JP2008309997A - 位相差フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
2.前記1に記載の位相差フィルムであって、下記関係式(I)及び(II)式を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
関係式(I):40≦Re≦120
関係式(II):100≦Rth≦300
(但し、Re=(nx−ny)×d,Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルム厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。)
3.前記1又は2に記載の位相差フィルムを、少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
本発明の位相差フィルムの主成分として用いる環状オレフィン樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂であり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するポリオレフィン樹脂が好ましい。
本発明の位相差フィルムは、荷重たわみ温度調整剤として、耐熱性や環状オレフィン樹脂との相溶性の観点から、前記一般式(1)で表わされる構造を有する化合物を含有することを特徴とする。なお、「荷重たわみ温度調整剤」とは、樹脂のガラス転位温度(Tg)をあまり低下させずに荷重たわみ温度(Tt)を下げ、樹脂の優れた耐熱性を損なうことなく延伸適性を大幅に向上させ、更にはリターデーション値の長期保存性を付与する機能を有する化合物をいう。
本発明の位相差フィルムを構成する樹脂としては、環状オレフィン樹脂以外にポリスチレン系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート系ポリマー、或いはこれらの多元(二次元、三次元等)共重合ポリマーをブレンドしても良い。特に相溶性の観点から、ポリスチレン、ポリスチレンと無水マレイン酸との共重合ポリマーが好ましい。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂には、荷重たわみ温度調整剤の他に、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加してもよい。
本発明の位相差フィルムは、種々の目的に応じて光学特性を変化させることができるが、下記関係式(I)及び(II)式を満たすことが好ましい。
関係式(I):40≦Re≦120
関係式(II):100≦Rth≦300
(但し、Re=(nx−ny)×d,Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルム厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。)
本発明の位相差フィルムは、1mm厚換算での全光線透過率が80%以上であることが好ましい。さらに好ましくは、全光線透過率が90%以上である。また、本発明の位相差フィルムは、1mm厚でのヘイズが0.3%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、ヘイズが0.2%以下である。ヘイズが0.3%を超えると、延伸環状オレフィンフィルムの透明性が低下し、位相差フィルムに適用できないおそれがある。
ΔRe=100×[Re(処理前)−Re(処理後)]/Re(処理前)
(なお、Re(処理前)とは、90℃の条件下に120時間曝す前の面内リターデーションを任意の場所で5点測定したものの平均値であり、Re(処理後)とは、90℃の条件下に120時間曝した後の面内リターデーションを任意の場所で5点測定したものの平均値である。)
ΔReが2を超えるフィルムを、表示装置に用いた場合には、高温域で表示画面に視認方向による色味変化が大きく生ずるおそれがある。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂からなる位相差フィルムを製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、溶融押出法や加熱溶融成形法や溶液流延法などの従来公知の方法が挙げられる。中でも、溶剤を使用しない溶融押出法の方が、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境や作業環境の観点、及び製造効率に優れる観点から好ましい。
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
本発明に係る偏光板は、一般的な方法で作製することができる。偏光板の少なくとも一方の面に本発明の位相差フィルム用いることが好ましい。すなわち、本発明の位相差フィルムの裏面側を、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、プライマー溶液を介して貼り合わせることが好ましい。プライマー溶液としては、無水マレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物を、溶媒に溶解させたものなどを好ましく用いることができる。
本発明に係る偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明に係る液晶表示装置を作製することができる。例えば、本発明に係る偏光板を、少なくとも視認側かバックライト側のどちらか一方に用いる態様が好ましい。
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セイコーインスツルメンツ(株)製DSC−6600を用い、サンプル質量10mg、昇温度速度10℃/minにて測定を行った。
予め乾燥させておいたフィルムを、ASTM D−648に準拠して測定を行った。
窒素雰囲気下、脱水したトルエン690質量部に、ノルボルネン300質量部を、1−ヘキセン1.1質量部、塩化タングステンの0.3質量%トルエン溶液11質量部およびテトラブチルスズ0.6質量部とともに加え、60℃、常圧にて1時間重合させた。トルエンを溶剤に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
荷重たわみ温度調整剤K2、K3、K4として、市販の試薬ノルボルナン単量体、2量体、3量体(アルドリッチ社製)を用いた。
K1の合成において、ノルボルネン、塩化タングステンの量及び反応時間を調整し、後はK1と同様な手順により表1に示すような調整剤K5〜K10を合成した。
エチレン雰囲気下、容量1.6lのオートクレーブに、ノルボルネン濃度が20mol/lで、総液量が640mlとなるようにトルエンとフェニルノルボルネン−トルエン溶液を入れた。メチルアルミノキサン(アルベマール社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で5.88mmol、メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド1.5μmolを添加し、エチレンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら、65℃で10分間反応させた。
市販のノルボルネン系樹脂ARTON−G7810(JSR社製)と、上記で合成した荷重たわみ温度調整剤K2とを90:10の割合で混ぜ、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後に、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押し出し成形機(Tダイ幅500mm)を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて、成形し延伸して位相差フィルムF1を得た。F1のTgは171℃であり、荷重たわみ温度(Tt)は164℃であった。
(ドープ組成物)
ARTON−G7810 90質量部
荷重たわみ温度調整剤K7 10質量部
メチレンクロライド 250質量部
エタノール 10質量部
上記組成にて、市販の樹脂ARTON−G7810(JSR社製)と合成した荷重たわみ温度調整剤K7とを溶媒に溶解させドープを作製した。次に、ドープ組成物を濾過した後、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からドープを剥離した。次にテンターにて幅方向に延伸しながら120℃で乾燥させた後、幅保持を解放して、多数のロールで搬送させながら120℃で乾燥させた後、さらに135℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、位相差フィルムF12を得た。
(リターデーションの測定)
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が590nmにおけるフィルムのリターデーション測定を行った。アッベ屈折率計で測定したフィルム構成材料の平均屈折率と膜厚dを入力し、面内リターデーション(Re)及び厚み方向のリターデーション(Rth)の値を得た。また、上記装置によって3次元屈折率nx、ny、nzの値が算出される。
式(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、dは各々の厚み(nm)を表す。)
次いで、測定波長を480nm、630nmに変えて、該当波長のリターデーション値Re(480)、Re(630)、Rth(480)、Rth(630)の値を得、Re(480)/Re(630)及び、Rth(480)/Rth(630)を求めた。結果を表2に示した。
上記作製したフィルムの面内リターデーション(Re)を任意の場所5点で測定し、その平均値を求めた。
上記作製したフィルムF1〜F47を90℃の条件下に120時間曝し、処理前と処理後の面内リターデーションを任意の場所5点で測定し平均をして、その変化量(ΔRe)の平均値を求めた。
上記作製した位相差フィルムF1〜F47のヘイズを、ヘーズメーターNDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。
(偏光板H1〜H47の作製)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し50℃で6倍に延伸して膜厚25μmの偏光子を作った。
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
上記のようにして作製した液晶表示装置1〜47を用いて、下記の評価を行った。
○:視野角変動が僅かに認められる
△:視野角変動が認められる
×:視野角変動が非常に大きい
上記の、測定及び評価結果をまとめて表2及び表3に示す。
Claims (4)
- 請求項1に記載の位相差フィルムであって、下記関係式(I)及び(II)式を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
関係式(I):40≦Re≦120
関係式(II):100≦Rth≦300
(但し、Re=(nx−ny)×d,Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルム厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。) - 請求項1又は2に記載の位相差フィルムを、少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
- 請求項3に記載の偏光板を、少なくとも視認側かバックライト側のどちらか一方に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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JP2007157283A JP2008309997A (ja) | 2007-06-14 | 2007-06-14 | 位相差フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置 |
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JP2011107686A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-06-02 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学積層体及びその製造方法 |
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JP2002284971A (ja) * | 2001-03-23 | 2002-10-03 | Jsr Corp | 熱可塑性樹脂組成物およびその用途 |
JP2006098806A (ja) * | 2004-09-29 | 2006-04-13 | Sekisui Chem Co Ltd | 位相差フィルムの製造方法 |
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2007
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