JP2011027652A - 赤外線センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性の向上を図れるだけでなく感度および応答速度の向上を図れる赤外線センサを提供する。
【解決手段】シリコン基板(支持基板)1aは、熱型赤外線検出部3の一部の直下に空洞部11が形成されている。サーモパイル30aは、n形ポリシリコン層(第1の熱電要素)34とp形ポリシリコン層(第2の熱電要素)35とを熱型赤外線検出部3においてシリコン基板1aの空洞部11に重なる領域で第1の接続金属部36により接合することで形成された複数の温接点T1、n形ポリシリコン層34とp形ポリシリコン層35とを熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域で第2の接続金属部37により接合することで形成された複数の冷接点T2を有する。ジュール熱により温接点T1を温める自己診断用ヒータ部139は、熱型赤外線検出部3においてシリコン基板1aの空洞部11に重な域でサーモパイル30aと重ならないように配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線センサに関するものである。
従来から、シリコン基板と、当該シリコン基板の一表面側に形成された熱型赤外線検出部とを備えた赤外線センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、上記特許文献1に開示された赤外線センサは、図24に示すように、シリコン基板1a’と、当該シリコン基板1a’の上記一表面側に形成された熱型赤外線検出部3’とを備えている。図24に示した構成の赤外線センサは、熱型赤外線検出部3’が、シリコン基板1a’の上記一表面側に形成されシリコン基板1a’に支持されたダイアフラム部113’と、ダイアフラム部113’におけるシリコン基板1a’側とは反対側に形成された感温部30’とを備え、シリコン基板1’においてダイアフラム部113’に対応する部位に空洞部11’が形成されている。
また、上述の熱型赤外線検出部3’では、感温部30’が、シリコン基板1a’の上記一表面側において空洞部11’に重なる領域とシリコン基板1a’の空洞部11’の周部に重なる領域とに跨って形成された細長のn形ポリシリコン層(第1の熱電要素)34’および細長のp形ポリシリコン層(第2の熱電要素)35’と、n形ポリシリコン層34’とp形ポリシリコン層35’との一端部同士をダイアフラム部113’においてシリコン基板1’の空洞部11’の投影領域で電気的に接合した第1の接続金属部36’とで構成される複数の熱電対が直列接続されたサーモパイルにより構成されている。ここで、感温部30’を構成するサーモパイルは、p形ポリシリコン層35’の上記一端部およびn形ポリシリコン層34’の上記一端部と、対をなすn形ポリシリコン層34’とp形ポリシリコン層35’との上記一端部同士を接合した第1の接続金属部36’とで温接点T1’を構成し、互いに異なる熱電対のp形ポリシリコン層35’の他端部およびn形ポリシリコン層34’の他端部と、これら他端部同士を接合した第2の接続金属部37’とで冷接点T2’を構成している。
また、上述の熱型赤外線検出部3’では、冷接点T2’の近傍に、ジュール熱による発熱によって赤外線を放射するポリシリコン層などからなる赤外線放射体239’が形成されており、冷接点T2’の第2の接続金属部37’が、赤外線放射体239’の上方まで延設されている。ここにおいて、熱型赤外線検出部3’では、シリコン基板1a’の上記一表面側に、感温部30’のn形ポリシリコン層34’、p形ポリシリコン層35’、赤外線放射体239’および感温部30’が形成されていない部位を覆うBPSG膜からなる層間絶縁膜50’が形成されており、冷接点T2’と赤外線放射体239’とが層間絶縁膜50’により電気的に絶縁されている。また、熱型赤外線検出部3’では、層間絶縁膜50’および各接続金属部36’,37’を覆うようにパッシベーション膜60’が形成され、パッシベーション膜60’上において感温部30’の各温接点T1’を含む所定領域を覆う赤外線吸収膜118’が形成されている。
上述の図24に示した構成の赤外線センサでは、自己診断回路200’によって赤外線放射体239’へ通電して当該赤外線放射体239’から赤外線を放射させ、感温部30’の出力を自己診断回路200’により検出して適宜の信号処理を行うことで、感温部30’が赤外線を正常に検出できるか否かを判定する自己診断を行うことができるので、信頼性の向上を図れる。なお、感温部30’が赤外線を正常に検出できない場合の原因としては、感温部30’を構成するサーモパイルの断線や配線の断線などの故障が考えられる。
しかしながら、図24に示した構成の赤外線センサでは、赤外線放射体239’へ通電して当該赤外線放射体239’から赤外線を放射させて自己診断回路200’による自己診断を行う際に、赤外線放射体239’が冷接点T2’へ向けて赤外線を放射するので、サーモパイルからなる感温部30’に、通常の赤外線検出時とは逆極性の熱起電力が発生するから、自己診断回路200’の回路構成が複雑になってしまうとともにコストアップの要因となってしまう。
これに対して、上記特許文献1には、図25に示すように、赤外線放射体239’を温接点T1’の近傍に設け、温接点T1’の第1の接続金属部36’を、赤外線放射体239’の上方まで延設してある赤外線センサが提案されている。
なお、図24および図25に示した構成の赤外線センサでは、シリコン基板1a’の他表面側からシリコン基板1a’を異方性エッチングすることにより空洞部11’が形成されているが、シリコン基板1a’の上記一表面側からシリコン基板1a’を所定深さまで異方性エッチングすることによって空洞部11’を形成するようにすることで、熱型赤外線検出部3’の熱容量の低減を図ることも考えられる。
特開平7−181082号公報
しかしながら、図25に示した構成の赤外線センサでは、温接点T1’の第1の接続金属部36’が赤外線放射体239’の上方まで延設されているので、温接点T1’の面積を大きくする必要があり、温接点T1’の熱容量が大きくなり、感度が低下するとともに熱時定数が長くなって応答速度が低下してしまう。なお、このような応答速度の低下は、赤外線センサを赤外線画像センサ(熱画像センサ)として用いる場合、フレーム周波数の低下の要因となってしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、信頼性の向上を図れるだけでなく感度および応答速度の向上を図れる赤外線センサを提供することにある。
請求項1の発明は、支持基板と、赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収部および当該赤外線吸収部の温度変化を検出するサーモパイルを有し支持基板の一表面側に形成されて支持基板に支持された熱型赤外線検出部とを備え、支持基板において熱型赤外線検出部の一部の直下に空洞部が形成されてなり、サーモパイルが、第1の熱電要素と第2の熱電要素とを熱型赤外線検出部において支持基板の空洞部に重なる領域で第1の接続金属部により接合することで形成された複数の温接点を有するとともに、第1の熱電要素と第2の熱電要素とを熱型赤外線検出部において空洞部に重ならない領域で第2の接続金属部により接合することで形成された複数の冷接点を有する赤外線センサであって、通電されることにより発生するジュール熱により温接点を温める自己診断用ヒータ部を備え、自己診断用ヒータ部は、熱型赤外線検出部において支持基板の空洞部に重なる領域でサーモパイルと重ならないように配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、通電されることにより発生するジュール熱により温接点を温める自己診断用ヒータ部を備えているので、自己診断用ヒータ部へ通電してサーモパイルの出力を測定することにより、サーモパイルの断線などの故障の有無を判断することが可能となって、信頼性の向上を図れ、しかも、自己診断用ヒータ部は、熱型赤外線検出部において支持基板の空洞部に重なる領域でサーモパイルと重ならないように配置されているので、自己診断用ヒータ部によるサーモパイルの温接点の熱容量の増大を防止でき、感度および応答速度の向上を図れる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記熱型赤外線検出部は、前記支持基板の前記一表面側で平面視において前記空洞部を覆う薄膜構造部が形成されており、薄膜構造部は、複数の線状のスリットにより前記空洞部の内周方向に沿って並設されそれぞれ前記熱型赤外線検出部において前記空洞部を囲む部位から内方へ延長された複数の小薄膜構造部に分離され、各小薄膜構造部ごとに前記サーモパイルの温接点が設けられるとともに、前記各サーモパイルごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなる接続関係で全ての前記サーモパイルが電気的に接続されてなり、全ての小薄膜構造部に跨って前記自己診断用ヒータ部が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、薄膜構造部が、複数の線状のスリットにより前記空洞部の内周方向に沿って並設されそれぞれ前記熱型赤外線検出部において前記空洞部を囲む部位から内方へ延長された複数の小薄膜構造部に分離され、各小薄膜構造部ごとに前記サーモパイルの温接点が設けられるとともに、各サーモパイルごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなる接続関係で全てのサーモパイルが電気的に接続されているので、応答速度および感度の向上を図れ、しかも、全ての小薄膜構造部に跨って前記自己診断用ヒータ部が形成されているので、前記熱型赤外線検出部の全ての前記サーモパイルを一括して自己診断することが可能となる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記薄膜構造部における前記小薄膜構造部の数が4以上の偶数であり、前記接続関係は、半数の前記サーモパイルを直列接続した2つの直列回路を並列接続した関係であることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱型赤外線検出部において全ての前記サーモパイルが並列接続されている場合や前記各サーモパイルごとに出力を取り出す場合に比べて感度を高めることができ、また、全ての前記サーモパイルが直列接続されている場合に比べて、電気抵抗を小さくできて熱雑音が低減されるから、S/N比が向上する。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記自己診断用ヒータ部は、前記第1の熱電要素もしくは前記第2の熱電要素と同じ材料により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記自己診断用ヒータ部が前記第1の熱電要素もしくは前記第2の熱電要素と同じ材料により形成されているので、前記自己診断用ヒータ部を前記第1の熱電要素もしくは前記第2の熱電要素と同時に形成することが可能となり、製造プロセスの簡略化による低コスト化を図れる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記赤外線吸収部および前記自己診断用ヒータ部を備えた複数の画素部が前記支持基板の前記一表面側でアレイ状に設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、各画素部それぞれの前記自己診断用ヒータ部に通電することにより各画素部それぞれの感度のばらつきを把握することが可能となる。
請求項1の発明は、信頼性の向上を図れるだけでなく感度および応答速度の向上を図れるという効果がある。
実施形態の赤外線センサにおける画素部の平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部の平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部の平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサの平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部を示し、(a)は平面レイアウト図、(b)は(a)のD−D’断面に対応する概略断面図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部を示し、(a)は平面レイアウト図、(b)は(a)のD−D’断面に対応する概略断面図である。 同上の赤外線センサにおける冷接点を含む要部を示し、(a)は平面レイアウト図、(b)は概略断面図である。 同上の赤外線センサにおける温接点を含む要部を示し、(a)は平面レイアウト図、(b)は概略断面図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部の概略断面図である。 同上の赤外線センサにおける画素部の要部の概略断面図である。 同上の赤外線センサの要部説明図である。 同上の赤外線センサの等価回路図である。 同上の赤外線センサを備えた赤外線モジュールの概略断面図である。 同上の赤外線センサの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の赤外線センサの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の赤外線センサの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の赤外線センサの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の赤外線センサの他の構成例における画素部の概略断面図である。 同上の赤外線センサの他の構成例における画素部の概略断面図である。 同上の赤外線センサの他の構成例における画素部の概略断面図である。 同上の赤外線センサの他の構成例における画素部の平面レイアウト図である。 同上の赤外線センサの他の構成例における画素部の平面レイアウト図である。 従来例の赤外線センサを示し、(a)は概略構成図、(b)は(a)のD−D’概略断面図である。 他の従来例の赤外線センサの概略構成図である。
以下、図1〜図13に基づいて本実施形態の赤外線センサAを説明する。
本実施形態の赤外線センサAは、赤外線アレイセンサであって、熱型赤外線検出部3と画素選択用スイッチング素子であるMOSトランジスタ4とを有する複数の画素部2(図5参照)がベース基板1の一表面側においてアレイ状(ここでは、2次元アレイ状)に配列されている。ここで、ベース基板1は、シリコン基板1aを用いて形成されている。本実施形態では、1つのベース基板1の上記一表面側にm×n個(図5および図13に示した例では、8×8個)の画素部2が形成されているが、画素部2の数や配列は特に限定するものではない。また、本実施形態では、熱型赤外線検出部3の感温部30が、複数個(ここでは、6個)のサーモパイル30a(図1参照)を直列接続することにより構成されており、図13では、熱型赤外線検出部3における感温部30の等価回路を、当該感温部30の熱起電力に対応する電圧源Vsで表してある。なお、本実施形態では、シリコン基板1aが、熱型赤外線検出部3を支持する支持基板を構成している。
また、本実施形態の赤外線センサAは、図1、図6および図13に示すように、各列の複数の熱型赤外線検出部3の感温部30の一端が上述のMOSトランジスタ4を介して各列ごとに共通接続された複数の垂直読み出し線7と、各行の熱型赤外線検出部3の感温部30に対応するMOSトランジスタ4のゲート電極46が各行ごとに共通接続された複数の水平信号線6と、各列のMOSトランジスタ4のp形ウェル領域41が各列ごとに共通接続された複数のグラウンド線8と、各グラウンド線8が共通接続された共通グラウンド線9と、各列の複数個の熱型赤外線検出部3の感温部30の他端が各列ごとに共通接続された複数の基準バイアス線5とを備えており、全ての熱型赤外線検出部3の感温部30の出力を時系列的に読み出すことができるようになっている。要するに、本実施形態の赤外線センサAは、ベース基板1の上記一表面側に熱型赤外線検出部3と当該熱型赤外線検出部3に並設され当該熱型赤外線検出部3の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4とを有する複数の画素部2が形成されている。
ここで、MOSトランジスタ4は、ゲート電極46が水平信号線6に接続され、ソース電極48が感温部30を介して基準バイアス線5に接続され、各基準バイアス線5が共通基準バイアス線5aに共通接続され、ドレイン電極47が垂直読み出し線7に接続されており、各水平信号線6それぞれが各別の画素選択用パッドVselに電気的に接続され、各垂直読み出し線7それぞれが各別の出力用パッドVoutに電気的に接続され、共通グラウンド線9がグラウンド用パッドGndに電気的に接続され、共通基準バイアス線5aが基準バイアス用パッドVrefと電気的に接続され、シリコン基板1aが基板用パッドVddに電気的に接続されている。
しかして、MOSトランジスタ4が順次オン状態になるように各画素選択用パッドVselの電位を制御することで各画素部2の出力電圧を順次読み出すことができる。例えば、基準バイアス用パッドVrefの電位を1.65、グラウンド用パッドGndの電位を0V、基板用パッドVddの電位を5Vとしておき、画素選択用パッドVselの電位を5Vとすれば、MOSトランジスタ4がオンとなり、出力用パッドVoutから画素部2の出力電圧(1.65V+感温部30の出力電圧)が読み出され、画素選択用パッドVselの電位を0Vとすれば、MOSトランジスタ4がオフとなり、出力用パッドVoutから画素部2の出力電圧は読み出されない。なお、図5では、画素選択用パッドVsel、基準バイアス用パッドVref、グラウンド用パッドGnd、出力用パッドVoutなどを区別せずに全てパッド80として図示してある。
ここで、図14に示すように、赤外線センサAと、当該赤外線センサAの出力信号である出力電圧を信号処理する信号処理ICチップBと、赤外線センサAおよび信号処理ICチップBが収納されたパッケージCとを備えた赤外線センサモジュールを構成する場合、信号処理ICチップBには、赤外線センサAの各パッド80それぞれがボンディングワイヤからなる配線81を介して各別に電気的に接続される複数のパッド(図示せず)、これらのパッドのうち赤外線センサAの出力用パッドVoutに接続されているパッド(以下、入力用パッドと称する)の出力電圧を増幅する増幅回路(図示せず)、複数の入力用パッドの出力電圧を択一的に上記増幅回路に入力するマルチプレクサなどを設ければ、赤外線画像を得ることができる。
上述のパッケージCは、一面が開口した矩形箱状に形成され内底面側に赤外線センサAおよび信号処理ICチップBが実装された多層セラミック基板(セラミックパッケージ)からなるパッケージ本体90と、赤外線センサAへ赤外線を収束するレンズ110を備えパッケージ本体90の上記一面側に覆着されたメタルリッドよりなるパッケージ蓋100とで構成されており、パッケージ本体90とパッケージ蓋100とで囲まれた気密空間をドライ窒素雰囲気としてある。ここで、パッケージ蓋100の周部は、パッケージ本体90の上記一面上に形成された矩形枠状の金属パターン(図示せず)に、シーム溶接により固着されている。なお、パッケージ本体90は、多層セラミック基板に限らず、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板を積層したものを用いてもよい。
ここにおいて、パッケージ本体90の内面には、シールド用導体パターン92が形成されており、赤外線センサAおよび信号処理ICチップBは、パッケージ本体90のシールド用導体パターン92に導電性接合材料(例えば、半田や銀ペーストなど)からなる接合層95,95を介して接合されている。なお、赤外線センサAおよび信号処理ICチップBとパッケージ本体90との接合方法は、半田や銀ペーストなどの導電性接合材料を用いた接合法に限らず、例えば、常温接合法や、例えば、Au−Sn共晶もしくはAu−Si共晶を利用した接合法などを採用してもよい。ただし、常温接合法などの直接接合が可能な接合法の方が、導電性接合材料を用いた接合法に比べて、赤外線センサAとレンズ110との距離精度を向上させる上では有利である。
上述のレンズ110の材料は赤外線透過材料の一種であるSiであり、当該レンズ110は、LIGAプロセスを利用して形成したり、陽極酸化技術を応用した半導体レンズの製造方法(例えば、特許第3897055号公報、特許第3897056号公報など)などを利用して形成すればよい。また、レンズ110は、パッケージ蓋100の開口窓101を閉塞するようにパッケージ蓋100における開口窓101の周部に導電性接着剤(例えば、半田、銀ペーストなどなど)により接着されており、パッケージ本体90のシールド用導体パターン92に電気的に接続されている。したがって、上述の赤外線センサモジュールでは、外来の電磁ノイズに起因したS/N比の低下を防止することができる。なお、レンズ110には、必要に応じて、屈折率の異なる複数種類の薄膜を交互に積層することにより形成される適宜の赤外線光学フィルタ部(バンドパスフィルタ部、広帯域遮断フィルタ部など)を設けるようにしてもよい。
また、上述の赤外線センサモジュールでは、赤外線センサAのベース基板1は、外周形状が矩形状であり、赤外線センサAの全てのパッド80がベース基板1の外周縁の一辺に沿って並設され、信号処理ICチップBは、外周形状が矩形状であり、赤外線センサAの各パッド80に電気的に接続される上記各パッドが信号処理ICチップBの外周縁の一辺に沿って並設されており、赤外線センサAのベース基板1と信号処理ICチップBとの上記一辺同士が他の辺同士に比べて近くなるように赤外線センサAおよび信号処理ICチップBが配置されているので、赤外線センサAの各パッド80と信号処理ICチップBの上記各パッドとを接続する配線81を短くでき、外来ノイズの影響を低減できるから、耐ノイズ性が向上する。
以下、熱型赤外線検出部3およびMOSトランジスタ4それぞれの構造について説明する。なお、本実施形態では、上述のシリコン基板1aとして、導電形がn形で上記一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いている。
熱型赤外線検出部3は、シリコン基板1aの上記一表面側の各画素部2それぞれにおける熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に形成されており、MOSトランジスタ4は、シリコン基板1aの上記一表面側の各画素部2それぞれにおけるMOSトランジスタ4の形成用領域A2に形成されている。
ところで、各画素部2は、赤外線を吸収する赤外線吸収部33(図1および図6(b)参照)を備えており、各画素部2では、シリコン基板1aに赤外線吸収部33を当該ベース基板1から熱絶縁するための空洞部(掘込部)11が形成され、シリコン基板1aの上記一表面側で平面視において空洞部11の内周線の内側に赤外線吸収部33を有し空洞部11を覆う薄膜構造部3aが形成されている。また、各画素部2では、薄膜構造部3aが複数の線状のスリット13により空洞部11の内周方向に沿って並設されそれぞれ熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位(平面視で空洞部11を囲む部位)から内方へ延長された複数(図1に示した例では、6つ)の小薄膜構造部3aaに分離され、各小薄膜構造部3aaごとにサーモパイル30aが設けられるとともに、各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなるように全てのサーモパイル30aが直列接続されており、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cが形成されている。以下では、赤外線吸収部33のうち各小薄膜構造部3aaそれぞれに対応して分割された各部位を分割赤外線吸収部33aと称する。
本実施形態では、薄膜構造部3aに形成された複数のサーモパイル30aの全て、上述の例では、6つ全てのサーモパイル30aを直列接続した接続関係としてあるが、これに限らず、例えば、それぞれ3個のサーモパイル30aの直列回路を並列接続するようにしてもよく、この場合には、6つ全てのサーモパイル30aが並列接続されている場合や各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて感度を高めることができ、また、6つ全てのサーモパイル30aが直列接続されている場合に比べて、感温部30の電気抵抗を低くできて熱雑音が低減されるから、S/N比が向上する。ここにおいて、薄膜構造部3aにおける小薄膜構造部3aaの数に等しいサーモパイル30aの数は4以上の偶数であればよく、半数のサーモパイル30aを直列接続し、その直列回路を並列接続した接続関係とすれば、同様に感度を高めることができるとともにS/N比を向上できる。
ここで、画素部2では、小薄膜構造部3aaごとに、熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と分割赤外線吸収部33aとを連結する2つの平面視短冊状のブリッジ部3bb,3bbが空洞部11の内周方向に離間して形成されており、当該2つのブリッジ部3bb,3bbと分割赤外線吸収部33aとを空間的に分離し空洞部11に連通する平面視コ字状のスリット14が形成されている。ここにおいて、熱型赤外線検出部3のうち平面視において薄膜構造部3aを囲む部位は矩形枠状の形状となっている。なお、ブリッジ部3bbは、赤外線吸収部33および熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位それぞれとの連結部位以外の部分が上述の各スリット13,14により分割赤外線吸収部33aおよび熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と空間的に分離されている。ここで、小薄膜構造部3aaの熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位からの延長方向の寸法を93μm、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する幅方向の寸法を75μm、各ブリッジ部3bbの幅寸法を23μm、各スリット13,14の幅を5μmに設定してあるが、これらの値は一例であって特に限定するものではない。
上述の薄膜構造部3aは、シリコン基板1aの上記一表面側に形成されたシリコン酸化膜1bと、当該シリコン酸化膜1b上に形成されたシリコン窒化膜32と、当該シリコン窒化膜32上に形成された感温部30と、シリコン窒化膜32の表面側で感温部30を覆うように形成されたBPSG膜からなる層間絶縁膜50と、層間絶縁膜50上に形成されたPSG膜と当該PSG膜上に形成されたNSG膜との積層膜からなるパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより形成されている。
本実施形態では、シリコン窒化膜32のうち薄膜構造部3aのブリッジ部3bb,3bb以外の部位が上述の赤外線吸収部33を構成し、シリコン基板1aとシリコン酸化膜1bとシリコン窒化膜32と層間絶縁膜50とパッシベーション膜60とでベース基板1を構成している。また、本実施形態では、層間絶縁膜50とパッシベーション膜60との積層膜が、熱型赤外線検出部3の形成用領域A1とMOSトランジスタ4の形成用領域A2とに跨って形成されているが、熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に形成された部分が赤外線吸収膜70(図6(b)参照)を兼ねている。ここで、赤外線吸収膜70の屈折率をn、検出対象の赤外線の中心波長をλとするとき、赤外線吸収膜70の厚さt2をλ/4nに設定するようにしているので、検出対象の波長(例えば、8〜12μm)の赤外線の吸収効率を高めることができ、高感度化を図れる。例えば、n=1.4、λ=10μmの場合には、t2≒1.8μmとすればよい。なお、本実施形態では、層間絶縁膜50の膜厚を0.8μm、パッシベーション膜60の膜厚を1μm(PSG膜の膜厚を0.5μm、NSG膜の膜厚を0.5μm)としてある。また、赤外線吸収膜70は、上述の構成に限らず、例えば、シリコン窒化膜により構成してもよい。
また、各画素部2では、空洞部11の内周形状が矩形状であり、連結片3cは、平面視十字状に形成されており、小薄膜構造部3aaの延長方向に交差する斜め方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士、小薄膜構造部3aaの延長方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結している。
サーモパイル30aは、シリコン窒化膜32上に形成され小薄膜構造部3aaとベース基板1とに跨って形成された細長のn形ポリシリコン層(第1の熱電要素)34と細長のp形ポリシリコン層(第2の熱電要素)35との一端部同士を分割赤外線吸収部33aの赤外線入射面側で金属材料(例えば、Al−Siなど)からなる第1の接続金属部36により電気的に接続した複数個(図1に示した例では、9個)の熱電対を有しており、ベース基板1の上記一表面側で互いに隣り合う熱電対のn形ポリシリコン層34の他端部とp形ポリシリコン層35の他端部とが金属材料(例えば、Al−Siなど)からなる第2の接続金属部37により接合され電気的に接続されている。ここで、サーモパイル30aは、n形ポリシリコン層34の上記一端部とp形ポリシリコン層35の上記一端部と第1の接続金属部36とで分割赤外線吸収部33a側の温接点T1を構成し、n形ポリシリコン層34の上記他端部とp形ポリシリコン層35の上記他端部と第2の接続金属部37とでベース基板1側の冷接点T2を構成している。要するに、サーモパイル30aの各温接点T1は、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重なる領域に形成され、各冷接点T2は、熱型赤外線検出部3において空洞部11に重ならない領域に形成されている。なお、本実施形態の赤外線センサAでは、サーモパイル30aの各n形ポリシリコン層34および各p形ポリシリコン層35それぞれにおいて上述のブリッジ部3bb,3bbに形成されている部位およびベース基板1のシリコン窒化膜32上に形成されている部位でも赤外線を吸収することができる。
また、本実施形態の赤外線センサAでは、上述の空洞部11の形状が四角錘状であり、平面視における中央部の方が周部に比べて深さ寸法が大きくなっているので、薄膜構造部3aの中央部に温接点T1が集まるように各画素部2におけるサーモパイル30aの平面レイアウトを設計してある。すなわち、図1の上下方向における真ん中の2つの小薄膜構造部3aaでは、図1および図2に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向に沿って温接点T1を並べて配置してあるのに対し、当該上下方向における上側の2つの小薄膜構造部3aaでは、図1および図3に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向において真ん中の小薄膜構造部3aaに近い側に温接点T1を集中して配置してあり、当該上下方向における下側の2つの小薄膜構造部3aaでは、図1に示すように、3つの小薄膜構造部3aaの並設方向において真ん中の小薄膜構造部3aaに近い側に温接点T1を集中して配置してある。しかして、本実施形態の赤外線センサAでは、図1の上下方向における上側、下側の小薄膜構造部3aaの複数の温接点T1の配置が、真ん中の小薄膜構造部3aaの複数の温接点T1の配置と同じである場合に比べて、温接点T1の温度変化を大きくできるので、感度を向上できる。
また、小薄膜構造部3aaは、シリコン窒化膜32の赤外線入射面側においてサーモパイル30aを形成していない領域に、小薄膜構造部3aaの反りを抑制するとともに赤外線を吸収するn形ポリシリコン層からなる赤外線吸収層39(図1、図6および図10参照)が形成されている。また、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cには、当該連結片3cを補強するn形ポリシリコン層からなる補強層39b(図7参照)が設けられている。ここで、補強層39bは、赤外線吸収層39と連続一体に形成されている。しかして、本実施形態の赤外線センサAでは、連結片3cが補強層39bにより補強されているので、使用中の外部の温度変化や衝撃に起因して発生する応力による破損を防止でき、また、製造時の破損を低減でき、製造歩留まりの向上を図れる。なお、本実施形態では、図7に示す連結片3cの長さ寸法L1を24μm、幅寸法L2を5μm、補強層39bの幅寸法L3を1μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。ただし、本実施形態のようにベース基板1がシリコン基板1aを用いて形成され、補強層39bがn形ポリシリコン層により形成される場合には、空洞部11の形成時に補強層39bがエッチングされるのを防止するために、補強層39bの幅寸法は、連結片3cの幅寸法よりも小さく設定し、平面視において補強層39bの両側縁が連結片3cの両側縁よりも内側に位置する必要がある。
また、本実施形態の赤外線センサAは、図7および図12(b)に示すように、連結片3cの両側縁と小薄膜構造部3aaの側縁との間にそれぞれ面取り部3d,3dが形成され、十字状の連結片3cの略直交する側縁間にも面取り部3eが形成されている。しかして、本実施形態の赤外線センサAでは、図12(a)に示すように面取り部が形成されていない場合に比べて連結片3cと小薄膜構造部3aaとの連結部位での応力集中を緩和でき、製造時に発生する残留応力を低減できるとともに製造時の破損を低減でき、製造歩留まりの向上を図れる。また、使用中の外部の温度変化や衝撃に起因して発生する応力による破損を防止できる。なお、図7に示した例では、各面取り部3d,3eをRが3μmのR面取り部としてあるが、R面取り部に限らず、例えば、C面取り部としてもよい。
ところで、本実施形態の赤外線センサAは、通電されることにより発生するジュール熱により温接点T1を温める自己診断用ヒータ部(故障診断用配線)139を備えている。ここにおいて、自己診断用ヒータ部139は、熱型赤外線検出部3においてシリコン基板1aの空洞部11に重なる領域でサーモパイル30aと重ならないように配置されている。ここで、熱型赤外線検出部3は、全ての小薄膜構造部3aaに跨って自己診断用ヒータ部139が形成されている。
具体的には、本実施形態の赤外線センサAは、各画素部2に、熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位と一方のブリッジ部3bbと分割赤外線吸収部33aと他方のブリッジ部3bbと熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位とに跨るように引き回された自己診断用ヒータ部139を設けて、全ての自己診断用ヒータ部139を直列接続してある。しかして、本実施形態の赤外線センサAでは、製造途中での検査時や使用時において、m×n個の自己診断用ヒータ部139の直列回路への通電の有無によって、ブリッジ部3bbの折れや自己診断用ヒータ部139の断線などを検出することができる。また、本実施形態の赤外線センサでは、上述の検査時や使用時において、m×n個の自己診断用ヒータ部139の直列回路へ通電して各感温部30の出力を検出することにより、感温部30の断線の有無や感度のばらつき(感温部30の出力のばらつき)などを検知することが可能となる。ここにおいて、感度のばらつきに関しては、画素部2ごとの感度のばらつきを検知することが可能であり、例えば、薄膜構造部3aの反りや薄膜構造部3aのシリコン基板1aへのスティッキングなどに起因した感度のばらつきを検知することが可能となる。ここで、本実施形態の赤外線センサAでは、平面視において、自己診断用ヒータ部139を複数の温接点T1の群の付近において折り返され蛇行した形状としてあるので、自己診断用ヒータ部139へ通電することにより発生するジュール熱によって、各温接点T1を効率良く温めることができる。ここにおいて、自己診断用ヒータ部139は、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35と同一平面上に同一厚さで形成されている。
上述の赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139は、第1の熱電要素であるn形ポリシリコン層34と同じn形不純物(例えば、リンなど)を同じ不純物濃度(例えば、1018〜1020cm−3)で含んでおり、n形ポリシリコン層34に同時に形成されている。また、p形ポリシリコン層35のp形不純物として例えばボロンを採用すればよく、不純物濃度を例えば1018〜1020cm−3程度の範囲で適宜設定すればよい。本実施形態では、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35それぞれの不純物濃度が1018〜1020cm−3であり、熱電対の抵抗値を低減でき、S/N比の向上を図れる。なお、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139は、n形ポリシリコン層34と同じn形不純物を同じ不純物濃度でドーピングしてあるが、これに限らず、例えば、第2の熱電要素であるp形ポリシリコン層35と同じ不純物を同じ不純物濃度でドーピングするようにしてもよい。
ところで、本実施形態では、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139の屈折率をn、検出対象の赤外線の中心波長をλとするとき、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139それぞれの厚さt1をλ/4nに設定するようにしているので、検出対象の波長(例えば、8〜12μm)の赤外線の吸収効率を高めることができ、高感度化を図れる。例えば、n=3.6、λ=10μmの場合には、t1≒0.69μmとすればよい。
また、本実施形態では、n形ポリシリコン層24、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139それぞれの不純物濃度が1018〜1020cm−3であるので、赤外線の吸収率を高くしつつ赤外線の反射を抑制することができて、感温部30の出力のS/N比を高めることができ、また、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139をn形ポリシリコン層34と同一工程で形成できるから、低コスト化を図れる。
ここで、感温部30の第1の接続金属部36と第2の接続金属部37とは、シリコン基板1aの上記一表面側において上述の層間絶縁膜50により絶縁分離されている(図8および図9参照)。すなわち、温接点T1側の第1の接続金属部36は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50a,50aを通して両ポリシリコン層34,35の上記各一端部と電気的に接続され、冷接点T2側の第2の接続金属部37は、層間絶縁膜50に形成されたコンタクトホール50a,50aを通して両ポリシリコン層34,35の上記各他端部と電気的に接続されている。
また、MOSトランジスタ4は、上述のように、シリコン基板1aの上記一表面側における各画素部2それぞれにおけるMOSトランジスタ4の形成用領域A2に形成されている。ここで、MOSトランジスタ4は、図6および図11に示すように、シリコン基板1aの上記一表面側にp形ウェル領域41が形成され、p形ウェル領域41内に、n形ドレイン領域43とn形ソース領域44とが離間して形成されている。また、p形ウェル領域41内には、n形ドレイン領域43とn形ソース領域44とを囲むp++形チャネルストッパ領域42が形成されている。また、p形ウェル領域41においてn形ドレイン領域43とn形ソース領域44との間に位置する部位の上には、シリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜45を介してn形ポリシリコン層からなるゲート電極46が形成されている。また、n形ドレイン領域43上には金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるドレイン電極47が形成され、n形ソース領域44上には金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるソース電極48が形成されている。ここで、ゲート電極46、ドレイン電極47およびソース電極48は、上述の層間絶縁膜50により絶縁分離されている。すなわち、ドレイン電極47は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50dを通してn形ドレイン領域43と電気的に接続され、ソース電極48は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50eを通してn形ソース領域44と電気的に接続されている。
ところで、本実施形態の赤外線センサAの各画素部2では、MOSトランジスタ4のソース電極48と感温部30の一端とが電気的に接続され、感温部30の他端が基準バイアス線5に電気的に接続されている。また、本実施形態の赤外線センサAの各画素部2では、MOSトランジスタ4のドレイン電極47が垂直読み出し線7と電気的に接続され、ゲート電極46が当該ゲート電極46と連続一体に形成されたn形ポリシリコン配線からなる水平信号線6と電気的に接続されている。また、各画素部2では、MOSトランジスタ4のp++形チャネルストッパ領域42上に金属材料(例えば、Al−Siなど)からなるグラウンド用電極49が形成されており、当該グラウンド用電極49が、当該p++形チャネルストッパ領域42をn形ドレイン領域43およびn形ソース領域44よりも低電位にバイアスして素子分離するための共通グラウンド線8と電気的に接続されている。なお、グラウンド用電極49は、層間絶縁膜50に形成したコンタクトホール50fを通してp++形チャネルストッパ領域42と電気的に接続されている。
以下、本実施形態の赤外線センサAの製造方法について図15〜図18を参照しながら簡説明する。
まず、シリコン基板1aの上記一表面側に第1の所定膜厚(例えば、0.3μm)の第1のシリコン酸化膜31と第2の所定膜厚(例えば、0.1μm)のシリコン窒化膜32との積層膜からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行い、その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して当該絶縁層のうち熱型赤外線検出部3の形成用領域A1に対応する部分の一部を残してMOSトランジスタ4の形成用領域A2に対応する部分をエッチング除去する絶縁層パターニング工程を行うことによって、図15(a)に示す構造を得る。ここにおいて、シリコン酸化膜31は、シリコン基板1aを所定温度(例えば、1100℃)で熱酸化することにより形成し、シリコン窒化膜32は、LPCVD法により形成している。
上述の絶縁層パターニング工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側にp形ウェル領域41を形成するウェル領域形成工程を行い、続いて、シリコン基板1の上記一表面側におけるp形ウェル領域41内にp++形チャネルストッパ領域42を形成するチャネルストッパ領域形成工程を行うことによって、図15(b)に示す構造を得る。ここで、ウェル領域形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側の露出部位を所定温度で熱酸化することにより第2のシリコン酸化膜(熱酸化膜)51を選択的に形成し、その後、p形ウェル領域41を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン酸化膜51をパターニングし、続いて、p形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってから、ドライブインを行うことにより、p形ウェル領域41を形成する。また、チャネルストッパ領域形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側を所定温度で熱酸化することにより第3のシリコン酸化膜(熱酸化膜)52を選択的に形成し、その後、p++形チャネルストッパ領域42を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第3のシリコン酸化膜52をパターニングし、続いて、p形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってから、ドライブインを行うことにより、p++形チャネルストッパ領域42を形成する。なお、第1のシリコン酸化膜31と第2のシリコン酸化膜51と第3のシリコン酸化膜52とでシリコン基板1aの上記一表面側のシリコン酸化膜1bを構成している。
上述のチャネルストッパ領域形成工程の後、p形ウェル領域41におけるn形ドレイン領域43およびn形ソース領域44それぞれの形成予定領域にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりn形ドレイン領域43およびn形ソース領域44を形成するソース・ドレイン形成工程を行い、当該ソース・ドレイン形成工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側に熱酸化により所定膜厚(例えば、600Å)のシリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜45を形成するゲート絶縁膜形成工程を行い、続いて、シリコン基板1aの上記一表面側の全面にゲート電極46、水平信号線6(図1参照)、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139の基礎となる所定膜厚(例えば、0.69μm)のノンドープポリシリコン層をLPCVD法により形成するポリシリコン層形成工程を行い、その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して上記ノンドープポリシリコン層のうちゲート電極46、水平信号線6、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39bおよび自己診断用ヒータ部139それぞれに対応する部分が残るようにパターニングするポリシリコン層パターニング工程を行い、続いて、上記ノンドープポリシリコン層のうちp形ポリシリコン層35に対応する部分にp形不純物(例えば、ボロンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりp形ポリシリコン層35を形成するp形ポリシリコン層形成工程を行い、その後、上記ノンドープポリシリコン層のうちn形ポリシリコン層34、赤外線吸収層39、補強層39b、自己診断用ヒータ部139、ゲート電極46および水平信号線6に対応する部分にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブを行うことによりn形ポリシリコン層34、赤外線吸収層39、補強層39b、自己診断用ヒータ部139、ゲート電極46および水平信号線6を形成するn形ポリシリコン層形成工程を行うことによって、図16(a)に示す構造を得る。なお、p形ポリシリコン層形成工程とn形ポリシリコン層形成工程との順序は逆でもよい。
上述のp形ポリシリコン層形成工程およびn形ポリシリコン層形成工程が終了した後、シリコン基板1aの上記一表面側に層間絶縁膜50を形成する層間絶縁膜形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して層間絶縁膜50に上記各コンタクトホール50a,50a,50a,50a,50d,50e,50f(図8、図9および図11参照)を形成するコンタクトホール形成工程を行うことによって、図16(b)に示す構造を得る。ここで、層間絶縁膜形成工程では、シリコン基板1aの上記一表面側に所定膜厚(例えば、0.8μm)のBPSG膜をCVD法により堆積させてから、所定温度(例えば、800℃)でリフローすることにより平坦化された層間絶縁膜50を形成する。
上述のコンタクトホール形成工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側の全面に第1の接続金属部36、第2の接続金属部37、ドレイン電極47、ソース電極48、基準バイアス線5、垂直読み出し線7、グラウンド線8、共通グラウンド線9および各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndなど(図13参照)の基礎となる所定膜厚(例えば、2μm)の金属膜(例えば、Al−Si膜)をスパッタ法などにより形成する金属膜形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して金属膜をパターニングすることで第1の接続金属部36、第2の接続金属部37、ドレイン電極47、ソース電極48、基準バイアス線5、垂直読み出し線7、グラウンド線8、共通グラウンド線9および各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndなどを形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図17(a)に示す構造を得る。なお、金属膜パターニング工程におけるエッチングはRIEにより行っている。また、この金属膜パターニング工程を行うことにより、温接点T1および冷接点T2が形成される。
上述の金属膜パターニング工程の後、シリコン基板1aの上記一表面側(つまり、層間絶縁膜50の表面側)に所定膜厚(例えば、0.5μm)のPSG膜と所定膜厚(例えば、0.5μm)のNSG膜との積層膜からなるパッシベーション膜60をCVD法により形成するパッシベーション膜形成工程を行うことによって、図17(b)に示す構造を得る。なお、パッシベーション膜60は、PSG膜とNSG膜との積層膜に限らず、例えば、シリコン窒化膜でもよい。
上述のパッシベーション膜形成工程の後、シリコン酸化膜31とシリコン窒化膜32との積層膜からなる熱絶縁層と、当該熱絶縁層上に形成された感温部30と、熱絶縁層の表面側で感温部30を覆うように形成された層間絶縁膜50と、層間絶縁膜50上に形成されたパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより上述の小薄膜構造部3aaを形成する積層構造部パターニング工程を行うことによって、図18(a)に示す構造を得る。なお、積層構造部パターニング工程において、上述の各スリット13,14を形成している。
上述の積層構造部パターニング工程の後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して各パッドVout,Vsel,Vref,Vdd,Gndを露出させるパッド用開口部(図示せず)を形成するパッド用開口部形成工程を行い、続いて、上述の各スリット13,14をエッチャント導入孔として所定のエッチャントを導入してシリコン基板1aを異方性エッチングすることによりシリコン基板1aに空洞部11を形成する空洞部形成工程を行うことによって、図18(b)に示す構造の画素部2が2次元アレイ状に配列された赤外線センサAを得る。ここで、パッド用開口部形成工程におけるエッチングはRIEにより行っている。また、空洞部形成工程では、上記所定のエッチャントとして所定温度(例えば、85℃)に加熱したTMAH溶液を用いているが、上記エッチャントはTMAH溶液に限らず、他のアルカリ系溶液(例えば、エチレンジアミンピロカテコール:EDPなど)を用いてもよい。なお、空洞部形成工程が終了するまでの全工程はウェハレベルで行うので、空洞部形成工程が終了した後、個々の赤外線センサAに分離する分離工程を行えばよい。また、上述の説明から分かるように、MOSトランジスタ4の製造方法に関してみれば、周知の一般的なMOSトランジスタの製造方法を採用しており、熱酸化による熱酸化膜の形成、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術による熱酸化膜のパターニング、不純物のイオン注入、ドライブイン(不純物の拡散)の基本工程を繰り返すことにより、p形ウェル領域41、p++形チャネルストッパ領域42、n形ドレイン領域43とn形ソース領域44を形成している。
以上説明した本実施形態の赤外線センサAによれば、通電されることにより発生するジュール熱により温接点T1を温める自己診断用ヒータ部139を備えているので、自己診断用ヒータ部139へ通電してサーモパイル30aの出力を測定することにより、サーモパイル30aの断線などの故障の有無を判断することが可能となって、信頼性の向上を図れ、しかも、自己診断用ヒータ部139は、熱型赤外線検出部3において支持基板であるシリコン基板1aの空洞部11に重なる領域でサーモパイル30aと重ならないように配置されているので、自己診断用ヒータ部139によるサーモパイル30aの温接点T1の熱容量の増大を防止でき、感度および応答速度の向上を図れる。
ここにおいて、本実施形態の赤外線センサAは、使用時において自己診断を行わない通常時は、自己診断用ヒータ部139も外部からの赤外線を吸収するので、複数の冷接点T1の温度の均一化を図れ、感度の向上を図れる。なお、本実施形態の赤外線センサAでは、赤外線吸収層39および補強層39bも外部からの赤外線を吸収するので、複数の冷接点T1の温度の均一化を図れ、感度の向上を図れる。なお、本実施形態の赤外線センサAの使用時の自己診断は、上述の信号処理ICチップ5(図14参照)に設けられた自己診断回路(図示せず)により定期的に行われるが、必ずしも定期的に行う必要はない。
また、本実施形態の赤外線センサAでは、薄膜構造部3aが、複数の線状のスリット13により空洞部11の内周方向に沿って並設されそれぞれ熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位から内方へ延長された複数の小薄膜構造部3aaに分離され、各小薄膜構造部3aaごとにサーモパイル30aの温接点T1が設けられるとともに、各サーモパイル30aごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなる接続関係で全てのサーモパイル30aが電気的に接続されているので、応答速度および感度の向上を図れ、しかも、全ての小薄膜構造部3aaに跨って自己診断用ヒータ部139が形成されているので、熱型赤外線検出部3の全てのサーモパイル30aを一括して自己診断することが可能となる。また、本実施形態の赤外線センサAでは、隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結する連結片3cが形成されていることにより、各小薄膜構造部3aaの反りを低減でき、構造安定性の向上を図れ、感度が安定する。
また、本実施形態の赤外線センサAでは、n形ポリシリコン層34とp形ポリシリコン層35と赤外線吸収層39と補強層39bと自己診断用ヒータ部139とが同一の厚さに設定されているので、小薄膜構造部3aaの応力バランスの均一性が向上し、小薄膜構造部3aaの反りを抑制することができ、製品ごとの感度のばらつきや、画素部2ごとの感度のばらつきを低減できる。
また、本実施形態の赤外線センサAは、自己診断用ヒータ部139が、第1の熱電要素であるn形ポリシリコン層34もしくは第2の熱電要素であるp形ポリシリコン層35と同じ材料により形成されているので、自己診断用ヒータ部139を第1の熱電要素もしくは第2の熱電要素と同時に形成することが可能となり、製造プロセスの簡略化による低コスト化を図れる。
また、本実施形態の赤外線センサAでは、シリコン窒化膜32の赤外線入射面側に、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35の他に、赤外線吸収層39、補強層39b、自己診断用ヒータ部139が形成されているので、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35の形成時にシリコン窒化膜32がエッチングされて薄くなるのを抑制する(ここでは、上述のポリシリコン層パターニング工程でn形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35の基礎となるノンドープポリシリコン層をエッチングする際のオーバーエッチング時にシリコン窒化膜32がエッチングされて薄くなるのを抑制する)ことができるとともに薄膜構造部3aの応力バランスの均一性を高めることができ、赤外線吸収部33の薄膜化を図りながらも小薄膜構造部3aaの反りを防止することが可能となり、感度の向上を図れる。ここで、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35、赤外線吸収層39、補強層39b、自己診断用ヒータ部139は、上述の空洞部形成工程において用いるエッチング液(例えば、TMAH溶液など)によりエッチングされるのを防止するため、スリット13,14の内側面に露出しないように平面視形状を設計する必要がある。
また、本実施形態の赤外線センサAでは、図24や図25に示した構成の赤外線センサのようにシリコン基板1a’の一部からなるダイアフラム部113’を形成する必要がないので、図24や図25に示した構成の赤外線センサの熱型赤外線検出部3’に比べて、熱型赤外線検出部3の厚みをより薄くすることができ、薄膜構造部3aの熱容量を低減して応答速度の高速化を図ることができる。
また、本実施形態の赤外線センサAは、赤外線吸収部33および自己診断用ヒータ部139を備えた複数の画素部2が支持基板であるシリコン基板1aの上記一表面側でアレイ状に設けられているので、製造時や使用時の自己診断に際して各画素部2それぞれの自己診断用ヒータ部139に通電することにより各画素部2それぞれの感温部30の感度のばらつきを把握することが可能となる。
また、本実施形態の赤外線センサAは、各画素部2ごとに感温部30の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4を有しているので、出力用パッドVoutの数を少なくでき、小型化および低コスト化を図れる。
ところで、上述の赤外線センサAでは、シリコン基板1aとして上記一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いて、エッチング速度の結晶面方位依存性を利用した異方性エッチングにより形成する空洞部11を四角錘状の形状としてあるが、シリコン基板1aとして上記一表面が(110)面の単結晶シリコン基板を用いて、図19に示すように、空洞部11をエッチング速度の結晶面方位依存性を利用した異方性エッチングによりシリコン基板1aの厚み方向に貫通する形で形成してもよい。この図19の構成によれば、薄膜構造部3aの各小薄膜構造部3aaからシリコン基板1aへの熱伝達をより抑制することができ、より一層の高感度化を図れる。
また、上述の赤外線センサAの空洞部11は、図20に示すように、上記エッチャントとして等方性エッチングが可能なエッチング液を用いて当該空洞部11の内面が凹曲面となる形状に形成してもよい。この図20の構成によれば、薄膜構造部3aを透過した赤外線を空洞部11の内面で薄膜構造部3a側へ反射することができるので、赤外線吸収部33での赤外線吸収量を大きくでき、感度の向上を図れる。
また、赤外線センサAは、図21に示すように、ベース基板1の他表面側に、複数の空洞部11を連通させる開口部12が形成された構成としてもよく、ベース基板1の開口部12は、ベース基板1の上記他表面側からシリコン基板1aにおける開口部12の形成予定領域を例えばICP型のドライエッチング装置を用いた異方性エッチング技術を利用して形成すればよい。この図21の構成の赤外線センサAによれば、図20の構成と同様、薄膜構造部3aの各小薄膜構造部3aaからシリコン基板1aへの熱伝達をより抑制することができ、より一層の高感度化を図れる。
また、赤外線センサAは、図22に示すように、小薄膜構造部33aの延長方向において隣接する小薄膜構造部33a,33a同士が、上記延長方向に交差する方向(つまり、小薄膜構造部3aaの幅方向)において離間した2つの連結片3cにより連結された構成としてもよい。この図22の構成の赤外線センサAによれば、連結片3cが、小薄膜構造部3aaの延長方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結しているので、小薄膜構造部3aa,3aaの一端側が熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位に直接支持される一方で、他端側が連結片3cと別の小薄膜構造部3aaとを介して熱型赤外線検出部3において空洞部11を囲む部位に支持され、結果的に、各小薄膜構造部3aaがベース基板1に両持ち支持されるから、小薄膜構造部3aaの反りを低減でき、感度が安定するとともに、製造歩留まりが向上する。なお、上記延長方向において隣接する小薄膜構造部33a,33a同士は、小薄膜構造部3aaの幅方向の中央部において1つの連結片3cにより連結するようにしてもよい。
また、赤外線センサAは、図23に示すように、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する方向(小薄膜構造部3aaの幅方向、つまり、図23の上下方向)において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士がブリッジ部3bb以外の部位で1つの連結片3cにより連結された構成としてもよい。この図23の構成の赤外線センサAによれば、連結片3cが、小薄膜構造部3aaの延長方向に直交する方向において隣接する小薄膜構造部3aa,3aa同士を連結しているので、各小薄膜構造部3aaのねじり剛性が大きくなって、各小薄膜構造部3aaのねじり変形を低減でき、感度が安定するとともに、製造歩留まりが向上する。
ところで、上述の赤外線センサAは、各画素部2にMOSトランジスタ4を設けてあるが、MOSトランジスタ4は必ずしも設ける必要はない。また、赤外線センサAは、必ずしも画素部2をアレイ状に備えた赤外線アレイセンサである必要はなく、少なくとも1つのサーモパイル30aを備えたものであればよい。
1a シリコン基板(支持基板)
2 画素部
3 熱型赤外線検出部
3a 薄膜構造部
3aa 小薄膜構造部
11 空洞部
13 スリット
30a サーモパイル
33 赤外線吸収部
34 n形ポリシリコン層(第1の熱電要素)
35 p形ポリシリコン層(第2の熱電要素)
36 第1の接続金属部
37 第2の接続金属部
139 自己診断用ヒータ部
T1 温接点
T2 冷接点

Claims (5)

  1. 支持基板と、赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収部および当該赤外線吸収部の温度変化を検出するサーモパイルを有し支持基板の一表面側に形成されて支持基板に支持された熱型赤外線検出部とを備え、支持基板において熱型赤外線検出部の一部の直下に空洞部が形成されてなり、サーモパイルが、第1の熱電要素と第2の熱電要素とを熱型赤外線検出部において支持基板の空洞部に重なる領域で第1の接続金属部により接合することで形成された複数の温接点を有するとともに、第1の熱電要素と第2の熱電要素とを熱型赤外線検出部において空洞部に重ならない領域で第2の接続金属部により接合することで形成された複数の冷接点を有する赤外線センサであって、通電されることにより発生するジュール熱により温接点を温める自己診断用ヒータ部を備え、自己診断用ヒータ部は、熱型赤外線検出部において支持基板の空洞部に重なる領域でサーモパイルと重ならないように配置されていることを特徴とする赤外線センサ。
  2. 前記熱型赤外線検出部は、前記支持基板の前記一表面側で平面視において前記空洞部を覆う薄膜構造部が形成されており、薄膜構造部は、複数の線状のスリットにより前記空洞部の内周方向に沿って並設されそれぞれ前記熱型赤外線検出部において前記空洞部を囲む部位から内方へ延長された複数の小薄膜構造部に分離され、各小薄膜構造部ごとに前記サーモパイルの温接点が設けられるとともに、前記各サーモパイルごとに出力を取り出す場合に比べて温度変化に対する出力変化が大きくなる接続関係で全ての前記サーモパイルが電気的に接続されてなり、全ての小薄膜構造部に跨って前記自己診断用ヒータ部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
  3. 前記薄膜構造部における前記小薄膜構造部の数が4以上の偶数であり、前記接続関係は、半数の前記サーモパイルを直列接続した2つの直列回路を並列接続した関係であることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサ。
  4. 前記自己診断用ヒータ部は、前記第1の熱電要素もしくは前記第2の熱電要素と同じ材料により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の赤外線センサ。
  5. 前記赤外線吸収部および前記自己診断用ヒータ部を備えた複数の画素部が前記支持基板の前記一表面側でアレイ状に設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の赤外線センサ。
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