JP2004137426A - 防曇性樹脂シート - Google Patents

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Eiji Sawada
澤田 栄嗣
Takeshi Fukukita
福喜多 剛
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Abstract

【課題】樹脂シートをロール状に巻き取った際の防曇剤の反対面への転写が起こりにくく、しかも、成形方法および金型形状に依らず抗菌性が良好で防曇性に優れる二次成形品が得られる防曇性樹脂シートを提供することである。
【解決手段】HLB値が10〜18の非イオン系界面活性剤(A)と、環状多糖類(B)と、抗菌物質(C)とを含有する防曇剤、好ましくはショ糖脂肪酸エステル100重量部に対して、サイクロデキストリンおよび/またはその誘導体を5〜60重量部、カテキン類を0.1〜20重量部含有する防曇剤の塗膜を熱可塑性樹脂シートの少なくとも片面に有する防曇性樹脂シート。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗菌性が良好で防曇性に優れる二次成形品が得られる防曇性樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の熱可塑性樹脂を用いて押出製膜された樹脂シートは、真空成形機、熱板圧空成形機、真空圧空成形機等を用いて熱成形され、これにより得られた二次成形品は食品包装容器やその他物品の包装に多く用いられている。これらの樹脂シートの中でも、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等に代表される透明性熱可塑性樹脂を用いた樹脂シートは、その透明性から弁当容器や総菜容器等の蓋材として広く用いられている。この場合、防曇剤として界面活性剤等をあらかじめ樹脂シートの少なくとも片面に塗布し、その防曇処理面が内側となるように熱成形して二次成形品とする方法が一般的である。
【0003】
しかしながら、防曇剤の塗膜を有する樹脂シートをロール状に巻き取った際に、時間の経過とともに防曇剤が反対面に転写し、得られる二次成形品の防曇性が低下するという問題があった。さらに、前記樹脂シートが熱板圧空成形機を用いて熱成形される場合には、防曇剤を塗布したシート面を加熱板と接触させて該樹脂シートを加熱する場合が多く、その際に防曇剤が剥落し、著しく防曇性能を低下させることがある。現在公知である防曇剤を使用した場合、これらの現象が顕著であり、特に熱板圧空成形機を用いて熱成形される二軸延伸ポリスチレンシートでは、防曇性能の優れた二次成形品を得ることは困難であった。
【0004】
また、前記防曇剤の塗膜を有する樹脂シートの二次成形品は食品包装容器として用いられる場合が多く、防曇剤と食品が直に接触する場合があるため、防曇剤としては安全性の観点からショ糖脂肪酸エステル等の食品由来の非イオン系界面活性剤が一般的に用いられるが、該二次成形品の表面に微生物が付着した場合、その増殖を防止する効果を有していない。
【0005】
この問題を解決する抗菌性樹脂シートとしては、ショ糖脂肪酸エステル等の防曇剤とシリコーンオイルが被覆されたスチレン系樹脂シートの少なくとも片面にキトサンが被覆されている抗菌性樹脂シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−209491号公報(特許請求の範囲)
【0007】
しかし、前記特許文献1に記載された抗菌性樹脂シートは、抗菌性能に優れるものの、熱成形して得られる二次成形品、特に、絞り比(=絞り深さ/開口部の長さ)が0.2以上の深絞り成形品の防曇性が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、樹脂シートをロール状に巻き取った際の防曇剤の反対面への転写が起こりにくく、しかも、成形方法および金型形状に依らず抗菌性が良好で防曇性に優れる二次成形品が得られる防曇性樹脂シートを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、界面活性剤と抗菌物質と共に、サイクロデキストリン等の環状多糖類を含有する防曇剤の塗膜を有する樹脂シートは、環状多糖類による強固な塗膜が形成されているため、樹脂シートをロール状に巻き取った際の防曇剤の反対面への転写が起こりにくくなると共に、熱板圧空成形に際して防曇剤の塗膜を有するシート面を加熱板に接触させた時の防曇剤の剥落が抑制でき、成形方法および金型形状に依らず抗菌性が良好で防曇性に優れる二次成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、HLB値(親水性−親油性バランス値)が10〜18の非イオン系界面活性剤(A)と、環状多糖類(B)と、抗菌物質(C)とを含有する防曇剤の塗膜を熱可塑性樹脂シートの少なくとも片面に有することを特徴とする防曇性樹脂シートを提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる非イオン系界面活性剤(A)としては、HLB値が10〜18であれば、単独でも、二種以上混合したものであってもよく、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体の単独や混合物等が挙げられる。HLB値が10より低いと十分な防曇性能が得られず、HLB値が18より高いと防曇剤塗布面に水滴が付着した際、防曇剤が流れ落ちやすくなり、防曇性能の持続性が劣る。ここで、HLB値は界面活性剤の親水性−親油性のバランスを示す数値であり、この値が高いほど親水性が強く、逆にこの値が低いほど親油性が強くなる。
【0012】
非イオン系界面活性剤(A)としては、なかでも、防曇効果と防曇効果持続性とに優れることからショ糖脂肪酸エステルが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルは、他の非イオン系界面活性剤と併用することもできるが、この場合でもショ糖脂肪酸エステルを主体成分として50重量%以上含有するものが好ましく、なかでも80重量%以上含有するものがより好ましい。
【0013】
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸メチルエステル等のような脂肪酸の低級アルコールエステルとをエステル交換して得られるものが挙げられ、具体的には、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、これらの混合物等が挙げられる。また、ショ糖脂肪酸エステルには、モノエステル、ジエステルおよびトリエステル等が存在するが、ショ糖脂肪酸モノエステルの含有率が50モル%以上で、HLB値が13〜17であるものが防曇性を向上させることからより好ましい。
【0014】
本発明で用いる環状多糖類(B)としては、各種の環状多糖類がいずれも使用できるが、なかでも水溶性が高いため、均一な塗膜が形成できること、且つ、防曇剤の塗膜強度が高く、防曇剤の反対面への転写が起こりにくい塗膜が形成されるために、防曇性の低下が抑制され、良好な防曇性が維持できることから、4単位以上のD−グルコースが環状に結合している化合物および/またはその誘導体が好ましい。
【0015】
前記4単位以上のD−グルコースが環状に結合している化合物および/またはその誘導体としては、デンプンを酸あるいは酵素で加水分解して得られる化合物であって、D−グルコースが4単位以上、例えば4〜20単位環状に結合している化合物および/またはその誘導体であればよい。なかでも、D−グルコースが4〜8単位環状に結合している化合物および/またはその誘導体がより好ましく、サイクロデキストリンおよび/またはその誘導体が特に好ましい。
【0016】
前記サイクロデキストリンは、D−グルコースが6単位環状に結合しているα−サイクロデキストリン、7単位環状に結合しているβ−サイクロデキストリン、および、8単位環状に結合しているγ−サイクロデキストリン等が挙げられる。
【0017】
また、前記サイクロデキストリンの誘導体としては、例えば、ジメチルサイクロデキストリン、トリメチルサイクロデキストリン、ジエチルサイクロデキストリン等のアルキル化サイクロデキストリン、トリアセチルサイクロデキストリン、トリプロピオニルサイクロデキストリン、トリブチリルサイクロデキストリン等のアシル化サイクロデキストリン、ヒドロキシプロピルサイクロデキストリン等のヒドロキシアルキル化サイクロデキストリン、マルトースを分岐鎖として導入したマルトシルサイクロデキストリン等が挙げられる。
【0018】
なお、本発明で用いる前記環状多糖類(B)としては、環状多糖類のみからなるものを用いることが好ましいが、他の多糖類、例えばD−グルコースが直鎖状あるいは分岐状に結合しているデキトリンおよび/またはその誘導体等との混合物であってもよい。この場合、サイクロデキストリンおよび/またはその誘導体等の環状多糖類を15重量%以上含有することが必須であり、50重量%以上含有するものが好ましい。
【0019】
本発明で用いる抗菌物質(C)は、有害微生物に対して殺菌効果若しくは生育抑制効果があればよく、特に限定されるものではないが、均一な防曇塗膜を形成し、防曇性樹脂シートの透明性が良好となることから、ヨウ素等の水溶性無機系抗菌物質あるいは有機系抗菌物質であることが好ましい。さらに、本発明の防曇性樹脂シートを熱成形して食品包装容器として用いる場合は、食用または飲用に用いることのできる天然物由来の有機系抗菌物質がより好ましい。例えば、ワサビ、シナモン、クローブ、オレガノ、マスタート゛、オニオン、オールスパイス、ナツメグ、ブラックペッパー、セージ、ローズマリー、タイム、ガーリック、ジンジャー、唐辛子等の香辛料類、りんご、ぶどう、レモン、オレンジ、ユズ等の果実類、緑茶、抹茶、紅茶等の茶類、メラルカアルターニフォリア(ティーツリー)、レプトスペルムムペテルソニア(レモンセントティーツリー)等のティーツリー類、等から抽出される植物由来の抗菌物質や、プロタミン、キトサン、リゾチーム等の動物由来の抗菌物質等が挙げられる。なかでも、水性媒体に容易に溶解または乳化して均一で防曇効果の高い防曇塗膜を形成し、防曇性樹脂シートの透明性がさらに良好となることから、環状多糖類(B)、例えばサイクロデキストリンと包接体を形成することが可能な抗菌物質が特に好ましい。
【0020】
環状多糖類(B)と包接体を形成することが可能な抗菌物質としては、例えば、ワサビから抽出されるアリルイソチオシアネート類、茶から抽出されるカテキン類、ティーツリー類から抽出されるティーツリーオイル、レモンセントティーツリーオイル等が挙げられるが、熱成形時に抗菌成分が揮発することなく、抗菌効果が良好な二次成形品が得られ、且つ、抗菌物質の多くが持っている刺激臭が少ないことから、カテキン類(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)が特に好ましい。ここで、環状多糖類(B)と包接体を形成することが可能な抗菌物質とは、例えば、環状多糖類との併用により、水性媒体に対しての溶解若しくは乳化が容易となる物質である。
【0021】
本発明で用いる防曇剤としては、防曇性と抗菌性のバランスが良いことから、非イオン系界面活性剤(A)100重量部に対して、環状多糖類(B)を5〜60重量部、抗菌物質(C)を0.1〜20重量部含有するものがより好ましく、なかでも、環状多糖類(B)を20〜50重量部、抗菌物質(C)を0.2〜15重量部含有するものが特に好ましい。
【0022】
本発明の防曇性樹脂シートを得る方法としては、非イオン系界面活性剤(A)と環状多糖類(B)と抗菌物質(C)を水性媒体に溶解させた防曇剤を熱可塑性樹脂シート表面に塗布した後、乾燥し、防曇剤の塗膜を作製する方法が好ましい。この防曇剤に用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、溶解性の観点から水を主体成分とする水性媒体であることが好ましい。防曇剤の作製方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、水性媒体等の溶媒中に、非イオン系界面活性剤(A)と環状多糖類(B)と抗菌物質(C)とを溶解または乳化させていれば良い。抗菌物質(C)の水性媒体への溶解性向上の観点から、環状多糖類(B)がサイクロデキストリンであり、且つ、サイクロデキストリンに抗菌物質(C)を包接させた混合物(例えば、乳化液や粉末)を用いることが特に好ましい。
【0023】
また、非イオン系界面活性剤(A)と環状多糖類(B)と抗菌物質(C)とを、これらの総固形分濃度が0.1〜40重量%となる割合で水を主体成分とする水性媒体中に溶解している防曇剤を用いることが、防曇剤の塗布が容易で、塗布ムラによる樹脂シートの外観不良が発生しにくいことから好ましく、0.2〜10重量%となる割合で溶解している防曇剤が特に好ましい。
【0024】
さらに、本発明で用いる防曇剤中に、非イオン系界面活性剤(A)以外の他の帯電防止剤、例えば、陰イオン系界面活性剤や、HLB値が10〜18の範囲外の非イオン系界面活性剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。また、必要に応じて、該防曇剤中に、ポリジメチルシロキサン若しくはポリメチルフェニルシロキサンを主体成分とするシリコーンオイルエマルジョン液を、本発明の効果を阻害しない範囲で分散させても良い。
【0025】
前記防曇剤を樹脂シートに塗布する方法としては、特に制限されないが、前記した通り、溶液状の防曇剤を塗布することが好ましく、具体的には、樹脂シートの表面に親水化処理を施した後、該防曇剤を、この処理面に塗布し、溶媒を乾燥する方法が挙げられる。
【0026】
ここで使用される防曇剤の塗布方法としては、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ローターダンプニング、アプリケーター方式等が挙げられる。
【0027】
また、樹脂シート表面の親水化処理の方法としては、酸処理、火炎処理、コロナ処理等が挙げられる。これらの親水化処理を施した樹脂シート表面のぬれ係数は、38mN/m以上であることが好ましく、該防曇剤を均一に塗布し、十分な防曇効果を得るためには45〜60mN/mの範囲内であることが特に好ましい。ここで、ぬれ係数は、JIS K−6786に記載された方法により測定される値である(以下も同様である。)。
【0028】
前記防曇剤の塗布量の測定は、フーリエ変換式赤外分光光度計による分析法(多重内部反射法)〔FTIR分析法(ATR法)〕によって行うことが可能であり、防曇性および抗菌性の向上と塗布ムラによる外観不良が発生しにくいことから、乾燥後の固形分塗布量で5〜1000mg/mであることが好ましく、5〜150mg/mであることが特に好ましい。
【0029】
本発明の防曇性樹脂シートは、少なくとも片面に防曇剤の塗膜を有していればよく、防曇塗膜の反対面に、樹脂シートの二次成形品と成形金型との離型性および二次成形品同士の剥離性等を向上させるために、シリコーンオイルやそのエマルジョン液を塗布しても良い。この場合、塗布状態が良好になることから、シリコーンオイルとしての塗布量が5〜150mg/mの範囲内となるように塗布することがより好ましい。また、シリコーンオイルやそのエマルジョン液中には、帯電防止効果のある界面活性剤や滑剤等を添加することができる。
【0030】
また、本発明の防曇性樹脂シートは、防曇剤を樹脂シート表面に塗布・乾燥した上に、前記シリコーンオイルやそのエマルジョン液が塗布されていても良い。
【0031】
本発明の防曇性樹脂シートに使用される樹脂としては、特に限定されるものではないが、透明性のある熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリスチレン、結晶性ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、透明性スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のプロピレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6に代表されるポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂等が好ましい。また、得られる樹脂シートの透明性を阻害しない範囲で、これらの樹脂を二種類以上混合して使用しても良い。さらに、これらの樹脂より得られる樹脂シートは、これらの樹脂を一種類以上使用した二層以上の多層化シートであっても良い。さらにまた、これらの樹脂シートに一軸若しくは二軸方向の延伸処理が施してあっても良い。
【0032】
前記熱可塑性樹脂の中でもスチレン系樹脂は、透明性、熱成形性に優れているため、各種食品包装用の蓋材として多用されているが、他の熱可塑性樹脂と比較して樹脂自体の疎水性が極めて高く、防曇性に優れるという効果が発現し易いことから、本発明の防曇性樹脂シート用として好適である。さらに、二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートは、熱板圧空成形機で熱成形する場合が多いため、熱成形時の成形体の防曇性低下が著しく、優れた防曇性を有する二次成形品が得られるという効果が特に発現し易いことから、本発明の防曇性樹脂シート用として最も好適である。
【0033】
これらの樹脂シートの厚みは、特に限定されるものではないが、該シートを熱成形する場合は、熱成形性が良好であることから0.05〜1.0mmが好ましい。
【0034】
これらの樹脂シートに使用される樹脂中には、透明性を阻害しない範囲内で抗菌物質を添加しても良い。例えば、本発明の抗菌物質(C)に例示したものに加えて、ゼオライト、ガラス、アパタイト、粘土鉱物、チタニア、リン酸ジルコニウム、シリカゲルなどに銀、銅、亜鉛を担持させた非水溶性無機系抗菌物質が挙げられる。
【0035】
これらの樹脂シートに使用される樹脂中には、樹脂シートのブロッキング防止を目的として、樹脂シート表面に突起を生じさせるための各種の微粒子を樹脂シートの透明性を損なわない範囲で添加することができる。前記微粒子としては、例えば、スチレン系樹脂架橋ビーズ、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂架橋ビーズ、ポリウレタン系樹脂架橋ビーズ等の樹脂架橋ビーズ;シリカ、疎水化処理シリカ、球状シリカ、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等の無機微粒子;ゴム微粒子などが挙げられる。前記ゴム微粒子を添加する方法としては、ゴム含有樹脂を併用する方法が挙げられ、ここで用いるゴム含有樹脂としては、樹脂シートの基材として用いられる樹脂と異なるものであって、例えば、耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(MBS)、耐衝撃性(メタ)アクリル酸エステル(HI−PMMA)等が挙げられる。
【0036】
【実施例】
本発明を実施例と比較例を挙げて、より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実施例1
ショ糖ラウリン酸エステル水溶液(A−1)(理研ビタミン株式会社製リケマールA、モノエステル含有率:72モル%、HLB:15、固形分:40重量%)250重量部(固形分100重量部)に対して、サイクロデキストリン(B−1)/茶抽出抗菌物質(カテキン類)(C−1)=90/10の混合物(株式会社横浜国際バイオ研究所製)を30重量部となる割合で用い、これらの合計280重量部(固形分130重量部)を蒸留水9720重量部に溶解させ、固形分濃度1.3重量%の防曇剤(1)を調製した。
【0038】
表面にコーティング処理を施していない、厚さ0.30mmの二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート(大日本インキ化学工業株式会社製ディックシートGK)の片面に、濡れ係数50mN/mのコロナ処理を施し、ヨシミツ精機(株)製電動式塗工機YOA−A型(アプリケーター塗布方式)を用いて、そのコロナ処理面に固形分塗布量が45mg/mとなるように適宜蒸留水で希釈した防曇剤(1)を塗布し、ドライヤーで乾燥して、防曇性樹脂シート(1)を得た。
【0039】
なお、防曇剤の塗布量の定量分析は、フーリエ変換式赤外分光光度計(FTIR)を用いて多重内部反射法(ATR法)によりシート表面の赤外吸収スペクトルを測定し、塗布量が既知の標準サンプルより検量線を作成し、定量を行った(以下も同様である。)。また、シリコーンオイルの塗布量の定量分析も同様に行った。
【0040】
[シートの抗菌力評価]
防曇性樹脂シートは、一般的に防曇剤塗布面の反対面にはシリコーンオイルを塗布し、ロール状に巻き取られて保存されるため、防曇剤塗布面にはシリコーンオイルが転写する。そのため、防曇性樹脂シート(1)は、シリコーンオイルエマルジョン液(信越化学株式会社製KM−788)を用いて片面当たりのシリコーンオイル塗布量が25mg/mとなるよう調製したシリコーンオイル塗布シート(1s)を、該防曇性樹脂シート(1)の防曇剤塗布面と接触させ、室温下で2週間放置した後、抗菌力試験に用いた。
【0041】
防曇性樹脂シートの大腸菌(IFO3972)に対する抗菌力評価をJIS−Z2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」の「5.2プラスチック製品などの試験方法」に準拠して実施した。具体的には、50mm角の防曇性樹脂シート(1)の防曇剤塗布面に菌数が1〜4×10になるように調整した大腸菌液を滴下し、その上に40mm角のポリエチレンフィルムを被せ、温度35±1℃、湿度90%以上で24時間放置した。また、滅菌処理を施したポリエチレンフィルム上に同様の処理を施し、比較試料とした。その後、防曇性樹脂シート(1)および比較試料の表面から菌液を洗い出し、この洗い出した液中の大腸生菌数を標準寒天培地による平板培養法(35±1℃、40〜48時間培養)で測定し、下記式(I)を用いて抗菌活性値を算出し、下記の評価基準により評価した。大腸生菌数と抗菌活性値と抗菌力評価結果を表−2に示す。
【0042】
抗菌活性値=Log(比較試料の生菌数)−Log(防曇性樹脂シート(1)の生菌数)・・(I)
Figure 2004137426
【0043】
[防曇剤の耐転移性評価]
前記防曇性樹脂シート(1)の防曇剤塗布面に、前記シリコーンオイル塗布シート(1s)を重ね、加熱プレス機を用いて0.5MPaの圧力を加え、温度85℃で30分間放置した後、FTIRを用いて防曇性樹脂シート(1)の防曇剤塗布面の防曇剤量の定量分析を行い、防曇剤転移率を下記式(II)を用いて算出し、下記の評価基準によって評価した。結果を表−1に示す。
防曇剤転移率(%)=(試験前の塗布量−試験後の塗布量)/(試験前の塗布量)×100・・(II)
Figure 2004137426
【0044】
[二次成形品の防曇性評価]
防曇性樹脂シート(1)を、熱板温度130℃の熱板圧空成形機を用いて、下記に示す金型で二次成形品(1)とした。
Figure 2004137426
二次成形品(1)と同型状の成形品を底材とし、この底材中に25℃の水道水100mlを入れ、その上部を成形品(1)で蓋をして四方をテープで密閉したサンプルを、5℃の冷蔵ショーケース(サンデン株式会社製PHO−5Y)内に5分間および30分間放置した後、5分間放置したサンプルと30分間放置したサンプルの二次成形品(1)の天面に付着した水滴の程度を肉眼で観察し、下記の評価基準によって評価した。なお、5分間放置サンプルの評価を初期防曇性の評価とし、30分間放置サンプルの評価を防曇性の評価とした。結果を表−1に示す。
Figure 2004137426
【0045】
実施例2
ショ糖ラウリン酸エステル水溶液(A−1)250重量部(固形分100重量部)に対して、サイクロデキストリン(B−1)/レモンセントティーツリーオイル(C−2)=90/10の混合物(株式会社横浜国際バイオ研究所製)が30重量部となる割合で用い、これらの合計280重量(固形分130重量部)を蒸留水9720重量部に溶解させ、固形分濃度1.3重量%の防曇剤(2)を調製した。
【0046】
次いで、得られた防曇剤(2)を用いた以外は実施例1と同様にして防曇性樹脂シート(2)と二次成形品(2)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、シートの抗菌力評価と防曇剤の耐転移性評価と二次成形品の防曇性評価を行った。結果を表−1および表−2に示す。
【0047】
比較例1
ショ糖ラウリン酸エステル水溶液(A−1)250重量部(固形分100重量部)に対して、サイクロデキストリン(B−1)(株式会社横浜国際バイオ研究所製)が30重量部となる割合で用い、これらの合計280重量部(固形分140重量部)を蒸留水9720重量部に溶解させて、固形分濃度1.3重量%の比較用防曇剤(1′)を得た。
【0048】
次いで、得られた比較用防曇剤(1′)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用防曇性樹脂シート(1′)と比較用成形品(1′)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂シートの抗菌性評価と防曇剤の耐転移性評価と二次成形品の防曇性評価を行った。結果を表−1および表−2に示す。
【0049】
比較例2
ショ糖ラウリン酸エステル水溶液(A−1)317.5重量部(固形分127重量部)に対して、茶抽出抗菌物質(カテキン類)(C−1)を3重量部となる割合で用い、これらの合計320.5重量部(固形分130重量部)を蒸留水9679.5重量部に溶解させて、固形分濃度1.3重量%の比較用防曇剤(2′)を得た。
【0050】
次いで、得られた比較用防曇剤(2′)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用防曇性樹脂シート(2′)と比較用成形品(2′)を得、これらをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、防曇剤の耐転移性評価と二次成形品の防曇性評価を行った。結果を表−1に示す。なお、比較用防曇性樹脂シート(2′)は、防曇剤の耐転移性評価と二次成形品の防曇性評価が著しく低いため、樹脂シートの抗菌性評価は省略した。
【0051】
【表1】
Figure 2004137426
【0052】
【表2】
Figure 2004137426
【0053】
上記表−1および表−2の結果から明らかなように、実施例1,2で得られた本発明の防曇性樹脂シートは抗菌性、防曇剤の耐転移性および二次成形品の防曇性のいずれにも優れている。これらに対して、比較例1の防曇性樹脂シートは防曇性が優れるものの、抗菌性が不十分であった。また、比較例2の防曇性樹脂シートは、防曇剤の耐転移性が悪く、結果として二次成形品の防曇性も劣っていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明の防曇性樹脂シートは、抗菌性が良好で、防曇剤の耐転移性および二次成形品の防曇性に優れるため、食品包装容器用素材として有用である。特に、食品と直接的に接し、且つ防曇性を必要とするフードパック(底材と蓋材が一体化した形状)に有用である。

Claims (10)

  1. HLB値(親水性−親油性バランス値)が10〜18の非イオン系界面活性剤(A)と、環状多糖類(B)と、抗菌物質(C)とを含有する防曇剤の塗膜を熱可塑性樹脂シートの少なくとも片面に有することを特徴とする防曇性樹脂シート。
  2. 環状多糖類(B)がD−グルコースが4〜20単位環状に結合した化合物および/またはその誘導体である請求項1記載の防曇性樹脂シート。
  3. 環状多糖類(B)がサイクロデキストリンおよび/またはその誘導体である請求項1記載の防曇性樹脂シート。
  4. 抗菌物質(C)が環状多糖類(B)と包接体を形成することが可能な物質である請求項1〜3のいずれか1項記載の防曇性樹脂シート。
  5. 抗菌物質(C)がカテキン類である請求項4記載の防曇性樹脂シート。
  6. 非イオン系界面活性剤(A)がショ糖脂肪酸エステルである請求項1〜3のいずれか1項記載の防曇性樹脂シート。
  7. ショ糖脂肪酸エステルがショ糖脂肪酸モノエステルの含有率が50モル%以上でHLB値が13〜17のショ糖脂肪酸エステルである請求項6記載の防曇性樹脂シート。
  8. 防曇剤が、非イオン系界面活性剤(A)100重量部に対して、環状多糖類(B)を5〜60重量部、抗菌物質(C)を0.1〜20重量部を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の防曇性樹脂シート。
  9. 防曇剤の熱可塑性樹脂シート片面当たりの塗布量が5〜150mg/mである請求項1〜3記載のいずれか1項記載の防曇性樹脂シート。
  10. 熱可塑性樹脂シートが二軸延伸スチレン系樹脂シートである請求項1〜3のいずれか1項記載の防曇性樹脂シート。
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