JP2008282320A - 無線icタグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気絶縁性の基材と、前記基材の表面に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されたICチップとを有する無線ICタグであって、前記アンテナ回路が半田により形成されており、かつ、前記ICチップが、前記アンテナ回路と半田により接続されていることを特徴とする無線ICタグ。電気絶縁性の基材の表面に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料を用いて、アンテナ回路と同一のパターンを形成した後、溶融した半田を用いて前記パターン上に前記アンテナ回路を形成することを特徴とする無線ICタグの製造方法。
【選択図】図1
Description
また、回路パターンの形成方法について、被覆導線をコイル状に巻く方法、基材にラミネートされた銅等の導電性金属をエッチングすることによりコイルパターンを形成する方法が開示されている。
そして、絶縁性を有する樹脂の表面に銅の薄膜を全面形成させ、さらにエッチングを施すことによりコイルパターンを形成する方法は、それらの作業のみならず、前処理や廃棄物の処理等の付随する作業も煩雑となり、また製造設備も複雑かつ大型となり、さらに使用できる基材も限定されるため、低コスト化を阻害する要因となる。
また、銅以外にアルミニウムや銀を使用する方法もあるが、銅を含めこれらの材料には、共通して融点が高く加工し難いという欠点がある。
その他、それぞれ、銅に関しては酸化を受け易いので加熱処理に適さないという欠点、アルミニウムに関しては導電性が低いという欠点、銀に関しては展延性に乏しく箔にするのが困難であるという欠点がある。
電気絶縁性の基材と、前記基材の表面に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されたICチップとを有する無線ICタグであって、前記アンテナ回路が半田により形成されており、かつ、前記ICチップが、前記アンテナ回路と半田により接続されていることを特徴とする無線ICタグである。
また、半田は、従来の導電性ペーストに比べ導電性に優れているため、アンテナ回路の線幅を極端に広げることなく、通信特性に優れたICタグを提供することができる。
さらに、半田は、融点が低く加工性に優れているため、製造工程における自由度が高く、複雑な製造設備や大型の製造設備を用いる必要がなく、基材の選択自由度も大きく、製造コストの上昇を招くことなく、容易に、ICタグを提供することができる。
前記接合用半田は、特に限定されないが、アンテナ回路に損傷を生じさせないためには、各種半田の内でも特に融点の低いBi−Sn系半田等、アンテナ回路形成に用いた半田の融点を超えない融点を有する半田を用いることが好ましい。
前記基材が紙製であることを特徴とする無線ICタグである。
また、紙は薄い材料を入手することが容易なため、容易により薄いICタグとすることができる。
さらに、樹脂に比較して紙は一般的に耐熱性が優れている。このため、基材が紙製であれば、溶融半田を用いてアンテナ回路を形成する際の作業がより容易となる。
また、紙製の基材の中でも、グラシン紙(パラフィン紙)を使用すると、半田製のアンテナ回路を正確にかつ容易に形成することができるので好ましい。
なお、ここでいうグラシン紙にはグラシン紙の表面にシリコン加工を施した平滑耐熱紙も含まれる。
前記ICチップが、前記基材のアンテナ回路面側に設けられていることを特徴とする無線ICタグである。
前記基材に、高誘電率材料からなるシートを貼付したことを特徴とする無線ICタグである。
前記基材が、高誘電率材料からなる基材であることを特徴とする無線ICタグである。
電気絶縁性の基材の表面に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料を用いて、アンテナ回路と同一のパターンを形成した後、溶融した半田を用いて前記パターン上に前記アンテナ回路を形成することを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
前記溶融した半田に対して濡れ性を有する材料が、半田付け可能な樹脂であることを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
また、半田付け可能な樹脂は、基材との密着性に優れているので、アンテナ回路をより強固に基材に固定することができる。
さらに、前記半田付け可能な樹脂には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸を溶解させてもよい。これらのうち、金属粉末表面の酸化防止及び出来た酸化皮膜破壊を助長する点からは、オレイン酸が好ましい。
電気絶縁性の基材上に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料で形成されたアンテナ回路を設ける工程、
前記アンテナ回路上に、半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介してICチップを設ける工程、
前記半田ペーストを半田成分の融点以上の温度で加熱溶融させる工程、
前記半田成分の融点以下の温度で、前記半田ペーストの接着性熱硬化樹脂を熱硬化させることにより、前記アンテナ回路に前記ICチップを接続する工程
を有することを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
(ICタグの構成)
以下図面に基づいて本実施の形態を説明する。図1は本実施の形態にかかるICタグの概念図である。
図1において、1はICタグであり、2は基材(リンテック社製グラシン紙)である。そして、アンテナ回路は、3〜6で構成されており、4および6はアンテナ回路の両末端部である。また、7はICチップ(PHILIPS社製 I−CODE SLI)であり、ICチップ7の2つの電極(図示せず)は、それぞれアンテナ回路3および5で接続されている。アンテナ回路の末端4および6は、ジャンパー線(直径0.05mmポリウレタン線、皮膜厚さ5μm以上、理研電線社製)8によって接続されている。
そして、最終的に、図1に示すICタグを、市販のラミネート装置(110℃設定)を用い、表面をPETフィルム(市販品:図示せず)でラミネートすることにより、製品としてのICタグが完成する。
以下に、図2〜3を用いて、より詳しく説明する。
図2は、図1に示したICタグにおけるアンテナ回路のパターンを示す図である。
アンテナ回路3および5は、Sn−Ag−Cu系半田(Sn−3.5Ag−0.5Cu)で形成されている。アンテナ回路3および5は、以下の手順で形成される。
静電気を利用してグラシン紙(グラシンF133kg)を固定し、基材とする。その上に、図2に示すパターンを、半田付け可能な樹脂(A−5050、日本ペイント社製)を用いて、スクリーン印刷(印刷条件:ST325mesh+乳剤厚み10μm)した後、160℃にて30分間加熱し樹脂を硬化させた。なお、パターンは、ライン幅が0.75mm、およびライン間隔が0.25mmとなるように調節した。
その後、フラックス洗浄し、乾燥させて、アンテナ回路3および5を形成した。
次いで、ICチップ7を搭載した。図3は、ICチップ7を基材2の上に搭載する様子を概念的に示す図であり、順に(a)から(c)へと進む。図3(a)に示すように、アンテナ回路3および5の間に、デイスペンサーを用いて半田および接着性熱硬化性樹脂を含む半田ペースト(TYCAP−5401−11、タムラ化成社製、Sn−Bi系半田ペースト)11を所定量塗布する。その後、図3(b)に示すように、ICチップ7の2つの電極12、13がそれぞれアンテナ回路3および5に当接するよう基板の上に仮載せする。
次いで、作製したICタグについて動作確認を行った。具体的には、インピーダンスの測定の他に、リーダーライター(ウェルキャット社製、EFG−310−01)を用いた通信距離の測定、Dipメータ(三田無線研究所社製、DMC−230S2)を用いた表面ラミネート前後の共振周波数の測定を行った。
第1の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:13〜15Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.20〜14.30MHz
共振周波数(ラミネート後):13.90〜14.10MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):60〜65mm
(ICタグの構成)
基材にグラシン紙(グラシンW87.5kg)を用い、アンテナ回路パターンとして、図4に示す2個取りパターンのうちの1個を用いた以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第2の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:12〜17Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):13.80〜13.90MHz
共振周波数(ラミネート後):13.40〜13.60MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):40〜45mm
アンテナ回路パターンを図5に示すパターンとした以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第3の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:14〜16Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.50〜14.60MHz
共振周波数(ラミネート後):14.10〜14.30MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):35〜40mm
ただし、第1の実施の形態〜第3の実施の形態にかかるICタグを、金属体上に実装したところ通信が極めて困難であることが分かった。そこで、ICタグの裏面(アンテナ回路形成面と反対側の面)に高誘電率材料製のシート(厚さ150μm、初誘磁率30のフェライトシート)を貼付して、動作確認を行ったところ、金属体上に実装した場合にも動作可能なICタグとすることができた。
2 基材
3、5 アンテナ回路
4、6 アンテナ回路の末端
7 ICチップ
8 ジャンパー線
11 半田ペースト
12、13 電極
14 半田リッチな部分
15 接着性熱硬化樹脂成分リッチな部分
また、回路パターンの形成方法について、被覆導線をコイル状に巻く方法、基材にラミネートされた銅等の導電性金属をエッチングすることによりコイルパターンを形成する方法が開示されている。
そして、絶縁性を有する樹脂の表面に銅の薄膜を全面形成させ、さらにエッチングを施すことによりコイルパターンを形成する方法は、それらの作業のみならず、前処理や廃棄物の処理等の付随する作業も煩雑となり、また製造設備も複雑かつ大型となり、さらに使用できる基材も限定されるため、低コスト化を阻害する要因となる。
また、銅以外にアルミニウムや銀を使用する方法もあるが、銅を含めこれらの材料には、共通して融点が高く加工し難いという欠点がある。
その他、それぞれ、銅に関しては酸化を受け易いので加熱処理に適さないという欠点、アルミニウムに関しては導電性が低いという欠点、銀に関しては展延性に乏しく箔にするのが困難であるという欠点がある。
電気絶縁性の基材と、前記基材の表面に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されたICチップとを有する無線ICタグであって、前記アンテナ回路が半田により形成されており、かつ、前記ICチップが、前記アンテナ回路と半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介して接続されていることを特徴とする無線ICタグである。
また、半田は、従来の導電性ペーストに比べ導電性に優れているため、アンテナ回路の線幅を極端に広げることなく、通信特性に優れたICタグを提供することができる。
さらに、半田は、融点が低く加工性に優れているため、製造工程における自由度が高く、複雑な製造設備や大型の製造設備を用いる必要がなく、基材の選択自由度も大きく、製造コストの上昇を招くことなく、容易に、ICタグを提供することができる。
さらに詳しくは、請求項8の説明の欄に記載する。
前記基材が紙製であることを特徴とする無線ICタグである。
また、紙は薄い材料を入手することが容易なため、容易により薄いICタグとすることができる。
さらに、樹脂に比較して紙は一般的に耐熱性が優れている。このため、基材が紙製であれば、溶融半田を用いてアンテナ回路を形成する際の作業がより容易となる。
また、紙製の基材の中でも、グラシン紙(パラフィン紙)を使用すると、半田製のアンテナ回路を正確にかつ容易に形成することができるので好ましい。
なお、ここでいうグラシン紙にはグラシン紙の表面にシリコン加工を施した平滑耐熱紙も含まれる。
前記ICチップが、前記基材のアンテナ回路面側に設けられていることを特徴とする無線ICタグである。
前記基材に、高誘電率材料からなるシートを貼付したことを特徴とする無線ICタグである。
前記基材が、高誘電率材料からなる基材であることを特徴とする無線ICタグである。
電気絶縁性の基材の表面に、溶融した半田に対して濡れ性を有する半田付け可能な樹脂を用いて、アンテナ回路と同一のパターンを形成した後、溶融した半田を用いて基材との密着性に優れた前記パターン上に前記アンテナ回路を形成することを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
また、半田付け可能な樹脂は、基材との密着性に優れているので、アンテナ回路をより強固に基材に固定することができる。
さらに、前記半田付け可能な樹脂には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸を溶解させてもよい。これらのうち、金属粉末表面の酸化防止及び出来た酸化皮膜破壊を助長する点からは、オレイン酸が好ましい。
前記基材が、紙製であることを特徴とする請求項6に記載の無線ICタグの製造方法である。
また、紙は薄い材料を入手することが容易なため、容易により薄いICタグとすることができる。
さらに、樹脂に比較して紙は一般的に耐熱性が優れている。このため、基材が紙製であれば、溶融半田を用いてアンテナ回路を形成する際の作業がより容易となる。
電気絶縁性の基材上に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料で形成されたアンテナ回路を設ける工程、
前記アンテナ回路上に、半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介してICチップを設ける工程、
前記半田ペーストを半田成分の融点以上の温度で加熱溶融させる工程、
前記半田成分の融点以下の温度で、前記半田ペーストの接着性熱硬化樹脂を熱硬化させることにより、前記アンテナ回路に前記ICチップを接続する工程
を有することを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
(ICタグの構成)
以下図面に基づいて本実施の形態を説明する。図1は本実施の形態にかかるICタグの概念図である。
図1において、1はICタグであり、2は基材(リンテック社製グラシン紙)である。そして、アンテナ回路は、3〜6で構成されており、4および6はアンテナ回路の両末端部である。また、7はICチップ(PHILIPS社製 I−CODE SLI)であり、ICチップ7の2つの電極(図示せず)は、それぞれアンテナ回路3および5で接続されている。アンテナ回路の末端4および6は、ジャンパー線(直径0.05mmポリウレタン線、皮膜厚さ5μm以上、理研電線社製)8によって接続されている。
そして、最終的に、図1に示すICタグを、市販のラミネート装置(110℃設定)を用い、表面をPETフィルム(市販品:図示せず)でラミネートすることにより、製品としてのICタグが完成する。
以下に、図2〜3を用いて、より詳しく説明する。
図2は、図1に示したICタグにおけるアンテナ回路のパターンを示す図である。
アンテナ回路3および5は、Sn−Ag−Cu系半田(Sn−3.5Ag−0.5Cu)で形成されている。アンテナ回路3および5は、以下の手順で形成される。
静電気を利用してグラシン紙(グラシンF133kg)を固定し、基材とする。その上に、図2に示すパターンを、半田付け可能な樹脂(A−5050、日本ペイント社製)を用いて、スクリーン印刷(印刷条件:ST325mesh+乳剤厚み10μm)した後、160℃にて30分間加熱し樹脂を硬化させた。なお、パターンは、ライン幅が0.75mm、およびライン間隔が0.25mmとなるように調節した。
その後、フラックス洗浄し、乾燥させて、アンテナ回路3および5を形成した。
次いで、ICチップ7を搭載した。図3は、ICチップ7を基材2の上に搭載する様子を概念的に示す図であり、順に(a)から(c)へと進む。図3(a)に示すように、アンテナ回路3および5の間に、デイスペンサーを用いて半田および接着性熱硬化性樹脂を含む半田ペースト(TYCAP−5401−11、タムラ化成社製、Sn−Bi系半田ペースト)11を所定量塗布する。その後、図3(b)に示すように、ICチップ7の2つの電極12、13がそれぞれアンテナ回路3および5に当接するよう基板の上に仮載せする。
次いで、作製したICタグについて動作確認を行った。具体的には、インピーダンスの測定の他に、リーダーライター(ウェルキャット社製、EFG−310−01)を用いた通信距離の測定、Dipメータ(三田無線研究所社製、DMC−230S2)を用いた表面ラミネート前後の共振周波数の測定を行った。
第1の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:13〜15Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.20〜14.30MHz
共振周波数(ラミネート後):13.90〜14.10MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):60〜65mm
(ICタグの構成)
基材にグラシン紙(グラシンW87.5kg)を用い、アンテナ回路パターンとして、図4に示す2個取りパターンのうちの1個を用いた以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第2の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:12〜17Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):13.80〜13.90MHz
共振周波数(ラミネート後):13.40〜13.60MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):40〜45mm
アンテナ回路パターンを図5に示すパターンとした以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第3の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:14〜16Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.50〜14.60MHz
共振周波数(ラミネート後):14.10〜14.30MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):35〜40mm
ただし、第1の実施の形態〜第3の実施の形態にかかるICタグを、金属体上に実装したところ通信が極めて困難であることが分かった。そこで、ICタグの裏面(アンテナ回路形成面と反対側の面)に高誘電率材料製のシート(厚さ150μm、初誘磁率30のフェライトシート)を貼付して、動作確認を行ったところ、金属体上に実装した場合にも動作可能なICタグとすることができた。
2 基材
3、5 アンテナ回路
4、6 アンテナ回路の末端
7 ICチップ
8 ジャンパー線
11 半田ペースト
12、13 電極
14 半田リッチな部分
15 接着性熱硬化樹脂成分リッチな部分
また、回路パターンの形成方法について、被覆導線をコイル状に巻く方法、基材にラミネートされた銅等の導電性金属をエッチングすることによりコイルパターンを形成する方法が開示されている。
そして、絶縁性を有する樹脂の表面に銅の薄膜を全面形成させ、さらにエッチングを施すことによりコイルパターンを形成する方法は、それらの作業のみならず、前処理や廃棄物の処理等の付随する作業も煩雑となり、また製造設備も複雑かつ大型となり、さらに使用できる基材も限定されるため、低コスト化を阻害する要因となる。
また、銅以外にアルミニウムや銀を使用する方法もあるが、銅を含めこれらの材料には、共通して融点が高く加工し難いという欠点がある。
その他、それぞれ、銅に関しては酸化を受け易いので加熱処理に適さないという欠点、アルミニウムに関しては導電性が低いという欠点、銀に関しては展延性に乏しく箔にするのが困難であるという欠点がある。
電気絶縁性の基材と、前記基材の表面に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されたICチップとを有する無線ICタグであって、前記アンテナ回路が半田により形成されており、かつ、前記ICチップが、前記アンテナ回路と半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介して接続されていることを特徴とする無線ICタグである。
また、半田は、従来の導電性ペーストに比べ導電性に優れているため、アンテナ回路の線幅を極端に広げることなく、通信特性に優れたICタグを提供することができる。
さらに、半田は、融点が低く加工性に優れているため、製造工程における自由度が高く、複雑な製造設備や大型の製造設備を用いる必要がなく、基材の選択自由度も大きく、製造コストの上昇を招くことなく、容易に、ICタグを提供することができる。
前記基材が紙製であることを特徴とする無線ICタグである。
また、紙は薄い材料を入手することが容易なため、容易により薄いICタグとすることができる。
さらに、樹脂に比較して紙は一般的に耐熱性が優れている。このため、基材が紙製であれば、溶融半田を用いてアンテナ回路を形成する際の作業がより容易となる。
また、紙製の基材の中でも、グラシン紙(パラフィン紙)を使用すると、半田製のアンテナ回路を正確にかつ容易に形成することができるので好ましい。
なお、ここでいうグラシン紙にはグラシン紙の表面にシリコン加工を施した平滑耐熱紙も含まれる。
前記ICチップが、前記基材のアンテナ回路面側に設けられていることを特徴とする無線ICタグである。
前記基材に、高誘電率材料からなるシートを貼付したことを特徴とする無線ICタグである。
前記基材が、高誘電率材料からなる基材であることを特徴とする無線ICタグである。
電気絶縁性の基材の表面に、溶融した半田に対して濡れ性を有する半田付け可能な樹脂を用いて、アンテナ回路と同一のパターンを形成した後、溶融した半田を用いて基材との密着性に優れた前記パターン上に前記アンテナ回路を形成することを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
また、半田付け可能な樹脂は、基材との密着性に優れているので、アンテナ回路をより強固に基材に固定することができる。
さらに、前記半田付け可能な樹脂には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸を溶解させてもよい。これらのうち、金属粉末表面の酸化防止及び出来た酸化皮膜破壊を助長する点からは、オレイン酸が好ましい。
前記基材が、紙製であることを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
また、紙は薄い材料を入手することが容易なため、容易により薄いICタグとすることができる。
さらに、樹脂に比較して紙は一般的に耐熱性が優れている。このため、基材が紙製であれば、溶融半田を用いてアンテナ回路を形成する際の作業がより容易となる。
電気絶縁性の基材上に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料で形成されたアンテナ回路を設ける工程、
前記アンテナ回路上に、半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介してICチップを設けるに際し、前記ICチップの各電極と接続させる前記アンテナ回路のICチップ接続部間に前記半田ペーストを塗布し、その後前記ICチップの各電極が前記ICチップ接続部に当接するよう前記ICチップを設ける工程、
前記半田ペーストを半田成分の融点以上の温度で加熱溶融させる工程、
前記半田成分の融点以下の温度で、前記半田ペーストの接着性熱硬化樹脂を熱硬化させることにより、前記アンテナ回路に前記ICチップを接続する工程
を順に行うことを特徴とする無線ICタグの製造方法である。
本発明は、この第8の技術を請求するものである。
(ICタグの構成)
以下図面に基づいて本実施の形態を説明する。図1は本実施の形態にかかるICタグの概念図である。
図1において、1はICタグであり、2は基材(リンテック社製グラシン紙)である。そして、アンテナ回路は、3〜6で構成されており、4および6はアンテナ回路の両末端部である。また、7はICチップ(PHILIPS社製 I−CODE SLI)であり、ICチップ7の2つの電極(図示せず)は、それぞれアンテナ回路3および5で接続されている。アンテナ回路の末端4および6は、ジャンパー線(直径0.05mmポリウレタン線、皮膜厚さ5μm以上、理研電線社製)8によって接続されている。
そして、最終的に、図1に示すICタグを、市販のラミネート装置(110℃設定)を用い、表面をPETフィルム(市販品:図示せず)でラミネートすることにより、製品としてのICタグが完成する。
以下に、図2〜3を用いて、より詳しく説明する。
図2は、図1に示したICタグにおけるアンテナ回路のパターンを示す図である。
アンテナ回路3および5は、Sn−Ag−Cu系半田(Sn−3.5Ag−0.5Cu)で形成されている。アンテナ回路3および5は、以下の手順で形成される。
静電気を利用してグラシン紙(グラシンF133kg)を固定し、基材とする。その上に、図2に示すパターンを、半田付け可能な樹脂(A−5050、日本ペイント社製)を用いて、スクリーン印刷(印刷条件:ST325mesh+乳剤厚み10μm)した後、160℃にて30分間加熱し樹脂を硬化させた。なお、パターンは、ライン幅が0.75mm、およびライン間隔が0.25mmとなるように調節した。
その後、フラックス洗浄し、乾燥させて、アンテナ回路3および5を形成した。
次いで、ICチップ7を搭載した。図3は、ICチップ7を基材2の上に搭載する様子を概念的に示す図であり、順に(a)から(c)へと進む。図3(a)に示すように、アンテナ回路3および5の間に、デイスペンサーを用いて半田および接着性熱硬化性樹脂を含む半田ペースト(TYCAP−5401−11、タムラ化成社製、Sn−Bi系半田ペースト)11を所定量塗布する。その後、図3(b)に示すように、ICチップ7の2つの電極12、13がそれぞれアンテナ回路3および5に当接するよう基板の上に仮載せする。
次いで、作製したICタグについて動作確認を行った。具体的には、インピーダンスの測定の他に、リーダーライター(ウェルキャット社製、EFG−310−01)を用いた通信距離の測定、Dipメータ(三田無線研究所社製、DMC−230S2)を用いた表面ラミネート前後の共振周波数の測定を行った。
第1の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:13〜15Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.20〜14.30MHz
共振周波数(ラミネート後):13.90〜14.10MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):60〜65mm
(ICタグの構成)
基材にグラシン紙(グラシンW87.5kg)を用い、アンテナ回路パターンとして、図4に示す2個取りパターンのうちの1個を用いた以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第2の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:12〜17Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):13.80〜13.90MHz
共振周波数(ラミネート後):13.40〜13.60MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):40〜45mm
アンテナ回路パターンを図5に示すパターンとした以外は、第1の実施の形態と同様にして、ICタグを作製し、動作確認を行った。
第3の実施の形態におけるICタグの動作確認結果は以下の通りであった。
(イ)インピーダンス:14〜16Ω
(ロ)共振周波数(ラミネート前):14.50〜14.60MHz
共振周波数(ラミネート後):14.10〜14.30MHz
(ハ)通信距離(ラミネート後、空中):35〜40mm
ただし、第1の実施の形態〜第3の実施の形態にかかるICタグを、金属体上に実装したところ通信が極めて困難であることが分かった。そこで、ICタグの裏面(アンテナ回路形成面と反対側の面)に高誘電率材料製のシート(厚さ150μm、初誘磁率30のフェライトシート)を貼付して、動作確認を行ったところ、金属体上に実装した場合にも動作可能なICタグとすることができた。
2 基材
3、5 アンテナ回路
4、6 アンテナ回路の末端
7 ICチップ
8 ジャンパー線
11 半田ペースト
12、13 電極
14 半田リッチな部分
15 接着性熱硬化樹脂成分リッチな部分
Claims (8)
- 電気絶縁性の基材と、前記基材の表面に設けられたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されたICチップとを有する無線ICタグであって、前記アンテナ回路が半田により形成されており、かつ、前記ICチップが、前記アンテナ回路と半田により接続されていることを特徴とする無線ICタグ。
- 前記基材が、紙製であることを特徴とする請求項1に記載の無線ICタグ。
- 前記ICチップが、前記基材のアンテナ回路面側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線ICタグ。
- 前記基材に、高誘電率材料からなるシートを貼付したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の無線ICタグ。
- 前記基材が、高誘電率材料からなる基材であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の無線ICタグ。
- 電気絶縁性の基材の表面に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料を用いて、アンテナ回路と同一のパターンを形成した後、溶融した半田を用いて前記パターン上に前記アンテナ回路を形成することを特徴とする無線ICタグの製造方法。
- 前記溶融した半田に対して濡れ性を有する材料が、半田付け可能な樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の無線ICタグの製造方法。
- 電気絶縁性の基材上に、溶融した半田に対して濡れ性を有する材料で形成されたアンテナ回路を設ける工程、
前記アンテナ回路上に、半田および接着性熱硬化樹脂を含む半田ペーストを介してICチップを設ける工程、
前記半田ペーストを半田成分の融点以上の温度で加熱溶融させる工程、
前記半田成分の融点以下の温度で、前記半田ペーストの接着性熱硬化樹脂を熱硬化させることにより、前記アンテナ回路に前記ICチップを接続する工程
を有することを特徴とする無線ICタグの製造方法。
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