JP2008293701A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の運転状態が高負荷運転に推移した際の加湿不足の抑制を図りつつ、構成の簡略化や小型化を図る。
【解決手段】燃料電池システム100は、燃料電池10のアノード14への水素リッチガス導入に際し、水素ガス供給経路30を通過する水素リッチガスにアノード14のオフガスをアノードオフガス経路34を経て混合させる。アノードオフガスは、アノードオフガス経路34の水蒸気混合器40を通過する際に、その有する熱にて多孔質体42の水を気化させ、気化して得た水蒸気を混合させた状態でアノード14に運び入れる。燃料電池が高負荷運転となれば、アノードオフガスの温度も高くなりその有する熱量も大きくなることから、アノードオフガスによりアノード14に運び込まれる水蒸気量は多くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、湿潤状態でイオン伝導性を発揮する電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムに関する。
湿潤状態でイオン伝導性を発揮する電解質膜を有する燃料電池、例えば固体高分子型の燃料電池では、電解質膜の湿潤状態を維持するために種々の提案がなされている(特許文献1参照)。
特許3203150号公報 特許3111697号公報
特許文献1では、燃料ガス(例えば、水素リッチな水素ガス)でバブリングを起こして液状の水に燃料ガスを混合した気液混合物をアノードに供給して加湿する手法が提案されている。特許文献2では、水蒸気透過膜を介してアノードから排出されるアノードオフガス中の水蒸気を、アノードに供給される燃料ガスに混合させることで加湿する手法が提案されている。
燃料電池が発電に際して利用する反応は、発熱を伴う水素と酸素の電気化学反応であることから、高負荷運転ほど燃料電池の温度は昇温する。よって、高負荷運転の状態では、湿潤が不足状態となりがちである。低負荷運転では燃料電池温度の昇温は少ないことから、高負荷運転時に比べて湿潤が不足となるような事態は置きにくくなるものの、湿潤維持のための方策が不要となるわけではない。つまり、湿潤維持のための加湿は、高負荷運転時と低負荷運転時とてその程度を変えつつ必要となり、高負荷運転状況での加湿不足を招かないように加湿量を確保する必要がある。その一方、アノードに供給する燃料ガスに含ませる加湿のための水が過剰であると、アノードにおける燃料ガスの拡散を阻害することから、加湿用に加える水を不用意に多くできない。加湿にはこうした制約があることから、上記した特許文献で提案された手法では次のような問題点が指摘されるに至った。
特許文献1で提案されたバブリングによる加湿手法では、そのバブリング箇所がアノードのマニホールドであることから、当該バブリング箇所でバブリングを受けた水がアノード側のガス流路に流れ込んで電解質膜に至る。よって、加湿用の水を不用意に多くできないという既述した制約から、湿潤が不足状態となりがちな高負荷運転状態での湿潤確保(加湿量確保)の信頼性の低下が危惧される。また、加湿のために水とアノードオフガスの両者をマニホールドまで圧送する2系統の管路とバブリング機構が必要なため、構成の簡略化と構成簡略に伴う装置の小型化が困難であった。なお、アノードオフガスから分離した水だけで高負荷運転状態での加湿不足を招かないような水供給量を賄うことは困難なため、上記分離した水以外の水の貯留(例えば、補給用の水貯留タンク)も必要となり、この点からも装置の小型化が進まないでいた。
特許文献2で提案されているようにアノードオフガスに含まれる水蒸気を燃料ガスに混合する手法にあっても、次のような問題点が指摘されるに至った。
一般に、燃料電池は冷却系により冷却を受けているが、燃料電池温度は、高負荷運転時で高く低負荷運転時では低くなる。そして、アノードオフガスに含まれて排出される水蒸気量(排出水蒸気量)はアノードオフガス温度(即ち燃料電池温度)に依存し、燃料電池温度が高くなる高負荷運転時では多くなり、低負荷運転時では少なくなる。その一方、既述したように高負荷運転時では、低負荷運転時より加湿の必要性が高いことから、排出水蒸気量が少ない低負荷運転から高負荷運転に運転状態が推移するような状況下では、推移後の高負荷運転の際の加湿を推移前の低負荷運転時の排出水蒸気で行うことになる。こうなると、高負荷運転への推移の際に、加湿が不足するような事態が起き得る。高負荷運転と低負荷運転が繰り返されるような場合も同様である。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされ、燃料電池の運転状態が高負荷運転に推移した際の加湿不足の抑制を図りつつ、構成の簡略化や小型化を図ることをその目的とする。
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
[適用:燃料電池システム]
湿潤状態でイオン伝導性を発揮する電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路と、
前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記燃料ガス供給経路に循環させるアノードオフガス経路と、
該アノードオフガス経路のアノードオフガスを前記燃料ガス経路に対して循環させる循環ポンプと、
前記循環ポンプより上流側の前記アノードオフガス経路に配設されてアノードオフガスに晒され、保水済みの水をアノードオフガスの熱により水蒸気に気化した上で該水蒸気をアノードオフガスに混合させてアノードオフガスと水蒸気の混合気を下流に流す水蒸気混合手段と、
前記水蒸気混合手段の保水状態を維持するよう前記水蒸気混合手段に水を供給する水供給手段とを備える
ことを要旨とする。
上記した燃料電池システムでは、湿潤状態でイオン伝導性を発揮する電解質膜を有する燃料電池のアノードに燃料ガスを供給するに当たり、燃料ガス供給経路から燃料ガスを供給しつつ、アノードオフガス経路を経てアノードオフガスを燃料ガス供給経路に循環ポンプにて循環させ、このアノードオフガスもアノードに供給する。こうしてアノードオフガスをアノードに供給するようにした上で、循環ポンプの上流側では、水蒸気混合手段によりアノードオフガスに水蒸気を混合させるので、アノードにはこの混合した水蒸気が導入され、この水蒸気は電解質膜の湿潤確保に関与する。
水蒸気混合手段によるアノードオフガスへの水蒸気混合は、水供給手段から供給された水を水蒸気混合手段が保水し、この保水済みの水をアノードオフガスが当該ガスの熱により水蒸気に気化させることでなされる。よって、アノードオフガスが高温であれば、換言すれば、燃料電池が高負荷運転となって燃料電池温度、延いてはアノードオフガス温度が高温となれば、水蒸気混合手段が保水済みの水の気化量は多くなる。このため、アノードにアノードオフガスと共に運ばれる水蒸気量は、燃料電池の高負荷運転への推移に伴うアノードオフガス温度上昇と共に多くなる。この場合、水蒸気混合手段より下流側では、水蒸気混合手段での気化によりアノードオフガスの温度は下がるものの、アノードオフガスと共にアノードに運ばれる水蒸気量は、その下がった温度におけるアノードオフガスの飽和水蒸気量にほぼ等しい量となり、アノードには、こうした水蒸気量を有するアノードオフガスが燃料電池の高負荷運転推移に伴って循環供給される。この結果、上記の燃料電池システムによれば、高負荷運転への推移に際しての加湿不足の抑制の実効性が高まる。
また、水供給手段から水蒸気混合手段への水供給は、水蒸気混合手段での保水状態の維持を図るだけで足りるので、加湿のために水そのものをアノード近傍まで供給する構成と比べると少量で済む。このため、水供給手段による供給水量も少なくて済むので、水供給手段での貯留水量も少なくなる。加えて、アノードに至るまでの管路もアノードオフガス循環のためのアノードオフガス経路で足りる。これらのことから、上記の燃料電池システムによれば、上記した加湿不足の抑制に加え、構成の簡略化やこれに伴う装置の小型化が可能となる。
上記した燃料電池システムは種々の態様を採ることができ、例えば、前記水蒸気混合手段を、前記水供給手段から供給された水を貯留する水貯留部と、該水貯留部からアノードオフガスに晒される箇所まで延出し、前記水貯留部の水を含浸して保水状態となり、前記アノードオフガス経路を通過するアノードオフガスに晒される多孔質体とを備えるものとできる。この態様では、多孔質体を用いていることから保水が容易となる。しかも、多孔質体が含浸する水貯留部にあっても不用意に多量の水を貯留する必要がないので、機器構成の小型化が可能となる。
また、前記水供給手段から水蒸気混合手段への水供給を、前記燃料電池の運転状態が低負荷運転にある間において、前記水蒸気混合手段への水供給を実行するようにできる。こうすれば、低負荷運転から高負荷運転に推移する以前に水供給、並びに水蒸気混合手段での保水状態の発現・維持が可能となるので、高負荷運転推移当初からの加湿不足の抑制に有益となる。
この場合、前記水供給手段から水蒸気混合手段への水供給を前記水蒸気混合手段の前記水貯留部が所定の貯留水位の状態となるまで行うようにできる。こうすれば、高負荷運転への推移以前における水蒸気混合手段での保水状態の発現・維持がより確実となるので、高負荷運転推移当初からの加湿不足の抑制により有益である。
また、前記水供給手段を、前記アノードオフガス経路を通過するアノードオフガスから水分を分離し、該分離した水分を貯留しつつ、水分分離後のガスを下流に流す気液分離器を備えるものとできる。この態様では、アノードオフガスに混ざっている水分を有効利用できると共に、水蒸気混合手段への水供給だけを行う機器を設ける必要がないことから、機器構成を簡略化できる。
このように気液分離器を備えるようにするに当たり、前記気液分離器における水分の貯留部の満水水位面が前記水蒸気混合手段の前記水貯留部の所定の貯留水位の水位面と同じ高さとなるように前記気液分離器を配置した上で、前記水分の貯留部と前記水蒸気混合手段の前記水貯留部とを連通する連通管路に、管路を開閉する開閉弁を備えるようにできる。こうすれば、開閉弁の開弁により容易に水蒸気混合手段の水貯留部を所定の貯留水位の状態にできる。なお、開閉弁の閉弁により、水蒸気混合手段の水貯留部を気液分離器から切り離すことができるので、水蒸気混合手段の水貯留部を所定の貯留水位とした後の水位維持も容易である。
また、前記水蒸気混合手段を、前記水貯留部を前記燃料電池の発する熱により加熱する加熱部を備えるものとできる。こうすれば、水貯留部の水を予め昇温させておいてから多孔質体にて気化させることができるので、アノードオフガスによる水の気化を速やかに行うことができる。よって、高負荷運転への推移当初から速やかにアノードオフガス中の水蒸気による加湿を行うようにできる。しかも、気化対象の水が予め昇温されていることから、気化に要する熱量が少なくなりアノードオフガスの温度低下を抑制できるので、アノードオフガスへの水蒸気混合量が高負荷運転推移の当初から増えることになる。これらのことから、加熱部により水貯留部を予め加熱することにより、高負荷運転への推移の際の加湿不足をより高い実効性で抑制できる。
また、ポンプ制御手段により前記循環ポンプを駆動制御して、前記アノードオフガス経路からのアノードオフガスの循環比を増減調整するようにし、前記燃料電池の運転状態が前記電解質膜の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノードオフガスの循環比が増えるようにすることもできる。こうすれば、アノードオフガスに混合してアノードに運ばれる水蒸気量も増えることから、電解質膜の湿潤低下の解消もしくは抑制に有益となる。
この場合、ポンプ制御手段による前記循環ポンプの駆動制御に際して、アノードオフガスの湿度に基づいて前記電解質膜の湿潤状況を把握し、前記湿度が低いほどアノードオフガスの循環比が増えるようにすれば、より簡便に電解質膜の湿潤低下の解消もしくは抑制を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の燃料電池システム100の概略構成を説明する説明図である。本実施例における燃料電池システム100は、燃料電池10とその制御装置70を備える。この燃料電池10は、固体高分子型燃料電池であり、一つの発電単位(セル)を複数積層したスタック構造を備えるが個々のスタックについてはその説明を省略する。燃料電池10は、電解質膜12とアノード14とカソード16とを備える。なお、アノード14とカソード16は、発電を安定して行うための拡散層、流路構造や発電に必要な触媒層を有するが、これらについては図示を省略した。
電解質膜12は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製:ナフィオンは登録商標)を使用した。アノード14は、後述のガス供給系から電解質膜12に水素リッチガスを供給し、カソード16は、電解質膜12に酸素含有ガス、例えば空気を電解質膜12に供給する。
燃料電池システム100は、空気供給経路20を経てポンプ22により空気をカソード16に供給し、カソード16から排出されるカソードオフガスをオフガス経路24から排出する。燃料電池システム100は、空気供給経路20とオフガス経路24にかけて加湿器21を備え、この加湿器により加湿した状態で空気をカソード16に供給する。オフガス経路24には圧力調整弁26が配設され、カソード16へは、燃料電池10の反応に必要な空気量に加え、安定な発電を行うための余剰の空気を含め、ポンプ22により空気が供給される。
燃料電池システム100は、水素ガス供給経路30とアノードオフガス経路34とを備える。水素ガス供給経路30は、図示しない水素タンク、改質装置等の水素リッチガス供給源からの水素リッチガスを、圧力調整弁32での所定の圧力調整を経た上でアノード14に供給する。アノードオフガス経路34は、アノード14から排出されるアノードオフガスを、循環ポンプ36により圧送して水素ガス供給経路30に循環させる。このため、アノードオフガス中の未使用の水素に加え、常に反応に必要な水素ガスが燃料電池10のアノード14に供給されることになる。
このアノードオフガス経路34は、循環ポンプ36より上流側に、アノード14の側から、水蒸気混合器40と、気液分離器50とを備える。気液分離器50は、アノードオフガス経路34を通過するアノードオフガスから水分を分離し、該分離した水分を貯留容器52に貯留しつつ、水分分離後のガス(アノードオフガス)を下流に流す。この気液分離器50は、ガス中の水分を分離するものの、ガスに混合した水蒸気を通過させる。そして、この気液分離器50は、貯留容器52の満水水位が水蒸気混合器40の満水水位と一致するよう、図示しない固定具にて固定され、貯留容器52からの排水経路54と当該経路から分岐して水蒸気混合器40の底部側に至る連通経路60とを経て、水蒸気混合器40に貯留容器52の水を供給する。この場合、水蒸気混合器40への水供給は、連通経路60に設けた開閉バルブ62の管路開放の間に行われ、貯留容器52からの水排出は、排水経路54に設けた開閉バルブ56の管路開放を経て行われる。これらバルブの制御については後述する。
水蒸気混合器40は、アノード14からのアノードオフガスに晒され、保水済みの水をアノードオフガスの熱により水蒸気に気化した上でその水蒸気をアノードオフガスに混合させてアノードオフガスと水蒸気の混合気を下流に流すべく、次の構成を備える。図2は水蒸気混合器40の構成を概略的に示す説明図である。図示するように、水蒸気混合器40は、上下に分割可能な密閉容器として構成され、その下方側を、気液分離器50から供給された水を貯留する水貯留ケース44とし、上方側を、当該ケースに気密に装着されるキャップ46とする。そして、この水蒸気混合器40は、水貯留ケース44にキャップ46を気密に装着した状態で、内部に柱状の多孔質体42を備える。
多孔質体42は、図示しない固定具にて水貯留ケース44とキャップ46に支えられ、水貯留ケース44の水に下端側を常時含浸させた状態で、当該貯留ケースからキャップ46の上端まで延出している。よって、この多孔質体42は、水貯留ケース44の水に含浸している領域から水を吸い上げて多孔質体全域を常に保水状態としつつ、アノード14側のアノードオフガス経路34からキャップ46に入り込んだアノードオフガスに晒されることになる。このため、多孔質体42は、アノードオフガスに晒される範囲において、保水済みの水をアノードオフガスの熱により水蒸気に気化させ、その水蒸気をアノードオフガスに混合させてアノードオフガスと水蒸気の混合気(水蒸気・アノードオフガス混合気)を下流のアノードオフガス経路34に流す。この水蒸気・アノードオフガス混合気は、気液分離器50にて水としてガス中に混じった水分が除去された後に、循環ポンプ36にて圧送され、水素ガス供給経路30を流れる水素リッチガスと共にアノード14に供給されることになる。水蒸気混合器40を介した水蒸気の混合に伴い水貯留ケース44の水量は減少するが、気液分離器50は、後述するバルブ制御を経て水蒸気混合器40の水貯留ケース44に水を供給する。よって、水蒸気混合器40における水貯留ケース44の貯留水量は確保されると共に、多孔質体42の保水状態も維持される。
この図2に示すように、水貯留ケース44における満水水位は当該ケースのほぼ上端に設定されている。この満水水位は、水貯留ケース44の水を多孔質体42を介してアノードオフガスに水蒸気に気化した上で混合させてアノードに供給する最大量(最大水蒸気量)を規定する。一方、燃料電池システム100を搭載した車両は、急加速や登坂等の燃料電池10の高負荷運転を必要とする運転状態を取るものの、こうした高負荷運転状態は燃料電池10の運転期間の全期間に亘ることはまれであり、通常、高負荷運転と低負荷運転を繰り返す。よって、本実施例では、通常の運転状況下で燃料電池10が高負荷運転となった際において電解質膜湿潤のためのアノードへの水蒸気供給を賄えるよう、水貯留ケース44の満水水位(最大貯留量)を設定した。また、図2に示すような水位が満水水位であれば、多孔質体42を確実にアノードオフガスに晒すようにできる。
多孔質体42を採択するに当たり、本実施例では、燃料電池10の運転温度とほぼ同じ温度となり得るアノードオフガスに晒される場合の耐食性を考慮して、多孔質体42を金属多孔体から形成した。また、多孔質体42の全域を水貯留ケース44の水を吸い上げて常に保水状態とできるよう、孔の連続性を確保しつつ微細な孔を確保することとした。こうした孔形成を経た金属多孔質体の一例としては、発泡手法を用いたいわゆる発泡金属多孔質体などが挙げられる。
燃料電池システム100が有する制御装置70は、コンピュータとして構成され、論理演算を実行するCPU、後述するプログラムを記憶したROM、データの一時的書き換えを行うRAM、データの入出力ポート等を備える。そして、この制御装置70は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ72のセンサ信号に基づいて燃料電池10の運転負荷の状態を把握するほか、上記した圧力調整弁32や圧力調整弁26のほか、開閉バルブ56や開閉バルブ62を統括制御する。なお、アクセル開度センサ72は、燃料電池システム100が車両に搭載されていることを想定した場合のものであり、燃料電池システム100が発電システム等に用いられていれば発電量設定スイッチ等からの信号により燃料電池10の運転負荷が把握される。
次に、上記した構成を有する燃料電池システム100で実現されるアノードオフガスへの水蒸気混合の様子について説明する。図3は燃料電池システム100の運転期間におけるバルブ駆動の様子に対応付けてアノードオフガスへの水蒸気混合の様子を説明する説明図である。
図示するように、イグニッションスイッチ(IGN)がONされる以前においては、気液分離器50からの排水経路54の開閉バルブ56と連通経路60における開閉バルブ62は、共に管路閉鎖の状態(バルブ状態A)とされている。こうしたバルブ状態Aへのバルブ駆動は、後述するようにIGNスイッチOFFの際に実行され、気液分離器50の貯留容器52と水蒸気混合器40の水貯留ケース44は、共に水の貯留がない状態とされている。IGNスイッチがONとされると、制御装置70は、これを受けて水素ガス供給経路30の圧力調整弁32や空気供給経路20のポンプ22、オフガス経路24の圧力調整弁26、アノードオフガス経路34の循環ポンプ36を駆動制御すると共に、開閉バルブ62を開放駆動する(バルブ状態B)。そうすると、燃料電池10への水素リッチガス供給・空気供給が開始されるので、燃料電池10は発電を開始し、気液分離器50はアノード14からのアノードオフガスに含まれる水分を分離する。こうして分離された水は、開閉バルブ56が閉鎖で開閉バルブ62が開放であることから水蒸気混合器40の水貯留ケース44に貯留される。つまり、水貯留ケース44への注水が開始されることになる。このように水貯留ケース44に注水されると、水貯留ケース44に貯留された水は、多孔質体42を浸すので、多孔質体42は、水を吸い上げてその全域に亘って保水状態となる。
気液分離器50での水分離、水貯留ケース44への注水が進むと、水蒸気混合器40の水貯留ケース44の水位は上昇し、水貯留ケース44は満水状態となる。この状態では、貯留容器52の水位と水貯留ケース44の水位は同じとなる。制御装置70は、水貯留ケース44の満水水位が発現するまでの期間に亘って、開閉バルブ56の閉弁制御、開閉バルブ62の開弁制御を継続し、満水となると、水貯留ケース44を貯留容器52から切り離すべく開閉バルブ62を閉弁駆動する(バルブ状態C)。これにより、水蒸気混合器40は、多孔質体42での水の気化を介したアノードオフガスへの水蒸気混合を、水貯留ケース44の満水水位の状態から行えるようにする。なお、制御装置70は、IGNONからの経過時間の計測結果、或いは水蒸気混合器40に設けた図示しない水位センサからの満水信号入力等により満水水位の発現の有無を判定し、開閉バルブ62を閉弁する。
水貯留ケース44が満水となる場合には、気液分離器50の貯留容器52も満水となる。貯留容器52が満水のままでは、それ以降の気液分離器50による気液分離に支障が出るので、制御装置70は、連通経路60の開閉バルブ62を閉弁したまま排水経路54の開閉バルブ56を開弁駆動する(バルブ状態D)。これにより、貯留容器52内の水は排水経路54を経て外部に排出され、貯留容器52は空となる。制御装置70は、開閉バルブ56の開弁を貯留容器52が空になるまでの所定期間に亘って行った後、開閉バルブ62を閉弁したまま開閉バルブ56を閉弁駆動する(バルブ状態E)。これにより、気液分離器50は、気液分離を継続して行いつつ、次回以降の水貯留ケース44への注水に備えて貯留容器52に水を貯留する。
このバルブ状態Eに移った後において気液分離器50での水分分離・水貯留は継続されることから、貯留容器52の水位は上がり、やがて満水となる。よって、制御装置70は、上記のバルブ状態Eに推移した後からの経過時間の計測結果、或いは貯留容器52の水位センサからの満水信号等により、開閉バルブ56と開閉バルブ62の状態をバルブ状態Dに推移させて貯留容器52の水を排出した後に、再度、バルブ状態Eに推移させ、このバルブ状態Dとバルブ状態Eを繰り返し発現させる。図4はバルブ状態の推移を説明するための説明図である。
既述したように、水貯留ケース44の満水水位、即ち貯水量は、通常の運転状況下で燃料電池10が高負荷運転となった際において電解質膜湿潤のためのアノードへの水蒸気供給を賄える量とされている。よって、図4に示すように、開閉バルブ56と開閉バルブ62とをバルブ状態Dからバルブ状態Eに推移させた後に水貯留ケース44の水位が低下しても(バルブ状態E1)、バルブ状態Dへのバルブ推移3、バルブ状態Dからバルブ状態Eへのバルブ推移1、バルブ状態Eからバルブ状態E1へのバルブ推移2、上記バルブ推移3を繰り返せばよい。
その一方、燃料電池10の運転が長時間に及ぶような場合や、高負荷運転が頻繁に起きるような場合には、満水状態にあった水貯留ケース44の水が多孔質体42でのガスによる気化により減少して水位が通常より低下し、貯水不足となるようなこともある。こうした事態に対処するため、制御装置70は、開閉バルブ56と開閉バルブ62とをバルブ状態Eに推移させた後に水貯留ケース44の水量不足の状態となると(バルブ状態E1)、開閉バルブ62を一旦開弁制御してバルブ状態Bとする(バルブ推移4)。こうなると、それまでに貯留容器52の水位は44の満水もしくはこれに近い水位にあることから、水貯留ケース44への注水が行われる。この場合、制御装置70は、バルブ状態E推移後からの経過時間の計測結果、水貯留ケース44の水位センサからの水位不足信号等により上記したバルブ推移4を行い、水貯留ケース44が満水となるまでバルブ状態Bを維持し、その後、バルブ状態C、バルブ状態Dへとバルブ状態を推移させる。こうすることで、水貯留ケース44に水量不足を来すことが無いようにできる。
IGNがOFFとされ燃料電池10の運転が停止されると、制御装置70は、一旦、開閉バルブ62を開弁駆動し(バルブ状態F)、その後、開閉バルブ56についてもこれを開弁駆動する(バルブ状態G)。これにより、水貯留ケース44および貯留容器52の水は排出され、両容器は空となる。制御装置70は、容器が空となった後に、開閉バルブ56と開閉バルブ62を共に閉弁駆動して両バルブを既述したバルブ状態Aとする。再びIGNがONとなると、制御装置70は、既述したバルブ状態Bから順に各バルブ状態が発現するよう、開閉バルブ56と開閉バルブ62を駆動制御する。
上記構成を有する本実施例の燃料電池システム100では、次のようにして電解質膜12の湿潤維持を図る。燃料電池システム100は、アノード14に水素リッチガスを供給するに当たり、水素ガス供給経路30から水素リッチガスを供給しつつ、アノードオフガス経路34を経てアノードオフガスを水素ガス供給経路30に循環ポンプ36にて循環させ、このアノードオフガスもアノード14に供給する。こうしてアノード14に供給されるアノードオフガスは、アノード14からの出口側に位置する水蒸気混合器40を通過する。水蒸気混合器40はアノードオフガスに晒される多孔質体42を保水状態としているので、アノードオフガスは、多孔質体42の保水済みの水をオフガス自体の熱により気化させて水蒸気とし、この水蒸気を混合させた状態で下流に流れ、上記したように水素リッチガス共にアノード14に至る。つまり、燃料電池システム100は、水を水蒸気の状態でアノード14に至らしめることで、電解質膜12の加湿、即ち電解質膜12の湿潤確保を行う。
このように、燃料電池システム100では、電解質膜加湿のための水蒸気供給を行うに当たり、多孔質体42が保水済みの水をアノードオフガス自体が有する熱により気化させている。よって、燃料電池10が高負荷運転に推移して燃料電池温度が高くなり、それに応じてアノードオフガスも高温となれば、多孔質体42に保水済みの水の気化量は多くなる。このため、アノード14にアノードオフガスと共に運ばれる水蒸気量は、燃料電池10の高負荷運転への推移に伴うアノードオフガス温度上昇と共に多くなる。この場合、水蒸気混合器40より下流側では、多孔質体42での気化によりアノードオフガスの温度は下がるものの、アノードオフガスと共にアノード14に運ばれる水蒸気量は、その下がった温度におけるアノードオフガスの飽和水蒸気量にほぼ等しい量となり、アノード14には、こうした水蒸気量を有するアノードオフガスが燃料電池10の高負荷運転推移に伴って循環供給される。この結果、本実施例の燃料電池システム100によれば、高負荷運転への推移に際しての加湿不足を高い実効性で抑制できる。しかも、燃料電池10が高負荷運転となれば、アノードオフガスの流量も増すことから水蒸気としてアノードオフガスと共にアノード14に供給される水分量も増えるので、加湿不足の抑制により有益となる。
また、本実施例では、アノードオフガスにより水を気化させるに当たり、水貯留ケース44に水を貯め、その水を多孔質体42に吸わせて保水させた上で、この多孔質体42をアノードオフガスに晒されるようにするだけで足りる。よって、水の気化のための熱源を用意する必要がないので、構成が簡便となる。しかも、多孔質体42を水貯留ケース44に含浸させれば、多孔質体42は、多孔質である故に容易に保水状態となるので、取り扱いも簡便である。更には、水貯留ケース44では、多孔質体42の保水状態を維持できるだけの水の貯留ができればよいことから、不用意に多量の水を貯留する必要がないので、機器構成を小型にできる。
また、電解質膜12の加湿のための水分は、水そのものではなく、多孔質体42で保水済みの水をアノードオフガスの熱で気化させた水蒸気であり、この水蒸気をアノードオフガスに混合して、アノードオフガス経路34を経てアノード14に送っている。よって、加湿のために水そのものをアノードオフガスと別経路でアノード近傍まで供給する構成に比べて、経路構成が簡略となる。しかも、水蒸気混合器40の水貯留ケース44への水供給は、多孔質体42の保水状態の維持を図るだけで足りるので、加湿のために水そのものをアノード近傍まで供給する構成と比べると少量で済む。これらの結果、本実施例の燃料電池システム100によれば、上記した加湿不足の抑制に加え、構成の簡略化やこれに伴う装置の小型化を推進することができる。
加えて、水蒸気混合器40の水貯留ケース44へは、気液分離器50が分離した水を供給するようにしたので、アノードオフガスに混ざっている水分を有効利用できる。そして、水蒸気混合器40への水供給だけを行う機器を設ける必要がないことから、機器構成を簡略化できる。
このように気液分離器50から水蒸気混合器40への水供給を行うに当たり、気液分離器50における貯留容器52の満水水位面が水蒸気混合器40の水貯留ケース44の満水水位面と同じ高さとなるように気液分離器50を配置した上で、貯留容器52と水貯留ケース44とを連通する連通経路60に開閉バルブ62を備えることにした。このため、開閉バルブ62の開弁により容易に水貯留ケース44を満水にできる。また、開閉バルブ62の閉弁により水貯留ケース44を気液分離器50から切り離すことができるので、水貯留ケース44を満水とした後の水位維持も容易である。
そして、気液分離器50から水蒸気混合器40への水供給を、燃料電池10の運転開始後の低負荷運転状態にある間において開始する。よって、低負荷運転から高負荷運転に推移する以前に水蒸気混合器40への水供給、並びに多孔質体42での保水状態の発現・維持が可能となるので、高負荷運転推移当初からの加湿不足の抑制に有益となる。
しかも、この水蒸気混合器40への水供給を水貯留ケース44が満水となるまで行うので、高負荷運転への推移以前における水蒸気混合手段での保水状態の発現・維持がより確実となる。この点からも、高負荷運転推移当初からの加湿不足の抑制により有益である。
また、燃料電池10の運転中に、仮に水貯留ケース44での貯水量に不足が起きるような事態が予想されれば、図3で説明したように、その都度速やかに水貯留ケース44に満水状態まで水を供給する。よって、水蒸気混合器40の水貯留ケース44における貯水不足による不具合、具体的には、多孔質体42の保水不足、多孔質体42での気化不良等を未然に回避でき、好ましい。
更に、本実施例では、燃料電池10の運転停止時において、気液分離器50の貯留容器52、並びに水蒸気混合器40の水貯留ケース44から水を排出し(バルブ状態G)、容器を空にしておく。よって、運転停止後における容器内での水の凍結、容器間の経路での水の凍結を回避できるので、運転再開後にあっては、水蒸気混合器40への注水を支障なく行うことができる。
次に、上記した燃料電池システム100の機器構成上の変形例について説明する。図5は水蒸気混合器40を加熱状態としておく変形例の要部を概略的に示す説明図、図6は水蒸気混合器40への水供給を2系統とした変形例の要部を概略的に示す説明図である。
図5に示す変形例は、水蒸気混合器40の水貯留ケース44を覆うように装着された外郭ケース48を備え、この外郭ケース48を燃料電池10の冷却経路66の一部とする。これにより、燃料電池10の冷却に用いられた冷媒は、冷却経路66を経て外郭ケース48に入り込んだ後に、外部の熱交換器68を経由して再び燃料電池10に戻る。燃料電池10が運転状態にあれば、冷媒は燃料電池の冷却の際に暖められるので、この冷媒が外郭ケース48に入り込むことで、水貯留ケース44の貯留水を昇温させることができる。このため、多孔質体42はこの昇温した水を保水してアノードオフガスに晒されるので、アノードオフガスによる水の気化を速やかに行うことができる。よって、高負荷運転への推移当初から速やかにアノードオフガス中の水蒸気による加湿を行うようにできる。しかも、気化対象の水が予め昇温されていることから、多孔質体42での気化に要する熱量が少なくなりアノードオフガスの温度低下を抑制できるので、アノードオフガスの露天温度を高めてアノードオフガスへの水蒸気混合量を高負荷運転推移の当初から増やすことができる。これらのことから、この変形例によれば、高負荷運転への推移の際の加湿不足をより高い実効性でより確実に抑制できる。
図6に示す変形例は、気液分離器50とは別系統の水供給系を有し、水蒸気混合器40より高い位置に補給水タンク80を備える。そして、この補給水タンク80の水を、補給経路81の開閉バルブ82の開閉を経て水蒸気混合器40に供給する。補給水タンク80からの水供給は、燃料電池10の高負荷運転の長時間の継続といった運転状態が起きた場合にあっても水貯留ケース44での水不足を回避する上で有益である。この場合、高負荷運転が長時間継続するような事態は通常の運転時にはあまり起きないと共に、気液分離器50からの水供給も併用できる。よって、補給水タンク80の貯留量を不用意に多くする必要はないので、補給水タンク80を設けたとしても機器の小型化はある程度可能となる。なお、補給水タンク80の水貯留は、気液分離器50が分離した余剰の水をポンプによりくみ上げるようにすればよい。また、補給経路81を連通経路60から分岐した経路とした上で、補給水タンク80を水蒸気混合器40に並べて設置するようにすることもできる。こうすれば、気液分離器50が分離した水を、バルブ開閉を経て水貯留ケース44のみならず補給水タンク80にも供給して、この補給水タンク80で貯水できるので、くみ上げのためのポンプが不要となり簡便である。しかも、補給水タンク80から水貯留ケース44への水供給も、気液分離器50の貯留容器52からの水供給と同様にして、バルブ開閉制御により実行できる。
次に、上記した機器構成を備えた上で、電解質膜12の加湿のための水蒸気量を調整する手法について説明する。図7はアノードに供給する水蒸気量を調整する燃料電池システム100の機器構成を概略的に示す説明図、図8は水蒸気量を調整する処理内容を示したフローチャート、図9は水蒸気量調整を行うための循環比増大処理の詳細を示すフローチャートである。
図7に示すように、燃料電池システム100は、アノードオフガス経路34において、水蒸気混合器40の上流の第1露点センサ75と、水蒸気混合器40の下流の第2露点センサ76とを備える。制御装置70は、これらセンサの出力信号を入力するほか、燃料電池10の出力を測定する電圧計73と電流計74や、燃料電池10の冷却水温度を測定する温度センサ77からもその測定出力信号を入力し、これら信号に基づいて水蒸気量調整を行う。
図8に示す水蒸気量調整処理は、所定時間ごとに制御装置70にて繰り返し実行され、まず、制御装置70は、温度センサ77からの冷却水温Tを入力し(ステップS100)、その冷却水温Tが所定の温度、例えば80℃を上回るか否かを判定する(ステップS110)。この80℃という温度は、燃料電池10が高負荷運転となっていることが推定される温度であり、燃料電池10が当該温度となれば電解質膜12の乾燥が予想される温度である。つまり、ステップS110での対比温度は、電解質膜12の性状によって定まる温度であり、本実施例では80℃に設定した。そして、冷却水温は燃料電池10の温度と推定されることから、ステップS110での温度対比によって電解質膜12の湿潤状態を大まかに把握できる。
ステップS110にて否定判定すれば、電解質膜12の湿潤状態に特段の問題はないとして処理を一旦終了し、肯定判定すれば、第1露点センサ75と第2露点センサ76のセンサ出力(露点)を入力する(ステップS120)。このセンサ出力により、アノードオフガス経路34における水蒸気混合器40の上流側でのアノードオフガスの露点(上流側露点Dp1)と、水蒸気混合器40の下流側のアノードオフガスの露点(下流側露点Dp2)とが得られる。
アノードオフガスの温度と湿度は、燃料電池10での状態がほぼ反映していると推定され、電解質膜12が湿潤不足であればアノードオフガス湿度は低下し、アノードオフガスの露点低下が起きる。よって、水蒸気混合器40の上流側、即ち燃料電池10からのアノードオフガス排出ポートに近い側の上流側露点Dp1と入力済みの冷却水温Tとの温度差は、電解質膜12の湿潤状態を反映したパラメータとなる。そこで、露点入力後に、制御装置70は、冷却水温Tと上流側露点Dp1との温度差を所定の温度Aと対比する(ステップS130)。この温度Aは、第1露点センサ75のセンシング時の放熱による計測温度(露点)の低下を見越したオフセット値であるので、上記した対比において肯定判定すれば、冷却水温Tと上流側露点Dp1との温度差が小さいので温度の誤計測の可能性がある、或いは上流側露点Dp1が冷却水温Tに近似しているのでアノードオフガスの湿度が高い、即ち電解質膜12では乾燥の兆しが見えないとして、一旦処理を終了する。
その一方、ステップS130において否定判定すれば、冷却水温Tに比して上流側露点Dp1が大きく低下したことになる。露点と湿度は、露点温度が低いほど湿度は低い関係にあることから、ステップS130での否定判定は、アノードオフガスの湿度低下、延いては電解質膜12での乾燥の兆候が見られることを意味する。よって、ステップS130での否定判定を受けて即座に電解質膜12の加湿のための処理を行うこともできるが、本実施例では、アノードオフガス経路34に、水の気化による水蒸気混合を行う水蒸気混合器40を設けたので、次のようにした。
ステップS130での否定判定に続いて、制御装置70は、水蒸気混合器40の上下流での上流側露点Dp1と下流側露点Dp2との対比を行う(ステップS140)。この両露点の計測箇所の間に位置する水蒸気混合器40は、既述したように、アノードオフガスが有する熱による多孔質体42での水の気化、気化した水蒸気のアノードオフガスへの混合を起こす。そして、この水蒸気混合量は、アノードオフガスの温度が高いほど多くなるので、ステップS140での対比結果により次のようになる。
アノードオフガスの通過に伴う多孔質体42での水の気化、並びに水蒸気のアノードオフガスへの混合は、アノードオフガスの温度に応じて程度に差はあれ、アノードオフガス温度に拘わらず起きる。その一方、水蒸気混合器40を通過したアノードオフガスは、その湿度において水蒸気混合器40での水蒸気混合に伴い上昇するので、水蒸気混合器40の通過前のアノードオフガスに比べて、その露点にあっても高まる。よって、ステップS140において下流側露点Dp2が上流側露点Dp1より大きいと肯定判定すれば、多孔質体42での水の気化並びに水蒸気混合を通した水蒸気混合器40による加湿増が期待できる状況と言える。こうした状況は、水蒸気混合器40に達するアノードオフガスの湿度が低い場合、即ち電解質膜12の加湿が不足している場合ほど顕著に起きる。その一方、ステップS140での否定判定は、水蒸気混合器40を通過するアノードオフガスが既に高湿度のためにその露点も高く、水蒸気混合器40を通過した後であっても露点の上昇が見られないことを意味する。よって、ステップS140で否定判定した場合には、アノードオフガスの循環比増を通した加湿促進は不要であるとして、一旦処理を終了する。
ステップS140での肯定判定に続いては、アノードオフガスの循環比増を通した加湿促進を図るべく、循環比増大処理を実行する(ステップS200)。この循環比増大処理では、制御装置70は、図9にその詳細を示すように、循環ポンプ36の回転数補正係数Kを算出する(ステップS300)。この回転数補正係数Kに当たっては、前回の回転数補正係数Kn−1に所定の補正量ΔK(>0)を加算して、その値を今回の回転数補正係数Kn(初期値=1)とする。次に、制御装置70は、所定のマップから求めたポンプ基準回転数RPMAPにステップS300で求めた回転数補正係数Knを乗算して、今回の循環ポンプ回転数指令値RPを更新する(ステップS310)。循環ポンプ36は、この循環ポンプ回転数指令値RPに応じた回転数で回転し、当該回転数は前回の回転数より増大していることから、アノードオフガスは、その循環比が増した状態で水素ガス供給経路30に流れ込みアノード14に水素リッチガスと共に供給される。なお、ポンプ基準回転数RPMAPを定めるマップは、例えば、燃料電池10に求められ運転負荷を表すアクセル開度センサ72のセンサ出力や、水素リッチガス・空気の両供給量等に対応付けて予め規定されている。
ポンプ回転数指令値の更新に続き、制御装置70は、水蒸気混合器40の下流側の下流側露点Dp2が所定の露点温度Bを下回ったかを判定する(ステップS320)。制御装置70は、この判定結果に応じて以下のようにポンプ制御を行う。
ステップS310までの処理により循環ポンプ36の回転数を上げてアノードオフガスの循環比を増大させると、水蒸気混合器40での水蒸気混合済みのアノードオフガスの供給量が増える。このことは、アノード14に流れ込む水蒸気量の増大をもたらして電解質膜12を加湿するように作用するので、循環比増大後においてアノード14から排出されるアノードオフガスでは、湿度増加、露点上昇の現象が現れる。こうなると、水蒸気混合器40に流れ込むアノードオフガスの湿度増によりその露点が高くなることから、循環比増大を継続している過程では、既述したように、水蒸気混合器40での気化・水蒸気混合を受けたアノードオフガスの露点(下流側露点Dp2)の低下が起きる。よって、ステップS320で下流側露点Dp2が所定の露点温度Bを下回っていないと否定判定すると、加湿未了であるとして一旦処理を終了することで、ステップS310で求めた指令値での循環比増大、および次回以降の水蒸気量調整処理における循環比増大処理でのさらなる循環比増大が継続される。
その一方、ステップS320で下流側露点Dp2が所定の露点温度Bを下回ると肯定判定すると、こうした状況は、それ以前の循環比増大に、多孔質体42での機器スピードが追従できない場合であり、このまま放置するとアノード14への水分供給が増えないだけでなく、流量が増加することにより、電解質膜12の乾燥を不用意に進めてしまいかねない。よって、多孔質体42の蒸発量に応じて過不足のない適正な流量にするために循環比を低減の側に転ずる。このため、ステップS320での肯定判定に続くステップS330では、前回の回転数補正係数Kn−1から既述した補正量ΔKを減算して、その値を今回の回転数補正係数Knとする。この場合、減算する補正量ΔKは、循環比増大時の補正量ΔKと同一の値とするほか、その1/2の補正量としたりすることもできる。このように減算補正量ΔKを循環比増大時の補正量ΔKより小さくすることは、多孔質体42の気化能力を十分に活用する上で有効である。或いは、減算する補正量ΔKを、電解質膜12の湿潤状況をある程度表す上流側露点Dp1に応じて増減させるようにすることもできる。この他、冷却水温Tと上流側露点Dp1の関係より、電解質膜12は乾いていると予想されるので加湿量を増やしたいが、多孔質体42からの気化が追いつくまでの間において循環比の低減の側への補正(ステップS330)に遅れを持たせることも有効である。
次に、制御装置70は、ポンプ基準回転数RPMAPにステップS330で求めた回転数補正係数Knを乗算して、今回の循環ポンプ回転数指令値RPを更新し(ステップS340)、本ルーチンを終了する。この更新した循環ポンプ回転数指令値RPはそれ以前より回転数が小さい指令値となるので、循環ポンプ36によるアノードオフガスの循環比は小さくなり、アノード14に流れ込む水蒸気量も少なくなる。この場合、補正量ΔKの減算を繰り返して循環比を徐々に低減するには、ステップS340の実行後にステップS320に戻るようにすればよい。また、ステップS300での補正係数Kの算出の前にステップS320と同一の処理を組み込み、ここで否定判定(加湿の未了)した場合にはステップS300〜310により循環比増大処理を行い、肯定判定(加湿の完了)の場合にはステップS320に移行するようにしても、次回以降の水蒸気量調整処理において補正量ΔKの減算の繰り返しにより、循環比を徐々に低減できる。
以上説明したアノードオフガスの循環比制御を通した水蒸気量調整処理では、冷却水温Tに基づいて燃料電池10の高負荷運転、延いては電解質膜12の乾燥が予想される局面となると(ステップS110)、アノードオフガスの熱による水の気化を通して水蒸気混合を図る水蒸気混合器40の上流・下流の露点対比を行い(ステップS140)、この対比結果により、既述したようにアノードオフガスの湿度低下、延いては電解質膜12での乾燥の兆候の有無を更に見極める。そして、電解質膜12での乾燥の兆候があると、循環ポンプ36のポンプ回転数を増大制御して(ステップS300〜310)、水蒸気混合器40で既に水蒸気混合済みのアノードオフガスの循環比を増大させ、これに伴ってアノード14に流れ込む水蒸気量についても増大させる。よって、本実施例の水蒸気量調整処理によれば、燃料電池10の運転状態が電解質膜12の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノード14への水蒸気量増大を通して電解質膜12の湿潤状態を好適に維持させ、電池性能の維持・向上を図ることができる。
また、上記した水蒸気量調整処理では、水蒸気混合器40の下流側の下流側露点Dp2が所定の露点温度Bを下回るまで、ステップS300〜310による循環比増大を継続する。循環比増大継続過程において水蒸気混合器40の下流側の下流側露点Dp2が所定の露点温度Bを下回る現象が起きるまでの時間は、既述したように水蒸気混合器40に流れ込むアノードオフガスの湿度増による露点上昇の発現時間に依存する。よって、電解質膜12の湿潤不足のためにアノードオフガスの湿度が低いほど、水蒸気混合器40に流れ込むアノードオフガスの湿度増による露点上昇の発現は遅れるので、循環比増大を継続する期間が長くなって循環比は増大する。つまり、本実施例の水蒸気量調整処理によれば、アノードオフガスの湿度が低いほどアノードオフガスの循環比の増大を図ってアノード14への水蒸気供給量を増やすことで、電解質膜12の湿潤を容易に好適な状態に維持できる。
しかも、上記した本実施例の水蒸気量調整処理では、アノードオフガスの循環比を増大させた後に電解質膜12の加湿不足は解消されたとすれば(ステップS320の肯定判定)、循環ポンプ36の回転数を下げてアノードオフガスの循環比を低下させる(ステップS330〜340)。よって、アノードオフガスの循環比増大という無駄な循環ポンプ36のエネルギ消費を抑制できる。
次に、水蒸気量調整処理の変形例について説明する。図10は図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャートである。この変形例では、図9の処理と同様、ステップS130に続くステップS300〜310にて循環ポンプ36の回転数を増大させて、アノードオフガスの循環比を増大する。その後、制御装置70は、燃料電池10から排出されて水蒸気混合器40に至る前のアノードオフガスの上流側露点Dp1が所定の露点温度CLを下回ったかを判定する(ステップS400)。この露点温度CLは、冷却水温Tや燃料電池10の運転状態に対応させて予めマップ状に定めた露点であり、既述したステップS320での露点温度Bと同様、蒸発量増加を狙った循環比増に対し、その狙いに反して蒸発量が減少してガス流量のみが増加して電解質膜12の乾燥をもたらさないように循環比増大を低減に転ずる指標である。
制御装置70は、ステップS400にて肯定判定すると、既述したステップS320でのさらなる循環比低減の必要性を判定し、循環比低減の必要があるとすれば、ステップS330〜340の処理にて、ポンプ回転数の低減、循環比の低減を行う。この場合、補正量ΔKの減算を繰り返して循環比を徐々に低減するには、既述したようにステップS340の実行後にステップS400に戻るようにしたり、ステップS300での補正係数Kの算出の前へのステップS320と同一の判定処理の組み込みを行うことで、循環比を徐々に低減できる。
一方、ステップS400にて否定判定した場合は、前回の回転数補正係数Kn−1を今回の回転数補正係数Knとする(ステップS410)。これにより、補正係数は維持されるので、これ以降に演算される循環ポンプ回転数指令値RPも前回と同じとなり、循環比は維持されることになる。ステップS410に続いて、制御装置70は、再度、冷却水温Tを所定の温度(80℃:高負荷運転推定温度)する(ステップS420)。このステップS420では、冷却水温Tの対比温度を水蒸気量調整処理の最初の処理(ステップS110)での対比温度と同じとしたが、処理の進行を考慮してヒステリシスを設けるようにし、ステップS420の対比温度を80℃と異なる温度とすることもできる。
上記のステップS420で、冷却水温Tが80℃以上であると否定判定すれば、燃料電池10は高負荷運転にあると推定されることから、ステップS340に移行して、ステップS410で求めた回転数補正係数Knを用いて循環ポンプ回転数指令値RPを更新する。これにより、循環ポンプ36は、今回の回転数補正係数Knが前回と同じであることから、回転数を維持して回転するので、アノードオフガスの循環比、並びに水蒸気量混合量も維持される。
一方、ステップS420で冷却水温Tが80℃を下回ったと肯定判定すれば、燃料電池10は高負荷運転から脱したと推定されることから、回転数補正係数Knに初期値1をセットして本ルーチンを終了する。
以上説明した水蒸気量調整処理の変形例によっても、燃料電池10の運転状態が電解質膜12の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノード14への水蒸気量増大を通して電解質膜12の湿潤状態を好適に維持させ、電池性能の維持・向上を図ることができる。
上記した変形例の水蒸気量調整処理では、ステップS410〜430の処理により循環比維持を図ることができるので、ステップS400での肯定判定後には処理を終了するようにして、ステップS320〜340の処理(循環比低減)を行わないようにすることもできる。
次に、水蒸気量調整処理の他の変形例について説明する。図11は図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャートである。この変形例では、図9の処理と同様、ステップS130に続くステップS300〜310にて循環ポンプ36の回転数を増大させて、アノードオフガスの循環比を増大する。その後、制御装置70は、電流計74(図7参照)から得た電流と燃料電池10の電極面積とからの電流密度(I/cm2)算出、燃料電池10の個々のスタックの抵抗とスタック数(セル数)とからの平均セル抵抗(Ω)の算出、これらからの面積抵抗Rの算出を行い(ステップS500)、算出した面積抵抗Rが所定の目標面積抵抗rHを上回ったかを判定する(ステップS510)。この目標面積抵抗rHは、燃料電池10を運転する上でこれ以上増加させたくない面積抵抗であり、この値は電流密度に対応させて予めマップ状に定めた面積抵抗である。既述したステップS320での露点温度Bと同様、多孔質体42での蒸発が追いつかずに流量だけが増えて電解質膜12を逆に乾燥させてしまうようなことを回避するために循環比増大を低減に転ずる指標である。
制御装置70は、ステップS510にて肯定判定すると、既述したステップS320でのさらなる循環比低減の必要性を判定し、循環比低減の必要があるとすれば、ステップS330〜340の処理にて、ポンプ回転数の低減、循環比の低減を行う。この場合、補正量ΔKの減算を繰り返して循環比を徐々に低減するには、既述したようにステップS340の実行後にステップS500に戻るようにしたり、ステップS300での補正係数Kの算出の前へのステップS320と同一の判定処理の組み込みを行うことで、循環比を徐々に低減できる。
一方、ステップS510にて否定判定した場合は、既述したステップS410〜430の処理を実行して、補正係数の維持を通した循環比維持、回転数補正係数Knの初期化を行う。
以上説明した水蒸気量調整処理の変形例によっても、燃料電池10の運転状態が電解質膜12の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノード14への水蒸気量増大を通して電解質膜12の湿潤状態を好適に維持させ、電池性能の維持・向上を図ることができる。
上記した変形例の水蒸気量調整処理にあっても、ステップS410〜430の処理により循環比維持を図ることができるので、ステップS510での肯定判定後には処理を終了するようにして、ステップS320〜340の処理(循環比低減)を行わないようにすることもできる。
次に、水蒸気量調整処理のまた別の変形例について説明する。図12は図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャート、図13は電池特性を示す説明図である。この変形例では、図9の処理と同様、ステップS130に続くステップS300〜310にて循環ポンプ36の回転数を増大させて、アノードオフガスの循環比を増大する。その後、制御装置70は、電流計74(図7参照)から得た電流と燃料電池10の電極面積とからの電流密度(I/cm2)算出、算出した電流密度に対応する目標セル電圧VTの算出を行う(ステップS600)。この目標セル電圧VTは、燃料電池10を運転する上でこれ以上低下させたくないセル電圧であり、図13に示すように、電流密度別に対応させて予めマップ状に定められている。よって、ステップS600では、電流密度別のマップを参照して、算出電流密度に対応した目標セル電圧VTを算出する。この目標セル電圧VTにあっても、既述したステップS320での露点温度BやステップS510での目標面積抵抗rHと同様、制御の狙いに反して蒸発量が不足した場合に生じる不具合(電解質膜12の乾燥)を未然に防ぐために循環比増大を低減に転ずる指標である。
次いで、制御装置70は、電圧計73(図7参照)から得た電圧Vが目標セル電圧VTを下回ったかを判定し(ステップS610)、ここで肯定判定すると、既述したステップS320でのさらなる循環比低減の必要性を判定し、循環比低減の必要があるとすれば、ステップS330〜340の処理にて、ポンプ回転数の低減、循環比の低減を行う。この場合、補正量ΔKの減算を繰り返して循環比を徐々に低減するには、既述したようにステップS340の実行後にステップS600に戻るようにしたり、ステップS300での補正係数Kの算出の前へのステップS320と同一の判定処理の組み込みを行うことで、循環比を徐々に低減できる。
一方、ステップS610にて否定判定した場合は、既述したステップS410〜430の処理を実行して、補正係数の維持を通した循環比維持、回転数補正係数Knの初期化を行う。
以上説明した水蒸気量調整処理の変形例によっても、燃料電池10の運転状態が電解質膜12の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノード14への水蒸気量増大を通して電解質膜12の湿潤状態を好適に維持させ、電池性能の維持・向上を図ることができる。
また、上記した変形例の水蒸気量調整処理にあっても、ステップS410〜430の処理により循環比維持を図ることができるので、ステップS610での肯定判定後には処理を終了するようにして、ステップS320〜340の処理(循環比低減)を行わないようにすることもできる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、多孔質体42の形成材としては、金属多孔体のほか、セラミック製の多孔体やカーボンクロス等を用いることもできる。
実施例の燃料電池システム100の概略構成を説明する説明図である。 水蒸気混合器40の構成を概略的に示す説明図である。 燃料電池システム100の運転期間におけるバルブ駆動の様子に対応付けてアノードオフガスへの水蒸気混合の様子を説明する説明図である。 バルブ状態の推移を説明するための説明図である。 水蒸気混合器40を加熱状態としておく変形例の要部を概略的に示す説明図である。 水蒸気混合器40への水供給を2系統とした変形例の要部を概略的に示す説明図である。 アノードに供給する水蒸気量を調整する燃料電池システム100の機器構成を概略的に示す説明図である。 水蒸気量を調整する処理内容を示したフローチャートである。 水蒸気量調整を行うための循環比増大処理の詳細を示すフローチャートである。 図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャートである。 図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャートである。 図9に示した循環比増大処理に代わる処理を示すフローチャートである。 電池特性を示す説明図である。
符号の説明
10…燃料電池
12…電解質膜
14…アノード
16…カソード
20…空気供給経路
21…加湿器
22…ポンプ
24…オフガス経路
26…圧力調整弁
30…水素ガス供給経路
32…圧力調整弁
34…アノードオフガス経路
36…循環ポンプ
40…水蒸気混合器
42…多孔質体
44…水貯留ケース
46…キャップ
48…外郭ケース
50…気液分離器
52…貯留容器
54…排水経路
56…開閉バルブ
60…連通経路
62…開閉バルブ
66…冷却経路
68…熱交換器
70…制御装置
72…アクセル開度センサ
73…電圧計
74…電流計
75…第1露点センサ
76…第2露点センサ
77…温度センサ
80…補給水タンク
81…補給経路
82…開閉バルブ
100…燃料電池システム
T…冷却水温
CL…露点温度
VT…目標セル電圧
Dp1…上流側露点
Dp2…下流側露点

Claims (9)

  1. 湿潤状態でイオン伝導性を発揮する電解質膜を有する燃料電池を備えた燃料電池システムであって、
    前記燃料電池のアノードに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路と、
    前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記燃料ガス供給経路に循環させるアノードオフガス経路と、
    該アノードオフガス経路のアノードオフガスを前記燃料ガス経路に対して循環させる循環ポンプと、
    前記循環ポンプより上流側の前記アノードオフガス経路に配設されてアノードオフガスに晒され、保水済みの水をアノードオフガスの熱により水蒸気に気化した上で該水蒸気をアノードオフガスに混合させてアノードオフガスと水蒸気の混合気を下流に流す水蒸気混合手段と、
    前記水蒸気混合手段の保水状態を維持するよう前記水蒸気混合手段に水を供給する水供給手段とを備える
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記水蒸気混合手段は、
    前記水供給手段から供給された水を貯留する水貯留部と、
    該水貯留部からアノードオフガスに晒される箇所まで延出し、前記水貯留部の水を含浸して保水状態となり、前記アノードオフガス経路を通過するアノードオフガスに晒される多孔質体とを備える
    燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムであって、
    前記水供給手段は、前記燃料電池の運転状態が低負荷運転にある間において、前記水蒸気混合手段への水供給を実行する
    燃料電池システム。
  4. 請求項3に記載の燃料電池システムであって、
    前記水供給手段は、前記水供給を前記水蒸気混合手段の前記水貯留部が所定の貯留水位の状態となるまで行う
    燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし請求項4いずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記水供給手段は、前記アノードオフガス経路を通過するアノードオフガスから水分を分離し、該分離した水分を貯留しつつ、水分分離後のガスを下流に流す気液分離器を備える
    燃料電池システム。
  6. 請求項5に記載の燃料電池システムであって、
    前記水供給手段は、
    前記気液分離器における水分の貯留部の満水水位面が前記水蒸気混合手段の前記水貯留部における前記所定の貯留水位の水位面と同じ高さとなるように前記気液分離器を配置して備え、
    前記水分の貯留部と前記水蒸気混合手段の前記水貯留部とを連通する連通管路に、管路を開閉する開閉弁を備える
    燃料電池システム。
  7. 請求項2ないし請求項6いずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記水蒸気混合手段は、前記水貯留部を前記燃料電池の発する熱により加熱する加熱部を備える
    燃料電池システム。
  8. 請求項1ないし請求項7いずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記循環ポンプを駆動制御して、前記アノードオフガス経路からのアノードオフガスの循環比を増減調整するポンプ制御手段を備え、
    該ポンプ制御手段は、前記燃料電池の運転状態が前記電解質膜の湿潤不足をもたらし得る状況となると、アノードオフガスの循環比が増えるよう前記循環ポンプを駆動制御する
    燃料電池システム。
  9. 請求項8に記載の燃料電池システムであって、
    前記ポンプ制御手段は、アノードオフガスの湿度に基づいて前記電解質膜の湿潤状況を把握し、前記湿度が低いほどアノードオフガスの循環比が増えるよう前記循環ポンプを駆動制御する
    燃料電池システム。
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