に対する素因のある者、例えば、そのような疾患に対する遺伝的素因のある者、またはそのような疾患に過去に罹患したことのある者を含む、患者または被験体において、そのような疾患の発生、蔓延または再発を防止するのに十分な予防薬の量を表し得る。また、予防上有効な量は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の防止において予防上の利益を提供する予防薬の量も表し得る。さらに、本発明の予防薬に関して予防上有効な量は、単独の予防薬の量、または異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の防止において予防上の利益を提供する1以上の他の薬剤(例えば、その疾患を治療するために現在投与されている非Eph/Ephrinモジュレーター、鎮痛薬、麻酔薬、抗生物質、免疫調節薬)と組み合わせる場合の予防薬の量を意味する。本発明のEph/Ephrinモジュレーターの量に関して用いる場合、この用語は、全体的な予防を向上させる、または別の予防薬の予防有効性、もしくは別の予防薬との相乗作用を高める量も包含し得る。
本明細書において「プロトコール」とは、投与予定および投与計画を含む。
本明細書において「難治性」とは、特定の治療に応答しない、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を表す。ある特定の実施形態では、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患は、その疾患に関連する症状の少なくとも有意な部分がその療法によって排除または軽減されることがない治療手段に対しては難治性である。異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患が難治性であるかどうかの決定は、in vivoまたはin vitroのいずれかで、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療の有効性をアッセイするための当技術分野で公知のいずれかの方法によって行うことができる。
本明細書において「副作用」とは、予防薬または治療薬の望ましくない影響および悪影響を包含する。悪影響は常に望ましくないが、望ましくない影響は必ずしも有害ではない。予防薬または治療薬からの悪影響は、有害または不快または危険なものであり得る。化学療法からの副作用としては、限定されるものではないが、早発性および遅発性の下痢および鼓腸などの胃腸毒性、悪心、嘔吐、食欲不振症、白血球減少症 、貧血、好中球減少症、無力症、腹痛、発熱、疼痛、体重減少、脱水、脱毛症、呼吸困難、不眠症、めまい、口腔粘膜炎、口内乾燥症、および腎不全、ならびに便秘、神経作用および筋肉作用、腎臓および膀胱に対する一時的または永続的傷害、風邪様症状、体液貯留、および一時的または永続的不妊症が挙げられる。放射線療法からの副作用としては、限定されるものではないが、疲労、口渇、および食欲不振が挙げられる。生物学的療法/免疫療法からの副作用としては、限定されるものではないが、投与部位の発疹または腫脹、風邪様症状(発熱、悪寒および疲労など)、消化管障害、ならびにアレルギー反応が挙げられる。ホルモン療法からの副作用としては、限定されるものではないが、悪心、妊娠障害、鬱病、食欲不振、眼の障害、頭痛、および体重変動が挙げられる。患者が一般に受ける望ましくないさらなる影響は多数あり、当技術分野で知られている。多くがthe Physicians’ Desk Reference (第56版, 2002)に記載されている。
本明細書において「単鎖Fv」または「scFv」とは、1本のポリペプチド鎖に存在する、抗体のVHドメインとVLドメインを含む抗体フラグメントを表す。一般に、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間に、scFvが抗原結合のために望ましい構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvに関する総説としては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore編 Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照。
本明細書において、「被験体」および「患者」は互換的に用いられる。本明細書において、被験体は、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳類、最も好ましくは、ヒトである。一実施形態では、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を有する被験体は哺乳類、好ましくは、ヒトである。別の実施形態では、被験体は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を有する農場動物(例えば、ウマ、ブタもしくはウシ)、ペット(例えば、モルモット、イヌもしくはネコ)、または実験動物(例えば、動物モデル)である。別の実施形態では、被験体は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を発症するリスクのある哺乳類、好ましくは、ヒト(例えば、免疫不全状態の、もしくは免疫抑制された哺乳類、または遺伝的素因を有する哺乳類)である。別の実施形態では、被験体は、免疫不全状態の、または免疫抑制された哺乳類、好ましくは、ヒトである。別の実施形態では、被験体は、リンパ球総数がおよそ500細胞/mm3である哺乳類、好ましくは、ヒトである。
本明細書において「相乗作用」とは、2以上の単独療法(例えば、1以上の予防薬または治療薬)の相加作用よりもさらに効果の高い療法(例えば、予防薬または治療薬)の組合せを指す。療法の組合せ(例えば、予防薬または治療薬の組合せ)の相乗作用により、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を有する患者に対して、1以上の療法(例えば、1以上の予防薬または治療薬)の使用用量の低量化、および/または前記療法の投与回数の削減が可能となる。療法(例えば、予防薬または治療薬)の低用量化、および/または前記療法の投与回数の削減ができれば、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の予防または治療における前記療法の有効性を低下させることなく、被験体へのその療法の投与に伴う毒性が軽減される。さらに、相乗作用は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の予防または治療における療法(例えば、予防薬または治療薬)の有効性の向上をもたらすことができる。最後に、療法(例えば、予防薬または治療薬)の組合せの相乗作用により、単独療法の使用に伴う有害な、または望ましくない副作用を回避または軽減し得る。
本明細書において「治療薬」とは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療、管理、予防、改善または症状緩和に使用することができる薬剤を表す。本明細書において「治療薬」とは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療、管理、予防、改善または症状緩和に使用することができる薬剤を表す。ある特定の実施形態では、「治療薬」は、本発明のEphA/Ephrinモジュレーターを表す。特定の他の実施形態では、「治療薬」は、本発明のEph/Ephrinモジュレーター以外の薬剤を表す。好ましくは、治療薬は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患、またはその1以上の症状の予防、治療、管理、または改善に有用であることが知られているか、または用いられていたか、または現在用いられている薬剤である。
本明細書において「治療上有効な量」とは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の症状を治療、管理、または改善するのに十分な治療薬の量、好ましくは、このような疾患に関連する症状を排除、改変または制御するのに十分な量を表す。治療上有効な量は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の発症を遅延させる、または重篤度を最小とするのに十分な治療薬の量も表し得る。また、治療上有効な量は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療または管理において治療的利益を提供する治療薬の量も表し得る。さらに、本発明の治療薬に関して、治療上有効な量は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療または管理において治療的利益を提供する、治療薬単独の量、または他の療法と組合せた場合の量を意味する。本発明のEph/Ephrinモジュレーターの量に関して用いる場合、この用語は、全体的な療法を向上させる、望ましくない作用を軽減もしくは回避する、または別の治療薬の治療有効性もしくは別の治療薬との相乗作用を増大する量を包含し得る。
本明細書において「療法」とは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の予防、治療、管理または改善に使用することができるプロトコール、方法および/または薬剤を表す。ある特定の実施形態では、「療法」とは、生物学的療法、補助療法、および/または異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患、または医師などの当業者に公知のその1以上の症状の治療、管理、予防、または改善に有用な他の療法を表す。
本明細書において「治療」とは、1以上の療法(例えば、予防薬または治療薬)の投与の結果もたらされる、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の症状の根絶、軽減または改善、特にそのような疾患の根絶、除去、改変、または制御を表す。ある特定の実施形態では、このような用語は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を有する被験体への1以上の療法(例えば、予防薬または治療薬)の投与の結果もたらされる、このような疾患の蔓延の最小化または遅延を表す。
4. 図面の説明
図1A〜1R:ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴。コンセンサス配列は四角で囲んだ配列で示される。シグナル配列は点線で示され;Ephrinリガンド結合ドメインは太線で示され;腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ドメインは二重点線で示され;フィブロネクチンIII型ドメインは二重線で示され;膜貫通は細かい点線で示され;チロシンキナーゼ触媒ドメインは通常の1本線で示され;ステライル・アルファ・モチーフ(sterile alpha motif)(SAM)ドメインは大きな点線で示される。ヒトEph受容体ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の各々のGenBank受託番号は前記表1に示されている。
図2A〜2G:ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴。コンセンサス配列は四角で囲んだ配列で示される。シグナル配列は点線で示され;Ephrinドメインは一重の太線で示され;膜貫通ドメイン(B型Ephrinに関してのみ)二重線で示される。ヒトEphrinヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の各々のGenBank受託番号は前記表2に示されている。
図3:文献で報告されているEphrin(リガンド)とEph受容体の結合。Eph受容体はチャートの第1行に示され、Ephリガンド(Ephrin)はチャートの第1列に示されている。チェックの入った桝は、Ephrinと対応するEph受容体との結合を示す。ヒトEph受容体と対応するマウス/ラットEph受容体の間の同一性%は、下記の表に示されている。
図4A〜4B:ELISA結合によって決定される、種々のEphAおよびEphB受容体に対する抗Eph抗体の結合。この表は、様々なEph受容体に対する異なる抗体の結合親和性をまとめたものである。Eph受容体はチャートの第1行に示され、抗体はチャートの第1列に示されている。結合は(-)または(+)の記号を用いて示され、増大された結合は複数の(+)記号で示される。さらに、いくつかの抗体についてはELISA O.D.値が示されている。これら2つの記号のデータは、受容体の受容体チロシンキナーゼファミリー(受容体のEphファミリー)のメンバーに対するpan特異的抗体の生成を示す。
図5A:様々な親和性成熟型の抗Eph抗体GEA44の可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)のアミノ酸配列。以下の抗体の重鎖アミノ酸配列はこの図の上半分に示されている:GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、3A12、3C6、6B7、6B4、および11H1(それぞれ配列番号114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、および134)。以下の抗体の軽鎖アミノ酸配列はこの図の下半分に示されている:GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、3A12、3C6、6B7、6B4、および11H1(それぞれ配列番号115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、および135)。配列の四角で囲んだ部分はCDR(Kabat定義)を示し、それらの対応する配列番号は表3に示されている。


Figure 2008518023
図5B:pan-Eph抗体10C12(GEA10C12)の可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列。可変領域重鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は図の上半分に示され(それぞれ配列番号203および202)、可変領域の軽鎖ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は図の下半分に示されている(それぞれ配列番号205および204)。
図6:ヒトEphA4に対するFab20親和性を向上させるCDR3重鎖のアミノ酸変異。Fab20(mAb GEA44由来のFab)CDR3重鎖のアミノ酸配列が図に示され、各アミノ酸の上に対応する数字が添えてある(1〜12)。置換されたFab20アミノ酸は、符番した位置の下に抗体の名称を添えて示されている。(x)は捕捉ELISAに基づくFab20親のバックグラウンドに対する親和性の増加倍率を表す。
図7:GEA44の親和性至適化CDR3重鎖変異体のグラフ。このグラフは、GEA44 Fab20のEphA4結合を親和性至適化変異体と比べるELISA結果をまとめたものである。Fab20、10H8、11G6、2A7、4A10、10D7、9B7、2E5、10F9、11F8、11H1、および11G11の間の比較。x軸はFab濃度(μg/ml)、y軸はO.D. 450nmである。これらの結果は、CDR3重鎖の突然変異がEphA4に対するFab20の親和性を劇的に高めることを示す。
図8:選択されたコンビナトリアル変異体の捕捉ELISAシグナルの改善倍率。この図は、GEA44 Fab20の親和性至適化変異体のEphA4に対する親和性の増大をまとめたものである。第1列は抗体クローンを示し;第2行は、親Fab20と比べた場合の各クローンの結合親和性の増大倍率を示し;第3列は、GEA44誘導体11H1と比べた場合の各クローンの結合親和性の増大倍率を示す。
図9:抗Eph親和性至適化Fab20変異体の配列。各Fab20変異体のCDR内のアミノ酸置換がこの表にまとめられている。Fab20変異体(クローン)は第1列に示され;CDR(CDRL1-3およびCDRH1-3)は第1行に示されている。置換Fab20アミノ酸は対応するCDRの下に示されている。
図10A〜10H:GEA44の親和性至適化変異体のグラフ。これらのグラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Aは、r-ヒトEphA4に対する結合を比較し;図10Bは、 r-ヒトEphA1に対する結合を比較し;図10Cは、r-ヒトEphA2対する結合を比較し;図10Dは、r-ネズミEphA3に対する結合を比較し;図10Eは、r-ネズミEphA4に対する結合を比較し;図10Fは、r-ネズミEphA7に対する結合を比較し;図10Gは、r-ネズミEphA8に対する結合を比較し;図10Hは、r-ネズミEphA2に対する結合を比較したものである。各グラフのx軸はFab濃度(μg/ml)、y軸はO.D. 450nmである。これらの結果は、様々なEph受容体に対する、異なる変異体の親和性は著しく異なっていることを示す。
図11:コンビナトリアルライブラリーの構築。この図は、GEA44のCDR内で作り出された様々なアミノ酸置換を別の方法で表したものである。CDRとそれに対応する置換アミノ酸位置が第1列に示され;第2列は、その置換に対応するクローンを示し;最後の列は、各々対応するアミノ酸配列を示し、その下に置換されたアミノ酸が示されている。
図12A〜12J:様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Aはr-ヒトEphA1に対する結合を比較し;図12Bはr-ヒトEphA2に対する結合を比較し;図12Cはr-ネズミEphA2に対する結合を比較し;図12Dはr-ネズミEphA3に対する結合を比較し;図12Eはr-ネズミEphA4に対する結合を比較し;図12Fはr-ヒトEphA4に対する結合を比較し;図12Gはr-ネズミEphA7に対する結合を比較し;図12Hはr-ネズミEphA8に対する結合を比較し;図12Iはr-rat EphA5に対する結合を比較し;図12Jはr-ネズミEphA6に対する結合を比較する。各グラフのx軸はFabおよびIgG濃度(μg/ml)であり、 y軸はO.D. 450nmである。これらの結果は、様々なEph受容体に対する、異なる変異体の親和性は著しく異なっていることを示す。
図13A〜13B:EphA1−Fcに対するGEA44親和性至適化変異体の結合親和性。結合親和性はBIAcoreアッセイを用いて測定した。一般に、EphA-Fc融合物をセンサーチップ表面に固定し、測定されるIgGを、この固定されたEphA受容体に流した。BIAcoreデータは、固定された抗原であるヒトEphA1およびヒトEphA2表面を用い、分析物として100nM濃度の各IgG変異体を使用して作製した。図13AはEphA1-Fcに対する親和性結果をまとめたものであり;図13BはEphA2-Fcに対する親和性結果をまとめたものである。x軸は時間(秒)であり、y軸はResp. Diff.である。これらの結果はさらに、単一のEph受容体に対する、異なる変異体の親和性は著しく異なっていることを示す。
図14:ELISAにより決定された、種々のEphA受容体に対するGEA44親和性至適化抗体の結合。この図は、様々なEphA受容体に対する種々のGEA44親和性至適化変異体の結合親和性をまとめたものである。Eph受容体はチャートの第1行に示され、抗体は第1列に示されている。結合は(-)または(+)の記号を用いて示され、増大された結合は複数の(+)記号で示される。
図15A〜15B:EphA4-FcおよびEphA4-hisに対する抗Eph IgG抗体の親和性。結合親和性はBIAcoreアッセイを用いて測定した。一般に、IgG抗体をセンサーチップ表面に固定し、この固定された抗体にEphA4分析物を流した。固定された変異体抗体と、分析物としてヒトEphA4-FcおよびEphA4-Hisを用いたBIAcoreを用い、ヒトEphA4に対して様々な動態測定値が得られた。これらの表は、EphA4対する、GEA44の様々な親和性成熟変異体の結合親和性をまとめたものである。第1列は種々の抗体を示し、第2列はkon(1/Ms)を示し、第3列はkoff(1/s)を示し、第4列はKD(nM)値を示し、最終列は注釈を適宜示す。これらのデータは、親GEA44と比較して親和性成熟変異体のEphA4対する親和性の著しい増大を明らかに示す。
図16A〜16D:受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバー。これらの図は、RTKファミリー内の異なるメンバーの数、代表的な異なるメンバー間の関係、およびRTKファミリー内の異なるクラスの分類を示す。
5.発明の詳細な説明
本発明の方法は、複数のEph受容体および/またはEphrinを優先的に標的とする、有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを単独または他の予防薬または治療薬と組み合わせて投与することを含む。本発明はまた、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状の予防、管理、治療および/または改善のための方法も提供し、その方法は、有効量のEph/Ephrinモジュレーターおよび/またはEph/Ephrinモジュレーター以外の有効量の療法(例えば、免疫調節療法、抗脈管形成療法、抗癌療法、抗炎症療法など)を、それを必要とする被験体に投与することを含む。
本発明のEph/Ephrinモジュレーターの限定されない例は、(i)Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEph受容体の内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)の、例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベル、または翻訳後レベルでの発現;および/または(ii)Eph受容体および/またはEphrinの活性を(直接的または間接的に)調節することによって生物学的作用を付与する薬剤である。
本発明の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、特定のEph受容体および/またはEphrinの特異領域と結合および/または相互作用して、該Eph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を調節するようデザインすることができる。別の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、本発明の方法によって複数のEph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を同時に調節するために、特定のEph受容体および/またはEphrinの間で共通または相同である領域と結合および/または相互作用するようにデザインすることができる。
Eph/Ephrinモジュレーターの例としては、限定されるものではないが、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤(以下、「Eph/Ephrin相互作用阻害剤」)を含む。Eph/Ephrin相互作用阻害剤の限定されない例としては、(i)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEphrin(例えば、単量体または多量体))、ならびにEph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達とリン酸化を誘導する抗体(すなわち、Eph受容体アゴニスト抗体);(ii)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、Eph受容体アンタゴニスト性抗体およびドミナントネガティブ型のEphrin);(iii)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、かつ、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体、およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する抗体);ならびに(iv)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、ドミナントネガティブ型のEph受容体および抗Ephrin抗体)が挙げられる。
さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体の発現を調節する薬剤を含む。このような薬剤はEph受容体の発現を低減/ダウンレギュレートすることができる(例えば、Eph受容体アンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)か、またはEph受容体の発現を増大/アップレギュレートすることができ、その結果、細胞表面のEph受容体の量は、結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、Ephrin)の量を上回り、従って、未結合のEph受容体(例えば、Eph受容体をコードする核酸)の量が増える。
他の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinの発現を調節する薬剤である。このような薬剤はEphrinの発現を低減/ダウンレギュレートすること(例えば、Ephrinアンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)、またはEphrinの発現を増大/アップレギュレートすることができる(例えば、Ephrinをコードする核酸)。
さらに他の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤を含む。
さらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤である。
なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、Eph受容体イントラボディー);およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、B型Ephrinイントラボディー)を含む。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現、および/またはEphrinの発現を調節する(増大または低減する)薬剤ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤ではない。本発明のなおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は妨害しない薬剤;またはEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は妨害しない薬剤ではない。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、EphA2アゴニスト抗体またはEphA2アンタゴニスト性抗体ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体アンチセンス分子またはEphrinアンチセンス分子ではない。なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、可溶型のEph受容体(例えば、Eph-Fc)ではなく、あるいは可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)でない。
本発明は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrinリガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはphrinB3)の発現および/または活性を調節するEph/Ephrinモジュレーターのスクリーニングおよび同定のための方法を提供する。
本発明はさらに、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状を治療、管理、予防および/または改善するようにデザインされた医薬組成物ならびに予防計画および治療計画を提供する。
本発明はさらに、本発明のEph/Ephrinモジュレーターを用い、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状のための療法の有効性を評価する診断方法を提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物または診断試薬を含むキットを提供する。
下表4は、様々なEph受容体およびEphrin、およびそれらが発現される組織の限定されない例、本発明の方法に包含される疾患、ならびに関連の参照文献(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)をまとめたものである。
Figure 2008518023
Figure 2008518023
Figure 2008518023
Figure 2008518023
5.1 Eph/Ephrinモジュレーター
本発明は、Eph/Ephrinモジュレーターを含む組成物および方法を包含する。Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、(i)Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEph受容体の内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)の、例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベル、または翻訳後レベルでの発現;および/または(ii)Eph受容体および/またはEphrinの活性を(直接的または間接的に)調節することによって生物学的作用を付与する薬剤がある。
本発明の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、特定のEph受容体および/またはEphrinの特異領域と結合および/または相互作用して、該Eph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を調節するようデザインすることができる。別の特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、本発明の方法によって複数のEph受容体および/またはEphrinの活性および/または発現を同時に調節するために、特定のEph受容体および/またはEphrinの間で共通または相同である領域と結合および/または相互作用するようにデザインすることができる。
Eph/Ephrinモジュレーターの例としては、限定されるものではないが、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤(以下、「Eph/Ephrin相互作用阻害剤」)を含む。Eph/Ephrin相互作用阻害剤の限定されない例としては、(i)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEphrin(例えば、単量体または多量体))、ならびにEph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達とリン酸化を誘導する抗体(すなわち、Eph受容体アゴニスト抗体);(ii)Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、Eph受容体アンタゴニスト性抗体およびドミナントネガティブ型のEphrin);(iii)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体、およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する抗体);ならびに(iv)Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、かつ、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、ドミナントネガティブ型のEph受容体および抗Ephrin抗体)が挙げられる。
さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体の発現を調節する薬剤を含む。このような薬剤はEph受容体の発現を低減/ダウンレギュレートすることができる(例えば、Eph受容体アンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)か、またはEph受容体の発現を増大/アップレギュレートすることができ、その結果、細胞表面のEph受容体の量は、結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、Ephrin)の量を上回り、従って、未結合のEph受容体(例えば、Eph受容体をコードする核酸)の量が増える。
他の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinの発現を調節する薬剤である。このような薬剤はEphrinの発現を低減/ダウンレギュレートすること(例えば、Ephrinアンチセンス分子、RNAiおよびリボザイム)、またはEphrinの発現を増大/アップレギュレートすることができる(例えば、Ephrinをコードする核酸)。
さらに他の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤を含む。
さらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤である。
なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、Eph受容体イントラボディー);およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、B型Ephrinイントラボディー)を含む。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現、および/またはEphrinの発現を調節する(増大または低減する)薬剤ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinのタンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を調節する薬剤ではない。本発明のなおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、キナーゼ活性(例えば、Eph受容体、Ephrin、または細胞膜においてEph受容体もしくはEphrinと会合することが知られている異種タンパク質の)を増進する薬剤ではない。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEphrinの間の相互作用は妨害しない薬剤;またはEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は妨害しない薬剤ではない。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、EphA2アゴニスト抗体またはEphA2アンタゴニスト性抗体ではない。さらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体アンチセンス分子またはEphrinアンチセンス分子ではない。なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、可溶型のEph受容体(例えば、Eph-Fc)ではなく、あるいは可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)でない。
特定の実施形態では、EphA/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体、例えば、 EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6の発現を、(例えば、Eph受容体アンチセンス分子、RNAiおよびリボザイムを用いて)低減またはダウンレギュレートする薬剤である。特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、RT-PCR、ノーザンブロット、またはELISAなどのイムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍、低減またはダウンレギュレートする薬剤である。別の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の発現を増大またはアップレギュレートして、細胞表面のEph受容体の量が、結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)の量を上回るようにし、従って、未結合のEph受容体(例えば、Eph受容体をコードする核酸)の量を増加させる薬剤である。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)のタンパク質の安定性および/またはタンパク質の蓄積を低減する薬剤である。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体のタンパク質の安定性および/またはタンパク質の蓄積を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体のタンパク質の安定性および/またはタンパク質の蓄積を増大する薬剤である。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の自己リン酸化および/またはリガンド媒介性のEph受容体のシグナル伝達を増進する薬剤である。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrin、例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3の発現を(転写レベル、転写後レベル、または翻訳レベルで)(例えば、Ephrinアンチセンス分子、RNAiおよびリボザイムを用いて)阻害または低減する薬剤である。特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、 Ephrin の発現を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、RT-PCR、ノーザンブロット、またはELISAなどのイムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。
別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害または低減するが、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンドの間の相互作用は阻害または低減しない薬剤(例えば、Eph受容体イントラボディー、またはリガンド結合と競合しないEph受容体抗体)である。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体のシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンドの間の相互作用を低減しないか、または本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下しか低減しない。
別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を妨害または低減するが、EphrinとEph受容体の間の相互作用は阻害または低減しない薬剤である。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinのシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、Ephrinのリン酸化を検出するアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90% もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)と内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)の間の相互作用を低減しないか、または本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、または2倍以下、1.5倍以下もしくは1倍以下しか低減しない。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph/Ephrin相互作用阻害剤である。一実施形態では、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)の間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導し(例えば、可溶型のEphrin、およびEph受容体と結合する抗体)、Eph受容体のシグナル伝達とリン酸化を誘導する(すなわち、アゴニスト抗体)薬剤である。特定の実施形態では、このようなEph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体のシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍誘導する。
別の実施形態では、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)の間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない薬剤(例えば、抗体)である。特定の実施形態では、このようなEph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体のシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、または2倍以下、1.5倍以下もしくは1倍以下しか誘導しない。
別の実施形態では、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体、ドミナントネガティブ型のEph受容体、およびEphrinと結合し、Ephrin のシグナル伝達を誘導する抗体)である。特定の実施形態では、このようなEph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Ephrinのシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍誘導する。
別の実施形態では、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Ephrinと結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する薬剤(例えば、可溶型のEph受容体、ドミナントネガティブ型のEph受容体、およびEphrinと結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する抗体)である。特定の実施形態では、このようなEph/Ephrin相互作用阻害剤は、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイにおいて対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍低減する。この実施形態によれば、Eph/Ephrin相互作用阻害剤は、Ephrinのシグナル伝達を、本明細書に記載の、または当技術分野で公知のアッセイ(例えば、イムノアッセイ)において対照(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)の、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%、または少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5、少なくとも5倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも10倍誘導する。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体の遺伝子発現を阻害または低減する薬剤(例えば、Eph受容体アンチセンス、RNAiまたはリボザイム)ではない。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体とEph受容体の内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達を誘導する薬剤であるEph/Ephrin阻害剤ではない。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と特異的に結合し、Eph受容体のシグナル伝達とリン酸化を誘導する抗体(すなわち、アゴニスト抗体)ではない。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、次の細胞作用:(i)Eph受容体のシグナル伝達の増大;(ii)Eph受容体細胞質テールのリン酸化の増大;(iii)Eph受容体の自己リン酸化および/または分解の増大;(iv)Eph受容体の遺伝子発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの)、タンパク質の安定性および/または蓄積の低減;ならびに(v)細胞増殖、転移および/または脈管形成の低減または阻害、の1つ、2つ、または全てを有する。
さらに別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、次の細胞作用:(i)Eph受容体のシグナル伝達の低減;(ii)Eph受容体細胞質のリン酸化の低減;(iii)Eph受容体自己リン酸化および/または分解の低減;(iv)Eph受容体の遺伝子発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの)、タンパク質の安定性および/または蓄積の増大;ならびに(v)細胞増殖および/または細胞生存の増大、の1つ、2つ、または全てを有する。
さらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、次の細胞作用:(i)Ephrin発現細胞におけるEphrinのシグナル伝達の増大;および(ii)Ephrinの遺伝子発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの)の増大、の1つ、2つまたは全てを有する。
なおさらなる実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、次の細胞作用:(i)Ephrin発現細胞におけるEphrinのシグナル伝達の低減;および(ii)Ephrinの遺伝子発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの)の低減、の1つ、2つまたは全てを有する。
本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、限定されるものではないが、タンパク質性分子(限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾タンパク質、抗体などを含む)、小分子(1000ダルトン未満)、無機または有機化合物、核酸分子(限定されるものではないが、二本鎖、一本鎖DNA、二本鎖または一本鎖RNA(例えば、アンチセンス、中間体RNAiなどを含む)、および三重らせん核酸分子、アプタマー、ならびにワクチン(例えば、リステリア系および非リステリア系ワクチン)、および上記のいずれかのものの誘導体が挙げられる。
5.1.1 Eph/Ephrinモジュレーターであるポリペプチド
本発明の方法は、ポリペプチドであるEph/Ephrinモジュレーターを包含する。一実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、抗体(例えば、モノクローナル抗体)またはそのフラグメントである。別の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、可溶型のEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)、または可溶型のEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)である。一実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinと結合する能力を保持し、かつ、ヒト免疫グロブリンIgG1のFc部分と融合された、可溶型のEph受容体(例えば、Eph受容体-Fc)である。例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Chengら, 2002, Mol. Cancer Res. 1:2-11参照。別の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合する能力を保持し、かつ、ヒト免疫グロブリンIgG1のFcドメインと融合された、可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)である。例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Duxburyら, 2004, Biochem. & Biophys. Res. Comm. 320:1096-1102参照。
別の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、例えば、Ephrinリガンド結合ドメインを含む、ドミナントネガティブ型のEph受容体である。
一実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、Eph/Ephrin相互作用阻害剤である。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と特異的に結合し、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化を含む)を誘導するEph受容体抗体である。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と特異的に結合し、Eph受容体と内因性リガンド、例えば、Ephrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化)を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しないEph受容体抗体である。ある特定の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、EphA2と特異的に結合し、EphA2とEphrinA1の間の相互作用を妨害または低減し、EphA2のシグナル伝達を誘導するEphA2抗体ではない。
特定の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinと特異的に結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrin のシグナル伝達を誘導するEphrin抗体である。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrin発現細胞において、Ephrinと特異的に結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しないEphrin 抗体である。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、自己リン酸化を含む)を誘導する可溶型のEphrinまたはEphrinフラグメントである。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体と結合し、Eph受容体とEphrinの間の相互作用を妨害または低減し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化)を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEph受容体のシグナル伝達しか誘導しない可溶型のEphrinまたはEphrinフラグメントである。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、内因性リガンド(例えば、Ephrin)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導する可溶型のEph受容体またはEph受容体フラグメントである。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrin発現細胞において、内因性リガンド(例えば、Ephrin)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しない可溶型のEph受容体またはEph受容体フラグメントである。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrin発現細胞において、内因性リガンド(例えば、Ephrin)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を誘導するドミナントネガティブ型のEph受容体である。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrin発現細胞において、内因性リガンド(例えば、Ephrin)と結合し、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)の間の相互作用を妨害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を妨害するか、または極めて低レベル〜無視できるレベルのEphrinのシグナル伝達しか誘導しないドミナントネガティブ型のEph受容体である。
なおさらなる実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体ファミリーのメンバーと選択的結合する単離されたペプチドである。これらのペプチドの限定されない例が、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許出願第2004/0180823 A1号に開示されている。
5.1.1.1 Eph/Ephrinモジュレーターである抗体
抗体は、我々の免疫応答に生命維持に必要な役割を果たす。抗体はウイルスや細菌毒素を不活性化することができ、侵入した微生物や大きな寄生虫を死滅させるために補体系および様々な型の白血球を動員するのに不可欠である。抗体はもっぱらBリンパ球によって合成され、何百万という形態で産生され、各々、異なるアミノ酸配列を有し、抗原結合部位が異なる。抗体は免疫グロブリン(Ig)と総称され、血液中で最も豊富なタンパク質成分である。Albertsら, Molecular Biology of the Cell, 第2版, 1989, Garland Publishing, Inc.参照。
典型的な抗体は、2本の同じ重(H)鎖(各々約440個のアミノ酸を含む)と2本の同じ軽(L)鎖(各々約220個のアミノ酸を含む)を有するY字型の分子である。これら4本の鎖は、非共有結合と共有(ジスルフィド)結合の組合せによって保持されている。パパインやペプシンなどのタンパク質分解酵素は、抗体分子を特徴の異なるフラグメント分割することができる。パパインは、各々1つの抗原結合部位と1つのFcフラグメントを有する、分離した2つの同じFabフラグメントを生じる。ペプシンは1つのF(ab’)2フラグメントを生じる。Albertsら, Molecular Biology of the Cell, 第2版, 1989, Garland Publishing, Inc.参照。
LおよびHの両鎖はアミノ末端に可変配列を有し、カルボキシル末端には定常配列を有する。L鎖は約110アミノ酸長の定常領域と、同じ長さの可変領域を有する。H鎖も約110アミノ酸長の可変領域を有するが、H鎖の定常領域は、H鎖のクラスによって約330または440アミノ酸長である。Albertsら, Molecular Biology of the Cell, 第2版, 1989, Garland Publishing, Inc. 1019頁参照。
この可変領域の部分だけが抗原の結合に直接関与する。研究によれば、LおよびHの両鎖の可変領域における変異はその大部分が各鎖の3つの狭い超可変領域(相補性決定領域、またはCDRとも呼ばれる)に限られていることが示されている。可変領域の残りの部分はフレームワーク領域(FR)として知られ、比較的不変である。Albertsら, Molecular Biology of the Cell, 第2版, 1989, Garland Publishing, Inc. 1019-1020頁参照。
本明細書に示す相補性決定領域(CDR)の残基数は、Kabatら (1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)のものであると理解される。具体的には、軽鎖可変ドメインは残基24〜34(CDR1)、50〜56(CDR2)および89〜97(CDR3)、重鎖可変ドメインは31〜35(CDR1)、50〜65(CDR2)および95〜102(CDR3)である。CDRは抗体によって著しく異なることを注記しておく(定義によれば、Kabatコンセンサス配列との相同性を示さない)。フレームワーク残基の最大アライメントは、Fv領域に関して用いるためには、ナンバリングシステムにおいて「スペーサー」残基の挿入を必要とする。本明細書に示すCDRは、Kabatら(前掲)のものであると理解される。さらに、所与のKabat 部位番号における特定の個々の残基の識別は、種間の多様性または対立遺伝子の多様性のための抗体によって異なることがある。
治療耐性の発生を防ぐ方法として、複数のチロシンキナーゼ受容体(例えば、EphA1-8、EphA10、EphB1-6)の抗体ターゲッティングが望ましいことが考えられる。また、有効性を高めるため、副作用を最小限とするため、特定の細胞を標的とするため、またはチロシンキナーゼ受容体の発現に関する他の理由のためには、特異的チロシンキナーゼ受容体のみ(例えば、EphA2のみ)、または特定の受容体の組合せのみ(例えば、EphA2とEphA4のみ)を単一の抗体によって標的とすること、または特定のチロシンキナーゼ受容体に対する親和性を低減することが望ましい場合もあると考えられる。
一実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、抗体、例えば、モノクローナル抗体、またはそのフラグメントである。本発明の抗体Eph/EphrinモジュレーターはEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)と特異的に結合し、1以上のEph受容体および/またはEphrinリガンドの活性および/または発現を調節する。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、Eph受容体の細胞外ドメイン(例えば、Eph受容体リガンド結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Eph受容体の分解を引き起こさずに受容体細胞質テールのリン酸化を低減する。別の特定の実施形態では、この抗体はEph受容体の細胞外ドメイン(例えば、Eph受容体リガンド結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と結合し、Eph受容体-リガンド相互作用を阻害するか、またはその程度を低減する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、Eph受容体の細胞外ドメイン(例えば、Eph受容体リガンド結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化を含む)を低減する。さらに別の実施形態では、本発明の抗体は、Eph受容体の細胞外ドメイン(例えばEph受容体リガンド結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化を含む)を低減し、Eph受容体-リガンド相互作用を阻害するか、またはその程度を低減する。
一実施形態では、本発明の抗体は、Ephrinリガンド(例えば、Eph受容体結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、その同族Eph受容体との結合を妨害または低減する。別の実施形態では、本発明のEphrin抗体は、Ephrin発現細胞において、Ephrin(例えば、Eph受容体結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Ephrinのシグナル伝達を調節(誘導または阻害)する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、Ephrin(例えば、Eph受容体結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Ephrinのシグナル伝達を低減し、Eph受容体-Ephrin相互作用を阻害するか、またはその程度を低減する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、Ephrin(例えば、Eph受容体結合部位の内部または外部のエピトープにおいて)と特異的に結合し、Ephrinのシグナル伝達を誘導し、Eph-Ephrin相互作用を阻害するか、またはその程度を低減する。さらなる実施形態では、本発明の抗体は、Ephrin(例えば、Ephrinのクラスタリングに関与するエピトープにおいて)と特異的に結合し、Ephrinの、Srcファミリーキナーゼ(例えば、Fyn)などの他の分子との相互作用を阻害または低減し、Ephrinのシグナル伝達を阻害または低減する。
特定の実施形態では、さらに、細胞下局在、リガンド結合特性またはタンパク質構成(例えば、構造、細胞膜における配向)における違いにより、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患した細胞(例えば、癌細胞)上に存在する特定のEph受容体および/またはEphrinと、正常細胞で発現されるEph受容体および/またはEphrinとを識別することができる。例えば、限定されるものではないが、非癌細胞ではEphA2が低レベルで発現され、細胞間接着部位に局在し、そこでその膜固定リガンドをつなぎ止めることができる。しかしながら、癌細胞は一般に細胞間接着の低下を示し、これによりEphA2とリガンドの結合は低下し得る。さらに、EphA2 が過剰発現するのでリガンドに対してEphA2が過剰となり、リガンドと結合していないEphA2の量が増える。その結果、EphA2の細胞下分布または膜配向が変化し、EphA2が癌細胞部位に局在され、リガンドと接近できなくなる。さらに、癌細胞では、EphA2のリガンド結合特性が変化している可能性があるので(例えば、コンフォメーションの変化による)、細胞間接合点に局在しているかどうかによらず、そのリガンドと安定な相互作用ができない場合がある。各場合において、これらの変化によって、非癌細胞では露出していないEphA2上の特定のエピトープ(すなわち、閉塞エピトープ)が、癌細胞においては露出している場合がある。よって、本発明はまた、Eph受容体および/またはEphrinと特異的に結合する、好ましくは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患した細胞(例えば、癌細胞)では露出されているいるが、正常細胞では露出されてないEph受容体および/またはEphrinエピトープと結合する抗体(「露出Eph受容体エピトープ抗体」または「露出Ephrinエピトープ抗体」)を提供する。異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患した細胞(例えば、癌細胞)を、該細胞において選択的に露出されている、または増加されている(非正常細胞では露出されていない、または増加されていない)Eph受容体またはEphrin上のエピトープと優先的に結合するこのような露出Eph受容体エピトープ抗体または露出Ephrinエピトープ抗体に曝すということは、治療/予防抗体が罹患細胞を標的とし、非罹患細胞を損なうことなく前記細胞の増殖能を妨害または低減する。
本発明の抗体としては、限定されるものではないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え生産抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディー、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性および二重特異性などを含む)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv (sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記いずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる。特に、本発明の抗体としては、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、EphA2抗原またはEphrinA1抗原と特異的に結合する抗原結合部位を含む分子(例えば、抗EphA2抗体の、または抗EphrinA1抗体の、1以上の相補性決定領域(CDR))が挙げられる。本発明の抗体は、いずれの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であってもよい。
本発明は、Eph受容体と特異的に結合し、Eph受容体に促進作用を及ぼす、すなわち、Eph受容体のシグナル伝達を惹起し、Eph受容体の発現を低減するアゴニスト抗体を包含する。アゴニスト性Eph受容体抗体はEph受容体の自己リン酸化を誘導し、それにより、次にEph受容体の分解を引き起こし、Eph受容体の発現をダウンレギュレートし、Eph受容体と内因性リガンド(例えば、Ephrin)との相互作用を阻害することができる。このような抗体(例えば、アゴニスト性EphA2抗体(例えば、EA2、EA3、EA4およびEA5))は、“EphA2 and Hyperproliferative Cell Disorders”と題された(代理人事件番号10271-060-999)、米国特許公開第2004/0091486 A1号(2004年5月13日)、および同第2004/0028685 A1号(2004年2月12日)、および米国特許出願第10/823,254号(2004年4月12日)に開示され、これらは全て参照によりそのまま本明細書に意味入れられる。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される抗体は、Eph099B-102.147、Eph099B-208.261、Eph099B-210.248、B233、EA2またはEA5である。別の実施形態では、本発明の方法で使用される抗体は、ヒトまたはヒト化Eph099B-102.147、Eph099B-208.261、Eph099B-210.248、B233、EA2またはEA5である。特定の実施形態では、EphA2/EphrinA1モジュレーターは、Eph099B-102.147、Eph099B-208.261、Eph099B-210.248、B233、EA2またはEA5ではない。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、抗体GEA-44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のFab(VH、VL、またはCDRを含む)アミノ酸配列(配列番号114〜135、136〜201;図5A〜B)を含む。
さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体は、GEA-44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4からなる群から選択される。
別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、D7、EA2、EA5、B210、B233、またはB208ではない。
本発明はまた、受容体のEphファミリーのメンバーと特異的に結合し、癌細胞において露出されているEphエピトープに対し作働作用を及ぼし、かつ/またはそれと優先的に結合する抗体の使用を包含し、該抗体はGEA-44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の1以上のVH CDRと1以上のVL CDRを含む。特に、本発明は、受容体のEphファミリーのメンバーと特異的に結合し、癌細胞において露出されているEphエピトープに対し作働作用を及ぼし、かつ/またはそれと優先的に結合する抗体の使用を包含し、該抗体は、GEA-44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または 8B4のVH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR3およびVL CDR3;VH1 CDR1,VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR1,VH CDR2およびVL CDR2; VH1 CDR1,VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR2,VH CDR3およびVL CDR1,VH CDR2,VH CDR3 およびVL CDR2; VH CDR2,VH CDR3およびVL CDR3; VH1 CDR1,VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR1,VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR1,VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR3,VL CDR2およびVL CDR3;VH CDE1,VH CDR2,VH CDR3およびVL CDR1; VH CDE1,VH CDR2,VH CDR3およびVL CDR2; VH CDE1,VH CDR2,VH CDR3およびVL CDR3;VH CDR1,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR3,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1,VH CDR2,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1,VH CDR2,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1,VH CDR2,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1,VH CDR3,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2,VH CDR3,VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1,VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1,VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1,VH CDR2,VH CDR3,VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1,VH CDR2,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1,VH CDR3,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1,VH CDR2,VH CDR3,VL CDR1,VL CDR2およびVL CDR3またはその組合せを含む。
本発明はまた、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、もしくは8B4、またはEph受容体との結合のためのその抗原結合フラグメントと競合する抗体も包含する。このような抗体を同定するために使用可能な競合アッセイは当業者に周知である。特定の実施形態では、本発明の抗体1μg/mlは、周知のORIGEN分析で測定した場合、75%、80%、85%または90%のORIGEN TAG標識GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の、ビオチン標識Eph受容体との結合を妨げる。
本発明はまた、当業者に公知のフレームワーク領域を含む抗体も提供する。一実施形態では、本発明の抗体またはそのフラグメントのフラグメント領域は、ヒトのものであるか、またはヒト化されている。
本発明は、他の置換または変異(例えば、Fc置換)に加えてフレームワーク領域または可変領域に突然変異(例えば、1以上のアミノ酸置換)を有するGEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のアミノ酸配列を含む抗体を包含する。一実施形態では、これらの抗体における突然変異は、それらの抗体が特異的に結合するEph受容体に対する抗体のアビジティー(avidity)および/または親和性を維持、低減または増大する。抗体の親和性を改変するための技術は本明細書で後述する。当業者に公知の標準的技術(例えば、イムノアッセイ)を用い、特定の抗原に対する抗体の親和性をアッセイすることができる。
本発明は、一般に、Eph受容体と特異的に結合する抗体をコードする、単離された核酸分子の使用を包含する。特定の実施形態では、単離された核酸分子は、Eph受容体と特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のアミノ酸配列を有する抗体をコードする。別の実施形態では、単離された核酸分子は、Eph受容体と特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含む抗体をコードする。別の実施形態では、単離された核酸分子は、Eph受容体と特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体をコードする。
本発明は、Eph受容体と特異的に結合し、図5A〜Bに示されているVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ/または図5A〜Bに示されている抗体のいずれかの重鎖に由来するVH CDRを含む抗体をコードする、単離された核酸分子の使用を包含する。特に、本発明は、Eph受容体と特異的に結合し、図5A〜Bに示されている VH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ/または図5A〜Bに示されている抗体のいずれかの重鎖に由来する1つ、2つ、またはそれを超えるVH CDRを含む抗体をコードする、単離された核酸分子の使用を包含する。
本発明は、Eph受容体と特異的に結合し、図5A〜Bに示されているVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ/または図5A〜Bに示されている抗体のいずれかの軽鎖に由来するVL CDRを含む抗体をコードする、単離された核酸分子の使用を包含する。特に、本発明は、Eph受容体と特異的に結合し、図5A〜Bに示されているVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ/または図5A〜Bに示されている抗体のいずれかの軽鎖に由来する1つ、2つ、またはそれを超えるVL CDRを含む抗体をコードする、単離された核酸分子の使用を包含する。
本発明は、Eph受容体と特異的に結合する、本明細書に記載の、Eph受容体と特異的に結合するVHドメイン、VH CDR、VLドメイン、またはVL CDRの誘導体を含む抗体の使用を包含する。本発明の抗体をコードするヌクレオチド配列に突然変異(例えば、付加、欠失、および/または置換)を導入するには、例えば、アミノ酸置換を作出するために通常使用される部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発などの当業者に公知の標準的技術を使用することができる。抗体の誘導選抜および改変のための技術は本明細書でさらに詳しく後述する。
一実施形態では、VHおよび/またはVL CDR誘導体は、元のVHおよび/またはVL CDRに対して25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、または2未満のアミノ酸置換を含む。別の実施形態では、VHおよび/またはVL CDR誘導体は、1以上の推定された非必須アミノ酸残基(すなわち、抗体がEph受容体と特異的に結合するために重要ではないアミノ酸残基)において起こされた保存的アミノ酸置換(例えば、前掲)を有する。あるいは、突然変異は、飽和突然変異誘発によるなど、VHおよび/またはVL CDRコード配列の全体または一部に無作為に導入することもでき、生じた突然変異体は活性を保持する突然変異体を同定するため、生物活性をスクリーニングすることができる。突然変異誘発の後、コードされている抗体を発現させ、その抗体の活性を測定することができる。
本発明は、軽鎖可変(VL)ドメインおよび/または重鎖可変(VH)ドメインに1以上のさらなるアミノ酸残基置換を有するGEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の抗体を包含する。本発明はまた、1以上のVL CDRおよび/または1以上のVH CDRに1以上のさらなるアミノ酸残基置換を有するGEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の抗体を包含する。GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の抗体のVHドメイン、VH CDR、VLドメインおよび/またはVL CDRに置換を導入することによって作製された抗体は、例えば、そのEph受容体との結合能に関して(例えば、限定されるものではないが、ELISAおよびBIAcoreをはじめとするイムノアッセイによる)、またはそのADCCを媒介し、癌またはその1以上の症状を予防、治療、管理または改善する能力に関して、in vitroおよびin vivoで試験することができる。
本発明はまた、少なくとも1つのEph受容体またはそのフラグメントと特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の可変重鎖鎖および/または可変軽鎖鎖のアミノ酸配列(配列番号114〜135、136〜201;図5A〜B)と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である可変重鎖鎖および/または可変軽鎖のアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、1以上のCDR)を含む抗体の使用をする包含する。本発明はまた、少なくとも1つのEph受容体またはそのフラグメントと特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の可変重鎖鎖および/または可変軽鎖のアミノ酸配列と少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一である可変重鎖鎖および/または可変軽鎖鎖のアミノ酸配列を含む抗体の使用も包含する。本発明はさらに、少なくとも1つのEph受容体またはそのフラグメントと特異的に結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の1以上のCDRのアミノ酸配列と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である1以上のCDRのアミノ酸配列を含む抗体または抗体フラグメントの使用を包含する。
本発明はさらに、少なくとも1つのEph受容体またはそのフラグメントと結合し、GEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の1以上のCDRのアミノ酸配列と少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一である1以上のCDRのアミノ酸配列を含む抗体または抗体フラグメントの使用を包含する。2つのアミノ酸配列の同一性%の決定は、Basic Local Alignment Search Tool (BLAST)タンパク質検索(Altschul, S.F. ら, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410)を含む当業者に公知のいずれかの方法によって判定することができる。
本発明はまた、少なくとも1つのEph受容体またはそのフラグメントと特異的に結合し、ストリンジェント条件下でGEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされている抗体の使用も包含する。別の実施形態では、本発明は、Eph受容体またはそのフラグメントと特異的に結合し、ストリンジェント条件下でGEA44、1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、または8B4の1以上のCDRのヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされている1以上のCDRを含む抗体を包含する。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件としては、限定されるものではないが、約45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で、フィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせた後、約50〜65℃の0.2X SSC/0.1% SDS中で1回以上洗浄すること、約45℃の6X SSC中で、フィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせた後、約60℃の0.1X SSC/0.2% SDS 中で1回以上洗浄するなどの高ストリンジェント条件、または当業者に公知の他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件がある(例えば、Ausubel, F.M.ら編, 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NY, 6.3.1-6.3.6頁および2.10.3頁参照)。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体配列の可変重鎖鎖および/または可変軽鎖鎖アミノ酸配列を含み、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の可変重鎖鎖または軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列(配列番号114〜201)の少なくとも1つのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも2つのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。さらに別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも3つのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも4つのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも5つのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の重鎖および/または軽鎖配列の6つ全てのCDRを含み、該CDRは、図5Aおよび5Bに開示されているような対応するCDRと同一である。
別の特定の実施形態では、抗体はEph受容体またはそのフラグメントと結合し、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の対応するCDRと同一である、前記重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも2つのCDRを含む。さらなる特定の実施形態では、抗体はEph受容体またはそのフラグメントと結合し、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の対応するCDRと同一である、前記重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも3つのCDRを含む。別の特定の実施形態では、抗体はEph受容体またはそのフラグメントと結合し、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の対応するCDRと同一である、前記重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも4つのCDRを含む。さらなる特定の実施形態では、抗体はEph受容体またはそのフラグメントと結合し、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の対応するCDRと同一である、前記重鎖および/または軽鎖配列の少なくとも5つのCDRを含む。なおさらなる特定の実施形態では、抗体はEph受容体またはそのフラグメントと結合し、該抗体は、図5Aおよび5Bに開示されているような抗体の対応するCDRと同一である、前記重鎖および/または軽鎖配列の6つ全てのCDRを含む。
本発明の抗体は所望の抗原(例えば、受容体チロシンキナーゼファミリーまたはクラスのメンバー)に対する結合親和性の変更により改変および選択されるものと意図される。結合親和性は当技術分野で公知の様々な技術を用いて測定することができる。例えば、所望の結合活性を有する抗体をスクリーニングするためには酵素免疫測定法(ELISA)を用いる。この技術を用いる限定されない例が本明細書の下記実施例1に示されている。ELISAは、抗原を調製し、その抗原をマイクロタイタープレートのウェルにコーティングし、ウェルに結合しなかった抗原を洗い流し、酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼ)などの検出可能な化合物にコンジュゲートさせた対象抗体をウェルに加えて一定時間インキュベートし、結合してない抗体または非特異的結合抗体を洗い流し、ウェルをコーティングしている抗原と特異的に結合した抗原の存在を検出することを含む。ELISAでは、対象抗体を検出可能な化合物とコンジュゲートさせなくてもよく、その代わりに、検出可能な化合物にコンジュゲートさせた第2の抗体(対象抗体を認識する)をウェルに加えればよい。さらに、ウェルに抗原をコーティングする代わりに、抗体をウェルにコーティングすればよい。この場合、検出可能な分子は、酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼ)などの検出可能な化合物とコンジュゲートされた抗原であってよい。当業者ならば、検出されるシグナルを増大するために改変することができるパラメーターならび当技術分野で公知のELISAの他の変形について知っているであろう。ELISAに関するさらなる考察は、例えば、Ausubelら編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, John Wiley & Sons, Inc., New York at 11.2.1を参照。
親和性を測定するもう1つの例では、特定の抗原に対する本発明の抗体の結合および解離率(Kd) を測定するためには、BIAcore動力学分析を使用することができる。BIAcore動力学分析は、表面に本発明の抗体が固定されたチップへの抗原の結合およびチップからの抗原の解離の分析を含む。参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Wuら, 1999, J. Mol. Biol., 294:151-162参照。要するに、抗原-Ig融合タンパク質は、酢酸ナトリウム中の抗原-Igを注射することにより、(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド ヒドロクロリド)およびN-ヒドロキシ-スクシンイミドにより活性化されたセンサーチップCM5に固定される。抗原-Igは、解離相では、Fabが再結合しないように低密度で固定される。会合速度定数(Kon)を得るためには、特定の流速で、6種類の異なるFab濃度での結合速度を測定する。解離速度定数(Koff)は、解離相を分析することにより得られる6つの測定値の平均である。センサーグラムはBIAevaluation 3.0プログラムを用いて分析する。Kd値は、Kd=Koff/Konから算出する。各測定後には、解離を延長させることにより残留するFabを除去する。
抗体(scFv、または抗体フラグメントもしくはその変異体を含む、あるいはまた抗体フラグメントもしくはその変異体からなる他の分子を含む)の、抗原に対する結合親和性、および抗体-抗原 相互作用の解離速度はまた、競合結合アッセイによっても測定することができる。競合結合アッセイの一例として、標識抗原(例えば、3Hまたは121I)を対象抗体とともに、増加量の非標識抗原の存在下でインキュベートし、標識抗原と結合した抗体を検出することを含むラジオイムノアッセイがある。本発明の抗体の親和性および結合解離速度は、スキャッチャードプロット分析によりデータから決定することができる。第2の抗体との競合もまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定することができる。この場合、抗原を、標識化合物(例えば、3Hまたは121I)とコンジュゲートされた本発明の抗体とともに、増加量の標識されていない第2の抗体の存在下でインキュベートする。
限定されるものではないが、ウエスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定法)、サンドイッチイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、蛍光免疫アッセイ、およびAタンパク質イムノアッセイなどの技術を用いる競合および非競合アッセイ系を含むイムノアッセイなどの他のアッセイを用い、ヒト化抗体の結合特異性のスクリーニングおよびさらなる同定を行うこともできる。このようなアッセイは通例のものであり、当技術分野では周知である(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Ausubelら編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York参照)。
特定の実施形態では、本発明の抗体の結合親和性は、受容体のEphファミリーのあるメンバーに対する結合親和性が、受容体のEphファミリーの少なくとも1つの他のメンバーに対する結合親和性に比べて少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍 少なくとも400倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍高くなるように改変される。
さらなる特定の実施形態では、本発明の抗体の結合親和性は、受容体のEphファミリーのあるメンバーに対する結合親和性が、受容体のEphファミリーの少なくとも1つの他のメンバーに対する結合親和性に比べて少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍 少なくとも400倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍低くなるように改変される。
別の特定の実施形態では、本発明の抗体の結合親和性は、本発明の抗体がEph受容体ファミリーの1メンバーに対して、または複数のメンバーに対してKD値が少なくとも1x106M-1、少なくとも1x107M-1、少なくとも1x108M-1、少なくとも1x109M-1、少なくとも1x1010M-1、少なくとも1x1011M-1、少なくとも1x1012M-1、少なくとも1x1013M-1、少なくとも1x1014M-1、または少なくとも1x1015M-1の結合親和性を有するように改変される。さらに別の特定の実施形態では、本発明の抗体の結合親和性は、Eph受容体ファミリーの1メンバーに対して、または複数のメンバーに対してKD値が1x106M-1〜1x107M-1の間、1x107M-1〜1x108M-1の間、1x108M-1〜1x109M-1の間、1x109M-1〜1x1010M-1の間、1x1010M-1〜1x1011M-1の間、1x1011M-1〜1x1012M-1の間、1x1012M-1〜1x1013M-1の間、1x1013M-1〜1x1014M-1の間、または1x1014M-1〜1x1015M-1の間の結合親和性を有するように改変される。
一実施形態では、本発明の抗体は、他のEph受容体よりも優先的にEphA2と結合する。別の実施形態では、本発明の抗体は、他のEph受容体よりも優先的にEphA4と結合する。なおさらなる実施形態では、本発明の抗体は、1以上のEph受容体複合体(例えば、Eph受容体-Ephrinリガンド複合体)と特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、本発明の抗体は、2以上のEph受容体と特異的に結合する。2以上のEph受容体と特異的に結合する抗体ににより結合するEph受容体の組合せは、下式:EphA(x) + [EphB(y)](n2); EphA(x) + [EphA(x)](m); EphB(y) + [EphB(y)](n2); EphB(y) + [EphA(x)](n0);または[EphA(x)](n0) + [EphB(y)](n2)[式中、(x)は1、2、3、3a、3b、4、5、5a、5b、6、7、8、または10であり、(y)は1、2、2a、2b、3、4、5または6であり、(ni)は0〜8の倍数であり、(n2)は0〜5の倍数である]で表される。特定の実施形態では、2以上のEph受容体と特異的に反応する抗体は、例えば、EphA2 + EphA4、またはEphA2 + EphA3、またはEphA2 + EphB4、またはEphA4 + EphA3、またはEphA4 + EphB4、またはEphA2 + EphA3 + EphA4 + EphA5 + EphA6 + EphA7 + EphA8、またはEphaA1 + EphA5、またはEphA2 +EphA3 + EphA4 +EphA5 + EphA6 + EphA7 +EphA8 +EphB1 + EphB2 + EphB3と結合する。前記の式で表される2以上のEph受容体と結合する抗体の結合親和性は、各標的受容体に対して同じ親和性となるように、または1つ、いくつか、もしくは全ての標的受容体に対する親和性を増大するように、または1つ、いくつか、もしくは全ての標的受容体に対する親和性を低減するように、またはこのような同じ、増大された、もしくは低減された親和性の組合せとなるように改変することができると考えることができる。
ある特異的の実施形態では、2以上のEph受容体と特異的に結合する抗体は二重特異性抗体である。別の特定の実施形態では、2以上のEph受容体と特異的に結合する抗体は三重特異性抗体である。
当業者には、受容体のEphファミリーのメンバーは、異なるタンパク質でありながら、相同性領域を有することが理解されるであろう(図1A〜1Rおよび2A〜2G参照)。よって、高親和性抗体またはそのフラグメントは第1のEph受容体(例えば、EphA2)およびその抗原性フラグメントと特異的に結合することができるが、第2のEph受容体またはその抗原性フラグメントとは結合できないと考えられる。さらに、本発明の高親和性抗体は、Eph受容体の1つ、いくつか、もしくは全てに共通しているか、EphA受容体の1つ、いくつか、もしくは全てに共通しているか、またはEphB受容体の1つ、いくつか、もしくは全てに共通しているエピトープと特異的に結合し得ると考えられる。
抗原が特異的に結合する分子の領域は「抗原決定基」または「エピトープ」として知られる(Janeway and Travers, Immunobiology, Chapter 3, Garland Publishing, Inc., 第3版, 1997)。タンパク質上のこれらの部位は一般に、そのタンパク質が折り畳まれているいる場合には、三次元エピトープとして一緒になっているタンパク質のアミノ酸配列の異なる部分に由来するアミノ酸からなる(Janeway and Travers, Immunobiology, Chapter 3, Garland Publishing, Inc., 第3版, 1997)。これらのタイプのエピトープは「コンフォメーショナルエピトープ(eptitopes)」または「不連続エピトープ」として知られ、それらが一次アミノ酸配列に関して不連続のアミノ酸配列から構成されていても、三次元構造から見れば連続したアミノ酸配列から構成されている(Janeway and Travers, Immunobiology, Chapter 3, Garland Publishing, Inc., 第3版, 1997)。これに対し、連続した、タンパク質の一次アミノ酸配列からなるエピトープは「連続エピトープ」または「直鎖エピトープ」と呼ばれる(Janeway and Travers, Immunobiology, Chapter 3, Garland Publishing, Inc., 第3版, 1997)。
共通エピトープはEph受容体の全てで同一であっても、選択されたEph受容体で同一であってもよい。このような場合、エピトープを含むアミノ酸配列は標的Eph受容体において同一である。よって、本発明の抗体は、Ephファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバーと特異的に結合し得る(例えば、Eph受容体の1つ、いくつか、または全てに存在する同一のエピトープを特異的に認識する抗体)。あるいは、共通エピトープは、Eph受容体ファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバーで類似していてもよい。例えば、類似エピトープは有意な相同性(例えば、60%〜99%同一)を有し、かつ/または異なるEph受容体の間で類似の三次元コンフォメーションを採っているので、本発明の抗体は、共有されているエピトープと特異的に結合する。従って、本発明の抗体は、Eph受容体ファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバーの共通エピトープと特異的に結合し得る。本発明の抗体は、Ephファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバー上に存在する共通エピトープまたは類似のエピトープに対して異なる親和性を持ち得る。従って、さらに、本発明の抗体は、同じまはた異なる結合親和性を有するEph受容体ファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバーと結合すると考えられる。特定の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、他の抗原よりも、Eph受容体ファミリーの1つ、いくつか、または全てのメンバーと特異的に結合する。さらなる特定の実施形態では、モノクローナル抗体GEA44が結合するEph受容体エピトープと特異的に結合するモノクローナル抗体が提供される。
本発明はまた、Eph受容体と特異的に結合し、Eph受容体と拮抗する、すなわち、Eph受容体細胞質テールのリン酸化を低減し、Eph受容体-リガンドの相互作用を低減/妨害するアンタゴニスト性抗体も包含する。アンタゴニスト性Eph受容体抗体はEph受容体の自己リン酸化を低減または阻害し、それにより、Eph受容体タンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を増加させることができる。このような抗体(例えば、アンタゴニスト性EphA2抗体)は、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、“EphA2, Hypoproliferative Cell Disorders and Epithelial and Endothelial Cell Reconstitution”と題された、2004年4月12日出願の米国特許出願第10/823,259号に開示されている。
全てのポリペプチドと同様に抗体は等電点(pI)を有する。この等電点とは、一般に、ポリペプチドが正味電荷を持たないpHとして定義される。当技術分野では、タンパク質の溶解度は、溶液のpHがそのタンパク質の等電点(pI)と等しい場合に、一般に最低となることが知られている。抗体のイオン化可能な残基の数と位置を変更してpIを調節することにより、溶解度を至適化することができる。例えば、ポリペプチドのpIは、適当なアミノ酸置換を行うことにより(例えば、アラニンなどの非荷電残基をリシンなどの荷電アミノ酸に置換することにより)操作することができる。特定の理論に縛られるものではないが、抗体のpIに変化をもたらす抗体のアミノ酸置換は、抗体の溶解度および/または安定性を向上させ得る。当業者ならば、どのアミノ酸置換が、特定の抗体が所望のpIを達成するのに最も適当であるかが理解できるであろう。タンパク質のpIは、限定されるものではないが、等電点電気泳動および様々なコンピューターアルゴリズム(例えば、Bjellqvist ら, 1993, Electrophoresis 14:1023参照)をはじめとする様々な方法によって決定することができる。
一実施形態では、本発明の抗体のpIに変更をもたらす置換は、受容体の受容体チロシンキナーゼファミリーまたはクラスのメンバーに対する結合親和性を有意に引き下げない。本明細書においてpI値は、主要荷電型のpIとして定義される。タンパク質のpIは、限定されるものではないが、等電点電気泳動および様々なコンピューターアルゴリズム(例えば、Bjellqvist ら, 1993, Electrophoresis 14:1023参照)をはじめとする様々な方法によって決定することができる。特定の実施形態では、本発明の抗体は、少なくとも6.0、少なくとも6.1、少なくとも6.2、少なくとも6.3、少なくとも6.4、少なくとも6.5、少なくとも6.6、少なくとも6.7、少なくとも6.8、少なくとも6.9、少なくとも7.0、少なくとも7.1、少なくとも7.2、少なくとも7.3、少なくとも7.4、少なくとも7.5、少なくとも7.6、少なくとも7.7、少なくとも7.8、少なくとも7.9、少なくとも8.0、少なくとも8.1、少なくとも8.2、少なくとも8.3、少なくとも8.4、少なくとも8.5、少なくとも8.6、少なくとも8.7、少なくとも8.8、少なくとも8.9、または少なくとも9.0の特定pIを有する。
抗体のFabドメインのTmは、抗体の熱安定性の良好な指標となる可能性があり、さらには貯蔵寿命の指標ともなり得る。Tmが低いほど高い凝集性/低い安定性を示し、Tmが高いほど低い凝集性/高い安定性を示す。従って、高いTmを有する抗体が好ましい。一実施形態では、抗体のFabドメインは、少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃または120℃より高いTm値を有する。別の実施形態では、抗体のFabドメインは、少なくとも約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃または約120℃より高いTm値を有する。タンパク質ドメイン(例えば、Fabドメイン)の融点(Tm)は、当技術分野で公知の標準的な方法を用い、例えば、示差走査熱量測定法(例えば、Vermeerら, 2000, Biophys. J. 78:394-404; Vermeerら, 2000, Biophys. J. 79: 2150-2154参照)により測定することができる。
本発明はまた、増大された抗体依存性細胞媒介型の細胞傷害性を有するFc変異体である抗体も包含する。このような 抗体Fc変異体抗体の限定されない例は、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許出願第11/203,253号(2005年8月15日出願)および同第11/203,251号(2005年8月15日出願)、および米国仮特許出願第60/674,674号(2005年4月26日出願)および同第60/713,711号(2005年9月6日出願)に開示されている。
本発明はまた、ラクダ化された単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体も包含する(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Muyldermansら, 2001, Trends Biochem. Sci. 26:230; Nuttallら, 2000, Cur. Pharm. Biotech. 1:253; Reichmann and Muyldermans, 1999, J. Immunol. Meth. 231:25; 国際公開第94/04678号および同第94/25591号;米国特許第6,005,079号参照)。一実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような改変を有するEph受容体抗体またはEphrin抗体のVHドメインのアミノ酸配列を有する2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。別の実施形態では、本発明はまた、Eph受容体抗体またはEphrin抗体の1以上のVH CDRを含む2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体も提供する。
本発明の抗体は、Eph受容体イントラボディーまたはEphrinイントラボディーを含む(第6.1.1.1.1節参照)。イントラボディーである本発明の抗体Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinと特異的に結合し、Eph受容体またはEphrinの発現および/または活性を調節(増大または低減)する。特定の実施形態では、本発明のイントラボディーはEph受容体の細胞内ドメインと特異的に結合し、Eph受容体の分解を引き起こすことなく、Eph受容体細胞質テールのリン酸化を低減する。別の実施形態では、本発明のイントラボディーはEph受容体と特異的に結合し、Eph受容体のシグナル伝達(限定されるものではないが、Eph受容体の自己リン酸化)を妨害または低減するが、Eph受容体とEph受容体の、例えば、Ephrinの間の相互作用を阻害または低減しない。
本発明の方法に使用される抗体は、鳥類または哺乳類(例えば、ヒト、ネズミ、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ)をはじめ、いずれの動物起源のものであってもよい。特定の実施形態では、抗体はヒトのものであるか、またはヒト化されたものである。本明細書において、「ヒト」抗体としては、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、またはヒト遺伝子から抗体を発現するマウスから単離された抗体を含む。
本発明の方法で使用される抗体は、単一特異性、二重特異的、三重特異性、またはさらに高い多重特異性であってもよい。多重特異性抗体はEph受容体ポリペプチドまたはEphrinポリペプチドの異なるエピトープと特異的に結合し得るか、または複数のEph受容体ポリペプチドかつ/または複数のEphrinポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドまたは固相支持体材料などの異種エピトープと特異的に結合することができる。例えば、国際公開第93/17715号、同第92/08802号、同第91/00360号、および同第92/05793号; Tuttら, 1991, J. Immunol. 147:60-69; 米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、および同第5,601,819号;ならびにKostelnyら, 1992, J. Immunol. 148:1547-1553参照。
特定の実施形態では、本発明は、限定されるものではないが、Eph受容体抗体(例えば、EphA2)およびEphrin抗体をはじめ、本発明の抗体のいずれかを使用した後に起こり得る正常細胞に対する。一実施形態では、本発明により包含される方法は、正常組織に対するpanファージライブラリーまたは抗体ライブラリーに使用を包含する。この実施形態のさらなるもにとして、このような方法は、正常または健常細胞または組織に対して反応する抗体の予備吸収を含む。正常または健常細胞または組織の供給源は、例えば、血液、皮膚、および/または潜在的に毒性のある特定の器官(例えば、心臓、肺、膵臓、卵巣、脾臓、精巣、副腎、結腸、子宮、前立腺、皮膚、腎臓、膀胱または肝臓)から単離すればよい。別の実施形態では、組織組織由来の一次細胞系統を、毒性を回避または最小限にする目的で抗体を吸収させるために使用することができる。特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーター抗体はヒト心臓の正常細胞には結合せず、ヒト心臓の正常細胞に対して有毒となる可能性はない。
5.1.1.1.1 イントラボディー
ある特定の実施形態では、本発明とともに使用される抗体は細胞内エピトープと結合し、 すなわち、イントラボディー(intrabody;細胞内発現抗体)である。特定の実施形態では、本発明のイントラボディーはEph受容体の細胞質ドメインと結合し、Eph受容体のシグナル伝達(例えば、自己リン酸化)を妨害する。別の特定の実施形態では、本発明のイントラボディーは、B型Ephrin(例えば、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)の細胞質ドメインと結合する。イントラボディーは、抗原と特異的に結合し得る抗体の少なくとも一部を含み、その分泌をコードする配列を含まないことが好ましい。このような抗体は細胞内で抗原と結合する。一実施形態では、このイントラボディーは、単鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは、抗体のVHドメインとVLドメインを含む抗体フラグメントであり、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のために望ましい構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーを、VHドメインとVLドメインの間にさらに含む。 scFvの総説としては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照。さらなる実施形態では、このイントラボディーは好ましくは、作動可能な分泌配列をコードせず、従って、細胞内に留まっている(一般に、Marasco, WA, 1998, “Intrabodies: Basic Research and Clinical Gene Therapy Applications” Springer:New York を参照)。
イントラボディーの作製は当業者に周知であり、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許第6,004,940号; 同第6,072,036号; 同第5,965,371号に記載されている。さらに、イントラボディーの構築は、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Ohage and Steipe, 1999, J. Mol. Biol. 291:1119-1128; Ohageら, 1999, J. Mol. Biol. 291:1129-1134;およびWirtz and Steipe, 1999, Protein Science 8:2245-2250に述べられている。抗体の組換え生産に関して記載されているものなどの組換え分子生物学的技術もまた、イントラボディーの作製に使用することができる。
一実施形態では、本発明のイントラボディーは、抗原に対する完全抗体(すなわち、完全な定常ドメインならびに可変領域を有する)の少なくとも約75%の結合有効性を保持している。別の実施形態では、イントラボディーは、完全抗体の少なくとも85%の結合有効性を保持している。さらなる実施形態では、イントラボディーは、完全抗体の少なくとも90%の結合有効性を保持している。なおさらなる実施形態では、イントラボディーは、完全抗体の少なくとも95%の結合有効性を保持している。
イントラボディーの作製においては、対象とするVH鎖およびVL鎖双方の可変領域をコードするポリヌクレオチドを、例えば、このようなドメインのPCR増幅のための鋳型としてハイブリドーマmRNAまたは脾臓mRNAを使用することによりクローニングすることができる(Huseら, 1989, Science 246:1276)。一実施形態では、単鎖抗体(scFv)を作製するために、VHドメインおよびVLドメインをコードするポリヌクレオチドが、リンカーをコードするポリヌクレオチド配列により連結される。scFvは一般に、配列VH -リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHを有する単一ペプチドを含む。このリンカーは、重鎖と軽鎖がそれらの適切なコンフォメーション配向でともに結合可能なように選択される(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Hustonら, 1991, Method in Enzym. 203:46-121参照)。さらなる実施形態では、このリンカーは、天然Fvコンフォメーションの歪みが最小となるような各可変ドメインとの融合点間距離とすることができる(例えば、3.5 nm)。このような実施形態では、このリンカーは、少なくとも5アミノ酸残基、少なくとも10アミノ酸残基、少なくとも15アミノ酸残基、またはそれを超えるポリペプチドである。さらなる実施形態では、このリンカーは、結合部位のVHドメインおよびVLドメインと立体障害を起こしてはならない。このような実施形態では、このリンカーは、35アミノ酸以下、30アミノ酸以下、または25アミノ酸以下である。よって、なおさらなる実施形態では、このリンカーは、15〜25アミノ酸残基長の間である。さらなる実施形態では、このリンカーは、親水性であり、かつ、VHドメインとVLドメインが抗原を検出するために必要なコンフォメーションを採ることができるように十分柔軟である。イントラボディーは、同じVHドメインおよびVLドメイン間に挿入された異なるリンカー配列を用いて作製することができる。VHドメインおよびVLドメインの特定の対に対して適当な特性を有するリンカーは、各々の抗原結合程度を評価することにより、経験的に決定することができる。リンカーの例としては、限定されるものではないが、表5に開示されている配列が挙げられる。
Figure 2008518023
一実施形態では、イントラボディーは、細胞質で発現される。他の実施形態では、イントラボディーは、様々な細胞内の場所に局在する。このような実施形態では、特異的局在配列を、イントラボディーを特定の場所に向けるためにイントラボディーのポリペプチドに結合させることができる。イントラボディーは例えば次の細胞内の場所:小胞体(Munroら, 1987, Cell 48:899-907; Hangejordenら, 1991, J. Biol. Chem. 266:6015);核(Lanfordら, 1986, Cell 46:575; Stantonら,1986, PNAS 83:1772; Harlowら, 1985, Mol. Cell Biol. 5:1605; Papら, 2002, Exp. Cell Res. 265:288-93);核小体領域(Seomiら, 1990, J. Virology 64:1803; Kubotaら, 1989, Biochem. Biophys. Res. Comm. 162:963; Siomiら, 1998, Cell 55:197);エンドソームコンパートメント(Bakkeら, 1990, Cell 63:707-716);ミトコンドリアマトリックス(Pugsley, A. P., 1989, “Protein Targeting”, Academic Press, Inc.);ゴルジ体(Tangら, 1992, J. Bio. Chem. 267:10122-6);リポソーム(Letourneurら, 1992, Cell 69:1183);ペルオキシソーム(Papら, 2002, Exp. Cell Res. 265:288-93);トランスゴルジ網(Papら, 2002, Exp. Cell Res. 265:288-93);および原形質膜(Marchildonら, 1984, PNAS 81:7679-82; Hendersonら, 1987, PNAS 89:339-43; Rheeら, 1987, J. Virol. 61:1045-53; Schultzら, 1984, J. Virol. 133:431-7; Ootsuyamaら, 1985, Jpn. J. Can. Res. 76:1132-5; Ratnerら, 1985, Nature 313:277-84)に局在させることができる。局在シグナルの例としては、限定されるものではないが、表6に開示されている配列が挙げられる。
Figure 2008518023
VHドメインおよびVLドメインは、一般に、保存された構造的ジスルフィド結合を有する免疫グロブリンドメインから構成される。イントラボディーが還元環境(例えば、細胞質)で発現される実施形態では、このような構造的特徴は存在し得ない。ジスルフィド結合が形成されないために起こる免疫グロブリン構造の安定性の低下を補償するため、イントラボディーのポリペプチド配列に対して突然変異を起こすことができる。一実施形態では、イントラボディーのVHドメインおよび/またはVLドメインは、それらの発現が還元環境で安定化されるような1以上の点突然変異を含む(Steipeら, 1994, J. Mol. Biol. 240:188-92; Wirtz and Steipe, 1999, Protein Science 8:2245-50; Ohage and Steipe, 1999, J. Mol. Biol. 291:1119-28; Ohageら, 1999, J. Mol Biol. 291:1129-34参照)。
治療薬としてのイントラボディータンパク質
一実施形態では、組換え発現されたイントラボディータンパク質が患者に投与される。このようなイントラボディーポリペプチドは、予防作用または治療作用を媒介するために細胞内に存在しなければならない。本発明のこの実施形態では、イントラボディーポリペプチドは、「膜透過性配列」と関連している。膜透過性配列は、細外から細胞内へ細胞膜を通して透過することができるポリペプチドである。別のポリペプチドと連結された場合、膜透過性配列はまた、細胞膜を通るそのポリペプチドの輸送も指示することができる。
一実施形態では、膜透過性配列は、シグナルペプチドの疎水性領域である(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Hawiger, 1999, Curr. Opin. Chem. Biol. 3:89-94; Hawiger, 1997, Curr. Opin. Immunol. 9:189-94; 米国特許第5,807,746号および同第6,043,339号参照)。膜透過性配列の配列は、いずれかのシグナルペプチドの疎水性領域に基づき得る。このシグナルペプチドは、例えば、SIGPEPデータベース(例えば、von Heijne, 1987, Prot. Seq. Data Anal. 1:41-2; von Heijne and Abrahmsen, 1989, FEBS Lett. 224:439-46参照)から選択することができる。特定の細胞種がイントラボディーポリペプチドの挿入のために標的化される場合、この膜透過性配列はその細胞種に内在するシグナルペプチドに基づいたものであることが好ましい。別の実施形態では、膜透過性配列はウイルスタンパク質(例えば、ヘルペスウイルスタンパク質VP22)もしくはそのフラグメントである(例えば、Phelanら, 1998, Nat. Biotechnol. 16:440-3参照)。特定のイントラボディーおよび/または特手の標的細胞種に対して適当な特性を有する膜透過性配列は、各膜透過性配列の、細胞膜を通るイントラボディーの輸送を指示する能力を評価することによって経験的に決定することができる。膜透過性配列の例としては、限定されるものではないが、表7に開示されいている配列が挙げられる。
Figure 2008518023
別の実施形態では、膜透過性配列は誘導体であってもよい。この実施形態では、膜透過性配列のアミノ酸配列は、アミノ酸残基の置換、欠失、付加、および/または修飾の導入によって変更されている。例えば、限定されるものではないが、ポリペプチドは、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との連結などによって修飾することができる。膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、限定されるものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする当業者に公知の技術を用いた化学修飾により修飾してもよい。さらに、膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、1以上の非標準アミノ酸を含んでもよい。一実施形態では、ポリペプチド誘導体は、変更されていないポリペプチドと類似または同一の機能を有する。別の実施形態では、膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、変更されていないポリペプチドと比べて変更された活性を有する。例えば、誘導体膜透過性配列ポリペプチドは、細胞膜を通ってより効率的に輸送できるか、またはタンパク質分解に対して耐性が高い。
膜透過性配列は、いくつかの方法でイントラボディーと結合させることができる。一実施形態では、膜透過性配列とイントラボディーを融合タンパク質として発現させる。この実施形態では、標準的な組換えDNA技術を用い、膜透過性配列をコードする核酸を、イントラボディーをコードする核酸と結合させる(例えば、Rojasら, 1998, Nat. Biotechnol. 16:370-5参照)。さらなる実施形態では、スペーサーペプチドをコードする核酸配列を、膜透過性配列とイントラボディーをコードする核酸の間に配置する。別の実施形態では、膜透過性配列ポリペプチドとイントラボディーポリペプチドを、各々を別に組換え発現させた後に結合させる(例えば、Zhangら, 1998, PNAS 95:9184-9参照)。この実施形態では、これらのポリペプチドは、当技術分野で標準的な方法により、ペプチド結合または非ペプチド結合(例えば、グルタルアルデヒドなどの架橋試薬またはチアゾリジノ結合を用いる、例えば、Hawiger, 1999, Curr. Opin. Chem. Biol. 3:89-94参照)により連結することができる。
膜透過性配列イントラボディーポリペプチドの投与は、非経口投与により、例えば、標的細胞を含む組織もしくは器官に供給する血管を通じた局所灌流を含む静注により、またはエアゾール吸入、皮下もしくは筋肉内注射、皮膚創傷もしくは病変などへの局所投与、例えば移植用に調製された骨髄細胞への直接トランスフェクション、および被験体への皮下移植、ならびに器官への直接トランスフェクションとその後の被験体への移植により行うことができる。さらなる投与法としては、特に複合体がカプセル化されている場合には経口投与、または特に複合体が坐剤形である場合には直腸投与が挙げられる。製薬上許容される担体としては、生物学上またはその他の点で望ましくないものではないいずれの材料も含み、すなわち、その材料はそれが含まれる医薬組成物の他の成分のいずれとも望ましくない生物学的作用を引き起こさない、または有害な相互作用をしない選択された複合体とともに個体に投与され得る。
膜透過性配列イントラボディーポリペプチドの投与の条件は、当技術分野の教示から容易に決定することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, E. W. Martin (編), Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1990)参照)。in vivoにおいて特定の細胞種が標的とされる場合には、例えば、器官または腫瘍の局所灌流により、標的組織から細胞の生検を採取し、in vivoでの投与を至適化するため、濃度および時間を含む、その組織への複合体の輸送のための至適用量を決定することができる。あるいは、同じ細胞種の培養細胞をを用いて、in vivo における標的細胞に対する用量を至適化することもできる。
治療薬としてのイントラボディー遺伝子療法
別の実施形態では、イントラボディーをコードするポリヌクレオチドが患者に投与される(例えば、遺伝子療法において)。この実施形態では、第6.4.1節に記載の方法を用いて、本発明のポリヌクレオチドを投与することができる。
5.1.1.1.2 抗体 コンジュゲート
本発明は、異種タンパク質またはポリペプチド(またはそのフラグメント、例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90もしくは少なくとも100アミノ酸のポリペプチド)と組換え的に融合され、または化学的にコンジュゲート(共有結合または非共有結合の双方を含む)されて融合タンパク質を形成しているEph/Ephrinモジュレーター(例えば、Eph受容体および/またはEphrinと特異的に結合する、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)抗体またはそのフラグメント)の使用を包含する。例えば、抗体を用い、抗体と特定の細胞表面受容体に特異的な抗体を融合またはコンジュゲートさせることにより、in vitroまたはin vivoのいずれかで、異種ポリペプチドに特定の細胞種を標的とさせることができる。異種ポリペプチドと融合またはコンジュゲートされた抗体はまた、当技術分野で公知の方法を用い、in vitroイムノアッセイおよび精製方法に使用することもできる。例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、国際公開第93/21232号; 欧州特許第439,095号; Naramuraら, 1994, Immunol. Lett. 39:91-99; U.S. Patent 5,474,981; Gilliesら, 1992, PNAS 89:1428-1432;およびFellら, 1991, J. Immunol. 146:2446-2452参照。特定の実施形態では、本発明の方法によって予防、治療、管理または改善される疾患は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患である。
本発明はさらに、抗体フラグメントと融合またはコンジュゲートされた異種ポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、この異種ポリペプチドは、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメントと融合またはコンジュゲートされてもよい。タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを抗体または抗体フラグメントと融合またはコンジュゲートさせる方法は当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、および同第5,112,946号; 欧州特許第307,434号および同第367,166号; 国際公開第96/04388号および同第91/06570号; Ashkenaziら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539; Zhengら, 1995, J. Immunol. 154:5590-5600; およびVilら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341参照(これらの参照文献は、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。
例えば、本発明のEph/Ephrinモジュレーターのいずれかのさらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(「DNAシャッフリング」として総称される)の技術によって作製することができる。DNAシャッフリングは、本発明の抗体またはそのフラグメントの活性を変更するために使用することができる(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体またはそのフラグメント)。一般に、米国特許第5,605,793号; 同第5,811,238号; 同第5,830,721号; 同第5,834,252号; および同第5,837,458、ならびにPattenら, 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33; Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16:76; Hansson,ら, 1999, J. Mol. Biol. 287:265; およびLorenzo and Blasco, 1998, BioTechnology 24:308(これらの特許および刊行物は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照。抗体もしくはそのフラグメント、またはコードされる抗体もしくはそのフラグメントは、エラープローンPCR(error-prone PCR)、ランダムヌクレオチド挿入、または組換えに先立つ他の方法による無作為な突然変異誘発を受けることにより変更され得る。抗体、またはその部分がEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)および/またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)と特異的に結合する抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドの1以上の部分は、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなど組換えてもよい。
さらに、抗体またはそのフラグメントを、精製を助けるため、ペプチドなどのマーカー配列と融合させることもできる。ある特定の実施形態では、このマーカーアミノ酸配列は、多くが市販されている他のものの中でも、pQEベクター(QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)において提供されているタグなどのヘキサヒスチジンペプチドがある。Gentzら, 1989, PNAS 86:821に記載されているように、例えば、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の便宜な精製を提供する。限定されるものではないが、精製に有用な他のペプチドタグとして、インフルエンザ血球凝集素タンパク質由来のエピトープに相当する血球凝集素「HA」タグ(Wilsonら, 1984, Cell 37:767)、および「flag」タグが挙げられる。
他の実施形態では、本発明の抗体またはフラグメントまたはその変異体は、診断薬またが検出薬とコンジュゲートされる。このような抗体は、特定の療法の有効性を判定するなどの、臨床試験法の一部として、癌の発症または進行を監視または予後予測するのに有用であり得る。さらに、このような抗体は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の発症または進行を監視または予後予測するのに有用であり得る。特定の実施形態では、本発明のEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)抗体またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)抗体は、診断薬または検出薬とコンジュゲートされる。
このような診断および検出は、限定されるものではないが、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;限定されるものではないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;限定されるものではないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンなどの蛍光物質;限定されるものではないが、ルミノールなどの発光物質;限定されるものではないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどの生物発光物質;限定されるものではないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタニウム(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテミウム(ruthemium)(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)などの放射性物質;様々な陽電子放射断層撮影法を用いる陽電子放射金属、および非放射性常磁性金属イオンを含む検出可能な物質と抗体を結合させることにより達成することができる。
本発明はさらに、予防薬または治療薬とコンジュゲートされた抗体またはそのフラグメントの使用も包含する。これらのコンジュゲートの限定されない例は、2005年9月7日出願の米国仮特許出願第60/714,362号、米国特許出願第2005/0180972 A1号、および米国特許出願第2005/0123536 A1号に開示されている(これらは各々、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。抗体またはそのフラグメントは、細胞毒、例えば、細胞増殖抑制または細胞破壊剤などの治療部分、治療薬または放射性金属イオン、例えば、α-放射体とコンジュゲートされてもよい。細胞毒または細胞傷害性薬剤は、細胞に有害ないずれの薬剤も含む。治療部分としては、限定されるものではないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン);アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)、およびシスプラチン);アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前には、ダウノマイシン)およびドキソルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前には、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC));オーリスタチン分子(例えば、オーリスタチンE、オーリスタチンF、オーリスタチンPHE、MMAE、MMAF、ブリオスタチン1、およびソラスタチン10(Woykeら, Antimicrob. Agents Chemother. 46:3802-8 (2002), Woykeら, Antimicrob. Agents Chemother. 45:3580-4 (2001), Mohammadら, Anticancer Drugs 12:735-40 (2001), Wallら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:76-80 (1999), Mohammadら, Int. J. Oncol. 15:367-72 (1999)参照、これらは全て、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる);ホルモン(例えば、グルココルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲン、およびエストロゲン)、DNA修復酵素阻害剤(例えば、エトポシドまたはトポテカン)、キナーゼ阻害剤(例えば、化合物ST1571、メシル酸イマチニブ(Kantarjianら, Clin Cancer Res. 8(7):2167-76 (2002));細胞傷害性薬剤(例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンおよびそれらの類似体または同族体、および米国特許第6,245,759号、同第6,399,633号、同第6,383,790号、同第6,335,156号、同第6,271,242号、同第6,242,196号、同第6,218,410号、同第6,218,372号、同第6,057,300号、同第6,034,053号、同第5,985,877号、同第5,958,769号、同第5,925,376号、同第5,922,844号、同第5,911,995号、同第5,872,223号、同第5,863,904号、同第5,840,745号、同第5,728,868号、同第5,648,239号、同第5,587,459号に開示されている化合物);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、R115777、BMS-214662、ならびに例えば米国特許第6,458,935号、同第6,451,812号、同第6,440,974号、同第6,436,960号、同第6,432,959号、同第6,420,387号、同第6,414,145号、同第6,410,541号、同第6,410,539号、同第6,403,581号、同第6,399,615号、同第6,387,905号、同第6,372,747号、同第6,369,034号、同第6,362,188号、同第6,342,765号、同第6,342,487号、同第6,300,501号、同第6,268,363号、同第6,265,422号、同第6,248,756号、同第6,239,140号、同第6,232,338号、同第6,228,865号、同第6,228,856号、同第6,225,322号、同第6,218,406号、同第6,211,193号、同第6,187,786号、同第6,169,096号、同第6,159,984号、同第6,143,766号、同第6,133,303号、同第6,127,366号、同第6,124,465号、同第6,124,295号、同第6,103,723号、同第6,093,737号、同第6,090,948号、同第6,080,870号、同第6,077,853号、同第6,071,935号、同第6,066,738号、同第6,063,930号、同第6,054,466号、同第6,051,582号、同第6,051,574号、および同第6,040,305号に開示されているもの);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン;イリノテカン;SN-38;トポテカン;9-アミノカンプトテシン;GG-211 (GI 147211);DX-8951f;IST-622;ルビテカン;ピラゾロアクリジン;XR-5000;サイントピン(saintopin);UCE6;UCE1022;TAN-1518A;TAN-1518B;KT6006;KT6528;ED-110;NB-506;ED-110;NB-506;およびレベッカマイシン);ブルガレイン(bulgarein);Hoescht色素33342およびHoechst色素33258などのDNA副溝結合剤;ニチジン;ファガロニン(fagaronine);エピベルベリン(epiberberine);コラリン(coralyne);β-ラパコン;BC-4-1;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、シマドロンテ(cimadronte)、クロドロネート、チルドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート、オルパンドロネート(olpandronate)、リセドロネート、ピリドロネート(piridronate)、パミドロネート、ゾレンドロネート);HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、セリバスタチン、レスコール、ルピトール、ロスバスタチンおよびアトルバスタチン);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,277,832号、同第5,998,596号、同第5,885,834号、同第5,734,033号、および同第5,618,709号に開示されているもの);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、リン酸フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシン);イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、ならびにその製薬上許容される塩、溶媒和物、包接体、およびプロドラッグが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターにコンジュゲートされる予防薬または治療薬は標的細胞(例えば、Eph受容体またはEphrin発現細胞)に対して細胞傷害性はない。
さらに、抗体は、放射性金属イオン(放射性物質の例としては上記を参照)をコンジュゲートするのに有用な放射性物質または大環状キレート剤などの治療部分とコンジュゲートさせることもできる。ある特定の実施形態では、この大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体と結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N, N’, N’’, N’’-四酢酸(DOTA)である。このようなリンカー分子は一般に当技術分野で公知であり、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Denardoら, 1998, Clin Cancer Res. 4:2483-90; Petersonら, 1999, Bioconjug. Chem. 10:553; およびZimmermanら, 1999, Nucl. Med. Biol. 26:943-50に記載されている。
さらに、抗体またはそのフラグメントは、所与の生物学的応答を改変する予防部分もしくは治療部分または薬物部分とコンジュゲートさせてもよい。治療部分または薬物部分は、従来の化学治療薬に限定されるものではない。例えば、薬物成分は、所望の生物活性を有するタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラ毒、もしくはジフテリア毒などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス剤、例えば、TNF-α、TNF-β、AIM I(国際公開第97/33899号参照)、AIM II(国際公開第97/34911号参照)、Fasリガンド(Takahashiら, 1994, J. Immunol., 6:1567-1574)、およびVEGF(国際公開第99/23105号参照)、抗脈管形成剤、例えば、アンジオスタチン、エンドスタチンもしくは凝固経路の成分(例えば、組織因子)などのタンパク質;または例えば、リンホカイン(例えば、インターフェロンγ(「IFN-γ」)、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-5 (「IL-5」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、インターロイキン(interleuking)-7(「IL-7」)、インターロイキン-10(「IL-10」)、インターロイキン-12(「IL-12」)、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-23(「IL-23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)などの生物反応修飾物質、または増殖因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))、または凝固剤(例えば、カルシウム、ビタミンK、限定されるものではないが、Hageman因子(因子XII)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質因子II(プロトロンビン)、因子V、XIIa、VIII、XIIIa、XI、XIa、IX、IXa、X、フィブリノーゲンのα鎖およびβ鎖由来のリン脂質フィブリノペプチドAおよびB、フィブリンモノマーなどの組織因子)が挙げられる。特定の実施形態では、IL-9ポリペプチドと特異的に結合する抗体がロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、およびジレウトン(zyleuton))とコンジュゲートされる。
さらに、抗体を、限定されるものではないが、131In、131L、131Y、131Ho、131Smをはじめとする放射性金属イオンをポリペプチドまたは前掲のもののいずれかとコンジュゲートするのに有用な、213Biなどのα線放射体などの放射性金属イオンまたは大環状キレート剤といった予防部分または治療部分とコンジュゲートさせることができる。ある特定の実施形態では、この大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体と結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N, N’, N’’, N’’-四酢酸(DOTA)である。このようなリンカー分子は一般に当技術分野で公知であり、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Denardoら, 1998, Clin Cancer Res. 4:2483-90; Petersonら, 1999, Bioconjug. Chem. 10:553; およびZimmermanら, 1999, Nucl. Med. Biol. 26:943-50に記載されている。
別の実施形態では、抗体はリポソームと融合またはコンジュゲートさせることができ、これらのリポソームは予防薬または治療薬をカプセル化するために使用される(例えば、Parkら, 1997, Can. Lett. 118:153-160; Lopes de Menezesら, 1998, Can. Res. 58:3320-30; Tsengら, 1999, Int. J. Can. 80:723-30; Crosassoら, 1997, J. Pharm. Sci. 86:832-9参照)。さらなる実施形態では、リポソームの薬物動態およびクリアランスが、PEGの脂質誘導体をリポソーム製剤に配合することにより改善される(例えば、Allenら, 1991, Biochem Biophys Acta 1068:133-41; Huwylerら, 1997, J. Pharmacol. Exp. Ther. 282:1541-6参照)。
予防部分または治療部分を抗体とコンジュゲートさせるための技術は周知である。このような部分は、限定されるものではないが、アルデヒド/シッフ結合、スルヒドリル結合、酸不安定性結合、シス-アコニチル結合、ヒドラゾン結合、酵素分解性結合をはじめとする、当技術分野で公知のいずれかの方法によって抗体とコンジュゲートさせることができる一般に、Garnett, 2002, Adv. Drug Deliv. Rev. 53:171-216参照)。予防部分または治療部分と抗体をコンジュゲートさせるためのその他の技術も周知である。例えば、Arnonら, “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeldら(編), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstromら, “Antibodies For Drug Delivery,” in Controlled Drug Delivery (第2版), Robinsonら(編), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,” in Monoclonal Antibodies ‘84: Biological And Clinical Applications, Pincheraら(編), pp. 475-506 (1985); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibodies In Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら(編), pp. 303-16 (Academic Press 1985)、およびThorpeら, 1982, Immunol. Rev. 62:119-58参照。抗体をポリペプチド部分と融合またはコンジュゲートさせるための方法は当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、および同第5,112,946号;欧州特許第307,434号;同第367,166号; 国際公開第96/04388号および同第91/06570号; Ashkenaziら, 1991, PNAS 88: 10535-10539; Zhengら, 1995, J. Immunol. 154:5590-5600; and Vilら, 1992, PNAS 89:11337- 11341参照。抗体と部分との融合は必ずしも直接的なものである必要はなく、リンカー配列を介して行ってもよい。このようなリンカー分子は一般に当技術分野で公知であり、各参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Denardoら, 1998, Clin Cancer Res. 4:2483-90; Petersonら, 1999, Bioconjug. Chem. 10:553; Zimmermanら, 1999, Nucl. Med. Biol. 26:943-50; Garnett, 2002, Adv. Drug Deliv. Rev. 53:171-216に記載されている。
遊離型の薬剤に比べて、コンジュゲート薬剤の相対的有効性は、多くの因子によって異なる例えば、抗体-薬剤の細胞への取り込み速度(例えば、エンドサイトーシスによる)、抗体からの薬剤の放出速度/放出効率、細胞からの薬剤の輸送速度などは全て、薬剤の作用に影響を及ぼし得る。薬剤の標的化送達に用いられる抗体は、当技術分野で公知のいずれかの方法により、関連の細胞種(すなわち、治療される疾患に関連する細胞種)による被エンドサイトーシス能をアッセイすることができる。さらに、薬剤と抗体をコンジュゲートさせるのに用いられる結合のタイプは、標的細胞内の薬剤作用が妨げられないような、当技術分野で公知のいずれかの方法によってアッセイしなければならない。
あるいは、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第4,676,980号でSegalが記載しているように、抗体は第2の抗体とコンジュゲートさせて抗体ヘテロコンジュゲートを形成することもできる。
本発明のEph/Ephrinモジュレーター(例えば、それぞれ、Eph受容体、またはEph受容体またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合するEphrin抗体)とコンジュゲートされた予防部分もしくは治療部分または薬物は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療、管理または予防のために所望される予防作用または治療作用を達成するように選択すべきである。臨床医またはその他の医師は、どの治療部分または薬物を、Eph受容体またはEphrinポリペプチドもしくはそのフラグメントと特異的に結合する抗体とコンジュゲートさせるかを判断する場合に、次のことがらを考慮しなければならない:疾病の性質、疾病の重篤度、および被験体の状態。
抗体はまた、イムノアッセイまたは標的抗原の精製に特に有用な固相支持体と結合させてもよい。このような固相支持体としては、限定されるものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
あるいは、上記の方法のいずれかを用いて、Eph受容体および/またはEphrin融合タンパク質であるEph/Ephrinモジュレーターを作製してもよい(下記第6.1.2節参照)。5.1.1.1.3 多重特異性抗体
本発明の特定の実施形態では、1つ、またはより好ましくは、2つ、3つ、4つもしくは5つのEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)、および/またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)と同時に結合して、Eph受容体および/またはEphrin発現(例えば、転写レベル、転写後レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルでの)および/または活性に作働作用または拮抗作用を及ぼし得る多重特異性抗体が提供される。特定の実施形態では、本発明のタンパク質は、1以上の異種タンパク質またはペプチド(またはそのフラグメント、例えば、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも90個または少なくとも100個のアミノ酸のポリペプチド)とコンジュゲートさせて、複合タンパク質を作出することができる。特に、本発明は、本明細書に記載の抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、scFv、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)と1以上の異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドとを含むタンパク質コンジュゲートを提供する。タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを抗体または抗体フラグメントとコンジュゲートさせる方法は当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、および同第5,112,946号;欧州特許第307,434号および同第367,166号;国際公開第96/04388号および同第91/06570号; Ashkenaziら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539; Zhengら, 1995, J. Immunol. 154:5590-5600; およびVilら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341(これらの参照文献は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照。
5.1.1.1.4 BiTE分子
特定の実施形態では、本発明の方法で用いるための抗体は、二重特異性T細胞結合体(bispecfic T cells engagers, BiTE)である。二重特異性T細胞結合体(BiTE)は、T細胞を標的の抗原特異的排除に向け直すことができる二重特異性抗体である。BiTE分子は、分子の一方の末端においてT細胞抗原(例えば、CD3)と結合する抗原結合ドメインと、標的細胞上の抗原と結合する抗原結合ドメインを有する。BiTE分子は、最近、参照により本明細書に組み入れられる国際公開第99/54440号に記載されたものである。この公報には、CD19抗原とCD3抗原(CD19xCD3)に対する結合部位を含む、新規な単鎖多官能性ポリペプチドが記載されている。この分子は2つの抗体に由来し、1つの抗体はB細胞上のCD19と結合し、もう1つの抗体はT細胞上のCD3と結合する。これらの異なる抗体の可変領域はポリペプチド配列により連結され、1つの分子ができる。また、重鎖(VH)可変ドメインと軽鎖(VL)可変ドメインを、フレキシブルリンカーを用いて連結し、単鎖二重特異性抗体を作出することも記載されている。
本発明の一実施形態では、対象ポリペプチド(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)と特異的に結合する抗体またはリガンドが、BiTE分子の一部を含む。例えば、対象ポリペプチド(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)と特異的に結合するVHおよび/またはVL(例えば、scFV)を、上記分子のものなどの抗CD3結合部分と融合させて、対象ポリペプチド(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)を標的とするBiTE分子を作出することができる。対象ポリペプチド(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)と結合する他の分子は、対象ポリペプチド(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)に対する抗体の重鎖および/または軽鎖可変ドメインの他、BiTE分子、例えば、受容体(例えば、Eph受容体および/またはEphrin)を含み得る。別の実施形態では、BiTE分子は、他のT細胞抗原(CD3以外)と結合する分子を含み得る。例えば、CD2、CD4、CD8、CD11a、TCR、およびCD28のようなT細胞抗原と特異的に結合するリガンドおよび/または抗体も本発明の一部であると考えられる。この一覧は網羅を意味するものではなく、単に、T細胞抗原と特異的に結合し得る他の分子がBiTE分子の一部として使用可能であることを示すものである。これらの分子としては、抗体または天然リガンド(例えば、LFA3、その天然リガンドはCD3である)のVHおよび/またはVL部分を含み得る。
5.1.1.1.5抗体の作製方法
抗原と特異的に結合する抗体は、抗体合成のための当技術分野で公知のいずれかの方法により、特に、化学合成により、または好ましくは、組換え発現技術により、作製することができる。
抗原に特異的なポリクローナル抗体は、当技術分野で公知の様々な手順により作製することができる。例えば、ヒト抗原を、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットをはじめとする様々な宿主動物に投与し、そのヒト抗原に特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の産生を誘導することができる。宿主種に応じて様々なアジュバントを用いて免疫応答を増大することができ、限定されるものではないが、フロイントの(完全または不完全)アジュバント、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル、リゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(bacille Calmette-Guerin)およびコリネバクテリウム・パルブム(corynebacterium parvum)などの有用である可能性のあるヒトアジュバントが挙げられる。このようなアジュバントも当技術分野で周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え体、およびファージディスプレー技術、またはそれらの組合せの使用を含む当技術分野で公知の多様な技術を用いて作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の、また、例えば、Harlowら, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版, 1988); Hammerlingら, in: Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas 563 681 (Elsevier, N.Y., 1981)(これらの参照文献は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)で教示されるものをはじめとするハイブリドーマ技術を用いて作製することができる。本明細書において「モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術によって作製されるものに限定されない。「モノクローナル抗体」とは、真核生物クローン、原核生物クローン、またはファージクローンをはじめとする単一のクローンに由来する抗体を表すのであって、それが作製される方法を表すのではない。
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を作製およびスクリーニングする方法は慣例のものであり、当技術分野では周知である。要するに、マウスを非ネズミ抗原に感作させ、免疫応答が検出されたところで、例えば、その抗原に特異的な抗体がマウス血清中に検出されたところで、マウスの脾臓を採取し、脾細胞を単離する。次に、これらの脾細胞を、周知の技術により好適な骨髄腫細胞、例えば、ATCCから入手可能な細胞系統SP20由来の細胞と融合させる。ハイブリドーマは制限希釈法により選択およびクローニングする。次に、これらのハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドと結合し得る抗体を分泌する細胞に関して、当技術分野で公知の方法によってアッセイする。マウスを陽性ハイブリドーマクローンに感作させることにより、一般に高レベルの抗体を含有する腹水を作製することができる。
本発明は、モノクローナル抗体を作製する方法、ならびに本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養すること(なお、このハイブリドーマは、非ネズミ抗原を感作させたマウスから単離された脾細胞と骨髄腫細胞とを融合することにより作製される)、次に、この融合から得られたハイブリドーマをその抗原と結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンに関してスクリーニングすることを含む方法によって作製される抗体を提供する。
特異的な特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、当業者に公知のいずれの技術によって作製してもよい。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントの作製のため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントの作製のため)などの酵素を用い、免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断によって作製することができる。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体はまた、当技術分野で公知の様々なファージディスプレー法を用いて作製することもできる。
特性(例えば、親和性)が変更されたモノクローナル抗体を作製するための抗体操作は、当技術分野で周知である(例えば、McCarthyら, 2001, J Imm Meth. 251:137-149, Beiboerら, 2000, J Mol Biol., 296:833-849, Mohanら, 2003, Biophys J., 85:3221-3236, Diamondら, 1984, PNAS, 81:5841-5844, Sinhaら, 2002, Biophys J., 83:2946-2968, Davies and Cohen, 1996, PNAS, 93:7-12, Cauerhffら, 2004, PNAS, 101(10):3539-3544, Vasudevanら, 2004, Blood Cells Mol Dis. 32:176-181, およびZebedeeら, 1992, PNAS, 89:3175-3179参照)。本発明は、当業者が、ライブラリーに基づく親和性成熟アプローチを用いて、受容体チロシンキナーゼファミリー内の異なるメンバーに対する所与の抗体(例えば、pan特異的抗体)の特異性を改変することができる方法を記載する。受容体チロシンキナーゼファミリーのファミリーまたはクラスの例、およびファミリーまたはクラスのメンバーは、本発明の図19A〜Dに開示されている。所与の抗体の特異性は、所望の治療的または診断的要件を満たすよう改変されると考えられる。本発明の一実施形態では、受容体チロシンキナーゼファミリー内の少なくとも2つのメンバーと特異的に結合するpan特異的抗体の特異性を改変する方法が提供され、その法は、前記pan特異的のCDRの各アミノ酸を無作為抽出すること;無作為抽出されたCDRを含むライブラリーを作製すること;前記ライブラリーを所望の受容体に対する親和性が増大または低減されたクローンに関してスクリーニングすることを含む。
一実施形態では、pan特異性は、受容体の受容体チロシンキナーゼファミリーに対するものである。特定の実施形態では、受容体チロシンキナーゼファミリーは、受容体チロシンキナーゼクラスのクラスI、クラスII、クラスIII、クラスIV、クラスV、クラスVI、クラスVII、クラスVIII、クラスIX、クラスX、クラスXI、クラスXII、クラスXIII、クラスXIV、クラスXV、クラスXVI、クラスXVII、クラスXVIII、およびクラスXIXメンバーからなる群から選択される。さらなる特定の実施形態では、pan特異性は受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーに対するものであり、このメンバーは受容体のEphファミリーである。別の特定の実施形態では、ライブラリーは真核生物のライブラリーである。さらなる特定の実施形態では、ライブラリーは原核生物のライブラリーである。特定の実施形態では、ライブラリーは発現ライブラリーである。別の特定の実施形態では、ライブラリーはディスプレーライブラリーである。さらに別の特定の実施形態では、ライブラリーはファージディスプレーライブラリーである。さらなる特定の実施形態では、pan特異性は受容体のEphAファミリーのメンバーに対するものである。なおさらなる特定の実施形態では、pan特異性は受容体のEphBファミリーのメンバーに対するものである。
一実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも7つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも8つのメンバーと特異的に結合する。さらに別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも9つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも10のメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも11のメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも12のメンバーと特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも13のメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも14のメンバーと特異的に結合する。さらに別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも15のメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの少なくとも16のメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、Eph受容体ファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する。
別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも1つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも7つのメンバーと特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも8つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの少なくとも9つのメンバーと特異的に結合する。さらに別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphAファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する。
さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも1つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する。なおさらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する。別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する。さらに別の実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する。さらなる実施形態では、pan特異的抗体は、受容体のEphBファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する。
本明細書において上記したように、所望の抗体親和性をスクリーニングするするには、いくつかの異なる方法を使用することができる。ファージディスプレー法では、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面に機能的抗体ドメインが提示される。特に、VHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物cDNAライブラリー(例えば、罹患組織のヒトまたはネズミcDNAライブラリー)から増幅する。VHドメインおよびVLドメインをコードするDNAをPCRによりscFvリンカーとともに組換え、ファージミドベクターにクローニングする。このベクターを大腸菌(E. coli)にエレクトロポレーションし、その大腸菌にヘルパーファージを感染させる。これらの方法で用いられるファージは、一般に、fdおよびM13をはじめとする繊維状ファージであり、VHドメインおよびVLドメインを、通常は、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換え融合させる。特定の抗原と結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば、標識抗原、または固相表面もしくはビーズに結合させた、もしくは捕捉させた抗原を用い、抗原によって選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するために使用可能なファージディスプレー法の例としては、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Brinkmanら, 1995, J. Immunol. Methods 182:41-50; Amesら, 1995, J. Immunol. Methods 184:177-186; Kettleboroughら, 1994, Eur. J. Immunol. 24:952-958; Persicら, 1997, Gene 187:9-18; Burtonら, 1994, Advances in Immunology 57:191-280; 国際公開第PCT/GB91/O1 134号; 国際公開第90/02809号, 同第91/10737号, 同第92/01047号, 同第92/18619号, 同第93/11236号, 同第95/15982号, 同第95/20401号, および同第97/13844号; ならびに米国特許第5,698,426号, 同第5,223,409号, 同第5,403,484号, 同第5,580,717号, 同第5,427,908号, 同第5,750,753号, 同第5,821,047号, 同第5,571,698号, 同第5,427,908号, 同第5,516,637号, 同第5,780,225号, 同第5,658,727号, 同第5,733,743号および同第5,969,108号に開示されるものが挙げられる。
上記の参照文献に記載されているように、ファージ選抜の後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、それを用いてヒト抗体をはじめとする完全抗原、または他のいずれかの所望の抗原結合フラグメントを作製し、例えば、下記のように、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌をはじめとするいずれかの所望の宿主内で発現させることができる。PCT公開第92/22324号; Mullinaxら, 1992, BioTechniques 12(6):864-869; Sawaiら, 1995, AJRI 34:26-34; およびBetterら, 1988, Science 240:1041-1043(これらの参照文献は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に開示されているものなど、当技術分野で公知の方法を用い、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え生産する技術を利用することもできる。
完全抗体を作製するためには、VHヌクレオチド配列またはVLヌクレオチド配列、制限部位、およびその制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローンのVH配列またはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を用いれば、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域、例えば、ヒトγ4定常領域を発現するベクターにクローンニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトκまたはλ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。一実施形態では、VHドメインまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインのためのクローニング部位、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHドメインおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングしてもよい。次に、当業者に公知の技術を用い、この重鎖交換ベクターおよび軽鎖交換ベクターを細胞系統に同時トランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定細胞系統または一時的細胞系統を作出する。
ヒトにおける抗体のin vivo使用およびin vitro検出アッセイを含むいくつかの使用では、ヒト化抗体またはキメラ抗体を使用するのが好ましい場合がある。ヒト被験者の治療処置には完全ヒト抗体およびヒト化抗体が特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用い、上記のファージディスプレー法をはじめとする当技術分野で公知の様々な方法によって作製することができる。また、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびに国際公開第98/46645号、同第98/50433号、同第98/24893第、同第98/16654号、同第96/34096号、同第96/33735号、および同第91/10741号も参照。
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて作製することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚幹細胞に無作為に、または相同組換えによって導入することができる。あるいは、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚幹細胞に導入してもよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別に、または導入と同時に非機能型とすることができる。特に、JH領域の同形接合性の欠如により、内因性の抗体産生が避けられる。この改変された胚幹細胞を増殖させ、にマイクロインジェクションすればキメラマウスが作出される。次に、このキメラマウスを交配させて、ヒト抗体を発現する同形接合性の後代を作出する。このトランスジェニックマウスを通常の様式で、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全体または一部に感作させる。この抗原に対するモノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマ技術を用い、感作したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスによって担持されたヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞の分化の過程で再配列され、その後、クラスの切り替えと体細胞突然変異を受ける。従って、このような技術を用いれば、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を作製することができる。ヒト抗体を作製するためのこの技術の総説としては、Lonberg and Huszar, 1995, Int. Rev. Immunol. 13:65 93を参照。ヒト抗体を作製するこの技術、ならびにヒトモノクローナル抗体、およびこのような抗体を作製するプロトコールについての詳細な考察としては、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、国際公開第98/24893号、同第96/34096号、および同第96/33735号;ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、および5,939,598号を参照。さらに、Abgenix, Inc. (Freemont, CA)およびGenpharm (San Jose, CA)などの企業が、上記のものと同様の技術を用い、選択された抗原に対するヒト抗体の提供に従事している。
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来している分子である。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oiら, 1986, BioTechniques 4:214; Gilliesら, 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202; ならびに米国特許第5,807,715号, 同第4,816,567号, 同第4,816,397号, および同第6,311,415号参照。
フレームワーク領域内のフレームワーク残基は、多くの場合、抗原結合を変更、改良または低減するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングおよび特定の部位において通常でないフレームワーク残基を同定するための配列比較により、同定される(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許第5,585,089号; およびRiechmannら, 1988, Nature 332:323参照)。
ヒト化抗体は、所定の抗原と結合することができ、かつ、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDR を含む、抗体またはその変異体もしくはそのフラグメントである。ヒト化抗体は、少なくとも1つの、一般には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、Fv)の実質的に全てを含み、ここでは、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に相当し、フレームワーク領域の全て、または実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である。一実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般にはヒト免疫グロブリンのものも含む。通常、この抗体は、軽鎖、ならびに重鎖の少なくとも可変ドメインの双方を含む。この抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域も含み得る。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEをはじめとする免疫グロブリンのいずれかのクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4をはじめとするいずれかのイソタイプから選択することができる。通常、定常ドメインは補体結合定常ドメインであり、この場合、このヒト化抗体は細胞傷害活性を示すことが望ましく、そのクラスは一般にIgG1である。このような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインはIgG2クラスのものであってもよい。ヒト化抗体は、2以上のクラスまたはイソ型に由来する配列を含んでもよく、所望のエフェクター機能を至適化するように特定の定常領域を選択することは当技術分野では通常の技量の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDR領域は親配列に厳密に対応する必要はなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、その部位のCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサス抗体または輸出抗体のいずれにも相当しないように、少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により突然変異誘発してもよい。しかしながら、このような突然変異は広範囲にわたるものではない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が親フレームワーク配列およびCDR配列の残基に一致し、多くの場合には90%を超える残基、最も好ましくは、95%を超える残基に一致する。ヒト化抗体は、限定されるものではないが、CDRグラフティング(例えば、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、欧州特許第239,400号; 国際公開第91/09967号; ならびに米国特許第5,225,539号, 同第5,530,101号, および5,585,089号参照)、ベニアリングまたはリサーフェーショング(例えば、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、欧州特許第592,106号および同第519,596号; Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnickaら, 1994, Protein Engineering 7(6):805-814; およびRoguskaら, 1994, PNAS 91:969-973参照)、チェーンシャッフリング(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許第 5,565,332号参照)、ならびに例えば、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。米国特許第6,407,213号, 同第5,766,886号, 国際公開第9317105号, Tanら, J. Immunol. 169:1119 25 (2002), Caldasら, Protein Eng. 13(5):353 60 (2000), Moreaら, Methods 20(3):267 79 (2000), Bacaら, J. Biol. Chem. 272(16):10678 84 (1997), Roguskaら, Protein Eng. 9(10):895 904 (1996), Coutoら, Cancer Res. 55 (23 Supp):5973s-5977s (1995), Coutoら, Cancer Res. 55(8):1717 22 (1995), Sandhu JS, Gene 150(2):409 10 (1994), およびPedersenら, J. Mol. Biol. 235(3):959 73 (1994)に開示されている技術をはじめとする、当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。多くの場合、フレームワーク領域内のフレームワーク残基は、抗原結合を変更、改良または低減するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングおよび特定の部位において通常でないフレームワーク残基を同定するための配列比較により、同定される(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Queenら, 米国特許第5,585,089号; およびRiechmannら, 1988, Nature 332:323参照)。
さらに、次に、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)またはそのフラグメントと特異的に結合する抗体を用い、当業者に周知の技術を用い、抗体を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製することもできる(例えば、Greenspan & Bona, 1989, FASEB J. 7(5):437-444; およびNissinoff, 1991, J. Immunol. 147(8):2429-2438参照)。
5.1.1.1.6抗体の組換え発現
本発明の抗体、その誘導体、類似体もしくはフラグメント(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその一部、もしくは本発明の単鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。本発明の抗体の抗体分子または重鎖もしくは軽鎖をコードするポリヌクレオチド、またはまたはその一部(例えば、必ずしも必要ないが、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む)が得られたところで、当技術分野で周知の技術を用いた組換えDNA技術によって、抗体分子の生産のためのベクターを作製することができる。よって、本明細書には、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を生産する方法が記載される。当業者に周知の方法を用い、抗体コード配列と、適当な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが挙げられる。よって、本発明は、プロモーターに作動可能なように連結された、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインまたはその一部、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含んでもよく(例えば、国際公開第86/05807号および同第89/01036号; ならびに米国特許第5,122,464号参照) 、抗体の可変ドメインは、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖と軽鎖の双方の発現のためのこのようなベクターにクローニングすることができる。
この発現ベクターを常法により宿主細胞に導入し、次にそのトランスフェクト細胞を常法により培養して、本発明の抗体を生産する。よって、本発明は、異種プロモーターに作動可能なように連結された、本発明の抗体もしくはそのフラグメント、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその一部、または本発明の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二本鎖抗体の発現のためのある特定の実施形態では、重鎖および軽鎖双方をコードするベクターを、下記に詳述するように、全免疫グロブリン分子の発現のための宿主細胞において同時発現させることができる。
様々な宿主発現ベクター系を用い、本発明の抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号参照)。このような宿主発現系は、対象とするコード配列が産生され、その後、精製可能な伝達体であるが、適当なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされた場合に、in situで本発明の抗体分子を発現し得る細胞でもある。これらのものとしては、限定されるものではないが、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B. subtilis))などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスCaMV;タバコモザイクウイルスTMV)に感染した、または抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Ti プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳類細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳類ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を担持する哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が挙げられる。例えば、特に完全組換え抗体分子の発現のための大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、または真核細胞が、組換え抗体分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中期初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターを伴う場合、抗体の効果的な発現系となる(Foeckingら, 1986, Gene 45:101; およびCockettら, 1990, BioTechnology 8:2)。特定の実施形態では、特異的に結合して促進作用をもたらす、抗体またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモータ
ー、誘導プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって調節される。
細菌系では、発現される抗体分子の意図される使用に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物の製造のために、このようなタンパク質を大量に生産する場合には、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましいものであり得る。このようなベクターとしては、限定されるものではないが、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO 12:1791)、(この場合、抗体コード配列は、融合タンパク質が産生されるように、lac Zコード領域とともにベクターにインフレームでそれぞれ連結させることができる);pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが挙げられる。また、pGEXベクターを用いて、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させてもよい。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオン-アガロースビーズに吸着および結合させた後、遊離グルタチオンの存在下で溶出させることにより、溶解細胞から容易に精製することができる。このpGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出可能なように、トロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むようデザインされる。
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多核体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて外来遺伝子を発現させる。このウイルスはヨトウガ (Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。抗体コード配列をこのウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)にそれぞれクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳類宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、対象とする抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三ツ組(tripartite)リーダー配列に連結させればよい。次に、このキメラ遺伝子をin vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入すればよい。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)へ挿入すれば、生存力があり、かつ、感染宿主において抗体分子の発現が可能な組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, 1984, PNAS 81:3655-3659参照)。特異的挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳には、特定の開始シグナルも必要である場合がある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、この開始コドンは、全インサートの翻訳を保証するために所望のコード配列のリーディングフレームと同位相内になければならない。これらの外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成双方の様々な起源であり得る。発現効率は、適当な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることにより高めることができる(例えば、Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516-544参照)。
さらに、挿入された配列の発現を調節する、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することもできる。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、そのタンパク質の機能にとって重要であり得る。種々の宿主細胞が、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾に特徴的かつ特異的な機構を持っている。発現された外来タンパク質の適正な修飾およびプロセシングを保証するためには、適当な細胞系統または宿主系を選択することができる。この目的で、遺伝子産物の一次転写物、グリコシル化、およびリン酸化の適切なプロセシングのための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。このような哺乳類宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、NS1、and T47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないネズミ骨髄腫細胞系統)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が挙げられる。
組換えタンパク質の長期、高収量生産のためには、安定発現が好ましい。例えば、細胞系統を、抗体分子を安定発現するように操作することができる。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを用いるのではなく、適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNAと選択マーカーで宿主細胞を形質転換させることができる。外来DNAを導入した後、操作細胞を富化培地で1〜2日間増殖させ、その後、選択培地に切り替えればよい。組換えプラスミド内の選択マーカーは選択耐性を付与し、細胞の染色体中にプラスミドを安定して組み込ませ、細胞増殖巣を形成するまで増殖させ、次に、これをクローニングし、増殖させて細胞系統とする。この方法は、抗体分子を発現する細胞系統を操作するために有利に使用することができる。このような操作細胞系統は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。
限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら, 1977, Cell 11:223)、グルタミンシンターゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら, 1980, Cell 22:8-17)をはじめとするいくつかの選択系が使用可能である(それぞれ、tk-、gs-、hgprt-またはaprt-細胞で使用することができる)。また、代謝拮抗物質耐性を以下の遺伝子の選択の基礎として用いることができる:メトトレキサート耐性を付与するdhfr(Wiglerら, 1980, PNAS 77:357; O’Hareら, 1981, PNAS 78:1527);ミコフェノール酸耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg, 1981, PNAS 78:2072);アミノグリコシドG-418耐性を付与するneo(Wu and Wu, 1991, Biotherapy 3:87; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573; Mulligan, 1993, Science 260:926; およびMorgan and Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62: 191; May, 1993, TIB TECH 11:155-);ならびにハイグロマイシン耐性を付与するhygro(Santerreら, 1984, Gene 30:147)。所望の組換えクローンを選択するには、通常、組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法を適用することができ、このような方法は、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Ausubelら(編), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993); Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990); およびChapters 12 and 13, Dracopoliら(編), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY (1994); Colberre-Garapinら, 1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されている。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大可能である(総説としては、Bebbington and Hentschel, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, Vol.3. (Academic Press, New York, 1987)参照)。抗体を発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞培養物中に存在する阻害剤のレベルを高めれば、マーカー遺伝子のコピー数が「増える。増幅された領域は抗体遺伝子と関連しているので、抗体の生産も増加する(Crouseら, 1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、すなわち、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターで同時トランスフェクトしてもよい。これら2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能とする同一の選択マーカーを含んでもよい。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの双方をコードし、かつ、発現することのできる単一のベクターを用いてもよい。このような場合、有毒遊離重鎖が過剰となるのを避けるため、重鎖の前に軽鎖を配置しなければならない(Proudfoot, 1986, Nature 322:52; およびKohler, 1980, PNAS 77:2197)。重鎖および軽鎖のコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
本発明の抗体分子が組換え発現により一度産生されれば、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知のいずれかの方法により、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、特にプロテインA後の特異的抗原に対するアフィニティークロマトグラフィー、およびサイズ分画カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための他の標準的な技術によってこれを精製することができる。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントを、本明細書に記載の、またはそうでなければ精製を補助するための当技術分野で公知の、異種ポリペプチド配列と融合させてもよい。
5.1.2 Eph/Ephrinモジュレーターとしてのアビマー
一実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターはアビマー(Avimer;Avidia, Inc.)である。アビマーは新規な治療タンパク質種であり、ヒト起源で、抗体および抗体フラグメントに無関連であり、いくつかのモジュールの再使用可能な結合ドメインからなり、各4.5kDの分子量の個々の結合ドメインを有し、典型的な範囲としては9kD〜18kDの間の分子量を有し、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性のいずれかを示すようにデザインすることができ、複数のエピトープ同時に高い親和性で結合することができ、nM以下の結合親和性(Kd)および遮断機能(IC50)を有し、グリコシル化されず、かつ、微生物発現により産生することができ、産生の際にクラス挙動を示し、高収量で産生可能であり、皮下注射により送達することができ、優れた組織浸透性を有し、カスタマイズされた薬物動態特性を有し、かつ、動物において非免疫原性である(例えば、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、米国特許出願第2005/0221384号、同第2005/0164301号、同第2005/0053973号、同第2005/0089932号、同第2005/0048512号、および同第2004/0175756号参照)。
5.1.3 Eph/EphrinモジュレーターとしてのEph受容体フラグメントおよびEphrinフラグメント
一実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)ポリペプチドである。この実施形態によれば、ある特定の実施形態において、 Eph受容体フラグメントは、内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)と結合する能力を保持している。一実施形態では、Eph受容体フラグメントは、Ephrinと結合し、内因性のEph受容体が内因性リガンド、例えば、Ephrinと結合しないように阻害する能力を保持している。
Ephフラグメントの非限定例としては、限定されるものではないが、ヒトEphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6(具体的なアミノ酸残基に関しては、前掲の表1を参照)のリガンド結合ドメインと以下のドメイン:第1のIII型フィブロネクチンドメイン;第2のIII型フィブロネクチンドメイン;チロシンキナーゼ触媒ドメイン;および/またはステライル・アルファ・モチーフ「SAM」ドメイン(これらの配列はGenBankデータベースに見られる(前掲の表1参照))のうちいずれか2つ以上を含むEph受容体フラグメントが挙げられる。特定の実施形態では、Eph受容体フラグメントは可溶性(すなわち、非膜結合型)である。特定の実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントはEph受容体(具体的なアミノ酸残基に関しては、前掲の表1を参照)の膜貫通ドメインを欠き、膜結合型ではない。さらなる実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントは、細胞外ドメインまたはその一部を含み、膜貫通ドメインまたはその一部を欠いており、従って、このEph受容体は膜結合型ではない。なおさらなる実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントは、細胞質ドメインまたはEph受容体の細胞質ドメインの一部を含み、膜貫通ドメインまたはその一部を欠いており、従って、このEph受容体は膜結合型ではない。特定の実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントは、ヒトEphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6(具体的なアミノ酸残基に関しては、前掲の表1を参照)の細胞外ドメインの特定のフラグメントを含む。別の特定の実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントはEph受容体の膜貫通ドメインを欠いており、従って、このEph受容体は膜結合型ではない。
Eph受容体フラグメントは、内因性Eph受容体配列(例えば、前掲の表1参照)と100%、98%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%同一であるポリペプチドを含む。2つのアミノ酸配列の同一性%の決定は、BLASTタンパク質検索をはじめとする、当業者に公知のいずれの方法によって行ってもよい。特定の実施形態では、本発明のEph受容体フラグメントは、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6の類似体または誘導体であってもよい。例えば、本発明のEph受容体フラグメントは、すなわち、ポリペプチドにいずれかの分子種を共有結合させることにより修飾された誘導体を含む。例えば、限定されるものではないが、ポリペプチド誘導体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6ポリペプチド誘導体)は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドとの連結などによって修飾されたポリペプチドを含む。多くの化学修飾はいずれも、限定されるものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする公知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は1以上の非必須アミノ酸を含んでもよい。
特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、シグナル伝達に必要な細胞質ドメインまたはその一部を欠く、ドミナントネガティブ型のEph受容体である。特定の実施形態では、ドミナントネガティブ型のEph受容体は内因性リガンド(例えば、Ephrin)との結合能は保持しているが、シグナル伝達能がないか、または低い〜無視できるシグナル伝達しか誘導しないか、またはリガンド-受容体相互作用の際に活性化されるシグナル伝達経路の全てを誘導しない。特定の実施形態では、Eph受容体に関して低い〜無視できるシグナル伝達とは、リガンド結合時のEph受容体シグナル伝達のいずれの態様においても、本明細書に記載の、または当業者に周知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて対照の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の低減を表す。本発明のある特定の態様では、Eph受容体のシグナル伝達は、Eph受容体がその内因性リガンド(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)と結合した際に活性化されるシグナル伝達経路のいずれか1以上を包含する。このようなのシグナル伝達経路の非限定例としては、限定されるものではないが、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)/ERK経路、Ras経路、およびキナーゼのSrcファミリーを含む経路が挙げられる(他のEph受容体経路については、Chengら, 2002, Cytokine & Growth Factor Rev. 13:75-85; Kullander and Klein, 2002, Nature Rev. 3:475-486; Holder and Klein, 1999, Development 126:2033-2044; Zhou, 1998, Pharmacol. Ther. 77:151-181; およびNakamoto and Bergemann, 2002, Microscopy Res. & Technique 59:58-67を参照、これらは全て参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。特定の実施形態では、Eph受容体のシグナル伝達を測定するため、当業者に公知の様々なアッセイを行うことができる。例えば、限定されるものではないが、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)のリン酸化を測定し、Ephrinで処理されていない対照細胞と比較して、Ephrin処理細胞に存在するリン酸化されたEph受容体の量を測定することにより、リガンド結合時にEph受容体のシグナル伝達が活性化されるかどうかを決定することができる。Eph受容体タンパク質は、当業者に公知のタンパク質免疫沈降法と本発明のEph受容体抗体を用いて単離することができる。次に、リン酸化されたEph受容体を、当業者に公知の標準的な免疫ブロット法のいずれかを用い、抗ホスホチロシン抗体(Upstate Tiotechnology, Inc., Lake Placid, New York)を用いて測定することができる。例えば、Chengら, 2002, Cytokine & Growth Factor Rev. 13:75-85参照。別の実施形態では、MAPKのリン酸化を測定し、Ephrinで処理されていない対照細胞と比較して、Ephrin処理細胞に存在するリン酸化されたMAPKの量を、当業者に公知の標準的な免疫沈降および免疫ブロットアッセイを用いて(参照によりそのまま本明細書に組み入れられるMiaoら, 2003, J. Cell Biol. 7:1281-1292参照)測定することにより、リガンド結合時にEph受容体(例えば、EphA2)のシグナル伝達が活性化されるかどうかを決定することができる。
特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinのフラグメント(「Ephrinフラグメント」)である。この実施形態によれば、Ephrinフラグメントは好ましくは、Eph受容体との結合能を保持している。さらなる特定の実施形態では、Ephrinフラグメントは、Eph受容体と結合し、内因性EphrinとEph受容体との結合を阻害する能力を保持している。
Ephrinフラグメントの非限定例としては、限定されるものではないが、GenBankデータベースに開示されいているようなヒトEphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3(例えば、前掲の表2参照)のいずれのフラグメントも含む。特定の実施形態では、Ephrinフラグメントは可溶性(すなわち、非膜結合型)である。特定の実施形態では、本発明のEphrinフラグメントは、ヒトEphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3の細胞外ドメインまたはその一部を含む。さらなる実施形態では、本発明のEphrinフラグメントは、ヒト EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2ものくはEphrinB3の細胞外ドメインまたはその一部を含み、膜結合型ではない。特定の実施形態では、本発明のEphrinフラグメントはヒトEphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3の細胞外ドメインの特定のフラグメントまたはその一部を含み、膜結合型ではない。
これらのEphrinフラグメントは、内因性のEphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3配列(具体的な配列に関しては、前掲の表2を参照)と100%、98%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%同一であるポリペプチドを含む。2つのアミノ酸配列の同一性%の決定は、BLASTタンパク質検索をはじめとする、当業者に公知のいずれの方法によって行ってもよい。特定の実施形態では、本発明のEphrinフラグメントは、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3の類似体または誘導体であり得る。例えば、本発明のEphrinフラグメントとしては、すなわち、ポリペプチドにいずれかの分子種を共有結合させることにより修飾された誘導体を含む。例えば、限定されるものではないが、ポリペプチド誘導体(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3ポリペプチド誘導体)は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドとの連結などによって修飾されたポリペプチドを含む。多くの化学修飾はいずれも、限定されるものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする公知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は1以上の非必須アミノ酸を含んでもよい。
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)融合タンパク質である。一実施形態では、Eph受容体またはEphrin融合タンパク質は可溶性である。Eph受容体融合タンパク質の限定されない例としては、EphA2-Fcなどの可溶型のEph受容体(例えば、EphA2)が挙げられる(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられるChengら, 2002, Mol. Cancer Res. 1:2-11参照)。特定の実施形態では、Eph受容体融合タンパク質は、ヒト免疫グロブリンIgG1のFc部分と融合されたEph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)を含む。別の実施形態では、EphA2融合タンパク質は、ヒト免疫グロブリンIgG1のFc部分と融合された、EphrinA1との結合能を保持するEphA2フラグメント(例えば、EphA2の細胞外ドメイン)を含む(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられるCarles-Kinchら, 2002、Cancer 62:2840-2847; およびChengら, 2002, Mol. Cancer Res. 1:2-11参照)。
Ephrin融合タンパク質の限定されない例としては、可溶型のEphrin(例えば、Ephrin-Fc)が挙げられる。特定の実施形態では、Ephrin融合タンパク質は、ヒト免疫グロブリンIgGのFcドメインと融合されたEphrinを含む。例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられるDuxburyら, 2004, Biochem. & Biophys. Res. Comm. 320:1096-1102参照。別の実施形態では、Ephrin融合タンパク質は、ヒト免疫グロブリンIgGのFcドメインと融合された、Eph受容体との結合能を保持するEphrinフラグメントを含む。
Eph受容体またはEphrinのフラグメントを作製し、本明細書に記載のタンパク質-タンパク質相互作用を研究するための生化学的技術、生物物理学的技術、遺伝学的技術および/またはコンピューター技術を用い、または当技術分野で公知のいずれかの方法により、それぞれEphrinまたはEph受容体との結合能に関してアッセイすることができる。in vitroまたはin vivoにおいて定性的または定量的にタンパク質結合を検出するため(例えば、Eph受容体のEphrinへの結合を検出するため)の方法の限定されない例としては、GST-親和性結合アッセイ、ファーウエスタンブロット解析、表面プラズモン共鳴(SRP)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、蛍光偏光(FP)、等温滴定熱量測定法(ITC)、円偏光二色性(CD)、タンパク質フラグメント相補性検定(protein fragment complementation assay, PCA)、様々なツーハイブリッド系、ならびにコンピューター解析用のScansiteプログラムなどのプロテオミクスおよびバイオインフォマティクスに基づくアプローチが挙げられる(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Fu, H., 2004, Protein-Protein Interactions: Methods and Applications (Humana Press, Totowa, NJ); およびProtein-Protein Interactions: A Molecular Cloning Manual, 2002, Golemis編. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)参照)。
5.1.4 Eph/Ephrinモジュレーターとしての修飾ポリペプチド
本発明の方法で用いられるポリペプチドEph/Ephrinモジュレーター(例えば、抗体、Eph受容体フラグメントおよびEphrinフラグメント)としては、すなわち、ポリペプチドにいずれかの分子種を共有結合させることにより修飾された誘導体を含む。例えば、限定されるものではないが、これらのポリペプチド誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との連結などによって修飾されたポリペプチドが挙げられる。多くの化学修飾はいずれも、限定されるものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などをはじめとする公知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は1以上の非必須アミノ酸を含んでもよい。
本発明の方法はまた、哺乳類、好ましくはヒトにおいて、15日より長い、好ましくは、20日より長い、25日より長い、30日より長い、35日より長い、40日より長い、45日より長い、2か月より長い、3か月より長い、4か月より長い、または5か月より長い半減期(例えば、血清半減期)を有するポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターの使用も包含する。哺乳類、好ましくはヒトにおけるポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターの半減期の長期化の結果、哺乳類におけるこのポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターの濃度がより高くなり、従って、このポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターの投与頻度が少なくなり、かつ/またはこのポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターの投与量が少なくなる。in vivo半減期が長期化されたポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、当業者に公知の技術によって作製することができる。例えば、in vivo半減期が長期化されたポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターは、アミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失または付加)することにより作製することができる。一実施形態において、このポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターが抗体である場合、修飾されるこのようなアミノ酸残基は、FcドメインとFcRn受容体の間の相互作用に関与する残基であり得る(例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、国際特許公開第97/34631号、米国特許出願第2003/0190311 A1号および米国特許出願第2004/0191265 A1号参照)。in vivo半減期が長期化されたポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターはまた、該ポリペプチドに、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を結合させることによって作製することもできる。PEGは該ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターに、該ポリペプチドのN末端もしくはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションによるか、またはリシン残基上に存在するε-アミノ酸によるかのいずれかで、多官能性リンカーを用いて、または用いずに結合させることができる。生物活性の最小限の損失しかもたらさない直鎖または分枝ポリマーの誘導体化が用いられる。PEG分子とポリペプチドEph/Ephri
nモジュレーターとの適正なコンジュゲーションを確保するため、コンジュゲーションの程度をSDS-PAGE および質量分析によって密接に監視する。未反応のPEGは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーにより、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーター-PEGコンジュゲートから分離することができる。
5.1.5 ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターをコードするポリヌクレオチド
本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、上記第6.1.1節〜第6.1.3節に開示されているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドを含む。一実施形態では、本発明の抗体は、本明細書に記載の、または当業者に公知の1以上のアッセイにおいてEph受容体および/またはEphrinの発現および/または活性を調節するモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドから産生されるEph受容体およびEphrinモノクローナル抗体を含む。別の実施形態では、本発明の方法で用いられるEphフラグメントまたはEphrinフラグメントとしては、Eph受容体またはEphrinのフラグメントをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドを含む。ハイブリダイゼーション条件としては、限定されるものではないが、約45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で、フィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせた後、約50〜65℃の0.2X SSC/0.1% SDS中で1回以上洗浄することなどのストリンジェントハイブリダイゼーション条件、約45℃の6X SSC中で、フィルターに結合させたDNAとハイブリダイズさせた後、約60℃の0.1X SSC/0.2% SDS 中で1回以上洗浄するなどの高ストリンジェント条件、または当業者に公知の他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件がある(例えば、Ausubel, F.M.ら編, 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NY, 6.3.1-6.3.6頁および2.10.3頁参照)。
本発明のEph/Ephrinモジュレーターとしては、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本発明の抗体またはEphフラグメントおよびEphrinフラグメント)をコードするポリヌクレオチドは、当業者に公知のいずれの方法によって取得および配列決定してもよい。例えば、本発明の方法で用いられるポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターをコードするポリヌクレオチドは化学合成されたオリゴヌクレオチドから構築してもよく(例えば、Kutmeierら, 1994, BioTechniques 17:242に記載のとおり)、要するに、そのポリペプチドをコードする配列の部分を含む重複オリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いで連結されたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
あるいは、本発明の方法で用いられるポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターをコードするポリヌクレオチドは、好適な供給源の核酸から作製することができる。特定のポリペプチドをコードする核酸を含むクローンが得られないが、そのポリペプチドの配列が既知である場合には、そのポリペプチドをコードする核酸を化学合成するか、または好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または本発明の抗体を発現するものを選択したハイブリドーマ細胞またはEphA2もしくはEphrinA1を発現する上皮および/もしくは内皮細胞などの、所望のポリペプチドを発現するいずれかの組織または細胞から作製されたcDNAライブラリー、またはそれらの組織または細胞から単離された核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から、配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCRにより、または例えば、ポリペプチドEph/EphrinモジュレーターをコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンなどを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いるクローニングにより得ることができる。PCRにより生成した増幅核酸は次に、当技術分野で周知のいずれかの方法を用い、複製可能なクローニングベクターへクローニングすればよい。
本発明の方法で用いられるポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターのヌクレオチド配列が決定されれば、そのヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の操作のための当技術分野で周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら, 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY、およびAusubelら編, 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(双方とも、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載の技術を参照)を用いて操作し、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを作出する、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作出することができる。
ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターをコードするヌクレオチド配列に突然変異を導入するためには、例えば、アミノ酸置換をもたらす、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発を含む、当業者に公知の標準的な技術を使用することができる。一実施形態では、これらの誘導体は、元のEph/Ephrinモジュレーターに対して15未満のアミノ酸の置換、10未満のアミノ酸の置換、5未満のアミノ酸の置換、4未満のアミノ酸の置換、3未満のアミノ酸の置換、2未満のアミノ酸の置換を含む。特定の実施形態では、これらの誘導体は、1以上の推定される非必須アミノ酸残基に保存的アミノ酸置換を有する。
本発明はまた、フレームワークまたは可変領域に突然変異(例えば、1以上のアミノ酸の置換)を有するいずれかのEph受容体またはEphrin抗体のアミノ酸配列を含む抗体または抗体フラグメントの使用も包含する。一実施形態では、これらの抗体における突然変異は、抗体が特異的に結合する特定の抗原に対する抗体のアビジティー(avidity)および/または親和性を維持または増大する。別の実施形態では、これらの抗体における突然変異は、抗体が特異的に結合する特定の抗原に対する抗体のアビジティーおよび/または親和性を減弱または低減する。ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターとその結合パートナーとの間の結合の程度をアッセイするには、当業者に公知の標準的な技術(例えば、イムノアッセイまたはELISAアッセイ)を用いることができる。特定の実施形態では、ポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターが抗体である場合、必要に応じてEph受容体フラグメント、Ephrinフラグメント、Eph受容体融合タンパク質、Ephrin融合タンパク質、ドミナントネガティブ型のEph受容体、またはドミナントネガティブ型のEphrin、Eph受容体またはEphrinとの結合をアッセイすることができる。
5.1.6 ポリヌクレオチドEph/Ephrinモジュレーター
本発明の方法では、本発明のポリペプチドEph/Ephrinモジュレーターに加え、核酸分子を用いることができる。一実施形態では、核酸分子Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体との結合に利用可能な内因性リガンド(例えば、Ephrin)の量を低減する。別の実施形態では、核酸分子Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinとの結合に利用可能なEph受容体の量を低減する。本発明の方法においては、限定されるものではないが、アンチセンス、RNA干渉およびアプタマー技術をはじめ、Eph受容体および/またはEphrinの発現を低減するための当技術分野で公知のいずれの方法を用いてもよい。よって、Eph/Ephrinモジュレーターは、Ephrinの発現またはEph受容体結合の利用度を低減する働きをする薬剤、およびEph受容体の発現または内因性Eph受容体リガンド(例えば、Ephrin)の利用度を低減する働きをする薬剤を包含する。
5.1.6.1 アンチセンス
本発明は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)アンチセンス核酸分子、すなわち、Eph受容体もしくはEphrinをコードするセンス核酸の全体もしくは一部と相補的な分子、二本鎖Eph受容体もしくはEphrin cDNA 分子のコード鎖と相補的な分子、またはEph受容体もしくはEphrin mRNA配列と相補的な分子を包含する(例えば、開示されているGenBankヌクレオチド配列に関しては前掲の表1および2を参照)。ある特定の実施形態では、Eph/EphrinモジュレーターはEphA2アンチセンス核酸分子ではない。
アンチセンス核酸は、センス核酸と水素結合することができる。アンチセンス核酸は全コード鎖、またはその一部のみ、例えば、タンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)の全体または一部と相補的であってよい。アンチセンス核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全体または一部に対してアンチセンスであり得る。非コード領域(「5′および3′非翻訳領域」)は、コード領域をフランキングし、アミノ酸に翻訳されない5′および3′配列である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45 または50ヌクレオチドの長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当技術分野で公知の手順を用い、化学合成および酵素連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増大するよう、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される二重らせんの物理的安定性を増大するようデザインされた様々な修飾ヌクレオチドを用いて化学合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用可能である。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に作製することもできる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、対象とする標的核酸、すなわち、EphrinA1に対してアンチセンス方向となる)。
本発明のアンチセンス核酸分子は一般に被験体に投与されるか、またはin situで生成し、その結果、それらは、選択された本発明のポリペプチドをコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合し、それにより、例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより発現を阻害する。ハイブリダイゼーションは、通常のヌクレオチド相補性により可能であり、二重らせんを形成するか、または例えばDNA二重らせんと結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二本のらせんの主溝における特異的相互作用を介する。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例としては、組織部位への直接注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするように改変した後、全身投与することもできる。例えば、全身投与のためには、アンチセンス分子は、例えば、アンチセンス核酸分子と、細胞表面受容体または抗原と結合するペプチドまたは抗体とを連結することにより、選択された細胞表面で発現される受容体または抗原と特異的に結合するように改変することができる。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載のベクターを用いて細胞に送達することもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するため、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が好ましい。
本発明のアンチセンス核酸分子は、α-アノマー型核酸分子であり得る。α-アノマー型核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、ここでは、通常のβユニットとは対照的に、これらの鎖は互いに平行に走る(Gaultierら, 1987, Nucleic Acids Res. 15:6625)。アンチセンス核酸分子はまた、2’-o-メチルリボヌクレオチド(Inoueら, 1987, Nucleic Acids Res. 15:6131)またはキメラRNA-DNA類似体(Inoueら, 1987, FEBS Lett. 215:327)を含んでいてもよい。
5.1.6.2 RNA干渉
ある特定の実施形態では、RNA干渉(RNAi)分子を用い、Eph受容体および/またはEphrinの発現を低減する。RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)がその固有の配列に対応する遺伝子の発現を抑制する能力として定義される。RNAiはまた、転写後遺伝子サイレンシングまたはPTGSとも呼ばれる。通常細胞の細胞質に見られるRNA分子だけが一本鎖mRNA分子であることから、この細胞は、dsRNAを認識して、21〜25塩基対(およそ二重らせんの2ターン)を含むフラグメントに切断する酵素を有する。このフラグメントのアンチセンス鎖は、内因性細胞mRNA(例えば、ヒトEphrin受容体またはEphrin)の分子上の相補的センス配列とハイブリダイズするのに十分に、センス鎖から離れている。このハイブリダイゼーションは、二本鎖領域におけるmRNAの切断を誘発し、従って、ポリペプチドへと翻訳されるその能力を損なう。よって、特定の遺伝子に対応するdsRNAを導入すると、特定の組織においておよび/または選択された時点で、細胞固有のその遺伝子の発現がノックアウトされる。
二本鎖(ds)RNAを用い、 哺乳類における遺伝子発現と干渉させることができる(参照によりそのまま本明細書に組み入れられるWianny & Zernicka-Goetz, 2000, Nature Cell Biology 2:70-75)。dsRNAは、Ephrin A1のヌル突然変異体と同じ表現型を作出するために、Ephrin A1機能の阻害的RNAまたはRNAiとして用いられる(Wianny & Zernicka-Goetz, 2000, Nature Cell Biology 2: 70-75)。ある特定の実施形態では、細胞内でRNAiが媒介するdsDNAを発現させるために、dsRNAをコードするdsDNA(例えば、ヘアピン構造)が用いられる。
5.1.6.3 Eph/Ephrinモジュレーターとしてのアプタマー
特定の実施形態では、本発明は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5またはEphB6)およびEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2またはEphrinB3)のアプタマーを提供する。当技術分野で公知のように、アプタマーは、特定の分子標的(例えば、本明細書に記載されるようなEph受容体もしくはEphrinタンパク質、Eph受容体もしくはEphrinポリペプチドおよび/またはEph受容体もしくはEphrinエピトープ)と強固に結合する核酸(例えば、RNA、DNA)からなる高分子である。特定のアプタマーは、直鎖ヌクレオチド配列によって表すことができ、一般に約15〜60ヌクレオチドの長さである。アプタマーのヌクレオチド鎖は、分子を複雑な三次元形状に折り畳む分子内相互作用を形成し、この三次元形状により、アプタマーはその標的分子の表面に強固に結合することができる。可能性あるあらゆるヌクレオチド配列の母集団に存在する分子形状の驚くべき多様性を考えれば、アプタマーは、タンパク質および小分子をはじめとする多様な分子標的系列に対して得ることができる。アプタマーは、それらの標的に対して、高い特異性に加えて極めて高い親和性(例えば、タンパク質に対してピコモル〜低ナノモルの親和性)を有する。アプタマーは化学的に安定であり、かつ、活性の損失無く煮沸または冷凍することができる。アプタマーは合成分子であるので、様々な修飾を受けやすく、特定の適用に対してそれらの機能を至適化することができる。in vivo適用では、アプタマーは血中酵素による分解に対する感受性を劇的に低減するよう修飾することができる。さらに、アプタマーの修飾はまた、それらの生体分布または血漿滞留時間を変化させるために用いることもできる。
E ph受容体もしくはEphrinまたはそのフラグメントと結合し得るアプタマーの選択は、当技術分野で公知の方法によって達成することができる。例えば、アプタマーは、SELEX (Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法(参照によりそのまま本明細書に組み入れられるTuerk and Gold, 1990, Science 249:505-510)を用いて選択することができる。SELEX法では、標的分子(例えば、本明細書に記載されるようなEph受容体もしくはEphrinタンパク質、Eph受容体もしくはEphrinポリペプチドおよび/またはEph受容体もしくはEphrinエピトープまたはそのフラグメント)を用いて大きな核酸分子ライブラリー(例えば、1015種類の異なる分子)が作出および/またはスクリーニングされる。標的分子をこのヌクレオチド配列ライブラリーとともに一定時間インキュベートさせる。次に、混合物中の結合していない分子からアプタマー標的分子を物理的に単離するためにいくつかの方法を用いることができ、結合してない分子は排除することができる。次に、標的分子と最高の親和性を有するアプタマーを標的分子から精製し、酵素により増幅させ、標的分子と結合し得るアプタマーが実質的に富化された新たな分子ライブラリーを作出することができる。その後、この富化ライブラリーを用い、選択、分離および増幅の新たなサイクルを開始することができる。この選択、分離および増幅プロセスを5〜15回行った後、ライブラリーは、標的分子と強固に結合する小数のアプタマーにまで絞られる。次に、その混合物中の個々の分子を単離し、それらのヌクレオチド配列を決定し、それらの結合親和性および結合特異性に関する特性を測定および比較することができる。次に、これらの単離されたアプタマーを、標的結合および/またはアプタマー構造に寄与しないヌクレオチドを除去するようさらに精製することができる(すなわち、そのコア結合ドメインとなるように末端切断されたアプタマー)。アプタマー技術に関する総説としては、例えば、Jayasena, 1999, Clin. Chem. 45:1628-1650(その教示は、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照。
特定の実施形態では、本発明のアプタマーは、本発明の抗体に関して記載される結合特異性 および/または機能的活性を有する。よって、例えば、ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の抗体に関して記載されるような同一または類似の結合特異性(例えば、Eph受容体またはEphrinポリペプチド、Eph受容体またはEphrinポリペプチドのフラグメント、脊椎動物Eph受容体またはEphrinポリペプチドのエピトープ領域(例えば、本発明の抗体が結合するEph受容体またはEphrinエピトープ領域に対する結合特異性)を有するアプタマーにより引き出されるものである。特定の実施形態では、本発明のアプタマーはEph受容体またはEphrinポリペプチドと結合し、Eph受容体またはEphrinポリペプチドの1以上の活性を阻害することができる。
5.1.7 Eph/Ephrinモジュレーターであるワクチン
特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体および/またはEphrinワクチンである。本明細書において、「Eph受容体ワクチン」とは、Eph受容体を過剰発現する細胞に対する免疫応答を惹起または媒介するいずれ試薬も表す。ある特定の実施形態では、Eph受容体ワクチンは、本発明のEph受容体抗原ペプチド、Eph受容体抗原ペプチド用の発現ベヒクル(例えば、裸の核酸またはウイルスベクターもしくは細菌ベクターまたは細胞)(例えば、Eph受容体抗原ペプチドを送達する)、または本発明のEph受容体抗原ペプチドでプライミングされたT細胞もしくは抗原提示細胞(例えば、樹状細胞もしくはマクロファージ)である。本明細書において「Eph受容体抗原ペプチド」および「Eph受容体抗原ポリペプチド」とは、Eph受容体ポリペプチド、またはEph受容体の1以上のB細胞エピトープもしくはT細胞エピトープを含むそのフラグメント、類似体もしくは誘導体を表す。Eph受容体ポリペプチドは、いずれの種に由来するものであってもよい。ある特定の実施形態では、Eph受容体ポリペプチドは、Eph受容体の成熟したプロセシング形態を表す。他の実施形態では、Eph受容体ポリペプチドは、Eph受容体の未成熟形態を表す。Eph受容体ワクチンの記述に関しては、例えば、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、“EphA2 Vaccines”と題された2004年3月26日出願の米国仮出願第60/556,601号;“EphA2 Vaccines”と題された2004年8月18日出願の米国仮出願第60/602,588号;“EphA2 Vaccines”と題された2004年10月1日出願の米国仮出願第60/615,548号;“EphA2 Vaccines”と題された2004年10月7日出願の米国仮出願第60/617,564号;および“EphA2 Vaccines”と題された2004年10月15日出願の国際出願第PCT/US2004/034693号参照。
特定の実施形態では、Eph/EphrinモジュレーターはEphrinワクチンである。本明細書において「Ephrinワクチン」とは、Eprhin発現細胞上のEphrinに対する免疫応答を惹起または媒介するいずれの試薬も表す。ある特定の実施形態では、Ephrinワクチンは、本発明のEphrin抗原ペプチド、Ephrin抗原ペプチド用の発現ベヒクル(例えば、裸の核酸またはウイルスベクターもしくは細菌ベクターまたは細胞)(例えば、Ephrin抗原ペプチドを送達する)、または本発明のEphrin抗原ペプチドでプライミングされたT細胞もしくは抗原提示細胞(例えば、樹状細胞もしくはマクロファージ)である。本明細書において「Ephrin抗原ペプチド」および「Ephrin抗原ポリペプチド」とは、Ephrinポリペプチド、またはEphrin の1以上のB細胞エピトープもしくはT細胞エピトープを含むそのフラグメント、類似体もしくは誘導体を表す。Ephrinポリペプチドは、いずれの種に由来するものであってもよい。ある特定の実施形態では、Ephrinポリペプチドは、Ephrinの成熟したプロセシング形態を表す。他の実施形態では、Ephポリペプチドは、Ephrinの未成熟形態を表す。
よって、本発明は、Eph受容体ワクチンであるEph/Ephrinモジュレーターを提供する。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、Eph受容体またはEphrinを過剰発現する細胞に対する細胞性免疫応答、体液性応答、またはその双方を惹起または媒介する、Eph受容体またはEphrin抗原ペプチドを発現する、Eph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルおよび/またはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルである。免疫応答が細胞性免疫応答である場合、それはTc、Th1またはTh2免疫応答であり得る。一実施形態では、免疫応答はTh2細胞性免疫応答である。別の実施形態では、Eph受容体/Ephrin抗原ペプチド発現ベヒクルにより発現されるEph受容体抗原ペプチドまたはEphrin抗原ペプチドは、感染に関与したEph受容体および/またはEphrin発現細胞に対する免疫応答を惹起し得るEph受容体抗原ペプチドまたはEphrin抗原ペプチドである。
特定の実施形態では、Eph受容体抗原発現ベヒクルおよび/またはEphrin抗原発現ベヒクルは、Eph受容体抗原ペプチドおよび/またはEphrin抗原ペプチドを発現する微生物である。別の特定の実施形態では、Eph受容体抗原発現ベヒクルおよび/またはEphrin抗原発現ベヒクルは弱毒化細菌である。本発明に従って発現ベヒクルとして使用可能な細菌の限定されない例としてはリステリア菌(Listeria monocytogenes)を含み、限定されるものではないが、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia Burgdorferi)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、大腸菌(Escherichia coli)、腸管侵入性大腸菌(Escherichia coli)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌種(Shigella spp.)、連鎖球菌種(Streptococcus spp.)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、エンテロコルチカ菌(Yersinia enterocohtica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、鳥結核菌(Mycobacterium avium)、ウシ結核菌(Mycobacterium bovis)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、BCG、ヒトマイコプラズマ(Mycoplasm hominis)、リケッチア・キンタナ(Rickettsiae quintana)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carnii)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、ネオスポラ・カニウム(Neospora caninum)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ブタ肉胞子虫(Sarcocystis suihominis)、トキソプラズマ・ゴンジー(Toxoplasma gondii)、アマゾンリーシュマニア(Leishmania amazonensis)、リーシュマニア・メジャー(Leishmania major)、メキシコ・リーシュマニア(Leishmania mexacana)、レプトモナス・カリオフィルス(Leptomonas karyophilus)、フィトモナス種(Phytomonas spp.)、クルーズトリパノソーマ(Trypanasoma cruzi)、エンセファフトゾーン・クニクリ(Encephahtozoon cuniculi)、ノセム・ヘルミントルム(Nosema helminthorum)、ウニカリヨン・レゲリ(Unikaryon legeri)が挙げられる。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターワクチンは、Eph受容体抗原ペプチドおよび/またはEphrin抗原ペプチドを発現するリステリアベース(Listeria-based)のワクチンである。さらなる実施形態では、このEph受容体抗原ペプチドおよび/またはEphrin抗原ペプチドを発現するリステリアベースのワクチンは弱毒化されている。特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターワクチンはリステリアベースではなく、EphA2ベースでもなく、またはEph受容体ベースでもない。
別の実施形態では、Eph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルおよび/またはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルは、Eph受容体抗原ペプチドおよび/またはEphrin抗原ペプチドを発現するウイルスである。本発明に従って発現ベヒクルとして使用可能なウイルスの限定されない例としては、RNAウイルス(例えば、一本鎖RNAウイルスおよび二本鎖RNAウイルス)、DNAウイルス(例えば、二本鎖DNAウイルス)、エンベロープウイルス、および非エンベロープウイルスが挙げられる。Eph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルおよび/またはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルとして有用なウイルスの他の限定されない例としては、レトロウイルス(限定されるものではないが、レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、または単純ヘルペスウイルスが挙げられる。ヒト被験体への投与に好ましいウイルスは、弱毒ウイルスである。ウイルスは、例えば、ウイルスを紫外線照射もしくは化学突然変異誘発剤などの突然変異誘発剤に曝すこと、複数回継代培養し、かつ/または非許容宿主で継代培養し、かつ/またはウイルスをその毒性および病原性を軽減するよう遺伝的に変更することにより、弱毒化することができる。
微生物は、当業者に周知のいくつかの技術によって作出することができる。例えば、微生物の抗生物質感受性株を選択することができ、微生物を突然変異誘発することができ、毒力因子を欠いた突然変異株を選択することができ、また、細胞壁のリポ多糖類が変更された微生物の新株を構築することができる。ある特定の実施形態では、微生物を、宿主細胞内で微生物の生存を保証する毒力因子、特に、マクロファージおよび好中球、をコードするDNA配列の欠失または破壊により(例えば、相同組換え技術および化学的突然変異誘発またはトランスポゾン突然変異誘発による)弱毒化することができる。これらの研究された毒力因子の、全てではないが多くのものが、マクロファージ内の生存力に関連しており、従って、これらの因子は、例えば酸性化などのストレスによってマクロファージ内で特異的に発現されるか、または特定の宿主細胞応答、例えば、マクロ飲作用の誘導に用いられる(Fieldsら, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:5189-5193)。細菌の毒力因子としては、例えば、サイトリシン;デフェンシン耐性遺伝子座;DNA K;線毛;GroEL;inv遺伝子座;リポタンパク質;LPS;リソソーム融合阻害;マクロファージ生存遺伝子座;酸化ストレス応答遺伝子座;pho遺伝子座(例えば、PhoPおよびPhoQ);pho活性化遺伝子(pag; 例えば、pagBおよびpagC);phoPおよびphoQにより調節される遺伝子(prg);ポーリン(porins);血清耐性ペプチド;毒性プラスミド(spvB、traTおよびty2など)が挙げられる。
微生物の弱毒化のためのさらに別の方法としては、その微生物の毒性を担う微生物の置換基を改変するものがある。例えば、リポ多糖類(LPS)または内毒素は、主として細菌性敗血症の病理作用を担う。この反応をもたらすLPSの成分は脂質A(LA)である。LAの有毒作用を排除または緩和すれば弱毒化された菌体が得られるが、これは1)患者の敗血性ショックのリスクが軽減されるため、および2)より高いレベルの細菌性Eph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルまたはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルが許容され得るためである。
ロドバクター(Rhodobacter)(ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)) スフェロイデス(sphaeroides)およびリドバクター・カプシュラタス(Rhodobacter capsulatus)は各々、試験動物において敗血性ショック反応を惹起せず、さらに内毒素アンタゴニストである、モノホスホリル脂質A(MLA)を有する。Loppnowら, 1990, Infect. Immun. 58:3743-3750; Takaymaら, 1989, Infect. Immun. 57:1336-1338。ロドバクター以外のグラム陰性菌は、MLAを産生するように遺伝的に改変し、それにより、その敗血性ショック誘発力を軽減することができる。
細菌のLPSを変更するためのさらに別の例としては、LPS生合成経路における突然変異の導入を含む。複数の細菌において、LPS生合成のいくつかの酵素段階とそれらを制御する遺伝子座が確認されており、LPS経路に遺伝子的および酵素的障害を有するいくつかの突然変異菌株が単離されている。ある特定の実施形態では、このLPS経路突然変異株は、firA突然変異株である。firAは、内毒素生合成の第3段階を調節する酵素UDP-3-O(R-30ヒドロキシミリストイル)-グリコシアミン(glycocyamine)N-アシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である(Kelleyら, 1993, J. Biol. Chem. 268:19866-19874)。
弱毒表現型を保証し、非弱毒表現型への逆転を避けるための方法として、細菌を、2つ以上の様式で弱毒化されるように操作してもよい(例えば、脂質A産生経路における突然変異と、ウラシル生合成、プリン生合成、およびアルギニン生合成など、1以上の栄養素または代謝産物に対する栄養要求性への1以上の突然変異)。
Eph受容体抗原ペプチドまたはEphrin抗原ペプチドは、異種遺伝子発現カセットを用い、細菌などの微生物で発現させることが好ましい。異種遺伝子発現カセットは一般に、次の順序のエレメントからなる:(1)原核生物プロモーター;(2) Shine-Dalgarno配列;(3)分泌シグナル(シグナルペプチド);および(4)異種遺伝子。所望により、この異種遺伝子発現カセットはまた、細菌の染色体内への安定組み込みのための構築物においては、転写終結配列を含んでもよい。必ずしも必要ではないが、異種遺伝子発現カセットにおける最後のエレメントとして転写終結配列を含めると、読み過ごし転写による、隣接する遺伝子の発現の調節に対する極性作用が避けられる。
微生物に導入される発現ベクターEph受容体ワクチンまたはEphrinワクチンは、微生物により産生されるEph受容体ペプチドまたはEphrinペプチド、および任意選択のプロドラッグ変換酵素が微生物によって分泌されるようにデザインするのが好ましい。細菌分泌シグナルは当技術分野で周知であり、本発明の組成物および方法において使用可能である。本発明のある特定の実施形態では、 細菌のEph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルまたはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルは、抗生物質感受性が高くなるように、かつ/または化合物を投与した際に細胞死を受けるように操作される。本発明の他の実施形態では、この細菌のEph受容体抗原ペプチド発現ベヒクルまたはEphrin抗原ペプチド発現ベヒクルは、標的Eph受容体発現細胞またはEphrin発現細胞に自殺遺伝子を送達するように操作される。これらの自殺遺伝子としては、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(TK)および細菌シトシンデアミナーゼ(CD)などのプロドラッグ変換酵素が挙げられる。TKは、ゲノムDNAへの組み込みを経て、無毒な基質であるアシクロビルおよびガンシクロビルをリン酸化し、それらを有毒とする。CDは、無毒な5-フルオロシトシン(5-FC)を5-フルオロウラシル(5-FU)へ変換するが、これはそのRNAへの組み込みを経て有毒となる。本発明により包含されるプロドラッグ変換酵素のさらなる例としては、マイトマイシンCおよびポルフィロマイシンに対して作用するシトクロムp450 NADPHオキシドレダクターゼが挙げられる(Murrayら, 1994, J. Pharmacol. Exp. Therapeut. 270:645-649)。使用可能なプロドラッグ変換酵素の他の例としては、カルボキシペプチダーゼ;β-グルクロニダーゼ;ペニシリン-V -アミダーゼ;ペニシリン-G-アミダーゼ;β-ラクタマーゼ;β-グルコシダーゼ;ニトロレダクターゼ;およびカルボキシペプチダーゼAが挙げられる。
グラム陽性微生物とともに使用可能な分泌シグナルの例としては、SecA(Sadaieら, 1991, Gene 98:101-105)、SecY(Suhら, 1990, Mol. Microbiol. 4:305-314)、SecE(Jeongら, 1993, Mol. Microbiol. 10:133-142)、FtsYおよびFfH(PCT/NL96/00278)、ならびにPrsA(国際公開第94/19471号)が挙げられる。グラム陰性微生物とともに使用可能な分泌シグナルの例としては、SecBおよび熱ショックタンパク質などの可溶性の細胞質タンパク質の分泌シグナル;周辺膜結合型タンパク質SecAの分泌シグナル;ならびに内在性膜タンパク質SecY、SecE、SecDおよびSecFの分泌シグナルが挙げられる。
Eph受容体抗原ペプチドまたはEphrin抗原ペプチド、および任意選択のプロドラッグ変換酵素の発現を駆動するプロモーターは構成的(そのペプチドまたは酵素が持続的に発現される)であっても、誘導型(インデューサー分子の存在時のみそのペプチドまたは酵素が発現される)であっても、あるいは細胞種特異的制御(特定の細胞種でのみそのペプチドまたは酵素が発現される)であってもよい。例えば、安定な誘導プロモーターは、細菌の「SOS」応答を担うプロモーターであってもよい(Friedbergら, In: DNA Repair and Mutagenesis, pp. 407-455, Am. Soc. Microbiol. Press, 1995)。このようなプロモーターは、ヒト用に認可されている、マイトマイシンなどの化学療法アルキル化剤をはじめとする多くの薬剤により誘導可能である(Odaら, 1985, Mutagenesis Research 147:219-229; Nakamuraら, 1987, Mutagenesis Res. 192:239-246; Shimdaら, 1994, Carcinogenesis 15:2523-2529)。この群に属するプロモーターエレメントとしては、umuC、sulAおよびその他がある(Shinagawaら, 1983, Gene 23:167-174; Schnarrら, 1991, Biochemie 73:423-431)。sulAプロモーターは、sulA遺伝子のATGと、それに続く27のヌクレオチドならびにATGの上流の70のヌクレオチドを含む(Cole, 1983, Mol. Gen. Genet. 189:400-404)。従って、このプロモーターは、外来遺伝子の発現と、開始コドンを欠く配列のための遺伝子融合物の作出の双方において有用である。
ある特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターワクチンは微生物を含まない。
特定の実施形態では、抗原ペプチドはEphA258(IMNDMPIYM; 配列番号55)ではなく、EphA2550 (VLAGVGFFI; 配列番号56)でもない。別の特定の実施形態では、抗原ペプチドは、(TLADFDPRV; 配列番号57)、(VLLLVLAGV; 配列番号58)、(VLAGVGFFI; 配列番号59)、(IMNDMPIYM; 配列番号60)、(SLLGLKDQV; 配列番号61)、(WLVPIGQCL; 配列番号62)、(LLWGCALAA; 配列番号63)、(GLTRTSVTV; 配列番号64)、(NLYYAESDL; 配列番号65)、または(KLNVEERSV; 配列番号66)ではない。さらに別の特定の実施形態では、抗原ペプチドは、(IMGQFSHHN; 配列番号67)、(YSVCNVMSG; 配列番号68)、(MQNIMNDMP; 配列番号69)、(EAGIMGQFSHHNIIR; 配列番号70)、(PIYMYSVCNVMSG; 配列番号71)または(DLMQNIMNDMPIYMYS; 配列番号72)ではない。
5.2 予防/治療法
本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現および/または活性に関連する疾患を治療、管理、予防および/または改善する方法を提供する。このような疾患としては、限定されるものではないが、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許出願第10/823,254号(2004年4月12日)に開示されいているものなどの非新生物性過増殖性疾患;例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許出願第10/823,259号(2004年4月12日)に開示されているものなどの過増殖性疾患;癌(良性、悪性および転移性の癌);自己免疫疾患(例えば、移植片対宿主病「GVHD」);ならびに炎症性疾患、および肺ランゲルハンス細胞組織球症(pulmonary Langerhans cell histopcytosis)(「PLCH」)が挙げられる。特定の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、VEGFの産生を阻害する。別の特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、癌細胞の増殖を阻害する。さらなる特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、癌細胞の移動を阻害する。なおさらなる特定の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、癌細胞の浸潤を阻害する。本発明の方法により治療、予防、管理および/または改善される他の疾患としては、限定されるものではないが、細胞外マトリックス成分(例えば、コラーゲン、プロテオグリカン、テネイシンおよびフィブロネクチン)の沈着の増加および/または異常な(すなわち、増加した)脈管形成を含む、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患が挙げられる。このような疾患の限定されない例としては、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、“Modulators of EphA2 and EphrinA1 For The Treatment of Fibrosis-Related Disease”と題された2004年10月27日出願の米国仮出願第60/622,517号に開示されているような、硬変、繊維症(例えば、肝臓、腎臓、肺、心臓、網膜および他の内臓の繊維症)、喘息、虚血、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症、早期網膜症、血管再狭窄、黄斑
変性、関節リウマチ、骨関節炎、幼児血管腫、尋常性疣贅、カポジ肉腫、神経繊維腫症、劣性栄養障害性表皮水疱症、強直性脊椎炎、全身性狼瘡、ライター症候群、シェーグレン症候群、子宮内膜症、子癇前症、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性疾患、乾癬性関節症および乾癬が挙げられる。本発明の方法により治療、予防、管理および/または改善されるさらなる疾患としては、限定されるものではないが、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、“Use of Modulators of EphA2 and EphrinA1 For The Treatment of Infections”と題された2004年10月27日出願の米国仮出願第60/622,489号に開示されているような、ウイルス、細菌、真菌および原虫などの病原体による感染症が挙げられる。一実施形態では、このような病原体の感染は細胞内感染である。特定の実施形態では、細胞内病原体は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ではない。本発明の方法は、有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターの投与を含む。別の実施形態では、このような方法は、Eph/Ephrinモジュレーターに基づくものではない1以上の治療薬または予防薬と組み合わせた有効量の1以上のEph/Ephrinモジュレーターの投与を含む。
本発明はまた、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防および/または改善する方法、1以上のEph/Ephrinモジュレーター、および1以上の他の療法(このような療法の例としては、前掲の第5.2.2節を参照)も提供する。好ましくは、このような異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療、管理、予防および/または改善に有用な他の療法は、本発明のEph/Ephrinモジュレーターと組み合わせて使用される。
本明細書で示される用量および投与頻度は、「有効量」、「治療上有効な」および「予防上有効な」という用語に含まれる。用量および頻度はさらに、一般に、投与される特定の治療薬または予防薬、非新生物性過増殖性上皮細胞疾患および/または内皮細胞疾患の重篤度およびタイプ、投与経路、ならびに患者の齢、体重、応答、および病歴に応じ、各患者に特異的な因子によって異なる。当業者ならば、このような因子を考慮し、例えば文献で報告されている用量およびthe Physician’s Desk Reference (第56版, 2002)で奨励されている用量に従って、好適な治療計画を選択することができる。本発明により提供される予防薬または治療薬の特定の用量および投与頻度に関しては、第4.6.3節を参照。
5.2.1 患者集団
本発明は、被験体における異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患、またはその症状を治療、管理、または予防する方法を包含し、その方法は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを投与することを含む。被験体は好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)または霊長類(例えば、カニクイザル(cynomolgous monkey)などのサルまたはヒト)といった哺乳類である。好ましい実施形態では、被験体はヒトであり。
本発明の方法は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患している、または罹患するおそれがある患者(例えば、それらの疾患に対して遺伝的素因を有する患者、またはそれらに疾患にこれまでに罹患したことがある患者)に投与することを含む。このような患者は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に関して、例えば、非Eph/Ephrinモジュレーター療法を用いて治療されたことがあってもよいし、あるいは治療中であってもよい。本発明によれば、Eph/Ephrinモジュレーターは、限定されるものではないが、第1療法、第2療法、第3療法および第4療法を含む、いずれの治療順位として用いてもよい。さらに、本発明によれば、Eph/Ephrinモジュレーターは、非Eph/Ephrinモジュレーター療法の有害作用または不耐性が生じる前に使用することができる。本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の発症または再発を予防するために本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーター投与する方法を包含する。
一実施形態では、本発明はまた、現行療法の代わりとしての、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療または管理の方法も提供する。特定の実施形態では、その現行療法は患者にとって毒性が強すぎる(すなわち、許容されないまたは耐えられない副作用をもたらす)ことが証明されているか、または証明され得る。別の実施形態では、Eph/Ephrinモジュレーターは、現行療法に比べて副作用が少ない。別の実施形態では、患者は現行療法に対して不応であることが証明されている。ある特定の実施形態では、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを、それを必要とする患者に、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療するための別の療法の代わりに投与することができる。
本発明はまた、非Eph/Ephrinモジュレーター療法に対して不応であるか、または不応であった患者において、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の症状を治療または改善するために、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを投与する方法も包含する。症状が不応であるかどうかの判定は、in vivoまたはin vitroのいずれかおいて、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患において罹患した細胞、特に、上皮細胞および/または内皮細胞に対する、または非Eph/Ephrinモジュレーター療法に対して不応である、または不応であった患者における、療法の有効性を検定するために当技術分野で公知のいずれかの方法により行うことができる。
5.2.2 他の予防薬/治療薬
本発明は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを1以上の療法と組み合わせて投与することにより、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防および/または改善する方法を提供する。これら他の療法は異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患の治療、管理または予防に使用中であるか、または有用であることが好ましい。特定の実施形態では、本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防および/または改善する方法を提供し、その方法は、有効量のEph/Ephrinモジュレーターと、Eph/Ephrinモジュレーター以外の有効量の療法を、それを必要とする被験体に投与することを含む。異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状の予防、管理、治療または改善に有用であることが分かっている、またはそれらの疾患を予防、管理、治療または改善に使用されていた、もしくは使用中である療法(例えば、予防薬または治療薬)はいずれも、本明細書に記載の本発明のEph/Ephrinモジュレーターと組み合わせて使用することができる。異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状を予防、治療、管理、および/または改善するために使用されていた、または使用中である療法、特に予防薬または治療薬に関する情報としては、例えば、Gilmanら, Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Ed., McGraw-Hill, New York, 2001; The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Berkow, M.D.ら(編), 第17版, Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, Rahway, NJ, 1999; およびCecil Textbook of Medicine, 第20版, Bennett and Plum (編), W.B. Saunders, Philadelphia, 1996を参照。治療薬または予防薬としては、限定されるものではないが、小分子、合成薬物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、限定されるものではないが、アンチセンスヌクレオチド配列、三重らせん、RNAi、および生物学的に活性なタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列をはじめとする、DNAおよびRNAヌクレオチド)、抗体、合成または天然無機分子、ミメティック剤、および合成または天然有機分子が挙げられる。予防薬および治療薬の例としては、限定されるものではないが、免疫調節薬、抗脈管形成薬、TNF-αアンタゴニスト、抗炎症薬(例えば、アドレノコルチコイド、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド、ステロイド、および非ステロイド系抗炎症薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX-2阻害剤)、抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソン、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス薬、および抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前には、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、抗癌療法、抗ウイルス薬、抗菌薬、および抗真菌薬が挙げられる。
一実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防および/または改善するために使用中であるか、またはそれらの疾患を治療、管理、予防および/または改善することが知られている療法と組み合わせて、それを必要とする被験者に投与される。別の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、免疫調節薬と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与される。別の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、抗脈管形成薬と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与される。別の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、TNF-αアンタゴニストと組み合わせて、それを必要とする被験体に投与される。さらに別の実施形態では、本発明のEph/Ephrinモジュレーターは、抗癌薬と組み合わせて、それを必要とする被験体に投与される。これらの療法はそれを必要とする被験体に、逐次に投与しても同時に投与してもよい。特に、これらの療法は正確に同時に被験体に投与しなければならないか、またはそれらの療法が、それ以外の方法で投与された場合より大きな利益をもたらすようにともに作用し得るような時間間隔内で順次投与しなければならない。特定の実施形態では、 本発明の組合せ療法は、有効量の、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターと、本発明の前記Eph/Ephrinモジュレーターと同様の作用機序を有する、有効量の少なくとも1つの他の療法とを含む。特定の実施形態では、本発明の組合せ療法は、有効量の、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターと、本発明の前記Eph/Ephrinモジュレーターとは異なる作用機序を有する、有効量の少なくとも1つの他の療法(例えば、予防薬または治療薬)とを含む。ある特定の実施形態では、本発明の組合せ療法は、相加作用または相乗作用を有するように本発明のEph/Ephrinモジュレーターとともに機能することにより、本発明の1以上の抗体の予防効果または治療効果を改良する。ある特定の実施形態では、本発明の組合せ療法は、予防薬または治療薬に伴う副作用を軽減する。様々な実施形態では、これらの療法は、1時間未満おいて、約1時間おいて、約1時間〜約2時間おいて、約2時間〜約3時間おいて、約3時間〜約4時間おいて、約4時間〜約5時間おいて、約5時間〜約6時間おいて、約6時間〜約7時間おいて、約7時間〜約8時間おいて、約8時間〜約9時間おいて、約9時間〜約10時間おいて、約10時間〜約11時間おいて、約11時間〜約12時間おいて、24時間以内おいてまたは48時間以内おいて患者に投与される。好ましい実施形態では、同一の患者来所日に2以上の療法が投与される。
これら組合せ療法の予防薬または治療薬は、同一の医薬組成物として、被験体、好ましくはヒト被験体に投与することができる。あるいは、これら組合せ療法の予防薬または治療薬は、別の医薬組成物として、被験体に同時に投与することができる。これらの予防薬または治療薬は、同じまたは異なる投与経路によって被験体に投与してもよい。
特定の実施形態では、本明細書に記載の本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターを含む医薬組成物が、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を予防、治療、管理および/または改善するために、被験体、好ましくはヒトに投与される。本発明によれば、本発明の医薬組成物はまた、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に関連する1以上の症状の予防、治療または改善に使用中であるか、使用されていたか、または有用であることが知られる、本発明のEph/Ephrinモジュレーター以外の1以上の療法(例えば、予防薬または治療薬)も含み得る。
5.2.2.1 免疫調節薬
ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターと1以上の免疫調節薬(すなわち、被験体における免疫応答を調節する薬剤)を含む組成物、および該組成物を投与することを含む、被験体における異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状を治療、管理、予防または改善する方法を提供する。本発明はまた、Eph/Ephrinモジュレーターを1以上の免疫調節薬と組み合わせて投与することを含む、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその症状を治療、管理、予防または改善する方法も提供する。本発明の特定の実施形態では、この免疫調節薬は、ヒト被験体における免疫応答を阻害または抑制する。免疫調節薬は当業者に周知であり、本発明の方法および組成物において使用可能である。
当業者に周知の免疫調節薬は、本発明の方法および組成物において使用可能である。免疫調節薬は被験体における免疫応答の1以上の態様または全ての態様に影響を及ぼすことができる。免疫応答の態様としては、限定されるものではないが、炎症性応答、補体カスケード、白血球およびリンパ球の分化、増殖、および/またはエフェクター機能、単球総数および/または好塩基球総数、ならびに免疫系細胞間の連絡が挙げられる。本発明のある特定の実施形態では、免疫調節薬は、免疫応答の1つの態様を調節する。他の実施形態では、免疫調節薬は、免疫応答の2以上の態様を調節する。本発明の一態様では、免疫調節薬の被験体への投与は、被験体の免疫応答能の1以上の態様を阻害または低減する。本発明の特定の実施形態では、免疫調節薬は、被験体における免疫応答を阻害または抑制する。本発明によれば、免疫調節薬は、Eph受容体(例えば、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5もしくはEphB6)またはEphrin(例えば、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2もしくはEphrinB3)ポリペプチドと特異的に結合する抗体ではない。ある特定の実施形態では、免疫調節薬は抗脈管形成薬ではない。ある特定の実施形態では、免疫調節薬は抗炎症薬ではない。他の実施形態では、免疫調節薬はTNF-αアンタゴニストではない。ある特定の実施形態では、免疫調節薬は抗癌薬ではない。
免疫調節薬の例としては、限定されるものではないが、サイトカイン、ペプチドミメティクス、および抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、FabもしくはF(ab)2フラグメントまたはエピトープ結合フラグメント)などのタンパク性薬剤、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子および三重らせん)、小分子、有機化合物、および無機化合物が挙げられる。特に、免疫調節薬としては、限定されるものではないが、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、サイトキサン、イムラン、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えば、FK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナル、マロノニトリロアミド(malononitriloamindes)(例えば、レフルンアミド(leflunamide))、T細胞受容体モジュレーター、サイトカイン受容体モジュレーター、およびモジュレーター肥満細胞モジュレーターが挙げられる。
T細胞受容体モジュレーターの例としては、限定されるものではないが、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM-T412(Boeringer)、IDEC-CE9.1(登録商標)(IDECおよびSKB)、mAB 4162W94、オルトクローンおよびOKTcdr4a(Janssen-Cilag))、抗CD3抗体(例えば、Nuvion (Product Design Labs)、OKT3(Johnson & Johnson)、またはリツキサン(IDEC))、抗CD5抗体(例えば、抗CD5リシン結合免疫複合体)、抗CD7抗体(例えば、CHH-380(Novartis))、抗CD8 抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えば、IDEC-131(IDEC))、抗CD52 抗体(例えば、CAMPATH 1H(Ilex))、抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(siplizumab)(MedImmune, Inc., 国際公開第02/098370号および同第02/069904号))、抗CD11a抗体(例えば、キサネリム(Xanelim)(Genentech))、および抗B7抗体(例えば、IDEC-114) (IDEC)))、CTLA4-免疫グロブリン、およびLFA-3TIP(Biogen、国際公開第 93/08656号および米国特許第6,162,432号)が挙げられる。
サイトカイン受容体モジュレーターの例としては、限定されるものではないが、可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-α受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、IL-1β受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント)、サイトカインまたはそのフラグメント(例えば、インターロイキンIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23、TNF-α、TNF-β、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、IFN-γ、およびGM-CSF)、抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IFN受容体抗体、抗IL-2受容体抗体(例えば、ゼナパックス(Zenapax)( Protein Design Labs))、抗IL-3受容体抗体、抗IL-4受容体抗体、抗IL-6受容体抗体、抗IL-10受容体抗体、抗IL-12受容体抗体、抗IL-13受容体抗体、抗IL-15受容体抗体、および抗IL-23受容体抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IFN抗体、抗TNF-α抗体、抗IL-1β抗体、抗IL-3抗体、抗IL-6抗体、抗IL-8抗体(例えば、ABX-IL-8 (Abgenix))、抗IL-12抗体、抗IL-13抗体、抗IL-15抗体、および抗IL-23抗体)が挙げられる。
特定の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターはIL-3、IL-4、IL-10、またはそのフラグメントである。別の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターは抗IL-1β抗体、抗IL-6抗体、抗IL-12受容体抗体、または抗TNF-α抗体である。別の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターはTNF-α受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントである。ある特定の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターはTNF-αアンタゴニストではない。
一実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターは、肥満細胞モジュレーターである。もう1つの実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターは、肥満細胞モジュレーターではない。肥満細胞モジュレーターの例としては、限定されるものではないが、幹細胞因子(c-kit受容体リガンド)阻害剤(例えば、mAb 7H6、mAb 8H7a、pAb 1337、FK506、CsA、デキサメタゾン(dexamthasone)、およびフルコンシノニド(fluconcinonide))、c-kit受容体阻害剤(例えば、STI 571 (以前は、CGP 57148Bとして知られていた))、肥満細胞プロテアーゼ阻害剤(例えば、GW-45、GW-58、ワートマニン(wortmannin)、LY 294002、カルフォスチンC、サイトカラシンD、ゲニステイン、KT5926、スタウロスポリン(staurosproine)、およびラクトフェリン)、リラクシン(「RLX」)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25 オマリズマブ、HMK-12および6HD5、ならびにmAB Hu-901)、IL-3アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL-10アンタゴニスト、およびTGF-βが挙げられる。
免疫調節薬は、Tヘルパーサブセット(TH1またはTH2)とB細胞の間の相互作用と干渉して中和抗体の形成を阻害するように選択することができる。TH(Tヘルパー)細胞によるB細胞の活性化に必要な相互作用と干渉するか、または相互作用を阻害し、従って、中和抗体の産生を遮断する抗体は、本発明の方法において免疫調節薬として有用である。例えば、T細胞によるB細胞の活性化には、Tヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との結合、およびT細胞上のCD28および/またはCTLA4リガンドとB細胞上のB7抗原との結合など、ある特定の相互作用が起こる必要がある(Durieら, Immunol. Today, 15(9):406-410 (1994))。両相互作用なしでは、B細胞は、中和抗体の産生を誘導するよう活性化できない。
CD40リガンド(CD40L)-CD40相互作用は、Tヘルパー細胞の活性化と機能の双方における幅広い活性、ならびにそのシグナル伝達経路に重複が存在しないために、免疫応答を遮断する望ましいポイントとなる。よって、本発明の特定の実施形態では、1以上の免疫調節薬を投与すると、CD40LとCD40との相互作用が一時的に遮断される。これは、TH細胞上のCD40リガンドを遮断し、Tヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との通常の結合に干渉する薬剤で処理することによって達成することができる。CD40リガンドに対する抗体(抗CD40L)(Bristol-Myers Squibb Coから入手可能;例えば、1993年8月18日公開の欧州特許出願第555,880号参照)または可溶性CD40分子を選択し、本発明の方法に従って免疫調節薬として使用することができる。
免疫調節薬は、TH1細胞と細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)の間の相互作用を阻害してCTLにより媒介される細胞死の発生を低減するように選択することができる。免疫調節薬は、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を変更(例えば、阻害または抑制)するように選択することができる。例えば、T細胞に特異的な抗体を免疫調節薬として使用し、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を枯渇させる、または変更することができる。
本発明の一実施形態では、本発明の方法に従い、T細胞、好ましくは、記憶T細胞を減少または枯渇させる免疫調節薬が、IL-9ポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連する、もしくはそれを特徴とする疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常な発現に関連する、もしくはそれを特徴とする疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染(好ましくは、呼吸器感染)のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与される。例えば、米国特許第4,658,019号参照。本発明の別の実施形態では、本発明の方法に従い、CD8+T細胞を不活性化する免疫調節薬が、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与される。特定の実施形態では、CD8+T細胞を減少または枯渇させるために抗CD8抗体が用いられる。
別の実施形態では、本発明の方法に従い、CD4+Tヘルパー細胞のTH0、TH1、および/またはTH2サブセットの1以上の生物活性(例えば、分化、増殖、および/またはエフェクター機能)を低減または阻害する免疫調節薬が、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与される。このような免疫調節薬の一例にIL-4がある。IL-4は、TH1細胞機能を犠牲にして、TH2細胞の抗原特異的活性を増大する(例えば、Yokotaら, 1986 Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 83:5894-5898;および米国特許第5,017,691号参照)。T-ヘルパー細胞(特に、TH1および/またはTH2細胞)の生物活性(例えば、増殖、分化、および/またはエフェクター機能)に影響を及ぼす免疫調節薬の他の例としては、限定されるものではないが、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23、およびインターフェロン(IFN)-γが挙げられる。
別の実施形態では、本発明の方法に従って、非新生物性過増殖上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与される免疫調節薬は、抗原提示を妨げるサイトカインである。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される免疫調節薬はIL-10である。IL-10はまた、細菌排除を含むマクロファージの働きを低減または阻害する。
免疫調節薬は、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害するように選択することができる。ある特定の実施形態では、免疫調節薬は、肥満細胞と、限定されるものではないが、幹細胞因子(c-kitリガンド)、IgE、IL-4、環境刺激物、および感染性病原体をはじめとする肥満細胞活性化剤との間の相互作用に干渉する。特定の実施形態では、免疫調節薬は、限定されるものではないが、花粉、ハウスダスト、タバコの煙、および/またはペットの鱗屑などの環境刺激物に対する肥満細胞の応答を低減または阻害する。別の特定の実施形態では、免疫調節薬は、ウイルス、細菌、および真菌などの感染性病原体に対する肥満細胞の応答を低減または阻害する。肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害する肥満細胞モジュレーターの例としては、限定されるものではないが、幹細胞因子(c-kit受容体リガンド)阻害剤(例えば、mAb 7H6、mAb 8H7a、およびpAb 1337(Mendiazら, 1996, Eur J Biochem 293(3):842-849参照)、FK506およびCsA(Itoら, 1999 Arch Dermatol Res 291(5):275-283)、デキサメタゾンおよびフルコンシノニド(Finootoら, 1997, J. Clin. Invest. 99(7):1721-1728)参照)、c-kit受容体阻害剤(例えば、STI 571(以前には、CGP 57148Bとして知られていた)(Heinrichら, 2000 Blood 96(3):925-932)参照)、肥満細胞プロテアーゼ阻害剤(例えば、GW-45およびGW-58(Temkinら, 2002, J Immunol 169(5):2662-2669参照)、ワートマニン、LY 294002、カルフォスチンC、およびサイトカラシンD(Vossellerら, 1997, Mol Biol Cell 1997:909-922参照)、ゲニステイン、KT5926、およびスタウロスポリン(staurosproine)(Nagaiら 1995, Biochem Biophys Res Commun 208(2):576-581参照)、およびラクトフェリン(Heら, 2003 Biochem Pharmacol 65(6):1007-1015参照)、リラクシン(「RLX」)(Baniら, 2002 Int Immunopharmacol 2(8):1195-1294参照)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(2):278-284; Correnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(1):87-90; Busse and Neaville, 2001 Curr Opin Allergy Clin Immunol. 1(1):105-108; およびTang and Powell, 2001, Eur J Pediatr 160(12): 696-704)、HMK-12および6HD5(Miyajimaら, 2202 Int Arch Allergy Immuno 128(1):24-32参照)、およびmAB Hu-901(van Neervenら, 2001 Int Arch Allergy Immuno 124(1-3):400参照)、IL-3アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL-10アンタゴニスト、およびTGF-β(Metcalfeら, 1995, Exp Dermatol 4(4 Pt 2):227-230参照)が挙げられる。
一実施形態では、免疫調節薬として使用されるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド(抗体を含む)は、それらのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに対する免疫応答の見込みを低減するために、それらのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのレシピエントと同種に由来する。別の実施形態では、被験体がヒトである場合、免疫調節薬として使用されるこれらのタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、ヒト型またはヒト化型である。
本発明によれば、1以上の免疫調節薬が、Eph受容体またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体の前に、抗体の後に、または抗体と同時に、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与される。一実施形態では、1以上の免疫調節薬が、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に、当業者が必要であると考える免疫応答の1以上の態様低減または阻害するため、Eph受容体またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体と組み合わせて投与される。特定の被験体において免疫応答の1以上の態様を測定し、それにより、いつ該被験体に免疫調節薬を投与する必要があるかを決定するためには、当業者に周知のいずれの技術を用いてもよい。別の実施形態では、被験体において、平均絶対リンパ球数がおよそ500細胞/mm3、600細胞/mm3、650細胞/mm3、700細胞/mm3、750細胞/mm3、800細胞/mm3、900細胞/mm3、1000細胞/mm3、1100細胞/mm3、または1200細胞/mm3に維持される。別の実施形態では、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体は、それらの絶対リンパ球数が500細胞/mm3以下、550細胞/mm3以下、600細胞/mm3以下、650細胞/mm3以下、700細胞/mm3以下、750細胞/mm3以下、または800細胞/mm3以下である場合には免疫調節薬が投与されない。
一実施形態では、1以上の免疫調節薬が、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に、その免疫応答の1以上の態様を一時的に低減または阻害するため、Eph受容体またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体と組み合わせて投与される。このような免疫系の1以上の態様の一時的阻害または低減は、数時間、数日、数週間、または数ヶ月間持続させることができる。一実施形態では、免疫応答の1以上の態様における一時的阻害または低減は、数時間(例えば、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、14時間、16時間、18時間、24時間、36時間、または48時間)、数日(例えば、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、または14日間)、または数週間(例えば、3週間、4週間、5週間または6週間)持続する。免疫応答の1以上の態様の一時的低減または阻害は、Eph受容体またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体の予防作用および/または治療作用を増強する。
免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドをコードする核酸分子、または免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドは、本発明の方法に従い、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。さらに、免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの、誘導体、類似体、もしくはフラグメントをコードする核酸分子 、または免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの、誘導体、類似体、もしくはフラグメントも、本発明の方法に従い、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。一実施形態では、このような誘導体、類似体、およびフラグメントは、全長、野生型タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの免疫調節活性を保持している。
免疫調節薬は被験体における免疫応答の1以上の態様、または全ての態様に影響を及ぼし得る。免疫応答の態様としては、限定されるものではないが、炎症性応答、補体カスケード、白血球およびリンパ球の増殖、単球数および/または好塩基球数、ならびに免疫系細胞間の細胞連絡が挙げられる。本発明のある特定の実施形態では、免疫調節薬は免疫応答の1つの態様を調節する。他の実施形態では、免疫調節薬は免疫応答の2以上の態様を調節する。本発明の別の実施形態では、被験体への免疫調節薬の投与は、その被験体の免疫応答能の1以上の態様を阻害または低減する。
本発明によれば、1以上の免疫調節薬が、本発明のEph/Ephrinモジュレーターの前、後、または同時に、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患している被験体に投与することができる。一実施形態では、1以上の免疫調節薬が、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患している被験体に、必要に応じて免疫応答の1以上の態様を低減または阻害するために投与される。免疫応答の1以上の態様を測定し、それにより、いつ免疫調節薬を投与する必要があるかを決定するためには、当業者に周知のいずれの技術を用いてもよい。別の実施形態では、1以上の免疫調節薬が、免疫応答の1以上の態様を一時的に低減または阻害するために、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患に罹患している被験体に投与される。このような免疫系の1以上の態様の一時的阻害または低減は、数時間、数日、数週間、または数ヶ月間持続させることができる。免疫応答の1以上の態様の一時的阻害または低減は、本発明のEph/Ephrinモジュレーターの治療作用を増強する。
他の実施形態において、本発明の組成物および方法において使用可能な他の免疫調節薬は、市販され、免疫調節薬として機能することが知られているものであり得る。免疫調節薬としては、限定されるものではないが、サイトカイン、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、scFvs、FabまたはF(ab)2フラグメントもしくはエピトープ結合フラグメント)、無機化合物、またはペプチドミメティクスなどの薬剤が挙げられる。免疫調節薬のさらなる例としては、限定されるものではないが、抗IL-13モノクローナル抗体、抗IL-4モノクローナル抗体、抗IL-5モノクローナル抗体、抗IL-2R 抗体(例えば、抗Tacモノクローナル抗体およびBT 536)、抗CD4モノクローナル抗体、抗CD3モノクローナル抗体、抗CD3モノクローナルヒト抗体OKT3、抗CD8モノクローナル抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体、抗CD2モノクローナル抗体(例えば、2002年9月12日公開の国際特許公開第02/070007号)、CTLA4-免疫グロブリン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、マクロライド系抗生物質(例えば、FK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナル、マロノニトリロアミド(malononitriloamindes)(例えば、レフルンアミド(leflunamide))、β2アンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、およびIgEレベルを低減する薬剤が挙げられる。
一実施形態では、免疫調節薬は、IL-9の量を低減する。別の実施形態では、免疫調節薬は、IL-9と特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはそのフラグメントである(例えば、Reedによる、“Methods of Preventing or Treating Respiratory Conditions”と題された、2004年4月12日出願の米国特許出願第10/823,810号;Reedによる、“Recombinant IL-9 Antibodies and Uses Thereof”と題された、2004年4月12日出願の米国特許出願第10/823,523号;およびReed による、“Anti-IL-9 Antibody Formulations and Uses Thereof” と題された、2004年4月12日出願の米国仮特許出願第60/561,845号参照。なお、これらは全て、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。 特定の作用機序に縛られるものではないが、抗IL-9抗体の使用は、生物学的作用を有するIL-9の能力を打ち消し、それにより、炎症性細胞の動員を遮断または低減する。
免疫調節薬の免疫調節活性は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、例えば、CTLアッセイ、増殖アッセイ、共刺激分子およびサイトカインなどの特定のタンパク質の発現に関するイムノアッセイ(例えば、ELISA) 、ならびにFACSをはじめとする、当業者に周知のいずれかの技術によって測定することができる。
5.2.2.2 抗炎症性療法
ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターと1以上の抗炎症薬を含む組成物、ならびに該組成物を投与することを含む、被験体において、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防または改善する方法を提供する。特定の実施形態では、このような疾患は、炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)である。当業者に周知の炎症性疾患の治療に有用な薬剤をはじめ、いずれの抗炎症薬も、本発明の組成物および方法において使用することができる。抗炎症薬の限定されない例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、抗コリン作動薬(例えば、硫酸アトロピン、メチル硝酸アトロピン、および臭化イプラトロピウム(ATROVENT(商標))、β2アンタゴニスト(例えば、アブテロール(abuterol)(VENTOLIN(商標)およびPROVENTIL(商標)、ビトルテロール(TORNALATE(商標))、レベルブテロール(XOPONEX(商標))、メタプロテレノール(ALUPENT(商標))、ピルブテロール(MAXAIR(商標))、テルブトライン(terbutlaine)(BRETHAIRE(商標)およびBRETHINE(商標))、アルブテロール(PROVENTIL(商標)、REPETABS(商標)、およびVOLMAX(商標))、フォルモテロール(FORADIL AEROLIZER(商標))、およびサルメテロール(SEREVENT(商標)およびSEREVENT DISKUS(商標)))、およびメチルキサンチン(例えば、テオフィリン(UNIPHYL(商標)、THEO-DUR(商標)、SLO-BID(商標)、およびTEHO-42(商標)))が挙げられる。NSAIDの例としては、限定されるものではないが、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(セレブレックス(商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(商標))、エトドラック(LODINE(商標))、フェノプロフェン(NALFON(商標))、インドメタシン(INDOCIN(商標))、ケトララック(ketoralac)(TORADOL(商標))、オキサプロジン(DAYPRO(商標))、ナブメントン(nabumentone)(RELAFEN(商標))、スリンダック(CLINORIL(商標))、トルメンチン(tolmentin)(TOLECRIN(商標))、ロフェコキシブ(VIOX(商標))、ナプロキセン(ALEVE(商標)、NAPROSYN(商標))、ケトプロフェン(ACTRON(商標))およびナブメトン(RELAFEN(商標))が挙げられる。このようなNSAIDはシクロオキシゲナーゼ酵素(例えば、COX-1および/またはCOX-2)を阻害することにより機能する。ステロイド系抗炎症薬の例としては、限定されるものではないが、グルココルチコイド、デキサメタゾン(DECADRON(商標))、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン(MEDROL(商標)))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(プレドニゾン(商標)およびDELTASONE(商標))、プレドニゾロン(PRELONE(商標)およびPEDIAPRED(商標))、トリアムシノロン、アザルフィジン(azulfidine)、およびエイコサノイド阻害剤(例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエン(ロイコトリエンの限定されない例およびこのような薬剤の典型的な用量は下記表8を参照)。
ある特定の実施形態では、抗炎症薬は、喘息またはその1以上の症状の予防、管理、治療、および/または改善に有用な薬剤である。このような薬剤の限定されない例としては、アドレナリン作動性刺激薬(例えば、カテコールアミン(例えば、エピネフリン、イソプロテレノール、およびイソエタリン)、レゾルシノール(例えば、メタプロテレノール、テルブタリン、およびフェノテロール)、およびサリゲニン(例えば、サルブタモール))、アドレノコルチコイド、ブルココルチコイド(blucocorticoid)、コルチコステロイド(例えば、 ベクロメタドンス(beclomethadonse)、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾン)、他のステロイド、β2アンタゴニスト(例えば、アルブテロール(albtuerol)、ビトルテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリン、フォルモテロール、サルメテロール、およびアルブタモールテルブタリン)、抗コリン作動薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、IL-4アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-5アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-13アンタゴニスト(抗体を含む)、PDE4阻害剤、NF-κ-β阻害剤、VLA-4阻害剤、CpG、抗CD23、セレクチンアンタゴニスト(TBC 1269)、肥満細胞プロテアーゼ阻害剤(例えば、トリプターゼキナーゼ阻害剤(例えば、GW-45、GW-58、およびゲニステイン)、ホスファチジルイノシチド-3’(PI3)-キナーゼ阻害剤(例えば、カルフォスチンC)、および他のキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)(Temkinら, 2002 J Immunol 169(5):2662-2669; Vossellerら, 1997 Mol. Biol. Cell 8(5):909-922;およびNagaiら, 1995 Biochem Biophys Res Commun 208(2):576-581)参照)、C3受容体アンタゴニスト(抗体を含む)、免疫抑制薬(例えば、メトトレキサートおよび金塩)、肥満細胞モジュレーター(例えば、クロモリンナトリウム(INTAL(商標))およびネドクロミルナトリウム(TILADE(商標))、および粘液溶解薬(例えば、アセチルシステイン))が挙げられる。特定の実施形態では、抗炎症薬はロイコトリエン阻害剤(例えば、モンテルカスト(SINGULAIR(商標))、ザフィルルカスト(ACCOLATE(商標))、プランルカスト(ONON(商標))、またはジレウトン(ZYFLO(商標)(表8参照))である。
Figure 2008518023
ある特定の実施形態では、抗炎症薬は、アレルギーまたはその1以上の症状の予防、治療、管理、および/または改善に有用な薬剤である。このような薬剤の限定されない例としては、抗メディエーター薬(例えば、抗ヒスタミン薬、抗ヒスタミン薬の限定されない例およびこのような薬剤の典型的な用量は下記表9を参照)としては、コルチコステロイド、鬱血除去薬、交感神経作用薬(例えば、α-アドレナリン作動薬およびβ-アドレナリン作動薬)、TNX901(Leungら, 2003, N Engl J Med 348(11):986-993)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(2):278-284; Correnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(1):87-90; Busse and Neaville, 2001 Curr Opin Allergy Clin Immuno 1(1):105-108; およびTang and Powell, 2001, Eur J Pediatr 160(12): 696-704参照)、HMK-12および6HD5(Miyajimaら, 2202 Int Arch Allergy Immuno 128(1):24-32参照)、およびmAB Hu-901(van Neervenら, 2001 Int Arch Allergy Immuno 124(1-3):400参照)、テオフィリンおよびその誘導体、グルココルチコイド、および免疫療法(例えば、アレルゲンの長期反復注射、短期間脱感作、および毒液免疫療法)が挙げられる。
Figure 2008518023
抗炎症性療法ならびにそれらの用量、投与経路および奨励される使用は当技術分野で公知であり、the Physician’s Desk Reference(第57版, 2003)などの文献に記載されている。
5.2.2.3 抗脈管形成療法
ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターと1以上の抗脈管形成薬とを含む組成物、および該組成物の投与を含む、被験体における異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患を治療、管理、予防または改善する方法を提供する。本発明の組成物および方法においては、当業者に周知のいずれの抗脈管形成薬でも使用することができる。
本発明の組成物および方法においては、当業者に周知のいずれの抗脈管形成薬でも使用することができる。抗脈管形成薬の限定されない例としては、脈管形成を低減または阻害する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、およびその抗原結合フラグメント) 、例えば、TNF-αと特異的に結合する抗体、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。特に、抗脈管形成薬の例としては、限定されるものではないが、エンドスタチン;アンギオスタチン;アポミグレン(apomigren);抗脈管形成性アンチトロンビンIII;フィブロネクチンの29kDa N末端および40kDa C末端タンパク質分解フラグメント;uPA受容体アンタゴニスト;プロラクチンの16kDaタンパク質分解フラグメント;血小板因子-4の7.8kDaタンパク質分解フラグメント;血小板因子-4の抗脈管形成性の24アミノ酸のフラグメント;13.40と呼ばれる抗脈管形成因子;トロンボスポンジンIの抗脈管形成の22アミノ酸のペプチドフラグメント;SPARC、RGDおよびNGR含有ペプチドの抗脈管形成性の20アミノ酸のペプチドフラグメント;ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲンおよびEGFの抗脈管形成性の小ペプチド;インテグリンαvβ3アンタゴニスト、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)アンタゴニスト、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)アンタゴニスト、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)アンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体(例えば、AVASTIN(商標)(Genentech));VEGF受容体(VEGFR)アンタゴニスト(例えば、抗VEGFR抗体)、および抗インテグリンアンタゴニスト(例えば、血餅形成の防止のために、血小板上の糖タンパク質IIb/IIIa受容体と結合するREOPRO(登録商標)(アブシキマブ)(Centocor)が挙げられる。
抗脈管形成薬の限定されない例としては、脈管形成を低減または阻害する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、およびその抗原結合フラグメント) 、例えば、TNF-αと特異的に結合する抗体、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。特に、抗脈管形成薬の例としては、限定されるものではないが、エンドスタチン;アンギオスタチン;アポミグレン(apomigren);抗脈管形成性アンチトロンビンIII;フィブロネクチンの29kDa N末端および40kDa C末端タンパク質分解フラグメント;uPA受容体アンタゴニスト;プロラクチンの16kDaタンパク質分解フラグメント;血小板因子-4の7.8kDaタンパク質分解フラグメント;血小板因子-4の抗脈管形成性の24アミノ酸のフラグメント;13.40と呼ばれる抗脈管形成因子;トロンボスポンジンIの抗脈管形成の22アミノ酸のペプチドフラグメント;SPARC、RGDおよびNGR含有ペプチドの抗脈管形成性の20アミノ酸のペプチドフラグメント;ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲンおよびEGFの抗脈管形成性の小ペプチド;インテグリンαvβ3アンタゴニスト、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)アンタゴニスト、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)アンタゴニスト、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)アンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体;およびVEGF受容体(VEGFR)アンタゴニスト(例えば、抗VEGFR抗体)が挙げられる。
インテグリンαvβ3アンタゴニストの例としては、限定されるものではないが、非触媒性メタロプロテイナーゼフラグメント、RGDペプチド、ペプチドミメティクス、融合タンパク質、ジスインテグリンまたはその誘導体もしくは類似体などのタンパク性薬剤;およびインテグリンαvβ3と特異的に結合する抗体;核酸分子;有機分子;および無機分子が挙げられる。インテグリンαvβ3と特異的に結合する抗体の限定されない例としては、11D2(Searle)、LM609(Scripps)、およびVITAXIN(商標)(MedImmune, Inc.)が挙げられる。小分子ペプチドメトリックインテグリンαvβ3アンタゴニストの限定されない例としては、S836(Searle)およびS448(Searle)が挙げられる。ジスインテグリンの例としては、限定されるものではないが、Accutinが挙げられる。本発明はまた、本発明の組成物および方法における以下の米国特許および国際公開公報に開示されているインテグリンαvβ3アンタゴニストのいずれの使用も包含する:米国特許第5,149,780号;同第5,196,511号;同第5,204,445号;同第5,262,520号;同第5,306,620号;同第5,478,725号;同第5,498,694号;同第5,523,209号;同第5,578,704号;同第5,589,570号;同第5,652,109号;同第5,652,110号;同第5,693,612号;同第5,705,481号;同第5,753,230号;同第5,767,071号;同第5,770,565号;同第5,780,426号;同第5,817,457号;同第5,830,678号;同第5,849,692号;同第5,955,572号;同第5,985,278号;同第6,048,861号;同第6,090,944号;同第6,096,707号;同第6,130,231号;同第6,153,628号;同第6,160,099号;および同第6,171,588号;ならびに国際公開第95/22543号;同第98/33919号;同第00/78815号;および同第02/070007号(各々、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。一実施形態では、抗脈管形成薬はVITAXIN(商標)(MedImmune, Inc.)またはその抗原結合フラグメントである。
本発明の特定の実施形態では、抗脈管形成薬はエンドスタチンである。天然に存在するエンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのC末端の180のアミノ酸からなる(コラーゲンXVIIIの2つのスプライス型をコードするcDNAはGenBank受託番号AF18081およびAF18082を有する)。本発明の別の実施形態では、抗脈管形成薬はプラスミノーゲンフラグメントである(プラスミノーゲンのコード配列は、GenBank受託番号NM_000301およびA33096に見出すことができる)。アンギオスタチンペプチドは本来、プラスミノーゲンの4つのクリングルドメイン、クリングル1〜クリングル4を含む。組換え体クリングル1、2および3は天然ペプチドの抗脈管形成特性を有するが、クリングル4はそのような活性を持たないことが実証されている(Caoら, 1996, J. Biol. Chem. 271:29461-29467)。よって、アンギオスタチンペプチドは、クリングル1、クリングル2およびクリングル3からなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは2以上のクリングルドメインを含む。特定の実施形態では、抗脈管形成ペプチドは、ヒトアンギオスタチン分子の40kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の42kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の45kDaイソ型、またはそれらの組合せである。別の実施形態では、抗脈管形成薬はプラスミノーゲンのクリングル5ドメインであり、これはアンギオスタチン(アンギオスタチンはクリングルドメイン1〜4を含む)よりも強力な脈管形成阻害剤である。本発明の別の実施形態では、抗脈管形成薬はアンチトロンビンIIIである。アンチトロンビンIIIは(以下、アンチトロンビンと呼ぶ)、このタンパク質を血管壁につなぎ止めるヘパリン結合ドメインとトロンビンと相互作用する活性部位ループを含む。アンチトロンビンがヘパリンにつなぎ止められると、このタンパク質は、活性ループをトロンビンと相互作用させ、トロンビンによる該ループのタンパク質分解切断をもたらすコンフォメーション変化を惹起する。このタンパク質分解切断は、(i)トロンビンとアンチトロンビンの間の相互作用界面を変化させ、(ii)複合型ヘパリンを放出するアンチトロンビンのコンフォメーションの別の変化をもたらす(Carrell, 1999, Science 285:1861-1862,およびその中の参照文献)。O’Reillyら(1999, Science 285:1926-1928)は、この切断されたアンチトロンビンは強力な抗脈管形成活性を有することを見出した。よって、一実施形態では、抗脈管形成薬は抗脈管形成型のアンチトロンビンである。本発明の別の実施形態では、抗脈管形成薬は、フィブロネクチンの40kDaおよび/または29kDaのタンパク質分解フラグメントである。
本発明の別の実施形態では、抗脈管形成薬は、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)受容体アンタゴニストである。この実施形態の一態様では、このアンタゴニストはuPAのドミナントネガティブ突然変異体である(例えば、Crowleyら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5021-5025参照)。この実施形態のもう1つの態様では、このアンタゴニストはペプチドアンタゴニストまたはその融合タンパク質である(Goodsonら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:7129-7133)。この実施形態のさらにもう1つの態様では、このアンタゴニストはドミナントネガティブ型の可溶性uPA受容体である(Minら, 1996, 癌 Res. 56:2428-2433)。本発明の別の実施形態では、本発明の治療分子は、およそ120アミノ酸、またはその生物学的に活性なフラグメントを含む、プロラクチンの16kDa N末端フラグメントである(プロラクチンのコード配列はGenBank受託番号NM_000948に見出すことができる)。本発明の別の実施形態では、抗脈管形成薬は、7.8kDaの血小板因子-4フラグメントである。本発明の別の実施形態では、本発明の治療分子は、血小板因子-4の抗脈管形成性の13アミノ酸フラグメント;13.40と呼ばれる抗脈管形成因子;トロンボスポンジンIの抗脈管形成性の22アミノ酸ペプチドフラグメント;SPARCの抗脈管形成性の20アミノ酸ペプチドフラグメント;ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲン、またはEGFの抗脈管形成性の小ペプチド;またはインテグリンαvβ3またはVEGF受容体の小ペプチドアンタゴニストに相当する小ペプチドである。別の実施形態では、小ペプチドは、RGDまたはNGRモチーフを含む。ある特定の実施形態では、抗脈管形成薬はTNF-αアンタゴニストである。他の実施形態では、抗脈管形成薬はTNF-αアンタゴニストではない。
抗脈管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドをコードする核酸分子、抗脈管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドは、本発明の方法に従い、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。さらに、抗脈管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの誘導体、類似体、フラグメント、もしくは変異体をコードする核酸分子、または抗脈管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの誘導体、類似体、フラグメント、もしくは変異体は、本発明の方法に従い、非新生物性過増殖性上皮細胞および/または内皮細胞疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。一実施形態では、このような誘導体、類似体、変異体、およびフラグメントは、全長、野生型タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの抗脈管形成活性を保持している。
抗脈管形成薬として使用可能なタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、当技術分野で周知の、または本明細書に記載のいずれかの技術によって作出することができる。抗脈管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、当技術分野で周知の、または本明細書に記載の技術を用いて、このようなタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのin vivo半減期を延長するために操作することができる。一実施形態では、本発明の組成物および方法において、市販されている抗脈管形成薬が使用される。薬剤の抗脈管形成活性は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、当業者に周知のいずれかの技術によって測定することができる。
5.2.2.4 TNF-αアンタゴニスト
本発明の組成物および方法においては、当業者に周知のいずれのTNF-αアンタゴニストも使用可能である。TNF-αアンタゴニストの限定されない例としては、TNF-αの機能、活性および/または発現を遮断、低減、阻害する、または打ち消す、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、およびその抗原結合フラグメント)、例えば、TNF-αと特異的に結合する抗体、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。様々な実施形態では、TNF-αアンタゴニストは、TNF-αの機能、活性および/または発現を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの対照の、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低減する。
TNF-αと特異的に結合する抗体としては、限定されるものではないが、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標); Centacor)、D2E7(Abbott Laboratories/Knoll Pharmaceuticals Co., Mt. Olive, N.J.)、HUMICADE(商標)としても知られるCDP571およびCDP-870(双方とも、Celltech/Pharmacia, Slough, U.K.)、ならびにTN3-19.12(Williamsら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2762-2766; Thorbeckeら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7375-7379)が挙げられる。本発明はまた、本発明の組成物および方法における以下の米国特許第5,136,021号;同第5,147,638号;同第5,223,395号;同第5,231,024号;同第5,334,380号;同第5,360,716号;同第5,426,181号;同第5,436,154号;同第5,610,279号;同第5,644,034号;同第5,656,272号;同第5,658,746号;同第5,698,195号;同第5,736,138号;同第5,741,488号;同第5,808,029号;同第5,919,452号;同第5,958,412号;同第5,959,087号;同第5,968,741号;同第5,994,510号;同第6,036,978号;同第6,114,517号;および同第6,171,787号(各々、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に開示されているTNF-αと特異的に結合する抗体の使用を包含する。可溶性のTNF-α受容体としては、限定されるものではないが、sTNF-R1(Amgen)、etanercept(ENBPEL(商標); Immunex)およびそのラットホモログR ENBPEL(商標)、TNFrI、TNFrII由来のTNF-αの可溶性阻害剤(Kohnoら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8331-8335)、およびTNF-αInh(Seckingerら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5188-5192)が挙げられる。
一実施形態では、本発明の組成物および方法に用いられるTNF-αアンタゴニストは、可溶性TNF-α受容体である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法に用いられるTNF-αアンタゴニストは、etanercept(ENBREL(商標); Immunex)またはそのフラグメント、誘導体または類似体である。別の実施形態では、本発明の組成物および方法に用いられるTNF-αアンタゴニストは、TNF-αと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法に用いられるTNF-αアンタゴニストは、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標); Centacor)、その誘導体、類似体または抗原結合フラグメントである。
本発明により包含される他のTNF-αアンタゴニストは、限定されるものではないが、インターフェロンγ活性化マクロファージを介してTNF-α産生を遮断することが知られているIL-10(Oswaldら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:8676-8680)、TNFR-IgG(Ashkenaziら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535-10539)、ネズミ産物TBP-1(Serono/Yeda)、ワクチンCytoTAb(Protherics)、アンチセンス分子104838(ISIS)、ペプチドRDP-58(SangStat)、サリドマイド(Celgene)、CDC-801(Celgene)、DPC-333(Dupont)、VX-745(Vertex)、AGIX-4207(AtheroGenics)、ITF-2357(Italfarmaco)、NPI-13021-31(Nereus)、SCIO-469(Scios)、TACE targeter(Immunix/AHP)、CLX-120500(Calyx)、チアゾロピリム(Dynavax)、オーラノフィン(Ridaura)(SmithKline Beecham Pharmaceuticals)、キナクリン(メパクリンジクロロヒドレート)、テニダップ(Enablex)、メラニン(Large Scale Biological)、およびUriachによる抗p38 MAPK薬が挙げられる。
TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドをコードする核酸分子、またはTNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドは、本発明の方法に従い、炎症性疾患または自己免疫疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。さらに、TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの、誘導体、類似体、フラグメントもしくは変異体をコードする核酸分子、またはTNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチド誘導体、類似体、フラグメントもしくは変異体は、本発明の方法の従い、炎症性疾患または自己免疫疾患のリスクのある、またはそれらに罹患している被験体に投与することができる。一実施形態では、このような誘導体、類似体、変異体およびフラグメントは、全長、野生型タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのTNF-αアンタゴニスト活性を保持している。
TNF-αアンタゴニストとして使用可能なタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、当技術分野で周知の、または本明細書に記載のいずれかの技術によって作出することができる。TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、当技術分野で周知の、または本明細書に記載の技術を用い、このようなタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのin vivo半減期を増大するよう操作することができる。一実施形態では、本発明の組成物および方法において、市販されており、TNF-αアンタゴニストとして機能することが知られている薬剤が用いられる。薬剤のTNF-αアンタゴニスト活性は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、当業者に周知のいずれかの技術により測定することができる。
5.2.2.5 抗癌薬
癌(良性、悪性または転移性)などの増殖性疾患、またはその1以上の症状の予防、治療、管理、または改善に有用であることを知られている、または使用されていた、または使用中である療法(例えば、予防薬または治療薬)は、本発明の組成物および方法において使用可能である。療法(例えば、治療薬または予防薬)としては、限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、核酸分子、小分子、ミメティック剤(mimetic;模倣剤)、合成薬物、無機分子、および有機分子が挙げられる。癌療法の限定されない例としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法が挙げられる。
ある特定の実施形態では、抗癌薬は、化学療法薬などの免疫調節薬である。ある特定の他の実施形態では、抗癌薬は、化学療法薬以外の免疫調節薬である。他の実施形態では、抗癌薬は免疫調節薬ではない。特定の実施形態では、抗癌薬は抗脈管形成薬である。他の実施形態では、抗癌薬は抗脈管形成薬ではない。特定の実施形態では、抗癌薬は抗炎症薬である。他の実施形態では、抗癌薬は抗炎症薬ではない。
特定の実施形態では、抗癌薬は、限定されるものではないが、アシビシン(acivicin);アクラルビシン(aclarubicin);塩酸アコダゾール(acodazole hydrochloride);アクロニン(acronine);アドレゼシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);アルトレタミン (altretamine);アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン(ametantrone acetate);アミノグルテチミド(aminoglutethimide);アムサクリン(amsacrine);アナストロゾール(anastrozole);アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン(azacitidine);アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド(bicalutamide);塩酸ビサントレン(bisantrene hydrochloride);ジメシル酸ビスナフィド(bisnafide dimesylate);ビスホスホネート(例えば、パミドロネート(pamidronate)(Aredria)、クロンドロン酸ナトリウム(sodium clondronate)(Bonefos)、ゾレンドロン酸(zoledronic acid)(Zometa)、アレンドロネート(alendronate)(Fosamax)、エチドロネート(etidronate)、イバンドロネート(ibandornate)、シマドロネート(cimadronate)、リセドロメート(risedromate)、およびチルドロメート(tiludromate));ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン(bleomycin sulfate);ブレキナルナトリウム(brequinar sodium);ブロミリミン(bropirimine);ブスルファン(busulfan);カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン(calusterone);カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン(carboplatin);カルムスチン(carmustine);塩酸カルビシン(carubicin hydrochloride);カルレゼシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル(chlorambucil);シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン(cisplatin);クラドリビン(cladribine);メシル酸クリスナトール(crisnatol mesylate);シクロホスファミド(cyclophosphamide);シタラビン(cytarabine);ダカルバジン(dacarbazine);ダクチノマイシン(dactinomycin);塩酸ダウノルビシン(daunorubicin hydrochloride);デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);メシル酸デザグアニン(dezaguanine mesylate);ジアジコン(diaziquone);ドセタキセル(docetaxel);ドキソルビシン(doxorubicin);塩酸ドキソルビシン(doxorubicin hydrochloride);ドロロキシフェン(droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン(droloxifene citrate);プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate);ドゥアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート(edatrexate);塩酸エフロールニチン(eflornithine hydrochloride);EphA2阻害剤(例えば、EphA2のリン酸化とEphA2の分解をもたらす抗EphA2抗体)(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第60/418,213号参照);エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン(enloplatin);エンプロマート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン(epirubicin hydrochloride);エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン(esorubicin hydrochloride);エストラムスチン(estramustine);リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium);エタニダゾール(etanidazole);エトポシド(etoposide);リン酸エトポシド(etoposide phosphate);エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール(fadrozole hydrochloride);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フロクスウリジン(floxuridine);リン酸フルダラビン(fludarabine phosphate);フルオロウラシル(fluorouracil);フルロシタビン(flurocitabine);ホスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム(fostriecin sodium);ゲムシタビン(gemcitabine);塩酸ゲムシタビン(gemcitabine hydrochloride);ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン(idarubicin hydrochloride);イフォスファミド(ifosfamide);イルモホシン(ilmofosine);インターロイキンII(組換えインターロイキンII、またはrIL2を含む)、インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン(irinotecan hydrochloride);酢酸ランレオチド(lanreotide acetate);レトロゾール(letrozole);酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate);塩酸リアロゾール(liarozole hydrochloride);ロメトレキソールナトリウム(lometrexol sodium);ロムスチン(lomustine);塩酸ロソキサントロン(losoxantrone hydrochloride);マソプロコール(masoprocol);マイタンシン(maytansine);塩酸メクロレタミン(mechlorethamine hydrochloride);抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(siplizumab)(MedImmune Inc.;参照によりそのまま本明細書に組み入れられる国際公開第02/098370号));酢酸メゲストロール(megestrol acetate);酢酸メレンゲステロール(melengestrol acetate);メルファラン(melphalan);メノガリル(menogaril);メルカプトプリン(mercaptopurine);メトトレキサート(methotrexate);メトトレキサートナトリウム(methotrexate sodium);メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);マイトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);マイトリジン(mitogillin);マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン(mitomycin);ミトスペル(mitosper);ミトタン(mitotane);塩酸ミトキサントロン(mitoxantrone hydrochloride);ミコフェノール酸(mycophenolic acid);ノコダゾール(nocodazole);ノガラマイシン(nogalamycin);オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル(paclitaxel);ペグアスパラガーゼ(pegaspargase);ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン(peplomycin sulfate);ペルホスファミド(perfosfamide);ピロブロマン(pipobroman);ピポスルファン(piposulfan);塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride);プリカマイシン(plicamycin);プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニムスチン(prednimustine);塩酸プロカルバジン(procarbazine hydrochloride);ピューロマイシン(puromycin);塩酸ピューロマイシン(puromycin hydrochloride);ピラゾフリン(pyrazofurin);リボプリン(riboprine);ログレチミド(rogletimide);サフィンゴール(safingol);塩酸サフィンゴール(safingol hydrochloride);セムスタチン(semustine);シムトラゼン(simtrazene);スパルフォセートナトリウム(sparfosate sodium);スパルソマイシン(sparsomycin);塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium hydrochloride);スピロムスチン(spiromustine);スピロプラチン(spiroplatin);ストレプトニグリン(streptonigrin);ストレプトゾシン(streptozocin);スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);塩酸テロキサトロン(teloxantrone hydrochloride);テモプルフィン(temoporfin);テニポシド(teniposide);テロキシロン(teroxirone);テストラクトン(testolactone);チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン(thioguanine);チオテパ(thiotepa);チアゾフリン(tiazofurin);チラパザミン(tirapazamine);クエン酸トレミフェン(toremifene citrate);酢酸トレストロン(trestolone acetate);リン酸トリシリビン(triciribine phosphate);トリメトレキサート(trimetrexate);グルクロン酸トリメトレキサート(trimetrexate glucuronate);トリプトレリン(triptorelin);塩酸ツブロゾール(tubulozole hydrochloride);ウラシルマスタード(uracil mustard);ウレデパ(uredepa);バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン(verteporfin);硫酸ビンブラスチン(vinblastine sulfate);硫酸ビンクリスチン(vincristine sulfate);ビンデシン(vindesine);硫酸ビンデシン(vindesine sulfate);硫酸ビネピジン(vinepidine sulfate);硫酸ビングリシネート(vinglycinate sulfate );硫酸ビンレウロシン(vinleurosine sulfate);酒石酸ビノレルビン(vinorelbine tartrate);硫酸ビンロシジン(vinrosidine sulfate);硫酸ビンゾリジン(vinzolidine sulfate);ボロゾール(vorozole);ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン(zinostatin);塩酸ゾルビシン(zorubicin hydrochloride)が挙げられる。
他の抗癌薬としては、限定されるものではないが、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン(aclarubicin);アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン(altretamine);アンバムスチン(ambamustine);アミドクス(amidox);アミフォスチン(amifostine);アミノレブリン酸(aminolevulinic acid);アムルビシン(amrubicin);アムサクリン(amsacrine);アナグレライド(anagrelide);アナストロゾール(anastrozole);アンドログラフォライド(andrographolide);脈管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス(antarelix);抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン作用薬、前立腺癌;抗エストロゲン作用薬 ;アンチネオプラストン(antineoplaston);アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン(aphidicolin glycinate);アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸(apurinic acid);ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチンaxinastatin)2;アキシナスタチン(axinastatin)3;アザセトロン(azasetron);アザトキシン(azatoxin);アザチロシン(azatyrosine);バッカチン(baccatin)III誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット(batimastat);BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン(benzochlorins);ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);βラクタム誘導体;β-アレシン(alethine);ベタクラマイシン(betaclamycin)B;ベツリン酸(betulinic acid);bFGF阻害剤;ビカルタミド(bicalutamide);ビサントレン(bisantrene);ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド(bisnafide);ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン(bistratene);ブレフレート(breflate);ブロピリミン(bropirimine);ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルフォキシミン(buthionine sulfoximine);カルシポトリオール(calcipotriol);カルフォスチン(calphostin)C;カンプトテシン(camptothecin)誘導体;カナリアポックス(canarypox)IL-2;カペシタビン(capecitabine);カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルレゼシン(carzelesin);カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン(castanospermine);セクロピン(cecropin)B;セトロレリクス(cetrorelix);クロルリンス(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド(chloroquinoxaline sulfonamide);シカプロスト(cicaprost);シス-ポルフィリン(cis-porphyrin);クラドリビン(cladribine);クロミフェン(clomifene)類似体;クロトリマゾール(clotrimazole);コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシン(collismycin)B;コンブレタスタチン(combretastatin)A4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン(conagenin);クランベスシジン(crambescidin)816;クリスナトール(crisnatol);クリプトフィシン(cryptophycin)8;クリプトフィシン(cryptophycin)A誘導体;キュラシン(curacin)A;シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinones);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート(cytarabine ocfosfate);細胞溶解性因子;サイトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン(dacliximab);デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン(deslorelin);デキサメタゾン(dexamethasone);デクスイフォスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン(dexrazoxane);デクスベラパミール(dexverapamil);ジアジコン(diaziquone);ジデムニン(didemnin)B;ジドクス(didox);ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine);ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール(dihydrotaxol)、ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine);ドセタキセル(docetaxel);ドコサノール(docosanol);ドラセトロン(dolasetron);ドキシフルリジン(doxifluridine);ドロロキシフェン(droloxifene);ドロナビノール(dronabinol);デュオカルマイシン(duocarmycin)SA;エブセレン(ebselen);エコムスチン(ecomustine);エデルホシン(edelfosine);エドレコロマブ(edrecolomab);エフロールニチン(eflornithine);エレメン(elemene);エミテフル(emitefur);エピルビシン(epirubicin);エプリステリド(epristeride);エストラムスチン(estramustine)類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール(etanidazole);リン酸エトポシド(etoposide phosphate);エキセメスタン(exemestane);ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フィルグラスチム(filgrastim);フィナステリド(finasteride);フラボピリドール(flavopiridol);フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン(fludarabine);塩酸フルオロドーノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride);ホルフェニメクス(forfenimex);フォルメスタン(formestane);フォストリエシン(fostriecin);フォテムスチン(fotemustine);ガドリニウムテキサフィリン(gadolinium texaphyrin);硝酸ガリウム;ガロシタビン(galocitabine);ガニレリックス(ganirelix);ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン(gemcitabine);グルタチオン阻害剤;HMG CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、レスコール(lescol)、ルピトール(lupitor)、ロバスタチン(lovastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、およびシンバスタチン(simvastatin));ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン(heregulin);ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン(hypericin);イバンドロン酸(ibandronic acid);イダルビシン(idarubicin);イドキシフェン(idoxifene);イダプロフェン(idramantone);イルモホシン(ilmofosine);イロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン(imidazoacridones);イミキモド(imiquimod);免疫賦活薬ペプチド;インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール(ipomeanol)、4-イロプラクト(iroplact);イルソグラジン(irsogladine);イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン(itasetron);ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリド(kahalalide)F;ラメラリン(lamellarin)-Nトリアセテート;ランレオチド(lanreotide);レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム(lenograstim);硫酸レンチナン(lentinan sulfate);レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール(letrozole);白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド(leuprolide)+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン(leuprorelin);レバミゾール(levamisole);LFA-3TIP(Biogen, Cambridge, MA;国際公開第93/0686号および米国特許第6,162,432号);リアロゾール(liarozole);直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリンアミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン(lobaplatin);ロンブリシン(lombricine);ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン(lonidamine);ロソキサントロン(losoxantrone);ロバスタチン(lovastatin);ロキソリビン(loxoribine);ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン(lutetium texaphyrin);リソフィリン(lysofylline);溶解性ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチン(mannostatin)A;マリマスタット(marimastat);マソプロコール(masoprocol);マスピン(maspin);マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル(menogaril);メルバロン(merbarone);メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ(methioninase);メトクロプラミド(metoclopramide);MIF阻害剤;ミフェリプリストン(mifepristone);ミルテホシン(miltefosine);ミリモスチム(mirimostim);誤対合二本鎖RNA;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトラクトール(mitolactol);マイトマイシン類似体;ミトナフィド(mitonafide);マイトトキシン繊維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン(mitoxantrone);モファロテン(mofarotene);モルグラモスチム(molgramostim);モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリア細胞壁sk;モピダモール(mopidamol);多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍サプレッサー1に基づく療法;マスタード抗癌薬;ミカペルオキシド(mycaperoxide)B;ミオバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン(nafarelin);ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン(naloxone)+ペンタゾシン(pentazocine);ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム(nartograstim);ネバプラチン(nedaplatin);ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸(neridronic acid);神経エンドペプチダーゼ;ニルタミド(nilutamide);ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド(octreotide);オキシセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン(ondansetron);オンダンセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカインインデューサー;オルマプラチン(ormaplatin);オサテロン(osaterone);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル(paclitaxel);パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸(pamidronic acid);パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ペグアスパラガーゼ(pegaspargase);ペルデシン(peldesine);ペントサンポリスルフェートナトリウム;ペントスタチン(pentostatin);ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン(perflubron);ペルホスファミド(perfosfamide);ペリリルアルコール(perillyl alcohol);フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル(picibanil); 塩酸ピロカルピン(pilocarpine hydrochloride);ピラルビシン(pirarubicin);ピリトレキシム(piritrexim);プラセチン(placetin)A;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニゾン(prednisone);プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;Aタンパク質に基づく免疫調節薬;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微小藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド(raltitrexed);ラモセトロン(ramosetron);rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン(retelliptine);レニウムRe 186 エチドロネート;リゾキシン(rhizoxin);リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド(rogletimide);ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド(romurtide);ロキニメックス(roquinimex);ルビギノン(rubiginone)B1;ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴール(safingol);サントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトール(sarcophytol)A;サルグラモスチム(sargramostim);Sdi 1ミメティクス;セム
スタチン(semustine);老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン(sizofiran);ソブゾキサン(sobuzoxane);ナトリウムボロカプテート(sodium borocaptate);フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホス酸(sparfosic acid);スピカマイシン(spicamycin)D;スピロムスチン(spiromustine);スプレノペンチン(splenopentin);スポンジスタチン(spongistatin )1;スクアラミン(squalamine);幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);超活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン(suramin);スワインソニン(swainsonine);合成グリコサミノグリカン;タリムスチン(tallimustine);5-フルオロウラシル;ロイコボリン(leucovorin);タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide);タウロムスチン(tauromustine);タザロテン(tazarotene);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモプロフィンテモポルフィン(temoporfin);テモゾロマイド(temozolomide);テニポシド(teniposide);テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポエチン(thrombopoietin);トロンボポエチンミメティック;チマルファシン(thymalfasin);チモポエチン(thymopoietin)受容体アゴニスト;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン(tin ethyl etiopurpurin);チラパザミン(tirapazamine);二塩化チタノセン(titanocene bichloride);トプセンチン(topsentin);トレミフェン(toremifene);全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン(tretinoin);トリアセチルウリジン;トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート(trimetrexate);トリプトレイン(triptorelin);トロピセトロン(tropisetron);ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害剤;チルフォスチン(tyrphostin);UBC阻害剤;ウベニメクス(ubenimex);尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド(vapreotide);バリオリン(variolin)B;ベクター系、赤血球遺伝子療法;サリドマイド;ベラレソール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン(verdins);ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン(vinorelbine);vinxaltine(vinxaltine);VITAXIN(商標)( “Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents”と題された2002年11月14日付けの米国特許第2002/0168360 A1号参照);ボロゾール(vorozole);ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン(zeniplatin);ジラスコブ(zilascorb);およびジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられる。
特定の実施形態では、癌細胞を破壊するためにX線、γ線およびその他の放射線源を使用することを含む放射線療法が、本発明の抗体と組み合わせて使用される。特定の実施形態では、放射線治療は、離れた照射源から放射線が当てられる、外部照射療法または遠隔照射療法として投与される。他の特定の実施形態では、放射線治療は、放射源が体内の癌細胞または腫瘍塊に近接して置かれる、内部照射療法または近接照射療法としてとして投与される。
癌療法およびそれらの用量、投与経路および奨励される使用は当技術分野で公知であり、 the Physician’s Desk Reference (第56版, 2002)のような文献に記載されている。
5.3 治療有用性または予防有用性の特性決定および証明
本発明の予防プロトコールおよび/または治療プロトコールの毒性および効力は、例えば、LD50(集団の50%に対しての致死量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物での標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性作用と治療作用の間の用量比が治療係数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。大きな 治療係数を示す予防薬および/または治療薬が好ましい。有毒な副作用を示す予防薬および/または治療薬を用いることができるが、非感染細胞に対する潜在的傷害を最小とし、それにより副作用を軽減するために、このような薬剤を罹患組織部位に標的化する送達系をデザインするよう配慮しなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトで用いるためのに一定範囲の用量の予防薬および/または治療薬を処方する上で使用することができる。このような薬剤の用量は、ほとんど、または全く毒性の無いED50を含む一定範囲の循環濃度内にあることが好ましい。用量は、用いる投与形および用いる投与経路に応じて、この範囲内で可変である。本発明の方法で使用される。本発明の方法に用いられるいずれの薬剤では、治療上有効な用量はまず細胞培養アッセイから評価することができる。用量は、細胞培養で決定されるIC50(すなわち、症状の最大の半分の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルで処方してもよい。このような情報を用い、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
本発明に従って用いられる療法の治療活性または予防活性はまた、種々の試験動物モデルを用いて決定することができる。例えば、限定されるものではないが、癌の研究では、マウスEphA2がヒトEphA2 に置換されているSCIDマウスモデルまたはトランスジェニックマウス、ヒト異種移植片を有するヌードマウス、または当技術分野で公知であり、各々参照によりそのまま本明細書に組み入れられる、Relevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development (1999, Fiebig and Burger編); Contributions to Oncology (1999, Karger); The Nude Mouse in Oncology Research (1991, Boven and Winograd編);およびAnticancer Drug Development Guide (1997, Teicher編)に記載されているいずれかの動物モデルが挙げられる。
5.3.1治療有用性の証明
本発明のプロトコールおよび組成物は、ヒトでの使用の前に、in vitroで、その後、in vivoで、所望の治療活性または予防活性を試験することが好ましい。例えば、特定の治療プロトコールの投与が指示されるかどうかを決定するために使用するこができるin vitroアッセイとしては、患者の組織サンプルを培養増殖され、プロトコールに曝され、またはそうでなければ投与され、その組織サンプルに対するこのようなプロトコールの効果が観測される(例えば、Eph受容体および/またはEphrinのリン酸化/分解を増加させる)in vitro細胞培養アッセイを含む。接触した細胞の増殖または生存のレベルが低いほど、その治療薬が患者の症状の治療に有効であること示す。あるいは、患者由来の細胞を培養する代わりに、治療薬および方法を腫瘍または悪性細胞系統の細胞を用いてスクリーニングすることができる。このような生存および/または増殖を評価するために使用可能な当技術分野で標準的な多くのアッセイ、例えば、細胞増殖は3H-チミジン取り込みの測定、直接的な細胞の計数、前癌遺伝子(例えば、fos、myc) または細胞周期マーカーなどの既知の遺伝子の転写活性における変化の検出によってアッセイすることができ;細胞の生存率は、トリパンプルー染色により評価することができ;分化は、形態の変化、Eph受容体および/またはEphrinなどのリン酸化/分解の増加に基づいて視覚的に評価することができる。
治療に用いられる化合物は、ヒトでの試験の前に、限定されるものではないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ、ハムスターなど、例えば、上記の動物モデルを含む好適な動物モデル系で試験することができる。次に、これらの化合物を適当な臨床試験で使用することができる。
さらに、癌の治療または予防のための本明細書に開示されるコンビナトリアル療法の予防有用性および/または治療有用性を評価するためには、当業者に公知のアッセイを用いることができる。
5.4 医薬組成物
5.4.1 遺伝子療法
特定の実施形態では、本発明の抗体をコードする核酸を含むヌクレオチド配列、または別の予防薬または治療薬は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を遺伝子療法によって治療、予防、管理、および/または改善するために投与することができる。遺伝子療法とは、発現した、または発現可能な核酸の被験体への投与によって実施される療法を表す。本発明のこの実施形態では、これらの核酸は、それらのコードされている本発明の抗体、または予防作用または治療作用を媒介する予防薬または治療薬を産生する。
当技術分野で利用可能な遺伝子療法のいずれの方法も本発明に従って使用可能である。遺伝子療法の方法の一般的な総説としては、Goldspielら, 1993, Clinical Pharmacy 12:488-505; Wu and Wu, 1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596; Mulligan, Science 260:926-932 (1993);およびMorgan and Morgan and Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; May, 1993, TIBTECH 11(5):155-215参照。使用可能な組換えDNA技術で当技術分野で一般に知られている方法はAusubelら(編), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993); およびKriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990)に記載されている。
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の抗体をコードする核酸を含む組成物、または他の予防薬もしくは治療薬の投与を含み、該核酸は、好適な宿主において、本発明の抗体、または他の予防薬もしくは治療薬、またはそのフラグメントもしくはキメラタンパク質または重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部である。特に、このような核酸は、抗体コード領域に作動可能なように連結されたプロモーター、好ましくは、異種プロモーターを有し、該プロモーターは誘導型または構成型であり、所望により組織特異的である。別の実施形態では、核酸分子は、本発明の抗体または他の予防薬もしくは治療薬のコード配列と他の所望の配列が、ゲノム内の所望の部位における相同組換えを促進する領域によりフランキングされており、従って、抗体コード核酸の染色体内発現が得られる核酸分子が用いられる(Koller and Smithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935; Zijlstraら, 1989, Nature 342:435-438)。特定の実施形態では、発現された本発明の抗体または他の予防薬もしくは治療薬は単鎖抗体であるか、あるいは、この核酸配列は、本発明の抗体の重鎖および軽鎖の双方、またはそのフラグメントをコードする配列、または他の予防薬もしくは治療薬を含む。
これらの核酸の被験体への送達は、直接的であってもよいし(被験体が核酸または核酸担持ベクターに直接曝される場合)、あるいは間接的であってもよい(細胞がまずin vitroにおいて核酸で形質転換され、次に被験体に移植される場合)。これら2つのアプローチはそれぞれin vivoまたはex vivo遺伝子療法として知られている。
特定の実施形態では、これらの核酸配列はin vivo において直接投与され、そこでそれらが発現されて、コードされている産物を産生する。これは当技術分野で公知の多くの方法のいずれか、例えば、それらを適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば、欠陥もしくは弱毒レトロウイルスまたは他のウイルスベクターを用いた感染(米国特許第4,980,286号参照)によるか、または裸のDNAの直接注射によるか、または微粒子衝撃(例えば、遺伝子ガン; Biolistic, Dupont)の使用によるか、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクティング薬剤でのコーティング、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中への封入、または核に侵入することが知られているペプチドとの結合におけるそれらの投与によるか、または受容体媒介エンドサイトーシスを受けるリガンドとの結合におけるその投与によって、それらが細胞内に存在するように投与することで達成することができる(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照)(これらの受容体を特異的に発現する細胞種を標的とするために使用することができる)。別の実施形態では、核酸-リガンド複合体を形成することができ、そのリガンドはエンドソームを破壊して核酸にリソソーム分解を回避させる膜融合能なウイルスペプチドを含む。さらに別の実施形態では、特異的な受容体を標的化することにより、in vivoにおいて核酸を細胞特異的な取り込みおよび発現に関して標的化することができる(例えば、国際公開第92/06180号;同第92/22635号;同第92/20316号;同第93/14188号;および同第93/20221号参照)。あるいは、核酸は、細胞内に導入し、発現のため相同組換えにより宿主細胞DNA内に組み込むことができる(Koller and Smithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935; およびZijlstraら, 1989, Nature 342:435-438)。
特定の実施形態では、本発明の抗体、他の予防薬もしくは治療薬をコードする核酸配列、またはそのフラグメントを含むウイルスベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが使用可能である(Millerら, 1993, Meth. Enzymol. 217:581-599参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正確なパッケージングと宿主細胞DNAへの組込みに必要な成分を含む。遺伝子療法に用いられる本発明の抗体、または他の予防薬もしくは治療薬をコードする核酸配列は、その遺伝子を被験体に送達する助けをする1以上のベクター中にクローニングされる。レトロウイルスベクターについてさらに詳しいことは、Boesenら, 1994, Biotherapy 6:291-302に見出すことができ、これには幹細胞を化学療法により耐性とするために、mdr 1遺伝子を造血幹細胞へ送達するためのレトロウイルスベクターの使用が記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を解説した他の参照文献としては、Clowesら, 1994, J. Clin. Invest. 93:644-651; Kleinら, 1994, Blood 83:1467-1473; Salmons and Gunzberg, 1993, Human Gene Therapy 4:129-141; およびGrossman and Wilson, 1993, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114がある。
アデノウイルスは、遺伝子療法に使用可能な他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸器上皮に遺伝子を送達するために特に有望な運搬体である。アデノウイルスは自然状態で呼吸器上皮に感染し、そこで軽い疾患を起こす。アデノウイルスに基づく送達系のその他の標的としては、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉がある。アデノウイルスは非分裂細胞に感染することができるという利点を持つ。Kozarsky and Wilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503は、アデノウイルスに基づく遺伝子療法の総説である。Boutら, 1994, Human Gene Therapy 5:3-10には、アカゲザルの呼吸器上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用が示されている。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら, 1991, Science 252:431-434; Rosenfeldら, 1992, Cell 68:143-155; Mastrangeliら, 1993, J. Clin. Invest. 91:225-234; PCT公開第94/12649号; およびWangら, 1995, Gene Therapy 2:775-783に見出すことができる。特定の実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。
アデノ随伴ウイルス(AAV)もまた、遺伝子療法において用いるために提案されている(Walshら, 1993, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289-300; および米国特許第5,436,146号)。
遺伝子療法の別のアプローチとしては、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法により、組織培養細胞に遺伝子を移入することを含む。通常、移入方法は、選択マーカーの細胞への移入を含む。次に、これらの細胞を選択下に置き、移入遺伝子を取り込み、それを発現している細胞を単離する。その後、これらの細胞を被験体へ送達する。
この実施形態では、核酸は、結果として得られる組換え細胞のin vivo投与の前に細胞に導入される。このような導入は、限定されるものではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体により媒介される遺伝子導入、マイクロセルにより媒介される遺伝子導入、スフェロプラスト融合などを含む、当技術分野で公知のいずれかの方法によって行うことができる。当技術分野では、外来遺伝子を細胞内に導入するための多くの技術が知られており(例えば、Loeffler and Behr, 1993, Meth. Enzymol. 217:599-618; Cohenら, 1993, Meth. Enzymol. 217:618-644; Clin. Pharma. Ther. 29:69-92 (1985)参照)、レシピエント細胞の必要な発達機能および生理機能が破壊されない限り、本発明に従って使用することができる。この技術は細胞への核酸の安定な移入をもたらすはずであり、従って、核酸は細胞によって発現可能であり、好ましくは遺伝可能であり、その細胞の後代によって発現可能である。
得られた組換え細胞は当技術分野で公知の様々な方法により被験体へ送達することができる。組換え血液細胞(例えば、造血薬肝細胞または前駆細胞)は好ましくは静脈投与される。使用のために想定される細胞の量は、限定されるものではないが、所望の作用および患者の状態を含むいくつかの因子によって異なり、当業者ならば決定することができる。
遺伝子療法を目的に核酸を導入可能な細胞は、所望の、利用可能ないずれの細胞種も包含し、限定されるものではないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、肥満細胞、巨核球、顆粒球などの血液細胞;様々な肝細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または前駆細胞(例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓から得られるものなど)が挙げられる。特定の実施形態では、遺伝子療法に用いられる細胞は、被験体の自己のものである。
遺伝子療法に組換え細胞が用いられる一実施形態では、抗体またはそのフラグメントをコードする核酸配列が、細胞、またはそれらの後代によって発現可能なように細胞に導入され、その後、これらの組換え細胞が治療作用を目的にin vitroで投与される。特定の実施形態では、幹細胞または前駆細胞が用いられる。単離可能であって、in vitroで維持可能な幹細胞および/または前駆細胞は、本発明のこの実施形態に従って使用できる可能性がある(例えば、PCT公開第94/08598号; Stemple and Anderson, 1992, Cell 7 1:973-985; Rheinwald, 1980, Meth. Cell Bio. 21A:229; およびPittelkow and Scott, 1986, Mayo Clinic Proc. 61:771参照)。
特定の実施形態では、遺伝子療法の目的で導入される核酸は、核酸の発現が適当な転写インデューサーの有無を制御することにより制御可能なように、コード領域に作動可能なように連結された誘導プロモーターを含む。
5.5 組成物および投与方法
5.5.1 医薬組成物
本発明は、1以上のEph受容体および/またはEphrinに拮抗作用を及ぼし、それらの発現および/または活性を調節する、有効量の、本発明のEph/Ephrinモジュレーター;または本発明のEph/Ephrinモジュレーターを製薬上許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を被験体に投与することによる治療方法および予防方法を提供する。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の精製Eph/Ephrin(例えば、Eph/Ephrinモジュレーターはその作用を制限するか、または望ましくはない副作用をもたらす物質を実質的に含まないことが好ましい)を含む。被験体は好ましくは、限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物をはじめとする動物であり、好ましくは哺乳類であり、最も好ましくは、ヒトである。
本発明の組成物には、医薬組成物の製造に有用な原薬組成物(例えば、不純または非滅菌組成物)および単位投与形の製造に使用可能な医薬組成物(すなわち、被験体または患者への投与に好適な組成物)が含まれる。このような組成物は治療上有効な量の、本明細書で開示される治療薬(例えば、Eph/Ephrinモジュレーター)と製薬上許容される担体とを含む。 ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、治療上有効な量の1以上の本発明のタンパク質と製薬上許容される担体とを含む。さらなる実施形態では、本発明の組成物はさらに、付加的な癌治療薬または非癌治療薬を含む。特定の実施形態では、組成物中のこれらの治療薬は精製されている。
特定の実施形態では、「製薬上許容される」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって認可されている、または米国薬局方、または動物、より詳しくはヒトに用いるための他の一般に認知されている薬局方に挙げられていることを意味する。「担体」とは、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全および不完全)、またはより好ましくは、Chiron, Emeryville, CAから入手可能な MF59C.1アジュバント)、賦形剤、またはともに治療薬が投与されるビヒクルを表す。このような医薬担体は、水およびオイル、例えば、石油、動物、植物、または合成起源のものを含むオイル、例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などといった無菌の液体であり得る。医薬組成物が静脈投与される場合には水が好ましい担体である。生理食塩水およびデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射液用の液体担体として使用可能である。好適な医薬賦形剤としては、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望により、組成物はまた、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤の形態を採ってもよい。
一般に、本発明の組成物の成分は、例えば、有効薬剤の量を表示したアンプルまたは小袋などの湿気から密封された容器中の凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、単独で、または単位投与形中の混合物として供給される。組成物が注入によって投与される場合、無菌医薬級の水または生理食塩水を含む輸液瓶で投薬することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合可能なように、無菌注射水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本発明の組成物は、中性形態または塩形態として処方することができる。製薬上許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどのアニオンとともに形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄(III)、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインに由来するものなどのカチオンとともに形成されるものが含まれる。
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、内毒素および/または関連の発熱物質を実質的に含まないパイロジェンフリー製剤である。内毒素としては、微生物内に閉じこめられている毒素を含み、その微生物が崩壊または死滅した際にのみ放出される。発熱物質はまた、細菌および他の微生物の外膜に由来する発熱を誘導する熱安定性物質(糖タンパク質)を含む。これらの物質は双方とも、ヒトに投与されれば、発熱、高血圧、およびショックを引き起こすことがある。潜在的な有害作用のために、たとえ少量の内毒素であっても静脈投与される医薬剤からは除去しなければならない。食品医薬品局(「FDA」)は、静脈適用に関して上限を1時間に5内毒素単位(EU)/1回/体重kgに設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療タンパク質が、数百〜数千mg/体重kgの量で投与される場合(モノクローナル抗体を用いる場合であり得る)には、有害および危険な内毒素はたとえ微量であっても除去しなければならない。好ましくは、組成物中の内毒素および発熱物質のレベルは、10EU/mg未満、5EU/mg未満、1EU/mg未満、0.1EU/mg未満、0.01EU/mg未満、0.001EU/mg未満である。
例えば、リポソームカプセル封入、マイクロカプセル、ポリペプチドフラグメントを発現し得る組換え細胞、受容体により媒介されるエンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, 1987, Biol. Chem. 262:4429-4432参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築など、様々な送達系が知られており、前癌症状を治療または管理するのに有用な治療薬を投与するために使用することができる。治療薬の投与方法としては、限定されるものではないが、非経口投与 (例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、粘膜(例えば、鼻腔内、吸入、および経口経路)が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の治療薬は、筋肉内投与、静脈内投与、または皮下投与される。これらの治療薬は、例えば、注入またはボーラス投与、上皮または粘膜内面(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸管粘膜など)からの吸収によるなど、いずれの便宜な経路によって投与してもよく、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与してもよい。投与は全身投与であっても局所投与であってもよい。
特定の実施形態では、本発明の方法で用いられる治療薬は治療の必要な領域に局所的に投与されることが望ましく、これは例えば、限定されるものではないが、局所注入、注射、またはインプラントにより達成することができ、このインプラントは、シアラスチック膜などの膜または繊維など、多孔質、無孔質またはゼラチン状物質である。
さらに別の実施形態では、治療薬は、徐放系または持続放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプを用いて徐放または持続放出を達成することができる(Langer, 前掲; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwaldら, 1980, Surgery 88:507; Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を用いて本発明の薬剤の徐放または持続放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (編), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照;また、Levyら, 1985, Science 228:190; During ら, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 7 1:105);米国特許第5,679,377号;同第5,916,597号;同第5,912,015号;同第5,989,463号;同第5,128,326号;国際公開第99/15154号および同第99/20253号も参照。持続放出製剤で用いられるポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられる。一実施形態では、持続放出製剤に用いられるポリマーは不活性で、用脱性の不純物を含まず、保存、滅菌および生分解に対して安定である。さらに別の実施形態では、除法系または持続放出系は治療標的に近接して置くことができるので、全身投与の一部の用量しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, 前掲, vol. 2, pp. 115-138 (1984)参照)。
徐放系はLanger(1990, Science 249:1527-1533)による総説に述べられている。当技術分野で公知のいずれかの技術を用いて、本発明の1以上の治療薬を含む持続放出製剤を作出することができる。例えば、米国特許第4,526,938号; 国際公開第91/05548号および同第96/20698号; Ningら, 1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189; Songら, 1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397; Cleekら, 1997, Pro. Int’l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854; およびLamら, 1997, Proc. Int’l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760参照。
5.5.2 製剤
本発明に従って用いられる医薬組成物は、1以上の生理学上許容される担体または賦形剤を用い、常法において処方することができる。
よって、本発明の方法に用いられる薬剤ならびにそれらの生理学上許容される塩および溶媒和物は、吸入または吹送(口腔または鼻腔のいずれかを介する)または経口、非経口または粘膜(頬側、膣、直腸、舌下)投与による投与のために処方することができる。さらなる実施形態では、局所投与または全身性非経口投与が用いられる。
経口投与では、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素ナトリウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を用い、常法によって製造される錠剤またはカプセル剤の形態を採ってもよい。これらの錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングすることができる。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態を採ってもよく、あるいは使用前に水または他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供してもよい。このような液体製剤は、沈殿妨害剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤と用いて常法により製造することができる。これらの製剤はまた、必要に応じてバッファー塩、香味剤、着色剤および甘味剤を含んでもよい。
経口投与用製剤は、有効化合物の徐放性が得られるよう適宜処方することができる。
頬側投与では、組成物は常法において処方される錠剤またはトローチ剤の形態を採ってもよい。
吸入投与では、本発明に従って用いられる治療薬は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを用い、加圧パックまたはネブライザーからのエアゾールスプレーの剤形の形態で便宜に送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は計量量を送達するためのバルブを設けることで決定することができる。例えば、吸入器または吹送器に用いられるゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、化合物とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含むように処方することができる。
治療薬を、例えば、ボーラス注射または持続的注入などの注射による非経口投与用に処方してもよい。注射用製剤は、単位投与形、例えば、アンプルまたは多用量容器に、保存剤を添加して調製してもよい。これらの組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションなどの形態を採ってもよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってもよい。
治療薬はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する、坐剤または保留浣腸などの直腸組成物として処方してもよい。
従前に記載した製剤の他、治療薬はまたデポー製剤として処方してもよい。このような持続作用製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射により投与すればよい。よって、例えば、治療薬は、好適なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルション)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として処方してもよい。
本発明はまた、治療薬が、量を表示したアンプルまたは小袋などの湿気から密封された容器内にパッケージングされたものを提供する。一実施形態では、治療薬は、密封された容器内の乾燥無菌凍結乾燥粉末または無水濃縮物として供給され、例えば、水または生理食塩水で被験体への投与に適当な濃度に再構成することができる。
本発明の一実施形態では、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患に対する様々な療法の製剤および投与(化学療法薬、生物学的/免疫治療薬およびホルモン治療薬など)が当技術分野で知られており、しばしばthe Physician’s Desk Reference, 第56版(2002)に記載されている。
本発明の他の実施形態では、放射性同位元素などの放射線療法剤をカプセル中の液体として、または飲料として経口投与することができる。放射性同位元素はまた、静注用に処方することもできる。熟の腫瘍学者ならば、好ましい製剤および投与経路を決定することができる。
所望により、組成物は、有効成分を含有する1以上の単位投与形を含み得るパックまたはディスペンサーデバイスとして提供してもよい。このパックは例えば、ブリスターパックなどの金属ホイルまたはプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサーデバイスには投与に関する説明書が添付されていてもよい。
5.6 用量および投与頻度
異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状の予防、治療、管理、および/または改善に有効な本発明の予防薬もしくは治療薬または組成物の量は、標準的な臨床法によって決定することができる。また、頻度および用量は、投与される特定の療法(例えば、特定の治療薬または予防薬)、疾患、疾病または症状の重篤度、投与経路、ならびに患者の齢、体重、応答、および過去の病歴に応じた各患者に特異的な因子に従って異なる。例えば、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状の治療、予防、管理、および/または改善に有効な本発明の予防薬もしくは治療薬または組成物の用量は、例えば、本明細書に開示されている、または当業者に公知の動物モデルなどの動物モデルに組成物を投与することにより決定することができる。さらに、所望により、至適用量範囲を同定する助けとしてin vitroアッセイを用いてもよい。当業者ならば、このような因子を考慮し、例えば、文献に報告されている、また、the Physician’s Desk Reference (第57版, 2003)で奨励される用量に従い、好適な投与計画を選択することができる。
小分子の用量の例としては、mgまたはμg量の小分子/被験体体重またはサンプル重kgが挙げられる(例えば、約1μg/kg〜約500μg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg/kg〜約50μg/kg)。
本発明により包含される抗体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび融合タンパク質について、その患者への投与量はは一般に、0.0001mg/kg〜100mg/kg患者体重である。一実施形態では、その患者への投与量は0.0001mg/kg〜20mg/kg、0.0001mg/kg〜10mg/kg、0.0001mg/kg〜5mg/kg、0.0001〜2mg/kg、0.0001〜1mg/kg、0.0001mg/kg〜0.75mg/kg、0.0001mg/kg〜0.5mg/kg、0.0001mg/kg〜0.25mg/kg、0.0001〜0.15mg/kg、0.0001〜0.10mg/kg、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.25mg/kgの間、または0.01〜0.10mg/kg患者体重である。一般に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドに対する免疫応答のために、他種由来の抗体よりもヒトの体内で長い半減期を有する。よって、多くの場合、ヒト抗体の低用量化および低投与頻度化が可能である。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントの用量および投与頻度は、例えば、脂質化などの修飾により抗体の取り込みおよび組織浸透を高めることにより低減することができる。
特定の実施形態では、患者において、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善するために投与される本発明の抗体、ポリペプチド、ペプチド、組成物、または組合せ療法の用量は、150μg/kg以下、125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下、または0.5μg/kg患者体重以下である。別の実施形態では、患者において、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善するために投与される本発明の抗体、組成物、または組合せ療法の用量は、単位用量として0.1mg〜20mg、0.1mg〜15mg、0.1mg〜12mg、0.1mg〜10mg、0.1mg〜8mg、0.1mg〜7mg、0.1mg〜5mg、0.1〜2.5mg、0.25mg〜20mg、0.25〜15mg、0.25〜12mg、0.25〜10mg、0.25〜8mg、0.25mg〜7mg、0.25mg〜5mg、0.5mg〜2.5mg、1mg〜20mg、1mg〜15mg、1mg〜12mg、1mg〜10mg、1mg〜8mg、1mg〜7mg、1mg〜5mg、または1mg〜2.5mgである。
ある特定の実施形態では、被験体には、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の有効量が1回以上投与され、該抗体、組成物、または組合せ療法の有効量は、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または少なくとも85%までのその内因性リガンド(例えば、Ephrin)がその受容体と結合しないように妨げる。ある特定の実施形態では、被験体には、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の有効量が1回以上投与され、該抗体、組成物、または組合せ療法の有効量の投与は、肥満細胞の脱顆粒を、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおけるPBSなどの対照と比較して、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%低減および/または阻害する。ある特定の実施形態では、被験体には、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の有効量が1回以上投与され、該抗体、組成物、または組合せ療法の有効量の投与は、肥満細胞の活性化を、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおけるPBSなどの対照と比較して、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%低減および/または阻害する。ある特定の実施形態では、被験体には、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の有効量が1回以上投与され、該抗体、組成物、または組合せ療法の有効量の投与は、肥満細胞の増殖を、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおけるPBSなどの対照と比較して、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%低減および/または阻害する。ある特定の実施形態では、被験体には、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の有効量が1回以上投与され、該抗体、組成物、または組合せ療法の有効量の投与は、肥満細胞の浸潤を、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおけるPBSなどの対照と比較して、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%低減および/または阻害する。
他の実施形態では、被験体には、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーター(例えば、ポリペプチドまたは抗体)の有効量が1回以上投与され、その有効量の投与は、少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/ mlの本発明の抗体の血清力価を達成する。さらに他の実施形態では、少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの抗体の血清力価を達成するために被験体に本発明の1以上の抗体の有効量を投与し、その後、少なくとも0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を維持するために本発明の1以上の抗体の有効量を投与する。これらの実施形態によれば、被験体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12回またはそれを超える次の用量を投与することができる。
特定の実施形態では、本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、または治療する方法であって、それを必要とする被験体に、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの本発明の1以上の抗体、組合せ療法、または組成物 を投与することを含む方法が提供される。別の実施形態では、本発明は、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善する方法であって、それを必要とする被験体に、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの用量の本発明の1以上の抗体、組合せ療法、または組成物を、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回投与することを含む方法を提供する。
本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、または予防する方法であって、(a)それを必要とする被験体に、本発明の1以上の抗体、組合せ療法、または組成物の予防上または治療上有効な量を1回以上投与すること;および(b)特定の回数の該抗体を投与した後に該被験体において投与された抗体の血漿レベル/濃度をモニタリングすることを含む方法を提供する。さらに、例えば、該特定の投与回数は、本発明の1以上の抗体、組成物、または組合せ療法の予防上または治療上有効な量を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回である。
特定の実施形態では、本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善する方法であって、(a)それを必要とする被験体に、少なくとも10μg(例えば、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μgの用量の本発明の1以上の抗体を投与すること;および(b)該被験体に投与された抗体の血漿レベルが0.1μg/ml未満、0.25μg/ml未満、0.5μg/ml未満、0.75μg/ml未満、1μg/ml未満である場合に、該被験体に1以上の次の用量を投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善する方法であって、(a)それを必要とする被験体に、少なくとも10μg(例えば、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)の本発明の1以上の抗体を1回以上投与すること;(b)特定の投与回数を投与した後に該被験体において投与された本発明の抗体の血漿レベルをモニタリングすることを;および(c)該被験体において投与された抗体の血漿レベルが0.1μg/ml未満、0.25μg/ml未満、0.5μg/ml未満、0.75μg/ml未満、または1μg/ml未満である場合に本発明の抗体の次用量を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、該特定の投与回数は、本
発明の1以上の抗体の有効量を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回 である。
ある特定の実施形態では、本発明のEph受容体またはEphrin抗原ペプチドおよび抗イディオタイプ抗体は、静注では1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、および25mg/mlで、また、皮下投与および筋肉注射では、5mg/ml、10mg/ml、および80mg/mlで処方される。
Eph受容体またはEphrinワクチンが細菌ワクチンである場合、このワクチンはおよそ1x102CFU/ml〜およそ1x1012CFU/mlの間の範囲、例えば、1x102CFU/ml、5x102CFU/ml、1x103CFU/ml、5x103CFU/ml、1x104CFU/ml、5x104CFU/ml、1x105CFU/ml、5x105CFU/ml、1x106CFU/ml、5x106CFU/ml、1x107CFU/ml、5x107CFU/ml、1x108CFU/ml、5x108CFU/ml、1x109CFU/ml、5x109CFU/ml、1x1010CFU/ml、5x1010CFU/ml、1x1011CFU/ml、5x1011CFU/ml、または1x1012CFU/mlの量で処方することができる。
Eph受容体およびEphrin抗原ペプチドまたは抗イディオタイプ抗体では、患者に投与される用量は一般に、0.1mg/kg〜100mg/患者体重kgである。一実施形態では、患者に投与される用量は0.1mg/kg〜20mg/患者体重kg、または1mg/kg〜10mg/患者体重kgである。
本発明の細菌Eph受容体およびEphrinワクチンの用量に関して、用量はコロニー形成単位(c.f.u.)の量に基づく。一般に、様々な実施形態では、投与範囲は約1.0c.f.u./kg〜約1x1010c.f.u./kg;約1.0c.f.u./kg〜約1x108c.f.u./kg;約1x102c.f.u./kg〜約1x108c.f.u./kg;および約1x104c.f.u./kg〜約1x108c.f.u./kgである。有効量は、動物モデル試験系から導き出された用量反応曲線から外挿すればよい。ある特定の例示的な実施形態では、用量範囲は、ネズミLD50の0.001倍〜10,000倍、ネズミLD50の0.01倍〜1,000倍、ネズミLD50の0.1倍〜500倍、ネズミLD50の0.5倍〜250倍、ネズミLD50の1倍〜100倍、およびネズミLD50の5倍〜50倍である。ある特定の実施形態では、用量範囲は、ネズミLD50の0.00.1倍、0.01倍、0.1倍、0.5倍、1倍、5倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍、5,000倍または10,000倍である。
異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善するために使用されていた、または使用中である、本発明の抗体以外の療法(例えば、予防薬または治療薬)は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善するために、本発明の方法に従って、本発明の1以上の抗体と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、本発明の組合せ療法に用いられる予防薬または治療薬の用量は、異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理、および/または改善するために使用されていた、または使用中の用量よりも少ない。異常な(すなわち、増加した、低下した、または不適切な)Eph受容体および/またはEphrin発現に関連する疾患またはその1以上の症状の予防、治療、管理、または改善に使用中の薬剤の奨励される用量は、限定されるものではないが、Hardmanら編, 2001, Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics, 第10版, Mc-Graw-Hill, New York; Physician’s Desk Reference (PDR) 第57版, 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJ(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)を含む当技術分野のいずれかの参照文献から得ることができる。
様々な実施形態では、療法(例えば、予防薬または治療薬)は、5分未満おいて、30分未満おいて、1時間未満おいて、約1時間おいて、約1〜約2時間おいて、約2時間〜約3時間おいて、約3時間〜約4時間おいて、約4時間〜約5時間おいて、約5時間〜約6時間おいて、約6時間〜約7時間おいて、約7時間〜約8時間おいて、約8時間〜約9時間おいて、約9時間〜約10時間おいて、約10時間〜約11時間おいて、約11時間〜約12時間おいて、約12時間〜18時間おいて、18時間〜24時間おいて、24時間〜36時間おいて、36時間〜48時間おいて、48時間〜52時間おいて、52時間〜60時間おいて、60時間〜72時間おいて、72時間〜84時間おいて、84時間〜96時間おいて、または96時間〜120時間おいて投与される。特定の実施形態では、同じ患者の来所時に2以上の療法が投与される。
ある特定の実施形態では、本発明の1以上のEph/Ephrinモジュレーターおよび1以上の他の療法(例えば、予防薬または治療薬)が臨床投与される。周期的療法としては、一定期間の第1の療法(例えば、第1の予防薬または治療薬)の投与、次いで、一定期間の第2の療法(例えば、第2の予防薬または治療薬)の投与、所望により、その後の一定期間の第3の療法(例えば、予防薬または治療薬)の投与など、およびこの一連の投与の繰り返し、すなわち、ある療法に対する耐性の発達を軽減するため、ある療法の副作用を回避または軽減するため、かつ/または療法の有効性を改善するためのサイクルを含む。
ある特定の実施形態では、本発明の同じEph/Ephrinモジュレーターの投与を繰り返してもよく、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2か月、75日、3か月、または少なくとも6か月投与間隔をおいてもよい。他の実施形態では、本発明の抗体以外の同じ療法(例えば、予防薬または治療薬) の投与をを繰り返してもよく、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2か月、75日、3か月、または少なくとも6か月投与間隔をおいてもよい。
5.7 キット
本発明は、本発明のEph/Ephrinモジュレーターを充填した1以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。さらに、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患の治療に有用な他の予防薬もしくは治療薬、または他の関連の薬剤もまた、この医薬パックまたはキットに含めることもできる。
ある特定の実施形態では、他の予防薬または治療薬は免疫調節薬(例えば、抗Eph受容体抗体または抗Ephrin抗体)である。本発明はまた、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。所望によりこのような容器には、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により指定された形式で注意書きが添付されていてもよく、この注意書きはヒト投与に関する製造、使用または販売の機関による認可を表している。
5.7.1 診断/予後試験
本発明はさらに、Eph/Ephrinモジュレーターに基づく、または非Eph/Ephrinモジュレーターに基づく癌治療の有効性を評価するために本発明のEph/Ephrinモジュレーターを用いる診断方法を提供する。一般に、Eph受容体および/またはEphrin発現の上昇は、ますます侵襲性および転移性の高い癌と関連している。よって、処置される疾患に応じ、特定の治療によるEph受容体および/またはEphrin発現の低下は、その治療が癌の侵襲性および/または転移能を軽減していることを示す。特定の実施形態では、本発明の診断方法は、転移症を画像化および位置決定する方法、ならびに原発腫瘍部位から遠位の組織または体液、例えば、全血、痰、尿、血清、穿刺吸引(すなわち、生検)を用いて診断および予後の方法(ならびに原発腫瘍の組織および体液を用いる方法)を提供する。他の実施形態では、本発明の診断法は、転移症を画像化および位置決定する方法、ならびにin vivoにおける診断および予後の方法を提供する。このような実施形態では、原発性転移腫瘍は、本発明の抗体、例えば、露出したEph受容体エピトープ抗体を用いて検出される。本発明の抗体はまた、冷凍または固定細胞または組織アッセイの免疫組織化学的分析に使用してもよい。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物または診断試薬を含むキットが提供される。
5.8製品
本発明はまた、パッケージングおよび表示された最終医薬品も包含する。この製品は、ガラスバイアルまたは湿気から密閉される他の容器などの適当な管または容器中の適当な単位投与形を含む。この医薬品は、10mMヒスチジンバッファーpH6.0および150mM塩化ナトリウムを含有する無菌液体として単用量バイアルに処方してもよい。各1.0mLの溶液は、注射水中、100mgのタンパク質、1.6mgのヒスチジンおよび8.9mgの塩化ナトリウムを含有し得る。製造工程中、調剤バッファーのpHは塩酸を用いて6.0に調整される。非経口投与に好適な投与形の場合、本発明の有効成分、例えば、Eph受容体および/またはEphrinと特異的に結合する本発明の抗体は無菌であり、無粒子溶液として好適である。言い換えれば、本発明は非経口溶液および凍結乾燥粉末の双方を包含し、各々無菌であり、後者は注射前に再構成するのに適している。あるいは、この単位投与形は経口、経皮、鼻腔内(intransal)、または局所送達に好適な個体であり得る。
一実施形態では、この単位投与形は静脈内、筋肉内、鼻腔内、経口、局所、または皮下送達に好適である。よって、本発明は、好ましくは、無菌で各送達経路に好適な溶液を包含する。
いずれの医薬品についても、パッケージング材料および容器は、保存および輸送中に製品の安定性を保護するようにデザインされる。さらに、本発明の製品は、医師、技術者、または患者に、どのようにして対象疾患を適宜予防または治療するかを指示する使用説明書または他の通知文書を含む。言い換えれば、この製品は、限定されるものではないが、実際の用量、モニタリング手順、全リンパ球数、肥満細胞数、T細胞数、IgE産生、および他のモニタリング情報を含む、投与計画を指示または示唆する説明手段を含む。
具体的には、本発明は、箱、瓶、管、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静脈用(i.v.)バッグ、外被などのパッケージング材料と、該パッケージング材料内に収容された医薬剤の単位投与剤型を少なくとも1つ含み、該医薬剤がEph受容体および/またはEphrinと特異的に結合する抗体を含み、該パッケージング材料が、記載されている特定の用量を投与し、特定の投与計画を用いることにより、該抗体が、Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連する疾患に関連する1以上の症状、Eph受容体および/またはEphrinの異常な発現および/または活性に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、管理、治療、および/または改善するために使用可能であることを示す説明手段を含む、製品を提供する。
本発明はまた、箱、瓶、管、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静脈用(i.v.)バッグ、外被などのパッケージング材料と、該パッケージング材料内に収容された各医薬剤の単位投与剤型を少なくとも1つ含み、一方の医薬剤が、Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体を含み、他方の医薬剤が、Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する第2の異なる抗体を含み、該パッケージング材料が、記載されている特定の用量を投与し、特定の投与計画を用いることにより、該薬剤が、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患またはその1以上の症状を治療、予防および/または改善するために使用可能であることを示す説明手段を含む、製品を提供する。
本発明はまた、箱、瓶、管、バイアル、容器、噴霧器、吸入器、静脈用(i.v.)バッグ、外被などのパッケージング材料と、該パッケージング材料内に収容された各医薬剤の単位投与形を少なくとも1つ含み、一方の医薬剤が、Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体を含み、他方の医薬剤が、Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する抗体以外の予防薬または治療薬を含み、該パッケージング材料が、記載されている特定の用量を投与し、特定の投与計画を用いることにより、該薬剤が、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患に関連する1以上の症状、またはその1以上の症状を治療、予防および/または改善するために使用可能であることを示す説明手段を含む、製品を提供する。
本発明は、本発明の方法により軽減または回避され得る有害作用が、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患に関連する1以上の症状を予防、治療および/または改善する上で用いられる製品に封入されている通知文書に示されているものを提供する。本発明の方法により軽減または回避され得る有害作用としては、限定されるものではないが、バイタルサインの異常(発熱、頻脈、徐脈(bardycardia)、高血圧症、低血圧症)、血液学的事象(貧血、リンパ 球減少症、白血球減少症、血小板減少症)、頭痛、悪寒、めまい、悪心、無力症、背痛、胸痛(胸の締め付け)、下痢、筋肉痛、疼痛、そう痒、乾癬、鼻炎、発汗、注射部位反応、および血管拡張が挙げられる。Eph受容体および/またはEphrinポリペプチドと特異的に結合する本発明の抗体は免疫抑制性であり得るので、長期の免疫抑制は、日和見感染を含む感染のリスクを高めることがある。長期の持続的な免疫抑制はまた、特定種の癌を発症する高いリスクをもたらすこともある。
さらに、1以上のEph受容体および/またはEphrinの異常な(すなわち、増加した、低下した、または異常な)発現に関連する疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理および/または改善する上で用いられる製品に封入されている通知文書は、外来タンパク質が、アナフィラキシーまたはシトシン放出症候群を含むアレルギー反応ももたらすことがあることを示すことができる。この通知文書は、アレルギー反応が軽度のそう痒性発疹としてしか現れない場合もあるし、あるいは紅皮症、スティーブンス-ジョンソン症候群、脈管炎、またはアナフィラキシーなどの重篤なものである場合もあることを示さなければならない。この通知文書はまた、過敏性反応(アナフィラキシー)が重篤であり、場合によっては致死的な過敏反応であることも示さなければならない。アナフィラキシーを含むアレルギー反応は、いずれの外来タンパク質を身体に注射した場合にも起こり得る。これらのアレルギー反応は蕁麻疹または発疹などの軽度な徴候から致死的な全身反応までの範囲に及び得る。過敏性反応は暴露後直ちに、通常10分以内に起こる。患者は、感覚異常、低血圧症、喉頭浮腫、精神状態の変化、顔面または咽頭の血管性浮腫、気道閉塞、気管支痙攣、蕁麻疹およびそう痒、血清病、関節炎、アレルギー性腎炎、糸球体腎炎、一過性関節炎、または好酸球増加症を受ける場合がある。
6. 実施例
実施例1
ヒト抗ヒト抗Ephモノクローナル抗体GEA44の親和性の至適化、および複数のEphA受容体に対する至適化変異体のユニークな結合特徴の「解析(dialing in)」。
試薬
全ての化学薬品は分析級のものとした。制限酵素およびDNA改変酵素、およびT4リガーゼおよびT7 DNAポリメラーゼは、New England Biolabs, Inc. (Beverly, MA)から購入した。カスタムオリゴヌクレオチドは、Invitrogen (Carlsbad, CA)によって合成された。ヒトIgG1のFc部分と融合されたヒトEphA4エクトドメインからなるヒトEphA4-Fc融合タンパク質またはヒスチジンタグと融合されたヒトEphA4エクトドメインからなるEphA4-His融合タンパク質をヒト胎児腎臓(HEK)293細胞で発現させ、標準的なプロトコールを用いてプロテインGアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。ストレプトアビジン磁性ビーズは、Dynal (Lake Success, NY)から購入した。ヒトEphA4-FcまたはEphA4-Hisビオチン化は、EZ-Link スルホ-NHS-LC-ビオチン化キットを用いて製造業者の使用説明書(Pierce, Rockford, IL)に従って実施した。
可変遺伝子のファージ発現ベクターへの構築
Fab型のヒトmAb GEA44をM13系ファージ発現ベクターにクローニングした。このベクターは、ヒトγ1重鎖の第1の定常領域とヒトカッパ(κ)軽鎖の定常領域を含むFabフラグメントのlacZプロモーターの制御下での発現を可能にする (Dall’Acquaら, 2005, Methods, 36:43-60)。クローニングは、記載されているように、ハイブリダイゼーション突然変異誘発(Kunkelら, 1987, Methods Enzymol., 154:367-382)によって実施した(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212)。
GEA44重鎖および軽鎖可変部のPCR:要するに、次の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを、各々、およそ0.5pmolを用いてGEA44の重鎖および軽鎖可変部を増幅した:
ビオチンループのGEA44 VL:
*5’-ggtcgttccattttactcccactccGAAATTGTGCTGACTCAGTCTCC-3’ (5’ビオチン化);
GEA44VLバックループ:
5’gatgaagacagatggtgcagccacagtacgTTTGATCTCCACCTTGGTCCCTTGG-3’;
ビオチンループのGEA44VH:
*5’gctggtggtgccgttctatagccatagcCAGGTGCAGCTGTTGCAGTCTGGAGC-3’ (5’ビオチン化)、
GEA44VHバックループ:
5’ ggaagaccgatgggcccttggtggaggcTGAGGAGACGGTGACCAGGGTGCC 3’。
ビオチンループのGEA44 VHおよびVLオリゴヌクレオチドは、M13遺伝子3リーダー重複配列(小文字)を含む。GEA44 VHおよびVLバックループオリゴヌクレオチドはそれぞれ、CH1およびCκ重複配列(小文字)を含む。突然変異誘発反応の親Fab陽性対照および鋳型に関連して使用されるVH-GEA44およびVL-GEA44重鎖および軽鎖遺伝子は、PCRにより、それぞれ、ビオチンループのGEA44 VH/GEA44 VHバックループオリゴヌクレオチド組合せおよびビオチンループのGEA44VL/GEA44 VLバックループオリゴヌクレオチド組合せを用いて、哺乳類発現のための対応するGEA44 IgG構築物(MedImmune, Inc.製)から合成した(下記参照)。
Fab鋳型構築:GEA44 V領域に対応するマイナス一本鎖DNAを、記載されているように、水酸化ナトリウムを用いて二本鎖PCR産物を解離させ、ストレプトアビジンコーティング磁性ビーズによってビオチン化鎖を除去した後、エタノール沈殿法によりPCR産物から精製した(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212; Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233)。ほぼ等モル量のVH-GEA44およびVL GEA44のマイナス鎖を一本鎖M13ループベクターと混合したこれらの可変遺伝子は、特異的に、各々1つのパリンドロームループを含む2つのベクター領域にアニーリングする。それらのループは、Xba Iによって制限された場合に、消化された親鋳型を使って、ヒトカッパ κ定常部および第1のヒトγ1定常領域それぞれとインフレームで融合したVL鎖およびVH鎖の両方を含むベクターの選択を可能にするユニークなXba I部位を含んでいた(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212; Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233)。次いで、XL1-Blue細菌叢でのプラーク形成またはFabフラグメントの製造のために、合成したDNAを、記載されているように、XL1-Blueにエレクトロポレートした(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212)。GEA44軽鎖可変部および重鎖可変部の両方を発現しているFabクローンを配列決定し(図6参照)、EphA4受容体との結合についてELISAによりスクリーニングして、Fabの結合特性を確認した(下記アッセイ参照)。
各CDR領域の控えめな無作為抽出によるFab GEA44の親和性の至適化:6つの相補性決定領域(CDR)全ての各アミノ酸を、個別に、1アミノ酸につき2つの別個のライブラリーを用いて無作為に突然変異させた(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212)。あらゆるCDRアミノ酸位置において8個のアミノ酸(NSS)または12個のアミノ酸(NWS)のいずれかをコードする、それぞれの縮重プライマーを単一ハイブリダイゼーション突然変異誘発反応に使用し(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:197-212; Dall'Acquaら, 2005, Methods, 36:43-60)、その後、対応するCDRライブラリーの作製のために合わせた。要するに、各縮重プライマーをリン酸化した後、アニーリング反応にウリジニル化GEA44 Fab(以下Fab20と呼ぶ)一本鎖DNA鋳型(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233に記載のようにして調製)とともに10:1比で使用した(アニーリング反応では温度を1時間かけて95℃から55℃まで低下させた)。アニーリングした反応物にT4 リガーゼおよびT7 DNAポリメラーゼを加え、その反応物を37℃で1.5時間インキュベートした。各CDRのあらゆるアミノ酸の合成産物をプールしたが、NSSおよびNWSライブラリーは別にしておき、独立にスクリーニングした。一般に、XL1-Blue細菌叢でのプラーク形成またはFabフラグメントの製造のために、プールしたCDRライブラリーの合成DNA 1μlを、その後、記載されているとおりに、XL1-Blueにエレクトロポレートした(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233)。
ライブラリーのスクリーニング
一次スクリーニング:一次スクリーニングをシングルポイントELISA(SPE)とし、本質的には記載されているように、96深型ウェルプレートで増殖させ、個々の組換えM13クローンに感染させた細菌培養物1mlから調製された可溶性の分泌性Fabタンパク質を含む上清を用いて実施した(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233; Dall’Acquaら, 2005, Methods, 36:43-60)。簡単に説明すると、この捕捉ELISAは、96ウェルのMaxisorpイムノプレートの各ウェルをヤギ抗ヒトFd抗体(BioDesign Saco, ME)およそ20ngでコーティングすること、3%BSA/PBSで37℃で2時間ブロッキングすること、およびサンプル(可溶性の分泌Fab)とともに室温で2時間のインキュベートすることを含む。次いで、200ng/ウェルのビオチン化ヒトEphA4-FcまたはEphA4-Hisを室温で2時間加えた。この後、ニュートラアビジン-セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート(Pierce, IL)とともに室温で40分間のインキュベーションを行った。テトラメチルベンジジン(TMB)基質を用いてHRP活性を検出し、その反応物を0.2M H2SO4でクエンチした。プレートを450nmで読み取った。
一次スクリーニングの結果:一般に、少なくとも2つの時点で親Fab 20よりも大きいOD450nmシグナルを示しているクローンを15mlスケールで再び増殖させ、同じELISAにより二連のウェルで再びアッセイして、陽性の結果を確認した。次いで、リピートを持つクローンを配列決定し、活性ELISAを用いることによりアッセイし(下記参照)、目的の抗原との結合の増加倍率を評価した。
二次スクリーニング:これまでに確認されている一本鎖親和性至適化変異体(上記参照)をさらに特徴付けするために、細菌培養物15mlから調製されたペリプラズム抽出物で発現されるFabフラグメントを用いた二次スクリーニング(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233)を実施した。より正確に言えば、2種類のELISAを使用した:(i)活性ELISA (96ウェルのMaxisorpイムノプレートの各ウェルをヒトEphA4-His約1μgでコーティングし、3%BSA/PBSで37℃で2時間ブロッキングした。次いで、2倍連続希釈したサンプルを加え、室温で1時間インキュベートした。その後、ヤギ抗ヒトカッパセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートとともにインキュベーションを行った。TMB基質を用いてHRP活性を検出し、その反応物を0.2M H2SO4でクエンチした。プレートを450nmで読み取った);(ii)抗ヒトFab定量ELISA(本質的には記載されているように実施した(Wuら, 2003, Methods Mol Biol., 207:213-233)。要するに、96ウェルのBIOcoatプレート(BD Biosciences, CA)の各ウェルを2倍連続希釈したサンプルまたは標準(ヒトIgG Fab,100〜1.56ng/ml)とともにインキュベートした。その後、ヤギ抗ヒトカッパセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートとともにインキュベーションを行った。TMB基質を用いてHRP活性を検出し、その反応物を0.2M H2SO4でクエンチした。プレートを450nmで読み取った。)
二次スクリーニングの結果:第3.2.1節に記載した二部分二次ELISAスクリーニングにより、Fabクローン 20および親和性至適化変異体を互いに、それらのFab濃度を標準化することによりヒトEphA4との結合に関して比較することができた。mAb GEA44の親Fabと比較したときに、単一変化の親和性至適化変異体Fab全てがヒトEphA4に対してより優れた結合を示した(図7参照)。
CDR親和性至適化クローンからのコンビナトリアル変異体の構築および特徴付け:結合においてさらに改善されたコンビナトリアル変異体を工学的に作製するために、活性ELISAにより親Fab20と比較したときに結合が改善されていた単一アミノ酸変化全てを合わせて、小型のフォーカスドコンビナトリアルライブラリーを作製した。要するに、確認されたアミノ酸変化の全て、ならびに同じ位置の親アミノ酸をコードする縮重プライマーをデザインした(図11参照)。全てのプライマーを含めたアニーリング反応と、それに続く合成(上記参照)において、コンビナトリアルライブラリーを構築し、これまでに記載されているようにスクリーニングした(上記参照)。
EphA4の一次スクリーニングの結果:一般に、親Fab 20よりも少なくとも2倍大きいOD450nmシグナルを示しているクローンを15mlスケールで再び増殖させ、ELISA(上記)により二連のウェル(上記)で再びアッセイして、陽性の結果を確認した。次いで、リピートを持つクローンを配列決定し、活性ELISAを用いてアッセイし(上記参照)、目的の抗原との結合の増加倍率を評価した。選抜し、配列決定した12個のコンビナトリアル変異体から9個のものがCDRアミノ酸変化の独特な組合せを有し、これにより各変異体は他と一次配列レベルで1〜3個のアミノ酸が異なるものとなっていた。さらなる評価のために進めた9個の親和性至適化コンビナトリアル変異体は1A4、IB1O、ID11、IG11、2C9、3A12、3C6、6B7、および8B4であった(図5Aおよび図9参照)。
EphA4の二次スクリーニングの結果:コンビナトリアル変異体を、上記のように二次スクリーニングにより解析して、コンビナトリアル変異体の結合親和性の改善を評価した。Fab20と比較したときに、全ての変異体は、ヒトEphA4に対して有意に改善された親和性を有していた(図8および図10参照)。
さらなるEphA受容体を用いた二次スクリーニング:親mAb GEA44はヒトEphA4だけでなく、複数のEphA受容体とも結合するため、活性ELISA(上記参照)および様々な組換えEphA受容体タンパク質を用いてさらなる二次スクリーニングアッセイを行った。より正確に言えば、Nunc Maxisorpプレートを次のrEphAタンパク質でコーティングした:rhuEphA1-Fc、rmuEphA2-Fc、rmuEphA3-Fc、rmuEphA4-Fc、rratEphA5-Fc、rmuEphA6-Fc、rmuEphA7-Fc、rEphA8(全てR&D Systems)(全て0.5μg/ウェルで)、rhuEphA2-Fc(0.5μg/ウェル)、およびrhuEphA4-His(0.1μg/ウェル)(どちらもMedImmune, Inc.製)。プレートを3%BSA+0.1% Tween20で2時間ブロッキングした。9個の親和性至適化コンビナトリアル変異体全て(上記参照)を、陰性対照およびFab20 親とともに、上記抗原の1つでコーティングした単一アッセイプレートで試験し、さらに非希釈ペリプラズムFabサンプルからも行い、3連続1:2希釈物の力価を二連で測定し、室温で1時間インキュベートした。その後、ヤギ抗ヒトカッパセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートとともにインキュベーションを行った。TMB基質を用いてHRP活性を検出し、その反応物を0.2M H2SO4でクエンチした。プレートを450nmで読み取った。Fab濃度を対応する活性データに標準化することによりデータを解析した(図10B〜10H参照)。
結合解析
mAb GEA44親和性至適化コンビナトリアル変異体のヒトIgG1フォーマットでのクローニング、発現および精製:9個のコンビナトリアル変異体の可変領域を、対応するV領域をコードするM13ファージベクターからpfu DNAポリメラーゼを用いてPCR増幅した(Dall’Acquaら, 2005, Methods, 36:43-60)。次いで、それらをヒトサイトメガロウイルス主要前初期(hCMVie)エンハンサー、プロモーターおよび5'-非翻訳領域をコードする哺乳類発現ベクターに個別にクローニングした(M. Boshart,ら, 1985, Cell, 41:521-530)。この系では、ヒトγ1鎖がヒトκ鎖とともに分泌される(Johnson,ら, 1997, infect. Dis., 176:1215-1224)。異なる構築物をHEK 293細胞で一過性に発現させ、トランスフェクションの72時間および144時間後に回収した。分泌された可溶性ヒトIgG1を1ml HiTrap プロテインAカラムにより、製造業者の使用説明書に従って(APBiotech, Inc., Piscataway, NJ)、直接、細胞馴化培地から精製した。精製されたヒトIgG1(一般に、SDS-PAGEによって判断されるように>95%均質性)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で透析し、急速冷凍し-70℃で保存した。
さらなるEphA受容体を用いた親和性至適化コンビナトリアル変異体のIgG構築物の二次スクリーニング:9個のコンビナトリアル変異体の精製IgG構築物に関して、活性ELISA(上記参照)および組換えEphA受容体タンパク質を用いてさらなる二次スクリーニングアッセイを行った。より正確に言えば、Nunc Maxisorpプレートを次のrEphAタンパク質でコーティングした:rhuEphA1-Fc(0.5μg/ウェル)、rmuEphA2-Fc(0.5μg/ウェル)、rmuEphA3-Fc(0.1μg/ウェル)、rmuEphA4-Fc(0.1μg/ウェル)、rratEphA5-Fc(0.5μg/ウェル)、rmuEphA6-Fc(0.5μg/ウェル)、rmuEphA7-Fc(0.1μg/ウェル)、rEphA8(0.2μg/ウェル)(全てR&D Systems)、rhuEphA2-Fc(0.5μg/ウェル)、およびrhuEphA4-His(0.1μg/ウェル)(どちらもMedImmune, Inc.製)。プレートを3%BSA+0.1%Tween202時間でブロッキングした。9個のIgG親和性至適化コンビナトリアル変異体全て(上記参照)を、陰性対照および親mAb GEA44ともに、上記抗原の1つでコーティングした単一アッセイプレートで試験し、さらに1μg/mlの精製IgGからも行い、3連続1:2希釈物の力価を二連で測定し、室温で1時間インキュベートした。その後、ヤギ抗ヒトカッパセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートとともにインキュベーションを行った。TMB基質を用いてHRP活性を検出し、その反応物を0.2M H2SO4でクエンチした。プレートを450nmで読み取った。Fab濃度を対応する活性データに標準化することによりデータを解析した(図12A〜12Jおよび図14参照)。これらの手順により受容体のEphファミリーに対し改変された結合特異性を有する抗体が得られた。
実施例2
本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知の方法を用いて、受容体のRTKファミリー/クラス、例えば、クラスI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、またはXIX RTKに属する単一メンバーに対する抗体を作製する。本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知のように、その抗体のCDRを無作為抽出して、ライブラリー(例えば、コンビナトリアルライブラリー)を作製する。次いで、そのライブラリーを親抗体の作製に使用したオリジナルRTKメンバーと突き合わせてサブトラクトする。サブトラクトされたライブラリーをさらに、受容体のRTKファミリーのクラスに属するメンバーと目的のRTKとの結合について選抜する。このサブトラクトされたライブラリーをさらに、目的のRTKに対する結合特異性について選抜し、その結果として、受容体のRTKファミリーのクラスに属するメンバーに対し改変された結合特異性を有する抗体を得る。
実施例3
本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知の方法を用いて、例えば、クラスI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、またはXIX RTKのメンバーに対するpan特異的抗体を作製する。本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知のように、そのpan特異的抗体のCDRを無作為抽出して、ライブラリー(例えば、コンビナトリアルライブラリー)を作製する。次いで、そのライブラリーをその抗体と結合させたくないクラスに属する所与の(またはいくつかの)RTKメンバーと突き合わせてサブトラクトする。このサブトラクトされたライブラリーをさらに、目的のRTKに対する結合特異性について選抜し、その結果として、受容体のRTKファミリーのクラスに属するメンバーに対し改変された結合特異性を有する抗体を得る。
実施例4
本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知の方法を用いて、例えば、クラスI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、またはXIX RTKのメンバーに対するpan特異的抗体を作製する。本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知のように、そのpan特異的抗体のCDRを無作為抽出して、ライブラリー(例えば、コンビナトリアルライブラリー)を作製する。次いで、そのコンビナトリアルライブラリーを所望の結合標的である1つまたはいくつかのRTKとつき合わせて直接選抜し、その結果として、受容体のRTKファミリーのクラスに属するメンバーに対し改変された結合特異性を有する抗体を得る。
実施例5
本明細書において提供されるか、あるいは当業者に公知の方法を用いて、例えば、クラスI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、またはXIX RTKのメンバーに対するpan特異的抗体を作製する。上記実施例のいずれかに記載した工程に従い、コンビナトリアルライブラリーを必要とする工程を個々のCDRライブラリーの使用に置き換えることができ、その最終結果として、受容体のRTKファミリーのクラスに属するメンバーに対し改変された結合特異性を有する抗体を得る。
7. 均等
当業者ならば、慣例の試験を行うだけで本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を理解するであろうし、または確認することができるであろう。そのような均等物は、特許請求の範囲に包含されるものとする。本明細書において引用される全ての参考文献は、個々の刊行物または特許もしくは特許出願が明示的かつ個別に参照によりそのまま本明細書に組み入れられることが示される場合と同等にに参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態によって範囲が制限されるものではない。実際には、上述の説明および添付の図面から、本明細書に記載のものに加えて本発明の様々な変形が当業者には明らかになるであろう。そのような変形は、添付の特許請求の範囲内にあるものとする。
ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphファミリー受容体の構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 ヒトEphrinファミリーリガンドの構造的特徴を示す。 文献で報告されているEphrin(リガンド)とEph受容体の結合を示す。 ELISA結合によって決定される、種々のEphA受容体に対する抗Eph抗体の結合を示す。 ELISA結合によって決定される、種々のEphB受容体に対する抗Eph抗体の結合を示す。 様々な親和性成熟型の抗Eph抗体GEA44の可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)のアミノ酸配列を示す。 pan-Eph抗体10C12(GEA10C12)の可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 ヒトEphA4に対するFab20親和性を向上させるCDR3重鎖のアミノ酸変異を示す。 GEA44の親和性至適化CDR3重鎖変異体のグラフを示す。 選択されたコンビナトリアル変異体の捕捉ELISAシグナルの改善倍率を示す。 抗Eph親和性至適化Fab20変異体の配列を示す。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Aは、r-ヒトEphA4に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Bは、r-ヒトEphA1に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Cは、r-ヒトEphA2対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Dは、r-ネズミEphA3に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Eは、r-ネズミEphA4に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Fは、r-ネズミEphA7に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Gは、r-ネズミEphA8に対する結合を比較したものである。 GEA44の親和性至適化変異体のグラフを示す。グラフは、種々の親和性至適化変異体に対するGEA44 Fab20の結合を比較したELISA結果をまとめたものである。図10Hは、r-ネズミEphA2に対する結合を比較したものである。 コンビナトリアルライブラリーの構築を示す。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Aはr-ヒトEphA1に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Bはr-ヒトEphA2に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Cはr-ネズミEphA2に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Dはr-ネズミEphA3に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Eはr-ネズミEphA4に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Fはr-ヒトEphA4に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Gはr-ネズミEphA7に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Hはr-ネズミEphA8に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Iはr-rat EphA5に対する結合を比較したものである。 様々なEph受容体に対するGEA44親和性至適化FabおよびIgGの結合を比較したグラフ。このグラフは、異なる親和性至適化変異体(Fabおよび対応するIgG)に対するGEA44 Fab20およびGEA44 IgGの結合を比較したELISAの結果をまとめたものである。図12Jはr-ネズミEphA6に対する結合を比較たものである。 EphA1-Fcに対するGEA44親和性至適化変異体の結合親和性を示す。結合親和性はBIAcoreアッセイを用いて測定した。一般に、EphA-Fc融合物をセンサーチップ表面に固定し、測定されるIgGを、この固定されたEphA受容体に流した。BIAcoreデータは、固定された抗原であるヒトEphA1およびヒトEphA2表面を用い、分析物として100nM濃度の各IgG変異体を使用して作製した。図13AはEphA1-Fcに対する親和性結果をまとめたものである。x軸は時間(秒)であり、y軸はResp. Diff.である。 EphA1-Fcに対するGEA44親和性至適化変異体の結合親和性を示す。結合親和性はBIAcoreアッセイを用いて測定した。一般に、EphA-Fc融合物をセンサーチップ表面に固定し、測定されるIgGを、この固定されたEphA受容体に流した。BIAcoreデータは、固定された抗原であるヒトEphA1およびヒトEphA2表面を用い、分析物として100nM濃度の各IgG変異体を使用して作製した。図13BはEphA2-Fcに対する親和性結果をまとめたものである。x軸は時間(秒)であり、y軸はResp. Diff.である。 ELISAにより決定された、種々のEphA受容体に対するGEA44親和性至適化抗体の結合を示す。 EphA4-FcおよびEphA4-hisに対する抗Eph IgG抗体の親和性を示す。これらの表は、EphA4対する、GEA44の様々な親和性成熟変異体の結合親和性をまとめたものである。第1列は種々の抗体を示し、第2列はkon(1/Ms)を示し、第3列はkoff(1/s)を示し、第4列はKD(nM)値を示し、最終列は注釈を適宜示す。 EphA4-FcおよびEphA4-hisに対する抗Eph IgG抗体の親和性を示す。これらの表は、EphA4対する、GEA44の様々な親和性成熟変異体の結合親和性をまとめたものである。第1列は種々の抗体を示し、第2列はkon(1/Ms)を示し、第3列はkoff(1/s)を示し、第4列はKD(nM)値を示し、最終列は注釈を適宜示す。 受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーを示す。 受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーを示す。 受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーを示す。 受容体の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーを示す。

Claims (64)

  1. 受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリー内の少なくとも2つのメンバーと特異的に結合するpan特異的抗体の特異性を改変する方法であって、前記pan特異的抗体のCDRの各アミノ酸を無作為抽出すること;無作為抽出されたCDRを含むライブラリーを作製すること;および前記ライブラリーを所望の受容体に対する親和性が変更されたクローンに関してスクリーニングすることを含む、方法。
  2. 前記受容体チロシンキナーゼファミリーが、クラスI RTK、クラスII RTK、クラスIII RTK、クラスIV RTK、クラスV RTK、クラスVI RTK、クラスVII RTK、クラスVIII RTK、クラスIX RTK、クラスX RTK、クラスXI RTK、クラスXII RTK、クラスXIII RTK、クラスXIV RTK、クラスXVI RTK、クラスXVII RTK、クラスXVIII RTK、およびクラスXIX RTKからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記受容体チロシンキナーゼファミリーが、受容体のEphファミリーである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ライブラリーが原核生物ライブラリーまたは真核生物ライブラリーである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ライブラリーが発現ライブラリーまたはディスプレーライブラリーである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ライブラリーが原核生物ファージ発現ライブラリーである、請求項5に記載の方法。
  7. モノクローナル抗体GEA44が結合するEph受容体エピトープと特異的に結合する抗体。
  8. 受容体のEphファミリーのメンバーの所望の組合せと特異的に結合するように改変された抗体であって、前記結合が、次式:EphA(x) + [EphB(y)](n2)、EphA(x) + [EphA(x)](n0)、EphB(y) + [EphB(y)](n2)、EphB(y) + [EphA(x)](n0)、または[EphA(x)](n0) + [EphB(y)](n2)(式中、(x)は1、2、3、4、5、6、7、8、または10であり、(y)は1、3、4、5または6であり、(ni)は0〜8の倍数であり、(n2)は0〜5の倍数である)により表される、抗体。
  9. ただし、D7、EA2、EA5、B210、B233、またはB208でない、請求項8に記載の抗体。
  10. アゴニスト抗体である、請求項8に記載の抗体。.
  11. 1A4、1B10、1D11、1G11、2C9、11H1、3A12、3C6、6B7、および8B4からなる群から選択される、請求項8に記載の抗体。
  12. 受容体のEphファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  13. 受容体のEphファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  14. 受容体のEphファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  15. 受容体のEphファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  16. 受容体のEphファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  17. 受容体のEphファミリーの少なくとも7つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  18. 受容体のEphファミリーの少なくとも8つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  19. 受容体のEphファミリーの少なくとも9つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  20. 受容体のEphファミリーの少なくとも10のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  21. 受容体のEphファミリーの少なくとも11のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  22. 受容体のEphファミリーの少なくとも12のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  23. 受容体のEphファミリーの少なくとも13のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  24. 受容体のEphファミリーの少なくとも14のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  25. 受容体のEphファミリーの少なくとも15のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  26. 受容体のEphファミリーの少なくとも16のメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  27. 受容体のEphAファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  28. 受容体のEphAファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  29. 受容体のEphAファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  30. 受容体のEphAファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  31. 受容体のEphAファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  32. 受容体のEphAファミリーの少なくとも7つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  33. 受容体のEphAファミリーの少なくとも8つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  34. 受容体のEphAファミリーの少なくとも9つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  35. 受容体のEphAファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  36. 受容体のEphBファミリーの少なくとも2つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  37. 受容体のEphBファミリーの少なくとも3つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  38. 受容体のEphBファミリーの少なくとも4つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  39. 受容体のEphBファミリーの少なくとも5つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  40. 受容体のEphBファミリーの少なくとも6つのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  41. 受容体のEphBファミリーの全てのメンバーと特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  42. ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項8に記載の抗体。
  43. 第1の親和性を有する第1のEph受容体と特異的に結合し、かつ、前記第1の親和性と同等である、前記第1の親和性と比較して増大された、および/または低減された親和性を有する少なくとも1つの第2のEph受容体と特異的に結合する、請求項8に記載の抗体。
  44. 前記少なくとも1つの第2のEph受容体の親和性が低下している、請求項43に記載の抗体。
  45. 前記増大された、および/または低減された親和性が、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、または少なくとも1000倍増大および/または低減される、請求項43に記載の抗体。
  46. 前記第1の親和性のKD値が、少なくとも約1x106 M-1、少なくとも約1x107 M-1、少なくとも約1x108 M-1、少なくとも約1x109 M-1、少なくとも約1x1010 M-1、少なくとも約1x1011 M-1、少なくとも約1x1012 M-1、少なくとも約1x1013 M-1、少なくとも約1x1014 M-1、または少なくとも約1x1015 M-1である、請求項43に記載の抗体。
  47. 前記第1の親和性のKD値が、約1x106 M-1〜約1x107 M-1の間、約1x107 M-1〜約1x108 M-1の間、約1x108 M-1〜約1x109 M-1の間、約1x109 M-1〜約1x1010 M-1の間、約1x1010 M-1〜約1x1011 M-1の間、約1x1011 M-1〜約1x1012 M-1の間、約1x1012 M-1〜約1x1013 M-1の間、約1x1013 M-1〜約1x1014 M-1の間、または約1x1014 M-1〜約1x1015 M-1の間である、請求項43に記載の抗体。
  48. 請求項8に記載の抗体を産生する細胞系統。
  49. 被験体における異常なEph受容体またはEphrin発現に関連する疾患を治療または予防する方法であって、前記治療または予防を必要とする被験体に有効量のEph/Ephrinモジュレーターを投与することを含む、方法。
  50. 前記 Eph/Ephrinモジュレーターが少なくとも1つまたはそれを超えるEph受容体と少なくとも1つまたはそれ以上Ephrinを調節する、請求項49に記載の方法。
  51. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが少なくとも2つまたはそれを超えるEph受容体の発現を調節する、請求項49に記載の方法。
  52. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが少なくとも2つまたはそれを超えるEphrinの活性を調節する、請求項49に記載の方法。
  53. 前記Eph受容体が、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5およびEphB6からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
  54. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが少なくとも2つまたはそれを超えるEphrinの発現を調節する、請求項49に記載の方法。
  55. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが少なくとも2つまたはそれを超えるEphrinの活性を調節する、請求項49に記載の方法。
  56. 前記Ephrinが、EphrinA1、EphrinA2、EphrinA3、EphrinA4、EphrinA5、EphrinB1、EphrinB2およびEphrinB3からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
  57. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが請求項8に記載の抗体である、請求項49に記載の方法。
  58. 治療される疾患が癌である、請求項49に記載の方法。
  59. 前記癌が、肝臓、肺、腎臓、前立腺、膵臓、精巣、結腸、胃、子宮内膜、卵巣、乳房、骨、軟組織、子宮、子宮頸、滑液、耳下腺、食道、皮膚、直腸、および甲状腺の癌である、請求項58に記載の方法。
  60. 治療される疾患が、PLCH、GVHD、原発性うっ血性拡張型心筋症、肉芽腫性心筋炎、慢性膵炎、肝硬変、橋本甲状腺炎、アルツハイマー病、急性胆嚢炎、クローン病、憩室炎、潰瘍性大腸炎および乾癬からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
  61. 前記Eph/EphrinモジュレーターがVEGFの産生を阻害する、請求項49に記載の方法。
  62. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが癌細胞の増殖を阻害する、請求項58に記載の方法。
  63. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが癌細胞の移動を阻害する、請求項58に記載の方法。
  64. 前記Eph/Ephrinモジュレーターが癌細胞の浸潤を阻害する、請求項58に記載の方法。
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