JP2008500277A - 抗EpCAM免疫グロブリン - Google Patents

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Abstract

本発明は、特に、ヒトEpCAM抗原に特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって少なくとも15日の血清中半減期を示す免疫グロブリンを患者に投与することにより、ヒト患者における腫瘍性疾患を処置する方法であって、前記免疫グロブリンを毎週1回を上回らない頻度で、好ましくは2週毎に1回を上回らない頻度で投与する段階を含む方法に関する。

Description

A.発明の分野
本発明は、免疫グロブリン分子を用いて腫瘍性疾患を処置する方法に関する。特に、本発明は、抗EpCAM免疫グロブリン分子を用いる処置の方法に関する。本発明はさらに、薬剤の製造におけるこのような免疫グロブリンの使用に関する。本発明はさらに、腫瘍性疾患の処置に用い得る免疫グロブリン分子、およびこのような免疫グロブリン分子を含む組成物にも関する。
B.関連技術
免疫グロブリン分子の投与を伴う治療計画の設計においては、考慮しなければならないいくつかの要因がある。一方では、治療用の免疫グロブリンは所望の治療効果を引き出すのに十分な量として患者に投与されなければならない。この効果は、初回の処置後直ちに認識されるべきであり、2回の連続した投与の間の、免疫グロブリンが患者の体内から徐々に除去される期間において可能な限り最大の程度で認識され続けるべきである。もう一方では、投与される免疫グロブリンの量は、患者において有害および/または有毒な副作用を引き起こすほど多くてはならない。
このため、副作用を引き起こさずに耐容性を示すことができる免疫グロブリンの最大投与量(最大耐量または「MTD」)が、免疫グロブリンの量を、継続的な有効性を確保するために必要な免疫グロブリンの最小レベルを経時的に維持するには不十分な単回投与レベルに制限してしまう場合には、問題が生じる。このようなケースでは、継続的な治療効果を確保するために必要な「血清トラフレベル」を免疫グロブリンの次の投与まで維持することが不可能になる。薬剤の「血清トラフレベル」とは、一般に、治療効果を失うことなく、患者の血中において任意の時点で薬剤が到達する最低濃度を指す。これはすなわち、任意の治療上の利益が認識されるようにするために患者の血中に常に存在しなければならない薬剤の最小量のことを表す。
治療用免疫グロブリンの所望の血清トラフレベルを維持するためには、いくつかのアプローチが存在する。1つのアプローチは、患者に対する免疫グロブリンの初回用量を増やすことである。しかし、このアプローチは、患者に対して安全な治療用免疫グロブリンのレベルを上回る可能性が高く、このため患者が有害および/または有毒な副作用を経験する可能性が高いという欠点がある。
もう1つのアプローチは、治療用免疫グロブリンの投与の頻度を高めることである。しかし、高い頻度での投与は、医療機関への複数回かつ頻回の受診が必要となるため、患者の生活の質を著しく低下させることとなる。これは特に、処置しようとする疾患がまだ早期の段階にあり、それがなければ患者が正常な生活を送れると考えられる場合には事実である。
さらに、適用頻度の増加は、治療計画全体で必要となる治療用免疫グロブリンの総量が増すことを意味する。このため、適用頻度の増加は、所与の治療法の計画に伴う総コストが、治療用免疫グロブリンをより低い頻度で投与する治療法の計画と比較してより高いを意味する。
投与しようとする治療用免疫グロブリンが、健常組織および罹患組織の両方に存在する抗原であって健常組織よりも罹患組織に広く認められる抗原に対して特異的であるような状況下では、上記の事項を考慮に入れた処置計画を開発することがさらに極めて重要となる。この場合には、過度に高いかまたは頻繁な投薬が、治療用免疫グロブリンと治療用免疫グロブリンが特異的に結合する抗原との間の望ましくない相互作用を招く危険性が特に大きい。これらの免疫グロブリン-健常組織相互作用は、免疫グロブリンを用いる治療法の計画を困難にする恐れのある有害および/または有毒な副作用を招くこととなる。
健常ヒト組織および罹患ヒト組織の両方に存在するこのような抗原の一つは、上皮細胞接着分子(「EpCAM」、17-1A抗原、KSA、EGP40、GA733-2、ks 1-4およびesaとも呼ばれる)である。EpCAMは、単層上皮の細胞およびそれに由来する腫瘍性細胞によって発現される表面糖タンパク質である。EpCAM分子は健常組織からの細胞の表面にも提示されるが、その発現は悪性組織中でアップレギュレートされる。EpCAMは上皮細胞に定方向的かつ高度に秩序立った様式で接着する役割を果たす(Litvinov, J Cell Biol. 1997, 139, 1337-1348)(非特許文献1)。しかし、ヒトEpCAMを上皮上に発現するトランスジェニックマウスおよびトランスジェニックラットを用いた実験によるデータからは、正常組織上のEpCAMは、全身投与された抗体と接触できない可能性があると示唆されている(McLaughlin, Cancer Immunol. Immunother., 1999, 48, 303-311)(非特許文献2)。上皮細胞が悪性転換すると、急速に増殖する腫瘍細胞は上皮の高度の細胞秩序を放棄する。その結果、EpCAMの表面分布の制限が低下し、この分子が腫瘍細胞の表面に露出されやすくなる。上皮細胞に由来するため、ほとんどの癌からの腫瘍細胞は依然としてEpCAMをそれらの表面に発現する。
これまでにEpCAMは癌のモノクローナル免疫グロブリン処置の有益な標的であり、特に、後に固形転移を引き起こしてそのために患者の予後を悪化させる可能性のある、播種性腫瘍細胞による微小残存病変を有する患者では有益であることが示されている。微小残存大腸癌を有する患者において、EpCAM分子に対して特異的なマウスモノクローナル免疫グロブリンは、原発性腫瘍の手術後4カ月以内に5回の全身投与を適用した場合、5年間での死亡率を未処置患者に比して30%低下させた(Riethmuller, Lancet 343 (1994), 1177-83)(非特許文献3)。さらに最近では、EpCAMの強度の過剰発現が乳癌患者の約40%で報告されており、これは全生存率および無病生存率の悪化と関連性がある(Spizzo et al., Int. J. Cancer 98 (2002), 883-8)(非特許文献4)。ごく最近、EpCAMの発現が3,722例の患者において分析された。EpCAM発現は上皮腫瘍に非常によくみられ、このような発現は腫瘍試料の88%超で観察された。具体的には、EpCAM発現は卵巣癌の94.1%、結腸癌の94%、胃癌(stomach cancer)の92.3%、前立腺癌の90.1%および肺癌の70.9%で観察された。
EpCAMを認識する(マウス)モノクローナル抗体の一例は、Edrecolomab(Panorex)である(Koprowski, Somatic Cell Genet. 1979, 5, 957-971(非特許文献5)、およびHerlyn, Cancer Res., 1980, 40, 717-721(非特許文献6);これらはその全体が参照により組み入れられる)。しかし、結腸癌のアジュバント免疫療法におけるPanorexの初めての投与はヴェーゲナー肉芽腫症の発症および増悪を招いており、このことは自己免疫疾患の患者にはPanorexを慎重に用いるべきであることを示唆している(Franz, Onkologie 2000, 23, 472-474(非特許文献7);これはその全体が参照により組み入れられる)。Panorexの限界は、ヒト抗マウス抗体(HAMA)の急速な形成、そのマウスIgG2a Fcγ受容体によってヒト免疫エフェクター機構と相互作用する限定的な能力、および短い循環中半減期である(Frodin, Cancer Res., 1990, 50, 4866-4871(非特許文献8);これはその全体が参照により組み入れられる)。さらにマウス抗体は、患者への反復注射直後に即時型アレルギー反応およびアナフィラキシーを引き起こした(Riethmuller, Lancet 1994, 343, 1177-1183(非特許文献3)、Riethmuller, J Clin Oncol., 1998, 16, 1788-1794(非特許文献9)、およびMellstedt, Annals New York Academy of Sciences 2000, 910, 254-261(非特許文献10);これらはそれぞれ、その全体が参照により組み入れられる)。
ING-1は、もう1つの公知の抗EpCAM免疫グロブリンである(Lewis, Curr. Op. Mol. Ther. 5, 433-6, 2003(非特許文献11);これはその全体が参照により組み入れられる)。ING-1はマウス-ヒトキメラIgG1免疫グロブリンであり、進行期上皮腫瘍の患者の第I/II相臨床試験が現在進行中である。ヒト腫瘍細胞を事前に注入したマウスでは用量1mg/kgの免疫グロブリンが最も大きい効果を提供することが判明しているが、この投与量は腺癌のヒト患者2例中2例で膵炎(腹痛を伴うアミラーゼおよびリパーゼの上昇)を招き、このためそれ以上の用量増加は行えなかった。ING-1のMTDは、3週毎に静脈内投与された場合、0.3mg/kg体重に過ぎないことがわかっている。この投与量でのING-1の半減期が約31時間であることを考慮し、成人の平均体重が75kgで血液量が約4.25リットルであると仮定すると、21日後(すなわち、半減期の16.25倍を経た後)のING-1の血清レベルは7×10−5μg/mL血液未満に減少すると考えられ、これは最大限の細胞傷害効果のために必要であることが判明している1μg/mLという血清レベルよりも4桁小さい。このため、ING-1のMTDは、抗EpCAM免疫グロブリンの必要な血漿トラフレベルが維持されることを妨げる。
このため、癌の処置のために用いることができる、抗EpCAM抗体を含む処置計画に対しては需要がある。それに対応して、本発明の目的は、以上に概説した問題を克服する、抗EpCAM免疫グロブリンを用いる処置計画を提供することである。
Litvinov, J Cell Biol. 1997, 139, 1337-1348 McLaughlin, Cancer Immunol. Immunother., 1999, 48, 303-311 Riethmuller, Lancet 343 (1994), 1177-83 Spizzo et al., Int. J. Cancer 98 (2002), 883-8 Koprowski, Somatic Cell Genet. 1979, 5, 957-971 Herlyn, Cancer Res., 1980, 40, 717-721 Franz, Onkologie 2000, 23, 472-474 Frodin, Cancer Res., 1990, 50, 4866-4871 Riethmuller, J Clin Oncol., 1998, 16, 1788-1794 Mellstedt, Annals New York Academy of Sciences 2000, 910, 254-261 Lewis, Curr. Op. Mol. Ther. 5, 433-6, 2003
発明の概要
前述した需要は、ヒト患者における腫瘍性疾患を、ヒトEpCAM抗原と特異的に結合するヒト免疫グロブリンを前記患者に投与することによって処置する方法であって、前記免疫グロブリンが少なくとも15日という血清中半減期を示し、前記免疫グロブリンを毎週1回を上回らない頻度で投与する段階を含む方法によって満たされる。
血清中半減期が少なくとも15日である抗EpCAM免疫グロブリンを用いることによる有益な効果はいくつか認識されている。最も重要なこととして、この比較的長い血清中半減期は、本発明の方法の一部として投与される抗EpCAM免疫グロブリンが、それより半減期の短い別の免疫グロブリン、すなわち上に考察したIMG-1ほど急速には血中から除去されないことを意味する。次に、本発明の方法に用いられる免疫グロブリンの必要条件を満たす抗EpCAM免疫グロブリンおよびこれらの必要条件を満たさない抗EpCAM免疫グロブリンの両方を同一の絶対量でヒトに同時に投与したと仮定すると、所与の時間後に血清中には前者の免疫グロブリンの方が後者の免疫グロブリンよりも多く残存する。逆の意味では、血清中への残存性が高まることにより、依然としてある所定の血清トラフレベルを維持しながら、すなわち、2回の連続した投与の間に、治療剤の総血清濃度が、継続的な有効性のために必要であると決定された最低レベルを決して下回らないことを確保しながら、本発明の方法に用いる抗EpCAM免疫グロブリンを、より血清中半減期の短い別の抗EpCAMの場合に可能であるよりも少なくして1回で投与することが可能となる。これには、任意の所与の用量において、適用する必要のある本発明の方法の抗EpCAM免疫グロブリンが少なくなり、そのために有害および/または有毒な任意の副作用の可能性がなくなる、または少なくとも軽減されるという有益な効果がある。
また、本発明の方法に用いられる抗EpCAM免疫グロブリンの半減期が比較的長いことは、投与を過度に頻繁に行う必要はなく、それによって患者の生活の質が高まり、治療の総コストが低下することも意味する。
本発明の方法に用いられる抗EpCAM免疫グロブリンがヒト免疫グロブリンであることにより、投与された免疫グロブリンに対して、患者の免疫系により望ましくない免疫応答が起こる可能性は低下するか、またはなくなりさえする。このため、治療に多くのマウス免疫グロブリン分子を用いた場合に、またはマウス-ヒトキメラ免疫グロブリン分子を用いた場合にさえ観察される、ヒト抗マウス抗体(「HAMA」)に伴う諸問題は、本発明の方法によれば問題とはならない。
理論に拘束されるわけではないが、本発明者らは、本発明のこの局面に用いられる抗EpCAM免疫グロブリンが、インビボで、2つの異なる機序のうち少なくとも1つに基づく治療効果を誘発すると考えている。1つの機序は、抗体依存性細胞傷害作用(「ADCC」)として知られている。ADCCにおいては、免疫グロブリンによって覆われた細胞(「標的細胞」)が、標的細胞を覆う免疫グロブリンのFc部分を認識するFc受容体を有する細胞(「エフェクター細胞」)によって死滅させられる。ほとんどの場合、ADCCに関与するエフェクター細胞は、Fc受容体Fc□-RIIIおよび/またはCD16分子を表面に有するナチュラルキラー(「NK」)細胞である。このようにして、免疫グロブリンによって覆われた細胞のみが死滅するため、細胞死滅の特異性は、このような細胞を覆う免疫グロブリン‐本明細書ではEpCAM‐の結合特異性と直接相関する。
本発明のこの局面に用いられる免疫グロブリンが治療効果を誘発するもう1つの機序は、補体依存性細胞傷害作用(「CDC」)として知られている。CDCにおいては、2つの同一な免疫グロブリンが、標的細胞の表面にある2つの同一な抗原(例えば、本明細書ではEpCAM)と、その各々のFc部分がお互いに近接するように結合する。このケースは補体タンパク質、特に補体タンパク質c1qおよびc3およびc9を誘引し、このうち最後のものは標的細胞に孔を開ける。標的細胞はこの穿孔によって死滅する。同時に標的細胞は、オプソニン作用と呼ばれる過程でその表面の他の位置でも修飾される。この修飾はエフェクター細胞を誘引し、それは続いて標的細胞を、ADCCの機序に関して上に述べたものに類似した様式で死滅させる。
本発明のこの局面に従った方法に用いられる免疫グロブリンの半減期は長いため、以上の機序の一方または両方の恩恵を、より半減期の短い抗EpCAM免疫グロブリンを用いて可能であるよりも長い時間および高いレベルで利用することができる。
本発明のこの局面によれば、抗EpCAM免疫グロブリンが、毎週1回を上回らない頻度、好ましくは2週毎に1回を上回らない頻度で、患者に投与される。この点について、抗EpCAM免疫グロブリンの有利に長い血清中半減期が活用される。投与が毎週1回行われる事象では、以前に投与された免疫グロブリンの過半数がまだ患者の血中に残存しているため、ごく少量の免疫グロブリンを任意の1回の投与において投与する必要がある。これは、1週間が、以前に投与された免疫グロブリンの約15日という半減期よりも短いためである。
投与が約2週毎に1回行われる事象では、本発明の方法に従った投薬頻度は、免疫グロブリンの半減期にほぼ相当する。このため、2回の連続した投与の合間に、この免疫グロブリンの血清レベルが、以前の各投与直後のその量の約2分の1よりも低下することは決してない。このことは、任意の所与の投与量は、次の投与の時点までに到達する所定の血清トラフレベルの約2倍を投与直後にもたらすために必要な量を上回らない必要があることを意味する。
一般に、投与に関しては2つの相を定義することができる:免疫グロブリンの特定の定常血漿レベルに到達させるために負荷量を1回または複数回投与する最初の「負荷相」、および所望の免疫グロブリン血漿レベルを維持するために維持量を複数回投与する、それに続く「維持相」。負荷量は通常、その後の維持量よりも多量に、および/またはより頻回に連続して投与され、それによって負荷相の期間は最小限に保たれる。
本発明の本局面に対応しない本発明の投与計画によれば、臨床医は、2つの選択肢に直面する:抗EpCAM免疫グロブリンを、体内からそれが急速に除去された後に、次の投与まで血清トラフレベルが確実に維持されるように十分に高度の初回量で投与するか(この場合には、高い初期量のために膵炎などの有害および/または有毒な副作用が起こる可能性が高い);または、抗EpCAM免疫グロブリンを、有害および/または有毒な副作用を避けるために十分に低い初回量として投与するか(この場合には、抗EpCAM免疫グロブリンの血清レベルは次の投与までに血清トラフレベルよりも低下し、治療効果の低下を招く)。妥協案は低投与量での投与の頻度を高めることであるが、これは患者にとって生活の質の著しい低下を招く。
これに対して、本発明のこの局面による方法は、一方では、個々の用量を有害および/または有毒な副作用を招かない量で投与し、もう一方では、連続した投与の間に、血清中の治療用免疫グロブリンの量を継続的な治療効果のために必要な血清トラフレベルよりも低下させないという両者の均衡をとる。2回の連続した投与の間に少なくとも約1週間、好ましくは、2回の連続した投与の間に少なくとも2週間があるという周期は、患者の生活の質を過度に低下させずに、この均衡をとることを可能にする。
本発明の1つの態様によれば、以前の投与から依然として存在する抗EpCAM抗体の血清レベルを、次の投与を行う前の患者の血中にて調べる。このようにして、臨床医は、例えば患者の血液中に以前の投与由来の十分な抗EpCAM免疫グロブリンが依然として存在している場合のように、抗EpCAM免疫グロブリンを過度に早く再投与するのを避けることができる。このため、正確な半減期がまだ知られていない抗EpCAM抗体に関して、有害および/または有毒な副作用を招く恐れのある偶発的な過剰投与が回避される。同時に、臨床医は、いずれにせよ各々の事前の投与から少なくとも2週間後に行われる、このような中間測定により、用いた抗EpCAM免疫グロブリンのクリアランス率に関して有益な知識を得る。この知識は、以降の投与スケジュールの微調整において有益となり得る。このような微調整は、連続した投与の間に、1週間よりも著しく長い、または好ましくは約2週間よりも長い待機を有利に伴い、それによって患者の生活の質をさらに高める。
患者の血液における抗EpCAM免疫グロブリンの血清レベルのこのような中間検査は、以下のようにして行うことが有利である。第1に、臨床医は、前記免疫グロブリンの各々の最後の投与から少なくとも1週間の期間後であるが前記免疫グロブリンの各々の次の投与の前に、前記患者の血液中に依然として存在する前記免疫グロブリンの血清レベルを決定し、それによって前記免疫グロブリンに関する中間血清レベル値を得る。前記免疫グロブリンに関するこの中間血清レベル値を、続いて、前記免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベル値と比較する。前記免疫グロブリンに関する中間血清レベル値が前記免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベルを十分に上回ることが見いだされれば、次いで臨床医は抗EpCAM免疫グロブリンの血清レベルがさらに低下するまでさらに長く待つことを有利に決めることができる。この時点で、その時には所定の血清トラフレベルに近い値まで低下している前記免疫グロブリンの新たな中間血清レベルを得るために、以上の段階を繰り返してもよい。いずれの場合でも、免疫グロブリンに関して決定される中間血清レベルがその免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベルよりも低くなるほど長くは待つべきではない。臨床医が、待機すること、中間血清レベルを決定すること、およびこの中間血清レベルを特定の抗EpCAM免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベルと比較することのサイクルをおそらく繰り返すことによって、この免疫グロブリンの中間血清レベルが前記血清トラフレベルの特定のパーセンテージの範囲内に低下したことを確認した時点で、抗EpCAM免疫グロブリンの血清レベルを次回のクリアランスのための適切なレベルに戻すために、抗EpCAM免疫グロブリンの各々の次の投与を行うことができる。この特定のパーセンテージは、用いる特定の抗EpCAM免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベルの15%以内、好ましくは10%以内、最も好ましくは5%以内にある血清レベルに対応することが有利であり得る。
免疫グロブリンの中間血清レベルは、当業者に公知の任意の方法によって、例えばイムノアッセイによって測定することが有利であり得る。例えば、免疫蛍光アッセイ、ラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着測定法‐ELISAアッセイをこの目的に用いることができ、最後のものが好ましい。
本発明のこの局面の好ましい態様において、ヒト抗EpCAM免疫グロブリンは2週毎に1回を上回らない頻度で投与される。特に好ましい態様において、投与は2週間の間隔で行われ、以後のそれぞれの用量は投与される1回目の用量と同量である、すなわちすべての用量は同量で作製される。この方式での投与は、免疫グロブリンの血清レベルを、この免疫グロブリンの有益な治療効果のために必要な所定の血清トラフレベルよりも決して低下しないように維持し、それと同時に有害および/もしくは有毒な副作用を回避する、またはその多くを回避するのに十分である。
しかし、もう1つの態様において、2週間を上回る、またははるかに上回る投与頻度が可能であることも想定している。免疫グロブリンが2週間を上回る時間間隔で投与される事象において、初回用量以後に任意の時点で投与される抗体の量は、以後の投与が2週間以内であると予想して行われる初回用量を上回るべきである。2週間後に投与される用量よりも多いと考えられる、2週間を超えた後にこのような以後の用量で投与される量は、例えば、前述の記載に添付される例において記載されるもののような薬物動態シミュレーション手段により(例えば、WinNonlin 4.0.1(Pharsight Corporation, USA;2001を用いて)、ケースバイケースで決定することができる。当業者は、このようなシミュレーションの構築および/または適用の方法を理解している。このようなシミュレーションは、各々の投与の後に、患者の血清中の抗EpCAM免疫グロブリンのレベルが治療有効性のために必要と判定された血清トラフレベルよりも低下しないように有利に構築される。
ヒト抗EpCAM免疫グロブリンの血清中半減期が長いことにより、投与間のこの比較的長い期間、すなわち3週間もしくは4週間もの、または2〜5週間の中間の任意の期間にわたり、治療有効性のために必要な所定の血清トラフレベルが維持されることが保証される。言い換えれば、ヒト抗EpCAM免疫グロブリンの長い血清中半減期(すなわち、約15日)により、各々の以前の投与から、この免疫グロブリンのかなり多くの量が血清中に依然として存在することが保証される。その結果として、半減期が約15日であるヒト抗EpCAM免疫グロブリンは、血清中半減期がこれほど長くない抗体に必要なよりも少量を適用すればよい。このことにより、有害および/または有毒な副作用のリスクは軽減される。
このような長期化された投与方式‐およびそれに伴う複数の利点(上記を参照されたい)‐は、半減期の短い抗EpCAM免疫グロブリンでは不可能であり、なお治療効果を維持することに注目すべきである(例えば、ヒトにおける血清中半減期が17〜31時間の範囲である抗EpCAM免疫グロブリンING-1を用いて測定されている)。このような抗EpCAM免疫グロブリンの少なくとも所定の血清トラフレベル量が次回の投与まで血清中に残存することを保証するためには、有害および/または有毒な副作用に遭遇する可能性が極めて高いと考えられる、非常に多くの抗EpCAM免疫グロブリンを投与しなければならないと考えられる。その一方で、このような短寿命の抗EpCAM免疫グロブリンの量を減らして投与することによってこのような有害および/または有毒な副作用を回避することは、2回の投与の間の何らかの時点で、血液中に残存する免疫グロブリンの量が血清トラフレベルよりも低下した時に、治療効果の喪失を招くと考えられる。
当然ながら、臨床的に必要または有益であると判断されたならば、さらなる態様においては、血清中半減期が約15日であるヒト抗EpCAM免疫グロブリンを2週間未満の間隔、すなわち1週間、または1週間から2週間までの中間の任意の間隔で投与してもよい。このようなケースは約15日という長い血清中半減期を十分には利用していないが、それにもかかわらず、このような投与が望ましいと考えられる臨床的状況は存在する。患者における経時的なヒト抗EpCAM免疫グロブリンの望ましくない蓄積を避けるためには、この場合、これらのより短い間隔で投与されるヒト抗EpCAMの量を、2週間に1回という投与リズムで投与される必要のある量よりも減らすことが好ましい。2週間経たない後にこのような以後の投与で投与される量は、例えば前述の記載に添付される例において記載されるもののような薬物動態シミュレーション手段により、ケースバイケースで決定することができる。当業者は、このようなシミュレーションの構築および/または適用の方法を理解している。このようなシミュレーションは、各々の投与の後に、患者の血清中の抗EpCAM免疫グロブリンのレベルが治療有効性のために必要と決定された血清トラフレベルよりも低下しないように有利に構築される。
1つの態様によれば、投与は静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的または皮内であってよい。または、これらの投与方法の組み合わせを適宜用いてもよい。さらに想定されるのは、他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的指向性毒素またはT細胞を介して作用する他の化合物、または他の機序を介して作用する抗腫瘍剤などの他の化合物との併用投与プロトコールである。抗EpCAM免疫グロブリンの併用投与のための臨床的計画には、他の成分の投与と同時、その前または後での併用投与が含まれ得る。
腫瘍性疾患は、乳癌、上皮癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、胃癌(stomach cancer)、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌および腎癌;肺癌、胃癌(gastric cancer)、小腸の癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺の癌、または甲状腺癌から都合よく選択される。
もう1つの態様において、疾患は微小残存疾患、好ましくは、単一の細胞の生存によって引き起こされる腫瘍の局所的および非局所的な再発を特徴とする、早期固形腫瘍、進行期固形腫瘍または転移性固形腫瘍であってもよい。
本発明のこの局面の特に好ましい態様において、腫瘍性疾患は前立腺癌または乳癌である。この場合、投与されるヒト抗EpCAM免疫グロブリンは、SEQ ID NO:1に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖およびSEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含むものであることが特に好ましい。このようなヒト抗EpCAM免疫グロブリンが投与される場合には、それが約2週毎に1回、各々の投与量が1〜7mg/kg体重、さらにより好ましくは2〜6mg/kg体重で投与されることが好ましい。
本発明のさらなる局面は、腫瘍性疾患を処置するための薬剤の調製のための、ヒトEpCAM抗原と特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって、少なくとも15日の血清中半減期を示す前記免疫グロブリンの使用を提供する。または、このような免疫グロブリンを含む組成物を上記の薬剤の調製のために用いることもできる。薬剤は続いて、腫瘍性疾患の処置の方法に関して上に概説した投薬スケジュールに従って都合よく投与することができる。
本発明のこの局面の1つの態様によれば、調製される薬剤は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的または皮内の経路による投与のために適している。または、投与はこれらの経路の複数の組み合わせによって適宜行われてもよい。さらに想定されるのは、他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的指向性毒素もしくはT細胞を介して作用する他の化合物、または他の機序を介して作用する抗腫瘍剤などの他の化合物との併用投与プロトコールである。抗EpCAM免疫グロブリンの併用投与のための臨床的計画には、他の成分の投与と同時、その前または後での併用投与が含まれうる。
腫瘍性疾患は、有利に乳癌、上皮癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、胃癌(stomach cancer)、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌および腎癌;肺癌、胃癌(gastric cancer)、小腸の癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺の癌、または甲状腺癌である。
もう1つの態様において、疾患は微小残存疾患、好ましくは、単一の細胞の生存によって引き起こされる腫瘍の局所的および非局所的な再発を特徴とする、早期固形腫瘍、進行期固形腫瘍または転移性固形腫瘍であってもよい。
さらなる局面において、本発明は、ヒトEpCAM抗原と特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって、ヒト患者に対する投与後に少なくとも15日の血清中半減期を示すことを特徴とする免疫グロブリンに関する。このような長い血清中半減期に関連した利点は、腫瘍性疾患に対する処置の方法におけるこのような抗体の使用の枠内で上に詳述されている。免疫グロブリンは20日、19日、18日、17日、16日または15日の血清中半減期を示すことが好ましい。特に好ましいのは約15日の血清中半減期である。
本発明の好ましい態様によれば、ヒト免疫グロブリンの半減期は15日であり、ヒト免疫グロブリンはSEQ ID NO:1に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖およびSEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む。
本発明のさらなる局面は、上記のヒト抗EpCAM免疫グロブリンを含む組成物を提供する。このような組成物は、ヒト患者に対して、疾患を処置するための治療計画の一部として有利に投与される。腫瘍性疾患においてEpCAM分子の発現が広く認められることを考慮すれば、このような組成物は、このような腫瘍性疾患を処置することを目的とする治療計画の一部として投与され得ることが特に好ましい。本発明のこの局面によるこのような組成物の投与によって有利に処置され得る腫瘍性疾患には、乳癌、上皮癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、胃癌(stomach cancer)、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌および腎癌;肺癌、胃癌(gastric cancer)、小腸の癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺の癌、または甲状腺癌が含まれる。
もう1つの態様において、疾患は微小残存疾患、好ましくは、単一の細胞の生存によって引き起こされる腫瘍の局所的および非局所的な再発を特徴とする、早期固形腫瘍、進行期固形腫瘍または転移性固形腫瘍であってもよい。
このような腫瘍性疾患を単独または組み合わせて処置することができ、このような疾患の組み合わせが、例えば原発性腫瘍性疾患の転移拡散によって生じ1つまたは複数の続発性腫瘍性疾患を招くものであることは、本発明のこの局面の範囲に含まれる。
本明細書で用いる場合、「抗体」、「抗体分子」、「img」および「img分子」という用語は等価であるとして理解されるべきである。必要に応じて、複数形を用いているものはいずれも単数形も意味し、単数形を用いているものは複数形も意味する。
発明の詳細な説明
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれる。以下の実施例において開示される技術が、本発明の実施において十分に機能することが発明者らによって見いだされた技術を代表し、そのため、その実施のための好ましい様式を構成するとみなしうることが当業者には理解されるはずである。しかし、当業者は、本発明の開示に鑑みて、開示された特定の態様にさまざまな変化を加えることができ、なお本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を入手しうることも理解するはずである。
実施例1:第I相試験で測定された薬物動態データの収集
コホート
SEQ ID NO:1および2によって特徴づけられる抗EpCAM免疫グロブリン(以後「抗EpCAM」)の薬物動態を、ホルモン抵抗性前立腺癌の患者において14日間隔での2回の単回静脈内注入後に調べた。投与する量は10、20、40、64、102、164および262mg/m体表面積であった。各用量レベルで2例または3例の患者を第1日および第15日に処置した。血液試料は第1日から第70日(2回目の投与から56日後)までの29〜31回のサンプリング時点で採取した。抗EpCAMの血清中濃度は特異的ELISA法によって測定した。ELISAは、ラット抗-抗EpCAM抗体を捕捉抗体として用い、ニワトリ抗-抗EpCAM抗体を検出抗体として用いる典型的なサンドイッチELISAとして設定した(Sambrook,「Molecular Cloning」, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載された通り)。第I相患者コホートに対して用いた投与方式は図1に示されている。図1の第3列における記号「〜」は、用量に関して算出された単位mg/kgを有する値が、平均用量(各々のコホートにおける患者数に関して得られたもの)を平均体重(同じく各々のコホートにおける患者数に関して得られたもの)によって除算した結果であることを意味している。このため、各々の投与量値は2つの平均値の商を表している。
血清中濃度
抗EpCAMの血清レベル(2〜3回の測定による平均値±SD)は、個々の患者において、抗EpCAMの2回の単回静脈内注入後に測定した。単一コホート内部での個々のプロフィールの比較は図2に提示されている。14日間隔での2回の単回静脈内注入後にホルモン抵抗性前立腺癌の患者のすべての投与群に関して得た平均濃度/時間プロフィール(算術平均)は図2に示されている。
簡略化した投薬方式
患者には抗EpCAM mg/m体表面積で算出した個別化された投与量を与えた。1つの投与群の内部の異なる患者に関して観察された血清プロフィールには一貫性があるため、投薬方式の簡略化が実行可能か否かについて分析した。この目的のために、コホート5、6および7のプロフィールを500mgの等しい総用量に対して標準化し、その結果を血清レベルの変動に関して比較した。
9例の患者に対する総用量500mgへの用量の標準化により、26.6%の平均係数(%CV)で変動する血清レベルが得られた。変動の係数は14.8〜67.3%の範囲であり、最も大きな変動は低い血清レベルで観察された。これらの結果に基づき、投与計画の総用量に対しての簡略化は実行可能であると考えられた。
薬物動態:ノンコンパートメント評価
抗EpCAMの1回目の静脈内注入(単回投与)後に、ホルモン抵抗性前立腺癌を有する7つのコホートすべての患者に関して算出した主な薬物動態パラメーター(算術平均)の概要は図3に提示されている。第14日の2回目の静脈内投与(複数回投与)後の抗EpCAMの主な薬物動態パラメーター(算術平均)は図4に示されている。
図3および図4で用いている用語の定義は以下の通りである。Cmaxは最大(測定)濃度を指す。AUCγは、14日から28日までに関して(複数回投与の場合)、台形法則を用いて算出された、1回の投与間隔(γ=14日間)で観察される濃度/時間曲線下面積(AUC)を指す。AUCINFは、式AUC=AUCz+Cz/keに従い、0時間から無限時間まで台形法則を用いて算出されたAUCを指す。t1/2とは見かけの平均終末半減期(ln2/λz)を指し、ここで「平均」とは血清中半減期に関して測定された複数の値を平均することを指し;「見かけの」という用語は、無限時点で患者の血清中に存在する免疫グロブリンの量が漸近的にゼロへと減衰するようにする、無限時点への選択した薬物動態の値に適合した曲線の外挿を指し;かつ「終末」という用語はこの無限時点を指す。パラメーターγは一定の増倍率として用いられる標準的な薬物動態パラメーターであり、パラメーターzは任意の時点zを表す。Clssは、用量/AUCという式に従って算出される全身クリアランスを指す。Vssは見かけの分布容積を指す。Vzは平均分布容積を指す。CLは平均クリアランス容積を指す。
見かけの平均終末半減期(t1/2)は、単回投与後には6.72±0.88日(7〜14日に関して算出)であり、複数回投与後には14.74±4.23日(最後の3回のサンプリング時点、すなわち28〜42日または35〜70日から算出)であることが判明した。半減期の値が異なることは、2回目の投与後の方が観察期間が明らかに長いためであり、測定される半減期の値がより正確になり、曲線の適合度の改善のためにより長い値が測定される。このため、14.74±4.23日というt1/2の値の方が、長い期間にわたって測定されたため、t1/2に関するより正確な値を表している。
初回投与の後には、Vzは10.4Lで平均クリアランス容積は1.1L/日であると測定された。これらのデータは、平均Vzが11.5Lで平均クリアランス容積(CL)が1.0L/日であるという2回目の投与に関して算出された結果とよく一致している。さらに、これらのデータはすべての投与群間でほぼ一致していた(変動係数は8.2〜14.8%)。その結果として、パラメーターVzに関してもパラメーターCLに関しても用量依存性は観察されなかった。
用量線形性
パラメーターCmax、AUClast(0−14)/AUCγ(14−28)およびAUCinfに関する用量関連性を決定した。すべてのパラメーター(Cmax、AUClast(0-14)/AUCγ(14−28)およびAUCinf)に関して、調べた用量の範囲では用量の線形的な増加を仮定できる。
薬物動態:コンパートメント評価
コンパートメント分析は、薬物の定常的な注入を必要とする2つの異なるのモデルを基にした。最良のコンパートメントモデルの評価のために、時間に対する平均濃度に関してコホート6から得たデータを選択した。いずれの評価についても、投与後の観察期間が長いことから2回目の投与後のプロフィールを適用した。
最良適合を調べるために、以下のコンパートメントモデルを用いた:
・2-コンパートメント評価
・3-コンパートメント評価
いずれのモデルを用いても評価は可能であったが、3-コンパートメント分析を用いた場合に明らかにより優れた適合が得られた。観察されたYと予測されたYとの間の一致性は3-コンパートメント分析の方が著しく優れていた。この理由から、以後のすべての評価はこの3-コンパートメントモデルに基づいて行った。
抗EpCAMの薬物動態を、10、20、40、102、164および262mg/m体表面積の短期的な静脈内注入後の患者で調べた。各コホート当たり2例または3例の患者を処置した。血液試料は42日または70日の期間にわたって採取した。抗EpCAMの血清中濃度はELISA法によって測定した。全患者に関して最長42日または70日までの完全な血清プロフィールを入手して評価することができた。
クリアランス容積および分布容積は全く用量依存性を示さず、1回目および2回目の投与後に大きな差を示さなかった。7つのコホートからのデータに基づき、パラメーターCmax、AUCγl、AUClastおよびAUCinfに関して、調べた投与量の範囲では用量の線形性を仮定することができる。
コンパートメント分析により、抗EpCAMの血清中濃度の3次減衰が示され、半減期は0.565日(t1/2α)、3.78(t1/2β)および13.3日(t1/2λz)であった。
終末半減期(約2週間)から予想されるように、さまざまな投与計画のシミュレーションから、2週毎に1回という設計に関して最良の結果が得られた。週1回の投与のシミュレーションは蓄積をもたらし、一方、4週毎の投与は抗EpCAM血清レベルの低下をもたらした。標的トラフレベルにできるだけ早く到達することを考慮すれば、維持量に比べて2倍の量である負荷量が推奨される。
実施例2:第I相試験で得られた測定データに基づく抗EpCAM投薬戦略のモデル化
この試験に対して選択した投薬計画および処置期間は、前立腺癌の患者における抗EpCAMの第I/II相臨床試験の結果の薬物動態モデル化に基づく。シミュレーションの目的は、それぞれ10μg/mLおよび30μg/mLの血清トラフレベルを得るための抗EpCAMに関する投与スケジュールを見いだすことであった。
前臨床実験に基づき、10μg/mLの血清トラフレベルは抗EpCAMの抗腫瘍活性に関して有効であると予想される。しかし、より高い用量がさらに有効である可能性を排除することはできない。このため、30μg/mLの血清トラフレベルを得るために算出された第2の用量も治験で評価するべきである。CmaxおよびAUCの値が第I相臨床試験で観察されたものを超えないことから、この血清トラフ濃度でさらなる毒性は予想されない。
適合性がより良いことから、すべてのシミュレーションはコホート5〜7からの3-コンパートメント評価データを基にした。
シミュレーションの目的は、頻度(毎週、2週毎、4週毎)、異なるトラフレベル(10μg/mL、30μg/mLの抗EpCAM)を考慮して、至適な投与方式および必要な用量について評価すること、ならびに抗EpCAMの負荷量の利点を評価することであった。
約2週間という終末半減期の値から予想されるように、2週毎の投薬計画が最も良い結果をもたらした。7日および28日の投与頻度を適用した場合には、シミュレーションはそれぞれ血清レベルの蓄積またはわずかな低下を生じた。負荷量(LD)の適用は、必要なトラフレベルの迅速な達成をもたらした。以下の用量ならびに対応する最小および最大血清レベルが、抗EpCAMの静脈内投与に関してシミュレートされた。
14日毎の投与
抗EpCAMの終末半減期から予想されるように、2週毎の投与は、定常的なCmin値およびCmax値を伴うシミュレートされたプロフィールをもたらし、このため推奨される投薬計画とみなすことができる。このため、2週毎のモデルを、10μg/mLおよび30μg/mLという抗EpCAMの標的トラフレベルをもたらす、必要とされる投与量の算出のために選択した。
算出のための初期パラメーターはコンパートメント評価によって得た。
・試験データ:前立腺癌の第I/II相試験で得られた薬物動態測定値。
・ソフトウエア:WinNonlin 4.0.1(Pharsight Corporation, USA;2001)
・モデル:PK Model 19(3コンパートメントIV-注入、マクロ定数、遅滞なし、1次排出、均一な重み付け)。
図5は、3コンパートメントモデルの概略図であり、ここで「1」は中央コンパートメントを表し、「2」および「3」は2つの異なる周辺コンパートメントを表す。中央コンパートメントは血漿との即時平衡下にある。周辺コンパートメントは、薬物の投与後に中央コンパートメントと平衡に達するまでに若干の時間を必要とする。K13、K31、K12、K21、K10はそれぞれの速度定数であり、数字13、31などの順序は抗EpCAMの通過の向きを表している。
元の試験データは70日の期間に限定されているが、シミュレーションは120日の期間まで拡張して行った。シミュレーションは負荷相(すなわち、第1日、第8日および第15日の薬物投与)および維持相(すなわち、第29日および以後14日毎の薬物投与)に基づいて行った:
・A群(低用量):2mg抗EpCAM/kg体重の毎週(第1日、第8日、第15日)投与の負荷相に続き、2mg抗EpCAM/kg体重の2週毎投与による23回の維持量
・B群(高用量):6mg抗EpCAM/kg体重の毎週(第1日、第8日、第15日)投与による負荷相に続き、6mg抗EpCAM/kg体重の2週毎投与による23回の維持量
この試験で意図した用量は、第I相試験で患者に投与した最高用量を用いて測定されたものを超えない薬物動態パラメーター(すなわち、CmaxおよびAUC)をもたらす。負荷相および維持相は、標的とする血清トラフ濃度が短期間で得られ、かつ第I相試験で評価したものを超える最大血漿中濃度が回避されるように、薬物動態モデル化を用いて計算されている。
図6は、30μg/mLの標的血清トラフレベルを有する、負荷相を含む、抗EpCAMの上記の2週毎投与のシミュレーションを示している。図7は、10μg/mLの標的血清トラフレベルを有する、負荷相を含む、抗EpCAMの上記の2週毎投与のシミュレーションを示している。
図6および図7は、120日の時間スケールにわたる薬物の各々の投与を示している。最高血清中濃度およびトラフ血清中濃度が見られ、最高レベルは曲線の上方部分によって表され、トラフレベルは曲線の下方部分によって表されている。グラフは、それぞれ10μg/mlおよび30μg/mlという上述した異なるトラフレベルに到達するためのシミュレーションを表している。これらの図からわかるように、最高血清中濃度およびトラフ血清中濃度は2つのシミュレーションで異なっている。
実施例3:抗EpCAM毒性データ、ING-1との比較、外挿
以下には、種々の患者コホートで観察された有害事象(AE)について述べる。以下の目的において、AEは、医薬品が投与された患者または臨床研究の被験者における任意の有害な医学的出来事として定義され、これは必ずしもこの処置と因果関係があるとは限らない。したがってこれは、治験品と関連性があると考えられるか否かにかかわらず、治験品の使用と時間的に関連性のある、あらゆる好ましくない意図しない徴候(異常な実験上の所見を含む)、症状または疾患であり得る。
有害な薬物反応(すなわち、少なくとも被験薬と関連する可能性が考えられると試験者が判断したAE)は、試験者が、NCIの共通毒性基準(Common Toxicity Criteria)(CTC、バージョン2.0)に従って等級付けした。NCIのCTC表にリスト化されていない薬物有害反応については、有害事象の重症度の等級付けのための一般的な定義に従った。したがって、「軽度」のAEは、患者にはほとんど知覚されない症状について述べている。これは患者の日常的な活動もしくは動作を妨げない、および/またはこれには臨床的に重要ではない。「中等度」のAEは、被験者の日常的な活動を妨げ、被験者を不快にさせるのに十分である。これにはある程度の臨床的に重要であり;症状に対する処置が必要な場合がある。「重度」のAEは、著しい不快感の原因となる事象であり、試験処置を中止すべき重症度であることがある。被験者は通常のように働くこと、もしくは日常活動を遂行することができない、および/またはそのAEは明確に臨床的に重要である。症状の処置が必要な場合がある。「重篤な有害事象」(SAE)は、任意の用量での以下のような任意の有害な医学的出来事と定義される:死亡をもたらした、生命の危機を招いた、患者の入院もしくは既存の入院の延長を要した、永続的もしくは著しい能力障害/作業不能をもたらした、または先天的な奇形/出生時異常となった。
被験薬との関係の有無とは関係なく、処置期間および最後の注入から28日間の安全性に関する追跡調査期間中に、合計120件の有害事象(AE)が19例(95%)の患者で報告された。コホート6(38件の事象)およびコホート7(35件の事象)からの患者では、低用量のコホートに比べて多くの有害事象が報告された(コホート1:7件;コホート2:9件;コホート3:12件;コホート4:7件;コホート5:12件)。これらのコホートは図1に示されており、上の実施例1で説明されている。
被験薬との関係に関する試験者の評価とは関係なく、処置中に発生した最も頻度の高い臨床的AEは、体温上昇(全患者の30%で報告)、悪心(30%)、発熱(20%)、下痢(15%)、疲労感(15%)、寒気(15%)および嘔吐(15%)であった。被験薬との関係に関する試験者の評価とは関係なく、有害事象として報告された処置中に発生した最も頻度の高い実験上の変化は、アルカリホスファターゼの上昇(全患者の30%で報告)、リンパ球減少(30%)、LDH上昇(25%)、PTT低下(20%)、ヘモグロビン減少(20%)、WBC障害(15%)、糖尿(15%)およびトランスアミナーゼ上昇(15%)であった。
ほとんどの有害事象は軽度(70%)または中等度(25%)であった。6件の重度の有害事象(グレード3)が、以下のように4例の患者で報告された:処置前に1例の患者における中等度(グレード2)のアルカリホスファターゼ値の上昇;糖尿病であることが判明している1例の患者における糖尿;1例の患者でのヘモグロビンおよびRBCの減少ならびに体重減少;1例の患者での椎間板ヘルニア。いずれの事象も試験者による評価で被験薬と関連していなかった。グレード4の事象は報告されなかった。
4件の重篤な有害事象(SAE)が、試験期間中に4例の患者で報告された。1件は試験者により、被験薬物適用と関連している可能性があると判断された:これはコホート3の患者での抗EpCAM(40mg/m体表面積)の2回目の注入後のグレード1の発熱を理由とする入院の延長である。
マウス-ヒトキメラ高親和性(KD:2×10-9)抗EpCAM抗体ING-1を用いた臨床試験では、用量1mg/kgで膵炎が生じた。これらの有害事象は用量依存的であり、明らかなMTDを伴う。抗EpCAMに比して2桁高いEpCAM抗原に対する免疫グロブリンING-1の親和性が、ING-1で観察されている毒性プロフィールと関係している可能性がある。ING-1のMTD(1mg/kg)および抗EpCAMプロトコールで意図している最高用量(6mg/kg)は同程度であるため、前述した試験の免疫グロブリンである抗EpCAMは、恐らくその親和性がはるかに低いため、著しく高い安全マージンを有する。
実施例4:疾患におけるEpCAMの発現
本明細書に記載した処置方法の適用可能範囲について評価するために、多数の異なる疾患におけるヒトEpCAM抗原の発現について検討した。本発明の方法は、所与の組織の健常状態に比して病的状態でのEpCAM発現が増大している任意の疾患に対して、有効に適用し得ることが予想される。特に、肝組織におけるEpCAM抗原の合成に対して特別な関心を払った。
患者および組織
合計254件の種々の肝組織標本を、EpCAMに対する免疫組織学により、および以下に概説した関連する形態学的パラメーターに関して特徴付けた。63件のHCC、5件の肝内胆管癌および30件の異形成結節(前癌肝細胞前駆病変)を含む種々の腫瘍試料、ならびに5件の正常肝標本を分析した。33件の生検試料を慢性C型肝炎の患者から、27件を慢性B型肝炎の患者から、および28件を慢性アルコール性肝疾患(ALD)の患者から採取し;9例の患者は自己免疫性肝炎(AIH)を有した。肝組織はメンギニー(Menghini)針を用いた生検によって入手し、HCCの場合には切除または肝臓外移植によって入手した。組織は直ちに4%中性緩衝ホルムアルデヒド中で固定し、標準的なプロトコールに従って処理した。
形態学的評価
形態学的評価は、H&Eで染色した切片を基にして行った(癌および慢性肝炎の等級付け)。HCCの等級付けは、Nzeako et al., Cancer 76, 1995, 579-88に概説された通りに行った。非腫瘍性肝疾患は以下のようにして形態学的に評価した:慢性B型およびC型肝炎症例の壊死性炎症活性は、Ishak, Mod. Pathol. 7, 1994, 690-713に記載された修正肝活動指数(modified hepatic activity index)を用いることによって分析した。
免疫組織学的評価
免疫組織学は、いわゆるABC法を用い、ジアミノベンジジンを発色団として用いて、以前に記載された通りに行った(Prange et al., J. Pathol. 201, 2003, 250-9)。マウスモノクローナル抗ヒトEpCAM抗体(クローンVU-1D9;Novocastra, Newcastle, UK)を1/50に希釈し、30分間のトリプシン前処置(0.1%、pH 7.8)後に適用した。サイクリンD1(DCS-6;1:100;DAKO, Hamburg, Germany)、p53(FL-393;1:50;Santa Cruz, Santa Cruz, USA)およびユビキチン(70458;1:200;DAKO)に対する免疫組織学をしかるべく行った。一次抗体を除外することを含む、陰性対照も行った。
HCCにおけるEpCAM染色の評価に関しては、強度のみを半定量的に等級付けした(0=陰性、+(1)=弱陽性、++(2)=中等度陽性、+++(3)=強陽性(少なくとも胆管染色と等しい強度))。非腫瘍性生検標本におけるEpCAMの肝細胞発現は以下のように等級付けした:0=肝細胞染色なし;(+)(0.5)=わずかな散在性の陽性肝細胞、+(1)=いくつかのまたは大部分の隔壁または門脈路に沿った肝細胞の小集団、++(2)=いくつかのまたは大部分の門脈路または隔壁周囲にあり、中心腺房(midacinar)領域へと広がっている陽性肝細胞の大集団、+++(3)=広範囲にわたる陽性肝細胞、一般的には腺房の少なくとも50%を占める。統計学的評価は記述統計学(平均、中央値、最大、頻度)およびスピアマンの相関係数を用いて行った。p<0.05の水準を有意とみなした。
HCCにおけるEpCAMの新規発現
正常肝組織はすべての胆管上皮で強い染色を示したが、肝細胞は完全に陰性であった(データは図示せず)。EpCAMに関する免疫組織学により、分析した63件のHCCのうち9件(14.3%;図8A〜F)および分析したすべての肝内胆管癌(n=5)で特異的な膜染色が認められた。HCCにおける発現は弱いものから強いものにまでわたっており、中等度分化型および低分化型HCCでより頻度が高いように思われ、高分化型HCCは1件のみが陽性であった。また、前癌病変を示す30件の異形成結節の中では3件のみが軽度のEpCAM発現を示した。同じ組織を他の多数の腫瘍関連抗原に関して分析し、発現データを相関解析に供した。HCCにおけるEpCAM発現とp53およびユビキチンの核内蓄積の間には中等度ではあるが有意な陽性相関がみられたが(p<0.05)、その上流調節因子と推定されるサイクリンD1との相関はみられなかった。
慢性壊死性炎症肝疾患におけるEpCAMの肝細胞性新規発現
分析した非腫瘍性肝組織の高い割合で肝細胞の特異的な膜陽性を検出した(図8C〜E)。慢性肝炎の症例では顕著な陽性が認められ、ALDの症例では低い程度で認められた。さらに、すべての管性増殖物および同様に門脈周囲実質中に分散した個別の小型細胞(潜在的な前駆細胞)についても陽性が認められた。肝細胞の陽性は門脈周囲/隔壁周囲に強度に優性であり、いくつかの症例では胆管での染色の強度に達していた。非実質性肝細胞中には、いずれの症例においてもEpCAMの特異的反応性は存在しなかった。
半定量的な免疫組織学的スコアの平均値および中央値(方法参照)を分析したところ、EpCAM発現は、HBV感染症(平均スコア:0.93;中央スコア:0.5;最大スコア:3;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):55.6%)、ALD(平均スコア:0.88;中央スコア:0.75;最大スコア:2.5;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):78.6%)、およびHCV感染症(平均スコア:0.86;中央スコア:0.5;最大スコア:3;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):63.6%)の組織で最も高度であった。AIHの患者は中程度のEpCAM染色を有した(平均スコア:0.72;中央スコア:0.5;最大スコア:3;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):55.6%)。慢性胆管疾患であるPBC(平均スコア:0.13;中央スコア:0;最大スコア:0.5;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):25.0%)およびPSC(平均スコア:0.04;中央スコア:0;最大スコア:0.5;陽性EpCAM染色の頻度(+/++/+++):7.7%)の患者では肝細胞EpCAM発現はほとんど見られなかった(図9;統計学的変数の説明は図中の右枠のプロットに示されている)。
結論
慢性C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)感染症、慢性自己免疫性肝炎(AIH)、慢性アルコール性肝疾患(ALD)および肝細胞癌(HCC)のような慢性肝疾患の患者の組織試料を、肝線維化の段階ならびに壊死性炎症活性の組織学的および生化学的パラメーターとの相関に関し、EpCAM発現について半定量的に分析した。肝細胞は正常な成体肝臓ではEpCAM陰性であるが、慢性肝疾患の患者からの多くの肝組織では新規のEpCAM発現を示した。肝細胞のEpCAM発現は壊死性炎症疾患(HCVおよびHBV肝炎、AIH、ALD)の患者で最も高かった。肝細胞のEpCAM発現は、炎症活性の組織学的および生化学的パラメーターならびに線維化の程度と有意に相関し、これはHBV感染症の患者で特に顕著であった。さらに、HCCの14.3%は腫瘍細胞上にEpCAM発現を示した。
これらの結果は、EpCAMの新規発現は肝細胞癌(HCC)の一部のみに起こるが、慢性壊死性炎症肝疾患では肝細胞上で高頻度に起こることを示している。この発現は疾患活性および線維化と正の相関をする。具体的には、慢性壊死性炎症肝疾患における肝細胞EpCAM新規発現と線維化および壊死性炎症活性との相関が示された。これらの所見は、悪性腫瘍におけるEpCAMを標的としたモノクローナル抗体のような、今後の処置の選択肢に関係するとともに、一部のHCCにも適用される可能性がある。具体的な結果として、HCCの一部は、EpCAMに向けられた抗体療法の有効な標的となる可能性がある。
実施例5:「抗EpCAM」の第II相試験で得られた患者データを用いた薬物動態予測の裏付け
抗EpCAMを本発明に従って投与したその後の第II相試験から得られた実際の患者データを用いて、薬物動態モデル化(これはそれ自体は抗EpCAMの第I相試験から得られた薬物動態データに基づく。上記の実施例1および2を参照されたい)に基づく予測の正確さを確かめることが所望された。この第II相試験は、2つの並行した処置群を用いた国際的な非盲検多施設ランダム化第II相試験である。抗EpCAM第II相試験に参加した患者を2つの群にランダムに割り付け、このうち1つの群には低用量の抗EpCAM(2mg/kg体重)を以下に説明するように投与して与え、第2の群には高用量の抗EpCAM(6mg/kg体重)を以下に説明するように投与して与えた。抗EpCAM第II相試験の過程で、各患者にはまず負荷量の抗EpCAM(患者群に応じてそれぞれ2mg/kg体重または6mg/kg体重のいずれか)を3回、負荷相の間は1週間間隔で与え、その後に最大23回の抗EpCAMの維持量(この場合も患者群に応じてそれぞれ2mg/kg体重または6mg/kg体重のいずれか)を、個々の維持量を2週毎に投与した。
抗EpCAMの第I相試験データに基づく薬物動態予測によれば、低用量の抗EpCAMを与えられた第1の患者群の血清トラフレベルは約10μg/mlであると予想され(図7に示されたトラフレベルと相関する)、一方、高用量の抗EpCAMを与えられた第2の患者群の血清トラフレベルは約30μg/mlであると予想される(図6に示されたトラフレベルと相関する)。
アッセイは以下の通りに行った。96ウェルプレートをHD4A4(抗EpCAMに対する抗イディオタイプ抗体;容積100ml中に5μg/ml)でコーティングし、その後にブロッキングおよび洗浄の工程を行った。検量用標準物質、品質管理用試料および抗EpCAM試料を(適宜希釈して100mlとして)添加し、続いて洗浄工程を行った。HD4A4に結合した抗EpCAMをビオチン化抗ヒトIgGを用いて検出し、その後再び洗浄工程を行った。ストレプトアビジンを添加し(容積100μl中に0.5mg/ml)、96ウェルプレートを再び洗浄して、最終工程で180μlのpNPPを添加した。アッセイを50μlの3M NaOHで停止させ、ELISA Readerを用いて405nmおよび490nmで測定した。低用量試料の希釈は1:100の関係で行った。高用量試料の希釈は1:300の関係で行った。その結果は図10に示されている。
図10は、低投与量群の1例の患者(患者番号401001;データ点は四角で示されている)および高投与量群の別の患者(患者番号101002;データ点は菱形で示されている)に関して測定された個々のトラフレベルを点として示している。各々の患者からのデータ点を結んだ横線の平均縦方向レベルは、その患者で観察された血清トラフレベルを表している。したがって、高用量患者101002(菱形の点)に関する横線は、抗EpCAMのトラフレベル濃度が、この用量に関する30μg/mlという予測値とよく一致することを示している(図6におけるグラフの予測トラフを結んだ横線と比較されたい)。同様に、低用量患者401001(四角の点)に関する横線は、この用量に関する10μg/mlという予測値とよく一致する抗EpCAMのトラフレベル濃度を示している(図7におけるグラフの予測トラフを結んだ横線と比較されたい)。
これらのデータは、抗EpCAMの第II相試験で得られた実際の患者データと共に抗EpCAMの第I相試験で得られたデータに基づく薬物動態モデル化によるトラフレベルの予測の正確さを裏付けている。このことから、薬物動態モデル化の仮定および結果が正しく、本発明による処置計画が以上に詳述した効果および利点を有すると結論付けることができる。
本明細書中に開示および主張したすべての組成物および方法は、本開示に鑑みて、必要以上の実験を行わずに作製および実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様によって説明してきたが、当業者には、本発明の概念、意図および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載した組成物および方法に対して、ならびに方法の工程または一連の工程に、変更を加え得ることは明らかである。より具体的には、化学的にも生理的にも関連した特定の物質を本明細書に記載される物質の代わりに用いても同一または類似の結果が得られることは明らかである。当業者にとって明白なこのようなすべての類似した代替物および変更は、添付する特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の意図、範囲および概念の範囲内にあると考えられる。
以下の図面は本明細書の一部をなしており、本発明のある特定の局面をさらに示すために含まれる。これらの図面の1つまたは複数を、本明細書に提示した具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、本発明をさらに良く理解できる。
第I相コホートに対する投与方式を示す。 コホート別にみた、抗EpCAM免疫グロブリンの時間に対する血漿中濃度を示す。 抗EpCAM免疫グロブリンの単回投与後の患者コホートの薬物動態パラメーターを示す。 抗EpCAM免疫グロブリンの多回投与後の患者コホートの薬物動態パラメーターを示す。 3コンパートメントモデルの概略図を示す。 標的トラフレベルが30μg/mLである、抗EpCAM免疫グロブリンの最高血漿レベルおよびトラフ血漿レベルを示す。 標的トラフレベルが10μg/mLである、抗EpCAM免疫グロブリンの最高血漿レベルおよびトラフ血漿レベルを示す。 EpCAM発現組織の免疫組織学的染色を示す。 種々の肝疾患を有する患者におけるEpCAMの半定量的組織学的スコアの中央値を示す。

Claims (22)

  1. ヒトEpCAM抗原に特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって少なくとも15日の血清中半減期を示す該免疫グロブリンをヒト患者に投与することによって、該患者における腫瘍性疾患を処置する方法であって、該免疫グロブリンを毎週1回を上回らない頻度で投与する段階を含む方法。
  2. 以下をさらに含む、請求項1記載の方法:
    (a)免疫グロブリンの各々の最後の投与から少なくとも1週間の期間の後であるが該免疫グロブリンの各々の次の投与の前に、患者の血液中になお存在する該免疫グロブリンの血清レベルを決定し、それによって該免疫グロブリンに関する中間血清レベル値を得る段階;
    (b)該免疫グロブリンに関する該中間血清レベル値を、該免疫グロブリンに関する所定の血清トラフレベル値と比較する段階;
    (c)段階(a)および(b)を任意に繰り返す段階;
    (d)該免疫グロブリンに関する中間血清レベル値が血清トラフレベル値より15%以上上回らない、好ましくは10%以上上回らない、最も好ましくは5%以上上回らない場合に、各々の次の投与を行う段階。
  3. 投与されるヒト免疫グロブリンの用量の大きさが、2回の各々の投与の間の中間時期の最終時点で血清中に残存する該ヒト免疫グロブリンの量が所定の血清トラフレベルよりも決して低下しないように設定される、請求項1または2記載の方法。
  4. 投与が2週毎に1回行われるか、または投与が2週毎に1回を下回る頻度で行われる、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 投与が2週毎に1回行われ、ヒト免疫グロブリンの投与される用量が投与毎に変化しないままである、請求項4記載の方法。
  6. 投与が2週毎に1回を下回る頻度で行われ、ヒト免疫グロブリンの投与される用量および投与頻度がいずれも投与毎に変化しないままである、請求項4記載の方法。
  7. 初回用量および以後のすべての用量が薬物動態シミュレーションによって決定される、請求項5または6記載の方法。
  8. 投与が静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的または皮内である、上記の請求項のいずれか一項記載の方法。
  9. 腫瘍性疾患が、乳癌、上皮癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、胃癌(stomach cancer)、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌および腎癌;肺癌、胃癌(gastric cancer)、小腸の癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺の癌、または甲状腺癌である、上記の請求項のいずれか一項記載の方法。
  10. 腫瘍性疾患が前立腺癌または乳癌であり、ヒト免疫グロブリンが2週毎に1回、体重1kg当たり1mg〜7mgの投与量で投与される、請求項9記載の方法。
  11. ヒト免疫グロブリンが2週毎に1回、体重1kg当たり2mg〜6mgの投与量で投与される、請求項10記載の方法。
  12. ヒト免疫グロブリンが、SEQ ID NO:1に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖およびSEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む、上記の請求項のいずれか一項記載の方法。
  13. ヒトEpCAM抗原に特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって、ヒト患者に対する投与後に少なくとも15日の血清中半減期を示すことを特徴とするヒト免疫グロブリン。
  14. 血清中半減期が20日、19日、18日、17日、16日または15日である、請求項13記載のヒト免疫グロブリン。
  15. 半減期が15日であって、SEQ ID NO:1に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖およびSEQ ID NO:2に示されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む、請求項13または14記載のヒト免疫グロブリン。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項記載のヒト免疫グロブリンを含む、薬学的組成物。
  17. 腫瘍性疾患を処置するための薬剤であって毎週1回を上回らない頻度での投与用に製剤化される薬剤の調製のための、ヒトEpCAM抗原に特異的に結合するヒト免疫グロブリンであって、少なくとも15日の血清中半減期を示すヒト免疫グロブリンの使用。
  18. 薬剤が2週毎に1回を上回らない頻度での投与用に製剤化される、請求項17記載の使用。
  19. 薬剤が2週間毎の投与用に製剤化されており、ヒト免疫グロブリンの投与される用量が投与毎に変化しないままである、請求項17または18記載の使用。
  20. 薬剤が2週毎に1回を下回る頻度での投与用に製剤化されており、投与されるヒト免疫グロブリンの投与される用量が、2回の各々の投与の間の中間時期の最終時点で血清中に残存する該ヒト免疫グロブリンの量が治療有効性に必要であると決定された血清トラフレベルよりも決して低下しないように設定される、請求項17〜19のいずれか一項記載の使用。
  21. 薬剤が静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所的または皮内投与用に製剤化される、請求項17〜20のいずれか一項記載の使用。
  22. 腫瘍性疾患が、乳癌、上皮癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、胃癌(stomach cancer)、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌および腎癌;肺癌、胃癌(gastric cancer)、小腸の癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、唾液腺の癌、または甲状腺癌である、請求項17〜21のいずれか一項記載の使用。
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