JP2008296861A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バットレス部16において、最外主溝19Aの底部からタイヤ幅方向に沿って延長した第1仮想線L1が交わる第1交差部P1と、最内ベルト層13Aのタイヤ幅方向端部から最内ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第2仮想線L2が交わる第2交差部P2との間に、タイヤ幅方向に凹む溝部22がタイヤ周方向に沿って形成される。溝部のバットレス部における開口幅Aが、この溝部の深さBよりも大に設定される。溝部の中心が、バットレス部における、第1の交差部と、最大幅ベルト層13Bのタイヤ幅方向端部から最大幅ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第3の仮想線L3が交わる第3交差部P3との間に存する。
【選択図】図2
Description
また、特許文献2には、トレッド側方域にタイヤ周方向に沿う円周細溝(以下、ディフェンスグルーブと称する)を設け、この円周細溝によって、トレッド端部表面のゴム層が地面に引きずられるのを防止することが提案されている。
また、特許文献3には、サイドウォール部とトレッド部との間のバットレス部に、タイヤ周方向に延びかつ開口部よりも奥方が広がる周溝(以下、サイドグルーブと称する)を設け、これにより、サイドウォール部からトレッド部への応力伝達を分断することが提案されている。
さらに、特許文献4には、サイドウォール部とトレッド部との間のバットレス部であって、かつ、側方からみてタイヤ周方向に延びる主溝と重なる位置に、タイヤ周方向に延びる周溝を形成することが提案されている。
すなわち、特許文献1で提案された技術にあっては、ブレーキングコントロールリブを設けた近傍位置において確かに大きな耐偏磨耗効果が得られるものの、偏磨耗が最も厳しいとされるショルダー端部に対しては余り大きな効果が得られない。
特許文献2で提案された技術にあっては、ディフェンスグルーブを設けた箇所から亀裂が生じるおそれがあり、また、特許文献3で提案された技術にあっては、車両に装着されて使用される時に、サイドグルーブが車体重量で潰されてその幅方向両端部が互いに当接し合うことに伴い、轍時等に操縦安定性が低下するおそれがあり、いずれの場合にも、適用するにあたって、ある制限が課せられていた。
また、引用文献4で提案された技術にあっては、ショルダー陸部の高さが未だ十分に残存している比較的磨耗早期の段階で、溝部がショルダー陸部の表面に開口するおそれがあり、この場合、接地面積が減少することから、ショルダー陸部の接地圧がさらに上昇して偏磨耗を増長させるおそれがあった。
本発明の請求項1に係る空気入りタイヤは、左右一対のビード間でトロイド状に延びるカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、ベルト層とトレッド踏面とがこの順に設けられ、前記トレッド踏面に、少なくともそのタイヤ幅方向両端部に陸部が区画されるようにタイヤ周方向に延びる主溝がタイヤ幅方向に間隔をあけて複数形成された空気入りタイヤであって、前記トレッド踏面の幅方向両端からそれぞれタイヤ径方向内側に向けて延びるバットレス部において、複数の前記主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する最外主溝の底部からタイヤ幅方向に沿って延長した第1仮想線が交わる第1交差部と、前記ベルト層のうち最もタイヤ径方向内側に位置する最内ベルト層のタイヤ幅方向端部から該最内ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第2仮想線が交わる第2交差部と、の間に、タイヤ幅方向に凹む溝部がタイヤ周方向に沿って形成され、前記溝部の前記バットレス部における開口幅が、この溝部の深さよりも大に設定され、前記溝部の中心が、前記バットレス部における、前記第1の交差部と、前記ベルト層のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する最大幅ベルト層のタイヤ幅方向端部から該最大幅ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第3の仮想線が交わる第3交差部との間に存することを特徴とする。
この結果、サイドフォース入力主体の偏磨耗にはタイヤ幅方向外側に接地することで幅方向磨耗を低減できる。また、周方向引きずりによる偏磨耗に対しては、溝部近傍における剪断歪がドライビングにシフトすることで引きずり現象をなくことができる。
このように、サイドフォース入力主体の偏磨耗及び周方向引きずりに伴う偏磨耗それぞれに対応して、それら偏磨耗を低減することができる。
ちなみに、前記溝部を、バットレス部において前記第2交差部よりもタイヤ径方向内側に形成する場合には、溝部がトレッド踏面からタイヤ径方向へ遠い箇所に位置することとなり、溝部によるサイドウォール部からの変形によるタイヤ幅方向内側に入り込む応力伝達を分断させる効果は得にくくなる。
また、前記溝部をトレッド踏面に近づけると、溝部によるサイドウォール部からの変形によるタイヤ幅方向内側に入り込む応力を分断させる効果をより大きくすることができるが、あまり近づけすぎると、前記<発明が解決しようとする課題>でも説明したように、比較的磨耗早期の段階で、溝部がショルダー陸部の表面に開口する問題が生じる。
ここでは、前記溝部を、前記バットレス部において前記第1交差部よりもタイヤ径方向内側に形成しているので、トレッド踏面のタイヤ幅方向両端部に区画されたショルダー陸部の高さが未だ十分に残存している比較的早期の段階で、前記溝部がこのショルダー陸部の表面に開口するのを防ぐことができる。
以上より、偏磨耗を長期にわたって確実に抑えることができる。
この場合、前記車体重量により、溝部がその幅を狭めるように変形したときに、この溝部を画成する表面上で応力が一部に集中してこの部分にクラックが生じ易くなるのを抑えることができる。
前記溝部の効果はショルダー端部近傍において特に有効であるが、この場合、最外主溝にブレーキングコントロールリブを設けることによって、さらに、ショルダー部全体の磨耗バランスを向上させることができる。
この場合、溝部によるサイドウォール部からの変形によるタイヤ幅方向内側に入り込む応力を分断させる効果をより顕著に発揮させることができる。
図1は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向に沿う断面図を示すものであって、左右一対のビード11間でトロイド状に延びるカーカス12のクラウン部12aのタイヤ径方向外側に、ベルト層13とトレッド踏面14とがこの順に設けられている。なお、図示の例ではベルト層13は複数層となっている。
また、本実施形態では、溝部22は、この空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向に沿う断面視形状が、バットレス部16の表面からタイヤ幅方向内側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向の大きさ、つまり幅が狭くなるような単一の円弧となっている。
このように、サイドフォース入力主体の偏磨耗及び周方向引きずりに伴う偏磨耗それぞれに対応して、それら偏磨耗を低減することができる。
ちなみに、溝部22を、バットレス部16において第2交差部P2よりもタイヤ径方向内側に形成する場合には、溝部22がトレッド踏面14からタイヤ径方向へ遠い箇所に位置することとなり、溝部22によるサイドウォール部18からの変形によるタイヤ幅方向内側に入り込む応力伝達を分断させる効果は得にくくなる。
ここでは、溝部22を、バットレス部16において第1交差部P1よりもタイヤ径方向内側に形成しているので、トレッド踏面14のタイヤ幅方向両端部に区画されたショルダー陸部19aの高さが未だ十分に残存している比較的早期の段階で、溝部22がこのショルダー陸部19aの表面に開口するのを防ぐことができる。
また、溝部22のバットレス部16における開口幅Aが、この溝部22の深さBよりも大に設定しているので、溝部22が車体重量で潰されてその幅方向両端部が互いに当接し合うのを抑制することが可能になり、轍時等に操縦安定性が低下するおそれも生じない。
以上より、偏磨耗を長期にわたって確実に抑えることができる。
例えば、前記実施形態では、溝部22として、この空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向に沿う断面視形状が単一の円弧となっている構成を示したが、2つ以上の平面若しくは曲面により溝部を形成してもよいし、または平面と曲面とを組合わせて溝部を形成してもよい。さらに、溝部22は、バットレス部16に、タイヤ周方向の全周にわたって連続的に延在させて形成してもよいし、あるいはタイヤ周方向の全周にわたって断続的に形成してもよい。
次に、以上説明した作用効果についての検証試験を実施した。この試験に際し、以下の、従来品、比較例1,2及び実施例1〜3の空気入りタイヤを用いた。
・従来品では、パットレス部に溝部を有しない代わりに、主溝にブレーキングコントロールリブを有し、かつ、ハンプ部の角度を30°とした空気入りタイヤを用いた。
・実施例1では、パットレス部に溝部を設け、この溝部の中心位置が第1交差部と第3の交差部との間にあり、かつ、主溝にブレーキングコントロールリブを有し、さらに、ハンプ部の角度を30°とした空気入りタイヤを用いた。
・比較例1では、パットレス部に溝部を設け、この溝部の中心位置が第1の交差部よりもタイヤ径方向外側にあり、かつ、主溝にブレーキングコントロールリブを有し、さらに、ハンプ部の角度を30°とした空気入りタイヤを用いた。
・比較例2では、パットレス部に溝部を設け、この溝部の中心位置が第3の交差部よりもタイヤ径方向内側にあり、かつ、主溝にブレーキングコントロールリブを有し、さらに、ハンプ部の角度を30°とした空気入りタイヤを用いた。
・実施例2では、パットレス部に溝部を設け、この溝部の中心位置が第1交差部と第3の交差部との間にあり、主溝にブレーキングコントロールリブを有さず、さらに、ハンプ部の角度を30°とした空気入りタイヤを用いた。
・実施例3は、パットレス部に溝部を設け、この溝部の中心位置が第1交差部と第3の交差部との間にあり、主溝にブレーキングコントロールリブを有し、さらに、ハンプ部の角度を60°とした空気入りタイヤを用いた。
次に、溝部からのクラックの発生についての検証試験を実施した。この試験に際し、実施1、4の空気入りタイヤを用いた。
・実施例1では、溝部の半径を10mmとした空気入りタイヤを用いた。
・実施例4では、溝部の半径を5mmとした空気入りタイヤを用いた。他の条件は実施例1のものと同様である。
上記空気入りタイヤのサイズは315/80R22.5、内圧を825kPa、荷重を3750kgfかけた状態で、車両を300000km走行させた後に、クラックの発生率を測定して評価した。
Claims (4)
- 左右一対のビード間でトロイド状に延びるカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、ベルト層とトレッド踏面とがこの順に設けられ、前記トレッド踏面に、少なくともそのタイヤ幅方向両端部に陸部が区画されるようにタイヤ周方向に延びる主溝がタイヤ幅方向に間隔をあけて複数形成された空気入りタイヤであって、
前記トレッド踏面の幅方向両端からそれぞれタイヤ径方向内側に向けて延びるバットレス部において、複数の前記主溝のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する最外主溝の底部からタイヤ幅方向に沿って延長した第1仮想線が交わる第1交差部と、前記ベルト層のうち最もタイヤ径方向内側に位置する最内ベルト層のタイヤ幅方向端部から該最内ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第2仮想線が交わる第2交差部との間に、タイヤ幅方向に凹む溝部がタイヤ周方向に沿って形成され、
前記溝部の前記バットレス部における開口幅が、この溝部の深さよりも大に設定され、
前記溝部の中心が、前記バットレス部における、前記第1の交差部と、前記ベルト層のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する最大幅ベルト層のタイヤ幅方向端部から該最大幅ベルト層に沿ってタイヤ幅方向外方へ延長した第3の仮想線が交わる第3交差部との間に存することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1に記載の空気入りタイヤであって、
前記溝部は、タイヤ幅方向に沿う断面視形状が単一の円弧となっていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1または2に記載の空気入りタイヤであって、
前記最外主溝の底部には、タイヤ径方向外方へ突出しかつタイヤ周方向に連続して延びるリブが設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤであって、
前記第1の交差部とトレッド踏面の端部とを結ぶ第4の仮想線とタイヤ軸線に直交する面とのなす角度が30°以下に設定されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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