JP2008512655A - 食品および医薬品用のプラスチックおよびエラストマーの分離 - Google Patents

食品および医薬品用のプラスチックおよびエラストマーの分離 Download PDF

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Abstract

取り扱い装置に由来する、食品または医薬品における汚染物を製品流れにおいて既知の検出装置により、取り扱い装置または食品を包装するために使用するフィルムに拡散させた磁性鉱物微粒子を検出する方法で検出する。鉱物の磁場が検出され、磁場によって発生した信号が汚染物を含有する製品の除去を引き起こす。取り扱い装置の成形部品および包装用フィルムを、フェリ磁性セラミック充填材を配合することにより製造する方法を開示する。0.5−20μの磁鉄鉱およびその他の磁性充填材10−50%の成形およびフィルム押出成形用組成物を開示する。
【選択図】図9

Description

本発明は製品流れにおける食品または医薬品から物理的汚染を取り除くための方法に関するものである。
食品および製薬業界において、物理的汚染は製造業者を受け入れがたい財政的リスクにさらすものであり、これは商品の回収、訴訟費用および消費者の怪我にかかる費用、商売の破綻へとつながる消費者および再販業者からの信用の失墜、規格に準拠していないことに対する罰則といったことに帰するものである。
特に企業を悩ます汚染の種類の例としては、ミキサー、ブレンダー、押出成形機等の機械部品が故障して、機械の破片が製品に混入することである。製菓工場で使用するグラスファイバー製トレイの破損は、キャンディーや調理済ゼリーへのプラスチックおよびグラスファイバーによる汚染へとつながる。冷凍処理する肉をビニール袋に包装すると、ビニール袋が肉に付着あるいは引っかかって破れ、肉それ自体に付着したままになる可能性がある。ブラシからの毛の脱落等の不測の不具合は、その検出を一層困難にするものである。この種の違反に対する一部の企業が強制実施する罰則は非常に厳しく、その先の取引の中止となる可能性がある。
従来技術である米国特許第6113482号および6177113号は、5%ステンレススチール、削り屑、やすり粉または粉末状の金属粒子を、壊れやすいプラスチック製食品機械部品全てに分散させることを主張しており、例としてヘラを挙げている。金属は金属検出装置において信号を発生させることを目的としており、これによりプラスチックが混入したことがわかる。
この方法には、金属検出装置は15x15x2mm(B.S.Teasdale社のHPに記載)もの大きな破片しか検出することができないという制限がある。汚染物はこれより小さくても、食品回収や消費者の負傷につながる許しがたいリスクをもたらすものである。従って、最小検出サイズにおける相当な改善が求められる。
従来技術である米国特許第6113482号および6177113号は、5%ステンレススチール、削り屑、やすり粉または粉末状の金属粒子を、プラスチックフィルムラップに分散させて食品中の破片の検出を可能とすることを主張している。この方法には、フィルムが、金属検出装置を作動させるに至る金属等量を含むためにはヘラ破片の例よりもかなり大きくなるという制限がある。15mmx15mmx2mmのヘラは、105mmx105mmx40μmのプラスチックフィルム片に相当する。
加えて、ステンレススチールのやすり粉、削り屑、粉末はプラスチックフィルムの内包物にはあまり適していない。ステンレスの粒の大きさとフィルムの厚みを考えると、粒子の不規則な形状と擦過特性はフィルム型の製品の製造には不適当である。上記の問題は何故、市販の製品がないのかを説明するかと思われる。性能を改善した、市販可能なフィルム製品が必要とされている。
従来技術である米国特許第6113482号および6177113号は、粒子のパーセンテージを上げることで検出率を上げることが可能であると述べているが、これには2つの不利な点がある。まず最初に、金属粒子のコストは比較的高く、第二に、ステンレススチール粒子それ自体による汚染のリスクが増大する。製造業者は、機械の磨耗によりステンレススチールのやすり粉が製品を汚染するのを防止するために多大な努力を払っている。これは、ステンレススチールの混入が危険であり、その内部にしっかりと保持されていないプラスチックへの混入物を食品汚染物にもしたくはないからである。この問題を解決するための、より安全な別の解決策が必要とされる。
WO03/045655A1の同時係属出願においては、上述の金属粒子を、物理的なサイズのずっと小さな磁性鉱物の粒子に置き換えている。これらの粒子は一般的な成形ポリマーに分散させられ、製菓生産ラインにおけるスターチ搬送用成形トレイ等の食品機械部品に形成される。取り扱い機械がトレイを破損した場合、小さな破片(サイズ1mm以下)であっても、再循環させたスターチおよび食品から磁力で分離するに充分な磁鉄鉱を含有している。
磁鉄鉱は高いパーセンテージで存在しており、粒子は丸みを帯びており、その直径は約0.1−100μmである。これらは金属よりもずっと安く、毒性がなく、誤って摂取したとしても人体を物理的に傷つけることはなく、また成形組成物に混ぜ合わせた場合でも機械を摩損することはない。磁化率により、工程は検出から物理的な分離の一種となる。
鉱物を含有する破片は、継続的に汚染物を捜索する磁石上に集まる。鉱物は非常に細かく粉砕、あるいは析出による合成で0.1μmにまですることができるため、磁鉄鉱をプラスチックフィルムに分散させることが可能である。約10−50%の鉱物を含有するポリマー組成物からなる部品を単に取り付けることにより、製造業者は物理的汚染に対する非常に改善された防御を期待することができる。1mm以下の粒子を磁石によって除去することが可能である。
WO03/045655の同時係属出願の制限は、汚染物が自由流れの粉末、顆粒、液体内にあり、磁石と汚染物とが近接可能な場合に限られる。汚染物が製品に埋没していたり食品パッケージ内に封入されており、磁石の磁界強さがパケットと封入された汚染物とを除去するには不十分な場合には不適切である。
本発明の方法は、製品流れにおける食品または医薬品から汚染物を検出・除去するための方法を提供するものであり、汚染源は、ここで定義するところの分散させた磁性鉱物材料を含有するプラスチックまたはエラストマー食品加工または取り扱い装置であり、食品または医薬品を金属または磁場検出装置に供し、信号を検出し、この信号を用いて製品流れから製品を選り分けることを含む。
物理的汚染物の検出および除去を可能にするための材料は、フェリ磁性セラミック類から選択される。これらのイオン性材料は立方晶系フェライトとしばしば呼ばれ、化学式MFeで表され、MはNi、Mn、Co、Cu等の金属元素のいずれであってもよい。その他の組成を有する立方晶系フェライトは、結晶構造における一部の鉄と置き換わる金属イオンを添加することで形成することができる。従って、組成を調節することにより、様々な磁気特性を有するフェライト化合物を生成することができる。立方晶系フェライト以外のセラミック材料もフェリ磁性であり、六方晶系フェライトおよびガーネットを含む。これらの材料の化学式はAB1219で表すことができ、Aはバリウム、鉛、ストロンチウム等の二価金属であり、Bはアルミニウム、ガリウム、クロム、鉄等の三価金属である。六方晶系フェライトのうち最も一般的な2つの例はPbFe1219とBaFe1219である。フェリ磁性材料の飽和磁化は強磁性体ほどには高くない。フェライトはセラミックであるが、材料は非導電性である。
本発明の好ましい態様はフェライトFe、別名鉱物磁鉄鉱またはロードストーンである。これは、合成も可能であるが天然の鉱物である。
磁鉄鉱には数々の利点がある。これから説明するその一つ目は、磁鉄鉱は概して安全だと認識されている点である。磁鉄鉱は基本的に非毒性であり、FDAによって食品着色料として認められている。プラスチックに含有させて試験したところ、FDAとEECの食品接触審査を通過しており、これは鉱物の食品内への侵入に基づくものである。磁鉄鉱は、現にナビゲーション用の体内コンパスとして鳥が体内に持ち利用しているものであり、鉄分が不足している動物への食品サプリメントとして使用しえるものである。
ポリマーおよびセラミック−磁鉄鉱からの部品の作製には何の化学的危険性もない。
磁鉄鉱は天然の鉱物であり、100−1μmの、様々な産業利用に適当なサイズに採掘・粉砕される。また、特に高い純度と超微粒子サイズ、例えば0.6μmが必要とされる場合は合成してもよい。
磁鉄鉱の特徴は、図2に示されるような均整のとれた丸みを帯びた超微粒子の形で得られることである。この利点は多く、その1つは物理的な侵入性のないことである。発明の背景で記載したようなステンレススチールと比較すると、スチールは非常に大きく鋭利であり危険であり、感染場所となる可能性がある。
非毒性かつ非侵入性の磁鉄鉱の使用により、ポリマーと磁鉄鉱から作製した部品がポリマーそれ自体よりも高いリスクをもたらすことはない。これは、小さすぎて検出・除去できない部品破片や公衆が副次的なリスクにさらされることのない検出装置の故障モードにおいては非常に重要なことである。
磁鉄鉱の別の特徴はサイズ、形状、および比重5.0である。これにより、発明の背景で記載したような拡散性の悪い金属と比べて拡散性が格段に優れる。当然のことながら、個々の粒子は作製した部品では目に見えない。
磁鉄鉱の別の特徴は、製造コストの低さである。磁鉄鉱は天然の鉱物から削りだすことも、あるいは合成することもでき、安く、低コストの充填剤として使用することができる。特に、上述の発明の背景で記載の、従来技術で使用された特殊金属と比べて安い。
磁鉄鉱の別の特徴はそれが鉱物であることである。多くの種類の鉱物が、通常、ポリマーに混合・成形されて充填剤として機能する、または技術的効果を付与する。その他多くの充填剤と擦過性が変わらないため、その他の鉱物充填ポリマーに比べて摩損、メンテナンス費の点で過度な増加は起こらない。比較すると、発明の背景で記述した金属では摩損によるメンテナンス費の著しい上昇が起こる。
ポリマー系化合物の混合および成形法は多種多様であり、実施例で挙げたもののみをポリマー/磁鉄鉱マトリックス用のものとする。
部品をデザインする上で考慮すべき問題は、ポリマー自体の物理的特性はポリマー/磁鉄鉱マトリックスのものと同じではないということである。比較すると、従来技術では、部品の構造的完全性に知覚可能な影響を与えないサイズと形状の1−5%の金属微粒子の使用が可能であることを主張している。しかしそれよりも少しでも多いと、影響がでる可能性が高い。10−50%の磁鉄鉱の使用は、プラスチックの性質に影響を与える。場合によっては、磁鉄鉱を既存の無機充填物の代わりに使用しえることから、これはあまり問題ではない。あるいは、無機充填物の添加の効果はよく知られていることから、部品のデザインの単純な変更は設計の段階でも、あるいはその他の添加物を添加することでも可能であり、あるいは別のポリマーの使用によりこれらの設計問題は解決される。
フェリ磁性セラミックは典型的には10−50重量%でポリマーに混合する。処方は、2−3例を挙げると、コスト、ポリマーのタイプ、物理的特性、プロダクトエフェクト、最低許容検出限度を含む、用途に合わせるための設計上の妥協に依存するものである。
ポリマー中の磁鉄鉱を約30−35重量%に処方すると、100%ステンレススチール金属部品に匹敵する最小検出サイズに近づけることが可能である。例えば工業規格2.0mmのステンレスレススチール球である。このレベルの検出は、発明の背景で記載した、約5%のステンレススチールしか含有していない従来技術では不可能である。
通常、金属検出装置は設備からの金属汚染物を検出するために使用されるため、従来技術ではプラスチック片を検出するためにプラスチックに金属を配合した。しかし、発明の背景で記載したように、この方法による最小検出サイズは許容範囲外のものである。
フェリ磁性セラミックは従来技術を著しく改善可能なものである。これは、異なる材料の特性の結果によるものである。金属は全て導電性であり、非鉄金属と呼ばれる第一グループには銅、金、銀、アルミニウム等が含まれ、常磁性体または反磁性体と呼ばれ、磁性ではない。金属検出装置の磁場にさらされると、金属中に電流を誘発し、次に金属の周囲に磁場を誘導し、平衡コイル構造と反応して信号を発する。
フェリ磁性材料は、粒子径0.1μm−100μmに細かく粉砕しても、析出によって形成してもよい。フェリ磁性材料は、典型的には、10−50重量%であり、つまり10、15、20、25、30、35、40、45、50%である。
フェリ磁性材料は天然で磁性であるが、その性質は成形前または成形中に磁場を印加することにより強化しえる。検出装置は市販の金属検出装置であってもよい。プラスチックまたはエラストマーは、好ましくは、すでに食品業界で使用されている、食品接触に適したものである。フェリ磁性材料は、典型的には、プラスチックまたはエラストマーと均質に混合されてプラスチックまたはゴム部品を形成する。変形には、食品と検出層との間の境界層を形成するため、あるいはその他の技術的効果、例えば2−3例を挙げると色や化学薬品の浸透を排除するための、同時押出層やその他の適切に接着されたプラスチックまたはゴム層が含まれる。例には、食品を劣化させる酸素の侵入を防ぐための境界層と脱着型コア層とから成る真空パックCRYOVACTMバッグが含まれる。肉類用のバッグでは、フィルムは黒で、厚さは25−80μである。
食品および医薬品業界のために製造される製品の例には、コンテナ、トレイ、コンベヤー、ローラー、ブラシ、ヘラ、バッグ、フィルム、シール、カバー、手袋、手術着が含まれる。
手短に述べると、金属検出装置とは、振動磁界を発生させる交流電流によって駆動されるコイルと、精密平衡回路に接続された一対の検出コイルを有する電子機器である。
純粋に導電性の材料、例えば(a)含水性または塩分の高い食品、例えば肉およびチーズ、(b)Al、Pb等の非鉄金属については、磁場は前後にパルスを送るにつれ、遭遇する全ての導電物と反応して、それらに微弱な磁場を発生させ、受信コイルが微弱な磁場を発する物体の上を通過すると、小さな電流が受信コイルを流れ、これは駆動コイルとは位相がずれているため信号を発生し、この信号が排斥デバイスを作動させる。この信号は図4Cのインピーダンス平面上の線によって図示され、この角度は物体の導電性に依存するものである
鉄類(Fe、Co、Ni)に関しては、応答の形状は、金属検出装置の磁場において磁化される結果、導電応答と強磁性応答とが組み合わさり複雑なものとなる(図3Cを参照のこと)。
比較すると、フェリ磁性材料(Fe等)は導電性ではなく、材料の磁場により直線の応答を示し、これはその位相角により導電性材料とは区別される(図5Cを参照のこと)。
金属検出装置はどんな導電物も検出することができ、食品、例えば熱いパン、肉製品およびチーズを含む。これらの導電性の弱い食品が検出装置に与える影響は、検出を必要とするサイズの金属サンプルによるものよりも何倍も大きい。プロダクトエフェクトと呼ばれるこの効果は、製品それ自体を流れる渦電流によるものであり、特に、水分と塩分とを含む場所は微弱に導電性であるからである。
金属粒子と比較してはるかに大きいサイズの食品による効果は顕著である。従って、金属粒子は、大きいものをのぞいて検出されない。
上述のフェリ磁性材料は導電性ではないため、たとえ食品が導電性であってもある程度異なった反応を示す。米国特許番号第5304927号に記載されているような金属検出装置を較正して食品のバックグラウンド信号を検出し、フェリ磁性材料の効果を迅速に特定することができる。
フェリ磁性材料は化学組成、製造方法、形状、サイズ、特性、特には検出を可能せしめる磁性導電性、磨耗性、物理的危険性へとつながる機械の損耗、形状への影響、食品および医薬品業界が汚染リスクを排除する必要のある特殊な製品を製造する際の高含有量での混合の容易さにおいて著しく異なることを発見した。
様々なデバイスに送られ、汚染された物品を排除する信号を検出装置は発生させる。典型的な排除機構には、分流バルブ、送風機、押しアーム、格納式コンベヤーベッド、リバーシブルコンベヤーベッド、スライダーゲート、インクマーカー、分流コンベヤー、ロボットグリッパー、および品物の手動排除するための単純な閃光灯および停止/開始機構が含まれる。
検出可能粒子
図1A、1B、1Cは従来技術である米国特許第6113482号および米国特許第6177113号で使用の削り屑、ステンレススチール粉末および金属やすり粉の写真であり、フィルム押出ライン上のスクリーンパックの閉塞に加え、摂取時または外部接触時における物理的侵入危険性をもたらす、材料の不規則な形状を示している。
金属粒子は、機械的に剥離して削り屑またはやすり粉を形成することで製造することができる。金属粉末は、溶融金属を冷気流に吹き付けて金属を固化させることにより製造することができる。これらの方法のどちらもが、擦過性および物理的擦過性のある粒子を形成する。金属はプラスチックまたはゴムには強力には接着せず、これが金属ダイ中で成形される理由である。結果、これらは微細なスライバーとなって食品を侵食する恐れがある。
図2A、2B、2Cは磁鉄鉱の丸みを帯びた形状を図示しており、図1の粒子と比べて毒性がなく、物理的に侵入性でない。フェライトは微粉末に粉砕するか、析出により形成するかのいずれかが可能である。磁鉄鉱の粒子が実際に侵食したとしても、その形状とサイズは安全面におけるリスクをもたらさない。粒子はその磁力により凝集する。
食品製造業者は、金属ベースの検出可能プラスチックの使用によりプラスチック汚染のリスクをある程度抑えることが可能なことを発見したが、それは金属汚染のリスクを加えるに過ぎなかった。
食品製造業者は、検出可能フェライト系プラスチックを使用することにより、プラスチックまたはエラストマーの検出を可能としたまま、全体として金属汚染のリスクを除去できる可能性を歓迎している。
図3A−3Cおよび図4A−4Cは従来技術である米国特許番号第6113482号と第6177113号に記載の金属の基本的性質における違いのうち2つを示す。図5A−5Dは、乾湿製品におけるフェリ磁性材料の応答を示す。
図6は磁性材料のスピン磁気モーメントを示す。
(a)従来技術である米国特許番号第6113482号および6177113号で用いた強磁性物(金属Fe、Co、Ni)であり、強磁性材料に関して原子双極子の同方向整列を示す
(b)反強磁性物(例えば、セラミック材料MnO、FeOおよびMnS)。対向する磁気モーメントが互いに打ち消しあい、その結果、全体としての固体は最終的に磁気モーメントを有さない。
(c)フェリ磁性物(例えば、セラミックおよびフェライトFe、Fe、XOであり、Xは二価金属である)。本願明細書で使用したように、最終的な磁気モーメントはスピンモーメントが完全に打ち消されなかったことから起こるものである。
図3Aは、鉄類金属サンプル、フェライトサンプル、および非鉄金属サンプルに対する金属検出装置の反応を示す。
図4(a)は、構造およびスピン磁気モーメント(b)は信号応答、(c)は非鉄金属についてのインピーダンス平面上のプロットを示す。インピーダンス平面上において、プロットは直線であり、その角度は金属の導電性に依存する。
金属検出装置は導電性金属物を検出するだけではなく、その他の導電物、例えば水分を含む食品、熱いパン、肉、チーズ、さらには手まで検出する。導電性が弱くとも、食品のサイズと質量は顕著な信号応答を生じる。これはプロダクトエフェクトと呼ばれ、フィルターと弁別回路とを使用する検出装置が無視するものであり、感度の欠落につながるものである。
信号応答を改善するために、鉄類金属であるFe、Ni、COが使用され、これらは強磁性物に分類される。これは、図3に示される導電性および磁気応答につながる。
この場合、インピーダンス平面上の応答は双方の効果の重畳からループとなる。典型的には、鉄類であるマイルドスチールは1mm球のサイズまで検出可能である。食品業界において槽およびその他の装置に使用される非鉄合金であるステンレススチール316は、2mm球サイズまで検出可能である。
比較すると、フェリ磁性セラミックはひときわ異なった応答を示す。図5を参照のこと。導電性成分がないことから、インピーダンス平面上で水平線を描く。フェライト応答はビーチコーミング、廃坑または地雷探知用の携帯型金属検出装置を使用する人間にはよく知られているが、食品業界の人間には知られていない。フェライト応答は鉱化した石によるものであり、グラウンドエフェクトとして知られており、これを除去するためにありとあらゆる努力がなされている。グラウンドエフェクトはフェライトが存在しない食品業界またはその量が少なすぎてその他の応答によってかき消されてしまう場合は観察されない。フェリ磁性セラミックは永久磁化を示し、この磁場が検出コイルを始動する。
ポリマー/磁鉄鉱マトリックスを含有する水分を含んだ製品については、導電性の食品についての個々の応答と磁鉄鉱からの磁気応答との重畳がおこる。これはループ効果につながる。汚染されていない製品の信号と様々な汚染レベルの製品の信号とを特徴づけることにより、汚染材料を迅速によりわけることが可能である。米国特許第5304927号で提案のとおりである。
以下の実施例は応用の一部とその利点を示すものである。
検出可能プラスチック製クレート
図7は以下の実施例1の応用例であり、粉砕磁鉄鉱をポリプロピレンに分散させて材料搬送用クレート2を製造した。優れた拡散性が得られた。粒子は裸眼では見えない。
図8はコンベヤー8上を進みながら、金属検出装置6の開口部をちょうど通過する状態の肉用トレイ4を示す。
粒径0.1−100μmの粉砕磁鉄鉱をポリマーチップと混合・混和させて粒子を20%磁鉄鉱と80%ポリプロピレンの比で均一に拡散させる。混合物をクレート2に成形する。クレート2は肉片、鶏肉片、または菓子を入れるために使用してもよい。クレートはコンベヤー、加工装置上に機械的に空けてもよく、互いに積み上げてもよく、あるいは貯蔵のためのパレットであってもよい。
変形として、ポリプロピレンにゴムを添加して変性し、脆性ではなく延性で破壊されるようにした。
粒径0.1−100μmの粉砕磁鉄鉱をポリマーチップと混合・混和させて粒子を20%磁鉄鉱と80%ゴム変性ポリプロピレンの比で均一に拡散させる。材料は一般的な熱可塑性スクリューとバレル式コンパウンダー内で混合される。摩擦熱と熱されたバレルがポリマーを溶融し、スクリューによる攪拌によりポリマーが混合され、材料はストランド状に押出成形され、冷却され、ペレット状に切断される。ポリマーは、一般的な射出成形機および道具を用いて成形される。スクリューによって発生した摩擦熱および熱せられたバレルによりポリマーは液化し、加圧下で金属ツール内に注入、冷却し材料を固化させてクレートを形成する。
こういった作業中にクレートが擦れたり損傷をうけた場合は、3x3x1.5mmの小さな破片、または図8の肉用トレイ4は600x350mmの大開口部を備えた、低周波で作動する製菓工場の金属検出装置ですぐに検出することができる。最小検出サイズにおけるさらなる向上が、より小さいパイプライン検出器により可能である。
検出可能プラスチックフィルム
図10は、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンと混合され、プラスチックフィルム10を形成する合成磁鉄鉱の以下の実施例2の応用例である。
図9は、使用した磁鉄鉱の粒子サイズと、従来技術のステンレススチール金属粉末の一例の図である。
本発明で提案する態様は、検出可能フィルムの製造である。二酸化チタン鉱物(検出不可能ではあるが白色顔料)を用いた着色フィルムは、磁鉄鉱といったフェライト等の鉱物が同様の物理的特性のフィルムを生み出すことのできる代替物になりえることを強調するものである。加えて、鉱物の使用に慣れているフィルム加工装置は、磁鉄鉱ベースのフィルムの製造が実行可能なものであり、また加工上の問題がないことを躊躇なく確信させるものである(金属粉末の使用は摩損、粒子サイズ、形状により非実用的でないと思われるのに)。0.1−1μmの超微粒子を製造可能なことは、均一な拡散、高含有度、妥当な物理的特性を備えた適切なフィルムの形成を確保するものである。本例においては、マスターバッチを調製する第一混合段階があり、0.6μmの合成磁鉄鉱は熱せられたバレルを備えた二重スクリューコンパウンダー内でLLDPEキャリア中に70%磁鉄鉱、30%LLDPEで均質に分散される。摩擦熱および熱せられたバレル、またスクリューによる攪拌により、溶融したLLDPEは磁鉄鉱と混ぜ合わさり、ポリマーはノズルから押出成形して薄いストランドを形成し、次に冷却され、ペレット状に切断される。このマスターバッチを次に、押出成形に先立つ上述と同様のさらなる混合段階で添加する。マスターバッチが40%、HDPE/LLDPEが60%である。
溶融ポリマーを押出成形して磁鉄鉱28%、HDPE/LLDPE72%の組成を有する40μmの検出可能コアフィルムに形成する。本例で60μmのフィルムを形成するところの上下のHDPE/LLDPE100%で10μmの境界層は、同時押出成形される。この特定の応用例において、境界層により強度、引き裂き抵抗、耐薬品性、酸素バリア性が得られる。サンプルフィルムを図10に示す。内包物の相対的なサイズは図9に示される。
フィルムの応用例は、肉片塊を貯蔵、別の肉加工装置へ約0℃で搬送するためにその中に入れるカートン内張りまたはプラスチック製クレート内張り(実施例1)である。フィルム10は、冷凍肉に張り付き汚染物となることが常時の現在の100%HDPE/LLDPEフィルムに代替するものとして設計されたものである。これで汚染物は好ましくは連続処理される前のシュートで検知可能となる、または処理した完成品、例えばピザ内で検出可能となる。
別の応用例は、フィルムを使用しての、乾燥粉末製品、例えば製菓業界用の砂糖やスターチを入れるためのバッグの製造である(図10)。バッグは一般的には鋭利なナイフで細長い切れ込みをいれられ、その中身が処理槽へと移される。この作業によるプラスチック片による汚染は一般的である。
通常は金属片の検出のためにバッグ12全体を調べるために使用される570mmx355mmの大開口部を有する検出装置を通して、プラスチックフィルムを試験したところ、実施例2によるフィルムの400mmx400mm片を検出することができた。
別の応用例は製菓加工装置であり、バッグを切った後により小さい150mmパイプライン検出装置を用いた。実施例2のフィルム片10mmx10mmを選り分けることが可能であった。これは体積としては2mm球と等量である。
検出可能ゴムシール
図11は、食品プレス用のエラストマーシール14への実施例3の応用である。
磁鉄鉱を、二部液体ポリウレタンゴムに添加物も含め、磁鉄鉱35%、ポリウレタンA部B部55%で均質に拡散させる。これらの材料は均質に拡散されるまでヘラを用いて小さなビーカー内で手で混合される。次に材料を小さなシリコーン型に注ぎ入れ、約40℃で1日硬化させる。硬化部を手で除去し、モールドボードに貼り付ける。
その他のゴムは、濃厚で粘性のあるゴム用の特殊なヘビーデューティ仕様の混合装置が必要となることに留意しなくてはならない。次にこれらを熱および圧力下で射出または圧縮成形する。
プレスシールおよび成形品は通常の使用に伴い磨耗する、または成形プレスに形成トレイが間違って送られた場合に破れる場合がある。破損した1.5x1.5x1.8mmまたは2mm球と同じ体積の成形品は150mmパイプライン検出装置ですぐに検出することができ、これは100%ステンレススチール部品と同等である。
これらの実施例3つ全てにおいて、クレート、フィルム、シールの破片は全て、すでに企業で使用されているオーストラリア・ビクトリアのディテクションシステムズ社のパイプライン検出装置で信号を発生可能であった。検出装置は分流装置に回収ボックスに食品または医薬品パックを入れさせるためのリレーを作動させる。回収された製品はもう一度検出装置を通して試験するか、廃棄される。カナダのローレンスは製品を不合格品入れに選り分けるための様々な分流装置(図12)を作製している。
このタイプの検出および選り分けは図12および13で図解されている。図12は製品20および分流フラップ22に続く製品ライン18である。内包物24が製品中に検出されると金属検出装置6はフラップに信号を出し、検出装置に到着するとバルブが製品を不合格品入れ26へと分流する。
図13においては、検出装置6は空気ノズル28を作動させ、ノズルは分離した物品に向かって空気を噴射する。
実施例の利点は以下のとおりである。
1.安全性。部品、物品、フィルムがそれから製造されるところの混合物は金属を含まず、それに関連する鋭利な危険物を含まず、磁鉄鉱等の非毒性で非侵入性のフェリ磁性セラミックのみが、結果として、たとえ検出が失敗しても、化学的または物理的リスクをもたらさない。
2.低コスト。部品の単位原価は既存のプラスチック部品に匹敵する。設計の段階で、特性はその他の鉱物充填ポリマーと同様であり、形状、サイズはしかるべく調節することができ、および/または物理的特性をしかるべく修正するためにその他の追加添加物を添加する。原料としては、フェリ磁性セラミック内包物、例えば磁鉄鉱は低コスト充填材である。処理中、鉱物充填材の擦過特性は現在使われているありとあらゆる鉱物充填材と同様であり、よって、ポリマーのコンパウンダーまたは成形装置のメンテナンス費が余計にかかることはない。
3.検出性能。大量のフェリ磁性内包物、例えば磁鉄鉱を配合可能であることにより、100%の金属部品に匹敵する距離があいての検出が可能となった。例えば、10x10x40μmのプラスチックフィルムおよびステンレススチールに典型の2mm球ゴム成形品。
4.応用。極微細粒子サイズ0.6μmおよび丸みを帯びた粒子形状により、比較的安価で使い捨てに適した本当にフィルムベースの製品が可能となった。
5.財政リスクへの暴露。食品加工装置の、汚染によるリスクへの暴露は低くなった。個人の障害訴訟、コスト、食品回収およびそれに伴うコスト、製品の安全性への不満足からくるブランドイメージの失墜、仕入れ契約の中止および消費者売り上げの損失の可能性が低減された。これらのコスト削減は、フェリ磁性内包物を含むプラスチックにかかるコスト増を補って余りあるものである。
明細書を通して使用する「含む」という単語は包括的なものとして解釈されるべきものであり、つまり「含む」という単語の使用はその他の要素の追加を除外するものではない。
本発明の基本性質から逸脱することなく、様々な改変および/または追加を本発明に加えうることが考えられる。従って、これらの改変および/または追加も本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の実例を添付の図面を用いて説明する。
金属やすり粉、削り屑、ステンレススチール粉末の写真であり、従来技術である米国特許番号第6113482号および第6177113号を参照するものである。 拡大した磁鉄鉱粒子の写真である。 鉄類金属のスピン磁気モーメント構造である。 鉄類金属の直交プロットと位相プロットである。 鉄類金属のインピーダンス平面応答である。 非鉄金属のインピーダンス平面応答である。 非鉄金属のインピーダンス平面応答である。 非鉄金属のインピーダンス平面応答である。 フェリ磁性セラミックのインピーダンス平面応答である。 フェリ磁性セラミックのインピーダンス平面応答である。 フェリ磁性セラミックのインピーダンス平面応答である。 湿性製品のインピーダンス平面応答である。 金属と金属酸化物における原子間交換結合の影響下にある元素磁気双極子の方向の図である。 実施例1による、ポリプロピレン母材に磁鉄鉱を均質に分散させた材料搬送用クレートの斜視図である。 コンベヤー上で、金属検出下にある肉用トレイの一例である。 プラスチックバッグの一部を形成している、実施例2によるHDPE/LLDPEプラスチックフィルムの斜視図である。 フィルム厚さに対しての大体の粒子サイズと形状を示す図である。 加圧ボードの一部の片側上にある、実施例3による単純な留め継ぎエラストマーシールの図である。 機械式分流装置の図である。 空気式分流装置の図である。

Claims (19)

  1. 製品流れ中の食品または医薬品から物理的汚染物を検出および除去するための方法であり、汚染源が分散させた磁性鉱物微粒子を含有するプラスチックまたはエラストマー部品を有する食品または医薬品取り扱い装置であり、該製品を金属または磁場検出装置へと供し、信号を検出し、該信号を利用して製品を流れから選り分けることを含む、製品流れ中の食品または医薬品から物理的汚染物を検出および除去するための方法。
  2. 磁性鉱物充填材含有量が10−50%である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記磁性鉱物充填材含有量が15−40%である、請求項2に記載の方法。
  4. 磁性鉱物微粒子のサイズが0.1−100μである、請求項1−3に記載の方法。
  5. 前記磁性鉱物粒子のサイズが0.5−20μである、請求項1−3に記載の方法。
  6. 磁性鉱物充填材を含有するフィルムおよび機械部品に形成される組成物の検出性を向上することを含み、製造中または検出前に該充填材を磁場に暴露することを含む、請求項1−5のいずれか1つに記載の方法。
  7. コンベヤーまたは検出装置がパイプライン金属検出装置である、請求項1−6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 前記磁性鉱物がフェリ磁性セラミックである、請求項1に記載の方法。
  9. フィルム形成ポリマーおよび粒径0.1−100μの鉱物充填材を10−50%含む、食品または医薬品取り扱い装置用のフィルムまたは成形部品用の組成物。
  10. 前記充填材がフェリ磁性材料である、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記フェリ磁性材料が化学式MFeで表され、MがNi、Mn、CoまたはCuである、請求項9に記載の組成物。
  12. 前記フェリ磁性材料が立方晶系フェライトである、請求項9に記載の組成物。
  13. 前記フェリ磁性材料が六方晶系フェライトまたはガーネットである、請求項9に記載の組成物。
  14. フィルム形成ポリマーを磁性鉱物微粒子充填材に混合して、フィルムを押出成形することを含む、食品または医薬品に使用するためのプラスチックフィルムの製造方法。
  15. 磁性鉱物含有フィルムと磁性鉱物充填材を含まないフィルム層とを一緒に押出成形することを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記フィルム層が酸素バリアである、請求項15に記載の方法。
  17. 部品形成ポリマーと磁性鉱物充填材とを混合することを含む、食品または医薬品流れ工程に使用するための成形プラスチック部品の製造方法。
  18. ポリマー成分が食品または医薬品分野でその使用が認可されている種のポリマーである、請求項14−17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 請求項14−18のいずれか1つに記載の方法で形成された、食品または医薬品取り扱い装置用の部品またはフィルムの形状の組成物。
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