(実施形態1)
以下、本実施形態のセンサ装置について図1および図2を参照しながら説明した後、特徴となる製造方法について図3および図4を参照しながら説明する。なお、図1は、図2をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面図に対応するものである。
本実施形態のセンサ装置は、赤外線センサであり、第1の半導体基板10の主表面側に周囲と熱絶縁された熱型赤外線検出部13を形成したセンサ基板1と、第2の半導体基板20を用いて形成されセンサ基板1の主表面側において熱型赤外線検出部13を囲みセンサ基板1との間にキャビティ30が形成される形でセンサ基板1の主表面側に封着されたパッケージ用基板2とを備えている。ここにおいて、センサ基板1およびパッケージ用基板2の外周形状は矩形状であり、パッケージ用基板2はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。なお、本実施形態では、各半導体基板10,20それぞれに、シリコン基板を採用している。
センサ基板1は、第1の半導体基板10と当該第1の半導体基板10の主表面上に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜11とで構成されるベース基板部12と、上述の熱型赤外線検出部13と、熱型赤外線検出部13とベース基板部12とを熱絶縁する断熱部14とを備えている。なお、本実施形態における断熱部14は、ベース基板部12の一表面から熱型赤外線検出部13が離間して配置されるように熱型赤外線検出部13を支持している。
断熱部14は、熱型赤外線検出部13を保持した保持部14aと、保持部14aとベース基板部12とを連結した2つの脚部14b,14bとを有している。なお、断熱部14については、後述する。
熱型赤外線検出部13は、温度に応じて電気抵抗値が変化するボロメータ形のセンシングエレメントであり、保持部14a側のTi膜と当該Ti膜上のTiN膜とからなるセンサ層で構成されている。ここで、TiN膜は、Ti膜の酸化防止膜として設けてある。なお、センサ層の材料としては、Tiに限らず、例えば、アモルファスSi、VOxなどを採用してもよい。また、熱型赤外線検出部13は、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメントに限らず、温度に応じて誘電率が変化するセンシングエレメント、サーモパイル型のセンシングエレメント、焦電型のセンシングエレメントなどを採用してもよく、いずれのセンシングエレメントを採用した場合でも、材料を適宜選択することで一般的な薄膜形成技術を利用して形成することができる。ここにおいて、温度に応じて誘電率の変化するセンシングエレメントの材料としては、例えば、PZT、BSTなどを採用すればよい。
熱型赤外線検出部13は、平面形状が蛇行した形状(ここでは、つづら折れ状の形状)に形成されており、両端部が断熱部14の脚部14b,14bに沿って延長された配線層15,15および当該配線層15,15に電気的に接続された引出し配線16,16を介してベース基板部12の周部の接合用領域部E3における絶縁膜11上の第1の電気接続用金属層19,19と電気的に接続されている。ここにおいて、本実施形態におけるセンサ基板1では、引き出し配線16の一端部が配線層15上に形成されるとともに、他端部が絶縁膜11上に形成された第1の電気接続用金属層19上に形成されている。要するに、本実施形態におけるセンサ基板1では、熱型赤外線検出部13および配線層15,15が形成された断熱部14の表面と接合用領域部E3との間に段差が形成され、引き出し配線16が断熱部14の表面に沿って形成されている。本実施形態では、配線層15,15の材料として、熱型赤外線検出部13を構成するセンサ層と同じ材料を採用しており(ここでは、Ti膜とTiN膜との積層膜)、配線層15,15と熱型赤外線検出部13とを同時に形成している。また、本実施形態では、第1の電気接続用金属層19,19それぞれの一部がセンサ基板1におけるパッドを構成しており、一対の第1の電気接続用金属層19,19を通して熱型赤外線検出部13の出力を外部へ取り出すことができる。また、本実施形態では、引き出し配線16,16の膜厚が第1の電気接続用金属層19の膜厚よりも厚く設定してあるので、引き出し配線16,16の断線を防止することができる。
上述の断熱部14における脚部14b,14bは、ベース基板部12の上記一表面側において立設された支持ポスト部14b2,14b2と、支持ポスト部14b2,14b2の上端部と保持部14aとを連結した梁部14b1,14b1とで構成されており、保持部14aとベース基板部12との間に間隙17が形成されている。ここで、保持部14aの外周形状が矩形状であって、各梁部14b1,14b1は、保持部14aの一側縁の長手方向の一端部から当該一側縁に直交する方向に延長され更に当該一側縁の上記一端部から他端部に向う方向に沿って延長された平面形状に形成されており、保持部14aの厚み方向に沿った中心軸に対して回転対称性を有するように配置されている。なお、上述の配線層15,15の線幅は、当該配線層15,15を通した熱伝達を抑制するために梁部14b1,14b1の幅寸法よりも十分に小さく設定してある。また、支持ポスト部14b2,14b2は、引き出し配線16,16により補強されている。
また、上述の断熱部14の脚部14b,14bおよび保持部14aは、電気絶縁性を有する多孔質材料により形成されている。ここで、断熱部14の脚部14b,14bおよび保持部14aの多孔質材料として、多孔質の酸化シリコンの一種であるポーラスシリカを採用しているが、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマーの一種であるメチル含有ポリシロキサン、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの一種であるSi−H含有ポリシロキサン、シリカエアロゲルなどを採用してもよく、多孔質材料として、多孔質の酸化シリコン、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマー、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの群から選択される材料を採用すれば、断熱部14の形成にあたっては、ゾルゲル溶液をベース基板部12の上記一表面側に回転塗布してから、乾燥させるプロセスを採用することができ、断熱部14を容易に形成することが可能となる。
ここにおいて、本実施形態における断熱部14は、多孔度が60%のポーラスシリカ膜(多孔質シリコン酸化膜)により構成してあるが、多孔度が小さ過ぎると十分な断熱効果が得られず多孔度が大き過ぎると機械的強度が弱くなって構造形成が困難となるので、ポーラスシリカ膜の多孔度は例えば10%〜80%程度の範囲内で適宜設定すればよい。
上述のセンサ基板1では、断熱部14における保持部14aが多孔質材料により形成されているので、保持部14aがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、保持部14aの低熱容量化を図れ、応答速度のより一層の高速化を図れる。さらに、本実施形態におけるセンサ基板1では、断熱部14における脚部14bも多孔質材料により形成されているので、脚部14bがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、脚部14bの熱コンダクタンスを小さくできて高感度化を図れるとともに脚部14bの熱容量を小さくできて応答速度の高速化を図れるから、高性能化を図れる。
ところで、センサ基板1の接合用領域部E3では、上述の絶縁膜11上に、枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の複数の第1の電気接続用金属層19が第1の封止用金属層18よりも内側で絶縁膜11上に形成されている。要するに、センサ基板1は、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とが、絶縁膜11を下地層として同一レベル面上に同一厚さで形成されている。
第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜11との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、絶縁膜11上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とは同一の金属材料により形成されているので、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同時に形成することができるとともに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを略同じ厚さに形成することができる。なお、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、Ti膜の膜厚を15〜50nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、本実施形態では、各Au膜と絶縁膜11との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
一方、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面である一表面に、熱型赤外線検出部13を熱絶縁する熱絶縁用凹部21が形成されている。また、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部21の周部に、厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔22が形成されており、上記一表面および他表面と各貫通孔22の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔22の内側に形成された貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。ここにおいて、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部21の開口面の投影領域内にセンサ基板1の熱型赤外線検出部13および断熱部14が収まるように熱絶縁用凹部21の開口面積を大きくしてある。なお、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。また、パッケージ用基板2における絶縁膜23は、熱絶縁用凹部21の開口面の投影領域内には形成されていない。
また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において熱絶縁用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の第2の電気接続用金属層29が形成されている。また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部の全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の複数の第2の電気接続用金属層29が第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている(ここで、第2の封止用金属層28と各電気接続用金属層29とは絶縁膜23の同一レベル面上に同一厚さで形成してある)。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、外周形状が長方形状であり、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されており、他端側の部位がセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。
また、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とは同一の金属材料により形成されているので、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同時に形成することができるとともに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを略同じ厚さに形成することができる。なお、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、Ti膜の膜厚を15〜50nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、本実施形態では、各Au膜と絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
また、パッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
ところで、上述のセンサ基板1とパッケージ用基板2とは、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とが接合されるとともに、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とが接合されている。本実施形態の赤外線センサの製造にあたっては、上述の第1の半導体基板10の基礎となる第1のシリコンウェハにセンサ基板1を複数形成したセンサウェハと、上述の第2の半導体基板20の基礎となる第2のシリコンウェハにパッケージ用基板2を複数形成したパッケージウェハとをウェハレベルで常温接合することでウェハレベルパッケージ構造体を形成してから、個々の赤外線センサに分割する分割工程(ダイシング工程)により個々の赤外線センサに分割されている。したがって、パッケージ用基板2とセンサ基板1とが同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。ここにおいて、本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2とで囲まれた空間が真空雰囲気となっている。また、本実施形態では、センサ基板1とパッケージ用基板2との接合方法として、センサ基板1の残留応力(熱応力)を少なくするためにより低温での接合が可能な常温接合法を採用している。
以下、センサ基板1の製造方法について図3を参照しながら説明する。なお、図3では、図2をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、第1の半導体基板10の主表面側にシリコン窒化膜からなる絶縁膜11を例えばLPCVD法により形成する絶縁膜形成工程を行うことによって、図3(a)に示す構造を得る。
その後、第1の半導体基板10と絶縁膜11とからなるベース基板部12の一表面側(図3(a)における上面側)に断熱部14を形成するためにポリイミドからなる犠牲層31を形成する犠牲層形成工程を行うことによって、図3(b)に示す構造を得る。
続いて、ベース基板部12の上記一表面側の全面に断熱部14の材料である多孔質材料(例えば、ポーラスシリカ、シリカエアロゲルなど)からなる多孔質膜140を成膜する多孔質膜成膜工程を行うことによって、図3(c)に示す構造を得る。ここにおいて、多孔質膜140の形成にあたっては、上記多孔質材料がポーラスシリカの場合には、ゾルゲル溶液をベース基板部12の上記一表面側に回転塗布してから、熱処理で乾燥させるプロセスを採用することで容易に形成することができ、上記多孔質材料がシリカエアロゲルの場合には、ゾルゲル溶液をベース基板部12の上記一表面側に回転塗布してから、超臨界乾燥処理で乾燥させるプロセスを採用することで容易に形成することができる。なお、本実施形態では、絶縁膜11と当該絶縁膜11の表面側の絶縁膜である多孔質膜140とで多層絶縁膜を構成している。
上述の多孔質膜成膜工程の後、ベース基板部12の上記一表面側の全面に熱型赤外線検出部13および配線層15,15の基礎となるTi膜とTiN膜との積層膜からなるセンサ材料層をスパッタ法などにより成膜するセンサ材料層成膜工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してセンサ材料層をパターニングすることでそれぞれセンサ材料層の一部からなる熱型赤外線検出部13および配線層15,15を形成するパターニング工程を行うことによって、図3(d)に示す構造を得る。
次に、上述の多孔質膜140のうち断熱部14に対応する部位に形成されている部分以外をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してエッチング除去する多孔質膜パターニング工程を行うことによって、図3(e)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、多孔質膜パターニング工程が、上記多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化する平坦化工程を兼ねており、当該平坦化工程のエッチバックでは、シリコン窒化膜からなる絶縁膜11をエッチングストッパ層として利用している。
その後、接合用領域部E3の絶縁膜11の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成する第1の金属層形成工程を行うことによって、図3(f)に示す構造を得る。したがって、第1の半導体基板10の主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部13が形成された領域と第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。ここにおいて、第1の金属層形成工程では、第1の半導体基板10の主表面側に、第1の封止用金属層18、第1の電気接続用金属層19をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
上述の第1の金属層形成工程の後、第1の半導体基板10の主表面側に上述の引き出し配線16を形成する引き出し配線形成工程を行うことによって、図3(g)に示す構造を得る。ここにおいて、引き出し配線形成工程では、第1の半導体基板10の主表面側に、引き出し配線16をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。なお、第1の金属層形成工程と引き出し配線形成工程との順序は逆でもよい。
その後、第1の半導体基板10の主表面側の犠牲層31を選択的にエッチング除去することで間隙17を形成することによって、図3(h)に示す構造のセンサ基板1を得る。
以下、パッケージ用基板2の製造方法について図4を参照しながら説明する。なお、図4では、図2のA−A’断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、第2の半導体基板20の一表面に熱絶縁用凹部21をリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成する熱絶縁用凹部形成工程を行った後で、第2の半導体基板20に貫通孔22をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成する貫通孔形成工程を行い、その後、第2の半導体基板20の厚み方向の上記一表面側および他表面側および各貫通孔22の内周面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23を熱酸化法により形成する熱酸化工程を行い、続いて、電気メッキ技術およびCMP技術を利用して貫通孔配線24を形成する貫通孔配線形成工程を行ってから、第2の半導体基板20の上記他表面側に外部接続用電極25を形成する外部接続用電極形成工程を行うことによって、図4(a)に示す構造を得る。
その後、第2の半導体基板20の上記一表面側に第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29を形成する第2の金属層形成工程を行うことによって、図4(b)に示す構造を得る。ここにおいて、第2の金属層形成工程では、第2の半導体基板20の上記一表面側に、第2の封止用金属層28、第2の電気接続用金属層29をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
その後、第2の半導体基板20に形成されている絶縁膜23のうち上記一表面側および上記他表面側に形成されている部分のうち熱絶縁用凹部21の開口面の投影領域内に形成されている部位をエッチング除去することによって、図4(c)に示す構造のパッケージ用基板2を得る。
上述のセンサ基板1およびパッケージ用基板2それぞれを形成した後、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を直接接合する接合工程を行うことによって、図1に示す構造の赤外線センサを得る。要するに、接合工程では、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士が金属−金属(ここでは、Au−Au)の常温接合により接合されている。なお、常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。ここで、接合工程では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加して、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とを直接接合するのと同時に、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを直接接合している。
ところで、本実施形態の赤外線センサの製造方法では、上述の接合工程が終了するまでの全工程をセンサ基板1およびパッケージ用基板2それぞれについてウェハレベルで行うことで赤外線センサを複数備えたウェハレベルパッケージ構造体を形成するようにし、当該ウェハレベルパッケージ構造体から個々の赤外線センサに分割する分割工程(ダイシング工程)を行うようにしている。したがって、パッケージ用基板2の外形サイズ(平面サイズ)をセンサ基板1の外形サイズ(平面サイズ)に合わせることができるとともに、量産性を高めることができる。
以上説明した本実施形態の赤外線センサの製造方法によれば、第1の半導体基板10の主表面側に形成された上記多層絶縁膜のうちセンサ基板1におけるパッケージ用基板2との接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化した後で、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成しているので、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を同一レベル面上に同一厚さで形成することができるとともに、第1の封止用金属層18の表面および第1の電気接続用金属層19の表面の平坦性を高めることができ、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士を直接接合する接合工程の歩留まりを高めることができるから、製造歩留まりの向上を図れる。なお、センサ基板1の主表面側に熱型赤外線検出部13を保護する保護膜として例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成するような場合には、熱型赤外線検出部13の形成後に第1の半導体基板10の主表面側に保護膜を形成してから、絶縁膜11と当該保護膜との積層膜からなる多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部分をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化し、その後、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態の赤外線センサの製造方法では、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士が金属−金属の常温接合により接合されており、金属−金属の組み合わせが、化学的に安定な材料であるAu−Auの組み合わせなので、製造歩留まりを向上できるとともに接合安定性を向上できる。ここにおいて、金属−金属の組み合せは、Au−Auに限らず、例えば、Cu−Cuの組み合わせや、Al−Alの組み合わせでもよく、Cu−Cuの組み合わせの場合には、各電気接続用金属層19,29の低抵抗化を図れることができ、Al−Alの組み合わせの場合には、Au−Auの組み合わせを採用する場合に比べて、材料コストを低減することができる。
また、本実施形態の赤外線センサでは、パッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層29におけるセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらしてあるので、第2の電気接続用金属層29において第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の表面の平滑性を高めることができ(第2の電気接続用金属層29の成膜時の表面の平滑性を高めることができ)、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを上述のように常温接合法により直接接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図5および図6に示すように、センサ基板1における第1の電気接続用金属層19が第1の封止用金属層18よりも外側に配置され、パッケージ用基板2に、第1の電気接続用金属層19を露出させる切欠部26が形成されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、図5は、図6をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面図に対応するものである。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10の主表面側の絶縁膜11が当該第1の半導体基板10の主表面に形成された熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる第1の絶縁膜11aと第1の絶縁膜11a上のシリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜11bとで構成されており、当該絶縁膜11の一部からなる断熱部14上に熱型赤外線検出部13および配線層15,15が形成されている。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部14および第1の半導体基板10の主表面に形成された凹所10aにより熱型赤外線検出部13と第1の半導体基板10とが熱絶縁されている。本実施形態では、第1の半導体基板10として、導電形がn形で、主表面が(100)面のシリコン基板を用いており、凹所10aは、アルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成されている。
また、本実施形態では、配線層15と第1の電気接続用金属層19とを電気的に接続する引き出し配線16が、第1の半導体基板10の主表面側に形成された拡散層配線により構成されており、配線層15が、絶縁膜11に開孔された第1のコンタクトホールCH1(図7(c)参照)を通して引き出し配線16と電気的に接続され、外部接続用のパッドとなる第1の電気接続用金属層19が、絶縁膜11と当該絶縁膜11上のシリコン酸化膜からなる保護膜(第3の絶縁膜)11cとの積層膜に開孔された第2のコンタクトホールCH2(図7(f)参照)を通して引き出し配線16と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1の半導体基板10として、上述のように導電形がn形のシリコン基板を用いており、引き出し配線16を構成する拡散層配線は第1の半導体基板10の主表面側の適宜部位にボロンなどのp形不純物をドーピングすることにより形成されている。また、第1の電気接続用金属層19は、引き出し配線16上に形成されたTi膜と当該Ti膜上のAu膜との積層膜からなるコンタクト部19aと、コンタクト部19a上のTi膜と当該Ti膜上のAu膜との積層膜からなるパッド部19bとで構成されている。ここで、パッド部19bは、Ti膜およびAu膜それぞれの膜厚が第1の封止用金属層18のTi膜およびAu膜それぞれの膜厚と同じに設定されており、第1の封止用金属層18と同時に形成されている。
一方、パッケージ用基板2は、第2の半導体基板20の一表面に設けられた熱絶縁用凹部21の周部に絶縁膜23が形成され、絶縁膜23上に第2の封止用金属層28が形成されている。
以下、センサ基板1の製造方法について図7および図8を参照しながら説明する。なお、図7および図8では、図6をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、第1の半導体基板10の主表面側に拡散層配線からなる引き出し配線16をイオン注入法や熱拡散法などにより形成する引き出し配線形成工程を行うことによって、図7(a)に示す構造を得る。
続いて、第1の半導体基板10の主表面側に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる第1の絶縁膜11aを熱酸化法により形成する第1の絶縁膜形成工程を行い、続いて、シリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜11bを例えばLPCVD法により形成する第2の絶縁膜形成工程を行うことによって、図7(b)に示す構造を得る。
その後、第1の半導体基板10の主表面側の第1の絶縁膜11aと第2の絶縁膜11bとからなる絶縁膜11にリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第1のコンタクトホールCH1を形成する第1のコンタクトホール形成工程を行うことによって、図7(c)に示す構造を得る。
続いて、第1の半導体基板10の主表面側の全面に熱型赤外線検出部13および配線層15,15の基礎となるTi膜とTiN膜との積層膜からなるセンサ材料層をスパッタ法などにより成膜するセンサ材料層成膜工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してセンサ材料層をパターニングすることでそれぞれセンサ材料層の一部からなる熱型赤外線検出部13および配線15,15を形成するパターニング工程を行うことによって、図7(d)に示す構造を得る。
その後、第1の半導体基板10の主表面側の全面にシリコン酸化膜からなる保護膜11cをプラズマCVD法などにより形成する保護膜形成工程を行うことによって、図7(e)に示す構造を得る。
続いて、第1の半導体基板10の主表面側の絶縁膜11と保護膜11cとからなる多層絶縁膜にリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第2のコンタクトホールCH2を形成する第2のコンタクトホール形成工程を行うことによって、図7(f)に示す構造を得る。
その後、第1の半導体基板10の主表面側の全面にコンタクト部19aの基礎となるTi膜とAu膜との積層膜を成膜し、続いて、当該積層膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることでコンタクト部19aを形成するコンタクト部形成工程を行うことによって、図8(a)に示す構造を得る。
その後、第1の半導体基板10の主表面側の絶縁膜11と当該絶縁膜11上の保護膜11cとの積層膜からなる多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に形成されている部位をエッチバックすることにより接合用領域部E3の表面を平坦化する平坦化工程を行うことによって、図8(b)に示す構造を得る。ここにおいて、平坦化工程のエッチバックでは、シリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜11bをエッチングストッパ層として利用している。
その後、接合用領域部E3の表面上に第1の封止用金属層18を形成するとともにコンタクト部19a上にパッド部19bを形成する第1の金属層形成工程を行うことによって、図8(c)に示す構造を得る。したがって、第1の半導体基板10の主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部13が形成された領域と第1の封止用金属層18が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。ここにおいて、第1の金属層形成工程では、第1の半導体基板10の主表面側に、第1の封止用金属層18、パッド部19bをスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
上述の第1の金属層形成工程の後、第1の半導体基板10の主表面にアルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチング技術を利用して凹所10aを形成する凹所形成工程を行うことによって、図8(d)に示す構造のセンサ基板1を得る。
次に、パッケージ用基板2の製造方法について図9を参照しながら説明する。なお、図9では、図6のA−A’断面に対応する部位の断面を示してある。
まず、第2の半導体基板20の一表面側に絶縁膜23を形成した後、当該絶縁膜23において熱絶縁用凹部21の形成予定領域に対応する部分をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングしてから、当該パターニングされた絶縁膜23をマスクとして第2の半導体基板20の一表面に熱絶縁用凹部21を形成する熱絶縁用凹部形成工程を行うことによって、図9(a)に示す構造を得る。
続いて、第2の半導体基板20に上述の切欠部26をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成する切欠部形成工程を行うことによって、図9(b)に示す構造を得る。
その後、第2の半導体基板20の上記一表面側に第2の封止用金属層28を形成する第2の金属層形成工程を行うことによって、図9(c)に示す構造のパッケージ用基板2を得る。ここにおいて、第2の金属層形成工程では、第2の半導体基板20の上記一表面側に、第2の封止用金属層28をスパッタ法などの薄膜形成技術およびリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成している。
上述のセンサ基板1およびパッケージ用基板2それぞれを形成した後、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士を直接接合する接合工程を行うことによって、図5に示す構造の赤外線センサを得る。要するに、接合工程では、センサ基板1とパッケージ用基板2との封止用金属層18,28同士が金属−金属(ここでは、Au−Au)の常温接合により接合されている。なお、常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。ここで、接合工程では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加して、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とを直接接合している。
ところで、本実施形態の赤外線センサの製造方法では、上述の接合工程が終了するまでの全工程をセンサ基板1およびパッケージ用基板2それぞれについてウェハレベルで行うことで赤外線センサを複数備えたウェハレベルパッケージ構造体を形成するようにし、当該ウェハレベルパッケージ構造体から個々の赤外線センサに分割する分割工程(ダイシング工程)を行うようにしているので、量産性を高めることができる。
本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2との接合が封止用金属層18,28同士の常温接合のみでよいので、実施形態1のように封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の常温接合も必要な構成に比べて、接合信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の赤外線センサでは、第1の電気接続用金属層19が露出しているので、回路基板などに実装して用いる場合に、センサ基板1の裏面を回路基板側として実装することができ、第1の電気接続用金属層19と回路基板の導体パターンとをボンディングワイヤを介して電気的に接続することができる。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図10に示すように、センサ基板1において第1の半導体基板10の主表面側にIC部E2が形成されており、熱型赤外線検出部13に電気的に接続された引き出し配線16がIC部E2を介して第1の電気接続用金属層19と電気的に接続されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
IC部E2は、熱型赤外線検出部13の出力信号を増幅回路、当該増幅回路の後段のウィンドウコンパレータなどが集積化されている。
しかして、本実施形態の赤外線センサでは、熱型赤外線検出部13とIC部E2との間の配線長を短くすることができるとともに、両者を接続する配線から入るノイズを防止でき、高感度化を図れる。
なお、本実施形態の赤外線センサにおいても、実施形態1と同様に、パッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層29におけるセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらすようにすれば、第2の電気接続用金属層29において第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の表面の平滑性を高めることができ(第2の電気接続用金属層29の成膜時の表面の平滑性を高めることができ)、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを上述のように常温接合法により直接接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。
(実施形態4)
本実施形態の赤外線センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図11に示すように、センサ基板1におけるベース基板部12が第1の半導体基板10と第1の半導体基板10の主表面側に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜11と裏面側に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜10dとで構成され、ベース基板部12に厚み方向に貫通する開孔部12aが形成され、第1の半導体基板10の主表面側において開孔部12aが断熱部14により閉塞されている点が相違する。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部14がダイヤフラム状の形状に形成されている。なお、本実施形態においても、実施形態1と同様、第1の半導体基板10の主表面側に形成された多層絶縁膜において熱型赤外線検出部13が形成された領域と第1の封止用金属層18が形成された接合用領域部E3との間には段差が形成されている。他の構成は実施形態1と同じなので、説明を省略する。
(実施形態5)
本実施形態の赤外線センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図12に示すように、センサ基板1に、第1の電気接続用金属層19に電気的に接続される貫通孔配線124が形成され、センサ基板1の裏面に貫通孔配線124に電気的に接続された外部接続用電極125が形成されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10に、厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔122が形成されており、第1の半導体基板10の主表面と裏面と各貫通孔122の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜11aが形成され、貫通孔122の内側に形成された貫通孔配線124と貫通孔122の内面との間に絶縁膜11aの一部が介在している。なお、貫通孔配線124の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2との接合が封止用金属層18,28同士の常温接合のみでよいので、実施形態1のように封止用金属層18,28同士および電気接続用金属層19,29同士の常温接合も必要な構成に比べて、接合信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1の裏面側に外部接続用電極125が形成されているので、回路基板などに実装して用いる場合に、実装面積を低減することができるという利点がある。
(実施形態6)
本実施形態の赤外線センサの基本構成は実施形態1と略同じであって、図13に示すように、センサ基板1の構造が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、第1の半導体基板10の主表面側の絶縁膜11が当該第1の半導体基板10の主表面側の熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる第1の絶縁膜11aと第1の絶縁膜11a上のシリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜11bとで構成されており、当該絶縁膜11の一部からなる断熱部14上に熱型赤外線検出部13および配線層15,15が形成されている。ここにおいて、センサ基板1は、断熱部14および第1の半導体基板10の主表面に形成された凹所10aにより熱型赤外線検出部13とベース基板部12とが熱絶縁されている。なお、本実施形態では、第1の半導体基板10として、導電形がn形で、主表面が(100)面のシリコン基板を用いており、凹所10aは、アルカリ系溶液(例えば、TMAH水溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成されている。
また、第1の半導体基板10の主表面側には熱型赤外線検出部13および配線層15,15を保護するシリコン酸化膜からなる保護層(第3の絶縁膜)11cが形成されており、絶縁膜11と保護層11cとで構成される多層絶縁膜のうち接合用領域部E3に対応する部分をエッチバックすることにより平坦化された接合用領域部E3の表面上に、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19が形成されている。また、引き出し配線16は、保護層11cに形成したコンタクトホールを通して配線層15と電気的に接続されている。
しかして、本実施形態の赤外線センサでは、熱型赤外線検出部13および配線層15,15が保護層11cにより保護されているので、熱型赤外線検出部13および配線層15に水分などが吸着するのを抑制できる。
なお、本実施形態の赤外線センサにおいても、実施形態1と同様に、パッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層29におけるセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらすようにすれば、第2の電気接続用金属層29において第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の表面の平滑性を高めることができ(第2の電気接続用金属層29の成膜時の表面の平滑性を高めることができ)、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを上述のように常温接合法により直接接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。
ところで、上述の各実施形態で説明した赤外線センサは、センサ基板1とセンサ基板1の主表面側に封着されたパッケージ用基板2とで構成されているが、センサ基板1の構造によっては、センサ基板1の裏面側にも別途にパッケージ用基板を封着する構造としてもよいことは勿論である。
また、上述の上記各実施形態で説明した赤外線センサは、熱型赤外線検出部13を1つだけ設けた赤外線センサであるが、熱型赤外線検出部13をセンサ基板1の主表面側において2次元アレイ状(マトリクス状)に配列し各熱型赤外線検出部13それぞれが画素を構成するようにした赤外線画像センサでもよい。