JP5489093B2 - 燃料電池システムおよびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムおよびその運転方法に関する。
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換する。燃料電池システムは、電解質膜を挟んで設けられた一対の触媒電極を備えた燃料電池を有している。これらの触媒電極のうち燃料極には、水素含有ガスが供給される。また、他方の酸化剤極には、酸素を含有する酸化剤ガスが供給される。これら一対の触媒電極の電解質膜側の表面では、それぞれ以下に示す(1)式および(2)式の電気化学反応が生じる。
陽極反応:H → 2H + 2e (1)
陰極反応:2H + 2e + (1/2)O → HO (2)
燃料電池システムでは、これらの電気化学反応を利用して、電極から電気エネルギを取り出す。
燃料極に燃料ガスの水素を供給する方法としては、水素貯蔵装置から直接供給する方法、水素を含有する燃料を改質して得られた水素含有ガスを供給する方法が知られている。水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどがある。水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリンなどが考えられる。一方、酸化剤極に供給する酸化剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
燃料電池の性能の一つは、電流電圧特性で示される。所定の電流が流れたときの燃料電池の実際の電圧は、理論値よりも低い。この電圧低下の原因の一つとして、反応ガスの水素・酸素の供給や電池反応の際に生成する水の影響などによる拡散過電圧が考えられる。水素と酸素との電池セルでの反応の際に水が生成され、その水が電極構成部材であるポーラスなガスの拡散層の細孔を埋めると、反応ガスの拡散性が低下する。これにより、拡散過電圧が増大する。
燃料電池において、水素含有ガスまたは酸化剤ガスのセパレータとして、ポーラスタイプのセパレータを用いる場合がある(たとえば特許文献1参照)。これらのセパレータは、電解質膜の加湿に必要な水をポーラス内部に含むことができる。また、電極反応による生成水をその内部に吸収しガス下流側でのフラッディングを防止する。その結果、拡散過電圧の増大を抑制することができるという利点がある。
特開平6−68884号公報
発電停止期間中の多孔質のセパレータの水管理をしていない場合には、水素含有ガスや酸化剤ガスが流動する反応ガス流路や、電極構成部材であるポーラスなガス拡散層の細孔を水分が閉塞してしまう可能性がある。このような水詰まりが生じると、起動時の発電において、拡散過電圧が増大する。さらに、反応ガス流路に反応ガスが供給されていないにもかかわらず負荷を投入すると、転極してしまうこともある。そのため、燃料電池の発電前から、あらかじめ反応ガス流路やガス拡散層の水詰まりを解消しておくことが必要となる。
一方、燃料電池のセパレータとしてポーラス材を使用すると、ポーラス内部に水が存在していない時には、ガスを封止する能力がない。このため、裏側に設けた切り欠きや加湿用の溝にガスが透過してしまうという不具合が生じる可能性がある。
たとえば燃料電池運転時にはポーラス(多孔質)セパレータは十分に湿っているが、停止しているときには水が生成されずに多孔質セパレータの中の水が蒸発してしまい、多孔質セパレータが乾燥してしまう場合がある。このように多孔質セパレータがドライアウトしたまま、燃料電池の発電を開始させるために反応ガスをセパレータに流すと、多孔質セパレータに水が含浸されていないために、ガスが多孔質セパレータの厚さ方向を透過してしまう。ガスが多孔質セパレータを透過してしまうと、ガスの利用率が低下し、また、水分の均一化が妨げられる。
また、一度ドライアウトが起こってしまうと、ガスを流している限り、その場所の圧力が高くなり、多孔質セパレータの微小な空間内の毛細管圧力よりも勝ってしまう。その結果、毛細管力だけで再度その場所に水を含浸させることは困難である。そのため、燃料電池の発電前から、あらかじめ多孔質セパレータのドライアウト箇所への水分の含浸が必要となる。
そこで、本発明は、多孔質のセパレータを用いた燃料電池システムにおいて反応ガス流路の水詰まりを抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、燃料電池システムにおいて、固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、前記水流路の圧力を測定する水流路圧力検出器と、前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始した後であって前記水流路圧力検出器の測定値が大気圧よりも低い所定の圧力を下回った後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明は、燃料電池システムにおいて、固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、前記反応ガス流路の圧力を測定する反応ガス流路圧力検出器と、前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始した後であって前記反応ガス流路圧力検出器の測定値が大気圧よりも低い所定の圧力を下回った後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明は、燃料電池システムにおいて、固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始してからの経過時間が所定時間を超過した後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、を有し、前記所定時間は前回の発電終了からの経過時間に基づいて変化することを特徴とする。
本発明は、燃料電池システムにおいて、固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するとともに、前記反応ガス流路の入口および出口を封じる一対の弁を備える反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記反応ガス流路を封じ切り、前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始し、前記水循環装置によって生じる前記反応ガス流路と前記水流路との圧力差を小さくした後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するとともに、前記反応ガス流路の入口および出口を封じる一対の弁を備える反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、を備える燃料電池システムの運転方法において、前記反応ガス流路を封じ切り、前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始し、前記水循環装置によって生じる前記反応ガス流路と前記水流路との圧力差を小さくする第1工程と、前記第1工程の後に前記反応ガス供給装置が前記反応ガスの供給を開始する第2工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、多孔質のセパレータを用いた燃料電池システムにおいて反応ガス流路の水詰まりを抑制することができる。
発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態の一部のブロック図とともに示す燃料電池スタックの部分断面図である。 発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。 発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態における起動時のフローチャートである。 発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態における冷却水圧力、アノード流路の入口圧力およびカソード流路の入口圧力の時間変化の実験結果の例を示すグラフである。 発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態におけるセル電圧の時間変化の実験結果の例を示すグラフである。 本発明に係る燃料電池システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。 本発明に係る燃料電池システムの第2の実施の形態における起動時のフローチャートである。 本発明に係る燃料電池システムの第2の実施の形態における乾燥状態起動時のフローチャートである。 本発明に係る燃料電池システムの第2の実施の形態における通常起動時のフローチャートである。
本発明に係る燃料電池システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図1は、発明に係る燃料電池システムの第1の実施の形態の一部のブロック図とともに示す燃料電池スタックの部分断面図である。
燃料電池スタック1は、膜電極複合体56の両側を燃料極セパレータ51と酸化剤極セパレータ52とで挟んだセル50を複数積層したものである。膜電極複合体56は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の一方の面に配置された燃料極と、固体高分子電解質膜の燃料極とは反対側の面に配置された酸化剤極とを備える。燃料極セパレータ51には、アノード流路53が形成されている。酸化剤極セパレータ52には、カソード流路54が形成されている。燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52は、ポーラスタイプのセパレータである。つまり、燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52は、多孔質体で形成されている。それぞれのセル50の間には、燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52を加湿するための水流路55が形成されている。水流路55は、燃料極セパレータ51または酸化剤極セパレータ52のアノード流路53またはカソード流路54とは反対側の面に形成されている。
本実施の形態では、燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52をそれぞれ独立したものとしているが、一体として形成してもよい。あるいは、溝を形成した水密な板を燃料極セパレータ51または酸化剤極セパレータ52とは独立して用いて水流路55を形成してもよい。
図2は、本実施の形態における燃料電池システムのブロック図である。
本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池スタック1と、燃料ガス供給装置2と、酸化剤供給装置3と、加湿装置60とを備える。燃料電池スタック1は、水素と酸素とを用いて発電する。燃料ガス供給装置2は、燃料電池スタック1へ燃料ガスとして水素含有ガスを供給する。燃料ガス供給装置2は、たとえば改質装置で炭化水素系燃料を改質して生成された水素含有ガスを燃料電池スタック1に送るコンプレッサである。燃料ガス供給装置2として、水素ボンベなどを用いることもできる。
酸化剤供給装置3は、燃料電池スタック1へ酸素を含む酸化剤ガスを供給する。酸化剤供給装置3は、たとえば空気を燃料電池スタック1に送るブロワである。加湿装置60は、燃料電池スタック1を加湿する。
燃料電池スタック1には、燃料ガス供給流路4と、酸化剤供給流路5とが接続されている。燃料ガス供給流路4は、燃料ガス供給装置2から燃料電池スタック1に延びている。燃料ガス供給装置2が供給する水素含有ガスは、燃料ガス供給流路4を通って、アノード流路53に送られる。酸化剤供給流路5は、酸化剤ガス供給装置3から燃料電池スタック1に延びている。酸化剤ガス供給装置が供給する酸化剤ガスは、酸化剤供給流路5を通って、カソード流路54に送られる。燃料ガス供給流路4および酸化剤供給流路5は、たとえば配管によって形成される。
また、燃料電池スタック1には、燃料ガス排出流路6と酸化剤排出流路7とが接続されている。電池反応に用いられなかった燃料ガスは、アノード流路53に接続された燃料ガス排出流路6を通って排出される。電池反応に用いられなかった酸化剤ガスおよび電池反応で生成された水の一部は、カソード流路54に接続された酸化剤排出流路7を通って排出される。
燃料ガス供給流路4の途中には、燃料ガス供給弁32が設けられる。燃料ガス排出流路6の途中には、燃料ガス排出弁33が設けられる。酸化剤供給流路5の途中には、酸化剤供給弁31が設けられる。酸化剤排出流路7の途中には、酸化剤排出弁34が設けられる。
さらに、燃料ガス供給弁32と燃料電池スタック1との間には、燃料ガス供給流路4内の圧力を測定する圧力計14が取り付けられている。酸化剤供給弁31と燃料電池スタック1との間には、酸化剤供給流路5内の圧力を測定する圧力計15が取り付けられている。
加湿装置60は、水タンク8と、水を循環させる水循環流路と、水ポンプ9とを備える。水タンク8は、燃料電池スタック1へ供給する水を蓄える。加湿装置60の水循環流路は、水タンク8と燃料電池スタック1内に形成された水流路の入口側とをつなぐ循環往流路10、および、燃料電池スタック1内に形成された水流路の出口側から水タンク8に延びる循環復流路11を備える。水ポンプ9は、循環復流路11の途中に設けられていて、燃料電池スタック1から負圧で水を吸い上げて水タンク8へ水を戻す。
また、循環往流路10と循環復流路11との間には水バイパス流路12が延びている。この水バイパス流路12は、加湿装置60の水循環流路を流れる水が燃料電池スタック1を迂回して流れるようにバイパスさせる流路である。水バイパス流路12の途中には、バイパス弁35が設けられる。
負荷13は、燃料電池スタック1が発電した電力を消費する。燃料電池システムが、たとえば車両に搭載された場合には、電動モータなどに相当する。
制御装置70は、燃料電池システムの運転を制御する制御中枢として機能する。制御装置70は、たとえばCPU、記憶装置、入出力装置などの資源を備えたマイクロコンピュータである。
制御装置70は、燃料電池システムに設けられた図示しない各種のセンサからの信号を読み込む。また、読み込んだ各種信号ならびに予め内部に保有する制御ロジック(プログラム)に基づいて、燃料電池スタック1、負荷13、燃料ガス供給装置2、酸化剤供給装置3、水ポンプ9など、燃料電池システムの各構成要素に指令を送る。このようにして、制御装置70は、燃料電池システムの運転/停止に必要なすべての動作を統括管理して制御する。制御装置70が制御する燃料電池システムの動作としては、以下に説明する残留水分の除去処理が含まれる。
図3は、本実施の形態における燃料電池システムの起動時のフローチャートである。
まず、燃料電池システムの起動前には、酸化剤供給弁31、燃料ガス供給弁32、燃料ガス排出弁33、酸化剤排出弁34およびバイパス弁35は閉じた状態としておく。燃料電池システムを起動すると、制御装置70は、燃料改質装置にたとえば都市ガスの改質を開始させる(S20)。この際、酸化剤供給弁31および燃料ガス排出弁33は、閉じた状態のままとしておく。また、制御装置70は、燃料電池スタック1へ水の供給を開始する(S21)。
このステップS21では、まず、水ポンプ9を起動するとともに、バイパス弁35を開いて、水バイパス流路12および燃料電池スタック1へ水を供給する。さらに、水バイパス流路12および燃料電池スタック1への水の供給が開始されてから所定の時間が経過した後、制御装置70は、バイパス弁35を閉じる。
これに伴って、水ポンプ9が駆動する全水量は、燃料電池スタック1に大気圧よりも低い圧力で燃料電池スタック1の水流路55に供給される。水流路55内の冷却水の圧力は、たとえば−20kPa[gage]程度である。
発電停止後ある程度の時間が経過すると、燃料電池スタック1の水流路55には、燃料極セパレータ51または酸化剤極セパレータ52に形成された細孔を通って反応ガス流路から気体が流入している可能性がある。水ポンプ9の起動時に、燃料電池スタック1の水流路55に存在する気体が、水ポンプ9に流れ込むと水ポンプ9が空回りし、その後も正常に水を送出できなくなる可能性がある。
そこで、水ポンプ9の起動時にはバイパス弁35を開き、主として気体がほとんど存在しないバイパス流路から水を水ポンプ9に送って水ポンプ9の空回りを防止している。また、その後、水ポンプ9が正常に安定して水を送出できる状態になってから、バイパス弁35を閉じて、燃料電池スタック1の水流路55に存在する気体を排出することとしている。ここでは、燃料電池スタック1への水の供給の開始(S21)は、燃料の改質の開始(S20)よりも後としているが、これらは同時あるいは順序が逆になってもよい。
燃料電池スタック1への水の供給が開始されて所定の時間が経過した後、制御装置70は、圧力計14で測定されるアノード流路53の入口圧力PAを監視する(S22)。アノード流路入口圧力PAが所定の圧力PA1以上の場合は、水ポンプ9が正常に起動されていないなど、水流路55への水の循環が正常に行われていないと考えられる。そこで、この場合に制御装置70は、再び燃料電池スタック1へ水の供給を開始する(S21)。
アノード流路入口圧力PAが所定の圧力PA1を下回っていた場合には、ステップS23に移り、燃料ガスの導入を開始する。この所定の圧力PA1は、別途行う実験によって規定する。
ステップS23では、制御装置70が燃料ガス供給弁32および燃料ガス排出弁33を開き、また、燃料ガス供給装置2を起動する。これにより、アノード流路53への燃料ガスの供給が開始される。
アノード流路53への燃料ガスの供給が開始された後、制御装置70は、圧力計15で測定されるカソード流路54の入口圧力PCを監視する(S24)。カソード流路入口圧力PCが所定の圧力PC1以上の間は、制御装置70は、入口圧力PCの監視を継続する。カソード流路入口圧力PCが所定の圧力PC1を下回ったら、ステップS25に移り、酸化剤ガスの導入を開始する。この所定の圧力PC1は、別途行う実験によって規定する。
ステップS25では、制御装置70が酸化剤供給弁31および酸化剤排出弁34を開き、また、ブロワなどの酸化剤供給装置3を起動する。これにより、カソード流路54への酸素の供給が開始される。燃料電池スタック1では、アノード流路53に供給される水素およびカソード流路54に供給される酸素を用いて発電する。燃料電池スタック1が発電した電力は、負荷13で消費される。
図4は、本実施の形態における冷却水圧力、アノード流路の入口圧力およびカソード流路の入口圧力の時間変化の実験結果の例を示すグラフである。図4の横軸は経過時間を、縦軸は圧力を示す。図4には、本実施の形態の比較例として冷却水の循環の開始と同時に燃料の供給を開始した場合の実験結果をあわせて示した。
図4において、太い実線81は本実施の形態における冷却水圧力を、太い破線82は本実施の形態におけるアノード流路入口圧力を、太い一点鎖線83は本実施の形態におけるカソード流路入口圧力を、それぞれ示す。また、図4において、細い実線91は比較例における冷却水圧力を、細い破線92は比較例におけるアノード流路入口圧力を、細い一点鎖線93は比較例におけるカソード流路入口圧力を、それぞれ示す。
本実施の形態において、ステップS21で冷却水の供給を開始してから所定の時間T1が経過した後、ステップS22でアノード流路53の入口圧力PAを検出した。冷却水の供給の開始前において、アノード流路53の圧力は、前回の運転停止の際の温度の低下に伴って、大気圧よりも若干低い圧力となっていた。冷却水の供給前に水流路55は、大気圧とほぼ等しい圧力となっている。その後、冷却水の正常な循環に伴って、冷却水圧力(実線81)は大気圧より低い圧力となる。この結果、アノード流路53に存在していた液体の水が燃料極セパレータ51に形成された細孔に引き込まれて、アノード流路入口圧力(破線82)は低下していく。
冷却水の供給を開始してから時間T1が経過した時点では、アノード流路入口圧力(破線82)は所定の圧力PA1を下回っていた。そこで、ステップS23に進んで燃料の供給が開始された。燃料の供給が開始されると、アノード流路入口圧力(破線82)は上昇し、大気圧よりも高い圧力で推移する。
また、冷却水の正常な循環に伴って、カソード流路54に存在していた液体の水が燃料極セパレータ51に形成された細孔に引き込まれて、カソード流路入口圧力(一点鎖線83)は低下していく。冷却水の供給を開始してから所定の時間T2が経過した後、ステップS24でカソード流路54の入口圧力PCを検出した。この時点で、カソード流路入口圧力(一点鎖線83)は所定の圧力PC1を下回っていた。そこで、ステップS25に進んで酸素の供給が開始された。酸素の供給が開始されると、カソード流路入口圧力(一点鎖線83)は上昇し、大気圧よりも高い圧力で推移する。
図4において、冷却水の循環の開始と同時に燃料の供給を開始した場合の比較例は、冷却水の循環の開始と同時に燃料の供給を開始した時点がT1となるように平行移動して示している。冷却水の循環の開始と同時に燃料の供給を開始した時点から、酸素の供給の開始までの時間は、本実施の形態の実験と同じとしている。
比較例の場合、冷却水の供給の開始前には、水流路55は大気圧とほぼ等しい圧力となっていた。アノード流路入口圧力(破線92)は、前回の運転停止の際の温度の低下に伴って、大気圧よりも若干低い圧力となっていた。
冷却水の循環と燃料の供給を同時に開始すると、アノード流路入口圧力(破線92)は上昇し、大気圧よりも高い圧力で推移する。比較例における冷却水の循環と燃料の供給の開始直後のアノード流路入口圧力(破線92)の極大値は、本実施の形態の場合の燃料の供給の開始直後のアノード流路入口圧力(破線82)の極大値に比べて小さい。これは、比較例の場合には、アノード流路53に残存している水が、本実施の形態の実験の場合に比べて多いため、ガスの拡散を邪魔するためである。このように、本実施の形態では、燃料の供給の前に冷却水を循環させているため、アノード流路53に残存している水が減少していることがわかる。
図5は、本実施の形態におけるセル電圧の時間変化の実験結果の例を示すグラフである。図5の横軸は経過時間を、縦軸は電圧を示す。図5には、本実施の形態の比較例として冷却水の循環の開始と同時に燃料の供給を開始した場合の実験結果をあわせて示した。
図5において、太い実線84は本実施の形態における平均セル電圧を、太い破線85は本実施の形態における最低セル電圧を、太い一点鎖線86は本実施の形態におけるセル電圧の標準偏差を、それぞれ示す。また、図5において、細い実線94は比較例における平均セル電圧を、細い破線95は比較例における最低セル電圧を、細い一点鎖線96は比較例におけるセル電圧の標準偏差を、それぞれ示す。
冷却水の供給を開始してから所定の時間T2が経過した後、酸素の供給を開始すると、セル電圧が上昇している。これは、燃料電池で電池反応が生じたためである。
比較例における平均セル電圧(実線94)は、本実施の形態における平均セル電圧(実線84)に比べて若干小さい傾向にある。比較例における最低セル電圧(破線95)は、本実施の形態における最低セル電圧(破線85)に比べて、大幅に小さい時期があり、また、負の値に転じている、すなわち転極している時期もある。この結果、比較例におけるセル電圧の標準偏差(一点鎖線96)は、本実施の形態におけるセル電圧の標準偏差(一点鎖線86)に比べて大きい傾向にある。
酸素の供給を開始した時点での本実施の形態における冷却水圧力(実線81)が比較例における冷却水圧力(実線91)に比べて小さいことからわかるように、本実施の形態の方が比較例に比べてカソード流路54でガスの拡散を邪魔している水の量が少ない。このため、各セルにおけるガス配流のばらつきが低減される。このため、比較例におけるセル電圧の標準偏差(一点鎖線96)は、酸素の供給を開始直後の極大値を含め、本実施の形態におけるセル電圧の標準偏差(一点鎖線86)に比べて大きくなっている。
また、比較例では最低セル電圧(破線95)が負に転じているが、本実施の形態では最低セル電圧は正のままである。転極が生じているのは、酸素の供給が開始された後に電流を取り出しているにもかかわらず、電流に対して、燃料極に水素が足りない場合、酸化剤極に酸素が足りない場合の2つが考えられる。燃料極に水素が足りない場合、燃料極のカーボンが腐食して、燃料電池の性能を低下させる。
また、燃料電池スタックの全体の電圧で制御をして各セルの状態に関係なく電流を取り出すと、酸化剤極に酸素が足りない場合は、水詰まりの起きていない領域では電流密度が大きくなり、水詰まりが起きている領域では電流密度が小さくなる。そのため、均一に電流が流れず、局所的な劣化が起きる可能性がある。そのため、発電開始時の転極を防ぐことが燃料電池の耐久性を向上するために必要である。
上述の通り、転極を防ぐためには、本実施の形態のように、水を発電開始前に強い負圧で引き込むことが有効である。また、負圧でより長い時間、水を引き込むと、水を十分に除去してからガスを導入できる。
このように、本実施の形態では、多孔質のセパレータを用いた燃料電池システムにおいて、発電を開始する前から、燃料電池スタック内の水流路に大気圧よりも低い圧力で水を循環させている。この結果、拡散過電圧を増大させる水分を、セパレータ内の細孔を通して水流路に引き込むことができる。このため、反応ガス流路の水詰まりを抑制することができる。反応ガス流路の水詰まりを抑制することにより、拡散過電圧の増大が抑制され、燃料電池システムの性能が向上する。
また、反応ガス流路の水詰まりの抑制のために、乾燥された反応ガスや高温に加熱された乾燥空気を用いて燃料電池を乾燥させているわけではないため、ガスの加熱のための加熱器などの追加の機器が不要である。このため、燃料電池システムの大型化、複雑化を抑制しつつ、反応ガス流路の水詰まりを抑制できる。また、加熱のための電力および時間は不要であるから、消費電力の増大や、水分除去処理に要する時間の増大を避けることができる。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明に係る燃料電池システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。
本実施の形態の燃料電池システムでは、水流路55(図2参照)の圧力を検出する圧力計17が、たとえば水循環流路の循環往流路10に取り付けられている。また、制御装置70は、前回の発電終了時の時刻および水の循環を開始した時刻を記憶できるように構成されている。
図7は、本実施の形態における燃料電池システムの起動時のフローチャートである。
燃料電池システムの起動前には、酸化剤供給弁31、燃料ガス供給弁32、燃料ガス排出弁33、酸化剤排出弁34およびバイパス弁35は閉じた状態としておく。本実施の形態では、燃料電池システムを起動させると、まず、制御装置70は、前回の発電終了からの経過時間tを算出する(S30)。次に、この経過時間tと所定の時間t1とを比較する(S31)。前回の発電終了からの経過時間tが所定の時間t1以上の場合は、乾燥状態起動(S32)を行う。また、前回の発電終了からの経過時間tが所定の時間t1よりも短いは、通常起動(S33)を行う。所定の時間t1は、燃料電池スタック1の燃料極セパレータ51あるいは酸化剤極セパレータ52がドライアウトしているかどうかを判定する時間である。この所定の時間t1は、たとえば実験によってドライアウトが観測された時間を様々な条件で測定し、その時間の最小値よりも小さい値とする。また、所定の時間t1を、外部の気温、湿度などに応じて変化させてもよい。
図8は、本実施の形態における燃料電池システムの乾燥状態起動時のフローチャートである。
燃料電システムの前回の発電終了時から長時間が経過している場合には、燃料電池スタック1の燃料極セパレータ51あるいは酸化剤極セパレータ52がドライアウトしている可能性がある。そこで、このような場合には、制御装置70は、改質装置の起動に先立って、燃料電池スタック1へ水を供給する(S40)。このステップS40では、まず、水ポンプ9を起動するとともに、バイパス弁35を開いて、水バイパス流路12および燃料電池スタック1へ水を供給する。さらに、水バイパス流路12および燃料電池スタック1への水の供給が開始されてから所定の時間が経過した後、制御装置70は、バイパス弁35を閉じる。これに伴って、水ポンプ9が駆動する全水量は、燃料電池スタック1に大気圧よりも低い圧力で供給される。
燃料電池スタック1への水の供給が開始されて所定の時間が経過した後、制御装置70は、圧力計17の示す水流路出口圧力PWを監視する(S41)。水流路出口圧力PWが所定の圧力PW1以上の場合は、水ポンプ9が正常に起動されていないなど、水流路55への水の循環が正常に行われていないと考えられる。そこで、この場合に制御装置70は、再び燃料電池スタック1へ水の供給を開始する(S40)。
水流路出口圧力PWが所定の圧力PW1を下回っていた場合には、ステップS42に移り、燃料の改質を開始する。この所定の圧力PW1は、別途行う実験によって規定する。
ステップS42では、制御装置70が燃料ガス供給装置2の燃料改質装置に燃料の改質を開始させる。その後、燃料の供給を開始する(S43)。ステップS43では、制御装置70が燃料ガス供給弁32と燃料ガス排出弁33とを開き、また、燃料ガス供給装置2を起動する。これにより、アノード流路53への燃料ガスの供給が開始される。
アノード流路53への燃料ガスの供給が開始されてから、所定の時間が経過した後、ステップS44に移行する。この所定の時間とは、燃料ガスの拡散を阻害する水分がアノード流路53から水流路に引き込まれたと考えられる時間であり、たとえば実験により得ることができる。アノード流路53への燃料ガスの供給が開始されてからの経過時間は、たとえば制御装置70が計測する。
ステップS44では、制御装置70が酸化剤供給弁31と酸化剤排出弁34とを開き、また、酸化剤供給装置3を起動して、外部から酸素を含む空気のカソード流路54への供給を開始する。これに伴って、燃料電池スタック1は発電を開始し、発電によって生じた電力は負荷13で消費される。
図9は、本実施の形態における燃料電池システムの通常起動時のフローチャートである。
燃料電システムの起動までに前回の発電終了時から経過した時間が短い場合には、燃料電池スタック1の燃料極セパレータ51あるいは酸化剤極セパレータ52がドライアウトしていないと考えられる。そこで、このような場合には、制御装置70は、燃料改質装置によって都市ガスの改質を開始する(S60)。また、制御装置70は、燃料電池スタック1へ水の供給を開始する(S61)。
このステップS61では、まず、ポンプ9を起動するとともに、バイパス弁35を開いて、水バイパス流路12および燃料電池スタック1へ水を供給する。さらに、水バイパス流路12および燃料電池スタック1への水の供給が開始されてから所定の時間が経過した後、制御装置70は、バイパス弁35を閉じる。これに伴って、ポンプ9が駆動する全水量は、燃料電池スタック1に大気圧よりも低い圧力で供給される。ここでは、燃料電池スタック1への水の供給の開始(S61)は、燃料の改質の開始(S60)よりも後としているが、これらは同時あるいは順序が逆になってもよい。
燃料電池スタック1への水の供給が開始されて所定の時間が経過した後、制御装置70は、圧力計17の示す水流路出口圧力PWを監視する(S62)。水流路出口圧力PWが所定の圧力PW1以上の場合は、水ポンプ9が正常に起動されていないなど、水流路55への水の循環が正常に行われていないと考えられる。そこで、この場合に制御装置70は、再び燃料電池スタック1へ水の供給を開始する(S61)。
水流路出口圧力PWが所定の圧力PW1を下回っていた場合には、ステップS63に移り、燃料ガスの供給を開始する。この所定の圧力PW1は、別途行う実験によって規定する。ステップS63では、制御装置70が、制御装置70が燃料ガス供給弁32と燃料ガス排出弁33とを開き、また、燃料ガス供給装置2を起動する。これにより、アノード流路53への燃料ガスの供給が開始される。
アノード流路53への燃料ガスの供給が開始されてから、所定の時間が経過した後、ステップS64に移行する。この所定の時間とは、燃料ガスの拡散を阻害する水分がアノード流路53から水流路に引き込まれたと考えられる時間であり、たとえば実験により得ることができる。アノード流路53への燃料ガスの供給が開始されてからの経過時間は、たとえば制御装置70が計測する。
ステップS64では、制御装置70が酸化剤供給弁31と酸化剤排出弁34を開き、また、酸化剤供給装置3を起動して、外部から酸素を含む空気のカソード流路54への供給を開始する。これに伴って、燃料電池スタック1は発電を開始し、発電によって生じた電力は負荷13で消費される。
燃料電池スタック1に一旦ドライアウトが生じてしまうと、反応ガス流路にガスを流している限りその場所の圧力が高くなり、セパレータの内部に形成された細孔の毛細管圧力よりも大きくなる。このため、毛細管圧力だけで再度その場所に水を含浸させることは困難である。
たとえば、図4に示すとおり、燃料ガスと冷却水を同時に流し始めた場合であっても、燃料ガスが流れていれば、すなわちT1よりも右側の領域では、アノード流路53の圧力は水流路55の圧力に比べて高い。特に、冷却水の供給の開始からある程度の時間が経過してカソード流路54に酸化剤ガスも流し始めると、すなわちT2よりも右側の領域では、カソード流路54と水流路55との圧力差は大きい。このような圧力差が生じると、反応ガス流路を流れるガスが、燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52の細孔を通って水流路55に漏れこむ傾向となる。
そこで、本実施の形態では、前回の発電終了からの経過時間に基づいて、燃料電池スタック1が乾燥状態かどうかを判断して、その結果によって適切な起動方法を選択している。燃料電池スタック1が乾燥状態ではない場合には、第1の実施の形態と同様に、燃料電池スタック1内の水流路に大気圧よりも低い圧力で水を循環させている。この結果、拡散過電圧を増大させる水分を、セパレータ内の細孔を通して水流路に引き込むことができる。このため、反応ガス流路の水詰まりを抑制することができる。反応ガス流路の水詰まりを抑制することにより、拡散過電圧の増大が抑制され、燃料電池システムの性能が向上する。
また、燃料電池スタック1が乾燥状態の場合には、アノード流路53とカソード流路54にガスを導入する前に、アノード流路53とカソード流路54を封じ切った状態で長時間、水流路55に水を供給している。この結果、図4のT1よりも左側の領域のように、水供給手段によって生じるガス流路と水流路の圧力差が小さくなる。その結果、セパレータ内部の細孔の毛細管力により燃料極セパレータ51および酸化剤極セパレータ52のドライアウト箇所が含水する。
このようにして、燃料電池スタック1が乾燥状態の場合には、特別な水圧力調整手段などを設けることなく、ドライアウト箇所を適切に含水させることができる。また、このような長時間の水流路55への水の供給を燃料改質の開始前から行うことによって、より長時間、改質で生成される水素を無駄にすることなく、ドライアウト箇所を含水させることができる。
さらに、本実施の形態では、圧力計を、アノード流路53の圧力とカソード流路54とに設ける代わりに、水流路55に設けて、水流路55の圧力と水ポンプ9の始動開始からの経過時間を計測している。水流路55の圧力と水ポンプ9の始動開始からの経過時間に基づいて、アノード流路53の圧力とカソード流路54の圧力とを見積もることができるため、圧力計の個数を減らすことができる。その結果、燃料電池システムの簡素化、小型化が可能となる。水ポンプ9が空回りなどして水を駆動できないことがない場合には、圧力計17による圧力計測は必要ない。
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、上述の各実施の形態では、アノード側とカソード側のどちらのセパレータもポーラスタイプとしているが、ポーラスタイプのセパレータをどちらか一方に使用し、他方のセパレータにはガス不透性の緻密材を用いても良い。この場合、ガス不透性のセパレータに形成された反応ガス流路へのガスの供給は、冷却水の循環の開始の前でも後でもよい。ただし、燃料極に水素が足りない場合、燃料極のカーボンが腐食して、燃料電池の性能を低下させる可能性がある点にも注意が必要である。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
1…燃料電池スタック、2…燃料ガス供給装置、3…酸化剤供給装置、4…燃料ガス供給流路、5…酸化剤供給流路、6…燃料ガス排出流路、7…酸化剤排出流路、8…水タンク、9…水ポンプ、10…循環往流路、11…循環復流路、12…水バイパス流路、13…負荷、14…圧力計、15…圧力計、17…圧力計、31…酸化剤供給弁、32…燃料ガス供給弁、33…燃料ガス排出弁、34…酸化剤排出弁、35…バイパス弁、50…セル、51…燃料極セパレータ、52…酸化剤極セパレータ、53…アノード流路、54…カソード流路、55…水流路、56…膜電極複合体、60…加湿装置、70…制御装置

Claims (6)

  1. 固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、
    前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、
    前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、
    前記水流路の圧力を測定する水流路圧力検出器と、
    前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始した後であって前記水流路圧力検出器の測定値が大気圧よりも低い所定の圧力を下回った後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、
    前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、
    前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、
    前記反応ガス流路の圧力を測定する反応ガス流路圧力検出器と、
    前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始した後であって前記反応ガス流路圧力検出器の測定値が大気圧よりも低い所定の圧力を下回った後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  3. 固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、
    前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、
    前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、
    前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始してからの経過時間が所定時間を超過した後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、
    を有し、
    前記所定時間は前回の発電終了からの経過時間に基づいて変化することを特徴とする燃料電池システム。
  4. 固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、
    前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するとともに、前記反応ガス流路の入口および出口を封じる一対の弁を備える反応ガス供給装置と、
    前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、
    前記反応ガス供給装置および前記水循環装置を制御して前記反応ガス流路を封じ切り、前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始し、前記水循環装置によって生じる前記反応ガス流路と前記水流路との圧力差を小さくした後に前記反応ガス供給装置に前記反応ガスの供給を開始させる制御装置と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  5. 前記電極は、燃料極と、前記固体高分子電解質膜の前記燃料極に対して反対側の面に配置された酸化剤極と、を含み、
    前記反応ガス流路は、前記燃料極に水素を供給する燃料極流路と、前記酸化剤極流路に酸素を供給する酸化剤流路と、を含み、
    前記セパレータは、前記燃料極流路を形成する燃料極セパレータと、前記酸化剤流路を形成する酸化剤セパレータと、を含み、
    前記反応ガス供給装置は、前記燃料極流路に水素を供給する燃料供給装置と、前記酸化剤極流路に酸素を供給する酸化剤供給装置と、を含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 固体高分子電解質膜とこの固体高分子電解質膜を挟んで設けられた一対の電極とからなる膜電極複合体と、前記電極に反応ガスを供給する反応ガス流路を形成する多孔質で板状のセパレータと、を有し前記セパレータに対して前記反応ガス流路の反対側に水流路が形成された燃料電池スタックと、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するとともに、前記反応ガス流路の入口および出口を封じる一対の弁を備える反応ガス供給装置と、前記水流路に大気圧より低い圧力の冷却水を循環させる水循環装置と、を備える燃料電池システムの運転方法において、
    前記反応ガス流路を封じ切り、前記水循環装置が前記冷却水の循環を開始し、前記水循環装置によって生じる前記反応ガス流路と前記水流路との圧力差を小さくする第1工程と、
    前記第1工程の後に前記反応ガス供給装置が前記反応ガスの供給を開始する第2工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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