JP2011522872A - エフリンa型受容体7タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療、スクリーニング、診断及び予後のための方法及び組成物、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌治療の効果をモニタリングするための方法及び組成物、並びに薬剤開発のための方法及び組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

(1.緒言)
本発明は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌と関連している膜タンパク質の識別に関し、これは膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌の転移の標識として有用性を有し、また、治療抗体(若しくは他の親和性試薬)又は他の医薬薬剤が作成され得る生物学的標的、前記タンパク質/ポリペプチドを含む製剤/組成物、療法における前記タンパク質/ポリペプチド若しくはこれらを含む組成物の使用、療法における使用のための抗体、関連するポリペプチドに対する治療抗体若しくは抗体の組合せを含む組成物、及び療法におけるこれらの使用も形成する。また本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌の1以上の診断のための、関連するタンパク質、その断片又はそれらに対して指示された抗体の使用、及び前記タンパク質、断片又は抗体を含むキット、並びに診断方法における前記キットの使用にまでも及ぶ。
(本発明の背景)
(膀胱癌)
米国において、膀胱癌は、男性における4番目に最も一般的な型の癌であり、かつ女性における9番目に最も一般的な型の癌である。毎年、51,000人超の男性及び17,000人の女性が膀胱癌と診断され、合計約14,000人が死亡する。男性における膀胱癌の比較的高い発病率の1つの理由は、女性よりも男性において非常に高度に活性であるアンドロゲン受容体が、その癌の発生において主要な役割を果たすということである。
膀胱癌の発病率は、年齢と共に増加する。70歳をこえる人々は、55〜69歳の人々より2〜3倍高頻度に、及び30〜54歳の人々より15〜20倍高頻度に、該疾患を発病する。膀胱癌は、男性において2〜3倍、より一般的である。喫煙は、主要な寄与因子であり、先進諸国において、男性の事例では最高65パーセント、及び女性の事例では30パーセントの割合を占める。
米国において、およそ20億米国ドルが膀胱癌を治療することに費やされていると推定されている。膀胱癌調査におけるNCIの投資は、2000年の19,100,000米国ドルから2005年の推定34,800,000米国ドルへ増加した。
(膀胱癌診断)
ほとんどの患者は、最初に膀胱癌と診断されたとき、膀胱(74%)に限定されるそれらの癌を有する。19%の事例において、この癌は膀胱の外側で隣接組織に拡がり、3%においてこの癌は遠い部位まで拡がった。
膀胱癌は、膀胱鏡検査、生検、尿細胞学、及び静脈腎盂像(IVP)、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴映像法(MRI)スキャン、又は超音波などのイメージング試験を使用して診断できる。
(膀胱癌の病期分類)
膀胱癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージI〜IVに段階化した。
(膀胱癌治療)
膀胱癌の治療の主要な型は、手術、放射線療法、免疫療法及び化学療法である。手術は、単独又は他の治療と併用して、事例の90%超において使用される。初期又は表在性膀胱癌については、経尿道切除(TUR)が最も一般的である。最初に診断されたとき、患者の約70〜80%は表在性癌を有する。膀胱癌が侵襲性の場合、膀胱切除がしばしば必要である。局所的に進行した膀胱癌についての代替的方法は、放射線療法及び化学療法を伴うTURであり得る。
バチルス属のカルメット‐ゲラン桿菌(BCG)を、低いステージの膀胱癌を治療するための免疫療法として使用できる。
腫瘍免疫賦活剤又は補助化学療法は、膀胱癌の治療に使用できる。マイトマイシン及びチオテパは、膀胱内化学療法に最も頻繁に使用される薬剤である。膀胱癌を治療するために使用される全身化学療法の併用には、M-VAC(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン及びシスプラチン)、MCV(メトトレキサート、シスプラチン及びビンブラスチン)及びGemCIS(ゲムシタビン及びシスプラチン)を含む。
外照射療法、又は局所若しくは組織内放射線療法は、手術後に化学療法と併用できる。
(ステージごとの膀胱癌生存)
Figure 2011522872
(乳癌)
世界的に、乳癌は、最も一般的な癌であり(全ての癌事例の10%)、かつ女性における癌死の主要な原因(癌死の6%)である。乳癌の世界的な発病率は、1年あたり1,000,000件超の事例であり、約400,000人が死亡する。北アメリカの女性は、世界中で最も高い乳癌の割合を有する(1年あたり200,000件超の新規事例があり、約40,000人が死亡する)。女性の人生におけるある時点で侵襲性乳癌を発病する可能性は、約8分の1である。乳癌発病率は年齢と共に増加し、40歳以降で急上昇する。米国において、侵襲性乳癌の約77%は、50歳をこえた女性に起こる。米国において、およそ81億米国ドルが、毎年、乳癌を治療することに費やされていると推定されている。
(乳癌診断)
初期診断は、治療が成功する可能性を向上させる。マンモグラム、臨床胸部検査及び胸部自己診断などのスクリーニング方法は、乳癌を検出することに有用である。現在の診断法には、胸部超音波、ダクトグラム(ductogram)、全視野デジタルマンモグラフィ(FFDM)、シンチマンモグラフィ(scintimammography)及びMRIを含む。生検(細針吸引生検、コア生検又は外科的生検)は、その後、乳癌の存在を確認するために実施される。胸部X線、骨のスキャン、CT、MRI及びPETなどのイメージング試験は、乳癌が拡散したかどうかを検出するために使用される。
(乳癌の病期分類)
乳癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージ0〜ステージIVに段階化した。非浸潤性癌である腺管上皮内癌(DCIS)は、新規乳癌事例の20%を占め、これはステージ0である。乳癌のこの初期で診断されるほぼ全ての女性は、治癒可能である。浸潤性(侵襲性)腺管癌(IDC)は、侵襲性乳癌及び浸潤性(侵襲性)小葉癌(ILC)の80%を占め、これは侵襲性乳癌の5%を占め、より重篤なステージI〜IVの癌であり、転移し得る。
(乳癌治療)
乳房温存手術(乳腺腫瘤摘出)又は乳房切除は、乳癌についての通常の治療である。ステージI又はIIの乳癌については、乳房温存手術は、乳房切除と同程度に効果的である。患者は、それから再建手術を受けることができる。腋窩リンパ節サンプリング及び除去又はセンチネルリンパ節生検(SLNB)は、この癌がリンパ節まで拡がったかどうかを知るために実施される。
腫瘍免疫賦活剤化学療法は、手術の前に、大きな癌を縮小させるために実施できる。手術後の補助化学療法は、乳癌再発の危険性を低下させる。化学療法は、癌が胸部及び腕下領域の外側に拡散した女性についての主要な治療として使用することもできる。使用される化学療法剤には、アントラサイクリン(例えば、メトトレキサート、フルオロウラシル、ドキソルビシン、エピルビシン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン)及びアルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)を含む。
いったん化学療法が完了すると、放射線療法(通常は外照射であるが、しばしば近接照射療法)が与えられる。
選択的エストロゲン受容体モジュレータ(例えばタモキシフェン)でのホルモン療法は、エストロゲン受容体陽性乳癌を有する女性に与えることができる。手術後5年間タモキシフェンを摂取することは、初期の乳癌を有する女性の約50%において再発を減少させることができる。エクセメスタン、レトロゾール又はアナストロゾールなどのアロマターゼ阻害薬も使用できる。
HER2陽性の癌(乳癌の約1/3)を有する女性は、トラスツヅマブ(ハーセプチン)などの生物学的応答変更物質を与えられることができる。臨床試験は、化学療法へのトラスツヅマブの追加が、HER2陽性初期乳癌を有する女性において、手術後化学療法単独よりも再発割合及び死亡率を低下させることを示した。
(ステージごとの乳癌生存)
1995〜1998年に乳癌と診断された患者は、ステージ0及びIについて100%、ステージIIAについて92%、ステージIIBについて81%、ステージIIIAについて67%、ステージIIIBについて54%、及びステージIVについて20%の5年相対生存率を有した。
(結腸直腸癌)
結腸直腸癌(CRC)は、癌関連の罹患率及び死亡率の主要な原因であり、1年あたり推定500,000人の死に関与し、大部分が西側の先進国におけるものである。これらの地域において、CRCは、3番目に一般的な悪性病変である(米国及びEUの1年あたりの推定新規事例数は、1年あたりおよそ350,000件である)。米国において結腸直腸癌の治療に関連した推定保健医療費は、80億ドルを超える。
(結腸直腸癌診断)
今日において、便潜血試験、及び高度に浸潤的手順である結腸鏡検査は、結腸直腸癌の最も頻繁に使用されるスクリーニング及び診断方法である。他の診断ツールには、軟性S状結腸鏡検査(結腸の約半分のみの観察を可能にする)及び二重造影バリウム注腸(DCBE、X線像を得るため)を含む。
(結腸直腸癌の病期分類)
CRCは、4つの異なるステージを有する:米国国立衛生研究所(NIH)によると、ステージI疾患を有する患者は90%超の5年生存率を有し、転移性ステージIV疾患を有する患者は5%未満の生存率を有する。
(結腸直腸癌治療)
いったんCRCと診断されたならば、正しい治療を選択すべき必要がある。手術は通常、直腸癌の主要な治療であるが、放射線及び化学療法がしばしば手術前になされる。手術の可能的副作用は、手術中の出血、深部静脈血栓、及び手術中の近傍器官への損傷を含む。
現在、結腸直腸癌患者の60パーセントは、それらの疾患を治療するために化学療法を受けるが、この治療形態は、該集団の数パーセントのみに利益になる一方で、大きな毒性の危険性をもたらし、それゆえ患者の選択基準をよりよく規定する必要を示す。
結腸直腸癌は、初期診断後、平均18ヵ月以内に30〜40パーセントの再発率を有する。全ての癌と同様に、それがより早く検出されるほど、具体的には病理学者が大多数のCRC腫瘍が良性腺腫から一連の明確に規定されたステージで発病することを認めることがより早いほど、その癌が治癒する見込みは高くなる。
(ステージごとの結腸癌生存:)
ステージIについて93%、ステージIIAについて85%、ステージIIBについて72%、ステージIIIAについて83%、ステージIIIBについて64%、ステージIIICについて44%、及びステージIVについて8%。
(胃癌)
胃癌は、世界の癌関連の死の第2の主因であり、1年あたり約700,000人が死亡し、その大部分は後進国におけるものである。米国において、毎年約22,000人が胃癌と診断され、約11,000人が死亡する。この数は、日本のものよりも約10倍高い。胃癌と診断される人々の2/3は、65歳をこえる。
(胃癌診断)
初期胃癌は症状を稀にしか引き起こさず、それゆえ身体の他の領域に拡がる前に初期で発見されるのは、米国における胃癌の約10〜20%のみである。該疾患は一般的ではないので、米国における研究は、胃癌に有用な集団スクリーニングを見出さずにいた。内視鏡検査とそれに続く生検は、胃癌を診断するために使用される主な手順である。他の診断法には、バリウム上部消化管ラジオグラフ、内視鏡超音波、CTスキャン、PETスキャン、MRIスキャン、胸部X線、ラパロスコピー、完全血球算定(CBC)試験、及び便潜血検査を含む。
(胃癌の病期分類)
胃癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージ0〜IVに段階化される。ステージ0疾患患者は90%超の5年生存率を有する。一方、通常では治癒しないステージIV疾患患者については5年生存率がわずか7%である。米国において胃癌を有する人々の全体の相対5年生存率は約23%である。近位胃癌についての5年生存率は、遠位胃癌よりも低い。
(胃癌治療)
手術は、胃癌を治療する唯一の方法である。使用される3種類の手術、すなわち内視鏡粘膜切除術(初期胃癌についてのみ)、胃亜全摘術又は胃全摘術がある。胃癌はしばしばリンパ節にまで拡がり、それゆえリンパ節も切除しなければならない。癌が脾臓まで拡がった場合、脾臓も取り出される。胃癌手術は困難であり、合併症が起こる。
化学療法は、遠くの器官まで拡がった胃癌のための一次治療としてなされ得る。外照射療法を伴う化学療法は、特に癌が手術によって完全に取り除くことができない場合に、癌再発を遅延させることができ、胃癌の進行を遅延させて人々の寿命を延長できる。使用する化学療法剤には、フルオロウラシル、ドキソルビシン、メトトレキセート、エトポシド及びシスプラチンを含む。より近年では、イマチニブメシラート(Gleevec)が消化管間質腫瘍(GIST)において治験され、進行なく生存を改善した。
(ステージごとの胃癌生存)
ステージ0について90%超、ステージIAについて80%、ステージIBについて60%、ステージIIについて34%、ステージIIIAについて17%、ステージIIIBについて12%、及びステージIVについて7%。
(頭頸部癌)
用語頭頸部癌とは、口唇、口腔(口)、鼻腔、副鼻腔、咽頭及び喉頭を含む、上気道消化管から生じる生物学的に類似の癌の群をいう。大部分の頭頸部癌は扁平上皮癌であり、これらの領域の粘膜的裏打ち(上皮)から生じる。頭頸部癌はしばしば首のリンパ節まで拡がり、これはしばしば診断時の疾患の第1の徴候である。
米国における頭頸部癌の新規事例数は、2006年に40,490件であり、成人悪性の約3%を占めた。11,170人の患者が、2006年に該疾患で死亡した。世界的な発病率は、毎年500,000事例を上回る。頭頸部癌の85%は、タバコ使用に関連する。北アメリカ及びヨーロッパにおいて、腫瘍は通常、口腔、中咽頭又は喉頭から生じるが、鼻咽頭癌は、地中海の国々及び極東においてより一般的である。東南中国及び台湾において、頭頸部癌、特に鼻咽頭癌は、青年において最も一般的な死因である。アフリカ系アメリカ人は、若年齢での発病、高い死亡率、及び呈示に際してより進行した疾患を伴い、頭頸部癌に偏って罹患する。
(頭頸部癌診断)
頭頸部癌は、理学的検査、内視鏡検査、X線、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴映像法(MRI)スキャン、PETスキャン及び生検を含み得る試験の組合せを使用して診断される。頭頸部癌の初期徴候はしばしば検出されず、大多数の頭頸部癌患者は進行した疾患を呈し、かつしばしば二次腫瘍を有する。
(頭頸部癌の病期分類)
頭頸部癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージI〜IVに段階化される。頭頸部癌の全てのステージについての5年生存は35〜50%であり、これは部分的には遅い呈示に起因する。ステージI及びIIの生存率は40〜95%であり、ステージIII及びIVの生存率は0〜50%である。頭頸部癌患者の少なくとも1/3は、該疾患の結果として最終的に死亡すると予測される。治療様式の進歩にもかかわらず、5年死亡率は、この数十年間それほど変化していない。
(頭頸部癌治療)
手術及び放射線療法は主要な療法様式であり、しばしば併用される。化学療法は、手術の有無にかかわらず、導入療法として、又は放射線療法に対する補助として、使用できる。
(腎癌)
腎癌は、世界的に癌事例の約1.9%及び死の1.5%を占める。腎癌の世界的な発病率は、約208,000事例であり、100,000人超が死亡する。腎癌の発病率は先進諸国において非常に高く、西ヨーロッパにおいて6番目に最も一般的な癌の形態である。毎年米国においては、約38,900の腎癌の新規事例が診断され、約12,800人が死亡する。腎癌は45歳未満では非常に稀であり、その発病率は55歳〜84歳において最も高い。腎癌を呈している人々の割合は、1年あたり約1.5%増加してきたが、死亡率は増加していなかった。腎細胞癌は、悪性腎腫瘍の90%超を占める。米国において毎年、およそ19億米国ドルが腎癌を治療することに費やされていると推定されている。
(腎癌診断)
多くの腎細胞癌が遅い段階で発見される。腎細胞癌はいかなる痛み又は不快も生じることなく非常に大きくなることができ、早期に腎細胞癌を検出できる単純な試験は存在しない。腎細胞癌患者の約25%は、診断されるときに、既にそれらの癌の転移拡散を有する。腎細胞癌はしばしば、CTスキャン、MRI、超音波、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、静脈腎盂像(IVP)及び/又は血管造影法を使用して、生検を必要とすることなく診断できる。しかしながら、細針吸引生検は、イメージング結果が腎臓を取り出すことを正当化するのに十分決定的でない場合、価値があり得る。
(腎癌の病期分類)
腎細胞癌は、通常、1〜4のスケールに等級分けされる。また、腎細胞癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージI〜IVに段階化される。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の総合ステージングシステムを使用することもでき、これは拡散腫瘍を有しない患者を3群、すなわち低リスク、中リスク及び高リスクに分類する。5年癌特異的生存は、低リスク群について91%であり、中リスク群について80%であり、高リスク群について55%である。また、拡散腫瘍を有する患者は、3群、すなわち低リスク、中リスク及び高リスクに分類される。5年癌特異的生存は、低リスク群について32%であり、中リスク群について20%であり、高リスク群について0%である。
(腎癌治療)
根治的腎摘除(及び、しばしば局所的リンパ節切除)、部分的な腎摘除又は腹腔鏡腎摘除による手術は、腎細胞癌の主要な治療である。腎細胞癌腫は放射線にほとんど感受性がなかった。研究が生存率の改善を示さなかったので、この癌を取り除く前又は後に放射線療法を使用することはルーチン的には推奨されない。
腎細胞癌は、現在の形態の化学療法に非常に抵抗性である。ビンブラスチン、フロキシウリジン及び5-フルオロウラシル(5-FU)などのある種の薬剤は、若干効果的である。5-FU及びゲムシタビンの併用は、一部の患者の利益になった。5-FU様薬剤であるカペシタビンも、若干の利点を有し得る。
サイトカイン(インターロイキン-2(IL-2)及びインターフェロン-α)は、転移性腎細胞癌に対する標準治療の1つになった。サイトカインは、患者の約10%〜20%において、この癌をその元のサイズの半分未満に縮小させる。IL-2に応答する患者は、持続的な応答を有する傾向がある。IL-2、インターフェロン及び化学療法(5-フルオロウラシルを使用)の併用を用いた最近の研究も有望であり、部分的な又は完全な寛解のより良好な機会を提供し得る。しかしながら、サイトカイン療法は、重篤な副作用を有する。
ソラフェニブ(ネクサバル(Nexavar))、スニチニブ(スーテント(Sutent))及びベバシヅマブ(アバスチン)は、腎細胞癌に対しても有効であり得る他の薬剤である。
(ステージごとの腎癌生存)
Figure 2011522872
(肺癌)
肺癌は、世界的に最も一般的な癌であり(癌事例の約12%を占める)、癌からの主要な死因である(死亡の約18%を占める)。肺癌の世界的な発病率は、1年あたり1,300,000件であり、1,100,000人超の死亡数を有する。米国において、1年あたり約170,000件の新規事例(全ての癌の約13%)があり、約160,000人が死亡(癌死の約28%)である。肺癌は、女性より男性においてより高度に蔓延している。肺癌と診断される人々のほぼ70%は65歳より上であり、全ての事例の3%未満が45歳未満の人々で発見される。全ての肺癌の約15%は、体内に広く拡散する傾向がある小細胞型(SCLC)であり、残りの85%は非小細胞(NSCLC)である。米国において毎年、およそ96億米国ドルが肺癌を治療することに費やされると推定されている。
(肺癌診断)
肺癌は、胸部X線で検出できる前でさえもしばしば転移するので、致命的な疾患である。通常、肺癌の症状は、進行した段階まで現れない。これまでに、人の治癒機会を向上させることを示したスクリーニング試験は存在しない。胸部X線、CTスキャン、MRIスキャン又はPETスキャンなどのイメージング試験を使用して、肺癌を検出することができる。診断を確認する試験をそれから実施する。該試験には、痰細胞学、針生検、気管支鏡法、気管支内超音波及び完全血球測定(CBC)を含む。
(肺癌の病期分類)
肺癌と診断された人々の約60%は、診断の1年以内に死亡し、75%は2年以内に死亡する。NSCLCと診断された人々についての5年生存率は約15%であり、SCLCについての5年生存率は約6%である。NSCLCは、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージ0〜ステージIVに段階化される。ステージごとの5年生存率は、以下の通りである:ステージI:47%、ステージII:26%、ステージIII:8%、及びステージIV:2%。SCLCは、2段階システム、すなわち、限定ステージ及び広範ステージを有する。SCLC患者の約2/3は、診断で広範疾患を有する。SCLCが非常に初期に見つかり、肺のみに限局する場合、5年生存率は約21%であるが、患者の6%のみがこのカテゴリ内にある。該癌が拡散した場合、5年生存は約11%である。広範疾患を有する患者について、5年生存はわずかに2%である。
(肺癌治療)
手術は、NSCLCを治癒するための唯一の信頼性の高い方法である。手術の種類には、肺葉切除術、肺切除、部分切除術、及びビデオ補助胸部手術(小腫瘍について)を含む。特に患者の健康が手術を受けるにはあまりに劣っている場合、外照射療法がしばしば一次治療として使用される。放射線療法は、手術後に使用することもできる。化学療法は、一次治療として、又は手術に対する補助として、提供できる。他の治療が失敗した後、ゲフィチニブ又はエルロチニブなどの上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニストを使用する標的治療を提供することもできる。ベバシズマブなどの抗血管新生薬は、進行した肺癌患者の生存を延長することが見出された。光力学性治療は、肺癌の治療としても調査されている。
SCLCのための主要な治療は、化学療法単独、又は外照射療法及びごくまれに手術と併用しての化学療法である。
NSCLC及びSCLCに使用される化学療法剤には、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、イフォスファミド、ビンブラスチン、ゲムシタビン、エトポシド、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル及びイリノテカンを含む。
(骨肉腫)
骨肉腫は、子供、若者及び若年成人(小児腫瘍の約5%を占める)において最も一般的な骨癌であるが、それはまだ一般集団の100万人につき2〜3人の年間発生率を有する稀な疾患である。米国では毎年、骨肉腫と診断される新規事例が約900件あり(そのうちの約400件は20歳未満の子供及び若者に起こる)、毎年約300人が死亡する。骨肉腫は、骨の直接の形成によって、又は腫瘍細胞による類骨組織によって特徴づけられる付属肢骨格の一次悪性腫瘍である。子供及び若者において、当該腫瘍の50%超は、膝の回りの骨から生じる。骨肉腫を有する多くの人々は治癒できるが全てではなく、かつ最も現代的な治療でさえ治療価が高い。
(骨肉腫診断)
骨肉腫のための診断法には、罹患領域のX線、骨のスキャン、CTスキャン、PETスキャン及びMRIを含む。胸部のCTスキャンも、癌が肺まで拡がったかどうかを知るために行われる。血液検査を使用してアルカリホスファターゼ及び/又はLDHの血清レベルを検出することができる。これらは骨肉腫患者の相当数において増加するが、血清レベルは疾患範囲と信頼できるほどには相関しない。骨肉腫の診断は、コア針生検又は直視下生検によって、組織学的に検査されなければならない。微小転移性疾患は、患者の80〜90%の診断に存在するが、現在の試験のいずれでも検出不可能である。
(骨肉腫の病期分類)
骨肉腫について以下の2つの病期分類システムがある:低悪性腫瘍がステージI、高悪性腫瘍がステージII、及び転移性腫瘍(悪性度に関係なく)がステージIIIであるEnnekingシステム、並びに、IAからIVBまで骨肉腫を段階化する米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステム。基本的に以下の2つの患者のカテゴリが存在する:臨床的に検出可能な転移性疾患(限局性骨肉腫)を呈さない患者、及び臨床的に検出可能な転移性疾患(転移性骨肉腫)を呈する患者の15〜20%。転移性疾患の85%〜90%は肺にある。
骨肉腫は、小児癌について最低生存率のうちの1つを有する。非転移性骨肉腫患者についての全体5年生存率は、70%超である。癌がその診断時に既に転移した患者についての5年生存率は、約30%である。
(骨肉腫治療)
いったん骨肉腫が診断されたならば、正しい治療の選択が必要である。成功的な治療は、一般に、有効な全身化学療法と、全ての臨床的に検出可能な疾患の完全な切除(切断、肢保存、又は回転形成術)(全ての顕性転移性疾患の切除を含む)との組合せを必要とする。保護重量ベアリングは、重量を支える骨の腫瘍患者が、肢保存手術を妨げ得る病的骨折を予防するために推奨される。
手術単独で治療される限局性骨肉腫患者の少なくとも80%は、転移性疾患を発病する。無作為臨床試験は、補助化学療法が、限局性で切除可能な原発腫瘍を有する患者における再発(relapse)又は再発(recurrence)を予防する際に有効であることを確立した。使用される化学療法剤には、高用量メトトレキセート、ドキソルビシン、シスプラチン、高用量イホスファミド、エトポシド、カルボプラチン、シクロホスファミド、アクチノマイシンD及びブレオマイシンを含む。骨探査放射性化学薬品は、しばしば、骨肉腫を治療するために使用される。サマリウム-153は、外照射療法に加えて与えることができる。
最初に切断により治療される患者と肢温存手順で治療される患者との間の全体的生存(OS)に差はない。一般に、四肢骨肉腫患者の80%超は、肢温存手術により治療でき、切断を必要としない。患肢温存手術の複雑性には、感染及び移植又は緩み若しくは壊れるようになるロッドを含む。患肢温存手術患者は次の5年間により多くの手術を必要とする可能性があり、その一部は最終的に切断を必要とするかもしれない。肢長不等は、幼児についての主要な潜在的課題でもある。治療オプションには、これらの子供についての伸長可能な人工器官、切断、及び回転形成術を含む。
骨肉腫の大部分の再発は、治療完了後2〜3年に発症する。手術単独で治療される限局性で切除可能な原発腫瘍患者の30%未満は、再発なく生存し得ると予期される。骨肉腫の再発は、多くの場合肺においてである。
再発性疾患の完全な切除を達成する能力は、転移性肺腫瘍の完全な切除後20%〜45%、及び他の部位の転移の完全な切除後20%の5年生存率を有する、第1の再発における最も重要な予後因子である。肺再発の反復切除は、一部の患者について伸展した疾患の制御及び可能な治癒をもたらし得る。除去不能な転移性疾患患者についての生存は、5%未満である。観察単独が続く転移性疾患の切除は、全体的に低くかつ無疾患の生存をもたらす。
(膵臓癌)
膵臓癌は検出するのが非常に困難な癌であり、通常、患者の予後は非常に悪い。1年あたりの新規事例及び死亡の数は、ほぼ等しい。膵臓癌の世界的な発病率は、1年あたりおよそ230,000事例(全ての癌事例の約2%)であり、約225,000が死亡する(癌死の3.4%)。膵臓癌は、先進世界においてより高度に蔓延している。米国において、1年あたり約34,000の新規事例があり、約32,000が死亡である。米国において毎年、およそ15億米国ドルが膵臓癌を治療することに費やされていると推定されている。
(膵臓癌診断)
膵臓癌は検出するのが非常に困難であり、極めて少数の膵臓癌が早期に発見される。膵臓癌が他の器官に拡がるまで、患者は通常症状がない。現在、初期の膵臓癌を正確に検出できる血液検査又は容易に利用できるスクリーニング試験は存在しない。内視鏡超音波とそれに続く生検は、膵臓癌を診断する最善の方法である。他の検出方法には、CT、CTガイド針生検、PET、超音波検査法及びMRIを含む。CA 19-9及び癌胚抗原(CEA)の血中濃度は上昇し得るが、血中濃度が検出されるのに十分高い頃には、膵臓癌はもはや初期ではない。
(膵臓癌の病期分類)
膵臓癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムに従う4つのステージ、すなわちステージI〜ステージIVを有する。膵臓癌は、除去可能な癌、局所進行性の癌(切除不能)、及び転移性の癌にも分けられる。進行癌患者について、全体の生存率は5年で1%未満であり、大部分の患者は1年以内に死亡する。
(膵臓癌治療)
手術は、膵臓癌を治癒させる唯一の方法である。膵臓癌の約10%は診断時に膵臓の範囲内に完全に含まれ、手術によって全ての癌を取り除く試みはこれらの患者の一部において成功し得る。癌を完全に取り除く意図をもって手術を受けた患者の5年生存は、約20%である。癌の全てを取り除くことが可能であり得る場合、通常では膵十二指腸切除(ホイップル手順)による潜在的治療手術が使用される。腫瘍を完全に取り除くにはあまりに広範囲である場合、対症手術を実施できる。癌の一部だけを取り出すことは、患者を長生きさせない。膵臓癌手術は、合併症の高い可能性を有するので、実施するのが困難である。
化学療法と併用した外照射療法は手術の前又は後に提供でき、腫瘍が手術によって取り除かれるにはあまりに広範囲にわたる患者に提供することもできる。使用される主な化学療法剤は、ゲムシタビン及び5-フルオロウラシルである。エルロチニブ及びセツキシマブなどの薬剤を使用する標的治療は、進行した膵臓癌を有する患者の利益であり得る。
(前立腺癌)
前立腺癌は、世界的に男性における3番目に最も一般的な癌であり、これは世界的に全ての癌事例の5.4%及び癌関連の死の3.3%を占める。前立腺癌の世界的な発病率は、約680,000事例であり、約221,000は死亡である。米国において、前立腺癌は、米国の男性において、皮膚癌以外の最も一般的な癌である。前立腺癌の約234,460の新規事例が、毎年米国において、診断される。男性の約6分の1がその生涯に前立腺癌と診断され、34分の1のみがそれで死亡する。1,800,000人超の米国男性は、前立腺癌の生存者である。前立腺癌を呈する危険は年齢と共に著しく上昇し、事例の60%は70歳をこえた男性に起こる。前立腺癌は、米国男性の癌死の2番目の主因である。米国の約27,350人の男性は、毎年前立腺癌で死亡する。前立腺癌は、男性の癌関連死の約10%を占める。検出及び治療の最新の方法は、前立腺癌が今日ではより早く発見され、より効果的に治療されることを意味する。これは、近年、約3.5%の死亡率の毎年の低下をもたらした。前立腺癌は、北アメリカ及び北西部ヨーロッパに最も一般的である。それは、アジア、アフリカ、中米及び南米において、比較的一般的でない。約80億米国ドルが米国において毎年前立腺癌を治療することに費やされていることが推定された。
(前立腺癌診断)
前立腺癌は、しばしば、血中の前立腺特異抗原(PSA)の量をテストすることによって、早期に発見されることが可能である。デジタル直腸診(DRE)も実施できる。しかしながら、現在のスクリーニング法に関する潜在的課題がある。PSA試験もDREも、100%正確ではない。コア針生検は、前立腺癌を診断するために使用される主要な方法である。経直腸的超音波(TRUS)は、前立腺の生検の間に使用できる。
(前立腺癌の病期分類)
前立腺癌は、グリーソンシステムに従って等級分けされ、これは1〜5に等級分けされ、これは1〜10のグリーソンスコアを生じる。前立腺癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステム使用して段階化され、グリーソンスコアと併せ、I〜IVの段階を与える。
全ての前立腺癌の91パーセントは、局所段階及び領域段階で発見され;これらの男性についての5年相対生存率は、ほぼ100%である。前立腺癌が診断時に身体の遠位部まで既に拡がった男性についての5年相対生存率は、約34%である。
(前立腺癌治療)
前立腺癌は、しばしば非常にゆっくり成長するので、一部の男性は全く治療せず、期待管理(expectant management)が推奨される。治療が要求され、かつ癌が腺の外側に拡がったと考えられない場合、根治的前立腺切除を実施できる。前立腺の経尿道的切除(TURP)を実施でき、これは症状を軽減するが、前立腺癌は治癒しない。
外照射療法(3次元原体照射療法(3DCRT)、強度変調放射線療法(IMRT)又は等角陽子線放射線療法)又は近接照射療法を治療として使用することもできる。
凍結手術はしばしば、限局性前立腺癌を治療するために使用されるが、凍結手術の長期の効果についてそれほどよくわかっていないのみならず、該手術は、前立腺癌についての第1の治療として日常的に使用されない。該手術は、他の治療後の再発性癌に使用できる。
アンドロゲン除去療法(ADT)(除睾術又は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)の類似体若しくはアンタゴニスト)は、前立腺癌を縮小させ、又はそれらをよりゆっくり成長させるために使用できる。
前立腺癌が前立腺の外側に拡がり、ホルモン療法抵抗性である場合、化学療法がしばしば使用される。化学療法剤には、ドセタキセル、プレドニゾン、ドキソルビシン、エトポシド、ビンブラスチン、パクリタキセル、カルボプラチン、エストラムスチン、ビノレルビンを含む。ホルモン療法の様に、化学療法は治癒をもたらしそうにない。
(皮膚癌)
皮膚癌は癌で最も一般的な型であり、全ての癌の少なくとも半分を占める。メラノサイトから発症する皮膚癌は、黒色腫と呼ばれている。黒色腫は皮膚癌事例の約4%を占めるが、皮膚癌死の大半の原因となる。米国において、約62,000の新しい黒色腫が毎年診断され、約8,000は死亡である。
皮膚癌のずっと一般的な型は、基底細胞癌及び扁平上皮細胞癌を含むケラチノサイト癌である。基底細胞癌は非黒色腫皮膚癌の約80%を占め、扁平上皮細胞癌は約20%を占める。1,000,000超の基底細胞及び扁平上皮細胞の皮膚癌が毎年診断される。これらの癌による死は稀であり;約2,000人が、毎年、非黒色腫皮膚癌で死亡する。死亡率は、過去30年で約30%下がった。
(皮膚癌診断)
皮膚生検は、皮膚癌を診断するために使用される。皮膚生検の型には、切採生検、切開生検、薄片生検及び穿孔生検を含む。転移性皮膚癌は、微細針吸引生検、外科リンパ節生検及びセンチネルリンパ節マッピング及び生検を含む、多くの方法を使用して診断できる。胸部X線、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、ポジトロン放射形断層撮影(PET)及び核骨のスキャンなどのイメージング試験も使用できる。
(皮膚癌の病期分類)
黒色腫は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムを使用して、ステージ0〜IVに段階化した。黒色腫の厚さは、ブレスロウ測定を使用して測定される。基底細胞癌は他の器官までめったに拡がらず、それゆえめったに段階化されない。AJCC TNMシステムを使用する病期分類は、しばしば扁平上皮細胞癌についてなされる。
(皮膚癌治療)
大部分の基底細胞及び扁平上皮細胞癌はしばしば、単純切除、掻爬及び電気乾固又はモーズ手術(顕微鏡制御手術)などのかなり軽微な手術によって、完全に治療できる。寒冷療法、光力学療法又は5-フルオロウラシルを使用する局所化学療法も、これらの皮膚癌についての治療オプションとして使用できる。拡散のハイリスクを有する特定の扁平上皮細胞癌については、手術後に、しばしば放射線又は化学療法を受けることができる。使用できる化学療法剤には、シスプラチン、ドキソルビシン、フルオロウラシル(5-FU)及びマイトマイシンを含む。腫瘍が非常に大きいか又は手術を困難にする皮膚の領域にある場合、放射線が一次治療として使用され得る。
薄い黒色腫は、切除によって、完全に治癒できる。黒色腫が指又は足指にある場合、治療は、指の切断を伴う場合がある。黒色腫がリンパ節まで拡がった場合、リンパ節解剖が要求され得る。
現在の治療は、通常、ステージIVの黒色腫を治療できない。化学療法は通常、いくつかの他の型の癌よりも黒色腫において有効でないにもかかわらず、ステージIV黒色腫を有する一部の患者の症状を軽減することができ、又は生存を延長できる。しばしば、黒色腫を治療するために使用される化学療法剤には、ダカルバジン、カルマスチン、シスプラチン、ビンブラスチン及びテモゾロマイドを含む。最近の調査は、いくつかの化学療法剤と1以上の免疫治療薬剤を併用する生化学療法が、単一化学療法剤単独よりも有効であり得ることを見出した。免疫治療薬剤には、インターフェロンα及び/又はインターロイキン-2を含む。放射線療法は再発性黒色腫を治療するために使用でき、骨及び脳に対する転移の緩和として使用する。
(ステージごとの黒色腫生存)
Figure 2011522872
(甲状腺癌)
甲状腺癌の2つの最も一般的な型は、甲状腺癌の80%を占める乳頭状癌、及び甲状腺癌の10%を占める濾胞性癌である。これらは、甲状腺の濾胞性細胞から発達する分化した甲状腺癌である。乳頭状癌は、非常にゆっくり成長し;該癌はしばしば頸部のリンパ節まで拡がるが、そのほとんどの場合、成功裏に治療でき、ほとんど致命的でない。濾胞性癌は通常、リンパ節まで拡がらないが、肺又は骨などの身体の他の部分に拡がり得る。予後は乳頭状癌ほど良好でないが、それでもほとんどの場合、非常に良好である。他のタイプの甲状腺癌にはハースル細胞癌、甲状腺髄様癌及び未分化癌を含み、この全ては一般性が低いものの治療が難しく、乳頭状癌及び濾胞性癌より悪い予後を有する。
甲状腺癌の約37,000の新規事例が毎年米国にあり、その約1,600は死亡である。5年生存率は約97%と非常に良好である。甲状腺癌は、主に若い人々が罹患し、約66%の事例が20〜55歳の人々で見つかる。
(甲状腺癌診断)
甲状腺癌は、針生検により診断される。該癌が肺まで拡がったかどうかを知るために胸部X線などのイメージング試験、すなわち超音波、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴映像法(MRI)スキャン又は放射性ヨウ素スキャンも実施できる。甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血中レベルは、甲状腺の活性を測定するために調べることができる。髄様甲状腺癌について、カルシトニン性及び癌胎児抗原(calcitonic and carcinoembryonic antigen)(CEA)のレベルはしばしば高く、それゆえこれを測定して診断を補助できる。
(甲状腺癌の病期分類)
甲状腺癌は、米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムによる4段階、すなわちステージI〜ステージIVを有する。大部分の他の癌とは異なり、甲状腺癌は、癌のサブタイプ及び患者の年齢を考慮する方法のステージに分類される。乳頭状又は濾胞性甲状腺癌について、45歳未満の全ての人々は、ステージI又はステージIIである。45歳以上の患者は、ステージI〜IVであり得る。任意の年齢の人々における髄様甲状腺癌についての病期分類は、45歳より老いた人々の乳頭状又は濾胞性癌にについてのものと同じである。全ての未分化甲状腺癌はステージIVとみなされ、この型の癌の予後不良を反映する。
(甲状腺癌治療)
手術は、甲状腺癌についての主要な治療であり、一部の未分化甲状腺癌を除き、ほぼあらゆる場合において使用される。肺葉切除は、小さな分化した甲状腺癌のために使用され得るが、甲状腺切除術は最も一般の手術である。該癌が甲状腺の外側で拡がった場合、リンパ節除去は実施される。甲状腺全摘出術を受けた患者は、甲状腺ホルモン置換ピルを毎日飲むことを必要とする。
放射性ヨウ素は、手術により除去されない任意の甲状腺の組織を破壊するか、又はリンパ節及び身体の他の部分まで拡がった甲状腺癌を治療するために使用できる。ヨウ素を取り込まないので、放射性ヨウ素療法は、未分化及び髄様甲状腺癌を治療するために使用されない。外照射療法が、これらの場合に使用され得る。
(ステージごとの甲状腺癌生存)
乳頭状甲状腺癌についてのステージごとの相対5年生存率は、以下の通りである:ステージI:100%;ステージII:100%;ステージIII:96%;ステージIV:45%;濾胞性甲状腺癌について:ステージI:100%;ステージII:100%;ステージIII:79%;ステージIV:47%;髄様甲状腺癌について:ステージI:100%;ステージII:97%;ステージIII:78%;ステージIV:24%;及び、未分化甲状腺癌について、全てがステージIVであり、相対5年生存率は約9%である。
(子宮癌)
子宮体癌は、もっとも一般的な子宮癌である。これは、子宮内膜又は子宮の裏打ちから生じる数種類の悪性腫瘍に関する。他の型の子宮癌は、子宮肉腫などの子宮の他の組織から発症する。子宮肉腫は子宮体癌ほど一般的ではなく、子宮癌の約4%を占める。子宮癌は、米国における最も一般的な婦人科系癌であり、毎年40,000人超の女性において診断される。子宮癌は、婦人科系癌死(卵巣癌及び子宮頸癌に次ぐ)の3番目に一般的な原因であり、米国において1年につき7,000人超が死亡する。
子宮癌の大部分の場合は、55歳以上の女性で発見される。生涯の間、子宮癌と診断される女性の平均機会は、約41分の1である。
(子宮癌診断)
大部分の子宮癌は、初期に検出される。子宮癌と診断される患者の約90%は、異常な膣出血がある。子宮内膜生検は、子宮癌についての最も一般的に実施される検査であり、しばしば子宮鏡検査を伴う。しばしば、拡張及び掻爬が実施される。経膣的超音波などのイメージング試験、並びに完全血球算定(CBC)及びCA 125血液検査などの血液検査も実施できる。
(子宮癌の病期分類)
子宮癌は、それがどの程度、正常の子宮内膜のように見えるかに基づいて等級分けされる。癌の95%以上が正常な子宮内膜組織のものと類似の腺を形成する場合、癌はグレード1と呼ばれる。グレード2の腫瘍は、50%〜94%で腺形成を有する。半分未満の組織が腺を形成する癌にはグレード3を与える。
子宮癌を病期分類するために使用される主要なシステムはFIGO(婦人科学及び産科学の国際連盟)システムであり、これは外科病期分類システムである。FIGOシステムは、ステージI〜IVで癌を分類する。米国対癌合同委員会(AJCC)TNMシステムも使用でき、該ステージは正確にFIGOのものに適合する。
全体の5年相対生存率は、約88%である。癌が初期で発見される場合、5年生存率は95%超である。
(子宮癌治療)
両側卵管卵巣摘除での完全腹式子宮摘出は、子宮癌について最も一般的な治療アプローチである。根治的子宮摘出はしばしば、該癌が頸部まで拡がるときに、実施される。リンパ節サンプリングは、子宮摘出と同時にできる。子宮摘出の後、近接照射療法又は外照射療法を与え得る。子宮体癌を治療するために使用できる化学療法剤には、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、カルボプラチン及びパクリタキセル(タキソール)を含む。イホスファミドは、しばしば、癌肉腫を治療するために使用される。
(ステージごとの子宮癌生存)
子宮内膜腺癌についてのステージごとの相対5年生存率は、以下の通りである:ステージIA:99%;ステージIB:99%;ステージIC:92%;ステージII:80%;ステージIII:60%、及びステージIV:30%。子宮癌肉腫についての相対5年生存率は、以下の通りである:ステージI:70%;ステージII:45%;ステージIII:30%、及びステージIV:15%。
(治療的挑戦)
上述の癌の治療における主な挑戦は、早期検出率を改良すること、疾患進行を追跡し、再発を同定するために使用できる新規な非侵襲性標識を発見すること、及び、特に5年生存が未だ劣っているより進行した疾患について改良されかつより毒性の低い療法を発見することである。癌細胞により特異的である標的、例えばそれらが免疫治療剤及び標的化毒素のような新規な方法を約束することにより攻撃できるように腫瘍細胞の表面に発現されるものを同定する大きな必要性が存在する。
(本発明の要旨)
本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌のスクリーニング、診断、予後及び療法のための方法及び組成物、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌患者の層化のための方法及び組成物、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療の有効性をモニターするための方法及び組成物、並びに転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療用薬剤開発のための方法及び組成物を提供する。
出願人らは、1Dゲル電気泳動又はiTRAQ若しくはICAT試薬でのタグ付けにより生じたペプチド、及び乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫若しくは前立腺癌の組織試料から抽出した膜タンパク質又は溶解液のトリプシン消化断片を同定するために、質量分析を使用した。ペプチド配列は、既存のタンパク質及びcDNAデータベース並びに同定された対応する遺伝子配列と比較した。免疫組織化学実験も実施し、染色が結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、子宮癌、頭頸部癌、皮膚癌、腎癌、甲状腺癌及び膵臓癌、並びに転移性の乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肺癌及び甲状腺癌において観察された。本発明のタンパク質は、これまで、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌の細胞膜から生じるとの報告がなされておらず、これらは新たな診断的及び治療的価値のあるタンパク質であることを表す。
本発明の第1の態様は、癌、特に転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌などの疾患の治療、スクリーニング、検出及び/又は診断における使用のための、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的に結合し得る作用物質、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤、又はエフリンA型受容体7の活性を検出し得る作用物質である。
本発明の別の態様は、癌、特に転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌などの疾患の治療、スクリーニング、検出及び/又は診断における使用のための、エフリンA型受容体7若しくはその断片である。
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬であり、例えば、検出可能な標識を含むか若しくはそれに抱合化されている、又は細胞傷害性部分などの治療的部分を含むか若しくはそれに抱合化されている、親和性試薬である。親和性試薬は、例えば、抗体であり得る。
いくつかの実施態様において、本発明の抗体は、以下からなる群から選択される:全抗体、抗体断片、ヒト化抗体、単鎖抗体、免疫複合体、脱フコシル化抗体、及び二重特異性抗体。抗体断片は、以下からなる群から選択できる:ユニボディ、ドメイン抗体及びナノボディ。いくつかの実施態様において、本発明の免疫複合体には、治療剤を含む。本発明の別の態様において、治療剤は、細胞毒素又は放射性同位元素である。
いくつかの実施態様において、本発明の抗体は、以下からなる群から選択される:アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、バーサボディ及びデュオカリン。
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤、例えば検出可能な標識を含むか又はこれに抱合化されているハイブリダイズ剤である。ハイブリダイズ剤の1つの例は、阻害性RNA(RNAi)である。他の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムを含む。
また本発明は、先に記載した方法におけるそれらの使用のための取扱説明書と共に、エフリンA型受容体7及び/又はその1以上の断片を含むか、又は1以上の先に記載した親和性試薬及び/又はハイブリダイズ剤を含むか、又はエフリンA型受容体7の活性を検出し得る1以上の作用物質を含む、キットを提供する。本キットは、前記親和性試薬及び/又はハイブリダイズ剤のそれらの結合パートナーへの結合を検出して報告できる試薬をさらに含むことができる。
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬の治療上有効量を含む医薬組成物である。
本発明の別の態様は、先に記載した1以上の親和性試薬若しくはハイブリダイズ試薬及び医薬として許容し得る希釈剤又は担体を含む、医薬として許容し得る希釈剤若しくは担体及び医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本発明は、抗エフリンA型受容体7抗体を生産する方法であって:本発明の抗体をコードする1以上の核酸分子を含む宿主細胞を得る工程;該宿主細胞を宿主細胞培地で培養する工程;1以上の核酸分子が発現される宿主細胞培地条件を提供する工程;及び、該宿主細胞から、又は宿主細胞培地から抗体を回収する工程;を含む、前記生産方法である。
本発明の他の態様は、本発明の抗体を生産する方法であって:ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック動物をエフリンA型受容体7ペプチドで免疫をする工程;前記トランスジェニック動物からB細胞を回収する工程;前記B細胞からハイブリドーマを作る工程;エフリンA型受容体7を結合する抗体を発現するハイブリドーマを選択する工程;及び、前記選択されたハイブリドーマからエフリンA型受容体7を結合する前記抗体を回収する工程;を含む、前記生産方法に関する。
他の実施態様において、抗エフリンA型受容体7抗体を生産する方法は:
ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック動物をエフリンA型受容体7ペプチドで免疫する工程;
前記トランスジェニック動物のB細胞からmRNAを回収する工程;
前記mRNAをcDNAに変換する工程;
前記cDNAによってコードされる抗エフリンA型受容体7抗体が前記ファージの表面に提示されるように、ファージにおいて前記cDNAを発現させる工程;
抗エフリンA型受容体7抗体を提示するファージを選択する工程;
前記抗エフリンA型受容体7免疫グロブリンをコードする前記選択されたファージから核酸分子を回収する工程;
宿主細胞において前記回収された核酸分子を発現させる工程;及び、
エフリンA型受容体7を結合する前記宿主細胞から抗体を回収する工程;を含む。
本発明の別の態様は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のための、エフリンA型受容体7ポリペプチド、その1以上の免疫原性断片又は誘導体の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療する方法であって、(a)転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の発症又は発病を予防するために、(b)転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行を予防するために、又は(c)転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の症状を寛解させるために、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する患者に、本発明のタンパク質の発現若しくは生物活性(又はその両方)を調節(例えば、上方制御するか又は下方制御する)又は補完する化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明の別の態様では、出願人らは、対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/若しくはスクリーニングし、若しくはこれらの進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、前記対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在若しくはレベル、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在若しくはレベル、又はエフリンA型受容体7の活性の存在若しくはレベルを検出することを含む、又は該レベルの変化を検出することを含む、前記方法を提供する。
本発明の別の態様によると、出願人らは、候補対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングする方法であって、前記候補対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在を検出することを含み、ここで(a)健常対象のレベルと比較しての候補対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片のレベルの上昇、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸のレベルの上昇の存在、又はエフリンA型受容体7の活性レベルの上昇の存在、又は(b)健常対象において対応する検出不可能なレベルと比較しての候補対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の検出可能なレベル、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の検出可能なレベルの存在、又はエフリンA型受容体7活性の検出可能なレベルの存在のいずれかが、前記対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す、前記方法を提供する。
本発明の別の態様によると、出願人らは、対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、第1の時点及びその後の時点での前記候補対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、若しくはエフリンA型受容体7の活性の存在、前記第1の時点での該対象におけるレベルと比較してその後の時点での該対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片のレベルの上昇若しくは低下、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸のレベルの上昇若しくは低下の存在、又はエフリンA型受容体7の活性のレベルの上昇若しくは低下の存在を検出することを含み、これが前記対象における、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行若しくは退行を示し、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果若しくは非効果を示す、前記方法を提供する。
エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、若しくはエフリンA型受容体7の活性の存在は、例えば、前記対象から得られる生体試料の分析により検出できる。
発明の方法は、典型的には、前記対象から分析のために生体試料を得る工程を含み得る。
使用される試料は、血清試料又は組織試料、例えば膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺又は子宮の組織などの任意の供給源由来であり得る。例えば、転移性の膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の根拠を探す場合、1つには、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の転移の主要部位、例えば、膀胱癌については前立腺、子宮、膣、骨、肝臓又は肺;乳癌については肝臓、肺及び骨;結腸直腸癌については肝臓、腹膜腔、骨盤、後腹膜及び肺;胃癌については肝臓、肺、脳、骨、腎臓及び膵臓;頭頸部癌については肺、骨及び肝臓;腎癌については骨、肺及び肝臓;肺癌については脳、肝臓、骨及び副腎;骨肉腫については肺及び他の骨;膵臓癌については肝臓;前立腺癌については膀胱、エクタム(ectum)及び骨;皮膚癌については肺、脳及び骨;甲状腺癌については肺及び骨;及び子宮癌については膀胱、直腸、肺及び骨;をみるであろう。
あるいは、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在は、インサイチュウ分析により検出できる。
ある種の実施態様において、本明細書中に記載されている診断の方法は、少なくとも部分的に又は完全に、インビトロで実施できる。
好適には、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在は、定量的に検出される。
例えば、定量的に検出することは、以下を含むことができる:
(a)生体試料を、エフリンA型受容体7に特異的な親和性試薬(前記親和性試薬は、任意に検出可能な標識に抱合化されている)と接触させること;及び、
(b)結合が、該試料において該親和性試薬と少なくとも1つの種との間に発生したかどうかを検出すること(前記検出は、直接的又は間接的に実施される)。
あるいは、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在は、イメージング技術の使用を含む手段によって定量的に検出できる。
別の実施態様において、本発明の方法は、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在を測定するための膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺及び子宮の組織切片における免疫組織化学の使用、並びにこれによる転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の細胞を限局化することを含む。
一実施態様において、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片の存在は、例えば抗体などの、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片に特異的結合し得る親和性試薬を使用して、検出される。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7の活性が検出される。エフリンA型受容体7は、受容体タンパク質チロシンキナーゼである。エフリンA型受容体7の活性は、特定のリガンドの結合に応答してのチロシン、セリン又はスレオニン残基(好ましくはチロシン)のリン酸化を測定することにより、検出される。好ましくは、エフリンA型受容体7の活性は、特定のリガンドの結合に応答してのエフリンA型受容体7アミノ酸配列のリン酸化を測定することにより、検出される。あるいは、特定のリガンドのエフリンA型受容体7への結合に応答してのエフリンA型受容体7結合タンパク質(好ましくは受容体タンパク質チロシンキナーゼのEphファミリーの別のメンバー)の特定のリン酸化を測定してもよい。受容体タンパク質チロシンキナーゼのEphファミリー及びそれらのそれぞれの天然結合リガンドの活性の説明は、H. Surawskaらの文献, Cytokine & Growth Factor Reviews 15:419-433, 2004に含まれる。
本発明の別の態様によると、対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングし、若しくはこれらの進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、前記対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在若しくはレベルを検出することを含み、又はそのレベルの変化を検出することを含む、前記方法が提供される。
本発明の別の態様によると、対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングする方法であって、前記対象において、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在を検出することを含み、ここで(a)健常対象のレベルと比較しての前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体のレベルの上昇の存在、又は(b)健常対象において対応する検出不可能なレベルと比較しての前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の検出可能なレベルの存在のいずれかが、前記対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す、前記方法も提供される。
1つの具体的方法は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングする方法であって:
(a)試験すべき生体試料をエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片との接触に供すること;及び、
(b)該対象において、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在を検出すること;を含む。
本発明の別の態様によると、対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、第1の時点及びその後の時点での前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在、前記第1の時点での前記対象におけるレベルと比較してその後の時点での前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体のレベルの上昇若しくは低下の存在を検出することを含み、これが前記対象における、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行若しくは退行を示し、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果若しくは非効果を示す、前記方法が提供される。
エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在は、典型的には、前記対象から得られる生体試料(例示的な生体試料は、先に記載しており、当該試料は、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮の組織、又は他には血液若しくは唾液の試料である)の分析によって検出される。
該方法は、典型的には、前記対象から分析のために前記生体試料を得るステップを含む。
検出できる抗体には、IgA、IgM及びIgG抗体を含む。
上記方法のいずれかにおいて、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する候補対象において検出され得るレベルは、健常対象におけるレベルよりも2倍以上高い。
一実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、膀胱癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、乳癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、結腸直腸癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、胃癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、頭頸部癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、腎癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、肺癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、骨肉腫である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、膵臓癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、前立腺癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、皮膚癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、甲状腺癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、子宮癌である。
別の実施態様において、検出され、予防され又は治療される癌は、転移癌である。
本発明の他の態様は、本明細書の以下において、及び特許請求の範囲において、記載される。
本発明のタンパク質の2つのアイソフォームのアミノ酸配列を示す。質量分析によって実験的に検出されるトリプシンペプチドはハイライト表示し、質量マッチペプチドは太字とし、タンデムペプチドには下線を引いている。
(発明の詳細な説明)
以下に詳細に記載されている本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防するための、哺乳動物対象への治療組成物の投与を包含する。また本発明は、哺乳動物対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の臨床スクリーニング、診断及び予後のための方法及び組成物、特定の治療に最も応答しそうな患者を同定ための方法及び組成物、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の療法の結果をモニタリングするための方法及び組成物、薬剤スクリーニング及び薬剤開発のための方法及び組成物を提供する。
一態様において、本発明は、癌などの疾患、特に転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療、スクリーニング、検出及び/又は診断における使用のための、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る作用物質、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤、エフリンA型受容体7の活性を検出し得る作用物質を提供する。
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬であり、例えば、検出可能な標識を含むか若しくはそれに抱合化されている、又は細胞傷害性部分などの治療的部分を含むか若しくはそれに抱合化されている親和性試薬である。親和性試薬は、例えば、抗体であり得る。
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬の治療上有効量を含む医薬組成物である。
別の態様において、本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のために、エフリンA型受容体7ポリペプチド又はその1以上の断片若しくは誘導体の使用を提供する。
また本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のための医薬品の製造における、エフリンA型受容体7ポリペプチド、その1以上の断片若しくは誘導体の使用を提供する。
一態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のために、エフリンA型受容体7ポリペプチド、その1以上の断片若しくは誘導体、又はその1以上の断片若しくは誘導体の治療上有効量を投与することを含む、治療方法が提供される。
本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療若しくは予防の方法、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に対し対象にワクチン接種する方法であって、エフリンA型受容体7ポリペプチド及び/又はその1以上の抗原性若しくは免疫原性断片の有効量を例えばワクチンとして対象に投与するステップを含む前記方法をさらに提供する。
哺乳動物対象は、ヒト以外の哺乳動物でもよいが、一般的にはヒト、例えばヒトの成人、すなわち少なくとも21歳(例えば、少なくとも35歳、少なくとも50歳、少なくとも60歳、少なくとも70歳又は少なくとも80歳)のヒト対象である。
一態様において、対象において免疫応答を誘発し得る組成物であって、エフリンA型受容体7ポリペプチド及び/又はその1以上の抗原性若しくは免疫原性断片、並びに1以上の適切な補助剤(適切な補助剤は後に記載する)を含む、前記組成物が提供される。
免疫応答を誘発し得る組成物は、例えば、エフリンA型受容体7ポリペプチド又はその誘導体及び/又はその1以上の抗原性若しくは免疫原性断片を含むワクチンとして提供できる。
開示の明確化のために、及び限定を目的とせずに、本発明は、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮組織の分析に関して記載されている。しかしながら、当業者に公知であるように、後に記載する分析及び技術は、他のタイプの患者試料に適用でき、該試料には体液(例えば、血液、尿又は唾液)、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌のリスクを有する患者からの組織試料(例えば、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮などの生検)又はそのホモジェネートを含む。本発明の方法及び組成物は、生存対象のスクリーニング、診断及び予後に特に適するが、例えば、同疾患を発病するリスクのある家族メンバーを同定するために、対象の死後診断用に使用することもできる。
(エフリンA型受容体7)
本発明の一態様では、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌のスクリーニング若しくは診断用に本発明のタンパク質の発現を測定するために、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の患者の予後を測定するために、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の療法の有効性をモニターするために、又は薬剤開発のために、一次元電気泳動、同位体コード化親和性タグ(ICAT)、相対的及び絶対的定量化のための等圧タグ(isobaric tag)(iTRAQ)又は他の適切な方法を使用して、対象、好ましくは生存対象由来の転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の組織試料を分析する。
本明細書中で使用する用語「本発明のタンパク質」又は「エフリンA型受容体7」とは、図1において示されたタンパク質であって、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫又は前立腺癌の組織試料の一次元ゲル電気泳動、ICAT及びiTRAQ分析により実験的に検出された2つの異なるアイソフォーム(エフリンA型受容体7a(配列番号1)及びエフリンA型受容体7b(配列番号2))をいう。これらの配列のタンパク質誘導体は、本明細書中に記載するものと同じ目的に有用であり得る。
このタンパク質は、実施例1〜4に記載する好ましい技術の方法及び装置(膜タンパク質抽出液の一次元ゲル電気泳動、ICAT又はiTRAQ及びトリプシン消化)を介して、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫及び前立腺癌患者からの乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫及び前立腺癌組織試料の膜タンパク質抽出液若しくは溶解液において同定された。ペプチド配列は、SWISS-PROT及びtrEMBLデータベース(www.expasy.comで利用できる、スイスバイオインフォマティクス研究所(SIB)及びヨーロッパバイオインフォマティクス研究所(EBI)の管理下にある)及び下記のエントリ:Q15375と比較され、エフリンA型受容体7が同定された。
SWISS-PROTによると、エフリンA型受容体7は、広く発現される。それは、エフリンAファミリーのメンバーに対する受容体であり、これは、エフリン-A1、-A2、-A3、-A4及び-A5に結合する。
免疫組織化学実験(実施例5を参照されたい)は、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、子宮癌、頭頸部癌、皮膚癌、腎癌、甲状腺癌及び膵臓癌、並びに転移性の乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肺癌及び甲状腺癌において強い染色を示した。
本発明のタンパク質は、断片、特にエピトープ含有断片、例えばその抗原性若しくは免疫原性断片及びその誘導体として有用である。抗原性若しくは免疫原性断片を含むエピトープ含有断片は、典型的には、長さ12アミノ酸以上、例えば20アミノ酸以上、例えば50又は100アミノ酸以上である。断片は、完全なタンパク質の長さの95%以上、例えば90%以上、例えば完全なタンパク質の長さの75%又は50%又は25%又は10%以上であってよい。
あるいは、本明細書中において使用され又は言及されるタンパク質/ポリペプチドは、本願明細書に具体的に列挙/記載したもの、又はそれに80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99%同一若しくは類似のものに限定され得る。
抗原性若しくは免疫原性断片などのエピトープ含有断片は、患者において関連する免疫応答を誘発できる。本発明のタンパク質をコードするDNAは、その断片、例えばその免疫原性断片などの本発明のタンパク質の断片をコードするDNAとしても有用である。本発明のタンパク質をコードする核酸(例えばDNA)の断片は、完全なコード領域の長さの95%以上、例えば90%以上、例えば完全なコード領域の長さの75%又は50%又は25%又は10%以上であってよい。核酸(例えばDNA)の断片は、36ヌクレオチド以上、例えば60ヌクレオチド以上、例えば150又は300ヌクレオチド以上の長さであってよい。
本発明のタンパク質の誘導体は、1以上(1〜20例えば15アミノ酸、又はタンパク質の全長に基づくアミノ酸の数に対して最高で10%又は5%又は1%などの最高で20%)の削除、挿入又は置換がなされた配列上の異型を含む。置換は、典型的には、保存的置換であり得る。誘導体は、典型的には、それらが誘導されるタンパク質と同じ生物学的機能を基本的に有する。誘導体は、典型的には、それらが誘導されるタンパク質に同等に抗原性であるか又は免疫原性である。誘導体は、典型的には、それらが誘導されるタンパク質のうち、リガンド結合活性若しくは活性受容体複合体形成能力のいずれか、又は好ましくはその両方を有する。
タンパク質の誘導体には、例えば精製中に処理される、カルボキシメチル化された、カルボキシアミド化された、アセチル化されたタンパク質などの化学的に処理されたタンパク質を含む。
下記の表1a〜1cは、乳癌、結腸直腸癌及び肺癌患者からの胸部、結腸直腸及び肺の組織試料の膜タンパク質抽出液又は溶解液のiTRAQ及び質量分析により検出された、エフリンA型受容体7の発生を示す。第一列は試料バッチ番号を提供し、第二列はiTRAQ実験番号を与え、最終列は質量分析により観測された配列及びそれに対応する配列番号を提供する。
下記表2a〜2bは、結腸直腸癌及び骨肉腫患者からの結腸直腸組織及び骨芽細胞組織試料の膜タンパク質抽出液の一次元ゲル電気泳動及び質量分析により検出されたエフリンA型受容体7の発生を示す。第一列は分子量を提供し、第二列は任意に使用した細分画プロトコルの情報を与え(下記実施例1を参照されたい)、最終列は質量分析により観測された配列及びそれに対応する配列番号のリストを提供する。
下記表3は、前立腺癌患者からの前立腺組織試料の膜タンパク質抽出液のICAT及び質量分析により検出されたOGTA278の個別的発生を示す。第一列は試料番号を提供し、最終列は質量分析により観測された配列及びそれに対応する配列番号のリストを提供する。
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エフリンA型受容体7について、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌を有しない対象由来の組織を分析することで得られた検出レベルに対して相対的な、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象由来の組織を分析することで得られた検出レベルは、使用される具体的な分析プロトコル及び検出技術に依存する。したがって、本発明は、各研究室が、診断技術において従来のように、使用に際しての分析プロトコル及び検出技術に従い、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌を有しない対象における参照範囲を確立することを意図する。好ましくは、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが既知の対象からの少なくとも1つの陽性対照の組織試料、又は膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌でないことが既知の対象からの少なくとも1つの陰性対照の組織試料(より好ましくは、陽性及び陰性の対照試料の両方)は、分析される試験試料の各バッチに含まれる。
エフリンA型受容体7は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の検出、予後、診断又はモニタリングのために、又は薬剤開発のために、使用できる。本発明の一実施態様において、対象(例えば、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われる対象)からの組織は、エフリンA型受容体7の検出について一次元ゲル、ICAT又はiTRAQにより分析される。膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌を有しない対象由来の組織(例えば、対照試料)、又は予め決定された参照範囲に対して相対的な前記対象由来の組織におけるエフリンA型受容体7の量の増加は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す。
表1〜3に示される配列は、本発明の任意の関連する態様で使用できる。
エフリンA型受容体7の断片、エピトープ含有断片、免疫原性断片又は抗原性断片に関して:
−乳癌適用について、本発明の一態様において、これらは、表1aの第三列でトリプシン断片配列として同定される配列を含み;
−結腸直腸癌適用について、本発明の一態様において、これらは、表1b又は表2aの第三列でトリプシン断片配列として同定される配列を含み;
−肺癌適用について、本発明の一態様において、これらは、表1cの第三列でトリプシン断片配列として同定される配列を含み;
−骨肉腫適用について、本発明の一態様において、これらは、表2bの第三列でトリプシン断片配列として同定される配列を含み;
−前立腺癌適用について、本発明の一態様において、これらは、表3の第三列でトリプシン断片配列として同定される配列を含む。
エフリンA型受容体7は、特に、表2bの第一列において実質的に列挙したようなMWを有するアイソフォームとして特徴づけできる(例えば、該値の+/-10%;特に+/-5%)。
本明細書中で使用するように、エフリンA型受容体7は、実質的に混入タンパク質がない調製物、すなわち、存在するタンパク質総量の10%未満(例えば5%未満、例えば1%未満)が混入タンパク質である調製物で存在する場合、「単離」されている。混入タンパク質は、質量スペクトル分析によって決定されるとおり、単離されたエフリンA型受容体7の配列と著しく異なるアミノ酸配列を有するタンパク質である。本明細書中で使用する「著しく異なる」配列は、本明細書の実施例1〜4に記載されている参照プロトコルに従って実施される質量スペクトル分析によってエフリンA型受容体7から分割される混入タンパク質を認めるものである。
従って、一態様において、本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療のための医薬組成物であって、治療上有効量のエフリンA型受容体7ポリペプチド(特に上記に定義したもの)又はその免疫原性断片及び補助剤を含む、前記医薬組成物を提供する。
エフリンA型受容体7は、当業者に公知の方法によりアッセイでき、該方法には、本明細書に記載する好ましい技術、キナーゼアッセイ、酵素アッセイ、結合アッセイ、及び他の機能的アッセイ、イムノアッセイ及びウエスタンブロッティングを含むがこれらに限定されない。一実施態様において、エフリンA型受容体7は、その分子量によって一次元ゲルで分離され、該ゲルを染色することによって視覚化される。一実施態様において、エフリンA型受容体7は、蛍光色素で染色され、蛍光スキャナで撮像される。Sypro Red(Molecular Probes社, Eugene, Oregon)は、この目的に適した色素である。好ましい蛍光色素は、1999年10月5日に出願された米国特許出願番号第09/412168号において開示され、これは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。別の実施態様において、エフリンA型受容体7は、相対的及び絶対的定量化のための等圧タグ(iTRAQ)を使用して分析される。別の実施態様において、エフリンA型受容体7は、同位体コード化親和性タグ(ICAT)を使用して分析される。
あるいは、エフリンA型受容体7は、イムノアッセイで検出できる。一実施態様において、イムノアッセイは、エフリンA型受容体7が存在する場合に結合(例えば免疫特異的結合)が起こり得る条件下で、試験される対象由来の試料を、抗エフリンA型受容体7抗体(又は他の親和性試薬)と接触させること、及び前記作用物質による結合(例えば免疫特異的結合)の量を検出又は測定することにより、実施される。エフリンA型受容体7結合剤は、本明細書に教示される方法及び技術によって製造できる。
エフリンA型受容体7は、その断片、例えばそのエピトープ含有(例えば、免疫原性又は抗原性)断片の検出特性により、検出できる。断片は、少なくとも10、より典型的には少なくとも20アミノ酸、例えば少なくとも50又は100アミノ酸、例えば少なくとも200又は400アミノ酸、例えば少なくとも600又は900のアミノ酸の長さを有することができる。
一実施態様において、組織切片における親和性試薬(例えば抗体)の結合は、異常なエフリンA型受容体7局在、又はエフリンA型受容体7の異常なレベルを検出するために、使用できる。特定の実施態様において、エフリンA型受容体7に対する抗体(又は他の親和性試薬)は、エフリンA型受容体7のレベルについて患者組織(例えば、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮の組織)をアッセイするために使用でき、該アッセイにおける異常なレベルのエフリンA型受容体7は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の指標である。本明細書中で使用する「異常なレベル」とは、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌を有しない対象におけるレベル、又は参照レベルと比較して増加したレベルを意味する。
ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ及びタンパク質Aイムノアッセイなどの技術を使用する競合的及び非競合的アッセイ系を含むがこれに限定されない、任意の適切なイムノアッセイを使用することができる。
例えば、エフリンA型受容体7は、二段階サンドイッチアッセイによって、流体試料(例えば、血液、尿又は唾液)にて検出できる。第一段階において、捕捉試薬(例えば、抗エフリンA型受容体7抗体又は他の親和性試薬)を使用して、エフリンA型受容体7を捕捉する。捕捉試薬は、任意に、固相上に固定できる。第二段階において、直接又は間接的に標識された検出試薬を使用して、捕捉されたエフリンA型受容体7を検出する。一つの実施態様において、検出試薬は、レクチンである。エフリンA型受容体7と同じコアタンパク質を有する他のアイソフォーム、又は該抗体により認識される抗原決定基を共有する他のタンパク質に対してよりもエフリンA型受容体7に優先的に結合するこの目的のために、任意のレクチンを使用できる。好ましい実施態様において、選ばれたレクチンは、エフリンA型受容体7と同じコアタンパク質を有する前記他のアイソフォーム、又は該親和性試薬により認識される抗原決定基を共有する前記他のタンパク質に対してよりも、少なくとも2倍大きな親和性、より好ましくは少なくとも5倍大きな親和性、さらにより好ましくは少なくとも10倍大きな親和性で、エフリンA型受容体7を結合する。本記載に基づき、エフリンA型受容体7を検出することに適しているレクチンは、公知技術の方法によって容易に同定でき、例えば、Gabius H-J及びGabius S (編), 1993, 「レクチン及び糖鎖生物学(Lectins and Glycobiology)」の158-174頁におけるSumarらによる「疾患関連糖形態の指標としてのレクチン(Lectins as Indicators of Disease-Associated Glycoforms)」の158〜159頁の表Iに列挙されている1以上のレクチン(引用によりその全てが本明細書に組み込まれる)を試験できる。代替的実施態様において、検出試薬は抗体(又は他の親和性試薬)であり、例えば特に他の翻訳後修飾を(例えば免疫特異的に)検出する抗体、例えばリン酸化されたアミノ酸に免疫特異的に結合する抗体である。この種の抗体の例には、ホスホチロシンに結合する抗体(BD Transduction Laboratories社、カタログ番号:P11230-050/P11230-150; P11120; P38820; P39020)、ホスホセリンに結合する抗体(Zymed Laboratories社、South San Francisco, CA, カタログ番号61-8100)、及びホスホスレオニンに結合する抗体(Zymed Laboratories社、South San Francisco, CA, カタログ番号71-8200, 13-9200)に結合する抗体を含む。
必要に応じて、相補配列を含み、エフリンA型受容体7、関連する遺伝子、又は関連する核酸配列若しくはサブ配列をコードする遺伝子もハイブリダイゼーションアッセイに使用できる。エフリンA型受容体7をコードするヌクレオチド、又は少なくとも8ヌクレオチド、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド及び最も好ましくは少なくとも15ヌクレオチドを含むそのサブ配列は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。エフリンA型受容体7をコードする遺伝子の異所性発現に関連する状態、障害若しくは疾患状態の検出、予後、診断若しくはモニタリングのために、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌で示唆的徴候又は症状を有する対象の鑑別診断のために、ハイブリダイゼーションアッセイを使用できる。具体的には、この種のハイブリダイゼーションアッセイは、核酸を含んでいる対象の試料を、エフリンA型受容体7をコードするDNA若しくはRNAにハイブリダイズし得る核酸プローブと、ハイブリダイゼーションが起こり得る状態下で接触させること、及びその結果生じたハイブリダイゼーションの全てを検出若しくは測定すること、を含む方法により実施できる。
それゆえ、エフリンA型受容体7をコードする核酸(例えばDNA、又はより好適にはRNA)は、例えば、エフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤を使用して検出できる。
そのような典型的な方法には、以下を含む:
(a) エフリンA型受容体7をコードするヌクレオチド配列に相補的な10以上の連続ヌクレオチドを含む1以上のオリゴヌクレオチドプローブを、対象由来の生体試料から得られるRNAと、又はRNAからコピーしたcDNAと接触させることであって、存在する場合、該プローブの該ヌクレオチド配列へのハイブリダイゼーションを許容する条件下で起こる、前記接触工程;
(b) 該プローブと該ヌクレオチド配列との間におけるハイブリダイゼーションが存在する場合に検出する工程;及び、
(c)工程(b)において検出される場合、該ハイブリダイゼーションを、対照試料において検出されるハイブリダイゼーションと、又は予め決定された参照範囲と比較する工程;を含む。
また本発明は、抗エフリンA型受容体7抗体(又は他の親和性試薬)を含む診断用キットを提供する。加えて、このようなキットは、以下の1つ以上を任意に含んでいてもよい: (1)診断、予後、治療的モニタリング又は任意の組合せについての抗エフリンA型受容体7親和性試薬を使用するための当該適用の取扱説明書;(2)親和性試薬に対する標識化結合パートナー;(3)抗エフリンA型受容体7親和性試薬が固定されている固相(試薬ストリップなど);及び(4)診断、予後若しくは治療的使用又は任意のそれらの組み合わせのための規制認可を示す標識又は挿入物。該親和性試薬に標識された結合パートナーがない場合、抗エフリンA型受容体7親和性試薬自体を、検出可能なマーカー、例えば化学発光部分、酵素部分、蛍光部分、放射性部分で標識できる。
また本発明は、エフリンA型受容体7をコードする核酸、好適にはRNAにハイブリダイズし得る核酸プローブを含むキットを提供する。特定の実施態様において、キットは、1以上の容器に、適切な反応条件下で、例えばポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Innisらの文献, 1990, 「PCRプロトコル(PCR Protocols)」, Academic Press社, San Diego, CAを参照されたい)、Qβレプリカーゼのリガーゼ連鎖反応(EP 320,308を参照)使用、周期的プローブ反応又は公知技術の他の方法により、エフリンA型受容体7をコードする核酸の少なくとも一部の増幅を開始することができる一対のプライマー(例えば、各々、6〜30ヌクレオチド、より好ましくは10〜30ヌクレオチド及びさらにより好ましくは10〜20ヌクレオチドのサイズ範囲)を含む。
キットは、任意に、例えば標準又は対照として、予め定められた量のエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸をさらに含むことができる。
(臨床研究における使用)
本発明の診断法及び組成物は、例えば、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の療法用薬剤を評価するための臨床研究をモニタリングする際に助力できる。一実施態様において、候補分子は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象のエフリンA型受容体7レベルを、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌及び子宮癌を有しない対象において見出されるレベルに回復させるそれらの能力について、又は治療された対象におけるエフリンA型受容体7レベルを非膀胱癌、非乳癌、非結腸直腸癌、非胃癌、非頭頸部癌、非腎癌、非肺癌、非骨肉腫、非膵臓癌、非前立腺癌、非皮膚癌、非甲状腺癌若しくは非子宮癌の値に若しくはその近傍に保持するそれらの能力について、試験される。
別の実施態様において、本発明の方法及び組成物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する個人を同定するための臨床研究の候補をスクリーニングするために使用され;その後、当該個人は、研究から除外でき、又は治療若しくは分析について別々のコホートに置くことができる。
(本発明のタンパク質及び対応する核酸の生産)
1つの態様において、本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする対象に、治療上有効量のエフリンA型受容体7をコードする核酸又はその1以上の断片若しくは誘導体を、例えばワクチンの形態で投与することを含む、前記方法を提供する。
別の態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする対象に、エフリンA型受容体7の機能若しくは発現を阻害する核酸の治療上有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明の方法(及び/又は本明細書に開示される他のDNA態様)は、例えば、該核酸がエフリンA型受容体7アンチセンス核酸若しくはリボザイムである方法を含み得る。
従って、本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防するための薬剤の製造における、エフリンA型受容体7をコードする核酸又はその1以上の断片若しくは誘導体の使用を含む。
転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防するための医薬の製造における、エフリンA型受容体7の機能又は発現を阻害する核酸の使用も提供される。
本発明に使用されるDNAは、開始物質として市販mRNAを使用するcDNAライブラリからcDNA断片としての単離により得ることができ、そのヌクレオチド配列を決定及び同定することができる。すなわち、具体的には、クローンは、Oharaらの方法(DNA Research 第4巻、53-59(1997))に従って調製されるcDNAライブラリからランダムに単離される。次に、ハイブリダイゼーションを介し、複製されたクローン(これは繰り返し現れる)を取り除いた後、インビトロ転写及び翻訳を実施する。50kDa以上の産物が確認されたクローンの両方の末端ヌクレオチド配列を決定する。
さらに、公知の遺伝子のデータベースで、このようにして得られた末端ヌクレオチドチド配列を問合わせとして使用して、相同性について検索する。
上記スクリーニング方法に加え、cDNAの5'及び3'末端配列をヒトゲノム配列に関連づける。それから、未知の長鎖遺伝子を該配列間の領域で確認し、該cDNAの全長を分析する。このようにして、既知の遺伝子に依存する従来のクローニング方法によって得られることができない未知の遺伝子を体系的にクローン化できる。
さらに、本発明のDNAを含んでいるヒト由来遺伝子の領域の全ては、短い断片又は得られた配列において起こる人為的誤りを防ぐのに充分な注意を払いながら、RACEなどのPCR法を使用して調製することもできる。上述の通り、本発明のDNAを有するクローンを得ることができる。
本発明のDNAをクローニングするための別の手段において、本発明の一部のポリペプチドの適切なヌクレオチド配列を有する合成DNAプライマーを調製した後、適切なライブラリを使用するPCR法により増幅させる。あるいは、選択は、適切なベクターに組み込まれ、本発明のポリペプチドの領域の一部若しくは全部をコードするDNA断片又は合成DNAで標識されたDNAを用いる、本発明のDNAのハイブリダイゼーションにより実施できる。ハイブリダイゼーションは、例えば、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(Frederick M. Ausubelら編, 1987)に記載される方法により実施できる。本発明のDNAは、それらが上記の本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む限り、いかなるDNAであってもよい。このようなDNAは、cDNAライブラリから同定及び単離されたcDNAであってよく、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮の組織に由来するようなものであってもよい。この種のDNAは、合成DNA等であってもよい。ライブラリ構築物に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド等のいずれかであってよい。さらに、上記の細胞及び/又は組織から調製される総RNA画分又はmRNA画分の使用により、増幅は、直接的な逆転写共役ポリメラーゼ連鎖反応(以下、「RT-PCR法」と略記される)により実施できる。
エフリンA型受容体7のアミノ酸配列に実質的に同一であるアミノ酸配列からなる上記ポリペプチドをコードするDNA、又は該アミノ酸配列の一部を構成している1以上のアミノ酸の削除、置換若しくは追加によるエフリンA型受容体7のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列からなる上記ポリペプチドをコードするDNAは、例えば、当業者に公知の突然変異生成法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法及びPCR法の適切な組合せにより、容易に生産できる。加えて、現時点で、ポリペプチドに実質的に同等な生物活性をもたらす可能的方法は、ポリペプチドを構成しているアミノ酸間での相同アミノ酸(例えば、極性及び無極性アミノ酸、疎水性及び親水性アミノ酸、正荷電及び負荷電アミノ酸、並びに芳香族アミノ酸)の置換である。さらに、実質的に同等な生物活性を維持するために、本発明のポリペプチドに含まれる機能的ドメイン内のアミノ酸は、好ましくは保存される。
さらにまた、本発明のDNAの例には、エフリンA型受容体7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNA、及び該DNAにストリンジェントな状態下でハイブリダイズし、かつエフリンA型受容体7のアミノ酸配列からなるポリペプチドの機能に同等な生物活性(機能)を有するポリペプチド(タンパク質)をコードするDNAを含む。このような条件下で、エフリンA型受容体7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNAにハイブリダイズし得るこの種のDNAの例は、DNAの全ヌクレオチド配列にある程度、例えば、およそ80%以上、より好ましくはおよそ90%以上、及びより好ましくはおよそ95%以上の全体平均相同性を有するヌクレオチド配列を含むDNAである。ハイブリダイゼーションは、分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(Frederick M. Ausubelら編, 1987)に記載される方法などの当業者に公知の方法、又はそれに準じる方法により実施できる。ここで、「ストリンジェントな条件」は、例えば、およそ1*SSC、0.1% SDS及び37℃、よりストリンジェントな条件とはおよそ0.5*SSC、0.1% SDS及び42℃、又はよりさらにストリンジェントな条件とはおよそ0.2*SSC、0.1% SDS及び65℃である。よりストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いると、プローブ配列に高い相同性を有するDNAの単離が予想できる。SSC、SDS及び温度条件の上記組合せは、説明目的のために与えられる。上記に類似するストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの決定のための上記因子又は他の因子(例えば、ハイブリダイゼーションのためのプローブ濃度、プローブ長及び反応時間)の適切な組合せを使用して、当業者により達成できる。
本発明のクローン化DNAは、目的に応じて、直接使用でき、又は必要に応じて制限酵素での消化又はリンカーの追加の後に使用できる。DNAは、5'末端側の翻訳開始コドンとしてATGを有することができ、3'末端側の翻訳終止コドンとして、TAA、TGA又はTAGを有することができる。これらの翻訳開始及び翻訳終止コドンは、適切な合成DNAアダプタを使用して追加することもできる。
本発明の方法/使用において、エフリンA型受容体7は、例えば、エフリンA型受容体7ポリペプチドが少なくともある程度まで精製されたものなどの単離された形態で提供できる。エフリンA型受容体7ポリペプチドは、実質的に純粋な形態で、すなわち実質的範囲で他のタンパク質を含まない形態で、提供できる。エフリンA型受容体7ポリペプチドは、組換え法を使用して生産でき、合成的に生産でき、又はこれらの方法の組合せによって生産することもできる。エフリンA型受容体7は、当業者に公知の任意の方法によっても容易に調製でき、それには、本発明の適切なDNAを含んでいる発現ベクター又は本発明のDNAを含んでいる遺伝子を生産すること、該発現ベクターを使用して形質転換された形質転換体を培養すること、本発明の関連ポリペプチド又は該ポリペプチドを含んでいる組換えタンパク質を生成し蓄積すること、及びその後に該結果を回収することを含む。
組換えエフリンA型受容体7ポリペプチドは、発現系を含む遺伝子操作された宿主細胞から周知技術の方法により生産できる。したがって、本発明は、エフリンA型受容体7ポリペプチド又は核酸を含む発現系に、この種の発現系によって遺伝子操作された宿主細胞に、及び組換え技術によるエフリンA型受容体7ポリペプチドの生産にも関する。組換えエフリンA型受容体7ポリペプチド生産のために、宿主細胞は、核酸のためにその発現系又は部分を組み込むために遺伝子操作できる。この種の組み込みは、公知技術の方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAD-デキストラン媒介型トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン脂質媒介型トランスフェクション、エレクトロポーレーション、形質導入、切屑負荷(scrape loading)、バレット導入又は感染を使用して実施できる(例えばDavisらの文献, 分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Molecular Biology), 1986、並びにSambrookらの文献, 分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual),第2版, Cold Spring Harbour laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY, 1989を参照されたい)。
宿主細胞として、例えば、エシェリキア属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、ストレプトマイセス属の細菌、バチルス属の細菌、酵母、アスペルギルス細胞、昆虫細胞、昆虫、及び動物細胞が使用される。本明細書に使用されるエシェリキア属の細菌の具体例には、大腸菌K12及びDH1(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., Vol. 60, 160 (1968))、JM103(Nucleic Acids Research, Vol. 9, 309 (1981))、JA221(Journal of Molecular Biology, Vol. 120, 517 (1978))、及びHB101(Journal of Molecular Biology, Vol. 41, 459 (1969))を含む。バチルス属の細菌としては、例えば、枯草菌MI114(Gene, Vol. 24, 255 (1983))及び207-21(Journal of Biochemistry, Vol. 95, 87 (1984))が使用される。酵母としては、(例えば、出芽酵母(Saccaromyces cerevisiae) AH22、AH22R-、NA87-11A、DKD-5D及び20B-12、分裂酵母(Schizosaccaromyces pombe )NCYC1913及びNCYC2036、並びにピキア・パストリス(Pichia pastoris)が使用される。昆虫細胞としては、例えば、ショウジョウバエS2及びスポドプテラSf9細胞が使用される。動物細胞としては、例えば、COS-7及びベロサル細胞、CHOチャイニーズハムスター細胞(以下、CHO細胞と略記される)、dhfr遺伝子欠損CHO細胞、マウスL細胞、マウスAtT-20細胞、マウス骨髄腫細胞、ラットGH3細胞、ヒトFL細胞、COS、HeLa、C127、3T3、HEK 293、BHK及びボーズメラノーマ細胞が使用される。
無細胞翻訳システムも、組換えポリペプチドを生産するために使用できる(例えば、ウサギ網状赤血球溶解液、小麦麦芽溶解液、Roche Diagnostics 社製SP6/T7インビトロT&T及びRTS 100大腸菌HY転写及び翻訳キット(英国、ルイス)、並びにPromega UK 製TNTクイック共役転写/翻訳キット(英国、サウサンプトン))。
発現ベクターは、公知技術の方法に従って生産できる。例えば、ベクターは、(1)本発明のDNAを含んでいるDNA断片又は本発明のDNAを含んでいる遺伝子を切り取ること、及び(2)適切な発現ベクターにおいてプロモータの下流にDNA断片を連結すること、により生産できる。広範囲の発現系を使用でき、例えば、染色体、エピソーム及びウイルスから派生した系、例えば大腸菌(例えばpBR322、pBR325、pUC18及びpUC118)に由来するプラスミド、枯草菌(例えばpUB110、pTP5及びpC194)に由来するプラスミド、バクテリオファージ由来の系、トランスポゾン由来の系、酵母エピソーム由来の系(例えばpSH19及びpSH15)、挿入因子由来の系、酵母染色体要素由来の系、バキュロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びレトロウイルスなどのウイルス由来の系、並びにこれらの組合せ、例えばプラスミド由来の系及びバクテリオファージ(λファージなど)遺伝因子、例えばコスミド及びファージミドなどであるがこれらに限定されない。発現系は、発現を生じさせるのみならず発現を制御する制御領域を含み得る。遺伝子発現のために使用される宿主に適切な限り、本発明において使用されるプロモータは、いかなるプロモータでもあってもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合、trpプロモータ、lacプロモータ、recAプロモータ、pLプロモータ、lppプロモータなどが好ましい。宿主が枯草菌である場合、SPO1プロモータ、SPO2プロモータ、penPプロモータなどが好ましい。宿主が酵母である場合、PHO5プロモータ、PGKプロモータ、GAPプロモータ、ADHプロモータなどが好ましい。動物細胞を宿主として使用する場合、この事例における使用のためのプロモータの例にはSRaプロモータ、SV40プロモータ、LTRプロモータ、CMVプロモータ及びHSV-TKプロモータを含む。通常、宿主においてポリペプチドを産生する核酸を維持し、増殖させ又は発現することができる、任意の系又はベクターを使用できる。
適切な核酸配列は、上掲のSambrookらの文献に記載されるものなどの任意の様々な周知かつルーチンの技術により、発現系に挿入できる。適切な分泌シグナルは、小胞体内腔、細胞膜周辺腔又は細胞外環境への翻訳タンパク質の分泌を可能にするために、エフリンA型受容体7ポリペプチドに組み込むことができる。これらのシグナルはエフリンA型受容体7ポリペプチドに内在性であってよく、又はシグナルは異種性シグナルでもよい。宿主細胞の形質転換は、公知技術の方法に従って実施できる。例えば、以下の文書を参照することができる:Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., Vol. 69, 2110 (1972); Gene, Vol. 17, 107 (1982); Molecular & General Genetics, Vol. 168, 111 (1979); Methods in Enzymology, Vol. 194, 182-187 (1991); Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.), Vol. 75, 1929 (1978); Cell Technology, 別冊8, 「新規細胞技術、実験プロトコル(New Cell Technology, Experimental Protocol.)」263-267 (1995) (Shujunsha発行);及びVirology, Vol. 52, 456 (1973)。そのように、本発明のDNAを含む発現ベクター又は本発明のDNAを含む遺伝子で形質転換して得られた形質転換体は、公知技術の方法に従って培養できる。例えば、宿主がエシェリキア属の細菌である場合、該細菌は通常、およそ15℃〜43℃でおよそ3〜24時間培養する。必要に応じて、通気又は振盪も追加できる。宿主がバチルス属の細菌である場合、該細菌は通常、およそ30℃〜40℃でおよそ6〜24時間培養する。必要に応じて、通気又は振盪も追加できる。宿主が酵母である形質転換体を培養する場合、培養は通常、pHがおよそ5〜8であるように調整した培地を使用して、およそ20℃〜35℃でおよそ24〜72時間実施する。必要に応じて、通気又は振盪も追加できる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合、該細胞は通常、pHがおよそ6〜8であるように調整した培地を使用して、およそ30℃〜40℃でおよそ15〜60時間培養する。必要に応じて、通気又は振盪も追加できる。
エフリンA型受容体7ポリペプチドが細胞ベースのスクリーニング分析アッセイ用に発現される場合、該ポリペプチドは細胞表面に産生されることが好ましい。この場合、該細胞は、スクリーニングアッセイの使用の前に回収できる。エフリンA型受容体7ポリペプチドが培地に分泌される場合、該培地は前記ポリペプチドを単離するために回収できる。細胞内で産生される場合、該細胞は、エフリンA型受容体7ポリペプチドが回収される前に、最初に溶解されなければならない。
エフリンA型受容体7ポリペプチドは、組換え細胞培養物から、又はその他の生物学的供給源から、硫酸アンモニウム若しくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、分子篩クロマトグラフィ、遠心分離法、電気泳動方法及びレクチンクロマトグラフィを含む周知の方法により、回収及び精製できる。一実施態様において、これらの方法の組合せが使用される。別の実施態様において、高速液体クロマトグラフィが使用される。さらなる実施態様において、エフリンA型受容体7ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、前記ポリペプチドのエフリンA型受容体7ポリペプチドを含む試料を減少させるか又は前記ポリペプチドを精製するために使用することができる。
培養生成物から本発明のポリペプチド又はタンパク質を分離して精製するために、例えば、培養後に、微生物本体又は細胞を公知の方法により回収し、それらを適切な緩衝液に懸濁し、該微生物本体又は細胞を、例えば、超音波、リゾチームオリゴマー、及び/又は凍結融解で破壊し、それからその結果物を遠心単離又は濾過に供し、その後該タンパク質の粗抽出液を得ることができる。該緩衝液は、尿素若しくは塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤、又はTriton X-100(商標)などの界面活性剤も含み得る。タンパク質が培養液に分泌される場合、微生物本体又は細胞及び上清は、培養の完了後に公知の方法によって分離され、該上清は回収される。このようにして得られた培養上清又は抽出液に含まれるタンパク質は、公知の分離法と精製法との適切な組合せにより、精製できる。本発明のこのようにして得られたポリペプチド(タンパク質)は、公知の方法又はこれに準じる方法によって、塩に変換できる。逆に、本発明のポリペプチド(タンパク質)が塩の形態で得られる場合、それは公知の方法又はこれに準じる方法によって、遊離タンパク質又はペプチド又は他の塩に変換できる。さらに、トリプシン又はキモトリプシンなどの適切なタンパク質修飾酵素は、精製の前又は後に組換えによって産生されたタンパク質への作用をもたらし、そのような修飾は適宜追加することができ、又はポリペプチドは部分的に除去できる。本発明のポリペプチド(タンパク質)又はその塩の存在は、さまざまな結合アッセイ、特異的抗体を使用する酵素イムノアッセイなどで測定できる。
ポリペプチドが単離及び/又は精製の間に変性した場合、エフリンA型受容体7ポリペプチドの天然の又は活性な立体構造を再生するリフォールディングのための当該技術分野で周知の技術を使用できる。本発明の文脈において、エフリンA型受容体7ポリペプチドは、血液試料又は組織試料、例えば膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮組織試料などであるがこれらに限定されない、任意の供給源からの生体試料から得ることができる。
エフリンA型受容体7ポリペプチドは、「成熟タンパク質」の形態であり得るか、又は融合タンパク質などのより大きなタンパク質の一部であり得る。分泌若しくはリーダー配列、プレ-、プロ-又はプレプロ-タンパク質配列を含む追加的アミノ酸配列、又は親和性タグ、例えば複数のヒスチジン残基、FLAGタグ、HAタグ又はmycタグ(これらに限定されない)などの精製を助ける配列を含むことは、しばしば有益である。
エフリンA型受容体7は、例えば、ヘモフィルス・インフルエンザBからのタンパク質Dとして知られる表在性タンパク質、NS1などのインフルエンザウイルスからの非構造タンパク質、B型肝炎からのS抗原、又はそのC末端などのLYTAとして公知のタンパク質などの異種融合パートナーと融合させることができる。
組換え生産の間に安定性を提供できる追加的配列を使用することもできる。この種の配列は、追加的配列又はその一部として切断可能配列を組み込むことにより、必要に応じて、任意に取り除くことができる。従って、エフリンA型受容体7ポリペプチドは、他のポリペプチド又はタンパク質(例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ及びプロテインA)を含む他の部分に融合できる。この種の融合タンパク質は、適切なプロテアーゼを使用して切断でき、それから各タンパク質分けることができる。この種の追加的配列及び親和性タグは周知技術である。上記に加え、所望であれば、エンハンサ、スプライシングシグナル、polyA付加シグナル、選択マーカー及びSV40複製起点などの当該技術分野で公知の特性を発現ベクターに追加することができる。
(エフリンA型受容体7に対する親和性試薬の生産)
公知技術によれば、3種類の主要な免疫親和性試薬、すなわちモノクローナル抗体、ファージ発現抗体、並びにアフィボディ、ドメイン抗体(dAb)、ナノボディ、ユニボディ、DARPin、アンチカリン、デュオカリン、アビマー又はバーサボディなどのより小さな抗体由来分子がある。一般に抗体の使用が記載される本発明の適用において、他の親和性試薬(例えば、アフィボディ、ドメイン抗体、ナノボディ、ユニボディ、DARPin、アンチカリン、デュオカリン、アビマー又はバーサボディ)を使用できる。この種の物質は、エフリンA型受容体7に免疫特異的に結合し得るということができる。適切である場合、用語「親和性試薬」は、リガンド、レクチン、ストレプトアビジン、抗体模倣体及び合成結合剤を含むがこれらに限定されない免疫親和性試薬並びにエフリンA型受容体7に特異的結合し得る他の物質を含むものとする。
(エフリンA型受容体7に対する抗体の生産)
本発明のエフリンA型受容体7によると、エフリンA型受容体7類似体、エフリンA型受容体7関連タンパク質、又は上述のいずれかの断片若しくは誘導体を免疫原として使用し、当該免疫原に免疫特異的に結合する抗体を生産することができる。このような免疫原は、先に記載した方法を含む任意の都合のよい手段によって単離できる。本明細書で使用する用語「抗体」とは、抗原又はエピトープを免疫特異的に結合し得る、免疫グロブリン遺伝子又はその断片に由来し、それらに倣って産生され、又はそれらにより実質的にコードされる、ペプチド又はポリペプチドをいう。例えば、Fundamental Immunology, 第3版, W.E. Paul編, Raven Press, N.Y. (1993); Wilsonの文献 (1994) J. Immunol. Methods 175:267-273; Yarmushの文献 (1992) J. Biochem. Biophys. Methods 25:85-97を参照されたい。用語「抗体」には、抗原結合部分、すなわち、抗原を結合する能力を保持する「抗原結合部位」(例えば、断片、サブ配列、相補性決定領域(CDR))を含み、(i)Fabフラグメント、すなわちVL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;(ii) F(ab')2断片、すなわちヒンジ領域でジスルフィド結合により連結された2個のFab断片を含む二価断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の1本の腕のVL及びVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardらの文献, (1989) Nature, 341:544-546);及び、(vi)単離された相補性決定領域(CDR);を含む。単鎖抗体も、用語「抗体」を参照することにより含まれる。本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体若しくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片及びF(ab')2断片、Fab発現ライブラリによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、並びに上記いずれかのエピトープ結合断片を含むが、これらに限定されない。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えばIgG、IgE、IgM、IgD及びIgA、例えばIgG)又はサブクラスであり得る。
用語「特異的に結合」(又は「免疫特異的に結合」)は、抗体がその意図する標的のみに結合することを示すことを意図するものではない。むしろ、抗体は、その意図する標的に対する親和性が、非標的分子に対するその親和性と比較した場合に、典型的には約5倍を上回る場合に、「特異的に結合する」。好適には、望ましくない物質、特に健常な人又は動物の天然存在型タンパク質又は組織との有意な交差反応又は交差結合がない。好ましくは、該抗体の親和性は、非標的分子に対するその親和性よりも少なくとも約5倍、好ましくは10倍、より好ましくは25倍、さらにより好ましくは50倍、及び最も好ましくは100倍以上、標的分子に対して大きな親和性である。いくつかの実施態様において、抗体又は他の結合剤と抗原との間の特異的結合は、少なくとも106M-1の結合親和性を意味する。抗体は、例えば、少なくとも約107M-1、好ましくは約108M-1〜約109M-1、約109M-1〜約1010M-1、又は約1010M-1〜約1011M-1の親和性で結合し得る。
親和性はKd=koff/konとして算出される(koffは解離速度定数であり、konは会合速度定数であり、Kdは平衡定数である。)。親和性は、さまざまな濃度(c)で標識化リガンドの画分結合(r)を測定することによって、平衡で決定できる。データは、スキャッチャード式を使用してグラフ化される:r/c=K(n-r):
式中
r=平衡時の結合したリガンドのモル数/受容体のモル数;
c=平衡時の遊離リガンド濃度;
K=平衡会合定数;及び、
n=受容体分子1個あたりのリガンド結合部位の数。
図式解法により、r/cをY軸にプロットし、対してrをX軸にプロットし、こうしてスキャッチャードプロットを作製する。親和性は、その線の負の傾斜である。Koffは、結合した標識化リガンドを標識されていない過剰のリガンドと競合させることにより測定できる(例えば、米国特許第6,316,409号を参照されたい)。その標的分子に対する標的剤の親和性は、例えば、少なくとも約1×10-6モル/リットル、例えば少なくとも約1×10-7モル/リットル、例えば少なくとも約1×10-8モル/リットル、特に少なくとも約1×10-9モル/リットル、及び特に少なくとも約1×10-10モル/リットルである。スキャッチャード分析による抗体親和性測定は、当技術分野において周知である。例えば、van Erpらの文献, J. Immunoassay 12: 425-43, 1991; Nelson及びGriswoldの文献, Comput. Methods Programs Biomed. 27: 65-8, 1988を参照されたい。
一実施態様において、エフリンA型受容体7をコードする遺伝子の遺伝子産物を認識する抗体は、公然利用可能である。別の実施態様において、当該技術分野で公知の方法は、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7類似体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、又は前述のいずれかの断片若しくは誘導体を認識する抗体を生産するために使用される。当業者は、例えば、研究室マニュアル(A Laboratory Manual)の抗体, Harlow及びDavid Lane編, Cold Spring Harbor Laboratory (1988), Cold Spring Harbor, N.Yに記載されるような多くの手段が抗体生産に利用可能であることを認識するであろう。当業者はまた、抗体を模倣する結合断片又はFab断片も様々な手段により遺伝情報から調製することもできることを認めるであろう(抗体工学:実践的アプローチ(Antibody Engineering: A Practical Approach(Borrebaeck, C.編), 1995, Oxford University Press, Oxford; J. Immunol. 149, 3914-3920 (1992))。
本発明の一実施態様において、エフリンA型受容体7の特定のドメインに対する抗体が生産される。特定の実施態様において、エフリンA型受容体7の親水性断片が、抗体生産のための免疫原として使用される。
抗体生産において、所望の抗体のスクリーニングは、当該技術分野において公知の技術、例えばELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって、達成できる。例えば、エフリンA型受容体7の特定のドメインを認識する抗体を選択するために、そのようなドメインを含むエフリンA型受容体7断片に結合する生成物について生産されたハイブリドーマをアッセイできる。第1のエフリンA型受容体7相同体を特異的に結合するが、第2のエフリンA型受容体7相同体には特異的に結合しない(又はこれに結合性が低い)抗体の選択のために、第1のエフリンA型受容体7相同体への陽結合、及び第2のエフリンA型受容体7相同体への結合の欠如(又は結合の減少)に基づき、選択できる。同様に、エフリンA型受容体7を特異的に結合するが、同タンパク質の異なるアイソフォーム(エフリンA型受容体7と同じコアペプチドを有する異なるグリコフォームなど)に特異的に結合しない(又は結合性が低い)抗体の選択のために、エフリンA型受容体7への陽結合、及び異なるアイソフォーム(例えば異なるグリコフォーム)への結合の欠如(又は結合の減少)に基づき、選択できる。従って、本発明は、エフリンA型受容体7の異なるアイソフォーム(例えばグリコフォーム)に対するよりも、エフリンA型受容体7に対してより大きな親和性(例えば少なくとも2倍、例えば少なくとも5倍、特に少なくとも10倍大きな親和性)で結合する抗体(モノクローナル抗体など)を提供する。
本発明の方法で使用できるポリクローナル抗体は、免疫動物の血清から誘導される抗体分子の異種集団である。非分画免疫血清を使用することもできる。当該技術分野で周知のさまざまな手順は、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片に対するポリクローナル抗体の生産のために使用可能である。例えば、1つの方法は、関心対象ポリペプチドを精製すること、又は、例えば周知技術の固相ペプチド合成法を使用して、関心対象ポリペプチドを合成することである。例えば、タンパク質精製の手引き(Guide to Protein Purification), Murray P. Deutcher編, Meth. Enzymol. Vol 182 (1990); 固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis), Greg B. Fields編, Meth. Enzymol. Vol 289 (1997); Kiso らの文献, Chem. Pharm. Bull. (Tokyo) 38:1192-99, 1990; Mostafaviらの文献, Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids 1:255-60, 1995;Fujiwaraらの文献, Chem.Pharm.Bull. (Tokyo)44:1326-31, 1996を参照されたい。選択されたポリペプチドはそれから、ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない様々な宿主動物に注入免疫し、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。エフリンA型受容体7がゲル電気泳動により精製される場合、エフリンA型受容体7はポリアクリルアミドゲルからの抽出を伴い又は伴わずに、免疫のために使用できる。完全又は不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、及びBCG(カルメット‐ゲラン桿菌)又はコリネバクテリウム・パルバムなどのアジュバントを含むがこれらに限定されない様々なアジュバント(すなわち免疫賦活剤)を、宿主種に応じて、免疫学的反応を強化するために使用することができる。さらなるアジュバントも、当該技術分野で周知である。
エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片に指示されたモノクローナル抗体(mAbs)の生産のために、培養で持続細胞株による抗体分子の生産を提供する任意の技術を使用できる。例えば、ハイブリドーマ技術は、Kohler及びMilstein (1975, Nature 256:495-497)によりはじめて開発され、同様にトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborらの文献, 1983、Immunology Today 4:72)及びEBV-ハイブリドーマ技術(Coleらの文献, 1985, モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), Alan R. Liss社, 77-96頁)がヒトモノクローナル抗体を生産するために開発された。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びそのいずれかのサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンのクラスのものであり得る。本発明のmAbsを産生するハイブリドーマは、インビトロ又はインビボで培養してもよい。本発明の更なる実施態様において、モノクローナル抗体は、公知の技術を利用して無菌動物において産生できる(PCT/US90/02545(引用により本明細書に組み込まれる))。
モノクローナル抗体には、ヒトモノクローナル抗体及びキメラモノクローナル抗体(例えば、ヒト-マウスキメラ)を含むが、これらに限定されない。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種由来である分子、例えばヒト免疫グロブリン定常領域及びマウスmAb由来の可変領域を有する分子である。 (例えば、Cabillyらの米国特許第4,816,567号;及び、Bossらの米国特許第4,816397号を参照されたく、これらは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。)。 ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDR)、及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、非ヒト種由来の抗体分子である。 (例えば、Queenの米国特許第5,585,089号を参照されたく、これは、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。)。
キメラ及びヒト化モノクローナル抗体は、例えば国際公開番号WO 87/02671;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;国際公開番号WO86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Betterらの文献, 1988, Science 240:1041-1043;Liuらの文献, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443;Liuらの文献, 1987, J. Immunol.139:3521-3526;Sunらの文献, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218;Nishimuraらの文献, 1987, Canc.Res. 47:999-1005;Woodらの文献, 1985, Nature 314:446-449;及び、Shawらの文献, 1988, J.Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559;Morrisonの文献, 1985, Science 229:1202-1207;Oiらの文献, 1986, Bio/Techniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesらの文献, 1986, Nature 321:552-525; Verhoeyanらの文献、(1988) Science 239:1534;及び、Beidlerらの文献, 1988, J. Immunol.141:4053-4060;に記載される方法を使用する公知技術の組換えDNA技術によって生産することができる。
完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的な処置のために特に望ましい。この種の抗体は、内在性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子を発現できないが、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを使用して、生産することができる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えばエフリンA型受容体7の全体又は一部を用いて通常の様式で免疫を受けた。抗原に指示されたモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスにより収容されているヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成し、その後クラススイッチング及び体細胞突然変異を受ける。従って、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を生産できる。ヒト抗体を生産するこの技術の概要については、Lonberg及びHuszarの文献 (1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93)を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術、並びにこのような抗体を生産するためのプロトコルの詳細な考察については、以下を参照されたい:例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;及び、米国特許第5,545,806号。加えて、Abgenix社(Freemont,CA)及びGenpharm(San Jose, CA)などの会社は、先に記載したものと類似の技術を使用して、選択された抗原に指示されたヒト抗体を提供するのに関与し得る。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「ガイドセレクション」と呼ばれる技術を使用して生産できる。この方法において、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えばマウス抗体)は、同エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導くために使用される。 (Jespersらの文献 (1994) Bio/technology 12:899-903)。
本発明の抗体は、選択された標的への結合について、ポリペプチドのライブラリを生産して選別するファージディスプレイ技術の使用により生産することもできる。例えば、Cwirlaらの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6378-82, 1990; Devlinらの文献, Science 249, 404- 6, 1990, Scott及びSmithの文献, Science 249, 386-88, 1990; 及び、Ladnerらの文献, 米国特許第5,571,698号を参照されたい。ファージディスプレイ法の基本的概念は、スクリーニングされるポリペプチドをコードしているDNAとそのポリペプチドとの間の物理的関連付けの確立である。この物理的関連付けは、該ポリペプチドをコードしているファージゲノムを封入しているキャプシドの一部としてポリペプチドを提示する、ファージ粒子により提供される。ポリペプチドとその遺伝物質との間の物理的関連付けの確立は、異なるポリペプチドを有する非常に多数のファージの同時大量スクリーニングを可能にする。標的への親和性を有するポリペプチドを提示するファージは該標的に結合し、これらのファージは、該標的への親和性スクリーニングにより濃縮される。これらのファージにより提示されるポリペプチドの同一性は、それらの各ゲノムにより決定できる。これらの方法を使用して、所望の標的に結合親和性を有すると同定されたポリペプチドは、それから従来的な手段により大量に合成できる。例えば、米国特許番号第6,057,098号を参照されたく、全ての表、図面及び特許請求の範囲を含むその全てが引用により本明細書に組み込まれる。特に、この種のファージは、レパートリ又は組合せの抗体ライブラリ(例えばヒト又はマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために利用できる。関心対象の抗原を結合する抗原結合ドメインを発現しているファージは、抗原、例えば、標識化抗原、又は固体表面若しくはビーズに結合若しくは捕獲された抗原を使用して、選択又は同定できる。これらの方法で使用するファージは、典型的には、ファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fv又はジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを伴ってファージから発現されたfd 及びM13結合ドメインを含む、線維状ファージである。本発明の抗体を作るために使用することができるファージディスプレイ法は、以下に開示されるものを含む:Brinkmanらの文献, J. Immunol.Methods 182:41-50 (1995);Amesらの文献, J. Immunol.Methods 184:177-186 (1995);Kettleboroughらの文献, Eur.J. Immunol.24:952-958 (1994);Persicらの文献, Gene 187 9-18 (1997);Burtonらの文献, Advances in Immunology 57:191-280 (1994);国際出願番号PCT/GB91/01134;国際公開番号WO 90/02809;WO 91/10737;WO 92/01047;WO 92/18619;WO 93/11236;WO 95/15982;WO 95/20401;及び、米国特許第5,698,426号;第5,223,409号; 第5,403,484号; 第5,580,717号; 第5,427,908号; 第5,750,753号; 第5,821,047号; 第5,571,698号; 第5,427,908号; 第5,516,637号; 第5,780,225号; 第5,658,727号; 第5,733,743号及び第5,969,108号(それぞれ、その全体が引用により本明細書に組み込まれる)。
上記文献に記載されているように、ファージ選択の後、該ファージ由来の抗体コード領域は、ヒト抗体を含む抗体全体又は任意のその他の所望の抗原結合断片を生産するために単離して使用することができ、例えば以下に詳細に記載するような哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む任意の所望の宿主において発現させることができる。例えば、Fab、Fab'及びF(ab') 2断片を組換え的に生産する技術は、国際公開番号WO 92/22324; Mullinaxらの文献, BioTechniques 12(6):864-869 (1992);及びSawaiらの文献, AJRI 34:26-34 (1995);及びBetterらの文献, Science 240: 1041-1043 (1988) (前記文献は引用によりその全てが組み込まれる)において開示されるものなどの、公知技術の方法を使用して利用することもできる。
単鎖Fvs及び抗体を生産するために使用することができる技術の例には、米国特許4,946,778及び5,258,498; Hustonらの文献. Methods in Enzymology 203:46-88 (1991); Shuらの文献 PNAS 90:7995-7999 (1993);及びSkerraらの文献, Science 240:1038-1040 (1988)に記載されているものを含む。
本発明は、当該技術分野において公知の方法により作製できる二重特異性抗体の使用をさらに提供する。完全長二重特異性抗体の従来的生産は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現であって、該2つの鎖が異なる特異性を有する、前記同時発現に基づいている(Milsteinらの文献, 1983、Nature, 305:537-539)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな分類のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を生じ、そのうちの1つのみが的確な二重特異性構造を有する。通常、親和性クロマトグラフィー工程によってなされる的確な分子の精製は、むしろ扱いにくく、産物収率は低い。同様の手法は、1993年5月13日に公開されたWO93/08829、及びTrauneckerらの文献、1991、EMBO J. 10:3655-3659に開示されている。
異なるアプローチ及びより好ましいアプローチに従って、所望の結合特異性をもつ抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。該融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインを伴う。該融合のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む、第1の重鎖定常部(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、及び所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物に同時トランスフェクトする。これは、該構築に使用した不均等な比率の3つのポリペプチド鎖が最適収量を提供する実施態様において、3つのポリペプチド断片の相互の比率を調節する際に優れた柔軟性を提供する。しかし、同等の比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率を生じる場合、又は該比率が具体的意義を有しない場合、2つ又は3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することができる。
このアプローチの好ましい実施態様において、二重特異性抗体は、一方の腕における第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他方の腕における(第2の結合特性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対から構成される。二重特異性分子の半分のみに免疫グロブリン軽鎖が存在することが、容易な単離方法を提供するので、この非対称構造は、望まれない免疫グロブリン鎖状結合からの所望の二重特異性化合物の単離を促進することがわかった。このアプローチは、1994年3月3日に公開されたWO 94/04690において開示されている。二重特異性抗体の生産に関するさらなる詳細については、例えば、Sureshらの文献、Methods in Enzymology, 1986 121:210を参照されたい。
本発明は、抗エフリンA型受容体7免疫グロブリン分子の機能的に活性な断片、誘導体又は類似体を提供する。機能的に活性とは、断片、誘導体又は類似体が、該断片、誘導体又は類似体が誘導される抗体により認識されるのと同じ抗原を認識する抗-抗-イディオタイプ抗体(すなわち、三次抗体)を誘発できることを意味する。具体的には、好ましい実施態様において、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、フレームワーク及び具体的に該抗原を認識するCDR配列に対するC末端であるCDR配列の削除により強化できる。いずれのCDR配列が該抗原を結合するかについて決定するために、該CDR配列を含む合成ペプチドを、公知技術の任意の結合実験方法による該抗原を用いる結合アッセイに使用できる。
本発明は、F(ab')2断片及びFab断片などであるがこれらに限定されない抗体断片を提供する。特異的なエピトープを認識する抗体断片は、公知の技術によって生産できる。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖定常領域及び重鎖のCH1ドメインから構成され、該抗体分子のペプシン消化によって生産される。Fab断片は、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することにより生産される。また、本発明は、本発明の抗体の重鎖と軽鎖との二量体、又はFvs若しくは単鎖抗体(SCA)などの任意のその最小断片(例えば、米国特許第4,946,778号; Birdの文献, 1988, Science 242:423-42; Hustonらの文献, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;及び、Wardらの文献, 1989, Nature 334:544-54に記載されるようなもの)、又は本発明の抗体と同じ特異性をもつ任意の他の分子も提供する。単鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖及び軽鎖断片を連結することにより形成され、一本鎖ポリペプチドを生じる。大腸菌(E. coli)における機能的なFv断片の集成のための技術を使用してもよい(Skerra らの文献, 1988、Science, 242:1038-1041)。
その他の実施態様において、本発明は、本発明の免疫グロブリンの融合タンパク質(又はその機能的に活性な断片)、例えば、該免疫グロブリンがN末端又はC末端にて共有結合(例えば、ペプチド結合)を介してその免疫グロブリンでない別のタンパク質のアミノ酸配列(又はその一部、好ましくは該タンパク質の少なくとも10、20又は50アミノ酸部分)に融合されている融合タンパク質を提供する。好ましくは、免疫グロブリン又はその断片は、定常ドメインのN末端にて他のタンパク質に共有結合で連結されている。上記のように、このような融合タンパク質は、精製を容易にし、インビボでの半減期を増大し、及び免疫系に対する上皮関門を越えた抗原の送達を増強し得る。
本発明の免疫グロブリンは、この種の共有結合が免疫特異的結合を損なわない限り、すなわち、任意の型の分子の共有結合によって修飾される類似体及び誘導体を含む。例えば、限定目的ではないが、免疫グロブリンの誘導体及び類似体には、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスフィレーション(phosphylation)、アミド化、公知の保護/保護基による誘導体化、タンパク質開裂、細胞リガンドに対する結合又は他のタンパク質、その他によりさらに修飾されたものを含む。特定の化学開裂、アセチル化、ホルミル化などを含むが、これらに限定されない数多くの化学修飾のいずれかを、周知の技術により実施できる。加えて、類似体又は誘導体は、1以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。
前述の抗体は、エフリンA型受容体7の局在及び活性に関して、公知技術の方法で、例えば、タンパク質を画像化するために、適切な生理的試料においてそのレベルを測定するために、診断法などにおいて、使用できる。
(エフリンA型受容体7に対するアフィボディの生産)
アフィボディ分子は、ブドウ球菌プロテインAのIgG-結合ドメインの1つに由来する、58アミノ酸のタンパク質残基に基づく親和性タンパク質の新規なクラスを表す。三重螺旋束ドメインは、コンビナトリアルファージミドライブラリの構築に対する足場として使用され、これからファージディスプレイ技術を使用して、所望の分子を標的化するアフィボディバリアントを選択し得る(Nord K, Gunneriusson E, Ringdahl J, Stahl S, Uhlen M, Nygren PAの文献, 「αヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリから選択された結合タンパク質(Binding proteins selected from combinatorial libraries of an α-helical bacterial receptor domain)」, Nat Biotechnol 1997; 15:772-7. Ronmark J, Gronlund H, Uhlen M, Nygren PAの文献, 「プロテインAのコンビナトリアル工学からのヒト免疫グロブリンA(IgA)特異的リガンド(Human immunoglobulin A (IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A)」, Eur J Biochem 2002;269:2647-55)。その低分子量(6kDa)と組み合わせたアフィボディ分子の単純で堅固な構造は、広範囲の用途、例えば検出試薬として(Ronmark J, Hansson M, Nguyen T,らの文献 「大腸菌において産生されるアフィボディ-Fcキメラの構築及び特徴づけ(Construction and characterization of Affibody-Fc chimeras produced in Escherichia coli)」, J Immunol Methods 2002;261 :199-211)、及び受容体相互作用を阻害するために(Sandstorm K, Xu Z, Forsberg G, Nygren PAの文献, 「コンビナトリアルタンパク質工学により開発されたCD28結合アフィボディリガンドによるCD28-CD80共刺激シグナルの阻害(Inhibition of the CD28-CD80 co-stimulation signal by a CD28-binding Affibody ligand developed by combinatorial protein engineering)」, Protein Eng 2003; 16:691-7)、該分子を適切とさせる。アフィボディ及びその生産方法のさらなる詳細は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許第5831012号を参照することにより得ることができる。
また、標識化アフィボディーは、アイソフォームの存在量を決定するためのイメージング用途に有用であり得る。
(エフリンA型受容体7に対するドメイン抗体の生産)
本明細書における抗体への言及は、ドメイン抗体への言及を包含する。ドメイン抗体(dAb)は、抗体の最も小さな機能的結合単位であり、ヒト抗体の重(VH)鎖又は軽(VL)鎖のいずれかの可変領域に対応する。ドメイン抗体は、およそ13kDaの分子量を有する。ドマンティス(Domantis)は、完全ヒトVH及びVL dAbの一連の大きくかつ高度に機能的なライブラリを開発し(各ライブラリにおいて100億超の異なる配列)、これらのライブラリを使用して治療標的に特異的であるdAbを選択する。多くの従来抗体とは対照的に、ドメイン抗体は、細菌、酵母及び哺乳動物細胞系において良好に発現する。ドメイン抗体及びその生産方法のさらなる詳細は、以下を参照することによって得ることができる:米国特許6,291,158;6,582,915;6,593,081;6,172,197;6,696,245;米国出願番号2004/0110941;欧州特許出願第1433846号、並びに欧州特許第0368684号及び第0616640号;WO05/035572、WO04/101790、WO04/081026、WO04/058821、WO04/003019及びWO03/002609(これらのそれぞれは、その全体が本明細書に引用により組み込まれる)。
(エフリンA型受容体7に対するナノボディの生産)
ナノボディは、抗体由来の治療的タンパク質であり、天然に存在する重鎖抗体の固有の構造及び機能特性を含む。これらの重鎖抗体は、1つの可変ドメイン(VHH)及び2つの定常ドメイン(CH2及びCH3)を含む。重要なことに、クローン化されかつ単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の全抗原結合能を保持する完全に安定なポリペプチドである。ナノボディは、ヒト抗体のVH領域と高い相同性を有し、活性の損失を全く伴わずにさらにヒト化できる。重要なことに、ナノボディは低免疫原性能を有し、これは霊長類研究において、ナノボディリード化合物を用いて確認された。
ナノボディは、従来型抗体の利点を、小分子薬の重要な特徴と組み合わせる。従来の抗体の様に、ナノボディは、高い標的特異性、それらの標的に対する高親和性、及び低い固有毒性を示す。しかしながら、小分子薬の様に、それらは、酵素を阻害でき、受容体間隙に容易に到達できる。さらにまた、ナノボディは極めて安定していて、注入以外の手段により投与でき(例えば、引用によりその全てが本明細書に組み込まれるWO 04/041867を参照されたい)、生産が容易である。ナノボディの他の利点には、それらの小型の結果として一般的でないか又は隠れたエピトープを認識すること、それら特有の三次元構造に起因する高親和性及び選択性によりタンパク質標的の腔若しくは活性部位に結合すること、薬剤様式柔軟性、半減期の合目的化、並びに薬剤発見の容易性及び迅速性を含む。
ナノボディは、1つの遺伝子によってコードされ、ほとんど全ての原核及び真核生物宿主、例えば大腸菌(例えば、引用によりその全てが本明細書に組み込まれるUS 6,765,087を参照されたい)、カビ(例えば、アスペルギルス又はトリコデルマ)、及び酵母(例えば、サッカロマイセス、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ハンセヌラ(Hansenula)又はピキア)(例えば、引用によりその全てが本明細書に組み込まれるUS 6,838,254を参照されたい)において効率的に生産される。生産過程は計測可能であり、数キログラム量のナノボディを生産した。ナノボディは、従来の抗体と比較して優れた安定性を発揮するので、それらは長期貯蔵寿命、使用準備済溶液として製剤できる。
ナノクローン法(例えば、引用によりその全てが本明細書に組み込まれるWO 06/079372を参照されたい)は、B細胞の自動化ハイスループット選択に基づき、所望の標的に対してナノボディを生成する特許取得済みの方法である。
(エフリンA型受容体7に対するユニボディの生産)
ユニボディは、別の抗体断片技術である。しかしながら、これは、IgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づくものである。ヒンジ領域の削除は、従来のIgG4抗体の基本的に半分のサイズであり、かつIgG4抗体の二価結合領域よりもむしろ一価結合領域を有する分子を生じる。IgG4抗体が不活性で、それゆえ免疫系と相互作用しないことも周知であり、これは免疫応答が望ましくない場合における疾患の治療に有利であり得、この効果はユニボディに受け継がれている。例えば、ユニボディは、それらが結合した細胞を阻害又は抑制するが、殺さないということに機能し得る。加えて、癌細胞に結合しているユニボディは、該癌細胞が増殖することを刺激しない。さらに、ユニボディは従来型IgG4抗体の約半分のサイズであるので、それらは潜在的に有利な効率でより大きな固形腫瘍により良好な分布を示すことができる。ユニボディは、全IgG4抗体と同等の速度で身体から排出され、それらの抗原に対し全抗体と同等の親和性で結合できる。ユニボディの詳細は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる特許WO2007/059782を参照することにより得ることができる。
(エフリンA型受容体7に対するDARPinの生産)
DARPin(設計されたアンキリンリピートタンパク質(Designed Ankyrin Repeat Proteins))は、抗体模倣体DRP(設計されたリピートタンパク質(Designed Repeat Protein))技術の1つの例であり、非抗体ポリペプチドの結合能力を利用するために開発された。アンキリン又はロイシンリッチリピートタンパク質などのリピートタンパク質は遍在的な結合分子であり、抗体と異なった様式で、細胞内及び細胞外で生じる。それらの固有のモジュラー構造は、構造単位(繰り返し)を反復することを特徴とし、それらは共に積み重なり、可変的及びモジュラー標的結合表面を提示する長いリピートドメインを形成する。このモジュラリティに基づき、高度に多様化された結合特異性を有するポリペプチドのコンビナトリアルライブラリを作製できる。この戦略には、可変表面残基を提示する自家和合性リピートのコンセンサス設計及びリピートドメインへのそれらのランダムなアセンブリを含む。
DARPinは、細菌発現系において非常に高収率で生産でき、それらは公知の最も安定したタンパク質に属する。ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルス及び膜タンパク質を含む広範囲の標的タンパク質に対し高度に特異的で高親和性なDARPinが選択された。一桁代のナノモル〜ピコモル範囲に親和性を有するDARPinを得ることができる。
DARPinは、ELISA、サンドイッチELISA、フローサイトメトリー分析(FACS)、免疫組織化学(IHC)、チップ適用、親和性精製又はウエスタンブロット法を含む、広範囲の用途に使用される。DARPinは、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合した細胞内マーカータンパク質として、細胞内区画内で非常に活性であることも判明した。DARPinはさらに、pM範囲のIC50でウイルス侵入を阻害するために使用された。DARPinは、タンパク質-タンパク質相互作用を遮断するために理想的であるのみならず、酵素も阻害する。プロテアーゼ、キナーゼ及び輸送体は、ほぼアロステリック阻害様式で、成功的に阻害された。腫瘍上の非常に速くかつ特異的な富化並びに血液比率に対する腫瘍の高度な優位性は、DARPinがインビボ診断又は治療的アプローチに非常に適するようにさせる。
DARPin及び他のDRP技術に関する追加的情報は、米国特許出願公開番号第2004/0132028号及び国際特許出願公開番号WO 02/20565に見出すことができ、この両方は引用によりそれらの全てが本明細書に組み込まれる。
(エフリンA型受容体7に対するアンチカリンの生産)
アンチカリンはさらなる抗体模倣技術であるが、この場合における結合特異性は、ヒト組織及び体液において自然にかつ豊富に発現される低分子量ファミリーのタンパク質である、リポカリンに由来する。リポカリンは、化学的に感応性な又は不溶な化合物の生理学的輸送及び貯蔵に関連して、インビボでのある範囲の機能を実施するために進化してきた。リポカリンは、該タンパク質の一方の末端で4つのループを支持する、高度に保存されたβバレルを含む、堅固な固有の構造を有する。これらのループは、結合ポケットへの入口、及び個々のリポカリンの間の結合特異性におけるバリエーションの主因である該分子のこの部分における高次構造的な差異を形成する。
保存されたβ-シートフレームワークにより支持される超可変ループの全体構造は免疫グロブリンを暗示し、リポカリンは、サイズに関してかなり抗体と異なり、これは1つの免疫グロブリンドメインよりわずかに大きい160〜180アミノ酸の1つのポリペプチド鎖からなる。
リポカリンはクローン化され、それらのループはアンチカリンを作成するために操作に供される。構造的に多様なアンチカリンのライブラリが作製されており、アンチカリンディスプレイは結合機能の選択及びスクリーニングを可能にし、それに続けて原核系又は真核生物系のさらなる分析のための可溶タンパク質の発現及び生産がなされる。研究は、アンチカリンが実質的に任意のヒト標的タンパク質に特異的であるように開発できることを成功的に実証し、それらは単離でき、ナノモル以上の範囲の結合親和性で得ることができる。
アンチカリンは、二重標的化タンパク質、いわゆるデュオカリンとして構成することもできる。デュオカリンは、標準製造プロセスを使用して、1つの容易に生成された単量体タンパク質における2つの別々の治療標的を結合するとともに、その2つの結合ドメインの構造方向にかかわらず標的特異性及び親和性を保持する。
1つの分子を介する複数の標的の調節は、1つより多くの原因因子を含むことが公知の疾患において、特に有利である。さらに、デュオカリンなどの二価又は多価の結合様式は、疾患において細胞表面分子を標的化すること、シグナル伝達経路においてアゴニスト的効果を媒介すること、又は細胞表面受容体の結合及びクラスタリングを介する強化された内部移行効果を誘導することにおいて、顕著な潜在性を有する。さらにまた、デュオカリンの高度に固有な安定性は単量体アンチカリンに匹敵し、柔軟な製剤及びデュオカリンの送達能を提供する。
アンチカリンに関する追加的情報は、米国特許第7,250,297号及び国際特許出願公開番号WO 99/16873において見出すことができ、その両方は引用によりそれらの全てが本明細書に組み込まれる。
(エフリンA型受容体7に対するアビマーの生産)
アビマーは、インビトロエキソンシャフリング及びファージディスプレイによりヒト細胞外受容体の大きなファミリーから進化し、これは結合特性及び阻害特性を有するマルチドメインタンパク質を生じる。複数の独立する結合ドメインを連結することは、結合能力を生み出すことが示されており、従来の単一エピトープ結合タンパク質と比較して親和性及び特異性の向上をもたらす。他の可能性のある利点には、大腸菌における複数標的特異的分子の単純かつ効果的な生産、改良耐熱性及びプロテアーゼに対する抵抗性を含む。ナノモル未満の親和性を有するアビマーは、様々な標的に対して得られている。
アビマーに関する追加的情報は、米国特許出願公開番号2006/0286603、2006/0234299、2006/0223114、2006/0177831、2006/0008844、2005/0221384、2005/0164301、2005/0089932、2005/0053973、2005/0048512、2004/0175756において見出すことができ、これらの全ては引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。
(エフリンA型受容体7に対するバーサボディの生産)
バーサボディは、15%超のシステインを有する3〜5kDaの小さなタンパク質であり、これは高いジスルフィド密度足場を形成し、典型的なタンパク質が有する疎水性核を置換する。疎水性核を含み、少数のジスルフィドを有する多数の疎水性アミノ酸の置換は、より小さく、より親水性で(より少ない凝集及び非特異的結合)、プロテアーゼ及び熱に対しより抵抗性であり、かつより低密度のT細胞エピトープを有するタンパク質を生じる。なぜなら、MHC提示に大部分寄与する残基は疎水性であるからである。これら4つの特性の全ては免疫原性に影響を及ぼすことが周知であり、併せることで、それらは免疫原性に大きな減少を引き起こすと予測される。
バーサボディについてのインスピレーションは、ヒル、ヘビ、クモ、サソリ、カタツムリ及びアネモネによって産生される自然の注射可能なバイオ医薬品から生じ、これらは予想外に低い免疫原性を示すことが公知である。サイズ、疎水性、タンパク質分解性抗原プロセシング、及びエピトープ密度を設計し、スクリーニングすることにより選択された天然のタンパク質ファミリーで開始することは、天然の注射可能なタンパク質の平均をはるかに下回るレベルに最小化する。
バーサボディの構造を与えられた場合、これらの抗体模倣体は、多価性、複特異性、半減期機構の多様性、組織標的化モジュール、及び抗体Fc領域の不在を含む、多用な様式を提供する。さらにまた、バーサボディは大腸菌において高収率で生産され、それらの親水性及び小型のため、バーサボディは高度に可溶性であり、高濃度で製剤化できる。バーサボディは、例外的に、熱安定性(それらは沸騰できる)であり、長期の貯蔵寿命を提供する。
バーサボディに関する追加的情報は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号第2007/0191272号において見出すことができる。
(親和性試薬の発現)
(抗体の発現)
本発明の抗体は、抗体合成についての任意の公知技術の方法、特に、化学合成によって、又は組換え発現によって生産でき、好ましくは組換え発現技術によって生産される。
抗体又はその断片、誘導体若しくは類似体の組換え発現は、該抗体をコードする核酸の構築を必要とする。抗体ヌクレオチド配列が公知である場合、抗体をコードする核酸は、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから集成してもよく(例えば、Kutmeierらの文献, 1994, BioTechniques, 17:242に記載されているように)、これは、簡単にいうと、抗体をコードする配列の部分を含む重複するオリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、次いでPCRによる連結されたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
あるいは、抗体をコードする核酸は、該抗体をクローニングすることによって得ることができる。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは利用できないが、該抗体分子の配列が公知の場合、該抗体をコードする核酸は、適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリ、又は該抗体を発現している任意の組織又は細胞から生産されるcDNAライブラリ)から、該配列の3'及び5'末端にハイブリダイズできる合成プライマーを使用するPCR増幅、又は特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、得ることができる。
特定の抗原を特異的に認識する抗体分子(又は、このような抗体をコードする核酸をクローニングするためのcDNAライブラリーのための供与源)が利用できない場合、特定の抗原に特異的な種の抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、例えばウサギなどの動物を免疫して、ポリクローナル抗体を生産することによって、又は例えばモノクローナル抗体を生産することによって、生産してもよい。あるいは、少なくとも抗体のFab部分をコードするクローンは、特異抗原を結合するFab断片のクローン用のFab発現ライブラリをスクリーニングすることによって(例えばHuseらの文献, 1989, Science 246:1275-1281に記載されるように)、又は抗体ライブラリをスクリーニングすることによって(例えば、Clacksonらの文献, 1991, Nature 352:624; Haneらの文献, 1997 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4937を参照されたい)、得ることができる。
いったん、少なくとも抗体分子の可変ドメインをコードする核酸が得られたら、それを、該抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含むベクターに導入できる(例えば、国際公開番号WO 86/05807;国際公開番号WO 89/01036;及び、米国特許第5,122,464号を参照されたい)。完全な抗体分子の発現を可能にする核酸との同時発現のための完全な軽鎖又は重鎖を含むベクターも利用できる。それから、該抗体をコードする核酸を使用して、スルフヒドリル(sulfhydyl)基を含まないアミノ酸残基と鎖内ジスルフィド結合に関与している1以上の可変領域システイン残基を置換(又は欠失)するのに必要なヌクレオチド置換又は欠失を導入することができる。このような修飾は、ヌクレオチド配列における特定の突然変異又は欠失の導入のための当該技術分野において公知の任意の方法、例えば化学的突然変異誘発、インビトロ部位特異的突然変異誘発(Hutchinsonらの文献, 1978, J. Biol. Chem. 253:6551)、PCTに基づく方法などであるがこれらに限定されない方法で実施できる。
加えて、適切な生物活性のヒト抗体分子由来遺伝子と共に適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来遺伝子をスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の生産のために開発された技術(Morrisonらの文献, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855; Neubergerらの文献, 1984, Nature 312:604-608; Takedaらの文献, 1985, Nature 314:452-454)を使用できる。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物の種に由来する分子、例えば、マウスmAb及びヒト抗体定常領域に由来する可変領域を有する、例えばヒト化抗体などの分子である。
いったん、本発明の抗体分子をコードする核酸が得られたら、該抗体分子の生産のためのベクターは、当該技術分野において周知の技術を使用する組換えDNA技術によって生産できる。従って、該抗体分子の配列を含む核酸を発現することにより本発明のタンパク質を生産するための方法が本明細書に記載される。当業者に周知の方法を使用して、抗体分子コード配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築できる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えを含む。例えば、Sambrookらの文献(1990, 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」,第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)及びAusubelらの文献(編, 1998, 「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」, John Wiley & Sons, NY)に記載される技術を参照されたい。
発現ベクターを従来技術によって宿主細胞に移し、次いで該トランスフェクト細胞を従来技術によって培養し、本発明の抗体を生産する。
本発明の組換え抗体を発現するために使用される宿主細胞は、大腸菌などの細菌細胞、又は好ましくは特に組換え抗体分子全体の発現のための真核細胞のいずれであってもよい。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中初期遺伝子プロモータエレメントなどのベクターと併せて、抗体の有効な発現系である(Foeckingらの文献, 1986, Gene 45: 101; Cockettらの文献, 1990, Bio/Technology 8:2)。
種々の宿主-発現ベクター系を、本発明の抗体分子を発現させるために利用してもよい。このような宿主-発現系は、関心対象のコード配列を生産し、その後に精製され得る媒体を表すのみならず、適切な配列をコードするヌクレオチドで形質転換されたか、又はトランスフェクトされた場合、本発明の抗体分子をインサイチュウで発現し得る細胞も表し得る。これらには、以下を含むが、これらに限定されない:抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA若しくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌、枯草菌)などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス、ピキア);抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクターで感染させた植物細胞系(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)、又は抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;又は、哺乳動物細胞のゲノムに由来する(例えば、メタロチオネインプロモータ)若しくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモータ(例えば、アデノウイルス後期プロモータ、ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)を含む組換え発現構築物を収容している哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)。
細菌系では、発現される抗体分子について意図される用途に応じて、多数の発現ベクターを都合よく選択してもよい。例えば、大量のこのようなタンパク質が生産される場合、抗体分子を含む医薬組成物の生産のために、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指示するベクターが望ましくあり得る。そのようなベクターには、以下のものを含むがこれらに限定されない:抗体コード配列がインフレームでlacZコード領域を有するベクターにそれぞれ連結され、それゆえ融合タンパク質が生産され得る、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの文献, 1983, EMBO J. 2:1791);pINベクター(Inouye及びInouyeの文献、1985、Nucleic Acids Res. 13:3101-3109);Van Heeke及びSchusterの文献, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509);など。pGEXベクターを使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリクスグルタチオン-アガロースビーズへの吸着及び結合、続く遊離グルタチオンの存在下における溶出により、溶解した細胞から容易に精製できる。pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出できるように、トロンビン又はXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計する。
昆虫系では、外来遺伝子を発現するためのベクターとして、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)を使用する。ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞において増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローン化でき、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置いてもよい。哺乳動物宿主細胞において、多くのウイルスに基づく発現系(例えば、アデノウイルス発現系)を利用できる。
上記のように、挿入された配列の発現を調節し、又は望まれる特定の様式で遺伝子産物を修飾及び加工された宿主細胞株を選択できる。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。
組換え抗体の長期多収生産のためには、安定な発現が好ましい。例えば、安定的に関心対象の抗体を発現する細胞系は、該細胞を該抗体のヌクレオチド配列及び選択可能な(例えばネオマイシン又はハイグロマイシン)ヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトすること、及び該選択可能マーカーの発現について選択することにより、生産される。このような操作された細胞株は、抗体分子と直接的に又は間接的に相互作用する化合物のスクリーニング及び評価に特に有用であり得る。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加できる(再調査のためには、Bebbington及びHentschelの文献, 「DNAクローニングにおける哺乳動物細胞中のクローン化遺伝子の発現についての遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)」, 第3版 (Academic Press, New York, 1987を参照されたい)。抗体を発現するベクター系においてマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養に存在する阻害剤のレベルを高めることは、該マーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅された領域は抗体遺伝子と関係しているので、抗体の生産も増加する(Crouseらの文献, 1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、すなわち重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター、及び軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを用いて同時トランスフェクトしてもよい。該2つのベクターは、同等の重鎖及び軽鎖ポリペプチドの発現を可能にする、同一の選択可能なマーカーを含んでいてもよい。あるいは、両方の重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードする1つのベクターを使用してもよい。このような状況において、有毒な遊離重鎖過剰を避けるために、軽鎖を重鎖の前に置くべきである(Proudfoot, 1986, Nature 322:52; Kohler, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2197)。重鎖及び軽鎖のコード配列には、cDNA又はゲノムDNAを含んでいてもよい。
いったん本発明の抗体分子が組換え発現されたならば、それを、抗体分子の精製のための当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインA若しくは特異抗原などを用いる親和性クロマトグラフィー、及びサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心単離、差動的溶解度により、又はタンパク質の精製のためのその他の任意の標準的技術により、精製できる。
あるいは、任意の融合タンパク質は、発現される融合タンパク質に対して特異的な抗体を利用することによって、容易に精製できる。例えば、Janknechtらの文献により記載されている系は、ヒト細胞株において発現される非変性融合タンパク質の手早い精製を可能にする(Janknechtらの文献, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-897)。この系では、遺伝子のオープンリーディングフレームが6ヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに翻訳可能的に融合されるように、関心対象遺伝子をワクシニア組換えプラスミドにサブクローニングする。タグは、該融合タンパク質に対するマトリクス結合ドメインとして有用である。組換えワクシニアウイルスを感染させた細胞からの抽出液をNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムに添加し、ヒスチジンタグを付けたタンパク質を、イミダゾール含有緩衝液で選択的に溶出させる。
次いで、これらの方法により生産された抗体を、関心対象の精製ポリペプチドとの親和性及び特異性について最初にスクリーニングし、必要であれば、該抗体の親和性及び特異性の結果を、結合から除外されることが望まれるポリペプチドと比較することによって、選択してもよい。スクリーニング手順には、マイクロタイタープレートの別々のウェルにおける精製ポリペプチドの固定化を含むことができる。次いで、可能性のある抗体又は抗体群を含む溶液をそれぞれのマイクロタイターのウェルに入れ、約30分間〜2時間インキュベートする。それからマイクロタイターのウェルを洗浄し、標識化二次抗体(例えば、産生抗体がマウス抗体である場合、アルカリホスファターゼに抱合化された抗マウス抗体)をウェルに添加し、約30分間インキュベートし、その後洗浄する。基質をウェルに添加し、固定されたポリペプチドに対する抗体が存在する場合、呈色反応がみられる。
次いで、こうして同定された抗体を、選択したアッセイデザインにおいて親和性及び特異性についてさらに分析してもよい。標的タンパク質に関する免疫アッセイの開発において、精製した標的タンパク質は、選択された抗体を使用する免疫アッセイの感受性及び特異性を判断するための標準としての役割を果たす。様々な抗体の結合親和性は異なり得るので、特定の抗体対(例えば、サンドイッチアッセイにおいて)が立体配置的になどで互いに妨げることがあり得、抗体のアッセイ性能は、抗体の絶対親和性及び特異性よりも重要な基準であり得る。
当業者であれば、多くのアプローチは、抗体又は結合断片を生産すること、種々のポリペプチドに対する親和性及び特異性についてスクリーニング及び選択することに採用できるが、これらのアプローチが本発明の範囲を変更しないことを認識するであろう。
治療的用途に関し、抗体(特に、モノクローナル抗体)は、好適には、ヒト又はヒト化動物(例えば、マウス)抗体であってもよい。動物抗体は、免疫原としてヒトタンパク質(例えばエフリンA型受容体7)を使用し、動物において産生することができる。ヒト化は、典型的には、これにより同定されるCDRをヒトフレームワーク領域に移植することを含む。通常、鎖の高次構造を最適化するために、いくつかのその後のレトロ突然変異が必要とされる。このような方法は、当業者に公知である。
(アフィボディの発現)
アフィボディの構築は、他で記載されており(Ronnmark J, Gronlund H, Uhlen, M., Nygren P.Aの文献, 「プロテインAのコンビナトリアル工学からのヒト免疫グロブリンA(IgA)特異リガンド(Human immunoglobulin A (IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A)」, 2002, Eur. J. Biochem. 269, 2647-2655)、アフィボディファージディスプレイライブラリの構築を含む(Nord, K., Nilsson, J., Nilsson, B., Uhlen, M.及びNygren, P.Aの文献, 「a-ヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリ(A combinatorial library of an a-helical bacterial receptor domain)」, 1995, Protein Eng. 8, 601-608。Nord, K., Gunneriusson, E., Ringdahl, J., Stahl, S., Uhlen, M.及びNygren, P.Aの文献, 「a-ヘリカル細菌受容体ドメインのコンビナトリアルライブラリから選択された結合タンパク質(Binding proteins selected from combinatorial libraries of an a-helical bacterial receptor domain)」, 1997, Nat. Biotechnol. 15, 772-777)。
バイオセンサ結合研究を使用して最適なアフィボディバリアントを調査するためのバイオセンサ分析は、他にも記載されている(Ronnmark J, Gronlund H, Uhlen, M., Nygren P.Aの文献, 「プロテインAのコンビナトリアル工学からのヒト免疫グロブリンA(IgA)特異リガンド(Human immunoglobulin A (IgA)-specific ligands from combinatorial engineering of protein A)」, 2002, Eur. J. Biochem. 269, 2647-2655)。
(親和性試薬修飾)
好ましい実施態様において、抗体又はその断片などの抗エフリンA型受容体7親和性試薬は、診断部分(検出可能な標識など)又は治療的部分に抱合化される。抗体は、診断のために、又は所与の治療計画の有効性を決定するために、使用できる。検出は、抗体を検出可能な物質(標識)に連結することによって促進できる。検出可能な物質の例には、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、ポジトロン放射金属(ポジトロン放出断層撮影における使用のため)、及び非放射性常磁性金属イオンを含む。一般に、本発明に従った診断法として使用するために抗体に抱合化できる金属イオンについては米国特許第4,741,900号を参照されたい。適切な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼを含み;適切な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジン及びビオチンを含み;適切な蛍光物質には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド及びフィコエリトリンを含み;適切な発光物質には、ルミノールを含み;適切な生物発光物質には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンを含み;及び、適切な放射性核種には、125I、131I、111In及び99Tcを含む。68Gaも利用できる。
抗エフリンA型受容体7抗体若しくはその断片並びに他の親和性試薬は、所与の生物学的反応を修飾するために治療剤又は薬部分に抱合化できる。親和性試薬が抱合化できる例示的な治療剤は、細胞傷害性部分である。治療剤又は薬剤部分は、古典的な化学治療剤に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質又はポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質には、例えば、以下を含んでいてもよい:アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、又はジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、血栓薬又は抗血管新生薬、例えばアンギオスタチン又はエンドスタチンなどのタンパク質;又は、リンホカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、神経成長因子(NGF)又は他の成長因子などの生物学的応答変更物質。
この種の治療的部分を抗体に抱合化するための技術は周知であり、例えば以下を参照されたい:Arnonらの文献, 「モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)」中「癌治療における薬剤の免疫標的化のためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」, Reisfeldらの文献 (編), 243-56頁(Alan R. Liss社1985); Hellstromらの文献, 「制御薬剤送達(Controlled Drug Delivery)」中「薬剤送達用抗体(Antibodies For Drug Delivery)」(第2版), Robinsonらの文献 (編), 623-53頁(Marcel Dekker社 1987); Thorpeの文献,「モノクローナル抗体‘84:生物学的及び臨床的用途(Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications)」中「癌治療における細胞傷害剤の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」, Pincheraらの文献 (編), 475-506頁(1985); 「癌検出及び治療のたえのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy)」中「癌治療における放射標識抗体の治療的使用の解析、結果及び将来的展望(Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy)」, Baldwinらの文献 (編), 303-16頁(Academic Press 1985)、及び Thorpeらの文献, 「抗体-毒素抱合体の調製及び細胞毒性特性(The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates)」, Immunol. Rev., 62:119-58 (1982)。
あるいは、Segalにより米国特許第4,676,980号に記載されたように、抗体を第2の抗体に抱合化し、抗体ヘテロ抱合体を形態することができる。
抗体は抱合化された治療的部分の有無にかかわらず、単独で、又は細胞傷害性因子及び/若しくはサイトカインと組合せて投与される治療剤として使用できる。
本発明は、抗体に指示された細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を誘導する、完全ヒト又はヒト化抗体も提供する。完全ヒト抗体は、該タンパク質配列が天然に存在するヒト免疫グロブリン配列によってコードされており、単離された抗体産生ヒトBリンパ球、又は、染色体領域をコードするマウス免疫グロブリンがオルソログ的なヒト配列により置換されたマウスのトランスジェニックマウスBリンパ球のいずれかに由来する。後者の型のトランスジェニック抗体には、HuMab(Medarex社、CA)及びXenomouse(Abgenix社、CA)を含むがこれらに限定されない。ヒト化抗体は、適切な抗原特異性の非ヒト抗体分子の定常領域が、適切なエフェクター機能を有するヒト抗体の、好ましくはIgGサブタイプの定常領域により置換される抗体である(Morrisonらの文献, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. 81:851-855; Neubergerらの文献, 1984, Nature 312:604-608; Takedaらの文献, 1985, Nature 314:452-454)。適切なエフェクター機能にはADCCを含み、これは、完全ヒト抗体又はヒト化抗体が癌細胞の表面上の標的に結合した場合、通常の免疫系の一部であるリンパ球の細胞殺生特性のスイッチを入れることによる、天然のプロセスである。これらの活性なリンパ球、いわゆるナチュラルキラー(NK)細胞は、抗体が結合する生細胞を破壊するために、細胞傷害プロセスを使用する。ADCC活性は、抗原特異的抗体及び免疫適格の生存ヒト対象から抽出した末梢血単核細胞の存在下、ユーロピウム(Eu3+)標識された生細胞からのEu3+の放出を測定することにより検出及び定量化できる。ADCCプロセスは、Janeway Jr. C.A.らの文献, Immunobiology, 第5版, 2001, Garland Publishing, ISBN 0-8153-3642-X; Pier G.B.らの文献, Immunology, Infection, and Immunity, 2004, p246-5; Albanell J.らの文献, Advances in Experimental Medicine and Biology, 2003, 532:p2153-68、及びWeng, W.-K.らの文献, Journal of Clinical Oncology, 2003, 21:p 3940-3947に詳細に記載されている。ADCCの検出及び定量化のための適切な方法は、Blombergらの文献, Journal of Immunological Methods. 1986, 86:p225-9; Blombergらの文献, Journal of Immunological Methods. 1986, 21;92:p117-23、並びにPatel及びBoydの文献, Journal of Immunological Methods. 1995, 184:p29-38に見出すことができる。
ADCCは、典型的には、NK細胞の活性化を含み、NK細胞の表面上のFc受容体によって、抗体で被覆した細胞の認識に依存している。Fc受容体は、標的細胞の表面に特異的に結合した、IgGなどの抗体のFc(結晶質)部分を認識する。NK細胞の活性化を誘発するFc受容体は、CD16又はFcγRIIIaと呼ばれている。いったんFcγRIIIa受容体がIgG Fcに結合すると、NK細胞はIFN-γなどのサイトカイン、並びに標的細胞に入り、アポトーシスを誘発することによって細胞死を促進するパーフォリン及びグランザイムを含む細胞傷害性顆粒を放出する。
抗体による抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)の誘導は、抗体定常領域(Fc)と、免疫系の細胞の表面に存在する様々な受容体との間の相互作用を変える修飾により強化できる。この種の修飾は、哺乳動物細胞において天然若しくは組換え合成の間、抗体のFcに通常添加される複雑なオリゴ糖鎖におけるα1,6結合フコース部分の減少又は欠如を含む。好ましい実施態様において、抗体又はその断片などの非フコシル化抗エフリンA型受容体7親和性試薬は、ADCC反応を誘導するそれらの能力を強化するために生産される。
Fcのオリゴ糖類におけるα1,6結合フコース部分を低減又は切除するための技術はよく確立されている。1つの例において、組換え抗体は、α1,6結合のフコースを、N結合二分岐複雑型Fcオリゴ糖の最も内側のN-アセチルグルコサミンに加えるその能力にが欠損した細胞株において、合成される。この種の細胞株には、低レベルのα1,6-フコシル基転移酵素遺伝子(FUT8)を発現するラットハイブリドーマYB2/0を含むがこれに限定されるものではない。好ましくは、抗体は、FUT8遺伝子の両方のコピーの欠失により、α1,6結合フコシル部分を複雑なオリゴ糖鎖に加えることができない細胞株において、合成される。この種の細胞株には、FUT8-/- CHO/DG44細胞株を含むが、これに限定されるものではない。部分的にフコシル化された若しくは非フコシル化された抗体及び親和性試薬を合成する技術は、Shinkawaらの文献, J. Biol. Chem. 278:3466-34735 (2003); Yamane-Ohnukiらの文献, Biotechnology and Bioengineering 87: 614-22 (2004)並びにWO00/61739 A1、WO02/31140 A1及びWO03/085107 A1に記載されている。第2の例において、組換え抗体のフコシル化は、二分したN-アセチルグルコサミンを運搬する複雑なN結合オリゴ糖の生産を最大にするレベルで糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼを過剰発現させるように遺伝子操作した細胞株の合成によって、低減されるか又は廃止される。例えば、該抗体は、酵素N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT III)を発現している、チャイニーズハムスター卵巣細胞株において合成される。好適な糖タンパク質修飾グリコシル転移酵素で安定的にトランスフェクトされた細胞株、及びこれらの細胞を使用する抗体の合成法はWO 9954342に開示されている。
非フコシル化抗体又は親和性試薬は、単独で、又は細胞傷害性因子及び/若しくはサイトカインと組合せて投与される治療薬として使用することができる。
さらなる修飾において、抗体Fcのアミノ酸配列は、リガンド親和性に影響を及ぼすことなく、ADCC活性化を強化する方法で変更される。そのような修飾の例は、Lazarらの論文、Proceedings of the National Academy of Sciences 2006, 103: p4005-4010;WO 03074679、及びWO 2007039818に記載されている。これらの例において、239位のセリンのアスパラギン酸へ、及び332位のグルタミン酸のイソロイシンへなどの抗体Fc内のアミノ酸の置換は、Fc受容体への抗体の結合親和性を変更し、ADCC活性化の増大をもたらした。
アミノ酸置換に起因した増強されたADCC活性化を伴う抗体試薬は、単独で、又は細胞傷害性因子及び/若しくはサイトカインと組合せて投与される治療薬として使用することができる。
(転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌の診断)
本発明によれば、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか又は有することが既知の対象から得られた膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮組織、血清、血漿又は尿の試験試料を診断又はモニタリングのために使用できる。一実施態様において、対照試料(転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象から)又は予め決定された基準範囲に比較しての試験試料におけるエフリンA型受容体7の存在量の変化は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す。別の実施態様において、対照試料又は予め決定された基準範囲に比較しての試験試料におけるエフリンA型受容体7の相対的存在量は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌のサブタイプを示す(例えば、扁平上皮細胞膀胱癌、炎症性乳癌、家族性又は散発性結腸直腸癌、消化管間質腫瘍(GIST);鼻咽頭癌;移行性細胞腎癌、扁平上皮細胞肺癌、傍骨性骨肉腫若しくは骨膜性骨肉腫、膵臓の内分泌腫瘍、又は未分化甲状腺癌)。さらに別の実施態様において、対照試料又は予め決定された基準範囲に比較しての試験試料におけるエフリンA型受容体7の相対的存在量は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌(例えば転移についての可能性)の程度又は重篤性を示す。上述した方法のいずれかにおいて、エフリンA型受容体7の検出は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌についての1以上の追加的なバイオマーカーの検出と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載する好ましい技術、キナーゼアッセイ、エフリンA型受容体7を検出し及び/又は視覚化する免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット、免疫沈降に続くドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学、その他)を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法を利用して、エフリンA型受容体7のレベルを測定できる。さらなる態様において、対照試料又は予め決定された基準範囲に比較しての試験試料におけるエフリンA型受容体7をコードするmRNAの存在量の変化は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す。任意の適切なハイブリダイゼーションアッセイ法を使用して、エフリンA型受容体7をコードするmRNAを検出し及び/又は視覚化することによりエフリンA型受容体7発現を検出することができる(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュウハイブリダイゼーション、その他)。
本発明の別の一実施例において、エフリンA型受容体7に特異的に結合する標識化抗体(又は他の親和性試薬)、その誘導体及び類似体は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出し、診断し又はモニタリングするための診断目的に使用できる。例えば、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌は、動物において、より好ましくは哺乳動物、及び最も好ましくはヒトにおいて検出できる。
(スクリーニングアッセイ)
本発明は、エフリンA型受容体7に結合し、又はエフリンA型受容体7の発現若しくは活性に刺激効果若しくは阻害効果を有する作用物質(例えば、候補化合物又は試験化合物)を同定する方法を提供する。また本発明は、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質に結合するか、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチド若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質の発現若しくは活性に刺激効果若しくは阻害効果を有する作用物質、候補化合物又は試験化合物を同定する方法を提供する。作用物質、候補化合物又は試験化合物の例には、核酸(例えば、DNA及びRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、小分子及び他の薬物を含むが、これらに限定されない。作用物質は、以下のものを含む、公知技術のコンビナトリアルライブラリ法における多数のアプローチのいずれかを使用して得ることができる:生物学的ライブラリ;空間的にアドレス指定可能な並列固相又は溶液相ライブラリ;逆重畳を必要とする合成ライブラリ法;「1ビーズ1化合物」ライブラリ法;及び、親和性クロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリ法。生物学的ライブラリアプローチはペプチドライブラリに限られる一方で、その他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー又は小分子ライブラリに適用できる(Lamの文献、1997、Anticancer Drug Des. 12:145;米国特許第5,738,996号;及び、米国特許第5,807,683号。それぞれその全体が引用により本明細書に組み込まれる)。
分子ライブラリの合成についての方法の例は、当該技術分野において、例えば以下に見いだすことができる:DeWittらの文献、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6909;Erbらの文献、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:11422;Zuckermannらの文献, 1994, J. Med. Chem. 37:2678;Choらの文献, 1993, Science 261:1303;Carrellらの文献, 1994, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carellらの文献, 1994, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061;及び、Gallopらの文献, 1994, J. Med. Chem. 37:1233。これらのそれぞれは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。
化合物のライブラリは、以下に存在し得る:例えば溶液中で(例えば、Houghtenの文献, 1992, Bio/Techniques, 13:412-421)、又はビーズ上(Lamの文献, 1991, Nature 354:82-84)、チップ(Fodorの文献, 1993, Nature, 364:555-556)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(特許番号5,571,698;5,403,484;及び5,223,409)、プラスミド(Cullらの文献, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:1865-1869)若しくはファージ(Scott 及び Smithの文献, 1990 Science, 249:386-390;Devlinの文献, 1990, Science 249:404-406;Cwirlaらの文献, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382;及びFeliciの文献, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310)に存在し、これらのそれぞれは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。
一実施態様において、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片(例えば機能的に活性な断片)、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片、又はエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用する(すなわち、結合する)作用物質は、細胞に基づくアッセイ系で同定される。この実施態様によれば、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片、又はエフリンA型受容体7融合タンパク質を発現している細胞を候補化合物又は対照化合物と接触させ、エフリンA型受容体7と相互作用する候補化合物の能力を測定する。所望の場合、このアッセイを使用して、複数の候補化合物(例えば、ライブラリ)をスクリーニングできる。該細胞は、例えば原核生物起源(例えば、大腸菌)又は真核生物起源(例えば、酵母又は哺乳動物)であり得る。さらに、細胞は、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質を内因的に発現できるか、又はエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質を発現するように遺伝子操作できる。特定の場合において、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質、又は候補化合物は、例えば、放射性標識(例えば32P、35S及び125I)又は蛍光標識(例えばフルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド又はフルオレサミン)で標識し、エフリンA型受容体7と候補化合物との間の相互作用の検出を可能にする。エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質により直接的に又は間接的に相互作用する候補化合物の能力は、当業者に公知の方法で測定できる。例えば、候補化合物とエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質との間の相互作用は、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、免疫沈降又はウェスタンブロット分析で測定できる。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片(例えば、機能的に活性な断片)、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用する(すなわち、結合する)作用物質は、無細胞アッセイ系で同定される。この実施態様によれば、天然又は組換え型のエフリンA型受容体7若しくはその断片、天然又は組換え型のエフリンA型受容体7関連ポリペプチド若しくはその断片、エフリンA型受容体7融合タンパク質若しくはその断片を候補化合物又は対照化合物と接触させ、エフリンA型受容体7、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチド、又はエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力を測定する。所望の場合、このアッセイ法を使用して、複数の候補化合物(例えば、ライブラリ)を選別できる。好ましくは、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質は、はじめに、例えばエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質を、これらを特異的に認識し結合する固定された抗体(又は他の親和性試薬)と接触させることにより、又はエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質の精製調製物をタンパク質を結合するように設計された表面と接触させることにより、固定される。エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質は、部分的に若しくは完全に精製でき(例えば部分的に又は完全に他のポリペプチドがない)、又は細胞溶解液の一部であり得る。さらに、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片は、エフリンA型受容体7若しくはその生物学的活性部分、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチド、及びグルタチオンSトランスフェラーゼなどのドメインを含む融合タンパク質であり得る。あるいは、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質は、当業者に周知の技術を使用してビオチン化できる(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals; Rockford, IL)。エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力は、当業者に公知の方法で測定できる。
別の実施態様において、細胞に基づくアッセイ系を使用して、エフリンA型受容体7の産生若しくは分解の原因であり、又はエフリンA型受容体7の翻訳後修飾の原因である酵素などのタンパク質又はその生物学的活性部分に結合し又はその活性を調節する作用物質を同定する。一次選別において、複数の化合物(例えばライブラリ)を、天然に又は組換え的に以下を発現する細胞と接触させる:(i)エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7アイソフォーム、エフリンA型受容体7相同体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7融合タンパク質又は前述のいずれかの生物学的に活性な断片;及び、(ii)エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7アイソフォーム、エフリンA型受容体7相同体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7融合タンパク質のプロセシングの原因であるタンパク質、又はエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7アイソフォーム、エフリンA型受容体7相同体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7融合タンパク質若しくは断片の産生、分解又は翻訳後修飾を調節する化合物を同定するための断片。必要に応じて、一次選別において同定された化合物をそれから、天然に又は組換え的にエフリンA型受容体7を発現する細胞に対する二次選別においてアッセイできる。エフリンA型受容体7、アイソフォーム、相同体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド又はエフリンA型受容体7融合タンパク質の産生、分解又は翻訳後修飾を調節する候補化合物の能力は、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、免疫沈降及びウェスタンブロット分析を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の方法で測定できる。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質に競合的に相互作用する(すなわち、結合する)作用物質を競合結合アッセイで同定する。この実施態様によれば、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質を発現している細胞を、候補化合物、及びエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用することが公知の化合物と接触させ;それから、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質に優先的に相互作用する候補化合物の能力を測定する。あるいは、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片に優先的に相互作用する(すなわち、結合する)作用物質は、無細胞アッセイ系において、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片、若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質を、候補化合物、及びエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用することが公知の化合物と接触させることにより同定される。上記のように、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7断片、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7関連ポリペプチドの断片若しくはエフリンA型受容体7融合タンパク質と相互作用する候補化合物の能力は、当業者に公知の方法で測定できる。これらの細胞に基づくアッセイ、又は無細胞アッセイのいずれかを使用して、複数の候補化合物(例えば、ライブラリ)を選別できる。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの発現又は活性を調節する(すなわち、上方制御するか又は下方制御する)作用物質は、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドを発現している細胞(例えば原核起源又は真核生物起源の細胞)を候補化合物又は対照化合物(例えばリン酸緩衝食塩水(PBS))と接触させること、及び、エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、又はエフリンA型受容体7融合タンパク質、エフリンA型受容体7をコードするmRNA、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現を測定することにより同定される。候補化合物の存在下におけるエフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7をコードするmRNA又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現レベルは、候補化合物の不在下における(例えば対照化合物の存在下における)エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド、エフリンA型受容体7をコードするmRNA又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードするmRNAの発現レベルと比較される。候補化合物はそれから、この比較に基づいて、エフリンA型受容体7、又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの発現のモジュレータとして同定できる。例えば、エフリンA型受容体7又はmRNAの発現が、その不在下よりも候補化合物の存在下で著しく多い場合、該候補化合物はエフリンA型受容体7又はmRNAの発現の刺激剤として同定される。あるいは、エフリンA型受容体7又はmRNAの発現が、その不在下よりも候補化合物の存在下で著しく少ない場合、該候補化合物はエフリンA型受容体7又はmRNAの発現の阻害剤として同定される。エフリンA型受容体7又はそれをコードするmRNAの発現レベルは、当業者に公知の方法により測定できる。例えば、mRNA発現は、ノーザンブロット分析又はRT-PCRにより評価することができ、タンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析により評価できる。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの活性を調節する作用物質は、エフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7関連ポリペプチドを含む調製物、又はエフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7関連ポリペプチドを発現する細胞(例えば原核又は真核生物細胞)を、試験化合物若しくは対照化合物と接触させること、及び、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの活性を調節する(例えば、刺激又は阻害する)試験化合物の能力を測定することにより、同定される。エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの活性は、エフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの細胞シグナル伝達経路の誘導(例えば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、その他)を検出すること、適切な基質における標的の触媒若しくは酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(例えば、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドに応答性であり、かつ検出可能なマーカー(例えばルシフェラーゼ)をコードする核酸に機能的に連結された、制御エレメント)の誘導を検出すること、又は、細胞応答、例えば細胞分化若しくは細胞増殖を検出することにより、評価できる。本記載に基づき、当業者に公知の技術が、これらの活性を測定するために使用できる(例えば、米国特許第5,401,639号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。候補化合物はそれから、対照化合物に対する該候補化合物の効果を比較することにより、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの活性のモジュレータとして同定できる。適切な対照化合物には、リン酸緩衝食塩水(PBS)及び通常の食塩水(NS)を含む。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの発現、活性、又は発現及び活性の両方を調節する(すなわち、上方制御するか又は下方制御する)作用物質を動物モデルにおいて同定する。適切な動物の例には、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌ及びネコを含むが、これらに限定されない。好ましくは、使用する動物は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌のモデルを表す(例えば、UCRU-BL-12, UCRU-BL-13及びUCRU-BL-14などの膀胱癌細胞系の異種移植片, Russellらの文献 Cancer Res. 1986 Apr;46(4 Pt 2):2035-40;ヌードマウス若しくはSCIDマウスにおけるMCF-7及びMCF10AT (Millerらの文献, J Natl Cancer Inst. 1993;85:1725-1732)などの乳癌細胞系の異種移植片(Ozzello L, Sordat M., Eur J Cancer. 1980; 16:553-559); エストロゲン欠乏SCIDマウスにおけるMDA-MB-345などのヒト結腸直腸癌細胞系の異種移植片, Ecclesらの文献 1994 Cell Biophysics 24/25, 279; ヌードマウスにおけるAZ-521などの胃細胞系の異種移植片;FaDu及びHNX-OEなどの頭頸部癌細胞系の異種移植片;免疫欠損マウスにおけるLABAZ1などの腎臓細胞癌細胞系の異種移植片, Zismanらの文献 Cancer Research 63, 4952-4959, August 15, 2003;ヌードマウスにおける、A549及びH460などの非小細胞肺癌細胞系の異種移植片、及びNCI-H345などの小細胞肺癌細胞系の異種移植片;ヌードマウスにおけるHuO9などのヒト骨肉腫細胞系の異種移植片、Kimuraらの文献, Clin Exp Metastasis 2002;19(6):477-85;ヌードマウスにおけるMIA PaCa-2などの膵臓癌細胞系の異種移植片, Marincolaらの文献, J Surg Res 1989 Dec;47(6):520-9;ヌードマウスにおけるCWR-22などの前立腺癌細胞系の異種移植片、Pretlowらの文献, J Natl Cancer Inst. 1993 Mar 3;85(5):394-8;ヌードマウスにおけるMV3などの皮膚癌細胞系の異種移植片、van Muijenらの文献, Int J Cancer 1991 Apr 22;48(1):85-91;AROなどの甲状腺癌細胞系の異種移植片、Viaggiらの文献, Thyroid 2003 Jun;13(6):529-36;及び、HEC-1A及びRL-95-2などの子宮癌細胞系の異種移植片、Liらの文献、J Cancer Res Clin Oncol. 2007 May;133(5):315-20)。これらは、該モデルにおいて呈される病理が、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌のものと類似していることから、エフリンA型受容体7のレベルを調節する試験化合物に利用できる。この実施態様により、試験化合物又は対照化合物を適切な動物に投与し(例えば、経口的に、直腸に、又は非経口的に、例えば腹膜内に又は静注で)、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの発現、活性、又は発現及び活性の両方における効果を測定する。エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドの発現における変化は、先に概要を示した方法で評価できる。
さらに別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドは、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドに結合する又は相互作用する他のタンパク質を同定するためのツーハイブリッドアッセイ又はスリーハイブリッドアッセイにおける「ベイトタンパク質」として使用される(例えば、米国特許第5,283,317号; Zervosらの文献 (1993) Cell 72:223-232; Maduraらの文献(1993) J. Biol. Chem. 268:12046-12054; Bartelらの文献(1993) Bio/Techniques 14:920-924; Iwabuchiらの文献(1993) Oncogene 8:1693-1696;及び、国際公開番号WO 94/10300を参照されたい)。当業者に認識されているように、このような結合タンパク質は、例えば、エフリンA型受容体7を含むシグナリング経路の上流又は下流の要素として、エフリンA型受容体7によりシグナルの伝播に関与する可能性もある。
本発明は、先に記載したスクリーニングアッセイ法により同定される新規作用物質、及び本明細書に記載したような治療についてのその使用をさらに提供する。加えて、本発明はまた、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療用医薬の製造における、エフリンA型受容体7と相互作用するか又はその活性を調節する作用物質の使用を提供する。
(エフリンA型受容体7の治療的使用)
本発明は、治療的化合物の投与による様々な疾患及び障害の治療又は予防を提供する。このような化合物には、以下を含むが、これらに限定されるものではない:エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7類似体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド及びその誘導体(断片を含む);前述のものに対する抗体(又は他の親和性試薬);エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7類似体、エフリンA型受容体7関連ポリペプチド及びその断片をコードする核酸;エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードする遺伝子に対するアンチセンス核酸;及び、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードする遺伝子のモジュレータ(例えばアゴニスト及びアンタゴニスト)。本発明の重要な特徴は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に関与するエフリンA型受容体7をコードする遺伝子の同定である。転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の血清若しくは組織におけるエフリンA型受容体7の機能又は発現を減少させる治療的化合物の投与により治療でき(例えば、症状を改善するか又は発症若しくは進行を遅延させる)又は予防できる。
一実施態様において、それぞれエフリンA型受容体7に特異的に結合する1以上の抗体(又は他の親和性試薬)を、単独で、又は1以上の追加的な治療的化合物若しくは治療と組み合わせて投与する。
抗体(又は他の親和性試薬)などの生物学的生成物は、それが投与される対象に対し同種(allogeneic)である。一実施態様において、ヒトのエフリンA型受容体7若しくはヒトのエフリンA型受容体7関連ポリペプチド、ヒトのエフリンA型受容体7若しくはヒトのエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードする核酸、又はヒトのエフリンA型受容体7若しくはヒトのエフリンA型受容体7関連ポリペプチドに対する抗体(又は他の親和性試薬)を、治療法(例えば、症状を改善するか又は発症若しくは進行を遅延させる)又は予防のためにヒト対象に投与する。
理論により制限されることなく、エフリンA型受容体7に特異的に結合する抗体(又は他の親和性試薬)の治療的活性は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の現象を介して達成できることが想到される(例えば、Janeway Jr. C.A.らの文献, Immunobiology, 第5版, 2001, Garland Publishing, ISBN 0-8153-3642-X; Pier G.B. らの文献, Immunology, Infection, and Immunity, 2004, p246-5; Albanell J. らの文献, Advances in Experimental Medicine and Biology, 2003, 532:p2153-68 及び、Weng, W.-K. らの文献, Journal of Clinical Oncology, 2003, 21:p 3940-3947を参照されたい)。
(転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療及び予防)
転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象への、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を発病する危険性のある対象への、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象の組織と比較して転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の組織に示差的に存在するエフリンA型受容体7のレベル又は活性(すなわち、機能)を調節する(増加又は減少させる)化合物の投与により、治療又は予防される。一実施態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象への、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を発病する危険性のある対象への、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の血清又は組織において減少したエフリンA型受容体7のレベル又は活性(すなわち、機能)を上方制御する(すなわち増加させる)化合物を投与することにより、治療又は予防される。このような化合物の例には、エフリンA型受容体7のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイム、エフリンA型受容体7に対して指示された抗体(又は他の親和性試薬)、及びエフリンA型受容体7の酵素活性を阻害する化合物を含むがこれらに限定されない。他の有用な化合物、例えばエフリンA型受容体7のアンタゴニスト及びエフリンA型受容体7の小分子アンタゴニストは、インビトロアッセイを使用して同定できる。
転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌はまた、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象への、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を発病する危険性のある対象への、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の血清又は組織において増加したエフリンA型受容体7のレベル又は活性(すなわち、機能)を下方制御する化合物の投与により、治療又は予防される。このような化合物の例には以下を含むが、これらに限定されない:エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片及びエフリンA型受容体7関連ポリペプチド;(例えば遺伝子療法における使用のための)エフリンA型受容体7、エフリンA型受容体7の断片及びエフリンA型受容体7関連ポリペプチドをコードする核酸;及び、酵素活性を有するエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7関連ポリペプチドのための、酵素活性を調節することが公知の化合物又は分子。使用できる他の化合物、例えばエフリンA型受容体7のアゴニストは、インビトロアッセイを使用して同定できる。
別の実施態様において、治療又は予防は、個々の対象の必要に合わせて調製する。従って、特定の実施態様において、エフリンA型受容体7のレベル又は機能を促進する化合物は、エフリンA型受容体7のレベル若しくは機能がないか、又は対照若しくは正常の基準範囲に比較して減少している転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象に、治療的に若しくは予防的に投与される。さらなる実施態様において、エフリンA型受容体7のレベル又は機能を促進する化合物は、エフリンA型受容体7のレベル若しくは機能が対照若しくは基準範囲に比較して増加している転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象に、治療的に若しくは予防的に投与される。さらなる実施態様において、エフリンA型受容体7のレベル又は機能を減少させる化合物は、エフリンA型受容体7のレベル若しくは機能が対照若しくは基準範囲に比較して増加している転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象に、治療的に若しくは予防的に投与される。さらなる実施態様において、エフリンA型受容体7のレベル又は機能を減少させる化合物は、エフリンA型受容体7のレベル若しくは機能が対照若しくは基準範囲に比較して減少している転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有することが疑われるか若しくは有することが既知の対象に、治療的に若しくは予防的に投与される。そのような化合物の投与によるエフリンA型受容体7の機能又はレベルにおける変化は、例えば、試料(例えば、血液又は尿)を得ることにより、及びエフリンA型受容体7のインビトロレベル若しくは活性、又はエフリンA型受容体7をコードするmRNAのレベル、又は上述の任意の組合せをアッセイすることにより、容易に検出できる。このようなアッセイは、本明細書に記載するように、本化合物の投与前及び後に実施できる。
本発明の化合物には、エフリンA型受容体7プロファイルを正常な方へ回復させる任意の化合物、例えば小さな有機分子、タンパク質、ペプチド、抗体(又は他の親和性試薬)、核酸などを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、任意の他の化学療法薬と組み合わせて与えることができる。
(ワクチン療法)
本発明の別の態様は、エフリンA型受容体7若しくはそのエピトープ含有断片、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸若しくはその断片を、任意に免疫賦活剤と共に含む、免疫原性組成物、好適にはワクチン組成物である。
また、このような組成物を対象に投与することを含む免疫応答賦活法、並びに、このような組成物の治療上有効量をその必要のある対象に投与することを含む転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療方法又は予防方法、及び転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を予防又は治療することにおける使用のためのこのような組成物を提供する。
従って、エフリンA型受容体7は、抗原性物質として有用であり得、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のためのワクチンの製造に使用できる。このような物質は、「抗原性」及び/又は「免疫原性」であり得る。通常、「抗原性」は、タンパク質が抗体(又は他の親和性試薬)を上げるために使用できるか、又は実際に対象若しくは実験動物における抗体反応を誘導できることを意味する。「免疫原性」は、タンパク質が対象又は実験動物において保護免疫応答などの免疫応答を誘発できることを意味する。従って、後者の場合、該タンパク質は、抗体反応を引き起こし得るのみならず、さらに抗体に基づかない免疫応答をも引き起こし得る。また、「免疫原性」は、該タンパク質がインビトロ設定(例えばT細胞増殖アッセイ)における免疫様反応を誘発できるか否かも含む。適切な免疫応答の生成は、1以上のアジュバントの存在及び/又は抗原の適切な提示を必要とし得る。
当業者は、エフリンA型受容体7の相同体又は誘導体も抗原性/免疫原性物質としての使用が見出されることを認識する。従って、例えば、1以上の付加、削除、置換等を含むタンパク質は、本発明に含まれる。加えて、1つのアミノ酸を別の類似の「型」に置き換えることが可能であり得る。例えば、1つの疎水性アミノ酸を別のものに置き換える。アミノ酸配列を比較するために、CLUSTALプログラムなどのプログラムを使用できる。このプログラムはアミノ酸配列を比較し、適切な様にいずれかの配列にスペースを挿入することにより最適整列を見出す。最適整列についてのアミノ酸同一性又は類似性(アミノ酸型の同一性及び保存)を算出することができる。BLASTxのようなプログラムは、類似配列で最も長いストレッチを整列配置し、値を適合するように割り当てる。このようにしていくつかの類似領域が見出される比較を得ることが可能であり、その各々は異なるスコアを有する。両方のタイプの分析が、本発明において考察される。
相同体及び誘導体の場合、本明細書に記載するタンパク質との同一性の程度は、該相同体又は誘導体がその抗原性及び/又は免疫原性を保持すべきであることよりも重要ではない。しかしながら、好適には、本明細書に記載するタンパク質又はポリペプチドとの少なくとも60%の類似性を有する(上記のような)相同体又は誘導体が提供され、例えば、少なくとも80%の類似性などの少なくとも70%の類似性を有する相同体又は誘導体を提供する。特に、少なくとも90%又は95%の類似性さえも有する相同体又は誘導体が提供される。好適には、相同体又は誘導体は本明細書に記載したタンパク質又はポリペプチドと少なくとも60%の配列同一性を有する。好ましくは、相同体又は誘導体は少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の同一性を有する。最も好ましくは、相同体又は誘導体は、少なくとも90%又は95%の同一性さえ有する。
代わりのアプローチにおいて、相同体又は誘導体は、例えば所望のタンパク質又はポリペプチドに効果的にタグを付けることによって精製がより容易になる部分を組み込んだ融合タンパク質であり得る。それは「タグ」を除去するのに必要であり得、又はそれは融合タンパク質自体が有用であるのに充分な抗原性を保持する場合でもあり得る。
エピトープ領域、すなわちタンパク質又はポリペプチドの抗原性又は免疫原性の原因となるその領域を同定するために抗原性タンパク質又はポリペプチドを選別することが可能であることは周知である。当業者に周知の方法は、抗原性について断片及び/又は相同体及び/又は誘導体を試験するのに使用できる。従って、本発明の断片は、1以上のこのようなエピトープ領域を含むべきであるか又はこれらの抗原性/免疫原性特性を保持するためにこのような領域に十分に類似すべきである。従って、本発明による断片について、それらは本明細書に記載するタンパク質又はポリペプチド、相同体若しくは誘導体の特定の部分に100%同一であり得るので、同一性の程度はおそらく無関係である。重要な問題は、再度、該断片は、それが由来するタンパク質の抗原性/免疫原性特性を保持するということである。
相同体、誘導体及び断片にとって重要なことは、これらが、その由来するタンパク質又はポリペプチドの抗原性/免疫原性の少なくとも1の程度を有することである。従って、追加的な本発明の態様において、エフリンA型受容体7の抗原性若しくは免疫原性断片、又はその相同体若しくは誘導体を提供する。
エフリンA型受容体7又はその抗原性断片は、精製された若しくは単離された調製物として、単独で提供できる。これらは、本発明の1以上の他のタンパク質又はその抗原性断片との混合物の一部として提供できる。従って、さらなる態様において、本発明は、エフリンA型受容体7及び/又はその1以上の抗原性断片を含む抗原組成物を提供する。このような組成物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の検出及び/又は診断に使用できる。
本発明によるワクチン組成物は、予防的又は治療的なワクチン組成物のいずれでもよい。
本発明のワクチン組成物は、1以上のアジュバント(免疫賦活剤)を含み得る。周知技術の例には、水酸化アルミニウムなどの無機ゲル類、及び不完全フロイントアジュバントなどの油中水乳剤を含む。他の有用なアジュバントは、当業者に周知である。
癌の治療のためにワクチン組成物に使用される適切なアジュバントには、以下を含む:3De-Oアシル化モノホスホリル脂質A(3D-MPL又は単にMPLとして公知。WO92/116556を参照されたい)、サポニン、例えばQS21又はQS7、及び例えばWO95/26204にて開示されるCpG含有分子などのTLR4アゴニスト。
使用されるアジュバントは、構成要素、例えばMPL及びQS21又はMPL、QS21及びCpG含有部分の組合せでもよい。
アジュバントは、水中油乳剤又はリポソーム製剤として製剤化できる。
このような調製物は、他のビヒクルを含み得る。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7のペプチド断片をコードするヌクレオチド配列に相補的な10以上の連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの調製物を、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療のためのワクチンとして使用する。このような調製物は、アジュバント又は他のビヒクルを含み得る。
(転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療するためのエフリンA型受容体7の阻害)
本発明の一実施態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象の組織と比較して、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の組織において上昇するエフリンA型受容体7のレベル及び/又は機能をアンタゴナイズする(阻害する)化合物の投与により治療されるか又は予防される。
この目的のために有用な化合物には、抗エフリンA型受容体7抗体(又は他の親和性試薬、並びにその結合領域を含んでいる断片及び誘導体)、エフリンA型受容体7のアンチセンス又はリボザイム核酸、及び相同組換えによる内因性エフリンA型受容体7機能を「ノックアウト」するのに使用され得る非機能的エフリンA型受容体7をコードする核酸を含むがこれらに限定されない(例えば、Capecchiの文献, 1989, Science 244:1288-1292を参照されたい)。エフリンA型受容体7の機能を阻害する他の化合物は、公知のインビトロアッセイ、例えば別のタンパク質又は結合パートナーへのエフリンA型受容体7の結合を阻害する、又はエフリンA型受容体7の公知の機能を阻害する試験化合物の能力についてのアッセイの使用により、同定できる。
このような阻害は、例えば、インビトロで又は細胞培養でアッセイできるが、遺伝的アッセイを利用することもできる。本明細書に記載する好ましい技術を使用して、化合物の投与の前後でエフリンA型受容体7のレベルを検出することもできる。適切なインビトロ又はインビボアッセイは、以下により詳細に記載するように、具体的化合物の効果、及びその投与が罹患組織の治療を示すか否かを測定するのに利用される。
特定の実施態様において、エフリンA型受容体7の機能(活性)を阻害する化合物は、本発明による治療を受けていない転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象の血清若しくは組織と比較して、エフリンA型受容体7の血清若しくは組織レベル又は機能的活性の増加(例えば、正常レベル又は所望のレベルよりも高い)が検出される対象に治療的又は予防的に投与され、又は膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象において見出されるレベル若しくは活性又は予め決定された基準範囲をもたらすように、治療的又は予防的に投与される。先に概説したように、当該技術分野における標準的方法を利用して、エフリンA型受容体7のレベル又は機能における増加を測定できる。エフリンA型受容体7の適切な阻害因子組成物には、例えば、小分子、すなわち1000ダルトン以下の分子を含み得る。このような小分子は、本明細書に記載するスクリーニング法により同定できる。
(治療的又は予防的化合物についてのアッセイ)
本発明は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療又は予防のための化合物の有効性を同定又は検証するために、薬剤開発における使用のためのアッセイも提供する。
従って、エフリンA型受容体7の活性を調節する化合物のスクリーニングの方法が提供され、該方法には以下を含む:(a)エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分を候補化合物と接触させること;及び(b)エフリンA型受容体7の活性がそれにより調節されているか否かを測定すること。このようなプロセスは、(a) エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分を試料中の候補化合物と接触させること;及び、(b)前記候補化合物を接触させた後の前記試料中のエフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分の活性を、前記候補化合物を接触させる前の前記試料中のエフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分の活性と、又は基準レベルの活性と比較すること;を含み得る。
スクリーニングの方法は、エフリンA型受容体7の活性を阻害する化合物のスクリーニングの方法であり得る。
エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分は、例えば細胞上に又は細胞により発現され得る。エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分は、例えばそれを発現する細胞から単離できる。エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分は、例えば固相上に固定できる。
エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を調節する化合物のスクリーニングの方法も提供され、該方法には以下を含む:(a)エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸を発現している細胞を候補化合物と接触させること;及び、(b) エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現がそれにより調節されているか否かを測定すること。このようなプロセスは、(a)エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸を発現している細胞を試料中の候補化合物と接触させること;及び、(b)前記候補化合物を接触させた後の前記試料中のエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を、前記候補化合物を接触させる前の前記試料中のエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現と、又は基準レベルの発現と比較すること;を含み得る。
本方法は、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を阻害する化合物のスクリーニング方法であり得る。
本発明の他の態様は、以下を含む:上述したスクリーニング法により入手できる化合物、エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の活性又は発現を調節する化合物、例えばエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の活性又は発現を阻害する化合物。
このような化合物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防することにおける使用のために提供される。このような化合物の治療上有効量をその必要のある対象に投与することを含む、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法も提供される。
試験化合物は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象において見出されるレベルに対して転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象におけるエフリンA型受容体7のレベルを回復させる、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の実験動物モデルにおいて同様の変化をもたらす、それらの能力についてアッセイできる。膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でない対象において見出されるレベルに対して転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象におけるエフリンA型受容体7のレベルを回復させることができる、又は転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の実験動物モデルにおいて同様の変化をもたらすことができる化合物を、さらなる創薬のリード化合物として使用でき、又は治療的に使用できる。エフリンA型受容体7の発現は、本明細書に記載する好ましい技術、免疫アッセイ、ゲル電気泳動とそれに続く視覚化、エフリンA型受容体7の活性の検出、又は本明細書に教示されるか若しくは当業者に公知の他の任意の方法によってアッセイできる。このような分析は、臨床モニタリングにおいて、又は薬剤開発において、候補薬物を選別するために使用でき、ここで、エフリンA型受容体7の存在量は臨床疾患の代理マーカーとして扱うことができる。
様々な特定の実施態様において、インビトロアッセイを、対象の障害に関与する細胞型の代表的な細胞により実施して、化合物がこのような細胞型に所望の影響を有するか否か測定することができる。
療法に使用するための化合物は、ヒトでの試験前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなど含むが、これらに限定されない適切な動物モデル系で試験できる。インビボ試験については、ヒトに対する投与の前に、当該技術分野において公知の任意の動物モデル系を使用できる。膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の動物モデルの例には、以下を含むがこれらに限定されない:UCRU-BL-12, UCRU-BL-13及びUCRU-BL-14などの膀胱癌細胞系の異種移植片, Russellらの文献 Cancer Res. 1986 Apr;46(4 Pt 2):2035-40;ヌードマウス若しくはSCIDマウスにおけるMCF-7及びMCF10AT (Millerらの文献, J Natl Cancer Inst. 1993;85:1725-1732)などの乳癌細胞系の異種移植片(Ozzello L, Sordat M., Eur J Cancer. 1980; 16:553-559); エストロゲン欠乏SCIDマウスにおけるMDA-MB-345などのヒト結腸直腸癌細胞系の異種移植片, Ecclesらの文献 1994 Cell Biophysics 24/25, 279;ヌードマウスにおけるAZ-521などの胃細胞系の異種移植片;FaDu及びHNX-OEなどの頭頸部癌細胞系の異種移植片;免疫欠損マウスにおけるLABAZ1などの腎臓細胞癌細胞系の異種移植片, Zismanらの文献 Cancer Research 63, 4952-4959, August 15, 2003;ヌードマウスにおける、A549及びH460などの非小細胞肺癌細胞系の異種移植片、及びNCI-H345などの小細胞肺癌細胞系の異種移植片;ヌードマウスにおけるHuO9などのヒト骨肉腫細胞系の異種移植片、Kimuraらの文献, Clin Exp Metastasis 2002;19(6):477-85;ヌードマウスにおけるMIA PaCa-2などの膵臓癌細胞系の異種移植片, Marincolaらの文献, J Surg Res 1989 Dec;47(6):520-9;ヌードマウスにおけるCWR-22などの前立腺癌細胞系の異種移植片、Pretlowらの文献, J Natl Cancer Inst. 1993 Mar 3;85(5):394-8;ヌードマウスにおけるMV3などの皮膚癌細胞系の異種移植片、van Muijenらの文献, Int J Cancer 1991 Apr 22;48(1):85-91;AROなどの甲状腺癌細胞系の異種移植片、Viaggiらの文献, Thyroid 2003 Jun;13(6):529-36;及び、HEC-1A及びRL-95-2などの子宮癌細胞系の異種移植片、Liらの文献、J Cancer Res Clin Oncol. 2007 May;133(5):315-20)。これらは、該モデルにおいて呈される病理が、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌のものと類似していることから、エフリンA型受容体7のレベルを調節する試験化合物に利用できる。また、本開示に基づき、トランスジェニック動物がエフリンA型受容体7をコードする遺伝子又は遺伝子群の「ノックアウト」変異を有して産生され得ることは、当業者にとって明らかである。遺伝子の「ノックアウト」変異は、変異された遺伝子を発現させなくするか、又は異常形態で若しくは低レベルで発現させる突然変異であり、その結果、該遺伝子産物に関連する活性がほとんど又は完全になくなる。好ましくは、トランスジェニック動物は哺乳動物であり;より好ましくは、該トランスジェニック動物はマウスである。
一実施態様において、エフリンA型受容体7の発現を調節する試験化合物は、非ヒト動物(例えばマウス、ラット、サル、ウサギ及びモルモット)において、好ましくはエフリンA型受容体7を発現する転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌についての非ヒト動物モデルにおいて同定される。この実施態様により、試験化合物又は対照化合物を動物に投与し、エフリンA型受容体7の発現における試験化合物の影響を測定する。エフリンA型受容体7の発現を変える試験化合物は、試験化合物で処置した動物若しくは動物群におけるエフリンA型受容体7(又はそれをコードするmRNA)のレベルを、対照化合物で処置した動物若しくは動物群におけるエフリンA型受容体7又はmRNAのレベルと比較することにより、同定できる。当業者に公知の技術、例えばインサイチュウハイブリダイゼーションを使用して、mRNA及びタンパク質レベルを測定することができる。動物は、試験化合物の効果をアッセイするために犠牲にすることができ、又は犠牲にしなくてもよい。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分の活性を調節する試験化合物は、エフリンA型受容体7を発現する、非ヒト動物(例えばマウス、ラット、サル、ウサギ及びモルモット)、好ましくは転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌についての非ヒト動物モデルにおいて同定される。この実施態様により、試験化合物又は対照化合物を動物に投与し、エフリンA型受容体7の活性における試験化合物の影響を測定する。エフリンA型受容体7の活性を変える試験化合物は、対照化合物で処置した動物、及び試験化合物で処置した動物をアッセイすることにより同定できる。エフリンA型受容体7の活性は、エフリンA型受容体7の細胞セカンドメッセンジャー(例えば細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、その他)の誘導を検出すること、エフリンA型受容体7若しくはその結合パートナーの触媒活性又は酵素活性を検出すること、リポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ又は緑色蛍光タンパク質などの検出可能なマーカーをコードする核酸を機能的に連結したエフリンA型受容体7応答性制御エレメント)の誘導を検出すること、又は細胞応答(例えば細胞分化又は細胞増殖)を検出することにより評価できる。当業者に公知の技術は、エフリンA型受容体7の活性の変化を検出するために利用できる(例えば、米国特許第5,401,639号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
さらに別の実施態様において、エフリンA型受容体7のレベル又は発現を調節する試験化合物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒト対象において、特に重篤な転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒト対象において同定される。この実施態様により、試験化合物又は対照化合物をヒト対象に投与し、エフリンA型受容体7の発現における試験化合物の影響を、生体試料(例えば、血清、血漿又は尿)中のエフリンA型受容体7又はこれをコードするmRNAを分析することにより測定する。エフリンA型受容体7の発現を変える試験化合物は、対照化合物で処置した対象又は対象群におけるエフリンA型受容体7又はそれをコードするmRNAのレベルを、試験化合物で処置した対象又は対象群におけるエフリンA型受容体7又はそれをコードするmRNAのレベルと比較することにより、同定できる。あるいは、エフリンA型受容体7の発現の変化は、試験化合物の投与前又は後の対象又は対象群におけるエフリンA型受容体7又はそれをコードするmRNAのレベルを比較することにより同定できる。当業者に公知の技術を使用して、生体試料を得、mRNA又はタンパク質発現を解析することができる。例えば、本明細書に記載する好ましい技術は、エフリンA型受容体7のレベルの変化を評価するために使用できる。
別の実施態様において、エフリンA型受容体7の活性を調節する試験化合物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒト対象(好ましくは、重篤な転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒト対象)で同定される。この実施態様において、試験化合物又は対照化合物をヒト対象に投与し、エフリンA型受容体7の活性における試験化合物の影響を測定する。エフリンA型受容体7の活性を変える試験化合物は、対照化合物で処置した対象からの試料を、試験化合物で処置した対象からの生体試料と比較することにより同定できる。あるいは、エフリンA型受容体7の活性の変化は、試験化合物の投与前又は後の対象又は対象群におけるエフリンA型受容体7の活性を比較することにより同定できる。エフリンA型受容体7の活性は、生体試料(例えば、血清、血漿又は尿)における、エフリンA型受容体7の細胞シグナル伝達経路(例えば細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、その他)、エフリンA型受容体7若しくはその結合パートナーの触媒活性若しくは酵素活性、又は細胞応答、例えば、細胞分化若しくは細胞増殖の誘導を検出することにより評価できる。当業者に公知の技術を使用して、エフリンA型受容体7のセカンドメッセンジャーの誘導における変化、又は細胞応答の変化を検出することができる。例えば、RT-PCRを使用して、細胞セカンドメッセンジャーの誘導における変化を検出できる。
別の実施態様において、対照対象(例えば転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でないヒト)において検出されたレベルに対し、エフリンA型受容体7のレベル又は発現を変化させる試験化合物は、さらなる試験使用又は治療的使用のために選択される。別の実施態様において、対照対象(例えば転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌でないヒト)において見出される活性に対し、エフリンA型受容体7の活性を変化させる試験化合物は、さらなる試験使用又は治療的使用のために選択される。
別の実施態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に関連する1以上の症状の重篤性を減少させる試験化合物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒト対象、特に重篤な転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象で同定される。この実施態様により、試験化合物又は対照化合物を対象に投与し、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の1以上の症状における試験化合物の影響を測定する。1以上の症候を減少させる試験化合物は、対照化合物で処置した対象を試験化合物で処置した対象と比較することにより同定できる。転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に精通している医師に公知の技術を使用して、試験化合物が転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に関連する1以上の症状を減少させるか否かを測定できる。例えば、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象において腫瘍量を減少させる試験化合物は、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する対象のために有益である。
別の実施態様において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有するヒトにおいて転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌に関連する1以上の症状の重篤性を減少させる試験化合物は、さらなる試験使用又は治療的使用のために選択される。
(治療的及び予防的組成物並びにこれらの使用)
本発明は、本発明の化合物の有効量を対象に投与することを含む、治療(及び予防)の方法を提供する。特定の態様において、本化合物は、実質的に精製されている(例えば、その作用を制限するか又は望ましくない副作用をもたらす物質を実質的に含まない)。対象は、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどを含むがこれらに限定されない動物であり、例えばヒトなどの哺乳動物である。特定の実施態様において、非ヒト哺乳動物が対象である。
本化合物が核酸を含むときに利用できる製剤及び投与方法は、先に記載しており;さらなる適切な製剤及び投与経路を以下に記載してある。
例えば、リポソーム内のカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、本化合物を発現できる組換え細胞、受容体媒介型エンドサイトーシス(例えばWu及びWuの文献, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照されたい)、レトロウイルス又はその他のベクターの一部としての核酸の構築などの種々の送達系が公知であり、本発明の化合物を投与するために使用できる。導入の方法は、経腸的又は非経口的であることができ、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外及び経口経路を含むが、これらに限定されない。本化合物は、任意の好都合な経路により、例えば注入又は大量瞬時投与により、上皮性又は粘膜皮膚の裏打ち(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸管粘膜など)を介した吸収により投与でき、他の生体活性物質と共に投与してもよい。投与は、全身又は局所であり得る。加えて、脳室内及び髄腔内注射を含む任意の適切な経路により、本発明の医薬組成物を中枢神経系に導入することが望ましい可能性があり;例えば、脳室内注入は、例えばオマヤレザバー(Ommaya reservoir)などの貯蔵部に取り付けられた脳室内カテーテルにより容易化し得る。また、例えば吸入器又は噴霧器の使用により、及びエアロゾル化剤での処方により、肺投与も利用できる。
本発明の一態様において、本発明で利用される核酸は、例えば粒子媒介型表皮性送達を利用して真皮に送達できる。
特定の実施態様において、治療を必要とする領域に局所的に本発明の医薬組成物を投与することが望ましい場合があり;これは、例えば、限定するものではないが、外科手術の間の局部的な注入、局所適用、例えば注射によって、カテーテルによって、又はインプラントによって達成してもよく、前記インプラントは、サイラスティック(sialastic)膜などの膜を含む多孔性、非多孔性若しくはゲル状物質又は線維である。一実施態様において、投与は、膀胱組織、胸部組織、結腸直腸組織、頭頸部組織、腎組織、肺組織、骨芽細胞、膵臓組織、前立腺組織、皮膚組織、甲状腺組織若しくは子宮組織への直接注入によるものであり得、又は悪性腫瘍組織若しくは新生物組織若しくは前新生物組織の部位(又は前者の部位)での直接注入によるものであり得る。
別の実施態様において、本化合物は、小胞、特にリポソームで送達できる(Langerの文献, 1990, Science 249:1527 1533; Treatらの文献, 「感染性疾患及び癌の治療法におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)」中, Lopez Berestein及びFidler (編), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez Beresteinの文献, 同書, pp. 317-327;同書を一般に参照されたい)。
さらに別の実施態様において、本化合物は、徐放系で送達できる。一実施態様において、ポンプを使用できる(Langerの文献,上掲; Seftonの文献, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwaldらの文献, 1980, Surgery 88:507; Saudekらの文献, 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照されたい)。別の実施態様において、ポリマー物質を使用できる(「徐放の医学的適用(Medical Applications of Controlled Release)」, Langer及びWise (編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974);「制御薬剤生体利用能、薬剤生産設計及び性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance)」, Smolen及びBall (編), Wiley, New York (1984); Ranger及びPeppas, J.の文献, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照されたく; また、Levyらの文献, 1985, Science 228:190; Duringらの文献, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardらの文献, 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照されたい)。さらに別の実施態様において、徐放系は治療標的、すなわち膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮の近傍に置くことができ、それゆえ、全身用量の一部のみが必要とされる(例えばGoodsonの文献, 「徐放の医学的適用(Medical Applications of Controlled Release)」中,上掲, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。
他の徐放系は、Langerによる総説(1990, Science 249:1527-1533)にて議論されている。
本発明の化合物がタンパク質をコードする核酸である特定の実施態様において、該核酸は、適切な核酸発現ベクターの一部としてそれを構築し、それが細胞内になるように投与することにより、例えばレトロウイルスベクターの使用により(米国特許第4,980,286号を参照)、又は直接注入により、又は微粒子照射の使用により(例えば遺伝子銃; Biolistic, Dupont)、又は脂質若しくは細胞表面受容体若しくはトランスフェクト試薬での被覆により、又は核内に入ることが公知のホメオボックス様ペプチドに関連付けてそれを投与すること(Joliotらの文献, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868)などにより、インビボで投与して、そのコードタンパク質の発現を促進できる。あるいは、核酸は、細胞内に導入し、相同組換えにより発現のために宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
また、本発明は、医薬組成物を提供する。このような組成物は、治療上有効量の化合物及び医薬として許容し得る担体を含む。特定の実施態様において、用語「医薬として許容し得る」は、動物及びより具体的にはヒトにおける使用について、連邦政府若しくは州政府の規制当局により承認に適切であり得る、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認められている薬局方に収載されていることを意味する。用語「担体」とは、治療薬と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルをいう。このような医薬担体は、水及び油等の滅菌液であり得、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等の石油、動物、植物又は合成起源のものを含む。水は、医薬組成物を静脈内投与するときに好ましい担体である。特に注射用溶液については、生理食塩水並びに水性デキストロース溶液及びグリセロール溶液も液体担体として利用できる。適切な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物には、所望の場合、微量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤も含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。組成物は、坐薬として、トリグリセリドなどの従来型の結合剤及び担体と共に製剤化できる。経口製剤には、医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、その他のなどの標準的担体を含み得る。適切な医薬担体の例は、E.W. Martinによる「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。このような組成物には、治療的有効量の本化合物を、例えば精製した形態で、対象への投与に適した形態を提供するのに適切な量の担体と共に含む。製剤化は、投与様式に合わせるべきである。
例えば、1以上の抗体が利用される実施態様において、本組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合化された医薬組成物としてルーチン手順に従い製剤化される。典型的には、静脈内投与用組成物は、無菌の等張性水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、本組成物は、溶解剤、及び注射部位における疼痛を緩和するリドカインなどの局所麻酔薬も含み得る。一般に、該成分は、別々に、又は単位剤形、例えば活性剤の量を示すアンプル若しくはサッシェなどの密封封止容器内に乾燥凍結乾燥粉末として若しくは水を含まない濃縮物として混合され、供給される。本組成物を輸液により投与する場合、無菌医薬品等級の水又は生理食塩水を含有する輸液ボトルで供給できる。本組成物が注射により投与される場合、該成分が投与前に混合できるように、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを提供できる。
本発明の化合物は、中性又は塩形態として製剤化できる。医薬として許容し得る塩には、適当である場合、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの遊離アミノ基と形成されたもの、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの遊離カルボキシル基と形成されたものを含む。
転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の治療に効果的である本発明の化合物の量は、標準的な臨床技術により測定できる。加えて、最適な用量範囲を同定するのを補助するために、インビトロアッセイ法を任意に使用できる。また、製剤に利用される正確な用量は、投与経路及び疾患又は障害の重症度に依存し、従事者の判断及び各対象の状況に従って決定されるべきである。しかし、静脈内投与に適切な用量範囲は、一般に、体重1キログラムあたり約20〜500μgの活性化合物である。鼻腔内投与に適切な用量範囲は、一般に、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から推定できる。
坐薬は、一般に、0.5重量%〜10重量%の範囲の活性成分を含み、経口製剤は、好ましくは10%〜95%の活性成分を含む。
また、本発明は、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットも提供する。このような容器には、医薬製品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府当局により規定された形態での通知を任意に伴うことができ、この通知は(a)ヒト投与についての製造、使用又は販売の当該機関による承認、(b)使用の方向性、又はその両方を反映する。
従って、キットが本発明で利用される抗体を含むという態様において、例えば、抗体は、投与又は使用の前の再構成のために凍結乾燥できる。キットが癌などの療法/治療における使用のための場合、抗体は等張水溶液により再構成できこれは、任意にキットで提供できる。一態様において、キットは、本発明で使用される免疫原性ポリペプチドなどのポリペプチドを含むことができ、これは例えば凍結乾燥できる。後者のキットは、免疫原性ポリペプチドを再構成するためのアジュバントをさらに含むことができる。
また本発明は、本明細書に記載する組成物、例えば対象において免疫応答を誘発するための医薬組成物及び/又はワクチン組成物にも拡張する。
(イメージング技術によるエフリンA型受容体7の存在量の測定)
イメージング技術によるエフリンA型受容体7の存在量の測定の利点は、このような方法が非侵襲性であり(試薬を投与する必要があり得ることは別として)、該対象から試料を抽出する必要がないことであり得る。
適切なイメージング技術には、ポジトロン放出断層撮影(PET)及び単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)を含む。このような技術を使用するエフリンA型受容体7の視覚化は、適切な標識、例えば18F、11C又は123Iなどの放射性トレーサの取り込み又は結合を必要とする(例えばNeuroRx - The Journal of the American Society for Experimental NeuroTherapeutics (2005) 2(2), 348-360、及び該技術のさらなる詳細について上掲361-371頁を参照されたい)。放射性トレーサ又は他の標識は、好適に標識された特定のリガンドの対象への投与により(例えば注入により)、エフリンA型受容体7に組み込むことができる。あるいは、これらは、(例えば注入により)対象に投与できるエフリンA型受容体7に特異的な結合親和性試薬(例えば抗体)に組み込むことができる。イメージングについてのアフィボディの使用に関する考察については、例えばOrlova A, Magnusson M, Eriksson TL, Nilsson M, Larsson B, Hoiden-Guthenberg I, Widstrom C, Carlsson J, Tolmachev V, Stahl S, Nilsson FYの論文, 「ピコモル親和性HER2結合アフィボディ分子を使用する腫瘍イメージング(Tumor imaging using a picomolar affinity HER2 binding Affibody molecule)」, Cancer Res. 2006 Apr 15;66(8):4339-48を参照されたい。
(免疫組織化学を使用する転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の診断及び治療)
免疫組織化学は優れた検出技術であり、それゆえ、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の診断及び治療に非常に有用であり得る。免疫組織化学は、蛍光色素、酵素、放射性元素又はコロイド金などのマーカーにより視覚化される抗原-抗体相互作用を介する特異試薬として、エフリンA型受容体7に特異的に結合する標識化抗体(又は他の親和性試薬)、その誘導体及び類似体の使用により、組織切片におけるエフリンA型受容体7抗原の局在を介して、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出し、診断し又はモニタリングするために使用できる。
モノクローナル抗体技術の発達は、ヒト新生物の最新の正確な顕微鏡診断における免疫組織化学の立場を保証する際にきわめて重要であった。免疫組織化学による拡散した腫瘍的形質転換細胞の同定は、癌浸潤及び転移、並びに悪性度増加に対する腫瘍細胞関連免疫表現型の進化のより鮮明な画像を可能にする。将来の抗新生物治療アプローチには、個々の患者の腫瘍性疾患に伴う特定の免疫表現型的パターンに特異的な様々な個別的免疫治療を含み得る。さらなる考察については、例えばBodey Bの論文, 「新生物の診断及び治療における免疫組織化学の意義(The significance of immunohistochemistry in the diagnosis and therapy of neoplasms)」, Expert Opin Biol Ther. 2002 Apr;2(4):371-93を参照されたい。
本発明の各態様の好適な特徴は、必要な変更を加えた他の態様の各々に関して同様である。本明細書に記載の従来技術文献は、法律により許される最大範囲で組み込まれる。
(実施例1):一次元ゲル電気泳動を使用する結腸直腸癌及び骨肉腫組織試料において発現する膜タンパク質の同定
以下の参照プロトコルを使用して結腸直腸癌及び骨肉腫の組織試料から抽出される膜タンパク質を一次元ゲルで分離し、分析した。
(1.1 材料及び方法)
(1.1.1−原形質膜分画)
結腸直腸癌又は骨肉腫から回収した細胞を溶解し、1000Gでの遠心分離に供した。上清を回収し、それから該上清を3000Gで遠心分離した。もう一度、上清を取り、それから該上清を100,000Gで遠心分離した。
結果として生じたペレットを回収し、15-60%ショ糖密度勾配に置いた。
ウエスタンブロットを使用して細胞内マーカーを同定し、原形質膜増量画分をプールした。
プールした溶液は、一次元ゲル(以下の1.1.4節を参照されたい)で直接泳動したか、又は後述するようにヘパリン結合画分及びヌクレオチド結合画分に更に分画した。
(1.1.2−原形質膜ヘパリン結合画分)
上記1.1.1からのプールされた溶液をヘパリンカラムに適用し、カラムから溶出させ、一次元ゲルで泳動した(下記1.1.4節を参照されたい)。
(1.1.3−原形質ヌクレオチド結合画分)
上記の1.1.1からのプールされた溶液をCibacrom Blue 3GAカラムに適用し、カラムから溶出し、1Dポリアクリルアミドゲル(以下の1.1.4節を参照されたい)で電気泳動した。
(1.1.4−1Dゲル技術)
タンパク質又は膜ペレットを1Dサンプル緩衝液(1〜2μg/μl)に可溶化した。サンプル緩衝液及びタンパク質混合物をそれから3分間、95℃に加熱した。
9-16%のポリアクリルアミド勾配ゲルは、引用によりその全てが本明細書に組み込まれるAusubel F.M.ら編, 1989, 「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」, 第II巻, Green Publishing Associates社、及びJohn Wiley & Sons社, New York, 10.2節に記載される手順に従い、スタッキングゲル及びスタッキングコームとともに成形した。
界面活性剤抽出液及び分子量標準(66、45、31、21、14kDa)から得られたタンパク質混合物の30〜50μgは、10μlピペットチップを使用してスタッキングゲルに添加し、該サンプルを該ゲルにおいて40mAで5時間、電気泳動した。
それからプレートを開き、ゲルを固定液(10%酢酸、40%エタノール、50%水)のトレイにおき、終夜振盪した。これに続いて、ゲルをプライマー溶液(7.5%酢酸(75ml)、0.05%SDS(10%、5ml)において30分振盪することにより開始した。ゲルはそれから、3時間振盪しながら蛍光色素(7.5%酢酸、ハウス色素(600μl)中0.06%OGS)でインキュベートした。Sypro Red(Molecular Probes社, Eugene, Oregon)はこの目的に適した色素である。好適な蛍光色素は1999年10月5日に出願された米国特許出願番号第09/412168号において開示され、これは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。
コンピュータ読み取り可能な出力が、アポロ3スキャナ(Oxford Glycosciences, Oxford, UK)を用いた蛍光染色ゲルを撮像することによりもたらされた。このスキャナは、WO 96/36882、及びDavid A. Basijiの「内部反射光学及び相感受性検出を利用するハイスループット蛍光スキャナの開発(総内部反射、電気泳動)(Development of a High - throughput Fluorescence Scanner Employing Internal Reflection Optics and Phase - sensitive Detection (Total Internal Reflection, Electrophoresis))」と題された博士論文, ワシントン大学(1997), 国際論文摘要58/12 B巻, 6686頁に記載されたスキャナから開発され、これらの各々の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。この計測器の最新の実施態様には以下の改良を含む:ゲルを精密な親ねじ駆動システム上のスキャナにより輸送する。これは、画像光学系を通り越した所にゲルを正確に輸送する再生可能な手段を提供するので、Basiji論文において定められたベルト駆動システムにガラスプレートを置くより好ましい。
公知の位置でしっかりとガラスプレートを保持する3つの配列ストッパに対して、ゲルをスキャナに固定する。上記の精密な輸送システム及びゲルがガラスプレートに結合するという事実に関連して上記のようにすることにより、ゲルの絶対位置を予測でき、記録できる。これは、ゲル上の各特性の正確な座標を切除についての切除ロボットに伝え得ることを確実にする。この切除ロボットは、位置精度を保存するガラスプレートに対し同一の取付方法を有する。
ゲルを適切な位置に保つ担体は、画像幾何学を補正するために使用され、かつスキャンが正確に実施されたことを確認する品質管理特性である、統合された蛍光マーカー(指定されたM1、M2、M3)を備える。
システムの光学部品を逆にした。レーザー、鏡、導波管及び他の光学部品は、ここでは走査されるガラスプレートより上にある。Basiji論文の実施態様はこれらの底面を有する。従って、ガラスプレートはスキャナゲル側を下にして載置し、その結果、光路はガラスプレートを通るままである。こうすることにより、ガラス板から壊れて離れたであろうゲルの全粒子は、光学系へよりもむしろ機器の底部上に落下する。
ゲルを走査することにおいて、これらの染色を除去し、水ですすぎ、短時間で空気乾燥させ、アポロ3で撮像した。イメージングの後、ゲルを、少量の染色液を含むポリエチレンバッグに密閉し、次いで4℃で保存した。
見かけの分子量は、サンプルと一緒に動く一組の公知の分子量マーカーからの補間により算出した。
(1.1.5−選択されたタンパク質の回収及び分析)
タンパク質は、1D電気泳動に適用できるように以下の通りロボットカッターに変更を加えた米国特許第6,064,754号、5.4及び5.6、5.7、5.8節に(引用により本明細書に組み込まれる)記載したプロセスにより、ゲルから機械的に切除した:カッターをレーンの最上位で開始し、該レーンの左縁部から直径1.7mmでゲルディスクを切る。カッターをそれから2mm右、及び0.7mm下に動かし、さらなるディスクを切る。それからこれを繰り返す。カッターは、第1のゲルカットの直接底面上であるが2.2mm下方へ補正された位置にもどり、3つの斜めの切断のパターンを繰り返す。これをゲルの全長について続ける。
注:レーンが著しく広がるのを認められた場合、補正を横になすこともできる。すなわち先のゲルカットの直接底面上の位置に戻す代わりに、該カットをわずかに左に(該レーンの左側に)及び/又は右に(該レーンの右側に)補正できる。ゲル断片の範囲内で含まれたタンパク質を処理してトリプシンペプチドを生成し;これらのペプチドの部分的なアミノ酸配列をWO98/53323及び1998年6月15日に出願された出願番号第09/094996号に記載したように、質量分析により測定した。
タンパク質を処理してトリプシン消化ペプチドを生成した。トリプシンペプチドは、PerSeptive Biosystems Voyager DETM STRマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI TOF)質量分析器を使用する質量分析により分析され、選択されたトリプシンペプチドはnanoflowTMエレクトロスプレーZスプレー源を備えているMicromass四重極飛行時間型(Q-TOF) 質量分析器(Micromass, Altrincham, U.K.)を使用するタンデム型質量分析(MS/MS)により分析した。エフリンA型受容体7の部分的なアミノ酸配列解析及び同定について、トリプシンペプチドの解釈されてないタンデム型の質量スペクトルをSEQUEST検索プログラム、バージョンv.C.1を使用して検索した(Engらの文献, 1994, J. Am. Soc. Mass Spectrom. 5:976 989)。データベースによる同定についての基準には以下を含んだ:トリプシンの切断特異性;データベースから返されたペプチドにおける一組のa、b及びyイオンの検出、並びにカルバミドメチル化を考慮した全てのシステイン残基での質量の増加。検索されたデータベースは、www.ncbi.nlm.nih.govでアクセス可能である全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)により保持される非冗長データベースにおけるタンパク質エントリから構築されたデータベースであった。SEQUESTプログラムを使用するスペクトル-スペクトル相関を介したタンパク質の同定に続いて、MALDI-TOF質量スペクトルにおいて検出された質量を、同定されたタンパク質のトリプシン消化ペプチドに割り当てた。SEQUESTプログラムを使用するトリプシン消化ペプチドの未解釈のMS/MSスペクトルでの検索を介してもアミノ酸配列が同定できない場合、該ペプチドのタンデム質量スペクトルを当該技術分野において公知の方法を使用して手動で解釈した。(ペプチドイオンの低エネルギー断片化質量スペクトルの解釈の場合、Gaskellらの文献, 1992, Rapid Commun. Mass Spectrom. 6:658 662を参照されたい)。
(1.1.6−結腸直腸癌及び骨肉腫関連タンパク質の識別)
エフリンA型受容体7を同定する方法には、天然に存在するヒトタンパク質の上記質量分析により実験的に得られたペプチド配列を使用し、発表されたヒトゲノム配列におけるコードエキソンを同定し、組織化する。
ヒトゲノムの化学的配列を規定することにおける最近の劇的な進歩により、この莫大な課題が完遂間近になった(Venter, J.C.らの文献 (2001) 「ヒトゲノムの配列(The sequence of the human genome)」Science 16: 1304-51; 国際ヒトゲノム配列コンソーシアムの文献(2001) 「ヒトゲノムの一次配列及び解析(Initial sequencing and analysis of the human genome)」Nature 409: 860-921)。この配列情報は、我々が、分子進化、比較ゲノム学、病理メカニズム及び分子医薬を含む多くの生物学的プロセスを理解する上で、実質的な衝撃を有することにはおよそ疑いがない。ヒトゲノムの配列に固有の完全な医学的価値が実現されるためには、ゲノムが「組織化」され、注釈付けされる必要がある。これは、少なくとも以下の3つのことを意味する:(i)ゲノムの個々の部分の配列の集合を、それぞれの染色体の干渉的(coherent)で連続的な配列に構築すること; (ii)遺伝子を含むそれぞれの染色体のそれらの領域の明白な同定; (iii)遺伝子の微細構造並びにそのmRNA及びタンパク質産物の特性の決定。「遺伝子」の定義はますます複雑な問題である一方で(H Pearsonの文献:「遺伝子とは何か?(What is a gene?)」 Nature (2006) 24: 399 - 401)、創薬及び薬剤開発にとっての当座の興味は、機能的な発現タンパク質をコードするこれらの遺伝子のカタログである。これらの遺伝子のサブセットは、全てとまではいかないまでもほとんどの病態の分子基盤に関与する。従って、医薬産業にとって重要かつ当面の目標は、ヒトゲノムにおいてそのような全ての遺伝子を同定し、それらの微細構造を説明することである。
(OGAP(登録商標)データベースを形成するための、ペプチド質量、ペプチドの特徴、EST及び公共領域ゲノム配列データの加工及び組み込み)
個別の遺伝学的単位(エキソン、転写物及び遺伝子)を以下の一連の工程を使用して同定した:
1.Ensembl及び様々な遺伝子予測プログラムから入手可能な遺伝子同定を組み合わせることによりヒトゲノムに位置づけられたトリプシンペプチドを含む「仮想トランスクリプトーム」を生成する。これには、遺伝子同定のSNPデータ(dbSNPから)及び全ての選択的スプライシングも組み込む。また、公知の混入物を仮想トランスクリプトームに追加した。
2.OGeS質量分析データベースにおける全てのタンデムスペクトルを、仮想トランスクリプトームにおける1つに対して位置づけることができるペプチドを産生するように解釈する。一連の自動化されたスペクトル解釈アルゴリズムを使用してペプチド同定がなされた。
3.OGeS質量分析データベースにおいて全ての質量がマッチしたペプチドのセットは、典型的には20ppmという質量分析器の質量精度に基づいた寛容性を使用して、タンデムペプチドによりヒットした転写物由来の全てのペプチドを検索することにより、作製される。
4.全てのタンデムペプチド及び質量マッチペプチドを、「タンパク質クラスター」の形態で組合せる。これは、配列を共通のペプチドヒットに基づいてクラスターへとグループ化する再帰的プロセスを使用してなされる。生物学的配列は、これらが1以上のタンデムペプチド又は質量マッチペプチドを共有する場合に、同じクラスターに属するとみなす。
5.誤って同定したペプチドを除外するための一次フィルタリングの後、生じたクラスターをヒトゲノムにおいて位置づける。
6.次いで、タンパク質クラスター内のペプチドのそれらの近接度及び同時観察を使用して、タンパク質クラスターを予備的遺伝子境界を規定する領域に集約させる。近接度は、同じ染色体の同じ鎖上の80,000ヌクレオチド内に存在するペプチドとして定義する。クラスター観察スコアリング及びゲノムに対する複数マッピングに基づいた種々の排除則を使用して出力結果を洗練する。結果として生じる「確認された遺伝子」は、各クラスタにおける質量分析により観測されたペプチド及び質量の最良を占めるものである。また、遺伝子の公称座標がこの段階の出力である。
7.それぞれの確認された遺伝子の転写物の最良のセットを、タンパク質クラスター、ペプチド、EST、候補エキソン及び元のタンパク質スポットの分子量から作製する。
8.同定された各転写物を、観測されたペプチドを提供する試料に関連づけた。
9.データを考察し、マイニングするためのアプリケーションの使用。工程1〜8の結果は、それぞれが多数のエキソン及び1以上の転写物からなる遺伝子を含むデータベースであった。アプリケーションは、この統合したゲノム/プロテオームデータを示して、検索するために記載した。Ensemblにより同じGolden経路座標系に位置づけられた任意の特徴(OMIM疾患座、InterProなど)は、位置及び微細構造の一致により、これらの遺伝子に相互参照できた。
(結果)
本プロセスを使用して、タンパク質コード遺伝子及びそれらのエキソンを同定するためのおよそ1,000,000ペプチド配列を生成し、膀胱癌における506遺伝子、乳癌における4,713遺伝子、バーキットリンパ腫における766遺伝子、子宮頸癌における1,371遺伝子、結腸直腸癌における949遺伝子、肝臓細胞癌における1,782遺伝子、慢性リンパ性白血病における2,424遺伝子、肺癌における978遺伝子、黒色腫における1,764遺伝子、卵巣癌における1,033遺伝子、膵臓癌における2,961遺伝子及び前立腺癌における3,307遺伝子を含む、67の異なる組織及び57の疾患にわたる18083遺伝子についてのタンパク質配列の同定を生じ、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫及び前立腺癌の試料から単離及び同定されたエフリンA型受容体7により本明細書において実証された。OGAP(登録商標)データベースにおける配列と実験的に決定された配列との比較に続き、エフリンA型受容体7は、予後及び診断特性の指標である、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫及び前立腺癌への高度な特異性を示した。
(1.2 結果)
これらの実験は、本明細書にさらに記載されているように、エフリンA型受容体7を同定した。全長のエフリンA型受容体7は、結腸直腸癌及び骨肉腫試料の原形質膜において検出され、原形質において検出されなかった。
タンパク質指数をエフリンA型受容体7について算出した。各遺伝子について、タンパク質指数は、質量分析データを使用して、グローバルデータベースに相対的な各疾患に対するスコアを割り当てる。タンパク質指数はそれから、癌の指標における高いスコア、並びに正常及び他の疾患における低い/ごくわずかなスコアを用いて、癌特異的遺伝子を同定することができる。該指数は、56の疾患から質量分析を介して配列決定された1,000,000までのペプチドを含む。各遺伝子について、これは、各疾患及び細胞内位置についてスコアを生じる。
エフリンA型受容体7についてのタンパク質指数は、乳癌細胞全体(下記の実施例3を参照されたい)において中程度であり、結腸直腸癌原形質膜において中程度であり、肺癌原形質膜(下記の実施例2を参照されたい)において中程度であり、骨肉腫原形質膜において中程度であり、前立腺癌膜(下記の実施例4を参照されたい)において高く、かつ正常な原形質膜、膜及び細胞全体においてきわめて低い。エフリンA型受容体7は、他の全ての疾患において検出されなかった。これは、エフリンA型受容体7が潜在的に乳癌、結腸直腸癌、肺癌、骨肉腫及び前立腺癌の良好な標的であることを示す。
(実施例2:絶対的及び相対的定量化のための同位体タグ(iTRAQ)を使用する結腸直腸癌及び肺癌組織試料において発現する膜タンパク質の同定)
以下の参照プロトコルを使用して、結腸直腸癌及び肺癌組織並びに隣接する正常な結腸直腸及び肺組織試料から抽出した膜タンパク質を消化し、絶対的及び相対的定量化試薬用同位体タグ(Isotope Tagging for Absolute & Relative Quantitation reagents)(iTRAQ; Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)でラベルし、結果として生じた相対的なペプチド発現レベルをMRM質量分析により測定した。
(2.1 材料及び方法)
(2.1.1−原形質膜分画)
結腸直腸癌若しくは肺癌又は隣接する正常な結腸直腸若しくは肺組織から回収した細胞を溶解し、1000Gでの遠心に供した。上清を回収し、それをそれから3000Gで遠心分離した。もう一度、上清を回収し、それをそれから100000Gで遠心分離した。
結果として生じたペレットを回収し、15-60%ショ糖密度勾配上においた。
ウエスタンブロットは細胞内マーカーを同定するために使用し、原形質膜画分はプールした。
該プールされた溶液はその後、iTRAQにより直接分析した(下記2.1.2節を参照されたい)。
(2.1.2−iTRAQ方法論)
結腸直腸癌若しくは肺癌、及び隣接する正常な結腸直腸組織若しくは肺組織からの膜タンパク質ペレットを、緩衝液の添加により試料緩衝液に可溶化し(0.5% SDS 中2〜4μg/μl)、それから95℃で3分間加熱した。
各タンパク質溶液の量を50μgにし、150μlの0.5M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)溶液を添加した。各試料に、3μlの50mM トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィンを加え、該混合物を60℃で1時間インキュベートした。イソプロパノール中1μlのシステイン保護試薬、200mMのメチルメタンチオスルホナート(MMTS)をそれから添加した。室温で10分間のインキュベーション後、15μlの1μg/μlトリプシンを各試料に添加し、それに続けて37℃で一晩インキュベーションした。
消化試料を真空下で乾燥させ、30μlの0.5M TEAB溶液で再構成した。70μlのエタノールを4つのiTRAQ試薬(114/115/116/117)の各々に添加し、1つの試薬を分析される該4試料のそれぞれに添加し(2つの結腸直腸癌若しくは肺癌試料、及び2つの対応する隣接する正常な組織試料)、室温で1時間放置した。各試料に添加した具体的試薬を記録した。4つの標識化試料を混合し、ボルテックスした。
該混合試料は、真空下で乾燥まで減少させ、C18スピンカラム上に供することにより脱塩し、水性溶媒で洗浄し、それから70%アセトニトリルで溶出した。試料画分は再び乾燥まで減少させ、それからイオン交換分画前に、40μlの溶媒A(97.9水、2%アセトニトリル、0.1%ギ酸)に再溶解させた。
(2.1.3−標識化ペプチドの分画及び分析)
該試料は、Agilent 1200クロマトグラフ(Agilent, Santa Clara, CA, USA)を使用する、強力な陽イオン交換クロマトグラフィにより分画した。試料は、20分にわたり0-100mM酢酸ナトリウム、及びその後10分にわたり1Mまでの20μl/分の勾配を使用して、Agilent Zorbax Bio-SCXIIカラム(3.5μm;50×0.8mm)から溶出した。1分の画分は、30分のランにわたって回収した。
各画分は、PepMap 100-C18 150mm×75μmカラム(Dionex Corporation, Sunnyvale, CA, USA )及び4000 Qトラップハイブリッド三重極/リニアイオントラップ装置(Applied Biosystems, Framingham, MA, USA)を取り付けたテンポクロマトグラフ(Tempo chromatograph)(Applied Biosystems, Framingham, MA, USA)を使用し、液体クロマトグラフィ/質量分析により分析された。ペプチドは、60分でアセトニトリルが5%から40%まで増加する300nl/分の勾配で、溶出された。データは、MRMモードで、最高6つの前駆体イオン(Q1)、並びに4つのiTRAQレポーターイオン及び前駆体配列イオンより上の2y及び1bから構成されている6つのフラグメントイオン(Q3)を選択することによって得られた。6つのフラグメントイオンからのピーク面積を分析し、結腸直腸癌及び肺癌試料とそれらの適合する正常な隣接試料との間の相対的なペプチド表現レベルの比率を得た。
(2.2 結果)
これらの実験は、本明細書中に更に記載されているエフリンA型受容体7を同定した。結腸直腸癌及び肺癌試料とそれらの適合する隣接する正常な試料との間の相対的なペプチド発現レベルの比率の分析は、癌試料におけるエフリンA型受容体7のレベルが、該適合する正常な隣接組織試料のものよりも高いことを示した。
エフリンA型受容体7についてのタンパク質指数の説明について実施例1の1.2節を参照されたい。
(実施例3:相対的及び絶対的定量化のための同位体タグ(iTRAQ)を使用する乳癌組織溶解液試料において発現するタンパク質の同定)
以下の参照プロトコルを使用して、乳癌組織溶解液及び隣接する正常な胸部組織試料を消化し、絶対的及び相対的定量化試薬用同位体タグ(Isotope Tagging for Absolute & Relative Quantitation reagents)(iTRAQ; Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)でラベルし、結果として生じた相対的なペプチド発現レベルをMRM質量分析により測定した。
(3.1 材料及び方法)
(31.1−胸部溶解液)
乳癌及び隣接正常組織からのヒト胸部組織溶解液は、1mg/mlの濃度で、Protein Biotechnologiesから得た。溶解液は、それから、iTRAQにより直接分析した(下記3.1.2節を参照されたい)。
(3.1.2−iTRAQ方法論)
50μgに等しい容積の各タンパク質溶液に、20μlの0.5M トリエチルアンモニウム重炭酸塩(TEAB)溶液を加えた。各サンプルに、2μlの50mM トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィンを加え、該混合物を1時間60℃でインキュベートした。その後、200mM メチルメタンチオスルホナート(MMTS)のイソプロパノール溶液であるシステイン保護試薬の1μlを加えた。10分間の室温でのインキュベーション後、5μlの1μg/μlトリプシンを各試料に加え、それから37℃で一晩インキュベートした。
該消化試料を真空下で乾燥させ、30μlの0.5M TEAB溶液で再構成した。50μlのイソプロパノールを8つのiTRAQ試薬(113/114/115/116/117/118/119/121)の各々に加え、1つの試薬を分析される8つの試料の各々に添加し(4つの乳癌試料及び4つの対応する隣接正常組織試料)、室温で2時間そのままにした。各試料に添加した具体的試薬を記録した。8つの標識化試料を混合し、ボルテックスした。
該混合試料は、真空下で乾燥まで減少させ、C18スピンカラム上に供することにより脱塩し、水性溶媒で洗浄し、それから70%アセトニトリルで溶出した。試料画分は再び乾燥まで減少させ、それからイオン交換分画前に、40μlの溶媒A(97.9水、2%アセトニトリル、0.1%ギ酸)に再溶解させた。
(3.1.3−標識化ペプチドの分画及び分析)
該試料は、Agilent 1200クロマトグラフ(Agilent, Santa Clara, CA, USA)を使用する、強力な陽イオン交換クロマトグラフィにより分画した。試料は、20分にわたり0-100mM酢酸ナトリウム、及びその後10分にわたり1Mまでの20μl/分の勾配を使用して、Agilent Zorbax Bio-SCXIIカラム(3.5μm;50×0.8mm)から溶出した。1分の画分は、30分のランにわたって回収した。
各画分は、PepMap 100-C18 150mm×75μmカラム(Dionex Corporation, Sunnyvale, CA, USA )及び4000 Qトラップハイブリッド三重極/リニアイオントラップ装置(Applied Biosystems, Framingham, MA, USA)を取り付けたテンポクロマトグラフ(Tempo chromatograph)(Applied Biosystems, Framingham, MA, USA)を使用し、液体クロマトグラフィ/質量分析により分析された。ペプチドは、60分でアセトニトリルが5%から40%まで増加する300nl/分の勾配で、溶出された。データは、MRMモードで、最高10の前駆体イオン(Q1)、並びに8つのiTRAQレポーターイオン及び前駆体配列イオンより上の2y及び1bから構成されている10のフラグメントイオン(Q3)を選択することによって得られた。10のフラグメントイオンからのピーク面積を分析し、乳癌試料とその適合する正常な隣接試料との間の相対的なペプチド表現レベルの比率を得た。
(3.2 結果)
これらの実験は、本明細書中に更に記載されているエフリンA型受容体7を同定した。乳癌試料とそれらの適合した隣接する正常な試料との間の相対的なペプチド発現レベルの比率の分析は、癌試料におけるエフリンA型受容体7のレベルが、該適合した隣接する正常な胸部組織試料のものよりも高いことを示した。
エフリンA型受容体7についてのタンパク質指数の説明について実施例1の1.2節を参照されたい。
(実施例4:前立腺癌血液及び組織試料において発現する膜タンパク質の同定)
以下の参照プロトコルを使用して、前立腺癌組織サンプルから抽出された膜タンパク質を同位体コード化親和性タグ(ICAT)を使用して分析した。
(4.1 材料及び方法)
(4.1.1−膜画分の調製)
前立腺癌から回収した細胞を溶解し、1000Gで遠心分離に供した。上清を取り、それからこれを3000Gで遠心分離した。もう一度、上清を取り、それからこれを100000Gで遠心分離した。
結果として生じたペレットは標識化緩衝液(50mMトリス-HCl pH 8.3、5mM EDTA、0.5%SDS)中で沸騰させて溶解し、タンパク質濃度を測定した。
ウエスタンブロットを使用して、膜タンパク質マーカーを検証した。
(4.1.2−ICAT試薬の合成)
使用したICAT試薬は、以下の同位元素的に異なる基質により合成した:4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(A)(Aldrich, Milwaukee, WI)及び2,2',3,3',11,11',12,12'-オクタデウテロ-4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(B)(Gerber, S.A., Scott, C.R., Turecek, F. & Gelb, M.H.の文献 「エレクトロスプレーイオン化質量分析による細胞溶解液中の複数の酵素の速度解析(Analysis of rates of multiple enzymes in cell lysates by electrospray ionization mass spectrometry)」J. Am. Chem. Soc. 121, 1102-1103 (1999))。N-(13-アミノ-4,7,10-トリオキサトリデカニル)ビオチンアミド(C)の合成は以下の通りであった。過剰なN,N-ジイソプロピルエチルアミン(Aldrich)を含んでいるビオチン-ペンタフルオロフェニルエステル(Pierce, Rockford, IL)の乾燥ジメチルホルムアミド溶液に、5当量の(A)を室温で3時間撹拌しながら加えた。溶媒を減圧下で除去し、(C)は逆相HPLCにより均一性に精製した。重い類似体を(C)について調製したが、5当量の(B)を用いた。N-(13-ヨードアセトアミド-4,7,10-トリオキサトリデカニル)ビオチンアミド(D)の合成は以下の通りだった。過剰のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを含んでいる乾燥したジメチルホルムアミド中の (C)(又は重い類似体)に、2当量のヨード酢酸無水物(Aldrich)を室温で3時間撹拌しながら加えた。溶媒を減圧下で除去し、(D)は逆相HPLCにより均一性に精製し、MSにより特徴づけた。
(4.1.3−ICAT分析)
100ugの総タンパク質を使用した。変性タンパク質混合物のジスルフィド結合を37℃で1時間還元した(50mMトリス緩衝液pH 8.5、6MグアニジンHCl、5mMトリブチルホスフィン)。各混合物中のシステイニル基を、5倍モル過剰の適切なICAT試薬でそれぞれビオチン化した。過剰なICAT試薬は0.1%SDS含有トリス緩衝液(50mM、pH 8.5)でのゲル濾過(Bio-Rad, Richmond, CA)により複合サンプルから除去され、タンパク質画分は37℃で終夜トリプシン(Promega, Madison, WI)にて消化した。それからペプチド溶液を、調製済み単量体アビジンカラム(Pierce)に通した。カラムを水で洗浄し、ビオチン化ペプチドを0.3%ギ酸(1ml画分)で溶出した。溶出されたサンプルの量(0.3%ギ酸中)を1,000から50ulにまで減らした。全手順にわたるペプチド回収をおよそ70%と推定した。
LCQイオントラップ質量分析器(Finnigan MAT, San Jose, CA)は、自社作成のマイクロエレクトロスプレー源、及びHP1100溶媒送達システム (Hewlett Packard, Palo Alto, CA)を用いて使用した(例えば、Figeys, D.らの文献 「新規質量分析技術と組み合わせた電気泳動:タンパク質及びプロテオームの解析のための強力なツール(Electrophoresis combined with novel mass spectrometry techniques: powerful tools for the analysis of proteins and proteomes)」Electrophoresis 19, 1811-1818 (1998)を参照されたい)。5-80%の溶媒Bを用いて60分の2成分勾配(アセトニトリル及び0.005%ヘプタフルオロ酪酸(HFBA))。溶媒Aは、0.4%酢酸及び0.005%HFBAから成った。0.5ul/分の流速は、社内においてMonitor球状シリカ(Column Engineering, Ontario, CA)で充填した100um × 12cmの溶融シリカキャピラリーカラムに使用した。機能的なクロマトグラフィは、H2O中500pmolと同程度のペプチド負荷を有するこの設定で達成した。1μlのペプチド混合物をカラム上に加圧負荷した。溶出ペプチドは、他で記載するようなuLC-MS及びuLC-MS/MS技術によって分析した(例えば、Gygi, S.P., Rochon, Y., Franza, B.R. & Aebersold, Rの文献, 「酵母におけるタンパク質とmRNA多量性との間の相関(Correlation between protein and mRNA abundance in yeast)」, Mol. Cell. Biol. 19, 1720-1730 (1999)、並びにGygi, S.P., Han, D.K.M., Gingras, A.C., Sonenberg, N. & Aebersold, Rの文献, 「質量分析及び配列データベース検索によるタンパク質解析:ポストゲノム時代における癌治療のためのツール(Protein analysis by mass spectrometry and sequence database searching: tools for cancer research in the post-genomic era)」, Electrophoresis 20, 310-319 (1999)を参照されたい)。ペプチド対を溶出する強度は、走査式質量分析器において測定した。示差的にタグ付けされたペプチド対の溶出時間にわずかな違い(軽い類似体の1〜2秒前に溶出する重い類似体)がある。この理由のために、各溶出ペプチドの全てのピーク面積を再構築し、比率算出に使用した。アミノ酸配列を決定するために、質量分析器は、データ依存的MS/MSモードで操作し(完全走査質量スペクトルの後に、タンデム型の質量スペクトルが続く)、ここで前駆体イオンは、先の走査から「飛行中に」選択される。断片化のために選択されたイオンについてのm/z比をリストに置き、さらなる断片化から1分間動的に除外した。部分的なアミノ酸配列及びエフリンA型受容体7の同定について、トリプシンペプチドの未解釈のタンデム型質量スペクトルをSEQUEST検索プログラムを使用して検索し(Eng, J., McCormack, A.L. & Yates, J.R.の文献 「ペプチドのタンデム型質量スペクトルデータをタンパク質データベースにおけるアミノ酸配列と相関させるためのアプローチ(An approach to correlate tandem mass spectral data of peptides with amino acid sequences in a protein database.)」J. Am. Soc. Mass Spectrom. 5, 976-989 (1994))、これは、OWL非冗長複合タンパク質配列データベースに対し、タンデム型の質量スペクトルを検索した(Bleasby, A.J., Akrigg, D. & Attwood, T.K. 「OWL非冗長配列データベース(OWL-a non-redundant composite protein sequence database)」Nucleic Acids Res. 22, 3574-3577 (1994))。
(4.1.4−前立腺癌関連のタンパク質の識別)
実施例1の1.1.6節に記載する方法を実験的なサンプル中の前立腺癌関連タンパク質を同定するために使用した。
(4.2 結果)
これらの実験は、本明細書中に更に記載されているエフリンA型受容体7を同定した。全長エフリンA型受容体7は、前立腺癌試料の膜において検出され、原形質において検出されなかった。
エフリンA型受容体7についてのタンパク質指数の説明について実施例1の1.2節を参照されたい。
(実施例5:エフリンA型受容体7に対する抗体を使用する免疫組織化学)
以下の参照プロトコルを使用し、エフリンA型受容体7に対するウサギポリクローナル抗体(Abcam, UK, ab5400)を使用して、免疫組織化学をFFPE腫瘍及び正常組織において実施した。
(5.1 材料及び方法)
抗ウサギEnVisionプラスキット(K4010)は、DAKO、CA、米国から得た。EZ-De-Waxは、BioGenex、CA、米国から得た。組織切片及びアレイは、Biomax、MD、米国から得た。
(5.1.1−脱パラフィン化及び再水和)
スライドは、緩衝液なしで水浴の50mlファルコンにおいて、60℃で2時間加熱した。各ファルコンは、1つのスライド、又は互いに固着することを防ぐために間に長いゲルローディングチップを有する背中合わせの2つのスライドを有した。スライドは、黒いスライドラックにおいて5分間EZ-DeWaxで脱パラフィン化し、それから1mlのピペットを使用して同じDeWax溶液でよくリンスし、その後、洗瓶から水で洗浄した。スライドを水で満たされたコプリンジャー(coplin jar)内に、該圧力釜が準備できるまで置き;水を2回交換した。
(5.1.2−抗原回復)
水を、抗原回復溶液、すなわち1×クエン酸緩衝液、pH 6(DAKO)と交換した。抗原は、圧力釜法で回復した。抗原回復溶液におけるプラスチックコプリンジャー内のスライドを圧力釜に入れ、それから6位(最も高い設定)まで加熱した。15〜20分インキュベートし、温度を3位に減らし、さらに(圧力釜内部の温度が117℃であるときに)20〜25分間そのままにした。それから、該ホブ(hob)のスイッチを切り、該釜を冷却したホブに配置し、ハンドルを「開」と「閉」との間の位置に慎重に動かすことにより圧力を開放した。全システムは、圧力を開放したままにし、さらに20分間冷却した。蓋を開けて試料を取り出し、ベンチに置いた。スライドはPBS-3T(0.5L PBS + 3滴のTween-20)で1×5分洗浄し、スライドをPBS中に置いた。
(5.1.3.−染色)
抗原回復後、スライドは、シャンドン(Shandon)カバープレート系で包埋した。スライドとプラスチックカバープレートとの間の気泡の捕捉は、カバープレートをPBSで満たされたコプリンジャーに入れ、組織切片を有するスライドをカバープレートに穏やかに摺動させることにより、予防した。スライドをコプリンジャーから引き抜くと同時に、それをカバープレートと共にきつく保った。組み立てたスライドをラックに入れ、PBSを漏斗内及びスライドとカバープレートとの間に捕捉し、通り抜けさせた。スライドは、2×2mlのPBS-3T(又は4×1ml)、1×2mlのPBSで洗浄し、全てのPBSがスライドからなくなり、かつ実質的にPBSが漏斗内からなくなるまで待機した。
内在性ペルオキシド遮断は、EnVision+キットで供給される溶液を使用して実施した。スライドあたり1〜4滴のペルオキシド溶液を使用し、5分間インキュベートした。スライドを水でリンスし、その後2mlのPBS-3Tで1回及び2mlのPBSで1回リンスし;新しい部の洗浄緩衝液を加える前に、実質的に液体が漏斗に残らなくなるまで待機することは重要であった。
一次抗体は、抗体希釈試薬(DAKO)で希釈した。最適な希釈は、1:75及び1:50であることを決定した。50〜200μlの希釈一次抗体を、各セクション及び/又は組織マイクロアレイに適用し;全組織を覆うように注意した。スライドは該抗体がセクション全体に均一に分布するよう軽くたたき、又はピペットチップはセクションの最上部に渡って使用した。スライドは、湿室において室温で45分間インキュベートした。スライドは2×2ml(又は4×1ml)のPBS-3T、それから1×2mlのPBSで洗浄し、全てのPBSがスライドからなくなり、実質的にPBSが漏斗に残らなくなるまで待機した。
抗ウサギペルオキシダーゼポリマーは、スライド当たり2×2滴適用し、室温で35分間インキュベートした。スライドは、上記のように洗浄した。
DAB基質は、希釈緩衝液で作成し;2滴の基質を含んでいる2mlは10スライドについて十分であった。DAB試薬は、一度に数滴を適用することにより、スライドに適用した。全てのDABは、スライド間に分布した。該スライドを10分間インキュベートした。スライドを1×2 ml(又は2×1 ml)のPBS-3Tで、及び1×2ml(又は2×1 ml)のPBSで洗浄し、全てのPBSがスライドからなくなり、実質的にPBSが漏斗に残らなくなるまで待機した。
ヘマトキシリン(DAKO)を適用し;1mlが10スライドについて十分であり、スライドは室温で1分間インキュベートした。シャンドンカバープレート系の漏斗を2mlの水で満たし、通り抜けさせた。スライドが過剰のヘマトキシリンに透明である場合、該系を分解し、組織切片及び/又はアレイを洗瓶からの水にで洗浄し、黒いスライドラックに入れた。組織は、EZ-DeWaxにおいて5分間、その後95%エタノールにおいて2〜5分間インキュベートすることにより、脱水した。
スライドは、室温のベンチ上で乾燥させたままにし、それから包埋溶媒で包埋し、カバーグラスでカバーした。
(5.2 結果)
免疫組織化学分析は、腫瘍細胞の特異的染色を示した。明瞭な細胞質染色が正常細胞において観察されたが、癌細胞においては、癌細胞の脱局在化が原形質膜及び原形質において強く染色された細胞の大部分において生じたことは明白であった。臨床試料のスコア化は、従って、癌組織における膜の観察及び細胞質染色に基づいた。
下記の表4は、結腸直腸癌、肺癌及び転移性腫瘍の組織アレイの結果を示す。74人の結腸直腸癌患者を表す結腸直腸組織アレイにおいて、正常な隣接組織と比較して、43人の患者(56%)の腫瘍細胞に、エフリンA型受容体7の染色の増加がみられた。76人の肺癌患者を表す肺組織アレイにおいて、正常な隣接組織と比較して、27人の患者(35%)に、癌細胞におけるエフリンA型受容体7の染色の増加がみられた。さらに18人の転移性の結腸直腸腫瘍、胃腫瘍、乳腫瘍、肺腫瘍及び甲状腺腫瘍患者を表す組織アレイにおいて、正常な隣接組織と比較して、16人の患者(89%)に、癌細胞におけるエフリンA型受容体7の染色の増加がみられた。転移性乳癌は、インド人ファイリング(Indian filing)として公知の単一ファイルパターンにおける周囲の間質の浸潤で特に強い染色を示した。
下記の表5は、癌(20事例/型)及び正常対照(5事例/型)の20の最も一般的な型からの500の組織核を含む高密度アレイの結果を示す。癌細胞におけるエフリンA型受容体7の染色の増加が、結腸直腸癌、膀胱癌、子宮癌、頭頸部癌、皮膚癌、腎癌、甲状腺癌及び膵臓癌にみられた。
正常組織アレイにおいて、発現は、高度に制限され、わずかにきわめて弱く、一部の組織においては拡散染色が観察され、大部分の組織においては全く染色されなかった。
Figure 2011522872
Figure 2011522872
特許及び特許出願を含む本出願において言及する全ての引用文献は、言及によりその可能な最大限の範囲で本明細書に組み込まれる。
本明細書及び添付する特許請求の範囲を通じて、文脈が別途要求しない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形体は、述べられた整数、ステップ、整数の群又はステップの群を包含するだけではなく、任意のその他の整数、ステップ、整数の群又はステップの群を除外しないことを意味すると解する。
本発明の実施態様は本明細書に記載されており、これは特定の要素を含む。また、本発明は、同じ要素から成っているか又は基本的に成っている個別的な実施態様にまで拡張し、逆もまた同じである。
任意の次なる出願に関し、この記載及び請求項が部分を形成する出願は、優先権の基礎として使用できる。このような次なる出願の請求項は、本明細書に記載されている任意の特徴又は特徴の組合せに関し得る。それらは、物クレーム、組成物クレーム、方法クレーム又は使用クレームの形態をとることができ、例示目的であって限定ではないが、以下の請求項を含み得る。
Figure 2011522872

Claims (81)

  1. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬、及び医薬として許容し得る希釈剤若しくは担体を含む組成物の治療上有効量をその必要のある対象に投与することを含み、該エフリンA型受容体7が前記癌において過剰発現される、前記方法。
  2. エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬。
  3. 治療的部分を含む又は治療的部分に抱合化されている、請求項2記載の親和性試薬。
  4. 前記治療的部分が細胞傷害性部分又は放射性アイソタイプである、請求項3記載の親和性試薬。
  5. 検出可能な標識を含む又は検出可能な標識に抱合化されている、請求項2記載の親和性試薬。
  6. 抗体である、請求項2〜5のいずれか1項記載の親和性試薬。
  7. 単離されたモノクローナル抗体、若しくはその抗原結合部分、抗体断片、又は抗体模倣体である、請求項6記載の抗体。
  8. 前記抗体がIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプの全長抗体である、請求項7記載の単離されたモノクローナル抗体。
  9. 前記抗体が、全抗体、抗体断片、ヒト化抗体、単鎖抗体、免疫複合体、脱フコシル化抗体及び二重特異性抗体からなる群から選択される、請求項7記載の単離されたモノクローナル抗体。
  10. 前記断片が、ユニボディ、ドメイン抗体及びナノボディからなる群から選択される、請求項7記載の抗体断片。
  11. 前記模倣体が、アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、バーサボディ及びデュオカリンからなる群から選択される、請求項7記載の抗体模倣体。
  12. ヒト補体の存在下で、エフリンA型受容体7抗原発現細胞に対し細胞傷害性を有する、請求項7記載のモノクローナル抗体。
  13. ヒト免疫エフェクター細胞の存在下で、エフリンA型受容体7抗原発現細胞に対し細胞傷害性を有する、請求項7記載のモノクローナル抗体。
  14. 請求項2〜13のいずれか1項において定義した親和性試薬又はその断片の治療上有効量、及び医薬として許容し得る希釈剤又は担体を含む、医薬組成物。
  15. 請求項2〜13のいずれか1項に定義した1以上の親和性試薬、及び医薬として許容し得る賦形剤を含む、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 疾患を治療又は予防するのに使用するための、請求項2〜13のいずれか1項に定義した作用物質、又は請求項14若しくは請求項15に定義した組成物。
  17. 前記疾患が癌である、請求項16記載の作用物質。
  18. 前記癌が、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌である、請求項17記載の作用物質。
  19. 疾患を治療又は予防するのに使用するための、エフリンA型受容体7又はその断片。
  20. 前記疾患が癌である、請求項19記載のエフリンA型受容体7又はその断片。
  21. 前記癌が、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌である、請求項20記載のエフリンA型受容体7又はその断片。
  22. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、請求項2〜13のいずれか1項に定義する作用物質、又は請求項14若しくは請求項15に定義する組成物の治療上有効量を、その必要のある対象に投与することを含む、前記方法。
  23. 請求項7記載の単離された抗体又はその抗原結合部分をコードする、単離された核酸分子。
  24. 請求項23記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
  25. 請求項24記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  26. 前記親和性試薬が、治療及び/又は診断における使用に適している、1以上の請求項2〜13のいずれか1項記載の親和性試薬、又は請求項14に定義される組成物を含む、キット。
  27. 請求項16〜18のいずれか1項記載の前記親和性試薬の使用についての取扱説明書をさらに含む、請求項26記載のキット。
  28. ハイブリダイズ剤をさらに含む、請求項26又は請求項27記載のキット。
  29. エフリンA型受容体7の活性を調節する化合物のスクリーニング方法であって:(a)エフリンA型受容体7若しくはその生物学的活性部分を候補化合物と接触させること;及び(b)エフリンA型受容体7の活性がこれにより調節されるかどうかを測定すること;を含む、前記方法。
  30. (a) 試料において、エフリンA型受容体7若しくはその生物学的活性部分を、候補化合物と接触させること;及び(b)前記候補化合物との接触後の前記試料におけるエフリンA型受容体7若しくはその生物学的活性部分の活性を、前記候補化合物との接触前の前記試料におけるエフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分の活性と、又は参照レベルの活性と比較すること;を含む、請求項29記載の方法。
  31. エフリンA型受容体7の活性を阻害する化合物のスクリーニングの方法である、請求項29又は請求項30記載の方法。
  32. エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分が、細胞上に、又は細胞により発現される、請求項29〜31のいずれか1項記載の方法。
  33. エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分が、それを発現する細胞から単離される、請求項29〜31のいずれか1項記載の方法。
  34. エフリンA型受容体7又はその生物学的活性部分が、固相上に固定されている、請求項33記載の方法。
  35. エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を調節する化合物のスクリーニング方法であって: (a)エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸を発現している細胞を候補化合物と接触させること;及び(b)エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現がこれにより調節されるかどうかを測定すること;を含む、前記方法。
  36. (a) 試料において、エフリンA型受容体7、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸を発現する細胞を、候補化合物と接触させること;及び(b)前記候補化合物との接触後の前記試料におけるエフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を、前記候補化合物との接触前の前記試料におけるエフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現と、又は参照レベルの発現と比較すること;を含む、請求項35記載の方法。
  37. エフリンA型受容体7又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の発現を阻害する化合物のスクリーニングの方法である、請求項35又は請求項36記載の方法。
  38. 請求項29〜37のいずれか1項記載の方法により得られる化合物。
  39. エフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の活性又は発現を調節する化合物。
  40. エフリンA型受容体7若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の活性又は発現を阻害する、請求項39記載の化合物。
  41. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防するのに使用するための、請求項38〜40のいずれか1項記載の化合物。
  42. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、請求項38〜40のいずれか1項記載の化合物の治療上有効量を、その必要のある対象に投与することを含む、前記方法。
  43. エフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズしてmRNAの転写を阻害できる、ハイブリダイズ剤。
  44. 検出可能な標識を含む、又は検出可能な標識に抱合化されている、請求項43記載のハイブリダイズ剤。
  45. 請求項43又は請求項44に定義した1以上のハイブリダイズ剤、及び医薬として許容し得る希釈剤若しくは担体を含む、医薬組成物。
  46. 前記ハイブリダイズ剤が、治療及び/又は診断の使用に適している、請求項43〜45のいずれか1項記載の1以上のハイブリダイズ剤を含むキット。
  47. 前記ハイブリダイズ剤のそれらの結合パートナーへの結合を検出して報告できる試薬をさらに含む、請求項46記載のキット。
  48. 治療に使用するための、請求項43又は請求項44のいずれか1項に定義した、ハイブリダイズ剤。
  49. 前記治療が癌のためのものである、請求項48記載のハイブリダイズ剤。
  50. 前記癌が、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌又は子宮癌から選択される、請求項49記載のハイブリダイズ剤。
  51. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、エフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤、及び医薬として許容し得る希釈剤若しくは担体を含む組成物の治療上有効量を、その必要のある対象に投与することを含む、前記方法。
  52. エフリンA型受容体7若しくはそのエピトープ含有断片、又はエフリンA型受容体7若しくはその断片をコードする核酸を、任意に免疫賦活剤と共に含む、免疫原性組成物。
  53. エフリンA型受容体7若しくはそのエピトープ含有断片、又はエフリンA型受容体7若しくはそのエピトープ含有断片をコードする核酸を、任意に免疫賦活剤と共に含む、ワクチン組成物。
  54. 請求項52記載の組成物を対象に投与することを含む、免疫応答賦活法。
  55. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を治療又は予防する方法であって、請求項52又は請求項53記載の組成物の治療上有効量を、その必要のある対象に投与することを含む、前記方法。
  56. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を予防又は治療するのに使用するための、請求項52又は請求項53記載の組成物。
  57. 対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングし、若しくはこれらの進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、前記対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在若しくはレベル、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在若しくはレベル、又はエフリンA型受容体7の活性の存在若しくはレベルを検出することを含む、又は該レベルの変化を検出することを含む、前記方法。
  58. 候補対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングする方法であって、前記候補対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在を検出することを含み、ここで(a)健常対象のレベルと比較しての該候補対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片のレベルの上昇、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸のレベルの上昇の存在、又はエフリンA型受容体7活性レベルの上昇の存在、又は(b)健常対象において対応する検出不可能なレベルと比較しての該候補対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の検出可能なレベル、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の検出可能なレベルの存在、又はエフリンA型受容体7活性の検出可能なレベルの存在が、前記対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す、前記方法。
  59. 対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、第1の時点及びその後の時点での前記候補対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、若しくはエフリンA型受容体7の活性の存在、又は前記第1の時点での該対象におけるレベルと比較してその後の時点での対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片のレベルの上昇若しくは低下、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸のレベルの上昇若しくは低下の存在、又はエフリンA型受容体7の活性のレベルの上昇若しくは低下の存在を検出することを含み、これが前記対象における、前記癌の進行若しくは退行を示し、又は前記抗癌の薬剤若しくは療法の効果若しくは非効果を示す、前記方法。
  60. 前記エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、若しくはエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、若しくはエフリンA型受容体7の活性の存在が、前記対象から得られる生体試料の分析により検出される、請求項57〜59のいずれか1項記載の方法。
  61. 前記対象から分析のために前記試料を得るステップを含む、請求項60記載の方法。
  62. 前記試料が、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮組織の試料である、請求項60又は請求項61記載の方法。
  63. エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在が、定量的に検出される、請求項57〜62のいずれか1項記載の方法。
  64. エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在が、イメージング技術の使用を含む手段によって定量的に検出される、請求項63記載の方法。
  65. エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在を測定し、これにより転移癌細胞を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の細胞を限局化するための組織切片における免疫組織化学の使用を含む、請求項57〜63のいずれか1項記載の方法。
  66. エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在、又はエフリンA型受容体7をコードする核酸の存在、又はエフリンA型受容体7の活性の存在が、インサイチュウ分析により検出される、請求項57〜59のいずれか1項記載の方法。
  67. エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片の存在が検出される、請求項57〜66のいずれか1項記載の方法。
  68. エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片の存在が、エフリンA型受容体7若しくはその1以上の断片に特異的結合し得る親和性試薬を使用して検出される、請求項67記載の方法。
  69. 前記親和性試薬が抗体である、請求項68記載の方法。
  70. エフリンA型受容体7をコードする核酸が検出される、請求項57〜66のいずれか1項記載の方法。
  71. エフリンA型受容体7をコードする核酸が、エフリンA型受容体7をコードする核酸にハイブリダイズし得るハイブリダイズ剤を使用して検出される、請求項70記載の方法。
  72. エフリンA型受容体7の活性が検出される、請求項57〜66のいずれか1項記載の方法。
  73. 対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングし、若しくはこれらの進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、前記対象における、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在若しくはレベルを検出することを含む、又はそのレベルの変化を検出することを含む、前記方法。
  74. 対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を検出、診断及び/又はスクリーニングする方法であって、前記対象において、エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在を検出することを含み、ここで(a)健常対象のレベルと比較しての前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体のレベルの上昇の存在、又は(b)健常対象において対応する検出不可能なレベルと比較しての前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の検出可能なレベルの存在が、前記対象における転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の存在を示す、前記方法。
  75. 対象において、転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌の進行をモニタリングする方法、又は抗転移癌を含む抗膀胱癌、抗乳癌、抗結腸直腸癌、抗胃癌、抗頭頸部癌、抗腎癌、抗肺癌、抗骨肉腫、抗膵臓癌、抗前立腺癌、抗皮膚癌、抗甲状腺癌若しくは抗子宮癌の薬剤若しくは療法の効果をモニタリングする方法であって、第1の時点及びその後の時点での前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在、前記第1の時点での前記対象におけるレベルと比較してその後の時点での前記対象におけるエフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体のレベルの上昇若しくは低下の存在を検出することを含み、これが前記対象における、前記癌の進行若しくは退行を示し、又は前記抗癌の薬剤若しくは療法の効果若しくは非効果を示す、前記方法。
  76. 前記エフリンA型受容体7若しくはその1以上のエピトープ含有断片に免疫特異的に結合し得る抗体の存在が、前記対象から得られる生体試料の分析により検出される、請求項73〜75のいずれか1項記載の方法。
  77. 前記対象からの分析のために前記試料を得るステップを含む、請求項76記載の方法。
  78. 前記試料が、膀胱、胸部、結腸直腸、胃、頭頸部、腎臓、肺、骨芽細胞、膵臓、前立腺、皮膚、甲状腺若しくは子宮組織の試料である、請求項76又は請求項77記載の方法。
  79. 転移癌を含む膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌若しくは子宮癌を有する候補対象において検出され得るレベルが、健常対象におけるレベルより2倍以上高い、請求項57〜78のいずれか1項記載の方法。
  80. エフリンA型受容体7若しくはその断片を発現する細胞を殺傷する方法であって、前記細胞を、エフリンA型受容体7若しくはその断片に特異的結合し得る親和性試薬と接触させることを含み、前記親和性試薬が治療的部分を含むか又は治療的部分に抱合化されている、前記方法。
  81. 前記治療的部分が、細胞傷害性部分又は放射性アイソタイプである、請求項80記載の親和性試薬。
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