JP2008299267A - プラスチック光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバケーブルの製造方法 Download PDF

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剛 木村
Yoshihiro Tsukamoto
好宏 塚本
Yasushi Fujishige
泰志 藤重
Shu Aoyanagi
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Abstract

【課題】 被覆内層を均一な厚さで被覆し、光学特性に優れたPOFケーブルを得るための製造方法を提供する。
【解決手段】 芯−鞘構造を有するプラスチック光ファイバの外周に被覆材料Aを用いて被覆内層を形成し、該被覆内層の外周に被覆材料Bを用いて被覆外層を形成するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法であって、被覆材料Aおよび被覆材料Bをプラスチック光ファイバの外周部に導入するダイスとして、ランド部の長さLおよびダイス孔の直径Dが0.1mm≦L≦15mmおよび0.3≦L/D≦10を満足するものを使用するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
【選択図】 図3

Description

本発明は、自動車や航空機、船舶、電車等の移動体内、あるいはFA、家庭内機器、オフィス機器等の短距離通信用配線として用いられるプラスチック光ファイバケーブルの製法に関するもので、特にプラスチック光ファイバ(以下、POFという。)に複数の被覆層を施す際に被覆状態を均一化するための技術に関するものである。
POFは、短距離のデータ通信用配線や、センサー用途等ですでに実用化されている。その際、被覆材でPOFの外周を保護したPOFケーブルの形態として用いられることが多い。
このようなPOFケーブルの構成に関しては、複数の被覆層を有する様々なPOFケーブルが提案されている。例えば、特許文献1には、耐熱性およびPOFと被覆層の密着性を向上させるため、POFの外側にフッ化ビニリデン系樹脂を密着層として設け、その外側にポリアミド樹脂を被覆したPOFケーブルが提案されている。
特開2000−275481号公報
上記特許文献1で開示されているPOFケーブルでは、その製造工程において、密着層を付与する工程、被覆層を付与する工程がそれぞれ別工程となっているため、POFにかかる熱履歴が大きくなり、POFケーブルとしての光学特性が損なわれる傾向にあった。また製造工程が増加し、POFケーブルの製造が煩雑化するという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、伝送損失等の光学特性を損なうことなく、薄膜化された被覆層を均一な厚さで被覆できるPOFケーブルの製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、POFケーブルの被覆内層および被覆外層をPOFの外周に導入するためのダイスを特定の構造とすることによって、伝送損失等の光学特性を損なうことなく、薄膜化された被覆層を均一な厚さに被覆できることを見出した。
すなわち、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法は、芯−鞘構造を有するプラスチック光ファイバの外周に被覆材料Aを用いて被覆内層を形成し、該被覆内層の外周に被覆材料Bを用いて被覆外層を形成するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法であって、被覆材料Aおよび被覆材料Bをプラスチック光ファイバの外周部に導入するダイスとして、ランド部の長さLおよびダイス孔の直径Dが下記式(1)および(2)を満足するものを使用することを特徴とするものである。
Figure 2008299267
本発明の製造方法によれば、光学特性の低下を招くことなく、薄膜化された被覆層を均一な厚さに被覆できるPOFケーブルの製造方法を提供することができる。
以下、図1〜4に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の製造方法によって製造されるPOFケーブルの一実施形態を示す断面図である。芯11Aおよびその外周に形成された第1鞘11Bと第1鞘11Bの外周上に形成された第2鞘11CからなるPOF12の外周に、被覆内層13が形成され、さらにその外側に被覆外層14が形成されている。
ここで、POF12としては、図1記載の構成以外にも公知のものが使用でき、例えば、中心から外周に向かって連続的に芯11Aの屈折率が低下するGI型POF、中心から外に向かって芯11Aの屈折率が段階的に低下する多層POF、複数の芯11Aを鞘で取り囲んで一纏めにしたマルチコアPOFなどが挙げられる。なかでもPOFを広帯域化して高速信号伝送を行うには、多層POFを用いることが好ましい。なお、GI型POFまたは多層POFの外周にさらに鞘11Bを被覆したものを使用してもよい。
芯11Aには、各種の透明性の高い重合体が使用され、特に限定されるものではないが、好ましくはメチルメタクリレート単位を構成単位とする重合体が使用される。さらに好ましくは、メチルメタクリレート単独重合体、およびメチルメタクリレート単位を主構成単位とする重合体、ベンジルメタクリレート単位を主構成単位とする重合体、またはフッ素化アルキルメタクリレート単位を主構成単位とする重合体であり、これらのなかではメチルメタクリレート単独重合体が、耐熱性と透明性に優れている点から特に好ましい。
芯11Aの外周に形成される鞘は、一層から形成されていても、二層以上の複数層から形成されてもよい。鞘を形成する樹脂としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、テトラフルオロエチレン系重合体等のPOFの鞘材として公知の材料を適宜選択することができる。
POFケーブルの機械特性、耐熱性および耐衝撃性を十分に確保するためには、鞘を二層以上の複数層から形成し、最外層に位置する鞘層には、テトラフルオロエチレン(TFE)単位を少なくとも構成単位として有し、結晶融解熱が59mJ/mg以下の含フッ素オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。TFE単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂としては、TFE単位と、フッ化ビニリデン(VdF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(FVE)単位のうち少なくとも1種を共重合して得られる共重合体、VdF単位とTFE単位とヘキサフルオロアセトン単位との共重合体、TFE単位とHFP単位とエチレン単位との共重合体等が挙げられるが、こられに限定されるものではない。TFE単位との共重合成分としては、低コストであり、透明性が高く、かつ耐熱性に優れる点から、VdF単位、HFP単位、FVE単位が特に好ましい。
内層の鞘層として好ましい樹脂としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等POFの鞘材として公知の材料を挙げることができる。特にフッ素化メタクリレート系重合体は、屈折率の調整が容易で、良好な透明性および耐熱性を有しながら屈曲性、加工性に優れる重合体であるため好ましい。
このようなPOF12は、溶融紡糸法などの公知の方法で製造できる。また、POF12を70〜105℃程度の高温環境下や、温度差の激しい環境で用いる場合には、ピストニングを抑制するため、連続もしくはバッチ処理によってアニール処理を施してもよい。
本発明の製造方法によって得られるPOFケーブルは、POFの外周に形成された被覆内層と、その外周に形成された被覆外層とを少なくとも備えている。
被覆内層に用いられる被覆材料Aには、POF外周および被覆外層との密着性を向上させる機能や、被覆外層を形成する被覆材料Bの中に存在する低分子量物、着色顔料、可塑剤等がPOF内部へ移行することを防止する機能等が要求される。このような被覆材料Aとしては、POFケーブルの被覆材料として公知の樹脂が使用可能であるが、高い耐熱性を有するPOFケーブルを得るには、融点が190℃以下、またはガラス転移温度が160℃以下の熱可塑性樹脂、例えば(メタ)アクリル酸メチル単位を主構成単位とする樹脂、スチレン単位を主構成単位とする樹脂、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、プロピレン単位を主構成単位とする樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする樹脂、ポリフッ化ビニリデンを主成分とする樹脂のうちの少なくとも一種類を被覆内層として用いることが好ましい。中でも、 ポリブチレンテレフタレートを主成分とする樹脂は、POFと被覆外層とを強く密着させる効果を発現することが可能である点で、特に好ましい。
本発明のPOFケーブルの被覆材料Aに用いられるポリブチレンテレフタレートを主成分とする樹脂(以下、PBT樹脂と略する。)とは、1,4ブタンジオール(テトラメチレングリコール)とテレフタル酸のエステル化反応、または1,4ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルのエステル交換反応により得られたビスヒドロキシブチルテレフタレート(BHT)ないしはそのオリゴマーを、さらに重縮合して合成された、下記一般式(i)で示されるオリゴポリ1,4ブチレンテレフタレートの単位を主構成単位として含有する重合体をいう。
Figure 2008299267
被覆材料Aに用いられるPBT樹脂としては、上記一般式(i)で示されるオリゴポリ1,4ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)とし、一方、ソフトセグメント単位(非晶相)として、分子量が200〜5000の範囲にある脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレンオキシドグリコール(PTMG)など)と、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチルのうち少なくとも1種類との重縮合で合成された、下記一般式(ii)で示される脂肪族ポリエーテルのブロック単位とブロック共重合したPBT樹脂が挙げられる。
Figure 2008299267
また、上記一般式(ii)で示されるオリゴポリ1,4ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)とし、一方、ソフトセグメント単位(非晶相)としてポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)やポリブチレンアジペート(PBA)のような、下記一般式(iii)で示される脂肪族ポリエステルのブロック単位とをブロック共重合したPBT系樹脂が挙げられる。
Figure 2008299267
このようなPBT樹脂の融点やショアD硬度は、ハードセグメント単位と上記ソフトセグメント単位の構成比や各々の分子量、あるいは重合体全体の分子量を調整することによって容易に調整できる。
このようなPBT樹脂としては、具体的には、東レ・デュポン社製のハイトレル2551、2474、4047、4057、4767(商品名)や、ポリプラスチック社製のDYURANEX 400LP(商品名)、帝人化成社製のヌーベラン4400シリーズ(商品名)、東洋紡社製のペルプレンSタイプ、Pタイプ(P150M)(商品名)、三菱化学社製のプリマロイBシリーズ(商品名)等を挙げることができる。
被覆外層として用いられる被覆材料Bには、耐薬品性を向上させる機能、外光の入射を防止する機能、機械的強度を向上させる機能、さらに耐熱性を向上させる機能等を備えていることが要求される。このような被覆材料Bとしては、融点が190℃以下のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはこれらの樹脂の2種以上を用いて得られた混合物などを挙げることができる。中でも、POFケーブルを車載用配線として用いる際には、耐薬品性、機械的強度、耐熱性向上などの機能を兼ね備えた材料として、ポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−12などの単独重合体や、これら重合体の単量体単位の組み合わせからなるナイロン共重合体、これら重合体に柔軟なセグメントを導入したナイロン系エラストマー、あるいはナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂を含む混合物などが好ましい。
本発明においては、上記のポリアミド系樹脂として、耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性等に優れたナイロン11、ナイロン12の単独重合体が特に適している。ナイロン11、ナイロン12の単独重合体は、被覆工程における成形性が良好で、かつ適度な融点を有しているため、ポリメタクリル酸メチルの単独重合体またはメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体をコア材とするPOFの伝送性能を低下させることなく容易にPOFを被覆することができる。これらの樹脂は、さらに寸法安定性、およびPOFとの密着性にも優れることから、特にPOFケーブルが自動車内LAN用途として用いられる際に問題となる熱収縮やピストニングの発生を効果に防止できる点から好ましい。また、自動車内通信用途では、POFケーブルにバッテリー液耐性が要求されるが、ナイロン11、ナイロン12の単独重合体は、ナイロン系樹脂の中でも特に優れたバッテリー液耐性を有することから好ましい。
また、これら被覆材料Bには、POF内部への外光の入射を防止する機能を付与するためにカーボンブラックなどの遮光材を含有させてもよく、十分な光遮断効果を得るために、保護被覆層の本来目的とする効果を損なわない範囲で、例えば0.1%以上5%以下の範囲で含有させてもよい。さらに、POFケーブルとしては、上記被覆外層の外周にさらに熱可塑性樹脂からなる被覆層が形成されてもよい。
このような構成のPOFケーブルを製造する際には、POFに被覆層を付与する被覆工程でクロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いてPOFに被覆層を形成するが、本発明では、被覆内層および被覆外層を形成する被覆材料Aおよび被覆材料Bを、一つのクロスヘッドダイを用いてPOFの外周に導入して、被覆内層と被覆外層とを同時に一括して被覆する。このような方法によれば、POFと被覆内層との間、被覆内層と被覆外層との間の双方の密着性を強くすることができるとともに、被覆内層の厚みを比較的薄く制御することが可能になる。
次に、本発明のPOFケーブルの製造に用いられるクロスヘッド被覆装置について説明する。図2は、クロスヘッド先端に取り付けられたダイス部を表す。中心軸25がPOFの通路であり、第一流路23を被覆内層を形成する被覆材料Aが、第二流路24を被覆外層を形成する被覆材料Bが通過し、第三流路26にて両者が合流する。その後、第三流路26はPOFの中心軸25(POF通路の中心軸)と角度θでPOF通路に合流し、被覆材料Aおよび被覆材料Bが一括してPOFに被覆され、POFケーブルが製造される。
ここで第3流路26とPOF通路を通過するPOFの中心軸25とのなす角度θは10度以上60度以下の範囲である。すなわち、POFと被覆材料Aおよび被覆材料Bとが10度から60度で接触することが好ましい。θが10度未満では、被覆材料Aおよび被覆材料BをPOFに均一な厚みで被覆することが難しくなる傾向にあり、一方、60度を超えると、高温に加熱された材料がPOFに与える熱や応力が大きくなり、POFの光学特性が劣化する場合がある。被覆内層をより薄く均一に形成するためには、θを20度以上45度以下の範囲に設定することが好ましい。なお、本発明においては、被覆内層および被覆外層を被覆したPOFケーブルの外側に更に被覆層を設ける場合についても、被覆温度やPOFと被覆材料との接触角度は上記範囲であることが好ましい。
本発明のPOFケーブルの製造に用いられるクロスヘッド被覆装置のダイス構造について説明する。図3および図4は、図2のダイス21の一部分を拡大した図である。図3に示したダイスは、ランド部のダイス孔の直径が一定である直管部のみからなる形状のものを用いたものである。本発明においては、ダイスのランド部の長さLおよびダイス孔の直径Dは下記式(1)および(2)を満たすことが重要である。
Figure 2008299267
これは、ランド部の長さLが0.5mm未満であると、被覆材料Aおよび被覆材料BをPOFに均一な厚みで被覆することが困難となる傾向にあったり、POFと被覆内層との間、被覆内層と被覆外層との間の密着性が低下りする傾向があるためである。一方、ランド部の長さLが15mmを超えると、クロスヘッドダイの中をPOFが通過する時間が長くなり、POFが熱による劣化を受けて伝送損失の増加等の光学特性の低下を生じる傾向にあり、被覆材料がランド部で流動しながら高配向化しやすくなり、POFケーブルの熱収縮やピストニングが増大したりする傾向がある。POFケーブルの被覆安定性と性能を維持するためには、ランド部の長さLを1mm以上とすることがより好ましく、2mm以上とすることがさらに好ましい。また、ランド部の長さLは7mm以下とすることがより好ましく、5mm以下とすることがさらに好ましい。
また、ダイスのランド部の長さLおよびダイス孔の直径Dの比L/Dが0.3より小さくなると、得られるPOFケーブルの外形変動が大きくなる傾向にあり、L/Dが10より大きくなると、クロスヘッドダイの中をPOFが通過する時間が長くなり、POFに加わる樹脂圧力が大きくなるため、伝送損失が増加等の光学特性の低下を生じる傾向にある。
本発明においては、図4に示すように、ランド部のダイス孔の直径が一定の直管部と直径が連続的に大きくなるテーパー部とを有する形状であるダイスを使用することが、得られるPOFケーブルの外形変動を小さくすることができる点で好ましい。このようなダイスの場合、テーパー部の角度(テーパー角)θ’が0°より大きく10°以下であり、直管部の長さL、テーパー部の長さL、直管部の半径R、テーパー部末端の半径Rが下記式(3)および下記式(4)を満たすことが好ましい。
Figure 2008299267
ここで、テーパー角θ’が10°より大きいと、直管部をPOFが通過する際に高温に加熱された被覆材料の潜熱や樹脂圧力が急激にPOFに加わるため、POFが損傷を受ける傾向がある。一方、テーパー角θ’の下限については、特に制限はないが、0.1°以上とすることが好ましい。0.1°より小さいと、得られるPOFケーブルの外径変動の制御が不十分となる傾向にあったり、POFと被覆内層との間や被覆内層と被覆外層との間の密着性が不十分になる傾向にある。テーパー角θ’は、1°以上とすることがより好ましく、3°以上とすることさらに好ましい。一方、テーパー角θ’は、高温に加熱された被覆材料がPOFに与える熱や応力の影響を考慮し、POFの光学特性の劣化等を防ぐために、9°以下とすることがより好ましく、7°以下とすることが特に好ましい。
また、直管部の長さLとテーパー部の長さLの比L/Lが1より大きいと、テーパー部を流動してきた被覆材料が、直管部で急に流路を狭められた際に、被覆材料の潜熱や樹脂圧力がPOFに加わるため、POFケーブルの光学性能が低下する傾向がある。L/Lが0.03より小さいと、テーパー部を流動してきた被覆材料が、直管部で急に流路を狭められた際に、被覆材料の流れに乱流を生じるため、被覆材料Aおよび被覆材料BをPOFに均一な厚さで安定に被覆することが困難となる傾向にある。一方、ダイス部のR/Rが0.3より小さい場合は、テーパー角が大きくなり、高温に加熱された被覆材料の潜熱や樹脂圧力がPOFに急激に加わるため、POFの光学特性が劣化する場合がある。
一方、直管部の半径Rとテーパー部末端の半径Rとの比R/Rが0.9より大きいと、テーパー角が小さくなりPOFケーブルの外径変動の制御が不十分になる傾向にある。また、被覆内層をより薄く均一に成形するためには、L/Lを0.03以上0.7以下の範囲とするとともに、R/Rを0.3以上0.8以下の範囲にすることがより好ましく、L/L≦を0.03以上0.6以下の範囲に、R/R≦を0.3以上0.5以下の範囲に設定することがさらに好ましい。
以上に述べたように、本発明においては、被覆材料Aと被覆材料BをPOFの性能に影響を与えずに、POFケーブルの外径変動を抑えつつ安定に被覆するために、被覆材料Aと被覆材料Bのせん断粘度が特定の条件となるように、ダイスのランド部の長さLとダイス孔の半径を上記のような条件に設定することが重要である。
次に、被覆内層および被覆外層を形成する被覆材料Aおよび被覆材料Bのせん断粘度の条件、被覆内層および被覆外層の厚さの条件等について説明する。
本発明においては、二層の被覆層の厚みをより均一に制御するために、被覆温度T(190℃≦T≦230℃)における、被覆材料Aおよび被覆材料Bのせん断粘度η、ηの関係を一定の範囲に制御することが好ましい。具体的には、被覆内層に用いる被覆材料Aの被覆温度Tにおけるせん断粘度η(Pa・s)、および被覆内層の外側に存する被覆外層に用いる被覆材料Bの被覆温度Tにおけるせん断粘度η(Pa・s)について、被覆温度T(190℃≦T≦230℃) において、せん断速度の範囲が1000/s以上100000/s以下の領域において、被覆材料Aと被覆材料Bとのせん断粘度の比η/η(せん断粘度比)を下記式(5)の範囲となるように、被覆材料Aおよび被覆材料Bの粘度や被覆温度Tを決めることが好ましい。
Figure 2008299267
ここで、1000/s以上100000/s以下に設定したせん断速度の範囲は、被覆の際の被覆装置に用いるクロスヘッドダイ、ダイスおよびニップルにより形成される流路中に存在する、被覆材料のせん断速度に基づいて設定されたものである。
せん断粘度比η/ηの値が2より大きくなる、すなわち被覆材料Aの被覆材料Bに対する相対粘度が大きくなると、樹脂材料Bが樹脂材料Aの外側に均一に回りこむのを妨げてしまい、被覆内層の厚みが花弁状のような不均一なものとなる傾向にある。また、η/ηの値が0.5より小さくなる、すなわち被覆材料Aの被覆材料Bに対する相対粘度が小さくなると、樹脂材料Bの内側に被覆材料Aの均一な層を形成することができず、被覆内層の厚み斑が大きくなってしまう傾向にある。
被覆内層の厚みをより薄くかつ均一に制御するためには、せん断粘度比は下記式(7)の範囲でとすることがより好ましく、下記式(8)の範囲とすることがさらに好ましい。
Figure 2008299267
また、被覆材料Aおよび被覆材料Bの双方の有する機能を有効に発現させるためには、被覆内層の厚みdおよび被覆外層の厚みdを下記式(6)の範囲とすることが好ましい。
Figure 2008299267
被覆材料Bの中に存在する低分子量物や、着色顔料、可塑剤等がPOF内部への移行を十分に防止するためには、被覆内層の厚みはできる限り厚くした方がよいが、d/dの値が1より小さくなると、被覆外層の耐薬品性や機械強度が大きく低下する傾向にある。一方、POFと被覆内層の密着性を向上させるためには、被覆内層の厚みはできる限り薄くした方がよいが、d/dの値が49より大きくなると、被覆内層の低分子量物、着色顔料、可塑剤等のPOF内部への移行防止効果が低下する傾向にある。被覆内層と被覆外層との厚さの比d/dの値は、1.5以上25以下の範囲とすることがより好ましく、5以上12.5以下の範囲とすることがさらに好ましい。
POFに被覆層を施す際の被覆温度Tについては、被覆材料Aと被覆材料Bのせん断粘度が前記式(2)となるように、材料の種類に応じて被覆温度Tを決めることが好ましい。具体的には、被覆材料Aが、融点190℃以下またはガラス転移温度160℃以下である熱可塑性樹脂であり、被覆材料Bがナイロン11またはナイロン12である場合には、被覆温度Tを190℃以上230℃以下の範囲とすることが好ましい。被覆温度Tが、190℃より低いと、被覆材料が十分に溶融されず、塊となって被覆層の厚み変動が大きくなる傾向にあり、被覆材料の被覆装置配管中の流れが悪くなり、被覆材料の吐出不足を起こし、所望の厚み制御が困難になる傾向にある。また、被覆温度Tが230℃より高くなると、クロスヘッドダイの中をPOFが通過する際に、POFが熱による劣化を受けて伝送損失の増加等の光学特性の低下を招く傾向にある。被覆層の厚みをより薄く均一に制御し、POFの光学特性を損なうことなく、安定に被覆層を被覆するためには、被覆温度Tを200℃以上220℃以下の範囲とすることがより好ましい。
以下、本発明を実施例に挙げて説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における各評価方法は次の通りである。
(MFR)
テクノセブン社製メルトインデクサ(L217−1531)を用い、JIS K 7210A法に基づき測定温度210℃、荷重5kgfの条件下にて測定した。
(せん断粘度η)
ロザンド社製ツインキャピラリーレオメーター(RH7−2)を用い、ダイ直径1mm、ダイ全長16mm、測定温度210℃、条件化で、せん断速度1000〜100000/sの時のせん断粘度を測定した。
(被覆層の被覆状態の評価)
POFケーブルの端面を、#8000番の研磨紙にて研磨した後、顕微鏡観察によって、断面状態を目視で観察した。被覆内層および被覆外層が均一な厚みで被覆されている場合を優良(表中、「◎」で表す。)、若干外形に変形が見られるが、大きな厚み変動の無いものを良(表中、「○」で表す。)、厚みが不均一で大きな変動が見られるものを不良(表中、「×」で表す。)と判断した。
実施例1〜7、比較例1〜3
芯材として、メチルメタクリレート(MMA)の単独重合体(PMMA)、鞘材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/1,1,2,2−パーフルオロデシルメタクリレート(17FM)/MMA/メタクリル酸(MAA)=31/50/18/1(重量%)の共重合体を用い、保護層として、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン=70/20/10(mol%)の共重合体を用い、これらを溶融して同心円状に中心から順次積層して複合紡糸し、芯径970μm、鞘厚5μm、保護層厚10μmのPOF12を得た。
ついで、被覆材料Aとしてポリブチレンテレエフタレート(東レ・デュポン社製ハイトレル4767、MFR=22、η=61)、被覆材料Bとしてダイアミド12(ダイセルヒュルス社製L1640、MFR=113、ηB=50)を用い、これらをダイス構造が図3に示したコンプレッション式の2層一括被覆用クロスヘッド型被覆装置に供給して、POFの外周に被覆材料AおよびBを一括被覆して、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。その際の被覆層Aの厚みdは40μm、被覆材料Bの厚みdは210μm、d/dは5.25とした。なお、被覆材料の被覆温度Tは210℃とし、ダイスのランド部の長さL、ダイス孔の直径および第3流路とPOFの中心軸のなす角度θは、それぞれ表1に示した通りとした。
このようにして得られたPOFケーブルの被覆層の被覆状態を目視にて観察・評価した結果を表1に示した。表1から明らかなように、実施例1〜7の本発明のPOFケーブルは、いずれも被覆状態は優良であったが、比較例1〜3のPOFケーブルの被覆状態は、厚みの斑が大きく不良であった。
Figure 2008299267
実施例8〜16、比較例4〜13
ダイス構造が図4に示したコンプレッション式の2層一括被覆用クロスヘッド型被覆装置に実施例1と同様の被覆材料を供給して、POFの外周に被覆材料AおよびBを一括被覆して、外径1.5mmおよび2.3mmのPOFケーブルを得た。その際の被覆層Aの厚みdは35μm、被覆材料Bの厚みdは215μm、d/dは6.14とした。なお、被覆材料の被覆温度Tは210℃とし、ダイスの直管部の長さL、テーパ部の長さL、直管部の半径R、テーパ部の半径R、ダイス孔の直径および第3流路とPOFの中心軸のなす角度θおよびテーパ角θ’は、それぞれ表2に示した通りとした。
このようにして得られたPOFケーブルの被覆層の被覆状態を目視にて観察・評価した結果を表2に示した。表2から明らかなように、実施例8〜16の本発明のPOFケーブルは、いずれも被覆状態は優良であったが、比較例4〜13のPOFケーブルの被覆状態は、厚みの斑が大きく不良であった。
Figure 2008299267
本発明のPOFケーブルの製造方法により得られるPOFケーブルの一例を示す断面図である。 本発明のPOFケーブルの製造方法に使用される被覆装置の一例を示す縦断面図である。 本発明のPOFケーブルの製造方法に使用されるクロスダイヘッド被覆装置のダイス部分の拡大縦断面略式図である。 本発明のPOFケーブルの製造方法に使用されるクロスダイヘッド被覆装置のダイス部分の拡大縦断面略式図である。
符号の説明
10 POFケーブル
11A コア
11B 第一鞘
11C 第二鞘
12 POF
13 被覆内層
14 被覆外層
21 ダイス
22 ニップル
23 第一流路
24 第二流路
25 POFの中心軸
26 第三流路

Claims (3)

  1. 芯−鞘構造を有するプラスチック光ファイバの外周に被覆材料Aを用いて被覆内層を形成し、該被覆内層の外周に被覆材料Bを用いて被覆外層を形成するプラスチック光ファイバケーブルの製造方法であって、被覆材料Aおよび被覆材料Bをプラスチック光ファイバの外周部に導入するダイスとして、被覆材料Aおよび被覆材料Bがプラスチック光ファイバの中心軸に対して10度以上60度以下の角度で導入するとともに、ランド部の長さLおよびダイス孔の直径Dが下記式(1)および(2)を満足するものを使用することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
    Figure 2008299267
  2. 前記ランド部が、ダイス孔の直径が一定の直管部と直径が連続的に大きくなるテーパー部とを有し、テーパー部のテーパー角θ’が0度以上10度以下であり、直管部の長さL、テーパー部の長さL、直管部の半径Rおよびテーパー部末端の半径Rが下記式(3)および(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
    Figure 2008299267
  3. 被覆内層および被覆外層の被覆温度T(190℃≦T≦230℃) における被覆材料Aのせん断粘度をηA(Pa・s)、被覆材料Bのせん断粘度をηB(Pa・s)としたとき、せん断速度が1000/s以上10000/s以下の領域でのせん断粘度の比ηA/ηBが下記式(5)の範囲となり、被覆内層の厚みをdA、被覆外層の厚みをdBとしたとき、厚みの比dB/dAが下記式(6)の範囲となるように被覆内層および被覆外層を被覆することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
    Figure 2008299267
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021187466A1 (ja) * 2020-03-18 2021-09-23 日東電工株式会社 被覆光ファイバの製造方法および被覆光ファイバ製造装置

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