JP2011203221A - 赤外線センサモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】温度測定精度の向上が可能な赤外線センサモジュールを提供する。
【解決手段】熱型赤外線センサ100は、サーモパイル30aを有する熱型赤外線検出部3を備えた画素部2がシリコン基板(支持基板)1aの一表面側でアレイ状に設けられている。パッケージ103は、熱型赤外線センサ100およびIC素子102が実装されたパッケージ本体104を備える。熱型赤外線センサ100は、シリコン基板1aの上記一表面側において熱型赤外線検出部3それぞれの一部の直下に空洞部11が形成され、サーモパイル30aの温接点T1が、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、冷接点T2が熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されている。シリコン基板1aの他表面側に、IC素子102からパッケージ本体104に伝熱された熱が冷接点T2に伝わるのを抑制する掘り込み部12が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】熱型赤外線センサ100は、サーモパイル30aを有する熱型赤外線検出部3を備えた画素部2がシリコン基板(支持基板)1aの一表面側でアレイ状に設けられている。パッケージ103は、熱型赤外線センサ100およびIC素子102が実装されたパッケージ本体104を備える。熱型赤外線センサ100は、シリコン基板1aの上記一表面側において熱型赤外線検出部3それぞれの一部の直下に空洞部11が形成され、サーモパイル30aの温接点T1が、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、冷接点T2が熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されている。シリコン基板1aの他表面側に、IC素子102からパッケージ本体104に伝熱された熱が冷接点T2に伝わるのを抑制する掘り込み部12が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷却の必要がない熱型赤外線センサと熱型赤外線センサの出力信号を信号処理するIC素子とがパッケージに収納された赤外線センサモジュールに関するものである。
従来から、図24に示すように、熱型赤外線センサ100’と当該熱型赤外線センサ100’の出力信号を信号処理するIC素子102’とがパッケージ103’に収納された赤外線センサモジュールが提案されている。パッケージ103’は、熱型赤外線センサ100’およびIC素子102’が横並びで実装されるパッケージ本体104’と、熱型赤外線センサ100’での検知対象の赤外線を透過する機能を有しパッケージ本体104’との間に熱型赤外線センサ100’およびIC素子102’を囲む形でパッケージ本体104’に気密的に接合されたパッケージ蓋105’とで構成されている。ここにおいて、パッケージ蓋105’は、パッケージ本体104’の上記一表面側に覆着されるメタルキャップ152’と、メタルキャップ152’の開口窓152a’を閉塞する赤外線透過部材154’とで構成してある。また、熱型赤外線センサ100’およびIC素子102’は、それぞれエポキシ樹脂からなる接合部115’,125’を介してパッケージ本体104’と接合されている。
上述の熱型赤外線センサ100’は、感温素子であるサーモパイル(温接点T1および冷接点T2のみ図示してある)を備えた熱型赤外線検出部3’がシリコン基板1a’の一表面側に形成されてシリコン基板1a’に支持されている。また、熱型赤外線センサ100’は、シリコン基板1a’において熱型赤外線検出部3’の一部の直下に空洞部11’が形成されている。また、熱型赤外線センサ100’は、サーモパイルの温接点T1が、熱型赤外線検出部3’において空洞部11’に重なる領域に形成され、冷接点T2が熱型赤外線検出部3’において空洞部11’に重ならない領域に形成されている。したがって、温接点T1は、シリコン基板1a’から熱絶縁されている。
また、赤外線イメージセンサを構成する赤外線センサとして、サーモパイルからなる熱電対型の感温部を有する複数の熱型赤外線検出部が、シリコン基板の一表面側において2次元アレイ状に配置され、シリコン基板における各熱型赤外線検出部それぞれに対応する部位ごとに熱絶縁用の空洞が形成された赤外線アレイセンサも提案されている(特許文献1)。
また、従来から、図25に示すように、赤外線センサ素子200と、赤外線センサ素子200が一方の面にダイボンドされたベアチップ実装基板213と、ベアチップ実装基板213の他方の面にダイボンドされたベアチップ状の信号処理IC素子202と、赤外線センサ素子200および信号処理IC素子202それぞれとベアチップ実装基板213とを接続するボンディングワイヤ115と、信号処理IC素子202および当該信号処理IC素子202に接続されたボンディングワイヤ115を保護する封止樹脂部216とを備えたセンサモジュールが提案されている(特許文献2)。
ここで、赤外線センサ素子200は、平板状の半導体基板201の表面に絶縁膜208が形成され、絶縁膜208上に、赤外線を感知する4個の熱検知部230が形成され、半導体基板201において各熱検知部230に対応する部位に貫通穴211が形成されている。また、ベアチップ実装基板213の上記一方の面には、赤外線センサ素子200の貫通穴211に外気を侵入可能とするための通気手段としての溝213が形成されている。
図24に示した構成の赤外線センサモジュールでは、小型化や耐ノイズ性の向上のためにパッケージ103’の小型化が望まれている。しかしながら、図24に示した構成の赤外線センサモジュールでは、熱型赤外線センサ100’の出力信号(出力電圧)に、IC素子102’の発熱に起因したオフセット電圧を含んでしまい、検知エリア内の物体の絶対温度を正確に検知することができない。
ここにおいて、IC素子102’やパッケージ蓋105’からパッケージ本体104’を通る経路で熱型赤外線センサ100’のシリコン基板1a’へ伝わる熱F1は、主に冷接点T2の温度を上昇させる(冷接点T2の温度上昇値が温接点T1の温度上昇値よりも大きくなる)ので、マイナスのオフセット電圧を発生させる要因となる。また、熱型赤外線センサ100’の代わりに、特許文献1に開示された赤外線センサを用い、IC素子102’の代わりに、当該赤外線センサの出力信号を信号処理するIC素子を用いた場合にも、当該IC素子で発生する熱がパッケージ本体104’を通る経路で赤外線センサに伝熱されて、冷接点の温度を上昇させてしまうことが考えられる。
また、図25に示した構成のセンサモジュールでは、赤外線センサ素子200と信号処理IC素子202とがベアチップ実装基板203を挟んで対向配置されており、赤外線センサ素子200と信号処理IC素子202との距離がベアチップ実装基板203の厚みにより決まってしまうので、信号処理IC素子202の熱が赤外線センサ素子200に伝わりやすい。なお、図25に示した構成のセンサモジュールでは、赤外線センサ素子200の半導体基板201に貫通穴211を設けた構造なので、赤外線センサ素子200が脆弱である。また、図25に示した構成のセンサモジュールでは、熱検知部230の小型化を図った際に、貫通穴211と溝213との位置ずれが生じる可能性が生じてしまうとともに、各熱検知部230ごとに溝213を設けるのが難しい。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、温度測定精度の向上が可能な赤外線センサモジュールを提供することにある。
本発明の赤外線センサモジュールは、サーモパイルを有する複数の熱型赤外線検出部が支持基板の一表面側でアレイ状に設けられた熱型赤外線センサと、前記熱型赤外線センサの出力信号を信号処理するIC素子と、前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子が収納されたパッケージとを備え、前記パッケージが、前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子が実装されたパッケージ本体と、前記熱型赤外線センサでの検知対象の赤外線を透過する機能を有し前記パッケージ本体との間に前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子を囲む形で前記パッケージ本体に気密的に接合されたパッケージ蓋とで構成され、前記熱型赤外線センサは、前記支持基板の前記一表面側において前記熱型赤外線検出部それぞれの一部の直下に空洞部が形成され、前記サーモパイルの温接点が、前記熱型赤外線検出部において前記空洞部に重なる領域に形成され、前記サーモパイルの冷接点が前記熱型赤外線検出部において前記空洞部に重ならない領域に形成されてなり、且つ、前記支持基板の前記一表面とは反対の他表面側に、前記IC素子から前記パッケージ本体に伝熱された熱が前記冷接点に伝わるのを抑制する掘り込み部が形成されてなることを特徴とする。
この赤外線センサモジュールにおいて、前記熱型赤外線センサの前記掘り込み部の内部空間と前記パッケージの内部空間とが連通していることが好ましい。
この赤外線センサモジュールにおいて、前記支持基板が、厚み方向の中間に絶縁層を有するSOI基板からなり、前記掘り込み部は、前記支持基板の前記他表面から前記絶縁層に達する深さに形成されてなることが好ましい。
この赤外線センサモジュールにおいて、前記支持基板は、前記一表面側のシリコン基板と、前記他表面側のガラス基板もしくはセラミック基板からなり前記シリコン基板に比べて熱伝導率の低い低熱伝導率基板とで構成され、前記シリコン基板に前記空洞部が形成され、前記低熱伝導率基板に前記掘り込み部が形成されてなることが好ましい。
この赤外線センサモジュールにおいて、前記掘り込み部は、網状に形成されてなることが好ましい。
この赤外線センサモジュールにおいて、前記熱型赤外線センサの外周形状が矩形状であり、前記掘り込み部は、前記支持基板の前記他表面の四隅のみを残して形成されてなることが好ましい。
本発明の赤外線センサモジュールにおいては、IC素子からパッケージ本体に伝熱された熱がサーモパイルの冷接点に伝わるのを抑制でき、温度測定精度の向上が可能となる。
(実施形態1)
以下、本実施形態の赤外線センサモジュールについて図1〜図14を参照しながら説明する。
以下、本実施形態の赤外線センサモジュールについて図1〜図14を参照しながら説明する。
本実施形態の赤外線センサモジュールは、熱型赤外線センサ100と、熱型赤外線センサ100の出力信号を信号処理するIC素子102と、熱型赤外線センサ100およびIC素子102が収納されたパッケージ103とを備えている。
パッケージ103は、熱型赤外線センサ100およびIC素子102が実装されたパッケージ本体104と、パッケージ本体104との間に熱型赤外線センサ100およびIC素子102を囲む形でパッケージ本体104に気密的に接合されたパッケージ蓋105とで構成されている。
パッケージ本体104は、熱型赤外線センサ100とIC素子102とが横並びで実装されている。一方、パッケージ蓋105は、熱型赤外線センサ100での検知対象の赤外線を透過する機能および導電性を有している。
パッケージ蓋105は、パッケージ本体104の上記一表面側に覆着されたメタルキャップ152と、メタルキャップ152において熱型赤外線センサ100に対応する部位に形成された開口窓152aを閉塞するレンズ153とで構成されている。ここにおいて、レンズ153が、赤外線を透過する機能を有するとともに、熱型赤外線センサ100へ赤外線を収束する機能を有している。
熱型赤外線センサ100は、図1(b)に示すように、サーモパイル30aを有する熱型赤外線検出部3がシリコン基板1aの一表面側に形成されている。ここにおいて、熱型赤外線センサ100は、熱型赤外線検出部3を備えた画素部2がシリコン基板1aの上記一表面側でアレイ状に設けられている。つまり、熱型赤外線センサ100は、複数の熱型赤外線検出部3がシリコン基板1aの上記一表面側でアレイ状に設けられている。なお、本実施形態では、シリコン基板1aが、支持基板を構成している。
また、熱型赤外線センサ100は、シリコン基板1aの上記一表面側において熱型赤外線検出部3それぞれの一部の直下に空洞部11が形成されている。ここで、熱型赤外線センサ100は、サーモパイル30aの温接点T1が、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、サーモパイル30aの冷接点T2が熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されている。また、熱型赤外線センサ100は、シリコン基板1aの上記一表面とは反対の他表面側に、IC素子102からパッケージ本体104に伝熱された熱が冷接点T2に伝わるのを抑制する掘り込み部12が形成されている。
以下、各構成要素についてさらに説明する。
熱型赤外線センサ100は、赤外線アレイセンサであって、熱型赤外線検出部3と画素選択用スイッチング素子であるMOSトランジスタ4とを有する複数の画素部2がベース基板1の一表面側においてアレイ状(ここでは、2次元アレイ状)に配列されている。ここで、ベース基板1は、シリコン基板1aを用いて形成されている。本実施形態では、1つのベース基板1の上記一表面側にm×n個(図2および図14に示した例では、8×8個)の画素部2が形成されているが、画素部2の数や配列は特に限定するものではない。また、本実施形態では、熱型赤外線検出部3の感温部30が、複数個(ここでは、6個)のサーモパイル30aを直列接続することにより構成されており、図14では、熱型赤外線検出部3における感温部30の等価回路を、当該感温部30の熱起電力に対応する電圧源Vsで表してある。
また、熱型赤外線センサ100は、図3、図5および図14に示すように、各列の複数の熱型赤外線検出部3の感温部30の一端が上述のMOSトランジスタ4を介して各列ごとに共通接続された複数の垂直読み出し線7と、各行の熱型赤外線検出部3の感温部30に対応するMOSトランジスタ4のゲート電極46が各行ごとに共通接続された複数の水平信号線6と、各列のMOSトランジスタ4のp+形ウェル領域41が各列ごとに共通接続された複数のグラウンド線8と、各グラウンド線8が共通接続された共通グラウンド線9と、各列の複数個の熱型赤外線検出部3の感温部30の他端が各列ごとに共通接続された複数の基準バイアス線5とを備えており、全ての熱型赤外線検出部3の感温部30の出力を時系列的に読み出すことができるようになっている。要するに、熱型赤外線センサ100は、ベース基板1の上記一表面側に熱型赤外線検出部3と当該熱型赤外線検出部3に並設され当該熱型赤外線検出部3の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4とを有する複数の画素部2が形成されている。
MOSトランジスタ4は、ゲート電極46が水平信号線6に接続され、ソース電極48が感温部30を介して基準バイアス線5に接続され、各基準バイアス線5が共通基準バイアス線5aに共通接続され、ドレイン電極47が垂直読み出し線7に接続されている。また、熱型赤外線センサ100は、各水平信号線6それぞれが各別の画素選択用パッドVselに電気的に接続され、各垂直読み出し線7それぞれが各別の出力用パッドVoutに電気的に接続され、共通グラウンド線9がグラウンド用パッドGndに電気的に接続され、共通基準バイアス線5aが基準バイアス用パッドVrefと電気的に接続され、シリコン基板1aが基板用パッドVddに電気的に接続されている。
しかして、各MOSトランジスタ4が順次、オン状態になるように各画素選択用パッドVselの電位を制御することで各画素部2の出力電圧を順次読み出すことができる。例えば、基準バイアス用パッドVrefの電位を1.65、グラウンド用パッドGndの電位を0V、基板用パッドVddの電位を5Vとしておき、画素選択用パッドVselの電位を5Vとすれば、MOSトランジスタ4がオンとなり、出力用パッドVoutから画素部2の出力電圧(1.65V+感温部30の出力電圧)が読み出され、画素選択用パッドVselの電位を0Vとすれば、MOSトランジスタ4がオフとなり、出力用パッドVoutから画素部2の出力電圧は読み出されない。なお、図2では、画素選択用パッドVsel、基準バイアス用パッドVref、グラウンド用パッドGnd、出力用パッドVoutなどを区別せずに、全て、パッド80として図示してある。
以下、熱型赤外線検出部3およびMOSトランジスタ4それぞれの構造について説明する。なお、本実施形態では、上述のシリコン基板1aとして、導電形がn形で上記一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いている。
熱型赤外線検出部3は、シリコン基板1aの上記一表面側の各画素部2それぞれにおける熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に形成されている。一方、MOSトランジスタ4は、シリコン基板1aの上記一表面側の各画素部2それぞれにおけるMOSトランジスタ4の形成用領域A2に形成されている。
ところで、各画素部2は、赤外線を吸収する赤外線吸収部33(図1(b)、図3および図5(b)参照)を備えている。各画素部2では、シリコン基板1aに、赤外線吸収部33を当該シリコン基板1aから熱絶縁するための空洞部11が形成されており、シリコン基板1aの上記一表面側で平面視において空洞部11の内周線の内側に赤外線吸収部33を有し空洞部11を覆う薄膜構造部3aが形成されている。また、各画素部2では、薄膜構造部3aが複数の線状のスリット13により空洞部11の内周方向に沿って並設されそれぞれ熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位(平面視で空洞部11を囲む部位)から内方へ延長された複数(図3に示した例では、6つ)の小さな薄膜構造部(以下、小薄膜構造部と称する)3aaに分離され、各小薄膜構造部3aaごとにサーモパイル30aが設けられるとともに、各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなるように全てのサーモパイル30aが直列接続されており、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cが形成されている。以下では、赤外線吸収部33のうち各小薄膜構造部3aaそれぞれに対応して分割された各部位を分割赤外線吸収部33aと称する。
本実施形態では、薄膜構造部3aに形成された複数のサーモパイル30aの全て、上述の例では、6つ全てのサーモパイル30aを直列接続した接続関係としてあるが、接続関係は、これに限らない。例えば、それぞれ3個のサーモパイル30aの直列回路を並列接続するようにしてもよく、この場合には、6つ全てのサーモパイル30aが並列接続されている場合や各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて感度を高めることができ、また、6つ全てのサーモパイル30aが直列接続されている場合に比べて、感温部30の電気抵抗を低くできて熱雑音が低減されるから、S/N比が向上する。ここにおいて、薄膜構造部3aにおける小薄膜構造部3aaの数に等しいサーモパイル30aの数は4以上の偶数であればよく、半数のサーモパイル30aを直列接続し、その直列回路を並列接続した接続関係とすれば、同様に感度を高めることができるとともにS/N比を向上できる。
ここで、画素部2では、小薄膜構造部3aaごとに、熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と分割赤外線吸収部33aとを連結する2つの平面視短冊状のブリッジ部3bb,3bbが空洞部11の内周方向に離間して形成されており、当該2つのブリッジ部3bb,3bbと分割赤外線吸収部33aとを空間的に分離し空洞部11に連通する平面視コ字状のスリット14が形成されている。ここにおいて、熱型赤外線検出部3のうち平面視において薄膜構造部3aを囲む部位は矩形枠状の形状となっている。なお、ブリッジ部3bbは、赤外線吸収部33および熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位それぞれとの連結部位以外の部分が上述の各スリット13,14により分割赤外線吸収部33aおよび熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と空間的に分離されている。ここで、小薄膜構造部3aaの熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位からの延長方向の寸法を93μm、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する幅方向の寸法を75μm、各ブリッジ部3bbの幅寸法を23μm、各スリット13,14の幅を5μmに設定してあるが、これらの値は一例であって特に限定するものではない。
上述の薄膜構造部3aは、シリコン基板1aの上記一表面側に形成されたシリコン酸化膜1bと、当該シリコン酸化膜1b上に形成されたシリコン窒化膜32と、当該シリコン窒化膜32上に形成された感温部30と、シリコン窒化膜32の表面側で感温部30を覆うように形成されたBPSG膜からなる層間絶縁膜50と、層間絶縁膜50上に形成されたPSG膜と当該PSG膜上に形成されたNSG膜との積層膜からなるパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより形成されている。
本実施形態では、シリコン窒化膜32のうち薄膜構造部3aのブリッジ部3bb,3bb以外の部位が上述の赤外線吸収部33を構成し、シリコン基板1aとシリコン酸化膜1bとシリコン窒化膜32と層間絶縁膜50とパッシベーション膜60とでベース基板1を構成している。また、本実施形態では、層間絶縁膜50とパッシベーション膜60との積層膜が、熱型赤外線検出部3の形成用領域A1とMOSトランジスタ4の形成用領域A2とに跨って形成されているが、熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に形成された部分が赤外線吸収膜70(図5(b)参照)を兼ねている。ここで、赤外線吸収膜70の屈折率をn2、検出対象の赤外線の中心波長をλとするとき、赤外線吸収膜70の厚さt2をλ/4n2に設定するようにしているので、検出対象の波長(例えば、8〜12μm)の赤外線の吸収効率を高めることができ、高感度化を図れる。例えば、n2=1.4、λ=10μmの場合には、t2≒1.8μmとすればよい。なお、本実施形態では、層間絶縁膜50の膜厚を0.8μm、パッシベーション膜60の膜厚を1μm(PSG膜の膜厚を0.5μm、NSG膜の膜厚を0.5μm)としてある。また、赤外線吸収膜70は、上述の構成に限らず、例えば、シリコン窒化膜により構成してもよい。
また、各画素部2では、空洞部11の内周形状が矩形状であり、連結片3cは、平面視十字状に形成されており、小薄膜構造部3aaの延長方向に交差する斜め方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士、小薄膜構造部3aaの延長方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結している。
サーモパイル30aは、シリコン窒化膜32上に形成され小薄膜構造部3aaとベース基板1とに跨って形成された細長のn形ポリシリコン層(第1の熱電要素)34と細長のp形ポリシリコン層(第2の熱電要素)35との一端部同士を分割赤外線吸収部33aの赤外線入射面側で金属材料(例えば、Al−Siなど)からなる第1の接続金属部36により電気的に接続した複数個(図5に示した例では、9個)の熱電対を有しており、ベース基板1の上記一表面側で互いに隣り合う熱電対のn形ポリシリコン層34の他端部とp形ポリシリコン層35の他端部とが金属材料(例えば、Al−Siなど)からなる第2の接続金属部37により接合され電気的に接続されている。ここで、サーモパイル30aは、n形ポリシリコン層34の上記一端部とp形ポリシリコン層35の上記一端部と第1の接続金属部36とで分割赤外線吸収部33a側の温接点T1を構成し、n形ポリシリコン層34の上記他端部とp形ポリシリコン層35の上記他端部と第2の接続金属部37とでベース基板1側の冷接点T2を構成している。要するに、サーモパイル30aの各温接点T1は、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、各冷接点T2は、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されている。したがって、各温接点T1は、シリコン基板1aと熱絶縁されている。なお、本実施形態における熱型赤外線センサ100では、サーモパイル30aの各n形ポリシリコン層34および各p形ポリシリコン層35それぞれにおいて、上述のブリッジ部3bb,3bbに形成されている部位およびベース基板1のシリコン窒化膜32上に形成されている部位でも赤外線を吸収することができる。
また、熱型赤外線センサ100は、空洞部11の形状が、四角錘状であり、平面視における中央部の方が周部に比べて深さ寸法が大きくなっているので、薄膜構造部3aの中央部に温接点T1が集まるように各画素部2におけるサーモパイル30aの平面レイアウトを設計してある。すなわち、図3の上下方向における真ん中の2つの小薄膜構造部3aaでは、図3および図6に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向に沿って温接点T1を並べて配置してあるのに対し、当該上下方向における上側の2つの小薄膜構造部3aaでは、図3および図7に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向において真ん中の小薄膜構造部3aaに近い側に温接点T1を集中して配置してあり、当該上下方向における下側の2つの小薄膜構造部3aaでは、図3に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向において真ん中の小薄膜構造部3aaに近い側に温接点T1を集中して配置してある。しかして、本実施形態における赤外線センサAでは、図3の上下方向における上側、下側の小薄膜構造部3aaの複数の温接点T1の配置が、真ん中の小薄膜構造部3aaの複数の温接点T1の配置と同じである場合に比べて、温接点T1の温度変化を大きくできるので、感度を向上できる。なお、本実施形態では、空洞部11の最深部の深さを所定深さdp(図5(b)参照)とするとき、所定深さdpを200μmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではない。
また、小薄膜構造部3aaは、シリコン窒化膜32の赤外線入射面側においてサーモパイル30aを形成していない領域に、小薄膜構造部3aaの反りを抑制するとともに赤外線を吸収するn形ポリシリコン層からなる赤外線吸収層39(図3、図5および図11参照)が形成されている。また、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cには、当該連結片3cを補強するn形ポリシリコン層からなる補強層39b(図8参照)が設けられている。ここで、補強層39bは、赤外線吸収層39と連続一体に形成されている。しかして、熱型赤外線センサ100では、連結片3cが補強層39bにより補強されているので、使用中の外部の温度変化や衝撃に起因して発生する応力による破損を防止でき、また、製造時の破損を低減でき、製造歩留まりの向上を図れる。なお、本実施形態では、図8に示す連結片3cの長さ寸法L1を24μm、幅寸法L2を5μm、補強層39bの幅寸法L3を1μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。ただし、本実施形態のようにベース基板1がシリコン基板1aを用いて形成され、補強層39bがn形ポリシリコン層により形成される場合には、空洞部11の形成時に補強層39bがエッチングされるのを防止するために、補強層39bの幅寸法は、連結片3cの幅寸法よりも小さく設定し、平面視において補強層39bの両側縁が連結片3cの両側縁よりも内側に位置する必要がある。
また、本実施形態における熱型赤外線センサ100は、図8および図13(b)に示すように、連結片3cの両側縁と小薄膜構造部3aaの側縁との間にそれぞれ面取り部3d,3dが形成され、十字状の連結片3cの略直交する側縁間にも面取り部3eが形成されている。しかして、熱型赤外線センサ100では、図13(a)に示すように面取り部が形成されていない場合に比べて、連結片3cと小薄膜構造部3aaとの連結部位での応力集中を緩和でき、製造時に発生する残留応力を低減できるとともに製造時の破損を低減でき、製造歩留まりの向上を図れる。また、使用中の外部の温度変化や衝撃に起因して発生する応力による破損を防止できる。なお、図8に示した例では、各面取り部3d,3eをR(アール)が3μmのR面取り部としてあるが、R面取り部に限らず、例えば、C面取り部としてもよい。
また、熱型赤外線センサ100は、通電されることにより発生するジュール熱により温接点T1を温める自己診断用のヒータ部(故障診断用の配線)139を備えている。ここにおいて、ヒータ部139は、熱型赤外線検出部3においてシリコン基板1aの空洞部11に重なる領域でサーモパイル30aと重ならないように配置されている。ここで、熱型赤外線検出部3は、全ての小薄膜構造部3aaに跨ってヒータ部139が形成されている。
具体的には、熱型赤外線センサ100は、各画素部2に、熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と、一方のブリッジ部3bbと、分割赤外線吸収部33aと、他方のブリッジ部3bbと、熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位とに跨るように引き回されたヒータ部139を設けて、全てのヒータ部139を直列接続してある。
しかして、本実施形態における熱型赤外線センサ100は、製造途中での検査時や使用時において、m×n個のヒータ部139の直列回路への通電の有無によって、ブリッジ部3bbの折れやヒータ部139の断線などを検出することができる。また、熱型赤外線センサ100では、上述の検査時や使用時において、m×n個のヒータ部139の直列回路へ通電して各感温部30の出力を検出することにより、感温部30の断線の有無や感度のばらつき(感温部30の出力のばらつき)などを検知することが可能となる。ここにおいて、感度のばらつきに関しては、画素部2ごとの感度のばらつきを検知することが可能であり、例えば、薄膜構造部3aの反りや薄膜構造部3aのシリコン基板1aへのスティッキングなどに起因した感度のばらつきを検知することが可能となる。ここで、本実施形態における熱型赤外線センサ100では、平面視において、ヒータ部139を複数の温接点T1の群の付近において折り返され蛇行した形状としてある。したがって、ヒータ部139へ通電することにより発生するジュール熱によって、各温接点T1を効率良く温めることができる。上述のヒータ部139は、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35と同一平面上に同一厚さで形成されている。
上述の赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139は、第1の熱電要素であるn形ポリシリコン層34と同じn形不純物(例えば、リンなど)を同じ不純物濃度(例えば、1018〜1020cm−3)で含んでおり、n形ポリシリコン層34と同時に形成されている。また、p形ポリシリコン層35のp形不純物として例えばボロンを採用すればよく、不純物濃度を例えば1018〜1020cm−3程度の範囲で適宜設定すればよい。本実施形態では、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35それぞれの不純物濃度が1018〜1020cm−3であり、熱電対の抵抗値を低減でき、S/N比の向上を図れる。なお、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139は、n形ポリシリコン層34と同じn形不純物を同じ不純物濃度でドーピングしてあるが、これに限らず、例えば、第2の熱電要素であるp形ポリシリコン層35と同じ不純物を同じ不純物濃度でドーピングするようにしてもよい。
ところで、本実施形態では、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139の屈折率をn1、検知対象(検出対象)の赤外線である第1の赤外線の中心波長をλとするとき、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139それぞれの厚さt1をλ/4n1に設定するようにしているので、検知対象の波長(例えば、8〜12μm)の赤外線の吸収効率を高めることができ、高感度化を図れる。例えば、n1=3.6、λ=10μmの場合には、t1≒0.69μmとすればよい。
また、本実施形態では、n形ポリシリコン層24、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139それぞれの不純物濃度が1018〜1020cm−3であるので、赤外線の吸収率を高くしつつ赤外線の反射を抑制することができて、感温部30の出力のS/N比を高めることができる。また、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139をn形ポリシリコン層34と同一工程で形成できるから、低コスト化を図れる。
ここで、感温部30の第1の接続金属部36と第2の接続金属部37とは、シリコン基板1aの上記一表面側において上述の層間絶縁膜50により絶縁分離されている(図10および図9参照)。すなわち、温接点T1側の第1の接続金属部36は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50a1,50a2を通して両ポリシリコン層34,35の上記各一端部と電気的に接続され、冷接点T2側の第2の接続金属部37は、層間絶縁膜50に形成されたコンタクトホール50a3,50a4を通して両ポリシリコン層34,35の上記各他端部と電気的に接続されている。
また、MOSトランジスタ4は、上述のように、シリコン基板1aの上記一表面側における各画素部2それぞれにおけるMOSトランジスタ4の形成用領域A2に形成されている。ここで、MOSトランジスタ4は、図5および図12に示すように、シリコン基板1aの上記一表面側にp+形ウェル領域41が形成され、p+形ウェル領域41内に、n+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44とが離間して形成されている。また、p+形ウェル領域41内には、n+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44とを囲むp++形チャネルストッパ領域42が形成されている。また、p+形ウェル領域41においてn+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44との間に位置する部位の上には、シリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜45を介してn形ポリシリコン層からなるゲート電極46が形成されている。また、n+形ドレイン領域43上には金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるドレイン電極47が形成され、n+形ソース領域44上には金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるソース電極48が形成されている。ここで、ゲート電極46、ドレイン電極47およびソース電極48は、上述の層間絶縁膜50により絶縁分離されている。すなわち、ドレイン電極47は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50dを通してn+形ドレイン領域43と電気的に接続され、ソース電極48は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50eを通してn+形ソース領域44と電気的に接続されている。
ところで、熱型赤外線センサ100の各画素部2では、MOSトランジスタ4のソース電極48と感温部30の一端とが電気的に接続され、感温部30の他端が基準バイアス線5に電気的に接続されている。また、各画素部2では、MOSトランジスタ4のドレイン電極47が垂直読み出し線7と電気的に接続され、ゲート電極46が当該ゲート電極46と連続一体に形成されたn形ポリシリコン配線からなる水平信号線6と電気的に接続されている。また、各画素部2では、MOSトランジスタ4のp++形チャネルストッパ領域42上に金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるグラウンド用電極49が形成されており、当該グラウンド用電極49が、当該p++形チャネルストッパ領域42をn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44よりも低電位にバイアスして素子分離するための共通グラウンド線8と電気的に接続されている。なお、グラウンド用電極49は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50fを通してp++形チャネルストッパ領域42と電気的に接続されている。
以上説明した熱型赤外線センサ100によれば、通電されることにより発生するジュール熱によって温接点T1を温める自己診断用のヒータ部139を備えているので、ヒータ部139へ通電してサーモパイル30aの出力を測定することにより、サーモパイル30aの断線などの故障の有無を判断することが可能となって、信頼性の向上を図れ、しかも、ヒータ部139は、熱型赤外線検出部3において支持基板であるシリコン基板1aの空洞部11に重なる領域でサーモパイル30aと重ならないように配置されているので、ヒータ部139によるサーモパイル30aの温接点T1の熱容量の増大を防止でき、感度および応答速度の向上を図れる。
ここで、熱型赤外線センサ100は、使用時において自己診断を行わない通常時において、ヒータ部139も外部からの赤外線を吸収するので、複数の温接点T1の温度の均一化を図れ、感度の向上を図れる。なお、熱型赤外線センサ100では、赤外線吸収層39および補強層39bも外部からの赤外線を吸収するので、複数の温接点T1の温度の均一化を図れ、感度の向上を図れる。また、熱型赤外線センサ100の使用時の自己診断は、IC素子102に設けられた自己診断回路(図示せず)により定期的に行われるが、必ずしも定期的に行う必要はない。
また、熱型赤外線センサ100は、薄膜構造部3aが、複数の線状のスリット13を設けることによって、空洞部11の内周方向に沿って並設されそれぞれ熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位から内方へ延長された複数の小薄膜構造部3aaに分離され、各小薄膜構造部3aaごとにサーモパイル30aの温接点T1が設けられるとともに、各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなる接続関係で全てのサーモパイル30aが電気的に接続されているので、応答速度および感度の向上を図れ、しかも、全ての小薄膜構造部3aaに跨ってヒータ部139が形成されているので、熱型赤外線検出部3の全てのサーモパイル30aを一括して自己診断することが可能となる。また、熱型赤外線センサ100では、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cが形成されていることにより、各小薄膜構造部3aaの反りを低減でき、構造安定性の向上を図れ、感度が安定する。
また、熱型赤外線センサ100は、n形ポリシリコン層34とp形ポリシリコン層35と赤外線吸収層39と補強層39bとヒータ部139とが同一の厚さに設定されているので、小薄膜構造部3aaの応力バランスの均一性が向上し、小薄膜構造部3aaの反りを抑制することができ、製品ごとの感度のばらつきや、画素部2ごとの感度のばらつきを低減できる。
また、熱型赤外線センサ100は、ヒータ部139が、第1の熱電要素であるn形ポリシリコン層34もしくは第2の熱電要素であるp形ポリシリコン層35と同じ材料により形成されているので、ヒータ部139を第1の熱電要素もしくは第2の熱電要素と同時に形成することが可能となり、製造プロセスの簡略化による低コスト化を図れる。
また、熱型赤外線センサ100は、赤外線吸収部33およびヒータ部139を備えた複数の画素部2が、支持基板であるシリコン基板1aの上記一表面側でアレイ状に設けられているので、製造時や使用時の自己診断に際して各画素部2それぞれのヒータ部139に通電することにより、各画素部2それぞれの感温部30の感度のばらつきを把握することが可能となる。
また、熱型赤外線センサ100は、各画素部2ごとに感温部30の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4を有しているので、出力用パッドVout(図14参照)の数を少なくでき、小型化および低コスト化を図れる。
ところで、熱型赤外線センサ100は、上述のように、シリコン基板1aの上記他表面側に、IC素子102からパッケージ本体104に伝熱された熱が冷接点T2に伝わるのを抑制する掘り込み部12が形成されている。ここで、熱型赤外線センサ100は、掘り込み部12の形状が、四角錘状であり(図1(a)〜(c)参照)、平面視における中央部の方が周部に比べて深さ寸法が大きくなっている。なお、本実施形態では、掘り込み部12の最深部の深さを空洞部11の所定深さdpと同じ200μmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではない。
以下、熱型赤外線センサ100の製造方法について図15〜図18を参照しながら簡説明する。
まず、シリコン基板1aの上記一表面側に第1の所定膜厚(例えば、0.3μm)の第1のシリコン酸化膜31と第2の所定膜厚(例えば、0.1μm)のシリコン窒化膜32との積層膜からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行い、その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、当該絶縁層のうち熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に対応する部分の一部を残してMOSトランジスタ4の形成用領域A2に対応する部分をエッチング除去する絶縁層パターニング工程を行うことによって、図15(a)に示す構造を得る。ここにおいて、シリコン酸化膜31は、シリコン基板1aを所定温度(例えば、1100℃)で熱酸化することにより形成し、シリコン窒化膜32は、LPCVD法により形成している。
上述の絶縁層パターニング工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側にp+形ウェル領域41を形成するウェル領域形成工程を行い、続いて、シリコン基板1aの上記一表面側におけるp+形ウェル領域41内にp++形チャネルストッパ領域42を形成するチャネルストッパ領域形成工程を行うことによって、図15(b)に示す構造を得る。ここで、ウェル領域形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側の露出部位を所定温度で熱酸化することにより、第2のシリコン酸化膜(熱酸化膜)51を選択的に形成し、その後、p+形ウェル領域41を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン酸化膜51をパターニングし、続いて、p形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってから、ドライブインを行うことにより、p+形ウェル領域41を形成する。また、チャネルストッパ領域形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側を所定温度で熱酸化することにより、第3のシリコン酸化膜(熱酸化膜)52を選択的に形成し、その後、p++形チャネルストッパ領域42を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第3のシリコン酸化膜52をパターニングし、続いて、p形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってから、ドライブインを行うことにより、p++形チャネルストッパ領域42を形成する。なお、第1のシリコン酸化膜31と第2のシリコン酸化膜51と第3のシリコン酸化膜52とで、シリコン基板1aの上記一表面側のシリコン酸化膜1bを構成している。
上述のチャネルストッパ領域形成工程の後、p+形ウェル領域41におけるn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44それぞれの形成予定領域にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44を形成するソース・ドレイン形成工程を行う。当該ソース・ドレイン形成工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側に熱酸化により所定膜厚(例えば、600Å)のシリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜45を形成するゲート絶縁膜形成工程を行う。続いて、シリコン基板1aの上記一表面側の全面にゲート電極46、水平信号線6(図3参照)、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139の基礎となる所定膜厚(例えば、0.69μm)のノンドープポリシリコン層をLPCVD法により形成するポリシリコン層形成工程を行う。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して上記ノンドープポリシリコン層のうちゲート電極46、水平信号線6、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよびヒータ部139それぞれに対応する部分が残るようにパターニングするポリシリコン層パターニング工程を行う。続いて、上記ノンドープポリシリコン層のうちp形ポリシリコン層35に対応する部分にp形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりp形ポリシリコン層35を形成するp形ポリシリコン層形成工程を行う。その後、上記ノンドープポリシリコン層のうちn形ポリシリコン層34、赤外線吸収層39、補強層39b、ヒータ部139、ゲート電極46および水平信号線6に対応する部分にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりn形ポリシリコン層34、赤外線吸収層39、補強層39b、ヒータ部139、ゲート電極46および水平信号線6を形成するn形ポリシリコン層形成工程を行うことによって、図16(a)に示す構造を得る。なお、p形ポリシリコン層形成工程とn形ポリシリコン層形成工程との順序は逆でもよい。
上述のp形ポリシリコン層形成工程およびn形ポリシリコン層形成工程が終了した後、シリコン基板1aの上記一表面側に層間絶縁膜50を形成する層間絶縁膜形成工程を行う。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、層間絶縁膜50に上記各コンタクトホール50a1,50a2,50a3,50a4,50d,50e,50f(図9、図10および図12参照)を形成するコンタクトホール形成工程を行うことによって、図16(b)に示す構造を得る。ここで、層間絶縁膜形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側に所定膜厚(例えば、0.8μm)のBPSG膜をCVD法により堆積させてから、所定温度(例えば、800℃)でリフローすることにより平坦化された層間絶縁膜50を形成する。
上述のコンタクトホール形成工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側の全面に第1の接続金属部36、第2の接続金属部37、ドレイン電極47、ソース電極48、基準バイアス線5、垂直読み出し線7、グラウンド線8、共通グラウンド線9および各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndなど(図14参照)の基礎となる所定膜厚(例えば、2μm)の金属膜(例えば、Al−Si膜)をスパッタ法などにより形成する金属膜形成工程を行う。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して金属膜をパターニングすることで第1の接続金属部36、第2の接続金属部37、ドレイン電極47、ソース電極48、基準バイアス線5、垂直読み出し線7、グラウンド線8、共通グラウンド線9および各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndなどを形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図17(a)に示す構造を得る。なお、金属膜パターニング工程におけるエッチングはRIEにより行っている。また、この金属膜パターニング工程を行うことにより、温接点T1および冷接点T2が形成され、サーモパイル30aが完成する。
上述の金属膜パターニング工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側(つまり、層間絶縁膜50の表面側)に所定膜厚(例えば、0.5μm)のPSG膜と所定膜厚(例えば、0.5μm)のNSG膜との積層膜からなるパッシベーション膜60をCVD法により形成するパッシベーション膜形成工程を行うことによって、図17(b)に示す構造を得る。なお、パッシベーション膜60は、PSG膜とNSG膜との積層膜に限らず、例えば、シリコン窒化膜でもよい。
上述のパッシベーション膜形成工程の後、シリコン酸化膜31とシリコン窒化膜32との積層膜からなる熱絶縁層と、当該熱絶縁層上に形成された感温部30と、熱絶縁層の表面側で感温部30を覆うように形成された層間絶縁膜50と、層間絶縁膜50上に形成されたパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより上述の小薄膜構造部3aaを形成する積層構造部パターニング工程を行うことによって、図18(a)に示す構造を得る。なお、積層構造部パターニング工程において、上述の各スリット13,14を形成している。
上述の積層構造部パターニング工程の後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndを露出させるパッド用開口部(図示せず)を形成するパッド用開口部形成工程を行う。続いて、上述の各スリット13,14をエッチャント導入孔としてアルカリ系溶液を導入してシリコン基板1aを異方性エッチングすることによりシリコン基板1aに空洞部11を形成する空洞部形成工程を行うことによって、図18(b)に示す構造の画素部2が2次元アレイ状に配列された熱型赤外線センサ100を得る。ここで、パッド用開口部形成工程におけるエッチングは、RIEにより行っている。また、空洞部形成工程では、アルカリ系溶液として、Siが溶解されたTMAH水溶液(TMAHの11.5%水溶液)を用い、液温を所定温度(例えば、85℃)に設定しているが、アルカリ系溶液はTMAH水溶液に限らず、KOH水溶液やEDP水溶液などを用いてもよい。本実施形態では、アルカリ系溶液としてSiを溶解させたTMAH水溶液を用いるので、シリコン基板1aの上記一表面側にAl膜(AlにSiを添加したAl−Si膜を含む)が露出している場合でもAl膜の浸食を防止することができる。また、KOH水溶液を用いる場合に比べて、SiO2に対するエッチング選択比を大きくできる。また、本実施形態では、空洞部形成工程において、掘り込み部12を同時に形成しているが、空洞部形成工程とは別に、掘り込み部12を形成する掘り込み部形成工程を設けてもよい。なお、掘り込み部12を形成する際のマスクは、例えば、上述の絶縁層形成工程においてシリコン酸化膜31を熱酸化法により形成する際にシリコン基板1aの上記他表面に形成されたシリコン酸化膜(図示せず)をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることで形成すればよく、掘り込み部12を形成した後に、エッチング除去すればよい。
なお、空洞部形成工程が終了するまでの全工程はウェハレベルで行うので、空洞部形成工程が終了した後、個々の赤外線センサAに分離する分離工程を行えばよい。また、上述の説明から分かるように、MOSトランジスタ4の製造方法に関してみれば、周知の一般的なMOSトランジスタの製造方法を採用しており、熱酸化による熱酸化膜の形成、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術による熱酸化膜のパターニング、不純物のイオン注入、ドライブイン(不純物の拡散)の基本工程を繰り返すことにより、p+形ウェル領域41、p++形チャネルストッパ領域42、n+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44を形成している。
上述の熱型赤外線センサ100では、シリコン基板1aとして上記一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いて、エッチング速度の結晶面方位依存性を利用した異方性エッチングにより形成する空洞部11を四角錘状の形状としてあるが、四角錘状の形状に限らず、四角錘台状の形状でもよい。また、シリコン基板1aの上記一表面の面方位は特に限定するものではなく、例えば、シリコン基板1aとして上記一表面が(110)面の単結晶シリコン基板を用いてもよい。
ところで、上述の熱型赤外線センサ100は、各画素部2にMOSトランジスタ4を設けてあるが、MOSトランジスタ4は必ずしも設ける必要はない。また、熱型赤外線センサ100の各熱型赤外線検出部3は、少なくとも1つのサーモパイル30aを備えたものであればよい。
IC素子102は、ASIC(:Application Specific IC)であり、シリコン基板を用いて形成されている。また、IC素子102としてベアチップを用いている。しかして、本実施形態では、IC素子102がベアチップをパッケージングしたものである場合に比べて、パッケージ103の小型化を図れる。
IC素子102の回路構成は、熱型赤外線センサ100の構成に応じて適宜設計すればよく、例えば、熱型赤外線センサ100を制御する制御回路、熱型赤外線センサ100の出力信号を増幅する増幅回路、熱型赤外線センサ100の複数の出力用のパッド80に電気的に接続された複数の入力用のパッドの出力電圧を択一的に上記増幅回路に入力するマルチプレクサ、上述の自己診断回路などを備えた回路構成とすれば、温度分布の画像(赤外線画像)を得ることができる。
上述の赤外線センサモジュールは、パッケージ本体4とパッケージ蓋5とキャップ材6とで構成されるパッケージ3の内部の空間(気密空間)を、ドライ窒素雰囲気としてあるが、これに限らず、例えば、真空雰囲気としてもよい。
パッケージ本体104は、絶縁材料からなる基体104aに金属材料からなる配線パターン(図示せず)および電磁シールド層(図示せず)が形成されており、電磁シールド層により電磁シールド機能を有している。一方、パッケージ蓋105は、レンズ153が導電性を有するとともに、レンズ153がメタルキャップ152に導電性材料により接合されており、導電性を有している。そして、パッケージ蓋105は、パッケージ本体104の電磁シールド層と電気的に接続されている。しかして、本実施形態では、パッケージ本体104の電磁シールド層とパッケージ蓋105とを同電位とすることができる。その結果、パッケージ103は、熱型赤外線センサ100とIC素子102と上記配線パターンと後述のボンディングワイヤ(図示せず)と含んで構成されるセンサ回路(図示せず)への外来の電磁ノイズを防止する電磁シールド機能を有している。
パッケージ本体104は、熱型赤外線センサ100およびIC素子102が一表面側に実装される平板状のセラミック基板により構成してある。要するに、パッケージ本体104は、基体104aが絶縁材料であるセラミックスにより形成されており、上記配線パターンのうち基体104aの一表面側に形成された部位に、熱型赤外線センサ100のパッド80(図2参照)およびIC素子102のパッド(図示せず)が、ボンディングワイヤ(図示せず)を介して適宜接続されている。なお、赤外線センサモジュールにおいて、熱型赤外線センサ100とIC素子102とは、ボンディングワイヤ(図示せず)などを介して電気的に接続されている。各ボンディングワイヤとしては、例えば、Alワイヤに比べて耐腐食性の高いAuワイヤを用いることが好ましい。
本実施形態では、パッケージ本体104の絶縁材料としてセラミックスを採用しているので、上記絶縁材料としてエポキシ樹脂などの有機材料を採用する場合に比べて、パッケージ本体104の耐湿性および耐熱性を向上させることができる。ここで、絶縁材料のセラミックスとして、アルミナを採用すれば、窒化アルミニウムや炭化珪素などを採用する場合に比べて、上記絶縁材料の熱伝導率が小さく、IC素子102で発生しパッケージ本体104で伝熱された熱に起因した熱型赤外線センサ100の温度上昇を抑制できる。
また、パッケージ本体104は、上述の配線パターンの一部により構成される外部接続電極(図示せず)が、基体104aの他表面と側面とに跨って形成されている。しかして、本実施形態の赤外線センサモジュールでは、回路基板などへの2次実装後において、回路基板などとの接合部の外観検査を容易に行うことができる。
また、熱型赤外線センサ100は、パッケージ本体104に対して、第1のダイボンド剤(例えば、シリコーン樹脂など)からなる接合部115を介して実装されている。また、IC素子102は、パッケージ本体104に対して、第2のダイボンド剤(例えば、シリコーン樹脂など)からなる接合部125を介して実装されている。各ダイボンド剤としては、低融点ガラスやエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などの絶縁性接着剤、半田(鉛フリー半田、Au−Sn半田など)や銀ペーストなどの導電性接着剤を用いればよい。また、各ダイボンド剤を用いずに、例えば、常温接合法や、Au−Sn共晶もしくはAu−Si共晶を利用した共晶接合法などにより接合してもよい。
パッケージ蓋105は、パッケージ本体104側の一面が開放された箱状に形成され熱型赤外線センサ100に対応する部位に開口窓152aが形成されたメタルキャップ152と、メタルキャップ152の開口窓152aを閉塞する形でメタルキャップ152に接合されたレンズ153とで構成されており、メタルキャップ152の上記一面がパッケージ本体104により閉塞される形でパッケージ本体104に気密的に接合されている。ここで、パッケージ本体104の上記一表面の周部には、パッケージ本体104の外周形状に沿った枠状の金属パターン147(図1(a)参照)が全周に亘って形成されており、パッケージ蓋105とパッケージ本体104の金属パターン147とは、シーム溶接(抵抗溶接法)により金属接合されており、気密性および電磁シールド効果を高めることができる。なお、パッケージ蓋105のメタルキャップ152は、コバールにより形成されており、Niめっきが施されている。また、パッケージ本体104の金属パターン147は、コバールにより形成され、Niのめっきが施され、さらにAuのめっきが施されている。
パッケージ蓋105とパッケージ本体104の金属パターン147との接合方法は、シーム溶接に限らず、他の溶接(例えば、スポット溶接)や、導電性樹脂により接合してもよい。ここで、導電性樹脂として異方導電性接着剤を用いれば、樹脂(バインダー)中に分散された導電粒子の含有量が少なく、接合時に加熱・加圧を行うことでパッケージ蓋105とパッケージ本体104との接合部の厚みを薄くできるので、外部からパッケージ103内へ水分やガス(例えば、水蒸気、酸素など)が侵入するのを抑制できる。また、導電性樹脂として、酸化バリウム、酸化カルシウムなどの乾燥剤を混入させたものを用いてもよい。
なお、パッケージ本体104およびパッケージ蓋105の外周形状は矩形状としてあるが、矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。また、パッケージ蓋105のメタルキャップ152は、パッケージ本体104側の端縁から全周に亘って外方に延設された鍔部152bを備えており、鍔部152bが全周に亘ってパッケージ本体104と接合されている。
レンズ153は、平凸型の非球面レンズであり、熱型赤外線センサ100の受光効率(上述の赤外線の受光効率)の向上による高感度化を図れるとともに、熱型赤外線センサ100の検知エリアをレンズ153により設定することが可能となる。レンズ153は、所望のレンズ形状に応じて半導体基板(ここでは、シリコン基板)との接触パターンを設計した陽極を半導体基板の一表面側に半導体基板との接触がオーミック接触となるように形成した後に半導体基板の構成元素の酸化物をエッチング除去する溶液からなる電解液中で半導体基板の他表面側を陽極酸化することで除去部位となる多孔質部を形成してから当該多孔質部を除去することにより形成された半導体レンズ(ここでは、シリコンレンズ)により構成されている。しかして、レンズ153は、導電性を有している。なお、この種の陽極酸化技術を応用した半導体レンズの製造方法については、例えば、特許第3897055号公報、特許第3897056号公報などに開示されているので、説明を省略する。
本実施形態では、熱型赤外線センサ100の検知エリアを上述の半導体レンズからなるレンズ153により設定することができ、また、レンズ153として、球面レンズよりも短焦点で且つ開口径が大きく収差が小さな半導体レンズを採用することができるから、短焦点化により、パッケージ103の薄型化を図れる。本実施形態の赤外線センサモジュールでは、レンズ153の材料として、ZnSやGaAsなどに比べて環境負荷が少なく且つ、Geに比べて低コスト化が可能であり、しかも、ZnSに比べて波長分散が小さなSiを採用している。
また、レンズ153は、メタルキャップ152における開口部152aの周部に導電性接着剤(例えば、鉛フリー半田、銀ペーストなど)からなる接合部158により固着されている。上述のように、接合部158の材料として導電性接着剤を採用することにより、レンズ153が、接合部158およびメタルキャップ152を介してパッケージ本体104の電磁シールド層に電気的に接続されるので、電磁ノイズに対するシールド性を高めることができ、外来の電磁ノイズに起因したS/N比の低下を防止することができる。
上述のレンズ153には、熱型赤外線センサ100での検知対象の赤外線の波長を含む所望の波長域の赤外線を透過し当該波長域以外の赤外線を反射する光学多層膜(多層干渉フィルタ膜)からなるフィルタ部(図示せず)を設けてもよい。このようなフィルタ部を設けることにより、所望の波長域以外の不要な波長域の赤外線や可視光をフィルタ部によりカットすることが可能となり、太陽光などによるノイズの発生を抑制することができ、高感度化を図れる。
ここにおいて、本実施形態では、上述のようにIC素子102としてベアチップを採用しているので、パッケージ蓋105が可視光をカットする機能を有するように、メタルキャップ152およびレンズ153およびフィルタ部の材料を適宜選択することにより、可視光に起因したIC素子102の起電力による誤動作を防止することができる。ただし、ベアチップからなるIC素子102における少なくともパッケージ蓋105側の表面に外部からの光を遮光する樹脂部(図示せず)を設けるようにすれば、IC素子102がベアチップをパッケージングしたものである場合に比べてパッケージ103の小型化を図りつつ、可視光に起因したIC素子102の起電力による誤動作を防止することができる。
また、本実施形態では、パッケージ本体104が平板状に形成されているので、パッケージ本体104への熱型赤外線センサ100およびIC素子102の実装が容易になるとともに、パッケージ本体104の低コスト化が可能となる。また、パッケージ本体104が平板状に形成されているので、パッケージ本体104を、一面が開放された箱状の形状として、多層セラミック基板により構成し、パッケージ本体104の内底面に熱型赤外線センサ100を実装する場合に比べて、パッケージ本体104の上記一表面側に配置される熱型赤外線センサ100とレンズ153との間の距離の精度を高めることができ、より一層の高感度化を図れる。なお、図1(a)では、パッケージ本体104において、熱型赤外線センサ100を実装する領域を第1の領域140とし、IC素子102を実装する領域を第2の領域142としてある。
ここで、上述の図24の赤外線センサモジュールにおいて、熱型赤外線センサ100’、IC素子102’の代わりに、本実施形態における熱型赤外線センサ100、IC素子102を配置し、IC素子102と熱型赤外線センサ100との距離を0.5mm、熱型赤外線センサ100のチップサイズを3mm□、厚みを525μmと、パッケージ本体4の絶縁材料をアルミナ(熱伝導率:29W/m・K)、メタルキャップ152の材料をコバール(熱伝導率:16.7W/m・K)、IC素子102および熱型赤外線センサ100それぞれの裏面全体をパッケージ本体104にダイボンドするダイボンド剤をエポキシ樹脂として、シリコンの熱伝導率を168W/m・Kとし、温度測定対象の物体を黒体として、IC素子102の表面の温度を種々変化させた場合について、温度測定対象の物体の温度と熱型赤外線センサ100の出力電圧との関係を、有限要素法により、シミュレーションした結果を図19に示す。なお、図19において、y1、y2、y3、y4は、それぞれ、IC素子102の表面の温度を、−20℃、20℃、60℃、100℃とした場合のシミュレーション結果を示したものであり、各2次方程式は、物体の温度をx、出力電圧をyとしたときに得られたものであり、上から順に、y1、y2、y3、y4の曲線に対応している。
図19から、IC素子102の温度が変化することにより、熱型赤外線センサ100の出力電圧が変化することが分かる。
以上説明した本実施形態の赤外線センサモジュールでは、熱型赤外線センサ100として、支持基板たるシリコン基板1aの上記一表面側において熱型赤外線検出部3それぞれの一部の直下に空洞部11が形成され、サーモパイル30aの温接点T1が、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、サーモパイル30aの冷接点T2が熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されてなり、且つ、シリコン基板1aの上記一表面とは反対の上記他表面側に、IC素子102からパッケージ本体104に伝熱された熱が冷接点T2に伝わるのを抑制する掘り込み部12が形成されているので、IC素子102の発熱に伴うIC素子102からの熱伝導に起因した冷接点T2の温度上昇を抑制することができて、サーモパイル30aの出力電圧に含まれるオフセット電圧を低減することができるから、感温部30の出力信号に含まれるオフセット電圧を低減することができ、温度測定精度の向上が可能となる。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図20に示すように、厚み方向の中間に絶縁層10bを有するSOI(Silicon On Insulator)基板10の一表面側に熱型赤外線検出部3を備えた複数の画素部2が設けられており、SOI基板10が、支持基板を構成している点など相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図20に示すように、厚み方向の中間に絶縁層10bを有するSOI(Silicon On Insulator)基板10の一表面側に熱型赤外線検出部3を備えた複数の画素部2が設けられており、SOI基板10が、支持基板を構成している点など相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態では、図1を参照しながら説明した実施形態1の赤外線センサモジュールの熱型赤外線センサ100におけるシリコン基板1aの代わりに、SOI基板10を用いている。このSOI基板10は、シリコン基板10aとシリコン層(活性層)10cとの間に絶縁層10bを備えており、SOI基板10の上記一表面が支持基板の上記一表面を構成し、SOI基板10の他表面が支持基板の上記他表面を構成している。要するに、SOI基板10のシリコン層10cにおける絶縁層10b側とは反対側の表面が、支持基板の上記一表面を構成し、SOI基板10のシリコン基板10aにおける絶縁層10b側とは反対側の表面が、支持基板の上記他表面を構成している。
本実施形態における熱型赤外線センサ100は、掘り込み部12の深さ寸法をシリコン基板10aの厚み寸法と同じ値に設定してあり、SOI基板10の上記他表面側からのエッチングにより掘り込み部12を形成する際に絶縁層10bをエッチングストッパ層として利用している。要するに、本実施形態では、熱型赤外線センサ100における支持基板たるSOI基板10の上記他表面から絶縁層10bに達する深さに形成されているので、掘り込み部12の深さ寸法の精度が高くなり、掘り込み部12の断熱性能のばらつきを低減できる。また、SOI基板10が支持基板を構成しているので、IC素子102で発生した熱がパッケージ本体104を通して支持基板に伝熱されても絶縁層10bが断熱層として機能することとなり、IC素子102の発熱に起因した冷接点T2の温度上昇を抑制することが可能となる。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図21に示すように、熱型赤外線センサ100の掘り込み部12が、シリコン基板1aの熱型赤外線検出部3が形成された上記一表面側とは反対の上記他表面側において、網状に形成されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図21に示すように、熱型赤外線センサ100の掘り込み部12が、シリコン基板1aの熱型赤外線検出部3が形成された上記一表面側とは反対の上記他表面側において、網状に形成されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における掘り込み部12は、シリコン基板1aの上記他表面において網状に形成されており、掘り込み部12の内部空間がパッケージ3の内部空間K2と連通している。要するに、熱型赤外線センサ100は、支持基板たるシリコン基板1aの上記他表面側に、シリコン基板1aの一部からなる多数の柱状部位を有している。なお、掘り込み部12は、誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置などの垂直深堀の可能なエッチング装置を用いて形成すればよく、本実施形態における熱型赤外線センサ100の製造にあたっては、実施形態1にて説明した製造方法において、空洞部形成工程の後で、掘り込み部12を形成する掘り込み部形成工程を行うようにすればよい。
本実施形態の赤外線センサモジュールでは、実施形態1の赤外線センサモジュールよりも更に、IC素子102からサーモパイル30aの冷接点T2への熱伝導が抑制される。また、シリコン基板1aの上記他表面側の表面積が大きくなるので、放熱効果もある。
なお、本実施形態の赤外線センサモジュールにおけるシリコン基板1aの代わりに、実施形態2で説明したSOI基板10(図20参照)を用いてもよい。
(実施形態4)
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図22に示すように、熱型赤外線検出部3を支持する支持基板が、当該支持基板の一表面側のシリコン基板1aと、当該支持基板の他表面側のガラス基板からなりシリコン基板1aに比べて熱伝導率の低い低熱伝導率基板1cとで構成され、シリコン基板1aに空洞部11が形成され、低熱伝導率基板1cに掘り込み部12が形成されている点が相違する。ここで、低熱伝導率基板1cは、シリコン基板1aに比べて熱伝導率が低く、シリコン基板1aとの線膨張係数差が小さなものであればよく、ガラス基板に限らず、セラミック基板でもよい。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図22に示すように、熱型赤外線検出部3を支持する支持基板が、当該支持基板の一表面側のシリコン基板1aと、当該支持基板の他表面側のガラス基板からなりシリコン基板1aに比べて熱伝導率の低い低熱伝導率基板1cとで構成され、シリコン基板1aに空洞部11が形成され、低熱伝導率基板1cに掘り込み部12が形成されている点が相違する。ここで、低熱伝導率基板1cは、シリコン基板1aに比べて熱伝導率が低く、シリコン基板1aとの線膨張係数差が小さなものであればよく、ガラス基板に限らず、セラミック基板でもよい。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
シリコン基板1aと低熱伝導率基板1cとは、適宜の接合方法で接合すればよく、例えば、常温接合法、陽極接合法などにより接合すればよい。
本実施形態における熱型赤外線センサ100は、掘り込み部12の深さ寸法を低熱伝導率基板1cの厚み寸法と同じ値に設定してあり、支持基板の上記他表面側からのエッチングにより掘り込み部12を形成する際にシリコン基板1aをエッチングストッパ層として利用している。要するに、本実施形態では、熱型赤外線センサ100における支持基板の上記他表面からシリコン基板1aに達する深さに形成されているので、掘り込み部12の深さ寸法の精度が高くなり、掘り込み部12の断熱性能のばらつきを低減できる。また、支持基板の全体がシリコン基板1aのみにより構成されている場合に比べて、パッケージ本体104と熱型赤外線検出部3との間の断熱性を高めることができる。
本実施形態の赤外線センサモジュールにおける熱型赤外線センサ100において、掘り込み部12の内部空間をパッケージ3の内部空間K2と連通させてもよく、この場合、例えば、掘り込み部12を実施形態3と同様の網状に形成すればよい。
(実施形態5)
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図23に示すように、熱型赤外線センサ100の外周形状が矩形状であり、掘り込み部12が、支持基板たるシリコン基板1aの上記他表面の四隅のみを残して形成されている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の赤外線センサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであり、図23に示すように、熱型赤外線センサ100の外周形状が矩形状であり、掘り込み部12が、支持基板たるシリコン基板1aの上記他表面の四隅のみを残して形成されている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の赤外線センサモジュールにおける熱型赤外線センサ100では、パッケージ本体104から熱型赤外線センサ100の上記一表面側へのシリコン基板1aを通した熱伝達経路がシリコン基板1aの四隅だけとなり、しかも、掘り込み部12の内部空間をパッケージ3の内部空間K2と連通させることができるので、パッケージ本体104と熱型赤外線検出部3との間の断熱性を高めることができる。
なお、本実施形態の赤外線センサモジュールにおいて支持基板を構成しているシリコン基板1aの代わりに、実施形態2で説明したSOI基板10(図20参照)を用いてもよいし、支持基板を、実施形態4にて説明したシリコン基板1aと低熱伝導率基板1cとで構成してもよい。
上述の各実施形態におけるパッケージ本体104は、電磁シールド板を内蔵したプリント配線板により構成してもよく、この場合には、当該プリント配線板により構成されるパッケージ本体104の周部とパッケージ蓋105とを、例えば、酸化バリウム、酸化カルシウムなどの乾燥剤を混入させた導電性樹脂や、導電性を有するBステージのエポキシ樹脂などからなる接合部により気密的に接合すればよい。
1a シリコン基板(支持基板)
1c 低熱伝導率基板
2 画素部
3 熱型赤外線検出部
10 SOI基板
10b 絶縁層
11 空洞部
12 掘り込み部
30a サーモパイル
100 熱型赤外線センサ
102 IC素子
103 パッケージ
104 パッケージ本体
105 パッケージ蓋
T1 温接点
T2 冷接点
K2 内部空間
1c 低熱伝導率基板
2 画素部
3 熱型赤外線検出部
10 SOI基板
10b 絶縁層
11 空洞部
12 掘り込み部
30a サーモパイル
100 熱型赤外線センサ
102 IC素子
103 パッケージ
104 パッケージ本体
105 パッケージ蓋
T1 温接点
T2 冷接点
K2 内部空間
Claims (6)
- サーモパイルを有する複数の熱型赤外線検出部が支持基板の一表面側でアレイ状に設けられた熱型赤外線センサと、前記熱型赤外線センサの出力信号を信号処理するIC素子と、前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子が収納されたパッケージとを備え、前記パッケージが、前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子が実装されたパッケージ本体と、前記熱型赤外線センサでの検知対象の赤外線を透過する機能を有し前記パッケージ本体との間に前記熱型赤外線センサおよび前記IC素子を囲む形で前記パッケージ本体に気密的に接合されたパッケージ蓋とで構成され、前記熱型赤外線センサは、前記支持基板の前記一表面側において前記熱型赤外線検出部それぞれの一部の直下に空洞部が形成され、前記サーモパイルの温接点が、前記熱型赤外線検出部において前記空洞部に重なる領域に形成され、前記サーモパイルの冷接点が前記熱型赤外線検出部において前記空洞部に重ならない領域に形成されてなり、且つ、前記支持基板の前記一表面とは反対の他表面側に、前記IC素子から前記パッケージ本体に伝熱された熱が前記冷接点に伝わるのを抑制する掘り込み部が形成されてなることを特徴とする赤外線センサモジュール。
- 前記熱型赤外線センサの前記掘り込み部の内部空間と前記パッケージの内部空間とが連通していることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサモジュール。
- 前記支持基板が、厚み方向の中間に絶縁層を有するSOI基板からなり、前記掘り込み部は、前記支持基板の前記他表面から前記絶縁層に達する深さに形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外線センサモジュール。
- 前記支持基板は、前記一表面側のシリコン基板と、前記他表面側のガラス基板もしくはセラミック基板からなり前記シリコン基板に比べて熱伝導率の低い低熱伝導率基板とで構成され、前記シリコン基板に前記空洞部が形成され、前記低熱伝導率基板に前記掘り込み部が形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外線センサモジュール。
- 前記掘り込み部は、網状に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
- 前記熱型赤外線センサの外周形状が矩形状であり、前記掘り込み部は、前記支持基板の前記他表面の四隅のみを残して形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
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CN113677962A (zh) * | 2019-03-27 | 2021-11-19 | 松下知识产权经营株式会社 | 红外传感器和配备有红外传感器的红外传感器装置 |
-
2010
- 2010-03-26 JP JP2010073566A patent/JP2011203221A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013130582A1 (en) * | 2012-02-27 | 2013-09-06 | Texas Instruments Incorporated | Method for embedding controlled-cavity mems package in integration board |
US8866237B2 (en) | 2012-02-27 | 2014-10-21 | Texas Instruments Incorporated | Methods for embedding controlled-cavity MEMS package in integration board |
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