JP2008286346A - 変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、変速機において、複数の変速スイッチを設置するにあたり、できるだけ変速スイッチが同時に同じ故障が生じないようにした変速機を提供することを目的とする。
【解決手段】コントロールロッド35のゲート機構45を挟んで前部と後部、具体的には、コントロールロッド35の前端部35aと後端部35bに、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とを設定することで、各ニュートラルスイッチ50,60の周辺「環境」が異なるように構成している。
【選択図】図3

Description

この発明は、変速機に関し、特に、変速機の変速状態を検出する変速スイッチを備えた変速機に関する。
従来から、手動変速機等の変速機でも、エンジン制御等に用いるため、変速機の変速状態を検出する変速スイッチ(例えば、ニュートラルスイッチやギアインスイッチ)を設置することが知られている。
例えば、下記特許文献1でも、運転者等の変速操作を変速機構に伝達する変速操作機構の動きを検出して、変速機の変速状態を検出する変速スイッチを設けている。
具体的には、変速機内で運転者の変速操作に連動して動くコントロールロッドの近傍に、コントロールロッドの動作状態を検出する変速スイッチ(ニュートラルスイッチ)を設け、この変速スイッチでコントロールロッドの所定の動作を検出して、変速機の変速状態を検出するように構成している。
特開2006−138345号公報
ところで、近年、車両の燃費向上、又はドライブフィーリング向上のため、変速機においても、より変速機の変速状態を確実に検出することが求められている。
例えば、エンジン制御装置においてアイドルストップ制御を行なう車両においては、車両停止時に変速機のニュートラル状態を検出して、エンジンを再始動させてバッテリー充電量等を確保する制御を行ったり、また、自動変速モードを備える変速機においては、現在の変速段やニュートラル状態を検出して、適切に変速制御を行なう必要があり、変速機の変速状態を確実且つ正確に検出することが求められるのである。
このため、こうした変速機の変速状態を検出する変速スイッチの故障等については、できるだけ正確且つ迅速に検出判定する必要がある。
こうしたことから、例えば、同一の変速状態を検出する変速スイッチを複数(例えば2つ)設けることで、各変速スイッチの検出信号が異なった場合には、一方の変速スイッチが故障していることを検出判定すること等が考えられる。
しかし、このように変速スイッチを複数設けても、全ての変速スイッチがほぼ同時に故障した場合(例えば、センシング部が固着する故障や、変速スイッチが走行時の外乱で脱落する故障)には、全ての変速スイッチが同じ検出信号を出力することになり、変速スイッチの故障状態を正確に検出判定できないという問題が生じる。
そこで、本発明は、変速機において、複数の変速スイッチを設置するにあたり、できるだけ変速スイッチが同時に同じ故障が生じないようにした変速機を提供することを目的とする。
この発明の変速機は、運転者によって操作されるチェンジレバーの動きと連動する変速ロッドと、該変速ロッドに設けられ変速ロッドの動きを変速機構に伝達する出力伝達部と、該変速ロッドの動きを検出して同一の変速状態を検出する第一変速スイッチ及び第二変速スイッチと、を備える変速機であって、前記出力伝達部を挟んで前記変速ロッドの一方側に第一変速スイッチを設定して、前記出力伝達部を挟んで前記変速ロッドの他方側に第二変速スイッチを設定したものである。
上記構成によれば、変速ロッドの一方側に第一変速スイッチを設定し、他方側に第二変速スイッチを設定したことで、第一変速スイッチと第二変速スイッチとが変速ロッドの軸方向で離間することになる。
このため、第一変速スイッチと第二変速スイッチの二つをまとめて並設する場合に比較して、各変速スイッチ間でその周辺「環境」を異ならせることができる。
なお、ここでいう「変速ロッド」とは、変速動作に伴って軸方向の移動又は周方向の回転を行なうロッド部材であれば全て含まれるものであり、シフトフォークをシフト・セレクトするコントロールロッドや、このコントロールロッドに対して変速動作を伝達する伝達ロッドを含む概念である。
また、ここでいう「チェンジレバーの動きと連動する」とは、チェンジレバーの動きによって共に動作するものであればよく、直接機械的にチェンジレバーと連結されているものはもちろん、機械的に連結されておらず油圧又は電動のアクチュエータ等により動作するものも含む概念である。
この発明の一実施態様においては、前記変速ロッドを支持する変速機ケースと、該変速機ケースに連接されるクラッチケースと、該変速機ケースのクラッチケースと反対側開口部を閉塞するリアケースとを備え、前記第一変速スイッチをクラッチケースに設置して、前記第二変速スイッチをリアケースに設置したものである。
上記構成によれば、第一変速スイッチと第二変速スイッチは、変速機ケースを挟んでその両側に位置するクラッチケースとリアケースに、それぞれ設置されることになる。
このため、第一変速スイッチと第二変速スイッチは、変速機ケースを挟んで大きく離間するため、各変速スイッチに対するミッションオイルの飛散状態等が変化して、ミッションオイルに含まれる鉄粉等による、所謂コンタミネーション(目詰まり)の発生度合を、第一変速スイッチと第二変速スイッチとで異ならせることができる。
よって、さらに、第一変速スイッチと第二変速スイッチに、ほぼ同時に同一の故障(コンタミネーション)が生じるのを防止することができる。
この発明の一実施態様においては、前記変速スイッチの各ケースへの設置角度を、第一変速スイッチと第二変速スイッチとの間で異なるように設定したものである。
上記構成によれば、第一変速スイッチと第二変速スイッチの各ケースへの設置角度が異なるため、変速機を車両に搭載した状態で外乱に対する影響を、各変速スイッチで異ならせることができる。
よって、第一変速スイッチと第二変速スイッチに、ほぼ同時に同一の故障(変速機からの脱落)が生じるのを防止することができる。
この発明の一実施態様においては、前記第一変速スイッチと第二変速スイッチとを、それぞれ前記変速ロッドの両端部に設定したものである。
上記構成によれば、変速ロッドの両端部に第一変速スイッチと第二変速スイッチを設定したことで、変速ロッドの両端部の面取り部分を有効に利用して、各変速スイッチのセンシング部の当接するカム面を構成することができる。
よって、同一の変速ロッドの動作を、複数の変速スイッチで検出するものにおいて、変速ロッドの加工を多く行なうことなくカム面を構成することができ、生産コストを低減することができる。
この発明の一実施態様においては、前記第一変速スイッチと第二変速スイッチの検出信号を、エンジンの自動停止始動制御に使用するものである。
上記構成によれば、第一変速スイッチと第二変速スイッチの検出信号をエンジンの自動停止始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)に使用することで、例えば、二つの変速スイッチからの検出信号が互いに相違するときには、故障(フェール)判定をすることで、エンジンの自動停止始動制御を禁止することができる。
よって、第一変速スイッチと第二変速スイッチが同時に故障しにくいため、確実に故障判定を行なうことができ、エンジンの自動停止始動制御による誤作動を防止して、エンジンの自動停止始動制御の信頼性を高めることができる。
この発明の一実施態様においては、前記変速スイッチが、ニュートラル時に検出信号を出力するニュートラルスイッチであるものである。
上記構成によれば、変速スイッチを、ニュートラルスイッチとするのが好適である。
この発明の一実施態様においては、前記変速スイッチが、ギアイン時に検出信号を出力するギアインスイッチであるものである。
上記構成によれば、変速スイッチを、ギアインスイッチとするのが好適である。
この発明の一実施態様においては、前記変速ロッドが、シフト時に軸方向に移動するロッドであるものである。
上記構成によれば、変速ロッドを、シフト時に軸方向に移動するロッドとするのが好適である。
この発明の一実施態様においては、前記変速ロッドが、シフト時に周方向に回転するロッドであるものである。
上記構成によれば、変速ロッドを、シフト時に周方向に回転するロッドとするのが好適である。
この発明によれば、第一変速スイッチと第二変速スイッチの二つをまとめて並設する場合に比較して、各変速スイッチ間でその周辺「環境」を異ならせることができる。
よって、変速機において、複数の変速スイッチを設置するにあたり、できるだけ変速スイッチが同時に同じ故障が生じないようにできる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
まず、図1〜図6により、第一実施形態について説明する。図1は第一実施形態の変速機の縦断面図、図2はその変速機を後面から透視した変速操作機構周辺の要部後面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図3のB−B線矢視断面図、図5は変速機を車両に搭載した状態でのニュートラルスイッチの取り付け位置を説明する説明図、図6はニュートラルスイッチの取り付け状態を変速機下方から見た底面図である。なお、以下の説明では、変速機のエンジン締結側を変速機前方、エンジン反締結側を変速機後方として説明する。
本実施形態の変速機1は、図1に示すように、変速機前方側に位置してエンジンのシリンダーブロックEに締結固定されるクラッチケース2と、中央に位置してクラッチケース2に締結固定される変速機ケース3と、変速機後方側に位置して変速機ケース3に締結固定されるリアケース4との三つのケース収容体2,3,4によって構成されるミッションケーシング10を、備えている。
前述のクラッチケース2は、その内部に、エンジンの出力軸に固定されたフライホイールFに断接されてエンジン出力を伝達するクラッチ装置5を収容する略コーン形状のクラッチ収容部21と、ドライブシャフト軸D上に配置された差動装置6を収容するデフ収容部22とを形成し、それぞれの収容部21,22でクラッチ装置5と差動装置6を収容している。
前述の変速機ケース3は、略円筒形状に形成され、内部に、プライマリーシャフト7、セカンダリーシャフト8、及びリバースアイドルシャフト(図1では図示せず)をそれぞれ軸支して収容し、各シャフト上に設置された複数の変速ギア、同期装置等(具体的には図示せず)を収容している。
前述のリアケース4は、略有底円筒形状に形成され、内部に、プライマリーシャフト7、セカンダリーシャフト8の後端部を軸支して収容し、比較的高速段(例えば、5速段や6速段)の変速ギア、同期装置等を収容している。
また、各シャフト7,8類等は、それぞれ変速機1の前方から後方に向って並列に配置され、軸受ベアリングを介して各ケース収容体2,3,4に回動自在に軸支されている。
まず、プライマリーシャフト7は、前部をクラッチケース2に設置した軸受ベアリング11に軸支され、中央部を変速機ケース3に設置した軸受ベアリング12、後端部をリアケース4に設置した軸受ベアリング13によって、それぞれ軸支されている。
また、セカンダリーシャフト8も、前部をクラッチケース2に設置した軸受ベアリング14、中央部を変速機ケース3に設置した軸受ベアリング15、後端部をリアケース4に設置した軸受ベアリング16によって、それぞれ軸支されている。
一方、差動装置6は、その前端部をクラッチケース2に設置した軸受ベアリング17で軸支され、後端部を変速機ケース3に設置した軸受ベアリング18で軸支されている。
本実施形態の変速操作機構30は、図2に示すように、運転者によって操作されるチェンジレバー(図示せず)の動きが伝達されるセレクトレバー31及びシフトレバー32と、ミッションケーシング10内に配設される第一ロッド33と第二ロッド34と、前記プライマリーシャフト7と並列に配置されるコントロールロッド35と、同期装置(図示せず)を移動させる複数のシフトフォーク36,37,38(図4参照)とを備える。
前述のセレクトレバー31は、ミッションケーシング10の外側に設置したブラケット39に回動自在に支持されており、セレクトレバー31の一端部にはセレクトケーブル31aの一端が取付けられ、セレクトケーブル31aの他端にはチェンジレバー(図示せず)が連結されている。また、セレクトレバー31の他端部には前述のシフトレバー32が連結されている。
このシフトレバー32は、ミッションケーシング10外部に突出した前述の第一ロッド33の上端にピンで固定されている。また、この第一ロッド33は、その軸方向の移動と周方向の回動が自在に行えるようにミッションケーシング10に支持されている。これにより、第一ロッド33は、シフトレバー32と一体的に動作するようになっている。さらに、このシフトレバー32には、シフトケーブル32aの一端が連結されていると共に、このシフトケーブル32aの他端には、チェンジレバー(図示せず)が連結されている。
このように構成されていることにより、運転者がチェンジレバーをセレクト操作すると、セレクトケーブル31aを介してセレクトレバー31がS1−S1′方向に揺動し、その揺動により上記第一ロッド33がシフトレバー32を介してその軸方向、即ちS2−S2′方向に移動することになる。また、運転者がチェンジレバーをシフト操作すると、シフトケーブル32aに連結されたシフトレバー32がT1−T1′方向に回動し、第一ロッド33がその周方向であるT2−T2′方向に回動することになる。
また、図2、図3に示すように、第一ロッド33の下部には、曲がりながら第二ロッド34方向に延びると共に二股状の先端部にピン40が設けられた第一レバー41が固定されている。この第一レバー41は、第一ロッド33が軸方向へ移動又は周方向へ回動した際には、一体的に移動又は回動するようになっている。
前述の第二ロッド34は、ミッションケーシング10に下端がピンで固定されている。また、この第二ロッド34は、第一レバー41方向に延びて第一レバー41のピン40に回動自在に係合する二股状の先端部を有する第二レバー42を、軸方向の移動又は周方向の回動が可能となるように支持している。
このため、第一レバー41が第一ロッド33を中心としてT2−T2′方向に揺動した際には、第二レバー42が第二ロッド34を中心としてT3−T3′方向に揺動すると共に、第一レバー41が軸方向、即ちS2−S2′方向に移動した際には、第二レバー42が第二ロッド34の軸方向、即ちS3−S3′方向に移動することになる。
また、第二レバー42の突設部42aに設けた凹部43には、上記コントロールロッド35上にピンで固定した係合部材44の球状突設部44aが摺動自在に係合している。
このため、第二レバー42が軸方向(S3−S3′方向)に移動したときには、コントロールロッド35は周方向、即ちS4−S4′方向に回動し、第二レバー42が周方向(T3−T3′方向)に回動したときには、コントロールロッド35は軸方向、即ちT4−T4′方向に移動することとなる。
また、このコントロールロッド35上には、図4に示すように、セレクト操作(S4−S4′方向の回動)により、シフトフォーク36,37,38のゲート部36a、37a、38aのいずれかに係合し、シフト操作(T4−T4′方向の移動)により、そのシフトフォーク36,37,38のいずれかを択一的に軸方向に移動させるゲート機構45を設けている。
つまり、この変速操作機構30の動作についてまとめると、運転者がチェンジレバー(図示せず)をセレクト操作したときに、コントロールロッド35が周方向(S4−S4′方向)に回動して、ゲート機構45がシフトフォーク36,37,38のいずれかを選択して、チェンジレバーをシフト操作したときに、コントロールロッド35が軸方向(T4−T4′方向)に移動した際、ゲート機構45が選択したシフトフォークを択一的に軸方向に移動させて、これにより、シフトフォークに係合する同期装置が作動して、変速ギア列が非伝動状態から、伝動状態に移行することになる。こうして、変速機1の変速操作が行われることになる。
次に、この実施形態のニュートラルスイッチ50,60の設置構造について説明する。
一般的に、変速機のニュートラルスイッチは、エンジン制御を行なうエンジン制御ユニットに対して、変速機のニュートラル状態を検出して、ニュートラル信号を送信する。このため、ニュートラルスイッチには、できるだけ変速機のニュートラル状態を正確且つ迅速に検出することが求められる。
特に、このニュートラルスイッチのニュートラル信号を、エンジン制御のいわゆる「アイドルストップ制御」(エンジンの自動停止始動制御)に用いる場合には、エンジン回転の停止・再始動を行なう際の条件信号の一つとして用いられるため、より正確且つ迅速に変速機のニュートラル状態を検出する必要がある。
「アイドルストップ制御」において、ニュートラル信号を用いる場合としては、例えば、以下の場合がある。
まず、車両走行後の停車時にクラッチ装置を繋いだ状態でニュートラル信号を検出した際に、エンジンを停止制御する場合、また、このエンジン停止時にクラッチ装置を切ってニュートラル信号を検出しなかった(非ニュートラル状態となった)際に、エンジンを再始動制御する場合、さらに、エンジン停止時にバッテリー充電量が低いと判断した時に、ニュートラル信号を検出して、エンジンを自動的に再始動制御する場合等がある。
このように、ニュートラル信号は、「アイドルストップ制御」において、極めて重要な信号の一つであるため、この実施形態では、ニュートラルスイッチ50,60が故障した際に故障判定が行えるように、コントロールロッド35の軸上に、ニュートラルスイッチ50,60を二つ設けて、コントロールロッド35の動作、具体的には、軸方向の移動を検出してニュートラル信号を送信するように構成している。
まず、第一ニュートラルスイッチ50は、図3に示すように、コントロールロッド35の前端部35aに対応するクラッチケース2に形成した収容凹部24に設置している。
この第一ニュートラルスイッチ50は、先端部に出没自在の凸状のセンシング部51を備え、その周囲にクラッチケース2の開口孔25に締結されるオネジ部52を備え、その後方位置に六角部53を備え、さらにその後端部にハーネス取付け部54を備えている。
そして、コントロールロッド35の前端部35aには、センシング部51が当接する凹凸面のカム部55と面取り部56を形成して、コントロールロッド35がシフト操作(T4−T4′方向の移動)された場合に、凸状のセンシング部51の当接位置が、カム部55と面取り部56との間で変化して出没するように構成して、第一ニュートラルスイッチ50が変速機のニュートラル状態を検出するようにしている。なお、図3に示したコントロールロッド35の位置は、ニュートラル状態の位置を示している。
一方、第二ニュートラルスイッチ60は、第一ニュートラルスイッチ50から大きく離間して、コントロールロッド35の後端部35bに対応するリアケース4に形成した突出部70に設置している。
この第二ニュートラルスイッチ60も、先端部に出没自在の凸状のセンシング部61を備え、その周囲にリアケース4の開口孔71に締結されるオネジ部62を備え、その後方位置に六角部63を備え、さらにその後端部にハーネス取付け部64を備えている。
また、コントロールロッド35の後端部35bにも、凹凸面のカム部65と面取り部66を形成して、コントロールロッド35がシフト操作(T4−T4′方向の移動)された場合に、凸状のセンシング部61の当接位置が、カム部65と面取り部66との間で変化して出没するように構成して、第二ニュートラルスイッチ60が変速機のニュートラル状態を検出できるようにしている。
なお、コントロールロッド35の前端部35aの後方位置には、前述の係合部材44を設置している。この係合部材44には、チェンジ操作に節度感を与えるディテント機構80と、コントロールロッド35のセレクト・シフト位置を案内するガイド機構81と、をそれぞれ備えている。
本実施形態では、前述のように、一本のコントロールロッド35の動きを、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60という二つのニュートラルスイッチで検出するように構成している。
これは、前述したように、一方のニュートラルスイッチがミッションオイルに含まれる鉄粉等により、所謂コンタミネーション(目詰まり)で故障した場合であっても、他方のニュートラルスイッチが、正常にニュートラル信号を出力することで、早期にニュートラルスイッチの故障を判定できるようにするためである。
すなわち、一方のニュートラルスイッチがコンタミネーションで常にニュートラル信号を送信したままの状態(センシング部が固着してしました状態)となったとしても、他方のニュートラルスイッチが正常にニュートラル信号のオンオフを送信することで、二つのニュートラルスイッチのニュートラル信号が異なることを利用して、ニュートラルスイッチの故障を判定するのである。
もっとも、ニュートラルスイッチを二つ設けたとしても、二つのニュートラルスイッチを並設した場合には、ミッションオイルの飛散状況や、車両走行時の路面干渉等、の周辺「環境」がほぼ同じとなり、二つのニュートラルスイッチが同時且つ同じ原因により故障する可能性が高まり、前述した故障判定ができないおそれが高まる。
そこで、本実施形態では、前述したように、コントロールロッド35のゲート機構45を挟んで前部と後部、具体的には、コントロールロッド35の前端部35aと後端部35bに、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とを設定することで、各ニュートラルスイッチ50,60の周辺「環境」が異なるように構成しているのである。
特に、第一ニュートラルスイッチ50は、クラッチケース2に設置して、第二ニュートラルスイッチ60は、リアケース4に設置することで、変速機1のミッションケーシング10内で最も離間したケース収容体に対して、各ニュートラルスイッチ50,60を設置しているため、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60との間で、ミッションオイル等の飛散状況を大きく変化させることができ、確実に各ニュートラルスイッチ50,60の周辺「環境」を変えることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、第一ニュートラルスイッチ50、第二ニュートラルスイッチ60それぞれのセンシング部51,61を、変速ギア等が収容されるギア空間Gから隔離された、前部袋状凹部72と後部袋状凹部73内に設置しているため、より鉄粉等の侵入を防ぐことでき、コンタミネーションの発生を極力少なくすることができる。
次に、図5及び図6により、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60のミッションケーシング10への取り付け角度及び取り付け位置について説明する。
図5に示すように、変速機1を車両Vに搭載した状態において、コントロールロッド35は、エンジンルームER内で下側に位置することになるため、このコントロールロッド35の動きを検出するニュートラルスイッチ50,60もエンジンルームER下方に設置されることになり、路面Rとの干渉が問題となる。
この問題に対して、まず、第一ニュートラルスイッチ50は、クラッチケース2の収容凹部24内に設置している(図6参照)。そして、設置角度も、鉛直線から車両後方側に僅かに傾斜した傾斜角αで設置している。
このため、第一ニュートラルスイッチ50は、車両走行時に仮に変速機1が路面Rと干渉したとしても、できるだけ脱落し難いようになっている。
一方、第二ニュートラルスイッチ60は、リアケース4下部の突出部70の後壁面70aに設置して、車両前方側からは完全に隠れるように設置している(図6参照)。そして、設置角度も、第一ニュートラルスイッチ50の設置角度(α)から約90度大きい、鉛直線から車両後方側に傾斜した傾斜角βで設置している。
このため、たとえ、変速機1が路面干渉して、第一ニュートラルスイッチ50が脱落したとしても、設置角度が異なる第二ニュートラルスイッチ60は、脱落を回避することができる。また、逆に、何らかの要因で、第二ニュートラルスイッチ60が脱落したとしても、第一ニュートラルスイッチ50には影響を受けないようにすることができる。
このように、本実施形態では、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60の設置角度を相違させていることにより、二つのニュートラルスイッチ50,60が同時に変速機1から脱落するのを防いでいる。
特に、収容凹部24や突出部後壁面70aといった路面干渉を受けにくい場所に、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60を設置しているため、変速機1からの脱落自体もできるだけ防止することができる。
次に、このように構成された本実施形態の作用効果について説明する。
この実施形態では、ゲート機構45を挟んでコントロールロッド35の前端部35a側に第一ニュートラルスイッチ50を設定して、後端部35b側に第二ニュートラルスイッチ60を設定している。
これにより、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とが、コントロールロッド35の軸方向で大きく離間することになる。
このため、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60の二つをまとめて並設する場合に比較して、各ニュートラルスイッチ50,60間でその周辺「環境」を異ならせることができる。
よって、変速機1において、二つのニュートラルスイッチ50,60を設置するにあたり、できるだけ各ニュートラルスイッチ50,60が同時に同じ故障が生じないようにできる。
また、この実施形態では、第一ニュートラルスイッチ50をクラッチケース2に設置して、第二ニュートラルスイッチ60をリアケース4に設置している。
これにより、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60は、変速機ケース3を挟んで、その両側に位置するクラッチケース2とリアケース4に、それぞれ設置されることになる。
このため、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60は、変速機ケース3を挟んで大きく離間するため、各ニュートラルスイッチ50,60に対するミッションオイルの飛散状態が変化して、ミッションオイルに含まれる鉄粉等によるコンタミネーションの発生度合を、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とで異ならせることができる。
よって、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60に、ほぼ同時にコンタミネーションによる故障が生じるのを防止することができる。
また、この実施形態では、各ニュートラルスイッチ50,60のクラッチケース2とリアケース4への設置角度(α、β)を、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60との間で異なるように設定している。
これにより、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60の各ケース2,4への設置角度が異なるため、変速機1を車両に搭載した状態で外乱に対する影響を、各ニュートラルスイッチ50,60で異ならせることができる。
よって、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とが、ほぼ同時に変速機1から脱落するのを防止することができる。
また、この実施形態では、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とを、それぞれコントロールロッド35の両端部に設定している。
これにより、コントロールロッド35の両端部に形成した面取り部56,66を有効に利用して、各ニュートラルスイッチ50,60のセンシング部51,61が当接する凹凸状のカム機能部(55,56,65,66)を構成することができる。
すなわち、センシング部51,61が当接するコントロールロッド35には、凹凸面を形成して、センシング部51,61を上下動させるカム機能部を形成する必要があるが、ロッド端部の面取り部56,66を有効に利用することで、二ヶ所のカム機能部(55,56,65,66)をコントロールロッド35に形成することができるのである。
よって、同一のコントロールロッド35の動作を、複数のニュートラルスイッチ50,60で検出するものにおいて、コントロールロッド35への加工を多くすることなくカム機能部(55,56,65,66)を構成することができ、変速機1の生産コストを低減することができる。
また、この実施形態では、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60の検出信号を、エンジンのアイドルストップ制御(具体的には図示せず)に使用している。
これにより、二つのニュートラルスイッチからの検出信号が、互いに相違するときに故障(フェール)判定をする際に、確実に故障判定をして、アイドルストップ制御を禁止することができる。
よって、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60が同時に故障しにくい変速機1により、確実に故障判定を行なうことができ、エンジンのアイドルストップ制御による誤作動を防止して、エンジンのアイドルストップ制御の信頼性を高めることができる。
なお、この実施形態では、ニュートラルスイッチ50,60を前提に説明をしたが、例えば、変速段位に変速(ギアイン)した状態を検出するギアインスイッチを、ニュートラルスイッチの代わりに設置してもよい。
すなわち、コントロールロッド35の軸方向の動きで、ゲート機構45がシフトフォーク36,37,38をシフト方向に動かした状態を検出して、変速機がギアインされた状態を検出するギアインスイッチを、ニュートラルスイッチの代わりに設けるのである。
こうしたギアインスイッチを、コントロールロッド35の両端部に二つ設置した場合においても、ギアインスイッチの周辺「環境」を変えることができるため、各ギアインスイッチの故障を確実に判断することができる。
よって、ニュートラルスイッチの場合と同様の効果を得ることができる。
次に、第二実施形態について、図7及び図8により説明する。図7は変速操作機構周辺の要部後面図、図8はニュートラルスイッチの位置関係を模式的に示した断面図である。なお、第一実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態は、チェンジレバーの操作力を伝達する第一ロッド33の動きを検出して、変速機1のニュートラル状態を検出するものである。
すなわち、コントロールロッド35より上流側に設けたロッド部材(33)の動きを検出してニュートラル状態を検出するものである。具体的には、第一ロッド33の上部33aと下部33bに、筒型カム形状の第一カム部材101と第二カム部材102を設け、この第一カム部材101と第二カム部材102の周方向の回動を、それぞれに対応するように設けた、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とで検出するように構成したものである。
第一カム部材101は、第一ロッド33の上部33a、すなわち、第一レバー41よりも上方位置に固定ピン103で固定されており、図8に示すように、第一ニュートラルスイッチ50側に延びる先端カム山部101aを形成して構成している。
この第一カム部材101は、第一ロッド33と共に周方向に回動することで、先端カム山部101aが周方向に揺動する。これにより、第一ニュートラルスイッチ150のセンシング部151を出没させて、変速機のニュートラル状態を検出するように構成している。
一方、第二カム部材102は、第一ロッド33の下部33b、すなわち、第一レバー41よりも下方位置に固定ピン104で固定されており、図8に示すように、第二ニュートラルスイッチ160側に延びる先端カム山部102aを形成して構成している。
この第二カム部材102も、第一ロッド33と共に周方向に回動することで、先端カム山部102aが周方向に揺動する。これにより、第二ニュートラルスイッチ160のセンシング部161を出没させて、変速機のニュートラル状態を検出するように構成している。
このように、この実施形態も、第一ロッド33の周方向の回転を検出することで、変速機のニュートラル状態を検出するが、第一ニュートラルスイッチ150と第二ニュートラルスイッチ160を、第一ロッド33の上下位置にそれぞれ離間して設置していることで、各ニュートラルスイッチ150,160の周辺「環境」を異ならせることができる。
このため、ミッションオイルの飛散状況等が異なり、コンタミネーションによる故障の可能性を、各ニュートラルスイッチ150,160で変化させることができる。
よって、第一ニュートラルスイッチ150と第二ニュートラルスイッチ160とまとめて並設する場合に比較して、より各ニュートラルスイッチ150,160が同時に同じ故障が生じないようにできる。
また、図8に示すように、第一ニュートラルスイッチ150と第二ニュートラルスイッチ160との変速機ケース3への設置角度(γ)を、約90度相違して設置していることで、変速機1外方からの外乱を、各ニュートラルスイッチ150,160が同時に受け難いようにしているため、二つのニュートラルスイッチ150,160が同時に脱落するといった問題の発生も防止することができる。
よって、この点においても、第一ニュートラルスイッチ50と第二ニュートラルスイッチ60とまとめて並設する場合に比較して、より同時に同じ故障が生じないようにできる。
なお、この実施形態においても、ニュートラルスイッチ150,160の代わりに、ギアインスイッチを設けてもよい。この場合においても、ギアインスイッチの周辺「環境」を変えることができるため、二つのギアインスイッチが同時に同じ故障が生じないようにできる。
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の変速ロッドは、実施形態のコントロールロッド35、第一ロッド33に対応し、
以下、同様に、
出力伝達部は、ゲート機構45、第一レバー41に対応し、
第一変速スイッチは、第一ニュートラルスイッチ50、150に対応し、
第二変速スイッチは、第二ニュートラルスイッチ60、160に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる変速機に適用する実施形態を含むものである。
例えば、コントロールロッドが電動モータや油圧アクチュエータ等で作動する自動変速機能を有する変速機で適用してもよい。このような変速機で適用する場合においても、現在の変速機の変速状態を検出することが行われ、センサの故障を検出することが必要である。
このため、複数のニュートラルスイッチ等を離間して設けた場合には、ニュートラルスイッチ等の故障判定を早期に行なうことができ、自動変速機の誤作動の発生を防止することができる。
第一実施形態の変速機の縦断面図。 変速機を後面から透視した変速操作機構周辺の要部後面図。 図2のA−A線矢視断面図。 図3のB−B線矢視断面図。 変速機を車両に搭載した状態でのニュートラルスイッチの取り付け位置を説明する説明図。 ニュートラルスイッチの取り付け状態を変速機下方から見た底面図。 第二実施形態の変速操作機構周辺の要部後面図。 ニュートラルスイッチの位置関係を模式的に示した断面図。
符号の説明
1…変速機
2…クラッチケース
3…変速機ケース
4…リアケース
33…第一ロッド
35…コントロールロッド
35a…前端部
35b…後端部
50…第一ニュートラルスイッチ
60…第二ニュートラルスイッチ
150…第一ニュートラルスイッチ
160…第二ニュートラルスイッチ

Claims (9)

  1. 運転者によって操作されるチェンジレバーの動きと連動する変速ロッドと、該変速ロッドに設けられ変速ロッドの動きを変速機構に伝達する出力伝達部と、該変速ロッドの動きを検出して同一の変速状態を検出する第一変速スイッチ及び第二変速スイッチと、を備える変速機であって、
    前記出力伝達部を挟んで前記変速ロッドの一方側に第一変速スイッチを設定して、
    前記出力伝達部を挟んで前記変速ロッドの他方側に第二変速スイッチを設定した
    変速機。
  2. 前記変速ロッドを支持する変速機ケースと、該変速機ケースに連接されるクラッチケースと、該変速機ケースのクラッチケースと反対側開口部を閉塞するリアケースとを備え、
    前記第一変速スイッチをクラッチケースに設置して、
    前記第二変速スイッチをリアケースに設置した
    請求項1記載の変速機。
  3. 前記各変速スイッチの各ケースへの設置角度を、第一変速スイッチと第二変速スイッチとの間で異なるように設定した
    請求項1又は2記載の変速機。
  4. 前記第一変速スイッチと第二変速スイッチとを、それぞれ前記変速ロッドの両端部に設定した
    請求項1〜3いずれか記載の変速機。
  5. 前記第一変速スイッチと第二変速スイッチの検出信号を、エンジンの自動停止始動制御に使用する
    請求項1〜4いずれか記載の変速機。
  6. 前記変速スイッチが、ニュートラル時に検出信号を出力するニュートラルスイッチである
    請求項1〜5いずれか記載の変速機。
  7. 前記変速スイッチが、ギアイン時に検出信号を出力するギアインスイッチである
    請求項1〜5いずれか記載の変速機。
  8. 前記変速ロッドが、シフト時に軸方向に移動するロッドである
    請求項6又は7記載の変速機。
  9. 前記変速ロッドが、シフト時に周方向に回転するロッドである
    請求項6又は7記載の変速機。
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