JP2008285610A - ポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品を包装する際においても、好適な防曇効果を発揮するポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂シートは、ポリ乳酸系樹脂に対してモノグリセリン脂肪酸エステルを混合した樹脂混合物から成形されたシート基材の表面にショ糖脂肪酸エステルが塗布されている。モノグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸とモノグリセリンとのエステルからなり、樹脂混合物には、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部のモノグリセリン脂肪酸エステルが混合されている。ショ糖脂肪酸エステルは、HLB値が13以上であり、シート基材の表面に対して20〜50mg/mとなるように塗布されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品に係り、詳しくは防曇性の向上を目的としたポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品に関する。
近年、環境保護等の見地から生分解性プラスチックが注目されている。ポリ乳酸系樹脂は、生分解性プラスチックの一つとして、かつ非晶状態では、透明性が良い樹脂として知られている。このポリ乳酸系樹脂からなる成形品は、野菜や果物等の袋や容器、鮮魚や刺身用のトレー、惣菜やサラダ用のカップ、菓子類の包装等の食品用包装材や農業用資材、医療用具等、様々な分野で使用されていくと考えられる。ところで、野菜や果物等の水分を多く含む内容物を容器により包装した場合には、気温、湿度の変化に応じて内容物の表面から水分が蒸発し、これが容器内面に微小な水滴となって付着して容器表面に曇りを発生させることがある。容器に曇りが生じると、容器の透明性が損なわれて内容物の視認性が低下するため、内容物の商品価値が損なわれる。たとえば、水滴の付着による曇りの発生を抑制したポリ乳酸系樹脂成形品として特許文献1に開示されるようなものがある。この特許文献1に開示される成形品は、同成形品を構成する樹脂混合物にポリ乳酸系樹脂とともに防曇剤を練り込むことで防曇性の向上が図られている。具体的には、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部のジグリセリン又はトリグリセリン脂肪酸エステルを練り込むことで、ポリ乳酸系樹脂成形品の防曇性を向上させるものである。
特開2005−34029
しかしながら、上記特許文献1のポリ乳酸系樹脂成形品は、農業用の資材として使用することを目的とするものであり、食品用包装材として使用する環境と比較してそれほど高い防曇効果を要求されるものではなかった。そのため、上記特許文献1のポリ乳酸系樹脂成形品は、ある程度の防曇効果を発揮するものの、その防曇効果は食品用包装材として使用するには不十分であり、更なる改良が必要とされていた。
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、食品を包装する際においても、好適な防曇効果を発揮するポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1のポリ乳酸系樹脂シートは、ポリ乳酸系樹脂を含有し、該ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸とモノグリセリンとのエステルからなるモノグリセリン脂肪酸エステル0.5〜3重量部を混合した樹脂混合物から成形されるシート基材の表面にHLB値13以上のショ糖脂肪酸エステルが20〜50mg/mとなるように塗布されていることを特徴とする。
請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂シートは、請求項1に記載の発明において、前記ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖ラウリン酸エステル、又はショ糖オレイン酸エステルであることを特徴とする。
請求項3の成形品は、請求項1又は請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂シートを成形してなるものである。
本願発明によれば、食品を包装する際においても、好適な防曇効果を発揮するポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品を提供することができる。
以下、本発明のポリ乳酸系樹脂シート及びそのシートからなる成形品を具体化した一実施形態について詳細に説明する。本実施形態のポリ乳酸系樹脂シートは、ポリ乳酸系樹脂と界面活性作用を有するモノグリセリン脂肪酸エステルとを混合して得られる樹脂混合物をシート状に成形してなるシート基材の表面に界面活性作用を有するショ糖脂肪酸エステルが塗布されたものである。次に、これらの各成分について説明する。
本実施形態におけるポリ乳酸系樹脂は、乳酸を主成分とするポリエステルである。ポリ乳酸系樹脂の原料に用いられる乳酸類としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はそれらの混合物、又は乳酸の環状2量体であるラクチドが挙げられるが、本発明の目的を損なわない範囲において、他の共重合成分が含まれていてもよい。ポリ乳酸系樹脂は、上記原料を直接脱水重縮合する方法、又は上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状2量体、例えばラクチドやグリコライド、あるいはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法により得られる。なお、ポリ乳酸系樹脂を食品用包装材等の食品と接触する成形品として使用する場合には、ポリ乳酸系樹脂におけるD−乳酸含有比率が16%以下であることが好ましく、6%以下であることが更に好ましい。
本実施形態におけるモノグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数8〜22からなる直鎖又は分岐鎖状の脂肪族カルボン酸とモノグリセリンとのエステルである。このようなモノグリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル等が挙げられる。とくに、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル等の炭素数12〜18の脂肪族カルボン酸からなるモノグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。なお、モノグリセリン脂肪酸エステルは、液体状、粉体状、固体状のいずれの形状であってもよい。
本実施形態におけるショ糖脂肪酸エステルは、HLB値が13以上、好ましくは15以上のものが用いられる。このようなショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルチミン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル等が挙げられる。
なお、上記樹脂混合物には、その他の成分として、必要に応じて各種添加剤が本発明の目的を損なわない範囲で添加されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収(防止)剤、顔料、着色剤、離型剤、香料、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、発泡剤、可塑剤、加水分解防止剤、滑剤等が挙げられる。
次に、本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び成形品の製造方法について説明する。まず、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.5〜3重量部のモノグリセリン脂肪酸エステルを攪拌機等により均一に攪拌混合することにより樹脂混合物を形成する。その際、上記した他の成分を混合してもよい。次いで、この樹脂混合物をニ軸押出機により所定温度で溶融混練し、シート状のシート基材を成形する。そして、得られたシート基材の表面に対して、ショ糖脂肪酸エステルを水に溶解させて得られる塗布液を塗布するとともに、その後に乾燥処理することで本実施形態のポリ乳酸系樹脂シートが製造される。なお、ショ糖脂肪酸エステルは、乾燥処理後における塗布量が20〜50mg/mとなるように塗布されていることが好ましく、30〜45mg/mとなるように塗布されていることが更に好ましい。
また、このポリ乳酸系樹脂シートを容器状、トレー状、又はカップ状等の各種形状に熱板成形することにより、本実施形態の成形品が成形される。熱板成形は、従来公知の方法により行なわれるものであり、例えば、「熱成形技術入門 安田陽一 編」(2000年発行、日報社)の第42〜49頁に記載される方法がある。また、熱板成形により得られる成形品の一例としては、特開平9−278047号公報、特開平10−53271号公報、特開2001−205694号公報、特開2007−99288号公報に開示されるような成形品が挙げられる。なお、上記樹脂組成物の調製方法、シート基材の製造方法、及び成形品の成形方法に関しては、上記の方法に限定されるものではなく、従来公知の方法であれば、どのような調製方法、製造方法、及び成形方法を用いてもよい。
本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器は、シート基材を構成する樹脂混合物にモノグリセリン脂肪酸エステルが混合されているとともに、シート基材の表面にショ糖脂肪酸エステルが塗布されている。このように、樹脂混合物へのモノグリセリン脂肪酸エステルの混合と、シート基材表面に対するショ糖脂肪酸エステルの塗布とを併用することにより、シート及び容器の成形性を低下させることなく防曇性を向上させることができる。
(2)本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器は、食品添加物であるショ糖脂肪酸エステルが塗布剤として使用されている。そのため、本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器は食品用包装材に好適である。
(3)樹脂混合物に混合されるモノグリセリン脂肪酸エステルは、その炭素数が短すぎると好適な防曇効果が発揮されず、その炭素数が長すぎる、又はその混合量が多すぎると過剰なブリードアウトを起こしやすく、べたつき等の不具合を生じさせることがある。本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器では、炭素数が8〜22のモノグリセリン脂肪酸エステルを用いるとともに、その混合量についても、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.5〜3重量部と、その混合量が抑えられている。そのため、本実施形態のポリ乳酸系樹脂シート及び容器は、モノグリセリン脂肪酸エステルの過剰なブリードアウトを抑制しつつ、防曇性を向上させることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 本実施形態で用いたモノグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸であっても、不飽和脂肪族カルボン酸であってもよい。
・ 塗布液は、シート基材の表面全体に塗布されている必要はなく、シート基材表面の所定部位に部分的に塗布されていてもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、ここでは、樹脂混合物に混合される界面活性剤を練込剤として、塗布液に含まれる界面活性剤を塗布剤として説明する。
(実施例1)
ポリ乳酸系樹脂としてD−乳酸の含有比率が6%以下のポリ乳酸を用い、このポリ乳酸99重量部に対し、練込剤としてグリセリンモノステアリン酸エステル(花王株式会社製 エレクトロストリッパーTS−5)1重量部を混合した樹脂混合物から、二軸押出機にてシリンダー温度200℃、Tダイ温度195℃の条件でシート基材を成形した。そして、塗布剤であるショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 シュガーエステルLWA−1570)をその濃度が1重量%となるように水に溶解させて塗布液を調製し、この塗布液をシート基材の表面に対して4g/mとなるように塗布した。その後、シート基材表面の乾燥処理を行なうことにより実施例1のポリ乳酸系樹脂シートを得た。なお、乾燥処理後においては、ショ糖ラウリン酸エステルの塗布量は40mg/mとなる。
(実施例2)
練込剤であるグリセリンモノステアリン酸エステルの比率について、ポリ乳酸98重量部に対し、グリセリンモノステアリン酸エステルを2重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂シートを得た。このポリ乳酸系樹脂シートを実施例2とした。
(実施例3及び実施例4)
実施例1又は実施例2のポリ乳酸系樹脂シートを、加熱温度80℃、加熱時間5秒の条件で熱板成形を行うことで、容器を成形し、この容器をそれぞれ実施例3及び実施例4とした。
(実施例5〜実施例8)
塗布剤をショ糖ラウリン酸エステルからショ糖オレイン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 シュガーエステルOWA−1570)に変更した以外は、実施例1〜実施例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂シート及び容器を得た。これらポリ乳酸系樹脂シート及び容器をそれぞれ実施例5〜実施例8とした。
(実施例9〜実施例16)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルからグリセリンモノラウリン酸エステル(花王株式会社製 エレクトロストリッパーTS−14B)に変更した以外は、実施例1〜8と同様にしてポリ乳酸系樹脂シート及び容器を得た。これらポリ乳酸系樹脂シート及び容器をそれぞれ実施例9〜実施例16とした。
(比較例1及び比較例2)
ポリ乳酸系樹脂としてD−乳酸の含有比率が6%以下のポリ乳酸を用い、このポリ乳酸99重量部に、グリセリンモノステアリン酸エステル1重量部を混合した樹脂混合物から、二軸押出機にてシリンダー温度200℃、Tダイ温度195℃の条件でシート基材を成形し、このシート基材を比較例1とした。また、この比較例1のシート基材を、加熱温度80℃、加熱時間5秒の条件で熱板成形を行うことで容器を成形し、この容器を比較例2とした。つまり、塗布液による塗布処理を行なっていない点以外は、実施例1及び実施例3と同様である。
(比較例3及び比較例4)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルからグリセリンモノラウリン酸エステルに変更した以外は、比較例1及び比較例2と同様にしてシート基材及び容器を得た。これらシート基材及び容器をそれぞれ比較例3及び比較例4とした。つまり、塗布液による塗布処理を行なっていない点以外は、実施例5及び実施例7と同様である。
(比較例5及び比較例6)
D−乳酸の含有比率が6%以下のポリ乳酸を用い、練込剤を混合することなく樹脂混合物を形成し、この樹脂混合物から二軸押出機にてシリンダー温度200℃、Tダイ温度195℃の条件でシート基材を成形した。そして、塗布剤であるショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 シュガーエステルLWA−1570)をその濃度が1重量%となるように水に溶解させて塗布液を調製し、この塗布液をシート基材の表面に対して4g/mとなるように塗布した。その後、シート基材表面の乾燥処理を行なうことにより比較例5のポリ乳酸系樹脂シートを得た。なお、乾燥処理後においては、ショ糖ラウリン酸エステルの塗布量は40mg/mとなる。また、この比較例5のポリ乳酸系樹脂シートを、加熱温度80℃、加熱時間5秒の条件で熱板成形を行うことで、容器を成形し、この容器を比較例6とした。樹脂混合物に練込剤が混合されていない点以外は、実施例5及び実施例7と同様である。
(比較例7及び比較例8)
塗布液をショ糖ラウリン酸エステルからショ糖オレイン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 シュガーエステルOWA−1570)に変更した以外は、比較例5及び比較例6と同様にしてポリ乳酸系樹脂シート及び容器を得た。これらポリ乳酸系樹脂シート及び容器をそれぞれ比較例7及び比較例8とした。つまり、樹脂混合物に練込剤が混合されていない点以外は、実施例5及び実施例7と同様である。
(比較例9及び比較例10)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルから脂肪族ジアミン(花王株式会社製 ジアミンRRT)に変更した以外は、比較例1及び比較例2と同様にしてシート基材及び容器を得た。これらシート基材及び容器をそれぞれ比較例9及び比較例10とした。
(比較例11、12)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルから脂肪族ジアミンに変更した以外は、実施例1及び実施例3と同様にしてポリ乳酸系樹脂シート及び容器を得た。これらポリ乳酸系樹脂シート及び容器をそれぞれ比較例11及び比較例12とした。
(比較例13、14)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルからスルフォン酸ソーダ(クラリアントジャパン株式会社製 HOSTAPUR SAS 93)に変更した以外は、比較例1及び比較例2と同様にしてシート基材及び容器を得た。これらシート基材及び容器をそれぞれ比較例13及び比較例14とした。
(比較例15、16)
練込剤をグリセリンモノステアリン酸エステルからスルフォン酸ソーダに変更した以外は、実施例1及び実施例3と同様にしてポリ乳酸系樹脂シート及び容器を得た。これらポリ乳酸系樹脂シート及び容器をそれぞれ比較例15及び比較例16とした。
これら得られた実施例1〜16及び比較例1〜16の各々に関し、シート基材の成形性、容器の成形性、防曇性、及び透明性の観点から評価を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 2008285610
(シート基材の成形性の評価)
シート基材の成形性の評価は、シート状に成形された各実施例及び各比較例を対象とし、シート基材を成形する際において、問題なく成形できた場合には「○」、成形は可能であったが、シート基材に変色或いは物性の劣化が見られた場合には「△」、成形不能である場合には「×」とした。
(容器の成形性の評価)
容器の成形性の評価は、容器状に成形された各実施例及び各比較例を対象とし、容器を成形する際において、問題なく成形できた場合には「○」、成形は可能であったが、容器の形状が不十分であった場合には「△」、成形不能である場合には「×」とした。なお、シート基材を成形することができず、評価を行なうことができない場合には「□」とした。
(防曇性の評価)
90℃の熱水の水面から4cm上方に離した位置に各実施例及び各比較例のシート及び容器を位置させ、このシート及び容器を熱水からの蒸気に30秒間かざした後に蒸気から離すという操作を行い、その間における各シート及び容器の表面状態を観察した。その結果、蒸気にかざしても表面が曇らない場合には「○」、蒸気にかざすと表面が曇るが、蒸気から離した後、5秒以内に曇りが消える場合には「△」、蒸気にかざすと表面が曇り、蒸気から離した後、5秒以内に曇りが消えない場合には「×」とした。なお、シート基材を成形することができず、評価を行なうことができない場合には「□」とした。
(透明性の評価)
JIS K7105−1981に準拠して、各実施例及び各比較例のシート及び容器の全光線透過率及び拡散透過率を測定し、次式(1)によりヘーズ値を算出した。
ヘーズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100 …(1)
その結果、ヘーズ値が5%未満の場合には「○」、ヘーズ値が5%以上10%未満の場合には「△」、ヘーズ値が10%以上の場合には「×」とした。なお、シート基材を成形することができず、評価を行なうことができない場合には「□」とした。
(結果の考察)
表1の結果から、実施例1〜16においては、シート基材の成形性、容器の成形性、防曇性、及び透明性の全ての点で優れていることが確認された。これに対して、塗布液による塗布処理を行なっていない比較例1〜4では、防曇性が悪いという評価であった。また、樹脂混合物に練込剤が混合されていない比較例5〜8では、防曇性の点で良好な結果は得られなかった。
さらに、練込剤として、グリセリン脂肪酸エステル以外の界面活性剤である脂肪族ジアミンを用いた比較例9〜12では、シート基材自体を成形することが不能であり、他の評価を行なうことができなかった。また、練込剤として、グリセリン脂肪酸エステル以外の界面活性剤であるスルフォン酸ソーダを用いた比較例13〜16では、シート基材の成形性の点で良好な結果は得られなかった。これらのうち、塗布液による塗布処理を行なっていない比較例13及び14では、防曇性が悪いという評価であり、塗布処理のなされた比較例15及び16であっても防曇性の点で良好な結果は得られなかった。また、塗布液による塗布処理の有無にかかわらず、比較例13〜16では透明性が悪いという評価であった。
なお、塗布剤をショ糖脂肪酸エステルからポリグリセリンエステル等の食品用界面活性剤に変更した場合についても検討したが、ポリ乳酸系樹脂シートを巻き取る際にシートの反対面に防曇剤が転写してしまい、外観が悪くなるという不具合を生じさせるものであった。
これらの結果から、樹脂混合物に対するモノグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤の練り込みと、シート基材に対するショ糖脂肪酸エステルの塗布を併用することにより、ポリ乳酸系樹脂シート及び容器の防曇性が向上することが示される。とくに、練込剤としてのモノグリセリン脂肪酸エステルと、塗布剤としてのショ糖脂肪酸エステルとの組み合わせが防曇性の向上に寄与していることが示される。なお、上記実施例1〜16は、本発明の一実施例にすぎず、上述した実施形態に示す数値の範囲内であれば各組成を変更したとしても同様の作用効果を奏する。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
○ 前記モノグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸とモノグリセリンとのエステルからなるモノグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。
○ 前記モノグリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンモノステアリン酸エステル、又はグリセリンモノラウリン酸エステルであることを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。
○ 前記シート基材の表面に前記ショ糖脂肪酸エステルが30〜45mg/mとなるように塗布されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸系樹脂を含有し、該ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸とモノグリセリンとのエステルからなるモノグリセリン脂肪酸エステル0.5〜3重量部を混合した樹脂混合物から成形されるシート基材の表面にHLB値13以上のショ糖脂肪酸エステルが20〜50mg/mとなるように塗布されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。
  2. 前記ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖ラウリン酸エステル、又はショ糖オレイン酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂シートを成形してなる成形品。
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