(実施形態1)
以下、本実施形態のセンサ装置について図1〜図13を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置は、図1(c)および図2に示すように後述のセンシング部が形成されたセンサ基板(センサ本体)1と、センサ基板1の一表面側(図1(c)の上面側)に封着されたパッケージ用基板(以下、第1のパッケージ用基板と称す)2と、センサ基板1の他表面側(図1(c)の下面側)に封着されたパッケージ用基板(以下、第2のパッケージ用基板と称す)3とを備えている。ここにおいて、センサ基板1および各パッケージ用基板2,3の外周形状は矩形状であり、各パッケージ用基板2,3はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。なお、図1(c)は図2のA−A’概略断面に対応する図である。
上述のセンサ基板1は、シリコン基板からなる支持基板10a上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)10b上にn形のシリコン層(活性層)10cを有するSOIウェハを加工することにより形成してあり、第1のパッケージ用基板2は第1のシリコンウェハを加工することにより形成し、第2のパッケージ用基板3は第2のシリコンウェハを加工することにより形成してある。なお、本実施形態では、SOIウェハにおける支持基板10aの厚さを300μm〜500μm程度、絶縁層10bの厚さを0.3μm〜1.5μm程度、シリコン層10cの厚さを4μm〜10μm程度とし、また、第1のシリコンウェハの厚さを200μm〜300μm程度、第2のシリコンウェハの厚さを100〜300μm程度としてあるが、これらの数値は特に限定するものではない。また、SOIウェハの主表面であるシリコン層10cの表面は(100)面としてある。
センサ基板1は、図6〜図8に示すように、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の内側に配置される重り部12が一表面側(図1(c)および図6(b)の上面側)において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。言い換えれば、センサ基板1は、枠状のフレーム部11の内側に配置される重り部12が重り部12から四方へ延長された4つの撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。ここで、フレーム部11は、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成してある。これに対して、撓み部13は、上述のSOIウェハにおけるシリコン層10cを利用して形成してあり、フレーム部11よりも十分に薄肉となっている。
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、センサ基板1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、センサ基板1の上記一表面側から見て、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板10aを利用して形成してある。しかして、センサ基板1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面からセンサ基板1の上記他表面側(図1(c)および図6(b)の下面側)へ離間して位置している。なお、センサ基板1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
ところで、図6(a),(b)それぞれの右下に示したように、センサ基板1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ基板1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。なお、上述のx軸、y軸、z軸の3軸により規定した直交座標では、センサ基板1において上述のシリコン層10cにより形成された部分の表面における重り部12の中心位置を原点としている。
重り部12のコア部12aからx軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の右側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx2,Rx4が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz2が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからx軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の左側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx1,Rx3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz3が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、x軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図9における左側のブリッジ回路Bxを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4は、x軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、重り部12のコア部12aからy軸の正方向に延長された撓み部13(図6(a)の上側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry1,Ry3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz1が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからy軸の負方向に延長された撓み部13(図6(a)の下側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry2,Ry4が形成されるとともに、フレーム部11側の端部に1つのピエゾ抵抗Rz4が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、y軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図9における中央のブリッジ回路Byを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Ry1〜Ry4は、y軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、フレーム部11近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、z軸方向の加速度を検出するために形成されたものであり、図9における右側のブリッジ回路Bzを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。ただし、2つ1組となる撓み部13,13のうち一方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz1,Rz4は長手方向が撓み部13,13の長手方向と一致するように形成されているのに対して、他方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz2,Rz3は長手方向が撓み部13,13の幅方向(短手方向)と一致するように形成されている。
なお、図1〜図3および図6では、センサ基板1における金属配線17のうち第1の電気接続用金属層19近傍の部位のみを図示してあり、拡散層配線の図示は省略してある。
ここで、センサ基板1の動作の一例について説明する。
いま、センサ基板1に加速度がかかっていない状態で、センサ基板1に対してx軸の正方向に加速度がかかったとすると、x軸の負方向に作用する重り部12の慣性力によってフレーム部11に対して重り部12が変位し、結果的にx軸方向を長手方向とする撓み部13,13が撓んで当該撓み部13,13に形成されているピエゾ抵抗Rx1〜Rx4の抵抗値が変化することになる。この場合、ピエゾ抵抗Rx1,Rx3は引張応力を受け、ピエゾ抵抗Rx2,Rx4は圧縮応力を受ける。一般的にピエゾ抵抗は引張応力を受けると抵抗値(抵抗率)が増大し、圧縮応力を受けると抵抗値(抵抗率)が減少する特性を有しているので、ピエゾ抵抗Rx1,Rx3は抵抗値が増大し、ピエゾ抵抗Rx2,Rx4は抵抗値が減少することになる。したがって、図9に示した一対の入力端子VDD,GND間に外部電源から一定の直流電圧を印加しておけば、図9に示した左側のブリッジ回路Bxの出力端子X1,X2間の電位差がx軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。同様に、y軸方向の加速度がかかった場合には図9に示した中央のブリッジ回路Byの出力端子Y1,Y2間の電位差がy軸方向の加速度の大きさに応じて変化し、z軸方向の加速度がかかった場合には図9に示した右側のブリッジ回路Bzの出力端子Z1,Z2間の電位差がz軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。しかして、上述のセンサ基板1は、各ブリッジ回路Bx〜Bzそれぞれの出力電圧の変化を検出することにより、当該センサ基板1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。本実施形態では、重り部12と各撓み部13とで可動部を構成しており、各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4それぞれが、センサ基板1におけるセンシング部を構成している。
ところで、センサ基板1は、図9に示すように、上述の3つのブリッジ回路Bx,By,Bzに共通の2つの入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの2つの出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの2つの出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの2つの出力端子Z1,Z2とを備えており、これらの各入力端子VDD,GNDおよび各出力端子X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2が、上記一表面側(つまり、第1のパッケージ用基板2側)に第1の電気接続用金属層19として設けられており、第1のパッケージ用基板2に形成された貫通孔配線24と電気的に接続されている。すなわち、センサ基板1には、8つの第1の電気接続用金属層19が形成され、第1のパッケージ用基板2には、8つの貫通孔配線24が形成されている。なお、8つの第1の電気接続用金属層19は、外周形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、フレーム部11の周方向に離間して配置されている(矩形枠状のフレーム部11の4辺それぞれに2つずつ配置されている)。
また、センサ基板1のフレーム部11上には、フレーム部11よりも開口面積が大きな枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の8つの第1の電気接続用金属層19は、フレーム部11において第1の封止用金属層18よりも内側に配置されている。要するに、センサ基板1は、第1の封止用金属層18の幅寸法をフレーム部11の幅寸法に比べて小さく設定し、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とを同一平面上に形成してある。
ここにおいて、センサ基板1は、上記一表面側において上記シリコン層10c上にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16が形成されており、第1の電気接続用金属層19および第1の封止用金属層18および金属配線17は絶縁膜16の同一レベル面上に同一厚さで形成されている。なお、絶縁膜16は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜に限らず、例えば、シリコン酸化膜や、BPSG膜などにより構成してもよい。
また、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜16との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、絶縁膜16の同一レベル面上に形成された下層のTi膜と当該Ti膜上に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とは同一の金属材料により形成されているので、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同時に形成することができるとともに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を200nmに設定してあり、金属配線17の膜厚は1μmに設定してあるが、これらの数値は一例である。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。
上述の各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4および上記各拡散層配線は、上記シリコン層10cにおけるそれぞれの形成部位に適宜濃度のp形不純物をドーピングすることにより形成されており、上述の金属配線17は、絶縁膜16上にスパッタ法や蒸着法などにより成膜した金属膜(例えば、Al膜、Al合金膜など)をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることにより形成されており、金属配線17は絶縁膜16に設けたコンタクトホールを通して拡散層配線と電気的に接続されている。また、第1の電気接続用金属層19と金属配線17とは、第1の電気接続用金属層19における金属配線17との接続部位19b(図3(b)参照)が、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1との対向面に形成された後述の変位空間形成用凹部21内に位置する形で電気的に接続されている。
第1のパッケージ用基板2は、図10〜図12に示すように、センサ基板1側(図1(c)における下面側)の表面に、センサ基板1の重り部12と各撓み部13とで構成される可動部の変位空間を確保する上述の変位空間形成用凹部21が形成されるとともに、変位空間形成用凹部21の周部に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、8つ)の貫通孔22が形成されており、厚み方向の両面と各貫通孔22の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。ここにおいて、第1のパッケージ用基板2の8つの貫通孔配線24は当該第1のパッケージ用基板2の周方向に離間して形成されている。また、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
また、第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において変位空間形成用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数(本実施形態では、8つ)の第2の電気接続用金属層29が形成されている。第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部には、全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の8つの第2の電気接続用金属層29は、外周形状が細長の長方形状であり、第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されて電気的に接続されており、他端側の部位がセンサ基板1の金属配線17よりも外側でセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、第1のパッケージ用基板2の周方向において貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、長手方向が第2の封止用金属層28の周方向に一致し且つ貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。
また、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、絶縁膜23の同一レベル面上に形成された下層のTi膜と当該Ti膜上に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とは同一の金属材料により形成されているので、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同時に形成することができるとともに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を200nmに設定してあるが、これらの数値は一例である。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。
また、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
第2のパッケージ用基板3は、図13に示すように、センサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する所定深さ(例えば、5μm〜10μm程度)の凹部31を形成してある。ここにおいて、凹部31は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成してある。なお、本実施形態では、第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する凹部31を形成してあるが、重り部12のコア部12aおよび各付随部12bのうち支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さを、フレーム部11において支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さに比べて、センサ基板1の厚み方向への重り部12の許容変位量分だけ薄くするようにすれば、第2のパッケージ用基板3に凹部31を形成しなくても、センサ基板1の上記他表面側には上記他表面に交差する方向への重り部12の変位を可能とする隙間が重り部12と第2のパッケージ用基板3との間に形成される。
ところで、上述の加速度センサにおけるセンサ基板1と第1のパッケージ用基板2とは、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とが接合されるとともに、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とが接合され、センサ基板1と第2のパッケージ用基板3とは、互いの対向面の周部同士が接合されている。また、本実施形態の加速度センサは、図1(a)〜(c)に示すように、上述のSOIウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10と、上述の第1のシリコンウェハに第1のパッケージ用基板2を複数形成した第1のパッケージウェハ20と、上述の第2のシリコンウェハに第2のパッケージ用基板3を複数形成した第2のパッケージウェハ30とをウェハレベルで接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成してから、センサ基板1のサイズに基づいて規定した所望のサイズにダイシング工程により分割されている(図1(c)の加速度センサは図1(a)に示すウェハレベルパッケージ構造体100のうち丸Aで囲んだ部分の断面に相当している)。したがって、第1のパッケージ用基板2と第2のパッケージ用基板3とがセンサ基板1と同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。なお、上述の説明から分かるように、第1のパッケージウェハ20は、センサ基板1に対応する領域ごとにセンサ基板1のセンシング部に電気的に接続される貫通孔配線24が形成されている。なお、本実施形態では、センサ基板1の絶縁膜16、つまり、センサウェハ10に形成された絶縁膜16が第1の絶縁膜を構成し、第1のパッケージ用基板2の絶縁膜23、つまり、第1のパッケージウェハ20に形成された絶縁膜23が第2の絶縁膜を構成している。
ここにおいて、本実施形態では、センサウェハ10と各パッケージウェハ20,30との接合方法として、センサ基板1の残留応力を少なくするためにより低温での接合が可能な常温接合法を採用している。常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で接合する。本実施形態では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加して、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とを常温接合するのと同時に、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを常温接合しており、また、上述の常温接合法により、常温下でセンサ基板1のフレーム部11と第2のパッケージ用基板3の周部とを常温接合している。
しかして、本実施形態におけるウェハレベルパッケージ構造体100では、センサウェハ10と第1のパッケージウェハ20との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士が常温接合されており、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30とが常温接合されており、センサウェハ10と各第1のパッケージウェハ20,30とを半田リフローのような熱処理を必要とする方法により接合する場合に比べて、センシング部を構成するピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4が熱応力の影響を受けにくくなるという利点がある。また、本実施形態では、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3とが同じ半導体材料であるSiにより形成されているので、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3との線膨張率差に起因した応力(センサ基板1における残留応力)が上記ブリッジ回路の出力信号に与える影響を低減でき、各パッケージ用基板2,3がセンサ基板1と異なる材料により形成されている場合に比べて、センサ特性のばらつきを低減することができる。なお、センサ基板1は、SOIウェハを加工して形成してあるが、SOIウェハに限らず、例えば、シリコンウェハを加工して形成してもよい。
以上説明した本実施形態におけるウェハレベルパッケージ構造体100および加速度センサでは、センサウェハ10と貫通孔配線24が形成された第1のパッケージウェハ20とを接合する際に、センサウェハ10と第1のパッケージウェハ20との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を介在物なしに直接接合する製造プロセスを採用することができ、従来のように接合箇所ごとに半田を供給してからリフローのような熱処理を行う製造プロセスを採用する場合に比べて、製造プロセスの簡略化を図れ、また、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を直接接合する方法として常温接合法のような低温プロセスを採用することができ、プロセス温度の低温化を図れる。
また、本実施形態では、第1の封止用金属層18と第1の電気接続用金属層19とが、センサウェハ10の同一レベル面(センサウェハ10の厚み方向に直交する同一レベル面)上に同一厚さで形成されるとともに、第2の封止用金属層28と第2の電気接続用金属層29とが、貫通孔配線24が形成された第1のパッケージウェハ20の同一レベル面(第1のパッケージウェハ20の厚み方向に直交する同一レベル面)上に同一厚さで形成されているので、封止用金属層18,28同士の接合信頼性および電気接続用金属層19,29同士の接合信頼性を高めることが可能になるとともに、センサウェハ10と第1のパッケージウェハ20との接合時の荷重の制御が容易になる。
ここにおいて、本願発明者らは、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を接合する接合工程の歩留りを向上するために、封止用金属層18,28および電気接続用金属層19,29における上層のAu膜の膜厚および下層の材料について検討した。
Au膜の膜厚の検討に関しては、具体的には、センサウェハ10の基礎となるSOIウェハと同じ仕様のSOIウェハの一表面側の全面に絶縁膜(センサ基板1の絶縁膜16、つまり、センサウェハ10の絶縁膜16と同じ条件で成膜した絶縁膜)と下層のTi膜と上層のAu膜とを積層した接合試験用SOIウェハと、第1のパッケージウェハ20の基礎となるシリコンウェハと同じ仕様のシリコンウェハの一表面側の全面に絶縁膜(第1のパッケージ用基板2の絶縁膜23、つまり、第1のパッケージウェハ20の絶縁膜23と同じ条件で成膜した絶縁膜)と下層のTi膜と上層のAu膜とを積層した接合試験用シリコンウェハとをAu膜厚(Au膜の膜厚)を同じとして種々のAu膜厚について用意して常温接合法による接合工程を行ってから、超音波顕微鏡法によって接合試験用SOIウェハと接合試験用シリコンウェハとの接合面積がウェハ面積に占める割合を接合面積率として評価した(なお、Ti膜およびAu膜はスパッタ法により成膜した)。
その結果、図4に示すように、Au膜厚の増加とともに接合面積率が減少し、Au膜厚が500nm以下であれば、接合面積率として90%よりも大きな値が得られるという知見を得た。ところで、センサ装置の製造にあたっての総合歩留りを向上するためには、各工程ごとの歩留りを向上する必要があり、各工程ごとの歩留りを90%以上の値にすることが望ましいが、図4の結果から、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を接合する接合工程の歩留りを90%以上とするためには、Au膜厚を500nm以下に設定すればよいことが分かる。なお、図4の結果において、Au膜厚が増加するにつれて接合面積率が減少しているのは、Au膜の表面が粗くなって接合不良が起こりやすくなるためであると推測される。また、Au膜厚の下限値については、Au膜厚が薄くなりすぎると、Au膜の膜連続性が低下して抵抗が高くなったり、電気接続用金属層19,29間で導通不良が起こりやすくなるので、10nm以上に設定することが望ましい。
また、Au膜の表面あらさを種々変化させた場合の接合面積率の変化について評価したところ、下記表1および図5に示す結果が得られた。なお、表1および図5では、表面あらさとして、AFM(atomic force microscope)を用いて測定した上層のAu膜表面のRMSあらさの値を示してある。
表1および図5の結果から、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を接合する接合工程の歩留りを90%以上とするためには、上層のAu膜の表面のRMSあらさを1.8nm以下に設定すればよいことが分かる。
一方、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29における下層の材料としては、上述のように、Tiに限らず、例えば、Ti、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNの群から選択される材料であればよい。
ここで、封止用金属層18,28および電気接続用金属層19,29における下層の材料として、上述のTi、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNの群から選択される材料であるTi、Crを採用した場合と、当該群に含まれる材料以外の材料であるTiWを採用した場合とを比較検討した一例について説明する。具体的には、上述の図4の結果から、接合面積率として略100%の値が得られた条件を基本条件(上層のAu膜の膜厚が200nm、下層のTi膜の膜厚が30nm)とし、下層の材料をTi、Cr、TiWで異ならせた接合試験用SOIウェハおよび接合試験用シリコンウェハを用意して、表面あらさ、接合面積率、加工性について評価した(なお、Ti膜、TiW膜、Cr膜、Au膜は、いずれもスパッタ法により成膜した)。その結果を下記表2に示す。
ここにおいて、表2では、表面あらさとして、AFMを用いて測定した上層のAu膜表面のRMSあらさの値を示してあり、加工性については、下層と上層との積層膜をパターニングするフッ酸系溶液に対する耐侵食性の高い材料(サイドエッチングが少ない材料)に「○」を記載し、「○」の材料よりはサイドエッチングがやや多い材料に「△」を記載してある。
表2の結果から、下層の材料として、TiもしくはCrを採用すれば、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29が下層のTiW膜と上層のAu膜との積層膜により構成されている場合に比べて、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の密着性が高くなり接合工程の歩留りの向上を図れることが分かる。
また、表2の結果から、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29を下層のCr膜と上層のAu膜との積層膜により構成すれば、下層がTi膜である場合に比べて、接合面積率がやや低下するものの、センサウェハ10における第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19をパターニングするエッチング工程、貫通孔配線24が形成された第1のパッケージウェハ20における第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29をパターニングするエッチング工程それぞれの工程における下層のサイドエッチングを抑制することができ、各エッチング工程の歩留りの向上を図れることが分かる。
しかして、本実施形態のウェハレベルパッケージ構造体100では、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29が、Ti、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNの群から選択される材料により形成された下層と、表面のRMSあらさが1.8nm以下に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されているので、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29における上層のAu膜の表面あらさが1.8nmよりも大きい場合に比べて、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の密着性が高くなり接合工程の歩留りの向上を図れる。また、本実施形態では、センサ本体であるセンサ基板1が、検出対象が加速度である加速度センサ本体を構成しているので、センサ装置として加速度センサを複数備えたウェハレベルパッケージ構造体100について、製造プロセスの簡略化を図れるとともにプロセス温度の低温化を図れ且つ接合工程の歩留りの向上を図れる。
また、本実施形態では、センサウェハ10の一表面側(図1(c)の上面側)とは反対の他表面側(図1(c)の下面側)に接合する第2のパッケージウェハ30とが常温接合法のような低温プロセスにより直接接合されているので、センサウェハ10と第2のパッケージウェハ30との接合のために両者に封止用金属層を形成する必要がなく、製造プロセスの簡略化を図れる。
(実施形態2)
以下、本実施形態のセンサ装置について図14〜図20を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置である加速度センサの基本構成は実施形態1と略同じであり、センサ本体であるセンサ基板1に、CMOSを用いた集積回路(CMOS IC)であってセンシング部と協働する集積回路が形成されたIC領域部E2を設けてある点などが実施形態1と相違する。ここにおいて、上記集積回路は、実施形態1にて説明したブリッジ回路Bx,By,Bzの出力信号に対して増幅、オフセット調整、温度補償などの信号処理を行って出力する信号処理回路や、信号処理回路において用いるデータを格納したEEPROMなどが集積化されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、図14および図16に示すように、実施形態1にて説明したフレーム部11の一部、重り部12、各撓み部13、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4などが形成されたセンサ領域部E1と、上記集積回路が形成された上述のIC領域部E2と、実施形態1にて説明した第1の封止用金属層18などが形成された接合領域部E3とを備え、平面視において中央部に位置するセンサ領域部E1をIC領域部E2が囲み、IC領域部E2を接合領域部E3が囲むように各領域部E1〜E3のレイアウトが設計されている。ここで、本実施形態では、実施形態1におけるセンサ基板1のフレーム部11の外形寸法を大きくしてあり(言い換えれば、フレーム部11の幅寸法を大きくしてあり)、フレーム部11に上記集積回路を形成してある。
ところで、センサ基板1は、実施形態1と同様にSOIウェハを用いて形成されており、IC領域部E2では、多層配線技術を利用してセンサ基板1における当該IC領域部E2の占有面積の縮小化を図っている。このため、センサ基板1のIC領域部E2では、シリコン層10c上のシリコン酸化膜と当該シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16の表面側に、層間絶縁膜やパッシベーション膜などからなる多層構造部41が形成され、上記パッシベーション膜の適宜部位を除去することにより複数のパッド42を露出させてあり、各パッド42が金属材料(例えば、Auなど)からなる引き出し配線43を介して接合領域部E3の絶縁膜16上の第1の電気接続用金属層19と電気的に接続されている(図17参照)。ここで、本実施形態では、引き出し配線43の材料と第1の電気接続用金属層19の材料とを同じとして、引き出し配線43と第1の電気接続用金属層19とが連続する形で形成されている。なお、IC領域部E2に形成された複数のパッド42には、信号処理回路を通してセンシング部と電気的に接続されるものと、信号処理回路を通さずにセンシング部と電気的に接続されるものがあるが、いずれにしても、第1のパッケージ用基板2の貫通孔配線24とセンシング部とが電気的に接続されることとなる。
また、本実施形態では、実施形態1と同様に、第1のシリコンウェハを用いて形成された第1のパッケージ用基板2(図14、図18、図19参照)および第2のシリコンウェハを用いて形成された第2のパッケージ用基板3(図14、図20参照)がセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されており、本実施形態における第1のパッケージ用基板2は、実施形態1にて説明した変位空間形成用凹部21の開口面の投影領域内にセンサ領域部E1およびIC領域部E2が収まるように変位空間形成用凹部21の開口面積を実施形態1に比べて大きくしてあり、IC領域部E2の多層構造部41が変位空間形成用凹部21内に配置されるようになっている(図14、図15参照)。
以下、上述のSOIウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10の製造方法について図21を参照しながら簡単に説明するが、図21(a)〜(d)は図16(a)のA−A’断面に対応する部分の断面を示してある。
まず、SOIウェハの主表面側(シリコン層10cの表面側)に各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4、ブリッジ回路Bx,By,Bz形成用の拡散層配線や上記集積回路などの回路要素をCMOSプロセス技術などを利用して形成する。ここにおいて、IC領域部E2の各パッド42を露出させる工程が終了した段階では、上述の多層構造部41がセンサ領域部E1および接合領域部E3にも形成されているが、多層構造部41のうちセンサ領域部E1および接合領域部E3に対応する部位に形成されている部分には金属配線は設けられていない。
上述の各パッド42を露出させる工程が終了した後、多層構造部41のうちセンサ領域部E1および接合領域部E3それぞれに対応する部位に形成されている部分を露出させるようにパターニングされたレジスト層を形成し、当該レジスト層をエッチングマスクとして、多層構造部41の露出部分をシリコン層10c上の絶縁膜16のシリコン窒化膜をエッチングストッパ層としてウェットエッチングによりエッチング除去し、続いて、レジスト層を除去することによって、図21(a)に示す構造を得る。
その後、SOIウェハの主表面側に第1の封止用金属層18、各電気接続用金属層19、および各引き出し配線43をスパッタ法などの薄膜形成技術およびフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成してから、SOIウェハの主表面側に、上述の絶縁膜16においてフレーム部11、重り部12のコア部12a、各撓み部13それぞれに対応する部位を覆い他の部位を露出させるようにパターニングされたレジスト層を形成し、当該レジスト層をエッチングマスクとして、絶縁膜16の露出部分をエッチングすることで絶縁膜16をパターニングし、SOIウェハを主表面側から絶縁層10bに達する深さまで絶縁層10bをエッチングストッパ層としてエッチングする表面側パターニング工程を行い、続いて、レジスト層を除去することによって、図21(b)に示す構造を得る。この表面側パターニング工程を行うことによって、SOIウェハにおけるシリコン層10cは、フレーム部11に対応する部位と、コア部12aに対応する部位と、各撓み部13それぞれに対応する部位とが残る。なお、この表面側パターニング工程におけるエッチングに際しては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置を用いてドライエッチングを行えばよく、エッチング条件としては、絶縁層10bがエッチングストッパ層として機能するような条件を設定する。
上述の表面側パターニング工程に続いてレジスト層を除去した後、SOIウェハの裏面側で支持基板10aに積層されているシリコン酸化膜10dにおいてフレーム部11に対応する部位とコア部12aに対応する部位と各付随部12bそれぞれに対応する部位とを覆い且つ他の部位を露出させるようにパターニングされたレジスト層を形成し、当該レジスト層をエッチングマスクとして、シリコン酸化膜10dの露出部分をエッチングすることでシリコン酸化膜10dをパターニングし、レジスト層を除去してから、シリコン酸化膜10dをエッチングマスクとして、SOIウェハを裏面側から絶縁層10bに達する深さまで絶縁層10bをエッチングストッパ層として略垂直にドライエッチングする裏面側パターニング工程を行うことによって、図21(c)に示す構造を得る。この裏面側パターニング工程を行うことにより、SOIウェハにおける支持基板10aは、フレーム部11に対応する部位と、コア部12aに対応する部位と、各付随部12bそれぞれに対応する部位とが残る。なお、この裏面側パターニング工程におけるエッチング装置としては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置を用いればよく、エッチング条件としては、絶縁層10bがエッチングストッパ層として機能するような条件を設定する。
裏面側パターニング工程の後、絶縁層10bのうちフレーム部11に対応する部位およびコア部12aに対応する部位を残して不要部分をウェットエッチングによりエッチング除去することでフレーム部11、各撓み部13、重り部12を形成する分離工程を行うことによって、図21(d)に示す構造を得る。なお、この分離工程において、SOIウェハの裏面側のシリコン酸化膜10dもエッチング除去される。
本実施形態の加速度センサは、実施形態1と同様に、SOIウェハにセンサ基板(センサ本体)1を複数形成したセンサウェハ10と、上述の第1のシリコンウェハに第1のパッケージ用基板(貫通孔配線形成基板)2を複数形成した第1のパッケージウェハ20と、上述の第2のシリコンウェハに第2のパッケージ用基板(カバー基板)3を複数形成した第2のパッケージウェハ30とをウェハレベルで常温接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成してから、センサ基板1のサイズに基づいて規定した所望のサイズにダイシング工程により分割されている(なお、図14(c)の加速度センサは図14(a)に示すウェハレベルパッケージ構造体100のうち丸Aで囲んだ部分の断面に相当している)。したがって、各パッケージ用基板2,3がセンサ基板1と同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。
ここにおいて、本実施形態においても、実施形態1と同様、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29が、Ti、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNの群から選択される材料により形成された下層と、表面のRMSあらさが1.8nm以下に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されているので、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29における上層のAu膜の表面あらさが1.8nmよりも大きい場合に比べて、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の密着性が高くなり接合工程の歩留りの向上を図れる。
また、本実施形態の加速度センサでは、実施形態1の加速度センサと、実施形態1の加速度センサのセンシング部と協働する集積回路を形成したICチップとを1つのパッケージに収納したセンサモジュールに比べて小型化および低コスト化を図れ、また、センシング部と集積回路との間の配線長を短くすることができ、センサ性能の向上を図れる。
(実施形態3)
以下、本実施形態のセンサ装置について図22および図23を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置は、赤外線センサであり、センシング部である熱型赤外線検出部113が形成されたセンサ基板1と、センサ基板1の一表面側に封着されたパッケージ用基板2とを備えている。ここにおいて、パッケージ用基板2は、センサ基板1の一表面側において熱型赤外線検出部113を囲みセンサ基板1との間にキャビティ130が形成される形で封着されている。センサ基板1およびパッケージ用基板2の外周形状は矩形状であり、パッケージ用基板2はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。また、本実施形態では、センサ基板1およびパッケージ用基板2は、それぞれシリコンウェハを加工することにより形成してある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、図22は、図23をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面図に対応するものである。
センサ基板1は、シリコンウェハの一部からなる第1の半導体基板10dと当該第1の半導体基板10dの主表面上に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜16とで構成されるベース基板部112と、上述の熱型赤外線検出部113と、熱型赤外線検出部113とベース基板部112とを熱絶縁する断熱部114とを備えている。なお、本実施形態における断熱部114は、ベース基板部112の一表面から熱型赤外線検出部113が離間して配置されるように熱型赤外線検出部113を支持している。
断熱部114は、熱型赤外線検出部113を保持した保持部114aと、保持部114aとベース基板部112とを連結した2つの脚部114b,114bとを有している。なお、断熱部114については、後述する。
熱型赤外線検出部113は、温度に応じて電気抵抗値が変化するボロメータ形のセンシングエレメントであり、保持部114a側のTi膜と当該Ti膜上のTiN膜とからなるセンサ層で構成されている。ここで、TiN膜は、Ti膜の酸化防止膜として設けてある。なお、センサ層の材料としては、Tiに限らず、例えば、アモルファスSi、VOxなどを採用してもよい。また、熱型赤外線検出部113は、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメントに限らず、温度に応じて誘電率が変化するセンシングエレメント、サーモパイル型のセンシングエレメント、焦電型のセンシングエレメントなどを採用してもよく、いずれのセンシングエレメントを採用した場合でも、材料を適宜選択することで一般的な薄膜形成技術を利用して形成することができる。ここにおいて、温度に応じて誘電率の変化するセンシングエレメントの材料としては、例えば、PZT、BSTなどを採用すればよい。
熱型赤外線検出部113は、平面形状が蛇行した形状(ここでは、つづら折れ状の形状)に形成されており、両端部が断熱部114の脚部114b,114bに沿って延長された配線層115,115および当該配線層115,115に電気的に接続された引出し配線116,116を介してベース基板部112の周部の接合用領域部E3における絶縁膜16上の第1の電気接続用金属層19,19と電気的に接続されている。ここにおいて、本実施形態におけるセンサ基板1では、引き出し配線116の一端部が配線層115上に形成されるとともに、他端部が絶縁膜16上に形成された第1の電気接続用金属層19上に形成されている。要するに、本実施形態におけるセンサ基板1では、熱型赤外線検出部113および配線層115,115が形成された断熱部114の表面と接合用領域部E3との間に段差が形成され、この段差に沿って引き出し配線116が形成されている。本実施形態では、配線層115,115の材料として、熱型赤外線検出部113を構成するセンサ層と同じ材料を採用しており(ここでは、Ti膜とTiN膜との積層膜)、配線層115,115と熱型赤外線検出部113とを同時に形成している。また、引き出し配線116,116の膜厚が第1の電気接続用金属層19の膜厚よりも厚く設定してあるので、引き出し配線116,116の断線を防止することができる。
上述の断熱部114における脚部114b,114bは、ベース基板部112の上記一表面側において立設された支持ポスト部114b2,114b2と、支持ポスト部114b2,114b2の上端部と保持部114aとを連結した梁部114b1,114b1とで構成されており、保持部114aとベース基板部112との間に間隙117が形成されている。ここで、保持部114aの外周形状が矩形状であって、各梁部114b1,114b1は、保持部114aの一側縁の長手方向の一端部から当該一側縁に直交する方向に延長され更に当該一側縁の上記一端部から他端部に向う方向に沿って延長された平面形状に形成されており、保持部114aの厚み方向に沿った中心軸に対して回転対称性を有するように配置されている。なお、上述の配線層115,115の線幅は、当該配線層115,115を通した熱伝達を抑制するために梁部114b1,114b1の幅寸法よりも十分に小さく設定してある。また、支持ポスト部114b2,114b2は、引き出し配線116,116により補強されている。
また、上述の断熱部114の脚部114b,114bおよび保持部114aは、電気絶縁性を有する多孔質材料により形成されている。ここで、断熱部114の脚部114b,114bおよび保持部114aの多孔質材料として、多孔質の酸化シリコンの一種であるポーラスシリカを採用しているが、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマーの一種であるメチル含有ポリシロキサン、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの一種であるSi−H含有ポリシロキサン、シリカエアロゲルなどを採用してもよく、多孔質材料として、多孔質の酸化シリコン、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマー、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの群から選択される材料を採用すれば、断熱部114の形成にあたっては、ゾルゲル溶液をベース基板部112の上記一表面側に回転塗布してから、乾燥させるプロセスを採用することができ、断熱部114を容易に形成することが可能となる。
ここにおいて、本実施形態における断熱部114は、多孔度が60%のポーラスシリカ膜(多孔質シリコン酸化膜)により構成してあるが、多孔度が小さ過ぎると十分な断熱効果が得られず多孔度が大き過ぎると機械的強度が弱くなって構造形成が困難となるので、ポーラスシリカ膜の多孔度は例えば10%〜80%程度の範囲内で適宜設定すればよい。
上述のセンサ基板1では、断熱部114における保持部114aが多孔質材料により形成されているので、保持部114aがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、保持部114aの低熱容量化を図れ、応答速度のより一層の高速化を図れる。さらに、本実施形態におけるセンサ基板1では、断熱部114における脚部114bも多孔質材料により形成されているので、脚部114bがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、脚部114bの熱コンダクタンスを小さくできて高感度化を図れるとともに脚部114bの熱容量を小さくできて応答速度の高速化を図れるから、高性能化を図れる。
ところで、センサ基板1の接合用領域部E3では、上述の絶縁膜16上に、枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の複数の第1の電気接続用金属層19が第1の封止用金属層18よりも内側で絶縁膜16上に形成されている。要するに、センサ基板1は、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とが、絶縁膜16を下地層として同一レベル面上に同一厚さで形成されている。ここで、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、実施形態1と同じ積層構造を有している。
一方、パッケージ用基板2は、センサ基板1とは別のシリコンウェハの一部からなる第2の半導体基板20dにおいて、センサ基板1側の表面である一表面に、熱型赤外線検出部113を熱絶縁する熱絶縁用凹部121が形成されている。また、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部121の周部に、厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔22が形成されており、厚み方向の両面と各貫通孔22の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔22の内側に形成された貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。ここにおいて、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部121の開口面の投影領域内にセンサ基板1の熱型赤外線検出部113および断熱部114が収まるように熱絶縁用凹部121の開口面積を大きくしてある。なお、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。また、パッケージ用基板2における絶縁膜23は、熱絶縁用凹部121の開口面の投影領域内には形成されていない。
また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において熱絶縁用凹部121の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の第2の電気接続用金属層29が形成されている。また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部の全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の複数の第2の電気接続用金属層29が第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている(ここで、第2の封止用金属層28と各電気接続用金属層29とは絶縁膜23の同一レベル面上に同一厚さで形成してある)。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、外周形状が長方形状であり、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されており、他端側の部位がセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。また、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、実施形態1と同じ積層構造を有している。
また、パッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
ところで、上述のセンサ基板1とパッケージ用基板2とは、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とが接合されるとともに、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とが接合されている。本実施形態の赤外線センサの製造にあたっては、上述の第1の半導体基板10dの基礎となるシリコンウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10と、上述の第2の半導体基板20dの基礎となるシリコンウェハにパッケージ用基板2を複数形成したパッケージウェハ20とをウェハレベルで常温接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成する接合工程を行ってから、個々の赤外線センサに分割する分割工程(ダイシング工程)を行うことにより個々の赤外線センサに分割されている。したがって、パッケージ用基板2とセンサ基板1とが同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。ここにおいて、本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2とで囲まれた空間が真空雰囲気となっている。
以下、シリコンウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハ10の製造方法について図24を参照しながら説明するが、図24では、図23をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面を示してある。
まず、シリコンウェハの主表面側(第1の半導体基板10dの主表面側)にシリコン窒化膜からなる絶縁膜16を例えばLPCVD法により形成する絶縁膜形成工程を行うことによって、図24(a)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの主表面側(第1の半導体基板10dと絶縁膜16とからなるベース基板部112の主表面側)に断熱部114を形成するためにポリイミドからなる犠牲層131を形成する犠牲層形成工程を行うことによって、図24(b)に示す構造を得る。
続いて、シリコンウェハの主表面側の全面(ベース基板部12の主表面側の全面)に断熱部114の材料である多孔質材料(例えば、ポーラスシリカ、シリカエアロゲルなど)からなる多孔質膜140を成膜する多孔質膜成膜工程を行うことによって、図24(c)に示す構造を得る。ここにおいて、多孔質膜140の形成にあたっては、上記多孔質材料がポーラスシリカの場合には、ゾルゲル溶液をシリコンウェハの主表面側に回転塗布してから、熱処理で乾燥させるプロセスを採用することで容易に形成することができ、上記多孔質材料がシリカエアロゲルの場合には、ゾルゲル溶液をシリコンウェハの主表面側に回転塗布してから、超臨界乾燥処理で乾燥させるプロセスを採用することで容易に形成することができる。なお、本実施形態では、絶縁膜16と当該絶縁膜16の表面側の絶縁膜である多孔質膜140とで多層絶縁膜を構成している。
上述の多孔質膜成膜工程の後、シリコンウェハの主表面側の全面に熱型赤外線検出部113および配線層115,115の基礎となるTi膜とTiN膜との積層膜からなるセンサ材料層をスパッタ法などにより成膜するセンサ材料層成膜工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してセンサ材料層をパターニングすることでそれぞれセンサ材料層の一部からなる熱型赤外線検出部113および配線層115,115を形成するパターニング工程を行うことによって、図24(d)に示す構造を得る。
次に、上述の多孔質膜140のうち断熱部114に対応する部位に形成されている部分以外をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してエッチング除去する多孔質膜パターニング工程を行うことによって、図24(e)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、多孔質膜パターニング工程が、上記多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化する平坦化工程を兼ねており、当該平坦化工程のエッチバックでは、シリコン窒化膜からなる絶縁膜16をエッチングストッパ層として利用している。
その後、接合用領域部E3の絶縁膜16の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成する第1の金属層形成工程を行うことによって、図24(f)に示す構造を得る。したがって、第1の半導体基板10dの主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部113が形成された領域と第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。ここにおいて、第1の金属層形成工程では、シリコンウェハの主表面側(第1の半導体基板10の主表面側)に、第1の封止用金属層18、第1の電気接続用金属層19をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、絶縁膜16が第1の絶縁膜を構成している。
上述の第1の金属層形成工程の後、シリコンウェハの主表面側に上述の引き出し配線116を形成する引き出し配線形成工程を行うことによって、図24(g)に示す構造を得る。ここにおいて、引き出し配線形成工程では、シリコンウェハの主表面側に、引き出し配線116をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。なお、第1の金属層形成工程と引き出し配線形成工程との順序は逆でもよい。
その後、シリコンウェハの主表面側の犠牲層131を選択的にエッチング除去することで間隙117を形成することによって、図24(h)に示す構造のセンサ基板1が複数形成されたセンサウェハ10を得る。
以下、シリコンウェハに複数のパッケージ用基板2を形成したパッケージウェハ20の製造方法について図25を参照しながら説明するが、図25では、図23のA−A’断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、シリコンウェハの一表面(第2の半導体基板20dの一表面)に熱絶縁用凹部121をリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成する熱絶縁用凹部形成工程を行った後で、シリコンウェハに貫通孔22をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成する貫通孔形成工程を行い、その後、シリコンウェハの上記一表面側および他表面側および各貫通孔22の内周面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23を熱酸化法により形成する熱酸化工程を行い、続いて、電気メッキ技術およびCMP技術を利用して貫通孔配線24を形成する貫通孔配線形成工程を行ってから、シリコンウェハの上記他表面側に外部接続用電極25を形成する外部接続用電極形成工程を行うことによって、図25(a)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの上記一表面側に第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29を形成する第2の金属層形成工程を行うことによって、図25(b)に示す構造を得る。ここにおいて、第2の金属層形成工程では、シリコンウェハの上記一表面側に、第2の封止用金属層28、第2の電気接続用金属層29をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、絶縁膜23が第2の絶縁膜を構成している。
その後、シリコンウェハに形成されている絶縁膜23のうち上記一表面側および上記他表面側に形成されている部分のうち熱絶縁用凹部121の開口面の投影領域内に形成されている部位をエッチング除去することによって、図25(c)に示す構造のパッケージ用基板2が複数形成されたパッケージウェハ20を得る。
上述のセンサウェハ10およびパッケージウェハ20それぞれを形成した後、センサウェハ10とパッケージウェハ20とをウェハレベルで常温接合することでウェハレベルパッケージ構造体100を形成する接合工程を行ってから、センサ基板1のサイズに基づいて規定した所望のサイズに分割するダイシング工程を行えばよい。
以上説明した赤外線センサの製造方法によれば、シリコンウェハの主表面側に形成された上記多層絶縁膜のうちセンサ基板1におけるパッケージ用基板2との接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化した後で、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成しているので、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を同一レベル面上に同一厚さで形成することができるとともに、第1の封止用金属層18の表面および第1の電気接続用金属層19の表面の平坦性を高めることができ、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を直接接合する接合工程の歩留まりを高めることができるから、製造歩留まりの向上を図れる。なお、センサ基板1の主表面側に熱型赤外線検出部113を保護する保護膜として例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成するような場合には、熱型赤外線検出部113の形成後にシリコンウェハの主表面側に保護膜を形成してから、絶縁膜16と当該保護膜との積層膜からなる多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部分をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化し、その後、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成するようにしてもよい。
以上説明した本実施形態のウェハレベルパッケージ構造体100および赤外線センサは、実施形態1と同様、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29が、Ti、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNの群から選択される材料により形成された下層と、表面のRMSあらさが1.8nm以下に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されているので、各封止用金属層18,28および各電気接続用金属層19,29における上層のAu膜の表面あらさが1.8nmよりも大きい場合に比べて、封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の密着性が高くなり接合工程の歩留りの向上を図れる。また、本実施形態では、センサ本体であるセンサ基板1が、検出対象が赤外線である赤外線センサ本体を構成しているので、センサ装置として赤外線センサを複数備えたウェハレベルパッケージ構造体100について、製造プロセスの簡略化を図れるとともにプロセス温度の低温化を図れ且つ接合工程の歩留りの向上を図れる。
(実施形態4)
本実施形態のセンサ装置である赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100の基本構成は実施形態3と略同じであって、図26および図27に示すように、センサ基板1における第1の電気接続用金属層19が第1の封止用金属層18よりも外側に配置され、パッケージ用基板2に、第1の電気接続用金属層19を露出させる切欠部126が形成されている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、図26は、図27をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面図に対応するものである。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10dの主表面側の絶縁膜16が当該第1の半導体基板10dの主表面に形成された熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜16aと当該絶縁膜16a上のシリコン窒化膜からなる絶縁膜16bとで構成されており、当該絶縁膜16の一部からなる断熱部114上に熱型赤外線検出部113および配線層115,115が形成されている。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部114および第1の半導体基板10dの主表面に形成された凹所10eにより熱型赤外線検出部113と第1の半導体基板10dとが熱絶縁されている。本実施形態では、第1の半導体基板10dとして、導電形がn形で、主表面が(100)面のシリコン基板を用いており、凹所10eは、アルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成されている。
また、本実施形態では、配線層115と第1の電気接続用金属層19とを電気的に接続する引き出し配線116が、第1の半導体基板10dの主表面側に形成された拡散層配線により構成されており、配線層115が、絶縁膜16に開孔された第1のコンタクトホールCH1(図28(c)参照)を通して引き出し配線116と電気的に接続され、外部接続用のパッドとなる第1の電気接続用金属層19が、絶縁膜16と当該絶縁膜16上のシリコン酸化膜からなる保護膜16cとの積層膜に開孔された第2のコンタクトホールCH2(図28(f)参照)を通して引き出し配線116と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1の半導体基板10dとして、上述のように導電形がn形のシリコン基板を用いており、引き出し配線116を構成する拡散層配線は第1の半導体基板10dの主表面側の適宜部位にボロンなどのp形不純物をドーピングすることにより形成されている。また、第1の電気接続用金属層19は、引き出し配線116上に形成されたTi膜と当該Ti膜上のAu膜との積層膜からなるコンタクト部19aと、コンタクト部19a上のTi膜と当該Ti膜上のAu膜との積層膜からなるパッド部19bとで構成されている。ここで、パッド部19bは、Ti膜およびAu膜それぞれの膜厚が第1の封止用金属層18のTi膜およびAu膜それぞれの膜厚と同じに設定されており、第1の封止用金属層18と同時に形成されている。
一方、パッケージ用基板2は、第2の半導体基板20dの一表面に設けられた熱絶縁用凹部121の周部に絶縁膜23が形成され、絶縁膜23上に第2の封止用金属層28が形成されている。
以下、シリコンウェハに複数のセンサ基板1を形成したセンサウェハ10の製造方法について図28および図29を参照しながら説明するが、図28および図29では、図27のA−A’断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、シリコンウェハの主表面側(第1の半導体基板10dの主表面側)に拡散層配線からなる引き出し配線116をイオン注入法や熱拡散法などにより形成する引き出し配線形成工程を行うことによって、図28(a)に示す構造を得る。
続いて、シリコンウェハの主表面側に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜16aを熱酸化法により形成し、当該絶縁膜26上にシリコン窒化膜からなる絶縁膜11bを例えばLPCVD法により形成する絶縁膜形成工程を行うことによって、図28(b)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの主表面側の絶縁膜16aと絶縁膜16bとからなる絶縁膜16にリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第1のコンタクトホールCH1を形成する第1のコンタクトホール形成工程を行うことによって、図28(c)に示す構造を得る。
続いて、シリコンウェハの主表面側の全面に熱型赤外線検出部113および配線層115,115の基礎となるTi膜とTiN膜との積層膜からなるセンサ材料層をスパッタ法などにより成膜するセンサ材料層成膜工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してセンサ材料層をパターニングすることでそれぞれセンサ材料層の一部からなる熱型赤外線検出部113および配線115,115を形成するパターニング工程を行うことによって、図28(d)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの主表面側の全面にシリコン酸化膜からなる保護膜16cをプラズマCVD法などにより形成する保護膜形成工程を行うことによって、図28(e)に示す構造を得る。
続いて、シリコンウェハの主表面側の絶縁膜16と保護膜16cとからなる多層絶縁膜にリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第2のコンタクトホールCH2を形成する第2のコンタクトホール形成工程を行うことによって、図28(f)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの主表面側の全面にコンタクト部19aの基礎となるTi膜とAu膜との積層膜を成膜し、続いて、当該積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることでコンタクト部19aを形成するコンタクト部形成工程を行うことによって、図29(a)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの主表面側の絶縁膜16と当該絶縁膜16上の保護膜16cとの積層膜からなる多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化する平坦化工程を行うことによって、図29(b)に示す構造を得る。ここにおいて、平坦化工程のエッチバックでは、シリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜16bをエッチングストッパ層として利用している。
その後、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18を形成するとともにコンタクト部19a上にパッド部19bを形成する第1の金属層形成工程を行うことによって、図29(c)に示す構造を得る。したがって、シリコンウェハの主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部113が形成された領域と第1の封止用金属層18が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。ここにおいて、第1の金属層形成工程では、シリコンウェハの主表面側に、第1の封止用金属層18、パッド部19bをスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
上述の第1の金属層形成工程の後、シリコンウェハの主表面にアルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチング技術を利用して凹所10eを形成する凹所形成工程を行うことによって、図29(d)に示す構造のセンサ基板1が複数形成されたセンサウェハ10を得る。
次に、シリコンウェハに複数のパッケージ用基板2を形成したパッケージウェハ20の製造方法について図30を参照しながら説明する。なお、図30では、図27のA−A’断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、シリコンウェハの一表面側(第2の半導体基板20dの一表面側)に絶縁膜23を形成した後、当該絶縁膜23において熱絶縁用凹部21の形成予定領域に対応する部分をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングしてから、当該パターニングされた絶縁膜23をマスクとしてシリコンウェハの上記一表面に熱絶縁用凹部121を形成する熱絶縁用凹部形成工程を行うことによって、図30(a)に示す構造を得る。
続いて、シリコンウェハに上述の切欠部126をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成する切欠部形成工程を行うことによって、図30(b)に示す構造を得る。
その後、シリコンウェハの上記一表面側に第2の封止用金属層28を形成する第2の金属層形成工程を行うことによって、図30(c)に示す構造のパッケージ用基板2が複数形成されたパッケージウェハ20を得る。ここにおいて、第2の金属層形成工程では、シリコンウェハの上記一表面側に、第2の封止用金属層28をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
上述のセンサウェハ10およびパッケージウェハ20それぞれを形成した後、センサウェハ10における各センサ基板1とパッケージウェハ20における各パッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士を直接接合する接合工程を行うことによって、図26に示す構造の赤外線センサが複数形成されたウェハレベルパッケージ構造体100を得る。要するに、接合工程では、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士が金属−金属(ここでは、Au−Au)の常温接合により接合されている。なお、常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。ここで、接合工程では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加して、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とを直接接合している。
本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2との接合が封止用金属層18,28同士の常温接合のみでよいので、実施形態3のように封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の常温接合も必要な構成に比べて、接合信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の赤外線センサでは、第1の電気接続用金属層19が露出しているので、回路基板などに実装して用いる場合に、センサ基板1の裏面を回路基板側として実装することができ、第1の電気接続用金属層19と回路基板の導体パターンとをボンディングワイヤを介して電気的に接続することができる。
(実施形態5)
本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100の基本構成は実施形態3と略同じであって、図31に示すように、センサ基板1において第1の半導体基板10dの主表面側に熱型赤外線検出部113と協働するIC部E2が形成されており、熱型赤外線検出部113に電気的に接続された引き出し配線116がIC部E2を介して第1の電気接続用金属層19と電気的に接続されている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるIC部E2は、熱型赤外線検出部113の出力信号を増幅回路、当該増幅回路の後段のウィンドウコンパレータなどが集積化されている。
しかして、本実施形態の赤外線センサでは、熱型赤外線検出部113とIC部E2との間の配線長を短くすることができるとともに、両者を接続する配線から入るノイズを防止でき、高感度化を図れる。
なお、本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100においても、実施形態3と同様に、パッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層29におけるセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらしてあるので、第2の電気接続用金属層29において第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の表面の平滑性を高めることができ(第2の電気接続用金属層29の成膜時の表面の平滑性を高めることができ)、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを上述のように常温接合法により直接接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。
(実施形態6)
本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100の基本構成は実施形態3と略同じであって、図32に示すように、センサ基板1におけるベース基板部112が第1の半導体基板10dと第1の半導体基板10dの主表面側に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜16と裏面側に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜10fとで構成され、ベース基板部112に厚み方向に貫通する開孔部112aが形成され、第1の半導体基板10dの主表面側において開孔部112aが断熱部114により閉塞されている点が相違する。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部114がダイヤフラム状の形状に形成されている。なお、本実施形態においても、実施形態3と同様、第1の半導体基板10dの主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部113が形成された領域と第1の封止用金属層18が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。他の構成は実施形態3と同じなので、説明を省略する。
(実施形態7)
本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体の基本構成は実施形態3と略同じであって、図33に示すように、センサ基板1に、第1の電気接続用金属層19に電気的に接続される貫通孔配線124が形成され、センサ基板1の裏面に貫通孔配線124に電気的に接続された外部接続用電極125が形成されている点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10dに、厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔122が形成されており、第1の半導体基板10dの主表面と裏面と各貫通孔122の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜16aが形成され、貫通孔122の内側に形成された貫通孔配線124と貫通孔122の内面との間に絶縁膜16aの一部が介在している。なお、貫通孔配線124の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100では、センサ基板1とパッケージ用基板2との接合が封止用金属層18,28同士の常温接合のみでよいので、実施形態3のように封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の常温接合も必要な構成に比べて、接合信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1の裏面側に外部接続用電極125が形成されているので、回路基板などに実装して用いる場合に、実装面積を低減することができるという利点がある。
(実施形態8)
本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体の基本構成は実施形態3と略同じであって、図34に示すように、センサ基板1の構造が相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10dの主表面側の絶縁膜16が当該第1の半導体基板10dの主表面側の熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜16aと当該絶縁膜16a上のシリコン窒化膜からなる絶縁膜16bとで構成されており、当該絶縁膜16の一部からなる断熱部114上に熱型赤外線検出部113および配線層115,115が形成されている。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部114および第1の半導体基板10dの主表面に形成された凹所10eにより熱型赤外線検出部113とベース基板部112とが熱絶縁されている。なお、本実施形態では、第1の半導体基板10dとして、導電形がn形で、主表面が(100)面のシリコン基板を用いており、凹所10eは、アルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成されている。
また、第1の半導体基板10dの主表面側には熱型赤外線検出部113および配線層115,115を保護するシリコン酸化膜からなる保護層(第3の絶縁膜)16cが形成されており、絶縁膜16と保護層16cとで構成される多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に対応する部分をエッチバックすることにより平坦化された接合用領域部E3の表面上に、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19が形成されている。また、引き出し配線116は、保護層16cに形成したコンタクトホールを通して配線層115と電気的に接続されている。
しかして、本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100では、熱型赤外線検出部113および配線層115,115が保護層16cにより保護されているので、熱型赤外線検出部113および配線層115,115に水分などが吸着するのを抑制できる。
なお、本実施形態の赤外線センサおよびウェハレベルパッケージ構造体100においても、実施形態3と同様に、パッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層29におけるセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらしてあるので、第2の電気接続用金属層29において第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の表面の平滑性を高めることができ(第2の電気接続用金属層29の成膜時の表面の平滑性を高めることができ)、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを上述のように常温接合法により直接接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。
ところで、上述の実施形態3〜8で説明した赤外線センサは、センサ基板1とセンサ基板1の主表面側に封着されたパッケージ用基板2とで構成されているが、センサ基板1の構造によっては、センサ基板1の裏面側にも別途にパッケージ用基板を封着する構造としてもよいことは勿論である。つまり、上述の各実施形態3〜8で説明したウェハレベルパッケージ構造体100は、センサウェハ10とセンサウェハ10の一表面側に接合されたパッケージウェハ20とで構成されているが、センサウェハ10の構造によっては、センサウェハ10の他表面側にも別途のパッケージウェハを接合した構造としてもよいことは勿論である。
また、上述の実施形態3〜8で説明したウェハレベルパッケージ構造体100における赤外線センサは、熱型赤外線検出部113を1つだけ設けた赤外線センサであるが、熱型赤外線検出部113をセンサ基板1の主表面側において2次元アレイ状(マトリクス状)に配列し各熱型赤外線検出部113それぞれが画素を構成するようにした赤外線画像センサでもよい。
なお、上述の実施形態1,2では、センサ装置としてピエゾ抵抗形の加速度センサを例示し、実施形態3〜8では、センサ装置として熱型の赤外線センサを例示したが、本発明の技術思想は、ピエゾ抵抗形の加速度センサや熱型の赤外線センサに限らず、例えば、容量形の加速度センサやジャイロセンサなど他のセンサにも適用でき、容量形の加速度センサやジャイロセンサでは、可動電極を設けた重り部や可動電極を兼ねる重り部などが可動部を構成し、固定電極と可動電極とによりセンシング部を構成することとなる。